(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記抗病原性材料は、前記通気チャネルの表面に適用され、前記通気チャネルの前記表面に適用された前記抗病原性材料は、前記通気チャネルを塞ぐものより小さい厚さを有することを特徴とする請求項1に記載の医療装置。
前記抗病原性材料は、第1の抗病原性材料と第2の抗病原性材料とを備え、前記第1の抗病原性材料は、前記表面の第1の部分に適用され、前記第2の抗病原性材料は、前記表面の第2の部分に適用されることを特徴とする請求項10に記載のカテーテル組立体。
前記第2の抗病原性材料は、機械的結合および化学結合の少なくとも1つによって前記表面の前記第2の部分に適用されることを特徴とする請求項13に記載のカテーテル組立体。
前記隔壁は、管状形状および障壁部材を有し、前記隔壁は、近位空洞を形成し、前記障壁部材は、そこを通って延びるスリットを有することを特徴とする請求項10に記載のカテーテル組立体。
前記障壁部材は、前記隔壁を前記近位空洞および遠位空洞に分割し、前記隔壁作動装置の前記プローブは、前記遠位空洞内に配設されることを特徴とする請求項15に記載のカテーテル組立体。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明の現在好ましい実施形態は、図を参照することによって最良に理解されることになり、図中、同じ参照番号は、同一または機能的に類似する要素を示す。本発明の構成要素は、本明細書の図において全般的に説明され例示されるように、多様な異なる形状で配置および設計され得ることが容易に理解されるであろう。したがって、図に表示されるような以下のより詳細な説明は、本発明の範囲を特許請求通りに限定するよう意図するものではなく、本発明の現在好ましい実施形態を表示するにすぎない。
【0019】
用語「近位」は、通常の使用中、ユーザに最も近く、患者から最も遠い装置の部分を表すために使用される。用語「遠位」は、通常の使用中、装置を扱うユーザから最も遠くに離れ、患者に最も近い装置の部分を表すために使用される。弁機構または隔壁の「起動」という用語は、そのような弁の開閉の動作を示すために使用される。たとえば、一部の実施形態では、カテーテル組立体は、隔壁および隔壁作動装置を有して提供され、この場合、カテーテル組立体は、隔壁作動装置が隔壁を通って前進され、それによって隔壁を通る流体経路を提供するときに起動させられる。
【0020】
用語「重要寸法」(critical dimension)は、装置の作動に重要である医療装置の表面の高さ、長さ、幅、深さ、直径、厚さ、角度、質感、または他の構造的特徴の少なくとも1つを表すために使用される。たとえば、一部の実施形態では、医療装置は、別の装置または構成要素と界接するように構成された表面を含むことができる。したがって、表面は、医療装置の表面と界接する装置または構成要素との間の最適な相互作用を受け入れるように構成された重要寸法を含むことができる。こうして、一部の実施形態では、重要寸法を有する表面は、医療装置を作動させまたは使用する上で、表面の意図されたおよび/または所望の相互作用を温存するために改変されないままでなければならない。それとは反対に、用語「非重要寸法」は、装置の作動に重要でない医療装置の、高さ、長さ、幅、深さ、直径、厚さ、角度、質感、または他の構造的特徴の少なくとも1つを表すために使用される。
【0021】
用語「化学結合」または「化学結合作用」は、抗病原性材料を医療装置の所望の表面に適用することを可能にする原子間の引力を表すために使用される。たとえば、一部の場合、本発明の抗病原性材料は、化学結合作用によって注入療法医療装置の表面に適用され、この場合、抗病原性材料の原子および医療装置の原子は、互いに化学的に引き付けられる。化学結合作用は、共有結合、イオン結合、双極子間相互作用、ロンドン分散力、ファンデルワールス力、および水素結合などの原子結合の任意のタイプを含むことができる。化学結合は、さらに、一部の実施形態に関して用語「架橋」または「表面架橋」によって表わされ得る。
【0022】
用語「機械的結合」または「機械的結合作用」は、2つまたはそれ以上の材料間の物理的な非化学相互作用を表すために使用される。たとえば、一部の場合、医療装置の表面は、質感、溝、および/または抗病原性材料を毛細管力によって保つ空隙を有する畝部を含むように変更される。他の実施形態では、機械的結合は、増大された表面積を医療装置の表面に提供する構造的特徴を備える。さらに、一部の実施形態では、機械的結合は、抗病原性材料を引き付けるために医療装置の表面に適用される親水性または疎水性の材料またはコーティングを備える。機械的結合は、さらに、一部の実施形態に関して用語「機械的インターロック」によって表され得る。
【0023】
用語「適合性表面」は、非重要寸法を含む医療装置の表面、または抗病原性材料もしくはコーティングの付加によって悪影響が及ぼされない重要寸法を含む表面を表すために使用される。
【0024】
用語「剛性」または「半剛性」は、抗病原性材料の物理的特性を表すために使用され、この場合、材料は、可撓性が不足する、可撓性に欠けるまたはおおむね可撓性に欠ける。あるいは、これらの用語は、装置の表面上に適用されたまたはコーティングされたときの抗病原性材料の非可撓性のまたはほぼ非可撓性の物理的特性を表すために使用される。一部の場合、半剛性という用語は、ある程度または一部の部分において剛性である抗病原性材料の物理的特性を説明すると理解される。
【0025】
用語「改変されたレオロジー」は、抗病原性材料の物理的特性を表すために使用され、この場合、抗病原性材料の粘性は、装置の表面に適用された後の抗病原性材料の過剰な移動を防止するように改変される。したがって、抗病原性材料の改変されたレオロジーは、抗病原性材料と、隣接する表面または構成要素との間の接触を防止またはほぼ防止する。
【0026】
用語「抗病原性」は、病原菌に対して作用する、コーティング材料などの材料を表すために使用される。病原菌は、細菌、ウイルス、原虫、および糸状菌などの、疾患を引き起こし得るあらゆる有機体または物質を含むことができる。したがって、本明細書において企図される「抗病原性材料」は、病原菌に対して作用するための特性を有するあらゆる材料を含む。
【0027】
本発明は、全般的に、抗病原性材料を医療装置のさまざまな表面に適用するためのシステムおよび方法に関する。特に、本発明は、抗病原性材料を注入療法用の医療装置の表面に適用するためのシステムおよび方法に関し、この場合、表面は、医療装置の流体経路の一部分を備える。一部の場合、抗病原性材料は、非重要寸法を備える表面に適用される。一部の実施形態では、抗病原性材料は、医療装置を組み立てる前に医療装置の1または複数の表面に適用される。他の実施形態では、抗病原性材料は、医療装置の第1の部分または構成要素に適用され、その後、抗病原性材料の制御された移動を通して医療装置の第2の部分または構成要素に伝播される。他の場合、抗病原性材料は、装置の成形プロセス中、医療装置の材料と相互混合され、またはこの中に組み込まれる。さらに、一部の場合、抗病原性材料は、医療装置の材料に適用され、またはその中に組み込まれ、それにより、抗病原性材料は、医療装置の材料からコーティングされた医療装置の直近周囲に溶出する。
【0028】
通常、本発明による抗病原性材料は、注入療法装置などの医療装置の表面に適用され得る抗病原性特性を有する任意の材料を含むことができる。たとえば、一部の実施形態では、抗病原性材料は、参照によって全体的に本明細書に各々が組み込まれる、特許文献1、特許文献2、特許文献3、特許文献4、および特許文献5において教示されるような抗微生物組成物を含むことができる。一部の実施形態では、抗病原性材料は、さらに、全体的に本明細書に各々が組み込まれる、特許文献6および特許文献7に教示されるような抗感染または抗微生物の潤滑剤を含むことができる。さらに、一部の実施形態では、抗病原性材料は、医療装置または隔壁作動装置などのその構成要素の材料に組み込まれる。
【0029】
本発明の一部の実施形態は、注入療法装置(たとえば、カテーテル組立体またはルアーアダプタ)などの医療装置を通る流体経路の一部分を画定する少なくとも1つの表面を有する医療装置または構成要素を備える。医療装置の表面は、抗病原性材料でコーティングされてコーティングされた表面上の病原菌の定着を防止する。
【0030】
抗病原性材料の医療装置の表面への適用の結果、抗病原性材料の層または「コート」が表面に付加される。抗病原性材料のこの層は、コーティングされた表面と医療装置の界接するまたは隣接する構成要素との間の関係に影響を及ぼし得る寸法(すなわち厚さ)を有する。たとえば、一部の実施形態では、医療装置は、摩擦嵌合、圧入、機械的嵌合またはしまりばめなどによって第2の医療装置を適合可能に受容する直径を有する開口を含むことができる。したがって、開口の直径は、開口と第2の医療装置との間の適正な嵌合を確実にするための重要寸法を含む。この例では、抗病原性材料の開口の表面への付加は、開口の直径を調整し、それによって開口が第2の医療装置を受容する能力に悪影響を及ぼす。
【0031】
したがって、本発明の一部の実施形態では、抗病原性材料の付加によって悪影響が及ぼされる重要寸法を含む、医療装置または構成要素の表面を改変またはコーティングすることは望ましくない。こうして、本発明の一部の実施形態は、医療装置を抗病原性材料でコーティングするための方法であって、非重要寸法を含む医療装置の表面を識別する第1のステップを含む、方法を含む。方法は、さらに、非重要寸法を有する表面が、その後抗病原性材料によってコーティングされるステップを含むことができる。本発明の一部の方法は、さらに、重要寸法を有する医療装置の表面を、残りの表面を抗病原性材料でコーティングする前に識別および分離するためのステップを含むことができる。
【0032】
本発明の教示の別の例では、カテーテル組立体装置10が、
図1〜3に示される。カテーテル組立体装置10は、抗病原性材料でコーティングされ得るさまざまな表面を有する医療装置の非限定的な例を提供する。したがって、カテーテル組立体装置10は、表面の選択および抗病原性材料による表面のコーティングに関連する、本発明の方法論を実証し論議する代表的な実施形態を提供する。
【0033】
次に
図1を参照すれば、カテーテル組立体10の断面図が、示される。カテーテル組立体10は、通常、カテーテルアダプタ20の遠位端部22に連結されたカテーテル12を含む。カテーテル12およびカテーテルアダプタ20は、一体的に連結され、それにより、カテーテルアダプタ20の内部管腔26は、カテーテル12の管腔14と流体連通する。カテーテル12は、通常、カテーテルを患者に挿入することに関連付けられたねじり圧力への十分な剛性を有する生体適合性材料を備える。一部の実施形態では、カテーテル12は、チタン、ステンレス鋼、ニッケル、モリブデン、外科用鋼およびその合金などの金属材料を備える。他の実施形態では、カテーテル12は、ビニルまたはシリコンなどの剛性のポリマー材料を備える。
【0034】
カテーテル組立体10は、さらに、オーバーザニードルカテーテル組立体と共に使用するための特徴を含むことができる。たとえば、可撓性または半可撓性のポリマーカテーテルは、剛性の導入針と組み合わせて使用されて、患者の血管系内へのカテーテルの挿入を可能にすることができる。外科的に埋め込まれたカテーテルもまた、使用されてよい。
【0035】
患者に挿入された後、カテーテル12およびカテーテルアダプタ20は、所望の注入療法によって必要とされるような、流体の患者への送達および/または患者からの流体の回収を容易にするための流体導管を提供する。したがって、一部の実施形態では、カテーテル12およびカテーテルアダプタ20の材料は、注入手順において一般的に使用される生物流体および医薬と適合可能になるように選択される。付加的に、一部の実施形態では、カテーテル12および/またはカテーテルアダプタ20の一部分は、流体の患者への送達または患者からの流体の取り除きをさらに容易にするために、静脈内チュービング(図示せず)のセクションと併用するように構成される。
【0036】
本発明のさまざまな実施形態は、隔壁が中に置かれた管腔を有するあらゆる医療装置または補助装置と共に使用するように適合され得る。たとえば、一部の実施形態では、静脈内チュービングのセクションに連結された雌型ルアーアダプタは、本教示による隔壁および隔壁作動装置を備えることができる。他の実施形態では、yポートアダプタの1または複数の端部は、本発明の教示による隔壁および隔壁作動装置を備えることができる。
【0037】
一部の実施形態では、カテーテルアダプタ20の近位端部24は、フランジ28を含む。フランジ28は、静脈内チュービングまたはルアーアダプタをカテーテル組立体10に連結することを可能にするように構成され得る凸表面を提供する。一部の実施形態では、フランジ28は、さらに、ねじ切りされた接続部を介してルアーアダプタを受けるためのねじ山のセットを含む。
【0038】
一部の実施形態では、隔壁40が、カテーテルアダプタ20の内部管腔26と共に摺動可能に収容され得る。隔壁40は、通常、内部管腔26内に嵌合するように構成された外径を有する可撓性または半可撓性のポリマープラグを備える。一部の実施形態では、隔壁40は、1または複数の内部空洞を有して管形状にされる。一部の実施形態では、障壁表面42が、隔壁40の遠位端部と近位端部の間に配設され、隔壁40の内部を近位空洞44および遠位空洞48に分割することができる。他の実施形態では、障壁表面42は、隔壁40の遠位または近位の端部にまたはその近くに配設され得る。スリット46が、近位空洞44と遠位空洞48の間の流体連通を選択的に開くために障壁表面42内に形成され得る。図示するように、一部の隔壁実施形態は、ほぼH形状の断面を有する。カテーテルアダプタ20内に配置されたとき、障壁表面42は、カテーテルアダプタ20の内側管腔26を近位流体室30および遠位流体室32に分割する。したがって、隔壁40の存在は、近位流体室30と遠位流体室32の間の流体の通過を制御または限定することができる。図示するように、隔壁40は、内部管腔の1または複数の内部表面との接触、抗病原性材料との接触、および/または隔壁作動装置50のプローブ54との接触によって内部管腔26内の所定位置に保たれ得る。
【0039】
一部の実施形態では、カテーテル組立体10は、さらに、隔壁作動装置50を備える。隔壁作動装置50は、通常、遠位流体室32内に固定式に配置され、隔壁40に隣接して配置される部分を有する。一部の場合、隔壁作動装置50は、カテーテルアダプタ20に連結された基部52を備える。たとえば、図示するように、基部52は、カテーテル12の近位端部内に少なくとも部分的に挿入され得る。この構成では、基部52は、カテーテル12とカテーテルアダプタ2の間に圧入を形成するくさびとして作用して、カテーテル12および基部52を所定位置に少なくとも部分的に保持する。別の例では、基部52は、締結具、接着剤、結合技術、または成形によってカテーテルアダプタ20に直接的に連結され得る。図示するように、隔壁作動装置50は、カテーテル12の管腔14と流体連通する管腔56を形成する中空内部を備えた管状構成を有することができる。さらに図示するように、隔壁作動装置50は、さらに、カテーテル組立体10の起動前に隔壁40の障壁表面42に隣接して配置されるプローブ54を備える。プローブ54は、隔壁起動後、隔壁40の近位運動を防止するためのかかり部または他の特徴を含むことができる。
【0040】
一部の実施形態では、隔壁作動装置50は、隔壁作動装置50のカテーテル組立体10内での使用を容易にするためのさまざまな特徴を備えることができる。たとえば、隔壁作動装置50は、参照によって全体的に本明細書に各々が組み込まれる、特許文献8および特許文献9で教示されるように、隔壁作動装置50を通るおよびその周りの流体の流れを制御するためのさまざまなベント16および他の構造的特徴を含むことができる。
【0041】
一部の実施形態では、隔壁40は、カテーテルアダプタ20内に摺動可能に収容され、それにより、隔壁40は、カテーテル組立体10の独立した構成要素を備える。したがって、隔壁40は、隔壁作動装置50がスリット46を穿孔して隔壁40を通る流体通路を開く、遠位方向に前進させられることが可能である。このプロセスは、
図3に例示され、その図を参照してより詳細に説明される。
【0042】
一部の実施形態では、隔壁40および/または隔壁作動装置50は、カテーテルアダプタ20内に挿入される前に、抗病原性材料でコーティングされ得る。一部の場合、隔壁40および/または隔壁作動装置50は、剛性または半剛性の抗病原性材料でコーティングされ、それにより、これらの構造を迂回する流体は、抗病原性材料と接触状態になる。他の場合、隔壁40および/または隔壁作動装置50は、粘性または流体の抗病原性材料でコテーティングされ、それにより、抗病原性材料は、抗病原性材料と接触状態になるカテーテル組立体10の表面に伝播される。さらに、一部の場合、隔壁40および/または隔壁作動装置50の材料は、抗病原性の材料または作用剤を備える。たとえば、隔壁作動装置50の材料は、製造プロセス中、隔壁作動装置50の材料内に組み込まれるおよびまたはこれと混合される抗病原性材料を含むことができる。一部の場合、抗病原性材料は、隔壁40または隔壁作動装置50からカテーテルアダプタ20内の周囲領域内に溶出することができる。たとえば、カテーテルアダプタ20を通過する流体は、抗病原性材料と直接的に接触することによって、または隔壁作動装置50の材料から溶出した抗病原性材料と接触することによって、隔壁作動装置50の抗病原性材料で処理され得る。
【0043】
一部の実施形態では、隔壁40および隔壁作動装置50は、カテーテル組立体10の流体経路内に提供され、それにより、カテーテル組立体10を通過するすべての流体は、隔壁40および隔壁作動装置50と接触状態になり、またはこれらの構造の近位を通ってその周囲近辺を通り抜ける。したがって、本発明の一部の実施形態は、抗病原性材料でコーティングされた外部または暴露された表面を有する隔壁40および/または隔壁作動装置50を提供することによって、カテーテル組立体10内の流体の抗病原性処理を提供する。さらに、本発明の一部の実施形態は、抗病原性コーティング材料がその上にコーティングされた隔壁40および/または隔壁作動装置50を提供することによって、カテーテル組立体10の流体経路内の細菌定着を防止する。一部の場合、抗病原性材料は、非重要寸法を備える隔壁40および/または隔壁作動装置50のさまざまな表面に適用される。他の場合、抗病原性材料は、重要および非重要の寸法を備える隔壁40および/または隔壁作動装置50のさまざまな表面に適用される。さらに、一部の場合、抗病原性材料は、カテーテル組立体10の流体経路を通って流れる流体と接触状態になることができる隔壁40および/または隔壁作動装置50のすべての表面に適用される。
【0044】
先に論じられたように、カテーテル組立体10のさまざまな表面は、抗病原性コーティングまたは材料の付加によって悪影響が及ぼされ得る重要寸法を備える。たとえば、隔壁作動装置50の基部52の部分は、隔壁作動装置50をカテーテルアダプタ20に固定式に連結させるように構成された重要寸法を備えることができる。したがって、一部の実施形態では、抗病原性材料を基部52のこれらの部分に適用することは望ましくない。それに類似して、一部の実施形態では、抗病原性材料を隔壁40の外側表面に適用することは望ましくなく、この場合、隔壁40の外側表面の直径は、溝16との界接部を形成するように構成された重要寸法を備える。さらに、抗病原性材料を、重要寸法を備える、カテーテル組立体の他のそのような構造、界接部、および特徴に適用することは望ましくないことになり得る。
【0045】
カテーテルアダプタ20は、さらに、抗病原性材料でコーティングされ得るさまざまな表面を備え、この場合、表面は、非重要寸法を含む。たとえば、一部の実施形態では、遠位流体室32の内側表面は、非重要寸法を備え、したがって、抗病原性材料でコーティングされる。それに類似して、隔壁作動装置50のプローブ54のさまざまな内側および外側の表面は、非重要寸法を備え、したがって抗病原性材料でコーティングされる。近位流体室30の特定の表面は、さらに、非重要寸法を含み、したがって、図示するように抗病原性材料でコーティングされ得る。特に、隔壁40の近位に配設された表面は、非重要寸法を備える。
【0046】
通常、抗病原性材料は、医療装置または医療装置の構成要素のあらゆる内部または外部の表面に適用されてよく、この場合、表面は、医療装置を通る流体経路を備える、またはこれに暴露される。表面は、さらに、重要または非重要の寸法を含むことができる。医療装置を通過する流体内の病原菌は、こうして、医療装置内に定着することが防止される。一部の実施形態では、抗病原性材料の厚さは、コーティングされた表面上の抗病原性材料の効果性の持続期間に相当(proportionate)する。したがって、コーティングの効果性の持続期間は、表面に適用された抗病原性材料の厚さを増大させることによって増大され得る。効果性の持続期間は、さらに、抗病原性作用剤がコーティング材料から溶出することができる速度を増大または低下させるように抗病原性材料の物理的特性を改変することで改変され得る。
【0047】
図示するように、一部の実施形態では、材料60内に含有された抗病原性作用剤の長期的溶出を可能にするように構成された剛性または半剛性の抗病原性材料60が、選択される。したがって、抗病原性材料を、カテーテル組立体10の流体通路の表面積の多くに提供することが望ましい。他の実施形態では、潤滑剤をさらに備える粘性の流体の抗病原性材料62が、選択される。たとえば、一部の実施形態では、(NuSil Technology,LLCによって製造された)MED−460などのシリコン潤滑剤をさらに含む抗病原性材料62が、提供される。潤滑剤を含むことは、カテーテル組立体10の界接する構成要素間の摩擦を低減する。たとえば、さらに図示するように、抗病原性材料62は、隔壁作動装置50のプローブ部分54に適用され、それによって隔壁作動装置50と隔壁40の間の摩擦を低減する。別の例では、抗病原性材料62は、隔壁40の外径に適用され、それによって隔壁40とカテーテルアダプタ20の間の摩擦を低減し、隔壁40が内部管腔26内で摺動することを可能にする。一部の実施形態では、抗病原性材料62は、さらに、隔壁40とプローブ54の外側表面との間に流体密封シールを提供する。さらに、一部の実施形態では、抗病原性材料62は、起動前に隔壁40のスリット46に流体密封シールを提供し、または隔壁40からプローブ54を取り除いた後、スリット46に流体密封シールを提供する。さらに、一部の実施形態では、抗病原性材料62は、隔壁40とカテーテルアダプタ20の間に提供する。
【0048】
抗病原性材料62は、カテーテル組立体10を組み立てる前にプローブ54および隔壁40の部分に適用され得る。一部の実施形態では、抗病原性材料62は、他の表面と接触させられたときに流れるまたは移動することができる。したがって、一部の実施形態では、プローブ54からの過剰な抗病原性材料62が、図示するように、カテーテル組立体10の組み立て後に隔壁40に適用される。他の実施形態では、抗病原性材料62は、カテーテルアダプタ20内での抗病原性材料62の過剰な移動を防止または制御する改変されたレオロジーを備える。たとえば、抗病原性材料62は、さらに、シリカ、タルク、または粘土などの材料の粘性を増大させるためのレオロジー改変子を含むことができる。
【0049】
抗病原性材料をカテーテル組立体10の適合性表面にコーティングするまたは適用するためのプロセスは、装置の所望の部分または構成要素をそのそれぞれのコーティング材料60および/または62内に浸漬することによって達成され得る。あるいは、抗病原性材料は、所望の表面上に噴霧されてよい。一部の実施形態では、重要寸法を有する表面は、抗病原性材料を残りの表面に適用する前に、マスクされまたは別の形で保護される。適合性表面は、さらに、コーティング材料と適合性表面の間の機械的接合を促すための機械的特徴を含むことができる。
【0050】
たとえば、適合性表面は、コーティング材料の機械的接合を増大させる、しぼ(texture)、溝、畝部または適合性表面の表面積を増大させる何らかの他の特徴などの物理的特徴を含むように設計され得る。一部の実施形態では、機械的結合は、毛細管力または表面張力によって抗病原性材料を保つ空隙を備える機械的インターロックによって容易にされる。他の実施形態では、機械的インターロックは、抗病原性材料を引き付けるために適合性表面に適用された親水性または疎水性の材料またはコーティングを備える。
【0051】
さらに、一部の実施形態では、抗病原性材料は、表面架橋などの化学結合によってカテーテル組立体または医療装置の適合性表面に化学的に結合される。たとえば、一部の実施形態では、装置の適合性表面は、抗病原性材料の少なくとも1つの構成要素との化学結合を形成することができるポリマー材料を備える。表面架橋を達成するために使用され得るポリマー材料の非限定的な例は、ポリカーボネート、ポリエステル、およびポリウレタンを含む。一部の場合、抗病原性材料は、装置の適合性表面に適用され、その後、抗病原性材料と装置の表面との間の表面架橋を達成するように硬化される。
【0052】
依然として
図1を参照すれば、一部の注入療法技術に関して、遠位室32と近位室30の間の空気の流れが望ましくなり得る。たとえば、流体密封スリット46を有する隔壁40を備えるこれらの実施形態に関して、遠位室32から近位室30までの空気の通過は、先に論じられたように、隔壁起動装置50によって隔壁40を開くまたは起動する前に制限され得る。したがって、カテーテル組立体10のカテーテル12が患者の血管系内に挿入されたとき、正圧力が遠位室32内に生じ、それによってカテーテルアダプタ20に入る患者の血液の所望のフラッシュバックを妨げる。観察可能なフラッシュバックは、通常、患者の静脈内でのカテーテル先端部の正確な配置を確認するために望ましい。したがって、一部の実施形態は、隔壁起動装置50による隔壁40の起動を必要とせずに、遠位室32と近位室30の間の空気の流れを可能にするための特徴または要素を含む。したがって、本発明の一部の実施形態は、注入手順において通常望まれるような観察可能なフラッシュバックを提供する。
【0053】
たとえば、一部の実施形態では、複数の空気通気チャネル16が、隔壁40とカテーテルアダプタ20の内側表面との間に間置される。そのような空気ベントチャネル16は、図示するように、隔壁40が起動前の位置にあるとき、隔壁40の遠位端部を超えてそこから隔壁40の近位端部を超えるまで延びることができる。空気ベントチャネル16は、空気が隔壁40を迂回して近位室30に入るアクセスを提供することによって、遠位室32内の正圧を緩和することができる。一部の実施形態では、空気ベントチャネル16は、カテーテルアダプタの内側表面の一部分を取り除き、その結果複数の略平行の溝をもたらすことによって構築される。一部の実施形態では、空気ベントチャネル16は、空気の流れを可能にするが、空気ベントチャネル16を通る流体の流れを制限するようにサイズ設定され成形される。他の実施形態では、空気ベントチャネル16は、空気の流れおよび流体の流れを可能にするが、流体の流れを所定の流量未満またはこれに等しくなるように制限するようにサイズ設定され成形される。
図2は、空気ベントチャネル16をよりはっきりと見ることができるように隔壁40および抗病原性材料が取り除かれた、
図1のカテーテル組立体10を示す。
【0054】
一部の実施形態では、抗病原性材料は、通気チャネル16の1または複数の表面に適用され、通気チャネル16の表面に適用された抗病原性材料は、通気チャネル16を塞ぐものより小さい厚さを有する。
【0055】
次に
図3を参照すれば、カテーテル組立体10は、ルアーアダプタ70による起動後で示される。カテーテル組立体10は、隔壁40が遠位に前進させられ、それによってプローブ54に隔壁40のスリット46を穿孔させたときに起動される。一部の実施形態では、隔壁40は、ルアーアダプタ70がカテーテルアダプタ20の開口部56内に挿入されるときに遠位に前進させられる。一部の実施形態では、(
図2に示す)開口部27は、ルアーアダプタ70のプローブ72を摩擦嵌合またはしまりばめで受容するように構成された直径および内壁表面角度を備える。したがって、一部の実施形態では、抗病原性材料を開口部27に適用することは望ましくなく、この場合、抗病原性コーティングは、開口部27内のプローブ72の嵌合に悪影響を与える。
【0056】
あるいは、一部の実施形態では、開口部27は、粘性であるが、ルアーアダプタ70を近位端部24に連結させたときにプローブ72によって変位されるのに十分な流体である抗病原性材料60でコーティングされ得る。これらの実施形態では、抗病原性材料は、プローブ72と開口部27の間のシーラントとして作用することができ、この場合プローブ72は、抗病原性材料の必要な過剰量を取り除いて、開口部27とプローブ72の界接する表面間に少量の抗病原性材料を残す。
【0057】
一部の実施形態では、抗病原性材料62は、起動後にカテーテル組立体10内の界接する表面に伝播するように構成される。たとえば、一部の実施形態では、隔壁作動装置50のプローブ54上の抗病原性材料は、プローブ54がスリット46を穿孔するときに隔壁50および隔壁スリット46に伝播される。さらに、隔壁40上の抗病原性材料60は、隔壁40がカテーテルアダプタ20内で遠位に前進させられるときに内部管腔26の内側表面に伝播される。したがって、抗病原性材料60は、カテーテル組立体10の起動後の抗病原性材料のさらなる分散を見越して、カテーテル組立体10のさまざまな表面に適用され得る。他の実施形態では、抗病原性材料60は、カテーテル組立体10の起動中に伝播されない剛性または半剛性の材料を備える。
【0058】
一部の実施形態では、カテーテル組立体10のさまざまな他の構造的特徴および/または表面は、抗病原性材料を適用することが望ましくない重要寸法を含み得る。たとえば、一部の注入療法技術では、隔壁40の起動前に隔壁40を通る流体の制御された流れを可能にすることが望ましい。したがって、一部の実施形態では、スリット46は、さらに、近位流体室30と遠位流体室32の間の液体または空気の制御された流れを可能にするように計算された開口部直径を有する漏出オリフィスを備えることができる。この漏出オリフィスは重要寸法を含み得るため、算出された開口部直径を抗病原性材料の付加によってブロックまたは低減することは、望ましくないことになり得る。
【0059】
次に
図4を参照すれば、隔壁40は、カテーテルアダプタ20内に示され、このカテーテルアダプタ20は、カテーテルアダプタ20の管腔26内での隔壁40の位置を維持し、したがってこれがカテーテルアダプタ20の近位端部24内の開口部27から出ることを防止する構造的特徴を有する。たとえば、一部の実施形態では、隔壁40は、1または複数のフィン82を備え、このフィンは、カテーテルアダプタ20の近位停止部80と当接して隔壁40のさらなる近位運動を防止することができる。フィン82は、任意の突起部、フック、ラッチ、またはフィン82の例示された平坦な近位表面などの障壁表面を形成するように構成された他の適切な構造を備えることができる。近位停止部80は、カテーテルアダプタ20の内側表面から延びる突起部を含むことができる。近位停止部80は、内部管腔26の一部分の周りを径方向に部分的にまたは完全に延びることができる。一部の実施形態では、1または複数のフィン56を受け入れるために、隔壁40および内部管腔26は、隔壁40と内部管腔26の間に、フィン56および近位停止部80が中に存在する空隙を提供するように成形されサイズ設定される。先に論じられたように、カテーテルアダプタ20のさまざまな表面は、抗病原性材料60および/または62でコーティングされ得る。これは、フィン82、近位停止部80、ならびに近位停止部80およびフィン82の近位のカテーテルアダプタ20の部分のコーティング部分を含むことができる。
【0060】
図4にさらに示さすように、一部の実施形態では、隔壁作動装置50は、かかり部(たとえば、
図1〜3のかかり部58)を含まない。そうではなく、隔壁40は、隔壁40と隔壁作動装置50の間の力によって、起動された位置(
図3に示す)に保持され得る。他の実施形態では、隔壁40は、挿入された装置(たとえば
図3のルアーアダプタ70)を取り除いた後、起動前の場所(
図1に示す)に戻ることができる。
【0061】
次に
図5を参照すれば、カテーテルアダプタ20の管腔26内での隔壁40の位置を維持し、これがカテーテルアダプタ20の近位端部24内の開口部27から出ることを防止するための代替の構成が、示される。図示するように、隔壁40は、
図4の隔壁40のものに類似するフィン40を含む。しかし、
図4の近位停止部80は、チャネル90または溝と置き換えられ、このチャネル90または溝は、隔壁40が隔壁の起動中に近位に摺動することを可能にしながら、フィン40をその中に保持するように構成される。したがって、チャネル90は、(たとえば
図1に示す)起動前の場所から(たとえば
図3に示す)起動場所への隔壁40の移動を受け入れるのに十分な長さになることができる。一部の実施形態では、フィン20および/またはチャネル90のさまざまな表面は、抗病原性材料60および/または62でコーティングされ得る。
【0062】
次に
図6を参照すれば、隔壁の起動中、増大された構造的支持を隔壁40に提供するための代替の隔壁構成が、示される。図示するように、隔壁40は、その近位端部102上に補強された部分100を含むことができる。補強された部分100は、隔壁起動中の、隔壁の崩壊を防止するのを助けることができる。通常、補強された部分100は、隔壁40の残りの側壁106より増大された厚さを有する側壁104を含むことができる。補強された部分100は、隔壁40の残りの側壁106より約25%から150%厚い厚さを含むことができる。
図6に示すように、補強された部分100は、隔壁40から外方向に出っ張ることができる。
図7は、内方向に出っ張る補強された部分110を有する隔壁40の実施形態を示す。
【0063】
図7は、さらに、隔壁40の近位端部112上に配設された障壁部材42を有する隔壁40の例を示す。この構成では、隔壁40は、遠位空洞(たとえば
図1および3〜6の遠位空洞48)を含まない。そうではなく、そのような実施形態では、隔壁40は、隔壁の遠位空洞内に存在する代わりに隔壁起動装置40のプローブ54に対抗して保持される。
【0064】
本発明は、本明細書において広く説明され、これ以後特許請求されるような構造、方法、または他の必須の特性から逸脱することなく他の特有の形態で具体化されてよい。説明された実施形態は、あらゆる点において、制限的ではなく、例示的としてのみ考慮されるものである。本発明の範囲は、したがって、前述の説明によるものではなく、付属の特許請求の範囲によって示される。特許請求の範囲の等価の意味および範囲に入るすべての変更は、その範囲内に包含されるものとする。