(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記第1噴射ノズルおよび前記第2噴射ノズルは、前記第1ミスト噴射口および前記第2ミスト噴射口の一方が基準面に対して所定の角度をなす上方に向けて配置されており、前記第1ミスト噴射口および前記第2ミスト噴射口の他方が前記基準面に対して前記所定の角度をなす下方に向けて配置されている
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の吸気冷却装置。
複数の前記第1噴射ノズルおよび前記第2噴射ノズルは、前記吸気部における前記複数の吸気口が形成された吸気口形成領域の外側と前記吸気口形成領域の内側とにおいて、異なる前記基準面に基づいて前記第1ミスト噴射口および前記第2ミスト噴射口の向きが設定される
ことを特徴とする請求項3に記載の吸気冷却装置。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の吸気冷却装置、ガスタービンプラント、及び吸気冷却方法に係る一実施例について図面を参照して説明する。なお、この実施形態に記載されている構成部品の寸法、材質、形状、その相対的配置等は、特定的な記載がない限り本発明の範囲をこれに限定する趣旨ではなく、単なる説明例にすぎない。
【0020】
以下の説明においては、XYZ直交座標系を設定し、このXYZ直交座標系を参照しつつ各部材の位置関係について説明する。そして、水平面内の所定方向をX軸方向、水平面内においてX軸方向と直交する方向をY軸方向、X軸方向及びY軸方向のそれぞれに直交する方向(すなわち鉛直方向)をZ軸方向とする。
【0021】
(第1実施形態)
図1は、第1実施形態に係るガスタービンプラントの概略構成を示す図である。
ガスタービンプラント1は、
図1に示すように、圧縮空気を生成する圧縮機2と、圧縮機2で生成された圧縮空気を用いて燃焼ガスを生成する燃焼器3と、燃焼器3で生成された燃焼ガスによって動力を発生するガスタービン4と、吸気冷却装置10と、を備える。ガスタービン4は、発電機5に連結されており、ガスタービン4で発生した動力が発電機5により電力に変換されるようになっている。
【0022】
吸気冷却装置10は、外部(大気中)から空気を取り込む吸気用建屋(吸気部)11と、該吸気用建屋11に連通し、外部から取り込んだ空気を圧縮機2の吸気側へと導く吸気ダクト(ダクト)12と、吸気用建屋11よりも上流側に配置され、ミストを噴射する複数の噴射ノズル13と、を備えている。なお、吸気用建屋11は、ガスタービンプラント1の設備の一部を構成するものである。
【0023】
吸気用建屋11は立方体形状からなる建屋であり、6つの壁面を有している。吸気用建屋11は、外気を吸気するための吸気面を3つの壁面に有している。本実施形態において、吸気用建屋11は、XZ面に平行な2面のうち上流側の壁面11a、及びZY平面に平行な2面である壁面11b、11cに、吸気面をなす吸気口形成領域20がそれぞれ設けられている。各壁面11a、11b、11cにおける吸気口形成領域20は、大気中に開口された複数の取入口ユニットAを含む。
【0024】
本実施形態において、各取入口ユニットAは、例えば、4つの空気取入口21から構成されており、平面視矩形状を呈する。このような構成に基づき、吸気用建屋11は、3つの壁面11a、11b、11cに形成された上記吸気口形成領域20(空気取入口21)から大気中から空気を内部に形成された吸気室14内に導入することが可能とされている。なお、吸気室14の流路断面積は吸気ダクト12よりも大きい。
【0025】
本実施形態において、吸気用建屋11の壁面11a、11b、11cには、複数の空気取入口21の少なくとも一部、例えば、複数の上記取入口ユニットAを区画するルーバー22が突出した状態に形成されている。ルーバー22は、各壁面11a、11b、11cに対し、Z方向に亘って延びる長板状の部材から構成される。本実施形態において、壁面11aには、6つのルーバー22がX方向に沿って設置され、壁面11b、11cには、2つのルーバー22がY方向に沿って設置されている。
【0026】
すなわち、本実施形態においては、壁面11aにおける上記吸気口形成領域20は、ルーバー22により7つの領域に区画され、壁面11b、11cにおける上記吸気口形成領域20は、ルーバー22により3つの領域に区画されている。壁面11a、11b、11cに形成された上記吸気口形成領域20のうちルーバー22により区画された各領域には、それぞれ取入口ユニットAが3つずつ配置されている。なお、ルーバー22の数は、吸気用建屋11の大きさ、空気取入口21(取入口ユニットA)の大きさ或いは数によって適宜設定され、本実施形態に限定されない。
【0027】
ルーバー22は、吸気用建屋11の空気取入口21への雨や雪が直接的に入り込むのを防止するためのものである。このように吸気用建屋11は、ルーバー22を備えることで、空気取入口21に吸気した空気を効率的に取り込むことが可能とされている。
【0028】
噴射ノズル13は、吸気用建屋11の周囲に配置されている。噴射ノズル13は、空気取入口21に取り込まれる空気中に例えば水などの液体をミスト状としたミストMをミスト噴射口13aから噴射するものである。本実施形態において、複数の噴射ノズル13は、壁面11a、11b、11cに対向する位置であり、外気の導入方向における上流側に配置されている。
【0029】
噴射ノズル13には、噴射される液体を該噴射ノズル13に供給するための配管15が接続されている。配管15の一端側は、ポンプ16に接続されており、液体をタンク17から噴射ノズル13に供給可能となっている。なお、噴射ノズル13からの液体の噴射量は、外気温および湿度に応じて調節される。噴射ノズル13は、上記配管15に取り付けられることで上記所定位置(壁面11a、11b、11cに対向する位置)に設置されている。
【0030】
なお、配管15は、例えば、不図示の領域において吸気用建屋11から延びる固定部材に固定されていても良いし、吸気用建屋11とは別の固定部材を介して設置されていてもよい。
図1では、図を見易くするため、噴射ノズル13に接続される配管15の図示を省略している。
【0031】
本実施形態において、噴射ノズル13は、上向き噴射ノズル(第1噴射ノズル)13Aと、下向き噴射ノズル(第2噴射ノズル)13Bと、を含む。以下、上向き噴射ノズル13Aおよび下向き噴射ノズル13Bを総称して、ノズル13A,13Bと称す場合もある。
【0032】
ノズル13A,13Bは、空気取入口21よりも上流側(外気の導入方向における上流側)に設置されている。本実施形態において、ノズル13A,13Bは、例えば、取入口ユニットAの中央部に対応する位置にそれぞれ配置されている。ノズル13A,13Bは、配管15の延在方向(鉛直方向であるZ方向と交差(直交)するX方向)に沿って、交互に配置されている。
【0033】
ノズル13A、13Bから噴射されるミストMの平均粒径は、例えば、20μm以上50μm以下の範囲に設定するのが好ましい。このようにミストMの平均粒径を50μm以下とすれば、ミストMの蒸発を促進して、空気の冷却効率を向上させることが可能である。一方、平均粒径が20μm未満となる場合、極細なミストとなる。そのため、このような極細ミストを得るためには特別仕様の高価なミスト生成器が必要となってしまい、コストが嵩んでしまう。
これに対し、平均粒径が20μm以上のミストMとすれば、廉価なミスト生成器として噴射ノズル13(ノズル13A、13B)を利用可能となるので、吸気冷却装置10の低コスト化を図ることが可能である。
【0034】
ところで、ガスタービンプラント1において圧縮機2の高い圧縮比を実現するためには、吸気冷却装置10による冷却効率を向上させることが重要である。ここで、吸気冷却装置10による冷却効率は、噴射ノズル13から噴射されたミストMの量に対して、蒸発するミストMの量の割合により規定される。すなわち、吸気冷却装置10による冷却効率を向上させるためには、噴射ノズル13から噴射したミストMの蒸発量を増大させる必要がある。
【0035】
また、吸気冷却装置10による冷却効率を高めるには、ミストMの噴射量を増やすことも重要である。そのため、吸気用建屋11の上下方向(Z方向)における配管15の設置数を増やし、噴射ノズル13の数を増やすことが考えられる。
【0036】
しかしながら、吸気用建屋11の上下方向(Z方向)における配管15の設置段数には、構造上の制約がある。そのため、ミスト噴射量を増やすには、配管15の延在方向におけるノズル13A,13Bの設置数を増やし、ノズル13A,13B間の間隔を小さくする必要がある。
【0037】
本発明者らは、配管15の長さ方向のノズル間ピッチを小さくしつつ、ミストMの蒸発量を増大させるべく、空気中にミストを均一に噴射することに着目した。以下の説明では、壁面11aに形成された空気取入口21を例に挙げて説明するが、壁面11b、11cに形成された空気取入口21についても同様であることからその詳細については省略する。
【0038】
図2は本実施形態に係る吸気冷却装置10の要部構成を示す図である。なお、
図2は壁面11aに関する+X方向から視た側断面構成を示す図である。
図2では、空気取入口21に対する空気の流れKが一様となっているものとした。
【0039】
図2に示すように、ノズル13A、13Bは、それぞれのミスト噴射口13a、13bを空気取入口21に対する空気の流れに逆らう方向、例えば、吸気方向と略180度反対方向(+Y方向)に向けるように配置されている。
【0040】
本実施形態において、上向き噴射ノズル13Aは、ミスト噴射口13aを吸気口形成領域20と反対側であって、且つ、基準面Sに対して所定角度θだけ上方を向けるように配置されている。なお、基準面Sとは、吸気口形成領域20に対する空気の流れK方向と平行な面、すなわち、XY平面と平行な面によって規定される面である。
【0041】
下向き噴射ノズル13Bは、ミスト噴射口13bを吸気口形成領域20と反対側であって、且つ、基準面Sに対して所定角度θだけ下方を向けるように配置されている。
【0042】
ここで、上記所定角度θは、ミスト噴射口13a,13bにおけるノズル孔の大きさ、ノズル13A,13Bのミスト噴射量、或いは、ノズル13A,13Bの縦方向(Z方向)のノズル間距離等によって適宜選択される。上記所定角度θは、例えば、15°〜60°の範囲で設定される。本発明者の実験により、例えば所定角度θを30°、すなわち、ノズル13A,13Bのなす角度を60°に設定した場合、後述する空気の冷却効率が最も高くなることを確認した。
【0043】
図3はノズル13A、13Bから噴射されたミストが形成するミスト噴射領域を示す図である。なお、
図3は、ミスト噴射口13a,13bを平面視した際に、吸気口形成領域20に向かう空気の断面内に形成されるミスト噴射領域を図示している。
【0044】
図3に示すように、上向き噴射ノズル13Aのミスト噴射口(第1ミスト噴射口)13aから噴射されたミストMは、吸気口形成領域20へと向かう空気の断面内で略円形状に拡がることで第1ミスト噴射領域A1を形成する。また、下向き噴射ノズル13Bのミスト噴射口(第2ミスト噴射口)13bから噴射されたミストMは、吸気口形成領域20へと向かう空気の断面内で略円形状に拡がることで第2ミスト噴射領域B1を形成する。
【0045】
上向き噴射ノズル13Aは、基準面Sに対し、ミスト噴射口13aを角度θ(設置角度θ)だけ上方に向けるように配置される。そのため、第1ミスト噴射領域A1は、ミスト噴射口13aを基準面Sと平行に配置(Y方向に沿って配置)した場合(後述の
図5参照)に対し、上方(+Z方向)に所定距離だけ移動する。
【0046】
下向き噴射ノズル13Bは、基準面Sに対し、ミスト噴射口13bを角度θ(設置角度θ)だけ下方に向けるように配置される。そのため、第2ミスト噴射領域B1は、ミスト噴射口13bを基準面Sと平行に配置(Y方向に沿って配置)した場合(後述の
図5参照)に対し、下方(−Z方向)に所定距離だけ移動する。
【0047】
第1ミスト噴射領域A1および第2ミスト噴射領域B1の大きさおよび上記移動量は、例えば、ノズル13A,13Bのミスト噴射量、或いは、ミスト噴射口13a,13bにおけるノズル孔の大きさ等から計算によって算出可能である。
【0048】
図4は、設置角度θ(7.5°、15°、22.5°、30°)ごとのミスト飛散距離(積算移動距離:単位m)とミスト噴射後の経過時間(単位:s)との関係を示すグラフである。
図4に示すように、設置角度θが大きくなる程、ミスト飛散距離が大きくなることが分かる。一方、設置角度θの大きさによらず、0.001秒〜0.01秒が経過した時点で、ミスト飛散距離が一定状態(サチュレーション状態)となることが分かる。これは、空気中に噴射されたミストは粒子径が非常小さいことから、空気抵抗を大きく受けてしまい、移動量が抑えられてしまうからである。
【0049】
本実施形態では、例えば、ノズル孔を250μm、ミスト噴射量を0.2L/min、設置角θを30°としたノズル13A,13Bを用いた。この場合、第1ミスト噴射領域A1および第2ミスト噴射領域B1は、大きさが略600mmとなり、上記移動量が10cm程度となる。
【0050】
本実施形態では、ノズル13A,13Bのミスト噴射口13a,13bの向きを配管15の延在方向において交互に上向き又は下向きとすることで、第1ミスト噴射領域A1および第2ミスト噴射領域B1を重ならせないようにしている。
【0051】
具体的に、本実施形態では、吸気用建屋11(吸気口形成領域20)へと向かう空気が流れる空間のXZ平面による断面を視た場合、該断面内において第1ミスト噴射領域A1および第2ミスト噴射領域B1が千鳥状に配置されることで、互いが重なることなく、且つ、密に配置されたものとした。
【0052】
ここで、本実施形態のノズル13A,13Bの配置による効果を説明するため、比較として、配管15の延在方向におけるノズル13A,13B間の間隔を小さくした状態で、ミスト噴射口13a,13bを同じ方向(基準面Sと平行(Y方向)に揃えた場合について説明する。
【0053】
図5はミスト噴射口13a,13bを同じ方向に揃えた場合のミスト噴射領域の概念図である。
【0054】
図5に示すように、ノズル13A,13Bのミスト噴射口13a,13bの向きが同じ場合、ノズル13A,13B間の間隔よりも第1ミスト噴射領域A1´および第2ミスト噴射領域B1´の半径の方が大きくなってしまうことがある。すると、第1ミスト噴射領域A1´および第2ミスト噴射領域B1´の一部が互いに重なってしまい、重畳領域Cが発生してしまう。この重畳領域Cは、二つのノズル13A,13Bから噴射されたミストを含むため、ミストの平均粒径が大きくなることで空気中において蒸発し難くなってしまう。
【0055】
これに対し、本実施形態では、
図3に示したように、第1ミスト噴射領域A1および第2ミスト噴射領域B1が吸気用建屋11(空気取入口21)に向かう空気のXZ平面による断面内で密に配置されるので、空気中にミストMが均一に噴射された状態となる。よって、空気中のミストMは、空気取入口21に吸気されるまでの間に概ね蒸発する。これにより、空気取入口21に取り込まれる空気は、ミストMが蒸発した際の蒸発潜熱(気化熱)により効率良く冷却される。
【0056】
以上のように、本実施形態に係る吸気冷却装置10によれば、上向き噴射ノズル13A及び下向き噴射ノズル13Bを含む噴射ノズル13を備えることで、空気中にミストを均一に供給することで効率良く冷却することが可能となっている。
【0057】
図6は、吸気冷却装置10の要部構成を示す断面図である。
図6に示すように、吸気冷却装置10は、吸気室14(吸気用建屋11)内に設けられたフィルタ部材(捕捉部材)18と、塵埃フィルタ部材19と、を有している。
【0058】
フィルタ部材18は、吸気室14の壁面に設けられ、噴射ノズル13から噴射されたミストMのうち蒸発せずに空気に同伴して飛翔してくるものを捕集するためのものである。フィルタ部材18としては、例えば、長繊維グラスファイバ製パッドを用いることが好ましい。これによれば、フィルタ部材18の内部に捕集したミストMをより多く保持して、フィルタ部材18内におけるミストMの蒸発によって空気をより一層効率的に冷却できる。なお、フィルタ部材18は、従来のエバポレーティブクーラに用いられている冷却メディアであってもよく、特に限定されない。
【0059】
塵埃フィルタ部材19は、吸気室14内から吸気した空気中の塵埃を除去するためのものである。なお、塵埃フィルタ部材19は、フィルタ部材18の下流側に設けられるのが好ましい。これによれば、塵埃を除去するための塵埃フィルタ部材19にミストが到達する前にフィルタ部材18によってミストMを捕捉できるので、塵埃フィルタ部材19がミストMで濡れることで捕集した塵埃が膜を形成し、圧力損失が上昇してしまうといった不具合の発生を防止することが可能である。
【0060】
なお、塵埃フィルタ部材19としては、例えば、以下に示す3つのタイプのいずれかを用いることができる。第1のタイプは、中性能フィルタが1つ設けられたものである。第2のタイプは、中性能フィルタと、中性能フィルタの下流側にこれと所定距離を隔てて設けられたHEPAフィルタ(High Efficiency Particulate Air filter)とからなる。第3のタイプは、中性能フィルタと、中性能フィルタの下流側にこれと所定距離を隔てずに一体化して設けられたHEPAフィルタとからなる。
【0061】
上記フィルタ部材18は、複数(例えば、2つ)の部材から構成されていても良い。この場合において、一方のフィルタ部材18を吸気室14内のうち塵埃フィルタ部材19の上流側であって空気取入口21に近い側(以下、上流側と称す場合もある)に設置し、他方のフィルタ部材18を吸気室14内のうち塵埃フィルタ部材19の上流側であって該塵埃フィルタ部材19に近い側(以下、下流側と称す場合もある)に設置すればよい。
【0062】
また、上流側に設置されるフィルタ部材18は、下流側に配置されるフィルタ部材18よりも目の粗い濾材からなるものを用いるのが好ましい。このようにすれば、例えば、空気中に噴射されたミストMが蒸発せずに空気取入口21内に入り込んでしまった場合であっても、空気中に残存した比較的大粒径のミストMを、上流側のフィルタ部材18で予め捕集することが可能となり、上流側のフィルタ部材18で捕集されずに飛翔してきた小粒径のミストMを下流側のフィルタ部材18で確実に捕集する事が可能となる。よって、圧縮機2側へのミストMの入り込みによる圧縮効率の低下をより確実に防止することができる。
【0063】
続いて、上記構成を備えるガスタービンプラント1の動作について説明するとともに、本発明の吸気冷却方法の一実施例についても説明する。
【0064】
ガスタービンプラント1は、吸気冷却装置10により吸気された空気を圧縮機2によって圧縮し、該圧縮機2で生成された圧縮空気を用いて燃焼器3により燃焼ガスを生成し、該燃焼器3で生成した燃焼ガスによってガスタービン4を回転させる。そして、ガスタービン4で発生した動力を発電機5により電力に変換する。
【0065】
吸気冷却装置10は、噴射ノズル13(ノズル13A,13B)からミストMを大気中に噴射する。噴射ノズル13から噴射されたミストMは、はじめは空気の流れ方向とは反対方向に進むが、やがて空気の流れに抗することができなくなり、最終的には空気に同伴して下流側に進む。
【0066】
ノズル13A,13Bから噴射されたミストは、空気中において、千鳥状に配置された第1ミスト噴射領域A1および第2ミスト噴射領域B1を形成する。これにより、吸気用建屋11(空気取入口21)に向かう空気の断面を視た場合、ミストMが全体に均一に拡がった状態で下流側に進む。
【0067】
また、本実施形態では、空気の流れ方向と反対方向にミストMが噴射されるため、ミストMの飛翔距離を延ばすことができる。よって、噴射ノズル13から噴射されたミストMの空気中での滞留時間を長くすることができる。これにより、空気の流れK(
図2参照)に取り込まれたミストMは、空気取入口21に吸気されるまでの間に概ね蒸発するので、多量の蒸発潜熱が空気から奪われ、空気の冷却効率を向上させることができる。
【0068】
また、吸気冷却装置10は、ルーバー22を備えるので、空気取入口21内に雨、雪、或いは風が直接的に入り込むのを防止することができる。
【0069】
また、吸気冷却装置10は、噴射ノズル13の下流側にフィルタ部材18が設けられているので、例えば、空気中に噴射されたミストMが蒸発せずに空気取入口21内に入り込んでしまった場合であっても、空気中に残存したミストMをフィルタ部材18によって捕捉することができる。よって、空気がフィルタ部材18を通過する際に該フィルタ部材18に捕捉されたミストMを蒸発させることで空気の冷却効率を高めつつ、圧縮機2側にミストMが入り込むことによって圧縮効率が低下するといった不具合の発生を防止することができる。
【0070】
また、吸気冷却装置10は、塵埃フィルタ部材19を備えるので、吸気室14内から吸気した空気中に含まれた塵埃を確実に除去することができる。よって、塵埃が圧縮機2側に導かれることで圧縮効率が低下するといった不具合の発生が防止される。
【0071】
以上述べたように、本実施形態に係るガスタービンプラント1によれば、上記吸気冷却装置10を備えることで圧縮機2に導かれる空気の冷却効率が向上するので、高い出力を得ることができる。
【0072】
(第2実施形態)
続いて、本発明の第2実施形態について説明する。本実施形態と第1実施形態との違いは、吸気冷却装置の構造、具体的に噴射ノズルの配置構造である。そのため、以下では、噴射ノズルの配置構造を主体に説明し、上記実施形態と同一の構成及び部材については同じ符号を付し、その詳細な説明については省略若しくは簡略化する。
【0073】
図7は、第2実施形態に係るガスタービンプラントの概略構成を示す図である。
ガスタービンプラント1Aは、
図7に示すように、圧縮機2と、燃焼器3と、ガスタービン4と、吸気冷却装置10Aと、を備える。
なお、
図7では、図を見易くするため、噴射ノズル100に接続される配管15の図示を省略している。
【0074】
本実施形態では、ミストMの蒸発量をより増大させるべく、空気取入口21に対する実際の空気の流れをシミュレーション結果に基づいて考慮し、ミストを噴射するようにノズルを配置している。以下の説明では、壁面11aに形成された空気取入口21を例に挙げて説明するが、壁面11b、11cに形成された空気取入口21についても同様のシミュレーション結果が得られていることからその詳細については省略する。
【0075】
図8は、空気取入口21に対する空気の流れのシミュレーション結果を概念的に示した図であって、
図8(a)は壁面11aに形成された吸気口形成領域20の空気取入口21に対する空気の流れをX軸方向から視た場合のシミュレーション結果を示すものであり、
図8(b)は壁面11aに形成された吸気口形成領域20の空気取入口21に対する空気の流れをZ軸方向から視た場合のシミュレーション結果を示すものである。なお、以下の説明において便宜上、壁面11aに形成された吸気口形成領域20の鉛直方向(Z方向)の上方から下方に配置される取入口ユニットAをこの順に、取入口ユニットAz1、Az2、Az3と称すこともある。また、壁面11aに形成された吸気口形成領域20の水平方向(X方向)の一方側(−X側)から他方側(+X側)に配置される取入口ユニットAをこの順に、Ax1、Ax2、Ax3と称すこともある。
【0076】
図8(a)に示されるように、吸気口形成領域20の鉛直方向上方(+Z方向)の外縁部に配置される取入口ユニットAz1(空気取入口21)には、空気取入口21に対して上方から下方に巻き込むような空気の流れ(下降流)K1が生じることが確認できた。
【0077】
このような空気の流れK1は、例えば、吸気用建屋11の外側の空気が相対的に圧力の低い空気取入口21に向かって流れ込むことで生じたものと考えられる。一方、外縁部に配置される取入口ユニットAz1とは別、すなわち鉛直方向下方側に設置される取入口ユニットAz2、Az3には、+Y方向に沿って一様な空気の流れK2が生じることが確認できた。このように壁面11aに形成された吸気口形成領域20においては、鉛直方向における取入口ユニットAの位置によって異なる空気の流れK1、K2が生じることが確認できた。
【0078】
また、吸気口形成領域20の水平方向(X方向)においても同様の現象が生じている。具体的に、
図8(b)に示されるように、吸気口形成領域20の水平方向(X方向)の両外縁部に配置された取入口ユニットAx1、Ax3(空気取入口21)にも、外側から巻き込むような空気の流れK1が生じることが確認できた。一方、取入口ユニットAx1とは別の取入口ユニットAx2には、+Y方向に沿った一様な空気の流れK2が生じることが確認できた。
【0079】
そのため、例えば、取入口ユニットAz1は、該取入口ユニットAz1に対向する位置からミストを噴射したとしても、ミストを含む空気が下方の取入口ユニットAz2、Az3に流れ込んでしまい、取入口ユニットAz1に取り込まれる空気中に十分な量のミストを供給することができないおそれがある。
【0080】
また、同様に、例えば、取入口ユニットAx1、Ax3は、該取入口ユニットAx1、Ax3に対向する位置からミストを噴射した場合、ミストを含む空気が中央の取入口ユニットAx2に流れ込んでしまい、取入口ユニットAz1に取り込まれる空気中に十分にミストを供給することができない。
【0081】
本実施形態において、吸気口形成領域20では、取入口ユニットAの位置によって空気の流れK1、K2が異なっているため、空気中に噴射されるミスト量が部分的に異なってしまう。そのため、吸気口形成領域20に吸気される空気を効果的に冷却することができず、十分な冷却効率が得られないおそれがある。なお、このような現象は、壁面11b、11cに形成された空気取入口21についても同様であって、取入口ユニットAの位置によって空気の流れK1、K2が異なっている。
【0082】
このような問題に対し、本実施形態に係る吸気冷却装置10Aは、噴射ノズル100が外側噴射ノズル213と内側噴射ノズル113とを含む構成を採用する事で上記問題を解決するようにした。
【0083】
図9は、本実施形態に係る吸気冷却装置10Aにおける吸気用建屋11と噴射ノズル100との配置関係を示す平面図である。
図10は、噴射ノズル100によって噴射されたミストの流れを概念的に示した図である。具体的に、
図10(a)は壁面11aに形成された吸気口形成領域20の空気取入口21に対するミストの流れをX軸方向から視た場合のシミュレーション結果を示すものであり、
図10(b)は壁面11aに形成された吸気口形成領域20の空気取入口21に対するミストの流れをZ軸方向から視た場合のシミュレーション結果を示すものである。
【0084】
なお、
図9,10は、壁面11aと噴射ノズル100との配置例を示すものである。
以下の説明では、
図9,10を参照し、壁面11aに対する噴射ノズル100の配置を説明するが、壁面11b、11cに対する噴射ノズル100の配置についても
図7と同様の条件に基づいてなされたものであることからその詳細については省略する。
【0085】
図7,9に示すように、外側噴射ノズル213は、吸気用建屋11を平面視、すなわち壁面11aを平面視した場合において、吸気口形成領域20の外縁部に対応する空気取入口21aの開口端、すなわち該空気取入口21aを含む取入口ユニットAz1、Ax1の開口端よりも外側且つ吸気口形成領域20よりも上流側(外気の導入方向における上流側)に設置されている。なお、吸気口形成領域20の外縁部に対応する空気取入口21aとは、
図7においてハッチングで示される領域の空気取入口21をいう。
本実施形態においては、外側噴射ノズル213を上記空気取入口21aの開口端の外側に配置したが、外側噴射ノズル213は開口端上に設置されていてもよい。
【0086】
また、内側噴射ノズル113は、壁面11aを平面視した場合において、吸気口形成領域20と平面的に重なる位置であり、且つ吸気口形成領域20よりも上流側(外気の導入方向における上流側)に設置されている。本実施形態において、内側噴射ノズル113は、例えば、取入口ユニットAの中央部に対応する位置に配置されている。
【0087】
なお、外側噴射ノズル213と内側噴射ノズル113(以下、これらを総称して噴射ノズル213,113と称す場合もある)の個数は、該噴射ノズル213、113から噴射されるミストMの拡散範囲を考慮して決定されることが好ましい。本実施形態において、噴射ノズル213,113は、ミスト噴射口を吸気方向と180度反対方向(+Y方向)に向けるように配置されている。
【0088】
本実施形態において、外側噴射ノズル213は、外側上向き噴射ノズル(第1噴射ノズル)213Aと、外側下向き噴射ノズル(第2噴射ノズル)213Bと、を含む。以下、外側上向き噴射ノズル213Aおよび外側下向き噴射ノズル213Bを総称して、外側ノズル213A,213Bと称す場合もある。
【0089】
また、内側噴射ノズル113は、内側上向き噴射ノズル(第1噴射ノズル)113Aと、内側下向き噴射ノズル(第2噴射ノズル)113Bと、を含む。以下、内側上向き噴射ノズル113Aおよび内側下向き噴射ノズル113Bを総称して、内側ノズル113A,113Bと称す場合もある。
【0090】
外側ノズル213A,213Bは、配管15の延在方向(鉛直方向であるZ方向と交差(直交)するX方向)に沿って、交互に配置されている。また、内側ノズル113A,113Bは、配管15の延在方向(鉛直方向であるZ方向と交差(直交)するX方向)に沿って、交互に配置されている。
【0091】
取入口ユニットAx1に対応する内側下向き噴射ノズル113Bの−X側には、外側上向き噴射ノズル213Aが配置されている。これら内側下向き噴射ノズル113Bおよび外側上向き噴射ノズル213Aは、配管15の延在方向において隣り合って配置されている。
【0092】
また、取入口ユニットAx3に対応する内側下向き噴射ノズル113Bの+X側には、外側上向き噴射ノズル213Aが配置されている。これら内側下向き噴射ノズル113Bおよび外側上向き噴射ノズル213Aは、配管15の延在方向において隣り合って配置されている。
【0093】
本実施形態においても、内側上向き噴射ノズル113Aおよび外側上向き噴射ノズル213Aは、ミスト噴射口(第1ミスト噴射口)113aおよびミスト噴射口(第1ミスト噴射口)213Aを吸気口形成領域20と反対側であって、且つ、基準面S1又はS2に対して所定角度θだけ上方を向けるように配置されている。
【0094】
内側上向き噴射ノズル113Aおよび外側上向き噴射ノズル213Aのミスト噴射口113a,213aから噴射されたミストは、吸気口形成領域20へと向かう空気が流れる空間内で略円形状に拡がることで第1ミスト噴射領域A1を形成する(
図5参照)。
【0095】
また、内側下向き噴射ノズル113Bおよび外側内向き噴射ノズル213Bは、ミスト噴射口(第2ミスト噴射口)113bおよびミスト噴射口(第2ミスト噴射口)213bを吸気口形成領域20と反対側であって、且つ、基準面S1又はS2に対して所定角度θだけ下方を向けるように配置されている。
【0096】
内側下向き噴射ノズル113Bおよび外側内向き噴射ノズル213Bのミスト噴射口113b,213bから噴射されたミストMは、吸気口形成領域20へと向かう空気が流れる空間内で略円形状に拡がることで第2ミスト噴射領域B1を形成する(
図5参照)。
【0097】
本実施形態では、
図10(a)に示すように、Z方向における最上段の配管15Aに設けられた外側噴射ノズル213について、他の噴射ノズル100の基準面S1とは異なる基準面S2に基づいてミスト噴射口213a,213bの向きを設定している。
【0098】
基準面S1は、吸気口形成領域20に対する一様な空気の流れK1と平行な面、すなわち、XY平面と平行な面によって規定される。基準面S2は、取入口ユニットAz1(空気取入口21)に対して上方から下方に巻き込む空気の流れ(下降流)K1と平行な面(下降流に逆らう方向に沿った面)によって規定される。
【0099】
本実施形態においても、
図7に示したように、隣り合う噴射ノズル100のミスト噴射方向を配管15の延在方向において交互に上向き又は下向きとすることで、第1ミスト噴射領域A1および第2ミスト噴射領域B1の位置をZ方向にずらすことで重ならせないようにしている。
【0100】
図10(a)、(b)に示すように、例えば、吸気口形成領域20と平面的に重なる位置に配置された内側噴射ノズル113が噴射したミストMが、吸気用建屋11(吸気口形成領域20)へと向かう一様な空気の流れK2が生じている空間のXZ平面による断面内において、互いに重なることなく密に配置された第1ミスト噴射領域A1および第2ミスト噴射領域B1を形成する。
【0101】
よって、取入口ユニットAz2、Az3、Ax2(空気取入口21)に吸気される空気中にミストが均一に噴射されるため、空気取入口21に到達するまでの間に概ね蒸発する。したがって、取入口ユニットAz2、Az3、Ax2に取り込まれる空気は、ミストMが蒸発した際の蒸発潜熱(気化熱)により効率良く冷却される。
【0102】
また、取入口ユニットAz1、Ax1、Ax3の開口端よりも外側に配置された外側噴射ノズル213から噴射されたミストMは、吸気口形成領域20の外側から巻き込む流れK1の空気中に良好に取り込まれることで取入口ユニットAz1、Ax1、Ax3(空気取入口21)に吸気されるまでの間に概ね蒸発する。これにより、取入口ユニットAz1、Ax1、Ax3に取り込まれる空気は、ミストMが蒸発した際の蒸発潜熱(気化熱)により冷却される。
【0103】
本実施形態では、Z方向における最上段の配管15Aに設けられた外側噴射ノズル213のミスト噴射口213a,213bが基準面S2に基づいて設定されるため、局所的に生じている空気の流れ(下降流)K1中においてミストMを均一に噴射することが可能である。このミスト噴射口213a,213bから噴射されたミストMは、吸気口形成領域20の外側から巻き込む上記流れ(下降流)K1が生じている空間の断面内において、互いに重なることなく密に配置された第1ミスト噴射領域A1および第2ミスト噴射領域B1を形成する。
【0104】
これにより、取入口ユニットAz1に取り込まれる空気の流れ(下降流)K1中にミストを均一に噴射するため、空気取入口21に到達するまでの間に概ね蒸発する。したがって、取入口ユニットAz1に取り込まれる流れ(下降流)K1の空気は、ミストMが蒸発した際の蒸発潜熱(気化熱)により効率良く冷却される。
【0105】
以上のように、本実施形態に係る吸気冷却装置10によれば、空気取入口21の位置によって空気の流れK1、K2が異なる場合であっても、内側噴射ノズル113及び外側噴射ノズル213を含む噴射ノズル100を備えることで、空気中の全体に亘ってミストを均一に供給することが可能である。
【0106】
続いて、上記構成を備えるガスタービンプラント1Aの動作について説明するとともに、本実施形態の吸気冷却方法についても説明する。
【0107】
吸気冷却装置10Aは、取入口ユニットAz1、Ax1、Ax3の開口端よりも外側に配置された外側噴射ノズル213からミストMを大気中に噴射する。これにより、外側噴射ノズル213から噴射されたミストMは、吸気口形成領域20の外側から巻き込む流れK1の空気中に良好に取り込まれることで下流側に進む。空気の流れK1に取り込まれたミストMは、取入口ユニットAz1、Ax1、Ax3(空気取入口21)に吸気されるまでの間に概ね蒸発するので、多量の蒸発潜熱が空気から奪われ、空気の冷却効率を向上させることができる。
【0108】
また、吸気冷却装置10は、吸気口形成領域20と平面的に重なる位置に配置された内側噴射ノズル113からミストMを大気中に噴射する。これにより、内側噴射ノズル113から噴射されたミストMは、一様な流れK2の空気中に良好に取り込まれることで下流側に進む。一様な流れK2の空気中に取り込まれたミストMは、取入口ユニットAz2、Az3、Ax2(
図10参照)の空気取入口21に入り込むまでの間に概ね蒸発するので、多量の蒸発潜熱が空気から奪われ、空気の冷却効率を向上させることができる。
【0109】
このように本実施形態によれば、吸気口形成領域20に吸気される空気であって、異なる流れK1、K2を含むことで不均一な流れの空気中に対してミストMを均一に供給することができる。よって、複数の空気取入口21から吸気される空気の全体に十分な蒸発潜熱を生じさせることで高い冷却効率を得ることができる。
【0110】
なお、本発明は上記実施形態に限定されることは無く、発明の主旨を逸脱しない範囲において適宜変更可能である。
【0111】
例えば、上記第1実施形態では、配管15の延在方向においてミストの噴射方向を2方向で異ならせ、上向き噴射および下向き噴射を交互に行う場合を例に挙げたが、本発明はこれに限定されない。
【0112】
例えば、配管15の延在方向において、ミストの噴射方向を3方向で異ならせるようにしてもよい。
図11は、第1実施形態にてミストの噴射方向を3方向に変更した場合に、ミストが形成するミスト噴射領域を示した概念図である。
【0113】
図11に示すように、本変形例において、噴射ノズル313は、上向き噴射ノズル(第1噴射ノズル)313Aと、水平噴射ノズル(第2噴射ノズル)313Bと、下向き噴射ノズル(第3噴射ノズル)313Cと、を含む。以下、上向き噴射ノズル313A、水平噴射ノズル313Bおよび下向き噴射ノズル313Cを総称して、ノズル313A,313B,313Cと称す場合もある。
【0114】
ノズル313A,313B,313Cは、配管15の延在方向(鉛直方向であるZ方向と交差(直交)するX方向)に沿って順番に配置されている。すなわち、配管15の延在方向に沿って、ノズル313A、ノズル313B,ノズル313C,ノズル313A,ノズル313B…といったように配置されている。
【0115】
上向き噴射ノズル313Aは、ミスト噴射口313aを吸気口形成領域20と反対側であって、且つ、基準面Sに対して所定角度θだけ上方を向けるように配置される。これにより、第1ミスト噴射領域A2は、上方(+Z方向)に所定距離だけ移動する。
【0116】
下向き噴射ノズル313Cは、ミスト噴射口313cを吸気口形成領域20と反対側であって、且つ、基準面Sに対して所定角度θだけ下方を向けるように配置される。これにより、第3ミスト噴射領域C2は、下方(−Z方向)に所定距離だけ移動する。
【0117】
一方、水平噴射ノズル313Bは、ミスト噴射口313bを吸気口形成領域20と反対側であって、且つ、基準面Sと水平となるように配置される。そのため、第2ミスト噴射領域B2は、上下方向(Z方向)に移動しない。
【0118】
本変形例では、ノズル313A,313B,313Cのミスト噴射口313a,313b,313cの向きを配管15の延在方向において、上向き、真っ直ぐ、下向きとすることで、第1ミスト噴射領域A2、第2ミスト噴射領域B2および第3ミスト噴射領域C2を重ならせないようにしている。具体的に、本変形例では、空気中において、第1ミスト噴射領域A2、第2ミスト噴射領域B2および第3ミスト噴射領域C2が略千鳥状に配置されるようにした。
【0119】
これにより、吸気用建屋11(吸気口形成領域20)へと向かう空気が流れる空間のXZ平面による断面を視た場合、該断面内において第1ミスト噴射領域A2、第2ミスト噴射領域B2および第3ミスト噴射領域C2は、互いに重なることなく、且つ、密に配置されたものとなる。
【0120】
したがって、本変形例に係る構成によれば、空気中にミストMが均一に噴射された状態となるので、空気中のミストMが空気取入口21に吸気されるまでの間に概ね蒸発する。よって、空気取入口21に取り込まれる空気は、ミストMが蒸発した際の蒸発潜熱(気化熱)により効率良く冷却することができる。
【0121】
また、上記第2実施形態では、取入口ユニットAZ1,AZ2,AZ3に対応する配管15の両端部に外側噴射ノズル213(上向き噴射ノズル213A)を1つずつ配置する場合(
図7参照)を例に挙げたが、本発明はこれに限定されない。
例えば、取入口ユニットAZ1,AZ2,AZ3に対応する配管15の両端部に、外側噴射ノズル213を複数配置(上向き噴射ノズル213A、下向き噴射ノズル213Bを交互に配置)してもよい。
【0122】
また、上記実施形態では、ミストの噴射方向を吸気方向と略180度反対方向(+Y方向)に向ける場合を例に挙げたが、本発明はこれに限定されない。例えば、ミストの噴射方向を吸気方向(−Y方向)に向けて配置した場合においても本発明によれば空気中にミストを均一に噴射することが可能である。
【0123】
また、上記実施形態では、吸気用建屋11において、ルーバー22がZ方向に沿って延びる長板状の部材から構成される場合を例に挙げたが、ルーバー22の形状はこれに限定されず、例えばX方向或いはY方向に沿って延びる長板状の部材から構成されていてもよい。また、吸気用建屋11がルーバー22を有していなくても良い。