特許第6492415号(P6492415)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6492415
(24)【登録日】2019年3月15日
(45)【発行日】2019年4月3日
(54)【発明の名称】容器の底部構造
(51)【国際特許分類】
   B65D 1/02 20060101AFI20190325BHJP
【FI】
   B65D1/02 232
【請求項の数】4
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2014-94342(P2014-94342)
(22)【出願日】2014年5月1日
(65)【公開番号】特開2015-205726(P2015-205726A)
(43)【公開日】2015年11月19日
【審査請求日】2017年4月19日
(31)【優先権主張番号】特願2014-81686(P2014-81686)
(32)【優先日】2014年4月11日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】313005282
【氏名又は名称】東洋製罐株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100086232
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 博通
(74)【代理人】
【識別番号】100104938
【弁理士】
【氏名又は名称】鵜澤 英久
(74)【代理人】
【識別番号】100096459
【弁理士】
【氏名又は名称】橋本 剛
(72)【発明者】
【氏名】内山 剛志
(72)【発明者】
【氏名】三浦 正樹
(72)【発明者】
【氏名】深堀 穂高
【審査官】 長谷川 一郎
(56)【参考文献】
【文献】 特開2008−290751(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2004/0159626(US,A1)
【文献】 特開2011−121645(JP,A)
【文献】 特開昭57−017730(JP,A)
【文献】 特開2008−007187(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 1/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
容器の底部構造であって、
環状に形成された接地部と、
接地部内の中央位置に形成された凸状部と、
接地部と凸状部との間に設けられた円弧状の環状凸状部と、
環状凸状部と凸状部とに隣接して形成された円弧状の環状凹状部と、を備え、
環状凹状部から環状凸状部の頂部に向かって上り勾配に形成されている一方、
環状凸状部の頂部から接地部に向かって下り勾配に形成され、
前記環状凸状部の頂部が、凸状部の中心から容器の胴部までの最短距離となる容器胴径の38%〜56%の範囲に形成されていることを特徴とする容器の底部構造。
【請求項2】
複数の環状凸状部を備え、
前記凸状部側の環状凸状部の頂部が、前記容器胴径の38%〜49%の範囲に形成されている
ことを特徴とする請求項1記載の容器の底部構造。
【請求項3】
前記接地部の延長線に対する環状凸状部の容器中央側の接線の傾斜角が10度〜45度の範囲内であることを特徴とする請求項1または2記載の容器の底部構造。
【請求項4】
前記環状接地部の延長線に対する環状凹状部の中央位置側の接線の傾斜角度が50度〜15度の範囲内であることを特徴とする請求項1〜3記載の容器の底部構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、容器の底部構造に関し、特に充填時の泡立ちを抑制する容器の底部構造に関する。
【背景技術】
【0002】
周知のようにPET(ポリエチレンテレフタレート)ボトルに代表されるボトル型容器は、各種飲料等の内容液を収容する容器として広く利用されている。このボトル型容器に内容液を充填する際は、図6(a)に示すように、上方の充填ノズル2から内容液を容器1内に充填する。
【0003】
この内容液の充填後における図6(b)に示す容器1のヘッドスペース(空気残存スペース)Sが大きいと内容液の酸化を促進し、また内容液が少なく見えるため、ヘッドスペースSの少量化が望まれている。
【0004】
ところが、単純に容器1の口部3付近まで内容液を充填すると、充填時に発生した泡がこぼれ、容器1の口部3が汚れる問題が生じていた。また、ヘッドスペースSを不活性ガスで置換する際、空気を含んだ泡で置換が阻害される問題も生じる。この問題の対策として例えば特許文献1のボトル型容器が提案されている。
【0005】
図7(a)(b)に基づき概略を説明すれば、特許文献1のボトル型容器11は有底筒状に形成され、外周壁を構成する胴部4と、胴部4の上側に配置された首部5と、両者間4,5の肩部6と、首部5の上端側に配置される前記口部3と、胴部4の下端を閉塞する底部7とを備えている。
【0006】
この底部7は環状のヒール部と呼ばれる接地部8と、接地部8内の中央位置の突出部9と、突出部9から胴部4の下端外周に向かって放射状に付与された凸リブ10とを有している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2012−153383
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、特許文献1のボトル型容器11は突出部9に当たった内容液を底部7の内面全体へ均一に流して、胴部4に設けた最も底部7に近い環状リブ4aを小さくすることによって内容液に空気が巻き込まれる乱流を小さくし、泡立ちの抑制を試みているが、図8中の矢印に示すように、内容液は底部7の内面に沿って流れた後に直接接地部8から胴部4に衝突するため、液跳ねを少なくして、泡立ちを抑制するには不十分である。
【0009】
このように、従来の容器においては、泡立ちの抑制が不十分であるため、内容液を口部3付近まで充填すると、泡がこぼれ、容器の口部が汚れるおそれがある。このため、ヘッドスペースSをおおきくしなければならず、飲料等の酸化を防止するヘッドスペースSの少量化の要請に応えることができない。また、ヘッドスペースSに泡が残存すると、該ヘッドスペースSの不活性ガスによるガス置換が容易でない。
【0010】
従って、本発明は、前述のような従来技術の問題点を解決するためになされたものであり、飲料等の内容液の充填時の泡立ちを防止する容器底部の構造を提供することを課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明に係る容器の底部構造は、環状に形成された接地部と、接地部内の中央位置に形成された凸状部と、接地部と凸状部との間に設けられた環状凸状部と、を備え、環状凸状部頂部が容器胴径35〜80%の範囲に形成されていることを特徴としている。
【発明の効果】
【0012】
本発明の容器の底部構造によれば、容器に充填された内容液が環状凸状部を越える際に、流れの勢いが弱まって胴部に衝突するため、内容液の液はねが抑えられることにより、内容液の充填時の泡立ちを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明の第1実施形態に係る容器の底部構造の縦断面図。
図2】(a)は同充填時の液体の流れを示すイメージ図、(b)は一般な容器底部の充填時の流れを示すイメージ図。
図3】本発明の第2実施形態に係る容器の底部構造の縦断面図。
図4】試験装置の一部破断斜視図。
図5】(a)は図1の容器の底部の樹脂製雛形を図4の試験装置にセットした状態の斜視図、(b)は図3の容器の底部の樹脂製雛形を同試験装置にセットした状態の斜視図。
図6】(a)は内容液充填時の概略図、(b)は充填完了時の容器正面図。
図7】(a)は特許文献1の容器の斜視図、(b)は同縦断面図。
図8】特許文献1の容器における内容液の充填時の流れを示すイメージ図。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施形態に係る容器の底部構造を説明する。この底部構造は有底筒状の容器であれば適用でき、底部形状を除いて特に制限はなく、丸型容器や角型容器の如何を問わない。また、樹脂製容器に限定されず、ガラス製容器、金属製容器であってもよい。
【0015】
≪第1実施形態≫
(1)構成例
図1に基づき本発明の第1実施形態に係る容器の底部構造を説明する。図1中の17は容器の底部を示し、該底部17に容器内側に向かう環状凸部12が形成されている。以下、この図1の構造を底部構造Aと称す。

本実施形態の容器は、横断面形状が円形であって、その底部構造の底部17は、内周縁に形成された環状のヒール部と呼ばれる接地部8と、接地部8内の中央位置に形成された容器内側に向かう凸状部11と、凸状部11と接地部8との間に円周状に形成された環状凸状部12と、この両者11,12間の容器外側に向かう円周状に形成された環状凹状部13とを備えている。この三者11〜13はそれぞれ断面形状が円弧状に隣接して形成され、接地部8よりも容器内側へ凸状の上げ底形状に形成されている。
【0016】
尚、前述した凸状部11、環状凸状部12及び環状凹状部13の曲率半径Rは、3〜20mmであり、後述する容器胴径D、前記環状凸状部12及び環状凹状部13を形成する数によって決定すればよい。
【0017】
そして、この底部17の形状においては、凸状部11および環状凸状部12が山部として周設され、両者11,12間に環状凹状部13が谷部として周設されることになり、以下、凸状部11および環状凸状部12を山部11,12と称し、環状凹状部13を谷部13と称す。
【0018】
図2(b)は、一般的な容器の底部20の形状の場合の充填状態を示し、図中の矢印に示すように、前記充填ノズル2(図6(a)参照)から内容液Wを容器内に充填すると、内容液Wは底部20の湾曲形状に沿って流れ、接地部8から胴部4の内壁に衝突し、容器上方へ跳ね上がるため、大きく液はねしてしまい、泡立ちが大きくなる。
【0019】
これに対し、図2(a)に示すように、本実施形態の容器の底部構造Aによれば、前記充填ノズル2から内容液Wを容器内に充填すると、内容液Wは谷部13内、即ちd1(図1参照)のエリア内に充填される。次いで、このエリアに充填された内容液Wは、山部12の勾配を昇って矢印A,B方向に分岐しながら胴部4側へ流れる。
【0020】
そして、この矢印Aに分岐した内容液Wは山部12の勾配に沿って胴部4の内壁に衝突して内側に戻される。一方、矢印Bに分岐した内容液Wは接地部8へ流れて、胴部4の内壁に衝突し、跳ね上げられるが、山部12を越える際に分岐していることで勢いが減衰しているため、液はねが小さくなる。
【0021】
この結果、接地部8から胴部4の内壁に衝突して発生する液はねを抑制でき、これにより容器内の泡立ちを少なくすることができる。したがって、容器の口部の内容液の泡立ちによる汚れを防止し、容器のヘッドスペースSを少量化でき、容器内の内容液の酸化防止のためのヘッドスペースSのガス置換も行いやすくなる。
【0022】
尚、本実施形態の容器の底部構造Aによれば、内容液Wを谷部13、即ちd1のエリア内に充填できればよいので、充填ノズル2の位置が底部17の中央位置、即ち山部11の中心からずれていても、充填を行うことができ、充填ノズル2の位置合わせも容易とすることができる。
【0023】
≪第2実施形態≫
図3に基づき本発明の第2実施形態に係る容器の底部構造を説明する。本実施形態の容器の底部構造においては、底部17に2重の環状凸状部12が形成されている。以下、この図3の構造を底部構造Bと称す。
【0024】
本実施形態の容器は、横断面形状が円形であって、その底部構造の底部17は、内周縁に形成された環状のヒール部と呼ばれる接地部8と、接地部8内の中央位置に形成された容器内側へ向かう凸状部11と、凸状部11と接地部8との間に2重に形成された円周状の環状凸状部12と、内側の環状凸状部12と凸状部11との間の円周状の環状凹状部13と、環状凸状部12間の円周状の環状凹状部13とを備えている。この四者11〜13はそれぞれ断面形状が円弧状に隣接して形成され、接地部8よりも容器内側へ凸状の上げ底形状に形成されている。
【0025】
また、底部17の形状においては、凸状部11及び各環状凸状部12が山部として、凸状部11と環状凸状部12,環状凸状部12間の環状凹状部13が谷部として周設されることになり、以下、凸状部11および2重の環状凸状部12を山部11,12と示し、各環状凹状部13を谷部13と称す。
【0026】
そして、この容器の底部構造Bによれば、前記充填ノズル2(図6(a)参照)から内容液Wを容器内に充填する際には、外側の谷部13内、即ちd2のエリア内に充填すればよい。このとき容器内に充填された内容液Wは、山部12を越えるごとに上方と下方に分岐して流れるので、その流れの勢いを減衰しながら、外側の山部12を、前述した底部構造Aと同様に矢印A,B方向に分岐しながら胴部4側へ流れ(図2(a)参照)、底部構造Aと同様の効果を得ることができる。
【0027】
また、本実施形態の容器の底部構造Bによれば、外側谷部13のエリアd2は底部構造Aの谷部13内のエリアd1よりも大きいため、充填ノズル2の位置が底部17の中央位置、即ち山部11の中心からずれていても、前述した底部構造Aと同様に、充填を行うことができ、充填ノズル2の位置合わせも、さらに容易とすることができる。尚、前述した山部12は2重に限らず、後述する容器胴部Dの寸法に応じて2重以上の複数個を形成してもよい。
【0028】
次に、図1,3に示す本発明の実施形態の底部構造A,Bにお容器胴径Dは、底部17の中央位置にある山部11の中心から胴部4までの最短距離となる位置での胴径であり、例えば前述した実施形態のように横断面形状が円形の容器であれば、容器胴径Dはその直径を示し、横断面形状が正方形の容器であれば容器胴径Dは対向する辺間の距離を示す。
【0029】
また、横断面形状が長方形の容器であれば、容器胴径Dは短辺間の距離を示し、横断面形状が楕円形の容器であれば、容器胴径Dは短径間の距離を示す。
【0030】
また、図1および図3における山部12の山径D1,D2は山部12の頂部間の直径を示し、山部12の高さを内側から順にH1、H2と示される。同様に谷部13の谷径d1,d2は、谷部12の底間の直径を示し、谷部13の深さを内側から順にh1,h2と示す。
【0031】
そして、山部12の頂部を容器胴径Dの35%未満の位置にのみ形成すると、底部17の山部11と山部12が近すぎてしまい、充填位置少しずれで、容器内に充填された内容液Wが谷径d1内に充填されず、山部12を乗り越えずに胴部4まで流れてしまい、内容液Wの泡立ちを抑制することができない。逆に山部12の頂部を容器胴径の80%を越えた位置にのみに形成すると、胴部4との距離が短すぎてしまい、内容液Wが山部12を乗り越えても、前述した矢印A,B方向(図2(a)参照)に十分に分岐できず、同様に、内容液Wの泡立ちを抑制することができない。
【0032】
従って、底部17における山部12は、山部12頂部が容器胴径Dの35〜80%の範囲内に形成することが好ましい。特に40〜70%に形成することがより好ましい。
【0033】
また、図1,3に示すDbは、接地部の内径(底型径)を示し、最も外側の山部の外径を示すものでもある。さらに、凸状部11の高さHcは、底部17の中心位置における接地部8の延長線Lまでの山部11の垂直方向の高さを示す。一般的に、容器の底部構造は、凸状部11が最も容器内側に存在する円弧状の上げ底であり、落下時の割れや底落ち防止の効果を有している。本発明の実施形態においても、同様に上げ底形状の効果を得るため、底部17の凸状部11の高さHcは3〜15mmとしている。また、山部12は、外側の接地部8に向かって、接地部8の延長線Lまでの山部12の垂直方向の高さHを徐々に低くすることで、底部17の上げ底形状を維持しながらも、内容液Wの流れの勢いを減衰できる。
【0034】
さらに、図1のα1は、接地部8の延長線Lに対する山部12の中央位置側の接線の傾斜角を示す。図3のα1は前記延長線Lに対する内側の山部12における中央位置側の接線の傾斜角を示し、α2は前記延長線Lに対する外側の山部12における中央位置側の接線の傾斜角を示している。この図1および図3のα1,α2は、45度より大きいと充填時に内容液Wが山部12を乗り越えながら上方へ跳ね上がるため、泡立ちが大きくなり、10度より小さいと、内容液Wがほとんど分岐せず流れてしまい、内容液Wの流れの勢いが抑制されないまま胴部4の内壁に衝突してしまうため、泡立ちが大きくなる。従って、図1および図3のα1,α2は、10度〜45度の範囲が好ましく、より好ましくは15度〜35度の範囲である。
【0035】
また、図1のβ1は、接地部8の延長線Lに対する谷部13の中央位置側の接線の傾斜角を示す。図3のβ1は前記延長線Lに対する内側の谷部13における中央位置側の接線の傾斜角を示し、β2は前記延長線Lに対する外側の谷部13における中央位置側の接線の傾斜角を示している。この図1および図3のβ1は、50度より大きい場合や15度よりも小さい場合、上方へ内容液がはねあがってしまうため、15〜50度の範囲が好ましい。
【実施例】
【0036】
次に、発明者の実施した容器底部毎の泡立ち試験について説明する。ここでは底部構造A,Bについて泡立ち試験を行った。
【0037】
(1)試験方法
試験装置には図4に示す試験装置30を使用した。この試験装置30はベース31に容器の底部に対応する樹脂製底部雛形を下端部で保持する筒状体32を立設し、この筒状体32内に上下動可能に挿入され、下端部にストッパー33aを有し、外面の適宜高さ位置に基準線、及びその基準線から1ccづつ目盛りを付したT字管33と、T字管33の上端開口部から挿入され、下部に軸部34aを延設したホッパー34からなる装置である。
【0038】
各容器の底部に対応する樹脂製底部雛形を、試験装置30の筒状体32の下端部に固定してベース31上にセット後、中性洗剤を含有する100ccの水をホッパー34からT字管33に供給して、筒状体32内の空間容積Cに充填し、液状部分と泡部分を発生させた。次いで、前記泡部分に接触しない位置にあるT字管33のストッパー33aを空間容積Cに下降させ、下端部側のストッパー33aにより押圧して液面をT字管33の基準線まで上昇させて、この基準線(液面)から上方の泡の容積を目盛に従って測定した。
【0039】
(2)測定結果
泡の容積が5cc以上を×、5〜4ccを△、4〜1ccを○、1cc未満を◎とした。測定結果(泡の容積,評価)を表1に示す。
【0040】
【表1】
【0041】
[各実施例]
容器の底部構造を図1、或いは図3に示す形状とし、各底部構造の容器胴径D、各底部構造の底型径Db、凸状部の高さHc、山部の山径D1、山部の高さH、傾斜角α1,α2、谷部の谷径d1、谷部の深さh、傾斜角β1,β2の各部位を表1中の寸法、角度として、前述した評価を行った。そして、表1中の実施例おいて、実施例1〜5は容器胴径が60mmで図1に示す底部構造A、実施例6〜8は容器胴径が60mmで図3に示す底部構造B、実施例9〜11は容器胴径が120mmで図1に示す底部構造Aで評価を行ったものである。
【0042】
[各比較例]
容器の底部構造を、比較例1は、図2(b)の従来の形状、比較例2〜5は、図1に示す底部構造Aの形状とし、比較例1〜3は容器胴径が60mm、比較例4、5は容器胴径が120mmのPETボトルで、各部位を表1中の寸法、角度として、前述した実施例と同様に評価を行った。尚、山部及び谷部の曲率半径は、各実施例、比較例において、容器の底部構造の前記山部、前記谷部の位置、その傾斜角α1,α2および傾斜角β1,β2に応じて前述した曲率半径Rの範囲内で適宜選択した。
【0043】
表1の評価結果から明らかなように、各実施例の底部構造は、各比較例の底部構造に比べて充填時の泡の容積が少なく、底部の山部による泡立ちの抑制に優れていることが確認できた。また、比較例2〜5の底部構造は、底部に山部が形成されているが各実施例に比べて山部による泡立ちの抑制効果が十分ではない。その要因は、比較例2,4の底部構造はD1/Dの値が35%未満と小さすぎるため、内容液が全て谷部に落下することが困難となり、一部の内容液のみが山部を乗り越え、内容液の勢いがそれほど減衰されずに胴部まで流れて液が跳ね上がりやすく、液はねの抑制効果が不十分であることが判明した。
【0044】
一方、比較例3,5は、D1/Dの値が80%超と大きすぎるため、山部と胴部との距離が短く、内容液が前述した矢印A,Bに十分に分岐できず、同様に液はね抑制効果が不十分であることが判明した。
【0045】
このように、本実施例によっても、前述のように良好な液はね抑制効果を得るには、底部17に山部12の頂部を容器胴径Dの35〜80%の範囲内に形成し、特に40〜75%の範囲で形成することがより好ましい。
【0046】
本発明の容器の底部構造は、前記実施形態に限定されるものではなく、各請求項に記載された範囲内で変形して実施することができる。例えば山部12を断面円弧状ではなく、断面台形状、断面正方形状、断面長方形状、断面V字状等に形成してもよく、また特許文献1のように突出部9から胴部4の下端側に向かって放射状に凸リブ10を付与してもよい。
【符号の説明】
【0047】
4…胴部
8…接地部
11…凸状部
17…底部
12…環状凸部(山部)
13…環状凹部(谷部)
D…容器胴径
D1…山径
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8