(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
磁気吸着シートに過剰な曲げ応力が加えられた場合、結着剤が破断して、磁性層に亀裂を生じる場合がある。また、磁性層を長期間、強磁性面に磁気吸着させたり、高温になる場所に吸着させた後、磁気吸着シートを強磁性体から剥離すると、磁性層の少なくとも一部が強磁性体の表面に付着することがある。この場合、磁気吸着シートの磁性層が破壊されるだけでなく、強磁性体の表面も汚染することになる。
【0008】
また、永久磁石の磁気吸着力は、経験的に自重の3倍以上の吸着力があれば、静置状態で垂直面に磁気吸着可能であるが、外部からの振動、衝撃、風等で剥離されやすくなる。このため、必要な磁力を維持することは勿論であるが、磁気吸着シートの自重を抑えること、あるいは被吸着体への密着性をあげることは重要となる。
【0009】
更には、磁気吸着シートの薄型化に伴って、磁気吸着シート製造時や高温履歴を受けた場合に磁気吸着シートがカールしてしまうという不具合があった。このようなカールを生じた磁気吸着シートは、被吸着体への吸着力が低下或いは、脱落する等の表示適性が劣る場合があった。
【0010】
一方、磁気吸着シートのような特殊用紙は、プリンタ等で印字する場合、通常手差しトレイから給紙をするのが一般的であり、多数枚の印字を実施するためには小まめな磁気吸着シートの補充が必要となるため、作業が煩雑となる不具合もあった。
【0011】
また、特開2001−297910には、磁性層を塗布により形成する方法が記載されているが、塗膜が比較的厚い場合、溶媒を乾燥させる工程を経る関係上、設備が大型化したり、塗布スピードが上げられないといった不具合があった。
【0012】
本発明は、上記課題に鑑みなされたものであり、その目的はカールを生じず、変形に強く、被吸着体への充分な密着を実現する可撓性を有すると共に、被吸着面への粘着を生じず、かつ軽量で製造時の生産性も高く、プリント時に給紙トレイからの給紙も可能で、両面印字適性にも優れた可撓性磁気吸着シートとその製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明(1)は、接着層の両面に磁性層を有し、該磁性層の該接着層とは反対側の各面に樹脂シート層が設けられた可撓性磁気吸着シートであって、
該磁性層が強磁性粉末と結着剤を含み、
該可撓性磁気吸着シートの厚さ方向のヤング率が、70kgf/cm
2〜400kgf/cm
2であり、かつガーレーこわさが1mN〜20mNの範囲であることを特徴とする可撓性磁気吸着シートである。
【0014】
本発明(2)は、前記接着層の厚みが10〜20μmであり、かつ前記樹脂シート層の厚みが40〜80μmであることを特徴とする前記発明(1)に記載の可撓性磁気吸着シートである。
【0015】
本発明(3)は、前記樹脂シート層が、層内に空隙を有するポリエチレン、ポリプロピレン又はポリエチレンテレフタレートのいずれかであることを特徴とする前記発明(1)または(2)に記載の可撓性磁気吸着シートである。
【0016】
本発明(4)は、前記接着層を構成する接着剤が、ポリエチレンまたは、ポリプロピレンであり、前記磁性層の厚みが30〜60μmであることを特徴とする前記発明(1)、(2)または(3)に記載の可撓性磁気吸着シートである。
【0017】
本発明(5)は、前記接着層を構成する接着剤が、ポリウレタン系であり、前記磁性層の厚みが40〜80μmであることを特徴とする前記発明(1)、(2)、または(3)に記載の可撓性磁気吸着シートである。
【0018】
本発明(6)は、前記樹脂シート層の両面にプライマー層が設けられたことを特徴とする前記発明(1)、(2)、(3)、(4)または(5)に記載の可撓性磁気吸着シートである。
【0019】
本発明(7)は、前記樹脂シート層に前記磁性層を塗布したシートの該磁性層面同士を接着させたことを特徴とする前記発明(1)、(2)、(3)、(4)、(5)または(6)に記載の可撓性磁気吸着シートである。
【0020】
本発明(8)は、前記樹脂シート層の片面に磁性塗料を塗布する工程と、塗布された磁性塗料中の強磁性粉末を配向させる工程と、磁性塗料中の溶媒を乾燥させて前記磁性層を設ける工程によって得られる積層シートaを作製する工程と、前記積層シートaの前記磁性層面同士を接着させた積層シートbを作製する工程と、前記積層シートbを両面着磁させる工程を有することを特徴とする可撓性磁気吸着シート製造方法である。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、接着層の両面に磁性層を有し、該磁性層の接着層とは反対側の各面に樹脂シート層が設けられた層構成を有し、かつシート厚さ方向のヤング率が70kgf/cm
2〜400kgf/cm
2であり、かつガーレーこわさが1mN〜20mNとすることにより、高温履歴時にもカールを生じず、変形に強く、被吸着体への充分な密着を実現する可撓性を有すると共に、被吸着面への粘着も生じず、軽量で製造時の生産性も高い可撓性磁気吸着シートを提供することができる。更に当該可撓性磁気吸着シートは、プリンタ等での印字に際して、給紙トレイからの通紙にも不具合がなく、両面印字適性にも優れた特性を発揮する。
【0022】
また、本発明の可撓性磁気吸着シート製造方法によれば、積層シートaを作製し、その後積層シートaの磁性層同士を接着することで積層シートbを得ることにより、可撓性磁気吸着シートのカールを抑制することが出来る。すなわち、積層シートaは連続工程内で作製されるため、カールが生じたとしても、樹脂シート層側、若しくは磁性層側のどちらか一方へのカールとなることが一般的であり、その後の積層シートbを得る工程により、積層シートaの磁性層側が互いに接着されることにより、どちらの向きにカールが生じていたとしても、互いにカールを打ち消し合うことが出来るという利点を有する。更に、接着層の材質、厚さ等をコントロールすることにより、可撓性磁気吸着シートの可撓性および、こわさを変化させることができるという利点をも有する。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、可撓性磁気吸着シート1を例に取って、本発明の実施形態例を説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0025】
図1に示す通り、本発明の可撓性磁気吸着シート1は接着層2の両側に磁性層3を有し、更にその両側に樹脂シート層4を有する構成となっている。
【0026】
図2に示す通り、本発明に係る樹脂シート層4は、基材層41と該基材層41の両面に設けられたスキン層42と、該スキン層42の該基材層41とは反対側の各面にプライマー層43がそれぞれ設けられていている構成が好ましい。
【0027】
このような多層に渡る積層構造を取ることにより、可撓性磁気吸着シートが折り曲げられた際に生じる各層内上下の曲率半径差を小さくすることが可能となる。これにより層内の曲げによる歪みが小さくなり、可撓性磁気吸着シート1に優れた可撓性を与えると共に、層内亀裂・破断等を防止することが出来る。特に亀裂・破断を生じやすい磁性層3に挟まれた接着層2の存在は重要である。磁性層3を2つに分けることで、前述した亀裂や破断に対する耐性が増すとともに、両面着磁した場合の磁力均一性も良好となり、磁性層1層の層厚が薄くできることで塗工スピードを速めることが可能となり、生産性向上が見込める利点をも有する。
【0028】
可撓性磁気吸着シート1の厚さ方向に対する積層構造を構成する各層の比は、可撓性磁気吸着シート1全体を1とした場合、0.03〜0.35程度が望ましく、特に層内亀裂を生じやすい磁性層に関しては、0.18〜0.3が好適である。
【0029】
更には、磁性層3を最外面としないことで、両面に印字可能層を配置でき、磁性層3を長期間、強磁性面に磁気吸着させた後、磁気吸着シートを強磁性体から剥離した際に発生する、磁性層の一部、又は全部が強磁性体の表面に付着する現象等の発生を防止することができる。
【0030】
可撓性磁気吸着シートの厚さ方向のヤング率(圧縮弾性率)は、可撓性磁気吸着シートが変形を受けた場合のシワ、折れ等の発生の程度や、負荷を掛けた可撓性磁気吸着シートが元の平面状態に戻ろうとする反発力など、シート取り扱い時の可撓性(柔軟性)を包括的に表す尺度として好適である。従って、厚さ方向のヤング率(圧縮弾性率)は、該可撓性磁気吸着シートが屈曲したり、捻られたりと様々に取り扱われ、外力による多様な変形を受ける性格のものであることを勘案した場合、適した測定方法と言える。
【0031】
ガーレーこわさ(JAPAN TAPPI No.40)は、いわゆる紙やシートの腰を数値化するのに適した指標である。複写機或いは、プリンタ等での印字に際しては、印字媒体にある程度の腰が必要なことを考えると、プリント適性に優れた表示用可撓性磁気吸着シートに適した測定指標と言える。
【0032】
以下、本発明の可撓性磁気吸着シートを構成する各層について、詳細に説明する。
接着層 本発明に係る接着層2に使用される接着剤は、曲げ応力を受けた際に接着層2を介して接着される磁性層3との間で、剥離や破断が生じないものであれば、いずれの接着剤も使用可能である。酢酸ビニル系樹脂等の熱可塑性樹脂やアクリル系樹脂などのエマルジョン糊、反応硬化型のウレタン系接着剤、熱溶融した熱可塑性樹脂を用いることも出来る。特に、エチレン酢酸ビニル、エチレンビニルアルコール、ポリプロピレン、ポリエチレン等のポリオレフィン系(共)重合物を好適に用いることが出来る。接着方法は、公知のウエットラミネーション法やドライラミネーション法で接着することにより接合しても良いが、熱可塑性樹脂タイプの接着剤、ポリプロピレンやポリエチレンを接着剤とした熱ラミネーション法が好ましい。また、接着層2の厚みは10〜20μmであることが好ましい。10μm以下であると、磁性層3との間に充分な接着力が維持できず、20μm以上の場合には、接着剤過多により不経済となる。
【0033】
磁性層 磁性層3は、少なくとも、着磁により磁力を発生する強磁性体粉末と該強磁性体粉末を分散させた状態で繋ぎ合わせる役割及び可撓性磁気吸着シートの可撓性付与の一端を担う結着剤から構成される。
【0034】
本発明に用いられる強磁性体粉末は、例えばSrフェライト粉末、Baフェライト粉末、希土類系(Sm−Co系、Nd−Fe−B系、Sm−Fe−N系等)、鉄粉などが挙げられる。各種強磁性体粉末中、Srフェライト粉末、Baフェライト粉末は金属酸化物であるので、酸化劣化を生じず、希土類系と比較して安価であるため、可撓性磁気吸着シート用途として好適である。
【0035】
このような強磁性体粉末を分散し、繋ぎ合わせる結着剤としては、エポキシ樹脂、エチレン酢酸ビニル共重合体、エチレン酢酸ビニルブロック共重合体、塩化ビニル酢酸ビニル共重合体、エチレンと(メタ)アクリレートとの共重合体、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリエステルポリウレタン樹脂のような有機高分子量材料が適している。これらは単独で使用、あるいは数種類の樹脂を組み合わせて使用しても良いが、塗液の粘度調整の容易さ、磁性層3の可撓性、樹脂シート層4との接着性を考慮して選定することが好ましい。樹脂シート層4に磁性層3を塗工し、ロールに巻き取る際に、樹脂シート層4と磁性層3のブロッキングが問題となる場合には、可撓性とのバランスを考慮して、ポリエステルポリウレタン樹脂と塩化ビニル酢酸ビニル共重合体を併用することも出来る。
【0036】
また、磁性層3の主成分である強磁性体粉末と結着剤との重量比率は、可撓性と磁力のバランスから、該強磁性体粉末100重量部に対して、結着剤8重量部以上30重量部以下が好ましく、10重量部以上25重量部以下が更に好ましい。結着剤が少なすぎると磁性層3の破断や亀裂の原因となり、多すぎると被吸着面への充分な吸着力が得られ難くなる傾向がある。
【0037】
各磁性層3の厚みは、接着層を構成する接着剤がポリエチレンまたはポリプロピレンである場合には、30〜60μmであることが好ましい。30μm以下である場合には、被吸着面への充分な吸着力が得られ難くなり、60μm以上である場合には、可撓性磁気吸着シートの可撓性が損なわれ、曲げに対する破断や亀裂のリスクが増加する傾向がある。また、各磁性層3の厚みは、接着層を構成する接着剤が、より可撓性(柔軟性)に富むポリウレタン系である場合には、40〜80μmであることが好ましい。40μm以下である場合には、被吸着面への充分な吸着力が得られ難くなり、80μm以上である場合には、可撓性磁気吸着シート1の可撓性が損なわれ、曲げに対する破断や亀裂のリスクが増加する傾向がある。
【0038】
樹脂シート層 本発明に係る樹脂シート層4は、印字適性を考慮した場合、白色であることが好ましい。材料としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリメチルペンテン、ポリスチレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリアミド、ポリイミド、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリビニルアルコール、エチレン・ビニルアルコール共重合体、ポリカーボネート、ポリメチルメタアクリレート、ポリブテンー1、ポリエーテルエーテルケトン、ポリサルホン、ポリエーテルサルホン、ポリエーテルイミド、ポリフェニレンサルファイド等の樹脂類からなる樹脂シートやシリコーンゴム、ニトリルゴム等のゴム系のものに白色顔料を適宜添加したものを使用することができる。
【0039】
また、樹脂シート層4は、その内部に微細空隙(気泡)を有するものであってもよい。微細空隙を有することにより、樹脂シート層4のこわさと可撓性を高い次元で両立させやすくなり、樹脂シート層の軽量化をもはかることができる。微細空隙を持つシートとしては、例えば発泡ポリプロンピレンシート(発泡OPP)である合成紙ユポ(ユポ・コーポレーション社製)、トヨパールSS(東洋紡績社製)、パイレンフィルム(東洋紡績社製)、クリスパー(東洋紡績社製)、W−900(ダイヤホイルヘキスト社製)、E−60(東レ社製)などを使用することができる。中でもポリエチレンテレフタレート(PET)を代表とするポリエステル系が耐熱性に富む点、可撓性とこわさのバランスの点で好適である。
【0040】
更に、樹脂シート層4は、
図2に示す通り基材層41の両側にスキン層42を有し、更にその両側にプライマー層43を有する構成を取っていても良い。このような構成とすることによって、基材層41が空隙を有する場合、スキン層42が存在することによって樹脂シート層4の平滑性を維持しやすくなる。また、プライマー層43は、磁性層3あるいは、電子写真用トナーの定着性(濡れ性)を確保するため、極性のある材料を使用することが好ましい。
【0041】
基材層41は、樹脂シート層4全体に対する体積分率で10.0%以上50.0%以下の微細空隙を有していてもよい。この微細空隙により、樹脂シート層4のこわさと可撓性を高い次元で両立させることができ、樹脂シート層の軽量化をもはかることができる。微細空隙の体積分率が10.0%を下回ると可撓性付与効果が低下し、50.0%を超えると樹脂シート層のこわさが弱くなるばかりでなく、スキン層42が存在したとしても、樹脂シート層4の表面平滑性が悪化し、更にはスキン層42と基材層41の密着性が低下する傾向がある。
【0042】
微細な空隙を基材層41内部に生成させる方法としては、基材層の主原料と相溶しないポリマーを押出機で溶融混練圧延冷却し、前記主原料中に該ポリマー微粒子を島状に分散させたシートを得て、更に該シートを延伸することによって、該ポリマー微粒子周囲に界面剥離による空隙を発生させる方法や、該ポリマーを無機微粒子に変更した方法等が適用可能であるが、樹脂シート層4の可撓性とこわさのバランスた保たれているのであれば、いずれの方法で空隙を形成したとしても問題はない。
【0043】
基材層41を両側から挟むスキン層42は、微細空隙を有していてもいなくても良いが、基材層41と同様の理由により、樹脂シート層4全体に対する体積分率で1.0%以上15.0%以下の図示しない微細空隙を有していても良い。空隙が15%以下であれば、樹脂シート層4の平滑性に及ぼす影響は大きくない。
【0044】
空隙率の測定 基材層41および、スキン層42中の微細空隙の体積分率の測定方法は、樹脂シート層4の断面を電子顕微鏡で10視野観察し、その画像データから微細空隙のそれぞれの断面中に占める面積率Saを測定した後、該面積率Saを3/2乗したSa
3/2を体積分率(空隙率)とした。
【0045】
樹脂シート層4の両最外面には、プライマー層43を設けることが好ましい。プライマー層43を設けることにより、磁性層3や電子写真用トナー等との濡れ性や定着性が改善される。該プライマー層43を構成する化合物としては、極性を有するという点でポリエステル系樹脂が好ましいが、この他にも、ポリウレタン系樹脂、ポリエステルポリウレタン系樹脂、アクリル系樹脂など、スキン層42、磁性層3及び、電子写真用トナー等との濡れ性や定着性に寄与できるものであれば、いずれの化合物も選択可能である。
【0046】
また、プライマー層43には、可撓性磁気吸着シートの滑り性を良好にするため、微粒子を含んでいても良い。微粒子の例としては、酸化チタン、酸化ケイ素、アルミナ等、印字媒体として、白色度を損なわないものであれば、いずれのものも使用可能である。可撓性磁気吸着シートに滑り性を付与することで、印字の際、複数枚を給紙トレイにセットしたとしても、重送の発生を抑制できる。
【0047】
更には、印字面となるプライマー層43には、インクジェットインキの受容層、印刷インキ受容層、感熱層、ドットインパクト受容層等との濡れ性を考慮した材料をプライマー層43の上に、若しくは、プライマー層43の変わりに適宜塗布しても良い。
【0048】
また、前記樹脂シート層4の厚みは40〜80μmであることが好ましい。該樹脂シート層4の可撓性とこわさのバランスは、その材質や空隙等の構造によって調整が可能であるが、厚みが40μmを下回ると前記磁性層3の色目が樹脂シート層4を透過して認識できてしまう傾向があり、80μmを越えると可撓性が低下しやすく、可撓性磁気吸着シート全体の厚みが厚くなることのよって、複写機やプリンタでの印字に支障をきたす場合がある。
【0049】
本発明の可撓性磁気吸着シートは、厚さ方向のヤング率が70kgf/cm
2〜400kgf/cm
2、ガーレーこわさが1mN〜20mNであることが必須であり、ヤング率が90kgf/cm
2〜200kgf/cm
2、ガーレーこわさが7mN〜15mNであることが更に好ましい。ヤング率が70kgf/cm
2よりも低いとシートの可撓性が高まり過ぎるため、プリンタ等での印字でペーパージャムが発生しやすくなる。400kgf/cm
2よりも高いとこわさが強くなりすぎる傾向があり、可撓性が損なわれる傾向がある。また、ガーレーこわさが1mNよりも低いと可撓性が高くなりすぎる傾向があり、20mNよりも高いと被吸着体が曲面または、凹凸があった場合に密着性が低下するとともに、プリント時に給紙カートリッジからの給紙が出来なくなるという不具合が生じやすい。
【0050】
可撓性磁気吸着シートの各層の可撓性とこわさは、必ずしも近似している必要はなく、磁性層3の亀裂・破断や、プリンタ等での印字時のトナー転写性を考慮した場合、例えば、磁性層3と樹脂シート層4の可撓性を高めておき、接着層2で可撓性磁気吸着シート1のこわさを調整することも可能である。
【0051】
次に、可撓性磁気吸着シートの製造方法を、可撓性磁気吸着シート1を例に取って説明する。
【0052】
本発明に係る可撓性磁気吸着シート1の製造方法は、まず、強磁性体粉末および結着剤を溶解及び分散させた磁性塗料を、樹脂シート層4に塗工し、磁性塗料を塗工された樹脂シート層4は配向磁場中を通過することにより強磁性体粉末の磁化容易軸が面内方向へ配向され、更に熱風乾燥機を通過することによって、磁性塗料中の溶剤が蒸発し、樹脂シート層4に磁性層3が乾燥固化した積層シートaが形成される。その後、積層シートaの磁性層3面同士を接着層2を介して接着することにより、可撓性磁気吸着シート1が形成される。
【0053】
磁性塗料の調製 磁性塗料の調整には、強磁性体粉末および結着剤を溶解及び分散させるための溶剤を使用する。このような溶剤としては、特に限定されるものではないが、たとえば、アセトン、メチルエチルケトン(MEK)、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノンなどのケトン類、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、イソプロピルアルコールなどのアルコール類、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸ブチル、乳酸エチル、エチルグリコールアセテートなどのエステル類、ジエチレングリコールジメチルエーテル、2−エトキシエタノール、テトラヒドロフラン、ジオキサンなどのエーテル類、ベンゼン、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素化合物、メチレンクロライド、エチレンクロライド、四塩化炭素、クロロフォルム、クロロベンゼンなどのハロゲン化炭化水素化合物などを用いることができる。これらの溶剤は、それぞれ単独で使用できるほか、2種類以上をブレンドして用いてもよい。本発明に係る強磁性体粉末および結着剤を溶解及び分散させるための溶剤としては、トルエンとMEKの併用が好ましい。
【0054】
また、磁性塗料には、強磁性体粉末および結着剤の分散を補助する目的で、分散剤を添加することも出来る。
【0055】
前記磁性塗料調製のための分散および溶解装置としては、たとえば、ディスパーミキサー、パールミル、ニーダ、アジタ、ボールミル、サウンドミル、ロールミル、エクストルーダー、ホモジナイザ、超音波分散機などを用いることができる。これらの装置は、それぞれ単独で使用できるほか、2種類以上を併用してもよい。本発明に係る。強磁性体粉末および結着剤を溶解及び分散させるための装置としては、パールミルでの本調合時に分散不良の塗液がスクリーンに目詰まりを起こすことを防止するために、まず、ディスパーミルで予備攪拌した後に、パールミルによる本調合を実施する方法が好適である。
【0056】
塗工方法 磁性塗料の塗工方法としては、バーコーター、ワイヤーバーコーター、グラビアコーター、コンマコーター、ブレードコーター、エアーナイフコーター、ゲートロールコーター、カーテンコーター、スプレーコーター、ダイコーターなどの公知の塗工方法で行うことができる。
磁性層3の塗工量は、接着層2の組成にもよるが、樹脂シート層4上に塗工・乾燥した状態において、層厚が30〜80μmの範囲となるように塗工量(固形分塗工量)を調節するのが、可撓性磁気吸着シート1のこわさ、可撓性および、磁力のバランス、更には乾燥時間を短縮して塗工スピードを速められる点から好ましい。
【0057】
強磁性体粉末配向方法 塗膜中の強磁性体粉末の磁化容易軸を塗布面内方向に連続的に磁場配向させるには、磁性層3塗布直後(未乾燥状態)の樹脂シート層4を、樹脂シート層4の進行方向と平行な磁束の磁界中を通過させれば良い。その手段の例としては、ソレノイド中を通過させる方法、また、永久磁石を樹脂シート層4の表裏から反発させることにより樹脂シート層4の進行方向に磁束を発生させた空間を通過させる方法がある。
【0058】
積層シートa同士の接着方法 積層シートa同士を接着させる方法は、可撓性磁気吸着シート1のこわさと可撓性のバランスが維持されるのであれば、公知のいずれの方法も取ることができる。例えば、一方の積層シートaの磁性層3面に接着剤を均一に塗布し、接着剤の固化或いは、硬化前に他方の積層シートaを重ね合わせることで、積層シートbを得ることが出来る。経済性面を考慮すると、ポリプロピレンやポリエチレンを接着剤とした熱ラミネーション法が好適である。
【0059】
この時の接着層2の厚みや、接着剤種により積層シートbの可撓性あるいは、こわさをコントロールすることも可能である。
【0060】
すなわち、積層シートaが同一であっても、接着工程に於いて積層シートbの可撓性あるいは、こわさを所望の値にコントロールすることが出来る。
【0061】
また、本発明の可撓性磁気吸着シート製造方法によれば、積層シートaを作製し、その後積層シートaの磁性層3同士を接着することで積層シートbを得ることにより、可撓性磁気吸着シートのカールを抑制することが出来る。すなわち、積層シートaは連続工程内で作製されるため、カールが生じるとしても、樹脂シート層側、若しくは磁性層側のどちらか一方へのカールとなることが一般的であり、その後の積層シートbを得る工程により、積層シートaの磁性層面が互いに接着されることにより、どちらの向きにカールが生じていたとしても、互いにカールを打ち消し合うことが出来るという利点を有する。
【0062】
また、積層シートaの可撓性やこわさに工程間で多少のバラツキが生じたとしても、接着層2の層厚等を調整することによって、可撓性磁気吸着シート1の可撓性又は、こわさを合わせ込むことが可能となる利点もある。
【0063】
積層シートbの着磁方法 積層シートbは、公知の方法で着磁することが可能である。磁化容易軸が面内方向である磁性層は、磁化容易軸方向に(N−S)(S−N)(N−S)‥‥の多極着磁を施すことにより、S−SまたはN−Nの対抗磁極面から極大な垂直方向の漏れ磁束が発生し、鋼鉄等の強磁性壁面との間に、効果的に磁気吸着力を発揮することができる。着磁条件は、磁性材料種、用途等を考慮して適宜設定することが可能である。
【0064】
磁性層の磁化容易軸の面内配向は、面内方向の磁化曲線より算出される角形比が80%以上であることが望ましい。80%未満では、着磁後の残留磁束密度が不足し、十分な磁気吸着力が得られない恐れがある。
【0065】
角形比の測定は、例えば加振式磁気特性測定装置(東英工業製、商品名:VSM)で測定することが可能である。
【実施例】
【0066】
以下に本発明の可撓性磁気吸着シートについて、実施例及び比較例を挙げてより具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。
【0067】
実施例1
可撓性磁気吸着シートの製造方法その他を以下に記す。
【0068】
【表1】
表1の組成成分をディスパーミルに投入し、30分間予備分散後にパールミルで均一分散し、磁性層形成用磁性塗料を作製した。一方、樹脂シート層には、基材層に、原料としてポリエチレンテレフタレート樹脂80重量%とポリスチレン20重量%の割合で配合したポリエステル組成物を、基材層の両外面のスキン層に、原料としてポリエチレンテレフタレート樹脂80重量%と酸化チタン20重量%の割合で配合したポリエステル組成物をそれぞれ個別の2軸押出機により280℃で溶融し、1つのダイスに導き押出しし、冷却回転ロールに密着固化した後、引き続きロール延伸機で100℃で3.5倍縦延伸を行い、引き続きテンターで125℃で3.5倍延伸し、220℃で熱固定し、基材層の両外面にスキン層を有し、かつ内部に多数の空隙を有するポリエステルフィルムを得た。その後、共重合ポリエステル樹脂(東洋紡績社製 バイロン MD−16)とイソシアネート含有ポリウレタン樹脂(第一工業製薬製 エラストロン)をそれぞれ2重量%ほど水とイソプロピルアルコールの7/3(重量比)混合溶液に混合し、ワイヤーバーコーターで塗布した後、80℃で2分間、170℃で30秒間乾燥させる工程により前記ポリエステルフィルムの両外面にプライマー層を有する樹脂シート層を得た。樹脂シート層の厚みはプライマー層/スキン層/基材層/スキン層/プライマー層を合わせて全厚50μmであった。また、基材層とスキン層の空隙率はそれぞれ、25%と5%であった。この樹脂シート層に、磁性層形成用磁性塗料をワイヤーバーコーターで、樹脂シート層の片面に塗布して、永久磁石の同極対向による面内配向磁場5000G中を通過させて面内配向を行った後、乾燥して磁性層の厚さ50μm、全厚約100μmの積層シートaを得た。
【0069】
得られた積層シートaの磁性層面同士をポリエチレンを使用した熱ラミネーション法で貼り合せて、両面印字可能な積層シートbを得た。この時のポリエチレンで形成された接着層の層厚は13μmであった。
【0070】
次に、積層シートbを面内方向に分極するように交互に多極着磁(着磁ピッチ2.5mm)を行い、実施例1の全厚213μmの可撓性磁気吸着シートを得た。本実施例1で作製した可撓性磁気吸着シートの厚さ方向のヤング率、ガーレーこわさ、カール値、表面磁束密度、磁気吸着力の各測定値を測定し、プリンタ印字時の通紙性について確認を行った。
【0071】
実施例2
磁性層の層厚を30μmへ変更したこと以外は実施例1と同様にして、実施例2の全厚173μmの可撓性磁気吸着シートを得た。本実施例2で作製した可撓性磁気吸着シートの厚さ方向のヤング率、ガーレーこわさ、カール値、表面磁束密度、磁気吸着力の各測定値を測定し、プリンタ印字時の通紙性について確認を行った。
【0072】
実施例3
磁性層の層厚を60μmへ変更したこと以外は実施例1と同様にして、実施例3の全厚233μmの可撓性磁気吸着シートを得た。本実施例3で作製した可撓性磁気吸着シートの厚さ方向のヤング率、ガーレーこわさ、カール値、表面磁束密度、磁気吸着力の各測定値を測定し、プリンタ印字時の通紙性について確認を行った。
【0073】
実施例4
樹脂シート層をPETフィルム(商品名:ユニチカ社製エンブレットS50μm)に変更したこと以外は実施例1と同様にして、実施例4の全厚213μmの可撓性磁気吸着シートを得た。本実施例4で作製した可撓性磁気吸着シートの厚さ方向のヤング率、ガーレーこわさ、カール値、表面磁束密度、磁気吸着力の各測定値を測定し、プリンタ印字時の通紙性について確認を行った。
【0074】
実施例5
樹脂シート層にプライマー層を形成しないこと以外は実施例1と同様にして、実施例5の全厚210μmの可撓性磁気吸着シートを得た。本実施例5で作製した可撓性磁気吸着シート1の厚さ方向のヤング率、ガーレーこわさ、カール値、表面磁束密度、磁気吸着力の各測定値を測定し、プリンタ印字時の通紙性について確認を行った。
【0075】
実施例6
磁性層の厚みを40μmに、積層シートaの磁性層面同士をポリウレタン系接着剤(三井化学社製、商品名:タケラックA−969V、硬化剤:三井化学社製、商品名:タケネートA−5)での接着に変更したこと以外は実施例1と同様にして、実施例6の可撓性磁気吸着シートを得た。この時のウレタン系接着剤で形成された接着層の層厚は13μmであった。
【0076】
実施例7
磁性層の厚みを80μmに、積層シートaの磁性層面同士をポリウレタン系接着剤(三井化学社製、商品名:タケラックA−969V、硬化剤:三井化学社製、商品名:タケネートA−5)での接着に変更したこと以外は実施例1と同様にして、実施例7の可撓性磁気吸着シートを得た。この時のウレタン系接着剤で形成された接着層2の層厚は13μmであった。
【0077】
実施例8
磁性層の厚みを90μmに、積層シートaの磁性層面同士をポリウレタン系接着剤(三井化学社製、商品名:タケラックA−969V、硬化剤:三井化学社製、商品名:タケネートA−5)での接着に変更したこと以外は実施例1と同様にして、実施例8の可撓性磁気吸着シートを得た。この時のウレタン系接着剤で形成された接着層2の層厚は13μmであった。
【0078】
実施例9
磁性層の層厚を20μmへ変更した以外は実施例1と同様にして、実施例9の全厚153μmの磁気吸着シートを得た。本実施例9で作製した磁気吸着シートの厚さ方向のヤング率、ガーレーこわさ、カール値、表面磁束密度、磁気吸着力の各測定値を測定し、プリンタ印字時の通紙性について確認を行った。
【0079】
比較例1
実施例1の積層シートaの貼り合わせを行わず、片面に印刷可能面を有する比較例1の全厚100μmの可撓性磁気吸着シートを得た。本比較例1で作製した磁気吸着シートの厚さ方向のヤング率、ガーレーこわさ、カール値、表面磁束密度、磁気吸着力の各測定値を測定し、プリンタ印字時の通紙性について確認を行った。
【0080】
比較例2
樹脂シート層をPETフィルム(商品名:ユニチカ社製エンブレットS100μm)に変更したこと以外は実施例1と同様にして、比較例2の全厚313μmの可撓性磁気吸着シートを得た。本比較例2で作製した磁気吸着シートの厚さ方向のヤング率、ガーレーこわさ、カール値、表面磁束密度、磁気吸着力の各測定値を測定し、プリンタ印字時の通紙性について確認を行った。
【0081】
【表2】
【0082】
測定方法 以下に各物性その他の測定方法を記載する。
【0083】
厚さ方向のヤング率(圧縮弾性率) 厚さ方向のヤング率の測定は、23℃、50%の環境下で万能引張試験機を用い、2.5cm×2.5cmの試験片に最大3kgf/cm
2になるまで圧力を加えながら、厚さの変位量を読み取り、下記数式1に従い、変位量Lに対し、荷重Wをプロットし、直線の傾きから厚さ方向のヤング率Eを求めた。
【0084】
【数1】
【0085】
シートこわさ 可撓性磁気吸着シートのこわさ(腰)の測定はJAPAN TAPPI No.40の荷重曲げによるこわさ試験方法(ガーレー法)にて実施した。
【0086】
カール特性の確認 カール特性の評価は、可撓性磁気吸着シートをA4サイズにカットし、キヤノン社製フルカラープリンタLBP−9600Cの給紙カセットにセットした後、一方の面全体に写真画像の印字を行い、水平面に4辺の反り面が上を向くように静置した時の水平面から可撓性磁気吸着シート1の辺角までの最短距離を各々測定し、この測定の繰り返し回数5回の各測定点平均値と印字前のシートの4辺反り値平均の差(Δ:デルタ)を比較することでカール値とした。評価基準は、カール値Δ(デルタ)が0.0mm〜1.0mmの場合は○、1.0mm〜5.0mmの場合は△、5.0mm以上の場合は×とした。
【0087】
通紙特性 通紙試験の評価基準は、可撓性磁気吸着シートをA4サイズにカットし、キヤノン社製フルカラープリンタLBP−9600Cの給紙カセットにセットした後、一方の面全体に写真画像の印字を行い、更に、同様にしてもう一方の面に印字を行った場合に、問題なく可撓性磁気吸着シートが排出された場合は○、シートジャムが発生するケースがあるものを△、プリンタ内部のどこかでシートジャムが頻発した場合は×とした。
【0088】
磁気特性の測定 表面磁束密度の測定は、テスラメータ(商品名:日本電磁測器GV−300)を使用し、可撓性磁気吸着シートの表面約50mm角の範囲をプローブ先端でなぞり、その最大値を測定値とした。
【0089】
吸着力試験 磁気吸着力の評価は、100×148mmにカットした可撓性磁気吸着シートの長面の先端部に穴を開け、綿ひもの片側をその穴部に、反対側は滑車を介しテンシロン万能試験機測定部に固定し、地面と平行に置いた平滑な鉄板に可撓性磁気吸着シート1を100×130mm吸着させ、テンシロン万能試験機にて200m/minの速度で移動させた時の加重を磁気吸着力とした。
【0090】
実施例1の可撓性磁気吸着シートは、シート厚さ方向のヤング率が、114kgf/cm
2、ガーレーこわさは縦が、10mN、横が14mNであり、カール値、通紙特性も問題なく良好であった。実施例2の可撓性磁気吸着シートは、シート厚さ方向のヤング率が、100kgf/cm
2、ガーレーこわさは縦が、8mN、横が9mNであり、カール値、通紙特性も問題なく良好であった。実施例3の可撓性磁気吸着シートは、シート厚さ方向のヤング率が、131kgf/cm
2、ガーレーこわさは縦が、11mN、横が16mNであり、カール値、通紙特性も問題なく良好であった。実施例4の可撓性磁気吸着シートは、シート厚さ方向のヤング率が、101kgf/cm
2、ガーレーこわさは縦が、14mN、横が14mNであり、若干こわさが強めのシートであったが、カール値及び通紙特性も問題なく良好であった。実施例5の可撓性磁気吸着シートは、シート厚さ方向のヤング率が、113kgf/cm
2、ガーレーこわさは縦が、10mN、横が14mNであり、カール値、通紙特性も問題なく良好であった。実施例6の可撓性磁気吸着シートは、シート厚さ方向のヤング率が、110kgf/cm
2、ガーレーこわさは縦が、9mN、横が10mNであり、カール値、通紙特性も問題なく良好であった。実施例7の可撓性磁気吸着シートは、シート厚さ方向のヤング率が、135kgf/cm
2、ガーレーこわさは縦が、14mN、横が14mNであり、若干こわさが強めのシートであったが、カール値及び通紙特性も問題なく良好であった。実施例8の可撓性磁気吸着シートは、ヤング率が、160kgf/cm
2、ガーレーこわさは縦が、16mN、横が17mNであり、シートのこわさが強目であり、レーザープリンタでの通紙でペーパージャムが発生するケースが若干あった。実施例9は、磁性層の層厚が不足しているために、磁気吸着力は若干不足しているものの、実用上問題を有するものではなかった。また、実施例1〜9の可撓性磁気吸着シートは、磁性層が最外面に面していないことで、被吸着面への磁性層の汚染が発生する心配もないものであった。
【0091】
それに対して、比較例1の可撓性磁気吸着シートは、ヤング率が、69kgf/cm
2、ガーレーこわさは縦が、0.9mN、横が0.8mNであり、シートのこわさが不足しレーザープリンタでの通紙時にペーパージャムが頻発した。比較例2の可撓性磁気吸着シートは、ヤング率が、205kgf/cm
2、ガーレーこわさは縦が、20mN、横が21mNであり、シートのこわさが強すぎてレーザープリンタでの通紙でペーパージャムが頻発した。