(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記複数の押えコロは、前記逃げ溝によって同時に前記把手紐を跨がないように回転位相が調整されている、ことを特徴とする請求項2に記載のピンレス式把手製造装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上記従来技術では、帯状台紙を一定間隔で切断するために、ピン送りによる帯状台紙の搬送を行っている。具体的には、帯状台紙の搬送途中にピンホイルとダイスホイルを備えたパンチ装置があり、ピンホイル外周には孔開け用の該円筒状ピンが所定ピッチで装着され、ダイスホイル外周には前記ピン同様にダイスが所定ピッチで装着されており、ピンとダイスの噛み合い位置に帯状台紙を通過させることによって帯状台紙にパンチ孔を開けている。帯状台紙に開けられたパンチ孔にはパンチ装置下流に装備されるピン車のピンが挿入され、帯状台紙は、ピン車によってカッターに送り出される。カッターは、ピン車と同期回転する(例えば、ピン車が1回転する間に8回転する)カッター胴を有し、帯状台紙を一定のピッチで切断している。
【0005】
しかしながら、パンチ孔を使用するため、パンチ孔加工装置のスペースを要し、パンチ孔を開ける時に発生する紙粉が、作業環境や製品を汚していた。また、帯状台紙にパンチ孔を開けると、帯状台紙を貼り合せている接着剤がパンチ孔を介して外側に漏れ出し、紙袋を汚してしまうことがあった。また、製造した把手を紙袋の内側に貼ったとき、紙袋の種類によっては外側からパンチ孔が透けて見えることがあり、更にパンチ孔は、
図9に示すように、パンチホイル91の丸ピン92の表面を一部だけ切り欠き、ダイスホイル93のダイス94と噛み合せて、抜き粕96の一部を帯状台紙R3につなげて送り出すため、抜き粕96と帯状台紙R3の重なり方によっては、紙袋の内側から盛り上りが発生して紙袋の見た目(品質)を落としていた。
【0006】
また、帯状台紙を保持するリール装置が、帯状台紙の巻き径でテンションが変化する簡易制動式のベルト・フェルト式である場合、重さでテンションを付与するダンサーロールを設けることがある。しかしながら、ダンサーロールは、高速域においてテンション付与が不安定になり易く、ピンによるパンチ孔の破れや、帯状台紙のピン車からの脱落等が生じることがあった。このため、帯状台紙の送り出し速度を上げ、把手の生産性を高めることができなかった。
【0007】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、帯状台紙にパンチ孔をあけることなく、紙袋の品質と把手の生産性を向上させることができるピンレス式把手製造装置
の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の課題を解決するために、本発明は、蛇行させた把手紐を挟んで上下の帯状台紙を丁合させる把手ドラムと、前記把手ドラムの下流側において、前記丁合した前記帯状台紙の幅方向中央を切断するスリッターと、前記スリッターの下流側において、前記幅方向中央を切断された前記帯状台紙を一定の間隔で切断するカッターと、を有し、前記把手ドラムは、前記丁合した前記帯状台紙を第1の周速で送り出し、前記把手ドラムの上流側において、上下の前記帯状台紙を前記把手ドラムの周速に合せて送り出す第1群の可変速ロールと、前記スリッターの下流側において、前記幅方向中央を切断された前記帯状台紙を前記第1の周速よりも速い第2の周速で送り出す第2群の可変速ロールと、前記第2群の可変速ロールの下流側、且つ、前記カッターの上流側において、前記幅方向中央を切断された前記帯状台紙を前記第2の周速よりも速い第3の周速で送り出す第3群の可変速ロールと、を有する、ピンレス式把手製造装置を採用する。
【0009】
また、本発明は、前記第2群及び前記第3群の可変速ロールの周面に前記帯状台紙を押さえ付ける押えコロを有し、前記押えコロの周面には、前記帯状台紙に挟まれた前記把手紐を跨ぐ逃げ溝が形成されている、という構成を採用する。
【0010】
また、本発明は、前記複数の押えコロは、前記逃げ溝によって同時に前記把手紐を跨がないように回転位相が調整されている、という構成を採用する。
【0011】
また、本発明は、前記カッターとして、前記幅方向中央を切断された前記帯状台紙のいずれか一方を切断する第1のカッターと、前記帯状台紙の他方を切断する第2のカッターと、を有し、前記帯状台紙のいずれか一方が前記第1のカッターに切断されるとき、前記帯状台紙の他方が前記第2のカッターに切断されるように、前記第1のカッターに至る第1のルート長と前記第2のカッターに至る第2のルート長とを調整するルート長調整装置を有する、という構成を採用する。
【0012】
また、本発明は、前記把手ドラムの上流側において、前記帯状台紙を保持するリール装置を有し、前記リール装置は、前記帯状台紙が巻かれたリール軸と、前記リール軸に設けられたパウダーブレーキと、を有する、という構成を採用する。
【0013】
また、本発明は、把手紐を挟んで丁合されている帯状台紙にパンチ孔が開いていない、把手を採用する。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、蛇行させた把手紐を挟んで上下の帯状台紙を丁合させる把手ドラムの上流側に、第1群の可変速ロールを設け、上下の帯状台紙の送り出し速度を把手ドラムの周速に合わせるように制御する。これにより、上下の帯状台紙の送り出し速度の同期をとることができ、丁合のズレを防止することができる。また、丁合した帯状台紙の幅方向中央を切断するスリッターの下流側に、第2群の可変速ロールを設け、幅方向中央を切断された帯状台紙を把手ドラムの周速(第1の周速)よりも速い第2の周速で送り出すように制御する。これにより、帯状台紙にテンションを付与し、スリッターにおける切断不良を防止することができる。また、第2群の可変速ロールの下流側、且つ、幅方向中央を切断された帯状台紙を一定の間隔で切断するカッターの上流側に、第3群の可変速ロールを設け、幅方向中央を切断された帯状台紙を第2の周速よりも速い第3の周速で送り出すように制御する。これにより、帯状台紙にテンションを付与し、カッターにおける切断不良を防止する。以上のように、本発明によれば、ピン車を設けずとも、帯状台紙の丁合のズレを防止し、また、帯状台紙にテンションを付与して、把手を製造することができる。
したがって、本発明では、帯状台紙にパンチ孔をあけることなく、パンチ孔加工装置のスペースが不要となり、紙粉による作業環境や製品の汚れがなく、紙袋の品質と把手の生産性を向上させることができる。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。
【0017】
図1は、本発明の実施形態におけるピンレス式把手製造装置1の把手形成部2を示す構成図である。
図2は、本発明の実施形態におけるピンレス式把手製造装置1の把手切断供給部3を示す構成図である。
図3は、本発明の実施形態におけるピンレス式把手製造装置1の駆動系を示す模式図である。なお、
図3の模式図において、把手形成部2と把手切断供給部3は同一平面で接続されているが、実際は、平面視のレイアウトにおいて、把手形成部2から出た台紙Rは、図示しない方向変更装置を介して、把手形成部2と直角に配置された把手切断供給部3に送られ、省スペース化を図っている。把手切断供給部3のホイル54に送られた台紙Rは、カッター31でカットされた後、把手4として、把手搬送部32により更に直角に方向を変えて、図示しない把手貼付けドラムへ送られる。
ピンレス式把手製造装置1は、
図1に示すように、把手紐Sを挟んで上下の帯状台紙R1,R2を丁合させる把手形成部2と、
図2に示すように、丁合した帯状台紙Rを所定のピッチで切断して所定幅の把手4(後述する
図5参照)を製造する把手切断供給部3と、を有する。
【0018】
図1に示すように、把手形成部2は、把手紐Sが巻回された把手紐リール20と、帯状台紙R1が巻回された上側帯状台紙リール21と、帯状台紙R2が巻回された下側帯状台紙リール22と、を有する。上側帯状台紙リール21及び下側帯状台紙リール22は、リール装置24によって保持されている。リール装置24は、上側に上側帯状台紙リール21を保持し、下側に下側帯状台紙リール22を保持し、その間に把手紐Sを通すことが可能な構成となっている。
【0019】
リール装置24は、帯状台紙R1が巻かれたリール軸24a1と、リール軸24a1に設けられたパウダーブレーキ24a2と、を有する。また、リール装置24は、帯状台紙R2が巻かれたリール軸24b1と、リール軸24b1に設けられたパウダーブレーキ24b2と、を有する。パウダーブレーキ24a2,24b2は、リール軸24a1,24b1のトルクの伝達に磁性鉄粉を使用するものであり、励磁電流の変化に対応して伝達トルクを簡単に制御することができる。
【0020】
また、把手形成部2は、把手紐Sを挟んで上下の帯状台紙R1,R2を丁合させる把手ドラム25と、丁合した帯状台紙Rの幅方向中央を切断するスリッター26と、を有する。把手ドラム25の周面には、先ず、帯状台紙R2が巻き付き、その次に、蛇行した把手紐Sが帯状台紙R2の上に載置され、最後に、帯状台紙R1が巻き付くことで丁合される。スリッター26は、帯状台紙Rの幅方向中央に配置され、丁合された帯状台紙Rを左右2列に分離させる。
【0021】
図4は、本発明の実施形態における把手形成部2における把手製造過程を示す概念図である。なお、
図4では、把手ドラム25を平面方向から視ている。
把手ドラム25の周面には、
図4に示すように、紐掛部25aが複数設けられている。紐掛部25aは、略半円形状を有し、把手ドラム25の周方向に沿って左右交互に千鳥配置されている。左右の紐掛部25aは、帯状台紙R1,R2の幅以上の間隔を開けて配置されている。また、紐掛部25aの半円の直径は、把手紐Sが配置されるピッチPの1/2である。そして、左右交互に千鳥配置された紐掛部25aは、把手ドラム25の周方向においてピッチPの1/2のピッチで配置されている。
【0022】
把手ドラム25の近傍には、把手紐Sを紐掛部25aに掛ける紐掛装置10が設けられている。紐掛装置10は、把手ドラム25の軸方向に延在するスライドガイド11と、把手紐Sを保持すると共にスライドガイド11に沿って往復移動するスライド片12と、を有する。スライド片12は、リンク機構12a(
図3参照)と接続されており、把手ドラム25の回転と同期して往復移動する。例えば、把手ドラム25が左右それぞれ8つの紐掛部25aを有する場合、把手ドラム25が1回転する間に、スライド片12は8回往復移動する。
【0023】
図3に示すように、帯状台紙R2の搬送経路において、把手ドラム25の上流側には、ホットメルト装置13(
図1において不図示)が設けられている。ホットメルト装置13は、把手ドラム25に巻き付く帯状台紙R2の上向き面に接着剤を塗布する。また、帯状台紙R1の搬送経路において、把手ドラム25の上流側には、ホットメルト装置14(
図1において不図示)が設けられている。ホットメルト装置14は、把手ドラム25に巻き付く帯状台紙R1の下向き面に接着剤を塗布する。
【0024】
把手形成部2は、
図4に示すように、接着剤が塗布された上下の帯状台紙R1,R2の間に、把手部分となる把手紐Sを把手ドラム25の紐掛部25aにS字状にあや掛けして蛇行させ、把手ドラム25の周面上で上下の帯状台紙R1,R2を丁合させる。丁合した帯状台紙Rは、把手ドラム25の回転によって下流側に送り出される。把手ドラム25の下流側には、スリッター26が設けられており、送り出された帯状台紙Rは、幅方向中央を切断された後、把手切断供給部3(
図2参照)に送り出される。
【0025】
把手切断供給部3は、
図2に示すように、幅方向中央を切断された帯状台紙Rを一定の間隔で切断するカッター31と、カッター31で切断された把手4を図示しない下流側の製袋機に搬送・供給する把手搬送部32と、を有する。カッター31及び把手搬送部32は、左右一対で設けられており、左右2列に切断された帯状台紙Rの一方をカッター31A(第1のカッター)及び把手搬送部32Aで切断・搬送し、左右2列に切断された帯状台紙Rの他方をカッター31B(第2のカッター)及び把手搬送部32Bで切断・搬送する構成となっている。
【0026】
カッター31は、カッター胴33に設けられた回転刃31aと、回転刃31aと噛み合う固定刃31bと、を有する。カッター31は、カッター胴33を帯状台紙Rの送りピッチと同期させて一回転させ、カッター胴33の一回転毎に回転刃31aと固定刃31bとで、帯状台紙Rを一定のピッチで切断する。把手搬送部32は、カッター31の下流側に設けられ、カッター31で切断された把手4を受けるコンベア32aと、コンベア32aを駆動させるコンベア駆動装置32bと、を有する。
【0027】
図5は、本発明の実施形態における把手切断供給部3における把手製造過程を示す概念図である。
把手切断供給部3は、帯状台紙Rを一定のピッチPで切断する。ピッチPは、把手紐Sが配置される間隔と同じである。このように、把手紐Sが配置される間隔と、カッター31で切断するピッチPが同じなので、隣り合う把手紐Sの中間を切断すると、同じ形状(長さ)の把手4を連続して製造できる。この把手4の把手紐Sの幅Wは、ピッチPの2分の1になる。
【0028】
カッター31は、帯状台紙Rの送りピッチと同期させてカッター胴33を回転させる。具体的には、把手ドラム25の紐掛部25aが、把手ドラム25の周面上に左右それぞれ8個ずつある場合、把手ドラム25が1回転すると、左右それぞれ8個の把手紐Sが送られるため、カッター31はカッター胴33を8回転させ、隣り合う把手紐Sの中間を一定のピッチPで切断する。
【0029】
カッター胴33は、
図3に示すように、モータM10と駆動伝達機構15を介して接続されている。また、把手ドラム25も、モータM10と駆動伝達機構15を介して接続されている。駆動伝達機構15は、把手ドラム25とカッター胴33を1:8の回転比で駆動させるギア列を含む変速機である。なお、モータM10は、駆動伝達機構15を介して、紐掛装置10、スリッター26とも接続されており、それぞれを同期回転させる。
【0030】
把手形成部2の下流側(出口側)には、カッター31A,31Bにおけるカット位置合わせ用にコンペン40(ルート長調整装置)が設けられている。コンペン40は、
図1に示すように、不図示のモータに接続されたウォーム41aと、ウォーム41aと噛合するウォームホイール41bと、ウォームホイール41bと接続された揺動アーム41cと、揺動アーム41cの先端に回転自在に支持されたロール41dと、を有する。
【0031】
ウォーム41aが回転すると、ウォームホイール41bが回転し、揺動アーム41cが揺動する。揺動アーム41cが揺動すると、ロール41dと帯状台紙Rとの接触位置が移動し、帯状台紙Rの搬送経路のルート長が変更される。本実施形態では、左右2列に切断された帯状台紙Rのいずれか一方がカッター31Aに切断されるとき、帯状台紙Rの他方がカッター31Bに切断されるように、カッター31Aに至る第1のルート長L1(
図3参照)とカッター31Bに至る第2のルート長L2とを調整している。
【0032】
図3に示すように、把手形成部2は、把手ドラム25の上流側に設けられた第1群の可変速ロール50,51と、スリッター26の下流側に設けられた第2群の可変速ロール52と、を有する。第1群の可変速ロール50,51は、上下の帯状台紙R1,R2を把手ドラム25の周速に合せて送り出すものである。可変速ロール50は、モータM1によって回転し、可変速ロール51は、モータM2によって回転し、それぞれが独立して周速を制御可能な構成となっている。
【0033】
図6は、本発明の実施形態における把手ドラム25の周面における上下の帯状台紙R1,R2の送り出し速度の関係を説明する説明図である。
把手ドラム25は、丁合した帯状台紙Rを第1の周速V1で送り出す構成となっている。第1の周速V1は、把手ドラム25の回転数Nを一定とすると、把手ドラム25の半径rに依存する(V1=2πrN)。
【0034】
可変速ロール51は、把手ドラム25の周速に合せて下側の帯状台紙R2を送り出すように制御している。帯状台紙R2は、把手ドラム25の周面において半径rに帯状台紙R2の厚みt2の半分を加えた半径位置を基準に搬送されるため、第1の周速V1よりも大きい周速v2で送り出される(v2=2π(r+t2/2)N)。したがって、可変速ロール51は、帯状台紙R2を周速v2で送り出すように回転数を制御している。
【0035】
また、可変速ロール50は、把手ドラム25の周速に合せて上側の帯状台紙R1を送り出すように制御している。帯状台紙R1は、把手ドラム25の周面において半径rに帯状台紙R2の厚みt2及び帯状台紙R1の厚みt1の半分を加えた半径位置を基準に搬送されるため、周速v2よりもさらに大きい周速v1で送り出される(v1=2π(r+t2+t1/2)N)。したがって、可変速ロール50は、帯状台紙R1を周速v1で送り出すように回転数を制御している。
なお、可変速ロール50(51)から把手ドラム25の間で弛みや、強張力が発生した場合には、モータM1(M2)の回転指示を微調整する。
【0036】
図3に戻り、スリッター26の下流側に設けられた第2群の可変速ロール52は、モータM4によって回転し、独立して周速を制御可能な構成となっている。可変速ロール52は、幅方向中央を切断された帯状台紙Rを第1の周速V1よりも速い第2の周速V2で送り出すように制御している。第2の周速V2は、第1の周速V1よりも僅かに速く設定されている。これにより、帯状台紙Rに所定のテンションを付与できる。第2の周速V2は、例えば、第1の周速V1よりも100分の数%速くなるように設定されている。
【0037】
把手切断供給部3は、第2群の可変速ロール52の下流側、且つ、カッター31の上流側に設けられた第3群の可変速ロール53を有する。可変速ロール53は、モータM3によって回転し、独立して周速を制御可能な構成となっている。可変速ロール53は、幅方向中央を切断された帯状台紙Rを第2の周速V2よりも速い第3の周速V3で送り出すように制御している。第3の周速V3は、第2の周速V2よりも僅かに速く設定されている。これにより、帯状台紙Rに所定のテンションを付与できる。第3の周速V3は、例えば、第2の周速V2よりも100分の30%速くなるように設定されている。
【0038】
なお、本実施形態では、可変速ロール53の上流側に配置された台紙サイドレー用のホイル54、及び、可変速ロール53の下流側に配置された搬送コロ55も、モータM3によって回転し、幅方向中央を切断された帯状台紙Rを、可変速ロール53と同じ第3の周速V3で送り出す構成となっている。このため、ホイル54及び搬送コロ55は、可変速ロール53と同じ第3群に属すると言える。なお、可変速ロール53、ホイル54及び搬送コロ55は、駆動伝達機構16を介して同じ周速で同期回転する。
【0039】
図1に示すように、把手形成部2は、第2群の可変速ロール52の周面に帯状台紙Rを押さえ付ける押えコロ60aを有する。押えコロ60aには、帯状台紙Rに挟まれた把手紐Sを跨ぐ半円状の逃げ溝61が2箇所形成されている。この押えコロ60aは、可変速ロール52とギア等を介して同じ周速で同期回転する。
図2に示すように、把手切断供給部3には、押えコロ60bが設けられる。押えコロ60bは、半円状の逃げ溝61が3箇所形成されると共に、第3群の可変速ロール53の周面に対向して複数設けられ、帯状台紙Rを押さえ付ける。これらの押えコロ60bは、可変速ロール53とギア等を介して同じ周速で同期回転する。
【0040】
これら複数の押えコロ60a,60bは、逃げ溝61によって同時に把手紐Sを跨がないように回転位相が調整されている。例えば、可変速ロール52に対向する押えコロ60aが把手紐Sを跨いだときは、可変速ロール53に対向する2つの押えコロ60bのいずれか一つは、帯状台紙Rを可変速ロール53の周面に押さえ付けるようになっている。また、例えば、可変速ロール53に設けられた2つの押えコロ60bのいずれか一つ若しくは両方が把手紐Sを跨いだときは、可変速ロール52に設けられた押えコロ60aは、帯状台紙Rを可変速ロール52の周面に押さえ付けるようになっている。また、コンペン40でルート長L1またはL2を調整したとき、把手紐Sの位置がずれるため、これに合わせて、可変速ロール53に設けられた2つの押えコロ60bの回転位相が変えられるようになっている。
【0041】
続いて、上記構成のピンレス式把手製造装置1の動作及び作用について説明する。
【0042】
ピンレス式把手製造装置1は、
図3に示すように、把手紐Sを挟んで上下の帯状台紙R1,R2を丁合させる把手ドラム25の上流側に、第1群の可変速ロール50,51を設け、上下の帯状台紙R1,R2の送り出し速度を把手ドラム25の周速に合わせるように制御する。具体的には、
図6に示すように、把手ドラム25の周面に巻き付く上下の帯状台紙R1,R2は、その紙厚で見かけ上のドラム半径が増加するため、可変速ロール50,51の周速を制御し、上述したように見かけ上のドラム半径に応じた送り出しを行う。
【0043】
これにより、上下の帯状台紙R1,R2の送り出し速度の同期をとることができ、把手ドラム25における丁合のズレを防止することができる。また、可変速ロール50,51で、上下の帯状台紙R1,R2の送り量を丁合前に制御することにより、上側帯状台紙リール21及び下側帯状台紙リール22の巻径変化等によるテンション変動の影響を下流側に与えないようにすることができる。このため、上下の帯状台紙R1,R2の把手ドラム25に対する供給が安定する。
【0044】
また、ピンレス式把手製造装置1は、丁合した帯状台紙Rの幅方向中央を切断するスリッター26の下流側に、第2群の可変速ロール52を設け、幅方向中央を切断された帯状台紙Rを把手ドラム25の周速(第1の周速V1)よりも速い第2の周速V2で送り出すように制御する。可変速ロール52の周速が、把手ドラム25の周速よりも僅かに速くなると、帯状台紙Rにテンションが付与される。このように、把手ドラム25と可変速ロール52との間にテンションが付与されると、スリッター26における帯状台紙Rの切断が安定する。
【0045】
また、ピンレス式把手製造装置1は、第2群の可変速ロール52の下流側、且つ、幅方向中央を切断された帯状台紙Rを一定の間隔で切断するカッター31の上流側に、第3群の可変速ロール53を設け、幅方向中央を切断された帯状台紙Rを第2の周速V2よりも僅かに速い第3の周速V3で送り出すように制御する。また、可変速ロール53の近傍に配置されたホイル54及び搬送コロ55も、可変速ロール53と同じ周速で帯状台紙Rを送り出すように駆動させる。
【0046】
可変速ロール53、ホイル54及び搬送コロ55の周速が、可変速ロール52の周速よりも僅かに速くなると、帯状台紙Rにテンションが付与される。このように、可変速ロール52と可変速ロール53、ホイル54及び搬送コロ55の間にテンションが付与されると、帯状台紙Rの撓み等が抑制され、カッター31における切断が安定する。
【0047】
また、本実施形態では、
図1及び
図2に示すように、可変速ロール52,53の周面に帯状台紙Rを押さえ付ける押えコロ60a,60bを設ける。押えコロ60a,60bの周面には、帯状台紙Rに挟まれた把手紐Sを跨ぐ逃げ溝61が形成されているため、把手紐Sを踏むことなく帯状台紙Rを一定の圧で押え付けることができる。
【0048】
さらに、複数の押えコロ60a,60bは、逃げ溝61によって同時に把手紐Sを跨がないように回転位相が調整されている。この構成によれば、複数の押えコロ60a,60bのうち特定の押えコロが把手紐Sを跨ぐとき、少なくとも一つの押えコロが帯状台紙Rを押さえ付けているため、複数の押えコロ60a,60bによる圧が同時に抜けないようにすることができる。したがって、帯状台紙Rに対するテンション付与が安定する。
【0049】
加えて、本実施形態のリール装置24は、
図1に示すように、帯状台紙R1,R2が巻かれたリール軸24a1,24b1と、リール軸24a1,24b1に設けられたパウダーブレーキ24a2,24b2と、を有する。この構成によれば、パウダーブレーキ24a2,24b2によって、上側帯状台紙リール21及び下側帯状台紙リール22の巻径に応じて、リール軸24a1,24b1のトルクを簡単に制御でき、上下の帯状台紙R1,R2のテンションを一定に保持することができる。
【0050】
このようなピンレス式把手製造装置1によれば、帯状台紙Rにテンションを安定して付与できるため、従来のようにピン車及びダンサーロールを設ける必要がない。また、従来、ダンサーロールを設けていた把手形成部2の下流側(出口側)に、カッター31Aに至る第1のルート長L1とカッター31Bに至る第2のルート長L2とを調整するコンペン40を設け、左右に供給される帯状台紙Rのカット位置を合わせることができる。
【0051】
カッター31は、把手ドラム25の送りと同期して、帯状台紙Rを一定のピッチPで切断する。これにより、帯状台紙Rにパンチ孔が開いていない把手4(
図5参照)を製造できる。
以上のように、ピンレス式把手製造装置1は、可変速ロール50,51、52,53等の周速を制御し、周速差で帯状台紙Rにテンションを付与するため、従来技術のピン車を設けなくとも、帯状台紙Rの送り出しを安定させることができる。このようなピン車を設けない送り方式によれば、帯状台紙Rの脱落や、帯状台紙Rのパンチ孔の破れ等がなく、把手4の高速生産が可能となる。
【0052】
また、ピン車が不要になることで、帯状台紙Rに対するパンチ加工のためのパンチピンやダイス(消耗品)が不要になり、ランニングコストが安くなる。また、パンチ加工がなくなるため、紙粉が出ず、また、パンチホイルが不要になり、装置全体がコンパクトになる。また、把手4にパンチ孔が開いていないため、帯状台紙R1,R2を貼り合せる接着剤がパンチ孔を介して外側に漏れ出すことがなく、紙袋を汚してしまうことはない。また、把手4を紙袋の内側に貼ったとき、外側からパンチ孔が透けて見えることはなく、紙袋の見た目(品質)を向上させることができる。
【0053】
このように、上述の本実施形態によれば、蛇行させた把手紐Sを挟んで上下の帯状台紙R1,R2を丁合させる把手ドラム25と、把手ドラム25の下流側において、丁合した帯状台紙Rの幅方向中央を切断するスリッター26と、スリッター26の下流側において、幅方向中央を切断された帯状台紙Rを一定の間隔で切断するカッター31と、を有し、把手ドラム25は、丁合した帯状台紙Rを第1の周速V1で送り出し、把手ドラム25の上流側において、上下の帯状台紙R1,R2を把手ドラム25の周速に合せて送り出す第1群の可変速ロール50,51と、スリッター26の下流側において、幅方向中央を切断された帯状台紙Rを第1の周速V1よりも速い第2の周速V2で送り出す第2群の可変速ロール52と、第2群の可変速ロール52の下流側、且つ、カッター31の上流側において、幅方向中央を切断された帯状台紙Rを第2の周速V2よりも速い第3の周速V3で送り出す第3群の可変速ロール53と、を有する、ピンレス式把手製造装置1を採用することによって、帯状台紙Rにパンチ孔をあけることなく、紙袋の品質と把手4の生産性を向上させることができる。
【0054】
以上、図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。上述した実施形態において示した各構成部材の諸形状や組み合わせ等は一例であって、本発明の主旨から逸脱しない範囲において設計要求等に基づき種々変更可能である。
【0055】
例えば、上記実施形態では、押えコロ60a,60bの周面に、帯状台紙Rに挟まれた把手紐Sを跨ぐ逃げ溝61が形成されている構成について説明したが、本発明はこの構成に限定されるものではない。例えば、
図7に示すように、押えコロ60cをバネ部材70によって移動させる構成を採用してもよい。
図7に示す押えコロ60cは、その回転軸を支持する軸受部71が連結部材72を介してスライドガイド73に移動自在に支持され、軸受部71とスライドガイド73との間にバネ部材70が配置されている。この構成によれば、押えコロ60cが把手紐Sを乗り越えることができる。
【0056】
また、例えば、上記実施形態では、把手ドラム25の周面に巻き付く上下の帯状台紙R1,R2の見かけ上のドラム半径の周速に合せて、可変速ロール50,51が上下の帯状台紙R1,R2の送り出しの同期をとる制御について説明したが、さらに、次のような制御を加えてもよい。
図8は、把手紐Sを挟んで丁合された帯状台紙Rの断面図である。
図8に示すように、把手紐Sを挟むと、上側の帯状台紙R1は、1つの把手紐S当たり、把手紐Sの直径Dの2倍だけ、下側の帯状台紙R2よりも長く送り出される。このため、把手ドラム25における帯状台紙R1は、周速v1よりもさらに大きい周速v1´で送り出される。周速v1´は、周長に把手紐Sを挟んだ個数nに2Dを積算したものを加えることで算出できる(v1´=(2π(r+t2+t1/2)+2nD)N)。したがって、可変速ロール50は、帯状台紙R1を周速v1´で送り出すように回転数を制御してもよい。
【0057】
また、例えば、上記実施形態では、
図3に示すように、把手ドラム25、カッター胴33、紐掛装置10及びスリッター26を一つのモータM10で駆動する構成について説明したが、本発明はこの構成に限定されず、それぞれにサーボモータを設けて、一定の速度比で単独駆動させてもよい。
【0058】
また、例えば、上記実施形態では、可変速ロール50,51,52,53を駆動させるモータM1,M2,M4,M3は、回転信号に基づき回転制御可能なサーボモータに限らず、例えば、特開平2−95653号公報に記載されている差動変速装置やチェンジギヤ等の組み合わせからなるモータであってもよい。
【0059】
また、例えば、上記実施形態では、上下の帯状台紙R1,R2の送り出しを安定させるため、リール軸24a1,24b1にパウダーブレーキ24a2,24b2を設け、上側帯状台紙リール21及び下側帯状台紙リール22の巻径に応じてリール軸24a1,24b1の回転を自動または手動で制動できる構成を採用したが、本発明は可変速ロール50,51によってテンション変動の影響を下流側に与えないようにすることができるため、従来方式のベルト・フェルト式等を採用してもよい。