特許第6492013号(P6492013)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6492013ペルフルオロポリエーテルの調製における第四級アンモニウムペルフルオロアルコキシ塩
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6492013
(24)【登録日】2019年3月8日
(45)【発行日】2019年3月27日
(54)【発明の名称】ペルフルオロポリエーテルの調製における第四級アンモニウムペルフルオロアルコキシ塩
(51)【国際特許分類】
   C07C 29/00 20060101AFI20190318BHJP
   C07C 31/40 20060101ALI20190318BHJP
   C07C 209/00 20060101ALI20190318BHJP
   C07C 211/63 20060101ALI20190318BHJP
   C07F 9/54 20060101ALI20190318BHJP
   C10M 107/38 20060101ALI20190318BHJP
   C10M 105/54 20060101ALI20190318BHJP
   C10M 115/06 20060101ALI20190318BHJP
   C10M 113/12 20060101ALI20190318BHJP
   C10M 113/00 20060101ALI20190318BHJP
   C07D 295/03 20060101ALI20190318BHJP
   C07D 295/023 20060101ALI20190318BHJP
   C07D 213/74 20060101ALI20190318BHJP
   C07D 487/08 20060101ALI20190318BHJP
   C08G 65/10 20060101ALI20190318BHJP
   C08G 65/22 20060101ALI20190318BHJP
   C08L 71/02 20060101ALI20190318BHJP
   C10N 50/10 20060101ALN20190318BHJP
【FI】
   C07C29/00CSP
   C07C31/40
   C07C209/00
   C07C211/63
   C07F9/54
   C10M107/38
   C10M105/54
   C10M115/06
   C10M113/12
   C10M113/00
   C07D295/03
   C07D295/023
   C07D213/74
   C07D487/08
   C08G65/10
   C08G65/22
   C08L71/02
   C10N50:10
【請求項の数】8
【全頁数】31
(21)【出願番号】特願2015-552793(P2015-552793)
(86)(22)【出願日】2014年1月10日
(65)【公表番号】特表2016-509597(P2016-509597A)
(43)【公表日】2016年3月31日
(86)【国際出願番号】US2014010984
(87)【国際公開番号】WO2014110329
(87)【国際公開日】20140717
【審査請求日】2017年1月6日
(31)【優先権主張番号】61/751,301
(32)【優先日】2013年1月11日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】515269383
【氏名又は名称】ザ ケマーズ カンパニー エフシー リミテッド ライアビリティ カンパニー
(73)【特許権者】
【識別番号】515191280
【氏名又は名称】トリニティ ウェスタン ユニバーシティ
(74)【代理人】
【識別番号】110001243
【氏名又は名称】特許業務法人 谷・阿部特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ジョン リー ハウエル
(72)【発明者】
【氏名】シャドロン マーク フリーセン
(72)【発明者】
【氏名】ベンソン ジェイコブ ジュリア
【審査官】 岡谷 祐哉
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許第03453333(US,A)
【文献】 特表2011−522798(JP,A)
【文献】 特表2009−524717(JP,A)
【文献】 特開昭63−191825(JP,A)
【文献】 特開昭57−150632(JP,A)
【文献】 特表2005−506391(JP,A)
【文献】 国際公開第2011/000490(WO,A2)
【文献】 米国特許出願公開第2011/0079043(US,A1)
【文献】 特開昭61−235497(JP,A)
【文献】 特開2002−020615(JP,A)
【文献】 特表2010−512332(JP,A)
【文献】 米国特許第03449389(US,A)
【文献】 米国特許第03322826(US,A)
【文献】 英国特許第01033574(GB,B)
【文献】 特表2012−531493(JP,A)
【文献】 特表2008−524375(JP,A)
【文献】 特表2004−504428(JP,A)
【文献】 仏国特許出願公開第01373014(FR,A1)
【文献】 YANAGIDA, Shozo, et al.,Bulletin of the Chemical Society of Japan,1981年,54(4),pp. 1151-1158
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07C
C07F
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
溶媒の存在下、ハイドロフルオロエーテルとアミンとを接触させてテトラアルキルプニクトゲンペルフルオロアルコキシ塩を生成する工程を含む、無水テトラアルキルプニクトゲンペルフルオロアルコキシ塩の生成方法であって、
前記ハイドロフルオロエーテルは、Rf4−O−Rであり、式中、Rf4は、Cl、Br、又はIで任意に置換された炭素数1〜10の直鎖、分岐状又は環状のフルオロアルキル、;−Rは、メチル、エチル、又はプロピルであり、
前記アミンは、
【化1】
又はこれらの混合物であり、
式中、ZはNであり;Rf2は、炭素数1〜10の直鎖又は分岐状のフルオロアルキルであり;−R1、−R2、−R3、−R4、−R5、−R6、−R7、−R9、−R10、−R12、−R13及び−R15は、各々独立して、炭素数1〜10のアルキルであり、このアルキルは、直鎖、分岐状又は環状であってよく;−R8、−R11、及び−R14は、各々独立して、炭素数1〜10の二価のアルキルであり、このアルキルは直鎖、分岐状又は環状であってよく;Xは各々独立してハロゲンであり;aは0〜5の整数である、方法。
【請求項2】
前記溶媒は、ハイドロフルオロエーテルである、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
1つ以上の無水第四級プニクトゲン塩を含む開始剤と、ペルフルオロアルキレンエポキシド、ペルフルオロアルキレン、部分的にフッ素化したアルキレンエポキシド、又はこれらの混合物を含む1つ以上のモノマーとを接触させる工程を含む、フルオロアルキルエーテル酸フッ化物ポリマーの調製方法であって、
前記第四級プニクトゲン塩は、
【化2】
【化3】
又はこれらの混合物を含み、
式中、ZはNであり;Aは、各々独立してRf−Oであり、ここで、Rf−は、−Cl、−Br又は−Iで任意に置換された、炭素数1〜10の直鎖、分岐状又は環状のフルオロアルキル、非フッ素化アリール、又は−O−R’、−Cl、−Br又は−Iで置換された非フッ素化アリールであり(ここで、−R’は、炭素数1〜10の直鎖、分岐状又は環状のアルキルである);Rf2は、炭素数1〜10の直鎖、分岐状又は環状のフルオロアルキルであり;−R1、−R2、−R3、−R4、−R5、−R6、−R7、−R9、−R10、−R12、−R13及び−R15は、各々独立して、炭素数1〜10のアルキルであり、このアルキルは直鎖、分岐状又は環状であってよく;−R8、−R11、及び−R14は、各々独立して、炭素数1〜10の二価のアルキルであり、このアルキルは直鎖、分岐状又は環状であってよく;Xは各々独立して水素であり;aは0〜5の整数であり;及び−Rは、メチル、エチル、又はプロピルである、方法。
【請求項4】
前記ペルフルオロアルキレン及び部分的にフッ素化したアルキレンエポキシドモノマーは、ヘキサフルオロプロピレンオキシド、ヘキサフルオロプロピレン、テトラフルオロオキセタン、及びこれらの混合物からなる群から選択される、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記接触工程は無水溶媒の存在下で起こる、請求項3に記載の方法。
【請求項6】
前記無水溶媒は、ハイドロフルオロエーテル、ヘキサフルオロキシレン、アセトニトリル、ジメチルエーテル、ジエチルエーテル、テトラグリム、又はこれらの混合物である、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記フルオロアルキルエーテル酸フッ化物ポリマーは、式
f−O−[CF(CF3)CF2O]n−Rf1−COF;
f−O−[CH2CF2CF2O]t−Rf1−COF;又は
f−O−[CF(CF3)CF2O]n−[CH2CF2CF2O]t−Rf1−COF;であり、
式中、Rf−は、炭素数1〜10の直鎖、分岐状又は環状のフルオロアルキル、−Cl、−Br又は−Iで置換された炭素数1〜10の直鎖、分岐状又は環状のフルオロアルキル、非フッ素化アリール、又は−O−R’、−Cl、−Br、又は−Iで置換された非フッ素化アリールであり(式中、−R’は、炭素数1〜10の直鎖、分岐状又は環状のアルキルである);nは2〜100の整数であり、tは2〜200の整数であり;Rf1は、炭素数1〜6の直鎖、又は分岐状の二価のフルオロアルキルである、請求項3に記載の方法。
【請求項8】
式:
【化4】
【化5】
のテトラアルキルプニクトゲン塩;
又はこれらの混合物を含む組成物であって、
式中、ZはNであり;Aは各々独立してRf−Oであり、ここで、Rf−は、−Cl、−Br又は−Iで任意に置換された、炭素数1〜10の直鎖、分岐状又は環状のフルオロアルキル、非フッ素化アリール、又は−O−R’、−Cl、−Br又は−Iで置換された非フッ素化アリールであり(式中、−R’は、直鎖、分岐状又は環状の炭素数1〜10のアルキルである);Rf2は、炭素数1〜10の直鎖、分岐状又は環状のフルオロアルキルであり;−R4、−R5、−R9、−R12、−R13、−R15及び−R16は、各々独立して、炭素数1〜10のアルキルであり、このアルキルは直鎖、分岐状又は環状であってよく;−R6、−R7及び−R10は、各々独立して、水素又は炭素数1〜10のアルキルであり、このアルキルは直鎖、分岐状又は環状であってよく;−R8、−R11、及び−R14は、各々独立して、炭素数1〜10の二価のアルキルであり、このアルキルは直鎖、分岐状又は環状であってよく;Xは、各々独立して水素であり;aは0〜5の整数であり;及び−Rは、メチル、エチル、又はプロピルである、組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、第四級アンモニウムペルフルオロアルコキシ塩を含む新規の開始剤に関する。これらの塩は、例えば、(ポリ)ヘキサフルオロプロピレンオキシドホモポリマー及びオキセタンポリマーなどのペルフルオロポリエーテルを形成するためのエポキシド又はオキセタンの重合において有用である。
【背景技術】
【0002】
本明細書中、以下で、商標又は商品名は、大文字で示される。
【0003】
ペルフルオロポリエーテル(以下、PFPE)は、極限条件下で使用するための油及びグリース中で重要な用途を有する流体である。3種の市販のPFPEである、KRYTOX(E.I.du Pont de Nemours and Company,Inc.製(Wilmington DE))、FOMBLIN及びGALDEN(Solvay Specialty Polymers製(Milan,Italy))及びDEMNUM(Daikin Industries製(Osaka,Japan))は、化学構造が異なっている。KRYTOXの概要は、Synthetic Lubricants and High−Performance Fluids(Rudnick及びShubkin編、Marcel Dekker(ニューヨーク州ニューヨーク(NY))、1999年、第8章、215〜237頁)で見られる。FOMBLIN及びGALDENの概要は、Organofluorine Chemistry(Banksら編、Plenum(ニューヨーク州ニューヨーク(NY))、1994年、第20章、431〜461頁、及びDEMNUMのレビューは、Organofluorine Chemistry(同上、第21章、463〜467頁)で見られる。
【0004】
米国特許第3,322,826号においてMooreによって記載されるように、ヘキサフルオロプロピレンエポキシドのアニオン性重合は、KRYTOX流体を生成するのに使用され得る。生じるポリ(ヘキサフルオロプロピレンエポキシド)PFPE流体は、本明細書中以下でポリ(HFPO)流体と記載される。
【0005】
開始ポリマーは末端酸フッ化物を有し、これは酸に加水分解された後フッ素化される。ポリ(HFPO)流体の構造は、式1で示される:
CF3−(CF22−O−[CF(CF3)−CF2−O]s−RfI (式1)
式中、sは2〜100の整数であり、RfIは、CF2CF3又はCF(CF32であり、エチルとイソプロピル末端基との比率は、20:1〜50:1の範囲である。
【0006】
DEMNUM流体は、2,2,3,3−テトラフルオロオキセタン(テトラフルオロオキセタン)を連続的にオリゴマー化及びフッ素化することで精製され、式2の構造が得られる。
F−[(CF23−O]t−RfII (式2)
式中、RfIIは、CF3又はC25であり、tは2〜200の整数である。
【0007】
PFPE流体の一般的な特性は、ペルフルオロプロピル開始基及びペルフルオロアルキル末端基が存在することである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】米国特許第3,322,826号
【非特許文献】
【0009】
【非特許文献1】Synthetic Lubricants and High−Performance Fluids(Rudnick及びShubkin編、Marcel Dekker(ニューヨーク州ニューヨーク(NY))、1999年、第8章、215〜237頁)
【非特許文献2】Organofluorine Chemistry(Banksら編、Plenum(ニューヨーク州ニューヨーク(NY))、1994年、第20章、431〜461頁
【非特許文献3】Organofluorine Chemistry(同上、第21章、463〜467頁)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
一般的に、これらのペルフルオロアルキルエーテルは、重合方法から生成される酸フッ化物を反応させることで改変され得る。潤滑剤、添加剤及び触媒などの用途において、官能性ペルフルオロ化ポリエーテル及び二官能性ペルフルオロ化ポリエーテルに関心が集まっている。新規の開始剤は、重合方法を制御してより長鎖のPFPEを生成することが必要とされている。これらの化合物は、かかる開始剤を使用して連続的な重合方法を可能とすることでコストも削減し得る。これらのPFPTの重合における新規の開始剤系も必要とされている。本発明は、これらの必要性に見合うものである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の第1の実施形態は、溶媒の存在下でハイドロフルオロエーテルとアミンとを接触させてテトラアルキルプニクトゲンペルフルオロアルコキシ塩を生成する工程を含む、無水テトラアルキルプニクトゲン(第15族)ペルフルオロアルコキシ塩の生成方法である。
【0012】
本発明の第2の実施形態は、1つ以上の無水第四級プニクトゲン塩を含む開始剤と、ペルフルオロアルキレンエポキシド、ペルフルオロアルキレン、部分的にフッ素化したアルキレンエポキシド、又はこれらの混合物を含む1つ以上のモノマーとを接触させる工程を含む、フルオロアルキルエーテル酸フッ化物ポリマーの調製方法である。
【0013】
本発明の第3の実施形態は、以下の式のフッ素化アルキルポリエーテルポリマー:
Rf−O−[CF(CF3)CF2O]n−Rf3
Rf−O−[CF2CF2CF2O]t−Rf3;又は
Rf−O−[CF(CF3)CF2O]n−[CH2CF2CF2O]t−Rf3;を含むか、これらから本質的になるか、又はこれらからなる組成物であり、
式中、Rf−は、炭素数7〜10の直鎖、分岐状又は環状のフルオロアルキル、−Cl、−Br又は−Iで置換された炭素数1〜10の直鎖、分岐状又は環状のフルオロアルキル、非フッ素化アリール、又は−O−R’、−Cl、−Br又は−Iで置換された非フッ素化アリールであり(ここで、−R’は、炭素数1〜10の直鎖、分岐状又は環状のアルキルである);nは2〜100の整数であり、tは2〜200の整数であり;Rf3は、炭素数1〜6の直鎖、又は分岐状のフルオロアルキルである。
【0014】
本発明の第4の実施形態は、以下の式:
【0015】
【化1】
【0016】
【化2】
のテトラアルキルプニクトゲン塩、又はこれらの混合物を含むか、これらから本質的になるか、又はこれらからなる組成物であり、
式中、ZはN又はPであり;Aは各々独立してRf−又はRf−O−であり、ここで、Rf−は、−Cl、−Br又は−Iで任意に置換された炭素数4〜10の直鎖、分岐状又は環状のフルオロアルキル、非フッ素化アリール、又は−O−R’、−Cl、−Br又は−Iで置換された非フッ素化アリールであり(ここで、−R’は、炭素数1〜10の直鎖、分岐状又は環状のアルキルである);Rf2は、炭素数1〜10の直鎖、又は分岐状のフルオロアルキルであり;−R1、−R2、−R3、−R4、−R5、−R6、−R7、−R9、−R10、−R12、−R13、−R14、及び−R15は、各々独立して、水素又は炭素数1〜10のアルキルであり、このアルキルは直鎖、分岐状又は環状であってよく;−R8、−R11、及び−R14は、各々独立して炭素数1〜10の二価のアルキルであり、このアルキルは直鎖、分岐状又は環状であってよく;Xは、各々独立してハロゲンであり;aは0〜5の整数であり、−Rは、メチル、エチル、又はプロピルである。
【発明を実施するための形態】
【0017】
前述の一般的な説明及び以下の詳細な説明は、付属の請求項で定義されるように、本発明を例示し、説明するのみであって、制限はされない。実施形態のうちの任意の1つ以上の他の特徴及び利点は、以下の詳細な説明、及び請求項から明らかになるであろう。
【0018】
本明細書で使用されるように、用語「含む(comprise)」、「含む(comprising)」、「含む(include)」、「含む(including)」、「有する(has)」、「有する(having)」又はこれらの任意の他の変形は、非排他的に包含することを意図する。例えば、構成要素のリストを含むプロセス、方法、物品、又は装置は、それらの構成要素のみに限定される必要はなく、かかるプロセス、方法、物品、又は装置に明確に挙げられないか又は固有ではない他の構成成分を含み得る。更には、明確に反対を示さない限り、「又は」は、包含的な「又は」であり、排他的な「又は」ではないことを指す。例えば、条件A又はBは、以下のうちのいずれかが成立する:Aは真であり(又は存在し)Bは偽である(又は存在しない)、Aは偽であり(又は存在せず)Bは真である(又は存在する)、及びA及びBの両方は真である(又は存在する)。
【0019】
また、「a」又は「an」は、本明細書で記載される要素及び構成要素を記載するのに用いられる。これは、単に便宜上、本発明の範囲の一般的な意味を与えるために行われるものである。この記載は、少なくとも1つを含むと読み取るべきであり、それが他を意味することが明らかでない限り、単数には複数も含まれる。
【0020】
特に定義されない限り、本明細書で使用される全ての技術用語及び科学用語は、本発明が属する分野の当業者によって一般的に理解されるのと同じ意味を有する。競合する場合、定義を含めて本明細書が調整される。本明細書に記載されるものと同じ又は同等の方法及び材料は、本発明の実施形態の実践又は試験で使用することができ、好適な方法及び材料は以下で記載される。更に、材料、方法、及び実施例は例示されるのみであって、限定を意図していない。
【0021】
量、濃度、又は他の値又はパラメータは、範囲、好ましい範囲、又は好ましい上限値及び/又は好ましい下限値のいずれかとして与えられ、これは、別々に開示されているかに関わらず、任意の上限値又は好ましい値と任意の下限値又は好ましい値との任意の対からできる全ての範囲を具体的に開示するものと理解されるべきである。本明細書において数値の範囲が引用されている場合、特に明記しない限り、当該範囲はその範囲の両端を含み、且つ当該範囲内のすべての整数及び分数を含むものとする。
【0022】
本発明は、無水テトラアルキルプニクトゲンペルフルオロアルコキシ塩を生成する方法、ペルフルオロアルキルエーテル酸フッ化物ポリマー、新規のフッ素化アルキルポリエーテルポリマー、及び新規の無水テトラアルキルプニクトゲンペルフルオロアルコキシ塩を調製する方法を目的とする。
【0023】
本発明の第1の実施形態は、溶媒の存在下でハイドロフルオロエーテルとアミンとを接触させてテトラアルキルプニクトゲンペルフルオロアルコキシ塩を生成する工程を含む、無水テトラアルキルプニクトゲンペルフルオロアルコキシ塩の生成方法である。この方法は、テトラアルキルプニクトゲンペルフルオロアルコキシ塩を分解し、テトラアルキルプニクトゲンフッ化物塩及びペルフルオロアルキル酸フッ化物を生成する工程を更に含み得る。この方法は、ペルフルオロアルキル酸フッ化物からテトラアルキルプニクトゲンフッ化物塩を単離する工程を更に含み得る。これらの無水テトラアルキルプニクトゲンペルフルオロアルコキシ塩は、より長鎖の開始基を有し、官能基が付加されたペルフルオロポリアルキルエーテルの重合に有用である。
【0024】
本発明に有用なハイドロフルオロエーテルは、Rf4−O−Rであり、式中、Rf4は、Cl、Br、又はIで任意に置換された炭素数1〜10の直鎖、分岐状又は環状のフルオロアルキル、非フッ素化アリール、式−Cn2nの非フッ素化環状基であり(式中、Yは、各々独立して、H、O−R’、Cl、Br、又はIであり、−R’は、炭素数1〜10の直鎖、分岐状又は環状アルキルである);−Rは、メチル、エチル、又はプロピルである。例としては、CF3CF2CF2CF2OCH3、(CF32CFCF2OCH3、及びCF3CF2CF2OCH3が挙げられるが、限定されない。これらは、HFE−7100(CF3CF2CF2CF2OCH3と(CF32CFCF2OCH3との混合物)及びHFE−7000(CF3CF2CF2OCH3)として市販されている。
【0025】
本発明で有用なアミンは、以下の式の化合物:
【0026】
【化3】
又はこれらの混合物を含むか、これらから本質的になるか、又はこれらからなり、
式中、ZはN又はPであり;Rf2は、炭素数1〜10の直鎖、又は分岐状のフルオロアルキルであり;−R1、−R2、−R3、−R4、−R5、−R6、−R7、−R9、−R10、−R12、−R13、−R14、及び−R15は、各々独立して、水素又は炭素数1〜10のアルキルであり、このアルキルは、直鎖、分岐状又は環状であってよく;−R8、−R11、及び−R14は、各々独立して、炭素数1〜10の二価のアルキルであり、このアルキルは直鎖、分岐状又は環状であってよく;Xは、各々独立してハロゲンであり;aは0〜5の整数である。アミンの例としては、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリプロピルアミン、トリ(イソプロピル)アミン、トリブチルアミン、1,4−ジメチルピペラジン、1,4−ジアゾビシクロ[2,2,2−]オクタン、N,N−ジメチルベンジルアミン、及びテトラメチルエチレンジアミンが挙げられるが、これらに限定されない。
【0027】
本発明の方法は、以下の式の第四級プニクトゲン塩:
【0028】
【化4】
【0029】
【化5】
又はこれらの混合物を生成し;
式中、ZはN又はPであり;Aは各々独立してRf−又はRf−O−であり、ここで、Rf−は、−Cl、−Br又は−Iで任意に置換された炭素数4〜10の直鎖、分岐状又は環状のフルオロアルキル、非フッ素化アリール、又は−O−R’、−Cl、−Br又は−Iで置換された非フッ素化アリールであり(ここで、−R’は、炭素数1〜10の直鎖、分岐状又は環状のアルキルである);Rf2は、炭素数1〜10の直鎖、又は分岐状のフルオロアルキルであり;−R1、−R2、−R3、−R4、−R5、−R6、−R7、−R9、−R10、−R12、−R13、−R14、及び−R15は、各々独立して、水素又は炭素数1〜10のアルキルであり、このアルキルは直鎖、分岐状又は環状であってよく、−R8、−R11、及び−R14は、各々独立して炭素数1〜10の二価のアルキルであり、このアルキルは直鎖、分岐状又は環状であってよく;Xは各々独立してハロゲンであり;aは0〜5の整数であり、−Rは、メチル、エチル、プロピルである。
【0030】
本実施形態において、接触工程は溶媒の存在下で起こる。反応物及び生成物が溶媒に易溶性である限り、任意の溶媒が使用され得る。好ましくは、溶媒は、上述で定義したような式Rf4−O−Rのハイドロフルオロエーテルである。
【0031】
本発明の第2の実施形態は、上述で定義されるように、1つ以上の無水第四級プニクトゲンを含む、これらから本質的になる、又はこれらからなる開始剤と、1つ以上の部分的にフッ素化したモノマー、完全フッ素化モノマー又はこれらの混合物とを接触させる工程を含む、フルオロアルキルエーテル酸フッ化物ポリマーの調製方法である。本発明のいくつかの実施形態において、1つ以上のモノマーは、ペルフルオロアルキレンエポキシド、ペルフルオロアルキレン、部分的にフッ素化したアルキレンエポキシド、又はこれらの混合物を含むか、これらから本質的になるか、又はこれらからなる。好ましくは、ペルフルオロアルキレン及び部分的にフッ素化したアルキレンエポキシドモノマーは、ヘキサフルオロプロピレンオキシド、ヘキサフルオロプロピレン、テトラフルオロオキセタン、及びこれらの混合物からなる群から選択される。
【0032】
本発明において、1つ以上の無水第四級プニクトゲン塩を含むか、これらから本質的になるか、又はこれらからなる開始剤と、1つ以上の部分的にフッ素化したモノマー、完全フッ素化モノマー、又はこれらの混合物とを接触させる工程は、無水溶媒中で起こる。無水溶媒は、開始剤、モノマー及び生じたポリマーを容易に溶媒和する任意の溶媒であり得る。好ましくは、無水溶媒は、ハイドロフルオロエーテル、ヘキサフルオロキシレン、アセトニトリル、ジメチルエーテル、ジエチルエーテル、テトラグリム、又はこれらの混合物である。
【0033】
本実施形態は、以下の式のフルオロアルキルエーテル酸フッ化物ポリマー:
f−O−[CF(CF3)CF2O]n−Rf1−COF;
f−O−[CH2CF2CF2O]t−Rf1−COF;又は
f−O−[CF(CF3)CF2O]n−[CH2CF2CF2O]t−Rf1−COF;を生成し、
式中、Rf−は、炭素数1〜10の直鎖、分岐状又は環状のフルオロアルキル、−Cl、−Br又は−Iで置換された炭素数1〜10の直鎖、分岐状又は環状のフルオロアルキル、非フッ素化アリール、又は−O−R’、−Cl、−Br、又は−Iで置換された非フッ素化アリールであり(ここで、−R’は、炭素数1〜10の直鎖、分岐状又は環状のアルキルである);nは2〜100の整数であり、tは2〜200の整数であり;Rf1は、炭素数1〜6の直鎖、又は分岐状の二価のフルオロアルキルである。
【0034】
各Rf−基の長さ及び組成は、重合中に使用される第四級プニクトゲン塩に依存する。フッ素化モノマー及び部分的にフッ素化したモノマーと、フッ化セシウムなどの金属フッ化物とを重合することで、使用されるモノマーに相応するポリマーの開始基がもたらされることが知られている。すなわち、ヘキサフルオロプロピレンオキシドをフッ化セシウムで重合することで、ポリマーのCF3CF2CF2O−開始基がもたらされる。上記で定義されるように、モノマーを第四級プニクトゲン塩で重合することで、重合は、上記で定義されるような(第四級プニクトゲン塩のアニオンからの)開始基Rfを有し、並びに従来の重合方法で生成されるような開始基CF3CF2CF2O−を有するポリマーの混合物を生成することは驚きである。例えば、ヘキサフルオロプロピレンオキシドと式CF3CF2CF2CF2- N(CH34+の第四級プニクトゲン塩との重合によって、以下の式のフルオロアルキルエーテル酸フッ化物ポリマー:
CF3CF2CF2O−[CF(CF3)CF2O]n−Rf1−COF及び
CF3CF2CF2CF2O−[CF(CF3)CF2O]n−Rf1−COF、の混合物が生成される。
【0035】
同様に、ヘキサフルオロプロピレンオキシドは、以下の式の第四級プニクトゲン塩:BrCF2CF2CF2CF2- N(CH34+を使用して重合される場合、このポリマー生成物は、以下の式のフルオロアルキルエーテル酸フッ化物ポリマー:
CF3CF2CF2O−[CF(CF3)CF2O]n−Rf1−COF及び
BrCF2CF2CF2CF2O−[CF(CF3)CF2O]n−Rf1−COF、の混合物である。
【0036】
本発明の別の実施例は、式:
【0037】
【化6】
の第四級プニクトゲン塩を使用してヘキサフルオロプロピレンオキシドを重合し、
以下の式のフルオロアルキルエーテル酸フッ化物ポリマー:
CF3CF2CF2O−[CF(CF3)CF2O]n−Rf1−COF
及び
【0038】
【化7】
の混合物が生成される。
【0039】
この付加官能基は、熱的に安定な添加剤などの様々な用途において非常に有用である。
【0040】
本発明の第3の実施形態は、以下の式のフッ素化アルキルポリエーテルポリマー:
f−O−[CF(CF3)CF2O]n−Rf3
f−O−[CF2CF2CF2O]t−Rf3;又は
Rf−O−[CF(CF3)CF2O]n−[CH2CF2CF2O]t−Rf3;を含むか、これらから本質的になるか、又はこれらからなる組成物であり、
式中、Rf−は、炭素数7〜10の直鎖、分岐状又は環状のフルオロアルキル、−Cl、−Br又は−Iで置換された炭素数1〜10の直鎖、分岐状又は環状のフルオロアルキル、非フッ素化アリール、又は−O−R’、−Cl、−Br又は−Iで置換された非フッ素化アリールであり(ここで、−R’は、炭素数1〜10の直鎖、分岐状又は環状のアルキルである);nは2〜100の整数であり、tは2〜200の整数であり;Rf3は、炭素数1〜6の直鎖、又は分岐状のフルオロアルキルである。
【0041】
これらのフッ素化アルキルポリエーテルポリマーは、上記で定義されるような第四級プニクトゲンを含むか、これらから本質的になるか、又はこれらからなる開始剤と、部分的にフッ素化したモノマー、完全フッ素化モノマー、又はこれらの混合物とを接触させて、フルオロアルキルエーテル酸フッ化物ポリマーを生成することで調製される。次に、これらのフルオロアルキルエーテル酸フッ化物ポリマーは、加水分解及びフッ素化されて以下の式のポリマー:
Rf−O−[CF(CF3)CF2O]n−Rf3
Rf−O−[CF2CF2CF2O]t−Rf3;又は
Rf−O−[CF(CF3)CF2O]n−[CF2CF2CF2O]t−Rf3;を生成し、
式中、Rf−、n、t、及びRf3は、上述の通りである。
【0042】
これらのポリマーは、高性能潤滑油として有用である。これらの油は、増粘化されてグリースを生成し得る。油は、増粘剤によって増粘化され得、ペルフルオロポリエーテルは、組成物に対して約0.1〜約50重量%の範囲で組成物に存在する。増粘剤は、ポリ(テトラフルオロエチレン)、ヒュームドシリカ、窒化ホウ素、及びこれらのうちの2つ以上の組み合わせからなる群から選択される。
【0043】
本発明の第4の実施形態は、以下の式のテトラアルキルプニクトゲン塩:
【0044】
【化8】
【0045】
【化9】
又はこれらの混合物を含むか、これらから本質的になるか、又はこれらからなる組成物であり、
式中、ZはN又はPであり;Aは、各々独立してRf−又はRf−O−であり、ここで、Rf−は、−Cl、−Br又は−Iで任意に置換された、炭素数1〜10の直鎖、分岐状又は環状のフルオロアルキル、非フッ素化アリール、又は−O−R’、−Cl、−Br又は−Iで置換された非フッ素化アリールであり(ここで、−R’は、炭素数1〜10の直鎖、分岐状又は環状のアルキルである);Rf2は、炭素数1〜10の直鎖、又は分岐状のフルオロアルキルであり;−R1、−R2、−R3、−R4、−R5、−R6、−R7、−R9、−R10、−R12、−R13、−R14、及び−R15は、各々独立して、水素又は炭素数1〜10のアルキルであり、このアルキルは直鎖、分岐状又は環状であってよく;−R8、−R11、及び−R14は、各々独立して、炭素数1〜10の二価のアルキルであり、このアルキルは直鎖、分岐状又は環状であってよく;Xは、各々独立して水素であり;aは0〜5の整数であり;−Rは、メチル、エチル、又はプロピルである。
【0046】
本発明の第5の実施形態によると、グリース又は潤滑剤組成物が提供される。本発明の第3の実施形態で開示されるペルフルオロポリエーテルを含有するグリースは、ペルフルオロポリエーテルと増粘剤とを混和することで生成され得る。かかる増粘剤の例としては、例えば、ポリ(テトラフルオロエチレン)、ヒュームドシリカ、及び窒化ホウ素、及びこれらのうちの2つ以上の組合せなどの標準的な増粘剤が挙げられるが、これらに限定されない。増粘剤は、当業者に既知の任意の適切な粒子形状及び寸法で存在し得る。
【0047】
本発明によると、本発明のペルフルオロポリエーテルは、組成物に対して、約0.1〜約50重量%、好ましくは0.2〜40重量%の範囲で組成物中に存在し得る。組成物は、例えば、ペルフルオロポリエーテルと増粘剤とをブレンドするなどの当業者に既知の任意の方法で生成され得る。
【実施例】
【0048】
本明細書に記載される概念は、以下の実施例で更に記載され、これは請求項で記載される本発明の範囲を限定するものではない。
【0049】
試験方法及び結果
実施例1〜21においては、無水テトラアルキルプニクトゲンペルフルオロアルコキシ塩を、対応するハイドロフルオロエーテルと対応する市販のアミン又はホスフィンとを反応させて、本発明のテトラアルキルプニクトゲンペルフルオロアルコキシ塩を生成することで調製した。本明細書で報告される反応は、新規の方法である。ハイドロフルオロエーテル及び溶媒としてCF3CF2CF2OCH3(HFE−7000として3Mから市販されている)を使用して実施例1〜11を調製した。ハイドロフルオロエーテル及び溶媒としてCF3CF2CF2CF2OCH3及び(CF32CFCF2OCH3の混合物(HFE−7100として3Mから市販されている)を使用して、実施例12〜21を調製した。最初に、ハイドロフルオロエーテル及びアミンを、無水性を与える反応の前に、厳密に乾燥及び脱気した。典型的な反応においては、窒素雰囲気下、0.6モルの対応する第四級アミン及び5モル当量のハイドロフルオロエーテルをガラスバイアル瓶中で混和し、封止した。そのバイアル瓶を48時間加熱した。高圧が可能なガラス反応器へのアミンの真空搬送技術によって、トリメチルアミンとの反応を実行した。アミンの添加の際、適切な温度まで反応管をゆっくり温めた。48時間後、減圧下で揮発物を除去して単離生成物を得た。反応完了後、真空下で過剰な試薬を除去し、ペルフルオロアルコキシドをグローブボックス中で微細なフリット化ディスクに回収し、3mLの無水ヘキサンで3回洗浄し、更に真空下で乾燥させた。トリメチルアミン、トリエチルアミン、n−トリプロピルアミン、n−トリブチルアミン、N,N,−テトラメチルエチレンジアミン、N,N−ジメチルベンジルアミン、N−メチルモルホリン、1,4−ジメチルピペリジン、1,4−ジアゾビシクロ[2,2,2]オクタン、4−ジメチルアミノピリジン及びトリメチルホスフィンのそれぞれを、実施例1〜11においてアミンとして使用した。トリメチルアミン、トリエチルアミン、n−トリプロピルアミン、n−トリブチルアミン、N,N,−テトラメチルエチレンジアミン、N,N−ジメチルベンジルアミン、N−メチルモルホリン、1,4−ジメチルピペリジン、1,4−ジアゾビシクロ[2,2,2]オクタン及び4−ジメチルアミノピリジンのそれぞれを、実施例12〜21においてアミンとして使用した。
【0050】
【表1-1】
【0051】
【表1-2】
【0052】
以下の実施例は、本発明のテトラアルキルプニクトゲン塩(表1)の特徴を示すためにもたらされるが、これらの範囲を限定する意図はない。
【0053】
(実施例1)
テトラメチルアンモニウムヘプタフルオロプロポキシド
1H NMR(400MHz,CD3CN)δ 3.160(s,3H)。19F NMR(376MHz,CD3CN)δ−125.84(CF2,s,2F),−81.89(CF3,s,3F),−27.67(CF2O,broad,s,2F).元素分析計算値:C7127NO:C,32.44;H 4.67,N 5.40;実測値:C,32.68;H,5.21;N,5.77。
【0054】
(実施例2)
N,N−ジエチル−N−メチルエタンアミニウムヘプタフルオロプロポキシド
1H NMR(400MHz,CD3CN)δ 1.27(tt,3HH=7.3Hz,2.0,9H),2.890(s,3H),3.28(q,3HH=7.3Hz,6H)。19F NMR(376MHz,CD3CN)δ−125.75(CF2,s,2F),−81.91(CF3,s,3F),−27.92(CF2O,broad,s,2F)。元素分析計算値:C10187NO:C,39.87;H,6.02;N,4.65;実測値:C,39.96;H,5.48;N,4.74。
【0055】
(実施例3)
N−メチル−N,N−ジプロピルプロパン−1−アミニウムペルフルオロプロポキシド
1H NMR(400MHz,CD3CN)δ 1.07(t,3HH=7.3Hz,9H),1.64〜1.94(m,6H),3.03(s,3H),3.11〜3.40(m,6H)。19F NMR(376MHz,CD3CN)δ−125.75(CF2,s,2F),−81.89(CF3,s,3F),−27.64(CF2O,broad,s,2F)。元素分析計算値:C13247NO:C,45.48;H,7.05;N,4.08。実測値:C,45.67;H,6.86;N,4.12。
【0056】
(実施例4)
N,N−ジブチル−N−メチルブタン−1−アミニウムペルフルオロプロポキシド
1H NMR(400MHz,CD3CN)δ 0.99(t,3HH=7.4Hz,9H),1.37(m,3HH=7.4Hz,6H),1.56−1.82(m,6H),2.94(s,3H),3.06〜3.32(m,6H)。19F NMR(376MHz,CD3CN)δ−125.74(CF2O,s,2F),−81.89(CF3,s,3F),−27.64(CF2O,broad,s,2F)。元素分析計算値:C16307NO:C,49.86;H,7.85;N,3.63。実測値:C,49.67;H,7.86;N,3.83。
【0057】
(実施例5)
N,N,N−トリメチル−1−フェニルメタンアミニウムペルフルオロプロポキシド
1H NMR(400MHz,CD3CN)δ 3.07(s,9H),4.54(s,2H),7.07〜7.73(m,5H)。19F NMR(376MHz,CD3CN)δ−125.292(CF2,s,2F),−81.081(CF3,s,3F),−27.071(CF2O,broad,s,2F)。元素分析計算値:C13167NO:C,46.57;H,4.81;N,4.18。実測値:C,46.87;H,4.99;N,4.32。
【0058】
(実施例6)
4,4−ジメチルモルホリン−4−イウムペルフルオロプロポキシド
1H NMR(400MHz,CD3CN)δ 3.19(s,6H),3.41(m,4H),3.94(m,4H)。19F NMR(376MHz,CD3CN)δ−125.834(CF2,s,2F),−81.920(CF3,s,3F),−27.873(CF2O,broad,s,2F)。元素分析計算値:C9147NO2:C,35.89;H,4.69;N,4.65。実測値:C,36.30;H 4.19;N,4.73。
【0059】
(実施例7)
2−(ジメチルアミノ)−N,N,N−トリメチルエタン−1−アミニウムペルフルオロプロポキシド
1H NMR(400MHz,CD3CN)δ 2.24(s,6H),2.64〜2.73(m,2H),3.16(s,9H),3.39〜3.47(m,2H)。19F NMR(376MHz,CD3CN)δ−125.772(CF2,s,2F),−81.847(CF3,s,3F),−27.688(CF2O,broad,s,2F)。元素分析計算値:C101972O:C,37.98;H,6.06;N,8.86。実測値:C,37.68;H,6.57;N,8.96。
【0060】
(実施例8)
1,1,4−トリメチルピペラジン−1−イウムペルフルオロプロポキシド
1H NMR(400MHz,CD3CN)δ 2.335(s,3H),2.688(broad s,4H),3.125(s,6H),3.409(t,3HH=5.182Hz,4H)。19F NMR(376MHz,CD3CN)δ−125.782(CF2,s,2F),−81.860(CF3,s,3F),−27.686(CF2O,broad,s,2F)。元素分析計算値:C101772O:C,38.22;H,5.45;N,8.91。実測値:C,38.57;H,5.25;N,9.11。
【0061】
(実施例9)
1−メチル−1,4−ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン−1−イウムペルフルオロプロポキシド
1H NMR(400MHz,CD3CN)δ 2.97(s,3H),3.11(t,3HH=7.54Hz,6H),3.27(t,3HH=7.543Hz,6H)。19F NMR(376MHz,CD3CN)δ−125.786(CF2,s,2F),−81.886(CF3,s,3F),−27.846(CF2O,broad,s,2F)。元素分析計算値:C101572O:C,38.47;H,4.84;N,8.97。実測値:C,38.53;H,4.40;N,9.10。
【0062】
(実施例10)
4−(ジメチルアミノ)−1−メチルピリジン−1−イウムペルフルオロプロポキシド
1H NMR(400MHz,CD3CN)δ 3.181(s,6H),3.905(s,3H),6.88(d,3HH=7.7Hz,2H),8.03(d,3HH=7.5Hz,2H)。19F NMR(376MHz,CD3CN)δ−125.725(CF2,s,2F),−81.842(CF3,s,3F),−27.760(CF2O,broad,s,2F)。元素分析計算値:C111372O:C,41.00;H,4.07;N,8.69。実測値:C,41.40;H,4.09;N,8.83。
【0063】
(実施例11)
テトラメチルホスホニウムペルフルオロプロポキシド
1H NMR(400MHz,CD3CN)δ 1.96(d,2HP=14.9Hz,12H)。1H{31P}NMR(400MHz,CD3CN)δ 1.96(s,12H)。19F NMR(376MHz,CD3CN)δ−125.792(CF2,s,2F),−81.895(CF3,s,3F),−27.625 CF2O,broad,s,2F)。31P{1H}NMR(162MHz,CD3CN)δ 24.361(s,1P)。31P NMR(162MHz,CD3CN)δ 24.372(m,2PH=14.894)。13C NMR(101MHz,CD3CN)δ 9.46(P−CH3,d,1CP=56.4Hz,1C)(フッ素化炭素は不検出である)。元素分析計算値:C7127OP:C,30.45;H,4.38;N,0.00。実測値:C,30.35;H,3.89;N,<0.3。
【0064】
(実施例12)
テトラメチルアンモニウムn−及びイソ−ノナフルオロブトキシド
1H NMR(400MHz,CD3CN)δ 3.137(s,3H)。19F NMR(376MHz,CD3CN)δ−26.99(OCF2,broad s,2F),−81.64(CF3,t,3FF=9.1Hz,3F),−122.55(CF3CF2,q,3FF=8.8Hz,2F),−126.60(CF2CF2CF2,s,2F)及び−18.54(OCF2,broad s,2F),−73.69(CF3,d,3FF=5.8Hz,6F),−180.40(CF,s,1F)。元素分析計算値:C8129NO:C,31.08;H,3.91;N,4.53。実測値:C,31.40;H,4.14;N,4.94。
【0065】
(実施例13)
N,N−ジエチル−N−メチルエタンアミニウムn−及びイソ−ノナフルオロブトキシド
1H NMR(400MHz,CD3CN)δ 1.41(tt,3HH=7.3,2.0Hz,9H),3.02(s,3H),3.41(q,3HH=7.3Hz,6H)。19F NMR(376MHz,CD3CN)δ−26.88(OCF2,broad s,2F),−81.62(CF3,t,3FF=9.2Hz,3F),−122.49(CF3CF2,q,3FF=9.0Hz,2F),−126.61(CF2CF2CF2,s,2F)及び−18.46(OCF2,broad s,2F),−73.73(CF3,d,3FF=6.1Hz,6F),−180.33(CF,s,1F)。元素分析計算値:C11189NO:C,37.61;H,5.17;N,3.99。実測値:C,37.97;H,5.51;N,4.19。
【0066】
(実施例14)
N−メチル−N,N−ジプロピルプロパン−1−アミニウムn−及びイソ−ノナフルオロブトキシド
1H NMR(400MHz,CD3CN)δ 1.11(t,3HH=7.3Hz,9H),1.86(m,6H),3.08(s,3H),3.39(m,6H)。19F NMR(376MHz,CD3CN)δ−26.81(OCF2,m,2F),−81.62(CF3,t,3FF=9.0Hz,3F),−122.48(CF3CF2,m,3FF=9.5Hz,2F),−126.60(CF2CF2CF2,t,3FF=8.3Hz,2F)及び−18.39(−OCF2,m,3FF=10.7Hz,2F),−73.71(CF3,dt,3FF=10.9,4FF=6.2Hz,6F),−180.31(CF,m,1F)。元素分析計算値:C14249NO:C,42.75;H,6.15;N,3.56。実測値:C,42.93;H,6.02;N,3.72。
【0067】
(実施例15)
N,N−ジブチル−N−メチルブタン−1−アミニウムn−又はイソ−ノナフルオロブトキシド
1H NMR(400MHz,CD3CN)δ 0.99(m,3HH=7.4Hz,9H),1.38(m,3HH=7.4Hz,6H),1.66(m,6H),2.93(s,3H),3.17(m,6H)。19F NMR(376MHz,CD3CN)δ−26.81(OCF2,m,2F),−81.61(CF3,t,3FF=9.1Hz,3F),−122.47(CF3CF2,q,3FF=9.1Hz,2F),−126.59(CF2CF2CF2,broad s,2F)及び−18.30(−OCF2,broad s,2F),−73.71(CF3,d,3FF=5.9,6F),−180.31(CF,m,1F)。元素分析計算値:C17309NO:C,46.89;H,6.95;N,3.22。実測値:C,47.24;H,7.19;N,3.31。
【0068】
(実施例16)
N,N,N−トリメチル−1−フェニルメタンアミニウムn−及びイソ−ノナフルオロブトキシド
1H NMR(400MHz,CD3CN)δ 3.086(s,9H),4.564(s,2H),7.559(m,4.5H)。19F NMR(376MHz,CD3CN)δ−26.93(OCF2,m,2F),−81.59(CF3,tt,3FF=13.6,4FF=2.8Hz,3F),−122.51(CF3CF2,m,3FF=9.5Hz,2F),−126.55(CF2CF2CF2,t,3FF=8.4Hz,2F)及び−18.44(OCF2,dm,3FF=20.6,4FF=10.9Hz,2F),−73.69(CF3,dt,3FF=11.0,4FF=6.1Hz,6F)−180.363(CF,m,1F)。元素分析計算値:C14169N:C,43.65;H,4.19;N,3.64;実測値:C,44.04;H,3.73;N,3.79。
【0069】
(実施例17)
4,4−ジメチルモルホリン−4−イウムn−及びイソ−ノナフルオロブトキシド
1H NMR(400MHz,CD3CN)δ 3.196(s,6H),3.41(t,3HH=5.0Hz,4H),3.939(m,4H)。19F NMR(376MHz,CD3CN)δ−27.08(OCF2,broad s,2F),−81.63(CF3,t,3FF=9.1Hz,3F),−122.55(CF3CF2,q,3FF=7.8Hz,2F),−126.59(CF2CF2CF2,t,3FF=7.8Hz,2F)及び−18.61(OCF2,m,3FF=10.3Hz,2F),−73.73(CF3,broad d,3FF=5.9Hz,6F),−180.40(CF,m,1F)。元素分析計算値:C10149NO2:C,34.20;H,4.02;N,3.99。実測値:C,34.42;H,3.55;N,4.15。
【0070】
(実施例18)
2−(ジメチルアミノ)−N,N,N−トリメチルエタン−1−アミニウムn−及びイソ−ノナフルオロブトキシド
1H NMR(400MHz,CD3CN)δ 2.246(s,6H),2.689(m,2H),3.149(s,9H),3.397(t,3HH=11.96Hz 2H)。19F NMR(376MHz,CD3CN)δ−26.91(OCF2,broad s,2F),−81.62(CF3,t,3FF=9.1Hz,3F),−122.51(CF3CF2,q,3FF=8.6Hz,2F),−126.58(CF2CF2CF2,s,2F)及び−18.46(OCF2,broad s,2F),−73.71(CF3,broad d,3FF=5.7Hz,6F),−180.37(CF,m,1F)。元素分析計算値:C111992O:C,36.07;H,5.23;N,7.65。実測値:C,36.41;H,5.58;N,7.94。
【0071】
(実施例19)
1,1,4−トリメチルピペラジン−1−イウムn−及びイソ−ノナフルオロブトキシド
1H NMR(400MHz,CD3CN)δ 2.337(s,3H),2.688(broad s,4H),3.124(s,6H),3.41(t,3HH=5.2Hz,4H)。19F NMR(376MHz,CD3CN)δ−26.89(OCF2,broad s,2F),−81.61(CF3,t,3FF=9.1Hz,3F),−122.50(CF3CF2,q,3FF=9.0Hz,2F),−126.57(CF2CF2CF2,broad s,2F)及び−18.44(OCF2,m,3FF=10.2Hz,2F),−73.69(CF3,broad d,3FF=5.9Hz,6F),−180.35(CF,broad m,1F)。元素分析計算値:C111792O:C,36.27;H,4.70;N,7.69。実測値:C,36.68;H,4.90;N,7.78。
【0072】
(実施例20)
1−メチル−1,4−ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン−1−イウムn−及びイソ−ノナフルオロブトキシド
1H NMR(400MHz,CD3CN)δ 2.973(s,3H),3.11(t,3HH=7.5Hz,6H),3.27(t,3HH=7.5Hz,6H)。19F NMR(376MHz,CD3CN)δ−26.90(OCF2,broad s,2F),−81.62(CF3,t,3FF=9.1Hz,3F),−122.51(CF3CF2,q,3FF=9.1Hz,2F),−126.58(CF2CF2CF2,s,2F)及び−18.45(OCF2,broad s,2F),−73.72(CF3,d,3FF=6.1Hz,6F),−180.36(CF,broad m,1F)。元素分析計算値:C111592O:C,36.47;H,4.17;N,7.73。実測値:C,36.90;H,4.26;N,8.14。
【0073】
(実施例21)
N,N,N−トリメチルピリジン−4−アミニウムn−及びイソ−ノナフルオロブトキシド
1H NMR(400MHz,CD3CN)δ 3.312(s,6H),4.026(s,3H),7.00(d,3HH=7.7Hz,2H),8.12(d,3HH=7.6Hz,2H)。19F NMR(376MHz,CD3CN)δ−26.95(OCF2,broad s,2F),−81.62(CF3,t,3FF=9.0Hz,3F),−122.47(CF3CF2,broad s,2F),−126.57(CF2CF2CF2,s,2F)及び−18.54(OCF2,broad s,2F),−73.69(CF3,broad s,6F),−180.31(CF,broad m,1F)。元素分析計算値:C121392O:C,38.72;H,3.52;N,7.53。計算値:C,38.54;H,3.93;N,7.86。
【0074】
実施例A〜N
以下は、本発明の化合物の有用性を実証する実施例であるが、本発明を本明細書に開示される精密な構造に限定する意図はない。実施例A〜Nは、重合開始剤としての本発明の第四級プニクトゲン開始剤化合物の存在下、ヘキサフルオロプロピレンオキシドとヘキサフルオロプロピレンとを重合することで調製した。
【0075】
入口弁及び出口弁、ドライアイスコンデンサ、及び機械的攪拌機を備えた250mLのガラス製丸底フラスコ中で重合を行った。反応器を180℃で4時間加熱してプレコンディショニングした後、反応器を室温まで冷却し、窒素雰囲気下で溶媒及び開始剤(以下の表2で定義される通り)を投入した。続けて、反応器を以下の表2で定義される温度まで、窒素正圧下で、ドライアイス/アセトニトリルを含む外浴で冷却した。温度を±2℃で維持しながら、ヘキサフルオロプロペン(HFP)を系に移した。次に、ヘキサフルオロプロピレンオキシド(HFPO)を5時間にわたって激しく撹拌しながらゆっくりと反応器に導入した。次に、反応器を室温まで温め、窒素雰囲気下で生成物を単離し、清潔な乾燥したプラスチック瓶に載置した。解析するために、サンプルをメタノールで処理して、酸フッ化物末端基からメチルエステル末端基に転換した。
【0076】
実施例M及び比較例Nは、室温及び高圧下で実行し、すなわち異なった設定が必要であった。この場合、4mLのHFX及び0.05mLのテトラグリムが加えられ、封止された高圧可能な60mLのガラス容器に、0.25ミリモルの開始剤(実施例5又はCsFのいずれか)を加えた。次に、15分毎に1秒間間隔で6時間にわたってHFPOを反応器に供給した。実施例MにおいてはHFPOは11gであり、実施例Nにおいては全HFPO消費量は22gであった。メチルエステル誘導体をGC/MS、19F NMR及び/又はMALDI−TOF−MSによって分子量分布を測定して、モノマー転換率を重量的に測定した。
【0077】
【表2】
*HFXはヘキサフルオロキシレンである
*ACNはアセトニトリルである
【0078】
【表3】
【0079】
表3で明らかなように、本発明は、従来技術を明らかに越える利点を有するオリゴマーポリ(HFPO)を調製する新規の方法を提供する。開始剤に応じて、連続的な誘導体化又は温度安定化の用途により好適である方式で様々な機能化材料が調製され得る。例えば、既知の実験条件を使用する比較例L(表3)は、オリゴマー(HFPO)がペルフルオロプロポキシ開始基のみを有することを示しているが、開始剤を含むことによって、ペルフルオロブトキシオリゴマーHFPO(実施例Gで最大15%)の調製に経路がもたらされる。また、この技術は、ヘキサフルオロプロピレンオキシドの重合において起こる連鎖移動の量を定量化することができるという特定の利点、及び同一の条件下(比較例L)で従来のCsF/テトラグリム系によっては得られない利点を有する。驚くべきことに、GC−MS又はMALDI−TOF−MSによって得られたこれらの結果は、前述の条件下におけるヘキサフルオロプロピレンオキシドと有機系プニクトゲンカチオンとの重合においてであっても、連鎖移動が非常に活性な方法であることを示している。しかしながら、当業者に明らかなように、溶媒、温度及び対応するカチオンの特性の選択によって、重合生成物の度数及び組成に大きな影響を及ぼす。更に、実施例M及びNは、本発明が周囲条件でオリゴマー(HFPO)を調製できることを示している。本明細書に開示されるように、開始剤は、金属アルカリフッ化物/グリム系システムに限定される従来技術よりも多くの異なった調節可能な特性を有するため、ヘキサフルオロプロピレンオキシドの重合においてより広い範囲の条件を用いることができる。しかしながら、本明細書で示される条件は、既存の方法、CsF触媒において最適化されている条件との比較を示すが、所望の重合度及びより有効な重合モデルを与えるために調整され得ることは明らかである。