特許第6491985号(P6491985)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6491985
(24)【登録日】2019年3月8日
(45)【発行日】2019年3月27日
(54)【発明の名称】入力装置
(51)【国際特許分類】
   G06F 3/041 20060101AFI20190318BHJP
   G06F 3/044 20060101ALI20190318BHJP
【FI】
   G06F3/041 590
   G06F3/041 520
   G06F3/044 124
【請求項の数】2
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2015-184144(P2015-184144)
(22)【出願日】2015年9月17日
(65)【公開番号】特開2017-59035(P2017-59035A)
(43)【公開日】2017年3月23日
【審査請求日】2018年5月22日
(73)【特許権者】
【識別番号】000110217
【氏名又は名称】トッパン・フォームズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100123788
【弁理士】
【氏名又は名称】宮崎 昭夫
(74)【代理人】
【識別番号】100127454
【弁理士】
【氏名又は名称】緒方 雅昭
(72)【発明者】
【氏名】中澤 務
【審査官】 田川 泰宏
(56)【参考文献】
【文献】 特開2011−18177(JP,A)
【文献】 特開2010−244347(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 3/041−3/044
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
接触位置を検出するための複数の接触ポイントがマトリクス状に設けられ、
前記複数の接触ポイント毎に設けられ、接触位置のX座標を検出するための第1の電極と、
前記複数の接触ポイント毎に設けられ、接触位置のY座標を検出するための第2の電極と、
前記複数の接触ポイント毎に設けられ、前記複数の接触ポイントが所定数の接触ポイントずつに区画されてなる複数のエリアのうち、接触位置が含まれるエリアを検出するための第3の電極と、
前記第1の電極、前記第2の電極及び前記第3の電極のそれぞれの静電容量の変化に基づいて接触位置を検出する検出手段とを有する入力装置。
【請求項2】
請求項1に記載の入力装置において、
前記第1の電極、前記第2の電極及び前記第3の電極は、基板上に単一の配線層で形成されている、入力装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電極における静電容量の変化に基づいて接触位置を検出するタッチパネル装置等の入力装置に関し、特に、マルチタッチが行われた際のいわゆるゴースト発生を回避する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、スマートフォンをはじめとして、入力キーを介さずに画面にタッチするだけで情報の入力や選択を行うことができるタッチパネル装置が利用されている。タッチパネル装置は、情報を表示するディスプレイ上に重ね合わされて利用される場合が多く、それにより、ディスプレイに表示された情報を用いて情報の入力や選択を行うことができる。
【0003】
このようなタッチパネル装置においては、静電容量方式によるものや抵抗膜方式によるもの等があるが、スマートフォン等の携帯端末においては、複数の電極をマトリクス状に配列させ、複数の電極それぞれの静電容量の変化に基づいて接触位置を検出する、静電容量方式のものが主流となっている。
【0004】
図4は、自己容量方式によるタッチパネル装置の一例を示す図であり、(a)は全体の構成を模式的に示す図、(b)は(a)に示したA部における電極の配列を詳細に示す図である。
【0005】
本例におけるタッチパネル装置は図4(a)に示すように、基板102上に、一方向に並行して延びる複数の電極列103a〜103kと、これに交差して延びる複数の電極列104a〜104hとが設けられ、その上に透明なフィルム等(不図示)が積層されて構成されている。複数の電極列103a〜103k,104a〜104hのそれぞれは、電極列103a〜103kと電極列104a〜104hとの交点に、1つずつの電極が設けられて構成されており、この交点が、タッチパネル装置101に対する接触位置を検出するための接触ポイント108となっている。電極列103a〜103k,104a〜104hのそれぞれを構成する複数の電極は、電極列毎に互いに接続され、フレキシブル基板105の配線(不図示)を介して制御回路部106が接続されている。
【0006】
具体的には、図4(b)に示すように、例えば、電極列103aと電極列104aとの交点には2つの電極111a,121aが設けられており、電極列103aと電極列104bとの交点には2つの電極111b,122aが設けられており、電極列103aと電極列104cとの交点には2つの電極111c,123aが設けられており、電極列103aと電極列104dとの交点には2つの電極111d,124aが設けられている。また、電極列103bと電極列104aとの交点には2つの電極112a,121bが設けられており、電極列103bと電極列104bとの交点には2つの電極112b,122bが設けられており、電極列103bと電極列104cとの交点には2つの電極112c,123bが設けられており、電極列103bと電極列104dとの交点には2つの電極112d,124bが設けられている。また、電極列103cと電極列104aとの交点には2つの電極113a,121cが設けられており、電極列103cと電極列104bとの交点には2つの電極113b,122cが設けられており、電極列103cと電極列104cとの交点には2つの電極113c,123cが設けられており、電極列103cと電極列104dとの交点には2つの電極113d,124cが設けられている。また、電極列103dと電極列104aとの交点には2つの電極114a,121dが設けられており、電極列103dと電極列104bとの交点には2つの電極114b,122dが設けられており、電極列103dと電極列104cとの交点には2つの電極114c,123dが設けられており、電極列103dと電極列104dとの交点には2つの電極114d,124dが設けられている。そして、電極111a〜111d,112a〜112d,113a〜113d,114a〜114dが接触位置におけるX座標を検出するためのものであり、電極111a〜111dが互いに接続され、電極112a〜112dが互いに接続され、電極113a〜113dが互いに接続され、電極114a〜114dが互いに接続されている。また、電極121a〜121d,122a〜122d,123a〜123d,124a〜124dが接触位置におけるY座標を検出するためのものであり、電極121a〜121dが互いに接続され、電極122a〜122dが互いに接続され、電極123a〜123dが互いに接続され、電極124a〜124dが互いに接続されている。
【0007】
上記のように構成されたタッチパネル装置101においては、接触ポイント108に指が接触していない状態では、電極には対地寄生容量が発生しており、一定の静電容量を有しているが、接触ポイント108に指が接触すると、その接触ポイント108に設けられた電極と指との間に静電容量が発生することで、静電容量が変化する。そこで、この静電容量の変化が生じた電極を認識することで、接触位置を検出している。
【0008】
ところが、上述した自己容量方式によるタッチパネル装置においては、静電容量の変化が生じた電極を、互いに接続された電極列単位で認識することになるため、接触位置が複数存在するマルチタッチが行われた場合、いわゆるゴーストが発生してしまう。
【0009】
図5は、図4に示したタッチパネル装置101におけるゴースト発生を説明するための図である。
【0010】
図4に示したタッチパネル装置101において、電極列103aと電極列104aとの交点の接触ポイント108のみにタッチが行わると、電極111a,121aのみの静電容量が変化する。そして、制御回路部106において、この静電容量の変化が、電極列103a,104aを構成するいずれかの電極にて生じたことが検出されることで、電極列103aと電極列104aとの交点の接触ポイント108にタッチが行われたことを検出することができる。
【0011】
ところが、図4中実線円で示すように、電極列103aと電極列104aとの交点の接触ポイント108と、電極列103dと電極列104dとの交点の接触ポイント108とにマルチタッチが行われると、電極111a,114d,121a,124dの静電容量が変化するものの、制御回路部106においては、この静電容量の変化が、電極列103a,103d,104a,104dをそれぞれ構成するいずれかの電極にて生じたものとして検出されることになるため、静電容量が変化した電極の組み合わせまでは検出することができない。そのため、図4中破線円で示すような、電極列103aと電極列104dとの交点の接触ポイント108と、電極列103dと電極列104aとの交点の接触ポイント108においてもタッチが行われたように見える。
【0012】
そこで、上述した自己容量方式で接触位置を検出し、その後、隣接する電極間に電界を発生させて接触位置を検出する相互容量方式によって接触位置を検出することで、マルチタッチが行われた場合でも上述したゴーストのような誤検出を回避する方法が考えられている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0013】
【特許文献1】特開2013−242699号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
しかしながら、上述したように自己容量方式と相互容量方式とを併用したタッチパネル装置等の入力装置においては、自己容量方式の検出回路と相互容量方式の検出回路の両方を制御回路部に搭載しなければならず、制御回路部が複雑化し製造コストが増加してしまうという問題点がある。特に、自己容量方式は、相互容量方式に比べて簡単な制御回路構成で実現することができるため、自己容量方式を用いた利点を十分に生かすことができない。
【0015】
本発明は、上述したような従来の技術が有する問題点に鑑みてなされたものであって、マルチタッチが行われた際のゴースト発生を簡易な構成で回避することができる入力装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0016】
上記目的を達成するために本発明は、
接触位置を検出するための複数の接触ポイントがマトリクス状に設けられ、
前記複数の接触ポイント毎に設けられ、接触位置のX座標を検出するための第1の電極と、
前記複数の接触ポイント毎に設けられ、接触位置のY座標を検出するための第2の電極と、
前記複数の接触ポイント毎に設けられ、前記複数の接触ポイントが所定数の接触ポイントずつに区画されてなる複数のエリアのうち、接触位置が含まれるエリアを検出するための第3の電極と、
前記第1の電極、前記第2の電極及び前記第3の電極のそれぞれの静電容量の変化に基づいて接触位置を検出する検出手段とを有する。
【0017】
上記のように構成された本発明においては、マルチタッチが行われると、マルチタッチが行われた複数の接触ポイントに設けられた第1及び第2の電極の静電容量がそれぞれ変化し、検出手段において、そのマルチタッチによる接触位置のX座標が第1の電極の静電容量の変化に基づいて検出されるとともに、マルチタッチによる接触位置のY座標が第2の電極の静電容量の変化に基づいて検出される。その際、マルチタッチによる接触位置のそれぞれについてのX座標とY座標との組み合わせまでは検出することができないが、第3の電極の静電容量の変化に基づいて、マルチタッチによる接触位置が、複数の接触ポイントが所定数の接触ポイントずつに区画されてなる複数のエリアのうちどのエリアに含まれるかが検出されるので、検出されたX座標とY座標とからなる組み合わせのうち、検出されたエリア内における組み合わせの位置にマルチタッチによる接触が行われたことを検出することができ、エリア外におけるゴースト発生が回避される。
【0018】
また、第1の電極、第2の電極及び第3の電極が、基板上に単一の配線層で形成されていれば、ゴースト発生を回避するために第1の電極及び第2の電極とは別の配線層を設ける必要がない。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、接触位置のX座標が第1の電極の静電容量の変化に基づいて検出され、接触位置のY座標が第2の電極の静電容量の変化に基づいて検出され、さらに、接触位置が含まれるエリアが第3の電極の静電容量の変化に基づいて検出されるので、検出されたX座標とY座標との組み合わせのうち、第3の電極の静電容量の変化に基づいて検出されたエリア外の組み合わせはマルチタッチが行われていないと判断することができ、第1の電極、第2の電極及び第3の電極を設けるという簡易な制御回路の構成で、マルチタッチが行われた際のゴースト発生を回避することができる。
【0020】
また、第1の電極、第2の電極及び第3の電極が、基板上に単一の配線層で形成されているものにおいては、ゴースト発生を回避するために第1の電極及び第2の電極とは別の配線層を設ける必要がない。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】本発明の入力装置の実施の一形態を示す図であり、(a)は全体の構成を模式的に示す図、(b)は(a)に示したA部における電極の配列を詳細に示す図である。
図2図1に示したタッチパネル装置における実際の配線例を示す説明するための図である。
図3図1に示したタッチパネル装置における作用を説明するための図である。
図4】自己容量方式によるタッチパネル装置の一例を示す図であり、(a)は全体の構成を模式的に示す図、(b)は(a)に示したA部における電極の配列を詳細に示す図である。
図5図4に示したタッチパネル装置におけるゴースト発生を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下に、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
【0023】
図1は、本発明の入力装置の実施の一形態を示す図であり、(a)は全体の構成を模式的に示す図、(b)は(a)に示したA部における電極の配列を詳細に示す図である。図2は、図1に示したタッチパネル装置1における実際の配線例を示す説明するための図である。
【0024】
本形態は図1(a)に示すように、絶縁性材料からなる基板2上に、一方向に並行して延びる複数の電極列3a〜3kと、これに交差して延びる複数の電極列4a〜4hとが設けられ、その上に透明なフィルム等(不図示)が積層されて構成された自己容量方式によるタッチパネル装置1である。電極列3a〜3kのそれぞれは、電極列4a〜4hとの交点に、X座標を検出するための第1の電極を1つずつ有しており、また、電極列4a〜4hのそれぞれは、電極列3a〜3kとの交点に、Y座標を検出するための第2の電極を1つずつ有しており、この交点が、タッチパネル装置1に対する接触位置を検出するための接触ポイント8となっている。これにより、接触ポイント8がマトリクス状に設けられたものとなっている。これら複数の第1の電極は電極列3a〜3k毎に互いに接続され、フレキシブル基板5の配線(不図示)を介して制御回路部6に接続されており、また、複数の第2の電極も電極列4a〜4h毎に互いに接続され、フレキシブル基板5の配線を介して制御回路部6に接続されている。
【0025】
具体的には、図1(b)に示すように、例えば、電極列3aの電極列4aとの交点には第1の電極11aが設けられており、電極列4aの電極列3aとの交点には第2の電極21aが設けられている。また、電極列3aの電極列4bとの交点には第1の電極11bが設けられており、電極列4bの電極列3aとの交点には第2の電極22aが設けられている。また、電極列3aの電極列4cとの交点には第1の電極11cが設けられており、電極列4cの電極列3aとの交点には第2の電極23aが設けられている。また、電極列3aの電極列4dとの交点には第1の電極11dが設けられており、電極列4dの電極列3aとの交点には第2の電極24aが設けられている。また、電極列3bの電極列4aとの交点には第1の電極12aが設けられており、電極列4aの電極列3bとの交点には第2の電極21bが設けられている。また、電極列3bの電極列4bとの交点には第1の電極12bが設けられており、電極列4bの電極列3bとの交点には第2の電極22bが設けられている。また、電極列3bの電極列4cとの交点には第1の電極12cが設けられており、電極列4cの電極列3bとの交点には第2の電極23bが設けられている。また、電極列3bの電極列4dとの交点には第1の電極12dが設けられており、電極列4dの電極列3bとの交点には第2の電極24bが設けられている。また、電極列3cの電極列4aとの交点には第1の電極13aが設けられており、電極列4aの電極列3cとの交点には第2の電極21cが設けられている。また、電極列3cの電極列4bとの交点には第1の電極13bが設けられており、電極列4bの電極列3cとの交点には第2の電極22cが設けられている。また、電極列3cの電極列4cとの交点には第1の電極13cが設けられており、電極列4cの電極列3cとの交点には第2の電極23cが設けられている。また、電極列3cの電極列4dとの交点には第1の電極13dが設けられており、電極列4dの電極列3cとの交点には第2の電極24cが設けられている。また、電極列3dの電極列4aとの交点には第1の電極14aが設けられており、電極列4aの電極列3dとの交点には第2の電極21dが設けられている。また、電極列3dの電極列4bとの交点には第1の電極14bが設けられており、電極列4bの電極列3dとの交点には第2の電極22dが設けられている。また、電極列3dの電極列4cとの交点には第1の電極14cが設けられており、電極列4cの電極列3dとの交点には第2の電極23dが設けられている。また、電極列3dの電極列4dとの交点には第1の電極14dが設けられており、電極列4dの電極列3dとの交点には第2の電極24dが設けられている。そして、電極11a〜11dが互いに接続され、電極12a〜12dが互いに接続され、電極13a〜13dが互いに接続され、電極14a〜14dが互いに接続され、これらはフレキシブル基板5の配線を介して制御回路部6に接続されている。また、電極21a〜21dが互いに接続され、電極22a〜22dが互いに接続され、電極23a〜23dが互いに接続され、電極24a〜24dが互いに接続され、これらはフレキシブル基板5の配線を介して制御回路部6に接続されている。このように、電極列3a〜3kのそれぞれは、電極列4a〜4hとの交点に、接触位置のX座標を検出するための第1の電極を1つずつ有しており、電極列4a〜4hのそれぞれは、電極列3a〜3kとの交点に、接触位置のY座標を検出するための第2の電極を1つずつ有している。
【0026】
さらに本形態においては、電極列3a〜3kと電極列4a〜4hとの交点のそれぞれに第3の電極が設けられている。具体的には、電極列3aと電極列4aとの交点には第3の電極31aが設けられており、電極列3aと電極列4bとの交点には第3の電極31bが設けられており、電極列3bと電極列4aとの交点には第3の電極31cが設けられており、電極列3bと電極列4bとの交点には第3の電極31dが設けられている。また、電極列3aと電極列4cとの交点には第3の電極32aが設けられており、電極列3aと電極列4dとの交点には第3の電極32bが設けられており、電極列3bと電極列4cとの交点には第3の電極32cが設けられており、電極列3bと電極列4dとの交点には第3の電極32dが設けられている。また、電極列3cと電極列4aとの交点には第3の電極33aが設けられており、電極列3cと電極列4bとの交点には第3の電極33bが設けられており、電極列3dと電極列4aとの交点には第3の電極33cが設けられており、電極列3dと電極列4bとの交点には第3の電極33dが設けられている。また、電極列3cと電極列4cとの交点には第3の電極34aが設けられており、電極列3cと電極列4dとの交点には第3の電極34bが設けられており、電極列3dと電極列4cとの交点には第3の電極34cが設けられており、電極列3dと電極列4dとの交点には第3の電極34dが設けられている。このように、電極列3a〜3kと電極列4a〜4hとの交点にはそれぞれ第3の電極が設けられているが、これら第3の電極は、電極列3a〜3kと電極列4a〜4hとの交点の接触ポイント8が4つの接触ポイントずつに区画されてなる複数のエリア毎に互いに接続されている。具体的には、図1(b)に示すように、例えば、電極11a〜11d,12a〜12d,13a〜13d,14a〜14d,21a〜21d,22a〜22d,23a〜23d,24a〜24dが設けられた16の接触ポイント8が升目状に4つの接触ポイントずつに4つのエリア7a〜7dに区画された場合に、エリア7aに設けられた電極31a〜31dが互いに接続されてフレキシブル基板5の配線を介して制御回路部6に接続されており、また、エリア7bに設けられた電極32a〜32dが互いに接続されてフレキシブル基板5の配線を介して制御回路部6に接続されており、また、エリア7cに設けられた電極33a〜33dが互いに接続されてフレキシブル基板5の配線を介して制御回路部6に接続されており、エリア7dに設けられた電極34a〜34dが互いに接続されてフレキシブル基板5の配線を介して制御回路部6に接続されている。これにより、第3の電極は、電極列3a〜3kと電極列4a〜4hとの交点の接触ポイント8が4つの接触ポイントずつに区画されてなる複数のエリアのうち、接触位置が含まれるエリアを検出するためのものとなっている。
【0027】
上記のように設けられる電極11a〜11d,12a〜12d,13a〜13d,14a〜14d,21a〜21d,22a〜22d,23a〜23d,24a〜24d,31a〜31d,32a〜32d,33a〜33d,34a〜34dは、基板2上に単一の配線層で形成されている。そのため、実際には、これらの電極のうち、第2の電極21a〜21d,22a〜22d,23a〜23d,24a〜24d及び第3の電極31a〜31d,32a〜32d,33a〜33d,34a〜34dから延びる配線は、図2に示すように、第1の電極列3a〜3kが延びる方向に引き出され、制御回路部6にて接続されたものとなっている。また、全ての電極は、図2に示すように基板2上にメッシュ状に形成されている。
【0028】
制御回路部6は、検出手段として、第1の電極列3a〜3kをそれぞれ構成する第1の電極の静電容量の変化に基づいて接触位置のX座標を検出し、また、第2の電極列4a〜4hをそれぞれ構成する第2の電極の静電容量の変化に基づいて接触位置のY座標を検出し、さらに、第3の電極の静電容量の変化に基づいて接触位置が含まれるエリアを検出する。
【0029】
以下に、上記のように構成されたタッチパネル装置1の動作について説明する。
【0030】
図1に示したタッチパネル装置1は、例えば、情報を表示するディスプレイ上に積層されて使用される。
【0031】
タッチパネル装置1を構成する電極のそれぞれにおいては、接触ポイント8に指が接触していない状態では、対地寄生容量が発生しており、一定の静電容量を有しているが、タッチパネル装置1の利用者が、ディスプレイに表示された情報を、接触ポイント8に指を接触させることで指定あるいは選択すると、その接触ポイント8に設けられた電極と指との間に静電容量が発生し、静電容量が変化する。
【0032】
この静電容量の変化は、制御回路部6において、第1の電極列3a〜3k及び第2の電極列4a〜4h毎に検出される。例えば、制御回路部6において、第1の電極列3a〜3k及び第2の電極列4a〜4hとの接続がアナログスイッチ(不図示)によって切り替えられ、検出された静電容量が発振回路(不図示)によって周波数に変換され、その周波数が計測されることにより静電容量の変化が検出される。
【0033】
そして、第1の電極列3a〜3kのうち静電容量が変化した電極を有する電極列によって、接触が行われたX座標が検出され、また、第2の電極列4a〜4hのうち静電容量が変化した電極を有する電極列によって、接触が行われたY座標が検出され、それにより、接触位置が特定されることになる。
【0034】
ところで、タッチパネル装置1にて複数の接触ポイント8に同時に接触が行われた場合、上述したように、いわゆるゴーストが発生してしまう。そこで、本形態においては、第3の電極によってゴーストの発生を回避可能な構成としている。
【0035】
図3は、図1に示したタッチパネル装置1における作用を説明するための図である。
【0036】
図3中実線円で示すように、図1に示したタッチパネル装置1において、電極列3aと電極列4aとの交点の接触ポイント8と、電極列3dと電極列4dとの交点の接触ポイント8とにマルチタッチが行われると、接触位置のX座標を検出するための電極11a,14dと、接触位置のY座標を検出するための電極21a,24dの静電容量が変化するとともに、第3の電極31a〜31d,32a〜32d,33a〜33d,34a〜34dのうち、電極31a,34dの静電容量が変化する。
【0037】
電極11aの静電容量が変化すると、制御回路部6において、電極列3aを構成する電極のいずれかの静電容量が変化した旨が検出され、また、電極14dの静電容量が変化すると、制御回路部6において、電極列3dを構成する電極のいずれかの静電容量が変化した旨が検出される。また、電極21aの静電容量が変化すると、制御回路部6において、電極列4aを構成する電極のいずれかの静電容量が変化した旨が検出され、また、電極24dの静電容量が変化すると、制御回路部6において、電極列4dを構成する電極のいずれかの静電容量が変化した旨が検出される。これにより、制御回路部6において、接触位置のX座標については、第1の電極列3a,3dに対応する位置が検出され、接触位置のY座標については、第2の電極列4a,4dに対応する位置が検出されることになる。
【0038】
さらに、電極31a,34dの静電容量が変化すると、制御回路部6において、電極列3a〜3kと電極列4a〜4hとの交点の複数の接触ポイント8が区画されてなる複数のエリアのうち、電極31a,34dが設けられたエリア7a,7dが、接触位置が含まれるエリアとして検出される。第3の電極31a〜31d,32a〜32d,33a〜33d,34a〜34dは、エリア7a〜7d毎に互いに接続され、フレキシブル基板5の配線を介して制御回路部6に接続されているため、制御回路部6においては、電極31a,34dの静電容量が変化した場合、電極31a,34dが設けられたエリア7a,7dを、接触位置が含まれるエリアとして検出することができる。なお、第3の電極31a〜31d,32a〜32d,33a〜33d,34a〜34dの静電容量の変化についても、制御回路部6において、電極31a〜31d,32a〜32d,33a〜33d,34a〜34dとの接続がアナログスイッチによってエリア7a〜7d毎に切り替えられ、検出された静電容量が発振回路によって周波数に変換され、その周波数が計測されることにより静電容量の変化が検出される。
【0039】
それにより、制御回路部6において、第1の電極列3a,3dと第2の電極列4a,4dとの交点の接触ポイント8の組み合わせのうち、エリア7a,7d内における組み合わせとなる、電極列3aと電極列4aとの交点、及び電極列3dと電極列4dとの交点に接触が行われた旨が検出されることになる。
【0040】
このように、第1の電極の静電容量の変化に基づいて接触位置のX座標が検出されるとともに、第2の電極の静電容量の変化に基づいて接触位置のY座標が検出され、さらに、第3の電極の静電容量の変化に基づいて、複数の接触ポイント8が所定数の接触ポイントずつに区画されてなる複数のエリアのうち、接触位置が含まれるエリアが検出されるので、検出されたX座標とY座標とからなる組み合わせのうち、検出されたエリア内における組み合わせの位置に接触が行われたことが検出されることとなり、第1、第2及び第3の電極を設けるという簡易な構成で、エリア外におけるゴースト発生を回避することができる。またその際、第1の電極、第2の電極及び第3の電極が、基板2上に単一の配線層で形成されていることにより、ゴースト発生を回避するために第1の電極及び第2の電極とは別の配線層を設ける必要がない。
【0041】
なお、第1の電極、第2の電極及び第3の電極は、基板2上に単一の配線層で形成されているものに限らず、第1の電極及び第2の電極を絶縁層を介して基板の一方の面に形成し、さらにその上に絶縁層を介して第3の電極を形成したり、基板の厚さによっては、第3の電極のみを基板の他方の面に形成したりしてもよい。また、第1の電極と第2の電極とのうち一方の電極と第3の電極とを基板の一方の面に形成し、第1の電極と第2の電極とのうち他方の電極を基板の他方の面に形成する構成としてもよい。さらに、第1の電極、第2の電極及び第3の電極を基板の同一面に形成する場合は、これらの配線部のみ絶縁層を介して積層する構成や、基板の他方の面に配線を形成してスルーホールで接続する構成とすることで、第1の電極、第2の電極及び第3の電極の絶縁状態を確保することが考えられる。
【0042】
また、複数の接触ポイント8が区画されてなる1つのエリアに含まれる接触ポイントの数は、多すぎるとそのエリアに含まれる第3の電極の数が多くなってゴースト発生を回避しにくくなり、また、その逆に少なすぎると、フレキシブル基板5の配線を介して制御回路部6に接続される配線の数が多くなり、いずれも好ましくない。タッチパネル装置1の用途によって接触位置の検出に必要となる分解能に応じて適宜設定すればよい。
【0043】
また、本発明の入力装置は、表示機能を持たない位置入力機能だけのポインティングデバイス等であってもよく、上述した表示機能と位置入力機能とを併せ持つタッチパネル装置に限らない。
【符号の説明】
【0044】
1 タッチパネル装置
2 基板
3a〜3k,4a〜4h 電極列
5 フレキシブル基板
6 制御回路部
7a〜7d エリア
8 接触ポイント
11a〜11d,12a〜12d,13a〜13d,14a〜14d X座標検出用電極
21a〜21d,22a〜22d,23a〜23d,24a〜24d Y座標検出用電極
31a〜31d,32a〜32d,33a〜33d,34a〜34d エリア検出用電極
図1
図2
図3
図4
図5