特許第6492524号(P6492524)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6492524
(24)【登録日】2019年3月15日
(45)【発行日】2019年4月3日
(54)【発明の名称】中和装置
(51)【国際特許分類】
   C02F 1/66 20060101AFI20190325BHJP
   F23L 17/14 20060101ALI20190325BHJP
【FI】
   C02F1/66 510Q
   C02F1/66 521D
   C02F1/66 530B
   C02F1/66 530K
   F23L17/14 P
【請求項の数】5
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2014-214500(P2014-214500)
(22)【出願日】2014年10月21日
(65)【公開番号】特開2016-78000(P2016-78000A)
(43)【公開日】2016年5月16日
【審査請求日】2017年9月21日
(73)【特許権者】
【識別番号】000004709
【氏名又は名称】株式会社ノーリツ
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】特許業務法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】▲濱▼上 俊彦
(72)【発明者】
【氏名】森下 敦弘
(72)【発明者】
【氏名】岡田 英幸
(72)【発明者】
【氏名】鍋島 弘樹
(72)【発明者】
【氏名】中村 裕美
(72)【発明者】
【氏名】岩▲崎▼ 徳
(72)【発明者】
【氏名】樫原 康司
(72)【発明者】
【氏名】菅谷 昌輝
(72)【発明者】
【氏名】稲村 英也
(72)【発明者】
【氏名】森田 康資
(72)【発明者】
【氏名】鳥居 江洋
(72)【発明者】
【氏名】中田 裕己
【審査官】 片山 真紀
(56)【参考文献】
【文献】 特開2013−166125(JP,A)
【文献】 特開2012−167850(JP,A)
【文献】 特開2014−025633(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C02F 1/66
F23N 1/02−06、3/00−5/00、5/18、5/24
F23L 1/00−99/00
F24H 8/00、9/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
燃焼ガスが露点以下の温度になることにより生成されるドレンを中和剤で中和する中和装置であって、
前記中和剤を収容可能な通路を有する容器と、
前記中和剤上に配置され、かつ、前記通路内の貫通孔を閉塞する閉止部材であって、前記中和剤が前記貫通孔よりも高位置まで充填された第1の状態では前記貫通孔を閉塞せず、かつ、前記中和剤が前記貫通孔の位置まで消耗した第2の状態では前記貫通孔を閉塞する前記閉止部材と、
前記閉止部材が前記通路を閉止することにより前記通路内に前記ドレンが貯まることによる前記ドレンの水位の上昇を検知可能な検知部材とを備えた、中和装置。
【請求項2】
前記検知部材は電極を含み、
前記電極は前記ドレンの流路を構成する前記通路において前記閉止部材よりも上流側に配置されている、請求項1に記載の中和装置。
【請求項3】
前記閉止部材は前記ドレンよりも高い比重を有する球を含み、
前記通路は前記球により閉塞可能な閉塞部を含む、請求項1または2に記載の中和装置。
【請求項4】
前記閉止部材が閉止する部分の前記通路の開口面積は、前記閉止部材が閉止していない前記通路の開口面積よりも狭い、請求項1〜3のいずれか1項に記載の中和装置。
【請求項5】
前記閉止部材は、前記ドレンの排出基準を満たすように前記ドレンを中和可能な前記中和剤が前記通路において前記閉止部材よりも下流側に残存した状態で、前記通路を閉止する、請求項1〜4のいずれか1項に記載の中和装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、中和装置に関し、特に、燃焼ガスが露点以下の温度になることにより生成されるドレンを中和剤で中和する中和装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
熱源機の一例として、熱効率を高めるために、燃焼ガスの顕熱および潜熱(燃焼ガス中の水蒸気が保有している潜熱)を回収する熱交換器を備えたものが実用化されている。この潜熱回収式熱源機では、燃焼ガス中の水蒸気は潜熱を奪われることにより凝縮して結露するため、熱交換器に多量のドレン(結露水)が発生する。燃焼ガス中には窒素酸化物などが含まれるため、これがドレンに溶け込んでドレンは酸性となる。この酸性のドレンを中和するために中和装置が用いられている。中和装置には中和剤が充填されており、中和剤がドレンと反応することによりドレンが中和される。中和剤はドレンと反応することにより消費される。
【0003】
従来、燃焼熱量と燃焼時間との積の値に基づいて中和剤の消費量が予測されている。実際には熱源機の使用条件により中和剤の消費量が変動するため、この手法では中和剤の消耗を正確に検出できないという問題がある。この問題を解決するために、特開2013−166125号(特許文献1)には、量検知手段が直接中和剤に接して中和剤の消耗を機械的に検知する中和装置が開示されている。この中和装置は、中和剤上に載置され、中和剤の減少に伴って下動することにより中和剤の消耗を検知する量検知手段を備えている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2013−166125号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記公報に開示された中和装置では、量検知手段が下動することにより、ドレンの流通が激しく中和剤の消耗が一番早いドレン流入口近傍で量検知手段がドレンと接するため、ドレン流入口近傍のみ中和剤が消耗した状態で量検知手段がドレンと接することがある。したがって、この中和装置では、中和剤の消耗を正確に検知することは困難である。
【0006】
本発明は、上記の課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、中和剤の消耗を正確に検知できる中和装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の中和装置は、燃焼ガスが露点以下の温度になることにより生成されるドレンを中和剤で中和するものである。中和装置は、容器と、閉止部材と、検知部材とを備えている。容器は中和剤を収容可能な通路を有する。閉止部材は、容器内に中和剤が充填された第1の状態では中和剤上に配置され、かつ中和剤が消耗した第2の状態では通路を閉止する。検知部材は、閉止部材が通路を閉止することにより通路内にドレンが貯まることによるドレンの水位の上昇を検知可能である。
【0008】
本発明の中和装置によれば、閉止部材は中和剤が消耗した第2の状態で通路を閉止する。そして、閉止部材が通路を閉止することにより通路内にドレンが貯まることによるドレンの水位の上昇を検知部材が検知する。したがって、中和剤の消耗によって通路が閉止されたことにより通路内にドレンが貯まることによるドレンの水位の上昇を検知することができる。このため、中和剤の消耗を正確に検知することができる。
【0009】
上記の中和装置においては、検知部材は電極を含んでいる。電極はドレンの流路を構成する通路において閉止部材よりも上流側に配置されている。このため、閉止部材により通路が閉止されたことによるドレンの水位の上昇を確実に検知することができる。
【0010】
上記の中和装置においては、閉止部材はドレンよりも高い比重を有する球を含んでいる。通路は球により閉塞可能な閉塞部を含んでいる。このため、球がドレンに浮くことがない。また、球の外周面の少なくとも一部が閉塞部に接することにより通路を閉塞できる。したがって、通路を容易かつ確実に閉止することができる。
【0011】
上記の中和装置においては、閉止部材が閉止する部分の通路の開口面積は、閉止部材が閉止していない通路の開口面積よりも狭い。このため、通路の開口面積の狭い部分で通路を閉止できる。したがって、閉止部材により通路を確実に閉止することができる。
【0012】
上記の中和装置においては、閉止部材は、ドレンの排出基準を満たすようにドレンを中和可能な中和剤が通路において閉止部材よりも下流側に残存した状態で、通路を閉止する。このため、ドレンの排出基準を満たすように中和されたドレンを中和装置から排出することができる。
【発明の効果】
【0013】
以上説明したように、本発明によれば、中和剤の消耗を正確に検知できる中和装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明の一実施の形態における熱源機の構成を示す概略図である。
図2】本発明の一実施の形態における中和装置の構成を示す概略図である。
図3図2に示す状態から中和剤が減少した状態を示す概略図である。
図4図3に示す状態から中和剤が減少し、閉止部材が通路を閉止した状態を示す概略図である。
図5】閉止部材が通路を閉止した状態を示す概略斜視図である。
図6】本発明の変形例における中和器の構成を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施の形態について図に基づいて説明する。
まず、本発明の一実施の形態における熱源機の構成について説明する。以下では各方向は熱源機を設置した状態を基準としている。
【0016】
図1を参照して、本実施の形態における熱源機10は、筐体1と、燃焼装置2と、送風装置3と、一次熱交換器4と、二次熱交換器5と、中和装置6と、制御部8と、給湯経路9とを主に有している。
【0017】
筐体1は、底面(下面)1a、天面(上面)1bおよび側面1cと、図示しない前面および後面を有しており、これらの面によって取り囲まれた内部空間ISを有している。この内部空間ISに、燃焼装置2、送風装置3、一次熱交換器4、二次熱交換器5、中和装置6、制御部8、給湯経路9が収納されている。
【0018】
燃焼装置2は、燃焼ガスを供給するためのものである。この燃焼ガスは、一次熱交換器4および二次熱交換器5との間で熱交換を行なうためのものである。燃焼装置2は熱源機10の高さ方向の中央部に配置されている。燃焼装置2はたとえばバーナである。
【0019】
送風装置3は、燃焼装置2に燃焼用の空気を供給するためのものである。送風装置3は、燃焼装置2よりも底面1a側(下方側)に配置されている。また、送風装置3は、一次熱交換器4および二次熱交換器5よりも底面1a側に配置されている。送風装置3はたとえばファンである。
【0020】
一次熱交換器4は、燃焼装置2によって供給された燃焼ガスの顕熱を回収するためのものである。二次熱交換器5は、燃焼装置2によって供給された燃焼ガスの潜熱を回収するためのものである。一次熱交換器4と二次熱交換器5とは互いに接続されている。一次熱交換器4は二次熱交換器5の下方側に配置されている。また、一次熱交換器4および二次熱交換器5は、燃焼装置2よりも上面1b側(上方側)に配置されている。一次熱交換器4および二次熱交換器5はそれぞれ被加熱流体を流通可能な伝熱管と、この伝熱管を収容可能なケースとを有している。
【0021】
一次熱交換器4で熱交換した後の燃焼ガスが二次熱交換器5へ通されることで二次熱交換器4内の水(被加熱流体)が予熱される。この過程で燃焼ガスの温度が60℃程度まで下がることで、燃焼ガス中に含まれる水分が凝縮して潜熱が回収される。そして、燃焼ガスの潜熱が回収されることによってドレンが発生する。
【0022】
中和装置6は、燃焼ガスが露点以下の温度になることにより生成されるドレンを中和剤で中和するものである。中和装置6は、容器6aと、検知部材7とを有している。検知部材7は電極を有している。具体的には、検知部材7は、第1の電極7aと、第2の電極7bとを有している。第1の電極7aおよび第2の電極7bの各々は容器6aに取り付けられている。中和装置6は燃焼装置2と側面1cとの間に配置されている。中和装置6は二次熱交換器5よりも底面1a側(下方側)に配置されている。
【0023】
ドレン受けDRは二次熱交換器5の下方に配置されており、二次熱交換器5で生じたドレンを受けるように構成されている。このドレン受けDRで受けられたドレンは排気ガス中の窒素酸化物などが溶け込んでいるため酸性となる。第1のドレン配管DP1はドレン受けDRと中和装置6とを接続している。酸性のドレンは、ドレン受けDRから第1のドレン配管DP1を通って中和装置6に送られる。
【0024】
中和装置6の内部には中和剤が充填されており、この中和剤によって酸性のドレンを中和することができる。中和剤は、たとえば炭酸カルシウムである。第2のドレン配管DP2は中和装置6とドレン排出口DOとを接続している。中和装置6で中和されたドレンは第2のドレン配管DP2を通ってドレン排出口DOから筐体1外に排出される。
【0025】
第1の電極7aおよび第2の電極7bの各々は制御部8に電気的に接続されている。制御部8は中和装置6内のドレンを検知可能に構成されている。制御部8は、第1の電極7aと第2の電極7bとがドレンに接触することにより互いに導通したことを示す電気信号によって中和装置6内のドレンを検知する。
【0026】
また、制御部8は、図示しない表示部に電気的に接続されている。制御部8は、ドレンを検知すると、図示しない表示部にドレンを検知したことを表示するように表示部を制御するよう構成されている。なお、制御部8は、図示しないスピーカに電気的に接続されていてもよい。この場合、制御部8は、ドレンを検知すると、図示しないスピーカからドレンを検知したことを報知するようにスピーカを制御するよう構成されている。
【0027】
給湯経路9は、一次熱交換器4および二次熱交換器5で燃焼ガスと熱交換された湯水を熱源機外に供給するためのものである。給湯経路9は、給水配管9aと、給湯配管9bと、入水口IWと、出湯口OWとを有している。給水配管9aは、入水口IWから二次熱交換器5に被加熱流体である水を給水可能に構成されている。給湯配管9bは、一次熱交換器4と出湯口OWとを接続している。給湯配管9bは、一次熱交換器4から出湯口OWに一次熱交換器4および二次熱交換器5で温められた温水を給湯可能に構成されている。これにより、入水口IWから給水された水は、二次熱交換器5および一次熱交換器4を通過する際に燃焼ガスによって加熱されて出湯口OWから給湯される。
【0028】
続いて、図2を参照して、本実施の形態の中和装置6の構成について詳しく説明する。
中和装置6は、上述した容器6aおよび検知部材7に加えて閉止部材CPを有している。中和装置6の容器6aは、中和剤11を収容可能な通路PAを有している。容器6a内に中和剤11が充填されている。つまり、中和剤11は通路PAに充填されている。通路PAはドレン12の流路を構成している。
【0029】
容器6aは、流入口6bと、流出口6cと、ガイド部6dと、貯留部6eと、隔壁部6fと、内壁部6gと、仕切部6hと、投入口6iと、蓋6jと、閉止部材通路BPと、カバーCOとを有している。カバーCOは、検知部材7の周囲を覆っている。カバーCOは、検知部材7が中和剤11に接触することにより検知部材7が故障しないように検知部材7を保護するためのものである。カバーCOは、ドレン12を流通可能な開口を有している。
【0030】
また、容器6aは横長部61と縦長部62とを有している。図1に示す筐体1の図示しない前面側から見たときに、横長部61は水平方向に延在しており、縦長部62は垂直方向に延在している。筐体1の図示しない前面側から見たときに、水平方向において横長部61の中心よりも一方側に縦長部62は位置している。つまり、筐体1の図示しない前面側から見たときに横長部61と縦長部62とは略L字形状を有するように接続されている。なお、本実施の形態では、横長部61と縦長部62とは一体的に形成されている。
【0031】
流入口6bは横長部61に設けられている。流入口6bは横長部61の天井に設けられている。流入口6bは、第1のドレン配管DP1に接続されている。ドレン12は、第1のドレン配管DP1を通って流入口6bから中和装置6の内部に流入する。
【0032】
流出口6cは縦長部62に設けられている。流出口6cは縦長部62の下端よりも上方に設けられている。流出口6cは第2のドレン配管DP2に接続されている。流入口6bから中和装置6の内部に流入したドレン12は、横長部61から縦長部62に流れ、流出口6cから中和装置6の外部に流出する。流出口6cから中和装置6の外部に流出したドレンは、第2のドレン配管DP2を通って熱源機10の外部に排出される。
【0033】
流入口6bの下方にガイド部6dが配置されている。ガイド部6dは中和装置6の上下方向に延在している。筐体1の図示しない前面側から見たときに、水平方向において、流入口6bの真下よりも横長部61の一方側にガイド部6dは位置している。ガイド部6dの上端は貯留部6eの上端よりも上方に位置しており、ガイド部6dの下端は貯留部6eの上端よりも下方に位置している。貯留部6eは流入口6bの下方に配置されている。貯留部6eは槽を構成している。貯留部6eはドレン12を槽内に貯留可能に構成されている。
【0034】
図2中矢印に示すように、第1のドレン配管DP1を通って流入口6bから中和装置6の内部に流入したドレン12は、まずドレン12は流入口6bから中和装置6の内部を下方に流れる。このドレン12は、ガイド部6dに沿って下方に流れ、貯留部6eに流れ込む。貯留部6eに流れ込んだドレン12は、ガイド部6dの下端を回り込んでから貯留部6eの上端を超えて通路PAの下流に流れる。
【0035】
貯留部6eよりもドレン12の通路PAの下流側に隔壁部6fが設けられている。隔壁部6fは、筐体1の図示しない前面側から見たときに、水平方向において横長部61の一方側から他方側に向かって斜め下方に延在している。つまり、隔壁部6fは下方に向かって傾斜する斜面を有している。この斜面に沿ってドレン12が通路PAの下流側に流れる。
【0036】
隔壁部6fと向かい合うように内壁部6gが設けられている。内壁部6gは中和装置6の上下方向に延在している。内壁部6gの下端は流出口6cよりも下方に位置している。このため、ドレン12は内壁部6gの下端を回り込んでから上方に向かって流れる。
【0037】
隔壁部6fよりもドレン12の通路PAの下流側に仕切部6hが配置されている。仕切部6hは縦長部62に設けられている。仕切部6hは平面部と斜面部とを有している。仕切部6hは貫通孔OPを有している。貫通孔OPは平面部を上下方向に貫通するように平面部に設けられている。この貫通孔OPを通ってドレン12は通路PAの下流側に流れる。筐体1の図示しない前面側から見たときに、水平方向において縦長部62の中心よりも一方側に貫通孔OPが位置している。貫通孔OPは仕切部6hの最も下方に位置している。また、仕切部6hの斜面部は、筐体1の図示しない前面側から見たときに、水平方向において縦長部62の他方側から一方側に向かって斜め下方に延在している。斜面部の下端が平面部に接続されている。
【0038】
ドレン12の排出基準を満たすようにドレン12を中和可能な量の中和剤11が仕切部6hよりも通路PAの下流側に充填されている。つまり、仕切部6hよりも通路PAの下流側に中和性能を確保できる最低限の量の中和剤11が充填されている。
【0039】
隔壁部6fに対して通路PAとは反対側に閉止部材通路BPが設けられている。閉止部材通路BPは、内部において閉止部材CPが移動可能に構成されている。閉止部材通路BPは貫通孔OPと重なるように貫通孔OPの上方まで設けられている。これにより、閉止部材CPと貫通孔OPとの間に異物が挟まることを抑制できる。
【0040】
具体的には、閉止部材通路BPは管状に構成されている。本実施の形態では、閉止部材通路BPは容器6aに一体に形成されている。なお、閉止部材通路BPは容器6aとは別個に形成され、容器6aに取り付けられていてもよい。たとえば、閉止部材通路BPは容器6aに取り付けられたパイプであってもよい。
【0041】
閉止部材通路BPには閉止部材CPが配置されている。閉止部材CPは閉止部材通路BPに投入口6iから投入される。閉止部材CPが閉止部材通路BPに投入された状態で、投入口6iは蓋6jにより覆われている。
【0042】
閉止部材CPは、容器6a内に中和剤11が充填された状態(第1の状態)では中和剤11上に配置され、かつ中和剤11が消耗した状態(第2の状態)では通路PAを閉止するよう構成されている。図2では第1の状態が図示されており、閉止部材CPは中和剤11上に配置されている。なお、後述する図4に第2の状態が図示されている。なお、閉止部材CPが中和剤11上に配置されているとは、閉止部材CPが中和剤11に載置されていることを意味する。つまり、閉止部材CPが中和剤11上に配置されているとは、閉止部材CPが中和剤11の集合体の上に載っていても良く、閉止部材CPが中和剤11の集合体の中に埋め込まれていても良い。
【0043】
本実施の形態では、閉止部材CPは球である。この球はドレン12よりも高い比重を有している。つまり、球はドレン12に沈むように構成されている。また、通路PAは球により閉塞可能な閉塞部を有している。この閉塞部は貫通孔OPである。
【0044】
閉止部材CPは、ドレン12の排出基準を満たすようにドレン12を中和可能な中和剤11が通路PAにおいて閉止部材CPよりも下流側に残存した状態で、通路PAを閉止する。
【0045】
検知部材7は、ドレン12を検知可能に構成されている。具体的には、検知部材7は、第1の電極7aおよび第2の電極7bがドレン12に接触して互いに導通することによりドレン12を検知可能に構成されている。第1の電極7aおよび第2の電極7bは、ドレン12の流路を構成する通路において閉止部材CPよりも上流側に配置されている。第1の電極7aおよび第2の電極7bは、容器6aの天井に取り付けられている。第1の電極7aおよび第2の電極7bは、容器6aの内部に突出している。第1の電極7aおよび第2の電極7bは、筐体1の図示しない前面側から見たときに、水平方向において流入口6bよりも横長部61の他方側に位置している。
【0046】
検知部材7は、閉止部材CPが通路PAを閉止することにより通路PA内にドレン12が貯まることによるドレン12の水位の上昇を検知可能に構成されている。
【0047】
また、中和装置6では、中和装置内への異物の混入などにより中和装置6の通路PAで詰りが発生すると、中和装置内におけるドレン12の水位が上昇する。このため、通路PAの詰りが発生したことを検知するために、ドレン12の水位の上昇を検知する電極が設置されることがある。この通路PAの詰りが発生したことを検知するための電極を検知部材7として適用することができる。
【0048】
つまり、検知部材7は、異物などにより通路PAで詰りが発生した場合でも、ドレン12の水位の上昇を検知することができる。このため、検知部材7は、異物などによる通路PAの詰りの発生も検知することができる。この場合、検知部材7によってドレン12の水位の上昇が検知されると、熱源機10の燃焼装置2が停止される。これにより、ドレン12の発生が停止されるため、中和装置6の流入口6bからのドレン12の流出が防止される。
【0049】
なお、ドレンの水位の上昇は、異物の混入などによる通路PAの詰りに基づくものか、中和剤11の消耗に基づくものかについては、次のように判別することができる。つまり、燃焼熱量と燃焼時間との積の値に基づいて中和剤11の消費量を予測し、中和能力が維持されていると想定されるときに、検知部材7がドレン12の水位の上昇を検知した場合には、異物の混入などによる通路PAの詰りに基づくものと判定することができる。また、燃焼熱量と燃焼時間との積の値に基づいて中和剤11の消費量を予測し、中和能力が維持されていないと想定されるときに、検知部材7がドレン12の水位の上昇を検知した場合には、中和剤11の消耗に基づくものと判定することができる。
【0050】
次に、図3および図4を参照して、中和装置6において中和剤11によりドレン12が中和される様子について説明する。
【0051】
図3を参照して、中和装置6内を流れるドレン12の酸性度は、中和装置6内への流入直後が最も高く、ドレンが通路PAを進むに伴って低くなる。したがって、中和剤11は流入口6bに近い部分で最も反応する。そのため、中和剤11の減量は、流入口6bに近い部分で最も多く、その部分から通路PAの下流側に徐々に少なくなる。よって、中和剤11においては、流出口6cの直前である通路PAの最下流の部分が最後に消耗することになる。中和剤11が消耗することに伴い、中和剤11上に配置された閉止部材CPが通路PAの下流に向かって移動する。
【0052】
図4を参照して、中和剤11の消耗が進み、閉止部材CPが通路PAの下流に向かって移動して貫通孔OPに達すると、閉止部材CPにより貫通孔OPが塞がれる。これにより、閉止部材CPにより通路PAが閉止される。通路PAが閉止されると、通路PAの閉止された部分から通路PAの上流側にドレン12が貯まる。このため、ドレン12の水位が上昇する。ドレン12の水位が上昇して、検知部材7の第1の電極7aおよび第2の電極7bが互いに導通すると、ドレン12の水位の上昇が検知される。
【0053】
続いて、図5を参照して、閉止部材CPである球が、閉塞部である貫通孔OPを閉塞した状態について説明する。球の下方側の一部が貫通孔OPに挿入される。このため、球の外周面の一部が貫通孔OPに接する。これにより、球の外周面の一部によって貫通孔OPの上端の縁が塞がれる。このようにして、球により通路PAが閉止される。
【0054】
また、図5に示すように、仕切部6hの一部に貫通孔OPが形成されているため、貫通孔OPの開口面積は通路PAの開口面積よりも小さくなっている。つまり、閉止部材CPが閉止する部分の通路PAの開口面積は、閉止部材CPが閉止していない通路PAの開口面積よりも狭くなっている。
【0055】
次に、図6を参照して、本実施の形態の変形例の中和装置6について説明する。なお、流入口および流出口は説明の便宜上図示されていない。
【0056】
上記では、閉止部材CPが球の場合について説明したが、閉止部材CPは球に限定されず、板であってもよい。本実施の形態の変形例では、閉止部材CPは、板で構成されている。
【0057】
本実施の形態の変形例では、中和装置6は、内壁板21と、管部材PPとを有している。内壁板21は容器6aの内部を区分けしている。内壁板21は容器6aの後面に取り付けられている。内壁板21は容器6aの上下方向に延在している。内壁板21は貫通孔22を有している。管部材PPは内部にドレン12を流通可能に構成されている。管部材PPは容器6aの後面に取り付けられている。管部材PPは容器6aの上下方向に延在している。管部材PPは、管部材PPの上端から下端に渡って管部材PPの外壁に形成されたスリットSPを有している。管部材PPは、管部材PPの内周側からスリットSPを通って外周側にドレン12を流すように構成されている。
【0058】
閉止部材CPは、板部材EPと、ガイド部材GPとを有している。板部材EPはガイド部材GPに略L字状に接続されている。板部材EPは貫通孔22を閉止可能に構成されている。板部材EPは、内壁板21に沿って移動可能に構成されている。ガイド部材GPは、管部材PPの外周面に沿う凹部HPを有している。ガイド部材GPは、容器6a内に充填された中和剤11の上に載置されている。これにより、閉止部材CPは中和剤11上に配置されている。つまり、閉止部材CPは、容器6a内に中和剤11が充填された状態では中和剤11上に配置されている。中和剤11がドレン12と反応することにより、中和剤11が消耗すると、閉止部材CPは下方に移動する。具体的には、中和剤11の減少に伴って、管部材PPの外周面に凹部HPが嵌まり込み、かつ板部材EPが内壁板21に沿う状態で、閉止部材CPは下方に移動する。
【0059】
内壁板21の下端近傍に貫通孔22が設けられている。この貫通孔22を通って中和剤11で中和されたドレン12は通路PAの下流に流れる。中和剤11が消耗した状態では、板部材EPが下方に移動することにより貫通孔22が板部材EPで塞がれる。これにより、板部材EPにより通路PAが閉止される。
【0060】
次に、本実施の形態の作用効果について説明する。
図4を参照して、本実施の形態の中和装置6によれば、閉止部材CPは中和剤11が消耗した第2の状態で通路PAを閉止する。そして、閉止部材CPが通路PAを閉止することにより通路内にドレン12が貯まることによるドレン12の水位の上昇を検知部材7が検知する。したがって、中和剤11の消耗によって通路PAが閉止されたことにより通路内にドレン12が貯まることによるドレン12の水位の上昇を検知することができる。このため、中和剤11の消耗を正確に検知することができる。これにより、中和剤11が消耗している状態で酸性のドレン12を中和装置6から排出することを防止できる。
【0061】
また、中和剤11が消耗した状態で通路PAを閉止するため、中和剤11が消耗した状態でドレン12が通路PAを通って中和装置6の外部に流れることを防止できる。このため、酸性のドレン12が中和装置6の外部に流れることを防止できる。
【0062】
本実施の形態の中和装置6においては、検知部材7は電極を含んでいる。電極はドレンの流路を構成する通路PAにおいて閉止部材CPよりも上流側に配置されている。このため、閉止部材CPにより通路PAが閉止されたことによるドレン12の水位の上昇を確実に検知することができる。
【0063】
また、中和装置6の通路PAで詰りが発生した場合にドレン12の水位の上昇を検知するための電極を検知部材7として適用することができる。これにより、検知部材7を別途設けないため、中和装置6のコストを低く抑えることができる。
【0064】
本実施の形態の中和装置6においては、閉止部材CPはドレン12よりも高い比重を有する球を含んでいる。通路PAは球により閉塞可能な貫通孔OPを含んでいる。このため、球がドレン12に浮くことがない。また、球の外周面の少なくとも一部が貫通孔OPに接することにより通路PAを閉塞できる。したがって、通路PAを容易かつ確実に閉止することができる。
【0065】
本実施の形態の中和装置6においては、閉止部材CPが閉止する部分の通路PAの開口面積は、閉止部材CPが閉止していない通路PAの開口面積よりも狭い。このため、通路PAの開口面積の狭い部分で通路PAを閉止できる。したがって、閉止部材CPにより通路PAを確実に閉止することができる。
【0066】
本実施の形態の中和装置6においては、閉止部材CPは、ドレン12の排出基準を満たすようにドレン12を中和可能な中和剤11が通路PAにおいて閉止部材CPよりも下流側に残存した状態で、通路PAを閉止する。このため、ドレン12の排出基準を満たすように中和されたドレン12を中和装置6から排出することができる。
【0067】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである、本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0068】
1 筐体、2 燃焼装置、3 送風装置、4 一次熱交換器、5 二次熱交換器、6 中和装置、6a 容器、6b 流入口、6c 流出口、6d ガイド部、6e 貯留部、6f 隔壁部、6g 内壁部、6h 仕切部、6i 投入口、6j 蓋、7 検知部材、7a 第1の電極、7b 第2の電極、8 制御部、9 給湯経路、9a 給水配管、9b 給湯配管、10 熱源機、11 中和剤、12 ドレン、21 内壁板、22,OP 貫通孔、61 横長部、62 縦長部、BP 閉止部材通路、CO カバー、CP 閉止部材、DO ドレン排出口、DP1 第1のドレン配管、DP2 第2のドレン配管、EP 板部材、GP ガイド部材、IS 内部空間、IW 入水口、OW 出湯口、PA 通路、SP スリット。
図1
図2
図3
図4
図5
図6