(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記駆動部は、前記レンズ部の周囲に配置されるオートフォーカス用コイル部と、前記オートフォーカス用コイル部に対して径方向に離間して配置されるオートフォーカス用マグネット部とを有し、前記オートフォーカス用コイル部とオートフォーカス用マグネット部とで構成されるボイスコイルモーターの駆動力を利用して、前記オートフォーカス用コイル部及び前記オートフォーカス用マグネット部の何れか一方を含む前記固定部に対して前記オートフォーカス用コイル部及び前記オートフォーカス用マグネット部の何れか他方を含む前記可動部を光軸方向に移動させることにより自動的にピント合わせを行うオートフォーカス用駆動部を含むことを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載のレンズ駆動装置。
前記駆動部は、前記可動部に配置される振れ補正用マグネット部と、前記固定部に配置される振れ補正用コイル部とを有し、前記振れ補正用コイル部と前記振れ補正用マグネット部で構成されるボイスコイルモーターの駆動力を利用して、前記固定部に対して前記可動部を光軸方向に直交する平面内で揺動させることにより振れ補正を行う振れ補正用駆動部を含むことを特徴とする請求項1から4のいずれか一項に記載のレンズ駆動装置。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。
図1は、本発明の一実施の形態に係るカメラモジュールAを搭載するスマートフォンMを示す図である。
図1AはスマートフォンMの正面図であり、
図1BはスマートフォンMの背面図である。
【0017】
スマートフォンMは、例えば背面カメラOCとして、カメラモジュールAを搭載する。カメラモジュールAは、オートフォーカス機能及び振れ補正機能を備え、被写体を撮影するときのピント合わせを自動的に行うとともに、撮影時に生じる振れ(振動)を補正して像ぶれのない画像を撮影することができる。
【0018】
図2は、カメラモジュールAの外観斜視図である。
図3は、カメラモジュールAの分解斜視図である。
図2、
図3に示すように、本実施の形態では、直交座標系(X,Y,Z)を使用して説明する。後述する
図4〜
図8においても共通の直交座標系(X,Y,Z)で示している。カメラモジュールAは、スマートフォンMで実際に撮影が行われる場合に、X方向が上下方向(又は左右方向)、Y方向が左右方向(又は上下方向)、Z方向が前後方向となるように搭載される。すなわち、Z方向が光軸方向であり、図中上側が光軸方向受光側(「マクロ位置側)ともいう)、下側が光軸方向結像側(「無限遠位置側」ともいう)となる。
【0019】
カメラモジュールAは、円筒形状のレンズバレルにレンズが収容されてなるレンズ部(図示略)、AF用及びOIS用のレンズ駆動装置1、レンズ部により結像された被写体像を撮像する撮像部(図示略)、及び全体を覆うシールドカバー2等を備える。
【0020】
シールドカバー2は、光軸方向から見た平面視で正方形状の有蓋四角筒体であり、上面に円形の開口2aを有する。この開口2aからレンズ部(図示略)が外部に臨む。シールドカバー2は、レンズ駆動装置1のOIS固定部20のベース部材23(
図6参照)に固定される。シールドカバー2は、導電性を有し、OIS固定部20の接地端子部221、222に電気的に接続され、接地される。
【0021】
撮像部(図示略)は、撮像素子(図示略)を有し、レンズ駆動装置1の光軸方向結像側に配置される。撮像素子(図示略)は、例えばCCD(chargecoupled device)型イメージセンサー、CMOS(complementary metal oxide semiconductor)型イメージセンサー等により構成される。撮像素子(図示略)は、レンズ部(図示略)により結像された被写体像を撮像する。
【0022】
図4は、レンズ駆動装置1の分解斜視図である。
図4に示すように、レンズ駆動装置1は、OIS可動部10、OIS固定部20、及び支持部材30等を備える。
【0023】
OIS可動部10は、OIS用ボイスコイルモーターを構成するOIS用マグネット部を有し、振れ補正時にXY平面内で揺動する部分である。OIS固定部20は、OIS用コイル部を有する部分である。OIS可動部10は、AF用駆動部を含む。
【0024】
OIS可動部10は、OIS固定部20に対して光軸方向受光側に離間して配置され、支持部材30によってOIS固定部20と連結される。具体的には、支持部材30は、Z方向に沿って延在する4本のサスペンションワイヤーで構成される(以下「サスペンションワイヤー30」と称する)。サスペンションワイヤー30の一端(上端)はOIS可動部10(上側弾性支持部13、
図5参照)に固定され、他端(下端)はOIS固定部20(コイル基板21、
図6参照)に固定される。OIS可動部10は、サスペンションワイヤー30によって、XY平面内で揺動可能に支持される。4本のサスペンションワイヤー30のうちの2本は、AF用コイル部112(
図5参照)に給電するために使用される。なお、サスペンションワイヤー30の本数は、これに限定されず、4本より多くてもよい。
【0025】
図5は、OIS可動部10の分解斜視図である。
図5に示すように、OIS可動部10は、AF可動部11、AF固定部12、上側弾性支持部13、及び下側弾性支持部14等を備える。AF可動部11は、AF用ボイスコイルモーターを構成するAF用コイル部を有し、ピント合わせ時に光軸方向に移動する部分である。AF固定部12は、AF用マグネット部を有する部分である。すなわち、レンズ駆動装置1のAF用駆動部には、ムービングコイル方式が採用されている。AF可動部11は、AF固定部12に対して径方向内側に離間して配置され、上側弾性支持部13及び下側弾性支持部14によってAF固定部12と連結される。
【0026】
AF可動部11は、レンズホルダー111及びAF用コイル部112を有する。
【0027】
レンズホルダー111は、四角筒形状の部材であり、円筒状のレンズ収容部111aにレンズ部(図示略)が接着又は螺合により固定される。レンズホルダー111は、レンズ収容部111aの周面に、上側フランジ部111b及び下側フランジ部111cを有する。上側フランジ部111bと下側フランジ部111cとで挟まれる部分(以下「コイル巻線部」と称する)に、AF用コイル部112が巻線される。
【0028】
レンズホルダー111は、レンズ収容部111aの上部外周であって、四隅に対応する位置に、上側弾性支持部13を固定する上バネ固定部111dを有する。レンズホルダー111は、4つの上バネ固定部111dのうちの対角に位置する2つの上バネ固定部111dから径方向外側に突出する絡げ部111eを有する。
【0029】
上側フランジ部111bの上面111fは、AF可動部11の光軸方向受光側への移動を規制するための被係止部となる(以下「第1の被係止部111f」と称する)。下側フランジ部111cの下面111gには、下側弾性支持部14が固定される(以下「下バネ固定部111g」と称する)。
【0030】
レンズホルダー111は、レンズ収容部111aの上部外周であって、X方向に対向する位置及びY方向に対向する位置に、上側フランジ部111b及び下側フランジ部111cよりも径方向外側に突出する突出部111hを有する。突出部111hは、AF可動部11の光軸方向結像側への移動を規制するための被係止部となる(以下「第2の被係止部111h」と称する)。
【0031】
AF用コイル部112は、ピント合わせ時に通電される空芯コイルであり、レンズホルダー111のコイル巻線部の外周面に巻線される。AF用コイル部112の両端は、レンズホルダー111の絡げ部111e、111eに絡げられる。
【0032】
AF固定部12は、マグネットホルダー121及びマグネット部122を有する。
図5では、マグネットホルダー121にマグネット部122を取り付けた状態で示しているが、実際には、マグネットホルダー121にAF可動部11が挿入された後、マグネット部122が取り付けられる。
【0033】
マグネットホルダー121は、平面視正方形の四角筒形状を有する。マグネットホルダー121の側壁同士の4つの連結部(Z方向に沿う4つの辺)は、径方向内側に円弧状に凹んで形成される。この部分にサスペンションワイヤー30が配置される(以下「ワイヤー挿通部121a」と称する)。ワイヤー挿通部30を設けることにより、OIS可動部10が揺動する際に、サスペンションワイヤー30とマグネットホルダー121が干渉するのを回避している。
【0034】
図7に拡大して示すように、ワイヤー挿通部121aは、上部の内径よりも下部の内径の方が大きい。ここでは、ワイヤー挿通部121aは、光軸方向結像側から受光側に向かって、連続的に内径が小さくなる円錐台形状を有する。
【0035】
サスペンションワイヤー30の下部は、コイル基板21に固定されており、マグネットホルダー121の揺動に追従しないため、マグネットホルダー121との離間距離が変化する。そのため、ワイヤー挿通部121aにおけるサスペンションワイヤー30の下部に対応する部分は、OIS可動部10が揺動するときにマグネットホルダー121とサスペンションワイヤー30が干渉しないように、大きく切り欠かれる。
【0036】
これに対して、サスペンションワイヤー30の上部は、マグネットホルダー121の揺動に追従して移動するため、マグネットホルダー121との離間距離は保持される。したがって、ワイヤー挿通部121aにおけるサスペンションワイヤー30の上部に対応する部分は、小さくても問題ない。ワイヤー挿通部121aの上部の内径を下部の内径よりも小さくすることにより、マグネットホルダー121の機械的強度を高めることができる。したがって、マグネットホルダー121の外形を小さくすることが可能となり、ひいてはレンズ駆動装置1の小型化を図ることができる。
【0037】
マグネットホルダー121は、上部に、径方向内側にリング状に張り出すストッパー部121bを有する。ストッパー部121bにおいて、レンズホルダー111の上バネ固定部111d及び第2の被係止部111hに対応する部分は切り欠かれており、マグネットホルダー121の上面よりも光軸方向受光側に、AF可動部11が移動できるようになっている。AF可動部11が光軸方向受光側に移動するときに、レンズホルダー111の第1の被係止部111fにストッパー部121bが当接することにより、AF可動部11の光軸方向受光側への移動が規制される。また、ストッパー部121bの上面には、上側弾性支持部13のアーム部131c、132cが載置される。ストッパー部121bの下面には、マグネット部122の上面が当接する。
【0038】
マグネットホルダー121の下面121eには、下側弾性支持部14が固定される(以下「下バネ固定部121e」と称する)。マグネットホルダー121は、上部の四隅に、上側弾性支持部13を固定する上バネ固定部121cを有する。上バネ固定部121cに配置される台形柱状の上側ボスの周囲は、マグネットホルダー121の上面(上側弾性支持部13が取り付けられる面)よりも僅かに凹んで形成され、上側弾性支持部13を取り付けたときに、隙間が形成されるようになっている(ダンパー材配置部121d)。ダンパー材配置部121dの角部(ワイヤー挿通部121aの上部に連設される部分)は、下部よりも外側に延出し、円弧状に切り欠かれている。ダンパー材配置部121dの円弧状に切り欠かれている部分は、ワイヤー挿通部121aの一部を構成する。
【0039】
マグネット部122は、4つの直方体状の永久磁石を有する。マグネット部122は、マグネットホルダー121の4つの側壁の内面に沿って配置される。マグネット部122は、AF用コイル部112に径方向に横切る磁界が形成されるように着磁される。例えば、マグネット部122は、内周側がN極、外周側がS極に着磁される。
【0040】
マグネット部122及びAF用コイル部112によって、AF用ボイスコイルモーターが構成される。本実施の形態では、マグネット部122が、AF用マグネット部とOIS用マグネット部を兼用する。
【0041】
上側弾性支持部13は、例えばベリリウム銅、ニッケル銅、ステンレス等からなる板バネであり、全体として平面視で正方形状を有する。上側弾性支持部13は、AF固定部12(マグネットホルダー121)とAF可動部11(レンズホルダー111)とを弾性的に接続する。
【0042】
上側弾性支持部13は、光軸を中心として点対称に配置される2つの上側板バネ13A、13B(上側弾性支持部材)で構成される。上側板バネ13A、13Bは、それぞれ2つのバネ部131、132を有する。上側バネ部13A、13Bは同様の構成を有するので、上側板バネ13Bについての説明は省略する。
【0043】
上側板バネ13Aにおいて、バネ部131は、レンズホルダー111に固定されるレンズホルダー固定部131a、レンズホルダー固定部131aから90°回転した位置に配置されマグネットホルダー121に固定されるマグネットホルダー固定部131b、及びレンズホルダー固定部131aとマグネットホルダー固定部131bを連結するアーム部131cを有する。また、レンズホルダー固定部131aは、AFコイル部112の端部に半田付けされる平面視U字状のコイル接続部131dを有する。
【0044】
同様に、バネ部132は、レンズホルダー111に固定されるレンズホルダー固定部132a、レンズホルダー固定部132aから90°回転した位置に配置されマグネットホルダー121に固定されるマグネットホルダー固定部132b、及びレンズホルダー固定部132aとマグネットホルダー固定部131bを連結するアーム部132cを有する。
【0045】
レンズホルダー固定部131a、132aは、アーム部131cの内側で、内側連結部133によって連結される。また、マグネットホルダー固定部131b、132bは、アーム部132cの外側で、外側連結部134によって連結される。
【0046】
レンズホルダー固定部131a、132aは、レンズホルダー111の上バネ固定部111dに対応する形状を有する。レンズホルダー固定部131a、132aの固定穴が、レンズホルダー111の位置決めボスに挿嵌されることにより、レンズホルダー111に対して上側板バネ13A、13Bが位置決めされ、固定される。コイル接続部131dは、レンズホルダー111の絡げ部111eに絡げられたAF用コイル部112と、半田付けにより電気的に接続される。
【0047】
マグネットホルダー固定部131b、132bは、マグネットホルダー121の上バネ固定部121cに対応する形状を有する。マグネットホルダー固定部131b、132bの固定穴が、上バネ固定部121cの位置決めボスに挿嵌されることにより、マグネットホルダー121に対して上側板バネ13A、13Bが位置決めされ、固定される。また、マグネットホルダー固定部131b、132bの頂角部131e、132eは、サスペンションワイヤー30が接続されるワイヤー接続部となる(以下「ワイヤー接続部131e、132e」と称する)。
【0048】
ワイヤー接続部131e、132eは、マグネットホルダー121のワイヤー挿通部121aの光軸方向受光側に位置する。上側板バネ13A、13Bをマグネットホルダー121に取り付けた状態において、ワイヤー接続部131e,132eとダンパー材配置部121dの間には隙間が形成される。この隙間にはダンパー材が配置される。また、ワイヤー接続部131e,132eは、弾性変形しやすい形状を有する。ワイヤー接続部131e,132eとサスペンションワイヤー30との撓みにより、落下時の衝撃が吸収される。したがって、落下衝撃によって、サスペンションワイヤー30が塑性変形したり破断したりするのを効果的に防止できる。
【0049】
アーム部131c、132cは、それぞれレンズホルダー固定部131aとマグネットホルダー固定部131b、レンズホルダー固定部132aとマグネットホルダー固定部132bを連結する。アーム部131c、132cは、円弧状に形成され、AF可動部11が移動するときに弾性変形する。
【0050】
下側弾性支持部14は、上側弾性支持部13と同様に、例えばベリリウム銅、ニッケル銅、ステンレス等からなる板バネである(以下「下側板バネ14」と称する)。下側弾性支持部14は、AF固定部12(マグネットホルダー121)とAF可動部11(レンズホルダー111)とを弾性的に接続する。
【0051】
下側板バネ14(下側弾性支持部材)は、4つのバネ部141〜144を有する。バネ部141は、レンズホルダー111に固定されるレンズホルダー固定部141a、レンズホルダー固定部141aから90°回転した位置に配置されマグネットホルダー121に固定されるマグネットホルダー固定部141b、及びレンズホルダー固定部141aとマグネットホルダー固定部141bを連結するアーム部141cを有する。バネ部142〜144も同様の構成を有する。
【0052】
レンズホルダー固定部141a〜144aは、隣り合うレンズホルダー固定部同士が連結部145で連結されており、全体として、レンズホルダー111の下バネ固定部111gに対応する形状を有する。レンズホルダー固定部141a〜144aの固定穴が、レンズホルダー111の位置決めボスに挿嵌されることにより、レンズホルダー111に対して下側板バネ14が位置決めされ、固定される。
【0053】
マグネットホルダー固定部141b〜144bは、マグネットホルダー121の下バネ固定部121eに対応する形状を有する。マグネットホルダー固定部131b、132bの固定穴が、上バネ固定部121cの位置決めボスに挿嵌されることにより、マグネットホルダー121に対して上側板バネ13A、13Bが位置決めされ、固定される。
【0054】
OIS可動部10(AF用駆動部)を組み立てる場合、まず、上側板バネ13A、13Bのマグネットホルダー固定部131b、132bがマグネットホルダー121の上バネ固定部121cに取り付けられる。また、下側板バネ14のレンズホルダー固定部141a〜144aがレンズホルダー111の下バネ固定部111gに取り付けられる。
【0055】
次に、レンズホルダー111が光軸方向結像側からマグネットホルダー121に挿嵌される。このとき、レンズホルダー111の上バネ固定部111d及び第2の被係止部111hがマグネットホルダー121のストッパー部121bの切欠に嵌め込まれる。そして、上側板バネ13A、13Bのレンズホルダー固定部131a、132aがレンズホルダー111の上バネ固定部111dに取り付けられる。コイル接続部131dは、レンズホルダー111の絡げ部111eに絡げられたAF用コイル部112の両端に半田付けされ、電気的に接続される。また、下側板バネ14のマグネットホルダー固定部141b〜144bがマグネットホルダー121の下バネ固定部121eに取り付けられる。
【0056】
次に、光軸方向結像側からマグネット部122が挿入され、マグネットホルダー121に接着される。このようにしてOIS可動部10(AF用駆動部)が組み立てられる。
【0057】
図6は、OIS固定部20の分解斜視図である。
図6に示すように、OIS固定部20は、コイル基板21、センサー基板22、ベース部材23、及び位置検出部24等を備える。
【0058】
コイル基板21は、平面視で正方形状の基板であり、中央に円形の開口21aを有する。コイル基板21は、四隅に、サスペンションワイヤー30の他端(下端)が挿入されるワイヤー固定穴21bを有する。また、コイル基板21は、開口21aの周縁部において、対角方向と交差する位置に、位置決め穴21cを有する。
【0059】
コイル基板21は、光軸方向においてマグネット部122と対向する位置にOIS用コイル部211を有する。OIS用コイル部211は、マグネット部122に対応する4つのOISコイル211A〜211Dを有する。OISコイル211A〜211Dのそれぞれの長辺部分を、マグネット部122の底面から放射される磁界がZ方向に横切るように、OIS用コイル部211及びマグネット部122の大きさや配置が設定される。マグネット部122とOIS用コイル部211とで、OIS用ボイスコイルモーターが構成される。
【0060】
センサー基板22は、コイル基板21と同様に平面視で正方形状の基板であり、中央に円形の開口22aを有する。センサー基板22は、開口22aの周縁部において、コイル基板21の位置決め穴21cと対応する位置に位置決め穴22bを有する。センサー基板22は、Y方向に沿う二辺に、下方に屈曲して形成される制御端子部223、224を有する。センサー基板22は、X方向に沿う二辺(Y方向に対向する二辺)に、それぞれ接地端子部221、222を有する。接地端子部221、222は、シールドカバー2と電気的に接続される。
【0061】
接地端子部221は、外側に突出し、下方に屈曲して形成される、長さの異なる2つの接地端子221A、221Bで構成される(以下「第1の接地端子221A」「第2の接地端子221B」と称する)。同様に、接地端子部222は、外側に突出し、下方に屈曲して形成される、長さの異なる2つの接地端子222A、222Bで構成される(以下「第3の接地端子222A」「第4の接地端子222B」と称する)。すなわち、同じ辺に配置される接地端子同士は、互いに異なる長さを有する。
【0062】
ここでは、第1の接地端子221Aと第3の接地端子222Aが長く、第2の接地端子221Bと第4の接地端子222Bが短いものとする。すなわち、Y方向に対向して配置される接地端子同士が同等の長さを有する。なお、Y方向に対して配置される接地端子同士が異なる長さを有するようにしてもよい。
【0063】
第1の接地端子221Aの長さは、センサー基板22をベース部材23に取り付けるときの取付公差によって、第1の接地端子221Aの第1の接地端子収容部231Aへの突出長L1(
図8参照)が短くなっても、シールドカバー2との接触面積が十分に確保されるように設定される。また、第1の接地端子221Aの第1の接地端子収容部231Aへの突出長が長くなっても、第1の接地端子収容部231Aに収容される(ベース部材23の側面23dには乗り上げない)ように設定される。第3の接地端子222Aについても同様である。
【0064】
第2の接地端子221Bの長さは、センサー基板22をベース部材23に取り付けるときの取付公差によって、第2の接地端子221Bの第2の接地端子収容部231Bへの突出長L2(
図8参照)が長くなっても、ベース部材23の縁部(すなわち側面23d)との離間距離が十分に確保されるように設定される。また、第2の接地端子221Bの第2の接地端子収容部231Bへの突出長が短くなっても、第2の接地端子収容部231Bに露出するように設定される。第4の接地端子222Bについても同様である。
【0065】
センサー基板22は、AF用コイル部112及びOIS用コイル部211に給電するための電源ライン(図示略)、位置検出部24から出力される検出信号用の信号ライン(図示略)を有する。センサー基板22の下面には、XY平面におけるOIS可動部10の位置を検出する位置検出部24が配置される。
【0066】
位置検出部24は、例えばホール効果を利用して磁界を検出するホール素子24A、24B(磁気センサー)で構成される。ホール素子24A、24Bは、センサー基板22の下面の隣接する二辺において、それぞれの略中央に配置される。マグネット部122によって形成される磁界を、ホール素子24A、24Bで検出することにより、XY平面におけるOIS可動部10の位置を特定することができる。なお、マグネット部122とは別に、位置検出用磁石をOIS可動部10に配置するようにしてもよい。
【0067】
ベース部材23は、コイル基板21と同様に平面視で正方形状の部材であり、中央に円形の開口23aを有する。ベース部材23は、開口23aの周縁部において、コイル基板21の位置決め穴21c及びセンサー基板22の位置決め穴22bと対応する位置に位置決めボス23bを有する。また、ベース部材23は、開口23aの周縁部において、ホール素子24A、24Bと対応する位置にホール素子収容部23eを有する。
【0068】
ベース部材23は、周縁部のY方向に沿う二辺において、センサー基板22の制御端子部223、224と対応する位置に、側面23dよりも一段凹んで形成される制御端子収容部233、234を有する。また、ベース部材23は、周縁部のX方向に沿う二辺において、センサー基板22の接地端子221、222と対応する位置に、側面23dよりも一段凹んで形成される接地端子収容部231、232を有する。
【0069】
接地端子収容部231は、第1の接地端子221Aが配置される第1の接地端子収容部231Aと、第2の接地端子221Bが配置される第2の接地端子収容部231Bを有する。同様に、接地端子収容部232は、第3の接地端子222Aが配置される第3の接地端子収容部232Aと、第4の接地端子222Bが配置される第4の接地端子収容部232Bを有する。
【0070】
第1の接地端子221A〜第4の接地端子222Bは、それぞれ第1の接地端子収容部231A〜第4の接地端子収容部232Bに、突出部23cに沿って配置される。第1の接地端子221A〜第4の接地端子222Bは、第1の接地端子収容部231A〜第4の接地端子収容部232Bの基準面から浮いた状態となる。これにより、第1の接地端子221A〜第4の接地端子222Bは、ベース部材23の側面23dと面一となる。
【0071】
ベース部材23は、接地端子収容部231、232を有する二辺において、接地端子収容部231、232を除く部分に、シールドカバー2が載置されるカバー載置部23fを有する。カバー載置部23fは、カバー載置面の一部が凹んで形成され、シールドカバー2を載置したときに接着剤注入口23gが形成されるようになっている(
図2参照)。
【0072】
OIS固定部20を組み立てる場合、まず、コイル基板21とセンサー基板22を半田付けにより接着する。これにより、OIS用コイル部211とセンサー基板22の電源ライン(図示略)が電気的に接続される。このときの取付公差によって、ベース部材23の接地端子収容部231、232における接地端子221、222の突出長が変化する。
【0073】
次に、ベース部材23の位置決めボス23bにコイル基板21の位置決め穴21c及びセンサー基板22の位置決め穴22bを挿嵌し、コイル基板21及びセンサー基板22をベース部材23に載置する。センサー基板22の接地端子部221、222がベース部材23の接地端子収容部231、232に係合され、制御端子部223、224が制御端子収容部233、234に係合されることにより、コイル基板21及びセンサー基板22がベース部材23に固定される。このようにしてOIS固定部20が組み立てられる。
【0074】
ここで、接地端子部221、222は、接地端子収容部231、232の縁部、すなわちベース部材23の側面23dから離間した状態となる。一方の接地端子部221のベース部材23への取付状態を
図8に示す。
図8に示すように、第1の接地端子221Aのベース部材23への突出長L1と第2の接地端子221Bのベース部材23への突出長L2は異なる。
【0075】
取付公差によって、センサー基板22の取付位置が全体的にY方向基端側(ベース部材23の接地端子収容部232側)にずれると、第1の接地端子221Aの第1の接地端子収容部231Aへの突出長L1(
図8参照)及び第2の接地端子221Bの第2の接地端子収容部231Bへの突出長L2(
図8参照)が短くなる。この場合、第2の接地端子221Bとシールドカバー2との接触面積は小さくなる。そのため、第2の接地端子221Bとシールドカバー2との導通状態は、損なわれやすくなる。一方、第1の接地端子221Aとシールドカバー2との接触面積は、小さくなるものの十分に確保される。したがって、第1の接地端子221Aとシールドカバー2との間では良好な導通状態が確保される。
【0076】
また、取付公差によって、センサー基板22の取付位置が全体的にY方向先端側(ベース部材23の接地端子収容部231側)にずれると、第1の接地端子221Aの第1の接地端子収容部231Aへの突出長L1及び第2の接地端子221Bの第2の接地端子収容部231Bへの突出長L2が長くなる。この場合、第1の接地端子221Aの先端は第1の接地端子収容部231Aの縁部(すなわち側面23d)に近接した状態となり、第1の接地端子221Aとシールドカバー2との間に接着剤が入り込んで部分的に絶縁される虞がある。そのため、第1の接地端子221Aとシールドカバー2との導通状態は、損なわれやすくなる。一方、第2の接地端子221Bの先端は、突出長L2が長くなっても、第2の接地端子収容部231Bの縁部から十分に離間した状態となる。したがって、第2の接地端子231Bとシールドカバー2との間に接着剤が入り込む虞は少なく、第2の接地端子221Bとシールドカバー2との間では良好な導通状態が確保される。
【0077】
このように、取付公差によって接地端子の突出長が変化することにより、一方の接地端子(例えば第1の接地端子221A)とシールドカバー2との導通状態が損なわれやすくなっても、他方の接地端子(例えば第2の接地端子221B)とシールドカバー2との導通状態は確保される。したがって、レンズ駆動装置1は、落下衝撃等に対して耐性を有する信頼性の高いものとなる。
【0078】
第3の接地端子222Aとシールドカバー2との導通状態、及び第4の接地端子222Bとシールドカバー2との導通状態についても同様のことがいえる。このように、周縁部の対向する二辺のそれぞれにおいて、長さの異なる複数の接地端子(第1の接地端子221Aと第2の接地端子221B、第3の接地端子222Aと第4の接地端子222B)を配置することにより、レンズ駆動装置1の信頼性をさらに高めることができる。
【0079】
レンズ駆動装置1を組み立てる場合、サスペンションワイヤー30の一端(上端)は、上側板バネ13A、13Bのワイヤー接続部131eに挿通され、はんだ付けにより固定される。これにより、サスペンションワイヤー30と上側板バネ13A、13Bが電気的に接続される。
【0080】
また、サスペンションワイヤー30の他端(下端)は、コイル基板21のワイヤー固定穴21bに挿通され、はんだ付けにより固定される。これにより、サスペンションワイヤー30とセンサー基板22の電源ラインが電気的に接続される。サスペンションワイヤー30及び上側板バネ13A、13Bを介して、AF用コイル部112への給電が可能となる。
【0081】
また、サスペンションワイヤー30を囲むように、マグネットホルダー121のダンパー材配置部121d(ワイヤー挿通部121aの上部を含む)にダンパー材(図示略)が配置される。ダンパー材が上側板バネ13A、13Bとマグネットホルダー121との間に介在することとなる。上側板バネ13A、13Bとマグネットホルダー121との間にダンパー材(図示略)を介在させることにより、不要共振(高次の共振モード)の発生が抑制されるので、動作の安定性を確保することができる。ダンパー材は、ディスペンサーを使用して、ダンパー材配置部121dに容易に塗布することができる。ダンパー材としては、例えば紫外線硬化性のシリコーンゲルを適用できる。
【0082】
レンズ駆動装置1には、シールドカバー2の下部内周面がセンサー基板22の接地端子221、222に当接するように、シールドカバー2が取り付けられる。具体的には、ベース部材23のカバー載置部23fに、シールドカバー2が載置され、接着剤注入口23gから接着剤が流し込まれる。流し込まれた接着剤は、毛細管現象により、シールドカバー2とベース部材23の側面23dの間に行き渡り、両者を接着する。このとき、接着剤の進入は、接地端子収容部231、232と側面23dとの段部で遮断されるため、接地端子収容部231、232に接着剤は流入しない。注入する接着剤の量を調整することにより、接地端子収容部231、232に接着剤が流入するのを容易に防止することができる。
【0083】
レンズ駆動装置1において、OIS用コイル部211に通電すると、マグネット部122の磁界とOIS用コイル部211に流れる電流との相互作用により、OIS用コイル部211にローレンツ力が生じる(フレミング左手の法則)。ローレンツ力の方向は、磁界の方向(Z方向)とOIS用コイル部211の長辺部分に流れる電流の方向(X方向又はY方向)に直交する方向(Y方向又はX方向)である。OIS用コイル部211は固定されているので、マグネット部122に反力が働く。この反力がOIS用ボイスコイルモーターの駆動力となり、マグネット部122を有するOIS可動部10がXY平面内で揺動し、振れ補正が行われる。
【0084】
また、レンズ駆動装置1において、AF用コイル部112に通電すると、マグネット部122の磁界とAF用コイル部112に流れる電流との相互作用により、AF用コイル部112にローレンツ力が生じる。ローレンツ力の方向は、磁界の方向(X方向又はY方向)とAF用コイル部211に流れる電流の方向(Y方向又はX方向)に直交する方向(Z方向)である。マグネット部122は固定されているので、AF用コイル部112に反力が働く。この反力がAF用ボイスコイルモーターの駆動力となり、AF用コイル部112を有するAF可動部11が光軸方向に移動し、ピント合わせが行われる。
【0085】
ここで、ピント合わせを行わない無通電時には、AF可動部11は、上側板バネ13A、13B及び下側板バネ14によって、無限遠位置とマクロ位置との間に吊られた状態(以下「基準状態」と称する)となる。すなわち、OIS可動部10においては、AF可動部11(レンズホルダー111)が、上側板バネ13A、13B及び下側板バネ14によって、AF固定部12(マグネットホルダー121)に対して位置決めされた状態で、Z方向両側に変位可能に弾性支持される。
【0086】
ピント合わせを行うときには、AF可動部11を基準状態からマクロ位置側へ移動させるか、無限遠位置側に移動させるかに応じて、電流の向きが制御される。また、AF可動部11の移動距離に応じて、電流の大きさが制御される。
【0087】
このように、レンズ駆動装置1は、レンズ部(図示略)が配置されるOIS可動部10(可動部)とOIS可動部10が固定されるOIS固定部20(固定部)を有するOIS用駆動部(駆動部)と、平面視矩形状を有し、周縁部にシールドカバー2が取り付けられ周縁部の側面23dとシールカバー2の下部内周面とが接着剤により接着されるベース部材23と、ベース部材23に配置され、シールドカバー2と電気的に接続される接地端子部221(第1の接地端子部)と、を備える。ベース部材23は、周縁部の第1の辺に、側面23dよりも凹んで形成される第1の接地端子収容部231A及び第2の接地端子収容部231Bを有する。接地端子部221は、ベース部材23の周縁部の第1の辺に一体的に取り付けられる。接地端子部221は、第1の接地端子収容部231A及び第2の接地端子収容部231Bのそれぞれに側面23dから離間して配置される、長さの異なる第1の接地端子221A及び第2の接地端子221Bを有する。
【0088】
レンズ駆動装置1によれば、ベース部材23の周縁部の第1の辺に一体的に取り付けられる接地端子部221が、長さの異なる第1の接地端子221A及び第2の接地端子221Bを有するので、取付公差によって一方の接地端子(例えば第1の接地端子221A)の取付位置がシールドカバー2との導通状態が損なわれやすい位置になったとしても、他方の接地端子(例えば第2の接地端子221B)の取付位置がシールドカバー2との導通状態を確保できる位置で保持される。したがって、取付公差によって接地端子の取付位置がずれた場合でも、シールドカバー2と接地端子部221との導通状態が確保されるので、レンズ駆動装置1の信頼性は格段に向上する。
【0089】
以上、本発明者によってなされた発明を実施の形態に基づいて具体的に説明したが、本発明は上記実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で変更可能である。
【0090】
例えば、実施の形態では、AF機能及びOIS機能を有するレンズ駆動装置について説明したが、本発明は、AF機能を備えるレンズ駆動装置又はOIS機能を有するレンズ駆動装置、すなわち、レンズ部を駆動する駆動部(AF用駆動部又はOIS用駆動部)を備え、接地端子が配置されるベース部材にシールドカバーが取り付けられるレンズ駆動装置に適用できる。
【0091】
また例えば、実施の形態では、ベース部材23の周縁部において、Y方向に対向する2辺に、それぞれ長さの異なる複数の接地端子を配置しているが、少なくとも周縁部の1辺に、長さの異なる複数の接地端子が一体的に配置されていればよい。また、実施の形態では、接地端子部221、222は一体的にベース部材23に取り付けられるが、接地端子部221、222は独立してベース部材23に取り付けられてもよい。
【0092】
実施の形態では、カメラモジュールAを備えるカメラ搭載装置の一例として、カメラ付き携帯端末であるスマートフォンを挙げて説明したが、本発明は、情報機器または輸送機器であるカメラ搭載装置に適用できる。情報機器であるカメラ搭載装置とは、カメラモジュールとカメラモジュールで得られた画像情報を処理する制御部を有する情報機器であり、例えばカメラ付き携帯電話機、ノート型パソコン、タブレット端末、携帯型ゲーム機、webカメラ、カメラ付き車載装置(例えば、バックモニター装置、ドライブレコーダー装置)を含む。また、輸送機器であるカメラ搭載装置とは、カメラモジュールとカメラモジュールで得られた画像を処理する制御部を有する輸送機器であり、例えば自動車を含む。
【0093】
図9は、車載用カメラモジュールVC(Vehicle Camera)を搭載するカメラ搭載装置としての自動車Cを示す図である。
図9Aは自動車Cの正面図であり、
図9Bは自動車Cの後方斜視図である。自動車Cは、車載用カメラモジュールVCとして、実施の形態で説明したカメラモジュールAを搭載する。
図9に示すように、車載用カメラモジュールVCは、例えば前方に向けてフロントガラスに取り付けられたり、後方に向けてリアゲートに取り付けられたりする。この車載用カメラモジュールVCは、バックモニター用、ドライブレコーダー用、衝突回避制御用、自動運転制御用等として使用される。
【0094】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。