特許第6492192号(P6492192)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6492192
(24)【登録日】2019年3月8日
(45)【発行日】2019年3月27日
(54)【発明の名称】リフトピン及びこの製造方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/683 20060101AFI20190318BHJP
【FI】
   H01L21/68 N
【請求項の数】8
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2017-545887(P2017-545887)
(86)(22)【出願日】2016年1月22日
(65)【公表番号】特表2018-507561(P2018-507561A)
(43)【公表日】2018年3月15日
(86)【国際出願番号】KR2016000687
(87)【国際公開番号】WO2016148385
(87)【国際公開日】20160922
【審査請求日】2017年8月31日
(31)【優先権主張番号】10-2015-0037961
(32)【優先日】2015年3月19日
(33)【優先権主張国】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】516020581
【氏名又は名称】コミコ カンパニー リミテッド
【氏名又は名称原語表記】KOMICO CO.,LTD.
(74)【代理人】
【識別番号】100142907
【弁理士】
【氏名又は名称】本田 淳
(72)【発明者】
【氏名】ユン、スン ヒ
(72)【発明者】
【氏名】チョン、クォン ホ
【審査官】 儀同 孝信
(56)【参考文献】
【文献】 特開2010−034476(JP,A)
【文献】 特表2011−505691(JP,A)
【文献】 特開2014−011166(JP,A)
【文献】 特開2009−197331(JP,A)
【文献】 特開2005−311108(JP,A)
【文献】 特開2014−143244(JP,A)
【文献】 特開2003−100855(JP,A)
【文献】 特開2003−142407(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2010/0086784(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/683
H01L 21/205
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ウェハーを対象としてエピタキシャル工程が行われる工程チャンバーの内部で、前記ウェハーが載置されるサセプタのホールを貫通して前記ウェハーを支持し、表面がガラス状炭素材質からなるリフトピンであって
前記ウェハーと接触する上部に形成されるピンヘッドと、
前記サセプタのホールを貫通するシャフトと、
前記ピンヘッドと前記シャフトとの間で外周面が前記ピンヘッドから前記シャフトに行くほど細くなるように傾いて形成されたピンネックと、を含み、
前記リフトピンは、セラミック材質の母材と、前記母材の表面全体にコーティングされた前記ガラス状炭素材質とを含み、
前記リフトピンの表面が鏡面処理されて、前記リフトピン、前記ウェハー及び前記サセプタの間の摩擦を低減し、該摩擦によるパーティクルの発生を安定的に防止し、
前記ガラス状炭素材質の熱伝導度は、前記リフトピンに接触するウェハーの部位の劣化を防止するために、前記セラミック材質の母材の熱伝導度よりも相対的に低い、リフトピン。
【請求項2】
前記ピンヘッドは、前記ウェハーと接触する部位がラウンド形態を有することを特徴とする請求項1に記載のリフトピン。
【請求項3】
前記ピンヘッドは、前記ウェハーと接触する部位の曲率半径Rが11〜17mmであることを特徴とする請求項に記載のリフトピン。
【請求項4】
前記ピンネックの傾斜角度が、前記ホールの上端部位に形成された傾斜角を基準で±5゜であることを特徴とする請求項1に記載のリフトピン。
【請求項5】
前記シャフトは、前記ホールの直径を基準で2〜10%小さい外径を有することを特徴とする請求項1に記載のリフトピン。
【請求項6】
前記ピンヘッド、前記シャフト及び前記ピンネックの表面が、0.1〜0.5μmの粗度を有することを特徴とする請求項1に記載のリフトピン。
【請求項7】
ウェハーを対象としてエピタキシャル工程が行われる工程チャンバーの内部で、前記ウェハーが載置されるサセプタのホールを貫通して前記ウェハーを支持するリフトピンの製造方法であって、
ガラス状炭素材質からなる表面を有するベースを準備する段階であって、前記ウェハーと接触して支持するピンヘッドと、前記サセプタのホールを貫通するシャフトと、前記ピンヘッドと前記シャフトとの間に形成されたピンネックと、を含む前記ベースを準備する段階と、
前記ベースの表面を鏡面処理して、前記リフトピン、前記ウェハー及び前記サセプタの間の摩擦を低減し、該摩擦によるパーティクルの発生を安定的に防止する段階と、を含み、
前記ベースは、セラミック材質の母材の表面全体に前記ガラス状炭素材質をコーティングすることによって準備され、
前記ガラス状炭素材質の熱伝導度は、前記リフトピンに接触するウェハーの部位の劣化を防止するために、前記セラミック材質の母材の熱伝導度よりも相対的に低い、リフトピンの製造方法。
【請求項8】
前記鏡面処理する段階において、前記ベースの表面が0.1〜0.5μmの粗度を有するように鏡面処理することを特徴とする請求項に記載のリフトピンの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、リフトピン及びこの製造方法に関し、より詳しくは、ウェハーを対象として行われるエピタキシャル工程において、前記ウェハーが載置されるサセプタのホールを貫通して前記ウェハーを支持するリフトピン及びこれを製造する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
通常、半導体素子は、シリコン材質の薄い単結晶基板からなるウェハーを基礎にして前記ウェハーの上に回路パターンがパターニングされた複数のチップを形成するファブ工程と、前記ファブ工程で形成されたチップそれぞれを基板に電気的に接続するポンディング工程と、前記基板に接続された前記チップを外部から保護するためのモールディング工程などを行うことで製造され得る。ここで、前記ウェハーは、円筒状のインゴットを薄くスライスした後、表面を滑らかにするためのポリッシング工程を行うことで準備される。
【0003】
なお、最近は、前記半導体素子が高集積化するにつれ、前記ウェハーの表面への前記ポリッシング工程だけでは前記ウェハーの表面粗度を低めにくい。したがって、前記ウェハーの上に、微細な線幅、具体的に、約12〜16nmの線幅を有する前記回路パターンを具現しにくい。そこで、前記ポリッシング工程を行ったウェハーを対象としてエピタキシャル工程をさらに行い、前記ウェハーの表面粗度(roughness)を約30%、多くは50%の水準まで低めている。
【0004】
ここで、前記エピタキシャル工程は、内部にシラン(silane)ガスが注入される工程チャンバーと、前記工程チャンバーの内部で前記ポリッシング工程を行ったウェハーが載置されるサセプタと、前記サセプタのホールを貫通しながら上下駆動することで前記ウェハーを前記サセプタに載置するか、前記サセプタから離隔するリフトピンと、前記工程チャンバーの内部に前記ウェハーが約1000〜1400℃の工程温度で加熱されるように熱を提供するヒーターと、で構成されたエピタキシャル装置を用いて行われる。
【0005】
具体的に、前記エピタキシャル工程は、前記工程チャンバーの内部に提供されるシランガスが、前記ヒーターの熱を通じて前記ウェハーの表面で反応して結晶を成長させ、前記成長する結晶が前記ウェハー表面の隙間を満たすように行われる。そのため、前記ウェハーの表面に数マイクロメートル水準の薄い膜が形成され、前記ウェハーの表面粗度を低めるか、前記ウェハーの表面上に存在する欠陥を除去することで高品質のウェハーを得ることができる。この際、前記エピタキシャル工程が行われるうち、前記ウェハーは、前記ヒーターによって前述のように約1000〜1400℃の高温で加熱されることによって、前記ウェハーに若干の反りが発生するようになる。
【0006】
前記リフトピンが前記ウェハーを直接接触して支持した状態で前記反りが発生するので、前記リフトピンが前記反りが発生したウェハーにスクラッチを生じさせ得る。そして、前記リフトピンが前記サセプタのホールに沿って上下方向へ駆動することによって前記リフトピンと前記サセプタとの摩擦で振動が発生し、前記振動によって前記ウェハーに、スクラッチ、擦り切れなどが発生し得る。前記スクラッチ、擦り切れなどによって前記ウェハーが損傷し、前記ウェハーの損傷によってパーティクルが発生するため、前記ウェハー表面の品質が低下し得る。また、前記エピタキシャル工程によって前記ウェハーの表面に形成された膜の品質も低下し得る。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであり、反りが発生したウェハーを安定的に支持することで前記ウェハーの品質をそのまま維持できるリフトピンを提供することを目的とする。
【0008】
また、本発明は、前記リフトピンの製造方法を提供することを他の目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の課題を達成するため、本発明の一特徴によるリフトピンは、ウェハーを対象としてエピタキシャル工程が行われる工程チャンバーの内部で、前記ウェハーが載置されるサセプタのホールを貫通して前記ウェハーを支持し、表面がガラス状炭素(glassy carbon)材質からなり、前記ウェハーと接触する上部に形成されるピンヘッドと、前記サセプタのホールを貫通するシャフトと、前記ピンヘッドと前記シャフトとの間で外周面が前記ピンヘッドから前記シャフトに行くほど細くなるように傾いて形成されたピンネックと、を含むことができる。
【0010】
一実施例による前記リフトピンは、セラミック材質の母材に前記ガラス状炭素がコーティングされた構造を有し得る。
一実施例による前記ピンヘッドは、前記ウェハーと接触する部位がラウンド形態を有し得る。
【0011】
一実施例による前記ピンヘッドは、前記ウェハーと接触する部位の曲率半径Rが11〜17mmであり得る。
一実施例による前記ピンネックの傾斜角度は、前記ホールの上端部位に形成された傾斜角を基準で±5゜であり得る。
【0012】
一実施例による前記シャフトは、前記ホールの直径を基準で2〜10%小さい外径を有し得る。
一実施例による前記ピンヘッド、前記シャフト及び前記ピンネックの表面は、0.1〜0.5μmの粗度(roughness)を有し得る。
【0013】
本発明の他の目的を達成するために、ウェハーを対象としてエピタキシャル工程が行われる工程チャンバーの内部で、前記ウェハーが載置されるサセプタのホールを貫通して前記ウェハーを支持するリフトピンの製造方法は、表面がガラス状炭素材質からなり、前記ウェハーと接触して支持するピンヘッドと、前記サセプタのホールを貫通するシャフトと、前記ピンヘッドと前記シャフトとの間に形成されたピンネックと、から構成されたベースを準備する段階と、前記ベースの表面を鏡面処理する段階と、を含む。
【0014】
一実施例による前記鏡面処理する段階においては、前記ベースの表面が0.1〜0.5μmの粗度を有するように鏡面処理できる。
一実施例による前記ベースを準備する段階において、セラミック材質の母材に前記ガラス状炭素をコーティングして前記ベースを準備することができる。
【発明の効果】
【0015】
上述の本発明の実施例によれば、エピタキシャル工程が行われる工程チャンバーの内部でウェハーが載置されるサセプタのホールを貫通しながら上下へ駆動することで前記ウェハーを実質的に支持するリフトピンを、硬度に優れており、前記ウェハーとの接触部分に対してラウンド加工が可能なガラス状炭素(glassy carbon)材質から製造することで、前記エピタキシャル工程中に反りが発生したウェハーを、スクラッチ、擦り切れなどによるパーティクルの発生なく安定的に支持できる。
【0016】
これによって、前記リフトピンによって前記エピタキシャル工程を行えば、前記ウェハーの表面に、表面粗度の低下のための薄い膜を安定的に形成できる。そのため、前記ウェハーから製造される高集積化した半導体素子の品質を向上させることができるだけでなく、前記半導体素子の歩留まりも高くなる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明の一実施例によるリフトピンが設けられたエピタキシャル装置を概略的に示した構成図である。
図2図1に示したエピタキシャル装置において、エピタキシャル工程前、リフトピンがウェハーを支持した状態を具体的に示した図である。
図3図2において、リフトピンとウェハーとの接触部分を具体的に示した図である。
図4図1に示したエピタキシャル装置において、エピタキシャル工程のためにウェハーがサセプタに載置された状態を具体的に示した図である。
図5図4において、ウェハーがサセプタに載置された部分を具体的に示した図である。
図6図5におけるA部分の拡大図である。
図7図1に示したエピタキシャル装置において、エピタキシャル工程中にウェハーに反りが発生した状態を具体的に示した図である。
図8図1に示したエピタキシャル装置でエピタキシャル工程を行った後、リフトピンが反りの発生したウェハーを支持した状態を具体的に示した図である。
図9図8において、リフトピンとウェハーとの接触部分を具体的に示した図である。
図10図9におけるB部分の拡大図である。
図11図10のリフトピンにおいて、ウェハーと接触するピンヘッドの曲率半径によるスクラッチ及びパーティクルの発生有無を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
発明を実施するための最善の形態
本発明によるリフトピンは、ウェハーを対象としてエピタキシャル工程が行われる工程チャンバーの内部で、前記ウェハーが載置されるサセプタのホールを貫通して前記ウェハーを支持し、表面がガラス状炭素材質からなり、前記ウェハーと接触する上部に形成されるピンヘッドと、前記サセプタのホールを貫通するシャフトと、前記ピンヘッドと前記シャフトとの間で外周面が前記ピンヘッドから前記シャフトに行くほど細くなるように傾いて形成されたピンネックと、を含むことができる。
【0019】
発明を実施するための形態
以下、本発明の実施例は、添付図面を参照して詳細に説明される。しかし、本発明は、以下にて説明される実施例に限定されたとおり構成されるべきものではなく、この他の多様な形で具体化することができる。下記の実施例は、本発明を完全に完成するために提供されるというより、本発明の技術分野における熟練した当業者に、本発明の範囲を十分に伝達するために提供される。
本発明の実施例の一要素が、他の一要素上に配置されるかまたは接続されると説明される場合、上記要素は、前記他の一要素上に直接配置されるかまたは接続されることが可能であり、他の要素が、これらの間に介在されることも可能である。これとは相違に、一要素が他の一要素上に直接配置されるかまたは接続されると説明される場合、それらの間には、更に他の要素があることはない。多様な要素、組成、領域、層、及び/または部分のような、多様な項目を説明するために、第1、第2、第3などの用語を使用することができるが、上記の項目は、これらの用語によって限定されることはない。
【0020】
本発明の実施例で使用された専門用語は、単に特定の実施例を説明するための目的として使用されるものであり、本発明を限定するためのものではない。また、特別に限定しない以上、技術及び科学用語を含む全ての用語は、本発明の技術分野における通常の知識を有する当業者には理解することができる同一の意味を有する。通常の辞書において限定されるものと同じ上記の用語は、関連技術と本発明の説明の文脈からその意味と一致する意味を有するものと解釈され、明確に限定されない限り、理想的にまたは過度に外形的な直感で解釈されない。
【0021】
本発明の実施例は、本発明の理想的な実施例の概略的な図解を参照して説明される。これにより、上記図解の形状からの変化、例えば、製造方法及び/または許容誤差の変化は、十分予想できるものである。したがって、本発明の実施例は、図解として説明された領域の特定形状に限定されるとおり説明されることはなく、形状においての偏差を含み、図面に記載された要素は、全的に概略的なものであり、これらの形状は要素の正確な形状を説明するためのことではなく、また、本発明の範囲を限定することでもない。
【0022】
図1は、本発明の一実施例によるリフトピンが設けられたエピタキシャル装置を概略的に示した構成図である。
図1を参照すれば、エピタキシャル装置100は、工程チャンバー200、ヒーター300、上部ドーム400、下部ドーム500、サセプタ600、リフトピン700及びピン駆動部800を含む。
【0023】
前記工程チャンバー200は、ポリッシング工程が行われたウェハー10を対象としてエピタキシャル工程を行うための空間を提供する。前記工程チャンバー200は、エピタキシャル工程における反応のためのシランガスを内部に注入できるように、側部にガス供給部210及びガス排出部220を含むことができる。
【0024】
前記ヒーター300は、前記工程チャンバー200の内部に設けられる。前記ヒーター300は、前記エピタキシャル工程における反応のための熱を前記ウェハー10に提供する。具体的に、前記ヒーター300は、前記エピタキシャル工程のために前記ウェハー10が約1000〜1400℃の工程温度で加熱されるように熱を提供することができる。このようなヒーター300は、前記工程チャンバー200の内部に設けられることによって実質的に交替しにくい。そのため、前記ヒーター300は、寿命が比較的長く、かつ光によって均一な熱を提供可能なハロゲンランプ(halogen lamp)であり得る。また、前記ヒーター300は、実質的に前記ウェハー10の上部及び下部に均一な熱を提供するために前記工程チャンバー200の内部で上側及び下側に複数設けられ得る。
【0025】
前記上部ドーム400と前記下部ドーム500のそれぞれは、前記工程チャンバー200の内部で前記複数のヒーター300から前記ウェハー10を隔離するために前記上側に設けられたヒーター300の下部及び前記下側に設けられたヒーター300の上部にそれぞれ設けられる。ここで、前記上部ドーム400と前記下部ドーム500とは、前記ヒーター300からの発生した光が通過できるように透明な材質からなる。具体的に、前記上部ドーム400と前記下部ドーム500とは石英(quartz)材質からなり得る。この際、前記上部ドーム400と前記下部ドーム500の両側部は、前記ガス供給部210及び前記ガス排出部220と密に結合する。したがって、前記ウェハー10への前記エピタキシャル工程が行われる空間にシランガスの外に他の気体が流入することを遮断することができる。
【0026】
前記サセプタ600は、前記工程チャンバー200の内部、具体的には前記上部ドーム400と前記下部ドーム500との間に設けられ、前記エピタキシャル工程が行われるうちに前記ウェハー10を支持する。ここで、前記サセプタ600は、硬度が優秀であり、前記ヒーター300からの熱が前記ウェハー10に安定的に伝達されるように熱伝導度に優れたシリコンカーバイド(SiC)材質からなり得る。具体的に、前記サセプタ600は、製作の効率性のためにグラファイト(graphite)材質の母材に前記シリコンカーバイドがコーティングされた構造からなり得る。このようなサセプタ600は、支持具610によって一定の高さに支持し固定されている。
【0027】
前記リフトピン700は、前記サセプタ600に上下方向に形成されたホール620を貫通しながら前記ウェハー10を前記サセプタ600に載置するか、前記サセプタ600から離隔するように支持する。この際、前記リフトピン700は、前記ウェハー10を安定的に支持するために少なくとも三箇所で前記サセプタ600のホール620に貫通して設けられ得る。
【0028】
前記ピン駆動部800は、前記リフトピン700の下部に接続し、前記リフトピン700が上下方向へ駆動できるように直線駆動力を提供する。ここで、前記ピン駆動部800は直線駆動力を直接的に提供するシリンダー(cylinder)構造を含むこともでき、精密制御が求められる場合、サーボモーター(servo motor)と前記サーボモーターの回転力を直線方向に切り換える動力切換器具の結合構造を含むこともできる。
【0029】
以下、前記簡略に説明した本発明によるリフトピン700の特徴について、図2図11を参照してエピタキシャル工程の核心的な段階とともに詳細に説明する。
図2は、図1に示したエピタキシャル装置において、エピタキシャル工程の前にリフトピンがウェハーを支持した状態を具体的に示した図であり、図3は、図2におけるリフトピンとウェハーとの接触部分を具体的に示した図である。
【0030】
図2及び図3を追加的に参照すれば、前記エピタキシャル工程を行うために、先ず、前記リフトピン700を前記サセプタ600から上昇させた状態で外部からポリッシング工程が行われたウェハー10を搬入して前記リフトピン700に支持する。
【0031】
ここで、前記リフトピン700は、上部に前記ウェハー10と直接接触するピンヘッド710と、前記サセプタ600のホール620を貫通するシャフト720と、前記ピンヘッド710と前記シャフト720との間でこれらを連結するピンネック730と、を含む。この際、前記ピンヘッド710の外径が前記シャフト720の外径よりも大きく形成されているため、前記ピンネック730の外周面は、前記ピンヘッド710から前記シャフト720へ行くほど細くなるように傾いて形成され得る。
【0032】
前記エピタキシャル工程が行われる約1000〜1400℃の工程温度で前記リフトピン770が前記ウェハー10を支持しながら前記サセプタ600のホール620に沿って上下方向へ駆動するとき、前記ウェハー10及び前記サセプタ600との摩擦によって基本的にパーティクルが発生しないように前記リフトピン700は十分な硬度を有する必要がある。また、前記リフトピン700が前記ウェハー10を支持するとき、前記リフトピン700が前記ウェハー10との接触によって発生し得るスクラッチまたはパーティクルの発生を基本的に最小化するために、前記ピンヘッド710がウェハー10と点接触できるように前記リフトピン700をラウンド加工する必要がある。
【0033】
なお、前記リフトピン700は、前記硬度と前記ラウンド加工をともに満足するようにガラス状炭素(glassy carbon)からなり得る。具体的に、前記ガラス状炭素は、約147MPa程度の曲げ強度(flexural strength)を有するような十分な強度及び前記強度による硬度を有するセラミック物質であり、約2000℃においてもその特性が変化しない安定的な物質である。また、前記ガラス状炭素は、結晶相を有しているシリコンカーバイド(SiC)に比べてガラス状の液晶状態であることから結晶相が存在しないため、加工性が相対的に優秀であり、前記のラウンド加工が可能であるという特徴を有する。
【0034】
また、前記ガラス状炭素は、ガラス状の液晶状態によって、その表面粗度が他のセラミック物質に比べて約2〜3μm非常に低く形成されることが特徴である。このため、前記リフトピン700を製造するに際し、前記ピンヘッド710、前記シャフト720及び前記ピンネック730を前記ガラス状炭素を用いてベースの形態に加工した後、前記ベースの表面をポリッシングする鏡面処理工程を行うことで、約0.1〜0.5μmの表面粗度を有する非常に滑らかな表面のリフトピン700が容易に得られる。これによって、前記エピタキシャル工程が行われる過程で前記リフトピン700が前記ウェハー10を支持しながら前記サセプタ600のホール620に沿って上下方向へ駆動するとき、前記リフトピン700と前記ウェハー10及び前記サセプタ600との摩擦をさらに減少させ、前記摩擦によるパーティクルの発生をさらに安定的に防止することができる。
【0035】
一方、前述した本発明の一実施例によれば、前記リフトピン700そのものが前記ガラス状炭素からなることとして理解できるが、セラミック材質の母材に前記ガラス状炭素を全体的にコーティングしても前記と同様の結果が得られることを理解できる。このような場合、前記セラミック材質の母材は、アルミナ(Al)、シリコンカーバイド(SiC)及び黒鉛(C)のうちいずれか一つを含むことができる。
【0036】
図4は、図1に示したエピタキシャル装置において、エピタキシャル工程のためにウェハーがサセプタに載置された状態を具体的に示した図であり、図5は、図4において、ウェハーがサセプタに載置された部分を具体的に示した図であり、図6は、図5におけるA部分の拡大図である。
【0037】
図4図6を追加的に参照すれば、続いて前記リフトピン700を前記ピン駆動部800を用いて下降させて、前記ウェハー10が前記サセプタ600に載置されるようにする。
【0038】
この際、前記リフトピン700のピンネック730は、前記エピタキシャル工程を行う過程で前記ガス供給部210から前記ウェハー10に供給されるシランガスが前記サセプタ600のホール620を介して漏出しないようにする必要がある。前記エピタキシャル工程で前記ヒーター300から発生した熱が、前記サセプタ600に載置されたウェハー10に均一に伝達される。しかし、前記ホール620を介して熱の流れが下部構造物などへ損失または漏出することによって前記の熱が前記ウェハー10に均一に伝達されないことがある。そこで、前記エピタキシャル工程によって前記ウェハー10の上に形成される膜に不良が発生しないように前記ホール620に対する十分な気密性を維持する必要がある。このために、前記ピンネック730の傾斜角度a1は、これに結合する前記ホール620の上端部位に形成された傾斜角a2を基準で約±5゜を有することが望ましい。
【0039】
また、前記リフトピン700のシャフト720が前記サセプタ600のホール620の内径d1よりも約2%未満で小さい外径d2を有する場合は、前記ホール620において前記サセプタ600と前記シャフト720との間隔が非常に狭くなる。したがって、前記サセプタ600と前記シャフト720との摩擦力が増加してパーティクルが発生する可能性が増加する。前記リフトピン700のシャフト720が前記サセプタ600のホール620の内径d1よりも約10%を超過する小さい外径d2を有する場合は、前記シャフト720が前記ホール620に沿って上下方向に駆動するとき、水平方向に搖れ得る。これによって前記リフトピン700が前記ウェハー10を安定的に支持できなくなる。そのため、前記リフトピン700のシャフト720は、前記サセプタ600のホール620の内径d1を基準で約2〜10%小さい外径を有することが望ましい。
【0040】
また、前記リフトピン700は表面粗度が約0.1〜0.5μmを有するガラス状炭素からなるため、前記ピン駆動部800と結合する前記リフトピン700の下端面の水平度も精密に維持できる。そのため、前記ピン駆動部800による前記リフトピン700の上下ストローク(stroke)動作も常に一定な位置で行われ得る。
【0041】
図7は、図1に示したエピタキシャル装置において、エピタキシャル工程を行うときにウェハーに反りが発生した状態を具体的に示した図である。図7を追加的に参照すれば、続いて前記サセプタ600に置かれたウェハー10に前記ヒーター300からの熱と前記ガス供給部210からのシランガスを供給し、前記エピタキシャル工程を実質的に行う。この際、前記ヒーター300からの熱によって前記ウェハー10の反り現象が自然に発生する。
【0042】
前記リフトピン700を成しているガラス状炭素が他のセラミック物質に比べて相対的に低い約3〜6W/m.kの熱伝導度を有する。したがって、前記エピタキシャル工程が行われる過程で前記リフトピン700は、前記ヒーター300から伝達された熱の一部のみを前記ウェハー10に伝達する。そのため、前記ウェハー10で前記リフトピン700と接触する部位が劣化することを防止できる。具体的に、前記リフトピン700が、アルミナ(Al)、シリコンカーバイド(SiC)のようにそれぞれ約25〜50W/m.k、110〜130W/m.kの非常に高い熱伝導度を有するセラミック物質からなる場合は、前記リフトピン700を介した熱損失が大きく発生し得る。また、前記リフトピン700の高い熱伝導度によって前記ヒーター300から直接伝達された熱が前記リフトピン700を介して前記ウェハー10にそのまま伝達される。したがって、前記ウェハー10において前記リフトピン700と接触する部位の温度が前記ウェハー10の他の部位の温度よりも高くなるため、前記ウェハー10において前記リフトピン700と接触する部位に劣化の跡が発生し得る。しかし、本発明のように前記リフトピン700がガラス状炭素からなる場合、前記ガラス状炭素の著しく低い熱伝導度によって前記リフトピン700を介した熱損失が抑制され、前記ウェハー10に前記の劣化の跡が発生することを防止できる。
【0043】
図8は、図1に示したエピタキシャル装置においてエピタキシャル工程を行った後にリフトピンが反りの発生したウェハーを支持した状態を具体的に示した図であり、図9は、図8においてリフトピンとウェハーとの接触部分を具体的に示した図である。図10は、図9におけるB部分の拡大図であり、図11は、図9において、リフトピンにおいてウェハーと接触するピンヘッドの曲率半径によるスクラッチ及びパーティクルの発生有無を説明するための図である。
【0044】
図8図11を追加的に参照すれば、続いて前記ピン駆動部800によって前記リフトピン700を上昇させ、前記反りが発生したウェハー10を前記サセプタ600から離隔する。
【0045】
これによって、前記リフトピン700のピンヘッド710と前記反りが発生したウェハー10とが接触する位置は、図3に示した接触点よりも前記ウェハー10の反り程度に応じて所定の間隔g分だけ離隔して形成される。この際、前記反りが発生したウェハー10を安定的に支持するために前記ピンヘッド710は、一定な範囲の曲率半径Rを有する必要がある。以下、前記ピンヘッド710の曲率半径Rについてより詳細に説明する。
【0046】
下記の表1では、300mmサイズのウェハー10を対象として前記ピンヘッド710の曲率半径Rの変化に応じて前記エピタキシャル工程を行ったとき、前記ウェハー10にスクラッチが発生したか、及び前記ウェハー10からパーティクルが発生したかを確認し、その結果を示した。この際、前記ウェハー10からスクラッチ及びパーティクルが発生しなかった場合を良好、発生した場合を不良で示した。
【0047】
【表1】
前記表1を参照すれば、前記ピンヘッド710の曲率半径Rが11mm未満の場合は、スクラッチとパーティクルがともに発生したことが分かり、前記曲率半径Rが17mmを超過する場合は、全部スクラッチが発生したことを確認できた。特に、前記ピンヘッド710の曲率半径Rが約23mmを超過する場合、パーティクルも共に発生したことが分かった。
【0048】
前記結果を参照すれば、前記ピンヘッド710の曲率半半径Rは約11mm未満の場合は、前記ピンヘッド710が前記ウェハー10と接触する接触点に応力が集中した状態で前記ウェハー10の反りによって前記接触点が移動しながらスクラッチとパーティクルが発生したように見えるため、望ましくない。そして、前記ピンヘッド710の曲率半径Rが約17mm超過する場合は、前記ピンヘッド710と前記ウェハー10との局部接触面積が大きすぎ、前記ピンヘッド710のエッジ部位に接触応力が集中してスクラッチが発生したように見えるため、望ましくない。特に、前記ピンヘッド710の曲率半径Rが約23mmを超過する場合は、前記ピンヘッド710が略平坦な形状を有しながら前記ウェハー10と接触することからパーティクルが発生したように見えるため、さらに望ましくない。したがって、前記ピンヘッド710の前記ウェハー10と接触する部分は、曲率半径Rが約11〜17mmであることが望ましい。
【0049】
本実施例において、前記ピンヘッド710の曲率半径Rの範囲を確認するために前記300mmサイズのウェハー10を対象として実験を行ったが、この外の20mmまたは400mmサイズのウェハー10に対してはその反り現象による曲率半径の差が前記30mmサイズのウェハー10に比べて約1mm未満であるため、前述のピンヘッド710の曲率半径Rの範囲は、前記の200mmまたは400mmサイズのウェハー10に対してもそのまま適用可能なことが理解できる。
【0050】
この後、前記エピタキシャル工程が行われて前記リフトピン700によって安定して支持されたウェハー10を外部に搬出し、線幅が約12〜16nmである高集積化した半導体素子を製造する工程を行う。
【0051】
このように、前記エピタキシャル工程が行われる工程チャンバー200の内部で前記ウェハー10が載置されるサセプタ600のホール620を貫通しながら上下へ駆動して前記ウェハー10を実質的に支持するリフトピン700を、硬度が優秀で、かつ、前記ウェハー10と接触する部分に対してラウンド加工が可能なガラス状炭素材質から製造することで、前記エピタキシャル工程中に反りが発生したウェハー10を、スクラッチ及びパーティクルが発生することなく安定的に支持できる。
【0052】
これによって、前記リフトピン700を介して前記エピタキシャル工程を行えば、前記ウェハー10の表面に表面粗度の低下のための薄い膜を安定的に形成できる。そのため、前記ウェハー10を用いて製造される線幅が高集積化した半導体素子の品質を向上させることができるだけでなく、前記半導体素子に対する歩留まりも高くなる。
【0053】
以上のように、本発明の望ましい実施例を参照して説明したが、本発明の技術分野における熟練した当業者が下記の特許請求の範囲に記載の本発明の思想及び領域から脱しない範囲内で多様な修正及び変形が可能であることは言うまでもない。
【産業上の利用可能性】
【0054】
上述のように、本発明は、エピタキシャル工程に用いられるリフトピンを、ウェハーとの接触部分をラウンド加工したガラス状炭素材質から製作することで、前記エピタキシャル工程を行う過程で前記リフトピンによってスクラッチ及びパーティクルが発生することを防止し、前記ウェハーの品質を向上させるのに活用することができる。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11