【実施例】
【0104】
[実施例1]
グリコピロレート(ピロリジニウム,3−((シクロペンチルヒドロキシフェニルアセチル)オキシ)−1,1−ジメチル−ブロミド)から形成される活性剤粒子を、ジェットミルを用いてグリコピロレートを微粉化することにより形成した。微粉化されたグリコピロレート(GP)の粒子サイズ分布をレーザー回折により定量した。この微粉化された粒子の50体積%は2.1μm未満の光学直径を呈し、90体積%は5μm未満であった。
【0105】
懸濁粒子を以下のように製造した。500mLの、リン脂質により安定化させたPFOB(臭化ペルフルオロオクチル)の水中フルオロカーボンエマルションを調製した。18.7gのリン脂質、DSPC(1,2−ジステアロイル−sn−グリセロ−3−ホスホコリン)および1.3gの塩化カルシウムを、高せん断ミキサーを用いて400mLの湯(75℃)の中でホモジナイズした。ホモジナイゼーションの間、100mLのPFOBをゆっくり加えた。次に、その結果得られる粗いエマルションを、高圧ホモジナイザー(モデルC3、Avestin、Ottawa、CA)を5パスにわたり最大170MPaの圧力で用いてさらにホモジナイズした。
【0106】
このエマルションを、以下の噴霧乾燥条件:入口温度95℃、出口温度72℃、エマルション供給速度2.4mL/分、総気体流速525L/分を用いて窒素中で噴霧乾燥させた。懸濁粒子の粒子サイズ分布をレーザー回折により定量した。懸濁粒子の50体積%は2.9μm未満であり、該分布の幾何標準偏差は1.8であった。
【0107】
定量噴霧式吸入器を、目標質量の微粉化されたGP粒子および懸濁粒子を体積19mLのフッ化エチレンポリマー(FEP)被覆したアルミニウム缶(Presspart、Blackburn、UK)中に計り入れることにより調製した。目標質量および目標送達用量(20%が作動装置に堆積すると仮定)を、5つの異なる構成物(構成1A〜1CはGP粒子と懸濁粒子とから成る異なる懸濁剤を表し、構成1DはGP粒子単独を表し、構成1Eは懸濁粒子単独を表す)について表1に示す。この缶を63μlバルブ(#BK357、Bespak、King’s Lynn、UK)でクリンプシールし、バルブ軸を通した過圧により12.4gのHFA134a(1,1,1,2−テトラフルオロエタン)(Ineos Fluor、Lyndhurst、UK)を充填した。噴射剤の注入後、缶を15秒間超音波処理して、リストアクション振盪機で30分間撹拌した。缶に、0.3mmの開口部のあるポリプロピレン製作動装置(#BK636、Bespak、King’s Lynn、UK)を取り付けた。懸濁剤の特性の目視観察用の追加的な吸入器を、ガラスバイアルを用いて調製した。
【0108】
【表1】
【0109】
エアロゾル性能は、製造した後すぐに、USP<601>(合衆国薬局方モノグラフ601)に従って調べた。流速30L/分で運転するNext Generation Impactor(NGI)を粒子サイズ分布の定量に使用した。試料缶を作動装置中に設置し、2回の空作動およびさらに2回の呼び水用空作動を行った。5回の作動分を、USPスロートの付いたNGI中で回収した。バルブ、作動装置、スロート、NGIカップ、ステージおよびフィルターを、体積測定して分配した溶媒ですすいだ。試料溶液を、薬物特異的なクロマトグラフィー法を用いてアッセイした。フィルターを通ったステージ3の合計分を用いて微細粒子分率を定義した。USP<601>に記載されているように、用量均一性サンプリング装置を用いて、使用を通じた送達用量均一性試験を実施した。前述のように、吸入器を設置し、呼び水作業を行った。使用の開始時点、中間時点および終了時点で、2回の作動分を回収し、アッセイした。
【0110】
共懸濁させた構成物(1A、1B、1C)の目視観察では、薬物結晶の沈降は示されなかった。懸濁剤はゆっくり凝固し、単独で懸濁させた懸濁粒子を含む対照構成1Eに似た、均質な単一のクリーム層を形成した。これに対し、微粉化されたGP粒子単独(構成1D)は急速に凝固および沈降した。構成1Bでは、35gで20分間の遠心分離の後でも、懸濁粒子からのGP粒子の分離の徴候は示されなかった。最大200gで遠心分離したときも、同じ結果が観察された(すなわち、GP粒子の分離はなかった)。構成1C(懸濁濃度が低い)では、35gで20分間の遠心分離の後、沈殿する小量のGP結晶が示された。
【0111】
共懸濁させた構成物は目標の10%以内の送達用量を達成したが、単独で懸濁させたGP粒子は、目標を著しく下回る範囲で、送達用量のはるかに高いばらつきを示した。構成1Dに対する微細粒子分率は、50%超改善された。共懸濁させた構成物のMMADは、許容できるものであり、懸濁粒子の懸濁濃度に依存していた。使用を通じた送達用量均一性を構成1Bおよび1Cについて試験した。全ての個々の送達用量は平均の±20%以内であった。この結果から、GP粒子を形成する薬物結晶が懸濁粒子と会合し、共懸濁剤が形成され、共懸濁剤のエアロゾル性能は大部分が懸濁粒子により決定したことが示された。
【0112】
GP結晶と懸濁粒子との間の会合は、GP結晶が有孔微細構造体から分離せず、該結晶の沈殿が阻害されることが観察されたとおり、浮力を克服するだけ十分に強かった。
【0113】
[実施例2]
グリコピロレート(GP)粒子は、ジェットミルを用いた微粉化により形成した。懸濁粒子を実施例1に記載のように製造した。微粉化されたGPの粒子サイズ分布をレーザー回折により定量した。この微粉化された粒子の50体積%は1.7μm未満の光学直径を呈し、90体積%は4.1μm未満の光学直径を呈した。5つの異なるロットの定量噴霧
式吸入器を作製した。構成2A、2Bおよび2Cについては、供給原料中のDSPC、CaCl
2およびGPの総濃度は40mg/mL、構成2Dおよび2Eについては、この濃度は2倍であった。
【0114】
定量噴霧式吸入器は、実施例1に記載のように、目標質量のGP粒子および懸濁粒子を缶中に計り入れることにより調製した。さらなる添加剤は使用しなかった。目標質量をGP粒子については4mg/缶、懸濁粒子については60mg/缶とした結果、構成2Aおよび2Dについては、懸濁粒子対GP粒子の比率は15となった。目標質量をGP粒子については5.1mg/缶、懸濁粒子については51mg/缶とした結果、構成2Bについては、懸濁粒子対GP粒子の比率は10となった。目標質量をGP粒子については8mg/缶、懸濁粒子については60mg/缶とした結果、構成2Cおよび2Eについては、懸濁粒子対GP粒子の比率は7.5となった。噴射剤および容器施栓系は、実施例1に記載のとおりであった。
【0115】
GP結晶を缶中のHFA134a中に加圧下で置き、3週間室温で平衡化させて、噴射剤中でのその溶解性を定量した。試料は、周囲温度での加圧下、孔の幅が0.22μmのフィルターを通して濾過した。濾液を蒸発させ、GPをメタノールに溶解して、クロマトグラフィーにより分析した。0.17±0.07μg/gの溶解性が認められた。この値を用いて、缶中に存在する2.1μgまたは0.05%のGPが噴射剤に溶解したと決定した。先行論文では、噴射剤中の測定可能な溶解性を有する微結晶性の物質は溶液媒介転移により物理的に安定にならないこと[N.C.Miller、The Effects
of Water in Inhalation Suspension Aerosol Formulations、収録先:P.A.Byron編、Respiratory Drug Delivery、CRC Press、1990、250頁]、または、0.1μg/gを超える溶解性を有する活性剤は、アジュバントを用いて製剤化して溶液媒介転移を防止すべきであること[P.Rogueda、Novel Hydrofluoroalkane Suspension Formulations for Respiratory Drug Delivery、Expert Opin.Drug Deliv.、2、625〜638頁、2005]が教示されている。
【0116】
充填済の定量噴霧式吸入器を、オーバーラップをせずに、2つの異なる条件:1)5℃で冷蔵、および2)室温25℃/60%RHで、バルブを下げて保管した。実施例1に記載のとおりのエアロゾル性能および送達用量均一性の試験を、異なる時点で実施した。表2にまとめる結果は、冷蔵条件および室温条件での安定な微細粒子分率を示すものである。
【0117】
【表2】
【0118】
構成2Cおよび2Eを温度サイクリング試験に供した。缶を、総継続期間12週間にわたり、6時間ごとに−5℃および40℃の温度間に交互にさらした。微細粒子分率は、試験開始時点では、両方の構成について53%であった。サイクリングの12週後、FPF
は変化しておらず、すなわち、構成2Cについては55%、構成2Eについては53%であった。
【0119】
使用を通じた送達用量均一性を、1カ月、2カ月および6カ月の時点で試験した。全ての個々の送達用量は平均の±20%以内であった。
図1および2は、構成2Aおよび2Bそれぞれについて、NGIにより測定した場合のエアロゾルの粒子サイズ分布を示すものである。作動装置から、ならびに、誘導ポート(スロート)およびそのマウスピースアダプターから回収された薬物の量も示す。回収分の質量を名目用量の比率(%)として表す。構成2Aについては、空気力学的粒子サイズ分布の個々の反復測定結果を、4週、8週および12週の時点、ならびに、構成2Bについては8週、12週および24週の時点で示す。噴射剤に溶解させた懸濁GPの測定可能な画分は存在するものの、このサイズ分布の粗大化の証拠はない。さらに、これらの実施例により証拠付けられるように、適当な懸濁粒子対GPの比率での共懸濁剤のエアロゾル性能は、懸濁粒子により大部分が決定する。
【0120】
[実施例3]
いくつかの類似のバッチの懸濁粒子を、実施例1に記載のように作製した。この懸濁粒子を、2つの異なるタイプのジェットミルを多様な製粉パラメーターで用いて、異なる程度に微粉化されたグリコピロレート(GP)粒子と合わせた。微粉化されたGP粒子の光学直径および粒子サイズ分布をレーザー回折により定量した。表3は、使用した異なるロットの微粉化された物質についてのd
50およびd
90の値を記載するものである。d
50およびd
90は、粒子サイズ測定装置により報告された累積体積分布がそれぞれ50%および90%に達する時点の粒子サイズを表す。
【0121】
12個の異なるロットの定量噴霧式吸入器を、実施例1に記載のように調製した。全ての場合において、HFA134a中のGP粒子の懸濁濃度は0.32〜0.45mg/mLの範囲であり、懸濁粒子の懸濁濃度は5.8〜6.1mg/mLの範囲であった。構成は、この実施例において提示されるメタ分析用のデータをプールするのに十分類似しているとみなされた。
【0122】
充填済の定量噴霧式吸入器を、オーバーラップをせずに、2つの異なる条件:5℃で冷蔵、および、室温を25℃/60%RHで制御で、バルブを下げて保管した。実施例1に記載のとおりのエアロゾル性能試験を、異なる時点で実施した。結果は、12週の保管までは、時間の関数として、何ら統計的に有意な傾向を示さなかった。室温保管と冷蔵保管との間の差は認められなかった。したがって、微粉化された物質の粒子サイズ分布がエアロゾル性能にどのように影響するかを確認するために、異なるストレス条件および時点の結果をプールした。
【0123】
表3は、メタ分析のMMADの結果をまとめたものである。第1のカラムには、6つの異なる構成を記載してある。第2のカラムは、それぞれの構成についてデータの編集に個々のロットをいくつ使用したかを特定するものである。第3のカラムには、それぞれの構成について平均MMADを計算するために使用した個々のMMAD定量値の数を挙げてある。カラム4および5は、共懸濁剤を製造するために使用した微粉化された物質のd
90およびd
50を示すものである。結果は、粗いものから細かいものへ、d
90値により並べ換えてある。最後の2つのカラムは、平均MMADおよび標準偏差を示す。
【0124】
【表3】
【0125】
この結果から、MMADは、微粉化された物質のd
90にあまり依存していないことが示される。d
50についての同様の分析からは、統計的に有意な傾向は示されなかった。微粉化された物質のサイズ分布の変化(たとえば、微粉化された物質のロットの違い、または溶液媒介転移により誘導される変化)は、定量噴霧式吸入器から排出されるエアロゾルのサイズ分布のわずかな差につながるにすぎないと結論付けることができる。
【0126】
[実施例4]
微粉化されたグリコピロレート(GP)粒子を、実施例1に記載のように形成し、試験した。微粉化されたGP粒子の光学直径を定量したところ、この微粉化されたGP粒子の50体積%は1.7μm未満であり、90体積%は3.8μm未満であった。
【0127】
5つのバッチの懸濁粒子を、実施例1に記載のように作製した。バッチは、噴霧乾燥前の供給エマルションの濃度(C
F)、およびPFOBの体積分率(V
PFOB)が異なり、それぞれ、20mg/mL〜160mg/mL、および20%〜40%の範囲であった。異なる構成を表4に記載する。
【0128】
定量噴霧式吸入器を、目標質量の微粉化されたGP粒子および懸濁粒子を体積15mLの被覆したガラスバイアル中に計り入れることにより調製した。目標懸濁剤濃度および懸濁粒子対GPの比率を、試験した26個の異なるバイアルについて表4に示す。缶を63μlバルブ(Valois、Les Vaudreuil、フランス)でクリンプシールし、バルブ軸を通した過圧により10gまたは12gのHFA134a(1,1,1,2−テトラフルオロエタン)(Ineos Fluor、Lyndhurst、UK)を充填した。噴射剤の注入後、缶を15秒間超音波処理し、リストアクション振盪機で30分間撹拌した。
【0129】
実施例1に記載のように、単独で製剤化した微粉化されたGP粒子は急速に凝固および沈降した。この実施例におけるガラスバイアルは、撹拌せずに少なくとも24時間静置させてから、結晶、GP粒子が完全に共懸濁したかどうかを目視観察により試験した。表4中で「あり」と印を付けたバイアルについては、バイアルの底でGP粒子は観察されなかったが、ただし、いくつかのバイアル中では非常にわずかな異質な微粒子が観察された。ところどころ見られる異質な粒子は、懸濁粒子のみを充填したバイアル中でも、同様の非常に少ない量が視認できた。「部分的」と印を付けたバイアルについては、GP粒子の画
分がバイアルの底で視認できた。
【0130】
【表4】
【0131】
[実施例5]
グリコピロレート(GP)粒子を、実施例1に記載のように、ジェットミルで微粉化し試験した。この微粉化された粒子の50体積%は1.7μm未満の光学直径を呈し、90体積%は4.4μm未満の光学直径を呈した。
【0132】
6つのバッチの懸濁粒子を、実施例1に記載のように噴霧乾燥により作製した。構成5Aは、エマルションから噴霧乾燥させた。構成5Bは、類似の様式で、ただし、ジパルミトイルホスファチジルコリン(DPPC)をDSPCの代わりに用いて製造した。構成5Cは、エタノール性溶液から噴霧乾燥させた。構成5D、5Eおよび5Fについては、糖を水溶液から噴霧乾燥させた。全ての構成についての噴霧乾燥パラメーターを表5aに示す。
【0133】
【表5】
【0134】
懸濁粒子の粒子サイズ分布をレーザー回折により定量した。光学直径体積中央値(VMD)および幾何標準偏差(GSD)を、異なる構成について表5bに示す。
【0135】
【表6】
【0136】
懸濁粒子の電子顕微鏡写真はさまざまな形態を示したので、これを
図3にまとめた。エマルションから噴霧乾燥させた粒子(5Aおよび5B)は、有孔性が高く密度が低かった。エタノール性溶液から噴霧乾燥させたDSPC粒子(5C)は、はるかに小さい粒子サイズを示し、有孔性は顕著でなく、このことから高密度であることが示唆された。全ての糖からは、滑らかな粒子が作製され、有孔性は視認できなかった。構成5Eは、供給濃度
が低いことから予想されたとおり、最も小さい粒子を有した。
【0137】
定量噴霧式吸入器を、4mgの微粉化されたGP粒子および60mgの懸濁粒子を体積15mLの被覆したガラスバイアル中に計り入れることにより調製した。缶を63μlバルブ(Valois DF30/63 RCU、Les Vaudreuil、フランス)でクリンプシールし、バルブ軸を通した過圧により9.5mLのHFA134a(Ineos Fluor、Lyndhurst、UK)を充填した。噴射剤の注入後、缶を15秒間超音波処理し、リストアクション振盪機で30分間撹拌した。懸濁粒子のみの入った追加的な吸入器を、各構成についての対照として製造した。
【0138】
実施例5A、5Bおよび5Cの懸濁粒子は、真密度が噴射剤より低い。これらの懸濁粒子はクリーム層を形成し、実施例4に記載のように共懸濁剤の存在について試験した。GP粒子は、構成5Aおよび5Bについてはバイアルの底で視認できなかった。構成5Cは、部分的な共懸濁剤を形成した。
【0139】
糖粒子は沈降するが、その理由は、糖は噴射剤より真密度が高いからである。しかし、糖構成物についての全ての対照バイアルは、微粉化されたGP粒子単独の場合より顕著に速い沈降速度を示した。構成5D、5Eおよび5Fにおいては、沈降速度は懸濁粒子のみの入った対照バイアルの沈降速度と同等であり、微粉化されたGP粒子単独の場合より速かったが、このことから、GP結晶と懸濁粒子とが会合していることが実証された。共懸濁剤は、これらの場合で形成された。
図4は、この挙動の例を構成5Dについて示すものである。撹拌後1分、ガラスバイアルを観察した。共懸濁剤はすでに沈殿して透明な噴射剤層が残されたが、GP粒子単独を含有する対照においては、結晶の大部分は依然として噴射剤中に懸濁している。
【0140】
[実施例6]
グリコピロレート(GP)は、ジェットミルを用いて、光学直径体積中央値(d
50)が1.4μm、累積的な分布の90%(d
90)の体積光学直径が3.0μm未満になるまで微粉化した。懸濁粒子は、実施例1のものと同様に製造した。MDI缶は、FEP被覆した缶(Presspart、Blackburn、UK)を用いて製造して、計量用量が1作動当たり5.5μgのGPおよび1作動当たり44μgのGPを有する製品を得たが、この用量は、50μlのEPDMバルブ(Bespak、King’s Lynn、UK)からの1作動当たりおよそ4.5μgおよび1作動当たり36μgのGP送達用量と相関する。この製剤は、6mg/mLの懸濁粒子を含有していた。MDIの製造は、薬物添加容器(DAV)を用いて、まず、懸濁粒子量の半分を加え、次に、微結晶性のGPを充填し、最後に、残り半分の懸濁粒子を一番上に加えることにより達成された。10%RH未満の湿度制御環境下でこの容器に物質を加えた。次に、DAVを4Lの懸濁容器に接続し、HFA134a噴射剤を流してから混合した。バッチ作製全体を通して、容器内部の温度を21〜23℃で維持した。30分間のバッチ再循環後、バルブ経由で懸濁剤混合物を缶に充填した。次に、試料缶を、正確な製剤量を確実にするための缶の総合アッセイ用にランダムに選択した。次に、新しく製造した共懸濁剤MDIバッチを1週間隔離場所に置いてから、最初の製品性能分析を行った。加えて、各ロットからの缶を温度サイクリング安定性試験に供した。缶を、84サイクル(3週間)および168サイクル(6週間)の総継続期間について6時間ごとに−5℃および40℃の温度間に交互にさらした。
【0141】
各ロットを、カンの寿命を通じた送達用量均一性、および、USP<601>に従ったNext Generation Impactor(NGI)による空気力学的粒子サイズ分布について試験した。NGIにより測定した場合の当初のおよび温度サイクルにさらしてからの空気力学的粒子サイズ分布を
図5および6に示す。さらに、バルブ軸および
作動装置(作動装置と表示)から、ならびに誘導ポート(スロート)およびそのマウスピースアダプターから回収された薬物の量も示す。回収分の質量を名目用量の比率(%)として表す。168サイクルの後では、FPF(%)(作動装置を出た分)は、初期値と有意差はない。微細粒子分率の安定性をまとめたものを表6に示す。微細粒子分率は、168サイクルにわたり不変のままであったが、このことから、本明細書中で開示するGP共懸濁剤は、GP用量範囲にわたって安定であったことが示された。
【0142】
【表7】
【0143】
MDI缶の寿命を通じた送達用量を
図7および8に示す。カンの使い始めから中間までの送達用量に変化は観察されず、缶の中間から使い終わりまでは約10%増加している。中間から使い終わりまでの変化は、カンが空になるに従って生じる噴射剤の蒸発損失に基づいて予測される。
図7および8は、MDIが、1作動当たり4.5μgに相当するほどの低い用量について望ましい送達用量均一性を有することを実証する。
【0144】
[実施例7]
MDI缶は、実施例6に従って、6mg/mLの懸濁粒子濃度を有するように、また、50μlバルブ体積で1作動当たり36μgの計量用量がもたらされるように、製造した。微粉化されたGPのd
50およびd
90はそれぞれ1.6μmおよび4.1μmであり、懸濁粒子は、実施例1に記載のプロセスと同様に製造した。缶は、保護的な包装を用いず、25℃/60%RHの条件で保管し、12カ月の継続期間にわたり保管した。各ロットを、カンの寿命を通じた送達用量均一性、およびUSP<601>に従ったNext Generation Impactor(NGI)による空気力学的粒子サイズ分布について試験した。空気力学的粒子サイズ分布を、Next Generation Impactionにより、2週、1カ月、2カ月、3カ月、6カ月または12カ月の時点で定量した。最初のサンプリング時点での微細粒子分率(作動装置を出るGPの比率(%)として)は、50.2%であった。微細粒子分率の有意な変化は、25℃/60%RH、アルミニウムフォイルのオーバーラップなしの条件では、12カ月の保管を通じいずれの時点でも認められず、12カ月後のFPFは47.7%であった。
図9は、安定性用試料のそれぞれについての空気力学的なサイズ分布全体を見るものであり、エアロゾル送達について望ましい一貫性が実証される。微細粒子分率をまとめたものを表7に示す。
【0145】
【表8】
【0146】
[実施例8]
1作動当たり36μgを含有するグリコピロレートMDI缶を、実施例6に記載のように調製し、乾燥剤を含有する熱シール型のアルミニウムフォイルのオーバーラップ中に包装し、6週間のサイクルにさらした(−5℃で6時間、40℃で6時間)。使用を通じたグリコピロレートの送達用量均一性を0週、2週、4週および6週の時点で試験した。各時期での各ロットの平均グリコピロレート送達用量は、1つ例外はあったが、
図10において実証されたように平均の±15%以内であった。NGIにより測定した場合の空気力学的粒子サイズ分布は、
図11に示すように、168回の温度サイクル後も変化しないままであった。
【0147】
[実施例9]
1作動当たり24μgを含有するグリコピロレートMDI缶を、実施例6に記載のように調製し、50℃、周囲湿度下で6週間保管した。別のロットは、40℃/75%相対湿度で8週間保管した。また別のロットは、40℃/75%相対湿度で12週間保管した。最初の微細粒子分率(FPF)は59.3%であった。50℃で6週間保管した缶のFPF(58.4%)は、初期値と比較して変化していなかった。40℃で保管したロットの当初のFPFは、8週間および12週間後変化していないままであり、FPFはそれぞれ56.8%および57.6%であった。NGIにより測定した場合の空気力学的粒子サイズ分布を
図12に示す。MMADは、50℃で6週間後、比較的変化しないままの3.94μmであり、40℃で12週間まででは3.84μmであり、これに対し、初期値は3.54μmである。加えて、バルブ軸および作動装置から、ならびに誘導ポート(スロート)およびそのマウスピースアダプターから回収されたグリコピロレートのFPFおよび量は、
図12に示すように、高温で3カ月にわたり比較的変化しないままであった。
【0148】
[実施例10]
本明細書に記載のとおりのフマル酸ホルモテロールの医薬組成物を備える定量噴霧式吸入器を調製した。フマル酸ホルモテロール、すなわち(±)−2−ヒドロキシ−5−[(1RS)−1−ヒドロキシ−2−[[(1RS)−2−(4−メトキシフェニル)−1−メチルエチル]−アミノ]エチル]ホルムアニリドフマレート、別名(±)−2’−ヒドロキシ−5’−[(RS)−1−ヒドロキシ−2−[[(RS)−p−メトキシ−α−メチルフェネチル]−アミン]エチル]ホルムアニリドフマレート、二水和物を微粉化して
、活性剤粒子を形成した。微粉化されたフマル酸ホルモテロール(FF)の粒子サイズ分布をレーザー回折により定量した。この微粉化された粒子の50体積%は1.6μm未満の光学直径を呈し、90体積%は3.9μm未満の光学直径を呈した。
【0149】
懸濁粒子を以下のように製造した。503mLの、リン脂質により安定化させたPFOB(臭化ペルフルオロオクチル)の水中フルオロカーボンエマルションを調製した。20.6gのリン脂質、DSPC(1,2−ジステアロイル−sn−グリセロ−3−ホスホコリン)および1.9gの塩化カルシウムを、高せん断ミキサーを用いて403mLの湯(75℃)の中でホモジナイズした。ホモジナイゼーションの間、100mLのPFOBをゆっくり加えた。次に、その結果得られる粗いエマルションを、高圧ホモジナイザー(モデルC3、Avestin、Ottawa、CA)を5パスにわたり最大170MPaの圧力で用いてさらにホモジナイズした。
【0150】
このエマルションを、以下の噴霧乾燥条件:入口温度95℃、出口温度71℃、エマルション供給速度2.4mL/分、総気体流速498L/分を用いて窒素中で噴霧乾燥させた。懸濁粒子の粒子サイズ分布をレーザー回折により定量した。懸濁粒子の50体積%は3μm未満であり、該分布の幾何標準偏差は1.9であった。
【0151】
定量噴霧式吸入器を、目標質量の微粉化された活性剤粒子および懸濁粒子を体積15mLの被覆したガラスバイアル中に計り入れることにより調製した。目標質量および目標送達用量(作動装置での堆積を20%と仮定)を、3つの異なる構成について表8に示す。各構成について、追加的なガラス瓶にそれぞれの量のFF活性剤粒子を、懸濁粒子は一切加えずに充填した。缶を63μlバルブ(Valois、Les Vaudreuil、フランス)でクリンプシールし、バルブ軸を通した過圧により11g(25℃で9.1mL)のHFA134a(1,1,1,2−テトラフルオロエタン)(Ineos Fluor、Lyndhurst、UK)を充填した。噴射剤の注入後、缶を15秒間超音波処理し、リストアクション振盪機で30分間撹拌した。
【0152】
【表9】
【0153】
共懸濁させた構成物(6A、6B、6C)の目視観察からは、活性剤粒子を形成する結晶性のFFの沈降は示されなかった。懸濁剤はゆっくり凝固し、均質な単一のクリーム層を形成した。試験した全濃度について、微粉化された活性剤粒子単独のものが急速に沈降した。共懸濁剤および伝統的な対照懸濁剤(星印により示す)の写真を
図13に示す。バイアルは、撹拌せずに24時間静置させた。共懸濁剤バイアルのいずれの底にも、FF結晶は視認できなかった。
【0154】
この結果から、FF結晶は懸濁粒子と会合したことが示された。FF粒子と懸濁粒子との間の会合は、3つの異なる製剤構成のそれぞれにおいて、FF粒子が懸濁粒子から分離せず、活性剤粒子の沈殿が首尾よく阻害されたように、浮力を克服するだけ十分に強かった。
【0155】
[実施例11]
フマル酸ホルモテロールMDI組成物を本発明に従って調製した。微粉化されたフマル酸ホルモテロールは市販のものを入手し、実施例1に記載のように測定したその粒子サイズ分布を、d
10、d
50、d
90がそれぞれ0.6μm、1.9μmおよび4.4μm、スパンが2.0と特徴付けた。使用する懸濁粒子を、実施例1に記載のものと同様の様式で調製した。MDIの製造は、薬物添加容器(DVA)を用いて、まず、懸濁粒子量の半分を加え、次に、微結晶性のFFを充填し、最後に、残り半分の懸濁粒子を一番上に加えることにより達成された。10%RH未満の湿度制御環境下でDAVに物質を加えた。次に、DAVを4Lの懸濁容器に接続した。次に、既知量のHFA−134a噴射剤(Ineos Fluor、Lyndhurst、UK)をDAV中に加えることによりスラリーを形成し、次いでこのスラリーを懸濁容器から取り出し、穏やかに渦流させる。次に、このスラリーを懸濁剤混合容器に戻し、インペラで穏やかに撹拌しながら、追加のHFA−134aで希釈して、目標濃度の最終懸濁剤を形成する。バッチ作製全体を通して、容器内部の温度を21〜23℃で維持した。30分間のバッチ再循環後、懸濁剤混合物を、50μLのEPDMバルブ(Bespak、King’s Lynn、UK)経由で、14mLのフッ化エチレンポリマー(FEP)で被覆したアルミニウム缶(Presspart、Blackburn、UK)に充填した。次に、試料缶を、正確な製剤量を確実にするための缶の総合アッセイ用にランダムに選択した。
【0156】
次に、新しく製造した共懸濁剤MDIバッチを1週間隔離場所に置いてから、最初の性能分析を行った。エアロゾル性能は、USP<601>(合衆国薬局方モノグラフ601)に従って調べた。流速30L/分で運転するNext Generation Impactor(NGI)を粒子サイズ分布の定量に使用した。試料缶を作動装置中に設置し、2回の空作動およびさらに2回の呼び水用空作動を行った。5回の作動分を、USPスロートの付いたNGI中で回収した。バルブ、作動装置、スロート、NGIカップ、ステージおよびフィルターを、体積測定して分配した溶媒ですすいだ。試料溶液を、薬物特異的なクロマトグラフィー法を用いてアッセイした。フィルターを通ったステージ3の合計分を用いて微細粒子分率を定義した。USP<601>により記載されているように、用量均一性サンプリング装置を用いて、使用を通した送達用量均一性試験を実施した。使用の開始時点、中間時点および終了時点で、2回の作動分を回収し、アッセイした。
【0157】
図14は、1作動当たり4.8μgの目標用量での、FFの共懸濁剤の送達用量均一性を示すものである。作動の開始時点、中間時点および終了時点についての1作動当たりの個々の送達用量は、
図14で実証するように、平均送達用量の±25%以内であった。
【0158】
[実施例12]
フマル酸ホルモテロールMDI組成物を本発明に従って調製した。微粉化されたフマル酸ホルモテロールは、市販のものを入手し、実施例1に記載のように測定したその粒子サイズ分布を、d
10、d
50、d
90がそれぞれ0.6μm、1.9μmおよび4.4μm、スパンが2.0と特徴付けた。使用する懸濁粒子を、実施例1に記載のものと同様の様式で調製した。MDIの製造は、実施例11に記載のように達成された。
【0159】
エアロゾル性能は、USP<601>に従って調べた。流速30L/分で運転するNext Generation Impactor(NGI)を粒子サイズ分布の定量に使用した。試料缶を作動装置中に設置し、2回の空作動およびさらに2回の呼び水用空作動を行った。5回の作動分を、USPスロートの付いたNGI中で回収した。バルブ、作動装置、スロート、NGIカップ、ステージおよびフィルターを、体積測定して分配した溶媒ですすいだ。試料溶液を、薬物特異的なクロマトグラフィー法を用いてアッセイした。フィルターを通ったステージ3の合計分を用いて微細粒子分率を定義した。FF共懸濁製剤の空気力学的粒子サイズ分布を、製造後、ならびに、25℃/75%RH(保護されて
いない缶)および40℃/75%RH(アルミニウムフォイルの小袋中に包まれた保護されている缶)での保管の3カ月後に評価した。
図15に示す空気力学的粒子サイズ分布からは、記載の組成物は、加速条件であっても望ましい安定性特徴を示すことが実証される。
【0160】
[実施例13]
実施例11に従って調製した共懸濁製剤中に含まれるフマル酸ホルモテロール(FF)の化学的な安定性を評価した。HFA134aを含有するFF MDI缶は、アルミニウムフォイルの小袋でオーバーラップし、25℃/60%相対湿度、および40℃/75%相対湿度の条件で、それぞれ13カ月間および6カ月間保管した。同様に、HFA227eaを含有するFF MDI缶は、アルミニウムフォイルの小袋でオーバーラップし、25℃/60%相対湿度、および40℃/75%相対湿度の条件で6カ月間保管した。不純物Fの量、FFの特徴的な分解産物、および総不純物量を逆相HPLCアッセイにより以下のように定量した。各缶を冷やし、切り開き、カンの内容物を遠心管に移動し、この内容物を有機溶媒に溶解し、次いでこの溶液から水性溶媒を沈殿した添加剤(DSPC)に加え、この溶液を遠心分離して透明な上清溶液を得、各試料溶液を、C18カラム、4.6×150mmおよび3.0μm粒子サイズを用いて分析した。カラム温度は30℃で維持した。注入体積は20μlであり、流速は1mL/分に設定し、214nmでのUV吸収を定量することにより検出した。勾配は、pH3.1の水性リン酸緩衝液とアセトニトリルとを混合して使用し、17%アセトニトリルでまず27分、次に50%アセトニトリルで30秒間、次いで75%アセトニトリルで6.5分および17%アセトニトリルで8分間とした。不純物は、ホルモテロールのピーク面積の面積率(%)として報告された(可能な場合、関連のある応答因子について補正した)。
図16(または表9および10)に示すように、HFA134a中で懸濁粒子と懸濁させた結晶性のFF活性剤粒子を用いて調製した共懸濁剤は、温度25℃/60%相対湿度の条件では18カ月間化学的に安定であったが、これに対し、噴霧乾燥させた非共懸濁ホルモテロール製剤は、同じ保管条件下で、より急速な分解速度を示した。同様に、結晶性のFF活性剤粒子は、表11に示すように、HFA227a中で化学的に安定な共懸濁剤を形成した。
【0161】
【表10】
【0162】
【表11】
【0163】
【表12】
【0164】
[実施例14]
本実施例において使用した、微粉化されたフマル酸ホルモテロール二水和物(FF)(Inke,S.A.、Barcelona、スペイン)は、微粉化された粒子の50体積%が1.9μm未満の光学直径を呈し、90体積%が4.1μm未満の光学直径を呈するという、レーザー回折による粒子サイズ分布を有した。4つのバッチの懸濁粒子を、実施例1に記載のように噴霧乾燥により製造した。全4つのバッチは水溶液から噴霧乾燥させたので、溶液濃度および噴霧乾燥パラメーターを表12に示す。
【0165】
【表13】
【0166】
懸濁粒子の粒子サイズ分布をレーザー回折により定量した。光学直径体積中央値(VMD)および幾何標準偏差(GSD)を表12に示す。
【0167】
懸濁粒子の電子顕微鏡写真はさまざまな形態を示したので
図17〜
図20に示すが、
図17はトレハロース懸濁粒子の顕微鏡写真を示し、
図18はHP−β−シクロデキストリン懸濁粒子の顕微鏡写真を示し、
図19はFicoll MP70懸濁粒子の顕微鏡写真を示し、
図20はイヌリン懸濁粒子の顕微鏡写真を示す。トレハロース粒子は外見が球形であり、滑らかな表面を有する。HP−β−シクロデキストリン粒子は、広範なしわのある表面を示すが、このことから、中空のコアを有する部分的に歪んだ外面であることが示唆される。Ficoll MP70粒子およびイヌリン粒子は、多少粗い表面を示すが、全体的にはほぼ球形である。
【0168】
定量噴霧式吸入器を、0.9mgの微粉化されたFF活性剤粒子および60mgの懸濁粒子を体積15mLの被覆したガラスバイアル中に計り入れることにより調製した。FFを表12の各種の4つの懸濁粒子種と合わせた。缶を50μLバルブ(Valois DF31/50 RCU、Les Vaudreuil、フランス)でクリンプシールし、バルブ軸を通した過圧により10mLのHFA噴射剤134a(Ineos Fluor、Lyndhurst、UK)を充填した。噴射剤の注入後、缶を30秒間超音波処理し、リストアクション振盪機で30分間撹拌した。懸濁粒子のみおよび活性剤粒子のみを含有する追加的な吸入器を、各構成についての対照として充填した。
【0169】
結晶性のFFは、室温で噴射剤134aより密度が高く、本実施例の全4種の懸濁粒子も同様である。結果的に、FFおよび懸濁粒子は両方とも、吸入器の底に室温で沈殿した。これらの吸入器を、共懸濁を示す活性剤粒子−懸濁粒子間の相互作用について試験するために、吸入器を、−10℃以下のエタノール浴に浸漬させ(その結果、噴射剤の密度が高まった)、最低30分間平衡化させた。この温度では、FF活性剤粒子は噴射剤より密度が低く、結果的に、噴射剤体積の表面にクリーム化するが、全4種の懸濁化剤粒子は、噴射剤体積の底に沈殿したままである。
【0170】
試験した構成および観察結果を表13に示す。FF活性剤粒子単独では、噴射剤体積の表面にクリーム層を形成し、トレハロース、HP−β−シクロデキストリン、イヌリンおよびFicoll PM70粒子単独では、全て、ガラスバイアルの底に沈殿した。トレハロース懸濁粒子と組み合わせたFF活性剤粒子は単一の沈降層を形成し、いずれの粒子も噴射剤中でクリーム化しまたは浮くことはなかったが、このことから、FF粒子がトレハロース懸濁粒子と相互作用して共懸濁剤が形成されることが示唆された。HP−β−シ
クロデキストリン懸濁粒子と組み合わせたFF粒子の場合、懸濁粒子のみの対照バイアル中で観察されたものと同様、噴射剤中に多少濁りが存在した。加えて、多少浮遊フロックが観察され、このフロックはFF粒子であったと考えられるが、そのようなフロックは、対照バイアルと比較して固形の塊が小量であることを説明しており、このことから、全てではなくても多少のFF粒子が懸濁化剤粒子と相互作用していたことが示唆された。イヌリン懸濁粒子と組み合わせたFF粒子は単一の沈降層を形成したことから、共懸濁剤が形成されたことが示唆された。この構成中では多少濁りが存在したが、イヌリンのみの対照バイアル中では同様の曇りが観察された。Ficoll PM70懸濁粒子と組み合わせたFF活性剤粒子はバイアルの底に沈降層を形成したことから、共懸濁剤が形成されたことが示唆された。この構成中では多少濁りおよび浮遊フロックが観察されたが、Ficollのみの対照バイアル中でも、同様の濁りおよびフロック発生頻度が観察された。
【0171】
【表14】
【0172】
[実施例15]
グリコピロレート(GP)活性剤粒子とフマル酸ホルモテロール(FF)活性剤粒子とを含む共懸濁剤組成物を作製し、この共懸濁剤組成物を組み込んでいるMDIを調製した。作製した共懸濁剤組成物には、GP活性剤粒子、FF活性剤粒子、またはGP活性剤粒子およびFF活性剤粒子両方の組合せを含ませた。GPおよびFF物質は、表14に示すとおりの粒子サイズ分布を有する微粉化された結晶性の物質として供給された。
【0173】
懸濁粒子を、噴霧乾燥したエマルションにより以下の条件:供給原料濃度は80mg/mL、組成は93.44%がDSPC(1,2−ジステアロイル−sn−グリセロ−3−ホスホコリン)および6.56%が無水塩化カルシウム(2:1のDSPC:CaCl
2モル/モル比率と等価)で製造した。エマルション調製の間、DSPCおよびCaCl
2は、高せん断ミキサーを、加熱水(80±3℃)を含有する容器中にて8000〜10000rpmで用いて分散させ、このプロセス中、PFOBをゆっくり加えた。次に、このエマルションを高圧ホモジナイザー(10000〜25000psi)中で6パスにて加
工した。次に、このエマルションを、0.42”のアトマイザーノズルを取り付けた噴霧乾燥機により、規定のアトマイザー気体流速18SCFMで噴霧乾燥させた。乾燥気体流速は72SCFMに設定し、入口温度は135℃、出口温度70℃、エマルション流速は58mL/分であった。
【0174】
共懸濁剤は、まず、適切な量の微粉化したGP活性剤粒子およびFF活性剤粒子および懸濁粒子を、湿度制御したチャンバー(RHは5%未満)内部の薬物添加容器(DAV)中に分配することにより調製した。本実施例においては、懸濁粒子は、1回目および2回目の添加後にそれぞれGPおよびFFの添加をはさんで3回等量で加えた。次に、DAVを窒素雰囲気下で密封し、12kgのHFA−134a(Ineos Fluor、Lyndhurst、UK)を含有する懸濁容器に接続した。次に、0.5〜1kgのHFA−134aをDAV中に加えることによりスラリーを形成し、次いでこのスラリーを懸濁容器から取り出し、穏やかに渦流させる。次に、このスラリーを懸濁剤混合容器に戻し、インペラで穏やかに撹拌しながら、追加のHFA−134aで希釈して目標濃度の最終的な懸濁剤を形成する。次に、この懸濁剤をポンプにより最低限の時間にわたり充填系に再循環させてから、充填を開始する。混合および再循環は充填プロセスを通して続ける。50μLのバルブ(Bespak、King’s Lynn、UK)を14mLのフッ化エチレンポリマー(FEP)被覆したアルミニウム缶(Presspart、Blackburn、UK)上に設置してから、真空クリンピングプロセス、またはHFA−134aのパージプロセスに次ぐバルブクリンピングのいずれかにより空気をパージする。次に、クリンピングした缶に、バルブを通して適切な量の懸濁剤を充填し、計量シリンダーにより調節する。
【0175】
【表15】
【0176】
この実施例に記載した2剤型共懸濁剤を含有するMDIを、2つの異なる用量のGPおよびFFを含有するように調製した。具体的には、第1回分の2剤型共懸濁剤組成物を、1作動当たり18μgのGPおよび1作動当たり4.8μgのFF(「低用量」)をもたらすように調製し、第2回分の2剤型共懸濁剤組成物を、1作動当たり36μgのGPおよび1作動当たり4.8μgのFF(「高用量」)をもたらすように調製した。2剤型共懸濁剤組成物に加え、単一種の活性剤粒子を含む共懸濁剤を調製した。これらの組成物は、GP活性剤粒子またはFF活性剤粒子のいずれかを含み、「単剤」または「単独療法」型の共懸濁剤と名付けた。単剤療法型共懸濁剤組成物は、2剤型共懸濁剤について記載のように調製したが、ただし、1種のみの活性剤粒子(GPまたはFFのいずれか)を含ませた。単剤療法型共懸濁剤を製剤化し、単剤療法型MDIを、以下の目標送達用量:1作動当たり18μgのGP、および、1作動当たり0.5μg、1.0μg、3.6μgまたは4.8μgのFFをもたらすように調製した。1作動当たり0.5μgのFFおよび1μgのFFをもたらす該組成物およびMDIを、「超低」用量と呼び、4Lスケールで同様の方式で製造した。
【0177】
この実施例に従って調製した共懸濁剤組成物を含有するMDIで達成された薬物特異的な空気力学的サイズ分布を、実施例1に記載のように定量した。低用量および高用量の2剤型共懸濁剤から得られるGPの空気力学的サイズ分布の比例性、ならびに、2剤型共懸
濁剤と単剤療法型共懸濁剤間の等価性を
図21において実証する。同様の方式で、超低用量、低用量および高用量の組成物を含む2剤型共懸濁剤および単剤療法型共懸濁剤から得られるFFの空気力学的サイズ分布の比例性を
図22において実証する。
【0178】
超低用量のFF単剤療法型MDIの送達用量均一性も、実施例1に記載のように測定した。1作動当たり0.5μgおよび1作動当たり1.0μgを含有するFF MDIについてのDDUを
図23に示す。望ましい用量送達均一性は、超低用量の場合でも達成される。
【0179】
[実施例16]
微粉化されたキシナホ酸サロメテロール(4−ヒドロキシ−α1−[[[6−(4−フェニルブトキシ)ヘキシル]アミノ]メチル]−1,3−ベンゼンジメタノール、1−ヒドロキシ−2−ナフタレンカルボキシレート)をメーカー(Inke SA、ドイツ)により受け入れ、活性剤粒子として使用した。キシナホ酸サロメテロール(SX)の粒子サイズ分布をレーザー回折により定量した。この微粉化された粒子の50体積%は2μm未満の光学直径を呈し、90体積%は3.9μm未満の光学直径を呈した。
【0180】
懸濁粒子を以下のように製造した。150mLの、リン脂質により安定化させたPFOB(臭化ペルフルオロオクチル)の水中フルオロカーボンエマルションを調製した。12.3gのリン脂質、DSPC(1,2−ジステアロイル−sn−グリセロ−3−ホスホコリン)および1.2gの塩化カルシウムを、高せん断ミキサーを用いて100mLの湯(70℃)の中でホモジナイズした。ホモジナイゼーションの間、65mLのPFOBをゆっくり加えた。次に、その結果得られる粗いエマルションを、高圧ホモジナイザー(モデルC3、Avestin、Ottawa、CA)を3パスにわたり最大140MPaの圧力で用いてさらにホモジナイズした。
【0181】
このエマルションを、以下の噴霧乾燥条件:入口温度90℃、出口温度69℃、エマルション供給速度2.4ml/分、および総気体流速498l/分を用いて窒素中で噴霧乾燥させた。懸濁粒子の粒子サイズ分布、すなわちVMDをレーザー回折により定量した。懸濁粒子の50体積%は2.7μm未満であり、該分布の幾何標準偏差は2.0であった。加えて、懸濁粒子の空気力学的粒子サイズ分布を、時間飛行型の粒子サイズ測定装置を用いて定量した。懸濁粒子の50体積%は空気力学的粒子径が1.6μm未満であった。空気力学的粒子径と光学的粒子径との間の差が大きいことから、この懸濁粒子は0.5kg/l未満の低い粒子密度を有したことが示唆される。
【0182】
定量噴霧式吸入器は、2mgのSX活性剤粒子および60mgの懸濁粒子を、体積19mLのフッ化エチレンポリマー(FEP)被覆したアルミニウム缶(Presspart、Blackburn、UK)中に計り入れることにより調製した。懸濁粒子対活性剤粒子の比率は30であった。目標送達用量(作動装置での堆積を20%と仮定)は10μgであった。この缶を63μlバルブ(#BK357、Bespak、King’s Lynn、UK)でクリンプシールし、バルブ軸を通した過圧により10mLのHFA134a(1,1,1,2−テトラフルオロエタン)を充填した。噴射剤の注入後、缶を15秒間超音波処理して、リストアクション振盪機で30分間撹拌した。缶に、0.3mmの開口部のあるポリプロピレン製作動装置(#BK636、Bespak、King’s Lynn、UK)を取り付けた。懸濁剤の特性の目視観察用の追加的な吸入器を、微粉化されたSXのみを充填した対照を含む15mLガラスバイアルを用いて調製した。エアロゾル性能は、実施例1に記載のように調べた。MMADは3.7μmであり、微細粒子分率は48%であった。活性剤粒子を形成するSX結晶と噴射剤とは、15℃〜20℃でほぼ密度が対等であったことから、目視観察は、水浴中で最高30℃〜35℃に加熱したガラスバイアル上で実施した。これらの条件下では、単独で製剤化したSX活性剤粒子は急速
に沈降したが、共懸濁剤バイアルの底ではSX結晶は視認できなかった。
【0183】
微粉化されたキシナホ酸サルメテロール活性剤粒子は、本明細書中で提供した開示に従って製剤化した低密度の懸濁粒子との会合により共懸濁した。サルメテロール結晶と懸濁粒子との間の会合は、結晶の沈殿が阻害されることが観察されたように、浮力を克服するだけ十分に強かった。
【0184】
[実施例17]
微粉化されたプロピオン酸フルチカゾン(S−(フルオロメチル)6
α,9−ジフルオロ−11
β−17−ジヒドロキシ−16
α−メチル−3−オキソアンドロスタ−1,4−ジエン−17
β−カルボチオエート、17−プロピオネート)は、メーカー(Hovione FarmaCiencia SA、Loures、ポルトガル)により微粉化されたままの状態で受け入れ、活性剤粒子として使用した。プロピオン酸フルチカゾン(FP)の粒子サイズ分布をレーザー回折により定量した。この微粉化された粒子の50体積%は2.6μm未満の光学直径を呈し、90体積%は6.6μm未満の光学直径を呈した。
【0185】
懸濁粒子は、実施例16において使用したものと同じロットであり、懸濁粒子の製造および特徴については該実施例に記載されている。
【0186】
定量噴霧式吸入器を実施例16に記載のように調製した。6つの構成についての、噴射剤の種類、充填重量、懸濁粒子対活性剤粒子の比率、および作動装置を出る目標用量を、表15に記載する。懸濁剤の特性の目視観察用の追加的な吸入器を、15mLのガラスバイアルを用いて調製した。2つの対照ガラスバイアルに、HFA134a中またはHFA227ea中いずれかの微粉化されたFPのみを充填した。
【0187】
【表16】
【0188】
エアロゾル性能を実施例1に記載のように調べた。結果を表15に示す。これらの共懸濁剤は、比較的粗い粒子サイズ分布を有する微粉化されたFPを用いて作製した。MMADは比較的大きく、FP濃度が高くなるにつれ上昇する傾向があるが、依然として呼吸による薬物送達に使用可能な範囲である。噴射剤の種類間で有意差は観察されなかった。
【0189】
HFA134a中の共懸濁させた構成物(9A、9Cおよび9E)の目視観察では、活性剤粒子を形成する薬物結晶の沈降は示されなかった。懸濁剤はゆっくり凝固し、均質な単一のクリーム層を形成した。これに対し、HFA134a中の微粉化されたFPは沈降した。HFA227ea中の構成についての試験は実施例16に記載のように35〜40
℃で実施したが、その理由は、FPは室温でこの噴射剤とほぼ密度が対等だからである。高温では、微粉化されたFP活性剤粒子はHFA227ea中で沈降したが、構成9B、9Dおよび9Fにおいては活性剤粒子の沈降は見られなかった。この結果から、プロピオン酸フルチカゾンは、本明細書中で提供する開示に従って製剤化すると、試験した両方の噴射剤中で、懸濁粒子との共懸濁剤を形成することが示される。
【0190】
[実施例18]
共懸濁剤形態でのキシナホ酸サルメテロール(SX)活性剤粒子とプロピオン酸フルチカゾン(FP)活性剤粒子との組合せ製品の製剤化について記載する。FPおよびSXは両方とも、噴射剤中に、微粉化された結晶性の粒子として存在する。2種の微粉化された活性剤粒子は、噴霧乾燥された懸濁粒子と共懸濁する。
【0191】
使用したプロピオン酸フルチカゾンおよびキシナホ酸サルメテロールは、それぞれ実施例16および17に記載のとおりのものであった。
【0192】
懸濁粒子は、実施例16において使用したものと同じロットであり、懸濁粒子の製造および特徴については該実施例に記載されている。
【0193】
定量噴霧式吸入器は、目標質量の微粉化されたプロピオン酸フルチカゾンおよびキシナホ酸サロメテロールおよび懸濁粒子を体積19mLのフッ化エチレンポリマー(FEP)被覆したアルミニウム缶(Presspart、Blackburn、UK)中に計り入れることにより調製した。この缶を63μlバルブ(#BK357、Bespak、King’s Lynn、UK)でクリンプシールし、バルブ軸を通した過圧により10mLのHFA134a(1,1,1,2−テトラフルオロエタン)(Ineos Fluor、Lyndhurst、UK)を充填した。噴射剤の注入後、缶を15秒間超音波処理して、リストアクション振盪機で30分間撹拌した。缶に、0.3mmの開口部のあるポリプロピレン製作動装置(#BK636、Bespak、King’s Lynn、UK)を取り付けた。エアロゾル性能は、上の実施例1に記載のように、製造した後すぐに、USP601に従って調べた。結果を以下の表16に報告する。
【0194】
【表17】
【0195】
プロピオン酸フルチカゾン活性剤粒子およびキシナホ酸サルメテロール活性剤粒子のMMADは、許容できるものであり、それぞれ実施例16および17に記載されているそれぞれの単独療法型共懸濁剤のエアロゾル性能に似ていた。使用を通して送達用量均一性を試験したところ、全ての個々の送達用量は、平均の±20%以内、相対標準偏差は6.1%であった。
【0196】
実施例16に記載のように、共懸濁剤の目視観察をガラスバイアル中で実施した。活性剤粒子の沈降は観察されなかった。該懸濁剤はゆっくり凝固し、均質な単一のクリーム層を形成した。
【0197】
[実施例19]
キシナホ酸サルメテロール(SX)活性剤粒子とプロピオン酸フルチカゾン(FP)懸濁粒子との組合せ製品の共懸濁剤形式での製剤について説明する。SXは、微粉化された結晶性の活性剤粒子として噴射剤中に存在する。SXを、微粉化されたFPを組み込む噴霧乾燥された懸濁粒子と共懸濁させる。これを達成するために、FP結晶は、脂質ベースの懸濁粒子を製造するために使用される供給原料中に懸濁させる。
【0198】
この実施例で参照される、活性剤粒子および懸濁粒子を形成するために使用するプロピオン酸フルチカゾンおよびキシナホ酸サルメテロールはそれぞれ、実施例16および17に記載のとおりであった。
【0199】
プロピオン酸フルチカゾン含有懸濁粒子を次のように製造した。200mLの、リン脂質により安定化させたPFOBの水中フルオロカーボンエマルションを調製した。3.3gのリン脂質(DSPC)および0.8gの微粉化されたプロピオン酸フルチカゾンを分散させ、0.3gの塩化カルシウム二水和物を、高せん断ミキサーを用いて100mLの温水(70℃)に溶解した。分散の間、44mLのPFOBをゆっくり加えた。次に、その結果得られる粗いエマルションを、高圧ホモジナイザーを3パスにわたり140MPaで用いてさらにホモジナイズした。ホモジナイゼーションにより、懸濁しているFP結晶の粒子サイズは低下した。このエマルションを、以下の噴霧乾燥条件:入口温度95℃、出口温度72℃、エマルション供給速度2.4ml/分、および総気体流速525l/分を用いて窒素中で噴霧乾燥させた。
【0200】
定量噴霧式吸入器を、目標質量の微粉化されたキシナホ酸サルメテロール活性剤粒子およびプロピオン酸フルチカゾン含有懸濁粒子を体積19mLのフッ化エチレンポリマー(FEP)被覆したアルミニウム缶(Presspart、Blackburn、UK)中に計り入れることにより調製した。この缶を63μlバルブ(#BK357、Bespak、King’s Lynn、UK)でクリンプシールし、バルブ軸を通した過圧により10mlのHFA134a(1,1,1,2−テトラフルオロエタン)(Ineos Fluor、Lyndhurst、UK)を充填した。噴射剤の注入後、缶を15秒間超音波処理して、リストアクション振盪機で30分間撹拌した。缶に、0.3mmの開口部のあるポリプロピレン製作動装置(#BK636、Bespak、King’s Lynn、UK)を取り付けた。エアロゾル性能は、先に実施例1に記載したように、製造した後すぐにUSP<601>に従って調べた。結果を以下の表17に記録する。
【0201】
【表18】
【0202】
使用を通した送達用量均一性を試験したところ、全ての個々の送達用量は、平均の±25%以内、FPのRSDは9.0%、SXのRSDは13%であった。共懸濁剤の目視観察をガラスバイアル中で実施したところ、活性剤粒子の沈降は観察されなかった。該バイアルを撹拌せずに24時間静置させた。懸濁剤はゆっくり凝固し、均質な単一のクリーム
層を形成し、SXおよび懸濁粒子の分離の徴候は示されなかった。
【0203】
[実施例20]
ブデソニド、16,17−(ブチリデンビス(オキシ))−11,21−ジヒドロキシ−、(11−β,16−α)−プレグナ−1,4−ジエン−3,20−ジオンは、メーカー(AARTI、Mumbai、インド)により微粉化されて受け入れ、活性剤粒子として使用した。ブデソニドの粒子サイズ分布をレーザー回折により定量した。この微粉化された粒子の50体積%は1.9μm未満の光学直径を呈し、90体積%は4.3μm未満の光学直径を呈した。
【0204】
フロ酸モメタゾン、9α,21−ジクロロ−11β,17−ジヒドロキシ−16α−メチルプレグナ−1,4−ジエン−3,20−ジオン 17−(2−フロエート)は、メーカー(AARTI、Mumbai、インド)により微粉化されて受け入れ、活性剤粒子として使用した。ブデソニドの粒子サイズ分布をレーザー回折により定量した。この微粉化された粒子の50体積%は1.6μm未満の光学直径を呈し、90体積%は3.5μm未満の光学直径を呈した。
【0205】
懸濁粒子を実施例1に記載のように製造した。このエマルションを以下の噴霧乾燥条件:入口温度95℃、出口温度72℃、エマルション供給速度2.4ml/分、および総気体流速498l/分を用いて窒素中で噴霧乾燥させた。
【0206】
定量噴霧式吸入器を、目標質量の微粉化された活性剤および懸濁粒子を体積15mLの被覆したガラスバイアル中に計り入れることにより調製した。缶を63μlバルブ(Valois、Les Vaudreuil、フランス)でクリンプシールし、バルブ軸を通した過圧により9.2gのHFA134a(1,1,1,2−テトラフルオロエタン)(Ineos Fluor、Lyndhurst、UK)を充填した。噴射剤の注入後、缶を15秒間超音波処理し、リストアクション振盪機で30分間撹拌した。缶に、0.3mmの開口部のあるポリプロピレン製作動装置(#BK636、Bespak、King’s Lynn、UK)を取り付けた。エアロゾル性能は、先に実施例1に記載したように、製造した後すぐに、USP601に従って調べた。懸濁剤濃度は、ブデソニド活性剤粒子については0.8mg/ml、フロ酸モメタゾン活性剤粒子については1.1mg/ml、懸濁粒子については6mg/mlであった。懸濁粒子対活性剤粒子の比率は、ブデソニドについては7.5、フロ酸モメタゾンについては5.5であった。作動装置を出る目標用量は、ブデソニドについては40μg、フロ酸モメタゾンについては55μgであった。
【0207】
共懸濁させた構成物の目視観察では、活性剤粒子の沈降は示されなかった。懸濁剤は凝固し、クリーム層を形成した。バイアルを撹拌せずに16時間静置させた。共懸濁剤のバイアルの底には、活性剤粒子は視認できなかった。活性剤粒子と懸濁粒子との間の会合は、活性剤粒子の沈殿が首尾よく阻害されたように、浮力を克服するだけ十分に強かった。
【0208】
[実施例21]
本明細書に記載のとおりの例示的な共懸濁剤組成物を調製および評価した。この組成物には、グリコピロレート(GP)活性剤とフマル酸ホルモテロール(FF)活性剤との組合せを含ませた。GPは、微粉化した結晶性の活性剤粒子として噴射剤中に存在した。GPを、懸濁粒子を形成する物質内に配置されたFFを含んだ噴霧乾燥した懸濁粒子と共懸濁させた。これを達成するため、脂質ベースの懸濁粒子を製造するために使用される原料にFFを溶解した。
【0209】
GP活性剤粒子は、ジェットミルを用いてグリコピロレートを微粉化することにより形
成した。グリコピロレート活性剤粒子の粒子サイズ分布は、レーザー回折により定量した。50体積%の活性剤粒子は1.7μm未満の光学直径を呈し、90体積%は3.5μm未満の光学直径を呈した。
【0210】
FF含有懸濁粒子を以下のように製造した。654mLの、リン脂質により安定化させたPFOB(臭化ペルフルオロオクチル)の水中フルオロカーボンエマルションを調製し、26.5gのリン脂質、DSPC(1,2−ジステアロイル−sn−グリセロ−3−ホスホコリン)および2.4gの塩化カルシウムを、高せん断ミキサーを用いて276mLの湯(80℃)の中でホモジナイズし、ホモジナイゼーションの間、142mLのPFOBをゆっくり加えた。次に、その結果得られる粗いエマルションを、高圧ホモジナイザー(モデルC3、Avestin、Ottawa、CA)を5パスにわたり最大170MPaの圧力で用いてさらにホモジナイズした。552mgのFFを273mlの温水(50℃)に溶解し、この溶液の大部分を、高せん断ミキサーを用いてエマルションと合わせた。このエマルションを、以下の噴霧乾燥条件:入口温度95℃;出口温度68℃;エマルション供給速度2.4ml/分;および総気体流速498l/分を用いて窒素中で噴霧乾燥させた。噴霧乾燥粉末中のホルモテロールの最終的な質量分率は2%であった。
【0211】
第2ロットのFF含有懸濁粒子を同様の様式で製造した。噴霧乾燥粉末中のFFの質量分率は、このロットについては1%であった。第3ロットの懸濁粒子は、FFを含ませずに製造した。
【0212】
懸濁粒子の粒子サイズ分布(VMD)をレーザー回折により定量した。FF含有懸濁粒子の両方のロットについては50体積%が3.5μm未満であり、該分布の幾何標準偏差は1.7であった。FFを含まない懸濁粒子については、50体積%が3.2μm未満であり、該分布の幾何標準偏差は1.8であった。
【0213】
MDIを、目標質量の活性剤粒子および懸濁粒子を体積19mLのフッ化エチレンポリマー(FEP)被覆したアルミニウム缶(Presspart、Blackburn、UK)中に計り入れることにより調製した。この缶を63μlバルブ(#BK357、Bespak、King’s Lynn、UK)でクリンプシールし、バルブ軸を通した過圧により12.4gのHFA134a(1,1,1,2−テトラフルオロエタン)(Ineos Fluor、Lyndhurst、UK)を充填した。その結果得られる懸濁剤濃度および目標送達用量(20%が作動装置に堆積すると仮定)を、3つの異なる構成(構成1A〜1C)について表18aに示す。噴射剤の注入後、缶を15秒間超音波処理して、リストアクション振盪機で30分間撹拌した。缶に、0.3mmの開口部のあるポリプロピレン製作動装置(#BK636、Bespak、King’s Lynn、UK)を取り付けた。
【0214】
【表19】
【0215】
充填済のMDIを、以下の2つの異なる条件:5℃で冷蔵、オーバーラップなし、および、制御された25℃の室温/60%RH、フォイルのオーバーラップありで、バルブを下げて保管した。エアロゾル性能および送達用量均一性の試験を、異なる時点で実施した。エアロゾル性能は、製造した後すぐに、USP<601>に従って調べた。流速30l/分で運転するNext Generation Impactor(NGI)を粒子サイズ分布の定量に使用した。試料缶を作動装置中に設置し、2回の空作動およびさらに2回の呼び水用空作動を行った。5回の作動分を、USPスロートの付いたNGI中で回収した。バルブ、作動装置、スロート、NGIカップ、ステージおよびフィルターを、体積測定して分配した溶媒ですすいだ。試料溶液を、薬物特異的なクロマトグラフィー法を用いてアッセイした。フィルターを通ったステージ3の合計分を用いて微細粒子分率を定義した。USP<601>により記載されているように、用量均一性サンプリング装置を用いて、使用を通した送達用量均一性試験を実施した。前述のように、吸入器を設置し、呼び水作業を行った。使用の開始時点、中間時点および終了時点で、2回の作動分を回収し、アッセイした。
【0216】
エアロゾル性能または送達用量均一性においては、試験の継続期間(3カ月)にわたり、または保管温度の関数として、何ら傾向は観察されなかった。したがって、全てのエアロゾル性能試験結果をプールした。表18bは、異なる構成の平均成績を記載するものである。微細粒子用量は、インパクターのステージ3からフィルター上で回収した質量の合計であり、計量された用量により正規化してある。全3つの構成についての平均エアロゾル性能は同等であった。
【0217】
【表20】
【0218】
本組合せ製品の両方の活性剤について、缶の寿命にわたり用量含有量均一性を試験した。
図24および26は、構成1Aおよび1Bそれぞれについての作動装置を出る用量を示すものであり、缶の実際の計量された用量により正規化してある。作動装置での堆積を2
0%と仮定して、両方の活性剤についての作動装置を出る目標用量は80%であった。個々のFF用量およびGP用量を、それぞれ点および三角形で表す。実線はホルモテロール用量の平均を表し、破線はグリコピロレート用量の平均を表す。
図25および27は、構成1Aおよび1Bそれぞれについての作動装置を出る正規化した用量の比率を示すものである。結果から、用量比は缶の寿命を通じて一定に保たれたことが示唆される。さらに、用量比のばらつきは個々の用量のものよりはるかに低く、このことから、一貫した担体対活性剤比率を有する共懸濁剤が形成され、容器の寿命を通じて維持されたことが示唆される。
【0219】
この結果は、本明細書中で提供した開示内容により製剤化すると、活性医薬原料(この場合はFF)のうち1つを含有する懸濁粒子を用いて組合せ製品の共懸濁剤が形成されることを示している。懸濁粒子対活性剤粒子の比率を調節して、同様のエアロゾル性能を維持しながら、目標用量含有量の均一性を達成することができる。
【0220】
[実施例22]
FFおよびGPを含有するMDIを、FFおよびGPそれぞれ1作動当たり示された目標送達用量2.4μgおよび18μgに調製した。GP活性剤を微粉化したところ、実施例21に記載のようにレーザー回折により測定した場合、それぞれ、d
10、d
50、d
90が得られ、スパンは0.6μm、1.7μm、3.6μmおよび1.9μmであった。FFは、噴霧乾燥した懸濁粒子中に組み込み、2%がFF、91.5%がDSPCおよび6.5%がCaCl
2の組成で実施例21に記載のように調製した。GP、FFおよびGP+FFのMDIを、目標質量の活性剤粒子および懸濁粒子を体積19mLのフッ化エチレンポリマー(FEP)被覆したアルミニウム缶(Presspart、Blackburn、UK)中に計り入れることにより調製した。缶を50μlバルブ(#BK357、Bespak、King’s Lynn、UK)でクリンプシールし、バルブ軸を通した過圧により10.2gのHFA134a(1,1,1,2−テトラフルオロエタン)(Ineos Fluor、Lyndhurst、UK)を充填した。噴射剤の注入後、缶を15秒間超音波処理して、リストアクション振盪機で30分間撹拌した。缶に、0.3mmの開口部のあるポリプロピレン製作動装置(#BK636、Bespak、King’s Lynn、UK)を取り付けた。
【0221】
これらのMDI組成物の長期安定性および送達特徴を調べた。とりわけ、当該組成物のエアロゾル粒子サイズ分布および送達用量特徴を、多様な条件下で、場合により、最大12カ月に延長した期間にわたり、実施例21に記載のようにUSP<601>に従って評価した。たとえば、
図28に示すように、実施例21に従って調製した組成物によりもたらされる送達用量均一性は、当該組成物を5℃で12カ月の保管後、または、アルミニウムフォイルの小袋内で保管してMDI缶中への水の侵入を最小化させた(すなわち、「保護保管された」)試料については、25℃、60%相対湿度(RH)の条件で4.5カ月後であっても、実質的に維持された。
【0222】
当該組成物のエアロゾル性能も、最長12カ月まで延長する非保護保管条件、および、最長6カ月まで延長する保護保管条件を通じて評価した。
図29に示すように、この共懸濁剤組成物によりもたらされたGPおよびFFの粒子サイズ分布は、5℃での保護保管の12カ月後、および、25℃、60%RHでの非保護保管条件の6カ月後、実質的に維持された。
図30に示すように、ストレスのかかった条件下(40℃、75%RH)でも、該組成物は6カ月後に定量噴霧式吸入器から送達されたGPおよびFFの粒子サイズ分布において目立った劣化を示さなかった。
【0223】
図31でわかるように、GP活性剤およびFF活性剤を両方とも含む組合せ共懸濁剤組成物のエアロゾル性能は、FFを単独で含む懸濁剤組成物またはGPを単独で含む共懸濁
剤組成物により達成されるエアロゾル性能と全く異ならなかったが、このことから、単一成分型共懸濁剤または2成分組合せ型共懸濁剤から達成された場合、個々の活性剤のエアロゾル特性は実質的に同じであることが実証された。
【0224】
[実施例23]
本記載による例示的な2剤型共懸濁剤組成物を作製し、該組成物を組み込んでいる定量噴霧式吸入器を調製した。該組成物には、グリコピロレート(GP)とフマル酸ホルモテロール(FF)との組合せを含ませ、それぞれは、微粉化された結晶性の物質として供給された。組合せの結晶性の共懸濁剤MDIを半自動の懸濁剤充填により製造した。この2剤型共懸濁剤は、HFA134a噴射剤中で懸濁粒子と共懸濁させた2つの微結晶性の活性医薬原料(「APIs」、または単数形では「API」とも呼ぶ)であるGPとFFとの組合せから成っていた。2剤型共懸濁剤は、1作動当たり18μgのGPおよび1作動当たり4.8μgのFFの送達用量を供給するように製剤化した。2剤型共懸濁剤組成物の調製においては、一定の組成物中では、使用したFF API物質は「粗い」として表示され、他の組成物中では、使用したFF API物質は「細かい」として表示された。共懸濁剤組成物に組み込まれたのが粗いFFであるか細かいFFであるかによらず、該組成物は、1作動当たり4.8μgの送達FF用量を供給するように製剤化した。この実施例で記載した共懸濁剤組成物の製剤において使用した粗いFF、細かいFFおよびGP API物質の粒子サイズ特徴は、表19に詳細を記載してある。2剤型共懸濁剤組成物に加え、FF活性剤物質のみを組み込んでいる単剤療法型共懸濁剤組成物を製剤化した。このFF単剤療法型共懸濁剤は、粗いFF APIを利用した。当該FF単剤療法型共懸濁剤を使用して単剤療法型MDIを製造し、このFF単剤療法型MDIを、1作動当たり送達用量4.8μgのFFを供給するように製剤化および製造した。
【0225】
懸濁粒子を、噴霧乾燥したエマルションにより以下の条件:供給原料濃度は80mg/mL、組成は93.44%がDSPC(1,2−ジステアロイル−sn−グリセロ−3−ホスホコリン)および6.56%が無水塩化カルシウム(2:1のDSPC:CaCl
2モル/モル比率と等価)で製造した。エマルション調製の間、DSPCおよびCaCl
2は、高せん断ミキサーを、加熱水(80±3℃)を含有する容器中にて8000〜10000rpmで用いて分散させ、このプロセス中、PFOBをゆっくり加えた。次に、このエマルションを高圧ホモジナイザー(10000〜25000psi)中で6パスにて加工した。次に、このエマルションを、0.42”のアトマイザーノズルを取り付けた噴霧乾燥機により、規定のアトマイザー気体流速18SCFMで噴霧乾燥させた。乾燥気体流速は72SCFMに設定し、入口温度は135℃、出口温度70℃、エマルション流速は58mL/分であった。
【0226】
MDIの製造については、懸濁剤充填用の薬物添加容器(DAV)を以下の方式で調製した。まず、懸濁粒子量の半分を加え、次に、微結晶性の物質を充填し、最後に、残り半分の懸濁粒子を一番上に加える。10%RH未満の湿度制御環境下で該容器に物質を加えた。次に、DAVを4Lの懸濁容器に接続し、HFA134a噴射剤を流してから、穏やかに混合して、スラリーを形成した。次に、このスラリーを懸濁剤混合容器に戻し、追加のHFA−134aで希釈して、インペラで穏やかに撹拌しながら、目標濃度の最終懸濁剤を形成する。バッチ作製全体を通して、容器内部の温度を21〜23℃で維持した。30分間の再循環後、懸濁剤を、50μlバルブ(Bespak、King’s Lynn、UK)経由で、14mLのフッ化エチレンポリマー(FEP)で被覆したアルミニウム缶(Presspart、Blackburn、UK)に充填した。試料缶は、正確な製剤量を確実にするための缶の総合分析用にランダムに選択した。2つのロットの微粉化されたホルモテロール粒子の光学直径および粒子サイズ分布を、実施例1に記載のように、レーザー回折により定量した。表19は、使用した異なるロットの微粉化された物質についてのd
10、d
50およびd
90の値を記載するものである。d
10、d
50およびd
90は、粒子サイズ測定装置により報告された累積体積分布がそれぞれ10%、50%および90%に達する時点の粒子サイズを表す。
【0227】
この実施例に従って調製した両方の2剤型共懸濁製剤によりもたらされた粒子サイズ分布を、実施例21に従って調製した共懸濁剤組成物によりもたらされた粒子サイズ分布と比較した。この比較の結果を表20に示すが、表中の「FPF FF(%)」および「FPF GP(%)」は、NGIのフィルターを通したステージ3上での特定の活性剤の微細粒子質量を作動装置の質量で割り、100を掛けたものを表す。
【0228】
【表21】
【0229】
【表22】
【0230】
この実施例に従って調製した2剤型共懸濁剤組成物のエアロゾル性能を評価し、実施例21に従って調製した共懸濁剤組成物と比較すると共に、エアロゾル性能を、実施例1に記載のようにUSP<601>に従って定量した。そのような比較の結果を
図32〜
図34に示す。これらの図を参照することにより容易に理解されるように、2剤型共懸濁剤の供給において使用した結晶性のホルモテロール物質が細かいものであったか粗いものであったかどうかにかかわらず、2剤型共懸濁剤組成物のFFおよびGPの粒子サイズ分布は、FFが噴霧乾燥による懸濁粒子に組み込まれた実施例21に従って調製した共懸濁剤組成物により達成された同分布と実質的に同じであった。
【0231】
加えて、この実施例に記載されているとおりの2剤型共懸濁剤組成物によりもたらされたGPおよびFFの送達用量均一性を、実施例1に記載のようにUSP<601>に従って調べ定量した。この調査の結果を
図35に示す。2剤型共懸濁製剤は、全ての作動分が、平均の±25%以内の想定用量を送達したことから、GPおよびFFの両方について望ましいDDU特徴をもたらした。
【0232】
[実施例24]
フロ酸モメタゾン(MF)またはブデソニド(BD)のいずれかを含む懸濁粒子を用いて2剤型共懸濁剤組成物を調製し、この組成物を組み込んでいるMDIを調製した。3剤型共懸濁剤組成物は、結晶性のグリコピロレート(GP)活性剤粒子およびフマル酸ホルモテロール(FF)活性剤粒子の組合せを含んでおり、MFまたはBDのいずれかを含む懸濁粒子と共懸濁させた。各APIは、微粉化された、結晶性の物質として供給された。
【0233】
BDまたはMFのいずれかを50%(w/w)含有する懸濁粒子を次のように製造した。400mLの湯(75℃)中に2.8gのDSPC(1,2−ジステアロイル−sn−グリセロ−3−ホスホコリン)および0.26gの塩化カルシウムを含有する分散系の高せん断ミキサーを用いた高せん断ホモジナイゼーションを実施しながら、56.6gのPFOBをゆっくり加えた。微粉化されたMFまたはBD(DSPCに対し1:1の重量比で)を、その結果得られる粗いエマルションに加え、これを、高圧ホモジナイザー(モデルC3、Avestin、Ottawa、CA)を3〜5パスにわたり最大170MPaの圧力で用いてさらにホモジナイズした。このエマルションを、以下の噴霧乾燥条件:入口温度90〜95℃、出口温度95〜72℃、エマルション供給速度2〜8mL/分、合計乾燥窒素流525〜850L/分を用いて噴霧乾燥させた。その結果得られる粉末の粒子サイズ分布をレーザー回折により定量したところ、懸濁粒子の50体積%は1.8μm未満であり、該分布のスパンは1.6μmであった。
【0234】
懸濁粒子を含有する50%(w/w)のMFまたはBDのいずれかを含有するMDI缶を、それぞれMFおよびBDの1作動当たり50μgまたは100μgを目標として調製した。定量噴霧式吸入器は、懸濁粒子(場合によっては追加的な懸濁粒子も)を含有する目標質量の活性剤を、体積14mLのフッ化エチレンポリマー(FEP)被覆したアルミニウム缶(Presspart、Blackburn、UK)中に計り入れて合計懸濁剤濃度を5.5mg/mLに到達させることにより調製した。この缶を50μlバルブ(Bespak、King’s Lynn、UK)でクリンプシールし、バルブ軸を通した過圧により10mLのHFA134a(1,1,1,2−テトラフルオロエタン)(Ineos Fluor、Lyndhurst、UK)を充填した。噴射剤の注入後、缶を15秒間超音波処理して、リストアクション振盪機で30分間撹拌した。缶に、0.3mmの開口部のあるポリプロピレン製作動装置(Bespak、King’s Lynn、UK)を取り付けた。
【0235】
上記MDIのエアロゾル粒子サイズ分布を実施例1に記載のようにUSP<601>に従って定量したので、結果を表21に示す。懸濁粒子を含有するMFまたはBDを含有する類似の一連の缶を、GPおよびFFの活性剤粒子と組み合わせて作製した。十分な微粉化されたGPおよびFF API物質を、GPおよびFFについてそれぞれ作動当たり36μgおよび作動当たり6μgの目標送達用量をもたらすのに十分な量で当該缶に加えた。いくつかの場合では、実施例1に記載のとおりに調製した追加的な懸濁粒子を、合計懸濁剤濃度が5.5mg/mlに達するように加えた。
【0236】
上記3剤型共懸濁剤MDIのエアロゾル粒子サイズ分布を実施例1に記載のようにUSP<601>に従って定量したので、結果を表22に示す。表21および表22における結果の比較から、単一成分型懸濁剤中のコルチコステロイドの空気力学的質量平均径(mass mean aerodynamic diameter)は、対応する3剤型の組合せ組成物において得られる該値と等価であることが実証される。2つの異なる活性剤の組合せを含有する該共懸濁剤組成物に当てはまるとおり、本記載に従って調製される3剤型共懸濁剤組成物は、併用効果を回避した。加えて、微結晶性の活性剤の微細粒子分率は、MFまたはBDの1作動当たり用量が実質的に異なっても、単独療法型または3剤型
の組合せ組成物中のコルチコステロイドの種類にほとんど無関係である。
【0237】
【表23】
【0238】
【表24】
【0239】
[実施例25]
3剤型共懸濁剤組成物を含む定量噴霧式吸入器を本記載に従って調製した。この組成物は、グリコピロレート(GP)活性剤粒子と、フマル酸ホルモテロール(FF)活性剤粒子とフロ酸モメタゾン(MF)活性剤粒子との組合せを含んでおり、それぞれが、微粉化された結晶性のAPI物質として供給されていた。
【0240】
3剤型共懸濁剤MDIを、半自動の懸濁剤充填により製造した。この3剤型共懸濁剤は、3つの異なる種の活性剤粒子、すなわち、MF(コルチコステロイド)、GP(LAMA)およびFF(LABA)を形成する3つの微結晶性の活性医薬原料の組合せから成っていた。これらの3つの異なる種の活性剤粒子を、HFA134a噴射剤中で懸濁粒子と共懸濁させた。3剤型共懸濁剤を以下の送達用量目標:1作動当たり50μのMF、1作動当たり36μgのGPおよび1作動当たり4.8μgのFFに製剤化した。この3剤型共懸濁剤に加え、MFのみを含む単剤療法型共懸濁剤を作製した。この単剤療法型MF共懸濁剤は、噴射剤中に共懸濁したMF活性剤粒子を、この実施例に記載されているとおりの懸濁粒子と共に含んでおり、目標送達用量である1作動当たり50μgのMFをもたらすように製剤化した。
【0241】
懸濁粒子を、噴霧乾燥したエマルションにより以下の条件:供給原料濃度は80mg/
mL、組成は93.44%がDSPC(1,2−ジステアロイル−sn−グリセロ−3−ホスホコリン)および6.56%が無水塩化カルシウム(2:1のDSPC:CaCl
2モル/モル比率と等価)で製造した。エマルション調製の間、DSPCおよびCaCl
2は、高せん断ミキサーを、加熱水(80±3℃)を含有する容器中にて8000〜10000rpmで用いて分散させ、このプロセス中、PFOBをゆっくり加えた。次に、このエマルションを高圧ホモジナイザー(10000〜25000psi)中で5パスにて加工した。次に、このエマルションを、0.42”のアトマイザーノズルを取り付けた噴霧乾燥機により、規定のアトマイザー気体流速18SCFMで噴霧乾燥させた。乾燥気体流速は72SCFMに設定し、入口温度は135℃、出口温度70℃、エマルション流速は58mL/分であった。
【0242】
MDIの製造については、懸濁剤充填用に薬物添加容器(DAV)を以下の方式で使用した。まず、懸濁粒子量の半分を加え、次に、微結晶性の物質を充填し、最後に、残り半分の懸濁粒子を一番上に加える。10%RH未満の湿度制御環境下で該容器に物質を加えた。次に、DAVを4Lの懸濁容器に接続し、HFA134a噴射剤を流してから、磁気撹拌棒で混合した。バッチ作製全体を通して、容器内部の温度を21〜23℃で維持した。30分間のバッチ再循環後、50μLのEPDMバルブ経由で懸濁剤混合物を缶に充填した。試料缶は、正確な製剤量を確実にするための缶の総合分析用にランダムに選択した。次に、新しく製造した3剤型共懸濁剤MDIバッチを1週間隔離場所に置いてから、最初の製品性能分析を行った。フロ酸モメタゾンのみのMDIは、同じ方式での懸濁剤充填により製造した。体積14mLのフッ化エチレンポリマー(FEP)被覆したアルミニウム缶(Presspart、Blackburn、UK)。この缶を50μlバルブ(Bespak、King’s Lynn、UK)でクリンプシールし、バルブ軸を通した過圧により10mLのHFA134a(1,1,1,2−テトラフルオロエタン)(Ineos Fluor、Lyndhurst、UK)を充填した。缶に、0.3mmの開口部のあるポリプロピレン製作動装置(Bespak、King’s Lynn、UK)を取り付けた。
【0243】
全ての微結晶性APIの一次粒子サイズ分布を、実施例1に記載のようにレーザー回折により定量したので、結果を表23に示す。懸濁剤MDIの作動時の全ての成分の空気力学的粒子サイズ分布および空気力学的質量平均径を、実施例1に記載のようにUSP<601>に従って薬物特異的なカスケードインパクションにより定量したので、これを表24に示す。
【0244】
【表25】
【0245】
【表26】
【0246】
この実施例に従って調製した3剤型共懸濁剤により達成された送達用量均一性およびエアロゾル性能を、実施例1に記載したようにUSP<601>に従って評価した。
図36は、MFのみを含有する2つの缶、および、この実施例に従って調製したMF、GPおよびFFを含有する2つの缶から達成されるGP、FFおよびMFのDDUを例証するものである。MF単剤療法型構成物から送達されるMFのDDUは、3剤型共懸濁剤組成物で達成されるDDUと等価である。この実施例の3剤型共懸濁剤組成物からのFFおよびGPについて達成されたエアロゾル粒子サイズ分布を、実施例15に従って調製された、2つの活性剤(FFおよびGP)を含有する共懸濁剤から達成された該分布と比較した。FFおよびGPの空気力学的粒子サイズ分布は、2つの活性剤または3つの活性剤いずれを含有する組成物から送達されるかによらず、それぞれ
図37および38に示すように等価であるので、本記載に従って調製した3剤型共懸濁剤組成物は、併用効果を回避した。
【0247】
[実施例26]
本記載による例示的な3剤型共懸濁剤組成物を作製し、該組成物を組み込んだ定量噴霧式吸入器を調製した。該3剤型共懸濁剤は、グリコピロレート(GP)または臭化チオトロピウム(TB)を、フマル酸ホルモテロール(FF)活性剤とフロ酸モメタゾン(MF)活性剤との組合せで含んでおり、各APIは、微粉化された結晶性の物質として使用した。
【0248】
3つの活性医薬原料(API)、すなわちコルチコステロイド、LAMAおよびLABAを含有する2つの別々の懸濁剤MDIバッチを調製した。このAPIは、本明細書に記載のとおりに調製された懸濁粒子と共懸濁させた活性剤粒子として機能した微結晶性の物質として供給された。この実施例に記載のように調製した3剤型共懸濁剤組成物は、活性剤粒子および懸濁粒子をHFA134a噴射剤に加えることにより調製した。
【0249】
グリコピロレートを含有する3剤型共懸濁剤(3剤型GFM)を、1作動当たり40μgのMF、1作動当たり13μgのGPおよび1作動当たり4.8μgのFFを送達するように製剤化した。活性剤粒子を、80mg/mLの供給濃度で噴霧乾燥させた93.46%のDSPC(1,2−ジステアロイル−sn−グリセロ−3−ホスホコリン)と6.54%の無水塩化カルシウムとから成るエマルションを使用して製造した懸濁粒子と共懸濁させた。懸濁粒子のDSPC:CaCl
2モル比は2:1であった。この懸濁粒子を、製剤目標が6mg/mlの懸濁粒子濃度になるように、噴射剤中で活性剤粒子と合わせた。微結晶性の活性剤粒子の一次粒子サイズ(実施例1に記載のようにSympatecレ
ーザー回折測定により定量)を、以下の表25に示す。
【0250】
無水臭化チオトロピウム(TB)を使用して、臭化チオトロピウムを含有する3剤型共懸濁剤(3剤型TFM)を調製した。このTFM3剤型共懸濁剤を、1作動当たり50μgのMF、1作動当たり9μgのTBおよび1作動当たり4.8μgのFFを送達するように製剤化した。3剤型GFM共懸濁剤に関して記載したように懸濁粒子を調製し、活性剤粒子を、目標とする懸濁粒子濃度6mg/mlで懸濁粒子と共懸濁させた。微結晶性の活性剤粒子の一次粒子サイズ(実施例1に記載のようにSympatecレーザー回折測定により定量)を、以下の表26に示す。
【0251】
この実施例に記載の3剤型共懸濁剤組成物について、エアロゾル粒子サイズ分布、微細粒子分率、および空気力学的質量中央径を、実施例1に記載のようにUSP<601>に従って定量した。表27には、3剤型GFMおよび3剤型TFMについてのMMADおよびFPFの成績を記載し、3剤型GFM共懸濁剤および3剤型TFM共懸濁剤により達成される望ましいエアロゾル特性を
図39に示す(3剤型GFMおよび3剤型TFMにより得られるGPおよびTBの空気力学的粒子サイズ分布をそれぞれ示す)。3剤型の製剤において達成された個々の微結晶性の活性剤の微細粒子分率は、活性剤粒子のサイズの違いにかかわらず非常によく似ており、このことから、本発明において記載する組成物の利益が実証される。
【0252】
【表27】
【0253】
【表28】
【0254】
【表29】
本願発明は、さらに次の態様を包含する。
1. 定量噴霧式吸入器から送達できる共懸濁剤であって、前記安定な共懸濁剤は
薬学的に許容できる噴射剤を含む懸濁媒体と、
複数の活性剤粒子と、
複数の呼吸可能な懸濁粒子とを含み、
前記複数の活性剤粒子が、懸濁媒体中の活性剤粒子と懸濁剤粒子との浮力差にもかかわらず複数の懸濁粒子と会合する
共懸濁剤。
2. 前記活性剤粒子の少なくとも90体積%が7μm以下の光学直径を呈する、項1に記載の共懸濁剤。
3. 前記活性剤粒子の少なくとも50体積%が5μm以下の光学直径を呈する、項1に記載の共懸濁剤。
4. 前記活性剤粒子が、結晶形態の活性剤の粒子を含む、項1から3のいずれかに記載の共懸濁剤。
5. 前記活性剤粒子が、非晶質形態の活性剤の粒子を含む、項1から3のいずれかに記載の共懸濁剤。
6. 前記活性剤が、前記懸濁媒体中の活性剤の全質量の1%相当の量、前記懸濁媒体中の活性剤の全質量の0.5%相当の量、前記懸濁媒体中の活性剤の全質量の0.05%相当の量、および前記懸濁媒体中の活性剤の全質量の0.025%相当の量から選択される溶解をもたらす測定可能な溶解性を呈する、項1から5のいずれかに記載の共懸濁剤。
7. 前記懸濁媒体に溶解する前記活性剤の全質量が、前記懸濁媒体中の活性剤の全質量の5%未満である、項1から5のいずれかに記載の共懸濁剤。
8. 前記複数の活性剤粒子が、2つ以上の異なる活性剤を含む、項1から7のいずれかに記載の共懸濁剤。
9. 前記活性剤粒子が、短時間作用性のβ作動剤(ビトルテロール、カルブテロール、フェノテロール、ヘキソプレナリン、イソプレナリン(イソプロテレノール)、レボサルブタモール、オルシプレナリン(メタプロテレノール)、ピルブテロール、プロカテロール、リミテロール、サルブタモール(アルブテロール)、テルブタリン、ツロブテロール、レプロテロールおよびエピネフリンなど)、長時間作用性のβ作動剤(バンブテロール、クレンブテロール、ホルモテロールおよびサルメテロールなど)、超長時間作用性のβ作動剤(カルモテロール、ミルベテロール、インダカテロール、および、サリゲニンまたはインドールを含有しアダマンチル誘導性のβ2作動剤など)、コルチコステロイド(ベクロメタゾン、ブデソニド、シクレソニド、フルニソリド、フルチカゾン、メチルプレドニゾロン、モメタゾン、プレドニゾンおよびトリアムシノロンなど)、抗炎症薬(プロピオン酸フルチカゾン、二プロピオン酸ベクロメタゾン、フルニソリド、ブデソニド、トリペダン、コルチゾン、プレドニゾン、プレドニゾロン、デキサメタゾン、ベタメタゾンまたはトリアムシノロンアセトニドなど)、鎮咳剤(ノスカピンなど)、気管支拡張剤(エフェドリン、アドレナリン、フェノテロール、ホルモテロール、イソプレナリン、メタプロテレノール、サルブタモール、アルブテロール、サルメテロール、テルブタリンなど)、抗コリン作用薬(グリコピロレート、デキシピロニウム、スコポラミン、トロピカミド、ピレンゼピン、ジメンヒドリネート、チオトロピウム、ダロトロピウム、アクリジニウム、トロスピウム、イプラトロピウム、アトロピン、ベンズトロピンまたはオキシトロピウムなど)(その任意の薬学的に許容できる塩、エステル、異性体または溶媒和物を包含する)から選択される活性剤を含む、項1から8のいずれかに記載の共懸濁剤。
10. 前記活性剤粒子中に2つ以上の活性剤が含まれ、前記2つ以上の活性剤が、ホルモテロールとブデソニドとの組合せ、グリコピロレートとホルモテロールとの組合せ、シクレソニドとホルモテロールとの組合せ、サルメテロールとフルチカゾンとの組合せ、グリコピロレートとホルモテロールとブデソニドとの組合せ、およびグリコピロレートとホルモテロールとモメタゾンとの組合せ(その任意の薬学的に許容できる塩、エステル、異性体または溶媒和物を包含する)から選択される、項1から9のいずれかに記載の共懸濁剤。
11. 前記活性剤が、強力な活性剤および高度に強力な活性剤から選択される、項1から10のいずれかに記載の共懸濁剤。
12. 活性剤の目標送達用量が、1用量当たり約100μg〜約100mg、1用量当たり約100μg〜約10mg、および1用量当たり約100μg〜1mgから選択される、項1から11のいずれかに記載の共懸濁剤。
13. 活性剤の目標送達用量が、1用量当たり最大約80μg、1用量当たり最大約40μg、1用量当たり最大約20μg、または1用量当たり約10μg〜約100μgから選択される、項1から11のいずれかに記載の共懸濁剤。
14. 活性剤の目標送達用量が、1用量当たり約0.1〜約2μg、1用量当たり約0.1〜約1μg、および1用量当たり約0.1〜約0.5μgから選択される、項1から11のいずれかに記載の共懸濁剤。
15. 前記懸濁粒子が、約10μm〜約500nm、約5μm〜約750nm、および1μm〜約3μmから選択されるMMADを呈する、項1から14に記載の共懸濁剤。
16. 前記懸濁粒子が、約0.2μm〜約50μm、約0.5μm〜約15μm、約1.5μm〜約10μm、および約2μm〜約5μmから選択される光学直径体積中央値を呈する、項1から15のいずれかに記載の共懸濁剤。
17. 前記懸濁粒子が、約30mg/mLまでおよび最大約25mg/mLから選択される濃度で前記懸濁媒体中に含まれる、項1から16のいずれかに記載の共懸濁剤。
18. 前記懸濁粒子が、約1mg/ml〜約15mg/ml、約3mg/ml〜約10mg/ml、約1.5mg/ml〜約10mg/mlから選択される濃度で前記懸濁媒体中に含まれる、項17に記載の共懸濁剤。
19. 前記活性剤粒子がグリコピロレートを含み、前記懸濁粒子が、約6mg/mL、約3mg/mL〜約10mg/mL、および約1mg/mL〜約15mg/mLから選択される濃度で前記懸濁媒体中に含まれる、項17に記載の共懸濁剤。
20. 前記活性剤粒子がホルモテロールを含み、前記懸濁粒子が、約3mg/mL、約1.5mg/mL〜約5mg/mL、および約0.5mg/mL〜約7.5mg/mLから選択される濃度で前記懸濁媒体中に含まれる、項17に記載の共懸濁剤。
21. 前記活性剤粒子がホルモテロールを含み、前記懸濁粒子が、約6mg/mL、約3mg/mL〜約10mg/mL、および約1mg/mL〜約15mg/mLから選択される濃度で前記懸濁媒体中に含まれる、項17に記載の共懸濁剤。
22. 前記活性剤粒子がサルメテロールを含み、前記懸濁粒子が、約5mg/mL、約3mg/mL〜約10mg/mL、および約1mg/mL〜約15mg/mLから選択される濃度で前記懸濁媒体中に含まれる、項17に記載の共懸濁剤。
23. 前記活性剤粒子がブデソニドを含み、前記懸濁粒子が、約8mg/mL、約5mg/mL〜約20mg/mL、および約0.5mg/mL〜約30mg/mLから選択される濃度で前記懸濁媒体中に含まれる、項17に記載の共懸濁剤。
24. 前記活性剤粒子がフルチカゾンを含み、前記懸濁粒子が、約6mg/mL、約3mg/mL〜約10mg/mL、および約1mg/mL〜約15mg/mLから選択される濃度で前記懸濁媒体中に含まれる、項17に記載の共懸濁剤。
25. 前記懸濁粒子の全質量が前記活性剤粒子の全質量を超える、項1から24のいずれかに記載の共懸濁剤。
26. 前記懸濁粒子の全質量対前記活性剤粒子の全質量の比率が、約1.5超、最大約5、最大約10、最大約15、最大約20、最大約30、最大約50、最大約75、最大約100、最大約150および最大約200から選択される、項25に記載の共懸濁剤。
27. 前記活性剤粒子中に含まれる前記活性剤のうち少なくとも1つが高度に強力な活性剤であり、前記懸濁粒子の全質量対前記活性剤粒子の全質量の比率が、約5〜約175、約10〜約150、約15〜約125、および約25〜約75から選択される、項25に記載の共懸濁剤。
28. 前記活性剤粒子が、グリコピロレート、フルチカゾン、モメタゾンおよびブデソニドのうち1つまたは複数を含み、前記懸濁粒子の全質量対前記活性剤粒子の全質量の比率が、約1〜約20、約5〜約15、および約10から選択される、項25に記載の共懸濁剤。
29. 前記活性剤粒子が、フルチカゾン、モメタゾンおよびブデソニドのうち1つまたは複数を含み、前記懸濁粒子の全質量対前記活性剤粒子の全質量の比率が、約1〜約15、約1.5〜約10、および約2.5〜約5から選択される、項25に記載の共懸濁剤。
30. 前記活性剤粒子がサルメテロールを含み、前記懸濁粒子の全質量対前記活性剤粒子の全質量の比率が、約10〜約30、約15〜約25、および約20から選択される、項25に記載の共懸濁剤。
31. 前記活性剤粒子がホルモテロールを含み、前記懸濁粒子の全質量対前記活性剤粒子の全質量の比率が、約10〜約200、約50〜約125、および約75から選択される、項25に記載の共懸濁剤。
32. 前記懸濁粒子が、少なくとも1g、少なくとも10g、少なくとも50gおよび少なくとも100gの加速度から選択される加速度での遠心分離により増幅された浮力を受けたときでも活性剤粒子と会合したままである、項1から31のいずれかに記載の共懸濁剤。
33. 前記懸濁粒子が、脂質、リン脂質、非イオン性界面活性剤、非イオン性ブロックコポリマーなどのポリマー、非イオン性界面活性物質および生体適合性フッ素系界面活性物質などの界面活性物質、炭水化物、アミノ酸、有機塩、ペプチド、タンパク質、アルジトールならびにそれらの組合せから成る群から選択される添加剤を含む、項1から32のいずれかに記載の共懸濁剤。
34. 前記懸濁粒子が、脂質、リン脂質、非イオン性界面活性剤、非イオン性ブロックコポリマーなどのポリマー、非イオン性界面活性物質および生体適合性フッ素系界面活性物質などの界面活性物質、炭水化物、アミノ酸、有機塩、ペプチド、タンパク質、アルジトールならびにそれらの組合せから成る群から選択される添加剤を含む活性剤粒子を含む、項1から33のいずれかに記載の共懸濁剤。
35. 前記複数の懸濁粒子のうち1つまたは複数が活性剤を含む、項1から34のいずれかに記載の共懸濁剤。
36. 前記懸濁媒体が、追加成分を実質的に含まない噴射剤を含む、項1から35のいずれかに記載の共懸濁剤。
37. 前記噴射剤が、HFA噴射剤、PFC噴射剤およびそれらの組合せから選択される噴射剤を含む、項36に記載の共懸濁剤。
38. 前記懸濁媒体が、貧溶媒、可溶化剤、共溶媒、アジュバント、PVPおよびPEGから選択される1つまたは複数の成分と組み合わせて噴射剤を含む、項1から35のいずれかに記載の共懸濁剤。
39. 前記活性剤粒子が、製粉、粉砕、結晶化、再結晶、および超臨界または超臨界近傍の沈殿プロセスから選択される微粉化プロセスにより調製され、前記懸濁粒子が、噴霧乾燥プロセスを用いて調製される、項1から38のいずれかに記載の共懸濁剤。
40. 計量体積を分配するための作動装置を備える出口バルブの付いた缶を具備し、前記缶が項1から39のいずれかに記載の共懸濁剤を含有する定量噴霧式吸入器であって、前記缶が空になるまで、±30%またはより良好な送達用量均一性(「DDU」)、±25%またはより良好なDDU、および±20%またはより良好なDDUから選択される、前記共懸濁製剤についてのDDUを呈する定量噴霧式吸入器。
41. 前記共懸濁剤を最初の微細粒子分率で分配し、前記定量噴霧式吸入器から分配される前記最初の微細粒子分率が、前記缶が空になるまで、前記定量噴霧式吸入器から送達される前記微細粒子分率が前記最初の微細粒子分率の80%以内に維持されるように実質的に維持される、項40に記載の定量噴霧式吸入器。
42. 前記定量噴霧式吸入器から送達される前記微細粒子分率が前記最初の微細粒子分率の90%以内に維持される、項41に記載の定量噴霧式吸入器。
43. 前記定量噴霧式吸入器から送達される前記微細粒子分率が前記最初の微細粒子分率の95%以内に維持される、項41に記載の定量噴霧式吸入器。
44. 前記定量噴霧式吸入器の前記缶内に含有される前記共懸濁製剤が、少なくとも6カ月間保管安定性がある、項40から43のいずれかに記載の定量噴霧式吸入器。
45. 前記缶を6週間の期間にわたり6時間ごとに−5℃と40℃の温度に交互にさらした後、前記缶が空になるまで、±30%またはより良好な送達用量均一性(「DDU」)、±25%またはより良好なDDU、および±20%またはより良好なDDUから選択される前記共懸濁製剤についてのDDUを呈する、項40に記載の定量噴霧式吸入器。
46. 前記微細粒子分率が、前記缶を6週間の期間にわたり6時間ごとに−5℃と40℃の温度に交互にさらした後、前記缶が空になるまで実質的に維持される、項41から43のいずれかに記載の定量噴霧式吸入器。
47. 安定な共懸濁製剤を含有する定量噴霧式吸入器を調製する方法であって、
缶に、懸濁粒子と少なくとも1つの活性剤を含有する活性剤粒子とを入れるステップ、
1作動ごとに計量された量の前記共懸濁製剤を分配するように構成される作動装置バルブを前記缶の末端に取り付け、前記缶を密封するステップ、および
前記缶に、噴射剤を含む薬学的に許容できる懸濁媒体を詰めるステップを含み、
前記活性剤粒子、懸濁粒子および懸濁媒体が、前記活性剤粒子と懸濁粒子とを入れる前記ステップと前記缶に薬学的に許容できる懸濁媒体を詰める前記ステップとが項1から39のいずれかに記載の共懸濁製剤をもたらすように選択される方法。
48. 安定な共懸濁製剤を含有する定量噴霧式吸入器を調製する方法であって、
缶に、少なくとも1つの活性剤を含有する活性剤粒子と懸濁粒子とを入れるステップ、
1作動ごとに計量された量の前記共懸濁製剤を分配するように構成される作動装置バルブを前記缶の末端に取り付け、前記缶を密封するステップ、および
前記缶に、噴射剤を含む薬学的に許容できる懸濁媒体を詰めるステップを含み、
前記活性剤粒子、懸濁粒子および懸濁媒体が、前記活性剤粒子と懸濁粒子とを入れる前記ステップと前記缶に薬学的に許容できる懸濁媒体を詰める前記ステップとが項40から46のいずれかに記載の定量噴霧式吸入器をもたらすように選択される方法。
49. 活性剤を患者に呼吸器送達する方法であって、
項1から39のいずれかに記載の共懸濁製剤を含有する缶を備える定量噴霧式吸入器を供給するステップ、および
前記定量噴霧式吸入器を用いて前記共懸濁剤を前記患者に送達するステップ
を含む方法。
50. 前記共懸濁製剤を前記患者に送達するステップが、前記缶が空になるまで、±30%またはより良好なDDU、±25%またはより良好なDDU、および±20%またはより良好なDDUから選択されるDDUで前記共懸濁製剤を送達するステップを含む、項49に記載の方法。
51. 活性剤を患者に呼吸器送達する方法であって、
項40から46のいずれかに記載の定量噴霧式吸入器を供給するステップ、および
前記定量噴霧式吸入器を用いて前記共懸濁剤を前記患者に送達するステップ
を含む方法。
52. 炎症性または閉塞性の肺疾患または状態に罹患している患者を治療する方法であって、項1から39のいずれかに記載の治療上有効量の共懸濁剤をMDIにより前記患者に投与するステップを含む方法。
53. 前記疾患または状態が、喘息、COPD、他の薬物療法の結果生じる気道過反応性の増悪、アレルギー性鼻炎、副鼻腔炎、肺血管収縮、炎症、アレルギー、呼吸障害、呼吸窮迫症候群、肺高血圧症、肺血管収縮、ならびに嚢胞性線維症に伴う肺の炎症および閉塞から選択される、項52に記載の方法。
54. 前記治療上有効量の前記共懸濁剤を投与するステップが、
前記共懸濁剤を含有する缶を備える定量噴霧式吸入器を供給するステップ、および
DDUが、前記缶が空になるまで、±30%またはより良好なDDU、±25%またはより良好なDDU、および±20%またはより良好なDDUから選択されるように、前記定量噴霧式吸入器を用いて前記共懸濁剤を前記患者に送達するステップ
を含む、項53に記載の方法。