特許第6492108号(P6492108)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6492108加圧プロセスへ粒状固体を連続的に供給する、あるいは当該プロセスから粒状固体を連続的に抽出する装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6492108
(24)【登録日】2019年3月8日
(45)【発行日】2019年3月27日
(54)【発明の名称】加圧プロセスへ粒状固体を連続的に供給する、あるいは当該プロセスから粒状固体を連続的に抽出する装置
(51)【国際特許分類】
   B01J 4/00 20060101AFI20190318BHJP
   B01J 3/02 20060101ALI20190318BHJP
【FI】
   B01J4/00 105D
   B01J3/02 C
【請求項の数】9
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2016-566264(P2016-566264)
(86)(22)【出願日】2015年5月5日
(65)【公表番号】特表2017-514680(P2017-514680A)
(43)【公表日】2017年6月8日
(86)【国際出願番号】EP2015059783
(87)【国際公開番号】WO2015169779
(87)【国際公開日】20151112
【審査請求日】2018年4月25日
(31)【優先権主張番号】1454135
(32)【優先日】2014年5月7日
(33)【優先権主張国】FR
(73)【特許権者】
【識別番号】502124444
【氏名又は名称】コミッサリア ア レネルジー アトミーク エ オ ゼネルジ ザルタナテイヴ
(74)【代理人】
【識別番号】110001416
【氏名又は名称】特許業務法人 信栄特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】リュイ ジャン クリストフ
(72)【発明者】
【氏名】テュルク ユベール−アレクザンドル
(72)【発明者】
【氏名】シャルトン フレデリック
【審査官】 宮部 裕一
(56)【参考文献】
【文献】 特開2007−261805(JP,A)
【文献】 実開昭59−074834(JP,U)
【文献】 実開平02−100644(JP,U)
【文献】 特開2002−113712(JP,A)
【文献】 国際公開第2012/082026(WO,A1)
【文献】 特表2013−503092(JP,A)
【文献】 特開平06−047359(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B01J 4/00
B01J 3/02
B01J 8/00−8/46
B08B 7/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
粒状固体(31)を含む加圧された流体を連続的に供給または抽出する装置であって、 チューブ(1)と、
チェーン(3)によって接続されており、前記チューブ(1)内を封止的に摺動する一連のピストン(2)と、
を備えており、
前記チューブ(1)は、
前記チューブ(1)の入口(13)から前記チューブ(1)の中央部(20)に向かって配列されており、当該中央部(20)に向かって段階的に圧力が上昇する複数の流体フィード(6)と、
前記中央部(20)から前記入口(13)とは反対側にある前記チューブ(1)の出口に向かって配列されており、当該出口に向かって段階的に圧力が低下する複数の流体ベントと、
前記チューブ(1)の前記入口(13)に設けられた前記粒状固体(31)用のフィード(27)と、
前記中央部(20)に向かって前記チューブ(1)を通過し、前記一連のピストン(2)が前記チューブ(1)内にあるときに流入口(22)と流出口(23)を連通するように現れる前記加圧された流体用の流路(21)と、
を備えており、
前記流出口(23)は、固体粒子(31)用の排出口も備えている、
装置。
【請求項2】
前記複数の流体フィード(6)は、前記加圧された流体の供給部(8)に至る流体分配ネットワーク(7)における複数の支流(10)の一部を形成しているとともに、差圧を生ずるように較正された複数の減圧装置(12)を備えている、
請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記複数の減圧装置(12)は、前記流体分配ネットワーク(7)における同一のダクト(9)内に連なるように配置されており、
前記複数の支流(10)は、前記複数の減圧装置(12)の間において前記ダクト(9)に接続されている、
請求項2に記載の装置。
【請求項4】
前記チューブ(1)は、前記中央部(20)から前記入口(13)とは反対側にある前記チューブ(1)の出口に向かって配列されており、当該出口に向かって段階的に圧力が低下する複数の流体ベント(14)を備えている、
請求項1に記載の装置。
【請求項5】
前記複数の流体ベント(14)は、低圧流体の受け部(15)に至る流体排出ネットワーク(16)における複数のブランチ(18)の一部を形成しているとともに、差圧を生ずるように較正された複数の減圧装置(19)を備えている、
請求項4に記載の装置。
【請求項6】
前記複数の減圧装置(19)は、前記流体排出ネットワーク(16)における同一のダクト(17)内に連なるように配置されており、
前記複数のブランチ(18)は、前記複数の減圧装置(19)の間において前記ダクト(17)に接続されている、
請求項5に記載の装置。
【請求項7】
前記複数の流体フィード(6)は、それぞれ前記複数の流体ベント(14)と連通している、
請求項4から6のいずれか一項に記載の装置。
【請求項8】
前記チェーン(3)は、無端ループを形成しており、
前記一連のピストン(2)は、前記チェーン(3)に沿って等間隔に配列されている、請求項1から7のいずれか一項に記載の装置。
【請求項9】
前記チューブ(1)は、前記流入口(22)と前記流出口(23)の間に連なる複数のバイパスパイプ(26)を備えている、
請求項1から8のいずれか一項に記載の装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、加圧プロセスへ粒状固体を連続的に供給する、あるいは当該プロセスから粒状固体を連続的に抽出する装置に関連する。
【0002】
本発明は、圧力下(特に非常に高圧下)で行なわれる処理方法に適用されうる。そのような処理方法の例としては、水熱法による廃棄物処理、材料の生成や除染などが挙げられる。当該方法で用いられる流体は液体でも気体でもよい。粒状固体の大きさは本発明にとって重要でないが、ここで考慮される幾つかの産業用途ではミリメートルサイズの固体を用いる。廃棄物処理の用途において、固体はサブミリメートルサイズまで小さくされるか、除去される。固体は、当初は乾燥されたものであってもよいし、予め低圧下で流体と混合されていてもよい。
【背景技術】
【0003】
流体は、従来からポンプによって加圧されるが、粒状固体は、浸食、摩耗、詰まりなどを通じてポンプに損傷を与えたり、使用不能にしたりする傾向にある。このような現象に対して耐性を有するポンプは、高い圧力を得られないことが多い。よって、多くの種類のポンプが存在しながらも、流体中に浮遊する粒状固体を高圧になるまで連続的に加圧するのに適したものを見つけることは困難である。多くのポンプは純流体に対して動作するため、流体に含まれる固体は、入口のフィルタによって進行を阻止される。また、圧力は一般に往復動作をする逆止弁によって維持されるが、当該逆止弁は固体によるスクラッチングに対して非常にセンシティブである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
加圧を要するもののポンピングできない流体と固体の混合物は、不連続かつ一括して処理されることになり、適切な技術的最適化および経済的最適化がなされない。処理が行なわれる反応炉は、一括処理ごとに停止フェーズと動作状態の再開を含むサイクルに供されるため、時間、エネルギー、および産業プロセス効率の観点から非常に高コストである。研究室規模では、このような不連続(一括)処理により生ずる短所はさほど深刻ではない。しかしながら、圧力維持中に観測される現象の継続時間よりも減圧サイクルに伴う時間が非常に長い場合、合成、材料の反応や劣化に係る研究などの多くの場合において結果を予想することが困難である。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、粒状固体を含む加圧された流体を供給する装置に関連する。当該装置は、装填された流体の連続的な処理に対応可能である。当該粒状固体は、乾燥状態で添加されてもよいし(乾いた、あるいは湿ったバイオマス、無機粒子など)、液体などの特定の流体中に存在していてもよい(無機フィラー、有機ファイバなど)。当該処理は、数百バールの圧力下で行なわれうる。当該処理の連続性は、停止と再開のサイクルに依存することを回避しつつ、エネルギーの節約を可能にする。当該処理が機械的エネルギーの回生を可能にすることにより、その一部が本発明に係る装置の動作維持に充てられうる。これによりプロセスの連続性が向上する。当該装置の構成は、研究室規模から産業規模への適応がなされうる。
【0006】
また、本発明によれば、加圧過程を経た粒状固体を、供給時と同じ原理に基づいて連続的に回収し減圧することが可能となる。合成法の場合、当該粒子は、上流側の圧力下で生成された材料などでありうる。水熱気化法の場合、当該粒子は、未処理の残留有機物でありうる。水熱浸出法の場合、当該粒子は、再処理不可能な無機物質でありうる。水熱酸化法の場合、当該粒子は、可溶化不可能な無機粒子でありうる。当該固体は、サブミリメートルサイズ、ミリメートルサイズ、あるいはそれ以上の大きさでありうる。当該装置による利点の一つは、簡易で安価であること、加圧反応炉への搭載が容易なことである。
【0007】
一般化して述べると、本発明は、粒状固体を含む加圧された流体を連続的に供給または抽出する装置に関連する。当該装置は、
チューブと、
チェーンによって接続されており、前記チューブ内を封止的に摺動する一連のピストンと、
を備えており、
前記チューブは、
前記チューブの入口から前記チューブの中央部に向かって配列されており、当該中央部に向かって段階的に圧力が上昇する複数の流体フィードと、
前記中央部から前記入口とは反対側にある前記チューブの出口に向かって配列されており、当該出口に向かって段階的に圧力が低下する複数の流体ベントと、
前記チューブの前記入口に設けられた前記粒状固体用のフィードと、
前記中央部に向かって前記チューブを通過し、前記一連のピストンが前記チューブ内にあるときに流入口と流出口を連通するように現れる前記加圧された流体用の流路と、
を備えており、
前記流出口は、固体粒子用の排出口も備えている。
【0008】
当該装置により得られる主要な技術的効果は、以下の通りである。粒状固体を含んでチューブに注入された流体は、ピストンによって区画された複数のチャンバへ分配される。分配された当該流体は、チューブの中央部に進むに連れて、付加的なフィードを通じた圧力上昇に供される。加圧済みの処理流体の流れは、粒状固体を引き連れてチューブを通過する。当該流体は進行とともに減圧され、純流体のみがチューブから排出される。排出された流体は再利用されうる。
【0009】
本発明の様々な態様、特徴、および利点は、以下の図面によって詳細に示される。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の第一実施形態を示している。
図2】本発明の第二実施形態を示している。
図3】本発明が適用される装置を連続的に示している。
図4】本発明が適用される装置を連続的に示している。
図5】本発明が適用される装置を連続的に示している。
図6】本発明が適用される装置を連続的に示している。
【発明を実施するための形態】
【0011】
図1に示される装置は、直線状のチューブ1と一連のピストン2を備えている。一連のピストン2は、一定のピッチでチェーン3に取り付けられており、チューブ1を通過する無端ループを形成している。ピストン2の直径は、チューブ1の内径よりもやや小さくなるように選ばれることにより、ピストン2がチューブ1の内部を摺動可能にしている。ピストン2の縁にはシール4を含む簡易な封止システムが設けられている。シール4は、チューブ1の内壁に摺接されることにより、チューブ内部の動的なシーリングを形成する。当該シーリングは、物理的障壁(ピストン2およびシール4とチューブ1の穴との接触)に基づいていることから静的であるとも言えるし、チューブ1の穴内におけるピストン2の摺動およびシール4の摺接にも関わらず封止が維持されることから動的であるとも言える。これにより、隣接する一対のピストン2の間に封止されたチャンバ5が形成される。本装置は、複数のタッピング6を通じて流体の注入制御がなされることにより、各チャンバ5の圧力をフィード圧から動作圧まで徐々に上昇させるように構成されている。また、本装置は、複数のベント14を通じて各チャンバ5の圧力をフィード圧から排気圧まで徐々に減少させるように構成されている。
【0012】
ここで実施形態の一つを示す。差圧を伴う複数の低圧シールが連なることにより高圧シールが得られるという本発明の主要な特徴により、シール4は、Oリングのような簡易なシールでよい。
【0013】
また、本装置は、特定数の流体フィードタッピング6を備えている。タッピング6は、流体分配ネットワーク7の終端である。流体分配ネットワーク7は、複数のタッピング6と高圧流体供給部8を結び付けている。液体分配ネットワーク7は、メインダクト9と複数のブランチ10を備えている。メインダクト9は、高圧流体供給部8を始点としている。複数のブランチ10は互いに平行に延びており、それぞれメインダクト9を複数のタッピング6の一つに接続している。各ブランチ10には逆止弁11が設けられている。逆止弁11は、流体がメインダクト9へ流れるのを防ぐ。メインダクト9には複数の較正バルブ12が設けられている。複数の較正バルブ12は、メインダクト9を進むにつれて段階的に流体の圧力を低減させる減圧手段である。各較正バルブ12は、一対のブランチ10の間ごとに設けられることにより、各ブランチ10を通過する流体の圧力が全て異なるようにしている。具体的には、装置の動作中にピストン2が通過するチューブ1の入口13に近づくにつれて圧力が低下するようにしている。
【0014】
チューブ1における入口13から離れた領域を貫通するように複数のベントタッピング14が設けられている。複数のベントタッピング14は、流体の出口として機能する。複数のベントタッピング14は、流体を回収するための受け部15を終点としている。受け部15は、低圧あるいは大気圧とされている。複数のベントタッピング14は、排出ネットワーク16によって受け部15と接続されている。排出ネットワーク16は、メインダクト17と複数のブランチ18を備えている。複数のブランチ18は、メインダクト17を各ベントタッピング14に接続している。メインダクト17には、複数の較正バルブ19が設けられている。各較正バルブ19は、一対のブランチ18の間ごとに設けられている。複数の較正バルブ19は、流体の圧力を受け部15に向かって段階的に低減させる減圧手段である。これにより、各ブランチ18を通過する流体の圧力が異なっている。具体的には、入口13の反対側であるチューブ1の出口30に向かって圧力が低下する。フィードタッピング6とベントタッピング14は、等間隔で配列されている。ピストン2は、チェーン3上で等間隔に離間している。これにより、各チャンバ5には複数のフィードタッピング6と複数のベントタッピング14のいずれか一つだけが現れる。
【0015】
チューブ1は、フィードタッピング6とベントタッピング14が不在である中央部20を有している。しかしながら、流体が流れるための回路21は存在する。流体は、流体供給タッピング22を通じてチューブ1に入り、入口13により近い流体排出タッピング23を通じてチューブ1から出る。複数のトップタッピング24と複数のボトムタッピング25が、流体供給タッピング22と流体排出タッピング23の間に設けられている。各トップタッピング24は、パイプ26を通じて対応するボトムタッピング25と接続されている。パイプ26は、チューブ1に併設されたバイパス循環を形成する。また、チューブ1は、固体物を供給するためのタッピング27を備えている。タッピング27は、入口13に近い側に設けられており、固体物用のリザーバ28に接続されている。タッピング27は、固体物とともにアプライアンスを供給するために重力を利用するため、チューブ1の頂部に示されている。しかしながら、タッピング27のチューブ1における位置と向きは特に限定されない。固体物は、乾燥しているか予め液体中に存在しているかに依らず、ポンピングや吸引によってチューブ1に注入されうる。
【0016】
本装置は、メインチューブ1と平行に延びるガイドチューブ29を備えている。ガイドチューブ29は、チューブ1外においてピストン2の列を保つように構成されている。
【0017】
装置の動作について説明する。ポンプは、流体供給部8に圧力を生じ、当該圧力により回路21における流体の循環が開始される。この加圧供給動作によって、圧力を維持するために流体が各チャンバ5に取り込まれても流れの維持が可能とされる。駆動装置61は、チェーン3とピストン2を動かすことにより、これらが入口13から出口30へチューブ1の内部を移動する。よって、チューブ1内に位置するピストン2は、その内部空間を連なった複数のチャンバ5に分割する。複数のチャンバ5は、気密的に分離される。チャンバ5は、まず固体物供給タッピング27の下方を通過し、分割状態の固体物31の供給を受ける。当該チャンバ5は、次いで各フィードタッピング6を通過し、較正バルブ12の動作によって流体供給部8から加圧状態で到来する流体を受容する。フィードタッピング6同士の間隔は、チャンバ5の長さとほぼ等しい。ベントタッピング14についても同様である。これにより、各チャンバ5が単一のタッピング6または14と対向する。
【0018】
これによりチャンバ5は、最大圧が流体供給部8の圧力に近い流体と分配ネットワーク7に残る粒状固体物31の混合物で充填される。当該混合物は、続いて流路23に到達し、流体の圧力は流体供給部8の圧力近くまで上昇する。チューブ1の中央部20においては、各チャンバ5は二つのタッピング(一方はトップタッピング24か流体供給タッピング22であり、他方はボトムタッピング25から流体排出タッピング23)と連通している。当該二つのタッピングは、対向している。このような構成によれば、流体は、各チャンバ5を横切り、バイパスパイプ26を通過する流れを形成する。複数のチャンバ5を通じて入口13に向かう流体の主要な役割は、チューブ1、バイパスパイプ26、および流体排出パイプ23へ固体物31を押し込むことにある。当該固体物は、等圧流体の進行に伴うチャンバ5の逆流洗浄を可能にする流体の流れに取り込まれる。流体供給タッピング22を通過したチャンバ5に充填された流体には固体物31は存在しない。ベントタッピング14に到達すると、チャンバ5内の圧力は、符号32が付された最後のタッピングまで段階的に低下する。タッピング32は、チャンバ5の内容物の排出を可能にしている。これにより、流体が受け部15へ完全に戻され、減圧がなされる。
【0019】
この動作により、粒状固体物31を困難なく加圧流体内に導入するだけでなく、高い圧力勾配に耐える単一の動的シーリングの必要性を避けつつ当該固体物31を連続的に処理することが可能となる。
【0020】
変形例に係る構成が図2に示されている。ネットワーク7、16は、流体供給部8と共に省略されている。複数のフィードタッピング6の各々は、複数のベントタッピング14の一つと内蔵ダクト33によって接続されている。具体的には、入口13に近い側のタッピング6が出口30に近い側のタッピング14と接続されている。複数の内蔵ダクト33は、受け部15に至る共通ダクト34によって接続されている。共通ダクト34上における一対の内蔵ダクト33の間ごとに、較正バルブ35が配置されている。
【0021】
チャンバ5が各ベントタッピング14に到達する毎に、較正バルブ35の設定に基づき、対応するダクト33を通じてチャンバ5の圧力の一部が失われる。入口13の側では、同じダクト33によって提供される残圧がチャンバ5に届く。入口13に近い側のチャンバ5の圧力損失を回避するために、ダクト33には逆止弁36が設けられている。装置の残りの部分は前記したものと同じである。この変形構成例は、例えば固体物31と同時に入口13に近い側のチャンバ5に十分な流体供給を行なえる。これら二つの構成例において、加圧されて膨張する流体の加熱あるいは冷却が必要な場合、チューブ1は不図示の熱交換手段で包囲されうる。この構成は、等温状態を成立させる必要がある場合(流体が気体である場合など)に有用である。
【0022】
本装置は、複数のピストン2が一定かつ小さな動きのみを伴う構成を有することによって流体を加圧し、固体物31によるチューブ1およびシール4の摩耗を抑制している。ピストン2を搬送するチェーン3の静的平衡も保たれ、小さな力で動かすことができる。
【0023】
図3から図6を参照しつつ、本発明に係る装置40を産業用途の装置に導入する場合について説明する。
【0024】
図3に示される実施形態においては、固体物31を浮遊状態にするために使用される流体は、まずリザーバ41に収容される。当該流体は、次にポンプ43によってループダクト42に移される。フィード8と流路21は、ループダクト42から分岐している。流路21は、連続的反応を遂行可能な反応炉44に至る。反応炉44には、リザーバ45に収容されている反応流体もダクト46を通じて供給される。ダクト46にはポンプ47が設けられている。反応炉44には、リザーバ48に収容されている加圧状態維持流体もダクト49を通じて供給される。ダクト49にはポンプ50が設けられている。複数の反応流体が存在してもよく、いずれの反応流体も同様にして供給されうる。反応炉44には排出ダクト51が設けられている。排出ダクト51は、排出ネットワーク16のメインダクト17と同様に、受け部15に至る。排出ダクト51には出口52が形成されている。出口52は、反応炉44に必要な圧力に達した場合のみ開く。
【0025】
図4に示される実施形態においては、ループダクト42が不在とされている。固体物31の導入は、本構成において直接使用される流体の一つ(加圧媒体を形成する流体など)によって行なわれる。リザーバ48には別の出口が設けられる。具体的には、ダクト49に代えて、フィード8と流路21に至るダクト53が設けられる。この場合、流体はチューブ1によって反応炉44に到達する。
【0026】
図5に示される実施形態においては、ダクト53は、流路21の始点のみを構成している。本構成においては、排出物の一部が再利用されてフィード8として機能する。液体と固体を分けるセパレータ54が、反応炉44の下流における排出ダクト51に配置されており、メインダクト9を通じてフィードタッピング6へ排出される液体の一部を迂回させる。
【0027】
図3と類似する図6に示される実施形態においては、リザーバ48は、ダクト49を通じて反応炉44に到達する流体を収容している。図5の実施形態におけるセパレータ54は、本実施形態においても設けられている。出口ダクトは、ポンプ55によって駆動される流路21を備えている。
【0028】
本発明が適用されうる用途としては、以下に列挙するものが挙げられる。
・ 超臨界二酸化炭素などにおける粒状固体の浸出あるいは含浸を伴う方法
・ 超臨界二酸化炭素などにおける粒状固体の加圧洗浄を伴う方法
・ イオン交換樹脂の処理(亜臨界水あるいは超臨界水における液化あるいは気化、亜臨界水あるいは超臨界水における熱水酸化による固体廃棄物の破壊)などの場合における天然あるいは人工の固体原材料の加圧反応を伴う方法
・ 超臨界水や超臨界二酸化炭素などにおける圧力下で粒子化された材料の細孔モノリスなどへの表面堆積(触媒の製造と成形を単一ステップで行なう場合など)
【0029】
排出物の機械的エネルギーの少なくとも一部は、上記のフィードに要するエネルギー消費の削減を助けるために回収されうる。
図1
図2
図3
図4
図5
図6