(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
成形物の少なくとも1つのレーザー構造可能な層を、導体トラックの形成を完了することなく設計するか、又は単層又は多層押出成形物を熱成形して、導体トラックの形成を完了することなく構成部品を形成することを特徴とする、請求項1に記載の方法。
成形物が、レーザー構造可能な層単独で形成されるフィルム又はホイルであるか、又はレーザー構造化可能な層と異なる1つ以上のキャリア層を有し、フィルム又はホイルが片面又は両面に配置されて、表面を形成するフィルム又はホイルであることを特徴とする、請求項1〜7のいずれか1項記載の方法。
電子機器用のキャリア要素、回路基板、ケーシング又はケーシングパーツ;携帯用電子機器、PDA、携帯電話、電気通信機器;パーソナルコンピュータ用のキャリア要素、回路基板、ケーシング又はケーシングパーツ;ノートブックコンピュータ;医療機器、聴力デバイス、センサ技術;RFIDトランスポンダのためのキャリア要素;自動車セクターのためのパーツ、エアバッグモジュール、多機能ステアリングホイールである、請求項24に記載の構成物品。
成形物が、プロファイル、パイプ、フィルム又はホイルであって、導体トラックの形成が完了されることなく形成されるか、或いは導体トラック又はその前駆構造の形成が完了されることなく形成される、請求項26又は27に記載の成形物。
フィルム又はホイルが、10〜1000マイクロメートルの範囲にある厚さを有し、フィルム又はホイルが、レーザー構造化可能な層単独によって形成されていてもよいか、又はレーザー構造可能な層と異なる1つ以上のキャリア層を有していてもよく、フィルム又はホイルが片面又は両面上に配置されて表面を形成し、その場合には、キャリア層上のこれらのレーザー構造化可能な表面層が10〜100μmの範囲にある厚さを有していてもよいことを特徴とする、請求項29に記載の成形物。
成分(A1_1)が、以下: ポリアミドPA610、PA106、PA1010、PA1012、PA1212、PA11、PA12、又はその混合物又はコポリアミドからなる群より選ばれ; 且つ/又は
成分(A1_3)が以下: 6I/6T、10I/10T、12/6T、MXD6/MXDI及びその混合物からなる群より選ばれ、6I/6T、10I/10T及び12/6Tは、50モル%未満の6T単位の割合を有し; 且つ/又は
成分(A1_4)が以下:ポリアミドPA MACM12、PA MACMI/12、PA MACMT/MACMI/12、MACM9、MACM10、MACM14、MACM16、MACM18、PACM12、PACM14、PACM16、PACM18、MACM12/PACM12、MACM14/PACM14、MACM16/PACM16、MACM18/PACM18、PACM9-18、6I/6T/MACMI/MACMT/12、6I/MACMI/MACMT、6I/PACMI/PACMT、6I/6T/MACMI、MACMI/MACM36、12/PACMI又は12/MACMT、6I/PACMT、6/IPDT、BACI/BACT、MACM12/BAC12、10I/10T/BACI/BACT、又はその混合物又はコポリアミドからなる群より選ばれる
ことを特徴とする、請求項26,27,29〜33のいずれか1項に記載の成形物。
(A1)が、アモルファス脂環式ポリアミド(A1_4)、又は脂肪族ポリアミド(A1_1)とアモルファス半芳香族ポリアミド(A1_3)及び/又はアモルファス脂環式ポリアミド(A1_4)との混合物であり、ここで、アモルファス脂環式ポリアミド(A1_4)の割合が20〜100質量%の範囲にあり、脂肪族ポリアミド(A1_1)の割合が0〜80質量%の範囲にあることを特徴とする、請求項26,27,29〜34のいずれか1項に記載の成形物。
成分(B)が、下記の群:金属酸化物、金属リン酸塩、塩基性リン酸塩及び/又は金属水酸化物リン酸塩からなる群より選ばれる少なくとも1つのLDS添加剤を含むか又はその群より選ばれるLDS添加剤によって完全に形成されていること、及び/又は
成分(B)が銅及び/又はスズをベースとする無機化合物である、少なくとも1つのLDS添加剤を含むか又はLDS添加剤によって完全に形成され、及び/又は
成分(B)が、下記の群:酸化スズ; 金属ドープ又は金属酸化物ドープ酸化スズ; アンチモンドープ酸化スズ; 金属酸化物被覆マイカ; アンチモンドープ酸化スズで被覆したマイカ; 酸化スズと酸化アンチモンと必要に応じて更なる金属酸化物の混合物; スピネル; 銅酸化クロム; 酸化銅; 水酸化銅; 水酸化銅リン酸塩; リン酸銅; 塩基性リン酸銅; 銅スズリン酸塩; 塩基性銅スズリン酸塩; リン酸スズ; 塩基性リン酸スズ; アンチモンドープ酸化スズを単独で又はマイカと組み合わせて; 又はこれらの混合物及び組み合わせからなる群より選ばれる少なくとも1つのLDS添加剤を含むか又はその群より選ばれるLDS添加剤によって完全に形成されていることを特徴とする、請求項26,27,29〜42のいずれか1項に記載の成形物。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本発明の核心における知見は、とりわけ、予想外にも、構成部品のレーザー構造化能力特性を表面層にのみ配置することが容易に可能であり、従ってその一方で主にレーザー構造化能力 - 特に、LDS添加剤の存在 - に必要である材料へ変性によって生じる物理的性質に対する不利益を全体の構成部品から除外すること及び正確に必要な程度で及び正確に必要な量でだけ、すなわち、必要な表面領域にだけこの添加を用いることにもかかわらず、最終的に形成された導体トラックとキャリアの間に顕著な接着を与えることである。
それ故、本発明の第1の主題は、レーザー構造化可能な構成部品を製造する方法であって、成形物の暴露面を形成する少なくとも1つのレーザー構造化可能な層を有する単層又は多層押出成形物を非レーザー構造化可能なキャリア要素の表面に適用する(又は押出し、続いて導入及び適用が行われる)か、又は非レーザー構造可能な熱可塑性キャリア要素でインモールドコーティングするので、成形物の少なくとも1つのレーザー構造可能な層が、好ましくは導体トラックがすでに形成されていることなく、レーザー構造化可能な構成部品の表面の少なくとも1つの部分を形成するか、又は単層又は多層押出成形物を熱成形して、好ましくは導体トラックがすでに形成されていることなく、構成部品を形成する(又は押出し、続いて導入及び熱成形が行われる)ことを特徴とする、前記方法である。ここで成形物のレーザー構造化可能な層は、実質的にその全領域にわたって、
(A) 30〜99.9質量%の、好ましくはポリアミド(A1)又はポリアミド(A1)と他の熱可塑性プラスチック(A2)の混合物からなる熱可塑性プラスチック(ポリアミド(A1)の割合は、(A1)及び(A2)の合計に基づき少なくとも70質量%である);
(B) 0.1〜10質量%のLDS添加剤;
(C) 0〜60質量%の、(A)及び(B)と異なる補助剤;
((A)〜(C)の合計は100質量%である)
を含む熱可塑性成形用組成物からなる。
【0009】
ここで好ましくは、レーザー構造化層は、方向性がなく且つ/或いは熱設定されてなく、好ましくは、単軸であるにしても多軸であるにしても、押出し、注型又は次に延伸をしないコーティングの操作、又は熱処理、例えば200〜250℃の温度での結果であることを意味する。更に好ましくは、熱可塑性プラスチック(A)は、ポリエステル成分を含まない。
本発明の熱可塑性成形用組成物に対して、熱可塑性融解状態は、融点より高い温度又はガラス転移温度より高い温度で融解することによって達成する。粘稠な溶融物は、通常、スクリュー機(押出機)により一種類の注型操作で成形される。押出しにおいて、溶融物は、プロファイルダイ(ツーリング)で連続的に加工されて、前駆製品を形成する。射出成形の場合、不連続なプロセスとして、溶融物が急速に及び高圧で密閉モールドの中に導入され、射出成形物を形成する。2つの加工技術間の違いは、射出成形が結果として完成した生成物をもたらすが押出しは前駆製品を形成するだけであることである。更にまた、射出成形は不連続なプロセスであり、ここで、搬送スクリューはピストンとして作用し、押出しによる場合のものでない。これらの違いのために、押出しは完了した成形物に関して射出成形より多くの利点があり、押出製造成形物が射出成形物と異なる物理的性質を、すなわち、応力自由度、反り、平坦さ、延伸可能性、方向付け可能性、可撓性、曲げ半径、最小壁厚等の点で有するからである - より詳しくは、例えば:
・ 押出成形物は、応力のない成形物であり、反りがほとんど又は全くなく、高い平坦さを有する;
・ 押出成形物は、薄いパーツ、特にかなりの表面積の薄いパーツの形をとることができる;
・ 押出ホイルは、延伸可能で方向付け可能である;
・ 押出成形物、特にホイルは、高可撓性を有し、小半径の曲げを許容する
・ 押出パイプ断面又はプロファイルは、スキューイングを含まない
・ 押出しは、接続シームのない、特に、2層以上又は低層壁厚を有する長いプロファイルやパイプを与える。
【0010】
プロセスの一好適実施態様において、成形物はプロファイル、パイプ、フィルム又はホイル、好ましくはフィルム又はホイルであり、これらの成形物は本発明の少なくとも1つのレーザー構造化層を有し、単層構成の成形物の場合には全体として単独で成形物を形成しており、この層は、好ましくは、10〜1000マイクロメートルの範囲にある、好ましくは20〜600、より詳しくは30〜400又は40〜300マイクロメートルの範囲にある厚さを有し、フィルム又はホイルは、更に好ましくは、レーザー構造化可能な層によって形成されるか、又はレーザー構造化可能な層と異なる1つ以上のキャリア層を有し、フィルム又はホイルが片面又は両面に配置されて、表面を形成する。
一好適実施態様は、少なくとも2層、特に好ましくは正確に2層を備える造形品に関し、造形品は、おそらくパイプ、プロファイル又はホイルの形であり、レーザー構造化可能な層(S)に加えて複数の又は、好ましくは、正確に1つの更なるキャリア層(T)が存在する。層Sと層Tとの厚さ比が少なくとも1:2、好ましくは少なくとも1:10、好ましくは1:2から1:100又は1:1000までの範囲にあることが更に好ましい。この場合には層Sが非常に薄い構成を与えると有利であるので、好ましくは10〜100μm、より好ましくは10〜50μmの厚さを有する。この場合の層Tは、20〜1000μm、好ましくは50〜500μmの厚さを有する。非常に良好なレーザー構造化及び次の金属化、更に無電解適用金属層の充分な接着を確実にするために、成形物のこの実施態様の場合には層S内のLDS添加剤の濃度は、有利には比較的高いレベルで設定され、少なくとも1つの層S及び少なくとも1つの層Tを備える構成部品全体により多くのLDS添加剤を全体として用いることがない。好ましくは、層S内のLDS添加剤(B)の割合は、層Sを形成する全体の成形用組成物に基づき、少なくとも2、好ましくは少なくとも4、特に好ましくは少なくとも5質量%である。層S内のLDS添加剤割合は、それ故、好ましくは4〜10の範囲に、より詳しくは5〜10質量%の範囲にある。
【0011】
成形物がキャリア要素に適用され得る種々の方法がある。例えば、好ましくは圧力及び/又は熱の適用を有する場合には、成形物がキャリア要素の表面上へ接着させる(接着促進剤を用いて)、積層させる(接着促進剤用いて又は用いずに)又は裏打ちすることが可能である; 架橋も同様に可能な選択である。
或いは、成形物又はレーザー構造化可能な層(S)は、接着促進剤層を介入させて又は介入させずに、共押出し又は多層押出しでキャリア要素(キャリア層(T))上へ溶融状態から直接に押出されてもよく、- ホイルの場合、好ましくはスロットダイを用いて、キャリア要素の表面上にコヒーレントフィルムの形で押出されてもよい。従って、その場で、キャリア要素に特に良好な結合を得ることが可能であり、例えば全く異なる材料から構成されるキャリア要素が、例えば熱硬化系から構成されるもの、又は基本的に全く異なる材料、例えば木材、織物、金属等としてコーティングされることも可能である。
インモールドプロセスにおいて、成形物を金型内にホイルとして導入し、射出成形によってコーティングすることもでき、その場合のキャリア要素はインモールドコーティング材料から形成されている。従って、他の実施態様は、熱可塑性プラスチックによるレーザー構造化可能な層を備える、本発明のホイルのインモールドコーティングを構成し、この場合にはホイルがすでに少なくとも片面に導体トラックをもっていてもよく、下流工程でその表面上に導体トラックが設けられてもよい。
【0012】
前述のように、キャリア要素を含まずに操作すること、及び例えば、成形操作又は熱成形操作において、全体としての成形物を望ましい形の中にもたらすことも同様に可能である。その場合、レーザー構造化可能な層は、成形によって、より詳しくは熱成形によって3次元構造を得る。
ここでキャリア要素及び/又は特に成形物は、一好適実施態様によれば、ポリアミド含有プラスチック、好ましくは脂肪族ポリアミド、半結晶性半芳香族ポリアミド(例えば、ポリフタルアミド)、アモルファス脂環式又は半芳香族ポリアミド、又はこれらのポリアミドの混合物からなる。脂肪族ポリアミド(A1_1)とアモルファスポリアミド(A1_2)の混合物、又は半結晶性半芳香族ポリアミドとアモルファスポリアミドとの混合物が好ましい。
次の加工工程において、更なる好適実施態様によれば、導体トラックが構成部品及び/又は層(S)上にレーザー直接構造化、次に構成部品上に金属の無電解堆積、必要に応じて追加の電気めっき堆積によって形成されることが可能であり、更に必要に応じて引き続き電気及び/又は電子構成部品が組み込まれ、且つ更なる工程、例えば、アセンブリ等が続いてもよい。
従って、本発明は、また、更に、上記のプロセスによって製造された又は製造できる、電気導体トラックのために準備された又は電気導体トラック有する構成部品、好ましくは電子機器、より詳しくは携帯用電子機器、例えば特にPDA、携帯電話、電気通信機器のためのキャリア要素、回路基板、ケーシング又はケーシングパーツ、パーソナルコンピュータ、ノートブックコンピュータ、医療機器、例えば、特に、聴力デバイス、センサ技術のためのキャリア要素、回路基板、ケーシング又はケーシングパーツ、又は自動車セクターのためのパーツ、例えば、特に、エアバッグモジュール、多機能ステアリングホイールとしての構成部品に関する。
【0013】
それ故、構成部品は、後で下記に示されるように成形用組成物から製造された層(S)を備える押出成形物に基づいて構成されている。その構成部品及びMID技術のための使用分野は、自動車工学、工業オートメーション、医用工学、屋内電気器具工業、消費者向け電子機器、通信産業、計測と解析、機械工学、及び航空宇宙工程である。従って、本発明は、また、本発明の成形用組成物から構成される層(S)を備える成形物を含む物品、より詳しくは相互接続デバイスに関する。一実施態様において、相互接続デバイスは、アンテナを形成するために用いられる。
この成形物の例は、携帯用電子機器、例えばPDA、携帯電話、他の電気通信機器のためのケーシング又はケーシングパーツ、可撓性携帯電話ケーシング又はパーツ、薄膜電池のためのホイル又はパーツ、パーソナルコンピュータ、ノートブックコンピュータ、医療機器、例えば聴力デバイス、例えばセンサ技術、又はRFID(高周波識別)トランスポンダのためのケーシング又はケーシングパーツ、自動車セクターのための又はパーツ、例えば、エアバッグモジュール、多機能ステアリングホイール、或いは装飾のための金属化又は金属化可能なホイルである。
物理的性質に基づき、3次元相互接続デバイスを製造することが可能である。更にまた、典型的な機械的機能、例えばマウント、ガイド、ボタン、プラグ又は他の接続要素が集積され得る。同様に、電気装置/電子装置及び燃料装置のためのコネクタが可能である。本発明は、更に、導体トラック又は金属構造を備えている可撓性成形品、より詳しくはホイルに関し、これらの成形品は、例えば、層(S)を備えるホイルを10mm未満の直径を有するロールに圧延することができ - すなわち、小さい半径の曲げが可能である - 導体トラック又は金属構造が剥離及び/又は損傷することがないという結果によって、射出成形構成部品とは対照的に、高可撓性を有する。
【0014】
本発明は、更に、好ましくは上記の方法において使用のための、又は上記の構成部品において使用のための、単層又は多層押出成形物、又は成形物の暴露面を形成する少なくとも1つのレーザー構造可能な層(S)を有し、実質的にその全領域にわたって:
(A) 30〜99.9質量%の、好ましくはポリアミド(A1)又はポリアミド(A1)と他の熱可塑性(A2)の混合物からなる熱可塑性プラスチック(ポリアミド(A1)の割合は(A1)及び(A2)の合計に基づき少なくとも70質量%である)、好ましくは(A1)はアモルファス脂環式ポリアミド(A1_4)又は脂肪族ポリアミド(A1_1)と半芳香族半結晶性ポリアミド(A1_2)、アモルファス半芳香族ポリアミド(A1_3)及び/又はアモルファス脂環式ポリアミド(A1_4)の混合物である;
(B) 0.1〜10質量%のLDS添加剤;
(C) 0〜60量%の(A)及び(B)と異なる補助剤;
(ここで、(A)〜(C)の合計は100質量%であり、プロセスにおいてこの種類の層は押出しプロセスで製造される)
を含む熱可塑性成形用組成物からなる、その成形物を製造する押出しプロセスに関する。
この種類の成形物は、好ましくは、それがプロファイル、パイプ、フィルム、又はホイル、好ましくはフィルム又はホイルであり、フィルム又はホイルが、好ましくは、10〜1000マイクロメートル、好ましくは20〜600マイクロメートルの範囲に、より詳しくは30〜400又は40〜300の範囲にある厚さを有し、更に、好ましくはフィルム又はホイルが、レーザー構造化可能な層(S)単独で形成されるか、又はレーザー構造化可能な層と異なる1つ以上のキャリア層(層(T
i)を有し、フィルム又はホイルがこれらの層の片面又は両面に配置されて、表面を形成し、その場合に好ましくは、キャリア層上のこれらの表面層が、10〜250μmの範囲に、好ましくは20〜150マイクロメートルの範囲にある厚さを有することを特徴とする。
【0015】
本発明の成形用組成物は、成分(A)に関して好ましくは30〜99.9質量%、好ましくは42〜99質量%、より好ましくは44〜98質量%の熱可塑性プラスチック(A)からなり、好ましくは、以下:ポリカーボネート、ポリフェニレンエーテル、ポリスチレン、ポリメチルメタクリレート、アクリロニトリル・ブタジエン・スチレンコポリマー、アクリロニトリル・スチレンコポリマー、ポリオレフィン、変性ポリオレフィン、特にグラフトされたポリオレフィン、ポリオキシメチレン、ポリエステル、特にポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、(特にタイプPSU、PESU、PPSUの)ポリスルホン、ポリフェニレンスルフィド、液晶ポリマー、ポリエーテルケトン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリアミド、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリエステルイミド、ポリエーテルアミド、ポリエステルアミド、ポリエーテルエステルアミド、(特にタイプTPU、PURの)ポリウレタン、ポリシロキサン、ポリアクリレート、ポリメタクリレート、及びその系に基づく混合物又はコポリマーからなる群より選ばれる。
特に好ましい成分(A)は、ポリアミド(A1)を含み、成分(A)は、好ましくは少なくとも50質量%のポリアミド(A1)、より好ましくは少なくとも70質量%又は80質量%のポリアミド(A1)からなり、残部は他の熱可塑性(A2)によって形成されている。
特に好適な一実施態様によれば、成分(A)は、ポリアミド(A1)のみからなる。
第1の好適実施態様によれば、成分(A)だけでなく、他の熱可塑性プラスチック(A2)は、成分(A)の全量に対して少なくとも40質量%、好ましくは50〜100質量%の範囲にある濃度で以下: 脂肪族ポリアミド(A1_1)、半結晶性半芳香族ポリアミド(ポリフタルアミド及び芳香脂肪族ポリアミド)(A1_2)、アモルファス半芳香族ポリアミド(A1_3)及び/又はアモルファス脂環式ポリアミド(A1_4)からなる群より選ばれるポリアミド(A1)からなる。
【0016】
好ましくは、成分(A)は記載されたポリアミド(A1_1)〜(A1_4)のみからなる。
更なる実施態様において、成分(A1)は、好ましくは脂肪族ポリアミド(A1_1)とアモルファスポリアミド(A1_3)及び/又は(A1_4)の混合物であり、この場合には好ましくは、成分(A1)の全量に対して、成分(A1_1)の量は40〜95質量%の範囲にあり、成分(A1_3)及び/又は(A1_4)の合計の量は、5〜60質量%の範囲にある。
更なる好適実施態様によれば、ポリアミド(A1)は、脂環式ジアミンをベースとする少なくとも1つのアモルファス又はミクロクリスタリンポリアミド(A1_4)及び必要に応じて更なるポリアミドからなり、好ましくは、半結晶性脂肪族ポリアミド(A1_1)又は半結晶性半芳香族ポリアミド(A1_2)の群より選ばれる。
更に好ましくは、ポリアミド(A1)は、更なる好適実施態様によれば、20〜100質量%、好ましくは30〜90又は35〜80質量%のアモルファス脂環式ポリアミド(A1_4)及び0〜80質量%、好ましくは10〜70又は20〜65質量%の脂肪族ポリアミド(A1_1)及び/又は半結晶性半芳香族ポリアミド(A1_2)からなる。
【0017】
成分(A2)は、(A1)と異なり、以下: ポリカーボネート、ポリスチレン、ポリメチルメタクリレート、アクリロニトリル・ブタジエン・スチレンコポリマー、アクリロニトリル・スチレンコポリマー、ポリオレフィン、ポリオキシメチレン、ポリエステル、特にポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、(特にタイプPSU、PESU、PPSUの)ポリスルホン、ポリフェニレンエーテル、ポリフェニレンスルフィド、ポリフェニレンオキシド、液晶ポリマー、ポリエーテルケトン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリエステルイミド、ポリエーテルアミド、ポリエステルアミド、ポリエーテルエステルアミド、(特にタイプTPU、PURの)ポリウレタン、ポリシロキサン、ポリアクリレート、ポリメタクリレート、及びその系をベースとする混合物又はコポリマーからなる群より選ばれてもよい。
成分(A1_1)の脂肪族ポリアミドは、単に脂肪族ポリアミドであり、この用語は成分(A1_4)に関連して定義した脂環式ポリアミドを除くことを意味する。成分(A1_1)の脂肪族ポリアミドは、一般的には、いずれの場合にも6〜12個の炭素原子を有する直鎖又は分枝鎖飽和ラクタム及び/又は直鎖又は分枝鎖飽和アミノ酸、及び/又は6〜18個、好ましくは6〜12個の炭素原子を有する直鎖又は分枝鎖飽和ジカルボン酸、及び4〜12個の炭素原子を有する直鎖又は分枝鎖飽和ジアミンから構成されるポリアミド、又は各々これらの単位から構成されるコポリアミドである。
【0018】
成分(A1_1)の脂肪族ポリアミドは、好ましくは下記の群: ポリアミド46、ポリアミド6、ポリアミド66、ポリアミド11、ポリアミド12、ポリアミド1212、ポリアミド1010、ポリアミド1012、ポリアミド1112、ポリアミド610、ポリアミド106、ポリアミド612、ポリアミド69、ポリアミド810又は用いられるこれらのコポリアミド、混合物、ブレンド又は合金より選ばれるポリアミドである。ここで脂肪族ポリアミド(A1)は、好ましくは、m-クレゾール(0.5質量%、20℃)中で測定した溶液粘度η
relを1.5から3.0までの範囲で、好ましくは1.6から2.6までの範囲で、より詳しくは1.7から2.3までの範囲で有する。
更に、脂肪族ポリアミド(A1_1)が少なくとも5、より詳しくは少なくとも7のメチレン/アミド比を有する場合が好ましく、その比は、好ましくは5から12までの範囲に、より好ましくは7〜12の範囲にある。成分(A1_1)がポリアミドPA610、PA106、PA1010、PA1012、PA 1212、PA11又はPA12からなる群より選ばれることが特に好ましい。
【0019】
成分(A1_2)は、テレフタル酸をベースとするポリフタルアミド、及びキシリレンジアミン(パラ-又はメタ-)をベースとする芳香脂肪族ポリアミドを含む半結晶性半芳香族ポリフタルアミドを含んでいる。芳香脂肪族ポリアミドの例は、MXD6 18(MXD = メタキシリレンジアミン)であり、MXD6及びMXD10が好ましい。A1_2として用いるためにポリフタルアミドが好ましく、好ましくは、ガラス転移温度は90から140℃までの範囲に、好ましくは110から140℃までの範囲に、より詳しくは115から135℃までの範囲に有する。ポリアミド(A1-2)の融点は、255から330℃までの範囲に、好ましくは270から325℃までの範囲に、より詳しくは280から320℃までの範囲にある。成分の半結晶性半芳香族ポリアミドは、DSC(ISO規格 11357-11-2)によって定量される融解エンタルピーを好ましくは25〜80J/gの範囲に、より好ましくは30〜70J/gの範囲に有する。
ここで好ましい半結晶性半芳香族ポリアミドは、
a)ジカルボン酸の全量に基づき、30〜100モル%、より詳しくは50〜100モル%のテレフタル酸及び/又はナフタレンジカルボン酸及び0〜70モル%、より詳しくは0〜50モル%の6〜18個、好ましくは6〜12個の炭素原子を有する少なくとも1つの脂肪族ジカルボン酸、及び/又は0〜70モル%、より詳しくは0〜50モル%の8〜20個の炭素原子を有する少なくとも1つの脂環式ジカルボン酸、及び/又は0〜50モル%のイソフタル酸、
b)ジアミンの全量に基づき、80〜100モル%の4〜18個の炭素原子を有する、好ましくは6〜12個の炭素原子を有する少なくとも1つの脂肪族ジアミン、及び0〜20モル%の好ましくは6〜20個の炭素原子を有する少なくとも1つの脂環式ジアミン、例えばPACM、MACM、IPDA、及び/又は0〜20モル%の少なくとも1つの芳香脂肪族ジアミン、例えばMXDA、PXDA から、及び必要に応じて
c)各々が6〜12個の炭素原子を有するアミノカルボン酸及び/又はラクタム
から調製される。
【0020】
一好適実施態様によれば、ここで成分(A1_2)の半芳香族ポリアミドは、少なくとも55モル%、より詳しくは少なくとも65モル%のテレフタル酸及び少なくとも80モル%、好ましくは少なくとも90モル%、より詳しくは少なくとも95モル%の4〜18個の炭素原子を有する、好ましくは6〜12個の炭素原子を有する脂肪族ジアミン、及び必要に応じて更に脂肪族、脂環式、及び芳香族ジカルボン酸及びラクタム及び/又はアミノカルボン酸に基づいて形成される。更に使用し得る芳香族ジカルボン酸は、テレフタル酸とは別のイソフタル酸及びナフタレンジカルボン酸である。使用し得る適切な脂肪族ジカルボン酸及び脂環式ジカルボン酸だけでなくテレフタル酸は、6〜36個の炭素原子を有し、ジカルボン酸の全量に基づき、多くても70モル%の割合で、より詳しくは多くても50モル%の割合で使われる。
更に、成分(A1_2)の半芳香族ポリアミドの記載された芳香族ジカルボン酸として下記の群: テレフタル酸、イソフタル酸、及びこれらの混合物より選ばれることが好ましい。
更なる好適実施態様によれば、記載された - 例えば - テレフタル酸とは別に使用し得る成分(A1_2)の半芳香族ポリアミドの脂肪族ジカルボン酸は、アジピン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ウンデカン二酸、ドデカン二酸、ブラシル酸、テトラデカン二酸、ペンタデカン二酸、ヘキサデカン二酸、オクタデカン二酸、及び二量体脂肪酸(C36)の群より選ばれる。アジピン酸、セバシン酸、及びドデカン二酸が特に好ましい。従ってテレフタル酸とは別に用いられるジカルボン酸: イソフタル酸、アジピン酸、セバシン酸、及びドデカン二酸、又はそのジカルボン酸の混合物が好ましい。ジカルボン酸としてテレフタル酸のみをベースとするポリアミド(A1_2)が特に好ましい。
【0021】
更なる好適実施態様によれば、成分(A1_2)の半芳香族ポリアミドの記載された脂肪族ジアミンは、1,4-ブタンジアミン、1,5-ペンタンジアミン、1,6-ヘキサンジアミン、1,7-ヘプタンジアミン、1,8-オクタンジアミン、1,9-ノナンジアミン、メチル-1,8-オクタンジアミン、1,10-デカンジアミン、1,11-ウンデカンジアミン、1,12-ドデカンジアミン、又はそのジアミンの混合物の群より選ばれ、1,6-ヘキサンジアミン、1,10-デカンジアミン、1,12-ドデカンジアミン、又はそのジアミンの混合物が好ましく、1,6-ヘキサンジアミン及び1,10-デカンジアミンが特に好ましい。脂肪族ジアミンの他に、脂環式及び/又は芳香脂肪族ジアミンがジアミンの全量に基づき0〜20モル%の濃度で用いられることが可能である。特に好ましくは、高融点ポリアミドは、下記の成分:
a)(A1_2a): ジカルボン酸: 存在するジカルボン酸の全量に基づき、50〜100モル%の芳香族テレフタル酸及び/又はナフタレンジカルボン酸、0〜50モル%の、好ましくは6〜12個の炭素原子を有する脂肪族ジカルボン酸、及び/又は好ましくは8〜20個の炭素原子を有する脂環式ジカルボン酸、及び/又はイソフタル酸;
b)(A1_2b): ジアミン: 存在するジアミンの全量に基づき、80〜100モル%の、4〜18個の炭素原子を有する、好ましくは6〜12個の炭素原子を有する、少なくとも1つの脂肪族ジアミン、0〜20モル%の、好ましくは6〜20個の炭素原子を有する、脂環式ジアミン、例えばPACM、MACM、IPDA及び/又は芳香脂肪族ジアミン、例えばMXDA、PXDA(高融点ポリアミドにおいて、ジカルボン酸のモルパーセント量は100%であり、ジアミンのモルパーセント量は100%である)、及び必要に応じて:
c)(A1_2c): 好ましくは6〜12個の炭素原子を有するラクタム、及び/又は好ましくは6〜12個の炭素原子を有するアミノカルボン酸を含むアミノカルボン酸及び/又はラクタム
から形成される。
【0022】
成分(A1_2a)及び(A1_2b)は、主として等モル量で用いられるが、(A1_2c)の濃度は、好ましくは20質量%以下、より好ましくは15質量%以下、より詳しくは12質量%以下であり、いずれの場合にも(A1_2a)〜(A1_2c)の合計に基づく。
更に主として等モルで使われた成分(A1_2a)及び(A1_2b)に対して、モル質量を調節するために又はポリアミド製造の間のモノマーの減少を補償するためにジカルボン酸(A1_2a)又はジアミン(A1_2b)を用いることが可能であり、全体として成分(A1_2a)又は(A1_2b)の濃度が優位であることを意味する。
適切な脂環式ジカルボン酸は、シス-及び/又はトランス-シクロヘキサン-1,4-ジカルボン酸及び/又はシス-及び/又はトランス-シクロヘキサン-1,3-ジカルボン酸(CHDA)である。
一般に用いられる上述の脂肪族ジアミンは、ジアミンの全量に基づき、20モル%以下、好ましくは15モル%以下、より詳しくは10モル%以下の少量が他のジアミンによって置き換えられてもよい。脂環式ジアミンとしては、例えば、シクロヘキサンジアミン、1,3-ビス(アミノメチル)シクロヘキサン(BAC)、イソホロンジアミン、ノルボルナンジメチルアミン、4,4'-ジアミノジシクロヘキシルメタン(PACM)、2,2-(4,4'-ジアミノジシクロヘキシル)プロパン(PACP)、及び3,3'-ジメチル-4,4'-ジアミノジシクロヘキシルメタン(MACM)を用いることが可能である。記載され得る芳香脂肪族ジアミンには、m-キシリレンジアミン(MXDA)及びp-キシリレンジアミン(PXDA)が含まれる。記載され得る芳香脂肪族ジアミンには、m-キシリレンジアミン(MXDA)及びp-キシリレンジアミン(PXDA)が含まれる。
【0023】
更に、記載されたジカルボン酸及びジアミンに対して、ポリアミド形成成分(成分(A1_2c))としてラクタム及び/又はアミノカルボン酸を用いることも可能である。適切な化合物は、例えば、カプロラクタム(CL)、α,ω-アミノカプロン酸、α,ω-アミノノナン酸、α,ω-アミノウンデカン酸(AUA)、ラウロラクタム(LL)、及びα,ω-アミノドデカン酸(ADA)である。成分(A1_2a)及び(A1_2b)と一緒に用いられるアミノカルボン酸及び/又はラクタムの濃度は、成分(A1_2a)〜(A1_2c)の合計に基づき、20質量%以下、好ましくは15質量%以下、より好ましくは12質量%以下である。4、6、7、8、11又は12個のC原子を有するラクタム及び/又はα,ω-アミノ酸が特に好ましい。これらは、ラクタムのピロリジン-2-オン(4個のC原子)、ε-カプロラクタム(6個のC原子)、エナントラクタム(7個のC原子)、カプリロラクタム(8個のC原子)、ラウロラクタム(12個のC原子)、及びそれぞれα,ω-アミノ酸、1,4-アミノブタン酸、1,6-アミノヘキサン酸、1,7-アミノヘプタン酸、1,8-アミノオクタン酸、1,11-アミノウンデカン酸、及び1,12-アミノドデカン酸である。特に好適な一実施態様において、成分A1_1は、カプロラクタム及び/又はアミノカプロン酸を含まない。
モル質量、相対粘度及び/又は流動度又はMVRを調節するためにバッチ及び/又は(ポスト縮合の前の)プレ縮合物とモノカルボン酸又はモノアミンの形の連鎖移動剤を混合することが可能である。
【0024】
本発明のポリアミド(A1_2)の個々の代表例は、以下の通り: PA 4T/4I、PA 4T/6I、PA 5T/5I、PA 6T/6、PA 6T/6I、PA 6T/6I/6、PA 6T/66、6T/610、6T/612、PA 6T/10T、PA 6T/10I、PA 9T、PA 10T、PA 12T、PA 10T/10I、PA10T/106、PA10T/12、PA10T/11、PA 6T/9T、PA 6T/12T、PA 6T/10T/6I、PA 6T/6I/6、PA 6T/6I/12、及びこれらの混合物であり;
より詳しくは、成分(A1_2)の半芳香族ポリアミドは、下記の群: PA 6T/6I、PA 6T/10T、PA 6T/10T/6I、及びこれらの混合物より選ばれる。好ましいポリアミド(A1_1)は、6T単位、より詳しくは少なくとも10質量%の6T単位を含んでいる。
半結晶性半芳香族ポリアミド(A1_2)は、2.6以下、好ましくは2.3以下、より詳しくは2.0以下の(DIN EN ISO 307、m-クレゾール中0.5質量%、20℃に従って定量した)溶液粘度η
relを有する。好ましいポリアミド(A1)は、1.45から2.3までの範囲に、より詳しくは1.5から2.0まで又は1.5〜1.8の範囲にある溶液粘度η
relを有する。
本発明のポリアミド(A1_2)は、プレ縮合及びポスト縮合の操作順序を経て、典型的な重縮合ラインにより調製され得る。重縮合に対して、好ましくは粘度を調節するために記載されている連鎖移動剤が用いられる。粘度は、更に、過剰のジアミン又はジカルボン酸の使用よって調整されてもよい。粘度は、更に、ジアミン又はジカルボン酸の過剰の使用によって調整されてもよい。
【0025】
成分(A1_3): ポリアミドA1_3には、コポリアミド6I/6T、10I/10T、12/6T、MXD6/MXDIが好ましい。タイプMXDI、MXDI/6I、MXD6/MXDIの系も可能である。50モル%未満の6T単位の割合を有するアモルファスコポリアミド6I/6T、10I/10T及び12/6Tが特に好ましい。特にPA 6I/6T及びPA 10I/10Tが好ましく、20:80から45:55までの組成範囲T:I(Tはテレフタル酸を表し、Iはイソフタル酸を表す)が好ましい。MXD6/MXDIコポリアミドに関して、MXD6を多く含む組成物が好ましく、特にMXD6含有量が80モル%を超えるもの、より好ましくは82から95モル%までの範囲にある。特に好ましくは、成分(A1_3)は、ポリアミドPA 10I/10Tとして選ばれ、I:T比が75:25から50:50までの範囲に、好ましくは70:30から55:45までの範囲にあり、より詳しくは60:40である。PA 6I/6Tのコポリアミドに比較して、PA 10I/10Tは、注入する方向に対して横の収縮を著しく低下させる(0.3%から0.1%に)。
成分(A1_4)は、好ましくは6〜40個、特に好ましくは6〜36個の炭素原子を有する、好ましくは脂環式をベースとするアモルファス又はミクロクリスタリンポリアミド及び必要に応じて更に脂肪族ジアミン、脂肪族、脂環式又は芳香族ジカルボン酸、ラクタム及び/又はアミノカルボン酸であるか、又はそのホモポリアミド及び/又はコポリアミドの混合物である。
適切な脂環式ジアミンの例は、追加の置換基、特にアルキル置換基を含むか又は含まない、ビス(4-アミノ-3-メチルシクロヘキシル)メタン(MACM)、ビス(4-アミノ-3-エチルシクロヘキシル)メタン(EACM)、ビス(4-アミノ-3,5-ジメチルシクロヘキシル)メタン(TMDC)、イソホロンジアミン(IPD)、1,3-ビス(アミノメチル)シクロヘキサン(BAC)及び/又はビス(4-アミノシクロヘキシル)メタン(PACM)である。脂肪族ジカルボン酸は、更に、直鎖又は分枝鎖配置で2〜36個、好ましくは6〜20個の炭素原子、特に好ましくは10、12、14、16又は18個の炭素原子を有する脂肪族ジカルボン酸でもよい。
【0026】
更なる好適実施態様によれば、ポリアミド(A1_4)は、MACM9、MACM10、MACM12、MACM14、MACM16、MACM18、PACM12、PACM14、PACM16、PACM18、MACM12/PACM12、MACM14/PACM14、MACM16/PACM16、MACM18/PACM18、PACM9〜18、MACMI/12、6I/6T/MACMI/MACMT/12、6I/MACMI/MACMT、6I/PACMI/PACMT、MACMI/MACMT/12、6I/6T/MACMI、MACMI/MACM36、12/PACMI又は12/MACMT、6I/PACMT、6/IPDT、BACI/BACT、MACM12/BAC12、10I/10T/BACI/BACT、又はそのポリアミドの混合物の群より選ばれるホモポリアミド又はコポリアミドである。
特に好ましいポリアミド(A1_4)は、MACM12、MACM14、MACM18、PACM12/MACM12、MACMI/12及びMACMI/MACMT/12である。特にアモルファス又はミクロクリスタリンホモポリアミド及び/又はコポリアミドの形のポリアミド(A1_4)は、好ましくは、1.3と2.0の間、特に好ましくは1.40と1.85の間の溶液粘度(ηrel)、及び/又は90℃を超える、好ましくは110℃を超える、特に好ましくは130℃を超えるのガラス転移温度Tgを有する。更に、ポリアミド(A1_4)が4〜40J/gの範囲に、より詳しくは4〜25J/gの範囲に融解エンタルピーを有するミクロクリスタリンポリアミドである場合が好ましい。
特に好適な一実施態様において、ポリアミド(A1_4)は、MACM12〜18及び/又はMACMI/12及び/又はMACMI/MACMT/12を含んでいる。
【0027】
成分(A1_4)は、好ましくは、90から180℃までの範囲に、好ましくは110から170℃までの範囲に、より詳しくは115から165℃までの範囲にガラス転移温度を有するアモルファス又はミクロクリスタリンポリアミドを含み、好ましくは
a)ジカルボン酸の全量に基づき、60〜100モル%、より詳しくは80〜100モル%の、6〜14個又は6〜12個の炭素原子を有する少なくとも1つの脂肪族及び/又は芳香族ジカルボン酸、及び0〜40モル%、より詳しくは0〜20モル%の、8〜20個の炭素原子を有する少なくとも1つの脂環式ジカルボン酸;
b)ジアミンの全量に基づき、50〜100モル%、好ましくは70〜100モル%、より好ましくは85〜100モル%の、好ましくは6〜20個の炭素原子を有する少なくとも1つの脂環式ジアミン、例えば、PACM、MACM、EACM、TMDC、BAC及びIPDA、及び0〜50モル%、好ましくは0〜30モル%、より好ましくは0〜15モル%の、4〜18個の炭素原子を有する、好ましくは6〜12個の炭素原子を有する少なくとも1つの脂肪族ジアミン、及び/又は0〜100モル%の少なくとも1つの芳香脂肪族ジアミン、例えばMXDA(メタキシリレンジアミン)及びPXDA(パラキシリレンジアミン); 及び必要に応じて
c)各々6〜12個の炭素原子を有するアミノカルボン酸及び/又はラクタム
から形成される。
【0028】
一好適実施態様によれば、ここでの成分(A1_4)のポリアミドは、少なくとも75モル%、より詳しくは少なくとも80モル%の脂環式ジアミン及び少なくとも80モル%、好ましくは少なくとも90モル%、より詳しくは少なくとも95モル%の脂肪族又は芳香族ジカルボン酸(4〜18個の炭素原子、好ましくは6〜12個の炭素原子を有する)及び必要に応じて更にラクタム及び/又はアミノカルボン酸に基づき形成される。
特に好ましくは、ポリアミド(A1_4)は、下記の成分:
(a) ジカルボン酸: 存在するジカルボン酸の全量に基づき、80〜100モル%のイソフタル酸、テレフタル酸、セバシン酸、ドデカン二酸、
(b) ジアミン: 存在するジアミンの全量に基づき、80〜100モル%の、6〜36個の炭素原子、好ましくは12〜20個、より好ましくは13〜17個の炭素原子を有する少なくとも1つの脂環式ジアミン、0〜20モル%の、好ましくは4〜20個の炭素原子を有する脂肪族ジアミン(高融点ポリアミドにおいて、ジカルボン酸のモルパーセント量は100%であり、ジアミンのモルパーセント量は100%である)、及び必要に応じて:
(c) 好ましくは6〜12個の炭素原子を有するラクタム、及び/又は好ましくは6〜12個の炭素原子を有するアミノカルボン酸を含む、アミノカルボン酸及び/又はラクタム
から形成される。
成分(a)及び(b)は主として等モルで用いられるが、(c)の濃度は、40質量%以下、好ましくは35質量%以下、より詳しくは30質量%以下であり、いずれの場合にも(a)〜(c)の合計に基づく。
【0029】
更に主として等モルで使われた成分に対して、モル質量を調節するために又はポリアミド製造の間のモノマーの減少を補償するためにジカルボン酸又はジアミンを用いることが可能であり、全体として一成分の濃度が優位であることを意味する。
脂環式ジアミンとしては、例えば、シクロヘキサンジアミン、1,3-ビス(アミノメチル)シクロヘキサン(BAC)、イソホロンジアミン、ノルボルナンジメチルアミン、4,4'-ジアミノジシクロヘキシルメタン(PACM)、2,2-(4,4'-ジアミノジシクロヘキシル)プロパン(PACP)、及び3,3'-ジメチル-4,4'-ジアミノジシクロヘキシルメタン(MACM)、EACM、TMDCを用いることが可能である。記載され得る芳香脂肪族ジアミンには、m-キシリレンジアミン(MXDA)及びp-キシリレンジアミン(PXDA)が含まれる。
更に、記載されたジカルボン酸及びジアミンに対して、ポリアミド形成成分としてラクタム及び/又はアミノカルボン酸を用いることも可能である。適切な化合物は、例えば、カプロラクタム(CL)、α,ω-アミノカプロン酸、α,ω-アミノノナン酸、α,ω-アミノウンデカン酸(AUA)、ラウロラクタム(LL)、及びα,ω-アミノドデカン酸(ADA)である。成分(A1a)及び(A1b)と一緒に用いられるアミノカルボン酸及び/又はラクタムの濃度は、成分(A1a)〜(A1c)の合計に基づき、20質量%以下、好ましくは15質量%以下、より好ましくは12質量%以下である。4、6、7、8、11又は12個のC原子を有するラクタム及び/又はα,ω-アミノ酸が特に好ましい。これらは、ラクタムのピロリジン-2-オン(4個のC原子)、ε-カプロラクタム(6個のC原子)、エナントラクタム(7個のC原子)、カプリロラクタム(8個のC原子)、ラウロラクタム(12個のC原子)、及びそれぞれα,ω-アミノ酸、1,4-アミノブタン酸、1,6-アミノヘキサン酸、1,7-アミノヘプタン酸、1,8-アミノオクタン酸、1,11-アミノウンデカン酸、及び1,12-アミノドデカン酸である。特に好適な一実施態様において、成分(A2)は、カプロラクタム又はアミノカプロン酸を含まない。
【0030】
成分(A1_4)は、好ましくは、ポリアミドPA MACM12、PA MACMI/12、PA MACMT/MACMI/12からなる群より選ばれる。
モル質量、相対粘度及び/又は流動度又はMVRを調節するためにバッチ及び/又は(ポスト縮合の前の)プレ縮合物をモノカルボン酸又はモノアミンの形の連鎖移動剤と混合することが可能である。連鎖移動剤適合性を有する脂肪族、脂環式又は芳香族モノカルボン酸又はモノアミンは、酢酸、プロピオン酸、酪酸、吉草酸、カプロン酸、ラウリン酸、ステアリン酸、2-エチルヘキサン酸、シクロヘキサン酸、安息香酸、3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオン酸、3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシ安息香酸、3-(3-tert-ブチル-4-ヒドロキシ-5-メチルフェニル)プロパン酸、2-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシベンジルチオ)酢酸、3,3-ビス(3-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)ブタン酸、ブチルアミン、ペンチルアミン、ヘキシルアミン、2-エチルヘキシルアミン、n-オクチルアミン、n-ドデシルアミン、n-テトラデシルアミン、n-ヘキサデシルアミン、ステアリルアミン、シクロヘキシルアミン、3-(シクロヘキシルアミノ)-プロピルアミン、メチルシクロヘキシルアミン、ジメチルシクロヘキシルアミン、ベンジルアミン、2-フェニルエチルアミン、2,2,6,6-テトラメチルピペリジン-4-アミン、1,2,2,6,6-ペンタメチルピペリジン-4-アミン、4-アミノ-2,6-ジ-tert-ブチルフェノール等である。連鎖移動剤は、個々に又は組み合わせて用いることができる。連鎖移動剤として、アミノ基又は酸基と反応することができる他の単官能性化合物、例えば無水物、イソシアネート、酸ハロゲン化物、又はエステルを用いることも可能である。連鎖移動剤が用いられる典型的な量は、ポリマー1kgにつき10と200ミリモルの間である。
【0031】
ポリアミド成分A1を含むポリマー混合物に関して、下記の組成物が好ましい:
(A1_1): PA 610又はPA 612又はPA 1010又はPA 1012又はPA 1210又はPA1212又はPA 11又はPA 12
(A1_3): PA 6T/6I又はPA 10T/10I、ここで、6I及び/又は10I
割合は、55〜80(好ましくは60〜75)モル%である。
(A1_1): PA66又はPA6又はPA6とPA66の混合物、1:1〜1:4の比で、より詳しくは1:3〜1:4の比で;
(A1_3): PA 6I/6T、ここで、モル比は65:35から75:25までの範囲にあるか、又は特に67:33である。
(A1_1): PA 66又はPA 610又はPA 612又はPA 1010又はPA 1012又はPA 1210又はPA1212又はPA 11又はPA 12
(A1_3): PA MXD6/MXDI、ここで、コポリアミドにおけるモル比は70:30から90:10までの範囲にあり、より詳しくは88:12である。
ここで、好ましくはいずれの場合にも成分(A1_1)の割合は50から90質量%まで、より詳しくは60から85質量%までの範囲にあり、成分(A1_3)は、好ましくは10から50質量%までの範囲に、より詳しくは15から40質量%までの範囲にある。
【0032】
ポリアミド成分A1_2及びA1_3を含むポリマー混合物に関して、下記の組成物が好ましい:
(A1_2): PA 6T/10T(5〜40/60〜95モル%)
(A1_3): PA 6I/6T又はPA 10I/10T、ここで、モル比I:Tは、55:45から75:25までの範囲に、より詳しくは60:40から70:30までの範囲にある。
(A1_2): PA 6T/10T/6I;
(A1_3): PA 6I/6T又はPA 10I/10T、ここで、モル比I:Tは、55:45から75:25までの範囲に、より詳しくは60:40から70:30までの範囲にある。
(A1_2): PA 6T/6I、ここで、モル比は、60:40から75:25までの範囲にある;
(A1_3): PA 6I/6T、ここで、モル比は、65:35から75:25までの範囲にあり、より詳しくは67:33である。
(A1_2): PA6T/10T(5〜40/60〜95モル%)
(A1_3): PA MXD6/MXDI、ここで、コポリアミドにおけるモル比は、70:30から90:10までの範囲にあり、より詳しくは88:12である。
ここで好ましくは、成分(A1_2)の割合はいずれの場合にも、50から90質量%まで、より詳しくは60から85質量%までの範囲にあり、成分(A1_3)は、好ましくは10から50質量%までの範囲に、より詳しくは15から40質量%までの範囲にあり、いずれの場合にも全体としての成分(A1)に基づく。
【0033】
成分(B)(LDS添加剤): 成分(B)の割合は、好ましくは2〜8質量%、より好ましくは2〜6質量%の範囲にある。
成分(B)は、好ましくは、UV、VIS又はIR放射線に対して非ゼロ吸収係数を有するLDS添加剤であり、電磁放射に、好ましくはレーザー放射の形で曝露した際に、化学金属化手順において成形物の表面上の照射された位置に導体トラックの生成のための金属層の堆積を容易にし且つ/又は可能にし且つ/又は増強する金属シードを形成し、LDS添加剤が好ましくは可視領域と赤外線放射領域に吸収能を有し、吸収係数が少なくとも0.05、好ましくは少なくとも0.1、より詳しくは少なくとも0.2であり、且つ/又は放射エネルギーをLDS添加剤に伝達する吸収剤が与えられる。
成分(B)は、好ましくは、50〜10000ナノメートル、好ましくは200〜5000ナノメートル、より好ましくは300〜4000ナノメートルの範囲の平均粒径(D50)を有し、及び/又は10以下、より詳しくは5以下のアスペクト比を有するLDS添加剤である。粒径の基準として記載されているD50値は、平均粒径の基準であり、試料の50体積パーセントがより微細であり、試料のその他の50%がD50値(メジアン)より粗い。
【0034】
一好適実施態様において、成分(B)は、金属酸化物の群より選ばれるLDS(レーザーダイレクトストラクチャリング)添加剤、より詳しくは下記一般化学式を有するスピネルとして知られるものを含んでいる
MX
2O
4
ここで、Mは、原子価2の金属カチオンであり、Mが好ましくは以下: マグネシウム、銅、コバルト、亜鉛、スズ、鉄、マンガン及びニッケル、及びこれらの組み合わせからなる群より選ばれ;
Xは、原子価3の金属カチオンであり、Xが好ましくは以下: マンガン、ニッケル、銅、コバルト、スズ、チタン、鉄、アルミニウム、及びクロム、及びこれらの組み合わせからなる群より選ばれ;
より詳しくは、LDS添加剤は、銅鉄スピネル、銅含有酸化マグネシウムアルミニウム、銅クロムマンガン混合酸化物、銅マンガン鉄混合酸化物、いずれの場合にも酸素欠陥があってもよい、又は銅の塩や酸化物、例えば、特に、酸化銅(I)、酸化銅(II)、塩基性銅リン酸塩、水酸化銅リン酸塩、硫酸銅、及び金属錯体化合物、より詳しくは銅、スズ、ニッケル、コバルト、銀、及びパラジウムのキレート錯体、又はその系の混合物であり、且つ/又はより詳しくは下記の群: 銅クロムマンガン混合酸化物、銅マンガン鉄混合酸化物、銅クロム酸化物、亜鉛鉄酸化物、コバルトクロム酸化物、コバルトアルミニウム酸化物、マグネシウムアルミニウム酸化物、及びこれらの混合物及び/又は表面処理形態、及び/又は酸素欠陥があるこれらの形態より選ばれる。例えば、国際公開第2000/35259号パンフレット又はKunststoffe 92 (2002), 11, 2-7に記載されている系が可能である。
【0035】
同様に、成分(B)としてスズをベースとした金属酸化物、混合金属酸化物、金属水酸化物酸化物、金属硫化物酸化物の群より選ばれるLDS(レーザーダイレクトストラクチャリング)添加剤が好ましい。酸化スズ、酸化アンチモン、酸化スズと酸化アンチモンの混合物、ネオジム酸ビスマス(Bi
2O
3・Nd
2O
3)、モリブデン酸銅(CuO・xMoO
3)、酸化スズと酸化インジウムの混合物、酸化スズとフッ化スズの混合物が特に好ましい。
酸化スズ及びドープ酸化スズが特に好ましく、その場合のドーピングは、アンチモン、ビスマス、モリブデン、アルミニウム、チタン、シリコン、鉄、銅、銀、ニッケル及びコバルトによるものである。より詳しくは、アンチモン、チタン又は銅でドープされた酸化スズである。LDS添加剤として酸化スズと少なくとも1つの更なる金属酸化物、より詳しくは酸化アンチモンの混合物が好ましい。これに関連して更なる金属酸化物は、高い屈折率の無色の金属酸化物、特に二酸化チタン、酸化アンチモン(III)、酸化亜鉛、酸化スズ、酸化セリウム及び/又は二酸化ジルコニウムだけでなく、着色金属酸化物、例えば、酸化クロム、酸化ニッケル、酸化銅、酸化コバルト、特に酸化鉄(Fe
2O
3、Fe
3O
4)も用いられる。より詳しくは酸化スズと酸化アンチモン(III)の混合物が用いられる。
ドープ酸化スズ及び/又は金属酸化物混合物又は酸化スズは、好ましくは小板形の基体、より詳しくはフィロケイ酸塩、例えば、合成又は天然マイカ、タルク、カオリン、ガラス小板又は二酸化ケイ素小板上に層として形成される。金属酸化物に好ましい基体は、特に、マイカ又はマイカフレークである。企図される他の基体には、小板形の金属酸化物、例えば、小板形の酸化鉄、酸化アルミニウム、二酸化チタン、二酸化ケイ素、LCP(液晶ポリマー)、ホログラフィック顔料又は被覆されたグラファイト小板が含まれる。
【0036】
更に、成分(C)は、好ましくは、銅(Cu)、スズ(Sn)、及び/又は鉄(Fe)のリン酸塩、縮合リン酸塩、ホスホン酸塩、亜リン酸塩、及び混合水酸化物-リン酸塩オキソアニオン、より詳しくは、好ましくは銅及び/又はスズの無機化合物をベースとする、金属リン酸塩、塩基性金属リン酸塩又は金属水酸化物リン酸塩、より詳しくはリン酸三スズ(CAS 15578-32-3)、リン酸三銅(CAS 7798-23-4)、二リン酸銅(CAS 10102-90-6)、水酸化銅リン酸塩(CAS 12158-74-6)、銅スズリン酸塩、及びこれらの混合物より選ばれる。
LDS添加剤は塩基性リン酸銅、水酸化銅リン酸塩、銅スズリン酸塩、塩基性銅スズリン酸塩、スズリン酸塩、塩基性リン酸スズ及びアンチモンドープ酸化スズが特に好ましく、後者は好ましくはマイカと組み合わせて用いられる。
マイカをベースとするLDS添加剤が特に好ましく、成形用組成物中でより強い色の明度を可能にするので、金属ドープ酸化スズでマイカ表面が被覆されている。アンチモンドープ酸化スズが特に好ましい。
本発明の市販のLDS添加剤の例は、以下の通り: Merck製のIriotec 8820、8825、8830及びMinatec 230A-IR、Keeling&Walker製のStanostat CP40W、Stanostat CP15G又はStanostat CP5Cである。
【0037】
それ故、成分(B)は下記の群: ドープ酸化スズ、好ましくはアンチモンドープ酸化スズ; 酸化スズとの金属酸化物混合物、小板形の基体、特にフィロケイ酸塩、例えば好ましくは合成又は天然マイカ、タルク、カオリン、ガラス小板又はSiO
2小板上の層の形で; 金属ドープ又は金属酸化物ドープ酸化スズ; 金属酸化物被覆マイカ; アンチモンドープ酸化スズで被覆したマイカ; 酸化スズと酸化アンチモンと必要に応じて更なる金属酸化物の混合物; 銅酸化クロム; 酸化銅; 水酸化銅; 水酸化銅リン酸塩; リン酸銅; 塩基性リン酸銅; 銅スズリン酸塩; 塩基性銅スズリン酸塩; リン酸スズ; 塩基性リン酸スズ; 又はそのLDS添加剤の混合物より選ばれるLDS添加剤であってもよい。
特に好ましいLDS添加剤は、以下の通り: 銅クロマイト、ヒドロキシルリン酸銅、及びアンチモンドープ酸化スズであり、後者は好ましくはマイカと組み合わせて使用する。
好ましくは、成分(C)の割合は、0.5〜50質量%の範囲に、好ましくは1〜40質量%の範囲に、より好ましくは1〜30質量%又は2〜25質量%の範囲にある。ここで成分(C)は、好ましくは、微粒子充填剤(C1)及び/又は相溶化剤又は耐衝撃性改良剤(C2)及び/又は繊維充填剤(C3)及び/又は添加剤(C4)から構成される。
【0038】
企図される成分(C)の微粒子充填剤(C1)には、当業者にそれ自体既知の充填剤が含まれる。これには、特に、タルク(ケイ酸マグネシウム)、マイカ、シリケート、石英、ウォラストナイト、カオリン、シリカ、炭酸マグネシウム、水酸化マグネシウム、チョーク、粉末炭酸カルシウム、沈降炭酸カルシウム、石灰、長石、無機顔料、例えば、酸化鉄又は鉄マンガン酸化物又は、特に、白色顔料、例えば硫酸バリウム、酸化亜鉛、硫化亜鉛、リトポン、二酸化チタン(ルチル、アナターゼ)、永久磁性の又は磁化可能な金属又は合金、中空球シリケート充填剤、酸化アルミニウム、窒化ホウ素、炭化ホウ素、窒化アルミニウム、フッ化カルシウム、ガラスビーズ、中空状ガラス球及びこれらの混合物からなる群より選ばれる微粒子充填剤が含まれる。充填剤は、表面処理形態であってもよい。
(C1)は、好ましくは、0.1〜40μmの範囲に、好ましくは0.1〜20μmの範囲に、より詳しくは0.1〜10μmの範囲にある平均粒径(D50)を有する。これらの微粒子充填剤(成分C1)は、好ましくは、0.1〜40μmの範囲に、好ましくは0.2〜20μmの範囲に、より詳しくは0.3〜10μmの範囲にある平均粒径(D50)を有する。好ましくは、アスペクト比L/w1及びL/w2が共に10以下、より詳しくは5以下である微粒子充填剤の形であり、アスペクト比は粒子の最大長Lとその平均幅w1又はw2との比によって記載されている。ここで、w1及びw2は、相互に垂直に配置され、長さLに対して垂直である平面に位置する。
【0039】
成分(C2)として変性ポリオレフィン、ゴム、EPDM、ビニル芳香族ポリマー、ポリオレフィン-コ-(メタ)アクリレートコポリマー又はポリフェニレンエーテルをベースとする相溶化剤又は耐衝撃性改良剤が用いられる。成分(C2)は、好ましくは酸無水物基を有する成分を有し、これらが主鎖ポリマーと不飽和ジカルボン酸無水物、不飽和ジカルボン酸又は不飽和ジカルボン酸モノアルキルエステルとの熱反応又はラジカル反応によってポリアミドへの効果的な結合に充分な濃度で導入され、好ましくはこのために下記の群より選ばれる試薬が用いられる: マレイン酸、無水マレイン酸、マレイン酸モノブチルエステル、フマル酸、アコニット酸及び/又はイタコン酸無水物。
無水マレイン酸をグラフトさせることによって官能基化されるブタジエンとスチレンのコポリマー; 無水マレイン酸をグラフトさせることによって形成される無極性又は極性オレフィンホモポリマー及びコポリマー; 及びカルボン酸官能基化コポリマー、例えばポリ(エテン-コ-(メタ)アクリル酸)又はポリ(エテン-コ-1-オレフィン-コ-(メタ)アクリル酸)(酸基の一部は金属イオンで中和されている)が特に好ましい。
繊維補強剤(C3)、より詳しくは、ガラス繊維は、全体の成形用組成物に基づき、0〜30の範囲で、好ましくは1〜20の範囲で、より好ましくは2〜15質量%の範囲で使用し得る。
ガラス繊維(成分C3)は、例えば、短繊維(例えば、0.2〜20mmの長さを有するチョップドガラス)又は長繊維(ロービング)の形で用いられてもよい。ガラス繊維は、異なる断面積を有してもよく、好ましくは円形断面(丸い繊維)及び非円形断面(平坦な繊維)を有するガラス繊維である。
【0040】
円形断面、すなわち、丸いガラス繊維を有するガラス繊維は、5〜20μmの範囲に、好ましくは6〜13μmの範囲に、より好ましくは6〜10μmの範囲にある直径を有する。これらは、好ましくは、短いガラス繊維(長さ0.2〜20mm、好ましくは2〜12mmを有するチョップドガラスの形で使われる。
平坦なガラス繊維の場合には、これらは非円形断面積を有するガラス繊維であり、主断面軸とそれに垂直に位置する第2断面軸との寸法比が2.5を超え、好ましくは2.5〜6の範囲に、より詳しくは3から5までの範囲にあるものを用いることが好ましい。これらのいわゆる平坦なガラス繊維は、好ましくは卵形、楕円形、くびれた楕円形(絹ファイバ)、多角形、矩形又はほとんど矩形の断面積を有する。
成分(C3)は、好ましくは、以下: Eガラス繊維(ASTM D578-00によれば、52〜62%の二酸化ケイ素、12〜16%の酸化アルミニウム、16〜25%の酸化カルシウム、0〜10%のホウ砂、0〜5%の酸化マグネシウム、0〜2%のアルカリ金属酸化物、0〜1.5%の二酸化チタン及び0〜0.3%の酸化鉄からなり; 好ましくは、2.58±0.04g/cm
3の密度、70〜75GPaの伸び弾性率、3000〜3500MPaの引張強度、及び4.5〜4.8%の破断時伸びを有する)、Aガラス繊維(63〜72%の二酸化ケイ素、6〜10%の酸化カルシウム、14〜16%の酸化ナトリウムや酸化カリウム、0〜6%の酸化アルミニウム、0〜6%の酸化ホウ素、0〜4%の酸化マグネシウム)、Cガラス繊維(64〜68%の二酸化ケイ素、11〜15%の酸化カルシウム、7〜10%の酸化ナトリウムや酸化カリウム、3〜5%の酸化アルミニウム、4〜6%の酸化ホウ素、2〜4%の酸化マグネシウム)、Dガラス繊維(72〜75%の二酸化ケイ素、0〜1%の酸化カルシウム; 0〜4%の酸化ナトリウムや酸化カリウム、0.1%の酸化アルミニウム、21〜24%酸化ホウ素)、玄武岩繊維(近似組成: 52%のSiO
2、17%のAl
2O
3、9%のCaO、5%のMgO、5%のNa
2O、5%の酸化鉄、及び更なる金属酸化物を有する鉱物繊維)、ARガラス繊維(55〜75%の二酸化ケイ素、1〜10%の酸化カルシウム、11〜21%の酸化ナトリウムや酸化カリウム、0〜5%の酸化アルミニウム、0〜8%の酸化ホウ素、0〜12%の二酸化チタン、1〜18%の酸化ジルコニウム、0〜5%の酸化鉄)、及びこれらの混合物からなる群より選ばれる。
【0041】
本発明のガラス繊維は、アミノシラン又はエポキシシラン化合物をベースとする接着促進剤を含む、熱可塑性プラスチックに、より詳しくはポリアミドに適しているサイズを備えていてもよい。
成分(C4)の添加剤: 本発明の熱可塑性ポリアミド成形用組成物は、当業者には常識である補助剤を、好ましくは以下: 接着促進剤、ハロゲン含有難燃剤、ハロゲン不含難燃剤、安定剤、エージング抑制剤、酸化防止剤、オゾン劣化防止剤、光安定剤、UV安定剤、UV吸収剤、UV遮断剤、無機熱安定剤、特に銅ハロゲン化物及びアルカリ金属ハロゲン化物をベースとするもの、有機熱安定剤、伝導性添加剤、カーボンブラック、光学増白剤、加工助剤、核形成剤、結晶化促進剤、結晶化遅延剤、流れ助剤、潤滑剤、離型剤、可塑剤、有機顔料、有機色素、マーカー物質、及びこれらの混合物からなる群より選ばれる添加剤(C2)の形で更に含むことができる。
更なる実施態様は、従属クレームにおいて指定されている。
【0042】
図面の簡単な説明
本発明の好適実施態様を図面によって下記に記載するが、これは説明のためのものであり、限定として解釈されてはならない。図において:
図1は、レーザー構造化のパラメータを示す図である。
【実施例】
【0043】
好適な実施態様の説明
以下に個々の使用例(B)を用いて本発明を記載し、従来技術(VB)の低効率の系と比較する。下記で指定される使用例は、本発明を支持するとともに従来技術と関連して違いを示すためのものであるが、特許請求の範囲に記載されるように、本発明の一般的な内容を制限することを意図しない。
【0044】
実施例B1〜B11及び比較例VB1〜VB3
指定された加工パラメータ(表1を参照)により、25mmのスクリュー直径を有するWerner & Pfleiderer製の二軸スクリュー押出機において表2a、2b及び3に指定される成分を配合する; 補助剤と共にポリアミドペレットを取り入れゾーンに計量して入れ、ダイの前のサイドフィーダー3バレル(477リットル)ユニットを介して必要に応じて用いられるガラス繊維をポリマー溶融物に計量して入れる。コンパウンド配合物を押出ストランドの形で3mmの直径を有するダイから取り出し、水冷後にペレット化した。ペレット化し、110℃で24時間乾燥した後、ペレットの特性を測定し、試験片を得た。
【0045】
表1: 実施例及び比較例の配合、射出成形及びホイル押出しの条件
【0046】
加工:
コンパウンド配合物をArburg Allrounder 320-210-750射出成形機に注入して、ゾーン1〜4に対して所定のバレル温度及び所定の金型温度で試料片を得た(表1を参照のこと)。比較例VB3及び実施例B11のプレートの形で射出成形によって得られた成形物は、2mmの厚さを有し; ISO試験片の厚さは、4mmであった。
実施例B11において、個別試験片のホイルB7(厚さ100μm)を切断して正確に一致させ、モールドキャビティの内壁に配置し、その全領域にわたって支持した。次にホイルを表1に指定された条件下で表3に指定された成形用組成物でインモールドコーティングした。
実施例B1〜B11及びVB1には一軸スクリュー押出機により又は1軸(2軸)の30mm 3-ゾーンスクリューを有するDr. Collin GmbH E 30フラットフィルム共押出ユニット(例えばVB2)によりホイルを得た。スロットダイ/多層ダイを用いてホイルを得た。ホイルの寸法は、200mm幅又は250mm及び100μm厚さであった。冷却ロールを用いてホイルを巻き上げ、必要な長さに切断した。更なる製造パラメータは表1に見られる。
【0047】
表2a: 実施例B1〜B7の組成及び特性
【0048】
表2b: 実施例B8〜B10及びVB1、VB2の組成及び特性
【0049】
比較例VB2において層順序ABA(層AはVB1の5〜10μm層であり、中間層BはPET(添加のない)の80〜90μm層である)を有する3層ホイルを、レーザー構造化、次に無電解金属化に供し、ホイルは予め延伸されてなく、熱設定もされていない。押出し後に平滑なホイルはレーザー照射の間に反りを受け、かなり波形になった。
【0050】
表3: 実施例B11及びVB3の組成及び特性
*) B11のプレートは、60×60×2mmの寸法を有し、表面はホイルB7(厚さ0.1mm)によって形成された。
【0051】
材料:
PA 6I/6T(70:30)
テレフタル酸、イソフタル酸及び1,6-ヘキサンジアミンをベースとするアモルファス半芳香族ポリアミド、125℃のガラス転移温度及び1.54の溶液粘度を有する。
PA 10I/10T(60:40)
1,10-デカンジアミン、イソフタル酸及びテレフタル酸をベースとするアモルファス半芳香族ポリアミド、101℃のガラス転移温度及び1.59の溶液粘度を有する。
PA 1010
1,10-デカンジアミン及びセバシン酸をベースとする半結晶性脂肪族ポリアミド、200℃の融点及び1.78(中粘度)又は2.06(高粘度)の溶液粘度を有する。
PA 12
ラウロラクタムをベースとする半結晶性脂肪族ポリアミド、178℃の融点及び1.96の溶液粘度を有する。
MACM12
MACM及びDDDSをベースとするアモルファスポリアミド、Tg = 156℃、ηrel = 1.82、ΔHm < 4J/g、LT = 93%。
MACMI/12
MACM、イソフタル酸及びラクタム12をベースとするアモルファスポリアミド; Tg = 155℃、ηrel = 1.86、ΔHm < 4J/g;
ガラス繊維
日東紡績、日本製のEガラスのチョップトガラス繊維CSG3PA 820、長さ3mm、主断面軸28μm、第2断面軸7μm及び軸比4(非円形断面)
LDS添加剤
Shepherd Black 30C965(Shepherd Color Company)、銅クロマイト(CuCr
2O
4)、平均粒径0.6μm。
核形成
Brueggolen P22、Brueggermann Chemical
PET
800の標準粘度SV(ジクロロ酢酸)を有するポリエチレンテレフタレート
酸化アルミニウム
Aerosil 90、Evonik
【0052】
測定:
下記の規格に従って下記の試験片により測定を行った。
引張弾性率はISO 527に従って1mm/分の引張速度によって定量し、降伏応力、破壊強度及び破断時伸びはISO 527に従って50mm/分の引張速度(非補強型)又は5mm/分の引張速度(補強型)によって23℃の温度で定量し、用いた試験片はISO引張ロッド、規格: ISO/CD 3167、Al型、170×20/10×4mmである。
衝撃強度及びCharpyノッチ付衝撃強度はISO 179に従ってISO試験ロッド、規格:ISO/CD3167、B1型、80×10×4mm、23℃温度で測定した。
熱特性(溶融温度(Tm)、融解エンタルピー(ΔHm)、ガラス転移温度(Tg)はISO規格11357-11-2に従ってペレットにより定量した。示差走査熱量測定(DSC)は20℃/分の加熱速度によって行った。ガラス転移温度(Tg)には、中間段階又は変曲点の温度が報告されている。
相対粘度(ηrel)はDIN EN ISO 307に従って0.5質量%の濃度のm-クレゾール溶液により20℃で測定した。用いた試料はペレットである。
【0053】
レーザー構造化:
金属化性能を評価するために、Nd:YAGレーザーを用いてVB3及びB11の射出成形物(プレート60×60×2mm又は実施例B11には同じ寸法60×60×2mmのインモールドコーティングホイル)及び実施例B1〜B10には60×60×0.1mmの寸法を有するホイル片を構造化した後、銅めっき(copperizing)浴内で無電解金属化に供した。レーザー構造化では、成形物の表面上に4×4mmの大きさの32個の隣接領域を照射した。1064nmの波長のTrumpf TruMark Station 5000レーザーを用いてレーザー構造化を行なった。速度を300から7200mm/sまでの範囲で、パルス周期数を10〜80kHzの範囲で、ハッチ(パルスオーバーラップ)を0.03から0.09mmまでの範囲で変動させた(
図1)。レーザー構造化後、レーザープロセスから残渣を除去するために成形物を清浄操作に供する。この手順において、成形物は、界面活性剤及び脱イオン水を含有する超音波浴を連続して通過した。清浄後、還元的銅めっき浴(MID Copper 100 XBストライク及びMID Copper 100 XB、MacDermid)中55〜65℃で成形物を金属化する。ここで滞留時間は、ストライク浴において20分及びビルド浴において1〜3時間である。レーザー照射領域上のMID Copper 100 XBビルド浴中の銅堆積の速度(銅層の厚さ)は平均3〜5μm/時間である。
【0054】
金属化能:
金属化能を金属化領域と領域の合計数との比として算出し、パーセント割合として報告した。
図1に示すように、試料プレート当たり異なるパラメータを有する合計で32領域をレーザーで構造化し、次に上記のように金属化する。金属化領域は、上記の手順において一様に及び完全に金属化される領域だけである。
全てのMID技術では、化学的還元性銅堆積は鍵となる初期金属化操作であり、全体として層の品質を決定する。それ故、これは一次金属層の品質を評価するのに完全に充分である。完成MIDパーツに達するためには、第1銅層(一次層)上に、一般的にはニッケルを堆積させ、次に無電解金の最終層を堆積させる。同様に他の金属層、例えば、銅、パラジウム、スズ又は銀の更なる層を一次層に適用してもよいことは当然である。
【0055】
平面性:
ホイルについて、レーザー構造化のために用いられる60×60×0.1mm又は150×150×0.1mmの寸法を有するホイル片を用いて、検査によりその平面性を評価し、評価は、いずれの場合にも、ホイル製造後、レーザー構造化後、及び金属化後に行った。ホイル平面性は、以下の通り確認される:
+ : ホイルは、平滑面上で平坦であり、ホイル面の点に目に見える隆起又はくぼみがない; 言い換えれば、ホイルは平坦である。
o : ホイルは平滑面上で平坦でなく、ホイル面には明らかに複数のホイル厚さを占めている多くの隆起又はくぼみがある; レーザーで処理した全体又は領域のホイルは波形である。
- : ホイルは、ひどく波形であるか又は明らかな3次元変形を有する。
【0056】
結果の概要:
B1〜B10(表2a及びb)に示した組成物は、押出しによって容易に加工されて、100マイクロメートルの厚さを有する平滑なしみのないホイルを得ることができる。ISO試験片により定量された機械的性質は、その成形用組成物に対して、破断時伸び及び衝撃強度が高く且つ破壊強度が良好であることを示している。ホイルはすべて、薄いホイルが損傷されることなく、良好な又は非常に良好な結果に構造化され金属化されることができる。ホイルに無電解で適用された金属層がホイル材料に対して非常に良好な接着を有することもわかった。従って、金属化ホイルを多重に圧延して、金属層に剥離又は目に見える損傷が見られることなく10mm以下の直径(d)を有するロールを得ることができる。実験B5、B7及びB8〜B10のホイルは、更に、レーザー構造化及び金属化後にその平面性を保持するが、他のホイル、特にVB1及びVB2は、レーザー構造化の間の早い時期に、又は遅くとも金属化の間に反りを受け、波形になるので、その平坦な形を完全に失う。
表3は、薄い表面層100マイクロメートル厚にLDS添加剤を含有する、LDS添加剤を全体に含有する射出成形物(VB3)とホイルB7のインモールドコーティングによって得られた同一サイズの成形物(実施例B11)間の比較を含有するものである。インモールドコーティングプラスチックから形成された層は、LDS添加剤を含まない。インモールドコーティングホイルは、非常によく且つ全領域にわたってインモールドコーティングプラスチックに接着し、ホイル層を破壊することなく剥離することが不可能である。インモールドコーティングによって得られた成形物は、著しくより良好な機械的性質を有する。従って、弾性率のより高い、本発明の実施例B11では、破壊強度は35%であり、破断時伸びは40%であり、衝撃強度は90%であり、ノッチ付衝撃強度はVB3の100%を超え、成形物のパーツに等しく良好な金属化能を有する。B11の更なる利点は、この種類のレーザー構造化可能な成形物の製造に非常に低レベルのLDS添加剤が必要とされることである。全体として、成形物のパーツに等しく良好な金属化能を達成するために、成形物に基づき、B11には必要とするLDS添加剤がはるかに少なく、特にVB3のLDS添加剤量の1/20だけである。