特許第6492652号(P6492652)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6492652
(24)【登録日】2019年3月15日
(45)【発行日】2019年4月3日
(54)【発明の名称】放電ユニット
(51)【国際特許分類】
   C02F 1/48 20060101AFI20190325BHJP
【FI】
   C02F1/48 B
【請求項の数】12
【全頁数】29
(21)【出願番号】特願2014-265696(P2014-265696)
(22)【出願日】2014年12月26日
(65)【公開番号】特開2016-123917(P2016-123917A)
(43)【公開日】2016年7月11日
【審査請求日】2017年11月22日
(73)【特許権者】
【識別番号】000002853
【氏名又は名称】ダイキン工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001427
【氏名又は名称】特許業務法人前田特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】大堂 維大
(72)【発明者】
【氏名】西村 政弥
(72)【発明者】
【氏名】齋藤 智己
(72)【発明者】
【氏名】山口 幸子
【審査官】 片山 真紀
(56)【参考文献】
【文献】 特開2014−079739(JP,A)
【文献】 実開昭51−074540(JP,U)
【文献】 実開昭48−110423(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C02F 1/46−48
C25B 1/00−9/20、13/00−15/08
B01J 19/08−12
H05H 1/00−54
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
高電圧発生部(31)と、
上記高電圧発生部(31)から電位差が付与される第1電極(32)及び第2電極(33)と、
水槽(20)と、
上記水槽(20)を、第1電極(32)が浸水する第1室(27)と第2電極(33)が浸水する第2室(28)とに区画するとともに、上記第1室(27)と上記第2室(28)とを連通させる微細な孔(46)が形成される絶縁性の仕切部(40)とを備え、
上記高電圧発生部(31)から上記第1電極(32)及び第2電極(33)に電位差を付与することで、上記孔(46)から気泡を発生させ、該気泡中で放電を行うように構成された放電ユニットであって、
上記仕切部(40)は、
上記水槽(20)に固定され、該仕切部(40)の上端から上記水槽(20)の底面(22a)に向かって凹んだ取付凹部(51)が形成される固定仕切板(50)と、
上記取付凹部(51)の内縁部(52)に沿って形成され、上記取付凹部(51)に挿入される着脱仕切板(60)と、上記取付凹部(51)の内縁部(52)と上記着脱仕切板(60)との隙間をシールするシール部(90)とを有し、
上記シール部(90)は、
上記着脱仕切板(60)の外縁に沿って延びて形成され、該シール部(90)の延伸方向の直角断面が略円弧状の膨出部(91a,92a)を有する少なくとも1つの第1部材(91,92)と、
上記第1部材(91,92)に沿って延び、上記膨出部(91a,92a)が密着するとともに、上記第1部材(91,92)よりも弾性率の小さい第2部材(93)とを有している
ことを特徴とする放電ユニット。
【請求項2】
請求項1において、
上記第1部材は、上記着脱仕切板(60)の外縁に外嵌するOリング(91,92)で構成され、
上記第2部材は、上記Oリング(91,92)の膨出部(91a,92a)に沿うように該Oリング(91,92)と上記取付凹部(51)との間に配置される
ことを特徴とする放電ユニット。
【請求項3】
請求項2において、
上記取付凹部(51)は、該取付凹部(51)の内縁部(52)のうち水平に対向する一対の側縁部(54,55)の間隔が下方にむかうにつれて短くなる楔形状に形成され、
上記着脱仕切板(60)は、上記取付凹部(51)に対応する楔形状に形成される
ことを特徴とする放電ユニット。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれか1つにおいて、
上記第2部材(93)には、上記第1部材(91,92)の膨出部(91a,92a)が嵌合する少なくとも1つの嵌合溝(101,102)が形成されている
ことを特徴とする放電ユニット。
【請求項5】
請求項4において、
上記シール部(90)は、上記着脱仕切板(60)の厚さ方向に互いに間隔を置いて配置される2つの上記第1部材(91,92)を有し、
上記着脱仕切板(60)には、上記2つの第1部材(91,92)の間に平坦状の第1平坦部(69)が形成され、
上記第2部材(93)には、上記2つの第1部材(91,92)がそれぞれ1つずつ嵌合する2つの上記嵌合溝(101,102)と、上記2つの嵌合溝(101,102)の間に形成され、上記第1平坦部(69)に面接触する平坦状の2平坦部(103)が形成される
ことを特徴とする放電ユニット。
【請求項6】
請求項1乃至5のいずれか1つにおいて、
上記着脱仕切板(60)の外縁には、一対の側縁部(54,55)と下縁部(53)とに、該着脱仕切板(60)の外縁に沿って延びる凹部(85,86,87)が形成され、
上記第1部材(91,92)は、上記着脱仕切板(60)の凹部(85,86,87)の底面(85a,86a,87a)に固定され、
上記第2部材(93)は、上記凹部(85,86,87)の内部に配置されるとともに、上記取付凹部(51)の内縁部(52)が嵌合する溝部(97,98,99)を有する
ことを特徴とする放電ユニット。
【請求項7】
請求項6において、
上記取付凹部(51)の内縁部(52)は、基部(53a,54a,55a)と、該基部(53a,54a,55a)に対して段差面(S1〜S6)を形成するように着脱仕切板(60)側に向かって突出する凸部(53b,54b,55b)とを有し、
上記第2部材(93)の溝部(97,98,99)は、上記基部(53a,54a,55a)が嵌合する外溝(97a,98a,99a)と、該外溝(97a,98a,99a)よりも奥側に凹み上記凸部(53b,54b,55b)が嵌合する内溝(97b,98b,99b)とを有する
ことを特徴とする放電ユニット。
【請求項8】
請求項7において、
上記第2部材(93)のうち上記凹部(85,86,87)の側方内壁(85b,86b,87b)と対向する面(104,105)には、第2部材(93)の延伸方向に延びる少なくとも1つの隙間形成溝(106,107)が形成される
ことを特徴とする放電ユニット。
【請求項9】
請求項8において、
上記第2部材(93)のうち上記凹部(85,86,87)の側方内壁(85b,86b,87b)と対向する面(104,105)には、少なくとも2つの上記隙間形成溝(106,107)と、該2つの隙間形成溝(106,107)の間に形成される凸条(108)とを有する
ことを特徴とする放電ユニット。
【請求項10】
請求項9において、
上記凸条(108)の少なくとも一部は、上記取付凹部(51)の上記基部(53a,54a,55a)の上記段差面(S1〜S6)に沿った仮想平面P1と、上記着脱仕切板(60)の凹部(85,86,87)の底面(85a,86a,87a)に沿った仮想平面P2の間に位置している
ことを特徴とする放電ユニット。
【請求項11】
請求項6乃至10のいずれか1つにおいて、
上記第2部材(93)は、上記着脱仕切板(60)の上記側縁部(54,55)の上記凹部(86,87)の内部に配置されるとともに、上記溝部(98,99)を有する側方部材(95,96)を有し、
上記第2部材(93)の側方部材(95,96)のうち上記凹部(86,87)の側方内壁(86b,87b)と対向する面(104,105)には、上記凹部(86,87)の開放面に隣接する部分に平坦状の第3平坦部(109)が形成されている
ことを特徴とする放電ユニット。
【請求項12】
請求項6乃至11のいずれか1つにおいて、
上記第2部材(93)は、上記着脱仕切板(60)の上記下縁部(53)の上記凹部(85)の内部に配置されるとともに、上記溝部(97)を有する下側部材(94)を有し、
上記第2部材(93)の下側部材(94)は、該下側部材(94)の下端(110)が上記水槽(20)の底面と密着するように構成されている
ことを特徴とする放電ユニット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、放電ユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、水処理用の放電ユニットが知られている。特許文献1に記載の放電ユニットは、高電圧発生部に接続された第1電極と第2電極とが水槽内に浸漬される。水槽の内部は、仕切部によって、第1電極が浸水する第1室と第2電極が浸水する第2室とに区画される。仕切部には、微細な孔が形成され、この孔を介して両室が連通する。
【0003】
高電圧発生部から一対の電極に電位差が付与されると、孔の内部を電流が流れ、孔内の電流密度が上昇する。これにより、孔内でジュール熱が発生し、孔内の水が気化される。この結果、孔内に気泡が発生し、第1室と第2室とが気泡によって分断される。すると、気泡の気液界面では、第1室側の界面と第2室側の界面とがそれぞれ擬似的な電極となり、両者の界面の間で放電が行われる。この放電に伴い水中で水酸ラジカル等の浄化成分が発生し、水槽内の水の浄化がなされる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2011−72906号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に開示の放電ユニットでは、仕切部に微細な孔が形成され、この孔の近傍で放電が行われる。このため、放電ユニットでは、例えば孔が形成される部分のメンテナンスを行ったり、放電の対象の液体に適した孔を別途採用したりすることがある。そこで、本願発明者らは、この課題を解決するために、仕切部を、水槽に固定される固定仕切板と、孔を有する着脱仕切板とに別体化し、固定仕切板に対して着脱仕切板を取り外し可能とする構成を創出した。これにより、孔を有する部分のみを取り外してメンテナンスや交換ができ、メンテナンス性の向上、交換部品の低コスト化を図ることができる。
【0006】
一方、このように仕切部を固定仕切板と着脱仕切板とに別体化すると、固定仕切板と着脱仕切板の間に隙間が形成されてしまう。この結果、この隙間を通じて、第1室と第2室との絶縁が損なわれ、上述したように気泡の両側の界面の間で所望とする放電を安定して行うことができないという、新たな課題が生じた。
【0007】
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その目的は、仕切部において孔を有する部分を容易に着脱でき、且つ第1室と第2室との間の絶縁性を確保できる放電ユニットを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
第1の発明は、高電圧発生部(31)と、該高電圧発生部(31)から電位差が付与される第1電極(32)及び第2電極(33)と、水槽(20)と、該水槽(20)を、第1電極(32)が浸水する第1室(27)と第2電極(33)が浸水する第2室(28)とに区画するとともに、上記第1室(27)と上記第2室(28)とを連通させる微細な孔(46)が形成される絶縁性の仕切部(40)とを備え、高電圧発生部(31)から第1電極(32)及び第2電極(33)に電位差を付与することで、孔(46)から気泡を発生させ、気泡中で放電を行うように構成された放電ユニットを対象とし、仕切部(40)は、上記水槽(20)に固定され、該仕切部(40)の上端から上記水槽(20)の底面(22a)に向かって凹んだ取付凹部(51)が形成される固定仕切板(50)と、上記取付凹部(51)の内縁部(52)に沿って形成され、上記取付凹部(51)に挿入される着脱仕切板(60)と、上記取付凹部(51)の内縁部(52)と上記着脱仕切板(60)との隙間をシールするシール部(90)とを有し、該シール部(90)は、上記着脱仕切板(60)の外縁に沿って延びて形成され、該シール部(90)の延伸方向の直角断面が略円弧状の膨出部(91a,92a)を有する少なくとも1つの第1部材(91,92)と、上記第1部材(91,92)に沿って延び、上記膨出部(91a,92a)が密着するとともに、上記第1部材(91,92)よりも弾性率の小さい第2部材(93)とを有していることを特徴とする。
【0009】
第1の発明では、高電圧発生部(31)から第1電極(32)と第2電極(33)とに電位差が付与されることで、固定仕切板(50)の孔(46)内の電流密度が上昇し、孔(46)内のジュール熱により水が気化して気泡が発生する。この気泡により、第1室(27)と第2室(28)とが分断され、気泡内で放電が行われる。
【0010】
固定仕切板(50)には、水槽(20)に固定され且つ上辺から水槽(20)の底面に向かって凹んだ取付凹部(51)が形成される。孔(46)が形成される着脱仕切板(60)は、取付凹部(51)の内縁部(52)に挿入され、固定仕切板(50)に対して着脱可能となる。固定仕切板(50)の取付凹部(51)の内縁部(52)と着脱仕切板(60)の間には、シール部(90)が形成される。このシール部(90)により、第1室(27)と第2室(28)との間の水の漏洩が防止されるとともに、第1室(27)と第2室(28)との間の絶縁が図られる。
【0011】
具体的に、本発明のシール部(90)は、着脱仕切板(60)の外縁に沿って延びるとともに延伸方向の直角断面が略円弧状の膨出部(91a,92a)を有する第1部材(91,92)を備える。ここで、「略円弧状」は、真円弧状だけでなく、例えば楕円弧状も含む意味である。また、シール部(90)は、第1部材(91,92)に沿って延び、第1部材(91,92)の膨出部(91a,92a)が密着する第2部材(93)を備える。
【0012】
仮に、第2部材(93)の弾性率が第1部材(91,92)の弾性率よりも大きい場合、第1部材(91,92)の膨出部(91a,92a)が第2部材(93)と密着しても、第2部材(93)はほぼ変形しない。従って、第1部材(91,92)の膨出部(91a,92a)と第2部材(93)とは線接触する。このように両者の部材(91,92,93)が線接触したとしても、この線接触部を挟んだ両側の水(第1室(27)と第2室(28)の各水)の漏洩は防止できる。第1部材と第2部材とが線接触部において密に接触し、水が通過する隙間を塞ぐことができるからである。
【0013】
しかし、両者の部材(91,92,93)が線接触したとしても、この線接触部を挟んだ両側の水(第1室(27)と第2室(28)の各水)の間の絶縁効果は極めて小さい。なぜなら、両者の部材(91,92,93)の線接触部を挟んだ両側まで各室(27,28)の水が至っている状態では、各水の距離(沿面距離)が極めて短くなるからである。従って、シール部(90)では、線接触部を挟んだ両者の水の間での漏れ電流が大きくなる。
【0014】
これに対し、本発明では、第2部材(93)の弾性率が第1部材(91,92)の弾性率よりも小さいので、第1部材(91,92)の膨出部(91a,92a)が第2部材(93)と密着すると、第2部材(93)が第1部材(91,92)の膨出部(91a,92a)に沿うように変形する。従って、第1部材(91,92)と第2部材(93)とが面接触する。このように各部材(91,92,93)が面接触すると、この面接触部を挟んだ両側の水の漏洩を防止できる。加えて、この面接触部を挟んだ両側まで各室(27,28)の水が至っている状態では、各水の距離(沿面距離)が面接触部を介することで長くなる。従って、本発明のシール部(90)では、絶縁効果が高くなり、面接触部を挟んだ両者の水の間での漏れ電流が小さくなる。
【0015】
第2の発明は、第1の発明において、上記第1部材は、上記着脱仕切板(60)の外縁に外嵌するOリング(91,92)で構成され、上記第2部材は、上記Oリング(91,92)の膨出部(91a,92a)に沿うように該Oリング(91,92)と上記取付凹部(51)との間に配置されることを特徴とする。
【0016】
第2の発明では、第1部材(91,92)がOリング(91,92)で構成され、着脱仕切板(60)の外縁に外嵌される。これにより、着脱仕切板(60)の外縁に第2部材(93)に密着する膨出部(91a,92a)を容易に形成できる。第2部材(93)は、取付凹部(51)とOリング(91,92)との間に介設され、膨出部(91a,92a)と密着することで変形する。これにより、Oリング(91,92)と第2部材(93)とが面接触し、絶縁シールを確保できる。
【0017】
第3の発明は、第2の発明において、上記取付凹部(51)は、該取付凹部(51)の内縁部(52)のうち水平に対向する一対の側縁部(54,55)の間隔が下方にむかうにつれて短くなる楔形状に形成され、上記着脱仕切板(60)は、上記取付凹部(51)に対応する楔形状に形成されることを特徴とする。
【0018】
第3の発明では、取付凹部(51)が楔形状に形成され、一対の側縁部(54,55)の間隔が下方に向かうにつれて短くなる。着脱仕切板(60)も取付凹部(51)に対応するように楔形状に形成される。着脱仕切板(60)と取付凹部(51)との間には、第1部材(91,92)と第2部材(93)とが介設される。このため、着脱仕切板(60)を取付凹部(51)に挿入する際には、摺動抵抗が大きくなることがある。しかし、本発明では、取付凹部(51)及び着脱仕切板(60)が楔形状に形成されるので、取付凹部(51)の内部に着脱仕切板(60)を容易に挿入でき、且つ容易に取り外すことができる。着脱仕切板(60)を取付凹部(51)に挿入した状態では、第1部材(91,92)と第2部材(93)とが密に接触するため、シール部(90)の水シール及び絶縁シールを十分確保できるとともに、着脱仕切板(60)が取付凹部(51)から外れてしまうことも防止できる。
【0019】
第4の発明は、第1乃至第3のいずれか1つの発明において、上記第2部材(93)には、上記第1部材(91,92)の膨出部(91a,92a)が嵌合する少なくとも1つの嵌合溝(101,102)が形成されていることを特徴とする。
【0020】
第4の発明では、第2部材(93)に第1部材(91,92)の膨出部(91a,92a)が嵌合する嵌合溝(101,102)が形成される。これにより、第1部材(91,92)の膨出部(91a,92a)と第2部材(93)の嵌合溝(101,102)との間に確実に面接触部(面シール)を形成できる。この結果、シール部(90)の水シール及び絶縁シールを十分確保できる。
【0021】
第5の発明は、第4の発明において、上記シール部(90)は、上記着脱仕切板(60)の厚さ方向に互いに間隔を置いて配置される2つの上記第1部材(91,92)を有し、上記着脱仕切板(60)には、上記2つの第1部材(91,92)の間に平坦状の第1平坦部(69)が形成され、上記第2部材(93)には、上記2つの第1部材(91,92)がそれぞれ1つずつ嵌合する2つの上記嵌合溝(101,102)と、上記2つの嵌合溝(101,102)の間に形成され、上記第1平坦部(69)に面接触する平坦状の2平坦部(103)が形成されることを特徴とする。
【0022】
第5の発明の着脱仕切板(60)には、2つの第1部材(91,92)が設けられ、これらの第1部材(91,92)の間に第1平坦部(69)が形成される。一方、第2部材(93)には、各第1部材(91,92)の膨出部(91a,92a)が嵌合する嵌合溝(101,102)が形成され、これらの嵌合溝(101,102)の間に第2平坦部(103)が形成される。第1部材(91,92)と第2部材(93)とが密着する状態では、2つの第1部材(91,92)の膨出部(91a,92a)がそれぞれの嵌合溝(101,102)に嵌まり込み、且つ第1平坦部(69)と第2平坦部(103)とが密に面接触する。これにより、シール部(90)では、第1室(27)側の水と第2室(28)側の水がシール部(90)まで至ったとしても、面接触部の幅が長くなり、沿面距離を十分に確保できる。つまり、第2部材(93)を基準とした場合、面接触部は、一方の嵌合溝(101)、第2平坦部(103)、及び他方の嵌合溝(102)が連続して形成される。この結果、シール部(90)の水シール及び絶縁シールを更に確実に確保できる。
【0023】
第6の発明は、第1乃至第5のいずれか1つの発明において、上記着脱仕切板(60)の外縁には、一対の側縁部(54,55)と下縁部(53)とに、該着脱仕切板(60)の外縁に沿って延びる凹部(85,86,87)が形成され、上記第1部材(91,92)は、上記着脱仕切板(60)の凹部(85,86,87)の底面(85a,86a,87a)に固定され、上記第2部材(93)は、上記凹部(85,86,87)の内部に配置されるとともに、上記取付凹部(51)の内縁部(52)が嵌合する溝部(97,98,99)を有することを特徴とする。
【0024】
第6の発明では、着脱仕切板(60)の外縁における一対の側縁部(54,55)と下縁部(53)とにそれぞれ凹部(85,86,87)が形成され、これらの凹部(85,86,87)の底面(85a,86a,87a)に第1部材(91,92)が固定される。第2部材(93)は、凹部(85,86,87)の内部に配置される。取付凹部(51)に着脱仕切板(60)が挿入されると、取付凹部(51)の内縁部(52)が第2部材(93)の溝部(97,98,99)に嵌合する。これにより、取付凹部(51)と着脱仕切板(60)の間に第1部材(91,92)と第2部材(93)とが密に保持される。この結果、シール部(90)の水シールの性能が向上する。
【0025】
第7の発明は、第6の発明において、上記取付凹部(51)の内縁部(52)は、基部(53a,54a,55a)と、該基部(53a,54a,55a)に対して段差面(S1〜S6)を形成するように着脱仕切板(60)側に向かって突出する凸部(53b,54b,55b)とを有し、上記第2部材(93)の溝部(97,98,99)は、上記基部(53a,54a,55a)が嵌合する外溝(97a,98a,99a)と、該外溝(97a,98a,99a)よりも奥側に凹み上記凸部(53b,54b,55b)が嵌合する内溝(97b,98b,99b)とを有することを特徴とする。
【0026】
第7の発明では、第2部材(93)の溝部(97,98,99)が、外溝(97a,98a,99a)と、該外溝(97a,98a,99a)より奥側に凹む内溝(97b,98b,99b)とを有する。第2部材(93)は、取付凹部(51)の内縁部(52)の基部(53a,54a,55a)が外溝(97a,98a,99a)に嵌合し、該内縁部(52)の凸部(53b,54b,55b)が内溝(97b,98b,99b)に嵌合することで、取付凹部(51)に保持される。
【0027】
第8の発明は、第7の発明において、上記第2部材(93)のうち上記凹部(85,86,87)の側方内壁(85b,86b,87b)と対向する面(104,105)には、第2部材(93)の延伸方向に延びる少なくとも1つの隙間形成溝(106,107)が形成されることを特徴とする。
【0028】
第8の発明では、第2部材(93)のうち凹部(85,86,87)の側方内壁(85b,86b,87b)と対向する面(104,105)(以下、対向面(104,105)ともいう)に隙間形成溝(106,107)が形成される。これにより、凹部(85,86,87)に第2部材(93)が嵌合した状態では、凹部(85,86,87)の側方内壁(85b,86b,87b)と第2部材(93)の対向面(104,105)との間に隙間が形成される。この隙間が狭すぎると、凹部(85,86,87)の開放面側の水が毛細管現象により、凹部(85,86,87)の側方内壁(85b,86b,87b)と第2部材(93)との間に侵入し易くなる。これに対し、このように隙間を形成することで、毛細管現象により水が流入してしまうことを防止できる。
【0029】
また、第2部材(93)に隙間形成溝(106,107)を形成すると、凹部(85,86,87)の側方内壁(85b,86b,87b)と第2部材(93)の対向面(104,105)との間の摺動抵抗が小さくなる。これにより、第2部材(93)を凹部(85,86,87)の内部に挿入し易くなる。
【0030】
第9の発明は、第8の発明において、上記第2部材(93)のうち上記凹部(85,86,87)の側方内壁(85b,86b,87b)と対向する面(104,105)には、少なくとも2つの上記隙間形成溝(106,107)と、該2つの隙間形成溝(106,107)の間に形成される凸条(108)とを有することを特徴とする。
【0031】
第9の発明では、第2部材(93)の対向面(104,105)に2つの隙間形成溝(106,107)が形成される。これにより、毛細管現象に起因する水の浸入を一層確実に防止できる。また、2つの隙間形成溝(106,107)を形成することで、凹部(85,86,87)の側方内壁(85b,86b,87b)と第2部材(93)の対向面(104,105)との間の摺動抵抗が更に小さくなる。2つの隙間形成溝(106,107)の間には、凸条(108)が形成される。この凸条(108)が対向面(104,105)に密に接触することで、水のシール性も向上できる。
【0032】
第10の発明は、第9の発明において、上記凸条(108)の少なくとも一部は、上記取付凹部(51)の上記基部(53a,54a,55a)の上記段差面(S1〜S6)に沿った仮想平面P1と、上記着脱仕切板(60)の凹部(85,86,87)の底面(85a,86a,87a)に沿った仮想平面P2の間に位置していることを特徴とする。
【0033】
第10の発明では、上記取付凹部(51)の内縁部(52)と着脱仕切板(60)の凹部(85,86,87)の内部に第2部材(93)が挟持されると、第2部材(93)における基部(53a,54a,55a)の段差面(S1〜S6)と凹部(85,86,87)の底面(85a,86a,87a)との間の部分が凹部(85,86,87)の側方内壁(85b,86b,87b)に沿った方向に圧縮される。すると、この圧縮された部分は、側方内壁(85b,86b,87b)側に向かって膨出する。ここで、第2部材(93)の凸条(108)は、段差面(S1〜S6)に沿った仮想平面P1と凹部(85,86,87)の底面(85a,86a,87a)に沿った仮想平面P2の間に位置するため、側方内壁(85b,86b,87b)側に向かった膨出部分に位置することになる。これにより、凸条(108)が側方内壁(85b,86b,87b)と密に接触し、側方内壁(85b,86b,87b)と凸条(108)との間の水のシール性が更に向上する。
【0034】
第11の発明は、第6乃至第10のいずれか1つの発明において、上記第2部材(93)は、上記着脱仕切板(60)の上記側縁部(54,55)の上記凹部(86,87)の内部に配置されるとともに、上記溝部(98,99)を有する側方部材(95,96)を有し、上記第2部材(93)の側方部材(95,96)のうち上記凹部(86,87)の側方内壁(86b,87b)と対向する面(104,105)には、上記凹部(86,87)の開放面に隣接する部分に平坦状の第3平坦部(109)が形成されていることを特徴とする。
【0035】
第11の発明では、着脱仕切板(60)の側縁部(54,55)の凹部(86,87)に第2部材(93)の側方部材(95,96)が配置される。側方部材(95,96)のうち凹部(86,87)の側方内壁(86b,87b)と対向する面(104,105)には、凹部(86,87)の開放面に隣接する部分に平坦状の第3平坦部(109)が形成される。これにより、取付凹部(51)の内縁部(52)と着脱仕切板(60)との間に第2部材(93)が挟持される状態において、第2部材(93)の側方部材(95,96)の端部が凹部(86,87)の開放面より外側に多少突出したとしても、側方内壁(86b,87b)と第3平坦部(109)とが密に接触した状態を維持できる。この結果、凹部(86,87)の開放面において、第2部材(93)の側方部材(95,96)と側方内壁(86b,87b)との間の隙間より水が浸入してしまうことを第3平坦部(109)によって防止できる。
【0036】
第12の発明は、第6乃至第11のいずれか1つの発明において、上記第2部材(93)は、上記着脱仕切板(60)の上記下縁部(53)の上記凹部(85)の内部に配置されるとともに、上記溝部(97)を有する下側部材(94)を有し、上記第2部材(93)の下側部材(94)は、該下側部材(94)の下端(110)が上記水槽(20)の底面と密着するように構成されていることを特徴とする。
【0037】
第12の発明では、着脱仕切板(60)の下縁部(53)の凹部(85)に第2部材(93)の下側部材(94)が配置される。取付凹部(51)の内縁部(52)と着脱仕切板(60)との間に第2部材(93)が挟持される状態では、第2部材(93)の下側部材(94)の下端が水槽(20)の底面(22a)と密着する。下側部材(94)の下端(110)と水槽(20)の底面(22a)との間の隙間への水の浸入を防止できる。
【発明の効果】
【0038】
第1の発明によれば、固定仕切板(50)に対して着脱仕切板(60)を取り外すことができるので、孔(46)や、その周辺部分のメンテナンスを容易に行うことができる。また、着脱仕切板(60)の交換が容易となり、例えば放電対象の液体に応じた最適なサイズの孔(46)を有する着脱仕切板(60)に取り替えることもできる。
【0039】
第1の発明によれば、第1部材(91,92)と第2部材(93)とが面接触するため、面接触部を挟んで両側に水が侵入したとしても、これらの水の沿面距離を長くすることができる。従って、単に水のシール性を向上できるだけでなく、絶縁シールの性能も向上できる。この結果、第1室(27)と第2室(28)との間での絶縁性が損なわれることを回避でき、孔(46)内で発生した気泡中で所望とする放電を安定して行うことができる。また、このように両室(27,28)の絶縁性を確保することで、高電圧発生部(31)の出力電圧を低減しつつ、放電を生起することができる。
【0040】
第2の発明によれば、第1部材としてOリング(91,92)を用いることで、部品の簡素化、低コスト化を図ることができる。
【0041】
第3の発明によれば、取付凹部(51)に対する着脱仕切板(60)の取り付け・取り外しが容易となり、着脱仕切板(60)のメンテナンスや交換も容易となる。また、取付凹部(51)に着脱仕切板(60)を取り付けた状態では、第1部材(91,92)と第2部材(93)とが密に接触するため、水シールや絶縁シールの性能を向上できるとともに、着脱仕切板(60)が簡単に外れてしまうことも防止できる。従って、例えば着脱仕切板(60)と取付凹部(51)とを接着等せずとも両者の部材を固定できる。あるいは、着脱仕切板(60)と取付凹部(51)の接着剤の使用量を減らせる。
【0042】
第4の発明では、第1部材(91,92)の膨出部(91a,92a)を嵌合溝(101,102)に嵌合させることで、第1部材(91,92)と第2部材(93)とを確実に面接触でき、沿面距離を確実に長く確保できる。特に、第5の発明では、2つの嵌合溝(101,102)と、この間の第2平坦部(103)とに亘って面シールを形成できるので、沿面距離が更に長くなり、絶縁シールの性能を一層向上できる。
【0043】
第6の発明では、着脱仕切板(60)の凹部(85,86,87)の内部に第1部材(91,92)と第2部材(93)とを配置することで、これらの部材(91,92,93)を密に接触させることができ、水シールの性能を向上できる。
【0044】
第7の発明では、取付凹部(51)の基部(53a,54a,55a)及び凸部(53b,54b,55b)に、第2部材(93)の外溝(97a,98a,99a)及び内溝(93b,94b,95b)をそれぞれ嵌め込むことで、取付凹部(51)の内部に第2部材(93)を確実に保持できる。
【0045】
第8の発明では、第2部材(93)の対向面(104,105)に隙間形成溝(106,107)を形成したため、毛細管現象に起因する水の浸入を防止できる。また、対向面(104,105)と側方内壁(85b,86b,87b)の摺動抵抗が小さくなり、凹部(85,86,87)の内部に第2部材(93)を嵌め込み易くなる。特に、第9の発明では、対向面(104,105)に2つの隙間形成溝(106,107)を形成したので、第8の発明の効果が顕著となる。また、第9の発明では、2つの隙間形成溝(106,107)の間に凸条(108)を形成することで、この凸条(108)と側方内壁(85b,86b,87b)とを接触させて水のシール性能を向上できる。
【0046】
第10の発明によれば、第2部材(93)が圧縮されることにより、凸条(108)が側方内壁(85b,86b,87b)に膨出するため、凸条(108)と側方内壁(85b,86b,87b)とを密に接触させることができ、この部位のシール性能を更に向上できる。
【0047】
第11の発明によれば、凹部(86,87)の開放面近傍から、側方内壁(86b,87b)と第2部材(93)との間に水が浸入してしまうことを第3平坦部(109)により防止できる。
【0048】
第12の発明によれば、第2部材(93)の下端部を水槽(20)の底面(22a)に密着させることで、この部分の水のシール性能を向上できる。
【図面の簡単な説明】
【0049】
図1図1は、実施形態に係る放電ユニットの概略構成を示す構成図である。
図2図2は、実施形態に係る水槽及び仕切部の斜視図である。
図3図3は、実施形態に係る仕切部の縦断面図(図2のIII-III線断面図)である。
図4図4は、実施形態に係る仕切部の正面図であり、図3のIV矢視図である。
図5図5は、実施形態に係る仕切部の一部縦断面図(図4のV-V線断面図)である。
図6図6は、実施形態に係る仕切部の一部縦断面図(図4のVI-VI線断面図)である。
図7図7は、実施形態に係る仕切部の一部縦断面図(図4のVII-VII線断面図)である。
図8図8は、実施形態に係る着脱仕切板の分解斜視図である。
図9図9は、実施形態に係る第2分割板及び弾性部材の正面図(図8のVIIII矢視図)である。
図10図10は、図3の要部を拡大した縦断面図であり、気泡を二点鎖線で表している。
図11図11は、仕切板の組立工程を説明するための正面図である。
図12図12は、仕切板の組立工程を説明するための図5相当図である。
図13図13は、仕切板の組立工程を説明するための図6相当図である。
図14図14は、変形例1に係る仕切部の要部を拡大した図6相当図である。
図15図15は、変形例2に係る仕切部の図5相当図である。
【発明を実施するための形態】
【0050】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、以下の実施形態は、本質的に好ましい例示であって、本発明、その適用物、あるいはその用途の範囲を制限することを意図するものではない。
【0051】
《発明の実施形態》
本発明の実施形態は、水を浄化する水処理用の放電ユニット(10)である。図1に示すように、放電ユニット(10)は、水槽(20)と、仕切部(40)と、放電装置(30)とを備えている。放電ユニット(10)は、放電装置(30)の高電圧発生部(31)から第1電極(32)と第2電極(33)に電位差を付与することで、仕切部(40)の孔(46)から気泡(B)を発生させ、この気泡(B)中で放電を行うように構成される。
【0052】
〈水槽〉
水槽(20)は、絶縁性の樹脂材料で構成される。図2に示すように、水槽(20)は、上側が開放された中空の箱形に形成されている。水槽(20)は、底壁(22)、前壁(23)、後壁(24)、第1側壁(25)、及び第2側壁(26)を有している。前壁(23)は、底壁(22)の前端から鉛直に延び、後壁(24)は、底壁(22)の後端から鉛直に延びている。第1側壁(25)は、前壁(23)の左端部と後壁(24)の左端部との間に亘って延びている。第2側壁(26)は、前壁(23)の右端部と後壁(24)の右端部との間に亘って延びている。
【0053】
水槽(20)には、給水部(図示省略)から水が供給される。水槽(20)で浄化された水は、排水部(図示省略)から水槽(20)の外部へ排出される。
【0054】
〈仕切部の概要〉
図1及び図2に示すように、仕切部(40)は、水槽(20)の底面(22a)から鉛直に延びる略板状に形成される。仕切部(40)は、前壁(23)と後壁(24)と平行に配置される。仕切部(40)は、水槽(20)の長手方向(前後方向)の中間部に配置される。仕切部(40)は、水槽(20)の内部を前後に2つの室(27,28)に区画している。これらの室(27,28)のうち前側が第1室(27)を、後側が第2室(28)をそれぞれ構成している。
【0055】
図3にも示すように、仕切部(40)には、該仕切部(40)を厚さ方向(前後方向)に貫通する貫通孔(41)が形成される。貫通孔(41)の内部には、薄板部(45)が位置している。薄板部(45)には、微細な孔(46)が水平方向に貫通して形成される。第1室(27)と第2室(28)とは、孔(46)を通じて連通する。仕切部(40)の詳細な構造は後述する。
【0056】
〔放電装置〕
図1に示すように、放電装置(30)は、高電圧発生部(31)と、高電圧発生部(31)に電気的に接続される一対の電極(32,33)とを有している。
【0057】
高電圧発生部(31)は、一対の電極(32,33)に高電圧を付与する。具体的に、高電圧発生部(31)は、一対の電極(32,33)に対して正負が入れ替わる交番波形の電圧を印加する。交番波形(方形波)のDutyは、正極側と負極側の割合が等しいのが好ましい。高電圧発生部(31)から一対の電極(32,33)に印加される電圧は、方形波に限られず、例えば正弦波であってもよい。
【0058】
一対の電極(32,33)は、耐腐食性の高い板状の金属材料で構成される。第1電極(32)は、第1室(27)の水中に浸漬される。第2電極(33)は、第2室(28)の水中に浸漬される。これらの電極(32,33)は、仕切部(40)と所定の間隔を介して配置される。
【0059】
〈仕切部の詳細構造〉
仕切部(40)の詳細な構造について図1図11を参照しながら説明する。仕切部(40)は、固定仕切板(50)と着脱仕切板(60)とシール部(90)とを備えている。
【0060】
〔固定仕切板(50)〕
図4にも示すように、固定仕切板(50)は、水槽(20)に固定されている。固定仕切板(50)は、絶縁性の樹脂材料で構成される。固定仕切板(50)は、第1側壁(25)及び第2側壁(26)の内側面と、底壁(22)の底面(22a)に固定されている。固定仕切板(50)の幅方向(左右方向)の中央部には、仕切部(40)の上端から水槽(20)の底面(22a)近傍に亘って凹んだ取付凹部(51)が形成される。取付凹部(51)の内縁部(52)は、下側に形成される下側内壁部(53)(下縁部)と、幅方向の一方(左側)に形成される第1内壁部(54)(一方の側縁部)と、幅方向の他方(右側)に形成される第2内壁部(55)(他方の側縁部)とで構成される。取付凹部(51)は、下方に向かうにつれて第1内壁部(54)と第2内壁部(55)との間隔が狭くなるように構成される。つまり、取付凹部(51)は、正面視において、上辺が下辺より大きな楔形状(台形状)に形成される。
【0061】
[下側内壁部]
下側内壁部(53)は、水槽(20)の底面(22a)に沿って左右方向(仕切部(40)の幅方向)に延びている。下側内壁部(53)の縦断面(図4のV-V線断面)の形状は、全体に亘って同一形状である。図3及び図5に示すように、下側内壁部(53)は、下側基部(53a)と下側凸部(53b)とを有している。
【0062】
下側基部(53a)は、水槽(20)の底面(22a)に固定される。下側基部(53a)及び下側凸部(53b)の縦断面は矩形状である。下側凸部(53b)の前後の幅は下側基部(53a)の前後の幅よりも小さい。下側凸部(53b)は、下側基部(53a)の上面の幅方向(左右方向)の中間部から着脱仕切板(60)側へ向かう方向(上方)に突出している。下側基部(53a)の上面には、下側凸部(53b)の幅方向の一方(左側)に第1段差面(S1)が、他方(右側)に第2段差面(S2)が形成される。
【0063】
[第1内壁部]
第1内壁部(54)は、取付凹部(51)の上端から右下に向かって斜めに延びている。第1内壁部(54)の縦断面(図4のVI-VI線断面)の形状は、全体に亘って同一形状である。図6に示すように、第1内壁部(54)は、第1基部(54a)と第1凸部(54b)とを有している。第1基部(54a)は、固定仕切板(50)の左側部分と連続している。第1基部(54a)と第1凸部(54b)の縦断面は矩形状である。第1凸部(54b)の前後の幅は第1基部(54a)の前後の幅よりも小さい。第1凸部(54b)は、第1基部(54a)の内側面(右面)の幅方向(前後方向)の中間部から着脱仕切板(60)側へ向かう方向(右方)に突出する。第1基部(54a)の右面には、第1凸部(54b)の幅方向の一方(前側)に第3段差面(S3)が、他方(後側)に第4段差面(S4)が形成される。
【0064】
[第2内壁部]
第2内壁部(55)は、取付凹部(51)の上端から左下に向かって斜めに延びている。第2内壁部(55)の縦断面(図4のVII-VII線断面)の形状は、全体に亘って同一形状である。図7に示すように、第2内壁部(55)は、第2基部(55a)と第2凸部(55b)とを有している。第2基部(55a)は、固定仕切板(50)の右側部分と連続している。第2基部(55a)と第2凸部(55b)の縦断面は矩形状である。第2凸部(55b)の前後の幅は第2基部(55a)の前後の幅よりも小さい。第2凸部(55b)は、第2基部(55a)の内側面(左面)の幅方向(前後方向)の中間部から着脱仕切板(60)側へ向かう方向(左方)に突出している。第2基部(55a)の右面には、第2凸部(55b)の幅方向の一方(前側)に第5段差面(S5)が、他方(後側)に第6段差面(S6)が形成される。
【0065】
〔着脱仕切板〕
図4に示すように、着脱仕切板(60)は、取付凹部(51)の内縁部(52)に沿うように形成され、取付凹部(51)の内部に挿入されるように構成される。着脱仕切板(60)は、仕切板本体(60a)と、弾性部材(80)と、薄板部(45)とを有している。
【0066】
仕切板本体(60a)は、絶縁性の樹脂材料で構成され、着脱仕切板(60)の本体を構成している。図3及び図8に示すように、仕切板本体(60a)は、該仕切板本体(60a)の厚さ方向に分割された2枚の分割板(61,71)が接合されて構成される。2枚の分割板(61,71)は、前側に位置する第1分割板(61)と、後側に位置する第2分割板(71)とで構成される。第1分割板(61)と第2分割板(71)の基本的な構造は同様である。
【0067】
[第1分割板]
第1分割板(61)は、上辺が下辺より大きい逆台形状(楔形状)の外板部(62)と、該外板部(62)より一廻り小さい逆台形状(楔形状)の内板部(63)とを有している。内板部(63)は、その全周に段差を形成するように外板部(62)の後面に一体に形成される。
【0068】
外板部(62)は、取付凹部(51)の内縁部(52)よりも前側に位置し、取付凹部(51)の内縁部(52)よりも外側に張り出している。外板部(62)の下端部(62a)は、取付凹部(51)の下側内壁部(53)の上端よりも下方に張り出している。図3及び図5に示すように、外板部(62)の下端部(62a)の下面と取付凹部(51)の下側基部(53a)の下面とは、水槽(20)の底面(22a)と面接触する位置にある。外板部(62)の下端部(62a)は、取付凹部(51)の下側内壁部(53)と離間している。
【0069】
図6に示すように、外板部(62)の左端部(62b)は、取付凹部(51)の第1内壁部(54)の右端よりも左方に張り出している。外板部(62)の左端部(62b)は、取付凹部(51)の第1内壁部(54)と離間している。図7に示すように、外板部(62)の右端部(62c)は、取付凹部(51)の第2内壁部(55)の左端よりも右方に張り出している。外板部(62)の左端部は(62c)は、取付凹部(51)の第2内壁部(55)と離間している。
【0070】
図3及び図4に示すように、外板部(62)の中央よりやや下側寄りの部分には、拡径部(64)が形成される。拡径部(64)は、薄板部(45)の孔(46)と反対側(前側)に向かうにつれて内径を拡大させる台形円錐状の穴で構成される。
【0071】
図3及び図10に示すように、内板部(63)の内側面(後面の中央よりやや下側寄りの部分には、嵌合部(65)が形成される。嵌合部(65)は、内板部(63)の内側面(後面)から外板部(62)側(前側)に向かって凹んだ扁平な円柱状の凹部で構成される。嵌合部(65)の中心には、孔(46)側(後側)に近づくにつれて外径が小さくなるような台形円錐部(66)が形成される。つまり、台形円錐部(66)には、内側中心に向かって傾斜した傾斜面(66a)が形成される。台形円錐部(66)の軸心は、嵌合部(65)の中心、及び孔(46)の中心と一致している(図8の一点鎖線Pを参照)。台形円錐部(66)の内部には、内板部(63)の厚さ方向に延びる横穴(67)が貫通している。横穴(67)は、拡径部(64)の奥側(後側)の開口端に連続している。横穴(67)は、拡径部(64)の奥側の開口端と概ね同じ内径の円柱状の穴である。横穴(67)及び拡径部(64)は、貫通孔(41)の一部を構成している。
【0072】
図3に示すように、内板部(63)では、嵌合部(65)の底面から嵌合部(65)の外周側の部分の先端面(後端面)までの前後の厚みd1が、嵌合部(65)の底面から台形円錐部(66)の先端面(66b)(後端面)までの前後の厚みd2よりも大きい。
【0073】
内板部(63)の外縁部には、全周に亘って連続する閉ループ状のリング溝(68)が形成される。リング溝(68)は、内板部(63)の外縁部のうち外板部(62)の内側面(後面)にほぼ連続する部分に形成される。リング溝(68)の延伸方向に直角な断面は、略半円孤状に形成されている。
【0074】
[第2分割板]
図3に示すように、第2分割板(71)は、第1分割板(61)と前後に対称形となることを除き、基本的な構造は同じである。つまり、第2分割板(71)は、第1分割板(61)と同様にして、外板部(72)及び内板部(73)を有している。外板部(72)には、拡径部(74)が形成され、内板部(73)には、嵌合部(75)、台形円錐部(76)、及び横穴(77)が形成される。横穴(77)及び拡径部(74)は、貫通孔(41)の一部を構成している。各部分の構成は、第1分割板(61)と同様であるため、その詳細な説明は省略する。
【0075】
[弾性部材]
弾性部材(80)は、絶縁性且つ弾性を有する樹脂材料で構成される。弾性部材(80)は、仕切板本体(60a)よりも弾性率が低い柔軟な材料で構成される。本実施形態の弾性部材(80)は、シリコン材料で構成される。弾性部材(80)は、前後にやや扁平な円環状に形成されている(図8を参照)。図3にも示すように、弾性部材(80)は、その前側の略半分が第1分割板(61)の嵌合部(65)に嵌合し、その後側の略半分が第2分割板(71)の嵌合部(75)に嵌合する。弾性部材(80)の内周縁部(80a)うち孔(46)と反対側の前端部には、第1分割板(61)の台形円錐部(66)の傾斜面(66a)に沿った円錐状の第1テーパ面(81)が形成される。第1テーパ面(81)の軸心は、第1分割板(61)の台形円錐部(66)の軸心、及び孔(46)の軸心(図8の一点鎖線P)と一致している。弾性部材(80)の内周縁部(80a)のうち孔(46)と反対側の後端部には、第2分割板(71)の台形円錐部(76)の傾斜面(76a)に沿った円錐状の第2テーパ面(82)が形成される。第2テーパ面(82)の軸心は、第2分割板(71)の台形円錐部(76)の軸心、及び孔(46)の軸心(図8の一点鎖線P)と一致している。
【0076】
図3及び図10に示すように、弾性部材(80)の内周縁部(80a)のうち厚さ方向(前後方向)の中間部には、円環状の保持溝(83)が形成されている。保持溝(83)には、円板状の薄板部(45)の外周部(45a)が挿通ないし内嵌される。つまり、着脱仕切板(60)では、薄板部(45)の外周部(45a)が弾性部材(80)の内部に埋設されて保持される。この構成により、薄板部(45)は、弾性部材(80)のみに保持、あるいは固定され、着脱仕切板(60)には保持、あるいは固定されない。
【0077】
[薄板部]
図3図8、及び図9に示すように、薄板部(45)は、弾性部材(80)の内部に保持されている。薄板部(45)は、非常に薄肉(例えば0.5mm)の絶縁性の材料であり、例えば絶縁性及び耐熱性に優れたセラミックス材料で構成される。薄板部(45)は、円板状に形成され、その外周部(45a)が弾性部材(80)の保持溝(83)の内壁に密に挟まれる。薄板部(45)の軸心には、非常に微細な孔(46)が形成される。孔(46)の内径は、例えば50μmである。孔(46)は、第1室(27)と第2室(28)とを連通させる連通路であり、第1電極(32)と第2電極(33)の間の電流経路を構成する。孔(46)は、その内部を流れる電流のジュール熱により孔(46)内の水を気化させ気泡を生成するように、その孔径が非常に小さく構成される。
【0078】
〔組立状態の着脱仕切板〕
図8に示すように、着脱仕切板(60)の組立工程では、薄板部(45)を内部に保持した弾性部材(80)が、第1分割板(61)と第2分割板(71)の各嵌合部(65,75)の間に挟まれる。第1分割板(61)の内板部(63)と第2分割板(71)の内板部(73)とは、これらの全域が密着するように接着剤等により接合される。弾性部材(80)の第1テーパ面(81)は、第1分割板(61)の台形円錐部(66)に傾斜面(66a)に面接触し、且つ弾性部材(80)の第2テーパ面(82)は、第2分割板(71)の台形円錐部(76)の傾斜面(76a)に面接触する。この状態で、第1分割板(61)と第2分割板(71)との間に弾性部材(80)が密に挟まれると、各台形円錐部(66,76)の軸心と弾性部材(80)の軸心とが一致する。更には、各横穴(67,77)の軸心と孔(46)の軸心とが一致する。これにより、孔(46)と横穴(66,77)との位置合わせを確実に行うことができ、孔(46)と貫通孔(41)とを連通させることができる。
【0079】
[貫通孔]
図3及び図10に示すように、組立状態の着脱仕切板(60)では、貫通孔(41)が形成される。貫通孔(41)は、第1分割板(61)の拡径部(64)、横穴(67)、第2分割板(71)の横穴(77)、及び拡径部(74)が、前側から後側に向かって連続することで構成される。第1分割板(61)の横穴(67)と第2分割板(71)の横穴(77)とは、前後に連続することで横長の中間孔(42)を構成する。中間孔(42)の軸方向(前後方向)の中間部には、薄板部(45)が配置される。貫通孔(41)は、薄板部(45)の孔(46)を介して連通する。第1分割板(61)の拡径部(64)は、中間孔(42)に対して、貫通孔(41)の外側(前側)に向かって内径を拡大させる第1拡径部を構成する。第2分割板(71)の拡径部(74)は、中間孔(42)に対して、貫通孔(41)の外側(後側)に向かって内径を拡大させる第2拡径部を構成する。
【0080】
[各凹部]
図3図5図7に示すように組立状態の着脱仕切板(60)の外縁部には、該外縁部の全周に沿うようにして、下側凹部(85)、第1凹部(86)、第2凹部(87)、及び上側凹部(88)が形成される。下側凹部(85)は、着脱仕切板(60)の下縁部に形成される。第1凹部(86)は、着脱仕切板(60)の幅方向の一方(左側)の側縁部に形成される。第2凹部(87)は、着脱仕切板(60)の幅方向の他方(右側)の側縁部に形成される。上側凹部(88)は、着脱仕切板(60)の上縁部に形成される。
【0081】
下側凹部(85)は、第1分割板(61)と第2分割板(71)の各下端部の間に形成され(図5を参照)、着脱仕切板(60)の左端から右端に亘って水平方向に延びている。第1凹部(86)は、第1分割板(61)と第2分割板(71)の各左端部の間に形成され(図6を参照)、着脱仕切板(60)の下端から上端に亘って斜め左上方向に延びている。第2凹部(87)は、第1分割板(61)と第2分割板(71)の各右端部の間に形成され(図7を参照)、着脱仕切板(60)の下端から上端に亘って斜め右上方向に延びている。上側凹部(88)は、第1分割板(61)と第2分割板(71)の各上端部の間に形成され(図3を参照)、着脱仕切板(60)の左端から右端に亘って水平方向に延びている。
【0082】
下側凹部(85)、第1凹部(86)、及び第2凹部(87)は、互いに溝深さが等しく、その内部に延伸方向に直角な断面(以下、単に直角断面ともいう)が矩形状の空間を形成している。下側凹部(85)、第1凹部、及び第2凹部(87)は、各々の内部にシール部(90)のパッキン部材(93)が配置される凹部を構成している。上側凹部(88)は、下側凹部(85)、第1凹部(86)、及び第2凹部(87)よりも溝深さが小さい。
【0083】
各凹部(85,86,87)の底面(85a,86a,87a)(奥面)には、上述した2つのリング溝(68,78)が形成される。各凹部(85,86,87)の底面(85a,86a,87a)には、これらの2つのリング溝(68,78)の間に平坦状の凹部側平坦部(69)(第1平坦部)が形成される。
【0084】
[隙間]
図3及び図10に示すように、組立状態の着脱仕切板(60)では、薄板部(45)と各分割板(61,71)との間に僅かな隙間(G1,G2)が形成される。つまり、各分割板(61,71)では、各嵌合部(65,75)の内縁部の高さ(前後の長さd2)が、各嵌合部(65.75)の外縁部の高さ(前後の長さd1)よりも小さい。このため、各嵌合部(65,75)の間に弾性部材(80)が挟持された状態では、第1分割板(61)の台形円錐部(66)の先端面(66b)と薄板部(45)との間に円環状の僅かな隙間(G1)が形成される。同様に、第2分割板(71)の台形円錐部(76)の先端面(76b)と薄板部(45)との間には、円環状の僅かな隙間(G2)が形成される。これにより、組立状態の着脱仕切板(60)では、薄板部(45)が弾性部材(80)のみと接触し、仕切板本体(60a)とは接触しない状態(非接触状態)となる。
【0085】
〔シール部〕
仕切部(40)には、水シール及び絶縁シールを行うためのシール部(90)として、2つのOリング(91,92)と、1つのパッキン部材(93)とが設けられる。これらのシール部(90)は、第1室(27)と第2室(28)との間の漏水を防止するとともに、第1室(27)と第2室(28)との間の漏電も防止するように機能する。
【0086】
[Oリング]
図3等に示すように、仕切部(40)は、2つのOリング(91,92)(第1部材)を有している。Oリング(91,92)は、絶縁性の樹脂材料で構成される。Oリング(91,92)は、表面の摺動性の高い材料が好ましく、例えばエチレンプロピレンゴムで構成される。また、Oリング(91,92)の摺動性を向上させるために、該Oリング(91,92)の表面にフッ素加工等のコーティングを施してもよい。
【0087】
2つのOリング(91,92)は、第1分割板(61)のリング溝(68)に外嵌して固定される第1Oリング(91)と、第2分割板(71)のリング溝(78)に外嵌して固定される第2Oリング(92)とで構成される。これらのOリング(91,92)は、分割板(61,71)と一体に成型してもよい。
【0088】
図9に示すように、各Oリング(91,92)が各リング溝(68,78)に嵌合する状態では、Oリング(91,92)の全体の外形が着脱仕切板(60)の外縁に沿った楔形状となる。また、図5図7に示すように、各Oリング(91,92)が各リング溝(68,78)に嵌合する状態では、各Oリング(91,92)の略半分が各リング溝(68,78)の内部に嵌まり込む。これにより、Oリング(91,92)の残りの略半分は、リング溝(68,78)から外部に向かって膨出する。つまり、Oリング(91,92)は、延伸方向に直角な断面が円弧状の膨出部(91a,92a)を有している。膨出部(91a,92a)は、下側凹部(85)、第1凹部(86)、及び第2凹部(87)の各底面(85a,86a,87a)(奥面)から、各凹部(85,86,87)の開放面側(パッキン部材(93)側)に向かって膨出する。
【0089】
[パッキン部材]
図3及び図11に示すように、仕切部(40)は、1つのパッキン部材(93)を有している。パッキン部材(93)は、各Oリング(91,92)よりも弾性率の低い絶縁性の樹脂材料(例えばシリコン材料)で構成される。パッキン部材(93)は、着脱仕切板(60)の内板部(63,73)の外縁に沿って形成される。パッキン部材(93)は、前面視における外形が略Uの字状に形成されている。パッキン部材(93)は、下側凹部(85)の内部に配置される下側パッキン部(94)(下側部材)と、第1凹部(86)の内部に配置される左側パッキン部(95)(第1側方部材)と、第2凹部(87)の内部に配置される右側パッキン部(96)(第2側方部材)とを有している。本実施形態では、これらのパッキン部(94,95,96)の直角断面は全て同じ形状である。
【0090】
各パッキン部(94,95,96)の直角断面は、着脱仕切板(60)の外縁部側が開放するような略逆Uの字状に形成される。各パッキン部(94,95,96)には、取付凹部(51)の内縁部(52)が嵌合する溝部(97,98,99)が形成される。具体的に、パッキン部材(93)では、下側パッキン部(94)に下側溝部(97)が形成され、左側パッキン部(95)に第1溝部(98)が形成され、右側パッキン部(96)に第2溝部(99)が形成される。各溝部(97,98,99)は、直角断面が同一形状である。
【0091】
各溝部(97,98,99)には、各凹部(85,86,87)の開放面寄りに形成される外溝(97a,98a,99a)と、凹部(85,86,87)の奥側に形成される内溝(97b,98b,99b)とがそれぞれ形成される。各外溝(97a,98a,99a)及び各内溝(97b,98b,99b)の直角断面は矩形状である。各外溝(97a,98a,99a)の幅は、各内溝(97b,98b,99b)の幅よりも大きい。内溝(97b,98b,99b)は、外溝(97a,98a,99a)の幅方向の中間部に連続して形成される。より詳細に、下側溝部(97)には、下側基部(53a)が嵌合する下側外溝(97a)と、下側凸部(53b)が嵌合する下側内溝(97b)とが形成される(図5を参照)。第1溝部(98)には、第1基部(54a)が嵌合する第1外溝(98a)と、第1凸部(54b)が嵌合する第1内溝(98b)とが形成される(図6を参照)。第2溝部(99)には、第2基部(55a)が嵌合する第2外溝(99a)と、第2凸部(55b)が嵌合する第2内溝(99b)とが形成される(図7を参照)。
【0092】
図5図7に示すように、各パッキン部(94,95,96)の外周面のうち、各凹部(85,86,87)の底面(85a,86a,87a)と対向する面(パッキン奥面(94a,95a,96a))には、2つの嵌合溝(101,102)と、これらの嵌合溝(101,102)の間に位置する1つのパッキン側平坦部(103)(第2平坦部)とがそれぞれ形成される。2つの嵌合溝(101,102)は、第1Oリング(91)の膨出部(91a)が嵌合する第1嵌合溝(101)と、第2Oリング(92)の膨出部(92a)が嵌合する第2嵌合溝(102)とで構成される。第1嵌合溝(101)と第2嵌合溝(102)とは、直角断面が略円弧状の内周面を有している。パッキン部材(93)の取付状態では、各Oリング(91,92)の膨出部(91a,92a)の外周面と各嵌合溝(101,102)の内周面とが面接触する。パッキン側平坦部(103)は、凹部側平坦部(69)と平行な平坦状に形成される。パッキン部材(93)の取付状態では、凹部側平坦部(69)とパッキン側平坦部(103)とが面接触する。
【0093】
各パッキン部(94,95,96)の外周面のうち、各凹部(85,86,87)の一対の側方内壁(85b,86b,87b)と対向する2つの面(パッキン側面(104,105))には、それぞれ2つの隙間形成溝(106,107)が形成されている。各隙間形成溝(106,107)は、直角断面が略円弧状の内周面を有している。パッキン部材(93)の取付状態では、各凹部(85,86,87)と隙間形成溝(106,107)との間に直角断面が弓形の隙間が形成される。
【0094】
2つのパッキン側面(104,105)には、隣り合う2つの隙間形成溝(106,107)の間に外方に突出する凸条(108)がそれぞれ形成される。凸条(108)は、対応する各パッキン部(94,95,96)の延伸方向に延びている。パッキン部材(93)の取付前の状態において、本実施形態の凸条(108)の先端部(108a)は、幅狭の平坦状に形成される(図12及び図13を参照)。凸条(108)の先端部(108a)の幅は、隙間形成溝(106,107)の幅よりも小さい。図5に示すように、凸条(108)の先端部(108a)は、取付凹部(51)の内縁部(52)の段差面(S1〜S6)に沿った仮想平面P1と、この段差面(S1〜S6)に対着脱仕切板(60)の各凹部(85,86,87)の底面(85a,86a,87a)に沿った仮想平面P2との間に位置する。
【0095】
2つのパッキン側面(104,105)のうち凹部(85,86,87)の開放部側の端部には、対応する側方内壁(85b,86b,87b)と平行な平坦状の端側平坦部(109)(第3平坦部)がそれぞれ形成されている。端側平坦部(109)は、各凹部(85,86,87)の各側方内壁(85b,86b,87b)と面接触する。
【0096】
下側パッキン部(94)の下端(110)は、水槽(20)の底壁(22)の底面(22a)に沿った水平な平坦状に形成されている。つまり、組立後の仕切部(40)では、下側パッキン部(94)の下端(110)が底壁(22)の底面(22a)に密着するように構成される。
【0097】
−運転動作−
放電ユニット(10)の基本的な運転動作について図1及び図10を参照しながら説明する。放電ユニット(10)の運転開始時には、第1電極(32)と第2電極(33)とが浸水した状態となっている。高電圧発生部(31)から各電極(32,33)に対して方形波の電圧が印加されると、一方の電極(32,33)から他方の電極(33,32)に電気が流れる。このとき、仕切部(40)の孔(46)は、各電極(32,33)の間の電流経路となる。孔(46)の孔径は極めて小さいため、この電流経路の電流密度が上昇する。すると、孔(46)の内部で発生するジュール熱が大きくなり、孔(46)内の水が気化されて気泡(B)が生成される。この気泡(B)は、図10に示すように、孔(46)の内部と、該孔(46)の筒軸方向の両端部に亘って形成される。
【0098】
この状態では、第1電極(32)が浸水する第1室(27)と、第2電極(33)が浸水する第2室(28)とが気泡(B)によって電気的に分断される。つまり、仕切部(40)の気泡(B)は、第1室(27)と第2室(28)の水の導電を阻止する絶縁抵抗体として機能する。これにより、気泡(B)の気液界面の周囲では、第1室(27)に位置する界面と、第2室(28)に位置する界面とがそれぞれ擬似的な電極となり、これらの電極の電位差が増大する。この結果、気泡(B)では、両者の気液界面を挟んで気泡中(B)で絶縁破壊が生じ、放電が発生する。この放電に伴い、水中では、水を浄化・殺菌するための浄化成分・殺菌因子(水酸ラジカル等の活性種)が発生する。これにより、水槽(20)中の水が浄化される。
【0099】
図10に示すように、本実施形態の貫通孔(41)では、中間孔(42)を挟んだ両側にそれぞれ拡径部(64,74)を形成している。これにより、孔(46)で発生した後の気泡が、貫通孔(41)より速やかに排出される。この結果、孔(46)の近傍のみに気泡を溜めることができ、連続して安定した放電を行うことができる。
【0100】
〈仕切部の組立工程〉
放電ユニット(10)では、固定仕切板(50)に対して着脱仕切板(60)が取付・取外可能である。これにより、孔(46)が形成される着脱仕切板(60)を取り外してメンテナンスを行ったり、着脱仕切板(60)を交換したりできる。一方、固定仕切板(50)と着脱仕切板(60)とを別体にすると、固定仕切板(50)と着脱仕切板(60)との間に隙間が形成されてしまう。これに伴い第1室(27)と第2室(28)との間の絶縁性が損なわれると、気泡(B)の両側の気液界面の電位差を十分に確保できず、所望とする放電を安定して行うことができなくなる。そこで、本実施形態の仕切部(40)の組立工程では、固定仕切板(50)の取付凹部(51)と着脱仕切板(60)の間にシール部(90)が介設される。
【0101】
仕切部(40)の組立工程について、図5図7図11図13を参照しながら説明する。仕切部(40)の組立工程では、まず、パッキン部材(93)が、取付凹部(51)の内縁部(52)に取り付けられる第1工程が行われる。第1工程では、図12に示す下側パッキン部(94)の下側溝部(97)に、取付凹部(51)の下側内壁部(53)が嵌め込まれる。具体的に、下側基部(53a)が下側外溝(97a)に嵌合し、下側凸部(53b)が下側内溝(97b)に嵌合する。これにより、下側パッキン部(94)は、着脱仕切板(60)と下側内壁部(53)の間に保持される(図5を参照)。
【0102】
同時に第1工程では、図13に示す左側パッキン部(95)の第1溝部(98)に第1内壁部(54)が嵌め込まれる。具体的に、第1基部(54a)が第1外溝(98a)に嵌合し、第1凸部(54b)が第1内溝(98b)に嵌合する。これにより、左側パッキン部(95)は、着脱仕切板(60)と第1内壁部(54)の間に保持される(図6を参照)。第1工程では、同様にして、右側パッキン部(96)の第2溝部(99)に第1内壁部(54)が嵌め込まれる。
【0103】
次いで、取付凹部(51)に嵌合したパッキン部材(93)に着脱仕切板(60)が取り付けられる第2工程が行われる。第2工程では、各パッキン部(94,95,96)に着脱仕切板(60)の凹部(85,86,87)が嵌め込まれる。
【0104】
具体的に、第2工程では、図12に示す下側パッキン部(94)に下側凹部(85)が外嵌される。下側凹部(85)は、下側パッキン部(94)の各パッキン側面(104,105)が各側方内壁(85b,85b)に沿うように下方へ移動される。ここで、下側パッキン部(94)の各パッキン側面(104,105)には、それぞれ2つの隙間形成溝(106,107)が形成される。このため、下側パッキン部(94)の各パッキン側面(104,105)と、各側方内壁(85b,85b)との間の摺動抵抗が極めて小さくなり、下側パッキン部(94)を下側凹部(85)に容易に嵌合させることができる。下側パッキン部(94)が下側凹部(85)に嵌合した状態では、第1嵌合溝(101)に第1Oリング(91)の膨出部(91a)が嵌合し、第2嵌合溝(102)に第2Oリング(92)の膨出部(92a)が嵌合する。
【0105】
同時に第2工程では、図13に示す左側パッキン部(95)に第1凹部(86)が外嵌される。第1凹部(86)は、左側パッキン部(95)の各パッキン側面(104,105)が各側方内壁(86b,86b)に沿うように左方へ移動される。ここで、左側パッキン部(95)の各パッキン側面(104,105)には、それぞれ2つの隙間形成溝(106,107)が形成される。このため、左側パッキン部(95)の各パッキン側面(104,105)と、各側方内壁(86b,86b)との間の摺動抵抗が極めて小さくなり、左側パッキン部(95)を第1凹部(86)に容易に嵌合させることができる。左側パッキン部(95)が第1凹部(86)に嵌合した状態では、第1嵌合溝(101)に第1Oリング(91)の膨出部(91a)が嵌合し、第2嵌合溝(102)に第2Oリング(92)の膨出部(92a)が嵌合する。第2工程では、同様にして、右側パッキン部(96)が第2凹部(87)に外嵌される(図示省略)。
【0106】
取付凹部(51)は、下方に向かうにつれて左右の幅が狭くなる楔形状をしており、着脱仕切板(60)は取付凹部(51)に対応した楔形状をしている。このため、着脱仕切板(60)を取付凹部(51)の下端まで容易に挿入することができる。このような取付状態では、着脱仕切板(60)と取付凹部(51)との間に各Oリング(91,92)及びパッキン部材(93)が密に挟まれるため、シール部(90)のシール性(詳細は後述する水シール性や絶縁シール性)が向上するとともに、固定仕切板(50)に着脱仕切板(60)が強固に固定される。
【0107】
〈シール部の作用〉
次いで、組立状態の仕切部(40)におけるシール部(90)の作用について、図5図7を参照しながら説明する。
【0108】
組立状態の仕切部(40)では、第1Oリング(91)の膨出部(91a)が第1嵌合溝(101)に嵌合し、第2Oリング(92)の膨出部(92a)が第2嵌合溝(102)に嵌合する。ここで、パッキン部材(93)は、各Oリング(91,92)よりも弾性率が小さいため、各嵌合溝(101,102)は、膨出部(91a,92a)に沿うように変形する。これにより、各膨出部(91a,92a)の表面と各嵌合溝(101,102)の内周面とが密に面接触する。更に、第1嵌合溝(101)と第2嵌合溝(102)の間では、平坦状の凹部側平坦部(69)と平坦状のパッキン側平坦部(103)とが密に面接触する。このように、各凹部(85,86,87)の各底面(85a,86a,87a)では、第1嵌合溝(101)、パッキン側平坦部(103)、及び第2嵌合溝(102)に亘って密に面接触する領域が形成される。これにより、仮に第1Oリング(91)や第2Oリング(92)の両外側(図5の左右外側)まで水が浸入したとしても、この水がこれらの領域まで侵入することを防止でき、十分な水シールを確保できる。
【0109】
また、仮に第1Oリング(91)や第2Oリング(92)の両外側(図5の左右両側)まで水が浸入したとしても、両者の水の間には、比較的長い距離の面接触の領域が形成される。つまり、例えば図5に示すように、シール部(90)では、第1嵌合溝(101)、パッキン側平坦部(103)、及び第2嵌合溝(102)の表面の沿面距離を確保できる。従って、両者の水の間の絶縁シールも十分に確保でき、両者の水の間での漏れ電流を抑制できる。この結果、第1室(27)の水と第2室(28)の水との間の絶縁を十分に確保でき、所定の出力電圧で所望とする放電を安定して行うことができる。
【0110】
また、取付凹部(51)の内縁部(52)と各凹部(85,86,87)の間に各パッキン部(94,95,96)を挟持すると、例えば図5の段差面(S1,S2)に沿った仮想平面P1と、図5の下側凹部(85)の底面(85a)に沿った仮想平面P2との間で下側パッキン部(94)が上下に圧縮される。すると、例えば段差面S1の上方のパッキン部分は、左方向に膨出する。これにより、第1隙間形成溝(106)と第2隙間形成溝(107)との間の凸条(108)も左方向に変位し、左側の側方内壁(85b)と接触する。これにより、凸条(108)と側方内壁(85b)との間が密に面接触し、この部位の水のシール性能が向上する。このことは、逆側(右側)の凸条(108)についても同様である。
【0111】
また、下側パッキン部(94)のうち下側内壁部(53)の両側の部位は、2つのOリング(91,92)によって下方に押し付けられる。これにより、下側パッキン部(94)の下端(110)は、水槽(20)の底壁(22)の底面(22a)と密に接触する。この結果、下側パッキン部(94)と底面(22a)との間のシール性も向上できる。
【0112】
図6及び図7においても、基本的には、図5と同様の作用効果を奏する。加えて、図6図7では、端側平坦部(109)により凹部(86,87)内の水の浸入を抑制している。つまり、例えば図6に示すように、左側パッキン部(95)は、2つのOリング(91,92)によって左方向に押され、第1凹部(86)の開放面より外側(図6の左側)に位置することがある。しかし、左側パッキン部(95)の第1パッキン側面(104)や第2パッキン側面(105)には、第1凹部(86)の開放面に隣接する部分にそれぞれ端側平坦部(109)を形成している。これにより、左側パッキン部(95)が多少左側にずれたとしても、第1凹部(86)の開放側の端壁の内側角部が隙間形成溝(107)に落ち込んでしまうことがない。従って、左側パッキン部(95)が外側に変位することに起因して第1凹部(86)の開放部から水が浸入してしまうことも防止できる。このことは、図7の右側パッキン部(96)の端側平坦部(109)においても同様である。
【0113】
〈弾性部材の作用〉
上述した弾性部材(80)の作用について、図3図8、及び図10を参照しながら説明する。
【0114】
上述した放電ユニット(10)の運転時には、放電に伴って水中で微小な振動が連続的に発生する。この振動は、薄板部(45)にも作用する。薄板部(45)は、微細な孔(例えば孔径50μm)を容易に加工するために、非常に薄肉(例えば0.5mm)に形成されている。このため、放電に伴う振動が薄板部(45)に作用することで、薄板部(45)の保持部分等が割れてしまう可能性がある。そこで、本実施形態では、薄板部(45)を弾性部材(80)を介して仕切板本体(60a)に保持するようにしている。
【0115】
具体的に、薄板部(45)の外周部(45a)は、弾性部材(80)の環状の保持溝(83)に保持されている。弾性部材(80)は、薄板部(45)や仕切板本体(60a)と比較して弾性率の低い柔軟な材料(シリコン)で形成されている。このため、薄板部(45)が振動しても、薄板部(45)の保持部分の応力はさほど増大せず、薄板部(45)の割れを防止できる。
【0116】
薄板部(45)は、その全周が弾性部材(80)で覆われており、且つ薄板部(45)の外周端部から弾性部材(80)の外周端部までの距離も一定である。このため、薄板部(45)では、局所的な応力の集中を抑制でき、薄板部(45)の割れを確実に防止できる。
【0117】
薄板部(45)は、2つの分割板(61,71)の嵌合部(65,75)の内部に保持させ、分割板(61,71)の内部に保持される。これにより、分割板(61,71)に形成された貫通孔(41)と薄板部(45)の孔(46)の位置合わせも容易に行うことができる。特に、弾性部材(80)は、その環状のテーパ面(81,82)が分割板(61,71)の台形円錐部(66,76)に嵌合する構造となっているため、弾性部材(80)の位置が厚さ方向に若干ずれたとしても、弾性部材(80)と台形円錐部(66,76)の軸心を一致させることができ、ひいては貫通孔(41)と孔(46)とをほぼ同軸上に位置させることができる。
【0118】
−実施形態の効果−
上記実施形態によれば、固定仕切板(50)に対して着脱仕切板(60)を取り外すことができるので、孔(46)や、その周辺部分のメンテナンスを容易に行うことができる。また、着脱仕切板(60)の交換が容易となり、例えば放電対象の液体に応じた最適なサイズの孔を有する着脱仕切板(60)に取り替えることもできる。
【0119】
シール部(90)では、Oリング(91,92)とパッキン部材(93)とが面接触するため、面接触部を挟んで両側に水が侵入したとしても、これらの水の沿面距離を長くすることができる。従って、単に水のシール性を向上できるだけでなく、絶縁シールの性能も向上できる。この結果、第1室(27)と第2室(28)との間での絶縁性が損なわれることを回避でき、孔(46)内で発生した気泡中で所望とする放電を安定して行うことができる。また、このように両室(27,28)の絶縁性を確保することで、高電圧発生部(31)の出力電圧を低減しつつ、放電を生起することができる。
【0120】
取付凹部(51)及び着脱仕切板(60)を楔形状とすることで、取付凹部(51)に対する着脱仕切板(60)の取り付け・取り外しが容易となり、着脱仕切板(60)のメンテナンスや交換も容易となる。また、取付凹部(51)に着脱仕切板(60)を取り付けた状態では、Oリング(91,92)とパッキン部材(93)とが密に接触するため、水シールや絶縁シールの性能を向上できるとともに、着脱仕切板(60)が簡単に外れてしまうことも防止できる。従って、例えば着脱仕切板(60)と取付凹部(51)とを接着等せずとも両者の部材を固定できる。あるいは、着脱仕切板(60)と取付凹部(51)の接着剤の使用量を減らすことができる。
【0121】
Oリング(91,92)の膨出部(91a,92a)を嵌合溝(101,102)に嵌合させることで、Oリング(91,92)とパッキン部材(93)とを確実に面接触でき、沿面距離を確実に長く確保できる。特に、2つの嵌合溝(101,102)と、この間の第2平坦部(103)とに亘って面シールを形成することで、沿面距離が更に長くなり、絶縁シールの性能を一層向上できる。
【0122】
着脱仕切板(60)の凹部(85,86,87)の内部にOリング(91,92)とパッキン部材(93)とを配置することで、これらの部材(91,92,93)を密に保持でき、水シールの性能を向上できる。
【0123】
取付凹部(51)の基部(53a,54a,55a)及び凸部(53b,54b,55b)に、パッキン部材(93)の外溝(97a,98a,99a)及び内溝(97b,98b,99b)をそれぞれ嵌め込むことで、取付凹部(51)の内部にパッキン部材(93)を確実に保持できる。
【0124】
パッキン部材(93)のパッキン側面(104,105)に隙間形成溝(106,107)を形成したため、毛細管現象に起因する水の浸入を防止できる。また、パッキン側面(104,105)と側方内壁(85b,86b,87b)の摺動抵抗が小さくなり、凹部(85,86,87)の内部にパッキン部材(93)を嵌め込み易くなる。特に、パッキン側面(104,105)に2つの隙間形成溝(106,107)を形成すると、この効果が顕著となる。また、2つの隙間形成溝(106,107)の間に凸条(108)を形成することで、この凸条(108)と側方内壁(85b,86b,87b)とを接触させて水のシール性能を向上できる。
【0125】
各段差面(S1〜S6)と各凹部(85,86,87)の底面(85a,86a,87a)との間でパッキン部材(93)が圧縮されることにより、凸条(108)が側方内壁(85b,86b,87b)に膨出するため、凸条(108)と側方内壁(85b,86b,87b)とを密に接触させることができ、この部位のシール性能を更に向上できる。
【0126】
凹部(86,87)の開放面近傍から、側方内壁(86b,87b)と第2部材(93)との間に水が浸入してしまうことを端側平坦部(109)により防止できる。
【0127】
下側パッキン部(94)の下端(110)を水槽(20)の底面(22a)に密着させることで、この部分の水のシール性能を向上できる。
【0128】
上記実施形態によれば、薄板部(45)が弾性部材(80)を介して仕切板本体(60a)に保持されるため、放電時に生じる振動に伴い薄板部(45)が割れてしまうことを抑制できる。
【0129】
分割板(61,71)の間に薄板部(45)を挟持する構造としたので、薄板部(45)の孔(46)と仕切板本体(60a)の貫通孔(41)の位置合わせを容易に行いつつ、仕切板本体(60a)の内部に弾性部材(80)を介して薄板部(45)を保持できる。また、例えば薄板部(45)と仕切板本体(60a)とをインサート成型により一体に加工する場合、仕切板本体(60a)の熱収縮に起因して薄板部(45)の保持部分で応力が生じてしまうことがある。従って、仕切部(40)の加工時において薄板部(45)が割れてしまうおそれがある。これに対し、本実施形態では、2つの分割板(61,71)の間に弾性部材(80)及び薄板部(45)を挟み込んで接合する構造としているため、熱収縮に起因して薄板部(45)が割れてしまうこともない。
【0130】
薄板部(45)の外周部(45a)を弾性部材(80)が覆う構造としているため、薄板部(45)の外周部(45a)に局所的に応力が発生すること防止でき、薄板部(45)の割れを防止できる。特に、薄板部(45)の外周端から弾性部材(80)の外周端までの距離が等しいため、薄板部(45)で発生する応力を均一化でき、薄板部(45)の割れを一層確実に防止できる。
【0131】
分割板(61,71)の台形円錐部(66,76)に弾性部材(80)のテーパ面(81,82)を一致させることで、分割板(61,71)の貫通孔(41)と薄板部(45)の孔(46)とを確実に連通させることができ、所望とする気泡内での放電を安定して行うことができる。
【0132】
分割板(61,71)の台形円錐部(66,76)の先端面(66b,76b)と薄板部(45)との間に隙間(G1,G2)を形成することで、仕切板本体(60a)と薄板部(45)とは完全に非接触状態となる。これにより、分割板(61,71)の振動が薄板部(45)に伝搬することを防止でき、薄板部(45)の割れを確実に回避できる。
【0133】
貫通孔(41)に拡径部(64,74)を形成することで、孔(46)で発生した気泡を速やかに排出でき、孔(46)の近傍のみに気泡を溜めることができる。この結果、孔(46)を挟んだ2つの気液界面の間で安定して放電を連続的に行うことができる。また、拡径部(64,74)は、薄板部(45)ではなく、厚さの制約が小さい分割板W(61,71)に形成されるため、拡径部(64,74)の加工も比較的容易である。
【0134】
〈実施形態の変形例1〉
図14に示す変形例1では、パッキン部材(93)の端側平坦部(109)にパッキン部(この例では、左側パッキン部(95))の延伸方向に延びる凹溝(111)が形成される。この例では、凹溝(111)は、端側平坦部(109)の表面に形成される円弧状の溝で形成されるが、凹溝(111)の形状は、これに限らず矩形状、三角形状等であってもよい。
【0135】
変形例1では、左側パッキン部(95)が第1凹部(86)の開放面よりも外側(左側)にずれた際、端側平坦部(109)の外側部(109a)が第1凹部(86)から外側に突出する。この状態では、第1凹部(86)のエッジが凹溝(111)に引っかかり、その内側において端側平坦部(109)の内側部(109b)が側方内壁(86b)と面接触する。これにより、変形例1では、端側平坦部(109)の内側部(109b)と側方内壁(86b)との間で十分な水シールを確保できる。それ以外の作用効果は上記実施形態と同様である。
【0136】
〈実施形態の変形例2〉
図15に示す変形例2は、Oリング(91,92)の断面形状が異なる。具体的に、変形例2では、Oリング(91,92)の内縁側の縦断面が矩形状の矩形部(91b,92b)が形成され、Oリング(91,92)の外縁側には、上記実施形態と同様、円弧状の膨出部(91a,92a)が形成される。矩形部(91b,92b)は、凹部(85)の底面(85a)に形成される矩形溝(68,78)に嵌合している。それ以外の作用効果は上記実施形態と同様である。
【産業上の利用可能性】
【0137】
以上説明したように、本発明は、放電ユニットについて有用である。
【符号の説明】
【0138】
10 放電ユニット
20 水槽
27 第1室
28 第2室
31 高電圧発生部
32 第1電極
33 第2電極
40 仕切部
50 固定仕切板
51 取付凹部
53 下側内壁部(下縁部)
53a 下側基部(基部)
53b 下側凸部(凸部)
54 第1内壁部(側縁部)
54a 第1基部(基部)
54b 第1凸部(凸部)
55 第2内壁部(側縁部)
55a 第2基部(基部)
55b 第2凸部(凸部)
69 凹部側平坦部(第1平坦部)
85 下側凹部(凹部)
85a 底面
85b 側方内壁
86 左側凹部(凹部)
86a 底面
86b 側方内壁
87 右側凹部(凹部)
87a 底面
90 シール部
91 第1Oリング(第1部材)
91a 膨出部
92 第2Oリング(第1部材)
92a 膨出部
93 パッキン部材(第2部材)
94 下側パッキン(下側部材)
95 左側パッキン(側方部材)
96 右側パッキン(側方部材)
97 下側溝部(溝部)
97a 下側外溝(外溝)
97b 下側内溝(内溝)
98 第1溝部(溝部)
98a 第1外溝(外溝)
98b 第1内溝(内溝)
99 第2溝部(溝部)
99a 第2外溝(外溝)
99b 第2内溝(内溝)
101 第1嵌合溝
102 第2嵌合溝
103 パッキン側平坦部(第2平坦部)
104 パッキン側面(対向する面)
105 パッキン側面(対向する面)
106 隙間形成溝
107 隙間形成溝
108 凸条
109 側端平坦部(第3平坦部)
110 下端
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15