(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
抗けいれん薬は発作のための一般的な治療レジメン(regime)を表す。しかしながら、抗けいれん薬は発作性障害を有するかなりの割合の人々において効果がなく、これらの個体については、外科手術が唯一の選択肢である。発作性障害および神経変性疾患のための利用可能な治療が不足している中で、本発明の実施形態の特定の方法は、動物におけるタウの発現を阻害することまたはタウのスプライシングを調節することによって発作性障害および神経変性疾患を治療、予防または改善する方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0014】
(要旨)
細胞、組織および動物におけるタウmRNAおよびタンパク質のレベルを調節する方法が本明細書に提供されている。また、細胞、組織および動物におけるタウmRNAのスプライシングを調節する方法が本明細書に提供されている。また、細胞、組織および動物におけるタウmRNAの発現産物を調節する方法が本明細書に提供されている。
【0015】
特定の実施形態において、調節は細胞または組織において行われてもよい。特定の実施形態において、細胞または組織は動物に存在する。特定の実施形態において、動物はヒトである。特定の実施形態において、タウmRNAレベルは減少する。特定の実施形態において、タウタンパク質レベルは減少する。特定の実施形態において、タウmRNAのスプライシングは調節される。特定の実施形態において、タウmRNAの発現産物は調節される。特定の実施形態において、タウエクソン10の排除が促進される。特定の実施形態において、タウRNAまたはタンパク質の4Rアイソフォームの発現は減少する。特定の実施形態において、タウRNAまたはタンパク質の3Rアイソフォームの発現は増加する。特定の実施形態において、タウRNAまたはタンパク質の4Rアイソフォームの発現は減少し、タウRNAまたはタンパク質の3Rアイソフォームの発現は増加する。特定の実施形態において、過リン酸化タウは減少する。このような減少および調節は時間依存的または用量依存的に起こり得る。
【0016】
いくつかの実施形態は対象における発作を減少または低下させる方法を示している。特定の実施形態において、対象における発作のリスクを減少させる方法が提供されている。特定の実施形態において、発作は神経変性障害に関する。特定の実施形態において、神経変性障害はタウ関連障害である。特定の実施形態において、タウ関連障害または神経変性障害は、アルツハイマー病、前頭側頭型認知症、進行性核上麻痺、大脳皮質基底核神経節変性症、ボクサー痴呆、染色体に関連したパーキンソニズム、リティコ−ボディグ病、タングル優位型認知症、神経節膠腫、神経節細胞腫、髄膜血管腫症、亜急性硬化性全脳炎、鉛脳障害、結節性硬化症、ハラーホルデン−スパッツ病、ピック病、嗜銀性グレイン病、大脳皮質基底核変性症または前頭側頭葉変性症である。特定の実施形態は、高い4R:3Rタウアイソフォーム比を有する対象における発作を低下させる方法を示している。特定の実施形態において、方法はアンチセンス薬剤を対象に投与するステップを含み、薬剤は対象の中枢神経系においてタウの発現を低下させるまたは4R:3Rタウ比を低下させる。
【0017】
また、タウに関連する疾患、障害および病態を予防、治療および改善するのに有用な方法が提供されている。特定の実施形態において、タウに関連するこのような疾患、障害および病態は神経変性疾患である。特定の実施形態において、神経変性疾患は、アルツハイマー病、前頭側頭型認知症(FTD)、FTDP−17、進行性核上麻痺、慢性外傷性脳障害、てんかんまたはドラベ症候群のいずれかである。特定の実施形態において、神経変性疾患の1つ以上の症状は、改善され、予防されまたは遅延される(進行が遅延する。)。特定の実施形態において、症状は、記憶喪失、不安または運動機能の損失である。特定の実施形態において、神経変性機能は改良される。特定の実施形態において、神経原線維封入体は減少する。
【0018】
このような疾患、障害および病態は、共通して1つ以上のリスク因子、原因または転帰を有し得る。神経変性疾患の発症についての特定のリスク因子および原因には、遺伝的素因および加齢が含まれる。
【0019】
特定の実施形態において、治療方法は、タウアンチセンス化合物を、これを必要とする個体に投与するステップを含む。アンチセンス化合物はタウの発現を阻害できるまたはタウのスプライシングを調節できる。特定の実施形態において、アンチセンス化合物は一本鎖アンチセンスオリゴヌクレオチドである。特定の実施形態において、一本鎖アンチセンスオリゴヌクレオチドはタウ核酸に相補的である。
【0020】
本開示は以下の非限定的に番号付けされた実施形態を提供する:
実施形態1.タウ特異的阻害剤を対象に投与するステップを含む、発作の発生または発作の重症度を減少させる方法であって、それによって動物における発作または発作のリスクを減少させる方法。
【0021】
実施形態2.動物がヒトである、実施形態1に記載の方法。
【0022】
実施形態3.タウ特異的阻害剤がアンチセンス化合物である、実施形態1または2に記載の方法。
【0023】
実施形態4.タウ関連疾患を治療するためにタウアンチセンス化合物を動物に投与し、それによってタウ関連疾患の少なくとも1つの症状を改善するステップを含む、方法。
【0024】
実施形態5.
(a)タウ関連疾患を有する動物を識別するステップ、および
(b)タウアンチセンス化合物を投与し、それによってタウ関連疾患の少なくとも1つの症状を改善するステップ
を含む、方法。
【0025】
実施形態6.動物がヒトである、実施形態4または5に記載の方法。
【0026】
実施形態7.症状が、発作、発作強度、神経原線維封入体の存在、記憶喪失、認知障害、低下した運動機能または動作緩慢の発生のいずれか1つである、実施形態4から6に記載の方法。
【0027】
実施形態8.タウ関連疾患が神経変性疾患である、実施形態4から8に記載の方法。
【0028】
実施形態9.神経変性疾患が、アルツハイマー病、前頭側頭型認知症(FTD)、FTDP−17、進行性核上麻痺、慢性外傷性脳障害、てんかんおよびドラベ症候群の中から選択される、実施形態8に記載の方法。
【0029】
実施形態10.アンチセンス化合物が、タウ核酸に相補的である一本鎖アンチセンスオリゴヌクレオチドを含む、実施形態3から9に記載の方法。
【0030】
実施形態11.タウRNAの発現またはタウタンパク質の発現が減少する、実施形態1から10に記載の方法。
【0031】
実施形態12.タウRNAの4Rアイソフォームの発現またはタウタンパク質の4Rアイソフォームの発現が減少する、実施形態1から10に記載の方法。
【0032】
実施形態13.タウRNAの3Rアイソフォームの発現またはタウタンパク質の3Rアイソフォームの発現が増加する、実施形態1から10に記載の方法。
【0033】
実施形態14.タウRNAの4Rアイソフォームの発現が減少し、タウRNAの3Rアイソフォームの発現が増加する、実施形態1から10に記載の方法。
【0034】
実施形態15.タウタンパク質の4Rアイソフォームの発現が減少し、タウタンパク質の3Rアイソフォームの発現が増加する、実施形態1から10に記載の方法。
【0035】
実施形態16.一本鎖アンチセンスオリゴヌクレオチドが少なくとも1つの修飾を含む、実施形態10から15に記載の方法。
【0036】
実施形態17.一本鎖アンチセンスオリゴヌクレオチドがヒトタウ核酸に特異的にハイブリダイズできる、実施形態10から16に記載の方法。
【0037】
実施形態18.一本鎖アンチセンスオリゴヌクレオチドが、ヒトタウ核酸の等しい長さの部分に対して少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%または少なくとも95%相補的である、実施形態10から17に記載の方法。
【0038】
実施形態19.一本鎖アンチセンスオリゴヌクレオチドが、ヒトタウ核酸に対して100%相補的である、実施形態10から18に記載の方法。
【0039】
実施形態20.一本鎖アンチセンスオリゴヌクレオチドが、少なくとも1つの修飾されたヌクレオシド間結合を含む、実施形態16から19に記載の方法。
【0040】
実施形態21.一本鎖アンチセンスオリゴヌクレオチドの各々のヌクレオシド間結合が、修飾されたヌクレオシド間結合である、実施形態20に記載の方法。
【0041】
実施形態22.修飾されたヌクレオシド間結合が、ホスホロチオエートヌクレオシド間結合である、実施形態20から21に記載の方法。
【0042】
実施形態23.少なくとも1つの修飾されたヌクレオシドを含む、実施形態16から22に記載の方法。
【0043】
実施形態24.一本鎖アンチセンスオリゴヌクレオチドが、修飾された糖を有する少なくとも1つの修飾されたヌクレオシドを含む、実施形態16から23に記載の方法。
【0044】
実施形態25.一本鎖アンチセンスオリゴヌクレオチドが、二環式糖を含む少なくとも1つの修飾されたヌクレオシドを含む、実施形態24に記載の方法。
【0045】
実施形態26.二環式糖が、4’−(CH2)n−O−2’(式中、nは1または2である。)および4’−CH2−O−CH2−2’の中から選択される4’から2’の架橋を含む、実施形態25に記載の方法。
【0046】
実施形態27.二環式糖が4’−CH(CH3)−O−2’架橋を含む、実施形態25に記載の方法。
【0047】
実施形態28.修飾された糖を有する少なくとも1つの修飾されたヌクレオシドが非二環式2’修飾糖部分を含む、実施形態24に記載の方法。
【0048】
実施形態29.2’修飾糖部分が2’−O−メトキシエチル基を含む、実施形態28に記載の方法。
【0049】
実施形態30.2’修飾糖部分が2’−O−メチル基を含む、実施形態28に記載の方法。
【0050】
実施形態31.修飾された糖を有する少なくとも1つの修飾されたヌクレオシドが糖代替物を含む、実施形態24に記載の方法。
【0051】
実施形態32.糖代替物がモルホリノである、実施形態31に記載の方法。
【0052】
実施形態33.糖代替物がペプチド核酸である、実施形態31に記載の方法。
【0053】
実施形態34.各々のヌクレオシドが修飾されている、実施形態23から33に記載の方法。
【0054】
実施形態35.一本鎖アンチセンスオリゴヌクレオチドが少なくとも1つの修飾された核酸塩基を含む、実施形態10から34に記載の方法。
【0055】
実施形態36.修飾された核酸塩基が5’−メチルシトシンである、実施形態35に記載の方法。
【0056】
実施形態37.一本鎖アンチセンスオリゴヌクレオチドが、
(a)結合したデオキシヌクレオシドからなるギャップセグメント、
(b)結合したヌクレオシドからなる5’ウィングセグメント、
(c)結合したヌクレオシドからなる3’ウィングセグメント
を含み、ギャップセグメントは、5’ウィングセグメントおよび3’ウィングセグメントに直接隣接し、5’ウィングセグメントおよび3’ウィングセグメントの間に位置し、各々のウィングセグメントの各々のヌクレオシドは修飾された糖を含む、実施形態16から35に記載の方法。
【0057】
実施形態38.一本鎖アンチセンスオリゴヌクレオチドが、
(a)10個の結合したデオキシヌクレオシドからなるギャップセグメント、
(b)5個の結合したヌクレオシドからなる5’ウィングセグメント、
(c)5個の結合したヌクレオシドからなる3’ウィングセグメント
を含み、ギャップセグメントは、5’ウィングセグメントおよび3’ウィングセグメントに直接隣接し、5’ウィングセグメントおよび3’ウィングセグメントの間に位置し、各々のウィングセグメントの各々のヌクレオシドは2’−O−メトキシエチル糖を含み、各々のヌクレオシド間結合はホスホロチオエート結合である、実施形態37に記載の方法。
【0058】
実施形態39.一本鎖アンチセンスオリゴヌクレオチドが、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24または25個の結合したヌクレオシドからなる、実施形態10から37に記載の方法。
【0059】
実施形態40.投与するステップが非経口投与である、実施形態1から39のいずれかに記載の方法。
【0060】
実施形態41.非経口投与が注射または注入のいずれかである、実施形態40に記載の方法。
【0061】
実施形態42.非経口投与がくも膜下投与または脳室内投与のいずれかである、実施形態40または41に記載の方法。
【0062】
実施形態43.タウ関連疾患を治療するためにタウアンチセンス化合物を動物に投与し、それによって神経原線維封入体を減少させるステップを含む、方法。
【0063】
実施形態44.タウ関連疾患を治療するためにタウアンチセンス化合物を動物に投与し、それによって神経機能を改良するステップを含む、方法。
【0064】
実施形態45.
(a)タウ関連疾患を有する動物を識別するステップ、および
(b)タウアンチセンス化合物を投与し、それによって神経原線維封入体を減少させるステップ
を含む、方法。
【0065】
実施形態46.
(a)タウ関連疾患を有する動物を識別するステップ、および
(b)タウアンチセンス化合物を投与し、それによって神経機能を改良するステップ
を含む、方法。
【0066】
実施形態47.動物がヒトである、実施形態43から46に記載の方法。
【0067】
実施形態48.アンチセンス化合物が、タウ核酸に相補的である一本鎖アンチセンスオリゴヌクレオチドを含む、実施形態43から47に記載の方法。
【0068】
実施形態49.タウ関連疾患が神経変性疾患である、実施形態43から48に記載の方法。
【0069】
実施形態50.神経変性疾患が、アルツハイマー病、前頭側頭型認知症(FTD)、FTDP−17、進行性核上麻痺、慢性外傷性脳障害、てんかんおよびドラベ症候群の中から選択される、実施形態49に記載の方法。
【0070】
実施形態51.タウRNAの発現またはタウタンパク質の発現が減少する、実施形態43から50に記載の方法。
【0071】
実施形態52.タウRNAの4Rアイソフォームの発現またはタウタンパク質の4Rアイソフォームの発現が減少する、実施形態43から50に記載の方法。
【0072】
実施形態53.タウRNAの3Rアイソフォームの発現またはタウタンパク質の3Rアイソフォームの発現が増加する、実施形態43から50に記載の方法。
【0073】
実施形態54.タウRNAの4Rアイソフォームの発現が減少し、タウRNAの3Rアイソフォームの発現が増加する、実施形態43から50に記載の方法。
【0074】
実施形態55.タウタンパク質の4Rアイソフォームの発現が減少し、タウタンパク質の3Rアイソフォームの発現が増加する、実施形態43から50に記載の方法。
【0075】
実施形態56.一本鎖アンチセンスオリゴヌクレオチドが少なくとも1つの修飾を含む、実施形態48から55に記載の方法。
【0076】
実施形態57.一本鎖アンチセンスオリゴヌクレオチドがヒトタウ核酸に特異的にハイブリダイズできる、実施形態48から56に記載の方法。
【0077】
実施形態58.一本鎖アンチセンスオリゴヌクレオチドが、ヒトタウ核酸の等しい長さの部分に対して少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%または少なくとも95%相補的である、実施形態48から57に記載の方法。
【0078】
実施形態59.一本鎖アンチセンスオリゴヌクレオチドが、ヒトタウ核酸に対して100%相補的である、実施形態48から58に記載の方法。
【0079】
実施形態60.一本鎖アンチセンスオリゴヌクレオチドが、少なくとも1つの修飾されたヌクレオシド間結合を含む、実施形態56から59に記載の方法。
【0080】
実施形態61.一本鎖アンチセンスオリゴヌクレオチドの各々のヌクレオシド間結合が、修飾されたヌクレオシド間結合である、実施形態60に記載の方法。
【0081】
実施形態62.修飾されたヌクレオシド間結合が、ホスホロチオエートヌクレオシド間結合である、実施形態60または61に記載の方法。
【0082】
実施形態63.少なくとも1つの修飾されたヌクレオシドを含む、実施形態56から62に記載の方法。
【0083】
実施形態64.一本鎖アンチセンスオリゴヌクレオチドが、修飾された糖を有する少なくとも1つの修飾されたヌクレオシドを含む、実施形態56から63に記載の方法。
【0084】
実施形態65.一本鎖アンチセンスオリゴヌクレオチドが、二環式糖を含む少なくとも1つの修飾されたヌクレオシドを含む、実施形態64に記載の方法。
【0085】
実施形態66.二環式糖が、4’−(CH2)n−O−2’(式中、nは1または2である。)および4’−CH2−O−CH2−2’の中から選択される4’から2’の架橋を含む、実施形態65に記載の方法。
【0086】
実施形態67.二環式糖が4’−CH(CH3)−O−2’架橋を含む、実施形態65に記載の方法。
【0087】
実施形態68.修飾された糖を有する少なくとも1つの修飾されたヌクレオシドが非二環式2’修飾糖部分を含む、実施形態64に記載の方法。
【0088】
実施形態69.2’修飾糖部分が2’−O−メトキシエチル基を含む、実施形態68に記載の方法。
【0089】
実施形態70.2’修飾糖部分が2’−O−メチル基を含む、実施形態68に記載の方法。
【0090】
実施形態71.修飾された糖を有する少なくとも1つの修飾されたヌクレオシドが糖代替物を含む、実施形態64に記載の方法。
【0091】
実施形態72.糖代替物がモルホリノである、実施形態71に記載の方法。
【0092】
実施形態73.糖代替物がペプチド核酸である、実施形態71に記載の方法。
【0093】
実施形態74.各々のヌクレオシドが修飾されている、実施形態63から73に記載の方法。
【0094】
実施形態75.一本鎖アンチセンスオリゴヌクレオチドが少なくとも1つの修飾された核酸塩基を含む、実施形態48から74に記載の方法。
【0095】
実施形態76.修飾された核酸塩基が5’−メチルシトシンである、実施形態75に記載の方法。
【0096】
実施形態77.一本鎖アンチセンスオリゴヌクレオチドが、
(a)結合したデオキシヌクレオシドからなるギャップセグメント、
(b)結合したヌクレオシドからなる5’ウィングセグメント、
(c)結合したヌクレオシドからなる3’ウィングセグメント
を含み、ギャップセグメントは、5’ウィングセグメントおよび3’ウィングセグメントに直接隣接し、5’ウィングセグメントおよび3’ウィングセグメントの間に位置し、各々のウィングセグメントの各々のヌクレオシドは修飾された糖を含む、実施形態56から75に記載の方法。
【0097】
実施形態78.一本鎖アンチセンスオリゴヌクレオチドが、
(d)10個の結合したデオキシヌクレオシドからなるギャップセグメント、
(e)5個の結合したヌクレオシドからなる5’ウィングセグメント、
(f)5個の結合したヌクレオシドからなる3’ウィングセグメント
を含み、ギャップセグメントは、5’ウィングセグメントおよび3’ウィングセグメントに直接隣接し、5’ウィングセグメントおよび3’ウィングセグメントの間に位置し、各々のウィングセグメントの各々のヌクレオシドは2’−O−メトキシエチル糖を含み、各々のヌクレオシド間結合はホスホロチオエート結合である、実施形態77に記載の方法。
【0098】
実施形態79.一本鎖アンチセンスオリゴヌクレオチドが、15、16、17、18または19個の結合したヌクレオシドからなる、実施形態48から77に記載の方法。
【0099】
実施形態80.一本鎖アンチセンスオリゴヌクレオチドが、20個の結合したヌクレオシドからなる、実施形態48から78に記載の方法。
【0100】
実施形態81.一本鎖アンチセンスオリゴヌクレオチドが、21、22、23、24または25個の結合したヌクレオシドからなる、実施形態48から77に記載の方法。
【0101】
実施形態82.投与するステップが非経口投与である、実施形態43から82に記載の方法。
【0102】
実施形態83.非経口投与が注射または注入のいずれかである、実施形態82に記載の方法。
【0103】
実施形態84.非経口投与がくも膜下投与または脳室内投与のいずれかである、実施形態82または83に記載の方法。
【0104】
実施形態85.タウ関連疾患の少なくとも1つの症状が改善される、実施形態43から84に記載の方法。
【0105】
実施形態86.タウ関連疾患の少なくとも1つの症状が予防される、実施形態43から85に記載の方法。
【0106】
実施形態87.タウ関連疾患の少なくとも1つの症状の進行が遅延される、実施形態43から86に記載の方法。
【0107】
実施形態88.少なくとも1つの症状が、記憶喪失、不安、運動機能の損失、発作の発生、重度の発作および興奮毒性のいずれかである、実施形態85から87に記載の方法。
【0108】
実施形態89.高い4R:3Rタウアイソフォーム比を有する対象における発作を低下させる方法であって、アンチセンスオリゴヌクレオチドを対象に投与するステップを含み、対象の中枢神経系における4R:3Rタウ比を低下させる、方法。
【0109】
実施形態90.対象における高い4R:3Rタウアイソフォーム比がスプライシング異常によって引き起こされる、実施形態89に記載の方法。
【0110】
実施形態91.対象の脳および脊髄における凝集したタウの蓄積を低下させるステップをさらに含む、実施形態89に記載の方法。
【0111】
実施形態92.アンチセンスオリゴヌクレオチドが、oメチルオリゴヌクレオチドである、実施形態89に記載の方法。
【0112】
実施形態93.オリゴヌクレオチドが単回ボーラス投与を使用して投与される、実施形態89に記載の方法。
【0113】
実施形態94.オリゴヌクレオチドがポンプを使用して投与される、実施形態89に記載の方法。
【0114】
実施形態95.中枢神経系におけるタウの総量が変化しない、実施形態89に記載の方法。
【0115】
実施形態96.高い4R:3Rタウアイソフォーム比を有する対象における神経変性症候群を改質する方法であって、アンチセンスオリゴヌクレオチドを対象の中枢神経系に投与するステップを含み、アンチセンスオリゴヌクレオチドは対象の中枢神経系における高い4R:3Rタウ比を低下させる、方法。
【0116】
実施形態97.対象における高い4R:3Rタウアイソフォーム比がスプライシング異常によって引き起こされる、実施形態89に記載の方法。
【0117】
実施形態98.神経変性症候群がタウに関連している神経変性症候群である、実施形態89に記載の方法。
【0118】
実施形態99.タウに関連している神経変性症候群がタウ多量体化に関連している、実施形態91に記載の方法。
【0119】
実施形態100.神経変性症候群が、アルツハイマー病、進行性核上麻痺、ボクサー痴呆、前頭側頭型認知症、染色体に関連したパーキンソニズム、リティコ−ボディグ病、タングル優位型認知症、神経節膠腫、神経節細胞腫、髄膜血管腫症、亜急性硬化性全脳炎、鉛脳障害、結節性硬化症、ハラーホルデン−スパッツ病、ピック病、大脳皮質基底核変性症、嗜銀性グレイン病、核上麻痺、大脳皮質基底核変性症、前頭側頭型認知症または前頭側頭葉変性症である、実施形態89に記載の方法。
【0120】
実施形態101.神経変性症候群が、アルツハイマー病、進行性核上麻痺、大脳皮質基底核変性症または前頭側頭型認知症である、実施形態89に記載の方法。
【0121】
実施形態102.神経変性疾患を改質するステップが、対象の行動的表現型を改良する、実施形態89に記載の方法。
【0122】
実施形態103.対象の行動的表現型が発作である、実施形態95に記載の方法。
【0123】
実施形態104.神経変性疾患を改質するステップが、対象における神経変性疾患発症の進行を遅延させる、実施形態89に記載の方法。
【0124】
実施形態105.神経変性疾患を改質するステップが、対象の脳および脊髄における凝集したタウの蓄積を低下させる、実施形態89に記載の方法。
【0125】
実施形態106.アンチセンスオリゴヌクレオチドが、oメチルオリゴヌクレオチドである、実施形態89に記載の方法。
【0126】
実施形態107.オリゴヌクレオチドが単回ボーラス投与を使用して投与される、実施形態89に記載の方法。
【0127】
実施形態108.オリゴヌクレオチドがポンプを使用して投与される、実施形態89に記載の方法。
【0128】
実施形態109.中枢神経系におけるタウの総量を低下させずに、中枢神経系における異常な4R:3Rタウ比が低下する、実施形態89に記載の方法。
【0129】
実施形態110.アンチセンスオリゴが、タウをコードする核酸のスプライシングを変化させる、実施形態89に記載の方法。
【0130】
実施形態111.タウ特異的阻害剤を対象に投与するステップを含み、対象における発作または発作のリスクが減少する、対象における発作または発作のリスクを減少させる方法。
【0131】
実施形態112.タウ特異的阻害剤が転写阻害剤である、実施形態111に記載の方法。
【0132】
実施形態113.転写阻害剤がオリゴヌクレオチドである、実施形態112に記載の方法。
【0133】
実施形態114.オリゴヌクレオチドが、配列番号1−10のいずれか1つなどのタウをコードする核酸の等しい長さの部分に対して少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、99%または少なくとも100%相補的である核酸塩基配列を含む、実施形態113に記載の方法。
【0134】
実施形態115.オリゴヌクレオチドが、修飾されたオリゴヌクレオチドである、実施形態113または114に記載の方法。
【0135】
実施形態116.オリゴヌクレオチドがアンチセンスオリゴヌクレオチドである、実施形態113または114に記載の方法。
【0136】
実施形態117.オリゴヌクレオチドが一本鎖オリゴヌクレオチドである、実施形態113から115のいずれかに記載の方法。
【0137】
実施形態118.オリゴヌクレオチドが12から30個の結合したヌクレオシドからなる、実施形態113から116のいずれかに記載の方法。
【0138】
実施形態119.オリゴヌクレオチドが少なくとも1個の修飾されたヌクレオシド間結合を含む、実施形態113から118のいずれかに記載の方法。
【0139】
実施形態120.修飾されたヌクレオシド間結合がホスホロチオエートヌクレオシド間結合である、実施形態119に記載の方法。
【0140】
実施形態121.各々の修飾されたヌクレオシド間結合がホスホロチオエートヌクレオシド間結合である、実施形態119に記載の方法。
【0141】
実施形態122.オリゴヌクレオチドが少なくとも1つの修飾された糖部分を含む、実施形態113から121のいずれかに記載の方法。
【0142】
実施形態123.修飾された糖部分が二環式糖部分である、実施形態122に記載の方法。
【0143】
実施形態124.修飾された糖部分が2’置換糖部分である、実施形態122に記載の方法。
【0144】
実施形態125.2’置換糖部分が、2’−O−メトキシエチル(2’−MOE)、2’−OMeまたは2’−Flの中から選択される、実施形態124に記載の方法。
【0145】
実施形態126.オリゴヌクレオチドが少なくとも1つの修飾された核酸塩基を含む、実施形態113から124のいずれかに記載の方法。
【0146】
実施形態127.修飾された核酸塩基が5−メチルシトシンである、実施形態126に記載の方法。
【0147】
実施形態128.オリゴヌクレオチドがキメラオリゴヌクレオチドである、実施形態113から126のいずれかに記載の方法。
【0148】
実施形態129.オリゴヌクレオチドが、(i)結合したデオキシヌクレオシドからなるギャップセグメント、(ii)結合したヌクレオシドからなる5’ウィングセグメント、(iii)結合したヌクレオシドからなる3’ウィングセグメントを含み、ギャップセグメントは、5’ウィングセグメントおよび3’ウィングセグメントに直接隣接し、5’ウィングセグメントおよび3’ウィングセグメントの間に位置し、各々のウィングセグメントの各々のヌクレオシドは修飾された糖を含む、実施形態113から127のいずれかに記載の方法。
【0149】
実施形態130.オリゴヌクレオチドが、(i)10個の結合したデオキシヌクレオシドからなるギャップセグメント、(ii)5個の結合したヌクレオシドからなる5’ウィングセグメント、(iii)5個の結合したヌクレオシドからなる3’ウィングセグメントを含み、ギャップセグメントは、5’ウィングセグメントおよび3’ウィングセグメントに直接隣接し、5’ウィングセグメントおよび3’ウィングセグメントの間に位置し、各々のウィングセグメントの各々のヌクレオシドは2’−O−メトキシエチル糖を含み、各々のヌクレオシド間結合はホスホロチオエート結合である、実施形態128に記載の方法。
【0150】
実施形態131.阻害剤が対象のCNSに投与される、実施形態111から130に記載の方法。
【0151】
実施形態132.阻害剤がくも膜下または脳内血管投与によって投与される、実施形態131に記載の方法。
【0152】
実施形態133.投与がボーラスまたは注入による、実施形態131または132に記載の方法。
【0153】
実施形態134.投与がポンプによる、実施形態131から133のいずれかに記載の方法。
【0154】
実施形態135.タウスプライス調節剤を対象に投与するステップを含み、対象における発作または発作のリスクが減少する、対象における発作または発作のリスクを減少させる方法。
【0155】
実施形態136.12から30個の結合したヌクレオシドからなるオリゴヌクレオチドを投与するステップを含む、対象における発作または発作のリスクを減少させる方法であって、オリゴヌクレオチドは、配列番号1−10のいずれか1つなどのタウをコードする核酸の等しい長さの部分に対して少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、99%または少なくとも100%相補的である核酸塩基配列を含み、対象における発作または発作のリスクが減少する、方法。
【0156】
実施形態137.タウスプライス調節剤がオリゴヌクレオチドである、実施形態135に記載の方法。
【0157】
実施形態138.オリゴヌクレオチドが少なくとも1つの修飾されたヌクレオシドを含む、実施形態136または137に記載の方法。
【0158】
実施形態139.少なくとも1つの修飾されたヌクレオシドが修飾された糖部分を含む、実施形態138に記載の方法。
【0159】
実施形態140.少なくとも1つの修飾された糖部分が2’置換糖部分である、実施形態139に記載の方法。
【0160】
実施形態141.少なくとも1つの2’置換糖部分の2’置換が、2’−OMe、2’−Fおよび2’−MOEの中から選択される、実施形態140に記載の方法。
【0161】
実施形態142.少なくとも1つの2’置換糖部分の2’置換が、2’−MOEである、実施形態140に記載の方法。
【0162】
実施形態143.少なくとも1つの修飾された糖部分が二環式糖部分である、実施形態139に記載の方法。
【0163】
実施形態144.少なくとも1つの二環式糖部分がLNAまたはcEtである、実施形態143に記載の方法。
【0164】
実施形態145.少なくとも1つの修飾された糖部分が糖代替物である、実施形態139に記載の方法。
【0165】
実施形態146.少なくとも1つの糖代替物がモルホリノである、実施形態145に記載の方法。
【0166】
実施形態147.少なくとも1つの糖代替物が、修飾されたモルホリノである、実施形態145に記載の方法。
【0167】
実施形態148.オリゴヌクレオチドが、少なくとも5個の修飾されたヌクレオシドを含み、各々が独立して修飾された糖部分を含む、実施形態136から147に記載の方法。
【0168】
実施形態149.オリゴヌクレオチドが、少なくとも10個の修飾されたヌクレオシドを含み、各々が独立して修飾された糖部分を含む、実施形態136から148に記載の方法。
【0169】
実施形態150.オリゴヌクレオチドが、少なくとも15個の修飾されたヌクレオシドを含み、各々が独立して修飾された糖部分を含む、実施形態136から499に記載の方法。
【0170】
実施形態151.オリゴヌクレオチドの各々のヌクレオシドが、修飾されたヌクレオシドであり、各々が独立して修飾された糖部分を含む、実施形態136から150に記載の方法。
【0171】
実施形態152.オリゴヌクレオチドが、互いに同じである修飾された糖部分を含む少なくとも2個の修飾されたヌクレオシドを含む、実施形態136から141に記載の方法。
【0172】
実施形態153.オリゴヌクレオチドが、互いに異なる修飾された糖部分を含む少なくとも2個の修飾されたヌクレオシドを含む、実施形態136から147に記載の方法。
【0173】
実施形態154.オリゴヌクレオチドが、少なくとも5個の隣接する修飾されたヌクレオシドの修飾された領域を含む、実施形態136から147に記載の方法。
【0174】
実施形態155.オリゴヌクレオチドが、少なくとも10個の隣接する修飾されたヌクレオシドの修飾された領域を含む、実施形態136から147に記載の方法。
【0175】
実施形態156.オリゴヌクレオチドが、少なくとも15個の隣接する修飾されたヌクレオシドの修飾された領域を含む、実施形態136から147に記載の方法。
【0176】
実施形態157.オリゴヌクレオチドが、少なくとも20個の隣接する修飾されたヌクレオシドの修飾された領域を含む、実施形態136から147に記載の方法。
【0177】
実施形態158.修飾された領域の各々の修飾されたヌクレオシドが、2’−F、2’−OMe、2’−MOE、cEt、LNA、モルホリノおよび修飾されたモルホリノの中から独立して選択される修飾された糖部分を有する、実施形態154から157に記載の方法。
【0178】
実施形態159.修飾された領域の修飾されたヌクレオシドの各々が、互いに同じ修飾を含む、実施形態154から158に記載の方法。
【0179】
実施形態160.修飾された領域の修飾されたヌクレオシドの各々が、同じ2’置換糖部分を含む、実施形態159に記載の方法。
【0180】
実施形態161.修飾されたヌクレオシドの領域の修飾されたヌクレオシドの2’置換糖部分が、2’−F、2’−OMeおよび2’−MOEから選択される、実施形態160に記載の方法。
【0181】
実施形態162.修飾されたヌクレオシドの領域の修飾されたヌクレオシドの2’置換糖部分が、2’−MOEである、実施形態160に記載の方法。
【0182】
実施形態163.修飾されたヌクレオシドの領域の修飾されたヌクレオシドの各々が、同じ二環式糖部分を含む、実施形態159に記載の方法。
【0183】
実施形態164.修飾されたヌクレオシドの領域の修飾されたヌクレオシドの二環式糖部分が、LNAおよびcEtから選択される、実施形態163に記載の方法。
【0184】
実施形態165.修飾されたヌクレオシドの領域の修飾されたヌクレオシドの各々が、糖代替物を含む、実施形態159に記載の方法。
【0185】
実施形態166.修飾されたヌクレオシドの領域の修飾されたヌクレオシドの糖代替物が、モルホリノである、実施形態165に記載の方法。
【0186】
実施形態167.修飾されたヌクレオシドの領域の修飾されたヌクレオシドの糖代替物が、修飾されたモルホリノである、実施形態165に記載の方法。
【0187】
実施形態168.オリゴヌクレオチドが、4個以下の隣接する天然に存在するヌクレオシドを含む、実施形態136から167に記載の方法。
【0188】
実施形態169.オリゴヌクレオチドの各々のヌクレオシドが、修飾されたヌクレオシドである、実施形態136から167に記載の方法。
【0189】
実施形態170.各々の修飾されたヌクレオシドが、修飾された糖部分を含む、実施形態169に記載の方法。
【0190】
実施形態171.修飾されたオリゴヌクレオチドの修飾されたヌクレオシドが、互いに同じ修飾を含む、実施形態170に記載の方法。
【0191】
実施形態172.修飾されたオリゴヌクレオチドの修飾されたヌクレオシドの各々が、同じ2’置換糖部分を含む、実施形態171に記載の方法。
【0192】
実施形態173.修飾されたオリゴヌクレオチドの2’置換糖部分が、2’−F、2’−OMeおよび2’−MOEから選択される、実施形態172に記載の方法。
【0193】
実施形態174.修飾されたオリゴヌクレオチドの2’置換糖部分が、2’−MOEである、実施形態172に記載の方法。
【0194】
実施形態175.オリゴヌクレオチドの修飾されたヌクレオシドの各々が、同じ二環式糖部分を含む、実施形態171に記載の方法。
【0195】
実施形態176.二環式糖部分が、LNAおよびcEtから選択される、実施形態175に記載の方法。
【0196】
実施形態177.オリゴヌクレオチドの修飾されたヌクレオシドの各々が、糖代替物を含む、実施形態169に記載の方法。
【0197】
実施形態178.糖代替物がモルホリノである、実施形態177に記載の方法。
【0198】
実施形態179.糖代替物が、修飾されたモルホリノである、実施形態178に記載の方法。
【0199】
実施形態180.オリゴヌクレオチドが、少なくとも1つの修飾されたヌクレオシド間結合を含む、実施形態136から179に記載の方法。
【0200】
実施形態181.各々のヌクレオシド間結合が、修飾されたヌクレオシド間結合である、実施形態136から180に記載の方法。
【0201】
実施形態182.修飾されたヌクレオシド間結合が、ホスホロチオエートヌクレオシド間結合である、実施形態178から181に記載の方法。
【0202】
実施形態183.各々のヌクレオシド間結合が、修飾されたヌクレオシド間結合であり、各々のヌクレオシド間結合が、同じ修飾を含む、実施形態136から149に記載の方法。
【0203】
実施形態184.各々のヌクレオシド間結合が、ホスホロチオエートヌクレオシド間結合である、実施形態183に記載の方法。
【0204】
実施形態185.対象が高い4R−3Rタウアイソフォーム比を有する、実施形態135から184に記載の方法。
【0205】
実施形態186.4R:3Rタウ比が対象の中枢神経系において減少する、実施形態135から185に記載の方法。
【0206】
実施形態187.対象における高い4R:3Rタウアイソフォーム比がスプライシング異常によって引き起こされる、実施形態185に記載の方法。
【0207】
実施形態188.中枢神経系におけるタウの総量が変化しない、実施形態135から187に記載の方法。
【0208】
実施形態189.薬剤、阻害剤またはオリゴヌクレオチドが対象のCNSに投与される、実施形態111から188に記載の方法。
【0209】
実施形態190.阻害剤がくも膜下または脳内血管投与によって投与される、実施形態189に記載の方法。
【0210】
実施形態191.投与がボーラスまたは注入による、実施形態189または190に記載の方法。
【0211】
実施形態192.オリゴヌクレオチドがポンプを使用して投与される、実施形態189から191に記載の方法。
【0212】
実施形態193.対象がタウ関連疾患を有する、実施形態111から192に記載の方法。
【0213】
実施形態194.タウ関連疾患が、アルツハイマー病、進行性核上麻痺、ボクサー痴呆、前頭側頭型認知症、染色体に関連したパーキンソニズム、リティコ−ボディグ病、タングル優位型認知症、神経節膠腫、神経節細胞腫、髄膜血管腫症、亜急性硬化性全脳炎、鉛脳障害、結節性硬化症、ハラーホルデン−スパッツ病(HaliervordenSpatz disease)、ピック病、大脳皮質基底核変性症、嗜銀性グレイン病、核上麻痺、大脳皮質基底核変性症、前頭側頭型認知症または前頭側頭葉変性症の中から選択される、実施形態193に記載の方法。
【0214】
実施形態195.対象が発作性障害を有する、実施形態111から194に記載の方法。
【0215】
実施形態196.発作性障害が、てんかん、髄膜炎、脳卒中、傷害関連発作、脳損傷、若年性ミオクローヌスてんかん、乳児けいれん、反射性てんかんおよび熱性発作の中から選択される、実施形態195に記載の方法。
【0216】
実施形態197.対象が神経障害を有する、実施形態111から196に記載の方法。
【0217】
実施形態198.アンチセンスオリゴヌクレオチドが配列番号12の核酸塩基配列を有する、実施形態1から197のいずれかに記載の方法。
【0218】
実施形態199.アンチセンスオリゴヌクレオチドが配列番号13の核酸塩基配列を有する、実施形態1から198のいずれかに記載の方法。
【0219】
実施形態200.アンチセンスオリゴヌクレオチドが配列番号14の核酸塩基配列を有する、実施形態1から199のいずれかに記載の方法。
【0220】
実施形態201.アンチセンスオリゴヌクレオチドが配列番号15の核酸塩基配列を有する、実施形態1から200のいずれかに記載の方法。
【0221】
実施形態202.アンチセンスオリゴヌクレオチドが配列番号16の核酸塩基配列を有する、実施形態1から201のいずれかに記載の方法。
【0222】
実施形態203.アンチセンスオリゴヌクレオチドが配列番号17の核酸塩基配列を有する、実施形態1から202のいずれかに記載の方法。
【0223】
実施形態204.アンチセンスオリゴヌクレオチドが配列番号18の核酸塩基配列を有する、実施形態1から203のいずれかに記載の方法。
【0224】
実施形態205.アンチセンスオリゴヌクレオチドは20個の連結した修飾ヌクレオシドを含み、配列番号12の配列を有し、各々のヌクレオシド間結合はホスホロチオエート結合であり、各々の修飾ヌクレオシドは2’−O−メトキシエチル基を含む。
【0225】
実施形態206.アンチセンスオリゴヌクレオチドは20個の連結した修飾ヌクレオシドを含み、配列番号13の配列を有し、各々のヌクレオシド間結合はホスホロチオエート結合であり、各々の修飾ヌクレオシドは2’−O−メトキシエチル基を含む。
【0226】
実施形態207.アンチセンスオリゴヌクレオチドは20個の連結した修飾ヌクレオシドを含み、配列番号14の配列を有し、各々のヌクレオシド間結合はホスホロチオエート結合であり、各々の修飾ヌクレオシドは2’−O−メトキシエチル基を含む。
【0227】
実施形態208.アンチセンスオリゴヌクレオチドは18個の連結した修飾ヌクレオシドを含み、配列番号15の配列を有し、各々のヌクレオシド間結合はホスホロチオエート結合であり、各々の修飾ヌクレオシドは2’−O−メトキシエチル基を含む。
【0228】
実施形態209.アンチセンスオリゴヌクレオチドは18個の連結した修飾ヌクレオシドを含み、配列番号16の配列を有し、各々のヌクレオシド間結合はホスホロチオエート結合であり、各々の修飾ヌクレオシドは2’−O−メトキシエチル基を含む。
【0229】
実施形態210.アンチセンスオリゴヌクレオチドは18個の連結した修飾ヌクレオシドを含み、配列番号17の配列を有し、各々のヌクレオシド間結合はホスホロチオエート結合であり、各々の修飾ヌクレオシドは2’−O−メトキシエチル基を含む。
【0230】
実施形態211.アンチセンスオリゴヌクレオチドは18個の連結した修飾ヌクレオシドを含み、配列番号18の配列を有し、各々のヌクレオシド間結合はホスホロチオエート結合であり、各々の修飾ヌクレオシドは2’−O−メトキシエチル基を含む。
【発明を実施するための形態】
【0232】
(詳細な説明)
前述の概要および以下の詳細な説明の両方は例示および説明のためだけであり、請求されている本発明を制限しているわけではないことは理解されるべきである。本明細書において、単数形の使用は、別様で具体的に記載されていない限り、複数形も含む。本明細書で使用されている場合、「または」の使用は、別様で記載されていない限り、「および/または」を意味する。さらに、本明細書で使用されている場合、「および」の使用は、別様で記載されていない限り、「および/または」を意味する。さらに、「含んでいる」という用語ならびに「含む」および「含まれている」などのその他の形態の使用は非限定的である。また、「要素」または「成分」などの用語は、具体的に別様で記載されていない限り、1つの単位を含む要素および成分ならびに1つより多い副次的単位を含む要素および成分の両方を包含する。
【0233】
本明細書に使用されている段落の表題は、構成目的のためだけであり、記載されている主題を限定していると解釈されるべきではない。許容される場合、非限定的であるが、特許、特許出願、公開された特許出願、記事、本、論文およびGENBANK受託番号および国立バイオテクノロジー情報センター(NCBI)などのデータベースを介して得られる関連配列情報および本明細書の開示の全体に関連する他のデータを含む、本開示に引用されている全ての文書または文書の一部は、本明細書に説明されている文書の部分についての参照により本明細書に明確に組み込まれており、同様にそれらの全体が本明細書に明確に組み込まれている。
【0234】
神経変性症候群および発作の治療
神経変性疾患を改質する方法が開発されている。本発明の方法を使用して、現在、脳の多発性疾患に関連しているタウアイソフォームの比を変更することができる。有益には、本発明は、証明された技術を使用して長時間投与され得、最も効果的である脳および脊髄の全体にわたって治療の広範な分布を提供することが実証されている、中枢神経系において特定のタウアイソフォームの生成を特異的に標的とするために血液脳関門を迂回する方法を提供している。
【0235】
I.方法
本発明は、アンチセンスオリゴヌクレオチドを中枢神経系に投与することによって対象における神経変性症候群を改質する方法を提供している。一般的に、アンチセンスオリゴヌクレオチドはタウをコードする核酸のスプライシングを変化させ、対象の中枢神経系において異常な4R:3Rタウ比を低下させる。
【0236】
(a)対象
本発明によれば、対象はタウの3Rおよび4Rアイソフォームを発現する任意の対象であってもよい。一部の実施形態において、対象は、齧歯動物、ヒト、家畜動物、ペットまたは動物学上の動物である。一実施形態において、対象は、齧歯動物、例えば、マウス、ラット、モルモットなどであってもよい。別の実施形態において、対象は、家畜動物であってもよい。好適な家畜動物の非限定的な例には、ブタ、ウシ、ウマ、ヤギ、ヒツジ、ラマおよびアルパカが含まれ得る。さらに別の実施形態において、対象はペットであってもよい。ペットの非限定的な例には、イヌ、ネコ、ウサギおよびトリなどのペットが含まれ得る。さらに別の実施形態において、対象は動物学上の動物であってもよい。本明細書で使用されている場合、「動物学上の動物」とは、動物園で見られ得る動物を指す。このような動物には、非ヒト霊長類、大型ネコ、オオカミおよびクマが含まれ得る。例示的な実施形態において、対象はヒトであってもよい。
【0237】
対象は神経変性症候群を患い得るまたは神経変性症候群を発症するリスクがあり得る。一部の実施形態において、対象は神経変性症候群を患い得る。他の実施形態において、対象は神経変性症候群を発症するリスクがあり得る。神経変性症候群はさらに以下に記載されている。
【0238】
(b)神経変性症候群
本発明の方法は神経変性症候群を改質するステップを含む。一部の実施形態において、神経変性症候群はタウに関連している任意の神経変性症候群であってもよい。タウに関連している神経変性障害の非限定的な例には、アルツハイマー病、進行性核上麻痺、ボクサー痴呆、前頭側頭型認知症、染色体に関連したパーキンソニズム、リティコ−ボディグ病、タングル優位型認知症、神経節膠腫、神経節細胞腫、髄膜血管腫症、亜急性硬化性全脳炎、鉛脳障害、結節性硬化症、ハラーホルデン−スパッツ病、ピック病、大脳皮質基底核神経節変性症、嗜銀性グレイン病、核上麻痺、大脳皮質基底核変性症、前頭側頭型認知症または前頭側頭葉変性症が含まれ得る。一部の実施形態において、本発明の方法は、前頭側頭型認知症(FTD)を改質するステップを含む。他の実施形態において、本発明の方法は、アルツハイマー病(AD)を改質するステップを含む。さらに他の実施形態において、本発明の方法は、進行性核上麻痺を改質するステップを含む。他の実施形態において、本発明の方法は、大脳皮質基底核神経節変性症を改質するステップを含む。
【0239】
本明細書で使用されている場合、「神経変性症候群を改質する」という用語は、神経変性症候群を治癒すること、症候群の発症の過程を遅延させること、症候群の過程を反転させることまたは神経変性症候群を有する対象の行動的表現型を改良することを指し得る。一部の実施形態において、本発明の方法は、神経変性症候群を治癒することによって神経変性症候群を改質する。他の実施形態において、本発明の方法は、症候群の進行を遅延させることによって神経変性症候群を改質する。
【0240】
さらに他の実施形態において、本発明の方法は、神経変性症候群を有する対象の行動的表現型を改良することによって神経変性症候群を改質する。例えば、アルツハイマー病を患っている対象についての症状は、最近の出来事、活動、家族または物の名前の軽度の健忘症および簡単な算数の問題を解くことができないなどの神経変性症候群に関連している軽度の初期症状であってもよい。症状はまた、身づくろい、話す、理解する、読むまたは書くなどの簡単なタスクをする方法の忘却などの神経変性症候群に関連している中等度の症状であってもよい。あるいは、症状は、不安になるまたは攻撃的になるおよび家から徘徊するなどの神経変性症候群に関連している重度の症状であってもよい。ADを有する対象はまた、発作の増加したリスクを有し得る。進行性核上麻痺を患っている対象についての症状には、平衡感覚障害、動かした場合の前方への飛び出し、速歩、物体および人々へのぶつかり、落下、人格の変化、動作の全体的な遅延、視覚症状、認知症(典型的に抑制の損失および情報を体系化する能力を含む。)、不明瞭な発語、嚥下困難および特に垂直方向の眼球移動の困難、不十分な瞼の機能、顔面の筋肉の拘縮、頸筋の硬化による頭部の後屈、睡眠障害、尿失禁および便秘が含まれ得る。FTDを患っている対象についての症状には、人格変化、認知機能障害および運動症状が含まれ得る。大脳皮質基底核神経節変性症を患っている対象についての症状は、FTDおよびパーキンソン病を患っている患者の症状と同様であり、身震い、硬直、動作緩慢ならびにウォーキングおよび歩行の困難、認知および行動上の問題、認知症、知覚、睡眠および情緒的問題を含み得る。好ましい実施形態において、本発明の方法は発作のリスクを低下させることによって神経変性症候群を改質する。
【0241】
(c)タウにおける異なるスプライシング
本発明は、タウをコードする核酸のスプライシングを変化させることによって神経変性症候群を改質する方法を記載している。タウは複数の組織に見出されているタンパク質であるが、特にニューロンの軸索に豊富にある。タウの主要機能は、有糸分裂、細胞質分裂および小胞輸送に関与する細胞骨格の重要な構造成分である微小管に結合し、安定化することである。ヒトにおいて、エクソン2、3および10の選択的スプライシングによって生成されるタウの6個のアイソフォームが存在する。タンパク質のN末端におけるエクソン2および3のスプライシングは、ゼロ、1または2個の29アミノ酸、酸性ドメインの封入を導き、それぞれ0N、1Nまたは2Nタウと呼ばれている。C末端におけるエクソン10の封入はエクソン10によってコードされた微小管結合ドメインの封入を導く。タウにおけるいずれかの場所に3個の微小管結合ドメインが存在するので、このタウアイソフォーム(含まれているエクソン10を有する)は4Rタウと呼ばれ、ここでRは微小管結合ドメインのリピートの数を指す(
図1)。エクソン10を有さないタウは3Rタウと呼ばれている。健康な対象において、3R:4Rタウの比は、ほぼ3Rタウだけを発現する胎児組織および3R/4Rタウのおおよそ等しいレベルを発現する成人組織により発生的に調節される。3R/4Rタウの正常の比からの逸脱は、FTDタウオパチーなどの神経変性症候群の特徴である。本質的に、この方法は対象の中枢神経系において4R:3Rタウ比を低下させる。
【0242】
対象の中枢神経系における4R:3Rタウ比は正常でもよく、低くてもよくまたは高くてもよい。本明細書で使用されている場合、中枢神経系における「正常な4R:3Rタウ比」は、神経変性疾患を患っていない同じ種由来のおよびおおよそ同じ年齢の対象の中枢神経系における4R:3Rタウ比と実質的に同じである中枢神経系における4R:3Rタウ比を表す。一部の実施形態において、この方法は対象の中枢神経系における正常な4R:3Rタウ比を低下させる。他の実施形態において、この方法は対象の中枢神経系における低い4R:3Rタウ比を低下させる。
【0243】
好ましい実施形態において、この方法は対象の中枢神経系における高い4R:3Rタウ比を低下させる。例示的な実施形態において、この方法は対象におけるタウをコードする核酸のスプライシングの欠陥によって引き起こされる高い4R:3Rタウ比を低下させる。対象におけるタウをコードする核酸のスプライシングの欠陥は、例えば、タウをコードする核酸のスプライシングを変化させ、高い4R:3Rタウ比を導く遺伝子変異によって引き起こされ得る。変異は新しい異常なスプライス要素を生じる、置換変異または欠失変異であってもよい。タウをコードする核酸のスプライシングを変化させ得、高い4R:3Rタウ比を導き得る遺伝子変異の比限定的な例には、N279K、P301S、280、L284L、N296H、N296N、296N、P301S、G303V、E10+11、E10+12、E10+13、E+10+14およびE10+16およびE10+19が含まれ得る。
【0244】
(d)アンチセンスオリゴヌクレオチド
本発明の方法は、アンチセンスオリゴヌクレオチドを使用してタウをコードする核酸のスプライシングを変化させることによって対象の中枢神経系における4R:3Rタウ比を低下させる。アンチセンスオリゴヌクレオチドは選択された配列に相補的な一本鎖リボ核酸またはデオキシリボ核酸である。アンチセンスオリゴヌクレオチドは、特異的、相補的、コードまたは非コード核酸を標的とし得る。使用されたアンチセンスオリゴヌクレオチドに応じて、この標的核酸配列に対するオリゴヌクレオチドの結合がRNAse Hを活性化してもよいまたは活性化しなくてもよい。一部の実施形態において、アンチセンスオリゴヌクレオチドは標的核酸を分解するRNAseHを活性化する。好ましい実施形態において、アンチセンスオリゴヌクレオチドはRNAse Hを活性化しない。例示的な実施形態において、本発明のアンチセンスオリゴヌクレオチドはタウをコードする核酸配列に相補的であり、RNAse Hを活性化せず、4R:3Rタウ比を減少させるためにタウをコードする核酸のスプライシングを破壊する。
【0245】
RNase Hを活性化しないアンチセンスオリゴヌクレオチドを作製する方法は当該技術分野において公知である。例えば、本明細書に参照により組み込まれている米国特許第5,149,797号を参照のこと。このようなアンチセンスオリゴヌクレオチドは、オリゴヌクレオチドを含むデュプレックス分子に対するRNase Hの結合を立体的に妨げるまたは防ぐが、デュプレックス形成を実質的に妨げないまたは破壊しない1つ以上の構造的修飾を含有してもよい。RNAse Hを活性化しないアンチセンスオリゴヌクレオチドは、ヌクレオチド間架橋リン酸残基の少なくとも1つ、2つ以上がメチルホスホネート、メチルホスホノチオエート、ホスホロモルホリデート、ホスホロピペラジデートおよびホスホラミデートなどの修飾されたリン酸である、オリゴヌクレオチドを含んでもよい。例えば、1つおきのヌクレオチド間架橋リン酸残基は、修飾されたリン酸であってもよく、2’低級アルキル部分(例えば、メチル、エチル、エテニル、プロピル、1−プロペニル、2−プロペニルおよびイソプロピルなどのC1−C4、直鎖または分岐、飽和または不飽和アルキル)またはこれらの組合せを含有してもよい。好ましい実施形態において、4R:3Rタウ比を減少させるためにRNAse Hを活性化せず、タウをコードする核酸のスプライシングを破壊する本発明のアンチセンスオリゴヌクレオチドは、2’−O−(2−メトキシエチル)(MOE)で修飾されたアンチセンスオリゴヌクレオチドである。
【0246】
RNAse Hの結合を妨げるためにオリゴヌクレオチドを修飾する他の方法は、P.Furdonら、Nucleic Acids Res.17、9193−9204(1989)、S.Agrawalら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA 87、1401−1405(1990)、C. Bakerら、Nucleic Acids Res.18、3537−3543(1990)、B.Sproatら、Nucleic Acids Res.17、3373−3386(1989)、R.WalderおよびJ.Walder、Proc.Natl.Acad.Sci.USA 85、5011−5015(1988)に見出され得、これらの全ての開示はこれらの全体が参照により本明細書に組み込まれている。
【0247】
本発明のアンチセンスオリゴヌクレオチドは、デオキシリボヌクレオチドオリゴヌクレオチドまたはリボヌクレオチドオリゴヌクレオチドであってもよい。アンチセンスオリゴヌクレオチドは、これが意図する位置に選択的に結合するのであれば、任意の長さであってもよい。一般に、アンチセンスオリゴヌクレオチドは、8、10または12ヌクレオチド長から20、30または50ヌクレオチド長までであってもよい。
【0248】
本発明のアンチセンスオリゴヌクレオチドは、4R:3Rタウ比を減少させるためにタウをコードする核酸のスプライシングを破壊し得る。スプライシングプロセスは、スプライシング因子によって媒介されている、一連の反応であり、この反応は転写後であるが、翻訳前にRNAで実施され、この反応においてイントロン(複数可)が除去され、タンパク質が翻訳され得るようにエクソンは連続して一緒に結合される。各イントロンは5’スプライス部位、3’スプライス部位およびこれらの間に位置する分岐点により規定されている。オリゴヌクレオチドが完全もしくは部分的に要素と重なる場合またはこの要素にて生じる特定のスプライシング反応を通常媒介するスプライシング因子の結合および機能を破壊するために要素に十分に近い位置においてmRNA前駆体に結合する場合、アンチセンスオリゴヌクレオチドはこれらのスプライス要素を遮断できる。アンチセンスオリゴヌクレオチドは本発明を実施するために様々な異なるスプライス要素を遮断できる。例えば、アンチセンスオリゴヌクレオチドは、変異要素、潜在要素または天然要素を遮断でき、これは5’スプライス部位、3’スプライス部位または分岐点を遮断できる。
【0249】
「アンチセンスオリゴヌクレオチド」という用語は、この生理的におよび医薬として許容される塩、すなわち、親化合物の所望の生物活性を保持し、このアンチセンスオリゴヌクレオチドに望ましくない毒性効果を与えない塩を含む。このような塩の例は、(a)ナトリウム、カリウム、NH4+、マグネシウム、カルシウム、ポリアミン(例えばスペルミンおよびスペルミジンなど)などのカチオンにより形成された塩、(b)無機酸、例えば塩酸、臭化水素酸、硫酸、リン酸、硝酸などにより形成された酸付加塩、(c)例えば、酢酸、シュウ酸、酒石酸、コハク酸、マレイン酸、フマル酸、グルコン酸、クエン酸、リンゴ酸、アスコルビン酸、安息香酸、タンニン酸、パルミチン酸、アルギン酸、ポリグルタミン酸、ナフタレンスルホン酸、メタンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、ナフタレンジスルホン酸、ポリガラクツロン酸などの有機酸により形成された塩ならびに(d)塩素、臭素およびヨウ素などの元素アニオンから形成された塩である。
【0250】
(e)投与
本発明のアンチセンスオリゴヌクレオチドはいくつかの異なる手段によって対象に投与されてもよい。例えば、オリゴヌクレオチドは一般に、所望の場合、従来の非毒性の医薬として許容される担体、アジュバントおよびビヒクルを含有する投薬単位製剤において非経口、腹腔内、経脈管的または肺内(intrapulmonarily)に投与されてもよい。好ましい実施形態において、オリゴヌクレオチドは非経口で投与されてもよい。本明細書で使用されている場合、非経口という用語は、皮下、静脈内、筋肉内、くも膜下または胸骨内注射または注入技術を含む。医薬組成物の製剤は、例えば、Hoover,John E.、Remington’s Pharmaceutical Sciences、Mack Publishing Co.、Easton、Pa.(1975)ならびにLiberman,H.A.およびLachman,L.編、Pharmaceutical Dosage Forms、Marcel Decker、New York、N.Y.(1980)に説明されている。
【0251】
注射剤、例えば、無菌注射水溶性または油性懸濁剤が、適切な分散剤または湿潤剤および懸濁化剤を使用して公知技術に従って製剤化されてもよい。無菌注射剤はまた、非毒性の非経口的に許容される希釈剤または溶媒中の無菌注射溶液または懸濁液であってもよい。とりわけ、利用され得る許容されるビヒクルおよび溶媒は、水、リンガー溶液および生理食塩液である。さらに、溶媒または懸濁媒体として無菌不揮発性油が従来的に利用される。このために、合成モノグリセリドまたはジグリセリドを含む、任意の無刺激不揮発性油が利用されてもよい。さらに、オレイン酸などの脂肪酸が注射物資の調製に有用である。ジメチルアセトアミド、イオン性および非イオン性洗浄剤を含む界面活性剤およびポリエチレングリコールが使用されてもよい。上記に説明したものなどの溶媒および湿潤剤の混合物もまた、有用である。
【0252】
送達方法は、好ましくは、血液脳関門を回避するのに有効であり、薬剤を中枢神経系まで送達するのに有効である方法である。例えば、送達方法はナノ粒子の使用を含んでもよい。粒子は、アンチセンスオリゴヌクレオチドがこの中に含有されている限り、単層または多層などの任意の適切な構造であってもよい。N−[1−(2,3−ジオレオイルオキシ)プロピル]−N,N,N−トリメチル−アンモニウムメチルスルフェート(amoniummethylsulfate)などの正電荷を持つ脂質または「DOTAP」がこのような粒子および小胞のために特に好ましい。このような脂質粒子の調製は当該技術分野において周知である。例えば、Janoffらによる米国特許第4,880,635号、Kuronoらによる同第4,906,477号、Wallachによる同第4,911,928号、Wallachによる同第4,917,951号、Allenらによる同第4,920,016号、Wheatleyらによる同第4,921,757号などを参照のこと。
【0253】
1つの好ましい実施形態において、オリゴヌクレオチドは中枢神経系内にボーラスで直接投与されてもよい。オリゴヌクレオチドはボーラスで1回または複数回で対象に投与されてもよい。一部の好ましい実施形態において、オリゴヌクレオチドは1回で投与されてもよい。他の好ましい実施形態において、オリゴヌクレオチドは複数回で投与されてもよい。複数回で投与される場合、オリゴヌクレオチドは、対象の治療の間、一定間隔または変化し得る間隔で投与されてもよい。一部の実施形態において、オリゴヌクレオチドは、対象の治療の間、変化し得る間隔で複数回投与されてもよい。一部の実施形態において、オリゴヌクレオチドは一定間隔で複数回投与されてもよい。
【0254】
別の好ましい実施形態において、オリゴヌクレオチドは中枢神経系内に持続注入によって投与されてもよい。持続注入によって中枢神経系内にオリゴヌクレオチドを送達するために使用され得る方法の非限定的な例には、ポンプ、ウエハ、ゲル、泡状物およびフィブリン塊が含まれ得る。好ましい実施形態において、オリゴヌクレオチドは浸透圧ポンプを使用して持続注入によって中枢神経系内に送達されてもよい。浸透圧ミニポンプは、標的化送達組成物を含有するビヒクルにより充填されるフレキシブルで、さらに不浸透性のリザーバを囲む高浸透圧濃度のチャンバを備える。このミニポンプの皮下移植の後で、細胞外液が外側半透過性膜を通して高浸透圧チャンバ内に侵入し、それによってリザーバを圧縮して、制御された所定の速度で標的化送達組成物を放出する。ポンプから放出された標的化送達組成物は脳室内空間内に注入するために定位に配置されたカニューレにカテーテルを介して誘導され得る。例示的な実施形態において、オリゴヌクレオチドは実施例に記載されているポンプを使用して持続注入によって中枢神経系内に送達されてもよい。
【0255】
当業者は、対象に投与される組成物の量および濃度が、対象、投与のための理由および投与方法に部分的に依存することを認識している。一部の実施形態において、オリゴヌクレオチドが中枢神経系内にボーラスで投与される場合、オリゴヌクレオチドは、約0.1、0.2、0.3、0.4、0.5、1、1.5、2、2.5、3、3.5、4、4.5、5、6.5、7、7.5、8、8.5、9、9.5、10、10.5、11、11.5、12、12.5、13、13.5、14、14.5、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50mg/kgまたはこれ以上の量で対象に投与されてもよい。
【0256】
他の実施形態において、オリゴヌクレオチドが中枢神経系内にポンプを使用して持続注入によって投与される場合、オリゴヌクレオチドは、約0.1、0.2、0.3、0.4、0.5、1、1.5、2、2.5、3、3.5、4、4.5、5、6.5、7、7.5、8、8.5、9、9.5、10、10.5、11、11.5、12、12.5、13、13.5、14、14.5、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50mg/kgまたはこれ以上の量で対象に投与されてもよい。一部の実施形態において、オリゴヌクレオチドは、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、178、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99、100日またはこれ以上の長さの間、持続注入によって投与されてもよい。一実施形態において、オリゴヌクレオチドは、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35日またはこれ以上の長さの間、持続注入によって投与されてもよい。別の実施形態において、オリゴヌクレオチドは、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65日またはこれ以上の長さの間、持続注入によって投与されてもよい。さらに別の実施形態において、オリゴヌクレオチドは、64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95日またはこれ以上の長さの間、持続注入によって投与されてもよい。アンチセンスオリゴヌクレオチドのより長い持続注入はまた、当該技術分野において公知である既存のポンプ技術を使用して想定されてもよい。
【0257】
定義
明確な定義が提供されていない限り、本明細書に記載されている分析化学、有機合成化学ならびに医薬品および薬化学に関連して利用されている専門用語ならびにこれらの手順および技術は当該技術分野において周知であり、一般に使用されているものである。標準的な技術が化学合成および化学分析のために使用されてもよい。
【0258】
他に示されない限り、以下の用語は以下の意味を有する。
【0259】
「2’−O−メトキシエチル」(2’−MOEおよび2’−O(CH
2)
2−OCH
3およびMOEともいう)とは、フラノシル環の2’位におけるO−メトキシ−エチル修飾を指す。2’−O−メトキシエチルで修飾された糖は修飾された糖である。
【0260】
「2’−MOEヌクレオシド」(2’−O−メトキシエチルヌクレオシドともいう)とは、2’−MOEで修飾された糖部分を含むヌクレオシドを意味する。
【0261】
「2’置換ヌクレオシド」とは、HまたはOH以外のフラノシル環の2’位にて置換基を含むヌクレオシドを意味する。特定の実施形態において、2’置換ヌクレオシドは二環式糖修飾を有するヌクレオシドを含む。
【0262】
「3’標的部位」とは、特定のアンチセンス化合物の最も3’側のヌクレオチドに相補的である標的核酸のヌクレオチドを指す。
【0263】
「5’標的部位」とは、特定のアンチセンス化合物の最も5’側のヌクレオチドに相補的である標的核酸のヌクレオチドを指す。
【0264】
「5−メチルシトシン」とは、5位に付着したメチル基により修飾されたシトシンを意味する。5−メチルシトシンは修飾核酸塩基である。
【0265】
「約」とは、値の±7%内を意味する。例えば、これが記載されている場合、「化合物はタウの少なくとも約70%阻害に影響を与えた」とは、タウレベルが63%から77%の範囲内で阻害されることを示す。
【0266】
「許容される安全性プロファイル」とは、臨床的に許容される制限内である副作用のパターンを意味する。
【0267】
「活性医薬品」とは、個体に投与された場合、治療的有用性を提供する医薬組成物中の物質(複数可)を意味する。例えば、特定の実施形態において、タウを標的としたアンチセンスオリゴヌクレオチドは活性医薬品である。
【0268】
「活性標的領域」とは、1つ以上の活性アンチセンス化合物が標的とされる標的領域を意味する。「活性アンチセンス化合物」とは、標的核酸レベルまたはタンパク質レベルを減少させるアンチセンス化合物を意味する。
【0269】
「併用して投与した」とは、両方の薬理作用が同時に患者において現れる任意の様式での2つの薬剤の同時投与を指す。同時投与は、両方の薬剤が単一の医薬組成物で投与される、同じ剤形で投与されるまたは同じ投与経路によって投与されることを必要としない。両方の薬剤の効果は同時にこれら自体を現す必要はない。効果はある期間重なることだけを必要とし、同一の広がりを持つことを必要としない。
【0270】
「投与している」とは、医薬品を個体に提供していることを意味し、限定されないが、医療専門家によって投与していることおよび自己投与していることを含む。
【0271】
「薬剤」とは、動物に投与した場合、治療的有用性を提供できる活性物質を意味する。「第1の薬剤」とは、本明細書に記載されている治療化合物を意味する。例えば、第1の薬剤はタウを標的としているアンチセンスオリゴヌクレオチドであってもよい。「第2の薬剤」とは、本明細書に記載されている第2の治療化合物(例えばタウを標的としている第2のアンチセンスオリゴヌクレオチド)および/または非タウ治療化合物を意味する。
【0272】
「改善」または「改善する」または「改善している」とは、疾患、障害または病態の少なくとも1つの指標、兆候または症状を軽減していることを指す。指標の重症度は当業者に公知である主観的または客観的尺度によって決定されてもよい。
【0273】
「動物」とは、限定されないが、マウス、ラット、ウサギ、イヌ、ネコ、ブタならびに限定されないが、サルおよびチンパンジーを含む非ヒト霊長類を含む、ヒトまたは非ヒト動物を指す。
【0274】
「抗体」とは、いくらかの程度で抗原と特異的に反応することによって特徴付けられている分子を指し、抗体および抗原は各々、他方の観点から定義されている。抗体は、完全な抗体分子またはこの任意の断片もしくは領域、例えば重鎖、軽鎖、F
ab領域およびF
c領域を指し得る。
【0275】
「アンチセンス活性」とは、この標的核酸に対するアンチセンス化合物のハイブリダイゼーションに起因する任意の検出可能または測定可能な活性を意味する。特定の実施形態において、アンチセンス活性は、このような標的核酸によりコードされた標的核酸またはタンパク質の量または発現を減少させる。
【0276】
「アンチセンス化合物」とは、水素結合による標的核酸に対するハイブリダイゼーションを受けることができるオリゴマー化合物を意味する。アンチセンス化合物の例には、アンチセンスオリゴヌクレオチド、siRNA、shRNA、ssRNAおよび占有に基づいた化合物などの一本鎖および二本鎖化合物が含まれる。
【0277】
「アンチセンス阻害」とは、アンチセンス化合物の非存在下での標的核酸レベルまたは標的タンパク質レベルと比較して標的核酸に相補的なアンチセンス化合物の存在下での標的核酸レベルまたは標的タンパク質レベルの減少を意味する。
【0278】
「アンチセンス機構」は標的核酸との化合物のハイブリダイゼーションに関する全てのこれらの機構であり、ハイブリダイゼーションの結果または効果は、例えば、転写またはスプライシングを含む、細胞機構の失速を伴う標的分解または標的占有のいずれかである。アンチセンス機構には、限定されないが、RNase Hにより媒介されたアンチセンス、RISC経路を利用するRNAi機構が含まれ、限定されないが、siRNA、ssRNAおよびマイクロRNA機構ならびに限定されないが、均一に修飾されたオリゴヌクレオチドを含む、占有に基づいた機構が含まれる。特定のアンチセンス化合物は1つより多いこのような機構を介して作用できるおよび/またはさらなる機構を介して作用できる。
【0279】
「アンチセンスオリゴヌクレオチド」(「オリゴ」ともいう)とは、標的核酸の対応する領域またはセグメントに対するハイブリダイゼーションを可能にする核酸塩基配列を有する一本鎖オリゴヌクレオチドを意味する。
【0280】
「塩基の相補性」とは、標的核酸における対応する核酸塩基とのアンチセンスオリゴヌクレオチドの核酸塩基の正確な塩基対合(すなわちハイブリダイゼーション)の能力を指し、対応する核酸塩基間のワトソン−クリック、フーグスティーンまたは逆フーグスティーン水素結合によって媒介される。
【0281】
「二環式糖」とは、2個の原子の架橋により修飾されたフラノシル環を意味する。二環式糖は修飾された糖である。
【0282】
「二環式ヌクレオシド」(BNAともいう)とは、糖環の2個の炭素原子を接続し、それにより二環式環系を形成する架橋を含む糖部分を有するヌクレオシドを意味する。特定の実施形態において、架橋は糖環における4’−炭素および2’−炭素を接続する。
【0283】
「キャップ構造」または「末端キャップ部分」とは、アンチセンス化合物のいずれかの末端に組み込まれている化学修飾を意味する。
【0284】
「cET」または「限定されたエチル」とは、4’−炭素および2’炭素を接続する架橋を含む糖部分を有する二環式ヌクレオシドを意味し、架橋は式:4’−CH(CH
3)−O−2’を有する。
【0285】
「限定されたエチルヌクレオシド」(cEtヌクレオシドともいう)とは、4’−CH(CH
3)−O−2’架橋を含む二環式糖部分を含むヌクレオシドを意味する。
【0286】
「化学的に異なる領域」とは、同じアンチセンス化合物の別の領域といくらかの程度化学的に異なるアンチセンス化合物の領域を指す。例えば、2’−O−メトキシエチルヌクレオチドを有する領域は、2’−O−メトキシエチル修飾を有さないヌクレオチドを有する領域と化学的に異なる。
【0287】
「キメラアンチセンス化合物」とは、少なくとも2つの化学的に異なる領域を有するアンチセンス化合物を意味し、各々の位置は複数のサブユニットを有する。
【0288】
「同時投与」とは、2つ以上の医薬品の個体への投与を意味する。2つ以上の医薬品は単一の医薬組成物中にあってもよいまたは別個の医薬組成物中にあってもよい。2つ以上の医薬品の各々は同じまたは異なる投与経路を介して投与されてもよい。同時投与は並行または連続投与を包含する。
【0289】
「相補性」とは、第1の核酸および第2の核酸の核酸塩基間を対合する能力を意味する。
【0290】
「従う」とは、個体により推奨されている治療の順守を意味する。
【0291】
「含む(comprise)」、「含む(comprises)」および「含んでいる」は、記載されたステップもしくは要素またはステップもしくは要素の群を包含するが、任意の他のステップもしくは要素またはステップもしくは要素の群を排除しないことを示すと理解される。
【0292】
「隣接する核酸塩基」とは、互いに直接隣接する核酸塩基を意味する。
【0293】
「治癒」とは、健康を回復させる方法もしくは過程または病気についての規定された治療を意味する。
【0294】
「デオキシリボヌクレオチド」とは、ヌクレオチドの糖部分の2’位に水素を有するヌクレオチドを意味する。デオキシリボヌクレオチドは種々の置換基のいずれかで修飾されてもよい。
【0295】
「設計している」または「ように設計した」とは、選択された核酸分子と特異的にハイブリダイズするオリゴマー化合物の設計プロセスを指す。
【0296】
「希釈剤」とは、薬理活性を欠くが、医薬として必要または望まれる組成物中の成分を意味する。例えば、注射される薬物中で、希釈剤は液体、例えば食塩水であってもよい。
【0297】
「投薬単位」とは、医薬品が提供される形態、例えば、丸薬、錠剤または当技術分野で公知である他の投薬単位を意味する。
【0298】
「用量」とは、単回投与または所定の期間で提供される医薬品の所定量を意味する。特定の実施形態において、用量は、2つ以上のボーラス、錠剤または注射剤で投与されてもよい。例えば、特定の実施形態において、皮下投与が所望される場合、所望の用量は単回注射により容易に適応されない体積を必要とする。このような実施形態において、2回以上の注射が所望の用量を達成するために使用されてもよい。特定の実施形態において、用量は個体における注射部位の反応を最小化するために2回以上の注射で投与されてもよい。他の実施形態において、医薬品は長期間にわたってまたは連続して注入によって投与される。用量は、1時間、1日、1週間または1ヶ月当たりの医薬品の量として記載されてもよい。
【0299】
「投与レジメン」は、1つ以上の所望の効果を達成するように設計された用量の組合せである。
【0300】
「持続時間」とは、活性または事象が継続する間の期間を意味する。特定の実施形態において、治療の持続時間は医薬品の用量が投与される間の期間である。
【0301】
活性を調節するまたは病態を治療するもしくは予防する文脈において、「有効量」とは、この効果の調節またはこの病態の治療もしくは予防もしくは改善に有効である、単回用量においてまたは一連の一部としてのいずれかでのこのような調節、治療または予防を必要とする対象に対する活性成分の量の投与を意味する。有効量は、治療される対象の健康および身体状態、治療される対象の分類群、組成物の製剤、医学的状況の評価および他の関連要因に応じて変化する。
【0302】
「有効性」とは、所望の効果を生じる能力を意味する。
【0303】
「興奮毒性」は、神経細胞が損傷を受け、神経伝達物質による過剰な刺激により殺傷される病理過程である。
【0304】
「発現」は、遺伝子のコードされた情報が細胞内に存在し、作用する構造に変換される全ての機能を含む。このような構造には、限定されないが、転写および翻訳の生成物が含まれる。
【0305】
「完全に相補的」または「100%相補的」とは、第1の核酸の各々の核酸塩基が第2の核酸において相補的核酸塩基を有することを意味する。特定の実施形態において、第1の核酸はアンチセンス化合物であり、標的核酸は第2の核酸である。
【0306】
「完全に修飾されたモチーフ」とは、ヌクレオシドの隣接する配列を含むアンチセンス化合物を指し、本質的に各々のヌクレオシドは均一の修飾を有する糖修飾ヌクレオシドである。
【0307】
「ギャップマー」とは、RNase H切断を支持する複数のヌクレオシドを有する内部領域が、1つ以上のヌクレオシドを有する外部領域の間に位置し、内部領域を含むヌクレオシドが外部領域を含むヌクレオシド(複数可)と化学的に異なる、キメラアンチセンス化合物を意味する。内部領域は「ギャップ」と称され得、外部領域は「ウイング」と称され得る。
【0308】
「タウ核酸」または「タウDNA」とは、タウをコードする任意の核酸を意味する。例えば、特定の実施形態において、タウ核酸には、限定されないが、タウゲノムまたはこの一部をコードする任意のウイルスDNA配列、タウタンパク質をコードする任意のmRNA配列を含むDNA配列から転写される任意のRNA配列が含まれる。
【0309】
「ハイブリダイゼーション」とは、相補的核酸分子のアニーリングを意味する。特定の実施形態において、相補的核酸分子には、限定されないが、アンチセンス化合物および核酸標的が含まれる。特定の実施形態において、相補的核酸分子には、限定されないが、アンチセンスオリゴヌクレオチドおよび核酸標的が含まれる。
【0310】
「タウ関連疾患または障害を有する動物を識別する」とは、タウ関連疾患もしくは障害と診断されている動物を識別すること、または限定されないが、タウに関連している神経変性障害を含む、タウ関連疾患もしくは障害の任意の症状を有する動物を識別することを意味する。
【0311】
「直接隣接する」とは、直接隣接する要素の間に介在する要素が存在しないことを意味する。
【0312】
「個体」とは、治療または療法のために選択されるヒトまたは非ヒト動物を意味する。
【0313】
「個体コンプライアンス」とは、個体により推奨されているまたは規定されている療法に対する遵守を意味する。
【0314】
例えば、2つの状態間の量的差異を示す、「誘導する」、「阻害する」、「促進する」、「上昇する」、「増加する」、「低下する」などは、2つの状態間の少なくとも統計的に有意な差異を指す。例えば、「タウの活性または発現を阻害するのに有効な量」とは、処置した試料中のタウの活性または発現のレベルが、未処置の細胞中のタウの活性または発現のレベルと統計的に有意に異なることを意味する。このような用語は、例えば、発現レベルおよび活性レベルに適用されている。
【0315】
「タウを阻害する」とは、タウmRNA、DNAおよび/またはタンパク質のレベルまたは発現を減少させることを意味する。特定の実施形態において、タウは、アンチセンスオリゴヌクレオチドなどのタウアンチセンス化合物の非存在下でのタウmRNA、DNAおよび/またはタンパク質レベルの発現と比較して、タウを標的とするアンチセンスオリゴヌクレオチドを含む、タウを標的とするアンチセンス化合物の存在下で阻害される。
【0316】
「発現または活性を阻害する」とは、発現または活性の減少、遮断を指し、発現または活性の全ての排除を必ずしも示さない。
【0317】
「ヌクレオシド間結合」とは、ヌクレオシド間の化学結合を指す。
【0318】
「腹腔内投与」とは、腹膜内への注入または注射による投与を意味する。
【0319】
「静脈内投与」とは、静脈内への投与を意味する。
【0320】
「伸長した」アンチセンスオリゴヌクレオチドは、本明細書に開示されているアンチセンスオリゴヌクレオチドに対して1つ以上のさらなるヌクレオシドを有するものである。
【0321】
「結合したデオキシヌクレオシド」とは、ヌクレオチドを形成するためにリン酸エステルにより結合したデオキシリボースによって置換された核酸塩基(A、G、C、T、U)を意味する。
【0322】
「結合したヌクレオシド」とは、ヌクレオシド間結合により一緒に結合した隣接するヌクレオシドを意味する。
【0323】
「ロックド核酸」または「LNA」または「LNAヌクレオシド」とは、ヌクレオシド糖単位の4’位と2’位との間で2つの炭素原子を接続し、それにより二環式糖を形成する架橋を有する核酸モノマーを意味する。このような二環式糖の例には、限定されないが、以下に示しているように、A)α−L−メチレンオキシ(4’−CH
2−O−2
’)LNA、(B)β−D−メチレンオキシ(4’−CH
2−O−2’)LNA、(C)エチレンオキシ(4’−(CH
2)
2−O−2’)LNA、(D)アミノオキシ(4’−CH
2−O−N(R)−2’)LNAおよび(E)オキシアミノ(4’−CH
2−N(R)−O−2’)LNAが含まれる。
【0324】
【化1】
本明細書で使用されている場合、LNA化合物には、限定されないが、糖の4’位と2’位との間に少なくとも1つの架橋を有し、架橋の各々が、−[C(R
1)(R
2)]
n−、−C(R
1)=C(R
2)−、−C(R
1)=N−、−C(=NR
1)−、−C(=O)−、−C(=S)−、−O−、−Si(R
1)
2−、−S(=O)
x−および−N(R
1)−(式中、xは0、1または2であり、nは1、2、3または4であり、R
1およびR
2の各々は、独立して、H、保護基、ヒドロキシル、C
1−C
12アルキル、置換C
1−C
12アルキル、C
2−C
12アルケニル、置換C
2−C
12アルケニル、C
2−C
12アルキニル、置換C
2−C
12アルキニル、C
5−C
20アリール、置換C
5−C
20アリール、複素環ラジカル、置換複素環ラジカル、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、C
5−C
7脂環式ラジカル、置換C
5−C
7脂環式ラジカル、ハロゲン、OJ
1、NJ
1J
2、SJ
1、N
3、COOJ
1、アシル(C(=O)−H)、置換アシル、CN、スルホニル(S(=O)
2−J
1)またはスルホキシル(S(=O)−J
1)であり、J
1およびJ
2の各々は、独立して、H、C
1−C
12アルキル、置換C
1−C
12アルキル、C
2−C
12アルケニル、置換C
2−C
12アルケニル、C
2−C
12アルキニル、置換C
2−C
12アルキニル、C
5−C
20アリール、置換C
5−C
20アリール、アシル(C(=O)−H)、置換アシル、複素環ラジカル、置換複素環ラジカル、C
1−C
12アミノアルキル、置換C
1−C
12アミノアルキルまたは保護基である。)から独立して選択される1または2から4個の結合基を独立して含む、化合物が含まれる。
【0325】
LNAの定義に包含されている4’−2’架橋基の例には、限定されないが、式:−[C(R
1)(R
2)]
n−、−[C(R
1)(R
2)]
n−O−、−C(R
1R
2)−N(R
1)−O−または−C(R
1R
2)−O−N(R
1)−のうちの1つが含まれる。さらに、LNAの定義に包含されている他の架橋基は、4’−CH
2−2’、4’−(CH
2)
2−2’、4’−(CH
2)
3−2’、4’−CH
2−O−2’、4’−(CH
2)
2−O−2’、4’−CH
2−O−N(R
1)−2’および4’−CH
2−N(R
1)−O−2’−架橋であり、R
1およびR
2の各々は、独立して、H、保護基またはC
1−C
12アルキルである。
【0326】
また、リボシル糖環の2’−ヒドロキシル基が糖環の4’炭素原子に接続され、それによりメチレンオキシ(4’−CH
2−O−2’)架橋を形成して、二環式糖部分を形成する、LNAが本発明に係るLNAの定義に含まれている。架橋はまた、2’酸素原子および4’炭素原子を接続するメチレン(−CH
2−)基であってもよく、このためにメチレンオキシ(4’−CH
2−O−2’)LNAという用語が使用されている。さらに、この位置においてエチレン架橋基を有する二環式糖部分の場合、エチレンオキシ(4’−CH
2CH
2−O−2’)LNAという用語が使用されている。本明細書で使用されている場合、α−L−メチレンオキシ(4’−CH
2−O−2’)、メチレンオキシ(4’−CH
2−O−2’)LNAの異性体もまた、LNAの定義に包含されている。
【0327】
「ミスマッチ」または「非相補的核酸塩基」とは、第1の核酸の核酸塩基が第2または標的核酸の対応する核酸塩基と対合できない場合の事例を指す。
【0328】
「修飾されたヌクレオシド間結合」とは、天然に存在するヌクレオシド間結合(すなわちホスホジエステルヌクレオシド間結合)からの置換または任意の変化を指す。
【0329】
「修飾された核酸塩基」とは、アデニン、シトシン、グアニン、チミジンまたはウラシル以外の任意の核酸塩基を意味する。「修飾されていない核酸塩基」とは、プリン塩基アデニン(A)およびグアニン(G)ならびにピリミジン塩基チミン(T)、シトシン(C)およびウラシル(U)を意味する。
【0330】
「修飾されたヌクレオシド」とは、独立して、修飾された糖部分および/または修飾された核酸塩基を有するヌクレオシドを意味する。
【0331】
「修飾されたヌクレオチド」とは、独立して、修飾された糖部分、修飾されたヌクレオシド間結合または修飾された核酸塩基を有するヌクレオチドを意味する。
【0332】
「修飾されたオリゴヌクレオチド」とは、少なくとも1つの修飾されたヌクレオシド間結合、修飾された糖および/または修飾された核酸塩基を含むオリゴヌクレオチドを意味する。
【0333】
「修飾された糖」とは、天然糖部分からの置換および/または任意の変化を意味する。
【0334】
「モノマー」とは、オリゴマーの単一単位を指す。モノマーには、限定されないが、天然に存在しているまたは修飾されているかに関わらず、ヌクレオシドおよびヌクレオチドが含まれる。
【0335】
「モチーフ」とは、アンチセンス化合物における修飾されていないおよび修飾されたヌクレオシドのパターンを意味する。
【0336】
「天然の糖部分」とは、DNA(2’−H)またはRNA(2’−OH)に見られる糖部分を意味する。
【0337】
「天然に存在するヌクレオシド間結合」とは、3’から5’ホスホジエステル結合を意味する。
【0338】
「神経変性障害」とは、運動、感覚または認知体系におけるニューロンの選択的損失によって特徴付けられた慢性進行性神経障害を意味する。神経変性障害には、限定されないが、タウ関連障害が含まれる。
【0339】
「神経原線維封入体」とは、不溶性過リン酸化タウタンパク質からほとんど構成されているニューロン間(intrneuronal)凝集体を意味する。特定の実施形態において、神経原線維封入体は、SPECT灌流画像化、機能的MRIおよびPETスキャンを含む種々の手段により測定されてもよい。特定の実施形態において、神経原線維封入体の減少は、ミニメンタルステート検査(MMSE)およびアルツハイマー病評価スケール認知行動区域(ADAS−cog)などの認知検査での改善されたスコアにより推測され得る。
【0340】
「非相補的核酸塩基」とは、互いに水素結合を形成しないまたは別様でハイブリダイゼーションを支持しない一対の核酸塩基を指す。
【0341】
「核酸」とは、モノマーヌクレオチドから構成された分子を指す。核酸には、限定されないが、リボ核酸(RNA)、デオキシリボ核酸(DNA)、一本鎖核酸、二本鎖核酸、低分子干渉リボ核酸(siRNA)およびマイクロRNA(miRNA)が含まれる。
【0342】
「核酸塩基」とは、別の核酸の塩基と対合できる複素環部分を意味する。
【0343】
「核酸塩基相補性」とは、別の核酸塩基と塩基対合できる核酸塩基を指す。例えば、DNAにおいて、アデニン(A)はチミン(T)に相補的である。例えば、RNAにおいて、アデニン(A)はウラシル(U)に相補的である。特定の実施形態において、相補的核酸塩基とは、この標的核酸の核酸塩基と塩基対合できるアンチセンス化合物の核酸塩基を指す。例えば、アンチセンス化合物の特定の位置における核酸塩基が標的核酸の特定の位置において核酸塩基と水素結合できる場合、オリゴヌクレオチドと標的核酸との間の水素結合の位置はこの核酸塩基対において相補的であるとみなされる。
【0344】
「核酸塩基配列」とは、任意の糖、結合および/または核酸塩基修飾とは関係なく、隣接する核酸塩基の順序を意味する。
【0345】
「ヌクレオシド」とは、糖に結合した核酸塩基を意味する。
【0346】
「ヌクレオシド模倣剤」には、糖または糖と塩基を置換するために使用されているこれらの構造が含まれ、例えば、モルホリノ、シクロヘキセニル、シクロヘキシル、テトラヒドロピラニル、ビシクロまたはトリシクロ糖模倣剤、例えば非フラノース糖単位を有するヌクレオシド模倣剤などのオリゴマー化合物の1つ以上の位置における結合は必ずしも含まれない。ヌクレオチド模倣剤には、例えばペプチド核酸またはモルホリノ(−N(H)−C(=O)−O−または他の非ホスホジエステル結合によって結合したモルホリノ)などのオリゴマー化合物の1つ以上の位置におけるヌクレオシドおよび結合を置換するために使用されているこれらの構造が含まれる。糖代替物は、ヌクレオシド模倣剤という用語とわずかに広い範囲で重なるが、糖単位(フラノース環)のみの置換を示すことを意図する。本明細書に提供されているテトラヒドロピラニル環は、フラノース糖基がテトラヒドロピラニル環系と置換されている糖代替物の例として示している。「模倣剤」とは、糖、核酸塩基および/またはヌクレオシド間結合に置換されている基を指す。一般に、模倣剤は糖または糖−ヌクレオシド間結合の組合せの代わりに使用されており、核酸塩基は選択された標的に対するハイブリダイゼーションのために維持されている。
【0347】
「ヌクレオチド」とは、ヌクレオシドの糖部分に共有結合したリン酸基を有するヌクレオシドを意味する。
【0348】
「的外れの効果」とは、意図した標的核酸以外の遺伝子のRNAまたはタンパク質発現の調節に関連している望ましくないまたは有害な生物学的効果を指す。
【0349】
「オリゴマー化合物」とは、核酸分子の少なくとも1つの領域にハイブリダイズできる結合したモノマーサブユニットのポリマーを指す。
【0350】
「オリゴヌクレオシド」とは、ヌクレオシド間結合がリン原子を含有しないオリゴヌクレオチドを意味する。
【0351】
「オリゴヌクレオチド」(「オリゴ」ともいう)とは、結合したヌクレオシドのポリマーを意味し、この各々は互いに独立して修飾されていてもよいまたは修飾されていなくてもよい。
【0352】
「非経口投与」とは、注射(例えばボーラス注射)または注入による投与を意味する。非経口投与には、皮下投与、静脈内投与、筋肉内投与、動脈内投与、腹腔内投与または頭蓋内投与、例えば、くも膜下または脳室内投与が含まれる。
【0353】
「ペプチド」とは、アミド結合により少なくとも2つのアミノ酸を結合することによって形成された分子を意味する。本明細書で使用されている場合、限定されないが、「ペプチド」とは、ポリペプチドおよびタンパク質を指す。
【0354】
「医薬として許容される担体」とは、オリゴヌクレオチドの構造を干渉しない媒体または希釈剤を意味する。特定のこのような担体により、医薬組成物は、例えば、対象による経口摂取のための錠剤、丸薬、糖衣錠、カプセル剤、液剤、ゲル剤、シロップ剤、スラリー剤、懸濁剤およびトローチ剤として製剤化され得る。
【0355】
「医薬として許容される誘導体」は、本明細書に記載されている化合物の医薬として許容される塩、コンジュゲート、プロドラッグまたは異性体を包含する。
【0356】
「医薬として許容される塩」とは、アンチセンス化合物の生理的および医薬として許容される塩、すなわち親オリゴヌクレオチドの所望の生物活性を保持しており、このアンチセンス化合物に望ましくない毒性効果を与えない塩を指す。
【0357】
「医薬品」とは、個体に投与された場合に治療的有用性を提供する物質を意味する。例えば、特定の実施形態において、タウを標的としているアンチセンスオリゴヌクレオチドは医薬品である。
【0358】
「医薬組成物」とは、対象への投与に適した物質の混合物を意味する。例えば、医薬組成物はアンチセンスオリゴヌクレオチドおよび無菌水溶液を含んでもよい。特定の実施形態において、医薬組成物は特定の細胞株における自由な取り込みアッセイにおいて活性を示す。
【0359】
「ホスホロチオエート結合」とは、ホスホジエステル結合が、非架橋酸素原子の1つを硫黄原子に置換することによって修飾されているヌクレオシド間の結合を意味する。ホスホロチオエート結合は修飾されたヌクレオシド間結合である。
【0360】
「部分」とは、核酸の規定された数の隣接する(すなわち結合した)核酸塩基を意味する。特定の実施形態において、部分は標的核酸の規定された数の隣接する核酸塩基である。特定の実施形態において、部分はアンチセンス化合物の規定された数の隣接する核酸塩基である。
【0361】
「予防」または「予防している」とは、数時間から数日間、好ましくは数週間から数ヶ月間、病態または疾患の発病または発症を遅延させることまたは未然に防ぐことを指す。
【0362】
「プロドラッグ」とは、内因性酵素または他の化学物質および/もしくは条件の作用によって身体またはこの細胞内で活性形態(すなわち薬物)に変換される不活性形態で調製されている治療剤を意味する。
【0363】
「予防的有効量」とは、防護的または予防的有益性を動物に提供する医薬品の量を指す。
【0364】
「推奨されている治療」とは、疾患の治療、改善または予防のために医療専門家によって推奨されている治療レジメンを意味する。
【0365】
「領域」は、少なくとも1つの識別できる構造、機能または特徴を有する標的核酸の部分として定義されている。
【0366】
「リボヌクレオチド」とは、ヌクレオチドの糖部分の2’位においてヒドロキシを有するヌクレオチドを意味する。リボヌクレオチドは種々の置換基のいずれかで修飾されてもよい。
【0367】
「塩」とは、アンチセンス化合物の生理的および医薬として許容される塩、すなわち親オリゴヌクレオチドの所望の生物活性を保持しており、このアンチセンス化合物に望ましくない毒性効果を与えない塩を意味する。
【0368】
「スクランブルオリゴ」または「スクランブルされた」または「ISIS141923」は、配列番号11の配列を有する未知の標的を有する5−10−5MOEギャップマー(gapmer)である。
【0369】
「セグメント」は、標的核酸内の領域のより小さいまたは副部分として定義されている。
【0370】
本明細書に教示されているアンチセンスオリゴヌクレオチドの「短縮した」または「切断した」型は、欠失した1つ、2つまたはこれ以上のヌクレオシドを有する。
【0371】
「副作用」とは、所望の効果以外の治療に起因する生理反応を意味する。特定の実施形態において、副作用には、限定されないが、注射部位反応、肝機能検査異常、腎機能異常、肝臓毒性、腎臓毒性、中枢神経系異常およびミオパシーが含まれる。例えば、血清中の増加したアミノトランスフェラーゼレベルは肝臓毒性または肝機能異常を示し得る。例えば、増加したビリルビンは肝臓毒性または肝機能異常を示し得る。
【0372】
本明細書で使用されている場合、「部位」は標的核酸内の固有の核酸塩基位置と定義されている。
【0373】
「進行を遅延させる」とは、前記疾患の発症の低下を意味する。
【0374】
「特異的にハイブリダイズする」とは、特異的結合が望まれる条件下、すなわちインビボアッセイおよび治療的処置の場合の生理的条件下で非標的核酸に対して最小の効果を示すまたは全く効果を示さないが、所望の効果を誘導するようにアンチセンスオリゴヌクレオチドと標的核酸との間で十分な程度の相補性を有するアンチセンス化合物を指す。
【0375】
「ストリンジェントなハイブリダイゼーション条件」または「ストリンジェントな条件」とは、この条件下でオリゴマー化合物がこの標的核酸とハイブリダイズするが、他の配列とは最小数しかハイブリダイズしない条件を指す。
【0376】
「皮下投与」とは、皮膚の直下の投与を意味する。
【0377】
「対象」とは、治療または療法のために選択されるヒトまたは非ヒト動物を意味する。
【0378】
「標的」とは、調節が所望されるタンパク質を指す。
【0379】
「標的遺伝子」とは、標的をコードする遺伝子を指す。
【0380】
「標的としている」とは、標的核酸に特異的にハイブリダイズし、所望の効果を誘導するアンチセンス化合物の設計および選択のプロセスを意味する。
【0381】
「標的核酸」、「標的RNA」、「標的RNA転写産物」および「核酸標的」とは、全て、アンチセンス化合物によって標的とされ得る核酸を意味する。
【0382】
「標的領域」とは、1つ以上のアンチセンス化合物が標的とされている標的核酸の一部を意味する。
【0383】
「標的セグメント」とは、アンチセンス化合物が標的とされている標的核酸のヌクレオチドの配列を意味する。「5’標的部位」とは、標的セグメントの最も5’側のヌクレオチド(5’−most nucleotide)を指す。「3’標的部位」とは、標的セグメントの最も3’側のヌクレオチド(3’−most nucleotide)を指す。
【0384】
「タウ関連疾患」とは、タウに関連している任意の神経疾患または神経変性疾患を意味する。タウ関連障害の非限定的な例には、アルツハイマー病、進行性核上麻痺、ボクサー痴呆、前頭側頭型認知症、染色体に関連したパーキンソニズム、リティコ−ボディグ病、タングル優位型認知症、神経節膠腫、神経節細胞腫、髄膜血管腫症、亜急性硬化性全脳炎、鉛脳障害、結節性硬化症、ハラーホルデン−スパッツ病、ピック病、大脳皮質基底核神経節変性症、嗜銀性グレイン病、核上性麻痺、大脳皮質基底核変性症、前頭側頭型認知症または前頭側頭葉変性症が含まれる。
【0385】
「タウオパチー」とは、脳内のタウタンパク質の増大によって特徴付けられている障害を意味する。
【0386】
「タウ特異的阻害剤」には、限定されないが、タウを標的としている「アンチセンス化合物」が含まれる。
【0387】
「治療有効量」とは、個体に治療有益性を提供する医薬品の量を意味する。
【0388】
「治療」とは、疾患または病態の変化または改善をもたらすように組成物を投与することを指す。
【0389】
「修飾されていない」核酸塩基とは、プリン塩基アデニン(A)およびグアニン(G)ならびにピリミジン塩基チミン(T)、シトシン(C)およびウラシル(U)を意味する。
【0390】
「修飾されていないヌクレオチド」とは、天然に存在する核酸塩基、糖部分およびヌクレオシド間結合から構成されるヌクレオチドを意味する。特定の実施形態において、修飾されていないヌクレオチドはRNAヌクレオチド(すなわちβ−D−リボヌクレオシド)またはDNAヌクレオチド(すなわちβ−D−デオキシリボヌクレオシド)である。
【0391】
「検証された標的セグメント」は、活性オリゴマー化合物が標的とされる標的領域の少なくとも1つの8−核酸塩基部分(すなわち8個の連続した核酸塩基)として定義されている。
【0392】
「ウィングセグメント」とは、増強した阻害活性、標的核酸に対する増加した結合親和性またはインビボヌクレアーゼによる分解に対する耐性などのオリゴヌクレオチド特性を与えるように修飾された複数のヌクレオシドを意味する。
【0393】
特定の実施形態
特定の実施形態は、タウ関連疾患を治療するためにタウ核酸を標的とするタウアンチセンス化合物を投与する方法を提供する。特定の実施形態において、タウ核酸は、ヌクレオチド2624000から2761000まで切断されたGENBANK受託NT_010783.14(配列番号1として本明細書に組み込まれている。);GENBANK受託番号AK226139.1(配列番号2として本明細書に組み込まれている。);GENBANK受託番号NM_001123066.3(配列番号3として本明細書に組み込まれている。);GENBANK受託番号NM_001123067.3(配列番号4として本明細書に組み込まれている。);GENBANK受託番号NM_001203251.1(配列番号5として本明細書に組み込まれている。);GENBANK受託番号NM_001203252.1(配列番号6として本明細書に組み込まれている。);GENBANK受託番号NM_005910.5(配列番号7として本明細書に組み込まれている。);GENBANK受託番号NM_016834.4(配列番号8として本明細書に組み込まれている。);GENBANK受託番号NM_016835.4(配列番号9として本明細書に組み込まれている。);またはGENBANK受託番号NM_016841.4(配列番号10として本明細書に組み込まれている。)に記載されている配列のいずれかである。
【0394】
アンチセンス化合物によりタウ関連疾患を治療する方法が開発されている。特定の実施形態において、神経原線維封入体は減少する。特定の実施形態において、神経機能は改良される。特定の実施形態において、アンチセンス化合物はタウmRNAおよびタンパク質の発現を減少させる。特定の実施形態において、アンチセンス化合物はタウアイソフォームの比を変化させる。特定の実施形態において、スプライシング変化は対象の中枢神経系における4R:3Rタウ比の低下である。特定の実施形態において、スプライシング変化は正常な4R:3Rタウ比を生じる。有益には、いくつかの実施形態は、中枢神経系においてタウを特異的に標的化するために血液脳関門を迂回する、長期間投与するならびに治療が最も効果的である脳および脊髄全体にわたる治療の広範な分布を達成する方法を提供する。
【0395】
特定の実施形態は、これを必要とする個体においてタウに関連している疾患、障害および病態の治療、予防または改善の方法を提供する。タウに関連している疾患、障害または病態の治療、予防または改善のための医薬を調製する方法も意図される。タウ関連疾患、障害および病態には、神経変性疾患が含まれる。特定の実施形態において、神経変性疾患は、アルツハイマー病、前頭側頭型認知症(FTD)、FTDP−17、進行性核上麻痺(PSP)、慢性外傷性脳障害(CTE)、大脳皮質基底核神経節変性症(CBD)、てんかん、ドラベ症候群、ボクサー痴呆、染色体に関連したパーキンソニズム、リティコ−ボディグ病、タングル優位型認知症、神経節膠腫、神経節細胞腫、髄膜血管腫症、亜急性硬化性全脳炎、鉛脳障害、結節性硬化症、ハラーホルデン−スパッツ病、ピック病、嗜銀性グレイン病、核上性麻痺、大脳皮質基底核変性症または前頭側頭葉変性症のいずれかであってもよい。
【0396】
タウ関連疾患を治療し、それにより神経原線維封入体を減少させるためにタウアンチセンス化合物を動物に投与するステップを含む方法が本明細書に記載されている。
【0397】
タウ関連疾患を治療し、それにより神経機能を改良するためにタウアンチセンス化合物を動物に投与するステップを含む方法が本明細書に記載されている。
【0398】
(i)タウ関連疾患を有する動物を識別するステップ、および(ii)タウアンチセンス化合物を投与し、それにより神経原線維封入体を減少させるステップを含む、方法が本明細書に記載されている。
【0399】
(i)タウ関連疾患を有する動物を識別するステップ、および(ii)タウアンチセンス化合物を投与し、それにより神経機能を改良するステップを含む、方法が本明細書に記載されている。
【0400】
特定の実施形態において、動物はヒトである。
【0401】
特定の実施形態において、アンチセンス化合物は、タウ核酸に相補的である一本鎖アンチセンスオリゴヌクレオチドを含む。
【0402】
特定の実施形態において、タウ核酸は配列番号1−10のいずれかである。
【0403】
特定の実施形態において、方法に使用するためのアンチセンス化合物は、配列番号1−10の等しい長さの部分に対して少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%または少なくとも99%相補的な核酸塩基配列を含む一本鎖アンチセンスオリゴヌクレオチドを含んでもよい。特定の実施形態において、化合物は、配列番号1−10の等しい長さの部分に対して100%相補的な核酸塩基配列を含む一本鎖アンチセンスオリゴヌクレオチドを含んでもよい。
【0404】
特定の実施形態において、タウ関連疾患は神経変性疾患である。
【0405】
特定の実施形態において、神経変性疾患は、アルツハイマー病、前頭側頭型認知症(FTD)、FTDP−17、進行性核上麻痺(PSP)、慢性外傷性脳障害(CTE)、大脳皮質基底核神経節変性症(CBD)、てんかんまたはドラベ症候群の中から選択される。
【0406】
特定の実施形態において、タウRNAの発現またはタウタンパク質の発現が減少する。
【0407】
特定の実施形態において、タウRNAの4Rアイソフォームの発現またはタウタンパク質の4Rアイソフォームの発現が減少する。
【0408】
特定の実施形態において、タウRNAの3Rアイソフォームの発現またはタウタンパク質の3Rアイソフォームの発現が増加する。
【0409】
特定の実施形態において、タウRNAの4Rアイソフォームの発現が減少し、タウRNAの3Rアイソフォームの発現が増加する。
【0410】
特定の実施形態において、タウタンパク質の4Rアイソフォームの発現が減少し、タウタンパク質の3Rアイソフォームの発現が増加する。
【0411】
特定の実施形態において、一本鎖アンチセンスオリゴヌクレオチドは少なくとも1つの修飾を含む。
【0412】
特定の実施形態において、一本鎖アンチセンスオリゴヌクレオチドはヒトタウ核酸に特異的にハイブリダイズできる。
【0413】
特定の実施形態において、一本鎖アンチセンスオリゴヌクレオチドは、ヒトタウ核酸の等しい長さの部分に対して少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%または少なくとも95%相補的である。
【0414】
特定の実施形態において、一本鎖アンチセンスオリゴヌクレオチドは、ヒトタウ核酸に対して100%相補的である。
【0415】
特定の実施形態において、一本鎖アンチセンスオリゴヌクレオチドは、少なくとも1つの修飾されたヌクレオシド間結合を含む。
【0416】
特定の実施形態において、一本鎖アンチセンスオリゴヌクレオチドの各々のヌクレオシド間結合は、修飾されたヌクレオシド間結合である。
【0417】
特定の実施形態において、修飾されたヌクレオシド間結合は、ホスホロチオエートヌクレオシド間結合である。
【0418】
特定の実施形態において、アンチセンスオリゴヌクレオチドは、少なくとも1つの修飾されたヌクレオシドを含む。
【0419】
特定の実施形態において、一本鎖アンチセンスオリゴヌクレオチドは、修飾された糖を有する少なくとも1つの修飾されたヌクレオシドを含む。
【0420】
特定の実施形態において、一本鎖アンチセンスオリゴヌクレオチドは、二環式糖を含む少なくとも1つの修飾されたヌクレオシドを含む。
【0421】
特定の実施形態において、二環式糖は、4’−(CH2)n−O−2’(式中、nは1または2である。)および4’−CH2−O−CH2−2’の中から選択される4’から2’の架橋を含む。
【0422】
特定の実施形態において、二環式糖は4’−CH(CH3)−O−2’架橋を含む。
【0423】
特定の実施形態において、修飾された糖を有する少なくとも1つの修飾されたヌクレオシドは非二環式2’修飾糖部分を含む。
【0424】
特定の実施形態において、2’修飾糖部分は2’−O−メトキシエチル基を含む。
【0425】
特定の実施形態において、2’修飾糖部分は2’−O−メチル基を含む。
【0426】
特定の実施形態において、修飾された糖を有する少なくとも1つの修飾されたヌクレオシドは糖代替物を含む。
【0427】
特定の実施形態において、糖代替物はモルホリノである。
【0428】
特定の実施形態において、糖代替物はペプチド核酸である。
【0429】
特定の実施形態において、各々のヌクレオシドは修飾されている。
【0430】
特定の実施形態において、一本鎖アンチセンスオリゴヌクレオチドは少なくとも1つの修飾された核酸塩基を含む。
【0431】
特定の実施形態において、修飾された核酸塩基は5’−メチルシトシンである。
【0432】
特定の実施形態において、一本鎖アンチセンスオリゴヌクレオチドは、
結合したデオキシヌクレオシドからなるギャップセグメント、
結合したヌクレオシドからなる5’ウィングセグメント、
結合したヌクレオシドからなる3’ウィングセグメント
を含み、ギャップセグメントは、5’ウィングセグメントおよび3’ウィングセグメントに直接隣接し、5’ウィングセグメントおよび3’ウィングセグメントの間に位置し、各々のウィングセグメントの各々のヌクレオシドは修飾された糖を含む。
【0433】
特定の実施形態において、一本鎖アンチセンスオリゴヌクレオチドは、
10個の結合したデオキシヌクレオシドからなるギャップセグメント、
5個の結合したヌクレオシドからなる5’ウィングセグメント、
5個の結合したヌクレオシドからなる3’ウィングセグメント
を含み、ギャップセグメントは、5’ウィングセグメントおよび3’ウィングセグメントに直接隣接し、5’ウィングセグメントおよび3’ウィングセグメントの間に位置し、各々のウィングセグメントの各々のヌクレオシドは2’−O−メトキシエチル糖を含み、各々のヌクレオシド間結合はホスホロチオエート結合である。
【0434】
特定の実施形態において、一本鎖アンチセンスオリゴヌクレオチドは、15、16、17、18または19個の結合したヌクレオシドからなる。
【0435】
特定の実施形態において、一本鎖アンチセンスオリゴヌクレオチドは、20個の結合したヌクレオシドからなる。
【0436】
特定の実施形態において、一本鎖アンチセンスオリゴヌクレオチドは、21、22、23、24または25個の結合したヌクレオシドからなる。
【0437】
特定の実施形態において、投与するステップは非経口投与である。
【0438】
特定の実施形態において、非経口投与は注射または注入のいずれかである。
【0439】
特定の実施形態において、非経口投与はくも膜下投与または脳室内投与のいずれかである。
【0440】
特定の実施形態において、タウ関連疾患の少なくとも1つの症状が改善される。
【0441】
特定の実施形態において、タウ関連疾患の少なくとも1つの症状が予防される。
【0442】
特定の実施形態において、タウ関連疾患の少なくとも1つの症状の進行が遅延される。
【0443】
特定の実施形態において、少なくとも1つの症状は、記憶喪失、不安、運動機能の損失、発作の発生、重度の発作および興奮毒性のいずれかである。
【0444】
アンチセンス化合物
オリゴマー化合物には、限定されないが、オリゴヌクレオチド、オリゴヌクレオシド、オリゴヌクレオチド類似体、オリゴヌクレオチド模倣剤、アンチセンス化合物、アンチセンスオリゴヌクレオチドおよびsiRNAが含まれる。オリゴマー化合物は、標的核酸に対して「アンチセンス」であってもよく、水素結合によって標的核酸に対するハイブリダイゼーションを受けることができることを意味する。
【0445】
特定の実施形態において、アンチセンス化合物は、5’から3’方向に記載された場合、これが標的とされる標的核酸の標的セグメントの逆相補体を含む、核酸塩基配列を有する。特定のこのような実施形態において、アンチセンスオリゴヌクレオチドは、5’から3’方向に記載された場合、これが標的とされる標的核酸の標的セグメントの逆相補体を含む、核酸塩基配列を有する。
【0446】
特定の実施形態において、タウ核酸を標的とするアンチセンス化合物は10から30サブユニット長である。特定の実施形態において、タウ核酸を標的とするアンチセンス化合物は12から30サブユニット長である。特定の実施形態において、タウ核酸を標的とするアンチセンス化合物は12から22サブユニット長である。特定の実施形態において、タウ核酸を標的とするアンチセンス化合物は14から30サブユニット長である。特定の実施形態において、タウ核酸を標的とするアンチセンス化合物は14から20サブユニット長である。特定の実施形態において、タウ核酸を標的とするアンチセンス化合物は15から30サブユニット長である。特定の実施形態において、タウ核酸を標的とするアンチセンス化合物は15から20サブユニット長である。特定の実施形態において、タウ核酸を標的とするアンチセンス化合物は16から30サブユニット長である。特定の実施形態において、タウ核酸を標的とするアンチセンス化合物は16から20サブユニット長である。特定の実施形態において、タウ核酸を標的とするアンチセンス化合物は17から30サブユニット長である。特定の実施形態において、タウ核酸を標的とするアンチセンス化合物は17から20サブユニット長である。特定の実施形態において、タウ核酸を標的とするアンチセンス化合物は18から30サブユニット長である。特定の実施形態において、タウ核酸を標的とするアンチセンス化合物は18から21サブユニット長である。特定の実施形態において、タウ核酸を標的とするアンチセンス化合物は18から20サブユニット長である。特定の実施形態において、タウ核酸を標的とするアンチセンス化合物は20から30サブユニット長である。つまり、このようなアンチセンス化合物はそれぞれ、12から30結合サブユニット、14から30結合サブユニット、14から20サブユニット、15から30サブユニット、15から20サブユニット、16から30サブユニット、16から20サブユニット、17から30サブユニット、17から20サブユニット、18から30サブユニット、18から20サブユニット、18から21サブユニット、20から30サブユニットまたは12から22結合サブユニットである。特定の実施形態において、タウ核酸を標的とするアンチセンス化合物は14サブユニット長である。特定の実施形態において、タウ核酸を標的とするアンチセンス化合物は16サブユニット長である。特定の実施形態において、タウ核酸を標的とするアンチセンス化合物は17サブユニット長である。特定の実施形態において、タウ核酸を標的とするアンチセンス化合物は18サブユニット長である。特定の実施形態において、タウ核酸を標的とするアンチセンス化合物は20サブユニット長である。他の実施形態において、アンチセンス化合物は、8から80、12から50、13から30、13から50、14から30、14から50、15から30、15から50、16から30、16から50、17から30、17から50、18から22、18から24、18から30、18から50、19から22、19から30、19から50または20から30結合サブユニットである。特定のこのような実施形態において、アンチセンス化合物は、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、もしくは80結合サブユニット長または上記の値のいずれか2つにより定義されている範囲である。一部の実施形態において、アンチセンス化合物はアンチセンスオリゴヌクレオチドであり、結合サブユニットはヌクレオシドである。
【0447】
特定の実施形態において、タウ核酸を標的とするアンチセンス化合物は、一本鎖リボ核酸またはデオキシリボ核酸アンチセンスオリゴヌクレオチドである。アンチセンスオリゴヌクレオチドは、特異的、相補的、コードまたは非コード核酸を標的とし得る。使用されたアンチセンスオリゴヌクレオチドに応じて、この標的核酸配列に対するオリゴヌクレオチドの結合はRNAse Hを活性化してもよいまたは活性化しなくてもよい。一部の実施形態において、アンチセンスオリゴヌクレオチドは、標的核酸を分解するRNAse Hを活性化する。いくつかの実施形態のアンチセンスオリゴヌクレオチドは、これが意図する位置に選択的に結合するという条件で、任意の長さであってもよい。一般に、アンチセンスオリゴヌクレオチドは、8、10または12ヌクレオチド長から20、30または50ヌクレオチド長までであり得る。
【0448】
特定の実施形態において、タウ核酸を標的とするアンチセンスオリゴヌクレオチドは短縮されてもよいまたは切断されてもよい。例えば、単一サブユニットは、5’末端から欠失されてもよい(5’切断型)または3’末端から欠失されてもよい(3’切断型)。タウ核酸を標的とする短縮されたまたは切断されたアンチセンス化合物は、アンチセンス化合物の5’末端から欠失された2つのサブユニットを有してもよいまたは3’末端から欠失された2つのサブユニットを有してもよい。あるいは、欠失したヌクレオシドはアンチセンス化合物全体にわたって、例えば、5’末端から欠失された1つのヌクレオシドおよび3’末端から欠失された1つのヌクレオシドを有するアンチセンス化合物において分散されてもよい。
【0449】
単一の追加のサブユニットが伸長されたアンチセンス化合物に存在する場合、追加のサブユニットはアンチセンス化合物の5’または3’末端に位置してもよい。2つ以上の追加のサブユニットが存在する場合、加えられたサブユニットは、例えば、アンチセンス化合物の5’末端に加えられた(5’付加)または3’末端に加えられた(3’付加)2つのサブユニットを有するアンチセンス化合物において互いに隣接し得る。あるいは、加えられたサブユニットは、アンチセンス化合物全体にわたって、例えば、5’末端に加えられた1つのサブユニットおよび3’末端に加えられた1つのサブユニットを有するアンチセンス化合物において分散されてもよい。
【0450】
アンチセンスオリゴヌクレオチドなどのアンチセンス化合物の長さを増加もしくは低下させることができるおよび/または活性を取り除かずにミスマッチ塩基を導入することができる。例えば、Woolfら(Proc.Natl Acad.Sci.USA89:7305−7309、1992)において、一連のアンチセンスオリゴヌクレオチド13−25核酸塩基長が、卵母細胞注射モデルにおいて標的RNAの切断を誘導するこれらの能力について試験された。アンチセンスオリゴヌクレオチドの端部付近に8または11個のミスマッチ塩基を有するアンチセンスオリゴヌクレオチド25核酸塩基長は、ミスマッチを含有しないアンチセンスオリゴヌクレオチドより少ない程度にも関わらず、標的mRNAの特異的切断を導くことができる。同様に、標的特異的切断が、1または3個のミスマッチを有するものを含む、13核酸塩基アンチセンスオリゴヌクレオチドを使用して達成された。
【0451】
Gautschiら(J.Natl.Cancer Inst.93:463−471、2001年3月)は、インビトロおよびインビボでbcl−2およびbcl−xLの両方の発現を減少させるためにbcl−2 mRNAに対して100%相補性を有し、bcl−xL mRNAに対して3個のミスマッチを有するオリゴヌクレオチドの能力を実証した。さらに、このオリゴヌクレオチドはインビボで有効な抗腫瘍活性を実証した。
【0452】
MaherおよびDolnick(Nuc.Acid.Res.16:3341−3358、1988)は、一連のタンデム14核酸塩基アンチセンスオリゴヌクレオチドならびにタンデムアンチセンスオリゴヌクレオチドの2つまたは3つの配列から構成されている28および42核酸塩基アンチセンスオリゴヌクレオチドをそれぞれ、ウサギ網状赤血球アッセイにおいてヒトDHFRの翻訳を停止させるこれらの能力について試験した。28または42核酸塩基アンチセンスオリゴヌクレオチドより適度なレベルにも関わらず、3個の14核酸塩基アンチセンスオリゴヌクレオチド単独の各々は翻訳を阻害できた。
【0453】
アンチセンス化合物モチーフ
特定の実施形態において、タウ核酸を標的とするアンチセンス化合物は、増強した阻害活性、標的核酸に対する増加した結合親和性またはインビボでの核酸塩基による分解に対する耐性などのアンチセンス化合物特性を与えるために、パターンまたはモチーフに配置される化学的に修飾されたサブユニットを有する。
【0454】
キメラアンチセンス化合物は典型的に、ヌクレアーゼ分解に対する増加した耐性、増加した細胞取り込み、標的核酸に対する増加した結合親和性および/または増加した阻害活性を与えるように修飾された少なくとも1つの領域を含有する。キメラアンチセンス化合物の第2の領域は場合により、RNA:DNAデュプレックスのRNA鎖を切断する、細胞エンドヌクレアーゼRNase Hについての基質として役立ち得る。
【0455】
特定の実施形態において、アンチセンス化合物は均一な糖修飾オリゴヌクレオチドである。ギャップマーモチーフを有するアンチセンス化合物が、考慮されたキメラアンチセンス化合物である。ギャップマーにおいて、RNaseH切断を支持する複数のヌクレオチドを有する内部領域は、内部領域のヌクレオシドと化学的に異なる複数のヌクレオチドを有する外部領域の間に位置する。ギャップマーモチーフを有するアンチセンスオリゴヌクレオチドの場合、ギャップセグメントは一般にエンドヌクレアーゼ切断についての基質として役立つのに対して、ウィングセグメントは修飾されたヌクレオシドを含む。特定の実施形態において、ギャップマーの領域は各々の異なる領域を含む糖部分の種類によって識別されている。ギャップマーの領域を識別するために使用されている糖部分の種類は、一部の実施形態において、β−D−リボヌクレオシド、β−D−デオキシリボヌクレオシド、2’修飾ヌクレオシド(このような2’修飾ヌクレオシドは、とりわけ、2’−MOEおよび2’−O−CH
3を含んでもよい。)および二環式糖修飾ヌクレオシドを含んでもよい。特定の実施形態において、ウイングは、例えば2’−MOEを含む、いくつかの修飾された糖部分を含んでもよい。特定の実施形態において、ウイングは、いくつかの修飾されたおよび修飾されていない糖部分を含んでもよい。特定の実施形態において、ウイングは2’−MOEヌクレオシドおよび2’−デオキシヌクレオシドの種々の組合せを含んでもよい。
【0456】
各々の異なる領域は、均一の糖部分、バリアントまたは交互の糖部分を含んでもよい。ウイング−ギャップ−ウイングモチーフは頻繁に「X−Y−Z」として記載されており、式中、「X」は5’−ウイングの長さを表し、「Y」はギャップの長さを表し、「Z」は3’−ウイングの長さを表す。「X」および「Z」は、均一なバリアントまたは交互の糖部分を含んでもよい。特定の実施形態において、「X」および「Y」は1つ以上の2’−デオキシヌクレオシドを含んでもよい。「Y」は2’−デオキシヌクレオシドを含んでもよい。本明細書で使用されている場合、「X−Y−Z」として記載されているギャップマーは、ギャップが5’−ウイングおよび3’ウイングの各々に直接近接して位置しているような構造を有する。したがって、5’−ウイングとギャップとの間またはギャップと3’−ウイングとの間に介在するヌクレオチドは存在しない。本明細書に記載されているアンチセンス化合物のいずれかはギャップマーモチーフを有してもよい。特定の実施形態において、「X」および「Z」は同じであり、他の実施形態においてこれらは異なる。特定の実施形態において、Yは8から15の間のヌクレオシドである。X、YまたはZは、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、25、30、またはこれ以上のヌクレオシドのいずれかであってもよい。したがって、本明細書に記載されているギャップマーは、限定されないが、例えば、5−10−5、5−10−4、4−10−4、4−10−3、3−10−3、2−10−2、5−9−5、5−9−4、4−9−5、5−8−5、5−8−4、4−8−5、5−7−5、4−7−5、5−7−4、または4−7−4を含む。
【0457】
特定の実施形態において、タウ核酸を標的とするアンチセンス化合物は5−8−5ギャップマーモチーフを保有する。
【0458】
特定の実施形態において、タウ核酸を標的とするアンチセンス化合物はギャップ狭小モチーフ(gap−narrowed motif)を有する。特定の実施形態において、タウ核酸を標的とするギャップ狭小アンチセンスオリゴヌクレオチドは、5、4、3、2または1個の化学的に修飾されたヌクレオシドのウィングセグメントに直接隣接し、これらの間に位置している9、8、7または6個の2’−デオキシヌクレオチドのギャップセグメントを有する。特定の実施形態において、化学修飾は二環式糖を含む。特定の実施形態において、二環式糖は、4’−(CH2)n−O−2’架橋(式中、nは1または2である。)および4’−CH2−O−CH2−2’の中から選択される4’から2’の架橋を含む。特定の実施形態において、二環式糖は4’−CH(CH3)−O−2’架橋を含む。特定の実施形態において、化学修飾は非二環式2’修飾糖部分を含む。特定の実施形態において、非二環式2’修飾糖部分は2’−O−メチルエチル基または2’−O−メチル基を含む。
【0459】
特定の実施形態において、タウ核酸を標的とするアンチセンス化合物は均一に修飾されている。特定の実施形態において、アンチセンス化合物は、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24または25個のヌクレオシドを含む。特定の実施形態において、各々のヌクレオシドは化学的に修飾されている。特定の実施形態において、化学修飾は非二環式2’修飾糖部分を含む。特定の実施形態において、2’修飾糖部分は2’−O−メトキシエチル基を含む。特定の実施形態において、2’修飾糖部分は2’−O−メチル基を含む。
【0460】
標的核酸、標的領域およびヌクレオチド配列
タウをコードするヌクレオチド配列には、限定されないが、以下:ヌクレオチド2624000から2761000まで切断されたGENBANK受託NT_010783.14(配列番号1として本明細書に組み込まれている。);GENBANK受託番号AK226139.1(配列番号2として本明細書に組み込まれている。);GENBANK受託番号NM_001123066.3(配列番号3として本明細書に組み込まれている。);GENBANK受託番号NM_001123067.3(配列番号4として本明細書に組み込まれている。);GENBANK受託番号NM_001203251.1(配列番号5として本明細書に組み込まれている。);GENBANK受託番号NM_001203252.1(配列番号6として本明細書に組み込まれている。);GENBANK受託番号NM_005910.5(配列番号7として本明細書に組み込まれている。);GENBANK受託番号NM_016834.4(配列番号8として本明細書に組み込まれている。);GENBANK受託番号NM_016835.4(配列番号9として本明細書に組み込まれている。);またはGENBANK受託番号NM_016841.4(配列番号10として本明細書に組み込まれている。)が含まれる。
【0461】
本明細書に含有されている各々の配列番号に記載されている配列は、糖部分、ヌクレオシド間結合または核酸塩基に対する任意の修飾とは関係ないことが理解される。このように、配列番号により定義されているアンチセンス化合物は、独立して、糖部分、ヌクレオシド間結合または核酸塩基に対する1つ以上の修飾を含んでもよい。Isis番号(Isis No)により記載されているアンチセンス化合物は核酸塩基配列およびモチーフの組合せを示す。
【0462】
特定の実施形態において、標的領域は標的核酸の構造的に定義された領域である。例えば、標的領域は、3’UTR、5’UTR、エクソン、イントロン、エクソン/イントロン結合、コード領域、翻訳開始領域、翻訳終結領域または他の定義された核酸領域を包含してもよい。タウについての構造的に定義された領域はNCBIなどの配列データベースからの受託番号により得られ得、このような情報は本明細書に参照により組み込まれている。特定の実施形態において、標的領域は、標的領域内の1つの標的セグメントの5’標的部位から同じ標的領域内の別の標的セグメントの3’標的部位までの配列を包含してもよい。
【0463】
標的化は、アンチセンス化合物がハイブリダイズし、それにより所望の効果を生じる少なくとも1つの標的セグメントの決定を含む。特定の実施形態において、所望の効果はmRNA標的核酸レベルの減少である。特定の実施形態において、所望の効果は、標的核酸によってコードされたタンパク質のレベルの減少または標的核酸に関連している表現型の変化である。
【0464】
標的領域は1つ以上の標的セグメントを含有してもよい。標的領域内の複数の標的セグメントは重複していてもよい。あるいは、これらは重複していなくてもよい。特定の実施形態において、標的領域内の標的セグメントは約300ヌクレオチド以下によって分離されている。特定の実施形態において、標的領域内の標的セグメントは、多くのヌクレオチドによって分離されている。すなわち、ヌクレオチドは、標的核酸上の約250、200、150、100、90、80、70、60、50、40、30、20もしくは10ヌクレオチドである、250、200、150、100、90、80、70、60、50、40、30、20もしくは10ヌクレオチド以下である、または約250、200、150、100、90、80、70、60、50、40、30、20もしくは10ヌクレオチド以下である、または上述の値の任意の2つにより定義されている範囲である。特定の実施形態において、標的領域内の標的セグメントは、標的核酸上で5ヌクレオチド以下、約5ヌクレオチド以下によって分離されている。特定の実施形態において、標的セグメントは隣接している。本明細書に記載されている5’標的部位または3’標的部位のいずれかである開始核酸を有する範囲によって定義されている標的領域が意図される。
【0465】
適切な標的セグメントは、5’UTR、コード領域、3’UTR、イントロン、エクソンまたはエクソン/イントロン結合内に見出され得る。開始コドンまたは停止コドンを含有する標的セグメントもまた、適切な標的セグメントである。適切な標的セグメントは開始コドンまたは停止コドンなどの特定の構造的に定義された領域を特異的に排除し得る。
【0466】
適切な標的セグメントの決定は、標的核酸の配列とゲノム全体の他の配列との比較を含んでもよい。例えば、BLASTアルゴリズムが、異なる核酸の中で類似した領域を識別するために使用されてもよい。この比較は、選択された標的核酸以外の配列(すなわち、非標的または的外れの配列)と非特異的にハイブリダイズできるアンチセンス化合物配列の選択を防止できる。
【0467】
活性標的領域内のアンチセンス化合物の活性(例えば、標的核酸レベルの減少の割合により定義されている。)の変動が存在し得る。特定の実施形態において、タウmRNAレベルの減少はタウ発現の阻害の指標である。タウタンパク質のレベルの減少もまた、標的mRNA発現の阻害の指標である。特定の実施形態において、タウmRNAレベルの4Rアイソフォームの減少は、タウスプライシングの調節の指標である。タウタンパク質の4Rアイソフォームのレベルの減少もまた、タウスプライシングの調節の指標である。特定の実施形態において、タウmRNAレベルの3Rアイソフォームの増加はタウスプライシングの調節の指標である。タウタンパク質の3Rアイソフォームのレベルの増加もまた、タウスプライシングの調節の指標である。過リン酸化タウに陽性である細胞染色の割合の減少はタウ発現の阻害またはタウスプライシングの調節の指標である。神経機能の改善はタウ発現の阻害またはタウスプライシングの調節の指標である。改善された記憶および運動機能はタウ発現の阻害またはタウスプライシングの調節の指標である。神経原線維封入体の減少はタウ発現の阻害またはタウスプライシングの調節の指標である。
【0468】
ハイブリダイゼーション
一部の実施形態において、ハイブリダイゼーションは本明細書に開示されているアンチセンス化合物とタウ核酸との間で生じる。ハイブリダイゼーションの最も一般的な機構は、核酸分子の相補的核酸塩基間の水素結合(例えば、ワトソン−クリック、フーグスティーンまたは逆フーグスティーン水素結合)を含む。
【0469】
ハイブリダイゼーションは様々な条件下で生じ得る。ストリンジェントな条件は配列依存性であり、ハイブリダイズされる核酸分子の性質および組成により決定される。
【0470】
配列が標的核酸に特異的にハイブリダイズするかどうかを決定する方法は当該技術分野において周知である。特定の実施形態において、本明細書に提供されているアンチセンス化合物はタウ核酸と特異的にハイブリダイズされ得る。
【0471】
相補性
アンチセンス化合物の十分な数の核酸塩基が、標的核酸の対応する核酸塩基と水素結合し得る場合、アンチセンス化合物および標的核酸は互いに相補的であるので、所望の効果が生じる(例えば、タウ核酸などの標的核酸のアンチセンス阻害)。
【0472】
アンチセンス化合物とタウ核酸との間の非相補的核酸塩基は、アンチセンス化合物が標的核酸に特異的にハイブリダイズできるという条件で許容され得る。さらに、アンチセンス化合物はタウ核酸の1つ以上のセグメントに対してハイブリダイズでき、それにより介入するまたは隣接するセグメントはハイブリダイゼーション事象(例えば、ループ構造、ミスマッチまたはヘアピン構造)に関与しない。
【0473】
特定の実施形態において、本明細書に提供されているアンチセンス化合物またはこの特定の部分は、タウ核酸、標的領域、標的セグメントもしくはこの特定の部分に対して70%、80%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、もしくは100%相補的である。標的核酸に対するアンチセンス化合物の相補性の割合は慣例の方法を使用して求められ得る。
【0474】
例えば、アンチセンス化合物の20核酸塩基のうちの18が標的領域に対して相補的であり、したがって特異的にハイブリダイズするアンチセンス化合物は90パーセントの相補性を表す。この例において、残りの非相補的核酸塩基には、相補的核酸塩基が集まり得るまたは散在し得、これらの非相補的核酸塩基は互いにまたは相補的核酸塩基に隣接している必要はない。このように、標的核酸と完全な相補性の2つの領域に隣接する4つの非相補的核酸塩基を有する18核酸塩基長であるアンチセンス化合物は、標的核酸に対して77.8%の全体の相補性を有するので、本発明の範囲内である。標的核酸の領域に対するアンチセンス化合物の相補性の割合は、当該技術分野において公知のBLASTプログラム(ベーシックローカルアラインメントサーチツール)およびPowerBLASTプログラムを使用して慣例的に求められ得る(Altschulら、J.Mol.Biol.、1990、215、403 410、ZhangおよびMadden、Genome Res、1997、7、649 656)。相同性、配列同一性または相補性の割合は、例えば、SmithおよびWaterman(Adv.Appl.Math.、1981、2、482 489)のアルゴリズムを使用し、デフォルト設定を使用したGapプログラム(Unix(登録商標)用のウィスコンシン配列分析パッケージ、バージョン8、Genetics Computer Group、University Research Park、Madison Wis.)によって求められ得る。
【0475】
特定の実施形態において、本明細書に提供されているアンチセンス化合物またはこの特定の部分は、標的核酸またはこの特定の部分に対して完全に相補的(すなわち100%相補的)である。例えば、アンチセンス化合物は、タウ核酸またはこの標的領域または標的セグメントまたは標的配列に完全に相補的であり得る。本明細書で使用されている場合、「完全に相補的」とは、アンチセンス化合物の各々の核酸塩基が、標的核酸の対応する核酸塩基と正確に塩基対合できることを意味する。例えば、20核酸塩基アンチセンス化合物は、アンチセンス化合物に対して完全に相補的である標的核酸の対応する20核酸塩基部分が存在する限り、400核酸塩基長である標的配列と完全に相補的である。完全に相補的はまた、第1および/または第2の核酸の特定の部分を参照して使用されてもよい。例えば、30核酸塩基アンチセンス化合物の20核酸塩基部分は400核酸塩基長である標的配列に対して「完全に相補的」であってもよい。標的配列が対応する20核酸塩基部分(ここで、各々の核酸塩基はアンチセンス化合物の20核酸塩基部分に相補的である。)を有する場合、30核酸塩基オリゴヌクレオチドの20核酸塩基部分は標的配列に対して完全に相補的である。同時に、全体の30核酸塩基アンチセンス化合物は、アンチセンス化合物の残りの10核酸塩基もまた、標的配列に相補的であるかどうかに依存して、標的配列に対して完全に相補的であってもよいまたは完全に相補的でなくてもよい。
【0476】
非相補的核酸塩基の位置はアンチセンス化合物の5’末端または3’末端であってもよい。あるいは、非相補的核酸塩基(複数可)はアンチセンス化合物の内部にあってもよい。2つ以上の非相補的核酸塩基が存在する場合、これらは隣接(すなわち結合した)であってもよいまたは非隣接であってもよい。一実施形態において、非相補的核酸塩基はギャップマーアンチセンスオリゴヌクレオチドのウィングセグメントに位置する。
【0477】
特定の実施形態において、11、12、13、14、15、16、17、18、19もしくは20核酸塩基長であるまたは最大11、12、13、14、15、16、17、18、19もしくは20までの核酸塩基長であるアンチセンス化合物は、タウ核酸などの標的核酸またはこの特定の部分に対して4以下、3以下、2以下もしくは1以下の非相補的核酸塩基を含む。
【0478】
特定の実施形態において、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29もしくは30核酸塩基長であるまたは最大11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29もしくは30までの核酸塩基長であるアンチセンス化合物は、タウ核酸などの標的核酸またはこの特定の部分に対して6以下、5以下、4以下、3以下、2以下もしくは1以下の非相補的核酸塩基を含む。
【0479】
また、提供されているアンチセンス化合物は標的核酸の部分に相補的であるものを含む。本明細書で使用されている場合、「部分」とは、標的核酸の領域またはセグメント内の定義された数の隣接する(すなわち結合した)核酸塩基を指す。また、「部分」とは、アンチセンス化合物の定義された数の隣接する核酸塩基を指してもよい。特定の実施形態において、アンチセンス化合物は標的セグメントの少なくとも8核酸塩基部分に対して相補的である。特定の実施形態において、アンチセンス化合物は標的セグメントの少なくとも9核酸塩基部分に対して相補的である。特定の実施形態において、アンチセンス化合物は標的セグメントの少なくとも10核酸塩基部分に対して相補的である。特定の実施形態において、アンチセンス化合物は標的セグメントの少なくとも11核酸塩基部分に対して相補的である。特定の実施形態において、アンチセンス化合物は標的セグメントの少なくとも12核酸塩基部分に対して相補的である。特定の実施形態において、アンチセンス化合物は標的セグメントの少なくとも13核酸塩基部分に対して相補的である。特定の実施形態において、アンチセンス化合物は標的セグメントの少なくとも14核酸塩基部分に対して相補的である。特定の実施形態において、アンチセンス化合物は標的セグメントの少なくとも15核酸塩基部分に対して相補的である。また、標的セグメントの少なくとも9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20もしくはこれ以上の核酸塩基部分またはこれらの値の任意の2つによって定義された範囲の核酸塩基部分に対して相補的であるアンチセンス化合物も意図される。
【0480】
同一性
本明細書に提供されているアンチセンス化合物はまた、特定のヌクレオチド配列、配列番号もしくは特定のIsis番号によって表された化合物またはこれらの部分に対して、定義された同一性の割合を有してもよい。本明細書で使用されている場合、アンチセンス化合物は、これが同じ核酸塩基対合能力を有する場合、本明細書に開示されている配列と同一である。例えば、開示されたDNA配列においてチミジンの代わりにウラシルを含有するRNAは、ウラシルおよびチミジンの両方がアデニンと対になるので、DNA配列に対して同一であるとみなされる。本明細書に記載されているアンチセンス化合物の短縮されたおよび伸長された型ならびに本明細書に提供されているアンチセンス化合物に対して同一でない塩基を有する化合物もまた、意図される。同一でない塩基は、互いに隣接してもよいまたはアンチセンス化合物全体にわたって分散されてもよい。アンチセンス化合物の同一性の割合は、比較される配列に対して同一の塩基対を有する塩基の数に従って計算される。
【0481】
特定の実施形態において、アンチセンス化合物またはこの部分は、本明細書に開示されているアンチセンス化合物もしくは配列番号またはこれらの一部の1つ以上に対して少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%または100%同一である。
【0482】
特定の実施形態において、アンチセンス化合物の一部は標的核酸の等しい長さの部分と比較される。特定の実施形態において、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24または25核酸塩基部分は標的核酸の等しい長さの部分と比較される。
【0483】
特定の実施形態において、アンチセンスオリゴヌクレオチドの一部は標的核酸の等しい長さの部分と比較される。特定の実施形態において、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24もしくは25核酸塩基部分は標的核酸の等しい長さの部分と比較される。
【0484】
修飾
ヌクレオシドは塩基−糖の組合せである。ヌクレオシドの核酸塩基(塩基としても知られている)部分は通常、複素環塩基部分である。ヌクレオチドはヌクレオシドの糖部分に共有結合したリン酸基をさらに含むヌクレオシドである。ペントフラノシル糖を含むこれらのヌクレオシドについて、リン酸基は、糖の2’、3’または5’ヒドロキシル部分に結合されてもよい。オリゴヌクレオチドは、線形ポリマーオリゴヌクレオチドを形成するために、互いに隣接するヌクレオシドの共有結合により形成される。オリゴヌクレオチド構造内で、リン酸基は一般に、オリゴヌクレオチドのヌクレオシド間結合を形成すると称されている。
【0485】
アンチセンス化合物に対する修飾は、ヌクレオシド間結合、糖部分または核酸塩基に対する置換または変化を含む。修飾されたアンチセンス化合物はしばしば、例えば、増強した細胞取り込み、核酸標的に対する増強した親和性、ヌクレアーゼの存在下での増加した安定性または増加した阻害活性などの望ましい特性のために天然形態より好ましい。
【0486】
化学的に修飾されたヌクレオシドはまた、この標的核酸に対する短縮されたまたは切断されたアンチセンスオリゴヌクレオチドの結合親和性を増加させるために利用されてもよい。その結果として、同等の結果がしばしば、このような化学的に修飾されたヌクレオシドを有するより短いアンチセンス化合物で得られ得る。
【0487】
修飾されたヌクレオシド間結合
RNAおよびDNAの天然に存在するヌクレオシド間結合は3’から5’ホスホジエステル結合である。1つ以上の修飾された、すなわち天然に存在しないヌクレオシド間結合を有するアンチセンス化合物はしばしば、例えば、増強した細胞取り込み、標的核酸に対する増強した親和性、ヌクレアーゼの存在下での増加した安定性などの望ましい特性のために、天然に存在するヌクレオシド間結合を有するアンチセンス化合物より選択される。
【0488】
修飾されたヌクレオシド間結合を有するオリゴヌクレオチドには、リン原子を保持するヌクレオシド間結合およびリン原子を有さないヌクレオシド間結合が含まれる。代表的なリン含有ヌクレオシド間結合には、限定されないが、ホスホジエステル、ホスホトリエステル、メチルホスホネート、ホスホラミデートおよびホスホロチオエートが含まれる。リンを含有するおよびリンを含有しない結合の調製方法は周知である。
【0489】
特定の実施形態において、タウ核酸を標的とするアンチセンス化合物は1つ以上の修飾されたヌクレオシド間結合を含む。特定の実施形態において、修飾されたヌクレオシド間結合はアンチセンス化合物の全体にわたって散在している。特定の実施形態において、修飾されたヌクレオシド間結合はホスホロチオエート結合である。特定の実施形態において、アンチセンス化合物の各々のヌクレオシド間結合はホスホロチオエートヌクレオシド間結合である。
【0490】
修飾された糖部分
本明細書に提供されているオリゴマー化合物は、ヌクレオシドまたはヌクレオチドを含み、修飾された糖部分を有する、1つ以上のモノマーを含んでもよい。例えば、ヌクレオシドまたはヌクレオチドのフラノシル糖環は、限定されないが、ロックド核酸(LNA)を形成するために、置換基の付加および2つの非ジェミナル環原子の架橋を含む、複数の手段で修飾されてもよい。
【0491】
特定の実施形態において、オリゴマー化合物は二環式糖を有する1つ以上のモノマーを含む。特定の実施形態において、モノマーはLNAである。特定のこのような実施形態において、LNAには、限定されないが、以下に示されているような(A)α−L−メチレンオキシ(4’−CH
2−O−2’)LNA、(B)β−D−メチレンオキシ(4’−CH
2−O−2’)LNA、(C)エチレンオキシ(4’−(CH
2)
2−O−2’)LNA、(D)アミノオキシ(4’−CH
2−O−N(R)−2’)LNAおよび(E)オキシアミノ(4’−CH
2−N(R)−O−2’)LNAが含まれる。
【0492】
【化2】
特定の実施形態において、LNA化合物には、限定されないが、糖の4’位と2’位との間に少なくとも1つの架橋を有する化合物が含まれ、架橋の各々は、−[C(R
1)(R
2)]
n−、−C(R
1)=C(R
2)−、−C(R
1)=N−、−C(=NR
1)−、−C(=O)−、−C(=S)−、−O−、−Si(R
1)
2−、−S(=O)
x−および−N(R
1)−
(式中、
xは0、1または2であり、
nは1、2、3または4であり、
R
1およびR
2の各々は、独立して、H、保護基、ヒドロキシル、C
1−C
12アルキル、置換C
1−C
12アルキル、C
2−C
12アルケニル、置換C
2−C
12アルケニル、C
2−C
12アルキニル、置換C
2−C
12アルキニル、C
5−C
20アリール、置換C
5−C
20アリール、複素環ラジカル、置換複素環ラジカル、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、C
5−C
7脂環式ラジカル、置換されたC
5−C
7脂環式ラジカル、ハロゲン、OJ
1、NJ
1J
2、SJ
1、N
3、COOJ
1、アシル(C=(=O)−H)、置換アシル、CN、スルホニル(S(=O)
2−J
1)またはスルホキシル(S(=O)−J
1)であり、
J
1およびJ
2の各々は、独立して、H、C
1−C
12アルキル、置換C
1−C
12アルキル、C
2−C
12アルケニル、置換C
2−C
12アルケニル、C
2−C
12アルキニル、置換C
2−C
12アルキニル、C
5−C
20アリール、置換C
5−C
20アリール、アシル(C(=O)−H)、置換アシル、複素環ラジカル、置換複素環ラジカル、C
1−C
12アミノアルキル、置換C
1−C
12アミノアルキルまたは保護基である。)
から独立して選択される1または2から4個の結合基を独立して含む。
【0493】
一実施形態において、LNA化合物の架橋の各々は、独立して、−[C(R
1)(R
2)]
n−、−[C(R
1)(R
2)]
n−O−、−C(R
1R
2)−N(R
1)−O−または−C(R
1R
2)−O−N(R
1)−である。別の実施形態において、前記架橋の各々は、独立して、4’−CH
2−2’、4’−(CH
2)
2−2’、4’−(CH
2)
3−2’、4’−CH
2−O−2’、4’−(CH
2)
2−O−2’、4’−CH
2−O−N(R
1)−2’および4’−CH
2−N(R
1)−O−2’−である(式中、R
1の各々は、独立して、H、保護基またはC
1−C
12アルキルである。)。
【0494】
特定のLNAは特許文献および科学文献において調製され、開示されている(例えば、全体が本明細書に参照により組み込まれている、発行された米国特許第7,053,207号、同第6,268,490号、同第6,770,748号、同第6,794,499号、同第7,034,133号、同第6,525,191号、同第7,696,345号、同第7,569,575号、同第7,314,923号、同第7,217,805号および同第7,084,125号を参照のこと。)。
【0495】
また、2’−ヒドロキシル基が、リボシル糖環の4’炭素原子に接続されており、それにより二環式糖部分を形成するためにメチレンオキシ(4’−CH
2−O−2’)架橋を形成する、LNAも本明細書に提供されている(Elayadiら、Curr.Opinion Invens.Drugs、2001、2、558−561、Braaschら、Chem.Biol.、2001、8 1−7およびOrumら、Curr.Opinion Mol.Ther.、2001、3、239−243に概説されており、米国特許第6,670,461号も参照のこと。)。さらに、架橋はまた、2’酸素原子を糖環の4’炭素原子に接続するメチレン(−CH
2−)基であってもよく、このためにメチレンオキシ(4’−CH
2−O−2’)LNAという用語が使用されている。この位置においてエチレン架橋基を有する二環式(bicylic)糖部分の場合、エチレンオキシ(4’−CH
2CH
2−O−2’)LNAという用語が使用されている(Singhら、Chem.Commun.、1998、4、455−456:Moritaら、Bioorganic Medicinal Chemistry、2003、11、2211−2226)。メチレンオキシ(4’−CH
2−O−2’)LNAおよび他の二環式糖類似体は、相補的DNAおよびRNAによる非常に高いデュプレックス熱安定性(Tm=+3から+10℃)、3’−エキソヌクレアーゼ分解に対する安定性および良好な溶解特性を示す。LNAを含む有効および非毒性のアンチセンスオリゴヌクレオチドは記載されている(Wahlestedtら、Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.、2000、97、5633−5638)。
【0496】
同様に説明されているメチレンオキシ(4’−CH
2−O−2’)LNAの異性体は、3’−エキソヌクレアーゼに対して優れた安定性を有することが示されているα−L−メチレンオキシ(4’−CH
2−O−2’)LNAである。α−L−メチレンオキシ(4’−CH
2−O−2’)LNAは、有効なアンチセンス活性を示したアンチセンスギャップマーおよびキメラ内に組み込まれた(Friedenら、Nucleic Acids Research、2003、21、6365−6372)。
【0497】
これらのオリゴマー化と一緒に、メチレンオキシ(4’−CH
2−O−2’)架橋を有するアデニン、シトシン、グアニン、5−メチル−シトシン、チミンおよびウラシルLNAの合成および調製ならびに核酸認識特性が記載されている(Koshkinら、Tetrahedron、1998、54、3607−3630)。LNAおよびこの調製もまた、本明細書に参照により組み込まれている、WO98/39352およびWO99/14226に記載されている。
【0498】
4’−CH
2−O−2’(メチレンオキシ)および4’−CH
2−S−2’(メチレン−チオ)などの4’から2’の架橋基を有する種々のLNAヌクレオシドの類似体もまた、調製されている(Kumarら、Bioorg.Med.Chem.Lett.、1998、8、2219−2222)。核酸ポリメラーゼのための基質としてのオリゴデオキシリボヌクレオチドデュプレックスを含むロックドヌクレオシド類似体の調製もまた、記載されている(Wengelら、WO99/14226)。さらに、2’−アミノ−LNA、新たに配座固定された(comformationally restricted)高親和性オリゴヌクレオチド類似体の合成が当該技術分野において記載されている(Singhら、J.Org.Chem.、1998、63、10035−10039)。さらに、2’−アミノ−および2’−メチルアミノ−LNAが調製されており、相補的RNAおよびDNA鎖とのこれらのデュプレックスの熱安定性が以前に報告されている。
【0499】
本明細書で使用されている場合、「二環式ヌクレオシド」とは、糖環の2つの炭素原子を接続し、それにより二環式糖部分を形成する架橋を含むヌクレオシドを指す。特定の実施形態において、架橋は糖環の2’炭素および別の炭素を接続する。
【0500】
本明細書で使用されている場合、「4’−2’二環式ヌクレオシド」または「4’から2’の二環式ヌクレオシド」とは、糖環の2’炭素原子および4’炭素原子を接続する架橋を含むフラノース環を含む二環式ヌクレオシドを指す。
【0501】
4’−(CH
2)
3−2’架橋およびアルケニル類似体、架橋4’−CH=CH−CH
2−2’を有する1つの炭素環式二環式ヌクレオシドが記載されている(例えば、Freierら、Nucleic Acids Research、1997、25(22)、4429−4443およびAlbaekら、J.Org.Chem.、2006、71、7731−7740を参照のこと。)。これらのオリゴマー化と一緒に炭素環式二環式ヌクレオシドの合成および調製ならびに生化学的研究もまた、記載されている(例えば、Srivastavaら、J.Am.Chem.Soc.2007、129(26)、8362−8379を参照のこと。)。
【0502】
本明細書に提供されているようにアンチセンス化合物内に組み込むためにヌクレオシドを修飾するために使用され得る多くの他の二環式および三環式糖代替環系もまた、当該技術分野において公知である(例えば、総説:Leumann,J.C、Bioorganic & Medicinal Chemistry、2002、10、841−854を参照のこと。)。このような環系は、これらの活性をさらに増強するために種々のさらなる置換を受けてもよい。このような環系は、活性を増強するために種々のさらなる置換を受けてもよい。
【0503】
本明細書で使用されている場合、「2’修飾糖」とは、2’位で修飾されたフラノシル糖を意味する。特定の実施形態において、このような修飾には、限定されないが、置換されたおよび置換されていないアルコキシ、置換されたおよび置換されていないチオアルキル、置換されたおよび置換されていないアミノアルキル、置換されたおよび置換されていないアルキル、置換されたおよび置換されていないアリルならびに置換されたおよび置換されていないアルキニルを含む、ハロゲン化物から選択される置換基が含まれる。特定の実施形態において、2’修飾は、限定されないが、O[(CH
2)
nO]
mCH
3、O(CH
2)
nNH
2、O(CH
2)
nCH
3、O(CH
2)
nONH
2、OCH
2C(=O)N(H)CH
3およびO(CH
2)
nON[(CH
2)
nCH
3]
2(式中、nおよびmは1から約10である。)を含む置換基から選択される。他の2’置換基はまた、C
1−C
12アルキル、置換されたアルキル、アルケニル、アルキニル、アルカリル、アラルキル、O−アルカリルまたはO−アラルキル、SH、SCH
3、OCN、Cl、Br、CN、CF
3、OCF
3、SOCH
3、SO
2CH
3、ONO
2、NO
2、N
3、NH
2、ヘテロシクロアルキル、ヘテロシクロアルカリル、アミノアルキルアミノ、ポリアルキルアミノ、置換されたシリル、RNA切断基、レポーター基、インターカレーター、薬物動態特性を改良するための基およびアンチセンス化合物の薬力学的性質を改良するための基ならびに同様の特性を有する他の置換基から選択され得る。特定の実施形態において、修飾されたヌクレオシドは2’−MOE側鎖を含む(例えば、Bakerら、J.Biol.Chem.、1997、272、11944−12000を参照のこと。)。このような2’−MOE置換は、修飾されていないヌクレオシドならびに2’−O−メチル、O−プロピルおよびO−アミノプロピルなどの他の修飾されたヌクレオシドと比較して改良された結合親和性を有すると記載されている。2’−MOE置換基を有するオリゴヌクレオチドもまた、インビボでの使用のための有望な特徴を有する遺伝子発現のアンチセンス阻害剤であると示されている(例えば、Martin,P.、Helv.Chim.Acta、1995、78、486−504、Altmannら、Chimia、1996、50、168−176、Altmannら、Biochem.Soc.Trans.、1996、24、630−637およびAltmannら、Nucleosides Nucleotides、1997、16、917−926を参照のこと。)。
【0504】
本明細書で使用されている場合、「2’修飾ヌクレオシド」または「2’置換ヌクレオシド」とは、HまたはOH以外のフラノース環の2’位に置換基を含む糖を含むヌクレオシドを指す。2’修飾ヌクレオシドには、限定されないが、アリル、アミノ、アジド、チオ、O−アリル、O−C
1−C
10アルキル、−OCF
3、O−(CH
2)
2−O−CH
3、2’−O(CH
2)
2SCH
3、O−(CH
2)
2−O−N(R
m)(R
n)またはO−CH
2−C(=O)−N(R
m)(R
n)(式中、R
mおよびR
nの各々は、独立して、Hまたは置換されたもしくは置換されていないC
1−C
10アルキル)などの架橋されていない2’置換基を有するヌクレオシドが含まれる。2’修飾ヌクレオシドは、例えば、糖および/または核酸塩基の他の位置において他の修飾をさらに含んでもよい。
【0505】
本明細書で使用されている場合、「2’−F」とは、フルオロ基を含むためのフラノシル糖環の2’位の修飾を指す。
【0506】
本明細書で使用されている場合、「2’−OMe」または「2’−OCH
3」または「2’−O−メチル」とは、各々、−OCH
3基を含むためのフラノシル糖環の2’位における修飾を指す。
【0507】
本明細書で使用されている場合、「オリゴヌクレオチド」とは、複数の結合したヌクレオシドを含む化合物を指す。特定の実施形態において、複数のヌクレオシドの1つ以上が修飾される。特定の実施形態において、オリゴヌクレオチドは、1つ以上のリボヌクレオシド(RNA)および/またはデオキシリボヌクレオシド(DNA)を含む。修飾された糖を調製する方法は当業者に周知である。
【0508】
修飾された糖部分を有するヌクレオチドにおいて、核酸塩基部分(天然、修飾されたまたはこれらの組合せ)は適切な核酸標的とのハイブリダイゼーションのために維持されている。
【0509】
特定の実施形態において、アンチセンス化合物は修飾された糖部分を有する1つ以上のヌクレオシドを含む。特定の実施形態において、修飾された糖部分は2’−MOEである。
【0510】
RNAi化合物
特定の実施形態において、アンチセンス化合物は、二本鎖RNA化合物(低分子干渉RNAまたはsiRNAとも称されている。)および一本鎖RNAi化合物(すなわちssRNA)を含む、干渉RNA化合物(RNAi)である。このような化合物は、標的核酸(したがってマイクロRNA/マイクロRNA−模倣化合物を含む。)を分解および/または隔離するようにRISC経路を介して少なくとも部分的に作用する。特定の実施形態において、アンチセンス化合物は、これらをこのような機構に特に適したようにする修飾を含む。
【0511】
(i)ssRNA化合物
特定の実施形態において、一本鎖RNAi化合物(ssRNA)としての使用に特に適したものを含むアンチセンス化合物は修飾された5’末端を含む。特定のこのような実施形態において、5’末端は修飾されたリン酸部分を含む。特定の実施形態において、このような修飾されたリン酸は安定化される(例えば、修飾されていない5’リン酸と比較して分解/切断に対して耐性がある。)。特定の実施形態において、このような5’末端ヌクレオシドは5’リン酸部分を安定化する。特定の修飾された5’末端ヌクレオシドは、当該技術分野、例えばWO2011/139702に見出され得る。
【0512】
特定の実施形態において、ssRNA化合物の5’−ヌクレオシドは式IIc:
【0513】
【化3】
(式中、
T
1は場合により保護されたリン部分であり、
T
2は式IIcの化合物をオリゴマー化合物に結合するヌクレオシド間結合基であり、
Aは式:
【0514】
【化4】
の1つを有し、
Q
1およびQ
2の各々は、独立して、H、ハロゲン、C
1−C
6アルキル、置換C
1−C
6アルキル、C
1−C
6アルコキシ、置換C
1−C
6アルコキシ、C
2−C
6アルケニル、置換C
2−C
6アルケニル、C
2−C
6アルキニル、置換C
2−C
6アルキニルまたはN(R
3)(R
4)であり、
Q
3は、O、S、N(R
5)またはC(R
6)(R
7)であり、
R
3、R
4、R
5、R
6およびR
7の各々は、独立して、H、C
1−C
6アルキル、置換C
1−C
6アルキルまたはC
1−C
6アルコキシであり、
M
3は、O、S、NR
14、C(R
15)(R
16)、C(R
15)(R
16)C(R
17)(R
18)、C(R
15)=C(R
17)、OC(R
15)(R
16)またはOC(R
15)(Bx
2)であり、
R
14は、H、C
1−C
6アルキル、置換C
1−C
6アルキル、C
1−C
6アルコキシ、置換C
1−C
6アルコキシ、C
2−C
6アルケニル、置換C
2−C
6アルケニル、C
2−C
6アルキニルまたは置換C
2−C
6アルキニルであり、
R
15、R
16、R
17およびR
18の各々は、独立して、H、ハロゲン、C
1−C
6アルキル、置換C
1−C
6アルキル、C
1−C
6アルコキシ、置換C
1−C
6アルコキシ、C
2−C
6アルケニル、置換C
2−C
6アルケニル、C
2−C
6アルキニルまたは置換C
2−C
6アルキニルであり、
Bx
1は複素環塩基部分であり、
またはBx
2が存在する場合、Bx
2は複素環塩基部分であり、Bx
1はH、ハロゲン、C
1−C
6アルキル、置換C
1−C
6アルキル、C
1−C
6アルコキシ、置換C
1−C
6アルコキシ、C
2−C
6アルケニル、置換C
2−C
6アルケニル、C
2−C
6アルキニルまたは置換C
2−C
6アルキニルであり、
J
4、J
5、J
6およびJ
7の各々は、独立して、H、ハロゲン、C
1−C
6アルキル、置換C
1−C
6アルキル、C
1−C
6アルコキシ、置換C
1−C
6アルコキシ、C
2−C
6アルケニル、置換C
2−C
6アルケニル、C
2−C
6アルキニルまたは置換C
2−C
6アルキニルであり、
またはJ
4は、J
5もしくはJ
7の1つと架橋を形成し、前記架橋は、O、S、NR
19、C(R
20)(R
21)、C(R
20)=C(R
21)、C[=C(R
20)(R
21)]およびC(=O)から選択される1から3個の結合したビラジカル基を含み、J
5、J
6およびJ
7の他の2つは、各々、独立して、H、ハロゲン、C
1−C
6アルキル、置換C
1−C
6アルキル、C
1−C
6アルコキシ、置換C
1−C
6アルコキシ、C
2−C
6アルケニル、置換C
2−C
6アルケニル、C
2−C
6アルキニルまたは置換C
2−C
6アルキニルであり、
R
19、R
20およびR
21の各々は、独立して、H、C
1−C
6アルキル、置換C
1−C
6アルキル、C
1−C
6アルコキシ、置換C
1−C
6アルコキシ、C
2−C
6アルケニル、置換C
2−C
6アルケニル、C
2−C
6アルキニルまたは置換C
2−C
6アルキニルであり、
GはH、OH、ハロゲンまたはO−[C(R
8)(R
9)]
n−[(C=O)
m−X
1]
j−Zであり、
R
8およびR
9の各々は、独立して、H、ハロゲン、C
1−C
6アルキルまたは置換C
1−C
6アルキルであり、
X
1は、O、SまたはN(E
1)であり、
Zは、H、ハロゲン、C
1−C
6アルキル、置換C
1−C
6アルキル、C
2−C
6アルケニル、置換C
2−C
6アルケニル、C
2−C
6アルキニル、置換C
2−C
6アルキニルまたはN(E
2)(E
3)であり、
E
1、E
2およびE
3の各々は、独立して、H、C
1−C
6アルキルまたは置換C
1−C
6アルキルであり、
nは1から約6であり、
mは0または1であり、
jは0または1であり、
各々の置換基は、ハロゲン、OJ
1、N(J
1)(J
2)、=NJ
1、SJ
1、N
3、CN、OC(=X
2)J
1、OC(=X
2)−N(J
1)(J
2)およびC(=X
2)N(J
1)(J
2)から独立して選択される1つ以上の場合により保護された置換基を含み、
X
2はO、SまたはNJ
3であり、
J
1、J
2およびJ
3の各々は、独立して、HまたはC
1−C
6アルキルであり、
jが1である場合、ZはハロゲンまたはN(E
2)(E
3)以外であり、
前記オリゴマー化合物は8から40個のモノマーサブユニットを含み、標的核酸の少なくとも一部にハイブリダイズできる。)
を有する。
【0515】
特定の実施形態において、M
3は、O、CH=CH、OCH
2またはOC(H)(Bx
2)である。特定の実施形態において、M
3はOである。
【0516】
特定の実施形態において、J
4、J
5、J
6およびJ
7は、各々Hである。特定の実施形態において、J
4はJ
5またはJ
7の1つと架橋を形成する。
【0518】
【化5】
(式中、
Q
1およびQ
2の各々は、独立して、H、ハロゲン、C
1−C
6アルキル、置換C
1−C
6アルキル、C
1−C
6アルコキシまたは置換C
1−C
6アルコキシである。)の1つを有する。特定の実施形態において、Q
1およびQ
2は各々Hである。特定の実施形態において、Q
1およびQ
2は、各々独立して、Hまたはハロゲンである。特定の実施形態において、Q
1およびQ
2の一方はHであり、Q
1およびQ
2の他方はF、CH
3またはOCH
3である。
【0520】
【化6】
(式中、
R
aおよびR
cは、各々独立して、保護されたヒドロキシル、保護されたチオール、C
1−C
6アルキル、置換C
1−C
6アルキル、C
1−C
6アルコキシ、置換C
1−C
6アルコキシ、保護されたアミノまたは置換アミノであり、
R
bはOまたはSである。)を有する。特定の実施形態において、R
bはOであり、R
aおよびR
cは、各々独立して、OCH
3、OCH
2CH
3またはCH(CH
3)
2である。
【0521】
特定の実施形態において、Gは、ハロゲン、OCH
3、OCH
2F、OCHF
2、OCF
3、OCH
2CH
3、O(CH
2)
2F、OCH
2CHF
2、OCH
2CF
3、OCH
2−CH=CH
2、O(CH
2)
2−OCH
3、O(CH
2)
2−SCH
3、O(CH
2)
2−OCF
3、O(CH
2)
3−N(R
10)(R
11)、O(CH
2)
2−ON(R
10)(R
11)、O(CH
2)
2−O(CH
2)
2−N(R
10)(R
11)、OCH
2C(=O)−N(R
10)(R
11)、OCH
2C(=O)−N(R
12)−(CH
2)
2−N(R
10)(R
11)またはO(CH
2)
2−N(R
12)−C(=NR
13)[N(R
10)(R
11)]であり、式中、R
10、R
11、R
12およびR
13は、各々独立して、HまたはC
1−C
6アルキルである。特定の実施形態において、Gは、ハロゲン、OCH
3、OCF
3、OCH
2CH
3、OCH
2CF
3、OCH
2−CH=CH
2、O(CH
2)
2−OCH
3、O(CH
2)
2−O(CH
2)
2−N(CH
3)
2、OCH
2C(=O)−N(H)CH
3、OCH
2C(=O)−N(H)−(CH
2)
2−N(CH
3)
2またはOCH
2−N(H)−C(=NH)NH
2である。特定の実施形態において、Gは、F、OCH
3またはO(CH
2)
2−OCH
3である。特定の実施形態において、Gは、O(CH
2)
2−OCH
3である。
【0522】
特定の実施形態において、5’末端ヌクレオシドは式IIe:
【0524】
特定の実施形態において、ssRNAに特に適したものを含む、アンチセンス化合物は、定義されたパターンまたは糖修飾モチーフにおいてオリゴヌクレオチドまたはこの領域に沿って配列される、修飾された糖部分および/または天然に存在する糖部分の1つ以上の種類を含む。このようなモチーフは、本明細書に説明されている糖修飾および/または他の公知の糖修飾のいずれかを含んでもよい。
【0525】
特定の実施形態において、オリゴヌクレオチドは均一な糖修飾を有する領域を含むまたはからなる。特定のこのような実施形態において、領域の各々のヌクレオシドは同じRNA様糖修飾を含む。特定の実施形態において、領域の各々のヌクレオシドは2’−Fヌクレオシドである。特定の実施形態において、領域の各々のヌクレオシドは2’−OMeヌクレオシドである。特定の実施形態において、領域の各々のヌクレオシドは2’−MOEヌクレオシドである。特定の実施形態において、領域の各々のヌクレオシドはcEtヌクレオシドである。特定の実施形態において、領域の各々のヌクレオシドはLNAヌクレオシドである。特定の実施形態において、均一な領域は全てまたは実質的に全てのオリゴヌクレオチドを構成する。特定の実施形態において、領域は1−4末端ヌクレオシドを除いてオリゴヌクレオチド全体を構成する。
【0526】
特定の実施形態において、オリゴヌクレオチドは交互の糖修飾の1つ以上の領域を含み、ヌクレオシドは、第1の種類の糖修飾を有するヌクレオチドと第2の種類の糖修飾を有するヌクレオチドとを繰り返す。特定の実施形態において、両方の種類のヌクレオシドはRNA様ヌクレオシドである。特定の実施形態において、交互のヌクレオシドは、2’−OMe、2’−F、2’−MOE、LNAおよびcEtから選択される。特定の実施形態において、交互の修飾は2’−Fおよび2’−OMeである。このような領域は隣接していてもよいまたは異なって修飾されたヌクレオシドもしくは隣接したヌクレオシドで中断(interupted)されてもよい。
【0527】
特定の実施形態において、交互の修飾の交互の領域の各々は単一のヌクレオシドからなる(すなわち、パターン(patern)は(AB)
xA
yであり、式中、Aは第1の種類の糖修飾を有するヌクレオシドであり、Bは第2の種類の糖修飾を有するヌクレオシドであり、xは1−20であり、yは0または1である。)。特定の実施形態において、交互のモチーフにおける1つ以上の交互の領域は1つより多い単の一ヌクレオシドの種類を含む。例えば、オリゴヌクレオチドは、以下のヌクレオシドモチーフ:
【0528】
【化8】
(式中、Aは第1の種類のヌクレオシドであり、Bは第2の種類のヌクレオシドである。)のいずれかの1つ以上の領域を含んでもよい。特定の実施形態において、AおよびBは、各々、2’−F、2’−OMe、BNAおよびMOEから選択される。
【0529】
特定の実施形態において、このような交互のモチーフを有するオリゴヌクレオチドはまた、式IIcまたはIIeのものなどの修飾された5’末端ヌクレオシドも含む。
【0530】
特定の実施形態において、オリゴヌクレオチドは2−2−3モチーフを有する領域を含む。このような領域は以下のモチーフ:
−(A)
2−(B)
x−(A)
2−(C)
y−(A)
3−
(式中:Aは第1の種類の修飾されたヌクレオシド(nucleosde)であり、
BおよびCはA以外の異なって修飾されているヌクレオシドであるが、BおよびCは互いに同じまたは異なる修飾を有してもよく、
xおよびyは1から15である。)
を含む。
【0531】
特定の実施形態において、Aは2’−OMeで修飾されたヌクレオシドである。特定の実施形態において、BおよびCは両方2’−Fで修飾されたヌクレオシドである。特定の実施形態において、Aは2’−OMeで修飾されたヌクレオシドであり、BおよびCは両方2’−Fで修飾されたヌクレオシドである。
【0532】
特定の実施形態において、オリゴヌクレオシドは以下の糖モチーフ:
5’−(Q)−(AB)
xA
y−(D)
Z
(式中、Qは安定したリン酸部分を含むヌクレオシドである。)
を有する。特定の実施形態において、Qは式IIcまたはIIeを有するヌクレオシドであり、
Aは第1の種類の修飾されたヌクレオシドであり、
Bは第2の種類の修飾されたヌクレオシドであり、
Dはこれに隣接しているヌクレオシドと異なる修飾を含む修飾されたヌクレオシドである。したがって、yが0である場合、DはB以外で異なって修飾されなければならず、yが1である場合、DはA以外で異なって修飾されなければならない。特定の実施形態において、DはAおよびBの両方と異なる。
【0533】
Xは5−15であり、
Yは0または1であり、
Zは0−4である。
【0534】
特定の実施形態において、オリゴヌクレオシドは以下の糖モチーフ:
5’−(Q)−(A)
x−(D)
Z
(式中、Qは安定したリン酸部分を含むヌクレオシドである。)を有する。特定の実施形態において、Qは式IIcまたはIIeを有するヌクレオシドであり、
Aは第1の種類の修飾されたヌクレオシドであり、
DはAと異なる修飾を含む修飾されたヌクレオシドであり、
Xは11−30であり、
Zは0−4である。
【0535】
特定の実施形態において、上記のモチーフにおけるA、B、CおよびDは、2’−OMe、2’−F、2’−MOE、LNAおよびcEtから選択される。特定の実施形態において、Dは末端ヌクレオシドを表す。特定の実施形態において、このような末端ヌクレオシドは標的核酸にハイブリダイズするように設計されていない(しかし1つ以上はたまにハイブリダイズし得る。)。特定の実施形態において、標的核酸の対応する位置における核酸塩基の同一性に関わらず、各々のDのヌクレオシドの核酸塩基はアデニンである。特定の実施形態において、各々のDのヌクレオシドの核酸塩基はチミンである。
【0536】
特定の実施形態において、ssRNAとしての使用に特に適したものを含む、アンチセンス化合物は、定義されたパターンまたは修飾されたヌクレオシド間結合モチーフにおいてオリゴヌクレオチドまたはこの領域に沿って配列された修飾されたヌクレオシド間結合を含む。特定の実施形態において、オリゴヌクレオチドは、交互のヌクレオシド間結合モチーフを有する領域を含む。特定の実施形態において、オリゴヌクレオチドは均一に修飾されたヌクレオシド間結合の領域を含む。特定のこのような実施形態において、オリゴヌクレオチドはホスホロチオエートヌクレオシド間結合によって均一に結合されている領域を含む。特定の実施形態において、オリゴヌクレオチドはホスホロチオエートヌクレオシド間結合によって均一に結合されている。特定の実施形態において、オリゴヌクレオチドの各々のヌクレオシド間結合はホスホジエステルおよびホスホロチオエートから選択される。特定の実施形態において、オリゴヌクレオチドの各々のヌクレオシド間結合はホスホジエステルおよびホスホロチオエートから選択され、少なくとも1つのヌクレオシド間結合はホスホロチオエートである。
【0537】
特定の実施形態において、オリゴヌクレオチドは少なくとも6個のホスホロチオエートヌクレオシド間結合を含む。特定の実施形態において、オリゴヌクレオチドは少なくとも8個のホスホロチオエートヌクレオシド間結合を含む。特定の実施形態において、オリゴヌクレオチドは少なくとも10個のホスホロチオエートヌクレオシド間結合を含む。特定の実施形態において、オリゴヌクレオチドは少なくとも6個の連続したホスホロチオエートヌクレオシド間結合の少なくとも1個のブロックを含む。特定の実施形態において、オリゴヌクレオチドは少なくとも8個の連続したホスホロチオエートヌクレオシド間結合の少なくとも1個のブロックを含む。特定の実施形態において、オリゴヌクレオチドは少なくとも10個の連続したホスホロチオエートヌクレオシド間結合の少なくとも1個のブロックを含む。特定の実施形態において、オリゴヌクレオチドは少なくとも1つの12個の連続したホスホロチオエートヌクレオシド間結合の少なくとも1個のブロックを含む。特定のこのような実施形態において、少なくとも1個のこのようなブロックはオリゴヌクレオチドの3’末端に位置する。特定のこのような実施形態において、少なくとも1個のこのようなブロックはオリゴヌクレオチドの3’末端の3個のヌクレオシド内に位置する。
【0538】
本明細書に記載されている様々な糖モチーフのいずれかを有するオリゴヌクレオチドは任意の結合モチーフを有してもよい。例えば、限定されないが、上記のものを含むオリゴヌクレオチドは非限定的な以下の表から選択された結合モチーフを有してもよい:
【0540】
(ii)siRNA化合物
特定の実施形態において、アンチセンス化合物は二本鎖RNAi化合物(siRNA)である。このような実施形態において、1つまたは両方の鎖はssRNAについて上記した任意の修飾モチーフを含んでもよい。特定の実施形態において、ssRNA化合物は修飾されていないRNAであってもよい。特定の実施形態において、siRNA化合物は修飾されていないRNAヌクレオシドを含んでもよいが、修飾されたヌクレオシド間結合を含んでもよい。
【0541】
いくつかの実施形態は、各々の鎖が1つ以上の修飾されたまたは修飾されていないヌクレオシドの位置により定義されているモチーフを含む、二本鎖組成物に関する。特定の実施形態において、デュプレックス領域を形成するために完全または少なくとも部分的にハイブリダイズされている第1および第2のオリゴマー化合物を含み、核酸標的に相補的であり、ハイブリダイズする領域をさらに含む組成物が提供されている。このような組成物は、核酸標的に対して完全または部分的に相補性を有するアンチセンス鎖である第1のオリゴマー化合物および第1のオリゴマー化合物と少なくとも1つのデュプレックス領域に対して相補性で、これを形成する1つ以上の領域を有するセンス鎖である第2のオリゴマー化合物を含むことが好適である。
【0542】
いくつかの実施形態の組成物は、この正常機能の損失を生じる核酸標的にハイブリダイズすることによって遺伝子発現を調節する。一部の実施形態において、標的核酸はeRNAである。特定の実施形態において、標的されたeRNAの分解は、本発明の組成物を用いて形成される活性化RISC錯体によって促進される。
【0543】
いくつかの実施形態は、鎖の1つが、例えば、RISC(または切断)錯体内への逆鎖の優先的な負荷に影響を与えるのに有用である、二本鎖組成物に関する。この組成物は、選択された核酸分子を標的化し、1つ以上の遺伝子の発現を調節するのに有用である。一部の実施形態において、本発明の組成物は標的RNAの正常機能の損失を生じる標的RNAの一部にハイブリダイズする。
【0544】
特定の実施形態は、両方の鎖が、ヘミマー(hemimer)モチーフ、完全に修飾されたモチーフ、位置的に修飾されたモチーフまたは交互のモチーフを含む、二本鎖組成物を記載している。本発明の組成物の各々の鎖は、例えばsiRNA経路において特定の役割を満たすように修飾されてもよい。各々の鎖内に異なるモチーフまたは各々の鎖内に異なる化学修飾を有する同じモチーフを使用して、センス鎖の組み込みを阻害しながら、RISC錯体についてのアンチセンス鎖を標的化することができる。このモデルにおいて、各々の鎖はこの特定の役割を増強するように独立して修飾されてもよい。アンチセンス鎖はRISCの1つの領域においてこの役割を増強するために5’末端にて修飾されてもよく、一方、3’末端はRISCの異なる領域においてこの役割を増強するように異なって修飾されてもよい。
【0545】
二本鎖オリゴヌクレオチド分子は、アンチセンス領域が標的核酸分子またはこの一部内のヌクレオチド配列に相補的であるヌクレオチド配列を含み、センス領域が標的核酸配列またはこの一部に対応するヌクレオチド配列を有する、自己相補的センスおよびアンチセンス領域を含む二本鎖ポリヌクレオチド分子であってもよい。二本鎖オリゴヌクレオチド分子は、一方の鎖がセンス鎖であり、他方がアンチセンス鎖である、2つの別のオリゴヌクレオチドから構築されてもよく、アンチセンスおよびセンス鎖は自己相補的である(すなわち各鎖は他の鎖内のヌクレオチド配列に相補的であるヌクレオチド配列を含み、したがってアンチセンス鎖およびセンス鎖はデュプレックスまたは二本鎖構造を形成し、例えば二本鎖領域は約15から約30、例えば約15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29または30塩基対であり、アンチセンス鎖は標的核酸分子またはこの一部内のヌクレオチド配列に相補的であるヌクレオチド配列を含み、センス鎖は標的核酸配列またはこの一部に対応するヌクレオチド配列を含む。(例えば、二本鎖オリゴヌクレオチド分子の約15から約25またはこれ以上のヌクレオチドは標的核酸またはこの一部に相補的である。)。あるいは、二本鎖オリゴヌクレオチドは、siRNAの自己相補的センスおよびアンチセンス領域が、核酸ベースまたは非核酸ベースのリンカー(複数可)によって結合されている、単一オリゴヌクレオチドから構築される。
【0546】
二本鎖オリゴヌクレオチドは、自己相補的センスおよびアンチセンス領域を有する、デュプレックス、非対称デュプレックス、ヘアピンまたは非対称ヘアピン二次構造を有するポリヌクレオチドであってもよく、アンチセンス領域は別の標的核酸分子またはこの一部内のヌクレオチド配列に相補的であるヌクレオチド配列を含み、センス領域は標的核酸配列またはこの一部に対応するヌクレオチド配列を有する。二本鎖オリゴヌクレオチドは、2つ以上のループ構造ならびに自己相補的センスおよびアンチセンス領域を含むステムを有する環状一本鎖ポリヌクレオチドであってもよく、アンチセンス領域は標的核酸分子またはこの一部内のヌクレオチド配列に相補的であるヌクレオチド配列を含み、センス領域は標的核酸配列またはこの一部に対応するヌクレオチド配列を有し、環状ポリヌクレオチドは、RNAiを媒介できる活性siRNA分子を生成するためにインビボまたはインビトロのいずれかで処理されてもよい。
【0547】
特定の実施形態において、二本鎖オリゴヌクレオチドは別のセンスおよびアンチセンス配列または領域を含み、センスおよびアンチセンス領域は当該技術分野において知られているようなヌクレオチドまたは非ヌクレオチドリンカー分子によって共有結合されるまたはイオン相互作用、水素結合、ファンデルワールス相互作用、疎水性相互作用および/またはスタッキング相互作用によって交互に非共有結合される。特定の実施形態において、二本鎖オリゴヌクレオチドは標的遺伝子のヌクレオチド配列に相補的であるヌクレオチド配列を含む。別の実施形態において、二本鎖オリゴヌクレオチドは標的遺伝子の発現の阻害を引き起こすように標的遺伝子のヌクレオチド配列と相互作用する。
【0548】
本明細書で使用されている場合、二本鎖オリゴヌクレオチドは、RNAのみを含有するこれらの分子に限定されることを必要としないが、化学的に修飾されたヌクレオチドおよび非ヌクレオチドをさらに包含する。特定の実施形態において、低分子干渉核酸分子は2’−ヒドロキシ(2’−OH)を含有するヌクレオチドを欠く。特定の実施形態において、低分子干渉核酸は場合によりリボヌクレオチド(例えば、2’−OH基を有するヌクレオチド)を1つも含まない。RNAiを支持するために分子内のリボヌクレオチドの存在を必要としないこのような二本鎖オリゴヌクレオチドは、しかしながら、2’−OH基を有する1つ以上のヌクレオチドを含有する付着したリンカーまたは他の付着したもしくは会合した基、部分もしくは鎖を有してもよい。場合により、二本鎖オリゴヌクレオチドはヌクレオチド位置の約5、10、20、30、40もしくは50%にてリボヌクレオチドを含んでもよい。本明細書で使用されている場合、siRNAという用語は、配列特異的RNAi、例えば、低分子干渉RNA(siRNA)、二本鎖RNA(dsRNA)、マイクロRNA(miRNA)、短ヘアピンRNA(shRNA)、低分子干渉オリゴヌクレオチド、低分子干渉核酸、低分子干渉修飾オリゴヌクレオチド、化学的に修飾されたsiRNA、転写後遺伝子サイレンシングRNA(ptgsRNA)およびその他を媒介できる核酸分子を示すために使用されている他の用語と等価であることを意味する。さらに、本明細書で使用されている場合、RNAiという用語は、転写後遺伝子サイレンシング、翻訳阻害またはエピジェネティックなどの配列特異的RNA干渉を示すために使用されている他の用語と等価であることを意味する。例えば、二本鎖オリゴヌクレオチドは転写後レベルおよび転写前レベルの両方において後成的に遺伝子をサイレンスするために使用されてもよい。非限定的な例において、本発明のsiRNA分子による遺伝子発現のエピジェネティック調節は、遺伝子発現を変化させるためにクロマチン構造またはメチル化パターンのsiRNA媒介性修飾から得られ得る(例えば、Verdelら、2004、Science、303、672−676、Pal−Bhadraら、2004、Science、303、669−672、Allshire、2002、Science、297、1818−1819、Volpeら、2002、Science、297、1833−1837、Jenuwein、2002、Science、297、2215−2218およびHallら、2002、Science、297、2232−2237を参照のこと。)。
【0549】
本明細書に提供されているいくつかの実施形態の化合物および組成物は、dsRNAにより媒介される遺伝子サイレンシングまたは例えば、自己相補的配列を有する単一RNA鎖が二本鎖構造を推測できる「ヘアピン」もしくはステムループ二本鎖RNAエフェクター分子またはRNAの2本の別の鎖を含むデュプレックスdsRNAエフェクター分子を含む、RNAi機構によりeRNAを標的化できることが意図される。種々の実施形態において、dsRNAは完全にリボヌクレオチドからなるまたは例えば、2000年4月19日に出願されたWO00/63364もしくは1999年4月21日に出願された米国特許出願番号第60/130,377号により開示されているRNA/DNAハイブリッドなどのリボヌクレオチドおよびデオキシヌクレオチドの混合物からなる。dsRNAまたはdsRNAエフェクター分子は、分子の1つのセグメントにおけるヌクレオチドが分子の別のセグメントにおけるヌクレオチドと塩基対合するように自己相補性領域を有する単一分子であってもよい。種々の実施形態において、単一分子からなるdsRNAは完全にリボヌクレオチドからなるまたはデオキシリボヌクレオチドの領域に相補的であるリボヌクレオチド領域を含む。あるいは、dsRNAは互いに相補的な領域を有する2つの異なる鎖を含んでもよい。
【0550】
種々の実施形態において、両方の鎖は完全にリボヌクレオチドからなり、1つの鎖は完全にリボヌクレオチドからなり、1つの鎖は完全にデオキシリボヌクレオチドからなるまたは一方もしくは両方の鎖はリボヌクレオチドおよびデオキシリボヌクレオチドの混合物を含有する。特定の実施形態において、相補性領域は互いに対しておよび標的核酸配列に対して少なくとも70、80、90、95、98または100%相補的である。特定の実施形態において、二本鎖構造に存在するdsRNAの領域は、少なくとも19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、50、75、100、200、500、1000、2000もしくは5000ヌクレオチドを含むまたはcDNAもしくはdsRNA内で表される他の標的核酸配列中のヌクレオチドの全てを含む。一部の実施形態において、dsRNAは一本鎖末端などの一本鎖領域を全く含有しないまたはdsRNAはヘアピンである。他の実施形態において、dsRNAは1つ以上の一本鎖領域またはオーバーハングを有する。特定の実施形態において、RNA/DNAハイブリッドは、アンチセンス鎖もしくは領域(例えば、標的核酸に対して少なくとも70、80、90、95、98もしくは100%相補性を有する。)であるDNA鎖または領域およびセンス鎖もしくは領域(例えば、標的核酸に対して少なくとも70、80、90、95、98もしくは100%同一性を有する。)であるRNA鎖または領域およびこれらの逆を含む。
【0551】
種々の実施形態において、RNA/DNAハイブリッドは、本明細書に記載されているものまたは2000年4月19日に出願されたWO00/63364もしくは1999年4月21日に出願された米国特許出願番号第60/130,377号に記載されているものなどの酵素または化学合成法を使用してインビトロで作製される。他の実施形態において、インビトロで合成されたDNA鎖は細胞内のDNA鎖の形質転換の前、後、または同時にインビボまたはインビトロで作製されたRNA鎖と複合体化される。さらに他の実施形態において、dsRNAはセンスおよびアンチセンス領域を含有する一本鎖環状核酸であるまたはdsRNAは環状核酸および第2の環状核酸もしくは直鎖状核酸のいずれかを含む(例えば、2000年4月19日に出願されたWO00/63364または1999年4月21日に出願された米国特許出願番号第60/130,377号を参照のこと。)。例示的な環状核酸は、ヌクレオチドの遊離5’ホスホリル基がループバック型において別のヌクレオチドの2’ヒドロキシル基に結合するラリアート構造を含む。
【0552】
他の実施形態において、dsRNAは、糖内の2’位が、ハロゲン(フッ素基など)を含有するまたは対応する2’位が水素もしくはヒドロキシル基を含有する対応するdsRNAと比較してインビトロもしくはインビボでdsRNAの半減期を増加させるアルコキシ基(メトキシ基など)を含有する1つ以上の修飾されたヌクレオチドを含む。さらに他の実施形態において、dsRNAは天然に存在するホスホジエステル結合以外の隣接するヌクレオチド間の1つ以上の結合を含む。このような結合の例には、ホスホラミド、ホスホロチオエートおよびホスホロジチオエート結合が含まれる。dsRNAはまた、米国特許第6,673,661号に教示されている化学的に修飾された核酸分子であってもよい。他の実施形態において、dsRNAは、例えば、2000年4月19日に出願されたWO00/63364または1999年4月21日に出願された米国特許出願番号第60/130,377号に開示されているように1つまたは2つのキャップされた鎖を含有する。
【0553】
他の実施形態において、dsRNAは、WO00/63364に開示されている少なくとも部分的にdsRNA分子のいずれかならびに米国仮特許出願第60/399,998号および米国仮特許出願第60/419,532号およびPCT/US2003/033466(これらの教示は参照により本明細書に組み込まれている。)に記載されているdsRNA分子のいずれかであってもよい。dsRNAのいずれかは、本明細書に記載されている方法またはWO00/63364に記載されているものなどの標準的な方法を使用してインビトロもしくはインビボで発現されてもよい。
【0554】
占有
特定の実施形態において、アンチセンス化合物は、RNase Hにより切断もしくは標的核酸を生じないことまたはRISC経路を介する切断もしくは隔離を生じないことが予想される。特定のこのような実施形態において、アンチセンス活性は占有から生じ得、ハイブリダイズされたアンチセンス化合物の存在が標的核酸の活性を破壊する。特定のこのような実施形態において、アンチセンス化合物は均一に修飾されてもよいまたは修飾ならびに/もしくは修飾されたおよび修飾されていないヌクレオシドの混合物を含んでもよい。
【0555】
特定の実施形態において、アンチセンスオリゴヌクレオチドはRNAse Hを活性化しない。いくつかの態様において、RNAse Hを活性化しないアンチセンスオリゴヌクレオチドは、タウをコードする核酸配列に対して相補的であり、4R:3Rタウ比を減少させるためにタウをコードする核酸のスプライシングを破壊する。
【0556】
いくつかの実施形態のアンチセンスオリゴヌクレオチドは、4R:3Rタウ比を減少させるためにタウをコードする核酸のスプライシングを破壊できる。スプライシングプロセスはスプライシング因子によって媒介される一連の反応であり、これは転写後であるが、翻訳前にRNAにおいて実施され、イントロン(複数可)が除去され、エクソンは連続して一緒に結合し、それによりタンパク質が翻訳され得る。各々のイントロンは、5’スプライス部位、3’スプライス部位およびこれらの間に位置する分岐点によって定義されている。アンチセンスオリゴヌクレオチドは、オリゴヌクレオチドが完全もしくは部分的のいずれかで要素と重なる場合または通常、この要素で生じる特定のスプライシング反応を媒介するスプライシング因子の結合および機能を破壊するために要素に十分に近い位置においてmRNA前駆体に結合する場合、これらのスプライス要素を遮断できる。アンチセンスオリゴヌクレオチドは特定の実施形態を実施するために種々の異なるスプライス要素を遮断できる。例えば、アンチセンスオリゴヌクレオチドは、変異要素、潜在要素または天然要素を遮断でき、これは、5’スプライス部位、3’スプライス部位または分岐点を遮断できる。
【0557】
RNase Hを活性化しないアンチセンスオリゴヌクレオチドを作製する方法は当該技術分野において公知である。例えば、本明細書に参照により組み込まれている米国特許第5,149,797号を参照のこと。このようなアンチセンスオリゴヌクレオチドは、オリゴヌクレオチドを含むデュプレックス分子に対するRNase Hの結合を立体的に妨げるまたは防ぐが、デュプレックス形成を実質的に妨げないまたは破壊しない1つ以上の構造的修飾を含有できる。RNAse Hを活性化しないアンチセンスオリゴヌクレオチドは、ヌクレオチド間架橋リン酸残基の少なくとも1つ、2つまたはこれ以上が、メチルホスホネート、メチルホスホノチオエート、ホスホロモルホリデート、ホスホロピペラジデートおよびホスホロアミデートなどの修飾されたリン酸塩である、オリゴヌクレオチドを含んでもよい。例えば、ヌクレオチド間架橋リン酸残基の1つおきは、修飾されたリン酸塩であってもよく、2’低級アルキル部分(例えば、メチル、エチル、エテニル、プロピル、1−プロペニル、2−プロペニルおよびイソプロピルなどのC1−C4、直鎖または分岐、飽和または不飽和アルキル)またはこれらの組合せを含有する。好ましい実施形態において、RNAse Hを活性化せず、4R:3Rタウ比を減少させるためにタウをコードする核酸のスプライシングを破壊する本発明のアンチセンスオリゴヌクレオチドは、2’−O−(2−メトキシエチル)(MOE)−修飾アンチセンスオリゴヌクレオチドである。
【0558】
RNAse Hの結合を妨げるためにオリゴヌクレオチドを修飾する他の方法は、P.Furdonら、Nucleic Acids Res.17、9193−9204(1989)、S.Agrawalら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA 87、1401−1405(1990)、C.Bakerら、Nucleic Acids Res.18、3537−3543(1990)、B.Sproatら、Nucleic Acids Res.17、3373−3386(1989)、R.WalderおよびJ.Walder、Proc.Natl.Acad.Sci.USA 85、5011−5015(1988)に見出され得、これらの全ての開示はそれらの全体が参照により本明細書に組み込まれている。
【0559】
医薬組成物を製剤化するための組成物および方法
アンチセンスオリゴヌクレオチドは、製剤の医薬組成物を調製するための医薬として許容される活性または不活性物質と混合され得る。医薬組成物を製剤化するための組成物および方法は、限定されないが、投与経路、疾患の程度または投与される用量を含む、多くの基準に依存する。
【0560】
タウ核酸を標的とするアンチセンス化合物は、アンチセンス化合物を適切な医薬として許容される希釈剤または担体と組み合わせることによって医薬組成物に利用され得る。医薬として許容される希釈剤には、リン酸緩衝生理食塩水(PBS)が含まれる。PBSは非経口で送達される組成物における使用に適した希釈剤である。したがって、一実施形態において、タウ核酸を標的とするアンチセンス化合物および医薬として許容される希釈剤を含む医薬組成物が本明細書に記載されている方法に利用される。特定の実施形態において、医薬として許容される希釈剤はPBSである。特定の実施形態において、アンチセンス化合物はアンチセンスオリゴヌクレオチドである。
【0561】
ヒトを含む動物に投与されると、任意の医薬として許容される塩、エステルもしくはこのようなエステルの塩または任意の他のオリゴヌクレオチドを包含するアンチセンス化合物を含む医薬組成物は、生物学的に活性な代謝産物またはこの残留物を(直接または間接に)提供できる。したがって、例えば、この開示はまた、アンチセンス化合物の医薬として許容される塩、プロドラッグ、このようなプロドラッグの医薬として許容される塩および他の生物学的等価物を示している。適切な医薬として許容される塩には、限定されないが、ナトリウムおよびカリウム塩が含まれる。プロドラッグは、活性アンチセンス化合物を形成するために身体内の内因性ヌクレアーゼにより切断されるアンチセンス化合物の一端または両端にてさらなるヌクレオシドの組み込みを含んでもよい。
【0562】
特定の実施形態において、アンチセンスオリゴヌクレオチドは、この生理学的および医薬として許容される塩、すなわち親化合物の所望の生物活性を保持し、これに望ましくない毒性効果を与えない塩を含んでもよい。このような塩の例は、(a)ナトリウム、カリウム、NH4+、マグネシウム、カルシウムなどのカチオン、スペルミンおよびスペルミジンなどのポリアミンなどにより形成された塩、(b)無機酸、例えば、塩酸、臭化水素酸、硫酸、リン酸、硝酸などにより形成された酸付加塩、(c)例えば、酢酸、シュウ酸、酒石酸、コハク酸、マレイン酸、フマル酸、グルコン酸、クエン酸、リンゴ酸、アルコルビン酸、安息香酸、タンニン酸、パルミチン酸、アルギン酸、ポリグルタミン酸、ナフタレンスルホン酸、メタンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、ナフタレンジスルホン酸、ポリガラクツロン酸などの有機酸により形成された塩ならびに(d)塩素、臭素およびヨウ素などの元素アニオンから形成された塩である。
【0563】
投与
特定の実施形態のアンチセンスオリゴヌクレオチドはいくつかの異なる手段によって対象に投与され得る。例えば、オリゴヌクレオチドは一般に、所望の場合、従来の非毒性の医薬として許容される担体、アジュバントおよびビヒクルを含有する投薬単位製剤において非経口、腹腔内、血管内または肺内に投与され得る。好ましい実施形態において、オリゴヌクレオチドは非経口に投与され得る。
【0564】
本明細書で使用されている場合、非経口という用語は、皮下、静脈内、筋肉内、くも膜下または胸骨下注射または注入技術を含む。医薬組成物の製剤は、例えば、Hoover,John E.、Remington’s Pharmaceutical Sciences、Mack Publishing Co.、Easton、Pa.(1975)ならびにLiberman、H.A.およびLachman,L.編、Pharmaceutical Dosage Forms、Marcel Decker、New York、NY.(1980)に説明されている。
【0565】
注射剤、例えば、無菌注射用水性または油性懸濁剤が、適切な分散剤または湿潤剤および懸濁化剤を使用して公知の技術に従って製剤化され得る。無菌注射剤はまた、非毒性の非経口的に許容される希釈剤または溶剤中の無菌注射用液剤または懸濁剤であってもよい。とりわけ、利用され得る許容されるビヒクルおよび溶剤は、水、リンガー溶液および生理食塩水であってもよい。さらに、無菌の不揮発性油が溶剤または懸濁媒体として従来のように利用される。この目的のために、合成モノグリセリドまたはジグリセリドを含む、任意の無刺激の不揮発性油が利用されてもよい。さらに、オレイン酸などの脂肪酸が注射剤に有用である。ジメチルアセトアミド、イオン性および非イオン性洗剤を含む界面活性剤ならびにポリエチレングリコールが使用されてもよい。上記で説明されているものなどの溶剤および湿潤剤の混合物もまた、有用である。
【0566】
送達方法は好ましくは、血液脳関門を回避するのに有効であり、中枢神経系に薬剤を送達するのに有効であるものである。例えば、送達方法はナノ粒子の使用を含んでもよい。粒子は、アンチセンスオリゴヌクレオチドが含まれる限り、単層または複層などの任意の適切な構造であってもよい。
【0567】
N−[1−(2,3−ジオレオイルオキシ)プロピル)−N,N,N−トリメチルアンモニウムメチルスルフェートすなわち「DOTAP」などの正電荷を持つ脂質が、このような粒子および小胞に特に好ましい。このような脂質粒子の製剤は当該技術分野において周知である。例えば、Janoffらによる米国特許第4,880,635号、Kuronoらによる同第4,906,477号、Wallachによる同第4,911,928号、Wallachによる同第4,917,951号、Allenらによる同第4,920,016号、Wheatleyらによる同第4,921,757号などを参照のこと。
【0568】
一実施形態において、本明細書に提供されている化合物は中枢神経系内にボーラスで直接投与され得る。本明細書に提供されている化合物は、1回または複数回、ボーラスで対象に投与され得る。一部の好ましい実施形態において、本明細書に提供されている化合物は1回投与され得る。他の好ましい実施形態において、本明細書に提供されている化合物は複数回投与され得る。複数回投与される場合、本明細書に提供されている化合物は、一定の間隔または対象の治療の間、変化し得る間隔で投与され得る。一部の実施形態において、本明細書に提供されている化合物は、対象の治療の間、変化し得る間隔で複数回投与され得る。一部の実施形態において、本明細書に提供されている化合物は一定の間隔で複数回投与され得る。
【0569】
別の好ましい実施形態において、本明細書に提供されている化合物は中枢神経系内への持続注入によって投与され得る。持続注入によって中枢神経系内へ本明細書に提供されている化合物を送達するために使用され得る方法の非限定的な例には、ポンプ、ウエハ、ゲル、泡状物質およびフィブリン塊が含まれ得る。好ましい実施形態において、本明細書に提供されている化合物は浸透圧ポンプを使用した持続注入によって中枢神経系内へ送達され得る。浸透圧ミニポンプは、標的とされた送達組成物を含有するビヒクルにより充填された、柔軟性があり、さらに不浸透性のリザーバを囲む高浸透圧チャンバを備える。このミニポンプの皮下移植の後で、細胞外液は外側半透過性膜を通して高浸透圧チャンバ内に進入し、それにより、制御された規定された速度にて標的とされた送達組成物を放出するためにリザーバを圧縮する。ポンプから放出された標的とされた送達組成物は、脳室内空間内への注入のために定位に配置されたカニューレにカテーテルを介して誘導され得る。特定の実施形態において、本明細書に提供されている化合物は、実施例に記載されているようにポンプを使用した持続注入によって中枢神経系内へ送達され得る。
【0570】
別の好ましい実施形態において、本明細書に提供されている化合物は、くも膜下投与によって中枢神経系内へ送達され得る。カテーテルは動物のくも膜下腰椎腔内に配置され得る。カテーテルの近位端は皮膚を通して延び得る投薬台に取り付けられ得る。さらなる実施形態において、本明細書に提供されている化合物はボーラス注射として投与され得る。他の実施形態において、本明細書に提供されている化合物は持続注入として投与され得る。
【0571】
コンジュゲートアンチセンス化合物
アンチセンス化合物は、得られるアンチセンスオリゴヌクレオチドの活性、細胞分布または細胞取り込みを増強する1つ以上の部分またはコンジュゲートに共有結合され得る。典型的なコンジュゲート基には、コレステロール部分および脂質部分が含まれる。さらなるコンジュゲート基には、炭水化物、リン脂質、ビオチン、フェナジン、葉酸、フェナントリジン、アントラキノリン、アクリジン、フルオレセイン、ローダミン、クマリンおよび染料が含まれる。
【0572】
アンチセンス化合物はまた一般に、例えば、ヌクレアーゼ安定性などの特性を増強させるためにアンチセンス化合物の一端または両端に付着されている1つ以上の安定化基を有するように修飾されてもよい。安定化基に含まれるのはキャップ構造である。これらの末端修飾はエキソヌクレアーゼ分解から末端核酸を有するアンチセンス化合物を保護し、細胞内に送達および/または局在化するのに役立ち得る。キャップは5’末端(5’キャップ)もしくは3’末端(3’キャップ)に存在し得るまたは両方の末端に存在し得る。キャップ構造は当該技術分野において周知であり、例えば、反転したデオキシ脱塩基キャップを含む。さらに、ヌクレアーゼ安定性を与えるためにアンチセンス化合物の一端または両端をキャップするために使用され得る3’および5’安定化基は、2003年1月16日に公開されたWO03/004602に開示されているものを含む。
【0573】
細胞培養およびアンチセンス化合物治療
タウ核酸のレベル、活性または発現に対するアンチセンス化合物の効果は種々の細胞種類においてインビトロで試験され得る。このような分析のために使用された細胞種類は商業的な販売業者(例えば、American Type Culture Collection、Manassus、VA、Zen−Bio,Inc.、Research Triangle Park、NC、Clonetics Corporation、Walkersville、MD)から入手可能であり、市販されている試薬(例えば、Invitrogen Life Technologies、Carlsbad、CA)を使用して販売業者の指示書に従って培養される。例示的な細胞種類には、限定されないが、SH−SY5YおよびA172が含まれる。
【0574】
アンチセンスオリゴヌクレオチドのインビトロ試験
他のアンチセンス化合物との治療のために適切に修飾され得る、アンチセンスオリゴヌクレオチドにより細胞を治療するための方法が本明細書に記載されている。
【0575】
細胞が培養中でおおよそ60−80%コンフルエンシーに到達する場合、細胞はアンチセンスオリゴヌクレオチドにより治療され得る。
【0576】
アンチセンスオリゴヌクレオチドを培養細胞内に導入するために一般的に使用されている1つの試薬には、カチオン性脂質トランスフェクション試薬LIPOFECTIN(Invitrogen、Carlsbad、CA)が含まれる。アンチセンスオリゴヌクレオチドは、アンチセンスオリゴヌクレオチドの所望の最終濃度および100nMのアンチセンスオリゴヌクレオチド当たり2から12ug/mLの範囲であり得るLIPOFECTIN濃度を達成するためにOPTI−MEM1(Invitrogen、Carlsbad、CA)中でLIPOFECTINと混合され得る。
【0577】
アンチセンスオリゴヌクレオチドを培養細胞内に導入するために使用されている別の試薬には、LIPOFECTAMINE(Invitrogen、Carlsbad、CA)が含まれる。アンチセンスオリゴヌクレオチドは、アンチセンスオリゴヌクレオチドの所望の濃度および100nMのアンチセンスオリゴヌクレオチド当たり2から12ug/mLの範囲であり得るLIPOFECTAMINE濃度を達成するためにOPTI−MEM1が減少した血清培地(Invitrogen、Carlsbad、CA)中でLIPOFECTAMINEと混合される。
【0578】
アンチセンスオリゴヌクレオチドを培養細胞内に導入するために使用されている別の技術には、エレクトロポレーションが含まれる。
【0579】
細胞は慣例の方法によってアンチセンスオリゴヌクレオチドにより処理される。細胞はアンチセンスオリゴヌクレオチド処理の16−24時間後に収集され得、その時に標的核酸のRNAまたはタンパク質レベルが、当該技術分野において公知であり、本明細書に記載されている方法によって測定される。一般に、処理が複数回反復して実施される場合、データは複数回処理の平均として提示されている。
【0580】
使用されるアンチセンスオリゴヌクレオチドの濃度は細胞株間で異なる。特定の細胞株についての最適なアンチセンスオリゴヌクレオチド濃度を求める方法は当該技術分野において周知である。アンチセンスオリゴヌクレオチドは典型的に、LIPOFECTAMINEによりトランスフェクトされる場合、1nMから300nMの範囲の濃度で使用される。アンチセンスオリゴヌクレオチドは、エレクトロポレーションを使用してトランスフェクトされる場合、625から20,000nMの範囲のより高い濃度で使用される。
【0581】
RNA単離
RNA分析は全細胞RNAまたはポリ(A)+mRNAにおいて実施され得る。RNA単離の方法は当該技術分野において周知である。RNAは、当該技術分野において周知の方法を使用して調製され、例えば、製造業者により推奨されているプロトコルに従ってTRIZOL試薬(Invitrogen、Carlsbad、CA)を使用して調製される。
【0582】
標的レベルまたは発現の阻害の分析
タウ核酸のレベルまたは発現の阻害は当該技術分野において公知の様々な方法においてアッセイされ得る。例えば、標的核酸レベルは、例えば、ノーザンブロット分析、競合ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)または定量的リアルタイムPCRによって定量され得る。RNA分析は全細胞RNAまたはポリ(A)+mRNAにおいて実施され得る。RNA単離の方法は当該技術分野において周知である。ノーザンブロット分析もまた、当該技術分野において慣用されている。定量的リアルタイムPCRは、PE−Applied Biosystems、Foster City、CAから入手可能な市販されているABI PRISM7600、7700または7900配列検出システムを使用して簡便に達成され得、製造業者の指示書に従って使用され得る。
【0583】
標的RNAレベルの定量的リアルタイムPCR分析
標的RNAレベルの定量は、製造業者の指示書に従ってABI PRISM7600、7700または7900配列検出システム(PE−Applied Biosystems、Foster City、CA)を使用した定量的リアルタイムPCRによって達成され得る。定量的リアルタイムPCRの方法は当該技術分野において周知である。
【0584】
リアルタイムPCRの前に、単離されたRNAは、後でリアルタイムPCR増幅のための基質として使用される相補的DNA(cDNA)を産生する、逆転写酵素(RT)反応に供される。RTおよびリアルタイムPCR反応は同じ試料ウェル中で連続して実施される。RTおよびリアルタイムPCR試薬はInvitrogen(Carlsbad,CA)から得られ得る。RTリアルタイムPCR反応は当業者に周知の方法によって実施される。
【0585】
リアルタイムPCRによって得られた遺伝子(またはRNA)標的量は、サイクロフィリンAなどの発現が一定である遺伝子の発現レベルを使用して正規化されるまたはRIBOGREEN(Invitrogen,Inc.Carlsbad、CA)を使用して全RNAを定量することによって正規化される。サイクロフィリンA発現は、標的と同時に実施し、多重化することにより、または別々にリアルタイムPCRによって定量される。全RNAは、RIBOGREEN RNA定量試薬(Invitrogen,Inc.Eugene、OR)を使用して定量される。RIBOGREENによるRNA定量の方法はJones,L.J.ら(Analytical Biochemistry、1988、265、368−374)に教示されている。CYTOFLUOR 4000機器(PE Applied Biosystems)がRIBOGREEN蛍光を測定するために使用される。
【0586】
プローブおよびプライマーはタウ核酸とハイブリダイズするように設計される。リアルタイムPCRプローブおよびプライマーを設計するための方法は当該技術分野において周知であり、プライマー発現ソフトウェア(Applied Biosystems、Foster City、CA)などのソフトウェアの使用を含み得る。
【0587】
標的DNAレベルの定量的リアルタイムPCR分析
標的DNAレベルの定量は、製造業者の指示書に従ってABI PRISM7600、7700または7900配列検出システム(PE−Applied Biosystems、Foster City、CA)を使用した定量的リアルタイムPCRによって達成され得る。定量的リアルタイムPCRの方法は当該技術分野において周知である。
【0588】
リアルタイムPCRによって得られた遺伝子(またはDNA)標的量は、サイクロフィリンAなどの発現が一定である遺伝子の発現レベルを使用して正規化されるまたはRIBOGREEN(Invitrogen,Inc.Carlsbad、CA)を使用して全DNAを定量することによって正規化される。サイクロフィリンAの発現は、標的と同時に実施し、多重化することにより、または別々にリアルタイムPCRによって定量される。全DNAは、RIBOGREEN RNA定量試薬(Invitrogen,Inc.、Eugene、OR)を使用して定量される。RIBOGREENによるDNA定量の方法は、Jones,L.J.ら(Analytical Biochemistry、1998、265、368−374)に教示されている。CYTOFLUOR 4000機器(PE Applied Biosystems)がRIBOGREEN蛍光を測定するために使用される。
【0589】
プローブおよびプライマーはタウ核酸とハイブリダイズするように設計される。リアルタイムPCRプローブおよびプライマーを設計するための方法は当該技術分野において周知であり、プライマー発現ソフトウェア(Applied Biosystems、Foster City、CA)などのソフトウェアの使用を含み得る。
【0590】
タンパク質レベルの分析
タウ核酸のアンチセンス阻害はタウタンパク質レベルを測定することによって評価され得る。タウのタンパク質レベルは、免疫沈降、ウェスタンブロット分析(免疫ブロット法)、酵素結合免疫吸着測定法(ELISA)、定量的タンパク質アッセイ、タンパク質活性アッセイ(例えば、カスパーゼ活性アッセイ)、免疫組織化学、免疫細胞化学または蛍光活性化細胞選別装置(FACS)などの当該技術分野において周知の様々な方法で評価または定量され得る。標的に対する抗体は、様々な源から識別され、得られ得るまたは当該技術分野において周知の従来のモノクローナルもしくはポリクローナル抗体生成法により調製され得る。
【0591】
アンチセンス化合物のインビボ試験
アンチセンス化合物、例えば、アンチセンスオリゴヌクレオチドは、タウの発現を阻害し、表現型の変化を生じるこれらの能力を評価するために動物において試験される。試験は非トランスジェニック動物において実施され得るまたは実験的疾患モデルにおいて実施され得る。動物への投与のために、アンチセンスオリゴヌクレオチドはリン酸緩衝生理食塩水などの医薬として許容される希釈剤中で製剤化される。投与には、腹腔内、静脈内、皮下、くも膜下、および脳室内などの投与の非経口経路が含まれる。アンチセンスオリゴヌクレオチド投薬量および投与頻度の計算は当業者の能力の範囲内であり、投与経路および動物の体重などの要因に依存する。アンチセンスオリゴヌクレオチドによる治療の期間の後、RNAは脳組織から単離され、タウ核酸発現の変化が測定される。タウDNAレベルの変化もまた、測定される。タウタンパク質レベルの変化もまた、測定される。タウスプライシングの変化もまた、測定される。
【0592】
タウスプライシング
本明細書に提供されている特定の実施形態はタウにおける異なるスプライシングに関する。したがって、いくつかの実施形態は、タウを低下させることまたはタウをコードする核酸のスプライシングを変化させることによってタウ関連疾患を治療する方法を提供する。タウは複数の組織において見られるタンパク質であるが、特にニューロンの軸索に豊富である。タウの主要機能は、有糸分裂、細胞質分裂および小胞輸送に関与する細胞骨格の重要な構造成分である微小管に結合し、安定化することである。ヒトにおいて、エクソン2、3および10の選択的スプライシングによって生成されるタウの6個のアイソフォームが存在する。タンパク質のN末端におけるエクソン2および3のスプライシングは、0、1または2個の29アミノ酸、酸性ドメインの封入を生じ、それぞれ0N、1Nまたは2Nタウと呼ばれている。C末端におけるエクソン10の封入はエクソン10によってコードされた微小管結合ドメインの封入を導く。タウにおけるいずれかの場所に3つの微小管結合ドメインが存在するので、このタウのアイソフォーム(含まれているエクソン10を有する。)は4Rタウと呼ばれ、ここでRは微小管結合ドメインのリピートの数を指す。エクソン10を有さないタウは3Rタウと呼ばれている。健康な対象において、3R:4Rタウの比は、3Rタウだけを発現する胎児組織および3R/4Rタウのおおよそ等しいレベルを発現する成人組織により発生的に調節される。3R:4Rタウの正常な比からの逸脱は、FTDタウオパチーなどの神経変性症候群の特徴である。本質的に、この方法は対象の中枢神経系において4R:3Rタウ比を減少させる。
【0593】
対象の中枢神経系における4R:3Rタウ比は、正常でもよい、低くてもよいまたは高くてもよい。本明細書で使用されている場合、中枢神経系における「正常な4R:3Rタウ比」は、神経変性疾患を患っていない同じ種由来の対象であり、おおよそ同じ年齢である、中枢神経系における4R:3Rタウ比と実質的に同じである中枢神経系における4R:3Rタウ比を示す。一部の実施形態において、この方法は対象の中枢神経系における正常な4R:3Rタウ比を低下させる。他の実施形態において、この方法は対象の中枢神経系における低い4R:3Rタウ比を低下させる。
【0594】
特定の実施形態において、この方法は対象の中枢神経系における高い4R:3Rタウ比を低下させる。特定の実施形態において、この方法は対象においてタウをコードする核酸のスプライシングの異常により引き起こされる高い4R:3Rタウ比を低下させる。対象においてタウをコードする核酸のスプライシングの異常は、例えば、タウをコードする核酸のスプライシングを変化させ、高い4R:3Rタウ比を導く遺伝子変異によって引き起こされ得る。変異は、新しく異常なスプライス要素を生じる置換変異または欠失変異のいずれかであってもよい。タウをコードする核酸のスプライシングを変化させ得、高い4R:3Rタウ比を導き得る遺伝子変異の非限定的な例には、N279K、P301S、Ll280、L284L、N296H、N296N、Ll296N、P301S、G303V、E10+11、E10+12、E10+13、E+10+14およびE10+16およびE10+19が含まれ得る。特定の実施形態は、対象にアンチセンス化合物を投与し、タウの発現を低下させることまたはタウをコードする核酸のスプライシングを変化させることによって対象の中枢神経系における4R:3Rタウ比を低下させる方法に関する。
【0595】
特定の指標
特定の実施形態において、本明細書に記載されている1つ以上の医薬組成物を投与するステップを含む、個体を治療する方法が本明細書に提供されている。特定の実施形態において、個体は神経変性疾患を有する。特定の実施形態において、個体は、限定されないが、アルツハイマー病、前頭側頭型認知症(FTD)、FTDP−17、進行性核上麻痺(PSP)、慢性外傷性脳障害(CTE)、大脳皮質基底核神経節変性症(CBD)、てんかんおよびドラベ症候群を含む、神経変性疾患を発症するリスクがある。特定の実施形態において、個体はタウ関連疾患を有すると識別されている。特定の実施形態において、個体におけるタウ発現を予防的に減少させる方法が本明細書に提供されている。特定の実施形態において、個体におけるタウスプライシングを予防的に調節する方法が本明細書に提供されている。特定の実施形態は、タウ核酸を標的とする治療有効量のアンチセンス化合物を個体に投与することによって、これを必要とする個体を治療するステップを含む。
【0596】
特定の実施形態において、タウ核酸を標的とする治療有効量のアンチセンス化合物の投与は、アンチセンス化合物の投与に対する個体の反応を決定するために、個体におけるタウレベルおよびタウアイソフォームをモニタリングすることによって達成される。アンチセンス化合物の投与に対する個体の反応は、治療的介入の量および期間を決定するために医師により使用されてもよい。
【0597】
特定の実施形態において、タウ核酸を標的とするアンチセンス化合物の投与は、少なくとも15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95もしくは99%またはこれらの値の任意2つにより定義されている範囲のタウ発現の減少を生じる。特定の実施形態において、タウ核酸を標的とするアンチセンス化合物の投与は、少なくとも15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95もしくは99%またはこれらの値の任意の2つにより定義されている範囲のタウ発現の4Rアイソフォームの減少を生じる。特定の実施形態において、タウ核酸を標的とするアンチセンス化合物の投与は、動物における記憶障害の減少、不安の減少、運動機能の改善および/または発作もしくは発作の重症度の減少を起こす。特定の実施形態において、タウアンチセンスの投与は、少なくとも15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95もしくは99%、またはこれらの値の任意の2つにより定義されている範囲で記憶障害の減少、不安の減少、運動機能の改善および/または発作もしくは発作の重症度の減少を起こす。
【0598】
特定の実施形態において、タウを標的とするアンチセンス化合物を含む医薬組成物は、アルツハイマー病、前頭側頭型認知症(FTD)、FTDP−17、進行性核上麻痺(PSP)、慢性外傷性脳障害(CTE)、大脳皮質基底核神経節変性症(CBD)、てんかんおよびドラベ症候群を含む、神経変性疾患を患っているまたは罹りやすい患者を治療するための医薬を調製するために使用される。
【0599】
特定のスプライシング化合物
特定の実施形態において、スプライシング化合物は神経変性症候群を治療するのに有用である。特定の実施形態において、このようなスプライシング化合物は、4Rタウ(神経変性症候群に関連している。)から3Rタウへのタウアイソフォームの変化を生じる、エクソン10の排除を促進する。特定の実施形態において、このようなスプライシング化合物は、各々のヌクレオシドが高い親和性修飾を含む、アンチセンスオリゴヌクレオチドである。特定の実施形態において、スプライシング化合物はヒトタウ遺伝子配列に相補的である。特定の実施形態において、スプライシング化合物は配列番号1(ヌクレオチド2624000から2761000まで切断されたGENBANK受託番号NT_010783.14)に相補的である。
【0600】
請求された方法に使用するための特定のスプライシング化合物は、本明細書以下の実施例において記載されていおり、ISIS415883、ISIS415885、ISIS415887、ISIS549595、ISIS549617、ISIS549619およびISIS549620を含む。
【0601】
ISIS415883は、配列(5’から3’)TCTTATTAATTATCTGCACC(配列番号12)を有する20核酸塩基長であり、各々のヌクレオシドは2’−MOE修飾を含む。各々のヌクレオシド間結合はホスホロチオエート結合であり、全てのシトシン残基は5−メチルシトシンである。
【0602】
ISIS415885は、配列(5’から3’)CCAGCTTCTTATTAATTATC(配列番号13)を有する20核酸塩基長であり、各々のヌクレオシドは2’−MOE修飾を含む。各々のヌクレオシド間結合はホスホロチオエート結合であり、全てのシトシン残基は5−メチルシトシンである。
【0603】
ISIS415887は、配列(5’から3’)TAAGATCCAGCTTCTTATTA(配列番号14)を有する20核酸塩基長であり、各々のヌクレオシドは2’−MOE修飾を含む。各々のヌクレオシド間結合はホスホロチオエート結合であり、全てのシトシン残基は5−メチルシトシンである。
【0604】
ISIS549595は、配列(5’から3’)GGACGTGTGAAGGTACTC(配列番号15)を有する18核酸塩基長であり、各々のヌクレオシドは2’−MOE修飾を含む。各々のヌクレオシド間結合はホスホロチオエート結合であり、全てのシトシン残基は5−メチルシトシンである。
【0605】
ISIS549617は、配列(5’から3’)GCCCAAGAAGGATTTATT(配列番号16)を有する18核酸塩基長であり、各々のヌクレオシドは2’−MOE修飾を含む。各々のヌクレオシド間結合はホスホロチオエート結合であり、全てのシトシン残基は5−メチルシトシンである。
【0606】
ISIS549619は、配列(5’から3’)TCCTGAGAGCCCAAGAAG(配列番号17)を有する18核酸塩基長であり、各々のヌクレオシドは2’−MOE修飾を含む。各々のヌクレオシド間結合はホスホロチオエート結合であり、全てのシトシン残基は5−メチルシトシンである。
【0607】
ISIS549620は、配列(5’から3’)CAGATCCTGAGAGCCCAA(配列番号18)を有する18核酸塩基長であり、各々のヌクレオシドは2’−MOE修飾を含む。各々のヌクレオシド間結合はホスホロチオエート結合であり、全てのシトシン残基は5−メチルシトシンである。
【0608】
特定の比較化合物
特定の実施形態において、本明細書に記載されているスプライシング化合物は特定の比較化合物と比較される。特定の実施形態において、本明細書に記載されているスプライシング化合物は、インビトロまたはインビボでの効果、有効性または耐容性に関して比較化合物より良く機能する。特定の実施形態において、比較化合物はヒトタウ遺伝子配列に相補的である。特定の実施形態において、スプライシング化合物は配列番号1(ヌクレオチド2624000から2761000まで切断されたGENBANK受託番号NT_010783.14)に相補的である。
【0609】
特定の比較化合物は、本明細書以下の実施例に記載されており、ISIS617782およびISIS617781を含む。
【0610】
ISIS617782は、配列(5’から3’)TGAAGGTACTCACACTGCCGC(配列番号19)を有する21ヌクレオシド長であり、各々のヌクレオシドは2’−OCH
3修飾を含む。各々のヌクレオシド間結合はホスホロチオエート結合であり、全てのシトシン残基は5−メチルシトシンである。
【0611】
ISIS617781は、配列(5’から3’)TATCTGCACCTTTGGTAG(配列番号20)を有する18ヌクレオシド長であり、各々のヌクレオシドは2’−OCH
3修飾を含む。各々のヌクレオシド間結合はホスホロチオエート結合であり、全てのシトシン残基は5−メチルシトシンである。
【0612】
本明細書以下に記載されているように、ISIS415883は、Lipofectamine2000(登録商標)を使用してトランスフェクトした培養したA172細胞での6点用量反応曲線(0、0.1、0.3、1、3、10または30nM)において0.65nMのIC50を達成したのに対して、ISIS617781は20.25nMのIC50を達成した。ヒトタウプライマープローブセット10_11が使用された。このように、ISIS415883は比較化合物ISIS617781より有効である。本明細書以下の実施例8を参照のこと。
【0613】
本明細書以下に記載されているように、ISIS549595、ISIS549617、ISIS549619およびISIS549620は(それぞれ)、ヒトタウプライマープローブセット10_11を使用した5nMのオリゴヌクレオチドと共にLipofectamine2000(登録商標)を使用してトランスフェクトした培養したA172細胞での未処置の対照レベルと比較して20%、31.8%、41.7%および35.6%のタウエクソン10mRNA発現を達成した。ISIS617781は、ヒトタウプライマープローブセット10_11を使用した10nMのオリゴヌクレオチドと共にLipofectamine2000(登録商標)を使用してトランスフェクトした培養したA172細胞での未処置の対照レベルと比較して65%タウエクソン10mRNA発現を達成した。したがって、ISIS549595、ISIS549617、ISIS549619およびISIS549620は、ISIS617781が、ISIS549595、ISIS549617、ISIS549619およびISIS549620の2倍の用量にて投与された場合でさえ、比較化合物ISIS617781より効果的である。本明細書以下の実施例8および9を参照のこと。
【0614】
本明細書以下に記載されているように、ISIS549595、ISIS549619、ISIS549620は(それぞれ)、ヒトタウプライマープローブセット9_10R5を使用した5nMのオリゴヌクレオチドと共にLipofectamine2000(登録商標)を使用してトランスフェクトした培養したA172細胞での未処置の対照レベルと比較して26%、42%および35%のタウエクソン10mRNA発現を達成した。ISIS617782は、ヒトタウプライマープローブセット9_10R5を使用した3nMのオリゴヌクレオチドと共にLipofectamine2000(登録商標)を使用してトランスフェクトした培養したA172細胞での未処置の対照レベルと比較して55%のタウエクソン10mRNA発現を達成し、10nMのオリゴヌクレオチドと共にLipofectamine2000(登録商標)を使用してトランスフェクトした培養したA172細胞での未処置の対照レベルと比較して34%のタウエクソン10mRNA発現を達成した。本明細書以下の実施例8および10を参照のこと。
【実施例】
【0615】
非限定的な開示および参照による組み込み
本明細書に記載されている特定の化合物、組成物および方法が特定の実施形態に従って具体的に記載されているが、以下の実施例は、本明細書に記載されている化合物を例示するためだけに与えられ、これらを限定することを意図しているわけではない。本出願に列挙されている参照の各々はこの全体が参照により本明細書に組み込まれている。
【0616】
実施例セット1
以下の実施例は本発明の様々な反復を例示する。
【0617】
実施例1−7への導入
タンパク質性凝集体の蓄積は神経変性疾患の決定的な特徴のうちの1つである。これらのタンパク質がどのように疾患を引き起こし、これらがどのように後で除去されるのかは解明されていないままである。微小管結合タンパク質であるタウは、前頭側頭型認知症(FTD)、アルツハイマー病(AD)、進行性核上麻痺および大脳皮質基底核神経節変性症を含む複数の神経変性症候群において見出されている1つのこのような凝集したタンパク質である。タウ媒介性神経変性を理解することはこれらの障害のための重要な治療方針を導き得る。以下の実施例における研究は、タウレベルを低下させることによってならびに2つの異なるタウアイソフォームである3Rおよび4Rタウの比を変化させることによって認知症のマウスモデルにおいて行動的影響および病理学的異常をどのように防止するかに焦点を当てている。
【0618】
タウの主要機能は、有糸分裂、細胞質分裂および小胞輸送に関与する細胞骨格の重要な構造成分である微小管に結合し、安定化することである。タウは複数の組織において見られているが、特にニューロンの軸索に豊富にある。ヒトにおいて、エクソン2、3および10の選択的スプライシングによって生成されるタウの6個のアイソフォームが存在する。タンパク質のN末端におけるエクソン2および3のスプライシングは、ゼロ、1または2個の29アミノ酸、酸性ドメインの封入を導き、それぞれ0N、1Nまたは2Nタウと呼ばれている。タウ機能に対するこれらのドメインの影響は明確にされていない。C末端におけるエクソン10の封入はエクソン10によってコードされた微小管結合ドメインの封入を導く。タウにおけるいずれかの場所に3個の微小管結合ドメインが存在するので、このタウアイソフォーム(含まれているエクソン10を有する。)は4Rタウと呼ばれ、ここでRは微小管結合ドメインのリピートの数を指す(
図1)。エクソン10を有さないタウは3Rタウと呼ばれている。多くの微小管結合ドメイン(3Rと比較して4R)が恐らく、微小管への結合を増加させるので、4Rタウは微小管結合特性を変化させると推定される。3R/4Rタウの比は、ほぼ3Rタウだけを発現する胎児組織および3R/4Rタウのおおよそ等しいレベルを発現する成人組織により発生的に調節される。3R/4Rタウの正常な比からの逸脱は神経変性FTDタウオパチーの特徴である。成体動物の後期段階において3R/4Rタウ比の変化がタウ発症にどのように影響を与えるのかは知られていない。
【0619】
セリン−トレオニンにより誘導されるリン酸化はタウの微小管結合能力を調節する。リン酸化は微小管からのタウの解離を促進する。タウの他の翻訳後修飾が記載されているが、これらの有意性は不明確である。タウのリン酸化はまた、胎児組織において、より高いリン酸化および成体において非常に低いリン酸化により発生的に調節される。神経変性障害の1つの特徴は異常に増加したタウリン酸化である。
【0620】
タウ微小管ネットワークは、細胞の形態を維持し、輸送機構を作動するのに必要な構造的完全性を含む細胞内の多くの重要なプロセスに関与する。微小管へのタウの結合は微小管を安定化するので、タウはこれらのプロセスのいくつかの重要なメディエーターである可能性があり、神経変性疾患における正常なタウの破壊はこれらの重要な細胞プロセスのいくつかを破壊し得る。正常な細胞プロセスにおけるタウについての重要な役割を示唆しているデータを考慮すると、タウノックアウト動物が明白な表現型を有さないことは驚くべきことである。
【0621】
タウが神経変性症候群において重要であり得ることの早期の指標の1つは、タウがアルツハイマー病における神経原線維変化の重要な成分であるという認識であった。アミロイドベータを含有するプラークと共に、神経原線維変化はアルツハイマー病の特徴であり、認知機能障害と顕著に相関する。ADにおけるタウ蓄積の95%は神経突起において見出されており、神経炎ジストロフィーと呼ばれている。この微小管に結合したタンパク質が微小管から解離され、タンパク質の蓄積を形成するプロセスおよびこのプロセスが神経毒性にどのように関連しているかは十分に理解されていない。最近の実験により、タウは、アミロイドベータにより誘導される毒性の重要なメディエーターであり得ることが示唆されている。タウノックアウト動物はアミロイドベータにより誘導される毒性から保護される。動物は、アミロイドベータプラークを発生するが、トランスジェニックアミロイド−3沈着マウスに特有な行動的表現型を発生しない。タウアイソフォームの発生的調節およびADの成体発生を考慮すると、成体の動物におけるタウの低下しているレベルが、タウが成体と同様に発生的に欠失しているこの実験によって示唆されているように神経防護作用を提供するかどうかを理解することが重要である。アルツハイマーのマウスおよびFTDモデルマウスにおける神経変性に対するタウの低下しているレベルの効果を測定することは以下の実施例の別の中心的な問題である。後期発症のアルツハイマー病の患者からのデータは、アルツハイマー病を有する患者の中で、増加したCSFタウが、早期年齢の発症を導き得ることを示唆しており、タウがアルツハイマー病の病理の成分だけでなく、疾患の過程にも直接影響を与え得ることを示している。このことは、患者における低下しているタウレベルがアルツハイマー病の患者の過程を遅延させ得るという可能性を強める。
【0622】
神経タウ封入体は、アルツハイマー病だけでなく、前頭側頭型認知症(FTD)、PSPおよびCBDのサブセットの病理学的特徴でもある。タウと神経変性との関係は、タウ遺伝子における変異がFTDのサブセットを引き起こすという発見により強固なものにされた。これらの遺伝子データはまた、タウの3R:4R比の重要性を強調している。FTDを引き起こすタウ変異体の多くは、エクソン10の優先的な封入を導き、それにより4Rタウの増加を導くタウスプライシングの変化を導く。全体のタウレベルは正常である。タウアイソフォームの変化またはアミノ酸の変化またはこれらの両方が神経変性を引き起こすかどうかは未知のままである。最近のデータは、PSPがまた、増加した4R:3Rタウ比に関連し得、それにより同様のスプライシングストラテジーを受け入れやすくなり得ることを示唆している。
【0623】
神経変性に対するタウ比の影響を理解するのに役立つように、スプライシングタウ変異(N279K)の1つに基づいたマウスモデルが、タウプロモーターおよびエクソン10の隣接するイントロン配列を含むミニ遺伝子を使用して生成されている。ヒトと同様に、これらのマウスは、WTタウを発現するトランスジェニックと比較して増加したレベルの4Rタウを実証しており、行動的および運動異常ならびに脳および脊髄内の凝集したタウの蓄積を発生する。非常に興味深いことに、N279K変異が、CMVプロモーターにより誘導される、さらなるトランスジェニック系統もまた、生成された。これらのCMV−N279K動物は胎児および成体段階の両方において4Rタウのみを有し、いかなる疾患も発症しない。したがって、CMV−N279Kマウスが同じ変異を有しているので、N279K毒性がN279Kアミノ酸変化から生じる可能性は低い。同様に、CMV−N279Kマウスは、等しいレベルの4Rタウを発現するが、疾患を発症しないので、増加した4R単独の発現は疾患を引き起こさないと推定される。むしろ、これらのデータは、タウ病因が正常な4R:3R比および/またはタウプロモーター自体から離れた変化に依存していることを示唆している。重要な未対処問題は、成体動物における4R:3R比の減少が神経変性を防ぐかどうかである。
【0624】
アンチセンスオリゴヌクレオチドは、タウノックダウンを達成するためおよびタウスプライシングを調節するために使用される。本発明者らは中枢神経系におけるアンチセンスオリゴヌクレオチドの使用の先駆者である。オリゴは血液脳関門を横切らないが、この問題は、脳および脊髄全体を循環している脳脊髄液(CSF)内にオリゴを直接注入することによって解決される。オリゴの直接的なCSF注入は、脳脊髄液により満たされた脳内の空間である右側脳室内に移植されたカテーテルにプラスチックチューブを介して接続された浸透圧ポンプ(アルゼットポンプ)を使用して行われる(
図2)。ポンプは一定の速度で脳室内に薬物を送達する。本発明者らによる以前のデータは、ラットおよびアカゲザルの両方の脳および脊髄全体にわたるオリゴの広範な分布、変異SOD1G93Aの発現に基づいたALSの動物モデルにおける標的特異性および神経防護作用を実証している。驚くべきことに、アンチセンスオリゴは、脳の全ての領域を標的とする脳実質内により深くおよび均一に浸透する。
【0625】
典型的なアンチセンスオリゴはRNAse Hを活性化することによって遺伝子発現を低下させるように設計され、それによりオリゴが結合する標的mRNAを切断する。オリゴはまた、RNAse Hを活性化しないが、イントロンまたはエクソン/イントロン境界に結合し、特定のエクソンの封入または排除を促進するように設計されてもよい。このストラテジーはSMNについてのマウスにおいて成功しており、この遺伝子の非存在は脊髄性筋萎縮症を引き起こす。エクソン10の排除を促進し、それにより4R対3Rタウ比を低下させる同様のストラテジーは以下に記載されている。異常な4R:3Rタウ比の低下は、タウタンパク質配列が異常なままであるとしても、タウN279Kマウスにおいて行動の欠陥および病理学的変化を低下させるのに十分であり得る。
【0626】
[実施例1] インビトロでのマウスタウノックダウン
組織培養物中のタウmRNAのレベルを低下させるアンチセンスオリゴヌクレオチドは識別されている。マウスタウレベルを低下させるように設計された80個のアンチセンスオリゴがマウス細胞株内へのトランスフェクションによりスクリーニングされた(
図3A)。これらの結果から、10個のアンチセンスオリゴがこのアッセイにおいて相対的に良好な活性を有すると判断された。これらの10個のオリゴがマウス細胞株における用量反応曲線において試験された(
図3B)。10個のオリゴのうちの9個はこのアッセイにおいて活性であり、トランスフェクトされていない対照と比較してタウmRNAの>80%の低下を実証した。2個の異なるスクランブルオリゴは最も高い用量にて15%のノックダウンを引き起こし、より低い用量においてタウmRNAレベルに対する効果はなかった。
【0627】
トランスフェクトされていない対照と比較してタウmRNAの>80%の低下を実証している、このアッセイにおける特定の活性オリゴ(すなわち、オリゴヌクレオチド)がさらなる研究において前もって得られた。
【0628】
[実施例2] インビボでのマウスタウノックダウン(マウスモデルにおける全身投与によるマウスタウのアンチセンス阻害の効果)
上記の研究からのアンチセンスオリゴヌクレオチドがインビボでの試験のために選択された。アンチセンスオリゴヌクレオチドは5−10−5MOEギャップマーとして設計され、20ヌクレオチド長であり、中心ギャップセグメントは10個の2’デオキシヌクレオシドからなり、各々5ヌクレオシドを含むウイングによって両側で(5’および3’方向において)隣接している。2’−MOE修飾として5’ウィングセグメントにおける各々のヌクレオシドおよび3’ウィングセグメントにおける各々のヌクレオシド。ギャップマー全体にわたるヌクレオシド間結合はホスホロチオエート(P=S)結合である。ギャップマー全体にわたる全てのシトシン残基は5−メチルシトシンである。
【0629】
上記のインビトロ研究(
図3)から、5個のオリゴがインビボで試験するために選択された。最初に、オリゴは、1週間に3回で3週間、37.5mg/kgの腹腔内送達により試験された。3週間後、肝臓の1片および血液試料が採取された。血液は、血清中で検出可能な肝臓に見られるタンパク質である、「肝臓酵素」を測定することによって遺伝毒性について試験するために使用された。肝臓毒性の環境において、これらの酵素(ALTおよびAST)は増加する。肝臓酵素は2倍未満で変化し、これらのオリゴは毒性である可能性が低いことが示される。
【0630】
mRNAが肝臓から単離され、マウスタウmRNAレベルが、対照としてGAPDHを使用したQPCRによって測定された。オリゴの3つ(#2、4、5)はタウmRNAレベルを約50%低下させたが、この結果においてかなりのばらつきが存在し、これは肝臓試料中のタウmRNAの低い量に部分的に起因する(データは示さず。)。
【0631】
実施例:直接海馬投与によるタウのアンチセンス阻害の効果
オリゴのさらなる試験として、オリゴ2、4、5が、直接海馬注射によってスクリーニングされた。生理食塩水またはスクランブルオリゴまたは50μgのアンチセンスオリゴヌクレオチドが、60日齢の非トランスジェニックマウスの右海馬内への定位固定注射によって注入された。1週後、マウスを安楽死させ、注射周囲の領域を単離し、mRNAを調製するために使用した。マウスタウmRNAレベルは、全てのタウアンチセンスオリゴを注射した海馬において>75%低下した(
図4A)。
【0632】
実施例:脳室内投与によるタウのアンチセンス阻害の効果
トランスジェニックアミロイド−3沈着マウスにおける行動を調節するための治療パラダイムは、アンチセンスオリゴヌクレオチドの脳室内注射を使用した脳全体の治療に関与するので、最も活性のあるアンチセンスオリゴ(タウ5、
図4A)が脳室内注射によって次に試験された。
【0633】
研究1
生理食塩水またはタウ#5が、(
図2に記載されているように)動物の背骨における皮下ポケットに埋め込まれたアルゼット浸透圧ポンプに接続された留置カテーテルを使用して100μg/日にて(8週齢のC57BL6マウスの)右側脳室内に注入された。30日後、動物を安楽死させ、mRNAを右前頭葉の区域から調製した。タウmRNAレベルはQPCRによって分析された。正規化群としてGAPDHを使用して、タウmRNAのノックダウンは、アンチセンスオリゴヌクレオチドにより治療した動物において約95%であった(
図4B)。タウタンパク質もまた、タウ5アンチセンスオリゴヌクレオチドによって明確に低下した(
図4C)。
【0634】
研究2
より低い用量のタウ5オリゴ(すなわちオリゴヌクレオチド)の有効性もまた、試験された。100μg/日の現在の用量は毒性のあらゆる証拠を有さずに十分な耐容性があった。より低い用量のタウ5オリゴ(すなわちオリゴヌクレオチド)の有効性もまた、アルゼットポンプシステムにより25、50および100μg/日を使用して試験された。4から5匹の8週齢の非トランスジェニックBL6マウス/群が使用された。試験した最も低い用量(25μg/日)は脳タウレベルに対してノックダウンにおいて依然として効果的であった(
図5)。
【0635】
研究3
さらに、アルゼットポンプによる脳室内注入後のタウ5オリゴの半減期もまた、試験された。8週齢の非トランスジェニックBL6マウスを使用した脳室内注入は、3−6匹のマウス/群を使用して、上記の通りであった。タウ5オリゴが、1ヶ月間、25および50μg/日にて注入された。次いで注入後すぐ、注入の1ヶ月後および3ヶ月後に脳が採取された。脳のタウレベルは注入の12週後に顕著に低いままであった(
図6)。
【0636】
実施例:脳室内投与によるタウ#5ASOの作用期間
アンチセンスオリゴを使用してタウノックダウンをさらに特徴付けるために、タウ5オリゴが、オリゴのマウス内への注射後の発症の期間を試験するために使用された(
図7)。手短に述べると、50μgの海馬ボーラスが、12週齢のC57BL6マウス内に注射され(50μg/μl溶液の1μlが5分間0.2μl/分にて注入された。)、脳が、注射の25時間後、48時間後および72時間後(+/−2時間)において採取された。脳の4片−右RNA、右タンパク質、左RNA、左タンパク質が採取された(
図7A)。右RNAおよび右タンパク質片がそれぞれ、qRT−PCR(
図7B)およびウェスタンブロット分析(
図7C)のために使用された。タウmRNAレベルはボーラスの24時間後のみでさえ著しく低下し、48および72時間において低下し続けている(
図7B)。タウタンパク質レベルはウェスタンブロットにより24および48時間の時点で低下しているように見えず(
図7C)、mRNAノックダウンとタウのタンパク質ノックダウンとの間で遅延が存在することを示唆している。しかしながら、72時間でタンパク質レベルは低下し始め、それにより1週間でタウタンパク質レベルが顕著に低下している(
図7C)。
【0637】
[実施例3] ヒトタウスプライシングの変化
生理食塩水またはインビトロ研究においていくつかの3Rタウを有する主に4Rからいくつかの4Rタウを有する主に3Rタウへタウアイソフォームを劇的に変化させ、特に4Rタウレベルを低下させるように設計されたスプライシングオリゴ(すなわち、「スプライシングオリゴ1」同様にISIS415883、「スプライシングオリゴ2」同様にISIS415885および「スプライシングオリゴ3」同様にISIS415887)が、全長ヒトタウを発現するhタウマウス内への定位固定注射によって海馬内に注入された。マウスを1週間後に安楽死させ、脳実質が、QPCRによってヒト4RタウmRNAについて検査され、ヒト3RタウmRNAについて検査された(
図9)。オリゴは4Rタウレベルを明確に低下させる。これらはまた、3Rレベルを増加させるように見える。これらのデータは、オリゴがインビボで活性であることを実証している。
【0638】
4Rタウに対するタウ415883の効果もまた、アルゼットポンプによる脳室内注入後に試験された。14週齢の非トランスジェニックBL6マウスを使用した脳室内注入は、11−12匹のマウス/群を使用して、上記の通りであった。タウ415883オリゴが、28日間、50μg/日にて注入された。相対的脳4Rタウレベルは顕著に低下した(
図8)。
【0639】
同様の実験が1ヶ月の脳室内注入を使用して実施された(
図10)。
【0640】
[実施例4] PTZ誘発性発作
実施例:PTZ誘発性発作に対するタウのアンチセンス阻害の効果
発作が、ペンチレンテトラゾール(pentelenetetrazoll)(PTZ)を使用して様々なマウスにおいて誘発され、定量された。マウスは15分間テープに録画され、盲目様式で後でスコア付けされる。到達した最終段階が記録される。要約すると、50mg/kgのPTZが、mタウ−/−およびmタウ+/−マウス内にip注射された。mタウ+/+マウスは対照として使用された。mタウを欠損しているマウスは、PTZ誘発性発作に対して、より抵抗性があった(
図11Aおよび11B)。
【0641】
発作はまた、タウノックダウンオリゴまたはタウスプライシングオリゴ(ISIS415883ともいう)により治療されたマウスにおいて誘発され、測定された。要約すると、3ヶ月齢のC57/BL6オスは、25μg/日のオリゴを28日間投与された。ポンプが取り除かれ、発作誘発前にポンプを取り除いた後、3週間、動物を静置させた。発作はip注射を使用して55mg/kgのPTZを使用して誘発された。マウスは15分間テープに録画され、盲目様式で後でスコア付けされる。この結果は、ノックダウンおよびスプライシングオリゴがPTZ誘発性発作に対してマウスを保護できたことを示す(
図12Aおよび12B)。
【0642】
[実施例5] N297Kマウスにおける体重増加に対するノックダウンおよびスプライシングオリゴヌクレオチドの効果
N279Kマウスは、ビヒクル、スクランブルオリゴヌクレオチド、ヒトタウノックダウンオリゴヌクレオチド、ヒトタウスプライシングオリゴヌクレオチド(すなわち、ISIS415883)および非Tg生理食塩水により治療された。この結果は、ヒトタウノックダウンオリゴヌクレオチド、ヒトタウスプライシングオリゴヌクレオチドおよび非Tg生理食塩水により治療されたマウスは、ビヒクル単独により治療されたマウスより顕著に体重が増加したことを示す(
図13)。
【0643】
[実施例6] 4Rタウレベルを低下させることによるN279Kタウオパチーマウスにおけるスプライシング異常の反転
成体N279Kエクソン10変異マウスにおいて4Rタウレベルを低下させることは、これらのマウスにおける行動的および病理学的表現型を改良できる。タウN279Kマウスは、エクソン10の封入を促進することによって、タウの異常なスプライシングを引き起こすタウ変異体の1つに基づく。エクソン10の封入は、タウの全体のレベルに影響を与えずに、3Rタウと比較して増加した4Rを導く。マウスは典型的に、ロータロッドおよび水迷路上での欠陥を含む、6ヶ月にて運動および認知行動異常を発症する。これらの欠陥は12ヶ月にて悪化する。様々なタウモデルに特有であるように、これらの動物のおおよそ25%は、重度の運動麻痺を発症し、(平均45週齢にて)コホートの残りの前に死ぬ。この深刻な運動欠陥を有する動物の割合は各群において測定され得、これらの動物は他の行動試験に含まれ得ない。脳の病理学的変化は6ヶ月で軽度であり、1年で顕著になる。この変化は、増加したタウならびにニューロンおよび星状膠細胞におけるリン酸タウ染色ならびに増加したカスパーゼ3活性化を含む。病理はまた、ニューロンにおける陽性ガリアス(Gallyas)銀染色、凝集したタウからなるものなどの異常繊維を検出する染色および神経細胞を分解する指標である、フルオロジェイド(Fluorojade)B陽性染色を含んだ。
【0644】
治療の目標は、N279K変異体によって増加し、エクソン10の優先的な封入を引き起こす、N279Kマウスにおける4R:3R比を低下させることである。インビボで実証されているように(
図9)、エクソン10の封入を低下させ、それにより4R:3Rタウ比を低下させるタウスプライシングオリゴが使用され得る。スプライシングを変化させるアンチセンスオリゴ、対照オリゴまたは生理食塩水は、3ヶ月齢のN279Kマウスの右側脳室内に注入され得る。病理は6ヶ月齢で開始するので、発症前である3ヶ月が選択された。対照群は生理食塩水単独または対照オリゴにより治療された動物である。両方は4R:3R比を低下させるオリゴにより治療された動物と比較され得る。群の各々は非トランスジェニック、未処置のマウスと比較され得る。
【0645】
N279Kマウスの3つの群(生理食塩水、オリゴ対照、4R:3Rタウスプライシングオリゴ)およびポンプを用いない非トランスジェニックマウスの群が行動分析について6ヶ月齢および12ヶ月齢にて検査され得る。行動学的研究において非トランスジェニックマウスを含むことは、N279Kマウス動物が実際に行動の欠陥を発症することを実証し得、行動異常を防ぐことができる治療の程度を理解するのに役立つ。N279Kマウスにおける統計比較および治療効果に関して、重要な比較は4R:3Rタウスプライシングオリゴと比較した生理食塩水およびオリゴ対照であり得る。急性運動麻痺を発症するマウス(25%と予想された)は、これらが30秒間あおむけに置かれた後、自分自身で正しい位置にもはや戻ることができない場合、死んでいると決定され得る。これらの動物について計画されている主要な分析は存在しないが、組織が任意の可能な将来の分析のために保持され得、各群におけるこの表現型を有する動物の数がスコア付けされ得る。Washington University Behavioral Coreと共同して、明確な衰弱を発症しない動物に関して、ラジアルアームモリス水迷路が6ヶ月および12ヶ月にて分析され得る。ロータロッド能力もまた、分析され得る。1年齢にて、マウスを安楽死させた。安楽死の直前に、CSFが採取され得る。次いで脳が採取され得る。脳の左半分は10%ホルマリンで固定され得、スクロースにより凍結防止され得、タウ、リン酸タウの免疫細胞化学のために切片化され得、カスパーゼ3を活性化され得る。ガリアス染色およびフルオロジェイド染色もまた、実施され得る。脳の右半分が生化学分析のために使用され得る。全タウmRNAおよびタンパク質レベルならびに4R:3R比が分析され得る。
【0646】
上記の実施例に記載されている予備データを考慮して、アンチセンスオリゴヌクレオチドによりN279Kマウスにおけるスプライシング異常を反転させることが起こり得るようである。以前のデータは、病因が、4R含有タンパク質における絶対レベルまたはミスセンスバリアントよりむしろ3R対4Rタウの比の変化から生じることを示唆している。これはCMVプロモーターによって駆動されたN279Kミニ遺伝子構築物を有するタウマウスによって証明されている。これらの動物は胎児および成体の両方の動物において4Rタウの増加したレベルを有する。しかしながら、これらはタウ病理または行動異常のいずれも発症しない。したがって、これはタウプロモーター自体および/または疾患に重要であるように見える4R:3Rを増加させるスイッチである。これらの実験は、成体動物におけるタウ比の変化が有益であり得るかどうかに関する重要な問題を扱い得る。
【0647】
実施例:N279Kタウオパチーマウスにおけるヒトタウスプライシングに対するアンチセンスオリゴヌクレオチド治療の効果
タウスプライシングに対するASO(すなわち、アンチセンスオリゴヌクレオチド)の効果がインビボで試験された。N279Kタウオパチーマウス(Dawson,H.Nら、Neurosci.27:9155−9168、2007)がこのアッセイに使用された。タウN279Kマウスはエクソン10の封入を促進することによってタウの異常スプライシングを引き起こすタウ変異体の1つに基づく。エクソン10の封入は、タウの全体のレベルに影響を与えずに3Rと比較して増加した4Rを導く。エクソン10のスプライシングにおけるASOの効果およびこれらのマウスにおいて得られた4R:3R比が評価された。
【0648】
研究1
トランスジェニックマウスは、PBSまたは60μg/日のASO(すなわち、ISIS549595、ISIS549617、ISIS549619およびISIS549620)を28日間注入された。マウスは29日目に屠殺され、カニューレ周囲の皮質組織が採取され、QPCRによってヒト4RタウmRNAについて検査され、ヒト3RタウmRNAについて検査された(
図20)。ASOによる治療は4Rタウレベルを低下させ、3Rレベルを増加させた。
【0649】
[実施例7] アルツハイマー病様病理を有するマウスにおけるタウレベルの調節
アミロイド前駆体タンパク質(APP)トランスジェニックモデルに関して、J20系統(表1)が使用され得、これは、PDGFプロモーターの制御下でスウェーデン(K670M/N671L)およびインディアナ(V717F)家族性アルツハイマー病(AD)変異体を有するhAPPミニ遺伝子を発現する。J20系統アルツハイマーマウスにおける行動の欠陥は典型的に4−7ヶ月で起こり、新しい環境のモリス水および調査における欠陥を含む。さらに、動物の約15%は不明確の理由のために早期に(6−8ヶ月で)死んだが、恐らく発作に関連している。死は、前日に健康であるように見える動物において典型的に起こり、また急性事象に続発すると推定される。欠失したマウスタウの1つまたは両方のコピーを有するJ20系統APPマウスは、全ての動物におけるモリス水迷路での良好な能力、オープンフィールド調査および正常な寿命によって証明されているようにアミロイドベータ誘発性毒性から保護される。アミロイドプラーク沈着は、2−4ヶ月にてわずかのみのJ20動物、6ヶ月にて50%および8−10ヶ月にてほぼ100%で起こる。タウ欠失はJ20系統においてアミロイドプラークレベルに影響を与えない。
【0650】
3ヶ月齢におけるJ20系統アルツハイマーマウスは、マウスタウmRNAおよびタンパク質を明確に低下させる、タウ5オリゴ、アンチセンスオリゴヌクレオチドにより治療され得る(
図4)。2つの対照群が存在し得、一方は生理食塩水により治療され得、他方はスクランブルアンチセンスオリゴヌクレオチド対照により治療され得る。行動の欠陥は4から7ヶ月齢の間で現れ、J20系統は2−4ヶ月にてアミロイドベータ蓄積を有さないので、3ヶ月が発症前として選択された。治療はオリゴまたは生理食塩水で満たされた浸透圧ポンプに接続された脳室内カテーテルの配置からなり得る。
【0651】
各々一腹の動物はオスおよびメスの群に分けられ得る。次いでオスおよびメスは治療パラダイムに均等およびランダムに割り当てられ得る。外科手術後、治療群を示すケージカードが動物の番号割り当てと置き換えら得、それによりマウスを監視している検査技師は治療ストラテジーに対して盲目にされ得る。
【0652】
J20 APPマウスの3つの群(生理食塩水、オリゴ対照、タウに対するアンチセンスオリゴ)および非トランスジェニックマウスの群は、水迷路、y迷路および新たな環境の調査において認知機能について6ヶ月齢および12ヶ月齢にて検査され得る。行動研究において非トランスジェニックマウスを含むことは、J20APP動物が実際に行動の欠陥を発症することを実証でき、行動異常を防ぐことができる治療の程度を理解するのに役立つ。J20 APPマウスにおける統計比較および治療効果に関して、重要な比較はタウに対するアンチセンスオリゴと比較した生理食塩水およびオリゴ対照であり得る。これらの行動研究は、Dr.David Wozniakによって運営されているWashington UniversityにおけるAnimal Behavioral Coreと共同して実施され得る。このcoreは全てのWashington Universityの調査員に対して開かれており、動物施設内に位置し、行動測定に関して豊富な経験を有する(hopecenter.wustl.edu/cores/animalBehavior)。1年齢にて動物を安楽死させた。安楽死の直前に、脳脊髄液が取り出され得る。次いで脳が採取され得る。脳の左半分はスクロースにより凍結防止した10%ホルマリンにより固定され得、海馬の尾の領域を通る脳梁膝由来のアミロイドベータの免疫細胞化学のために切片化され得る。ウサギパンA13抗体により識別されている免疫反応性アミロイドベータ沈着によって覆われた表面積の割合(A13負荷パーセント)が、記載されている立体的原理に従って定量され得る。脳の右半分は生化学分析のために使用され得る。CSFアミロイドベータを含む、アミロイドベータレベルは変化しないこと、ならびにタウmRNAおよびタンパク質レベルは組織ホモジネートを使用して治療した動物において実際に低下することが確認され得る。J20 APPは、アミロイドベータ沈着および認知変化を含む、アルツハイマー病のいくつかの態様を繰り返す。しかしながら、これらはタウ病理を発症しない。次いでタウ病理学検査はこの実験のセットについて実施されなくてもよいが、組織は、当該分野における将来の研究によって提案されるこのまたは任意の他の測定の潜在的分析のために保持され得る。
【0653】
成体APPトランスジェニックマウスにおける全体のタウレベルの低下は、アミロイド13誘発性毒性からマウスを保護できることが予想される。
【0654】
実施例1−7についての方法
有効なアンチセンスオリゴヌクレオチドのスクリーニングおよび識別
全体の目標は、後の研究に使用され得る、有効な効果を有し、毒性のない1つまたは2つのアンチセンスオリゴを識別することである。この最初の研究は大きな労力を要し、時間を浪費するが、これらの最初の研究において最適なオリゴを識別することは、トランスジェニックマウスを使用したこの計画の興味のある治療部分を首尾良く完了するのに必須である。アンチセンスオリゴヌクレオチドはIsis Pharmaceuticals,Incによって生成されている。使用されたオリゴヌクレオチドは、20マーのホスホロチオエート、2’−O−(2−メトキシエチル)(MOE)修飾アンチセンスオリゴヌクレオチドである。
【0655】
ステップ1.)インビトロ選別:おおよそ80オリゴヌクレオチドが典型的に培養細胞中でインビトロでスクリーニングされる。このプロセスは典型的に良好な効率を示す8−10オリゴを識別し、インビボノックダウンのために使用され得る。
【0656】
ステップ2.)脳および脊髄選別:先行経験により、オリゴは血液脳関門を横切らないと推定されるので、これらのアンチセンスオリゴが、周辺(腹腔内、皮下または静脈)における送達後に脳および脊髄に到達しないことは実証されている。オリゴは血液脳関門を横切らないので、アンチセンスオリゴは脳に直接送達されることを必要とする。2つの方法が脳内のオリゴを選別するために使用される。第1は直接的な脳実質注射である。この技術は直接的であり、ポンプの挿入を必要とせず、1週間後にオリゴの効果を再生することを導くので、これはオリゴをスクリーニングするための優れた方法である。この技術はオリゴが脳内で活性であるかどうかの問題を扱う。
【0657】
スクリーニングするための第2の方法は、1ヶ月間、浸透圧ポンプによる脳室内送達である。これは動物モデルの治療に必要とされるようなより広範な送達を導く。脳脊髄液は脳および脊髄を浸し、したがって脳および脊髄全体への薬物送達システムとして役立つ。脳脊髄液に薬物を送達するために、カテーテルが側室脳に配置される。側室脳にアクセスするために、小さい穴が(定位固定装置を使用して)頭蓋骨にドリルで開けられ、浸透圧ポンプ(アルゼット)に接続されたカテーテルが挿入される。右側室脳内への持続注入は、薬物を脳脊髄液に送達し、次いでこの薬物は脳および脊髄全体に広範に分散される。典型的な用量は、28日間、100μg/日であり、個々のオリゴについて最適であり得る。浸透圧ポンプは30日間持続するが、皮膚内に小さな切開を生成し、プラスチックチューブを外し、新たなポンプを再接続し、次いで皮膚を再縫合することによって新たなポンプと置き換えられてもよい。これらのカテーテルは、9ヶ月より多い期間、維持される。マウスはこの処置を十分に耐える。
【0658】
アンチセンスオリゴヌクレオチドの耐容性:
脳における選別の一部はオリゴの耐容性の評価を含む。この技術に関してしばしば起こる1つの懸念は、多くの第1世代のアンチセンスオリゴヌクレオチドに関連している毒性である。新たな「第2世代」オリゴの使用は以下の理由のために低下した毒性を実証している。第1に、オリゴ化学は過去10年にわたって非常に改良されている。現在の「第2世代」オリゴは、有効性を増加させ、免疫刺激を低下させる修飾を含む。第2に、現在、オリゴに対していくらかの免疫反応を引き起こす生物学がより良く理解されている。本明細書に使用されているものなどのホスホロチオエートオリゴデオキシヌクレオチドは、主にToll様受容体9(TLR−9)との相互作用により免疫系の細胞を活性化することが十分に認識されているが、TLR−9独立経路も同様に存在する。特に特定の免疫原性配列モチーフおよび現在の化学物質を回避することは、この免疫刺激を最小化することに役立つ。第3に、最も有効なオリゴを選択するために細心の注意が払われており、より少ない用量を使用することによって毒性を最小化する。25−50倍少ないオリゴが現在、初期の化学物質で達成された同じ効果を生じさせるために使用されている。第4に、現在のオリゴのセットは、最小の不純物を有し、初期のオリゴに関連した毒性の源の可能性がある、測定可能なエンドトキシンを有さずに製造されている。
【0659】
これらの再保証にも関わらず、これらの動物研究のための特定のオリゴの毒性の最適な測定は動物の観察である。動物は異常のあらゆる兆候について行動的に観察され、1週間に1回体重測定される。体重の損失は毒性の兆候とみなされる。衰弱の兆候、低下した運動性、感染およびひだ襟のついた毛がモニターされる。この毒性の選別はまた、H&Eを含む炎症についての脳の調査およびアストログリア/ミクログリア染色を含む。これまで、これらの研究に使用されたタウノックダウンおよびタウスプライシングオリゴの両方は十分に許容されている。さらに、正確な同じオリゴ化学が臨床試験において500人を超える患者によって周囲(皮下注射)に十分に許容されている。
【0660】
マウス
これらの研究および計画した研究に使用したマウスは表1に詳しく述べられている。
【0661】
【表2】
【0662】
実施例セット2
実施例6:アンチセンスオリゴヌクレオチドによるインビボでの広範囲にわたるタウノックダウンの評価
アンチセンスオリゴヌクレオチドを使用して異なる脳領域におけるタウノックダウンを評価するために、タウ#5オリゴがC57/Bl6マウスにおいて使用された(
図14)。脳領域のマップが
図27に提供されている。
【0663】
C57/Bl6マウスは、28日間、アルゼットポンプによる脳室内注入によって25μg/日のタウ#5またはPBSを投与された。次いでポンプを取り除かれ、マウスをさらに14日間そのままにした。次いで脳が採取された。脳切片がqRT−PCRを使用したRNA分析のために採取された。
【0664】
タウmRNAレベルは検査した脳の全ての切片において顕著に低下した(
図14)。
【0665】
実施例7:P301Sマウスにおけるタウのアンチセンス阻害の効果
ASO#6、9、12および13による治療の効果がP301Sマウスにおいて評価された。P301Sマウスは、海馬において徐々に生じる6ヶ月齢での繊維状のタウ病変および9−12ヶ月齢で嗅内皮膚萎縮を発症する(Yoshiyama,Yら、Neuron 53:337−351、2007)。
【0666】
P301Sマウスの群は、14日間、アルゼットポンプによってPBSまたは100μgのアンチセンスオリゴヌクレオチドを右側室脳内に注入された。次いでポンプを取り除き、マウスを14日間そのままにした。マウスを安楽死させ、組織を採取し、mRNAを調製するために使用した。
【0667】
ヒトタウレベルおよびマウスタウmRNAレベルが測定され、低下することが発見された(
図15および16)。相対的GFAP発現もまた、毒性の尺度として測定された(
図17)。
【0668】
実施例10:ペンチレンテトラゾール(PTZ)によって誘発された発作の治療に対するタウのアンチセンス阻害の効果が評価された。
【0669】
3ヶ月齢のC57/BL6オスの群が、28日間、25μg/日のASOにてアルゼットポンプにより注入された。ポンプを取り除き、ポンプを取り除いた後、3週間、動物をそのままにした。発作が腹腔内注射によって55mg/kgのPTZを使用して誘発された。マウスが15分間ビデオテープで録画され、盲目様式において後でスコア付けされる。
【0670】
この結果は、ノックダウンおよびスプライシングオリゴ(すなわち、ISIS415883)がPTZ誘発性発作に対してマウスを保護できたことを示す(
図12)。
【0671】
実施例セット3
[実施例1] ギャップマーアンチセンスオリゴヌクレオチドを有するヒトSH−SY5Y細胞におけるタウのインビトロ用量依存性阻害
アンチセンスオリゴヌクレオチド(ASO AおよびASO B)が、タウ核酸(配列番号1)を標的化するように設計され、インビトロでタウmRNAに対するこれらの効果について試験された。キメラアンチセンスオリゴヌクレオチドが5−10−5MOEギャップマーとして設計された。ギャップマーは20ヌクレオシド長であり、中心ギャップセグメントは10個の2’−デオキシヌクレオシドを含み、各々5個のヌクレオシドを含む5’方向および3’方向においてウィングセグメントに隣接する。5’ウィングセグメントにおける各々のヌクレオシドおよび3’ウィングセグメントにおける各々のヌクレオシドは2’−MOE修飾を有する。各々のギャップマー全体にわたるヌクレオシド間結合はホスホロチオエート(P=S)結合である。各々のギャップマー全体にわたる全てのシトシン残基は5−メチルシトシンである。各々のギャップマーは、表2に提示されている配列番号1(ヌクレオチド2624000から2761000まで切断されたGENBANK受託番号NT_010783.14)として本明細書に指定されているヒトタウゲノム配列を標的とする。
【0672】
【表3】
SH−SY5Y細胞が、1つのウェル当たり20,000個の細胞の密度にて播種され、1,250nM、2,500nM、5,000nM、10,000nMまたは20,000nMの濃度のアンチセンスオリゴヌクレオチドによるエレクトロポレーションを使用してトランスフェクトされた。おおよそ16時間の治療時間後、RNAが細胞から単離され、タウmRNAレベルが定量的リアルタイムPCRによって測定された。タウmRNAレベルはRIBOGREEN(登録商標)によって測定された全RNA含有量に従って調整された。タウは、未処置の対照細胞に対してASO AおよびASO Bで治療した細胞において用量依存的に減少した。
【0673】
[実施例2] ヒトタウのイントロン10を標的とする均一に修飾されたアンチセンスオリゴヌクレオチドを有するヒトA172細胞における4Rアイソフォームのインビトロでの用量依存的減少
均一に修飾されたアンチセンスオリゴヌクレオチドは用量依存的研究においてインビトロで試験された。オリゴヌクレオチド、ASO C(ISIS549620ともいう)、ISIS549595、ISIS549617およびISIS549619は、18核酸塩基であり、各々のヌクレオシドにおける2’−MOE修飾を含む均一に修飾されたアンチセンスオリゴヌクレオチドは、ヒトタウ(すなわち、配列番号1)のイントロン10を標的化するように設計された。オリゴヌクレオチドの全体にわたる各々のヌクレオシド間結合はホスホロチオエート(P=S)結合である。オリゴヌクレオチド全体にわたる全てのシトシン残基は5−メチルシトシンである。
【0674】
アンチセンスオリゴヌクレオチドはインビトロで試験された。A172細胞は、0.3nM、1.0nM、3.0nM、10.0nM、30.0nMまたは100.0nMの濃度のアンチセンスオリゴヌクレオチドによりLipofectamine2000(登録商標)を使用してトランスフェクトされた。おおよそ24時間の治療時間の後、RNAが細胞から単離され、4Rアイソフォームおよび全タウmRNAのmRNAレベルが、プライマープローブセットhMAPT_LTS00914_MGB(配列番号21と指定されたフォワード配列CGGGAAGGTGCAGATAATTAATAAG;配列番号22と指定されたリバース配列GGACGTGTTTGATATTATCCTTTGAG;配列番号23と指定されたプローブ配列AGCTGGATCTTAGCAACG)を使用して定量的リアルタイムPCRによって測定された。タウmRNAレベルはRIBOGREEN(登録商標)によって測定された全RNA含有量に従って調整された。
【0675】
各々のオリゴヌクレオチドの半分最大阻害濃度(IC50)は以下の表に提示され、使用されたオリゴヌクレオチドの濃度対各濃度で達成されたヒトタウエクソン10mRNA発現の阻害の割合をプロットすることによって計算され、ヒトタウエクソン10mRNA発現の50%阻害が対照と比較して達成されたオリゴヌクレオチドの濃度であることを示している。タウの4Rアイソフォームは、未処置の対照細胞と比較してASO C(ISIS549620ともいう)、ISIS549595、ISIS549617およびISIS549619で処置した細胞において用量依存的に減少した。
【0676】
【表4】
【0677】
[実施例3] P301SトランスジェニックマウスモデルにおけるタウmRNAレベル、タウタンパク質レベルおよびタウ過リン酸化に対するギャップマーアンチセンスオリゴヌクレオチドによる治療の効果
P301Sマウスはヒトタウの変異型を過剰発現する(Yoshiyama,Yら、Neuron.2007.53:337−51)。マウスは過リン酸化タウタンパク質の蓄積を有するタウ病理を示す。ヒトタウを標的とするギャップマーを有するこれらのマウスに対する治療の効果がこの方法において評価された。
【0678】
研究1
3−4匹のP301Sマウスの群は、14日間、脳室内ポンプにより60g/日にてASO AおよびASO Bを投与された。2匹のマウスの対照群は同様にPBSにより治療された。アルゼット浸透圧ポンプがアンチセンスオリゴヌクレオチドを連続送達するために使用された。ポンプは、製造業者の指示書(Durect Corporation)に従って組み立てられ、埋め込まれた。動物は3%イソフルラン(isofluorane)により麻酔され、定位固定フレームに配置された。外科手術部位を消毒した後、1cmの正中切開がブレグマ上に作製された。定位ガイドの使用によって、カニューレが右側脳室内に埋め込まれ、固定された。アルゼット浸透圧ポンプに取り付けられたカテーテルはカニューレに固定され、ポンプは中間皮膜(midcapsular)領域において皮下に配置された。切開は縫合により閉じられた。組織は、ポンプ埋め込み後、4週間でカテーテル部位周囲から採取された。
【0679】
RNA分析
RNAが、カテーテル部位周囲の皮質領域から抽出され、ヒトおよびマウスタウの発現レベルについてqRT−PCRによって分析された。データは表4に提示されている。この結果は、オリゴヌクレオチドがヒトタウmRNAのレベルを阻害することを示す。
【0680】
【表5】
【0681】
研究2
5匹のP301Sマウスの群の各々(5ヶ月齢)は、28日間、脳室内ポンプにより50g/日にてASO Bを投与された。5匹のマウスの対照群が同様にPBSにより治療された。アルゼット浸透圧ポンプがアンチセンスオリゴヌクレオチドを連続送達するために使用された。ポンプが、製造業者の指示書(Durect Corporation)に従って組み立てられ、埋め込まれた。動物が3%イソフルランにより麻酔され、定位固定フレームに配置された。外科手術部位を消毒した後、1cmの正中切開がブレグマ上に作製された。定位ガイドの使用によって、カニューレが右側脳室内に埋め込まれ、固定された。アルゼット浸透圧ポンプに取り付けられたカテーテルはカニューレに固定され、ポンプは中間皮膜領域において皮下に配置された。組織は2ヶ月後に採取された。
【0682】
RNA分析
RNAが、注射部位周囲の海馬領域から抽出され、ヒトおよびマウスタウの発現レベルについてqRT−PCRによって分析された。この結果は、ASO−B活性注入の1ヶ月後、ASO BがヒトタウmRNAのレベルを36%阻害し、マウスタウmRNAのレベルを5%阻害することを示す。
【0683】
タンパク質分析
脳内のヒトタウタンパク質が、ELISA(Yamadaら、J.Neurosci.2011.31:13110−117により以前に記載されている。)によって分析され、同様に全タウのタウ5E2抗体を使用してウェスタンブロットによって分析された。ELISAの結果は、ASO Bがヒトタウのレベルを40%阻害したことを示す。ウェスタンブロットの結果は定量され、ASO Bがヒトタウのレベルを74%阻害したことを示す。ELISAが、ヒトおよびマウスを含む、タウの全ての形態を認識するのに対して、ウェスタンブロットに関しては、ヒトタウがサイズ差によりマウスタウから分離され得ることに留意されるべきである。したがって、ウェスタンブロットのヒトタウ定量は、ヒトタウ特異的ノックダウンレベルをより正確に表す。
【0684】
研究3
5匹のP301Sマウスの群の各々(5ヶ月齢)は、28日間、脳室内ポンプにより50g/日にてASO Bを投与された。5匹のP301Sマウスの別の群(5ヶ月齢)は、14日間、脳室内ポンプにより100g/日にてASO Bを投与された。5匹のマウスの対照群が同様にPBSにより治療された。アルゼット浸透圧ポンプがアンチセンスオリゴヌクレオチドを連続送達するために使用された。ポンプが、製造業者の指示書(Durect Corporation)に従って組み立てられ、埋め込まれた。動物が3%イソフルランにより麻酔され、定位固定フレームに配置された。外科手術部位を消毒した後、1cmの正中切開がブレグマ上に作製された。定位ガイドの使用によって、カニューレが右側脳室内に埋め込まれ、固定された。アルゼット浸透圧ポンプに取り付けられたカテーテルはカニューレに固定され、ポンプは中間皮膜領域において皮下に配置された。組織は2ヶ月後に採取された。
【0685】
過リン酸化タウ分析
モノクローナルタウ抗体AT8は、セリン202およびトレオニン205の両方においてリン酸化されたタウタンパク質を認識し(Goedert,Mら、Neurosci.Lett.1995.189:167−9)、したがって過リン酸化タウの検出方法に使用されている。これはまた、ヒトアルツハイマー病患者の脳におけるタウ蓄積を識別するために最も一般的に使用されている抗体である。豊富な過リン酸化タウ(Ser202およびThr205)が、7ヶ月齢にてP301S脳におけるAT8抗体を使用した免疫組織化学によって嗅内皮質およびへんとう体基底外側核において検出された。抗体により染色した細胞の割合は
図25および表5に提示されている。この結果は、ASO Bによる治療が過リン酸化タウのクリアランスを生じたことを示す。
【0686】
【表6】
【0687】
[実施例4] ヒトタウのイントロン10を標的とする均一に修飾されたアンチセンスオリゴヌクレオチドを有するN279Kトランスジェニックマウスモデルにおける4Rアイソフォームのインビボでの減少
N279KマウスはFTD変異を有するヒトタウミニ遺伝子を発現する(Dawson,H.N.ら、J.Neurosci.2007.27:9155−68)。N279K変異体はエクソン10(4Rタウ)の封入を促進する。4Rアイソフォームから3Rアイソフォームへの変化に対するヒトタウを標的とする均一に修飾されたアンチセンスオリゴヌクレオチドの効果がこのマウスモデルにおいて評価された。
【0688】
4匹のN279Kマウスの群(5ヶ月齢)は、28日間、脳室内ポンプにより60g/日にてASO C(ISIS549620ともいう)を投与された。5匹のマウスの対照群が同様にPBSにより治療された。動物が3%イソフルランにより麻酔され、定位固定フレームに配置された。アルゼット浸透圧ポンプがアンチセンスオリゴヌクレオチドを連続送達するために使用された。ポンプが、製造業者の指示書(Durect Corporation)に従って組み立てられ、埋め込まれた。動物が3%イソフルランにより麻酔され、定位固定フレームに配置された。外科手術部位を消毒した後、1cmの正中切開がブレグマ上に作製された。定位ガイドの使用によって、カニューレが右側脳室内に埋め込まれ、固定された。アルゼット浸透圧ポンプに取り付けられたカテーテルはカニューレに固定され、ポンプは中間皮膜領域において皮下に配置された。カニューレ領域周囲の組織は29日目に採取された。
【0689】
RNA分析
RNAはカニューレ周囲の皮質から抽出され、ヒトタウの4Rおよび3RアイソフォームのmRNA発現はRT−放射性PCRによって分析された。手短に述べると、1,000ngのRNAがオリゴ(dT)により逆転写された。次いでcDNAがα−
32P−dCTPの存在下で増幅された。PCR産物がHinc IIにより消化され、PAGEを変性することによって分離された。エクソン10を含んだおよび排除した種がオートラジオグラフィーによって検出され、リン光体イメージ(PhosphorImage)分析によって定量された。各々のcDNAバンドの信号強度はG+C含量に従って正規化された。この結果は、ASO C(ISIS549620ともいう)による治療が4Rタウを全タウmRNAの85%低下させたことを示す。
【0690】
[実施例5] N279Kトランスジェニックマウスモデルにおける行動およびタウ蓄積に対するヒトタウを標的としているアンチセンスオリゴヌクレオチドの効果
行動アッセイに対するギャップマーおよび均一に修飾されたアンチセンスオリゴヌクレオチドの効果がN279Kトランスジェニックモデルにおいて分析された。全タウmRNAの減少を引き起こす、ASO A、ギャップマーおよび4Rタウアイソフォームの3Rタウアイソフォームへの変化を引き起こす、ASO C(ISIS549620ともいう)、均一なMOEオリゴヌクレオチドの両方がこのアッセイにおいて使用された。
【0691】
6−8匹のN279Kマウスの2つの群の各々(3ヶ月齢)は、28日間、脳室内ポンプにより25g/日にてASO AまたはASO C(ISIS549620ともいう)を投与された。8匹のマウスのN279Kトランスジェニック対照群がPBSにより同様に治療された。8匹のマウスの別の対照群が、スクランブルオリゴヌクレオチド、ISIS141923(CCTTCCCTGAAGGTTCCTCC、未知の標的を有する5−10−5MOEギャップマー(配列番号11))により同様に治療された。8匹のマウスの別のトランスジェニックの同腹子対照群が同様にPBSにより治療された。動物は3%イソフルランにより麻酔され、定位固定フレームに配置された。アルゼット浸透圧ポンプがアンチセンスオリゴヌクレオチド溶液を連続送達するために使用された。ポンプが、製造業者の指示書(Durect Corporation)に従って組み立てられ、埋め込まれた。動物が3%イソフルランにより麻酔され、定位固定フレームに配置された。外科手術部位を消毒した後、1cmの正中切開がブレグマ上に作製された。定位ガイドの使用によって、カニューレが右側脳室内に埋め込まれ、固定された。アルゼット浸透圧ポンプに取り付けられたカテーテルはカニューレに固定され、ポンプは中間皮膜領域において皮下に配置された。行動研究が6.5ヶ月齢にて実施され、マウスを7.5ヶ月齢にて集めた。
【0692】
新規物体認識分析
新規物体認識は、マウスが新規である物体に対してなじみのある物体を認識できるかどうかを決定するために使用されている(Bevins,R.A.およびBesheer,J.Nature Protocols.2006、1:1306−1311)。手短に述べると、動物は最初に10分間、2つの同一の物体にさらされ、3時間後、これらは次いで5分間、この同じ物体(なじみのある)にさらされ、同様に新たな物体(新規)にさらされる。マウスはビデオテープで録画され、ビデオが見られ、盲目でスコア付けされた。非トランスジェニックマウスは、なじみのある物体に費やす時間と比較して、新規物体に多くの時間を費やす。これはマウスにおける記憶呼び戻しの尺度である。アルツハイマー病などのタウオパチーによる影響を受けているヒト患者もまた、想起の欠陥を示す。
【0693】
データは表6に提示されている。この結果は、均一に修飾されたアンチセンスオリゴヌクレオチド(ASO C、ISIS549620ともいう)により治療されたマウスが、トランスジェニック対照と比較して、なじみのある物体にほとんど時間を費やさず、新規物体に多くの時間を費やすことを示す。
【0694】
【表7】
【0695】
ネストレッツ(Nestlet)構築活動分析
マウスの能力の一般的な尺度として、ネストレッツ構築活動が評価された。ネストレッツを提供した場合、マウスは本能的に巣を構築する。正常に機能せずに休眠している能力により、全体的な認識および/または運動欠陥のいずれかが示される。ヒトのタウオパチー患者は全体的な認知機能障害を示し、また、運動問題も示し得る。ネストレッツ構築活動(Deacon,R.M.Nat.Protocol.2006.1:1117−9)は、マウスに、3.0グラムの圧縮された綿材料を提供し、マウスに一晩巣を構築させることによって開始された。オスの巣の構築活動が評価された。マウスは最初に密集されている材料を細かく刻み、次いでこれを巣に整える。巣作り活動が5点スケールでスコア付けされ、「0」は「巣がない」であり、「5」はマウスを囲む完全な巣がある。巣作りの時間の後、残りの引き裂かれていないままの材料も秤量し、巣作り行動についてのさらなる分析を提供した。多くの引き裂かれていないネストレッツの重量はより低い質の巣の表れである。巣作りスコアおよび引き裂かれていないネストレッツの重量は表7に提示されている。ギャップマーアンチセンスオリゴヌクレオチド(ASO A)および均一に修飾されたアンチセンスオリゴヌクレオチド(ASO C、ISIS549620ともいう)の両方による治療は、対象と比較して、巣作りスコアの増加および引き裂かれていない材料の低下を導き、マウスにおける巣作り行動の改善が示される。
【0696】
【表8】
【0697】
歩行開始分析
N279Kマウスは歩行開始において加齢により進行する欠陥を示す。マウスにおける歩行開始は、部分的に、FTDP−17のパーキンソニズム成分と一致し得る。動作緩慢、即ち、運動の開始が遅いのは、パーキンソニズム障害における共通した特徴である。マウスにおける歩行開始を測定するために、マウスは21cm×21cm正方形の中心に置かれ、マウスの4本足全てが完全に正方形から出る時間をストップウォッチを使用して測定された。データは表8に提示されている。この結果は、ギャップマーアンチセンスオリゴヌクレオチド(ASO A)および均一に修飾されたアンチセンスオリゴヌクレオチド(ASO C、ISIS549620ともいう)の両方により治療されたマウスが、N279K PBSおよびISIS141923対照より速い時間間隔で歩行を開始したことを示す。
【0698】
【表9】
【0699】
過リン酸化タウ分析
均一に修飾されたアンチセンスオリゴヌクレオチド(ASO C、ISIS549620ともいう)により治療されたマウスを7ヶ月齢にて安楽死させた。前頭皮質および歯状核が、ヒトタウタンパク質に特異的に結合する、タウ13抗体を用いた免疫組織化学によって評価された。タウ13細胞体樹状突起蓄積により染色された細胞の割合は表9および
図26に提示されている。この結果は、ASO C(ISIS549620ともいう)により治療されたマウスが、PBS対照と比較して、ヒトタウ封入体の存在下で低下していたことを示す。歯状核は、部分的に、随意運動の開始に関与している。したがって、歯状核におけるタウ沈着のクリアランスは、PBS対照と比較して、ASO C(ISIS549620ともいう)により治療されたマウスにおける歩行開始の改善に関与し得る。
【0700】
【表10】
【0701】
[実施例6] PTZ誘発性発作に対するタウのアンチセンス阻害の効果
ペンチレンテトラゾール(PTZ)により誘発された発作の治療に対するタウのアンチセンス阻害の効果が評価された。マウスはギャップマーアンチセンスオリゴヌクレオチド(ASO D)および均一に修飾されたアンチセンスオリゴヌクレオチド(ISIS415883)により治療された。ASO Dはキメラアンチセンスオリゴヌクレオチド20ヌクレオシド長であり、中心ギャップセグメントは10個の2’−デオキシヌクレオシドを含み、各々5個のヌクレオシドを含む5’方向および3’方向においてウィングセグメントに隣接する。5’ウィングセグメントにおける各々のヌクレオシドおよび3’ウィングセグメントにおける各々のヌクレオシドは2’−MOE修飾(すなわち、5−10−5MOEギャップマー)を有する。各々のギャップマー全体にわたるヌクレオシド間結合はホスホロチオエート結合である。各々のギャップマー全体にわたる全てのシトシン残基は5−メチルシトシンである。各々のギャップマーは、表1に提示されているように、本明細書において配列番号1(ヌクレオチド2624000から2761000まで切断されたGENBANK受託番号NT_010783.14)と指定されている、ヒトタウゲノム配列を標的としている。ISIS141923、未知の標的を有するオリゴヌクレオチド(すなわち、「スクランブルオリゴヌクレオチド」)およびPBSが対照として使用された。
【0702】
3ヶ月齢のC57/BL6オスの群は、28日間、脳室内ポンプにより25μg/日にてASOを投与された。マウスの対照群は同様にPBSにより治療された。ポンプが取り除かれ、動物はポンプを取り除いた後、3週間そのままにされた。発作は腹腔内注射による55mg/kgのPTZを使用して誘発された。マウスは15分間ビデオテープで録画され、盲目様式において後でスコア付けされる。到達した最終段階が記録された。
【0703】
発作強度が0−8のスケールに等級分けされ、「0」は「発作なし」を示し、1は「不動性」を示し、2は「けいれんするまたはピクピク動く」を示し、3は「尾伸展」を示し、4は「前肢クローヌス」を示す、5は「全身発作」を示す、6は「走るまたは跳ぶ」を示し、7は「強直伸展」を示し、8は「死」を示す。この結果は、ASO DおよびISIS415883の両方が、スクランブルオリゴヌクレオチド対照と比較して、PTZにより誘発された発作に対してマウスを保護できることを示す(
図28および表10)。
【0704】
ASO Dにより治療されたマウスのカテーテル周囲の3mmの冠状組織片由来のタウmRNAおよびタンパク質レベルが測定され、データは表11および
図29に提示されている。この結果は、ASO DがタウのmRNA(
図29A)およびタンパク質レベル(
図29B)の両方を顕著に減少させたことを示す。これはマウスの発作強度の低下と十分に相関する。
【0705】
ISIS415883により治療されたマウスのタウアイソフォームが測定され、このデータは表12に提示されている。この結果は、ISIS415883による治療が、タウアイソフォーム形態を、いくらかの3Rタウを有する主な4Rからいくらかの4Rタウを有する主な3Rタウに変化させたことを示す。これは、正常な全タウレベルを維持しながら、4Rタウレベルの顕著な低下により実証されている。
【0706】
ASO Dにより治療されたマウスのタウタンパク質のレベルおよび対応する発作強度が個々のマウスにおいて分析された。表13および
図30Aに示されているように、より高いレベルのタウを実証されているこれらのマウスもまた、最も高い重症度の発作(段階8すなわち死)を経験したマウスであり、一方、減少したレベルのタウのみを実証されているこれらのマウスは、群の第1の段階すなわち最も低い重症度の発作を有したことは注目すべきことであった。この観察に基づいて、この研究の各々のマウスにおける全タウレベルが、マウスが到達した最後の発作段階に対してプロットされた。スピアマンの相関関係(p<0.0001)を使用して、
図30Bの線形回帰に示されているように、各々のマウスにおけるタウの総量と誘発された発作強度との間に有意な相関関係が存在する。これは、タウの阻害が化学的に誘発されたモデルにおいて発作活動に対する保護を生じることを示唆している。
【0707】
【表11】
【0708】
【表12】
【0709】
【表13】
【0710】
【表14】
【0711】
[実施例7] P301Sマウスにおけるオリゴヌクレオチド分布の評価
ASO Dの注入後のP301Sマウスにおけるオリゴヌクレオチドの分布が分析された。
【0712】
5ヶ月齢のP301Sマウスは、28日間、脳室内ポンプにより50μg/日にてASO Dを投与された。P301Sマウスの対照群が同様にPBSにより治療された。ポンプが取り除かれ、ポンプが取り除かれた後、動物は28日間そのままにされた。マウスを安楽死させ、脳組織および眼を採取した。脳全体にわたって脳切片がオリゴヌクレオチドに対する抗体(社内で開発した。)により染色され、DAPIにより対比染色された。
【0713】
この結果はマウスの脳切片全体にわたるASO Dの広範な分布を示す。50μm厚さの切片が左半球全体にわたって得られ、オリゴヌクレオチド抗体により染色された。検出のために、Alexa−Fluor−546抗ウサギ二次抗体が使用され、DAPI対比染色が適用された。赤またはピンク色の蛍光強度の存在はオリゴヌクレオチドの存在を示した。これらの結果は、ASO Dが右側室脳内への注入後に脳全体にわたって広範に分布していることを実証している。
【0714】
マウスの眼が固定された後、パラフィンに包埋され、6μm厚さにスライスされ、スライド上に載せられた。切片はオリゴヌクレオチドに対する抗体により染色され、切片はDAPIにより対比染色された。この結果は、ASO Dにより治療されたマウスの眼のレチナール層および眼切片のレンズの外層におけるASO Dの顕著な存在を示す。同じAlexa−Fluor−546抗ウサギ二次抗体が、オリゴヌクレオチド抗体を検出するために使用された。網膜色素上皮のために網膜における高レベルの自己蛍光に起因して、緑色FITCチャネルが、自己蛍光を生じる場所を正確に示すために適用された。以前の研究は、アルツハイマー病および緑内障を有する患者の眼における過リン酸化タウの存在を示している(Frost,S. Digital Teleretinal Screen.2012、91−100、Ho,W.L.ら、Molecular Vision、2012、18:2700−2710、Gupta,N.ら、Can.J.Ophthalmol.2008、43:53−60)。それ故、この結果は、ASOタウ治療が、実際に網膜細胞層に到達でき、視覚を妨げ得る異常なタウ種を潜在的に低下させ得るまたはCNSにおけるタウ発現の減少を測定するための臨床マーカーとして使用され得ることを示唆している。
【0715】
[実施例8] ヒトタウエクソン10に対する均一な2’−MOEで修飾されたオリゴヌクレオチドの阻害効果
いくつかの修飾されたオリゴヌクレオチドが、インビトロでのヒトタウエクソン10発現の阻害に対するこれらの効果について評価された。ISIS617782および617781が比較のためにこの研究に含まれた。
【0716】
「開始部位」は、修飾されたオリゴヌクレオチドがヒト遺伝子配列において標的とされる最も5’側のヌクレオシドを示す。「停止部位」は、修飾されたオリゴヌクレオチドがヒト遺伝子配列において標的とされる最も3’側のヌクレオシドを示す。以下の表に記載されている各々の修飾されたオリゴヌクレオチドは、本明細書に配列番号1(ヌクレオチド9240000から9381000まで切断されたGENBANK受託番号NT_010783.15)と指定されている、ヒトタウゲノム配列を標的とされる。
【0717】
ISIS617782は21ヌクレオシド長であり、各々のヌクレオシドは2’−OCH
3修飾を有し、下付文字「m」として示されている。修飾されたオリゴヌクレオチドの全体にわたる各々のヌクレオシド間結合はホスホロチオエートヌクレオシド間結合(P=S)である。
【0718】
ISIS617781は18ヌクレオシド長であり、各々のヌクレオシドは2’−OCH
3修飾を有し、下付文字「m」として示されている。修飾されたオリゴヌクレオチドの全体にわたる各々のヌクレオシド間結合はホスホロチオエートヌクレオシド間結合(P=S)である。
【0719】
ISIS415833は20ヌクレオシド長であり、各々のヌクレオシドは2’−MOE修飾を有する。修飾されたオリゴヌクレオチドの全体にわたる各々のヌクレオシド間結合はホスホロチオエートヌクレオシド間結合(P=S)である。修飾されたオリゴヌクレオチド全体にわたる全てのシトシン残基は5−メチルシトシンである。
【0720】
A172細胞が、以下の表に特定されているように0、0.1、0.3、1、3、10または30nMの濃度の修飾されたオリゴヌクレオチドによりLipofectamine2000(登録商標)を使用してトランスフェクトされた。おおよそ24時間の治療時間の後、RNAが細胞から単離され、エクソン10を含有するタウ転写産物のmRNAレベルが定量的リアルタイムPCRによって測定された。ヒトタウプライマープローブセット9_10 R5が617782のmRNAレベルを測定するために使用され、ヒトタウプライマープローブセット10_11がISIS617781および415883のために使用された。
【0721】
ヒトタウプライマープローブセット9_10R5(本明細書において配列番号24と指定されている、フォワード配列CACTGAGAACCTGAAGCACC;本明細書において配列番号25と指定されている、リバース配列GGACGTTGCTAAGATCCAGCT;本明細書において配列番号26と指定されている、プローブ配列TTAATTATCTGCACCTTCCCGCCTCC)。ヒトタウエクソン10mRNAレベルが、RIBOGREEN(登録商標)によって測定された全RNA含有量に従って調整された。
【0722】
ヒトプライマープローブセット10_11(本明細書において配列番号27と指定されている、フォワード配列GGATAATATCAAACACGTCCCG;本明細書において配列番号28と指定されている、リバース配列TGCCTAATGAGCCACACTTG;本明細書において配列番号29と指定されている、プローブ配列GTCTACAAACCAGTTGACCTGAGC)。
【0723】
各々のオリゴヌクレオチドの半分最大阻害濃度(IC50)は以下の表に提示され、使用されたオリゴヌクレオチドの濃度対各濃度で達成されたヒトタウエクソン10mRNA発現の阻害の割合をプロットすることによって計算され、ヒトタウエクソン10mRNA発現の50%阻害が対照と比較して達成されたオリゴヌクレオチドの濃度であることを示している。結果は以下の表に提示されている。
【0724】
【表15】
【0725】
[実施例9] ヒトタウエクソン10に対する均一な2’−MOEで修飾されたオリゴヌクレオチドの効果
一連の修飾されたオリゴヌクレオチドは、ヒトタウのエクソン10を標的とするように設計され、インビトロでエクソン10封入を減少させるこれらの能力についてスクリーニングされた。これらは18ヌクレオシド長であり、各々のヌクレオシドは2’−MOE修飾を有する。修飾されたオリゴヌクレオチド全体にわたる各々のヌクレオシド間結合は、ホスホロチオエートヌクレオシド間結合(P=S)である。修飾されたオリゴヌクレオチド全体にわたる全てのシトシン残基は5−メチルシトシンである。
【0726】
「開始部位」は、修飾されたオリゴヌクレオチドがヒト遺伝子配列において標的とされる最も5’側のヌクレオシドを示す。「停止部位」は、修飾されたオリゴヌクレオチドがヒト遺伝子配列において標的とされる最も3’側のヌクレオシドを示す。以下の表に記載されている各々の修飾されたオリゴヌクレオチドは、本明細書に配列番号32(ヌクレオチド9240000から9381000まで切断されたGENBANK受託番号NT_010783.15)と指定されている、ヒトタウゲノム配列を標的とされる。
【0727】
A172細胞が5nM濃度の修飾されたオリゴヌクレオチドによりLipofectamine2000(登録商標)を使用してトランスフェクトされた。おおよそ24時間の治療時間の後、RNAが細胞から単離され、エクソン10を含有するタウ転写産物のmRNAレベルが定量的リアルタイムPCRによって測定された。ヒトプライマープローブセット10_11がmRNAレベルを測定するために使用された。タウエクソン10mRNAレベルは、RIBOGREEN(登録商標)によって測定された全RNA含有量に従って調整された。結果は、未処置の対照レベルに対するタウエクソン10mRNA発現のパーセントとして提示され、「%UTC」として示されている。
【0728】
ヒトプライマープローブセット10_11(本明細書において配列番号27と指定されている、フォワード配列GGATAATATCAAACACGTCCCG;本明細書において配列番号28と指定されている、リバース配列TGCCTAATGAGCCACACTTG;本明細書において配列番号29と指定されている、プローブ配列GTCTACAAACCAGTTGACCTGAGC)。
【0729】
【表16】
【0730】
[実施例10] ヒトタウエクソン10に対する均一な2’−MOEで修飾されたオリゴヌクレオチドの効果
一連の修飾されたオリゴヌクレオチドは、ヒトタウのエクソン10を標的とするように設計され、インビトロでエクソン10封入を減少させるこれらの能力についてスクリーニングされた。修飾されたオリゴヌクレオチドは18ヌクレオシド長であり、各々のヌクレオシドは2’−MOE修飾を有する。修飾されたオリゴヌクレオチド全体にわたる各々のヌクレオシド間結合は、ホスホロチオエートヌクレオシド間結合(P=S)である。修飾されたオリゴヌクレオチド全体にわたる全てのシトシン残基は5−メチルシトシンである。
【0731】
「開始部位」は、修飾されたオリゴヌクレオチドがヒト遺伝子配列において標的とされる最も5’側のヌクレオシドを示す。「停止部位」は、修飾されたオリゴヌクレオチドがヒト遺伝子配列において標的とされる最も3’側のヌクレオシドを示す。以下の表に記載されている各々の修飾されたオリゴヌクレオチドは、本明細書に配列番号32(ヌクレオチド9240000から9381000まで切断されたGENBANK受託番号NT_010783.15)と指定されている、ヒトタウゲノム配列を標的とされる。
【0732】
A172細胞が5nM濃度の修飾されたオリゴヌクレオチドによりLipofectamine2000(登録商標)を使用してトランスフェクトされた。おおよそ24時間の治療時間の後、RNAが細胞から単離され、エクソン10を含有するタウ転写産物のmRNAレベルが定量的リアルタイムPCRによって測定された。ヒトタウプライマープローブセット9_10R5がmRNAレベルを測定するために使用された。タウエクソン10mRNAレベルは、RIBOGREEN(登録商標)によって測定された全RNA含有量に従って調整された。結果は、未処置の対照レベルに対するタウエクソン10mRNA発現のパーセントとして提示され、「%UTC」として示されている。
【0733】
ヒトタウプライマープローブセット9_10R5(本明細書において配列番号24と指定されている、フォワード配列CACTGAGAACCTGAAGCACC;本明細書において配列番号25と指定されている、リバース配列GGACGTTGCTAAGATCCAGCT;本明細書において配列番号26と指定されている、プローブ配列TTAATTATCTGCACCTTCCCGCCTCC)。
【0734】
【表17】