(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記ポータブル機器が接続されて使用される前記情報処理装置は、少なくとも入出力装置を制御するための入出力制御ソフトウエアとアプリケーションソフトウエアを動作させるための基本ソフトウエアを有するとともに、前記入出力制御ソフトウエアが起動された後、前記入出力制御ソフトウエアからの指示により前記基本ソフトウエアが起動されるように構成されており、
前記ポータブル機器の受信部は、前記情報処理装置の前記入出力制御ソフトウエアに対して機器情報の送出要求を行うとともに、当該入出力制御ソフトウエアより当該機器情報を取得するように構成されることを特徴とする請求項1記載のポータブル機器。
前記ポータブル機器は、前記情報処理装置に設けられたユニバーサル・シリアル・バス端子を介して接続され、前記ポータブル機器の受信部による前記情報処理装置の機器情報の受信は、前記情報処理装置が行うユニバーサル・シリアル・バスに接続されたデバイスの接続確認プロセスの中で行うことを特徴とする請求項1または2記載のポータブル機器。
前記基本ソフトウエアの起動を行う指示部は、接続されているポータブル機器からの起動信号を受信したことを以て、前記基本ソフトウエアの起動を行うことを特徴とする請求項5記載の情報処理装置。
【背景技術】
【0002】
Parsonal Computer(PC)などの情報処理装置は、機能拡張のためにいろいろなタイプのポータブル機器を接続して使用する。例えば、情報処理装置には、ユニバーサル・シリアル・バス(USB)端子や、カードスロットが設けられ、これらを介して、外部メモリ、プリンタやプロジェクター接続用のインターフェイスや無線通信用のポータブル機器が接続されて使用される。
【0003】
このようなポータブル機器は正常動作するだけでなく、予め決められた規則や基準をクリアしたものであることが要求される。また、ポータブル機器が接続される情報処理装置側も当該ポータブル機器を正常に動作させることが出来るように作られていることが要求される。
【0004】
例えば、ポータブル機器が外部のネットワークと情報処理装置を接続するための無線通信機能を有する場合には、当該ポータブル機器が各国において定められた無線設備としてのスプリアス発射強度の許容値などの技術的基準に準拠している必要がある。また、当該ポータブル機器が接続される情報処理装置側においても、情報処理装置がポータブル機器を制御する場合において、非正常な使い方をしないようにする必要がある。
【0005】
このようにポータブル機器および当該ポータブル機器が接続される情報処理装置の両者において、技術基準に適合しているかを認証されていることが要求される場合がある。
【0006】
例えば、米国においては、米国連邦通信委員会(FCC)において、後からユーザによって無線通信機能を有するポータブル機器がPCなどの情報処理装置に取り付けられる場合には、FCCにて認証された状態に確実になることの保証として、(a)当該情報処理装置に対して、認証されていない無線通信装置が接続された時に無線通信装置の無線通信部が動作してはいけないこと、また、(b)当該無線通信装置が、FCCにて認証された情報処理装置以外の機器に接続された時に無線通信部が動作してはいけない、という規制が設けられている。
【0007】
従来では、(a)の解決方法として情報処理装置は、無線通信装置の持つポータブル機器の固有情報を情報処理装置の入出力制御ソフトウエアであるBasic Input/Output System(BIOS)部が検出し、合致していればFCCにて認証を受けた機器として認識し、合致していなければFCCにて認証を受けた機器として認識しないように構成されている。
【0008】
また、(b)の解決方法としては、無線通信機能を有するポータブル機器側にFCCの認証を受けた機器のリストが書き換え出来ない状態で記憶され、情報処理装置にポータブル機器が接続された時に当該情報処理装置が認証受けた装置である場合にのみ無線通信機能を有効にするように構成されている。
【発明を実施するための形態】
【0018】
まず、情報処理装置が起動状態にある場合に、無線通信部のロック/アンロック指示を行う方法について、
図1および
図2を参照し説明する。
【0019】
この説明の前提となるハードウエア構成としては、パーソナルコンピュータなどの内蔵されている無線通信装置に対して行う場合と、無線通信機能を有するポータブル機器が接続される場合の両方が考えられるが、いずれも公知であるので詳細は説明しないこととする。なお、
図1および
図2の説明で使用する「無線通信部」とは、パーソナルコンピュータなどの情報処理装置自身に内蔵されている場合と、USB端子などを介して接続されるポータブル機器の場合の両方を指す。
【0020】
図1は、情報処理装置において無線通信部のロック/アンロック指示のタイミングを示す図である。
図2は、情報処理装置において無線通信部のロック/アンロック指示のフローチャートである。
【0021】
無線通信システムでは、情報処理装置と情報処理装置に接続される無線通信装置が用いられる。情報処理装置では、電源が投入され(Power−ON)(時間T(a))、BIOSの起動後、OSが起動される(時間T(b))。情報処理装置は、OSが起動された後に各デバイスに対応するデバイスドライバが動作を開始し(時間T(c))、無線通信装置に対応する無線デバイスドライバが動作する。無線デバイスドライバが動作すると、OSを介して、情報処理装置の記憶部に格納された情報処理装置固有情報を取得し(時間T(d))、情報処理装置固有情報がFCCにて認証されたものであると判断した場合、無線通信装置に対し、無線通信部のロックを解除し、無線通信部をONにする指示を送信する(時間T(e))。無線通信装置では、送信された指示に基づき、無線通信部をONにすることにより、FCCにて認証された情報処理装置による無線通信を行うことが可能となる。
【0022】
次に、
図2を用いて従来の無線通信部のロック/アンロック処理を説明する。情報処理装置は、OSを起動する(S001)。OS起動のタイミングは、
図1に示した時間T(b)である。情報処理装置は、時間T(a)において電源がONされている。次に、OS上で無線通信ドライバの動作を開始する(S002)。無線通信ドライバの動作開始のタイミングは、
図1に示した時間T(c)である。次に、無線通信ドライバが、情報処理装置に設けられたメモリからManufacturer情報を取得し(S003)、無線通信ドライバは、ドライバ内に登録されている特定のベンダーを示すベンダーIDと、取得したManufacturer情報とを比較する(S004)。このタイミングは、
図1に示した時間T(d)である。
【0023】
無線通信ドライバ内のベンダーIDとManufacturer情報とが一致するか否かを判定し(S005)、ベンダーIDとManufacturer情報とが一致した場合(S005:Yes)、情報処理装置の無線通信ドライバは、USB経由で無線通信装置のファームウエアプログラムに対して、無線通信機能のロックを解除する(アンロックする)指示を送信する(S006)。アンロックの指示を送信するタイミングは、
図1に示した時間T(e)である。これによって、情報処理装置は、無線通信装置を用いて無線通信を行うことが可能になる(S007)。
【0024】
一方、無線通信ドライバ内のベンダーIDとManufacturer情報とが一致するか否かを判定し(S005)、ベンダーIDとManufacturer情報とが一致しなかった場合(S005:No)、情報処理装置の無線通信ドライバは、USB経由で無線通信装置のファームウエアプログラムに対して、無線通信機能をロックする、または、ロックを維持する指示を送信する(S008)。これによって、情報処理装置は、無線通信装置を用いて無線通信を行うことを阻止することができる(S009)。
【0025】
以上説明したように、情報処理装置が起動されている場合における無線通信機能の認証は容易である。しかしながら、情報処理装置が無線通信を介して外部より起動される場合などには、情報処理装置は待機状態(少なくともOS部分が起動されていない)にある場合には、上述したような方法では認証を行うことは出来ない。
【0026】
しかしながら、情報処理装置に無線通信機能が内蔵されている場合には、それらは一体として認証されていることが事前に保証されるので、無線通信機能だけを起動し、情報処理装置は待機状態することは容易である。
【0027】
しかしながら、情報処理装置とは独立した無線通信機能を有するポータブル機器を接続して使用される場合には、情報処理装置にポータブル機器が接続されるたびに当該ポータブル機器が接続される情報処理装置が正当な機器か、すなわち、使用を許可された情報処理装置であるかを確認する必要がある。
【0028】
このような状況下において、上述した無線通信を介して情報処理装置を起動する機能を持つポータブル機器を使用して情報処理装置を外部から起動するためには、情報処理装置が待機状態であっても、ポータブル機器が情報処理装置の認証を行う必要がある。
【0029】
以下、添付された図面を参照し、本発明を実施するための実施形態について詳述する。
【0030】
本件では一例として、ポータブル機器は、無線通信機能を有し、情報処理装置に接続されて使用される無線通信装置を前提として説明している。
【0031】
以下、
図3〜
図9を用いて、本件のポータブル機器が接続される情報処理装置に対する処理について説明する。情報処理装置100およびポータブル機器である無線通信装置200は、インターフェイスとしてUniversal Serial Bus(USB)端子を用いており、USBケーブルなどを用いて相互に着脱可能に接続される。
【0032】
図3は、本発明における情報処理装置およびそれに接続される無線通信装置のハードウエア構成の一例を示す。
【0033】
情報処理装置100は、情報処理装置100に接続される無線通信装置200を用いて、不図示の無線WAN基地局との間で無線通信を行うことが可能に構成される。情報処理装置100は、例えば、タブレット端末やノートPCなどである。
【0034】
無線通信装置200を用いて行われる通信の規格としては、例えば、Global System for Mobile Communications(GSM(登録商標))やLong Term Evolution(LTE(登録商標))、Wideband Code Division Multiple Access(WCDMA(登録商標))方式、High Speed Packet Access(HSPA)、HSPA Evolution(HSPA+)などが使用される。
【0035】
情報処理装置100は、CPU001および少なくとも第1メモリ002および第2メモリ003、I/Oコントローラ004、I/F回路005を備える。CPU001は、情報処理装置100の各種動作を実行するための処理装置である。
【0036】
CPU001は、後述する第1メモリ002に格納されている基本ソフトウエアであるOSを実行する。OSは、情報処理装置100のハードウエアの管理など入出力制御ソフトウエアとアプリケーションソフトウエアを動作させる基本機能を実現する基本ソフトウエアである。OSとしては、例えば、Microsoft(登録商標)Windows(登録商標)やAndroid(登録商標)、UNIX(登録商標)などのOSを用いることができる。
【0037】
第1メモリ002は、情報処理装置100のOSや、情報処理装置100において実行される各種プログラムの実行に必要なデータを記憶する記憶装置である。CPU001は、OSや各種プログラムを第1メモリ002から読み出して実行する。第1メモリ002としては、Hard Disk Drive(HDD)やフラッシュメモリなどの不揮発記憶装置が用いられる。さらに、第1メモリ002は、入出力制御ソフトウエアであるBIOS、アプリケーションソフトウエアのプログラムが格納されている。
【0038】
第2メモリ003は、CPU001が実行するプログラムや種々のデータや、CPU001の動作により得られたデータ等を一時的に格納する記憶装置である。第2メモリ003としては、Random Access Memory(RAM)などを使用することができる。
【0039】
I/F回路005は、情報処理装置100と、無線通信装置200などの外部装置との入出力を行うためのインターフェイスである。本件では、I/F回路005は、USB端子で構成されているものとして説明する。情報処理装置100は、USB端子を用いて、同じくUSB端子が設けられた無線通信装置200と相互接続される。
【0040】
I/Oコントローラ004は、CPU001、第1メモリ002、第2メモリ003、I/F回路005を、バスを介して相互接続する。I/Oコントローラ004としては、例えば、ノースブリッジやサウスブリッジ、統合チップセットなどを使用することができる。
【0041】
I/Oコントローラ004は、情報処理装置100が待機状態に設定されている場合には、OSが起動されていない状態であっても、I/F回路005であるUSB端子に接続されたポータブル機器に対して常時給電を行うことが出来るように構成され、CPU001に対し、BIOSやOSの起動を行うことが出来るように、不図示の電源制御回路を制御することによって実現されている。
【0042】
次に、無線通信装置200について説明する。無線通信装置200は、CPU006、第3メモリ007、第4メモリ008、I/F回路009、電源回路010、無線通信機能であるRF回路011を備える。
【0043】
CPU006は、電源回路010、RF回路011の制御、第3メモリ007に格納されたファームウエアの実行を行う。
【0044】
第3メモリ007は、無線通信装置200において実行される各種プログラムの実行に必要なデータを記憶する記憶装置である。CPU006は、ファームウエアや各種プログラムを第3メモリ007から読み出して実行する。第3メモリ007としては、フラッシュメモリなどの不揮発記憶装置が用いられる。
【0045】
第4メモリ008は、CPU006が実行するプログラムや種々のデータや、CPU006の動作により得られたデータ等を一時的に格納する記憶装置である。第4メモリ008としては、Random Access Memory(RAM)などを使用することができる。
【0046】
I/F回路009は、情報処理装置100と無線通信装置200との入出力を行うためのインターフェイスであり、情報処理装置100のUSB端子に接続される。
【0047】
電源回路010は、I/F回路009を介して情報処理装置100より給電を受けて 無線通信装置200全体の電源に関する制御を行うものである。
【0048】
RF回路011は、情報処理装置100に接続された無線通信装置200と無線WAN基地局との間で無線WAN通信を行う際に、電波の送受信を行うアンテナを有し、不図示のSIMカードに格納されている情報に基づいて、無線WAN通信を行う。
【0049】
次に
図4を用いて、情報処理装置100としてパーソナルコンピュータであり、無線通信装置200としてUSB接続の無線通信機能を有するポータブル機器を例にして本発明に関わるシステムを説明する。
【0050】
パーソナルコンピュータ100は、ROMに格納されたBIOS015と、BIOS015とともに動作する電源制御部012、BIOS015が動作するために必要な情報を格納する第1記憶部013と第2記憶部014とより構成されている。
【0051】
また、パーソナルコンピュータ100に接続される外部機器であるハードウエアを制御するためのI/Oコントローラ016が配下に接続され、その先に例えばUSB端子017が接続されている。
【0052】
パーソナルコンピュータ100の第1記憶部013と第2記憶部014は、例えば、パーソナルコンピュータに接続されるハードウエア機器のドライバが格納されるとともに、接続可能な外部機器のリストが記憶されている。例えば、冒頭で説明したFCCの認証機器の情報が格納されており、外部機器がUSB端子017と接続された時に当該機器が使用可能な機器か否かをBIOS015で判断できるように構成されている。
【0053】
パーソナルコンピュータ100のBIOS015は、基本ソフトウエアであるOS018を起動する。OS018が起動されると、アプリケーションソフトウエア019が当該OS018上で動作し、所望の処理が実行される。これらBIOS015、OS018を含め、全てのソフトウエアはCPU020および必要となる各種制御情報が格納される主記憶部021により処理が行われる。
【0054】
このパーソナルコンピュータ100においては、BIOS015まで起動され、OS018が起動されずに待機するモードが設けられている。そして、この待機状態においては、電源制御部012は、USB端子017を介して、このUSB端子017に接続されるポータブル機器200に対して電源が供給されるようになっているとともに、BIOS015のレベルにおいて、ポータブル機器200との間で限られたコマンドを実行可能となっている。
【0055】
このパーソナルコンピュータ100のBIOS015のレベルで実行可能なコマンドとしては次のものが含まれる。
【0056】
(a)ポータブル機器200からの固有情報の要求を受信し、ベンダーIDなどの固有情報(Manufacturer情報)を送出するためのコマンド処理。
【0057】
(b)ポータブル機器200からの起動信号を受信したことによって、OS018を起動するためのコマンド処理。
【0058】
(c)OS018で実行される一部のアプリケーション指定と当該アプリケーションの実行完了をポータブル機器200に通知するコマンド処理。
【0059】
そして、これらのコマンド処理を行うためのプログラムが第1記憶部013に不揮発の状態で格納されている。また、ベンダーIDなどの固有情報(Manufacturer情報)については、固有情報を読み出して書き換え不可能な状態で例えは第2記憶部014に格納される。
【0060】
また、パーソナルコンピュータ100に格納されたアプリケーションソフトウエア019には、BIOS015を経由してポータブル機器200から受信した起動信号とともに指定されるアプリケーションとして、機器保全のためのアプリケーションソフトウエアが含まれている。このアプリケーションソフトウエアは、パーソナルコンピュータ100に格納された情報のうち、予め決められた情報を消去する処理を実行する。
【0061】
次にポータブル機器200について説明する。
【0062】
ポータブル機器200は、USB端子017を経由してパーソナルコンピュータ100に接続するためのUSB端子030を有する。
【0063】
ポータブル機器200は、図示しないCPUを含む制御部031を有し、制御部031に対して、第3記憶部034および第4記憶部035が接続される。
【0064】
さらにホータブル機器200の制御部031には、無線通信機能である図示しないアンテナを含む無線通信部であるRF部033が接続され、通信に必要なプロトコル制御などを行う。
【0065】
なお、このポータブル機器200はこれに限定されないが、電源供給をUSB端子030からパーソナルコンピュータ100より供給受けるとともに、電源制御部032によりポータブル機器200の電源供給が制御される。
【0066】
ポータブル機器200の第3記憶部034は、無線通信装置200において実行される各種プログラムの実行に必要なデータを記憶する。そしてポータブル機器200の制御部031は、ファームウエアや各種プログラムを第3記憶部034から読み出して実行する。第3記憶部034は、ポータブル機器200の無線通信機能を使用することが許可されたパーソナルコンピュータ100の固有情報を示すリストが格納されている。この固有情報は、書き換え不可能な状態が格納されているのが好ましい。
【0067】
ポータブル機器200の第4記憶部035は、制御部031が実行するプログラムや種々のデータや、制御部031の動作により得られたデータ等を一時的に格納するために使用される。
【0068】
この本発明に係るポータブル機器200は、常時無線通信が可能な状態で待機することが出来、外部からの起動信号を受信可能に構成されている。このため、制御部031は、第3記憶部034に記憶されたプログラムにより、自己に対する起動信号であることを判断することが出来るとともに、当該起動信号を受信したことと、後述するように接続されているパーソナルコンピュータ100が、無線通信機能を使用することが許可されていることが確認されていることを条件にパーソナルコンピュータ100に対して起動信号を出力するように構成されている。
【0069】
ここで、
図5を用いて、本発明の無線通信システムにおける無線通信部のロック/アンロック処理の一例を示すフローチャートを説明する。なお、
図4では、情報処理装置100の例としてパーソナルコンピュータを、無線通信装置200の例としてポータブル機器として説明したが、以下の処理の説明は、情報処理装置100、無線通信装置200として説明する。
【0070】
無線通信装置200は、情報処理装置100に接続され、情報処理装置100からの電源の供給により、電源をONにする(S101)。
【0071】
無線通信装置200の制御部031は、情報処理装置100との接続確認プロセスであるUSB Enumeration(以下、USBエニュメレーション)を行い(S102)、Descriptor情報を取得する(S103)。本実施例では、USB Enumurationを用いているが、情報処理装置100と無線通信装置200との情報のやり取りを行う処理であれば代替できる。
【0072】
制御部031は、Descriptor情報からベンダーIDを取得し、第4メモリ008に保存する(S104)。制御部031は、第3記憶部034に格納されているファームウエアを起動し、第3記憶部034に格納されているベンダーIDと、ステップS104で取得したベンダーIDと比較する(S105)。ここで、ベンダーIDは、無線通信機能に関する規制の認証に関する情報として取り上げているが、本発明は、無線通信機能に関するもののみでなく、接続される情報処理装置100が無線通信装置200などのポータブル機器が接続され使用できるものかどうかを示す情報であればよい。
【0073】
制御部031は、第3記憶部034に格納されているベンダーIDと、ステップS104で取得したベンダーIDとが同じであるか否か比較し判定を行う(S106)。
【0074】
第3記憶部034に格納されているベンダーIDと、ステップS104で取得したベンダーIDとが同じである場合(S106:Yes)、制御部031は、無線通信機能のロック/アンロック機能により、第3記憶部034にアンロック状態であることを書き込む(S107)。制御部031は、第3記憶部034に書き込まれたアンロック状態に基づき、無線通信機能をアンロック状態とし、無線通信を行うことができる(S108)。
【0075】
一方、第3記憶部034に格納されているベンダーIDと、ステップS104で取得したベンダーIDとが同じでない場合(S106:No)、制御部031は、無線通信機能のロック/アンロック機能により、第3記憶部034にロック状態であることを書き込む(S109)。制御部031は、第3記憶部034に書き込まれたロック状態に基づき、無線通信機能をロック状態とし、無線通信の機能を無効とする(S110)。
【0076】
次に
図6を用いて、情報処理装置100の状態と無線通信部のロック/アンロック処理の関係を説明する。
【0077】
図6においては、図面の上側より、
図4における情報処理装置100の電源の状態、BIOS015の状態、第2記憶部014の状態、OS018の状態を示し、最後に無線通信装置200の状態を示す。そして、図面の左から右に時間的な経過を示す。
【0078】
図4で説明したように、本発明では、情報処理装置100(
図4)が待機状態である時に無線通信装置200が動作する必要がある。そこで、情報処理装置100は待機状態として電源が投入され、
図4におけるBIOS015が起動される。このBIOS015は、POSTと呼ばれている処理を実行する。POSTとは、情報処理装置100に接続されている外部機器にアクセスし初期化を行うとともに、ベンダーIDであるManufacturer情報を取得し、第2記憶部014に書き込む。
【0079】
一方、無線通信装置200は、情報処理装置100に電源が投入されることにより、USB端子017、030を介して電源が供給され、実行に必要なファームウエアが第3記憶部034から読み出され制御部031で実行されるとともに、情報処理装置100との間でUSBエニュメレーション処理が開始される。USBエニュメレーション処理には、GET DESCRIPTORの処理があり、無線通信装置200は、この処理の中で、情報処理装置100から、第2記憶部014に記憶されたベンダーIDを取得する。
【0080】
そして、
図5の処理フローチャートで説明したように、無線通信部のロック/アンロック処理が実行される。
【0081】
情報処理装置100は待機モードになっているため、OS018が起動されない状態で待機状態となる。
【0082】
その後、無線通信装置200が無線通信を介して起動信号を受信すると、無線通信機能がアンロックされていることを条件にその起動信号に基づき、情報処理装置100のOS018の起動信号を発することで、OS018が起動されることとなる。
【0083】
次に
図7を使用して、
図4におけるポータブル機器200の起動信号の受信から情報処理装置100への起動信号送出までのフローチャートを説明する。
【0084】
ポータブル機器200は、パーソナルコンピュータ100が待機状態になっている時にパーソナルコンピュータ100からの電源の供給受けて、無線通信機能が動作状態となっている。この状態において、無線通信を介して外部より起動信号の受信を待つ(S201:No)。
【0085】
この状態で起動信号を受信した場合(S201:Yes)、
図5および
図6で説明した無線通信部のロック/アンロック処理の結果、アンロック状態になっていることを第3記憶部034のフラグを確認し、通信が許可されている状態か否かを判断する(S202)。その判断の結果、通信が許可されている場合(S202:Yes)は、起動信号をUSB端子030を介してパーソナルコンピュータ100に送出する(S204)。一方、通信が許可されていない場合(S202:No)は、起動信号を送信した送信元に対して起動不可状態があることを送信し(S203)、無線通信を介して外部より起動信号の受信を待つ(S201)。
【0086】
なお、この実施例においては、外部からの起動信号を受信した場合にポータブル機器200の通信が許可されていない場合に起動信号を発信した元に起動不可状態を返信するために、通信が許可されていない場合でも無線通信装置を動作させているが、返信することが必要では無い場合には、無線通信機能を機能しない状態することも出来る。
【0087】
次に
図8を使用して、
図4におけるパーソナルコンピュータ100におけるポータブル機器200から起動信号を受信した場合の処理のフローチャートについて説明する。
【0088】
なお、この実施例では例えばパーソナルコンピュータ100の一部の情報を外部よりリモートで消去する場合を例に説明する。
【0089】
パーソナルコンピュータ100は、待機状態(OS018は起動されていない状態)となっており、BIOS015のレベルにおいて、ポータブル機器200からの信号を受け付け可能な状態となっている。
【0090】
BIOS015は、ポータブル機器200からの起動信号の到来を待つ(S301:No)。ポータブル機器200から起動信号を受信(S301:Yes)すると、BIOS015は、OS018を起動する(S302 )。また、起動信号には動作すべきアプリケーションソフトウエア019が指定されている(必須ではない)。
【0091】
パーソナルコンピュータ100は、OS018が起動された後に指定されたアプリケーションソフトウエア019を起動(S303)し、保全処理を実行する(S304)。保全処理とは、例えば、パーソナルコンピュータ100に格納されているユーザ情報を消去するような処理を行う。これは、パーソナルコンピュータ100が盗難にあったり、紛失したりした場合に有効である。
【0092】
保全処理が終了すると、終了したことをポータブル機器200に対して起動信号を無線送信した送信元に通知するために完了報告をポータブル機器200に送出する(S305)。なお、ここでは説明していないが、これらの処理を全て完了した後にOS018をシャットダウンし、再び待機状態としても良い。
【0093】
次に
図9を使用して、
図4におけるポータブル機器200における処理完了報告のための処理のフローチャートを説明する。
【0094】
ポータブル機器200は起動信号をパーソナルコンピュータ100に送出した後に完了報告を待つ(S401:No)。そして処理完了報告を受領すると(S401:Yes)と一つの実施例として保全処理が完了したことを示す保全完了報告を先に起動信号を送信した送信元に対して送信する(S402)。
【0095】
以上説明したように、本発明では、パーソナルコンピュータ100のような情報処理装置が待機状態におかれても、無線通信機能を有するポータブル機器200が無線通信可能な情報処理装置100に接続されていることを確認しながら、外部からの起動信号を受信することが可能となる。