(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6492732
(24)【登録日】2019年3月15日
(45)【発行日】2019年4月3日
(54)【発明の名称】照明器具及び照明システム
(51)【国際特許分類】
H05B 37/02 20060101AFI20190325BHJP
H04W 84/12 20090101ALI20190325BHJP
【FI】
H05B37/02 G
H05B37/02 C
H05B37/02 E
H04L12/28 300Z
【請求項の数】8
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2015-27929(P2015-27929)
(22)【出願日】2015年2月16日
(65)【公開番号】特開2016-152090(P2016-152090A)
(43)【公開日】2016年8月22日
【審査請求日】2017年11月7日
(73)【特許権者】
【識別番号】000006013
【氏名又は名称】三菱電機株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】390014546
【氏名又は名称】三菱電機照明株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100082175
【弁理士】
【氏名又は名称】高田 守
(74)【代理人】
【識別番号】100106150
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 英樹
(74)【代理人】
【識別番号】100148057
【弁理士】
【氏名又は名称】久野 淑己
(72)【発明者】
【氏名】大島 悠一
(72)【発明者】
【氏名】木所 孝元
(72)【発明者】
【氏名】岩坪 幸喜
【審査官】
松本 泰典
(56)【参考文献】
【文献】
特表2016−509738(JP,A)
【文献】
国際公開第2014/099953(WO,A1)
【文献】
特開2002−260878(JP,A)
【文献】
特表2009−517830(JP,A)
【文献】
特開2015−026582(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2012/0136485(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04W 84/12
H05B 37/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
光源と、
前記光源を点灯制御する点灯回路と、
他の照明器具と無線通信する無線通信モジュールと、
前記点灯回路及び前記無線通信モジュールとそれぞれ接続され互いに独立したシリアルポートである第1及び第2の端子と、ユーザ又は外部状態の指令を受信して前記点灯回路及び前記無線通信モジュールに前記指令を送信する指令回路とを有する制御モジュールとを備え、
前記制御モジュールは、共通プロトコルの同一コマンドで前記点灯回路及び前記無線通信モジュールと通信することを特徴とする照明器具。
【請求項2】
前記指令回路は人感センサで構成されることを特徴とする請求項1に記載の照明器具。
【請求項3】
前記指令回路は照度センサで構成されることを特徴とする請求項1に記載の照明器具。
【請求項4】
前記指令回路は前記ユーザからの指令を受信する受光素子で構成されることを特徴とする請求項1に記載の照明器具。
【請求項5】
前記指令回路は前記ユーザが指令を入力するスイッチで構成されることを特徴とする請求項1に記載の照明器具。
【請求項6】
前記制御モジュールの前記第1の端子は前記無線通信モジュールの端子と同一のインターフェースで構成され、
前記制御モジュールの前記第2の端子は前記点灯回路の端子と同一のインターフェースで構成されることを特徴とする請求項1〜5の何れか1項に記載の照明器具。
【請求項7】
請求項1〜6の何れか1項に記載の照明器具をマスターとし、前記マスターの照明器具と無線通信する他の照明器具をスレーブとした少なくとも2台以上の照明器具を備えることを特徴とする照明システム。
【請求項8】
前記マスターの照明器具は、1つの前記スレーブの照明器具を介して他の前記スレーブの照明器具と無線通信することを特徴とする請求項7に記載の照明システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、指令に応じて光源を点灯制御することができ、他の照明器具と無線通信して点灯制御することができる照明器具及び照明システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、照明制御機器と複数の照明器具の信号の送受信は、照明制御機器と複数の照明器具を信号線で接続して行っていた。送受信する信号は、PWM(Pulse Width Modulation)信号などである。照明器具の点灯回路は、このPWM信号に基づいて光源に流れる電流を変えることで照明器具の点灯制御(調光制御)を行っていた。しかし、照明制御機器と複数の照明器具を接続する信号線の配線工事は非常に複雑である。
【0003】
一方、特許文献1には、使用者からの指令を無線受信する着脱可能な無線通信モジュールを照明器具に設ける技術が示されている。この技術では、使用者からの指令をリモコンにより入力し、リモコンと無線通信モジュールとの間で様々な無線通信方式が使用できるよう切り替えられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2013−235837号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、特許文献1には、複数の照明器具を点灯制御する具体的な照明システムが示されていない。
【0006】
本発明は、上述のような課題を解決するためになされたもので、その目的は指令に応じて光源を点灯制御することができ、他の照明器具と無線通信して点灯制御することができる照明器具及び照明システムを得るものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る照明器具は、光源と、前記光源を点灯制御する点灯回路と、他の照明器具と無線通信する無線通信モジュールと、前記点灯回路及び前記無線通信モジュールとそれぞれ接続され互いに独立したシリアルポートである第1及び第2の端子と、ユーザ又は外部状態の指令を受信して前記点灯回路及び前記無線通信モジュールに前記指令を送信する指令回路とを有する制御モジュールとを備え、前記制御モジュールは、共通プロトコルの同一コマンドで前記点灯回路及び前記無線通信モジュールと通信することを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明では、制御モジュールの指令回路がユーザ又は外部状態の指令を受信して点灯回路に指令を送信することで、点灯回路は指令に応じて光源を制御することができる。また、制御モジュールが共通プロトコルの同一コマンドで点灯回路及び無線通信モジュールと通信することで、無線通信モジュールが他の照明器具と無線通信して他の照明器具の光源を同様に点灯制御することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本発明の実施の形態1に係る照明器具を示す斜視図である。
【
図2】本発明の実施の形態1に係る照明器具の通信ルートを示す図である。
【
図3】インターフェースのポート配列を示す図である。
【
図4】インターフェースの構造を示す平面図である。
【
図5】制御モジュールと点灯回路及び無線通信モジュールの通信プロトコルの図である。
【
図7】本発明の実施の形態1に係る制御モジュールを示す図である。
【
図8】本発明の実施の形態2に係る制御モジュールを示す図である。
【
図9】本発明の実施の形態3に係る制御モジュールを示す図である。
【
図10】本発明の実施の形態4に係る制御モジュールを示す図である。
【
図11】本発明の実施の形態5に係る制御モジュールを示す図である。
【
図12】本発明の実施の形態6に係る照明システムを示す図である。
【
図14】スレーブの照明器具の通信ルートを示す図である。
【
図15】比較例に係る照明システムを示す図である。
【
図16】本発明の実施の形態6に係る照明システムの変型例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明の実施の形態に係る照明器具及び照明システムについて図面を参照して説明する。同じ又は対応する構成要素には同じ符号を付し、説明の繰り返しを省略する場合がある。
【0011】
実施の形態1.
図1は、本発明の実施の形態1に係る照明器具を示す斜視図である。照明器具1は、LEDモジュール2と、点灯回路3と、無線通信モジュール4と、制御モジュール5とを備える。LEDモジュール2は少なくとも1つ以上のLEDを有する。点灯回路3はLEDモジュール2を点灯制御する。無線通信モジュール4は他の照明器具と無線通信する。制御モジュール5はユーザ又は外部状態の指令を受信し、その指令を点灯回路3及び無線通信モジュール4に送信する。
【0012】
図2は、本発明の実施の形態1に係る照明器具の通信ルートを示す図である。制御モジュール5がユーザ又は外部状態の指令を受信すると点灯回路3に指令を送信し、点灯回路3がLEDモジュール2を点灯制御する。また、制御モジュール5は、点灯回路3に指令を送信すると同時に、無線通信モジュール4に同一の指令を送信する。指令を受信した無線通信モジュール4は、制御モジュール5からの指令を他の照明器具に送信する。即ち、照明器具1がマスターとなり、他の照明器具のLEDモジュールを照明器具1のLEDモジュール2と同様に点灯制御する。
【0013】
図3は、インターフェースのポート配列を示す図である。点灯回路3は、制御モジュール5と接続された端子3aとして、電源を供給するVcc端子と、指令を受信するRx端子と、指令に対して回答を返信するTx端子と、回路GND端子とを有する。
【0014】
無線通信モジュール4は、制御モジュール5と接続された端子4aとして、電源が供給されるVcc端子と、指令または回答を送信するTx端子と、指令または回答を受信するRx端子と、回路GND端子とを有する。
【0015】
制御モジュール5は、点灯回路3と接続された第1の端子5aと、無線通信モジュール4と接続された第2の端子5bとを有する。第1及び第2の端子5a,5bは互いに独立したシリアルポートである。第1の端子5aは、電源が供給されるVcc端子と、指令を送信するTx端子と、回答を受信するRx端子と、回路GND端子とを有する。第2の端子5bは、電源を供給するVcc端子と、指令または回答を受信するRx端子と、指令を送信するTx端子と、回路GND端子とを有する。制御モジュール5は、共通プロトコルの同一コマンドで点灯回路3及び無線通信モジュール4と通信する。
【0016】
制御モジュール5の第1の端子5aは無線通信モジュール4の端子4aと同一のインターフェースで構成されている。また、制御モジュール5の第2の端子5bは点灯回路3の端子3aと同一のインターフェースで構成されている。このため、制御モジュール5を省略して無線通信モジュール4と点灯回路3を直接接続しても通信が可能である。
【0017】
図4は、インターフェースの構造を示す平面図である。点灯回路3の端子3aはメスコネクタである。無線通信モジュール4の端子4aはオスコネクタである。制御モジュール5の第1の端子5aは、メスコネクタである点灯回路3の端子3aと接続できるオスコネクタである。制御モジュール5の第2の端子5bは、オスコネクタである無線通信モジュール4の端子4aと接続できるメスコネクタである。このような構成であるため、無線通信モジュール4と点灯回路3を直接接続することができる。
【0018】
図5は、制御モジュールと点灯回路及び無線通信モジュールの通信プロトコルの図である。通信プロトコルは、STX(スタートコマンド)、CM(コマンド)、FD1(フレームデータ1)、FD2(フレームデータ2)の4バイト構成になる。このように点灯回路3、無線通信モジュール4及び制御モジュール5は、それぞれ対になる双方向のシリアル通信インターフェースを備えており、この通信プロトコルで指令又は回答を送受信する。
【0019】
図6は、コマンドの内容を説明する図である。STX(スタートコマンド)は、指令を送信する合図となるコマンドであり、固定のコマンドを送信する。このコマンドを受信すると残り3バイトの指令に従うことになる。CM(コマンド)は、指令の内容を示すコマンドになり、例えば、LEDモジュール2の点灯ON、OFF操作や明るさを可変する調光率操作の指令を示す。FD1(フレームデータ1)、FD2(フレームデータ2)は、指令の具体的な内容を示すコマンドになり、例えば、LEDモジュール2の点灯ONや調光率50%等の具体的な指令または数値を示す。
【0020】
図7は、本発明の実施の形態1に係る制御モジュールを示す図である。電源回路5cは点灯回路3から第1の端子5aを介して供給される電力を制御回路5dと第2の端子5bに供給する。制御回路5dは第1及び第2の端子5a,5bを介してそれぞれ双方向のシリアル通信を行う。指令回路5eはユーザ又は外部状態の指令を受信して、制御回路5dを介して点灯回路3及び無線通信モジュール4に指令を送信する。制御モジュール5は、独立したシリアルポートを備えているが、共通プロトコルの同一コマンドで点灯回路3及び無線通信モジュール4と通信する。なお、制御回路5dは、メモリに記憶されたプログラムを実行するCPU、システムLSI等の処理回路により実現される。また、複数の処理回路が連携して上記機能を実行してもよい。
【0021】
以上説明したように、本実施の形態では、制御モジュール5の指令回路5eがユーザ又は外部状態の指令を受信して点灯回路3に指令を送信することで、点灯回路3は指令に応じてLEDモジュール2を点灯制御することができる。また、制御モジュール5が共通プロトコルの同一コマンドで点灯回路3及び無線通信モジュール4と通信することで、無線通信モジュール4が他の照明器具と無線通信して他の照明器具のLEDモジュールを照明器具1のLEDモジュール2と同様に点灯制御することができる。
【0022】
実施の形態2
図8は、本発明の実施の形態2に係る制御モジュールを示す図である。指令回路5eは人感センサ6で構成される。人感センサ6は、人の存在を検出すると在判定の信号を制御回路5dに送信し、人の存在を検出しないと不在判定の信号を制御回路5dに送信する。制御回路5dは、在判定又は不在判定の信号を共通の通信プロトコルによる同一のコマンドで点灯回路3及び無線通信モジュール4に送信する。これにより、人の在、不在に応じてLEDモジュール2を点灯制御し、かつ他の照明器具と無線通信して点灯制御することができる。なお、人感センサ6は、人の存在を検出してから所定の時間、人の存在を検出しなければ人が不在と判定する。
【0023】
実施の形態3
図9は、本発明の実施の形態3に係る制御モジュールを示す図である。指令回路5eは照度センサ7で構成される。照度センサ7は、外部状態の明るさを検出して制御回路5dに信号を送信する。制御回路5dは、明るさに対応する信号を共通の通信プロトコルによる同一のコマンドで点灯回路3及び無線通信モジュール4に送信する。これにより、外部状態の明るさに応じてLEDモジュール2を点灯制御し、かつ他の照明器具と無線通信して点灯制御することができる。
【0024】
実施の形態4
図10は、本発明の実施の形態4に係る制御モジュールを示す図である。指令回路5eは受光素子8で構成される。ユーザは、リモコン9で照明器具1の明るさ、点灯時間、消灯時間の設定値を送信する。受光素子8は、この信号を受信して制御回路5dに信号を送信する。制御回路5dは、信号を共通の通信プロトコルによる同一のコマンドで点灯回路3及び無線通信モジュール4に送信する。これにより、ユーザの指令に応じてLEDモジュール2を点灯制御し、かつ他の照明器具と無線通信して点灯制御することができる。
【0025】
実施の形態5
図11は、本発明の実施の形態5に係る制御モジュールを示す図である。指令回路5eはユーザが指令を入力するスイッチ10で構成される。ユーザがスイッチ10を操作することで、段階的な信号が制御回路5dに送信される。制御回路5dは、信号を共通の通信プロトコルによる同一のコマンドで点灯回路3及び無線通信モジュール4に送信する。これにより、ユーザの指令に応じてLEDモジュール2を点灯制御し、かつ他の照明器具と無線通信して点灯制御することができる。スイッチ10の段階的な信号は例えば明るさを段階的に変えるような段調光時等に使用され、点灯回路3はこの信号を受信してLEDモジュール2の明るさを段階的に変化させる。
【0026】
実施の形態6
図12は、本発明の実施の形態6に係る照明システムを示す図である。本実施の形態に係る照明システムは、実施の形態1〜5の何れかの照明器具1をマスターとし、マスターの照明器具と無線通信する他の照明器具11をスレーブとした少なくとも2台以上の照明器具を備える。
【0027】
図13は、スレーブの照明器具を示す斜視図である。スレーブの照明器具11は、少なくとも1つのLEDからなるLEDモジュール12と、LEDモジュール12を点灯制御する点灯回路13と、点灯回路13に接続され他の照明器具と無線通信する無線通信モジュール14とを有する。
【0028】
図14は、スレーブの照明器具の通信ルートを示す図である。無線通信モジュール14が、マスターの照明器具1の無線通信モジュール4からの指令を受信し、点灯回路13に送信することで、点灯回路13はLEDモジュール12を点灯制御する。点灯回路13と無線通信モジュール14のインターフェースは、実施の形態1で説明したマスターの照明器具1と同様であり、両者を直接接続しても通信が可能である。
【0029】
照明器具1,11は無線通信モジュール4,14により互いに無線通信を行い、照明器具1がマスターとなり、複数の照明器具11がスレーブとなって点灯制御される。例えば、マスターの照明器具1の指令回路5eが実施の形態2の人感センサ6の場合、マスターの照明器具1が人の在、不在を検出して動作すると共に、このマスターの照明器具1の動作と連動してスレーブの照明器具11が動作する。
【0030】
続いて本実施の形態の効果を比較例と比較して説明する。
図15は、比較例に係る照明システムを示す図である。比較例では、照明制御機器15と複数の照明器具16が信号線で接続される。例えば、照明器具16の調光制御をする場合、一般的に信号の方式はPWM信号の制御信号になり、照明器具16の点灯回路はこのPWM信号に応じて光源に流れる電流を変化させる。しかし、照明制御機器15と複数の照明器具16を接続する信号線の配線工事は非常に複雑である。一方、本実施の形態ではマスターの照明器具1を設けるため、照明制御機器15を取り付ける必要がない。また、照明器具1,11が互いに無線通信を行うため、配線工事が不要である。
【0031】
図16は、本発明の実施の形態6に係る照明システムの変型例を示す図である。1つのスレーブの照明器具11は、マスターの照明器具1と他のスレーブの照明器具11と無線通信することが可能であり、マスターの照明器具1と無線通信したスレーブの照明器具11は近傍に配置された他のスレーブの照明器具11と無線通信する。従って、マスターの照明器具1は、1つのスレーブの照明器具11を介して他のスレーブの照明器具11と無線通信する。これにより、マスターの照明器具1が点灯制御するスレーブの照明器具11の台数が多くなり、より広い空間を点灯制御することができる。
【符号の説明】
【0032】
1,11 照明器具、2 LEDモジュール、3 点灯回路、3a,4a 端子、4 無線通信モジュール、5 制御モジュール、5a 第1の端子、5b 第2の端子、5e 指令回路、6 人感センサ、7 照度センサ、8 受光素子、10 スイッチ