前記積層体の上面における前記第2外部端子と前記固体電池に隣接する別の固体電池の積層体の下面における前記第1外部端子とが直接接続可能なように前記第1外部端子と前記第2外部端子は、それぞれ前記上面および前記下面で延長され、
前記積層体の上面における前記第2外部端子の前記側面から延長される長さと前記積層体の下面における前記第1外部端子の前記側面から延長される長さは、それぞれの長さの合計が、前記積層体の側面間距離以上であることを特徴とする請求項1に記載の固体電池。
前記第1内部端子及び前記第2内部端子を結ぶ方向に垂直な方向に対向する前記積層体の第2の側面には、別の固体電池が隣接したときにその端子を収納可能な凹みを有することを特徴とする請求項1〜4のうちいずれか1項に記載の固体電池。
【背景技術】
【0002】
近年、携帯電話やスマートフォンに代表される情報端末やゲーム機等の民生用電子機器の電源、蓄電装置としてリチウムイオン二次電池は広く利用されている。
一般的な非水系リチウムイオン二次電池には電解質として有機溶媒が用いられている。そのため予期せぬ衝撃により液漏れ等が生じる恐れがあり、より信頼性の高いリチウムイオン二次電池が望まれている。
【0003】
より信頼性の高いリチウムイオン二次電池としては、電解質として有機溶媒の代わりに無機材料の固体電解質を用いた全固体二次電池の研究開発が盛んにおこなわれている。たとえば特許文献1に記載されているように有機溶媒を無機材料の固体電解質に置き換えることで液漏れの恐れはなくなり、信頼性の高いリチウムイオン二次電池を得ることができる。
【0004】
また、特許文献1に開示されている全固体二次電池は、その大きさが1cm角以下の小型サイズで作製できるため、モバイル機器等の小型電子機器に好適に利用可能である。ただし、様々な小型電子機器に対して所望の容量を得るには複数の全固体二次電池を使用する必要があり、また各小型電子機器ごとの多彩な電池収納部に搭載可能でなければならない。
【0005】
特許文献2には複数の電池パッケージをつなぎ合わせ、任意形状の電池パックを作製可能な電池パッケージの形状設計の提案がされている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、特許文献2に記載の電池パッケージの設計では、電池以外に複雑形状の電池パッケージを用意する必要があり、単位体積当たりの容量が小さくなってしまう。固体電池においては開示されているような複雑形状を直接加工して形成することは困難であり、仮に加工できたとしても固体電池そのものの強度が著しく低下したものとなってしまう。
また、特許文献1のような従来の単純構成にすれば、複数の電池を直列や並列に構成して組み合わせ、組電池としても、かみ合わせがないため小型電子機器の電池収納部に搭載しても、その後、振動等により脱落することがある。
【0008】
そこで、本発明は多彩な電池収納部に対応可能であり、組電池としても電池収納部にからの脱落を防止することが可能な固体電池を提供することを目的とした。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するため、本発明の固体電池は、第1電極層と固体電解質層と第2電極層とを備えた積層体を有する固体電池において、前記第1電極層と前記第2電極層は互いに逆方向に引き出され、それぞれ前記積層体の側面の第1内部端子及び第2内部端子に接続され、さらに前記第1内部端子上に形成され前記第1内部端子の一部を露出するよう接続される第1外部端子と、前記第2内部端子上に形成され前記第2内部端子の一部を露出するよう接続される第2外部端子とを有し、前記第2外部端子は前記積層体の上面まで延在し、前記第1外部端子は前記積層体の下面まで延在していることを特徴とする。
【0010】
かかる構成によれば、積層体側面に引き出された端子が、その側面の一部を露出させるとともに、前記固体電池の上面または下面に延長されているため、複数の固体電池をかみ合わせて連結させることができ、それにより多彩な電池収納部に対応可能であるとともに、電池収納部に搭載しても脱落を防止することができる。
【0011】
本発明にかかる固体電池は、前記積層体の上面における第2外部端子と前記固体電池に隣接する別の固体電池の積層体の下面における第1外部端子とが直接接続可能なように第1外部端子と第2外部端子は、それぞれ前記上面および前記下面で延長され、前記積層体の上面における第2外部端子の前記側面から延長される長さと前記積層体の下面における第1外部端子の前記側面から延長される長さは、それぞれの長さの合計が、前記積層体の側面間距離以上であることが好ましい。
【0012】
かかる構成によれば、電池収納部に搭載してもより脱落を防止することができる。
【0013】
また、本発明にかかる固体電池は、前記積層体の上面における第2外部端子は、その先端部が前記第2外部端子の厚みよりも薄い部分を備え、前記積層体の下面における第1外部端子は、その先端部が前記第1外部端子の厚みよりも薄い部分を備えることが好ましい。
【0014】
かかる構成によれば、電池収納部に搭載しても、固体電池間のかみ合わせがさらに良くなり、より脱落を防止することができる。
【0015】
その他、本発明にかかる固体電池は、前記積層体の上面における第2外部端子は、その先端部が前記第2外部端子の厚みよりも徐々に薄くなる部分を備え、前記積層体の下面における第1外部端子は、その先端部が前記第1外部端子の厚みよりも徐々に薄くなる部分を備えることが好ましい。
【0016】
かかる構成によれば、電池収納部に搭載しても、固体電池間のかみ合わせがさらに良くなり、より脱落を防止することができる。
【0017】
また本発明にかかる固体電池は、前記第1内部端子及び前記第2内部端子を結ぶ方向に垂直な方向に対向する前記積層体の第2の側面には、別の固体電池が隣接したときにその端子を収納可能な凹みを有することが好ましい。
かかる構成によれば、電池収納部にたとえば2直列2並列状態で搭載しても、固体電池間のかみ合わせがよいため、脱落を防止することができる。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、多彩な電池収納部に対応可能であり、組電池としても電池収納部からの脱落を防止することが可能な固体電池を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について説明する。なお、本発明は以下の実施形態に限定されるものではない。また以下に記載した構成要素には、当業者が容易に想定できるもの、実質的に同一のものが含まれる。さらに以下に記載した構成要素は、適宜組み合わせることができる。
【0021】
<第1実施形態>
(固体電池)
図1、
図2、
図3に第1実施形態の固体電池10を示す。固体電池10は、第1電極層12と固体電解質層13と第2電極層11とを備えた直方体状の積層体19を有する固体電池において、前記第1電極層と前記第2電極層は互いに逆方向に引き出され、それぞれ積層体側面の第1内部端子21及び第2内部端子23に接続されており、さらに前記第1内部端子21及び前記第2内部端子23をそれぞれ覆う第1外部端子22及び第2外部端子24が前記第1内部端子21及び前記第2内部端子23の一部を露出するよう接続され、前記第2外部端子24は前記積層体の上面まで延在し、前記第1外部端子22は前記積層体の下面まで延在しており、さらに前記第1外部端子22及び前記第2外部端子24は、対向する前記側面間の距離の略半分の長さまでそれぞれ延在している。
【0022】
(積層体)
図1に示される積層体の断面において、第1電極12を正極層とし、第2電極層11を負極層とする。第1電極層12と第2電極層11は固体電解質層13を介して交互に積層されており、第1電極層12は正極集電体層16とその両面または片面に形成した正極活物質層17からなり、第2電極層11は負極集電体層14とその両面または片面に形成した負極活物質層15からなる。
図1では最上層に位置する負極層11は対向する正極層12が下側にしかないため、下側の片面のみ負極活物質層15を形成している。同様に最下層に位置する正極層12は対向する負極層11が上側にしかないため、上側の片面のみ正極活物質層17を形成している。また、固体電解質層13は固体電解質からなり、正極集電体層16は正極集電体からなり、正極活物質層17は正極活物質からなり、負極集電体層14は負極集電体からなり、負極活物質層15は負極活物質からなる。第1電極層12と第2電極層11と固体電解質層13からなる積層体19は保護層29で覆われている。正極集電体層16と負極集電体層14は、それぞれ第1端子20と第2端子25により外部に引き出されている。また、第1端子20は第1内部端子21と第1外部端子22からなり、第2端子25は第2内部端子23と第2外部端子24からなる。また、上述した保護層29は第1外部端子22と第2外部端子24以外の部分を被覆している。
【0023】
尚、
図1では、5個の蓄電要素が積層された並列型の固体電池10の断面図を示したものである。しかし、本第1実施形態の固体電池10に関する技術は、
図1に示す5個の蓄電要素が積層された並列型の場合に限らず、任意の複数層が積層した固体電池や直列型の固体電池に適用でき、要求される固体電池10の容量や電流仕様に応じて幅広く変化させることが可能である。
【0024】
(固体電解質)
本実施形態の固体電池10の固体電解質層13を構成する固体電解質としては、電子の伝導性が小さく、リチウムイオンの伝導性が高い材料を用いるのが好ましい。例えば、La
0.5Li
0.5TiO
3などのペロブスカイト型化合物や、Li
14Zn(GeO
4)
4などのリシコン型化合物、Li
7La
3Zr
2O
12などのガーネット型化合物、Li
1.3Al
0.3Ti
1.7(PO
4)
3やLi
1.5Al
0.5Ge
1.5(PO
4)
3などのナシコン型化合物、Li
3.25Ge
0.25P
0.75S
4やLi
3PS
4などのチオリシコン型化合物、Li
2S−P
2S
5やLi
2O−V
2O
5−SiO
2などのガラス化合物、Li
3PO
4やLi
3.5Si
0.5P
0.5O
4やLi
2.9PO
3.3N
0.46などのリン酸化合物、よりなる群から選択される少なくとも1種であることが望ましい。
【0025】
(正極活物質及び負極活物質)
正極活物質層17及び負極活物質層15を構成する正極活物質及び負極活物質としては、リチウムイオンを効率よく挿入、脱離できる材料を用いるのが好ましい。例えば、遷移金属酸化物、遷移金属複合酸化物を用いるのが好ましい。具体的には、リチウムマンガン複合酸化物Li
2Mn
x3Ma
1−x3O
3(0.8≦x3≦1、Ma=Co、Ni)、コバルト酸リチウム(LiCoO
2)、ニッケル酸リチウム(LiNiO
2)、リチウムマンガンスピネル(LiMn
2O
4)、及び、一般式:LiNi
x4Co
y4Mn
z4O
2(x4+y4+z4=1、0≦x4≦1、0≦y4≦1、0≦z4≦1)で表される複合金属酸化物、リチウムバナジウム化合物(LiV
2O
5)、オリビン型LiMbPO
4(ただし、Mbは、Co、Ni、Mn、Fe、Mg、Nb、Ti、Al、Zrより選ばれる1種類以上の元素)、リン酸バナジウムリチウム(Li
3V
2(PO
4)
3又はLiVOPO
4)、Li過剰系固溶体正極Li
2MnO
3−LiMcO
2(Mc=Mn、Co、Ni)、チタン酸リチウム(Li
4Ti
5O
12)、Li
aNi
x5Co
y5Al
z5O
2(0.9<a<1.3、0.9<x5+y5+z5<1.1)で表される複合金属酸化物のいずれかであることが好ましい。
【0026】
特に、固体電解質層13にLi
1+x2Al
x2Ti
2−x2(PO
4)
3(0≦x2≦0.6)、正極活物質層17及び負極活物質層15の一方又は両方にLiVOPO
4及びLi
3V
2(PO
4)
3のうち一方又は両方を用いると、正極活物質層17及び負極活物質層15の一方又は両方と固体電解質3の界面における接合が強固なものになると同時に、接触面積を広くできるため望ましい。
【0027】
また、正極活物質層17又は負極活物質層15を構成する活物質には明確な区別がなく、2種類の化合物の電位を比較して、より貴な電位を示す化合物を正極活物質として用い、より卑な電位を示す化合物を負極活物質として用いることができる。
【0028】
(正極集電体及び負極集電体)
本実施形態の固体電池10の正極集電体層16及び負極集電体層14を構成する正極集電体及び負極集電体としては、導電率が大きい材料を用いるのが好ましく、例えば、銀、パラジウム、金、プラチナ、アルミニウム、銅、ニッケルなどを用いるのが好ましい。特に、銅は正極活物質、負極活物質及び固体電解質と反応し難く、さらに固体電池10の内部抵抗の低減に効果があるため好ましい。また、正極集電体層16及び負極集電体層14を構成する正極集電体及び負極集電体は、正極と負極で同じであってもよいし、異なっていてもよい。
【0029】
また、正極集電体層16及び負極集電体層14は、それぞれ正極活物質及び負極活物質を含むことが好ましい。その場合の含有比は、集電体として機能する限り特に限定はされないが、正極集電体/正極活物質、又は負極集電体/負極活物質が体積比率で90/10から70/30の範囲であることが好ましい。
【0030】
正極集電体層16及び負極集電体層14がそれぞれ正極活物質及び負極活物質を含むことにより、正極集電体層16と正極活物質層17及び負極集電体層14と負極活物質層15との密着性が向上するため望ましい。
【0031】
(保護層)
本実施形態の固体電池10の保護層29は固体電池の最外層に形成されるもので、電気的、物理的、化学的に保護するためのものである。保護層29は必ずしも必須のものではなく、最上層のみであっても、最下層のみであってもよいが固体電池10の信頼性を向上する上で形成した方が好ましい。保護層29を構成する材料としては絶縁性、耐久性、耐湿性に優れ、環境的に安全であることが好ましい。たとえば、ガラスやセラミックス、熱硬化性樹脂や光硬化性樹脂を用いるのが好ましい。保護層の材料は1種類だけでも良いし、複数を併用してもよい。また、保護層は単層でもよいが、複数層備えていた方が好ましい。その中でも熱硬化性樹脂とセラミックスの粉末を混合させた有機無機ハイブリットが特に好ましい。
【0032】
(端子)
本実施形態の固体電池10の第1端子20及び第2端子25は、導電率が大きい材料を用いるのが好ましく、例えば銀、金、プラチナ、アルミニウム、銅、スズ、ニッケルを用いるのが望ましい。第1端子20は、第1内部端子21並びに第1外部端子22からなり、第2端子25は、第2内部端子並びに第2外部端子からなる。内部端子(第1内部端子及び第2内部端子)と外部端子(第1外部端子及び第2外部端子)は同じ材料を用いてもよいし、異なる材料を使用してもよい。さらに、第1外部端子及び第2外部端子は、単層でも複数層で形成しても良い。
【0033】
(固体電池の製造方法)
本実施形態の固体電池10は、正極集電体層16、正極活物質層17、固体電解質層13、負極活物質層15、及び負極集電体層14の各材料をペースト化し、塗布乾燥してグリーンシートを作製し、かかるグリーンシートを積層し、作製した積層シートを同時に焼成し、その後、保護層29を付与ことにより積層体19を作製する。
【0034】
ペースト化の方法は、特に限定されないが、例えば、ビヒクルに上記各材料の粉末を混合してペーストを得ることができる。ここで、ビヒクルとは、液相における媒質の総称である。ビヒクルには、溶媒、バインダーが含まれる。かかる方法により、正極集電体層16用のペースト、正極活物質層17用のペースト、固体電解質層13用のペースト、負極活物質層15用のペースト、及び負極集電体層14用のペーストを作製する。
【0035】
作製したペーストをPET(ポリエチレンテレフタラート)などの基材上に所望の順序で塗布し、必要に応じ乾燥させた後、基材を剥離し、グリーンシートを作製する。ペーストの塗布方法は、特に限定されず、スクリーン印刷、塗布、転写、ドクターブレード等の公知の方法を採用することができる。
【0036】
作製した正極集電体層16用、正極活物質層17用、固体電解質層13用、負極活物質層15用、及び、負極集電体層14用のそれぞれのグリーンシートを所望の順序、積層数で積み重ね、必要に応じアライメント、切断等を行い、積層シートを作製する。並列型又は直並列型の電池を作製する場合は、正極層の端面と負極層の端面が一致しないようにアライメントを行い積み重ねるのが好ましい。
【0037】
積層ブロックを作製するに際し、以下に説明する正極活物質層ユニット及び負極活物質層ユニットを準備し、積層ブロックを作製してもよい。
【0038】
その方法は、まずPETフィルム上に固体電解質層13用ペーストをドクターブレード法でシート状に形成し、固体電解質層13用シートを得た後、その固体電解質層13用シート上に、スクリーン印刷により正極活物質層17用ペーストを印刷し乾燥する。次に、その上に、スクリーン印刷により正極集電体層16用ペーストを印刷し乾燥する。更にその上に、スクリーン印刷により正極活物質層17用ペーストを再度印刷し、乾燥し、次いでPETフィルムを剥離することで正極活物質層ユニットを得る。このようにして、固体電解質層13用シート上に、正極活物質層17用ペースト、正極集電体層16用ペースト、正極活物質層17用ペーストがこの順に形成された正極活物質層ユニットを得る。同様の手順にて負極活物質層ユニットも作製し、固体電解質層13用シート上に、負極活物質層15用ペースト、負極集電体層14用ペースト、負極活物質層15用ペーストがこの順に形成された負極活物質層ユニットを得る。
【0039】
正極活物質層ユニット一枚と負極活物質層ユニット一枚を、正極活物質層17用ペースト、正極集電体層16用ペースト、正極活物質層17用ペースト、固体電解質層13用シート、負極活物質層15用ペースト、負極集電体層14用ペースト、負極活物質層15用ペースト、固体電解質層13用シートの順に形成されるように積み重ねる。このとき、一枚目の正極活物質層ユニットの正極集電体層16用ペーストが一の端面にのみ延出し、二枚目の負極活物質層ユニットの負極集電体層14用ペーストが他の面にのみ延出するように、各ユニットをずらして積み重ねる。この積み重ねられたユニットの両面に所定厚みの固体電解質層13用シートをさらに積み重ね積層ブロックを作製する。
【0040】
作製した積層シートを一括して圧着する。圧着は加熱しながら行うが、加熱温度は、例えば、40〜95℃とする。
【0041】
圧着した積層シートを、例えば、窒素雰囲気下で600℃〜1000℃に加熱し焼成を行う。焼成時間は、例えば、0.1〜3時間とする。
【0042】
焼結した積層体をアルミナなどの研磨材とともに円筒型の容器に入れ、バレル研磨してもよい。これにより積層体の角の面取りをすることができる。そのほかの方法としてサンドブラストにて研磨しても良い。この方法では特定の部分のみを削ることができるため好ましい。
【0043】
(端子形成)
焼結した積層体19に第1内部端子21と第2内部端子23をつける。第1内部端子及び第2内部端子は、正極集電体層16と負極集電体層14にそれぞれ電気的に接触するよう形成する。例えば、積層体19の側面から露出した正極集電体層16と負極集電体層14に対しスパッタ法やディッピング法により形成することが好ましい。
【0044】
次に第1内部端子21及び第2内部端子23にそれぞれ電気的に接触するよう第1外部端子22及び第2外部端子24を形成する。第1外部端子22及び第2外部端子24の形成にはスパッタやディッピング法、スプレーコート法で行うのが好ましい。この時、第1内部端子21及び第2内部端子23の所望の部分に対し、例えばテープにてマスキングを施し、そのうえで第1外部端子22及び第2外部端子24を形成する。
【0045】
(保護層形成)
上述した端子形成後、保護層の29形成方法は公知の形成法を用いればよい。保護層29の形成にはスパッタやディッピング法、スプレーコート法で行うのが好ましい。第1端子及び第2端子を保護層29で完全に覆われないことが好ましい。たとえば、テープにてマスキングをする、あるいは保護層29の材料としては端子電極がはじく材料を選択することが望ましい。このようにして固体電池10を完成させる。
【0046】
なお、保護層は、固体電池のかみ合わせをよくするため、特に積層体の上面及び下面での保護層16の厚みが、上面及び下面で、第1端子及び第2端子の厚みよりも薄く形成させる。
【0047】
<第2実施形態>
第2実施形態として、
図4に示す固体電池は、前記積層体の上面における第2外部端子が、前記積層体の端部から延び、その先端側で前記第2外部端子の前記端部側の厚みよりも薄い部分を備えており、同様に前記積層体の下面における第1外部端子が、前記積層体の端部から延び、その先端側で前記第1外部端子の前記端部側の厚みよりも薄い部分を備えている。
かかる構成によれば、電池収納部に搭載しても、固体電池間のかみ合わせがさらに良くなり、より脱落を防止することができる。
なお、先端側とは特に狭い領域を意味するわけではなく、積層体上面に形成される第2外部端子のうち半分の長さ未満であることが好ましい。
【0048】
<第3実施形態>
また第3実施形態として、
図5に示す固体電池は、前記積層体の上面における第2外部端子は、前記積層体の端部から延び、その先端側で前記第2外部端子の前記端部側の厚みよりも徐々に薄くなる部分を備えており、同様に前記積層体の下面における第1外部端子が、前記積層体の端部から延び、その先端側で前記第1外部端子の前記端部側の厚みよりも徐々に薄くなる部分を備えている。
かかる構成によれば、電池収納部に搭載しても、固体電池間のかみ合わせがさらに良くなり、より脱落を防止することができる。
なお、先端側とは特に狭い領域を意味するわけではなく、積層体上面に形成される第2外部端子のうち半分の長さ未満であることが好ましい。
【0049】
<第4実施形態>
また第4実施形態として、
図6に示す固体電池は、前記第1内部端子及び前記第2内部端子を結ぶ方向に垂直な方向に対向する第2の側面には、別の固体電池が隣接したときにその端子を収納可能な凹みを有している。
かかる構成によれば、電池収納部に
図8のような2直列2並列状態で搭載しても、固体電池間のかみ合わせがよいため、脱落を防止することができる。
【0050】
凹みも
図6上では固体電池の上面から下面に達するまで、溝状に形成しているが、必ずしも上面から下面に達する必要はなく、隣接する別の固体電池の外部端子が収納されればよいため、その外部端子と同じ幅、及び/または同じ長さの凹みを形成すればよい。同じ幅、及び/または同じ長さの凹みにすることで、さらにかみ合わせが向上するため好ましい。
【0051】
<第5実施形態>
(組電池)
また第5実施形態として、
図7に固体電池を3つ直列に並べた3直列の組電池を示す。
まず、ケース51及びケース内部端子52にて箱を作製し、さらにケース内部端子52から引出し銅板53にて、
図7のような組電池用ケース50を作製した。そのケース内に上記3直列の組電池を搭載することで組電池を作製した。固体電池10が上面および下面の端子により、かみ合ってケースからの固体電池の脱落を防止することを可能にした。
【0052】
このように前記積層体の上面における第2外部端子と前記固体電池に隣接する別の固体電池の積層体の下面における第1外部端子とが直接接続することで、固体電池同士が互いにかみ合い、ケースに搭載しても固体電池の脱落を防止することができる。
【0053】
前記積層体上面の第1外部端子と前記積層体下面の第2外部端子は、固体電池同士が互いにかみ合うためのものであることから、前記積層体の上面における第2外部端子の前記側面から延長される長さと前記積層体の下面における第1外部端子の前記側面から延長される長さは、それぞれの長さの合計が、前記積層体の側面間距離以上であることが好ましい。たとえば、1対1で延長されてもよいし、7対3で延長されていてもよい。
【0054】
<第6実施形態>
(組電池)
また第6実施形態として、
図8に固体電池を2つ直列、且つ2つ並列に並べた2直列2並列の組電池を示す。
上述した組電池用ケース50と同様の作成方法にて、
図8に示す2直列2並列用の箱を作製した。そのケース内に上記す2直列2並列の組電池を搭載することで組電池を作製した。固体電池10が上面および下面の端子により、かみ合っていることに加え、直列に接続した固体電池10の端子が、さらに隣接する直列の固体電池10の端子以外の側面と、側面に形成した端子収納可能な凹みによりかみ合い、多数の固体電池を搭載した組電池においてもケースから脱落を防止可能にした。
【0055】
第5実施形態と同様に、前記積層体上面の第1外部端子と前記積層体下面の第2外部端子は、固体電池同士が互いにかみ合うためのものであることから、前記積層体の上面における第2外部端子の前記側面から延長される長さと前記積層体の下面における第1外部端子の前記側面から延長される長さは、それぞれの長さの合計が、前記積層体の側面間距離以上であることが好ましい。たとえば、1対1で延長されてもよいし、7対3で延長されていてもよい。また、凹みについても第4実施形態と同様のバリエーションが好ましい。
【0056】
このように
図1から
図6を用い典型的な固体電池の形態を説明してきたが、正極及び負極活物質層は1〜10μm、正極及び負極集電体層は1〜10μm、固体電解質層は1〜200μm、保護層は10〜200μm、内部端子または外部端子の厚みは1〜50μmの範囲で形成すればよい。これらを適宜調整し、固体電池の外観サイズが、例えば3.5mm×2mm×2mmとなるような小型の固体電池を作製することができる。