(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
測定システムおよび標準光源を用意するステップを備え、前記測定システムは、互いに対向する位置に形成された入射窓および試料窓を有する積分器と、前記試料窓から所定距離だけ離れた位置に形成された観測窓を通じて、前記積分器の照度を測定する受光器と、前記積分器内の前記試料窓と前記観測窓とを結ぶ光学経路上に配置されたバッフルとを含み、
前記試料窓に反射率が既知の拡散反射部材が装着されるとともに、前記積分器の外部に配置した前記標準光源からの光が前記入射窓を通じて前記積分器内に導入される第1の状態において、前記受光器から出力される第1の測定値を取得するステップと、
前記試料窓に試料光源が装着されるとともに、前記入射窓を通じた前記積分器内への光が遮断される第2の状態において、前記受光器から出力される第2の測定値を取得するステップと、
前記第1の測定値および前記第2の測定値に基づいて、前記試料光源の光学特性を算出するステップとを備える、測定方法。
測定システムおよび標準光源を用意するステップを備え、前記測定システムは、互いに対向する位置に形成された入射窓および試料窓を有する積分器と、前記試料窓から所定距離だけ離れた位置に形成された観測窓を通じて、前記積分器の照度を測定する受光器と、前記積分器内の前記試料窓と前記観測窓とを結ぶ光学経路上に配置されたバッフルとを含み、
前記試料窓に前記標準光源が装着されるとともに、前記入射窓を通じた前記積分器内への光が遮断される第1の状態において、前記受光器から出力される第1の測定値を取得するステップと、
前記試料窓に反射率が既知の拡散反射部材が装着されるとともに、試料光源からの光が前記入射窓を通じて前記積分器内に導入される第2の状態において、前記受光器から出力される第2の測定値を取得するステップと、
前記第1の測定値および前記第2の測定値に基づいて、前記試料光源の光学特性を算出するステップとを備える、測定方法。
【発明を実施するための形態】
【0021】
本発明の実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、図中の同一または相当部分については、同一符号を付してその説明は繰返さない。
【0022】
<A.背景技術および課題>
まず、背景技術の概要および背景技術における課題について説明する。
【0023】
図1は、本発明の背景技術に従う測定方法を説明するための模式図である。
図1に示す構成は、非特許文献2および非特許文献3に開示される構成に相当する。すなわち、
図1には、積分球の外部に配置された標準光源40からの光を積分球内に導入する光学系を示す。
図1(A)には、標準光源40を用いた校正時の光学系を示し、
図1(B)には、試料光源30に対する測定時の光学系を示す。
【0024】
図1(A)を参照して、本発明の背景技術に従う測定システム200は積分球1を含む。積分球1には、入射窓12および観測窓14が形成されている。入射窓12の近傍には精密アパーチャー13が配置されており、観測窓14には受光器20が配置されている。
【0025】
入射窓12を積分球1の外部に配置された標準光源40からの光が通過する。標準光源40は、分光放射照度標準光源であり、典型的には、分光放射照度標準電球および分光放射照度標準重水素ランプなどが用いられる。
【0026】
一般的に、分光放射照度標準光源には、光源から校正光軸方向に500mm離れた位置における分光放射照度P(μW/cm
2)が値付けられている。測定システム200において、分光放射照度標準光源である標準光源40が値付けされている位置(一般的には、500mm)に精密アパーチャー13が配置される。精密アパーチャー13は、開口面積A(cm
2)が精密に定義された開口部を有している。すなわち、測定システム200においては、開口面積が既知の精密アパーチャー13が入射窓12と標準光源40との間に配置される。
【0027】
標準光源40から精密アパーチャー13を通過して積分球1内に入射する光の放射束Φ
STは、以下の(1)式のように算出できる。
【0028】
Φ
ST=P×A ・・・(1)
積分球1内に入射した放射束は、積分球1の入射窓12に対向する積分球1の内壁にスポット状の照射面を形成する。積分球1内の照射面で反射した放射束は、積分球1の内壁で多重反射することにより、積分球1の内壁に一定の放射照度を生じさせる。
【0029】
受光器20には、観測窓14を通じて、積分球1内に存在する光の一部が入射する。より具体的には、受光器20の検出部の前段には、拡散透過部材22が配置される。拡散透過部材22は、受光器20で受光される光の斜入射光特性が余弦則を満たされることを目的として配置される。これにより、受光器20は、観測窓14を通じて、積分球1の内壁に生じる放射照度の大きさに応じた測定値を出力することになる。
【0030】
積分球1の内壁に形成されたスポット状の照射面からの一次反射光が受光器20に直接入射することは、測定誤差要因となる。そのため、スポット状の照射面と受光器20との間に、受光器20へ光が直接入射することを防止するためのバッフル6が配置される。
【0031】
図1(A)に示すように、標準光源40を配置したときの受光器20の測定値I
STが標準光源40からの放射束Φ
STと対応付けて格納される。
【0032】
次に、
図1(B)を参照して、標準光源40および精密アパーチャー13に代えて、LEDなどの試料光源30が入射窓12に装着される。そして、試料光源30を点灯したときの受光器20の測定値I
SMPが取得される。標準光源40について取得された測定値I
STおよび放射束Φ
STを用いて、試料光源30の放射束Φ
SMPは、以下の(2)式のように算出される。
【0033】
Φ
SMP=Φ
ST×I
SMP/I
ST ・・・(2)
試料光源30から放射される光が受光器20に直接入射することは、測定誤差要因となる。そのため、試料光源30が装着される入射窓12と受光器20との間に、受光器20へ光が直接入射することを防止するためのバッフル8が配置される。
【0034】
図1(A)および
図1(B)に示すように、標準光源40を用いた校正時および試料光源30に対する測定時のいずれにおいても、積分球1内の構造を同一にする必要がある。すなわち、バッフル6およびバッフル8は、いずれの場合にも積分球1内に存在することになる。
【0035】
ここで、測定対象となる試料光源30の配光特性は様々である。本願発明者らは、試料光源30の配光特性によっては、試料光源30から放射される光が迷光となって測定誤差を生じ得るという新たな課題を見出した。すなわち、試料光源30から放射されてバッフル6で反射した光が受光器20に直接入射することで、測定誤差を生じ得る。
【0036】
このように、非特許文献2および非特許文献3に開示される測定方法においては、積分球1の外部に配置された標準光源40(分光放射照度標準光源)からの光を積分球1内に導入する光学系を採用する。この光学系においては、校正時には、外部に配置された標準光源40から積分球1内に導入された光を積分球1の内壁で反射させたものを放射束標準としているが、測定時には、標準光源40からの光が反射する照射面とは異なる位置に、試料光源30が配置される。この結果、積分球1において光束が入射する位置に依存する空間応答度分布関数(SRDF:Spatial Response Distribution Function)が同一とはならず、この結果、測定誤差を生じ得る。
【0037】
本願発明者らは、上述したような新たな課題およびその原因などにも基づいて、積分球1において光束が入射する位置を校正時および測定時において実質的に同一にできる測定システムを発明するに至った。
【0038】
<B.実施の形態1>
まず、実施の形態1に従う測定システム100Aについて説明する。
【0039】
(b1:構造)
図2は、実施の形態1に従う測定システム100Aの概略構成および測定方法を説明するための模式図である。
図2(A)には、標準光源40を用いた校正時の光学系を示し、
図2(B)には、試料光源30に対する測定時の光学系を示す。
【0040】
図2(A)および
図2(B)を参照して、測定システム100Aは、全球型の積分器である積分球2と、処理装置150とを含む。積分球2は、全球型の積分空間を有している。以下では、積分球2を全球型の積分器の一例として説明する。
【0041】
積分球2は、その内壁に光拡散反射層を有しており、光拡散反射層での光の多重反射によって、全球型の積分空間を形成する。光拡散反射層は、典型的には、硫酸バリウムまたはPTFE(polytetrafluoroethylene)などの光拡散材料を塗布または吹付けることによって形成される。
【0042】
積分球2には、入射窓12、観測窓14および試料窓16が設けられている。入射窓12および試料窓16は、積分球2内において互いに対向する位置に形成されている。
【0043】
入射窓12は、積分球2の外部に配置された標準光源40から放射される光を積分球2内に導入するための開口である。入射窓12の近傍には精密アパーチャー13が配置される。
図2(A)に示す標準光源40を用いた校正時には、積分球2の外部に配置された標準光源40からの光が、入射窓12および精密アパーチャー13を通じて積分球2内に入射する。
図2(B)に示す試料光源30に対する測定時には、入射窓12に遮光蓋42が装着される。
【0044】
このように、入射窓12は、積分球2の外部に配置された標準光源40(あるいは、後述の試料光源34)からの光の積分球2内への導入と遮断とを選択可能に構成されている。
【0045】
標準光源40は、予め指定された機関によって光学特性値が値付けされた光源である。実施の形態1においては、標準光源40は、分光放射照度標準光源であり、典型的には、分光放射照度標準電球および分光放射照度標準重水素ランプなどが用いられる。実施の形態1においては、標準光源40は、2πの配光特性を有しているものとする。なお、以下の実施の形態においても同様である。
【0046】
観測窓14は、試料窓16から所定距離だけ離れた位置に形成されて、積分球2内の照度を測定するための開口である。観測窓14を通じて、受光器20が積分球2と連通される。受光器20は、観測窓14を通じて、積分球2の照度を測定する。より具体的には、受光器20は、積分球2の内壁に生じる放射照度の大きさに応じた測定値を出力する。
図2(A)および
図2(B)には、積分球2に受光器20が直接配置されている構成例を示すが、これに限らず、例えば、観測窓14と受光器20との間を光ファイバなどにより光学的に接続することで、受光器20を積分球2から離れた位置に配置してもよい。以下に説明する他の実施の形態おいても同様である。
【0047】
試料窓16は、積分球2内において実質的に光束を発生させる部分に相当する。
図2(A)に示す標準光源40を用いた校正時には、試料窓16には拡散反射部材50が装着される。
図2(B)に示す試料光源30に対する測定時には、試料窓16には試料光源30が装着される。通常、試料光源30は様々な大きさを有しているので、試料光源30は、試料窓16に装着するための支持部材32上に配置される。
【0048】
このように、試料窓16は、反射率ρが既知の拡散反射部材50と試料光源30(あるいは、後述の標準光源44)とを選択的に装着可能に構成されている。
【0049】
試料窓16に装着される拡散反射部材50からの一次反射光または試料光源30からの直接光が受光器20に入射することを防止ためのバッフル6が配置される。バッフル6は、積分球2内の試料窓16と観測窓14とを結ぶ光学経路上に配置されている。バッフル6は、受光器20の視野内に試料窓16が含まれないような大きさおよび位置に設けられる。
【0050】
処理装置150は、受光器20から出力される測定値を処理することで、試料光源30の光学特性を算出する。処理装置150は、典型的には、汎用コンピュータによって実現される。汎用コンピュータによって実現される場合、プロセッサがハードディスクなどのストレージにインストールされているプログラムをメモリに展開して実行することで、処理装置150が実現される。処理装置150に必要な機能の一部または全部を専用のハードワイヤード回路で実現してもよい。
【0051】
実施の形態1においては、試料光源30の光学特性として、試料光源30の全光束(lm)を算出する例について説明するが、これに限らず、試料光源30の放射束(W)を算出するようにしてもよい。後述する他の実施の形態および各変形例についても同様である。
【0052】
(b2:校正時の光学系)
次に、
図2(A)を参照して、標準光源40を用いた校正時の光学系について説明する。標準光源40を用いた校正時においては、標準光源40から放射される光を、精密アパーチャー13を通じて積分球2内に導入する。典型的には、標準光源40は、入射窓12および試料窓16の各中心を通過する光軸AX1上に配置される。
【0053】
一般的に、分光放射照度標準光源には、光源から校正光軸方向に500mm離れた位置における分光放射照度P(μW/cm
2)が値付けられている。測定システム100Aにおいて、分光放射照度標準光源である標準光源40が値付けされている位置(一般的には、500mm)に精密アパーチャー13が配置される。精密アパーチャー13は、開口面積A(cm
2)が精密に定義された開口部を有している。
【0054】
標準光源40から精密アパーチャー13を通過して積分球2内に入射する光の放射束Φ
STは、以下の(3)式のように算出できる。
【0055】
Φ
ST=P×A ・・・(3)
積分球2内に入射した放射束は、積分球2の入射窓12に対向する試料窓16に装着された拡散反射部材50にスポット状の照射面を形成する。
【0056】
拡散反射部材50は、反射率が既知の拡散反射板であり、反射率標準として機能する。拡散反射部材50は、標準光源40から放射される光が形成するスポット状の照射面をすべて含むような大きさのものが用いられる。すなわち、形成されるスポット状の照射面が拡散反射部材50から溢れないように構成される。
【0057】
拡散反射部材50の反射率をρとすれば、拡散反射部材50で反射されて積分球2内に生じる放射束Φ
Rは、以下の(4)式のように算出できる。
【0058】
Φ
R=ρ×Φ
ST=ρ×P×A ・・・(4)
すなわち、
図2(A)に示される光学系においては、放射束Φ
Rをもつ放射束標準光源を試料窓16で点灯したのと同じ状態であるとみなすことができる。試料窓16から放射される放射束は、積分球2の内壁で多重反射することにより、積分球2の内壁には一定の放射照度を生じさせる。
【0059】
(b3:測定時の光学系)
次に、
図2(B)を参照して、試料光源30に対する測定時の光学系について説明する。試料光源30に対する測定時においては、試料光源30が積分球2内に配置される。すなわち、拡散反射部材50に代えて、試料光源30が試料窓16に装着される。様々な大きさの試料光源30に対応するために、試料窓16への装着に適合された支持部材32が用いられる。試料光源30は支持部材32に装着された上で、試料光源30および支持部材32が試料光源30に装着される。
図2(B)に示される状態で、試料光源30は点灯される。
【0060】
また、入射窓12には遮光蓋42が装着される。遮光蓋42の装着により、積分球2の外部からの光が遮断される。そのため、積分球2内には、試料光源30から放射される放射束のみが存在することになる。
【0061】
試料光源30から放射される放射束のうち、受光器20に向かう成分はバッフル6で反射されて、受光器20に直接入射することが妨げられる。
【0062】
図2(B)に示される状態で試料光源30を点灯したときに取得される受光器20の測定値I
SMPをすると、標準光源40について取得された測定値I
STおよび放射束Φ
ST、ならびに、拡散反射部材50の反射率ρを用いて、試料光源30の放射束Φ
SMPは、以下の(5)式のように算出される。
【0063】
Φ
SMP=ρ×Φ
ST×I/I
0 ・・・(5)
さらに、(5)式に従って算出される放射束Φに最大視感効果度K[lm/W]を乗じることで、試料光源30の全光束を測定できる。すなわち、試料光源30の全光束Φ
LM,SMP[lm]は、以下の(6)式のように算出される。
【0064】
Φ
LM,SMP=K×Φ
SMP ・・・(6)
(b4:測定処理手順)
次に、実施の形態1に従う測定システム100Aを用いた測定処理手順について説明する。
【0065】
図3は、実施の形態1に従う測定システム100Aを用いた測定処理手順の一例を示すフローチャートである。
図3を参照して、まず、積分球2を含む測定システム100Aおよび標準光源40が用意される(ステップS100)。標準光源40の分光放射照度(分光放射照度P)は既知である。
【0066】
続いて、積分球2の試料窓16に拡散反射部材50(反射率ρ)が装着される(ステップS102)。また、標準光源40と精密アパーチャー13との位置関係が調整される(ステップS104)。そして、標準光源40を点灯させる(ステップS106)とともに、標準光源40が点灯された状態で受光器20から出力される測定値(測定値I
ST)が取得される(ステップS108)。測定値の取得後、標準光源40は消灯される。
【0067】
ステップS102〜S108の処理手順は、標準光源40を用いた校正処理に相当する。この校正処理においては、試料窓16に拡散反射部材50が装着されるとともに、標準光源40からの光が入射窓12を通じて積分球2内に導入される第1の状態において、受光器20から出力される第1の測定値(測定値I
ST)が取得される。
【0068】
続いて、試料窓16に装着されている拡散反射部材50に代えて、試料光源30が装着される(ステップS112)。また、入射窓12に遮光蓋42が装着される(ステップS114)。そして、試料光源30を点灯させる(ステップS116)とともに、試料光源30が点灯された状態で受光器20から出力される測定値(測定値I
SMP)が取得される(ステップS118)。測定値の取得後、試料光源30は消灯される。
【0069】
処理装置150は、ステップS108において取得された測定値I
STおよびステップS118において取得された測定値I
SMPを用いて、試料光源30の全光束を算出する(ステップS120)。
【0070】
ステップS112〜S120の処理手順は、試料光源30に対する測定処理に相当する。この測定処理においては、試料窓16に試料光源30が装着されるとともに、入射窓12を通じた積分球2内への光が遮断される第2の状態において、受光器20から出力される第2の測定値(測定値I
SMP)が取得される。そして、処理装置150は、試料光源30の光学特性としての全光束を算出する。そして、処理は終了する。
【0071】
図3には、典型例として、標準光源40を用いた校正処理に引き続いて、試料光源30に対する測定処理を実行する処理手順を示したが、2つの処理の実行順序はこれに限定されない。例えば、試料光源30に対する測定処理を先に実行した上で、標準光源40を用いた校正処理を実行してもよい。また、複数の試料光源30の全光束を測定しなければならない場合も多く、この場合には、試料光源30に対する測定処理毎に標準光源40を用いた校正処理を実行する必要はなく、例えば、先に、標準光源40を用いた校正処理を実行した後に、複数の試料光源30に各々に対する測定処理を順序実行するようにしてもよい。この点については、以下に説明する他の実施の形態についても同様である。
【0072】
(b5:利点)
実施の形態1に従う測定システム100Aによれば、標準光源40を用いた校正処理、および、試料光源30に対する測定処理のいずれにおいても、放射束が発生する位置を実質的に同一に維持できる。そのため、両処理の間で空間応答度分布関数を実質的に同一に維持できるので、測定誤差の発生を低減できる。
【0073】
また、実施の形態1に従う測定システム100Aによれば、積分球2内に配置されるバッフルの数を低減できるので、積分球2内の光吸収による誤差要因を低減できる。
【0074】
<C.実施の形態1の変形例>
実施の形態1の変形例として、実施の形態1に従う測定システム100Aに対して、光源の自己吸収補正を可能にした測定システム100Bについて説明する。
【0075】
図4は、実施の形態1の変形例に従う測定システム100Bの概略構成および測定方法を説明するための模式図である。
図4(A)には、標準光源40を用いた校正時の光学系を示し、
図4(B)には、試料光源30に対する測定時の光学系を示す。
【0076】
図4(A)および
図4(B)を参照して、測定システム100Bは、
図2(A)および
図2(B)に示される測定システム100Aに比較して、積分球2内に自己吸収補正用光源60およびバッフル62がさらに設けられている。バッフル62は、自己吸収補正用光源60からの光が受光器20、精密アパーチャー13、および拡散反射部材50に直接入射することを防止できる大きさおよび位置に設けられる。
【0077】
自己吸収補正用光源60は、測定時において試料光源30または標準光源40に生じる自己吸収による測定誤差の補正に用いられる。すなわち、処理装置150は、自己吸収補正用光源60が点灯している状態において受光器20から出力される測定値に基づく自己吸収補正処理を実行する。自己吸収補正処理の詳細については後述する。
【0078】
実施の形態1の変形例において、積分球2の外部に配置される標準光源40の自己吸収は、拡散反射部材50の反射率ρが積分球2の内壁に形成された拡散反射層の平均反射率と同等またはそれ以上であれば、実質的に無視できる。そのため、以下の説明では、試料光源30に生じる自己吸収を補正することを想定している。但し、標準光源40に生じる自己吸収についても補正するようにしてもよい。
【0079】
次に、実施の形態1の変形例に従う測定システム100Bを用いた測定処理手順について説明する。
【0080】
図5は、実施の形態1の変形例に従う測定システム100Bを用いた測定処理手順の一例を示すフローチャートである。
図5に示すフローチャートに含まれる処理のうち、
図3に示すフローチャートと同一の処理については、同一のステップ番号を付している。
【0081】
図5を参照して、まず、積分球2を含む測定システム100Bおよび標準光源40が用意される(ステップS100)。標準光源40の分光放射照度(分光放射照度P)は既知である。
【0082】
続いて、積分球2の試料窓16に拡散反射部材50(反射率ρ)が装着される(ステップS102)。また、標準光源40と精密アパーチャー13との位置関係が調整される(ステップS104)。そして、標準光源40を点灯させる(ステップS106)とともに、標準光源40が点灯された状態で受光器20から出力される測定値(測定値I
ST)が取得される(ステップS108)。測定値の取得後、標準光源40は消灯される。ステップS102〜S108の処理手順は、標準光源40を用いた校正処理に相当する。
【0083】
続いて、標準光源40を消灯した状態で自己吸収補正用光源60を点灯させる(ステップS122)とともに、自己吸収補正用光源60が点灯された状態で受光器20から出力される測定値(測定値I
ST_1)が取得される(ステップS124)。ステップS122およびS124は、自己吸収補正処理の一部に相当する。
【0084】
続いて、試料窓16に装着されている拡散反射部材50に代えて、試料光源30が装着される(ステップS112)。また、入射窓12に遮光蓋42が装着される(ステップS114)。そして、試料光源30を点灯させる(ステップS116)とともに、試料光源30が点灯された状態で受光器20から出力される測定値(測定値I
SMP)が取得される(ステップS118)。測定値の取得後、試料光源30は消灯される。
【0085】
続いて、試料光源30を消灯した状態で自己吸収補正用光源60を点灯させる(ステップS126)とともに、自己吸収補正用光源60が点灯された状態で受光器20から出力される測定値(測定値I
SMP_1)が取得される(ステップS128)。ステップS126およびS128は、自己吸収補正処理の一部に相当する。
【0086】
処理装置150は、ステップS108において取得された測定値I
STおよびステップS118において取得された測定値I
SMPを用いて、試料光源30の全光束を算出する(ステップS121)。
【0087】
具体的な手順としては、ステップS124において取得された測定値I
ST_1およびステップS128において取得された測定値I
SMP_1を用いて、自己補正係数αが以下の(7)式のように算出される。
【0088】
α=I
ST,1/I
SMP,1 ・・・(7)
(7)式に従って算出される自己補正係数αを、上述の(6)式に従って算出される全光束Φ
LM,SMPに乗じることで、自己吸収を補正した後の試料光源30の全光束を算出できる。
【0089】
ステップS112〜S118,S121の処理手順は、試料光源30に対する測定処理に相当する。そして、処理は終了する。
【0090】
図5には、典型例として、標準光源40を用いた校正処理の後に、標準光源40についての自己吸収補正処理を実行し、続いて、試料光源30に対する測定処理および試料光源30についての自己吸収補正処理を実行する処理手順を示したが、これらの処理の実行順序はこれに限定されない。例えば、試料光源30に対する測定処理および試料光源30についての自己吸収補正処理を先に実行した上で、標準光源40を用いた校正処理および標準光源40についての自己吸収補正処理を実行してもよい。また、複数の試料光源30の全光束を測定しなければならない場合も多く、この場合には、試料光源30に対する測定処理毎に標準光源40を用いた校正処理および標準光源40についての自己吸収補正処理を実行する必要はなく、例えば、先に、標準光源40を用いた校正処理および標準光源40についての自己吸収補正処理を実行した後に、複数の試料光源30に各々に対する測定処理および試料光源30についての自己吸収補正処理を順序実行するようにしてもよい。この点については、以下に説明する他の実施の形態についても同様である。
【0091】
実施の形態1の変形例に従う測定システム100Bによれば、上述の実施の形態1に従う測定システム100Aにおける利点に加えて、測定時に試料光源30に生じ得る自己吸収を補正して、より正確な全光束測定が可能となる。
【0092】
<D.実施の形態2>
次に、実施の形態2として、実施の形態1に従う測定システム100Aにおける標準光源40と試料光源30との配置位置を実質的に入れ替えた構成について説明する。
【0093】
(d1:構造)
図6は、実施の形態2に従う測定システム100Cの概略構成および測定方法を説明するための模式図である。
図6(A)には、標準光源44を用いた校正時の光学系を示し、
図6(B)には、試料光源34に対する測定時の光学系を示す。
【0094】
実施の形態2に従う測定システム100Cは、典型的には、レーザ光源のようなビーム状の光を放射する光源を試料光源34とするような場合に好適である。実施の形態2においては、ビーム状の光を放射する試料光源34であっても、2πの配光特性をもつ標準光源44を用いて全光束などを測定できる。
【0095】
実施の形態2に従う測定システム100Cの構成は、上述の実施の形態1に従う測定システム100Aと同様であるので、各部材の詳細な説明については繰返さない。但し、精密アパーチャー13については必ずしも配置する必要はない。
【0096】
(d2:校正時の光学系)
次に、
図6(A)を参照して、標準光源44を用いた校正時の光学系について説明する。標準光源44を用いた校正時においては、試料窓16には標準光源44が装着される。実施の形態2においては、標準光源44は、全光束が値付けされた全光束標準光源であり、典型的には、LEDなどの2πの配光特性をもつ発光体が用いられる。
【0097】
通常、標準光源44の大きさと試料窓16の大きさとを適合させるために、標準光源44は、試料窓16に装着するための支持部材46上に配置される。
【0098】
また、入射窓12には遮光蓋42が装着される。遮光蓋42の装着により、積分球2の外部からの光が遮断される。そのため、積分球2内には、標準光源44から放射される放射束のみが存在することになる。
【0099】
(d3:測定時の光学系)
次に、
図6(B)を参照して、試料光源34に対する測定時の光学系について説明する。試料光源34に対する測定時においては、試料光源34が積分球2の外部に配置される。すなわち、入射窓12から遮光蓋42が取り外され、試料窓16および入射窓12を通る光軸AX2に沿って試料光源34が配置される。
【0100】
また、標準光源40に代えて、拡散反射部材50が試料窓16に装着される。拡散反射部材50の反射率ρは既知である。拡散反射部材50は、試料光源34から放射される光が形成する照射面をすべて含むような大きさのものが用いられる。すなわち、形成される試料光源34による照射面が拡散反射部材50から溢れないように構成される。
【0101】
図6(A)に示される状態で標準光源44を点灯したときに、標準光源44から積分球2内に放射される全光束をΦ
LM,ST[lm]とし、受光器20の測定値I
SMPをする。
【0102】
一方、
図6(B)に示される状態で試料光源34を点灯したときに、試料光源34から拡散反射部材50に照射される全光束をΦ
LM,SMP[lm]とする。また、試料光源34を点灯したときに取得された受光器20の測定値をI
SMPとする。
【0103】
試料光源30からの光が拡散反射部材50で反射されて積分球2内に生じる全光束Φ
LM,SMP,Rは、以下の(8)式のように算出できる。
【0104】
Φ
LM,SMP,R=ρ×Φ
LM,SMP ・・・(8)
したがって、標準光源44を用いた校正時において取得された測定値I
ST、および、試料光源34に対する測定時において取得された測定値I
SMPを用いて、試料光源34の全光束Φ
LM,SMPは、以下の(9)式のように算出される。
【0105】
Φ
LM,SMP=1/ρ×Φ
LM,ST×I/I
0 ・・・(9)
以上のような処理によって、試料光源34の全光束を測定できる。
【0106】
(d4:測定処理手順)
次に、実施の形態2に従う測定システム100Cを用いた測定処理手順について説明する。
【0107】
図7は、実施の形態2に従う測定システム100Cを用いた測定処理手順の一例を示すフローチャートである。
図7を参照して、まず、積分球2を含む測定システム100Cおよび標準光源44が用意される(ステップS200)。標準光源44の全光束は既知である。
【0108】
続いて、積分球2の試料窓16に標準光源44が装着される(ステップS202)。また、積分球2の入射窓12に遮光蓋42が装着される(ステップS204)。そして、標準光源44を点灯させる(ステップS206)とともに、標準光源44が点灯された状態で受光器20から出力される測定値(測定値I
ST)が取得される(ステップS208)。測定値の取得後、標準光源44は消灯される。
【0109】
ステップS202〜S208の処理手順は、標準光源44を用いた校正処理に相当する。この校正処理においては、試料窓16に標準光源44が装着されるとともに、入射窓12を通じた積分球2内への光が遮断される第1の状態において、受光器20から出力される第1の測定値(測定値I
ST)が取得される。
【0110】
続いて、試料窓16に装着されている標準光源44に代えて、拡散反射部材50が装着される(ステップS212)。また、試料光源34と入射窓12および試料窓16との位置関係が調整される(ステップS214)。そして、試料光源34を点灯させる(ステップS216)とともに、試料光源34が点灯された状態で受光器20から出力される測定値(測定値I
ST)が取得される(ステップS218)。測定値の取得後、試料光源34は消灯される。
【0111】
処理装置150は、ステップS208において取得された測定値I
STおよびステップS218において取得された測定値I
SMPを用いて、試料光源34の全光束を算出する(ステップS220)。ステップS212〜S220の処理手順は、試料光源34に対する測定処理に相当する。この測定処理においては、試料窓16に拡散反射部材50が装着されるとともに、試料光源34からの光が積分球2内へ導入される第2の状態において、受光器20から出力される第2の測定値(測定値I
SMP)が取得される。そして、処理装置150は、試料光源30の光学特性としての全光束を算出する。そして、処理は終了する。
【0112】
(d5:利点)
実施の形態2に従う測定システム100Cによれば、標準光源44を用いた校正処理、および、試料光源34に対する測定処理のいずれにおいても、光束が発生する位置を実質的に同一に維持できる。そのため、両処理の間で空間応答度分布関数を実質的に同一に維持できるので、測定誤差の発生を低減できる。
【0113】
また、実施の形態2に従う測定システム100Cによれば、積分球2内に配置されるバッフルの数を低減できるので、積分球2内の光吸収による誤差要因を低減できる。
【0114】
また、実施の形態2に従う測定システム100Cによれば、レーザ光源のようなビーム状の光を放射する光源の全光束の測定を容易化できる。
【0115】
<E.実施の形態2の変形例>
実施の形態2の変形例として、実施の形態2に従う測定システム100Cに対して、光源の自己吸収補正を可能にした測定システム100Dについて説明する。
【0116】
図8は、実施の形態2の変形例に従う測定システム100Dの概略構成および測定方法を説明するための模式図である。
図8(A)には、標準光源44を用いた校正時の光学系を示し、
図8(B)には、試料光源34に対する測定時の光学系を示す。
【0117】
図8(A)および
図8(B)を参照して、測定システム100Dは、
図6(A)および
図6(B)に示される測定システム100Cに比較して、積分球2内に自己吸収補正用光源60およびバッフル62がさらに設けられている。バッフル62は、自己吸収補正用光源60からの光が受光器20および拡散反射部材50に直接入射することを防止できる大きさおよび位置に設けられる。
【0118】
自己吸収補正用光源60およびバッフル62については、
図4(A)および
図4(B)に示される測定システム100Bにおいて採用される自己吸収補正用光源60およびバッフル62と実質的に同一であるので、ここでは、詳細な説明は繰返さない。
【0119】
測定システム100Dにおいて、積分球2の外部に配置される試料光源34の自己吸収は、拡散反射部材50の反射率ρが積分球2の内壁に形成された拡散反射層の平均反射率と同等またはそれ以上であれば、実質的に無視できる。
【0120】
そのため、以下の説明では、試料光源34に生じる自己吸収を補正することを想定している。但し、試料光源34に生じる自己吸収についても補正するようにしてもよい。
【0121】
次に、実施の形態2の変形例に従う測定システム100Dを用いた測定処理手順について説明する。
【0122】
図9は、実施の形態2の変形例に従う測定システム100Dを用いた測定処理手順の一例を示すフローチャートである。
図9に示すフローチャートに含まれる処理のうち、
図7に示すフローチャートと同一の処理については、同一のステップ番号を付している。
【0123】
図9を参照して、まず、積分球2を含む測定システム100Cおよび標準光源44が用意される(ステップS200)。標準光源44の全光束は既知である。
【0124】
続いて、積分球2の試料窓16に標準光源44が装着される(ステップS202)。また、積分球2の入射窓12に遮光蓋42が装着される(ステップS204)。そして、標準光源44を点灯させる(ステップS206)とともに、標準光源44が点灯された状態で受光器20から出力される測定値(測定値I
ST)が取得される(ステップS208)。測定値の取得後、標準光源44は消灯される。ステップS202〜S208の処理手順は、標準光源44を用いた校正処理に相当する。
【0125】
続いて、標準光源44を消灯した状態で自己吸収補正用光源60を点灯させる(ステップS222)とともに、自己吸収補正用光源60が点灯された状態で受光器20から出力される測定値(測定値I
ST_1)が取得される(ステップS224)。ステップS222およびS224は、自己吸収補正処理の一部に相当する。
【0126】
続いて、試料窓16に装着されている標準光源44に代えて、拡散反射部材50が装着される(ステップS212)。また、試料光源34と入射窓12および試料窓16との位置関係が調整される(ステップS214)。そして、試料光源34を点灯させる(ステップS216)とともに、試料光源34が点灯された状態で受光器20から出力される測定値(測定値I
SMP)が取得される(ステップS218)。測定値の取得後、試料光源34は消灯される。
【0127】
続いて、試料光源34を消灯した状態で自己吸収補正用光源60を点灯させる(ステップS226)とともに、自己吸収補正用光源60が点灯された状態で受光器20から出力される測定値(測定値I
SMP_1)が取得される(ステップS228)。ステップS226およびS228は、自己吸収補正処理の一部に相当する。
【0128】
処理装置150は、ステップS208において取得された測定値I
ST、ステップS224において取得された測定値I
ST_1、ステップS218において取得された測定値I
SMP、および、ステップS228において取得された測定値I
SMP_1を用いて、試料光源34の全光束を算出する(ステップS221)。ステップS221における全光束の算出処理は、上述した実施の形態1の変形例における処理と同様であるので、詳細な説明は繰返さない。
【0129】
ステップS212〜S218,S221の処理手順は、試料光源34に対する測定処理に相当する。そして、処理は終了する。
【0130】
実施の形態2の変形例に従う測定システム100Dによれば、上述の実施の形態2に従う測定システム100Cにおける利点に加えて、測定時に標準光源44に生じ得る自己吸収を補正して、より正確な全光束測定が可能となる。
【0131】
<F.実施の形態3>
次に、実施の形態3として、実施の形態1に従う測定システム100Aにおける全球型の積分球2に代えて、半球型の積分器を用いる構成について説明する。
【0132】
(f1:構造)
図10は、実施の形態3に従う測定システム100Eの概略構成および測定方法を説明するための模式図である。
図10(A)には、標準光源40を用いた校正時の光学系を示し、
図10(B)には、試料光源30に対する測定時の光学系を示す。
【0133】
図10(A)および
図10(B)を参照して、測定システム100Eは、積分半球4と、処理装置150とを含む。
【0134】
積分半球4は、平面ミラー5により開口を塞がれることで、その内部に半球型の積分空間を形成する。以下では、積分半球4と平面ミラー5との組合せを半球型の積分器の一例として説明する。積分半球4は半球型の積分空間を有しており、平面ミラー5は積分半球4の開口を塞ぐように配置されている。
【0135】
積分半球4は、その内壁に光拡散反射層を有しており、光拡散反射層での光の多重反射によって、全球型の積分空間を形成する。光拡散反射層は、典型的には、硫酸バリウムまたはPTFEなどの光拡散材料を塗布または吹付けることによって形成される。
【0136】
一方、平面ミラー5は、円板状に形成され、積分半球4の実質的な曲率中心を通るように配置される。平面ミラー5は、積分半球4の内面側に鏡面反射(正反射および拡散反射)する光拡散反射層を有している。平面ミラー5の光拡散反射層が積分半球4の内部に向けて配置されることで、積分半球4についての虚像が生成される。積分半球4の内部に定義される空間(実像)と、平面ミラー5により生成される虚像とを組合せると、全球型の積分を用いた場合と実質的に同じ照度分布を得ることができる。
【0137】
積分半球4には、入射窓12、観測窓14および試料窓16が設けられている。入射窓12および試料窓16は、積分半球4内において互いに対向する位置に形成されている。
【0138】
入射窓12は、主として、積分半球4の外部に配置された光源からの光を積分半球4内に導入するために用いられる。入射窓12の近傍には精密アパーチャー13が配置される。
【0139】
観測窓14は、試料窓16から所定距離だけ離れた位置に形成されて、積分半球4内の照度を測定するための開口である。観測窓14を通じて、受光器20が積分半球4と連通される。受光器20は、観測窓14を通じて、積分半球4の照度を測定する。より具体的には、受光器20は、積分半球4の内壁に生じる放射照度の大きさに応じた測定値を出力する。
【0140】
試料窓16は、積分半球4内において実質的に放射束を発生させる部分に相当する。試料窓16から発生する放射束が受光器20に直接入射することを防止ためのバッフル7が配置される。バッフル7は、積分半球4内の試料窓16と観測窓14とを結ぶ光学経路上に配置されている。バッフル7は、受光器20の視野内に試料窓16が含まれないような大きさおよび位置に設けられる。
【0141】
その他の構成については、
図2に示す測定システム100Aの対応する構成と同様であるので、詳細な説明は繰返さない。
【0142】
(f2:校正時の光学系)
次に、
図10(A)を参照して、標準光源40を用いた校正時の光学系について説明する。標準光源40を用いた校正時においては、標準光源40から放射される光を、精密アパーチャー13を通じて積分半球4内に導入する。典型的には、標準光源40は、入射窓12および試料窓16の各中心を通過する光軸AX3上に配置される。
【0143】
一般的に、分光放射照度標準光源には、光源から校正光軸方向に500mm離れた位置における分光放射照度P(μW/cm
2)が値付けられている。測定システム100Eにおいて、精密アパーチャー13は、開口面積A(cm
2)が精密に定義された開口部を有しており、分光放射照度標準光源である標準光源40が値付けされている位置(一般的には、500mm)に配置される。
【0144】
試料窓16には拡散反射部材50が装着される。積分半球4内に入射した放射束は、試料窓16に装着された拡散反射部材50にスポット状の照射面を形成する。
【0145】
(f3:測定時の光学系)
次に、
図10(B)を参照して、試料光源30に対する測定時の光学系について説明する。試料光源30に対する測定時においては、試料光源30が積分半球4内に配置される。すなわち、拡散反射部材50に代えて、試料光源30が試料窓16に装着される。様々な大きさの試料光源30に対応するために、試料窓16への装着に適合された支持部材33が用いられる。試料光源30は支持部材32に装着された上で、試料光源30および支持部材32が試料光源30に装着される。
【0146】
また、入射窓12には遮光蓋42が装着される。遮光蓋42の装着により、積分半球4の外部からの光が遮断される。そのため、積分半球4内には、試料光源30から放射される放射束のみが存在することになる。
【0147】
試料光源30から放射される放射束のうち、受光器20に向かう成分はバッフル6で反射されて、受光器20に直接入射することが妨げられる。
【0148】
(f4:測定処理手順)
実施の形態3に従う測定システム100Eを用いた測定処理手順については、上述の実施の形態1に従う測定システム100Aを用いた測定処理手順(
図3など参照)と実質的に同一であるので、実施の形態1において説明した内容をここに援用する。
【0149】
(f5:利点)
実施の形態3に従う測定システム100Eによれば、上述の実施の形態1に従う測定システム100Aにおける利点に加えて、積分器を小型化でき、測定システム全体を省スペース化できる。
【0150】
<G.実施の形態3の変形例>
実施の形態3の変形例として、実施の形態3に従う測定システム100Eに対して、光源の自己吸収補正を可能にした測定システム100Fについて説明する。
【0151】
図11は、実施の形態3の変形例に従う測定システム100Fの概略構成および測定方法を説明するための模式図である。
図11(A)には、標準光源40を用いた校正時の光学系を示し、
図11(B)には、試料光源30に対する測定時の光学系を示す。
【0152】
図11(A)および
図11(B)を参照して、測定システム100Fは、
図10(A)および
図10(B)に示される測定システム100Eに比較して、積分半球4内に自己吸収補正用光源60およびバッフル62がさらに設けられている。自己吸収補正用光源60およびバッフル62については、
図4(A)および
図4(B)に示される測定システム100Bにおいて採用される自己吸収補正用光源60およびバッフル62と実質的に同一であるので、ここでは、詳細な説明は繰返さない。
【0153】
また、実施の形態3の変形例に従う測定システム100Fを用いた測定処理手順については、上述した実施の形態1の変形例に従う測定システム100Bを用いた測定処理手順(
図5など参照)と実質的に同一であるので、実施の形態1の変形例において説明した内容をここに援用する。
【0154】
実施の形態3の変形例に従う測定システム100Fによれば、上述の実施の形態3に従う測定システム100Eにおける利点に加えて、測定時に試料光源30に生じ得る自己吸収を補正して、より正確な全光束測定が可能となる。
【0155】
<H.実施の形態4>
次に、実施の形態4として、実施の形態2に従う測定システム100Cにおける全球型の積分球2に代えて、半球型の積分器を用いる構成について説明する。
【0156】
(h1:構造)
図12は、実施の形態4に従う測定システム100Gの概略構成および測定方法を説明するための模式図である。
図12(A)には、標準光源44を用いた校正時の光学系を示し、
図12(B)には、試料光源34に対する測定時の光学系を示す。
【0157】
実施の形態4に従う測定システム100Gは、典型的には、レーザ光源のようなビーム状の光を放射する光源を試料光源34とするような場合に好適である。
【0158】
実施の形態4に従う測定システム100Gの構成は、上述の実施の形態3に従う測定システム100Eと同様であるので、各部材の詳細な説明については繰返さない。但し、精密アパーチャー13については必ずしも配置する必要はない。
【0159】
その他の構成については、
図6に示す測定システム100Cの対応する構成と同様であるので、詳細な説明は繰返さない。
【0160】
(h2:校正時の光学系)
次に、
図12(A)を参照して、標準光源44を用いた校正時の光学系について説明する。標準光源44を用いた校正時においては、試料窓16には標準光源44が装着される。通常、標準光源44の大きさと試料窓16の大きさとを適合させるために、標準光源44は、試料窓16に装着するための支持部材48上に配置される。
【0161】
入射窓12には遮光蓋42が装着される。遮光蓋42の装着により、積分半球4の外部からの光が遮断される。そのため、積分半球4内には、標準光源44から放射される放射束のみが存在することになる。
【0162】
(h3:測定時の光学系)
次に、
図12(B)を参照して、試料光源34に対する測定時の光学系について説明する。試料光源34に対する測定時においては、試料光源34が積分半球4の外部に配置される。すなわち、入射窓12から遮光蓋42が取り外され、試料窓16および入射窓12を通る光軸AX4に沿って試料光源34が配置される。また、標準光源40に代えて、拡散反射部材50が試料窓16に装着される。
【0163】
(h4:測定処理手順)
実施の形態4に従う測定システム100Gを用いた測定処理手順については、上述の実施の形態2に従う測定システム100Cを用いた測定処理手順と実質的に同一であるので、実施の形態2において説明した内容をここに援用する。
【0164】
(h5:利点)
実施の形態4に従う測定システム100Gによれば、上述の実施の形態2に従う測定システム100Cにおける利点に加えて、積分器を小型化でき、測定システム全体を省スペース化できる。
【0165】
<I.実施の形態4の変形例>
実施の形態4の変形例として、実施の形態4に従う測定システム100Gに対して、光源の自己吸収補正を可能にした測定システム100Hについて説明する。
【0166】
図13は、実施の形態4の変形例に従う測定システム100Hの概略構成および測定方法を説明するための模式図である。
図13(A)には、標準光源44を用いた校正時の光学系を示し、
図13(B)には、試料光源34に対する測定時の光学系を示す。
【0167】
図13(A)および
図13(B)を参照して、測定システム100Hは、
図12(A)および
図12(B)に示される測定システム100Gに比較して、積分半球4内に自己吸収補正用光源60およびバッフル62がさらに設けられている。自己吸収補正用光源60およびバッフル62については、
図4(A)および
図4(B)に示される測定システム100Bにおいて採用される自己吸収補正用光源60およびバッフル62と実質的に同一であるので、ここでは、詳細な説明は繰返さない。
【0168】
また、実施の形態4の変形例に従う測定システム100Gを用いた測定処理手順については、上述した実施の形態2の変形例に従う測定システム100Bを用いた測定処理手順(
図9など参照)と実質的に同一であるので、実施の形態2の変形例において説明した内容をここに援用する。
【0169】
実施の形態4の変形例に従う測定システム100Fによれば、上述の実施の形態3に従う測定システム100Eにおける利点に加えて、測定時に試料光源30に生じ得る自己吸収を補正して、より正確な全光束測定が可能となる。
【0170】
<J.まとめ>
本実施の形態に従う測定システムは、光源(標準光源または試料光源)および拡散反射部材を選択可能に装着できる試料窓と、試料窓に対向する位置に外部に配置された光源(標準光源または試料光源)を積分器内に導入するための入射窓とを有する積分器を採用する。これによって、試料窓に装着される光源から放射される光と、同一の試料窓に装着される拡散反射部材に対して外部から導入された光が照射されて放射される光との間で、放射位置を実質的に同一にできる。そのため、校正時と測定時との間で、放射位置が異なることによる誤差の発生を低減でき、測定精度を高めることができる。
【0171】
本実施の形態に従う測定システムは、任意の光源(例えば、LED)および照明器具の全光束を測定する用途などに有益である。また、本実施の形態に従う測定システムは、UVLEDおよびIRLEDなどの分光全放射束を測定する用途などに有益である。
【0172】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した説明ではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【解決手段】測定システムは、互いに対向する位置に形成された入射窓および試料窓を有する積分器と、試料窓から所定距離だけ離れた位置に形成された観測窓を通じて、積分器の照度を測定する受光器と、積分器内の試料窓と観測窓とを結ぶ光学経路上に配置されたバッフルと、受光器から出力される測定値を処理することで光学特性を算出する処理装置とを含む。入射窓は、積分器の外部に配置された第1の光源からの光の積分器内への導入と遮断とを選択可能に構成されている。試料窓は、反射率が既知の拡散反射部材と第2の光源とを選択的に装着可能に構成されている。