(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記第2ステップにおいて、さらに、前記幹線の相回転方向を維持するように、前記幹線と前記分岐線との接続相を決定する、請求項1又は請求項2に記載の接続相決定方法。
前記幹線は、第1相の交流電流が流れる第1幹線、第2相の交流電流が流れる第2幹線及び第3相の交流電流が流れる第3幹線を有し、前記分岐線は、第1分岐線、第2分岐線及び第3分岐線を有し、
前記第2ステップは、
前記第1幹線と前記第1分岐線とを接続し、前記第2幹線と前記第2分岐線とを接続し、前記第3幹線と前記第3分岐線とを接続した接続相における、前記幹線逆相電流値と前記分岐線逆相電流値との和である第1接続相逆相電流和と、
前記第1幹線と前記第2分岐線とを接続し、前記第2幹線と前記第3分岐線とを接続し、前記第3幹線と前記第1分岐線とを接続した接続相における、前記幹線逆相電流値と前記分岐線逆相電流値との和である第2接続相逆相電流和と、
前記第1幹線と前記第3分岐線とを接続し、前記第2幹線と前記第1分岐線とを接続し、前記第3幹線と前記第2分岐線とを接続した接続相における、前記幹線逆相電流値と前記分岐線逆相電流値との和である第3接続相逆相電流和と、を算出し、
前記第1接続相逆相電流和、前記第2接続相逆相電流和及び前記第3接続相逆相電流和のうち、絶対値が最小である場合における接続相を、前記幹線と前記分岐線との接続相として決定する、請求項3に記載の接続相決定方法。
前記第1ステップにおいて、前記幹線逆相電流値を、前記分岐線と接続される箇所よりも下流における前記幹線の電流値を測定することにより取得し、前記分岐線逆相電流値を、前記幹線と接続される箇所における前記分岐線の電流値を測定することにより取得する、請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の接続相決定方法。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下に添付図面を参照して、本発明の好適な実施形態を詳細に説明する。なお、この実施形態により本発明が限定されるものではなく、また、実施形態が複数ある場合には、各実施例を組み合わせて構成するものも含むものである。
【0018】
(配電系統の構成について)
図1は、本実施形態における配電系統を示す模式図である。
図1に示すように、配電系統10は、送電線2、変圧器4、幹線L、複数の分岐線SL及び複数の柱上変圧器Trを有する。配電系統10は、発電所より送電される電力を変圧器4により降圧し、幹線L及び分岐線SLにより配電し、柱上変圧器Trを介して家庭等の負荷に配電する。
【0019】
送電線2は、発電所から三相交流電力が送電される。送電線2は、例えば66kV(キロボルト)の電圧振幅を有する送電用の三相交流電力が送電される。変圧器4は、送電線2と電気的に接続される変圧器である。変圧器4は、送電線2に送電された66kVの送電用の三相交流電力を、6.6kVの電圧振幅を有する配電用の三相交流電力に降圧する。以下、6.6kVの配電用の三相交流電力により流れる三相交流電流を、適宜配電電流と記載する。配電電流は、三相交流電流のうちの第1相であるA相電流と、第2相であるB相電流と、第3相であるC相電流とを有する。A相電流、B相電流、C相電流とは、それぞれ電流値の振幅が等しい。また、B相電流は、A相電流よりも120°位相が遅れている。C相電流は、B相電流よりも、120°位相が遅れている。
【0020】
幹線Lは、三相交流電流が配電される配電線である。幹線Lは、一方の端部である上流端12が変圧器4と電気的に接続される。幹線Lは、変圧器4から、配電電流が配電される。幹線Lは、他方の端部である末端14が開放されている。幹線Lは、A相電流が配電される第1幹線である幹線LAと、B相電流が配電される第2幹線である幹線LBと、C相電流が配電される第3幹線である幹線LCとを有する。
【0021】
分岐線SLは、幹線Lから分岐されて三相交流電流が配電される配電線である。分岐線SLは、幹線Lの配電電流が流れる方向に沿って、複数設けられている。本実施形態に係る配電系統10は、n個の分岐線SL(分岐線SL
1、分岐線SL
2、分岐線SL
3、・・・、分岐線SL
n)が設けられている。ここで、nは2以上の整数である。分岐線SL
1は、ポイントP
1で幹線Lから分岐されている。分岐線SL
2は、ポイントP
1よりも上流端12側のポイントP
2で幹線Lから分岐されている。分岐線SL
3は、ポイントP
2よりも上流端12側のポイントP
3で幹線Lから分岐されている。分岐線SL
nは、ポイントP
n−1(図示省略)よりも上流端12側のポイントP
nで幹線Lから分岐されている。すなわち、分岐線SLは、分岐線SL
1、SL
2、SL
3、・・・、SL
nの順で、幹線Lの末端14から上流端12に向かって配置されている。
【0022】
分岐線SLは、第1分岐線としての分岐線SLX、第2分岐線としての分岐線SLY、第3分岐線としての分岐線SLZを有する。したがって、分岐線SL
1は、分岐線SLX
1、分岐線SLY
1及び分岐線SLZ
1を有する。分岐線SL
2は、分岐線SLX
2、分岐線SLY
2及び分岐線SLZ
2を有する。分岐線SL
3は、分岐線SLX
3、分岐線SLY
3及び分岐線SLZ
3を有する。分岐線SL
nは、分岐線SLX
n、分岐線SLY
n及び分岐線SLZ
nを有する。本実施形態において、分岐線SLXは、幹線LAと接続される。分岐線SLYは、幹線LBと接続される。分岐線SLZは、幹線LCと接続されている。
【0023】
複数の柱上変圧器Trは、それぞれ、ポイントP
Trを介して、幹線Lまたは分岐線SLに接続されている。それぞれの柱上変圧器Trは、幹線Lまたは分岐線SLの任意の位置に、配置されている。柱上変圧器Trは、例えば配電電流に対応する配電用の三相交流電力の電圧振幅(6.6kV)を、100V又は200Vの電圧振幅を有する負荷用電力に降圧する。柱上変圧器Trは、負荷Rに接続されている。負荷Rは、例えば家庭の電気機器である。柱上変圧器Trは、負荷Rに降圧した電力により発生する電流を配電する。なお、柱上変圧器Trは、定格容量(kVA)が定められている。柱上変圧器Trは、定格容量で定めた電力量の範囲内で電力(電流)を配電する。なお、柱上変圧器Trの配置は、幹線L及び分岐線SLに接続されるものであれば、その配置は任意である。
【0024】
また、配電系統10は、営業所20が設けられている。営業所20は、配電系統10の制御を行う作業員が待機している場所である。営業所20は、接続相決定装置30が設けられている。接続相決定装置30は、幹線Lと分岐線SLとの接続相を決定する。作業員は、接続相決定装置30が決定した幹線Lと分岐線SLとの接続相に基づいて、幹線Lと分岐線SLとの接続相を変更する。接続相決定装置30は、営業所20に設けられていなくてもよい。接続相決定装置30は、例えば発電所や変電所等に設けられていてもよい。接続相決定装置30については、後述する。
【0025】
(電圧不平衡について)
次に、電圧不平衡について説明する。電圧不平衡とは、各線間電圧の振幅が等しく、且つ、線間電圧の位相が120°異なる三相交流電圧において、各線間電圧の振幅が異なったり、線間電圧の位相がずれたりすることである。各線間電圧の振幅が異なるとは、例えばA相電流における電圧振幅と、B相電流における電圧振幅と、C相電流における電圧振幅とが互いに異なることをいう。また、線間電圧の位相がずれるとは、例えば、A相電流とB相電流との位相差、B相電流とC相電流との位相差、C相電流とA相電流との位相差の少なくとも1つの位相差が120°とならないことをいう。
【0026】
配電系統10は、幹線Lで電圧不平衡が発生すると柱上変圧器Trに供給される電圧が目標の電圧に対してずれてしまう。このように、柱上変圧器Trに供給される電圧のずれが大きくなると、柱上変圧器Trに接続される負荷Rの誤動作が発生する恐れがある。従って、配電系統10は、幹線Lにおける電圧不平衡の値を小さくすることが望ましい。
【0027】
電圧不平衡率は、正相電圧に対する逆相電圧の割合で示される。ここで、電圧不平衡率をεとし、正相電圧をV
Pとし、逆相電圧をV
Nとしたとき、電圧不平衡率εは、次の式(1)で表される。
【0028】
ε(%)=|V
N|/|V
P|・100 ・・・(1)
【0029】
正相電圧V
P、逆相電圧V
Nは、例えば対称座標法により算出することができる。
【0030】
(逆相電流について)
次に、逆相電流について説明する。
図2は、三相交流電流のベクトル値の例を示した図である。
図2は、電圧不平衡が起きている場合におけるA相電流、B相電流、C相電流のベクトル値の例を示している。
図2の横軸は実軸であり、縦軸は虚軸である。ここで、A相電流をI
Aとし、B相電流をI
Bとし、C相電流をI
Cとする。
図2の例においては、A相電流I
A、B相電流I
B及びC相電流I
Cは、互いに絶対値(スカラー値)が異なっている。また、B相電流I
Bは、A相電流I
Aから位相が遅れており、C相電流I
Cは、B相電流I
Bから位相が遅れており、角度は等間隔になっていない。
【0031】
図3は、三相交流電流における逆相電流のベクトル値の例を示した図である。
図3の横軸は実軸であり、縦軸は虚軸である。逆相電流I
Nは、配電電流に電流不平衡が発生している場合に発生する。逆相電流値I
Nは、配電電流の電流値に基づいて例えば対称座標法により算出される。ここで、A相電流I
A、B相電流I
B、C相電流I
Cが与えられた場合、A相電流I
A,B相電流I
B,C相電流I
Cの各成分うち、電流の絶対値が等しく、位相の等間隔な逆回転方向の三相電流の成分が逆相電流となる。
図2に示された電流による逆相電流は、
図3のようにA相逆相電流IN
A、B相逆相電流IN
B、C相逆相電流IN
Cの3つの電流成分で構成される。ここで、逆相電流は、3相の逆相電流の電流成分のうち1つの電流成分が与えられれば、他の2つの電流成分は一意に決まる。従って、以下、逆相電流のうち、A相逆相電流IN
Aを代表電流成分とし、以降では逆相電流を適宜I
Nと表記することにする。なお、この逆相電流I
Nの値は一例であり、配電系統10に流れる電流の状態によって異なるものとなる。
【0032】
逆相電圧V
Nを、ポイントP
NとポイントP
N−1との間の電位差(電圧)の逆相電圧とすると、ポイントP
NとポイントP
N−1との間に流れる電流の逆相電流I
N及びポイントP
NとポイントP
N−1との間の線路インピーダンスZ
Nを用いて、次の式(2)で算出できる。
【0034】
従って、電圧不平衡率の増加を小さくするには、逆相電流I
Nの値を小さくすればよい。そして、逆相電流I
Nの値は、A相電流I
A、B相電流I
B及びC相電流I
Cの値により決定されるため、幹線LA、LB、LCに接続される負荷Rによって異なる。さらに言えば、幹線LA、LB、LCは、分岐線SLX、SLY、SLZと接続されている。分岐線SLX、SLY、SLZは、複数の負荷Rに接続されているため、幹線LA、LB、LCと、分岐線SLX、SLY、SLZとの接続(接続相)を調整することにより、逆相電流I
Nの値を小さくすることが可能となる。
【0035】
(接続相決定装置について)
次に、接続相決定装置30について説明する。
図4は、接続相決定装置の構成を示すブロック図である。
図5は、接続相を決定するための配電系統の説明図である。接続相決定装置30は、逆相電流I
Nの値を小さくするような幹線Lと分岐線SLとの接続相を決定する。
図4に示すように、接続相決定装置30は、電流値取得部32と、分岐線情報部31と、幹線逆相電流値算出部34と、分岐線逆相電流値算出部35と、逆相電流和算出部36と、逆相電流和比較部38と、接続相決定部40と、を有する。
【0036】
図5に示す幹線Lと分岐線SL
iとの接続相決定を例にして、接続相決定装置30による幹線Lと分岐線SLとの接続相決定方法を説明する。接続相決定装置30は、幹線Lと分岐線SL
iが接続される箇所の上流における幹線Lの電圧不平衡を抑制するように、幹線Lと分岐線SL
iとの接続相を決定する。幹線Lと分岐線SL
iとの接続相の決定とは、ポイントP
iにおいて、幹線LA、LB、LCのそれぞれに、分岐線SLX
i、SLY
i、SLZ
iのうちいずれを接続するかを決定することをいう。なお、本実施形態に係る配電系統10は、初期状態として、幹線LAと分岐線SLX
iとが接続され、幹線LBと分岐線SLY
iとが接続され、幹線LCと分岐線SLZ
iとが接続されている。
【0037】
分岐線情報部31は、作業者から、接続相を決定すべき分岐線SLの情報が入力される。すなわち、分岐線情報部31は、複数の分岐線SLのうちから、分岐線SL
iについて接続相を決定すべき分岐線SLとする旨の情報が入力される。言い換えれば、分岐線情報部31は、接続相を決定すべき分岐線SL
iの、複数の分岐線SLにおける位置情報が入力される。分岐線情報部31は、分岐線SL
iに対応する電流値を取得する旨の情報を、電流値取得部32に出力する。
【0038】
電流値取得部32は、
図5に示すポイントP
iの下流において幹線LAに流れるA相電流I
Aiと、ポイントP
iの下流において幹線LBに流れるB相電流I
Biと、ポイントP
iの下流において幹線LCに流れるC相電流I
Ciとの電流値を取得する。ここで、ポイントP
iの下流において幹線LAに流れるA相電流I
Ai、B相電流I
Bi、C相電流I
Ciは、各幹線Lに分岐線SLX
i、SLY
i、SLZ
iが接続された箇所の末端14側における電流値である。言い換えれば、A相電流I
Ai、B相電流I
Bi、C相電流I
Ciは、ポイントP
iの末端14側に隣接する柱上変圧器Trと、ポイントP
iとの間における電流値である。以下、A相電流I
Ai、B相電流I
Bi、C相電流I
Ciを、適宜ポイントP
iにおける幹線下流電流値と記載する。
【0039】
また、電流値取得部32は、ポイントP
iにおいて分岐線SLX
iに流れる電流I
Xi(ここではA相電流)と、ポイントP
iにおいて分岐線SLY
iに流れる電流I
Yi(ここではB相電流)と、ポイントP
iにおいて分岐線SLZ
iに流れる電流I
Zi(ここではC相電流)との電流値を取得する。ここで、電流I
Xi、I
Yi、I
Ziは、分岐線SLX
i、SLY
i、SLZ
iの幹線L側の端部における電流値である。以下、電流I
Xi、I
Yi、I
Ziを、適宜ポイントP
iにおける分岐線電流と記載する。
【0040】
電流値取得部32は、A相電流I
Ai、B相電流I
Bi、C相電流I
Ci及び分岐線電流I
Xi、I
Yi、I
Ziの電流値を算出する。幹線L及び分岐線SLの各部における電流値は、幹線Lの上流端における配電電流に対応する電圧と、幹線L及び複数の分岐線SLと柱上変圧器Trとの接続関係と柱上変圧器Trの定格容量とから算出することができる。電流値取得部32は、この関係を用いて、柱上変圧器Trの定格容量に基づき、A相電流I
Ai、B相電流I
Bi、C相電流I
Ci及び分岐線電流I
Xi、I
Yi、I
Ziの電流値を算出する。電流値取得部32は、A相電流I
Ai、B相電流I
Bi、C相電流I
Ciの電流値の情報を、幹線逆相電流値算出部34に出力する。電流値取得部32は、分岐線電流I
Xi、I
Yi、I
Ziの電流値の情報を、分岐線逆相電流値算出部35に出力する。
【0041】
幹線逆相電流値算出部34は、電流値取得部32から、幹線下流電流値(ここではA相電流I
Ai、B相電流I
Bi、C相電流I
Ciの電流値)の情報を取得する。幹線逆相電流値算出部34は、A相電流I
Ai、B相電流I
Bi、C相電流I
Ciの電流値から、ポイントP
iの下流において幹線Lに流れる逆相電流値である幹線下流逆相電流I
N0iの電流値を算出する。幹線逆相電流値算出部34は、A相電流I
Ai、B相電流I
Bi、C相電流I
Ciの電流値から、対称座標法により、幹線下流逆相電流I
N0iを算出する。幹線逆相電流値算出部34は、算出した幹線下流逆相電流I
N0iの電流値の情報を、逆相電流和算出部36に出力する。
【0042】
分岐線逆相電流値算出部35は、電流値取得部32から、分岐線電流値(ここでは分岐線電流I
Xi、I
Yi、I
Ziの電流値)の情報を取得する。分岐線逆相電流値算出部35は、分岐線電流I
Xi、I
Yi、I
Ziの電流値から、ポイントP
iにおいて分岐線SL
iに流れる逆相電流値である分岐線逆相電流の電流値を、接続相毎に複数算出する。
【0043】
以下、接続相毎の分岐線逆相電流の算出方法について説明する。以下の説明では、分岐線電流I
Xiの電流値は、分岐線電流I
Yiの電流値よりも大きいものとする。また、分岐線電流I
Yiの電流値は、分岐線電流I
Ziの電流値よりも大きいものとする。また、分岐線電流I
Xiと分岐線電流I
Yiとの位相差を位相差θ
1−2とし、分岐線電流I
Yiと分岐線電流I
Ziとの位相差を位相差θ
2−3とし、分岐線電流I
Ziと分岐線電流I
Xiとの位相差を位相差θ
3−1とする。以下の説明では、位相差θ
1−2と位相差θ
2−3と位相差θ
3−1とは、互いに値が異なる。ただし、これらの分岐線電流の電流値及び位相差の関係は、一例である。
【0044】
図6Aは、第1接続相における分岐線と幹線との接続状態を示す模式図である。
図6Bは、第1接続相における分岐線電流の一例を説明したベクトル図である。
図6Cは、第1接続相における逆相電流の一例を説明したベクトル図である。上述のように、配電系統10は、初期状態として、
図6Aに示すように、幹線LAと分岐線SLX
iとが接続され、幹線LBと分岐線SLY
iとが接続され、幹線LCと分岐線SLZ
iとが接続されている。この接続状態を、適宜、第1接続相と記載する。
【0045】
図6A及び
図6Bに示すように、第1接続相では、分岐線電流I
XiがA相電流となり、分岐線電流I
YiがB相電流となり、分岐線電流I
ZiがC相電流となる。分岐線逆相電流値算出部35は、第1接続相におけるポイントP
iで分岐線SL
iに流れる分岐線逆相電流を、電流I
XiをA相電流とし、電流I
YiをB相電流とし、電流I
ZiをC相電流として、対称座標法により算出する。
【0046】
第1接続相での分岐線逆相電流は、
図6Cに示すように、分岐線A相逆相電流IN
A1iと、分岐線B相逆相電流IN
B1iと、分岐線C相逆相電流IN
C1iとの、逆回転の電流である。ここでは、分岐線A相逆相電流IN
A1iを、第1接続相での分岐線逆相電流IN
1iと記載する。
【0047】
図7Aは、第2接続相における分岐線と幹線との接続状態を示す模式図である。
図7Bは、第2接続相における分岐線電流の一例を説明したベクトル図である。
図7Cは、第2接続相における逆相電流の一例を説明したベクトル図である。
図7Aが示すように、幹線LAと分岐線SLY
iとが接続され、幹線LBと分岐線SLZ
iとが接続され、幹線LCと分岐線SLX
iとが接続されている接続状態を、第2接続相とする。第2接続相は、第1接続相から、幹線Lの相回転方向を維持する接続相である。
【0048】
図7A及び
図7Bに示すように、第2接続相では、分岐線電流I
YiがA相電流となり、分岐線電流I
ZiがB相電流となり、分岐線電流I
XiがC相電流となる。分岐線逆相電流値算出部35は、電流I
YiをA相電流とし、電流I
ZiをB相電流とし、電流I
XiをC相電流として、第2接続相におけるポイントP
iで分岐線SL
iに流れる分岐線逆相電流を、対称座標法により算出する。
【0049】
第2接続相での分岐線逆相電流は、
図7Cに示すように、分岐線A相逆相電流IN
A2iと、分岐線B相逆相電流IN
B2iと、分岐線C相逆相電流IN
C2iとの、逆回転の電流である。ここでは、分岐線A相逆相電流IN
A2iを、第2接続相での分岐線逆相電流IN
2iと記載する。
【0050】
図8Aは、第3接続相における分岐線と幹線との接続状態を示す模式図である。
図8Bは、第3接続相における分岐線電流の一例を説明したベクトル図である。
図8Cは、第3接続相における逆相電流の一例を説明したベクトル図である。
図8Aが示すように、幹線LAと分岐線SLZ
iとが接続され、幹線LBと分岐線SLX
iとが接続され、幹線LCと分岐線SLY
iとが接続されている接続状態を、第3接続相とする。第3接続相は、第1接続相から、幹線Lの相回転方向を維持する接続相である。
【0051】
図8A及び
図8Bに示すように、第3接続相では、分岐線電流I
ZiがA相電流となり、分岐線電流I
XiがB相電流となり、分岐線電流I
YiがC相電流となる。分岐線逆相電流値算出部35は、電流I
ZiをA相電流とし、電流I
XiをB相電流とし、電流I
YiをC相電流として、第3接続相におけるポイントP
iで分岐線SL
iに流れる分岐線逆相電流を、対称座標法により算出する。
【0052】
第3接続相での分岐線逆相電流は、
図8Cに示すように、分岐線A相逆相電流IN
A3iと、分岐線B相逆相電流IN
B3iと、分岐線C相逆相電流IN
C3iとの、逆回転の電流である。ここでは、分岐線A相逆相電流IN
A3iを、第3接続相での分岐線逆相電流IN
3iと記載する。
【0053】
以上のように、分岐線逆相電流値算出部35は、電流I
Xi、I
Yi、I
Ziの電流値と、接続相の関係(電流I
Xi、I
Yi、I
Ziが、A相、B相、C相のいずれの相の電流であるかを示す関係)とから、第1接続相での分岐線逆相電流IN
1iを算出する。同様に、分岐線逆相電流値算出部35は、電流I
Xi、I
Yi、I
Ziの電流値と、接続相の関係とから、第2接続相での分岐線逆相電流IN
2iを算出する。同様に、分岐線逆相電流値算出部35は、電流I
Xi、I
Yi、I
Ziの電流値と、接続相の関係とから、第3接続相での分岐線逆相電流IN
3iを算出する。分岐線逆相電流値算出部35は、分岐線逆相電流IN
1i、IN
2i、IN
3iの電流値の情報を、逆相電流和算出部36に出力する。
【0054】
逆相電流和算出部36は、幹線逆相電流値算出部34から、ポイントP
iの下流において幹線Lに流れる逆相電流値である幹線下流逆相電流IN
0iの電流値の情報が入力される。また、逆相電流和算出部36は、第1接続相における分岐線逆相電流IN
1iの電流値、第2接続相における分岐線逆相電流IN
2iの電流値、及び第3接続相における分岐線逆相電流IN
3iの電流値の情報が入力される。
【0055】
逆相電流和算出部36は、幹線下流逆相電流IN
0iの電流値と第1接続相の分岐線逆相電流IN
1iの電流値とのベクトル和の絶対値である第1接続相逆相電流I’N
1i(第1接続相の逆相電流和)を算出する。逆相電流和算出部36は、幹線下流逆相電流IN
0iの電流値と第2接続相の分岐線逆相電流IN
2iの電流値とのベクトル和の絶対値である第2接続相逆相電流I’N
2i(第2接続相の逆相電流和)を算出する。逆相電流和算出部36は、幹線下流逆相電流IN
0iの電流値と第3接続相の分岐線逆相電流IN
3iの電流値とのベクトル和の絶対値である第3接続相逆相電流I’N
3i(第3接続相の逆相電流和)を算出する。逆相電流和算出部36は、算出した第1接続相逆相電流I’N
1iと第2接続相逆相電流I’N
2iと第3接続相逆相電流I’N
3iとの電流値の情報を、逆相電流和比較部38に出力する。
【0056】
逆相電流和比較部38は、第1接続相逆相電流I’N
1iと第2接続相逆相電流I’N
2iと第3接続相逆相電流I’N
3iとの電流値を比較し、最小のものの接続相の情報を、接続相決定部40に出力する。
【0057】
図9は、逆相電流和の一例を示すグラフである。
図9に示す例では、第2接続相逆相電流I’N
2iの絶対値(スカラー値)は、第1接続相逆相電流I’N
1i及び第3接続相逆相電流I’N
3iよりも小さい。この場合、逆相電流和比較部38は、第2接続相の情報を、接続相決定部40に出力する。
【0058】
接続相決定部40は、逆相電流和比較部38から入力された接続相の情報に基づき、入力された接続相を、電圧不平衡を抑制するための接続相として決定する。接続相決定部40は、表示部を有し、電圧不平衡を抑制するための接続相の情報を表示する。作業者は、この接続相の情報に基づき、必要に応じて、幹線Lと分岐線SL
iとの接続相を変更する。
【0059】
また、接続相決定部40は、幹線Lと分岐線SL
iとの接続相を決定したら、分岐線情報部31に、分岐線SL
iについて、決定した接続相の情報を出力する。また、分岐線情報部31は、分岐線SL
iについての接続相の情報が出力されたら、幹線Lの分岐線SL
iが接続されているポイントP
iの上流端12側に分岐線SLが接続されているかを判断する。ポイントP
iの上流端12側において分岐線SLが接続されている場合、分岐線情報部31は、分岐線SL
iが第2接続相で接続された場合における、分岐線SL
i−1に対応する電流値を取得する旨の情報を、電流値取得部32に出力する。なお、分岐線SL
i−1は、分岐線SL
iの上流端12側で、分岐線SL
iと隣接する分岐線である。
【0060】
電流値取得部32は、幹線Lの上流端における配電電流に対応する電圧と、分岐線SL
iが第2接続相で接続された場合における幹線L及び複数の分岐線SLと柱上変圧器Trとの接続関係と、柱上変圧器Trの定格容量とから、分岐線SL
i−1に対応する電流値を取得する。その後、接続相決定装置30は、分岐線SL
iにおいて接続相を決定した処理と同様の処理を行い、分岐線SL
i−1と幹線Lとの接続相を決定する。接続相決定装置30は、この処理を、幹線Lの上流端12側に他の分岐線SLが存在しない分岐線SL
nまで繰り返し、各分岐線SLと幹線Lとの接続相を、上流端12側に向かって順次決定する。
【0061】
次に、接続相決定装置30による幹線Lと分岐線SL
iとの接続相決定処理について、フローチャートに基づき説明する。
図10は、幹線と分岐線との接続相決定処理を説明するフローチャートである。幹線Lと分岐線SL
iとの接続相を決定する場合、接続相決定装置30は、最初に、分岐線情報部31に分岐線SL
iを接続相決定すべき分岐線SLとする旨の情報が入力される。分岐線情報部31は、電流値取得部32に、分岐線SL
iに対応する電流値を取得する旨の情報を出力する。
【0062】
図10に示すように、接続相決定装置30は、電流値取得部32により、ポイントP
iにおける幹線下流電流値と、ポイントP
iにおける分岐線電流値とを取得する(ステップS12)。言い換えれば、電流値取得部32は、A相電流I
Ai、B相電流I
Bi、C相電流I
Ci及び分岐線電流I
Xi、I
Yi、I
Ziの電流値を取得する。電流値取得部32は、A相電流I
Ai、B相電流I
Bi、C相電流I
Ci及び分岐線電流I
Xi、I
Yi、I
Ziの電流値を、柱上変圧器Trの定格容量に基づき算出する。
【0063】
ポイントP
iにおける幹線下流電流値及び分岐線電流値を取得した後、接続相決定装置30は、幹線逆相電流値算出部34により、ポイントP
iの下流において幹線Lに流れる逆相電流値である幹線下流逆相電流IN
0iの電流値を算出する。そして、接続相決定装置30は、分岐線逆相電流値算出部35により、第1接続相、第2接続相及び第3接続相における、ポイントP
iにおいて分岐線SL
iに流れる逆相電流値である分岐線逆相電流の電流値を算出する(ステップS14、第1ステップ)。
【0064】
より詳しくは、幹線逆相電流値算出部34は、A相電流I
Ai、B相電流I
Bi、C相電流I
Ciの電流値から、対称座標法により、幹線下流逆相電流IN
0iを算出する。
【0065】
また、分岐線逆相電流値算出部35は、分岐線電流I
Xi、I
Yi、I
Ziの電流値と接続相の関係とから、第1接続相の分岐線逆相電流IN
1i、第2接続相の分岐線逆相電流IN
2i、及び第3接続相の分岐線逆相電流IN
3iを算出する。
【0066】
幹線下流逆相電流IN
0iの電流値と、第1接続相における分岐線逆相電流IN
1iの電流値、第2接続相における分岐線逆相電流IN
2iの電流値、及び第3接続相における分岐線逆相電流IN
3iの電流値とを算出した後、接続相決定装置30は、逆相電流和算出部36により、第1接続相の逆相電流和と、第2接続相の逆相電流和と、第3接続相の逆相電流和とを算出する(ステップS16)。言い換えれば、逆相電流和算出部36は、幹線下流逆相電流IN
0iの電流値と第1接続相における分岐線逆相電流IN
1iの電流値とのベクトル和の絶対値である第1接続相逆相電流I’N
1iを算出する。また、逆相電流和算出部36は、幹線下流逆相電流IN
0iの電流値と第2接続相における分岐線逆相電流IN
2iの電流値とのベクトル和の絶対値である第2接続相逆相電流I’N
2iを算出する。また、逆相電流和算出部36は、幹線下流逆相電流IN
0iの電流値と第3接続相における分岐線逆相電流IN
3iの電流値とのベクトル和の絶対値である第3接続相逆相電流I’N
3iを算出する。
【0067】
第1接続相の逆相電流和、第2接続相の逆相電流和及び第3接続相の逆相電流和を算出した後、接続相決定装置30は、逆相電流和比較部38により逆相電流和の最小値を算出し、接続相決定部40により、逆相電流和が最小値である場合における接続相を、接続すべき接続相として決定する(ステップS18、第2ステップ)。接続相決定装置30は、例えば第2接続相逆相電流I’N
2iが、第1接続相逆相電流I’N
1i及び第3接続相逆相電流I’N
3iの電流値よりも小さい場合、第2接続相を、接続すべき接続相として決定する。
【0068】
接続相を決定した後、接続相決定装置30は、分岐線情報部31により、分岐線SL
iが接続されるポイントP
iよりも上流端12側に分岐線SLが接続されているかを判断する(ステップS20)。
【0069】
分岐線SL
iが接続されるポイントP
iよりも上流端12側に分岐線SLが接続されている場合(ステップS20でYes)、接続相決定装置30は、電流値取得部32により、決定した接続相で分岐線SL
iと幹線Lとが接続された場合における、分岐線SL
iの上流側に隣接する分岐線SL
i+1に対応するポイントP
i+1での幹線下流電流値と分岐線電流値とを取得する(ステップS22)。その後、ステップS14に戻り、接続相決定装置30は、分岐線SL
i+1と幹線Lとの接続相を決定する。
【0070】
上流端12側に分岐線SLが接続されていないと判断した場合(ステップS20でNo)、接続相決定装置30は、接続相決定処理を終了する。すなわち、接続相決定装置30は、各分岐線SLと幹線Lとの接続相を、上流端12側に向かって順次決定し、最も上流端12側の分岐線SLの接続相を決定したら、接続相決定処理を終了する。
【0071】
以上のように、接続相決定装置30は、分岐線SL
iと接続されるポイントP
iよりも下流における幹線Lの幹線逆相電流値の情報を取得し、幹線Lと接続されるポイントP
iにおける分岐線SL
iの分岐線逆相電流値の情報を、幹線Lと分岐線SL
iとの接続相毎に複数取得する。そして、接続相決定装置30は、幹線逆相電流値と分岐線逆相電流値との和の絶対値が最小となるように、複数の接続相から幹線Lと分岐線SL
iとの接続相を決定する。
【0072】
ここで、ポイントP
iよりも下流における幹線Lの幹線逆相電流値とポイントP
iにおける分岐線SL
iの分岐線逆相電流値との和は、ポイントP
iの上流における幹線Lの逆相電流値となる。従って、接続相決定装置30は、幹線逆相電流値と分岐線逆相電流値との和の絶対値が最小となるように、幹線Lと分岐線SL
iとの接続相を決定することにより、ポイントP
iの上流における幹線Lの逆相電流値を小さくするような接続相を選択することができる。ポイントP
iの上流における幹線Lの逆相電流値が小さくなることにより、ポイントP
iの上流における幹線Lの電圧不平衡は小さくなる。従って、接続相決定装置30は、幹線Lの電圧不平衡を小さくするような幹線Lと分岐線SLとの接続相を決定することができる。
【0073】
さらに、接続相決定装置30は、幹線Lと分岐線SLとの接続相の決定処理を幹線Lの上流端12側に向かって行い、最も上流端12側の分岐線SLの接続相を決定したら、接続相の決定処理を終了する。ポイントP
iの上流における幹線Lの逆相電流値は、その下流側の逆相電流値に応じて変化する。従って、接続相決定装置30は、幹線Lの上流端12側に向かって接続相の決定処理を行うことにより、複数の分岐線SLに対して、幹線Lの電圧不平衡を小さくするような接続相を、より適切に決定することができる。
【0074】
また、接続相決定装置30は、幹線Lにおける配電電流の相回転方向を維持するように、幹線Lと分岐線SLとの接続相を決定する。従って、接続相決定装置30は、例えば負荷Rにおける逆回転を防止し、負荷Rの保護リレーの動作、機器の誤動作または停止を回避することができる。
【0075】
さらに詳しくは、接続相決定装置30は、第1接続相の逆相電流和と、第2接続相の逆相電流和と、第3接続相の逆相電流和とを算出し、第1接続相の逆相電流和と第2接続相の逆相電流和と第3接続相の逆相電流和とのうち、絶対値が最小である場合の接続相を、幹線Lと分岐線SLとの接続相として決定する。従って、接続相決定装置30は、幹線Lの電圧不平衡を小さくするような幹線Lと分岐線SLとの接続相を、適切に決定することができる。
【0076】
また、接続相決定装置30は、幹線逆相電流値と分岐線逆相電流値とを、柱上変圧器Trの定格容量に基づいて算出する。従って、接続相決定装置30は、幹線L及び分岐線SLにおける電流値を測定することなく、幹線Lと分岐線SLとの接続相を決定することができる。
【0077】
ただし、接続相決定装置30は、例えばポイントPiに設けられた電流計が測定したA相電流I
Ai、B相電流I
Bi、C相電流I
Ci及び分岐線電流I
Xi、I
Yi、I
Ziの電流値に基づき、ポイントP
iよりも下流における幹線逆相電流値とポイントP
iにおける分岐線逆相電流値とを算出してもよい。この場合、接続相決定装置30は、幹線逆相電流値と分岐線逆相電流値とを、正確に算出することができる。なお、この場合、接続相決定装置30は、分岐線SL
iの接続相を決定した後、その接続相に従って分岐線SL
iと幹線Lとを接続してから電流値を測定し、その電流値の測定結果に基づき分岐線SL
i+1の接続相を決定する。ただし、この場合においても、分岐線SL
iの接続相を決定した後、その接続相における幹線L及び複数の分岐線SLと柱上変圧器Trとの接続関係と、柱上変圧器Trの定格容量とから、分岐線SL
i+1に対応する電流値を算出してもよい。
【0078】
以上、本発明の実施形態について説明したが、これら実施形態の内容によりこの発明が限定されるものではない。また、前述した構成要素には、当業者が容易に想定できるもの、実質的に同一のもの、いわゆる均等の範囲のものが含まれる。さらに、前述した構成要素は適宜組み合わせることが可能である。さらに、前述した実施形態の要旨を逸脱しない範囲で構成要素の種々の省略、置換又は変更を行うことができる。