(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の一実施形態について、
図1を参照しながら説明する。
図1は、本発明の実施形態の燃料電池システム1を示す概略図である。
図1において、実線はラインを示し、点線は電気的な接続(有線又は無線)を示し、二重線は、電気的な接続(電力を供給するための接続)を示している。また、以下の説明において、「ライン」とは、流路、経路、管路等の総称である。
【0015】
図1に示すように、燃料電池システム1は、燃料電池11と、改質器12と、燃焼器13と、燃料ガス供給部14と、改質水供給端15Aと、改質水量調整部としての改質水量調整ポンプ15Bと、第1カソードガス供給部16と、第2カソードガス供給部17と、第1カソードガス供給量調整ポンプ16Aと、第2カソードガス供給量調整ポンプ17Aと、温度センサ18と、パワーコンディショナ31と、制御部50と、を備える。
【0016】
また、燃料電池システム1は、燃料ガス供給ラインL1と、改質水供給ラインL2と、アノードガス供給ラインL3と、カソードガス供給ラインL4と、アノードオフガスラインL5と、カソードオフガスラインL6と、排ガスラインL7と、導線L8と、電圧供給ラインL9と、を備える。
【0017】
燃料ガス供給ラインL1の上流側端部は、燃料ガス供給部14に接続されている。燃料ガス供給ラインL1の下流側端部は、改質器12に接続されている。燃料ガス供給ラインL1には、燃料ガス供給部14から改質器12に供給される燃料ガスG1が流通する。
【0018】
改質水供給ラインL2の上流側端部は、改質水供給端15Aに接続されている。改質水供給ラインL2の下流側端部は、改質器12に接続されている。改質水供給ラインL2の途中には、改質水量調整ポンプ15Bが設けられている。改質水供給ラインL2には、改質水供給端15Aから改質器12に供給される改質水W1が流通する。また、改質水量調整ポンプ15Bは、入力される制御信号に応じて、改質器12に供給される改質水W1の供給量を調整する。なお、改質水供給端15A及び改質水量調整ポンプ15Bは、改質水供給部15を構成する。
【0019】
アノードガス供給ラインL3の上流側端部は、改質器12に接続されている。アノードガス供給ラインL3の下流側端部は、燃料電池11に接続されている。アノードガス供給ラインL3には、改質器12において生成されたアノードガス(改質ガス)G2が、燃料電池11に向けて流通する。アノードガス(改質ガス)G2には、水素や一酸化炭素、未反応のメタン、未利用の水蒸気等が含まれる。
【0020】
カソードガス供給ラインL4は、第1カソードガス供給ラインL41と、第2カソードガス供給ラインL42と、第3カソードガス供給ラインL43と、カソードガス合流部J2を備える。
【0021】
第1カソードガス供給ラインL41の上流側端部は、第1カソードガス供給部16に接続されている。第1カソードガス供給ラインL41の下流側端部は、カソードガス合流部J2に接続されている。第1カソードガス供給ラインL41の途中には、第1カソードガス供給量調整ポンプ16Aが設けられている。第1カソードガス供給ラインL41には、第1カソードガス供給部16から燃料電池11のカソードに供給される第1カソードガスとしての第1空気A11が、カソードガス合流部J2に向けて流通する。第1空気A11は、第1温度T1の空気である。また、第1カソードガス供給量調整ポンプ16Aは、入力される制御信号に応じて、カソードガス合流部J2に向けて流通する第1空気A11の量を調整する。
【0022】
第2カソードガス供給ラインL42の上流側端部は、第2カソードガス供給部17に接続されている。第2カソードガス供給ラインL42の下流側端部は、カソードガス合流部J2に接続されている。第2カソードガス供給ラインL42の途中には、第2カソードガス供給量調整ポンプ17Aが設けられている。第2カソードガス供給ラインL42には、第2カソードガス供給部17から燃料電池11のカソードに供給される第2カソードガスとしての第2空気A12が、カソードガス合流部J2に向けて流通する。第2空気A12は、第1温度T1よりも低い温度である第2温度T2の空気である。第2カソードガス供給部17は、冷却器(不図示)を備えており、冷却器(不図示)によって第2温度T2に冷却した空気を第2空気A12として供給する。また、第2カソードガス供給量調整ポンプ17Aは、入力される制御信号に応じて、カソードガス合流部J2に向けて流通する第2空気A12の量を調整する。
【0023】
第3カソードガス供給ラインL43の上流側端部は、カソードガス合流部J2に接続されている。第3カソードガス供給ラインL43の下流側端部は、燃料電池11に接続されている。第1カソードガス供給ラインL41を流通する第1空気A11と、第2カソードガス供給ラインL42を流通する第2空気A12とは、カソードガス合流部J2で合流して混合され、カソードガスA1となる。第3カソードガス供給ラインL43には、カソードガスA1が、燃料電池11に向けて流通する。
【0024】
なお、第1カソードガス供給部16、第2カソードガス供給部17、第1カソードガス供給量調整ポンプ16A、第2カソードガス供給量調整ポンプ17A及びカソードガス供給ラインL4(第1カソードガス供給ラインL41、第2カソードガス供給ラインL42及び第3カソードガス供給ラインL43)は、カソードガス供給部21を構成する。
【0025】
カソードガスA1の温度は、第3カソードガス供給ラインL43を流通するカソードガスA1の量に占める第2空気A12の量の割合R(又は、第1カソードガス供給ラインL41を流通する第1空気A11の量と第2カソードガス供給ラインL42を流通する第2空気A12の量との比)によって、調整される。そして、第1カソードガス供給量調整ポンプ16A及び第2カソードガス供給量調整ポンプ17Aは、第3カソードガス供給ラインL43を流通するカソードガスA1の量に占める第2空気A12の量の割合R(又は、第1カソードガス供給ラインL41を流通する第1空気A11の量と第2カソードガス供給ラインL42を流通する第2空気A12の量との比)を調整することが可能である。よって、第1カソードガス供給量調整ポンプ16A及び第2カソードガス供給量調整ポンプ17Aは、カソードガス温度調整部22を構成する。
【0026】
なお、Rの上限は100%であり、下限は0%である。R=100%の場合、カソードガスA1はすべて第2空気A12となるため、カソードガスA1の温度は、T2となる。また、R=0%の場合、カソードガスA1はすべて第1空気A11となるため、カソードガスA1の温度は、T1となる。すなわち、Rの値が変化すると、カソードガスA1の温度が変化する。
【0027】
アノードオフガスラインL5の上流側端部は、燃料電池11に接続されている。アノードオフガスラインL5の下流側端部は、燃焼器13に接続されている。アノードオフガスラインL5には、燃料電池11から排出されるアノードオフガスG3が、燃焼器13に向けて流通する。
【0028】
カソードオフガスラインL6の上流側端部は、燃料電池11に接続されている。カソードオフガスラインL6の下流側端部は、燃焼器13に接続されている。カソードオフガスラインL6には、燃料電池11から排出されるカソードオフガスG4が、燃焼器13に向けて流通する。
【0029】
排ガスラインL7の上流側端部は、燃焼器13に接続されている。排ガスラインL7の下流側端部は、熱交換器等(不図示)に接続されている。排ガスラインL7には、燃焼器13から排出される排ガスG5が流通する。
【0030】
燃料電池11は、高温型の燃料電池であるSOFC(固体酸化物型燃料電池)である。燃料電池11は、複数の燃料電池セルが積層配置されて、燃料電池スタック(不図示)とされたものである。燃料電池11は、改質器12から供給されたアノードガスG2及びカソードガス供給部21から供給されたカソードガスA1を使用して発電する。より具体的には、燃料電池11は、アノードガスG2に含まれる水素及びカソードガスA1に含まれる酸素を使用して発電する。
【0031】
改質器12は、燃料ガス供給部14から供給される燃料ガスG1及び改質水供給部15から供給される改質水W1を所定の熱量で加熱して触媒上で反応させ、水(水蒸気)が含まれるアノードガスG2を生成する。このアノードガスG2は、燃料電池11に供給される。燃料ガス供給部14から供給される燃料ガスG1の量及び改質水供給部15から供給される改質水W1の量は、改質器12がアノードガスG2を生成するために最適な量に設定される。例えば、燃料ガス供給部14から供給される燃料ガスG1の量及び改質水供給部15から供給される改質水W1の量は、改質器12に供給される燃料ガスG1のカーボン量Cに対する改質器12に供給される改質水W1の水蒸気量Sのモル比(以下、S/Cという。)が所定のS/C(例えば、3.0)となる量である。以下の説明において、アノードガスG2に含まれる水(水蒸気)のことを冷却水蒸気W2ということがある。
【0032】
冷却水蒸気W2の量は、改質水供給部15が改質器12に供給する改質水W1の供給量に依存する。改質水W1の供給量が相対的に多ければ、改質水W1の水蒸気量Sが多くなるため、S/Cが大きくなり、冷却水蒸気W2の量も相対的に多くなる。改質水W1の供給量が相対的に少なければ、改質水W1の水蒸気量Sが少なくなるため、S/Cが小さくなり、冷却水蒸気W2の量も相対的に少なくなる。また、改質水W1の供給量が相対的に多い場合、アノードガスG2の温度は、相対的に低くなる。改質器12において、アノードガスG2を生成する際の過熱に使用される所定の熱量が一定であるため、改質水W1の供給量が多くなると、所定の熱量は改質水W1の加熱に消費されることになり、アノードガスG2は、相対的に過熱されにくくなるからである。
【0033】
よって、改質水W1の供給量が相対的に多くなると、冷却水蒸気W2の量が多くなるとともに、アノードガスG2の温度は低くなる。すなわち、改質水W1の供給量が相対的に多くなると、アノードガスG2による燃料電池11(燃料電池スタック)の冷却能力は相対的に上がることになる。
【0034】
燃焼器13は、燃料電池11から排出されるアノードオフガスG3及びカソードオフガスG4を燃焼させて、排ガスG5として排ガスラインL7に排出する。
【0035】
温度センサ18は、燃料電池11の燃料電池スタック(不図示)近傍に設けられている。温度センサ18は、燃料電池スタック近傍の雰囲気温度を測定する。温度センサ18は、制御部50に電気的に接続されている。温度センサ18は、測定した温度を燃料電池11の温度Tcとして制御部50に出力する。なお、「温度センサ18」が「燃料電池スタックの近傍に設けられている」とは、温度センサ18が測定する温度が、燃料電池スタックの温度と同視し得るか、又は燃料電池スタックの温度と相関を持つ温度である程度に、「燃料電池スタック」に近い位置(接する位置も含む)に設けられていることを意味する。
【0036】
導線L8の一端部は、燃料電池11に接続されている。導線L8の他端部は、パワーコンディショナ31に接続されている。燃料電池11は、導線L8を通して、パワーコンディショナ31へ送電可能である。
【0037】
パワーコンディショナ31は、コンバータ部としてのDC/DCコンバータ32と、インバータ部としての系統連系インバータ33と、電流調整部34と、を有する。DC/DCコンバータ32と系統連系インバータ33と電流調整部34とは、DCバスにより電気的に接続されている。パワーコンディショナ31(DC/DCコンバータ32、系統連系インバータ33、電流調整部34)は、制御部50に電気的に接続されている。制御部50は、DC/DCコンバータ32、系統連系インバータ33、電流調整部34を制御可能である。
【0038】
DC/DCコンバータ32は、燃料電池11から出力される90V〜160V程度の直流電圧を、所定の直流電圧に変換(昇圧)する。所定の直流電圧とは、例えば、系統連系インバータ33において、電圧供給ラインL9を介して、負荷機器40に供給可能な電圧(例えば、AC200V)の生成ができる程度の電圧(例えば、DC280V)であり、この出力電圧は、固定値である。
【0039】
従って、DC/DCコンバータ32は、燃料電池11から出力される直流電圧が、最低入力許容電圧値よりも大きいときに、燃料電池11から出力される直流電圧を所定の直流電圧に変換する。逆に、DC/DCコンバータ32は、燃料電池11から出力される直流電圧が、最低入力許容電圧値よりも小さいときには、直流電圧を昇圧する変換を停止する。最低入力許容電圧値とは、例えば、80Vである。
【0040】
系統連系インバータ33は、DC/DCコンバータ32から出力される直流電圧を、負荷機器40に供給可能な所定の交流電圧(例えば、AC200V)に変換して系統に供給する。系統連系インバータ33は、交流電圧を負荷機器40に供給するため、系統連系インバータ33から出力される交流電圧の値は、固定値である。
【0041】
電流調整部34は、系統連系インバータ33から出力される電流であって負荷機器に供給する電流の電流値が一定の電流値(定電流)となるように調整可能である。
【0042】
制御部50は、第1カソードガス供給量調整ポンプ16A、第2カソードガス供給量調整ポンプ17A、改質水量調整ポンプ15B、温度センサ18及び電流調整部34に電気的に接続されている。制御部50は、温度センサ18から出力された燃料電池11の温度Tcに基づいて、第1カソードガス供給量調整ポンプ16A及び第2カソードガス供給量調整ポンプ17Aを制御することにより、第3カソードガス供給ラインL43を流通するカソードガスA1の量に占める第2空気A12の量の割合R(又は、第3カソードガス供給ラインL43に供給する第1空気A11の量と第2空気A12の量との比)を調整する。また、制御部50は、第1カソードガス供給ラインL41に流通する第1空気A11の量、及び第2カソードガス供給ラインL42に流通する第2空気A12の量も調整することで、カソードガスA1の量も調整し得る。
【0043】
上述したように、第1カソードガス供給量調整ポンプ16A及び第2カソードガス供給量調整ポンプ17Aは、カソードガス温度調整部22を構成する。制御部50は、温度センサ18から出力された燃料電池11の温度Tcに基づいて、カソードガスA1の温度を調整するようにカソードガス温度調整部22を制御する。よって、燃料電池11には、カソードガス温度調整部22により温度が調整されたカソードガスA1が供給される。そのため、カソードガス温度調整部22により温度が調整されたカソードガスA1は、燃料電池11(燃料電池スタック)を冷却することになる。カソードガスA1による燃料電池11(燃料電池スタック)の冷却は、燃料電池システム1が動作している限り、行われる冷却である。そのため、以下の説明において、カソードガスA1による燃料電池11(燃料電池スタック)の冷却のことを通常冷却ということがある。
【0044】
また、以下の説明において、制御部50が、通常冷却で燃料電池11(燃料電池スタック)を十分に冷却できるか否かを判断する際に使用する条件のことを「通常冷却制御可能条件」ということがある。通常冷却制御可能条件が満たされる場合、制御部50は、通常冷却で燃料電池11(燃料電池スタック)を十分に冷却できると判断し、通常冷却制御可能条件が満たされない場合、制御部50は、通常冷却では燃料電池11(燃料電池スタック)を十分に冷却できないと判断する。
【0045】
制御部50は、例えば、以下の第1制御又は第2制御の制御を実行可能である。
【0046】
制御部50の第1制御においては、通常冷却制御可能条件が満たされる場合に、制御部50は、パワーコンディショナ31が負荷機器40に供給する定電流を第1電流値I1に調整するように電流調整部34を制御するとともに、温度センサ18により測定される燃料電池11の温度Tcに基づいてカソードガスA1の温度を調整するようにカソードガス温度調整部22を制御し、カソードガス供給部21は、カソードガス温度調整部22により温度が調整されたカソードガスA1によって燃料電池11を冷却する。
また、制御部50の第1制御において、通常冷却制御可能条件が満たされない場合に、制御部50は、パワーコンディショナ31が負荷機器40に供給する定電流を第1電流値I1よりも低い第2電流値I2に下げるように電流調整部34を制御し、パワーコンディショナ31は、電流調整部34により調整された電流値の定電流を負荷機器40に供給することによって燃料電池11の発熱量を少なくする。
【0047】
制御部50の第2制御においては、通常冷却制御可能条件が満たされる場合に、制御部50は、改質水供給部15が供給する改質水W1の水量を第1量V1に調整するように改質水量調整ポンプ15Bを制御し且つパワーコンディショナ31が負荷機器40に供給する定電流を第1電流値I1に調整するように電流調整部34を制御するとともに、温度センサ18により測定される燃料電池11の温度Tcに基づいてカソードガスA1の温度を調整するようにカソードガス温度調整部22を制御し、カソードガス供給部21は、カソードガス温度調整部22により温度が調整されたカソードガスA1によって燃料電池11を冷却する。
また、制御部50の第2制御において、通常冷却制御可能条件が満たされない場合に、制御部50は、改質水供給部15が供給する改質水W1の水量を第1量V1よりも多い第2量V2に調整するように改質水量調整ポンプ15Bを制御し、改質器12は、改質水量調整ポンプ15BによりS/Cが調整されたアノードガスG2によって燃料電池11を冷却し、パワーコンディショナ31が負荷機器40に供給する定電流を第1電流値I1よりも低い第2電流値I2に下げるように電流調整部34を制御し、パワーコンディショナ31は、電流調整部34により調整された電流値の定電流を負荷機器40に供給することによって燃料電池11の発熱量を少なくする。
【0048】
次に、本実施形態の燃料電池システム1において、制御部50が行う第1制御及び第2制御について、図面を参照しながら説明する。
図2は、本発明の実施形態の燃料電池システム1における制御部50の第1制御を示すフローチャートである。
図3は、本発明の実施形態の燃料電池システム1における制御部50の第2制御を示すフローチャートである。
【0049】
まず、制御部50の第1制御について説明する。
図2に示すように、ステップST101において、制御部50は、温度センサ18から出力される燃料電池11の温度Tcを取得する。
【0050】
ステップST102において、制御部50は、取得した燃料電池11の温度Tcに基づいて、カソードガスA1の量に占める第2空気A12の量の割合R(以下、第2空気割合Rという。)をR1に決定する。そして、制御部50は、第2空気割合RをR1に設定する制御信号をカソードガス温度調整部22に出力する。
【0051】
なお、R1は、以下のような考え方に基づいて決定される。燃料電池11の温度Tcが相対的に高いほど、燃料電池11の冷却の必要性は相対的に高くなる。一方、第2空気割合Rが相対的に大きいほど、カソードガスA1の温度は相対的に低くなるため、通常冷却の能力は高くなる。また、第2空気割合Rが相対的に小さければ、カソードガスA1の温度は相対的に高くなるため、通常冷却の能力は低くなる。よって、制御部50は、燃料電池11の温度Tcが大きくなるにしたがって第2空気割合Rを大きくし、カソードガスA1の温度を低くする制御を行う。よって、R1は、例えば、燃料電池11の温度Tcと第2空気割合Rとを対応させた表や関数等(燃料電池11の温度Tcが高くなるに従って、第2空気割合Rが大きくなる表や関数等)を用いて決定される。
【0052】
ステップST103において、制御部50は、通常冷却制御可能条件が満たされているか否かを判断する。ここでは、通常冷却制御可能条件として、R1が基準割合R0以下の割合であるという条件が使用される。
【0053】
よって、ステップST103において、制御部50は、R1と予め設定・保持しておいた基準割合R0とを比較する。制御部50により、R1≦R0であると判定された場合(YES)に、処理はステップST104へ移行する。また、制御部50により、R1≦R0でないと判定された場合(NO)に、処理はステップST105へ移行する。なお、基準割合R0は、許容される燃料電池11の温度、第1温度T1及び第2温度T2等に応じて、適宜決定される。
【0054】
ステップST104において、制御部50は、パワーコンディショナ31が負荷機器40に供給する定電流を第1電流値I1に調整する制御信号を電流調整部34に出力する。
【0055】
ステップST102及びST104では、制御部50は、パワーコンディショナ31が負荷機器40に供給する定電流を第1電流値I1に調整するように電流調整部34を制御するとともに、温度センサ18により測定される燃料電池11の温度Tcに基づいてカソードガスA1の温度を調整するようにカソードガス温度調整部22を制御していることになる。よって、カソードガス供給部21は、カソードガス温度調整部22により温度が調整されたカソードガスA1によって燃料電池11を通常冷却する。また、パワーコンディショナ31は、負荷機器40に供給する定電流を電流調整部34により第1電流値I1に調整することによって、燃料電池11の発熱量を少なくする。
【0056】
ステップST105において、制御部50は、パワーコンディショナ31が負荷機器40に供給する定電流を第1電流値I1よりも低い第2電流値I2に調整する制御信号を電流調整部34に出力する。よって、パワーコンディショナ31が負荷機器40に供給する定電流を第2電流値I2に調整することによって、定電流を第1電流値I1に調整した場合よりも、燃料電池11の発熱量を少なくする。また、カソードガス供給部21は、カソードガス温度調整部22により温度が調整されたカソードガスA1によって燃料電池11を通常冷却する。
【0057】
制御部50が、ST104又はST105におけるいずれかの制御を行った後、本フローチャートの処理は終了する(ステップST101へリターンする。)。
【0058】
ステップST103において、制御部50が、R1と基準割合R0とを比較する理由は、次の通りである。
R1≦R0である場合、カソードガスA1の量に占める第2空気A12の量の割合は、相対的に小さい。よって、R1が大きくなれば、カソードガスA1の温度は下がる状態である。すなわち、通常冷却の能力に余力がある。よって、R1≦R0である場合、燃料電池11の冷却は通常冷却で足り、改質器12におけるアノードガスG2の効率的な生成をある程度低下させてまで、冷却水蒸気W2の量を第2水蒸気量U2に増やして冷却を行う必要はない。
【0059】
一方、R1≦R0でない場合、カソードガスA1の量に占める第2空気A12の量の割合は、十分に大きく、R1を大きくしても、カソードガスA1の温度は下がらない状態(又は下がりにくい状態)である。すなわち、通常冷却の能力に余力がない。ここで、R1は、燃料電池11の温度Tcに基づいて決められるものであるから、R1≦R0でない場合、カソードガスA1の温度は下がらない状態(又は下がりにくい状態)となっているにも関わらず、燃料電池11の温度Tcは高い状態になっていることが分かる。すなわち、R1≦R0でない状態は、通常冷却だけでは、燃料電池11の温度が十分に下がらない状態である。この場合、改質器12におけるアノードガスG2の効率的な生成をある程度低下させることになったとしても、冷却水蒸気W2の量を第2水蒸気量U2に増やして冷却を行う必要がある。
よって、ステップST103の処理は、アノードガスG2に含まれる冷却水蒸気W2の量を第2水蒸気量U2に増やして冷却を行う必要があるか否かを判断するために行われる。
【0060】
次に、制御部50の第2制御について説明する。
制御部50の第2制御については、主に、制御部50の第1制御と異なる点について説明する。制御部50の第2制御においては、制御部50の第1制御におけるステップST104及びST105の動作が異なる。
図3に示す第2制御におけるステップST201〜ST203の動作は、
図2に示す第1制御におけるステップST101〜ST103の動作と同様である。そのため、第2制御におけるステップST201〜ST203の動作の説明は、
図2に示す第1制御におけるステップST101〜ST103の動作の説明を援用して、その説明を省略する。
【0061】
図3に示すように、ステップST204において、制御部50は、改質水供給部15が供給する改質水W1の水量を第1量V1に調整する制御信号を改質水量調整ポンプ15Bに出力する。この第1量V1は、改質器12のS/Cが第1のS/C(例えば、3.0)になるように設定された量である。この第1のS/Cは、改質器12が相対的に効率良くアノードガスG2を生成することができるS/Cである。改質器12は、燃料ガスG1及び第1量V1の改質水W1を触媒上で反応させて、冷却水蒸気W2を含むアノードガスG2を生成する。冷却水蒸気W2の量は、第1水蒸気量U1になる。
また、制御部50は、パワーコンディショナ31が負荷機器40に供給する定電流を第1電流値I1に調整する制御信号を電流調整部34に出力する。
【0062】
ステップST202及びST204では、制御部50は、改質水供給部15が供給する改質水W1の水量を第1量V1に調整するように改質水量調整ポンプ15Bを制御し且つパワーコンディショナ31が負荷機器40に供給する定電流を第1電流値I1に調整するように電流調整部34を制御するとともに、温度センサ18により測定される燃料電池11の温度Tcに基づいてカソードガスA1の温度を調整するようにカソードガス温度調整部22を制御していることになる。
【0063】
よって、カソードガス供給部21は、カソードガス温度調整部22により温度が調整されたカソードガスA1によって燃料電池11を通常冷却する。また、改質器12は、第1水蒸気量U1の冷却水蒸気W2を含むアノードガスG2によって燃料電池11を冷却する。また、パワーコンディショナ31は、負荷機器40に供給する定電流を電流調整部34により第1電流値I1に調整することによって、燃料電池11の発熱量を少なくする。
【0064】
ステップST205において、制御部50は、改質水供給部15が供給する改質水W1の水量を第1量V1よりも多い第2量V2に調整する制御信号を改質水量調整ポンプ15Bに出力する。改質器12は、燃料ガスG1及び第2量V2の改質水W1を触媒上で反応させて、冷却水蒸気W2を含むアノードガスG2を生成する。アノードガスG2に含まれる冷却水蒸気W2の量は、第1水蒸気量U1よりも多い第2水蒸気量U2になる。上述したように、第2水蒸気量U2となった冷却水蒸気W2を含むアノードガスG2の温度は、第1水蒸気量U1であった冷却水蒸気W2を含むアノードガスG2の温度に比べて低くなる。また、制御部50は、パワーコンディショナ31が負荷機器40に供給する定電流を第1電流値I1よりも低い第2電流値I2に調整する制御信号を電流調整部34に出力する。
【0065】
よって、パワーコンディショナ31が負荷機器40に供給する定電流を第2電流値I2に調整することによって燃料電池11の発熱量を、定電流を第1電流値I1に調整した場合よりも、少なくする。また、改質器12は、第2水蒸気量U2の冷却水蒸気W2を含むアノードガスG2によって燃料電池11を冷却する。また、カソードガス供給部21は、カソードガス温度調整部22により温度が調整されたカソードガスA1によって燃料電池11を通常冷却する。
【0066】
なお、改質水W1の水量が第2量V2に調整されると、改質器12は相対的に効率良くアノードガスG2を生成することができなくなることがあり得る。しかし、ステップST205においては、改質器12におけるアノードガスG2の効率的な生成をある程度低下させることになったとしても、燃料電池11の冷却を優先する。
【0067】
制御部50が、ST204又はST205におけるいずれかの制御を行った後、本フローチャートの処理は終了する(ステップST201へリターンする。)。
【0068】
本実施形態の燃料電池システム1によれば、例えば、以下の効果が奏される。
本実施形態の燃料電池システム1においては、燃料電池11と、改質器12と、電流調整部34により負荷機器40に供給する定電流を調整して燃料電池11の発熱量を調整するパワーコンディショナ31と、カソードガス温度調整部22を有するカソードガス供給部21と、燃料電池11の温度を測定する温度センサ18と、制御部50と、を備える。そして、通常冷却制御可能条件が満たされる場合に、制御部50は、パワーコンディショナ31が負荷機器40に供給する定電流を第1電流値I1に調整するように電流調整部34を制御するとともに、温度センサ18により測定される燃料電池11の温度に基づいてカソードガスA1の温度を調整するようにカソードガス温度調整部22を制御し、カソードガス供給部21は燃料電池11を冷却し、通常冷却制御可能条件が満たされない場合に、制御部50は、パワーコンディショナ31が負荷機器40に供給する定電流を第1電流値I1よりも低い第2電流値I2に下げるように電流調整部34を制御し、パワーコンディショナ31は、電流調整部34により調整された電流値の定電流を負荷機器40に供給することによって燃料電池11の発熱量を少なくする。
そのため、本実施形態の燃料電池システム1によれば、燃料電池11を効果的に冷却することが可能な燃料電池システムを提供することができる。
【0069】
また、本実施形態の燃料電池システム1において、カソードガス供給部21は、第1温度T1を有する第1カソードガスとしての第1空気A11を燃料電池に供給する第1カソードガス供給部16と、第1温度T1よりも低い温度である第2温度T2を有する第2カソードガスとしての第2空気A12を燃料電池に供給する第2カソードガス供給部17と、を有している。そして、カソードガス供給部21は、第1空気A11及び第2空気A12の一方又は両方をカソードガスA1として供給する。更に、カソードガス温度調整部22は、カソードガスA1の量に占める第2空気A12の量の割合Rを調整することによって、カソードガスA1の温度を調整する。
そのため、本実施形態の燃料電池システム1によれば、カソードガスA1の温度を適切に調整することが可能である。
【0070】
また、本実施形態の燃料電池システム1において、通常冷却制御可能条件は、カソードガスA1の量に占める第2空気A12の量の割合Rが基準割合R0以下の割合であるという条件である。そのため、本実施形態の燃料電池システム1によれば、改質水供給部15が供給する改質水W1の水量を適切に調整することが可能である。
【0071】
本実施形態の燃料電池システム1においては、燃料電池11と、改質器12と、改質水量調整部15Bを有する改質水供給部15と、燃料ガス供給部14と、電流調整部34を有するパワーコンディショナ31と、カソードガス温度調整部22を有するカソードガス供給部21と、燃料電池11の温度Tcを測定する温度センサ18と、改質水量調整部15B、電流調整部34及びカソードガス温度調整部22を制御する制御部50と、を備える。そして、通常冷却制御可能条件が満たされる場合に、制御部50は、改質水W1の水量を第1量V1に調整するように改質水量調整部15Bを制御し且つパワーコンディショナ31が負荷機器40に供給する定電流を第1電流値I1に調整するように電流調整部34を制御するとともに、温度センサ18により測定される燃料電池11の温度Tcに基づいてカソードガスA1の温度を調整するようにカソードガス温度調整部22を制御し、カソードガス供給部21は、カソードガス温度調整部22により温度が調整されたカソードガスA1によって燃料電池11を冷却し、通常冷却制御可能条件が満たされない場合に、制御部50は、改質水W1の水量を第1量V1よりも多い第2量V2に調整するように改質水量調整部15Bを制御し、改質器12はアノードガスG2によって燃料電池11を冷却し、パワーコンディショナ31が負荷機器40に供給する定電流を第1電流値I1よりも低い第2電流値I2に下げるように電流調整部34を制御し、パワーコンディショナ31は、電流調整部34により調整された電流値の定電流を負荷機器40に供給することによって燃料電池11の発熱量を少なくする。
そのため、本実施形態の燃料電池システム1によれば、燃料電池11を効果的に冷却することが可能である。
【0072】
以上、本発明の本実施形態について説明した。しかし、本発明は、上記実施形態に限定されることはなく、特許請求の範囲に記載された技術的範囲において種々に変形可能である。
【0073】
上記実施形態では、カソードガス供給部21は、2つのカソードガス供給部(すなわち、第1カソードガス供給部16及び第2カソードガス供給部17)を有していたが、これに限定されない。カソードガス供給部21は、3つ以上のカソードガス供給部を有していてもよい。この場合、3つ以上のカソードガス供給部から供給されるカソードガスの温度は、互いに異なる温度であることが好ましい。
【0074】
上記実施形態では、カソードガス供給部21は、2つのカソードガス供給源(すなわち、第1カソードガス供給部16及び第2カソードガス供給部17)を有しており、カソードガス温度調整部22は、カソードガスA1の量に占める第2空気A12の量の割合Rを調整することによって、カソードガスA1の温度を調整していたが、これに限定されない。カソードガス供給部21は、1つのカソードガス供給源であり、カソードガス温度調整部22が、1つのカソードガス供給源から供給されるカソードガスの温度を調整する冷却器であってもよい。
【0075】
上記実施形態では、通常冷却制御可能条件は、第2空気割合Rが基準割合R0以下の割合であるという条件であったが、これに限定されない。例えば、通常冷却制御可能条件は、燃料電池11に供給されるカソードガスA1の温度が所定温度以下という条件、燃料電池11の温度Tcが所定時間以内に所定温度以下になるという条件等であってもよい。
【0076】
上記実施形態では、第2空気割合Rは、カソードガスA1の量に占める第2空気A12の量の割合Rであったが、これに限定されない。例えば、第1カソードガス供給ラインL41を流通する第1空気A11の量と第2カソードガス供給ラインL42を流通する第2空気A12の量との比であってもよい。