(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記ガスバリア層が含有する前記顔料と前記ポリビニルアルコールの配合比率(乾燥重量)が顔料/ポリビニルアルコール=1/100〜1000/100であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の紙製バリア包装材料。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本発明は、紙基材上(以下、「原紙」ということがある。)に水蒸気バリア層、ガスバリア層をこの順に設けることを特徴とする紙製バリア包装材料に関するものである。
【0009】
本発明の包装材料が優れた水蒸気バリア性およびガスバリア性を併せ持つ理由は次のように推測される。
ガスバリア層に用いられるガスバリア性を有する樹脂としては下記に例示するように水溶性高分子が一般的であり、紙基材上にガスバリア層、水蒸気バリア層をこの順に設けた場合、紙基材中の水分や紙基材を経由して浸透する空気中の水分などにより、水溶性高分子を含有するガスバリア層が劣化する。一方、紙基材上に、耐水性の良好な樹脂を含有する水蒸気バリア層、ガスバリア層をこの順に設けた場合、水蒸気バリア層が紙基材中の水分などのガスバリア層への影響(劣化)を防止することができる。また、ガスバリア層に顔料を含有させた場合、酸素などのガスは顔料を迂回して通過する。このため、顔料を含
有していない水溶性高分子からなるガスバリア層と比較して、本発明の紙製バリア包装材料は良好な水蒸気バリア性、特に高湿度雰囲気下における優れたガスバリア性を有する。
【0010】
本発明において紙基材とは、パルプ、填料、各種助剤からなるシートである。パルプとしては、広葉樹漂白クラフトパルプ(LBKP)、針葉樹漂白クラフトパルプ(NBKP)、サルファイトパルプなどの化学パルプ、ストーングラインドパルプ、サーモメカニカルパルプなどの機械パルプ、ケナフ、竹、麻などから得られた非木材繊維など用いることができ適宜配合して用いることが可能であるが、これらの中でも、原紙中への異物混入が発生し難い、使用後の紙容器を古紙原料に供してリサイクル使用する際に経時変色が発生し難い、高い白色度を有するため印刷時の面感が良好となり包装材料として使用した場合の使用価値が高くなるなどの理由から化学パルプを用いることが好ましく、広葉樹漂白クラフトパルプ(LBKP)、針葉樹漂白クラフトパルプ(NBKP)を用いることがより好ましい。
【0011】
填料としてはホワイトカーボン、タルク、カオリン、クレー、重質炭酸カルシウム、軽質炭酸カルシウム、酸化チタン、ゼオライト、合成樹脂填料等の公知の填料を使用することができる。また、硫酸バンドや各種のアニオン性、カチオン性、ノニオン性あるいは、両性の歩留まり向上剤、濾水性向上剤、紙力増強剤や内添サイズ剤等の抄紙用内添助剤を必要に応じて使用することができる。更に、染料、蛍光増白剤、pH調整剤、消泡剤、ピッチコントロール剤、スライムコントロール剤等も必要に応じて添加することができる。
【0012】
紙基材の製造(抄紙)方法は特に限定されるものではなく、公知の長網フォーマー、オントップハイブリッドフォーマー、ギャップフォーマーマシンを用いて、酸性抄紙、中性抄紙、アルカリ抄紙方式で抄紙して紙基材を製造することができる。また、紙基材の一般の塗工紙に用いられる坪量が25〜400g/m
2程度のものが好ましい。さらに、紙基材の表面を各種薬剤で処理することが可能である。使用される薬剤としては、酸化澱粉、ヒドロキシエチルエーテル化澱粉、酸素変性澱粉、ポリアクリルアミド、ポリビニルアルコール、表面サイズ剤、耐水化剤、保水剤、増粘剤、滑剤などを例示することができ、これらを単独あるいは2種類以上を混合して用いることができる。紙基材の表面処理の方法は特に限定されるものではないが、ロッドメタリング式サイズプレス、ポンド式サイズプレス、ゲートロースコーター、スプレーコーター、ブレードコーター、カーテンコーターなど公知の塗工装置を用いることができる。
【0013】
本発明において、水蒸気バリア層に含有させる水蒸気バリア性樹脂(以下、樹脂ということがある。)としては、スチレン・ブタジエン系、スチレン・アクリル系、エチレン・酢酸ビニル系、ブタジエン・メチルメタクリレート系、酢酸ビニル・ブチルアクリレート系等の各種共重合体、無水マレイン酸共重合体、アクリル酸・メチルメタクリレート系共重合体等の合成接着剤、を単独あるいは2種類以上混合して使用することができる。なお、水蒸気バリア性に問題がない程度であれば、ポリビニルアルコール、無水マレイン酸共重合体、アクリル酸・メチルメタクリレート系共重合体等の合成接着剤、カゼイン、大豆タンパク、合成タンパクなどのタンパク質類、酸化澱粉、カチオン化澱粉、尿素リン酸エステル化澱粉、ヒドロキシエチルエーテル化澱粉などの澱粉類、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース等のセルロース誘導体などの水溶性高分子を上記樹脂と併用することも可能である。
【0014】
本発明において、水蒸気バリア層に顔料を含有させることは、水蒸気バリア層とガスバリア層の密着性の点から好ましく、顔料としてはカオリン、クレー、エンジニアードカオリン、デラミネーテッドクレー、重質炭酸カルシウム、軽質炭酸カルシウム、タルク、二酸化チタン、硫酸バリウム、硫酸カルシウム、酸化亜鉛、珪酸、珪酸塩、コロイダルシリカ、サチンホワイトなどの無機顔料および密実型、中空型、またはコアーシェル型などの有機顔料などを単独または2種類以上混合して使用することができる。これらの顔料の中でも、水蒸気バリア性向上、酸素バリア層の浸透抑制の両方の観点から、カオリンなどの
アスペクト比の大きい顔料を主成分とすることが好ましい。
【0015】
水蒸気バリア層に顔料を含有させる場合、樹脂と顔料の配合量は、顔料(乾燥重量)100重量部に対して、樹脂(乾燥重量)5〜200重量部の範囲で使用されることが好ましく、より好ましくは樹脂20〜150重量部である。また、水蒸気バリア層には、樹脂、顔料の他、分散剤、増粘剤、保水剤、消泡剤、耐水化剤、染料、蛍光染料等の通常使用される各種助剤を使用することができる。
【0016】
本発明において、ガスバリア層に使用されるポリビニルアルコールとしては、完全ケン化ポリビニルアルコール、部分ケン化ポリビニルアルコール、シラノール変性ポリビニルアルコール、カチオン変性ポリビニルアルコール、アセチル変性ポリビニルアルコール、エチレン共重合ポリビニルアルコールなどを例示することができる。これらの中でも、ハンドリング、ガスバリア性の観点から、完全ケン化ポリビニルアルコールを用いることが好ましい。
また、ガスバリア層に、ポリビニルアルコール以外の水溶性高分子、例えば、ポリビニルピロリドン、デンプン、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、アルギン酸ナトリウムなどを含有させることができる。
【0017】
本発明において、ガスバリア層に使用される顔料としてはカオリン、クレー、エンジニアードカオリン、デラミネーテッドクレー、重質炭酸カルシウム、軽質炭酸カルシウム、タルク、二酸化チタン、硫酸バリウム、硫酸カルシウム、酸化亜鉛、珪酸、珪酸塩、コロイダルシリカ、サチンホワイト、マイカなどの無機顔料および密実型、中空型、またはコアーシェル型などの有機顔料などを単独または2種類以上混合して使用することができる。これらの中では、ガスバリア性の点から無機顔料を使用することが好ましく、平均粒子径3μm以上、且つアスペクト比が10以上の無機顔料(特にカオリン、あるいはマイカ)を使用することが更に好ましく、平均粒子径5μm以上、且つアスペクト比が50以上の無機顔料(特にカオリン、あるいはマイカ)を使用することが特に好ましい。
【0018】
本発明において、ガスバリア層に含有する顔料と水溶性高分子の配合比率(乾燥重量)は顔料/水溶性高分子1/100〜1000/100であることが好ましい。顔料の比率が上記範囲外であると充分なガスバリア性が発現しない。さらに、ガスバリア層には、水溶性高分子、顔料の他、分散剤、増粘剤、保水剤、消泡剤、耐水化剤、染料、蛍光染料等の通常使用される各種助剤を使用することができる。
【0019】
本発明において、顔料を水溶性高分子中に配合する際に、顔料を水分散してスラリー化したものを添加し混合することが好ましい。
本発明においては、ガスバリア層に含有するポリエチレンイミンの量はポリビニルアルコール100重量部当たり3〜30重量部とすることが好ましく、8〜20部とすることがより好ましい。ポリビニルアルコール100重量部当たり3重量部よりもポリエチレンイミンの割合が少ない場合、シーラント層との接着性の改善効果が低く、また、30重量部より多い場合、ガスバリア性の低下が著しい。
なお、本発明において用いるポリエチレンイミンは、エチレンの重合により得られるもので、3員環構造のアミノ基を有する非常に反応性に富む高分子の水溶性樹脂であり、分子量が100〜100000程度、アミン値20前後のものであり、使用の際には、その水溶液を水/アルコールの混合液で希釈して使用するのが一般的であって、その濃度は通常5〜50%NVである。
【0020】
本発明において、水蒸気バリア層、ガスバリア層の塗工方法については特に限定されるものではなく、公知の塗工装置を用いることができる。例えば、ブレードコーター、バーコーター、ロールコーター、エアナイフコーター、リバースロールコーター、カーテンコーター、スプレーコーター、サイズプレスコーター、ゲートロールコーターなどが挙げられる。また、塗工層を乾燥させる手法としては、例えば、蒸気加熱ヒーター、ガスヒーター、赤外線ヒーター、電気ヒーター、熱風加熱ヒーター、マイクロウェーブ、シリンダードライヤー等の通常の方法が用いられる。
【0021】
本発明において、水蒸気バリア層の塗工量は、乾燥重量で5〜30g/m
2とすることが好ましく、8〜25g/m
2、10〜20g/m
2であることがさらに好ましい。塗工量が5g/m
2以下であると原紙を塗工液が完全に被覆することが困難となり、十分な水蒸気バリア性が得られない、ガスバリア層が紙基材に浸透するため、均一なガスバリア性が得られない問題がある。一方、30g/m
2以上であると、塗工時の乾燥負荷が大きくなり、操業面、コスト面の両方の観点より好ましくない。
【0022】
本発明において、ガスバリア層の塗工量は、乾燥重量で0.2〜10g/m
2とすることが好ましい。塗工量が0.2/m
2未満であると均一なガスバリア層を形成することができないため、十分なガスバリア性が得られない問題がある。一方、0.2〜10g/m
2以上であると、塗工時の乾燥負荷が大きくなり、操業面、コスト面の両方の観点より好ましくない。
【0023】
本発明において、紙基材上に水蒸気バリア層、ガスバリア層を設けた紙製バリア包装材料に、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ酢酸ビニル重合体などのシーラント層を設けることができる。シーラント層の積層方法については特に制限されるものではないが、従来の溶融押し出しラミ法やフィルムを用いたドライラミ法、直接溶融コート法など公知の方法を用いることができる。
【実施例】
【0024】
以下に実施例を挙げて、本発明を具体的に説明するが、もちろんこれらの例に限定される物ではない。なお、特に断らない限り、例中の部および%は、それぞれ重量部、重量%を示す。なお、塗工液及び得られた機能性紙について以下に示す様な評価法に基づいて試験を行った。
(評価方法)
(1)水蒸気透過度:温度40±0.5℃、相対湿度90±2%の条件下で、透湿度測定器(Systech Instruments社製、L80−5000)を用いて測定した。
(2)酸素透過度:イリノイ社製酸素透過率測定装置 Model 8000シリーズを使用し、23℃-85%RH条件にて測定した。
(3)シーラント層の接着性:シーラント層にクロスカットを施し、バリア層面とシーラント層面との剥離に要する力を、下記の基準で官能評価した。
×:シーラント層が容易に剥離、△:力を加えるとシーラント層が剥離(実用上使用可能なレベル)、○:シーラント層が剥離せず基材破壊
【0025】
[実施例1]
(紙基材の作製)
カナダ式標準ろ水度(CSF)500mlの広葉樹クラフトパルプ(LBKP)とCSF530mlの針葉樹クラフトパルプ(NBKP)を80/20の重量比で配合して、原料パルプとした。原料パルプスラリーに、乾燥紙力増強剤として分子量250万のポリアクリルアミド(PAM)を対絶乾パルプ重量あたり0.1%、サイズ剤としてアルキルケテンダイマー(AKD)を対絶乾パルプ重量あたり0.35%、湿潤紙力増強剤としてポリアミドエピクロロヒドリン(PAEH)系樹脂を対絶乾パルプ重量あたり0.15%、さらに歩留剤として分子量1000万のポリアクリルアミド(PAM)を対絶乾パルプ重量あたり0.08%添加した後、デュオフォーマーFM型抄紙機にて300m/minの速度で抄紙し、坪量59g/m
2の紙を得た。次いで、得られた紙に固形分濃度5%に調製したサイズプレス液(ポリビニルアルコール(クラレ社製PVA117))をロッドメタリングサイズプレスで、片面あたり1.0g/m
2塗工、乾燥し、坪量60g/m
2の原紙を得た。得られた原紙をチルドカレンダーを用いて、速度300min/m、線圧50kgf/cm 1パスにて平滑処理を行った。
【0026】
(水蒸気バリア層用塗工液の調製)
大粒径エンジニアードカオリン(イメリス社製バリサーフHX、平均粒子径:9.0μm、アスペクト比:80〜100)に分散剤としてポリアクリル酸ソーダを添加し(対無機顔料0.2部)、セリエミキサーで分散して固形分濃度55%の大粒径カオリンスラリーを調製した。得られたカオリンスラリー中に防湿ラテックス(日本ゼオン社製PNT7868)を対顔料100部(固形分)となるように配合し、固形分濃度50%の塗工液Aを得た。
【0027】
(ガスバリア層用塗工液の調製)
ポリビニルアルコール(クラレ社製PVA117)を固形分濃度10%となるよう調製した。また大粒径エンジニアードカオリン(イメリス社製バリサーフHX)に分散剤としてポリアクリル酸ソーダを添加し(対無機顔料0.2部)、ラボミキサーで分散して固形分濃度55%の大粒径カオリンスラリーを調製した。固形分でポリビニルアルコール:顔料:ポリエチレンイミン(日本触媒社製エポミンP−1000)=100:100:5として固形分濃度が10%となるよう混合し、塗工液Bを得た。
(紙製バリア包装材料の作製)
得られた原紙上に塗工液Aを塗工量(乾燥)12g/m
2となるよう塗工速度300m/minでブレードコーターを用いて片面塗工、乾燥した後、A4サイズに裁断し、その上に塗工液Bを塗工量(乾燥)3.0g/m
2となるよう巻き線バーを用いて塗工し(手塗り)、紙製バリア包装材料を得た。
(シーラント層(ラミネート加工))
得られた紙製バリア包装材料に低密度ポリエチレン(日本ポリエチレン社 LC602A)を膜厚20μmとなるようバリア面側に押し出しラミネート加工を行い、シーラント層を設けた。
【0028】
[実施例2]
ガスバリア層中の塗料配合において、ポリビニルアルコール:顔料:ポリエチレンイミン=100:100:8に変更した以外は実施例1と同様にして紙製バリア包装材料を得た。
【0029】
[実施例3]
ガスバリア層中の塗料配合において、ポリビニルアルコール:顔料:ポリエチレンイミン=100:100:10に変更した以外は実施例1と同様にして紙製バリア包装材料を得た。
【0030】
[実施例4]
ガスバリア層中の塗料配合において、ポリビニルアルコール:顔料:ポリエチレンイミン=100:100:12に変更した以外は実施例1と同様にして紙製バリア包装材料を得た。
【0031】
[実施例5]
ガスバリア層中の塗料配合において、ポリビニルアルコール:顔料:ポリエチレンイミン=100:100:20に変更した以外は実施例1と同様にして紙製バリア包装材料を得た。
【0032】
[比較例1]
ポリビニルアルコール:顔料:ポリエチレンイミン=100:100:0に変更した以外は実施例1と同様にして紙製バリア包装材料を得た。
【0033】
【表1】