(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記フィラーの平均粒径(nm)とプライマー層の厚さ(nm)との比率〔フィラーの平均粒径/プライマー層の厚さ〕が1/10〜10/1である、請求項1又は2に記載の支持シート。
【発明を実施するための形態】
【0010】
〔支持シートの構成〕
本発明の支持シートは、基材上にプライマー層を有するものであれば、その構成は特に制限されない。プライマー層は基材及び粘着剤層との間の層間密着性を向上させる目的で設けられる層である。また、本発明の支持シートが有するプライマー層は、耐ブロッキング性に優れるため、当該支持シートのロールブロッキングを効果的に抑制するという役割も担う。
そのため、本発明の一態様である支持シートは、基材とプライマー層との間には他の層を有さず、少なくとも、基材とプライマー層がこの順で直接積層した構成を有することが好ましい。
また、本発明の一態様である支持シートにおいて、金属膜を有する基材を用いる場合、この基材の金属膜上に、プライマー層が積層した構成を有することが好ましい。なお、本明細書中の記載において「金属膜を有する基材」とは「基材」の一種に含まれる。
また、本発明の一態様である支持シートにおいて、プライマー層側と反対側の基材上に印刷コート層を設けてもよい。
このような構成を有する支持シートにおいても、当該支持シートは、プライマー層とプライマー層を設けていない基材表面、プライマー層とプライマー層を設けていない印刷コート層表面との間の耐ブロッキング性に優れ、その結果、ロールブロッキングを効果的に抑制することができる。
【0011】
例えば、
図1は、本発明の一態様である支持シートの断面図である。
本発明の一態様である支持シートは、
図1(a)に示すような、基材11の一方の面上にプライマー層12を設けた支持シート1aや、
図1(b)に示すような、基材11上に、更に印刷コート層13を設けた支持シート1b等が挙げられる。
なお、本発明の一態様である支持シートにおいては、上述の基材11、プライマー層12、及び印刷コート層13には該当しない他の層を設けてもよい。
以下、本発明の支持シートを構成する各層について説明する。
【0012】
<プライマー層>
本発明の支持シートが有するプライマー層は、樹脂成分及び平均粒径が30〜1,000nmのフィラーを含むプライマー層形成用組成物から形成された層であり、該フィラーの含有量が、該プライマー層形成用組成物中の樹脂成分100質量部に対して、2〜50質量部であるプライマー層である。
本発明の一態様において、プライマー層の厚さとしては、本発明の一態様である支持シートを用いた粘着シートにおけるプライマー層と粘着剤層との層間密着性を良好とし、ロールブロッキングを抑制し得る粘着シートとする観点から、好ましくは10nm以上、より好ましくは20nm以上、更に好ましくは30nm以上、より更に好ましくは50nm以上であり、そして、好ましくは2,000nm以下、より好ましくは1,000nm以下、更に好ましくは500nm以下、より更に好ましくは200nm以下である。
なお、当該プライマー層の厚さは、具体的には、後述する実施例に記載した方法に基づいて測定、算出される値である。
【0013】
(フィラー)
プライマー層の形成材料であるプライマー層形成用組成物に含まれる前記フィラーは、本発明の効果を損なわない範囲であれば特に制限されず、無機フィラー又は有機フィラーが挙げられ、好ましくは無機フィラーである。
該無機フィラーとしては、クレー、タルク、マイカ、カオリン、ゼオライト、ケイ酸カルシウム、モンモリロナイト、ベントナイト等のケイ酸塩;シリカ、珪藻土、バリウムフェライト、酸化バリウム、軽石等の酸化物;水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、塩基性炭酸マグネシウム等の水酸化物;炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、ドロマイト、ドーソナイト等の炭酸塩;硫酸カルシウム、硫酸バリウム、亜硫酸カルシウム等の硫酸塩又は亜硫酸塩;等が挙げられる。
該有機フィラーとしては、ポリスチレン樹脂、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン樹脂、ポリメタクリル酸メチル樹脂、及びこれらの架橋体等が挙げられる。
これらのフィラーは単独で又は2種以上を組み合わせて用いてもよい。
これらの中でも、ロールブロッキング抑制効果の向上観点から、該フィラーがシリカ粒子を含むことが好ましい。
【0014】
本発明で用いるフィラーの平均粒径は、30〜1,000nmである。平均粒径が30nm未満であると、ロールブロッキングが起こり易くなる。また、平均粒径が1,000nmを超えると、プライマー層からのフィラーの脱落が起こり易くなる他、粘着剤層の層間密着性が不足するおそれがある。また、プライマー層のヘーズ値が上昇し外観に影響するおそれがある。
ロールブロッキングを抑制する観点から、該フィラーの平均粒径は、好ましくは40nm以上、より好ましくは50nm以上、更に好ましくは60nm以上、より更に好ましくは70nm以上である。そして、プライマー層からのフィラーの脱落を抑制する観点から、好ましくは500nm以下、より好ましくは300nm以下、更に好ましくは200nm以下、より更に好ましくは150nm以下である。
なお、当該平均粒径は、具体的には、後述する実施例に記載した方法に基づいて測定、算出される値である。
本発明で用いるプライマー層形成用組成物中の上述のフィラーの含有量(固形分)は、該プライマー層形成用組成物中の樹脂成分(固形分)100質量部に対して、2〜50質量部であるプライマー層である。該フィラーの含有量が2質量部未満の場合、ロールブロッキングが起こり易くなる。また、該フィラーの含有量が50質量部を越えると、粘着剤層との層間密着性に劣る。このような観点から、好ましくは2〜40質量部、より好ましくは3〜30質量部、更に好ましくは7〜20質量部である。
【0015】
また、上記フィラーの平均粒径が50nm以下である場合、良好な耐ロールブロッキング性及び粘着剤層との良好な層間密着性を得る観点から、該フィラーの含有量は好ましくは3〜20質量部、より好ましくは5〜15質量部、更に好ましくは8〜12質量部である。
また、上記フィラーの平均粒径が50nmを超える場合、良好な耐ロールブロッキング性及び粘着剤層との良好な層間密着性を得る観点から、該フィラーの含有量は好ましくは3〜30質量部、より好ましくは4〜25質量部、更に好ましくは8〜20質量部である。
ロールブロッキングを効果的に抑制する観点から、該フィラーの平均粒径(nm)と前記プライマー層の厚さ(nm)との比率〔フィラーの平均粒径/プライマー層の厚さ〕としては、好ましくは1/10〜10/1、より好ましくは1/6〜6/1、更に好ましくは1/4〜4/1であり、より更に好ましくは1/3〜3/1である。
【0016】
(樹脂成分)
プライマー層の形成材料であるプライマー層形成用組成物に含まれる前記樹脂成分は、本発明の効果を損なわない範囲であれば特に制限されず、プライマー層形成用に用いられる公知の樹脂が、後述するプライマー層の上に設けられる粘着剤層を形成するための粘着性樹脂等に応じて用いることができる。例えば、熱可塑性樹脂としては、アクリル樹脂、アクリル変性ポリオレフィン系樹脂、塩素化ポリオレフィン樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、熱可塑性ウレタン樹脂、熱可塑性ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、又はゴム系樹脂等が挙げられる。また、熱硬化性樹脂としては、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂等が挙げられる。また、これらの樹脂を単独で又は2種以上を組み合わせて用いてもよい。
これらの中でも、粘着剤層との層間密着性に優れる観点から、該樹脂成分が、アクリル変性ポリオレフィン系樹脂を含むことが好ましい。
【0017】
〔アクリル変性ポリオレフィン系樹脂〕
アクリル変性ポリオレフィン系樹脂としては、好ましくは、主鎖であるポリオレフィンに対して、炭素数1〜20のアルキル基を有するアルキル(メタ)アクリレート由来の構成単位を側鎖として有するグラフト共重合体である。
該主鎖であるポリオレフィンとしては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン等が挙げられる。
該アルキル基の炭素数としては、粘着剤層との密着力を向上させる観点から、好ましくは1〜10である。また、該アルキル基は、直鎖及び分岐鎖のいずれであってもよい。
該炭素数1〜20のアルキル基を有するアルキル(メタ)アクリレートとしては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート等のブチル(メタ)アクリレート、ペンチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート等が挙げられる。また、例えば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート等のヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート類が挙げられる。
【0018】
該炭素数1〜20のアルキル基を有するアルキル(メタ)アクリレート由来の構成単位を側鎖は、これらを単独で又は2種以上用いて得られる側鎖であってもよく、また、該アクリル変性ポリオレフィン系樹脂は、これらを単独で又は2種以上で用いて得られるグラフト共重合体であってもよい。
本発明で用いるプライマー層形成用組成物中の上述の樹脂成分(固形分)の含有量は、プライマー層形成用組成物(固形分)の全量(100質量%)に対して、好ましくは67〜98質量%、より好ましくは71〜98質量%、更に好ましくは77〜97質量%、より更に好ましくは83〜93質量%である。
また、本発明で用いるプライマー層形成用組成物中の上述の樹脂成分及びフィラーの含有量は、プライマー層形成用組成物(固形分)の全量(100質量%)に対して、好ましくは70〜100質量%、より好ましくは80〜100質量%、更に好ましくは90〜100質量%、より更に好ましくは95〜100質量%である。
【0019】
(汎用添加剤)
本発明で用いるプライマー層形成用組成物は、本発明の効果を損なわない範囲において、上述の樹脂成分及びフィラー以外に、汎用添加剤を含有していてもよい。
汎用添加剤としては、支持シートの用途に応じて適宜選択でき、例えば、上記フィラー以外の顔料、着色剤、金属粉末、導電材、制震材、可塑剤、溶剤、界面活性剤、分散剤、凍結溶融安定剤、中和剤、増粘剤、濡れ剤、消泡剤、滑り剤、防錆剤、帯電防止剤、架橋剤、粘着付与樹脂、防腐剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤等が挙げられる。
これらの汎用添加剤は、単独で又は2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0020】
<基材>
本発明で用いる基材としては、例えば、樹脂フィルム、紙基材、紙基材を樹脂でラミネートしたラミネート紙等が挙げられ、当該支持シートの用途に応じて適宜選択することができる。
樹脂フィルムを構成する樹脂としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン樹脂;ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステル樹脂;ポリウレタン、アクリル変性ポリウレタン等のウレタン樹脂;ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリビニルアルコール、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−ビニルアルコール共重合体等のビニル系樹脂;ポリスチレン樹脂;アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン(ABS)樹脂;三酢酸セルロース樹脂;ポリカーボネート樹脂;アセテート樹脂;ポリイミド樹脂等が挙げられる。
上記基材として用いる樹脂フィルムは、これらの樹脂を単独で又は2種以上を併用してもよい。
【0021】
なお、本発明の一態様で基材として用いる樹脂フィルムには、上記樹脂の他に、更に、紫外線吸収剤、光安定剤、酸化防止剤、帯電防止剤、スリップ剤、アンチブロッキング剤、着色剤等が含有されていてもよい。
また、基材として樹脂フィルムを用いる場合、当該樹脂フィルムは、複数の樹脂フィルムを積層した積層体としてもよく、また、発泡体であってもよい。
紙基材を構成する紙としては、例えば、薄葉紙、中質紙、上質紙、含浸紙、コート紙、アート紙、硫酸紙、グラシン紙等が挙げられる。
ラミネート紙としては、上記の紙基材を、ポリエチレン等の熱可塑性樹脂でラミネートしたラミネート紙等が挙げられる。
【0022】
また、基材として樹脂フィルムやラミネート紙を用いる場合、基材とプライマー層との間の層間密着性をより向上させる観点から、樹脂フィルム又はラミネート紙の表面に対して、酸化法や凹凸化法等の表面処理を施してもよい。
酸化法としては、特に制限されず、例えば、コロナ放電処理法、プラズマ処理法、クロム酸酸化(湿式)、火炎処理、熱風処理、オゾン・紫外線照射処理等が挙げられる。
また、凹凸化法としては、特に制限されず、例えば、サンドブラスト法、溶剤処理法等が挙げられる。
これらの表面処理は、基材の種類に応じて適宜選定されるが、基材とプライマー層との間の層間密着性をより向上させる観点、及び操作性の観点から、コロナ放電処理法が好ましい。
【0023】
本発明で用いる基材としては、樹脂フィルムが好ましく、ポリオレフィン樹脂又はポリエステル樹脂を含む樹脂フィルムがより好ましい。
また、本発明で用いる基材としては、金属膜を有する基材を用いてもよい。該金属膜を有する基材としては、好ましくは、金属及び金属酸化物から選ばれる1種以上を含む金属膜を有する樹脂フィルムを用いることができる。
本発明の支持シートは、上述のプライマー層を有するため、金属膜を有する基材を用いた場合でも、金属膜を有する基材と当該プライマー層との間の層間密着性を良好とすることができる。
金属膜の厚さとしては、支持シートの用途に応じて適宜設定されるが、通常1〜300nmである。
【0024】
金属膜に含まれる金属としては、例えば、アルミニウム、亜鉛、錫、銅、ニッケル、クロム、銀、金、鉄、ビスマス、チタン、インジウム、パラジウム、バナジウム、タングステン、マンガン、タンタル、コバルト等が挙げられる。
また、金属膜に含まれる金属酸化物としては、例えば、酸化アルミニウム、酸化インジウム、酸化錫、酸化チタン、酸化珪素、酸化アンチモン、酸化ビスマス、酸化亜鉛等が挙げられる。
本発明の一態様において、多様な用途に使用でき、コスト面及び環境面に優れているとの観点から、当該金属膜は、アルミニウムを含むことが好ましい。
なお、当該金属膜は、単一の金属膜であってもよく、複数の金属膜が積層した積層膜であってもよい。
【0025】
樹脂フィルム上に金属膜を形成する方法としては、例えば、真空蒸着法、電子ビーム真空蒸着法、PVD法、スパッタリング法、イオンプレーティング法、熱CVD法、プラズマCVD法、光CVD法、電気メッキ法、無電解メッキ法等が挙げられる。
なお、樹脂フィルムと金属膜との密着性を向上させるために、樹脂フィルムの表面に対して、上述の酸化法や凹凸化法等の表面処理を施してもよい。
また、金属膜を有する樹脂フィルムの作製方法としては、予め用意した金属膜上に、樹脂フィルムを構成する樹脂の溶液又は溶融した樹脂を、コーティング法、射出成型法、ドライラミネート法、ウェットラミネート法、押出ラミネート法等により塗布して、樹脂フィルムを形成する方法であってもよい。
なお、金属酸化物を含む金属膜は、金属酸化物自体を用いる他に、金属を含む金属膜の表面に酸化皮膜が形成されたものも用いることもできる。酸化皮膜は金属層の表面に自然に形成されたものでもよいし、電気化学的処理等により人工的に形成されたものでもよい。
【0026】
本発明で用いる基材の厚さは、粘着シートの用途に応じて適宜設定されるが、取扱性及び経済性の観点から、好ましくは5〜250μm、より好ましくは15〜200μm、更に好ましくは25〜150μmである。
なお、基材が金属膜を有する基材の場合、上記の厚みは、金属膜の厚さも加えたものである。
【0027】
<印刷コート層>
本発明の一態様である支持シートは、前記プライマー層側と反対側の前記基材上に、更に印刷コート層を有していてもよい。
該印刷コート層を構成する材料としては、前記基材との密着性がよく、かつ印刷インキの密着性が良好な印刷コート層を形成しうるものであればよく、特に制限されず、様々なものを用いることができる。このような材料としては、例えば、アクリル系樹脂,スチレン系樹脂,ポリエステルウレタン系樹脂,ポリエステル系樹脂,ポリウレタン系樹脂,ポリオール系樹脂,ポリビニルアルコール,ポリビニルピロリドン,セルロース誘導体,アセテート誘導体,ポリ塩化ビニル系樹脂,ポリイミド系樹脂,ラテックス樹脂等の重合体が挙げられる。また、添加剤として、顔料、着色剤、金属粉末、導電材、制震材、可塑剤、溶剤、界面活性剤、分散剤、凍結溶融安定剤、中和剤、増粘剤、濡れ剤、消泡剤、滑り剤、防錆剤、帯電防止剤、架橋剤、粘着付与樹脂、防腐剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤等を含有していてもよい。
また、これらの印刷コート層形成材料は、前記基材を構成する材料の種類に応じて適宜選択することができる。これらの中では、ポリエステルウレタン樹脂が好ましい。該ポリエステルウレタン樹脂は、適宜、架橋剤や架橋促進剤を使用して重合されていてもよい。
なお、本発明の一態様である支持シートが透明性を要求される場合には、該印刷コート層も透明性を有することが望ましい。また、該印刷コート層の厚さは、好ましくは10〜600nm、より好ましくは30〜200nmである。
【0028】
〔支持シートの製造方法〕
本発明の支持シートの製造方法としては、特に制限されない。
例えば、
図1(a)の支持シート1aは、基材11上に、上述のプライマー層形成用組成物を公知の塗布方法にて塗布し、乾燥して、プライマー層12を形成することで製造することができる。
また、上記の方法にて製造した
図1(a)の支持シート1aの基材11上に、印刷コート層13を形成することで、
図1(b)の支持シート1bを製造することができる。
図1(b)の支持シート1bは、又は予め基材11上に印刷コート層13を形成しておき、該印刷コート層13とは反対側の基材上に、上述した方法と同様の方法にてプライマー層12を形成することによっても製造することができる。
【0029】
プライマー層形成用組成物は、塗布性を良好とし、作業効率を向上させる観点から、溶媒を加えて溶液の形態として、基材上に塗布されることが好ましい。
当該溶媒としては、特に制限されないが、プライマー層形成用組成物は上記の樹脂成分及びフィラーを含むため、有機溶媒が好ましい。
当該有機溶媒としては、例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、イソプロピルアルコール、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、酢酸エチル、トルエン、ジメチルアセトアミド、エチレングリコール、エチレングリコール、エチレングリコールモノn−プロピルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート等が挙げられる。
【0030】
また、印刷コート層についても、塗布性を良好とし、作業効率を向上させる観点から、溶媒を加えて溶液の形態として、基材上に塗布することが好ましい。
当該溶媒としては、特に制限されず、上述した印刷コート層を形成し得る材料の種類により適宜選択される。
プライマー層形成用組成物、及び印刷コート層を形成し得る材料の塗布方法としては、例えば、スピンコート法、スプレーコート法、バーコート法、ナイフコート法、エアナイフコート法、ロールナイフコート法、ロールコート法、ブレードコート法、ダイコート法、グラビアコート法、リップコート法、カーテンコート法等が挙げられる。
塗布後に形成した塗膜の乾燥温度及び乾燥時間については、特に制限されず、適宜設定することができる。
【0031】
[粘着シート]
本発明の一態様である粘着シートは、上記支持シートの前記プライマー層上に、更に粘着剤層を有する。
例えば、
図2は、本発明の一態様である粘着シートの断面図である。
本発明の一態様である粘着シートは、
図2(c)に示すような、基材11の一方の面上にプライマー層12を設け、更に、プライマー層12上に粘着剤層14を設けた粘着シート2aや、
図2(d)に示すような、粘着剤層14上に、更に剥離材15を設けた粘着シート2b等が挙げられる。
なお、本発明の一態様である粘着シートにおいては、上述の基材11、プライマー層12、粘着剤層14、及び剥離材15には該当しない他の層を設けてもよい。
以下、本発明の粘着シートを構成する各層について説明する。
【0032】
<粘着剤層>
前記粘着剤層を構成する粘着剤としては、該粘着シートの用途に応じて適宜選択することができる。
具体的な粘着剤としては、例えば、アクリル系粘着剤、ウレタン系粘着剤、ゴム系粘着剤、シリコーン系粘着剤、ポリエステル系粘着剤、エチレン・酢酸ビニル共重合体(EVA)系粘着剤、紫外線硬化型粘着剤等が挙げられる。
これらの粘着剤は、単独で又は2種以上を組み合わせて用いてもよい。
本発明の一態様において、これらの粘着剤の中でも、取扱性の観点から、アクリル系粘着剤、ウレタン系粘着剤、及びゴム系粘着剤から選ばれる1種以上が好ましい。
なお、当該粘着剤層を構成する粘着剤は、エマルション型粘着剤、溶剤型粘着剤、無溶剤型粘着剤のいずれであってもよい。
当該粘着剤層の厚さは、特に制限されないが、好ましくは1〜100μm、より好ましくは5〜80μm、更に好ましくは10〜50μmである。
【0033】
<剥離材>
本発明の一態様である粘着シートは、更に粘着剤層上に剥離材を有していてもよい。該剥離材としては、両面剥離処理をされた剥離シートや、片面剥離処理された剥離シート等が用いられ、剥離材用基材の表面上に剥離剤を塗布したもの等が挙げられる。
当該剥離材用基材としては、例えば、本発明の粘着シートが有する基材として使用し得る、樹脂フィルム、紙基材、ラミネート紙等が挙げられる。
当該剥離剤としては、例えば、オレフィン系樹脂、イソプレン系樹脂、ブタジエン系樹脂等のゴム系エラストマー、シリコーン系樹脂、長鎖アルキル系樹脂、アルキド系樹脂、フッ素系樹脂等が挙げられる。
当該剥離材の厚さは、特に制限ないが、好ましくは10〜200μm、より好ましくは25〜150μmである。
【0034】
〔粘着シートの製造方法〕
本発明の粘着シートの製造方法としては、特に制限されない。
例えば、
図2(c)の粘着シート2aは、基材11上に、上述のプライマー層形成用組成物を公知の塗布方法にて塗布し、乾燥して、プライマー層12を形成した後、更に、当該プライマー層12上に、上述の粘着剤を同様の塗布方法にて塗布し、乾燥して、粘着剤層14を形成することで製造することができる。
また、上記の方法にて製造した
図2(c)の粘着シート2aの粘着剤層14上に、剥離材15を積層することで、
図2(d)の粘着シート2bを製造することができる。
また、
図2(d)の粘着シート2bは、剥離材15上に上記の方法で形成した粘着剤層14と、基材11上に上記の方法で形成したプライマー層12とを貼り合わせることによっても製造することができる。
【0035】
プライマー層形成用組成物は、塗布性を良好とし、作業効率を向上させる観点から、溶媒を加えて溶液の形態として、基材上に塗布することが好ましい。
また、粘着剤についても、塗布性を良好とし、作業効率を向上させる観点から、溶媒を加えて溶液の形態として、基材又は剥離材上に塗布することが好ましい。
当該溶媒としては、粘着剤を溶解し得るものであればよく、プライマー層形成用組成物で上述した溶媒が挙げられる。
塗布方法としては、特に制限されないが、例えば、支持シートの製造方法で上述した方法が挙げられる。塗布後に形成した塗膜の乾燥温度及び乾燥時間については、特に制限されず、適宜設定することができる。
【実施例】
【0036】
本発明について、以下の実施例により具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
なお、以下の各種物性値は、下記の方法により測定した値である。
【0037】
(1)フィラーの平均粒径
JIS Z8830(ISO9277)に準拠し、BET法により得られた比表面積から以下の式にて算出した。
平均粒径(nm)=(6×10
7)/〔密度(g/cm
3)×比表面積(cm
2/g)〕
(2)各層の厚さ
印刷コート層及びプライマー層の厚さは分光エリプソメーター(J.A.Woollam社製、M−2000)にて測定した。
【0038】
なお、本実施例及び比較例で用いた各フィラーは以下のとおりである。
・「MEK−ST−L」(商品名、有機溶媒分散シリカゾル、SiO
2(固形分):30質量%、平均粒径:45nm、有機溶媒:メチルエチルケトン70質量%、日産化学工業社製)
・「MEK−ST−ZL」(商品名、有機溶媒分散シリカゾル、SiO
2(固形分):30質量%、平均粒径:85nm、有機溶媒:メチルエチルケトン70質量%、日産化学工業社製)
・「MEK−ST」(商品名、有機溶媒分散シリカゾル、SiO
2(固形分):30質量%、平均粒径:13nm、有機溶媒:メチルエチルケトン70質量%、日産化学工業社製)
・「AERODISP1030」(商品名(「AERODISP」は登録商標)、フュームドシリカ分散液、疎水性フュームドシリカ(固形分):30質量%、平均粒径:12nm、有機溶媒:プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、EVONIK社製)
・テクポリマーMBX−2H(商品名、架橋ポリメタクリル酸メチルのフィラー(固形分):100質量%、平均粒径:2,000nm、積水化成品工業社製)
【0039】
[実施例1]
<印刷コート層形成材料の調製>
重合体として、ウレタン変性ポリエステル樹脂(商品名:「バイロンUR1700」、固形分:30質量%、東洋紡社製)70質量部、ウレタン変性ポリエステル樹脂(商品名:「バイロンUR8700」、固形分:30質量%、東洋紡社製)30質量部、架橋剤として、ヘキサメチレンジイソシアネートのトリメチロールプロパンアダクト体(商品名「コロネートHL」、固形分:75質量%、東ソー社製)3質量部、架橋促進剤としてビスマス系架橋促進剤(商品名:「プキャット25」、固形分:76質量%、日本化学産業社製)0.05質量部、溶媒としてトルエン900質量部、メチルエチルケトン900質量部、シクロヘキサノン90質量部を混合して印刷コート層形成材料を得た。
<プライマー層形成用組成物の調製>
アクリル変性ポリオレフィン系樹脂(商品名:「アウローレン20SS」、固形分:15質量%、マレイン酸変性ポリオレフィン樹脂日本製紙社製)の固形分100質量部に対して、フィラーとしてシリカゾル(商品名「MEK−ST−L」)を固形分換算で5.0質量部となるように添加し、更に、溶媒としてトルエン300質量部と混合し、プライマー層形成用組成物を調製した。
【0040】
<支持シートの作製>
基材として、2軸延伸ポリプロピレンフィルム(商品名:「アルファンP」、厚さ:50μm、王子エフテックス社製)を用いた。
当該基材の面上に、ワイヤーバーを用いて上記印刷コート層形成材料を塗布し、塗布膜を形成し、70℃で1分間乾燥させ、厚さ100nmの印刷用コート層を設けた。更に、基材のもう一方の面にプライマー層形成用組成物を塗布し、塗布膜を形成し、当該塗布膜を、70℃で1分間乾燥させ、厚さ100nmのプライマー層を形成して、支持シートを作製した。
【0041】
<粘着シートの作成>
作成した支持シートのプライマー層面にナイフコーターにより、アクリル系エマルション型粘着剤(商品名「オリバインBPW5012」、トーヨーケム社製)を塗布して塗布膜を形成し、100℃で1分間乾燥させ、厚さ20μmの粘着剤層を形成し、粘着シートを作製した。
【0042】
[実施例2〜6及び比較例1〜6]
プライマー層形成用組成物に用いるフィラーとして、下記表1に記載のフィラーを用いて、表1に記載の添加量としたこと以外は、実施例1と同様にして、支持シート及び粘着シートを作製した。
【0043】
[実施例7]
基材として、アルミニウム(Al)が蒸着されたAl膜付きポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム(商品名「メタルミーS#50」、東レフィルム加工社製、厚さ:50μm)を用い、印刷コート層を設けなかった以外は、実施例2と同様にして、支持シート及び粘着シートを作製した。
【0044】
[比較例7]
プライマー層形成用組成物の調製でフィラーを添加しなかった点以外は、実施例1と同様にして、支持シート及び粘着シートを作製した。
【0045】
実施例及び比較例で作製した支持シートについて、耐ロールブロッキング性を評価した。
また、実施例及び比較例で作製した粘着シートについて耐久試験後の「層間密着性(再剥離性)」及び「粘着剤層のはみ出しの有無」を評価した。
得られた結果を下記表1に示す。
(耐ロールブロッキング性)
実施例及び比較例で作製した支持シートをロール状に巻き取り(長さ:100m)、40℃、80%RH(相対湿度)環境下で、7日間静置した。当該保管後のロールを、速度10m/minで10分間繰り出し、以下の基準により、支持シートの耐ロールブロッキング性を評価した。
・5:繰り出し時に、無音であり、プライマー層側表面に変化がなかった。
・4:繰り出し時に、僅かに音が発生するが、プライマー層側表面に変化がなかった。
・3:繰り出し時に、音が発生し、プライマー層側表面がマット調(細かい凹凸が発生)に変化した。
・2:繰り出し時に、大きな音が発生し、プライマー層側表面が荒れた面(毛羽立ったような表面)に変化した。
・1:プライマー層が反対面に貼り付き、繰り出しができなかった。
【0046】
(耐久試験)
実施例及び比較例で作製した粘着シートを、40℃、80%RH(相対湿度)環境下で7日間静置した。
〔層間密着性(再剥離性)〕
上記耐久試験前後の粘着シートをそれぞれ23℃、50%RH(相対湿度)環境下で30mm×50mmにカットし、試験片(I)を作製した。当該試験片(I)の剥離シートを除去し、表出した粘着剤層を、下記の2種類の被着体に各々貼付した。
・ステンレス(SUS)板
・ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム(ルミラーT60S、東レ社製PETフィルム)
各被着体に貼付した試験片(I)を、23℃、50%RH(相対湿度)の環境下で1日間静置した後、40℃、80%RH(相対湿度)の環境下、又は70℃の環境下で1日間静置し、さらに23℃、50%RH(相対湿度)の環境下で1日間静置した後、被着体から当該試験片(I)を手で約300mm/minの速度にて剥離した。
その上で、剥離後の試験片(I)の各層の界面破壊の状況、及び被着体上の糊残り(粘着剤層)の有無を目視で観察し、以下の基準により、粘着シートの層間密着性(再剥離性)を評価した。
・A:基材とプライマー層との間、及び、プライマー層と粘着剤層との間において、界面破壊が見られない。また、被着体に糊残りは見られず、再剥離性に優れる。
・B:基材とプライマー層との間、又はプライマー層と粘着剤層との間において、若干の界面破壊が見られる。また、被着体に糊残りが一部確認されたが、いずれも、実用上問題ない程度である。
・C:プライマー層と粘着剤層との間において、界面破壊が見られ、被着体に粘着剤層の大半が残存した。
・D:基材と粘着剤層との間において、界面破壊が見られ、被着体に粘着剤層の大半が残存した。
【0047】
〔粘着剤層のはみ出しの有無〕
上記耐久試験前後の粘着シートをそれぞれ23℃、50%RH(相対湿度)環境下で25mm×100mmにカットし、試験片(II)を作製した。当該試験片(II)を100枚重ね、ギロチン断裁機にて断裁した際の、ギロチン刃及び粘着シートの断裁面を目視観察し、以下の基準により、粘着シートの粘着剤層のはみ出しの有無を評価した。
・A:粘着剤層のはみ出しが見られず、ギロチン刃及び断裁面にもベトツキが確認されなかった。
・B:若干の粘着剤層のはみ出しが見られ、ギロチン刃及び断裁面にも若干のベトツキが確認されるが、実用上問題ない程度である。
・C:粘着剤層のはみ出しが酷く、実用上問題になる程度である。
【0048】
【表1】
【0049】
表1より、本発明の一態様である実施例1〜5及び7に記載の支持シートは耐ロールブロッキング性に優れており、実施例1〜5及び7に記載の支持シートを用いた粘着シートも耐久試験前後の双方ともに層間密着性(再剥離性)に優れ、粘着剤層のはみ出しがないことが確認された。
また、本発明の一態様である実施例6に記載の支持シートは耐ロールブロッキング性に優れており、実施例6に記載の支持シートを用いた粘着シートも耐久試験前後の双方ともに層間密着性(再剥離性)、及び粘着剤層のはみ出しが実用上問題ない程度であることが確認された。
一方で、比較例1及び3の支持シートは、フィラーの平均粒径が小さいために、耐ロールブロッキング性に劣る結果となった。また、比較例2の支持シートはフィラーの平均粒径が小さく、さらに、プライマー層中のフィラー含有量が少ないために、耐ロールブロッキング性に劣る結果となった。
また、比較例4の支持シートは、プライマー層中のフィラー含有量が少ないため、耐ロールブロッキング性に劣る結果となった。
また、比較例5の支持シートを用いた粘着シートは、プライマー層中のフィラー含有量が多いために、耐久試験前後の双方ともに層間密着性に劣り、粘着剤層のはみ出しも実用上問題になる程度に発生した。
また、比較例6の支持シートを用いた粘着シートは、フィラーの平均粒径が大きく、さらに、プライマー層中のフィラー含有量が少ないために、耐久試験前後の双方ともに層間密着性に劣り、粘着剤層のはみ出しも実用上問題になる程度に発生する結果となった。
また、比較例7の支持シートは、プライマー層中にフィラーを含まないため、耐ロールブロッキング性に劣る結果となった。