特許第6492994号(P6492994)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 東芝ライテック株式会社の特許一覧

<>
  • 特許6492994-光配向用偏光光照射装置 図000002
  • 特許6492994-光配向用偏光光照射装置 図000003
  • 特許6492994-光配向用偏光光照射装置 図000004
  • 特許6492994-光配向用偏光光照射装置 図000005
  • 特許6492994-光配向用偏光光照射装置 図000006
  • 特許6492994-光配向用偏光光照射装置 図000007
  • 特許6492994-光配向用偏光光照射装置 図000008
  • 特許6492994-光配向用偏光光照射装置 図000009
  • 特許6492994-光配向用偏光光照射装置 図000010
  • 特許6492994-光配向用偏光光照射装置 図000011
  • 特許6492994-光配向用偏光光照射装置 図000012
  • 特許6492994-光配向用偏光光照射装置 図000013
  • 特許6492994-光配向用偏光光照射装置 図000014
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6492994
(24)【登録日】2019年3月15日
(45)【発行日】2019年4月3日
(54)【発明の名称】光配向用偏光光照射装置
(51)【国際特許分類】
   G02F 1/1337 20060101AFI20190325BHJP
   G02F 1/13 20060101ALI20190325BHJP
【FI】
   G02F1/1337
   G02F1/13 101
【請求項の数】8
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2015-119608(P2015-119608)
(22)【出願日】2015年6月12日
(65)【公開番号】特開2017-3876(P2017-3876A)
(43)【公開日】2017年1月5日
【審査請求日】2018年3月5日
(73)【特許権者】
【識別番号】000003757
【氏名又は名称】東芝ライテック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】特許業務法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】田中 貴章
(72)【発明者】
【氏名】田内 亮彦
(72)【発明者】
【氏名】中川 幸信
(72)【発明者】
【氏名】前田 祥平
(72)【発明者】
【氏名】加藤 剛雄
(72)【発明者】
【氏名】藤岡 純
(72)【発明者】
【氏名】日野 弘喜
【審査官】 佐藤 洋允
(56)【参考文献】
【文献】 特開2015−022068(JP,A)
【文献】 特開2012−145786(JP,A)
【文献】 特開2007−115720(JP,A)
【文献】 特開2012−028784(JP,A)
【文献】 特開2009−271062(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2014/0353520(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02F 1/1337
G02F 1/13
G03F 7/20
H01L 21/68
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
被照射物に偏光光を照射する照射面が設けられた照射ユニットを有する照射部と;
前記被照射物が搭載されるステージと;
前記ステージ上の前記被照射物が、前記照射面から照射される偏光光の照射領域を前記照射面と平行に通過するように前記ステージを搬送する搬送機構と;
前記搬送機構によって搬送される前記ステージの移動中に、前記ステージまたは前記被照射物の位置を検出する位置検出手段と;
前記位置検出手段が検出した検出結果に基づいて所定の制御を行う制御手段と;を具備し、
前記位置検出手段は、前記照射部に設けられている、光配向用偏光光照射装置。
【請求項2】
前記位置検出手段は、前記照射面に直交する軸回りにおいて、前記ステージの搬送方向に対する前記ステージまたは前記被照射物の回転角を検出する、請求項1に記載の光配向用偏光光照射装置。
【請求項3】
前記位置検出手段は、前記照射領域内、前記照射領域に対して前記ステージの搬送方向における一方側及び他方側の少なくとも1か所に配置されている、請求項1または2に記載の光配向用偏光光照射装置。
【請求項4】
前記位置検出手段は、前記照射面に直交する方向及び前記照射面に平行な方向の少なくとも一方における前記ステージまたは前記被照射物の位置を検出するように配置されている、請求項3に記載の光配向用偏光光照射装置。
【請求項5】
記搬送機構は、前記ステージが前記照射領域に向けて移動を開始する開始位置と前記照射部との間に設けられた第1の搬送路と、前記照射領域を通過した前記ステージが停止する停止位置と前記照射部との間に設けられた第2の搬送路と、を有し、
前記位置検出手段は、前記第1の搬送路及び前記第2の搬送路の少なくとも一方に沿う位置に設けられている、請求項3または4に記載の光配向用偏光光照射装置。
【請求項6】
被照射物に偏光光を照射する照射面が設けられた照射ユニットを有する照射部と;
前記被照射物が搭載されるステージと;
前記ステージ上の前記被照射物が、前記照射面から照射される偏光光の照射領域を前記照射面と平行に通過するように前記ステージを搬送する搬送機構と;
前記搬送機構によって搬送される前記ステージの移動中に、前記ステージまたは前記被照射物の位置を検出する位置検出手段と;
前記位置検出手段が検出した検出結果に基づいて所定の制御を行う制御手段と;を具備し、
前記位置検出手段は、前記ステージに設けられ、
記照射部は、前記位置検出手段によって、前記照射面に直交する方向及び前記照射面に平行な方向に対する前記ステージの位置を検出するための基準面を有する、光配向用偏光光照射装置。
【請求項7】
前記照射ユニットは、偏光光を出射する偏光素子と、前記偏光素子を保持する保持部材と、を有し、
前記保持部材には、前記基準面が設けられている、請求項に記載の光配向用偏光光照射装置。
【請求項8】
被照射物に偏光光を照射する照射面が設けられた照射ユニットを有する照射部と;
前記被照射物が搭載されるステージと;
前記ステージ上の前記被照射物が、前記照射面から照射される偏光光の照射領域を前記照射面と平行に通過するように前記ステージを搬送する搬送機構と;
前記搬送機構によって搬送される前記ステージの移動中に、前記ステージまたは前記被照射物の位置を検出する位置検出手段と;
前記位置検出手段が検出した検出結果に基づいて所定の制御を行う制御手段と;を具備し、
前記位置検出手段は、前記ステージに設けられ、前記照射面に直交する方向及び前記照射面に平行な方向の少なくとも一方に対する前記ステージの位置を検出するように配置され、
記搬送機構は、前記ステージが前記照射領域に向けて移動を開始する開始位置と前記照射部との間に設けられた第1の搬送路と、前記照射領域を通過した前記ステージが停止する停止位置と前記照射部との間に設けられた第2の搬送路と、を有し、
前記第1の搬送路及び前記第2の搬送路の少なくとも一方に沿う位置には、前記位置検出手段によって前記照射面に直交する方向及び前記照射面に平行な方向に対する前記ステージの位置を検出するための基準面が設けられている、光配向用偏光光照射装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、光配向用偏光光照射装置に関する。
【背景技術】
【0002】
液晶パネル等の製造工程では、液晶パネルの配向膜や視野角補償フィルムの配向層等の被照射物の配向処理が行われている。配向処理では、配向膜に所定の波長の偏光光を照射することによって配向を行う、いわゆる光配向を行うために用いる光配向用偏光光照射装置が知られている。
【0003】
この種の光配向用偏光光照射装置としては、例えば、偏光光を照射する照射面が設けられた照射ユニットと、配向膜が形成された基板が搭載されるステージと、ステージを搬送する搬送機構と、を備える構成がある。照射ユニットは、照射面から偏光光を照射する照射領域を有する。搬送機構は、ステージ上の基板が照射ユニットの照射領域を照射面と平行に通過するようにステージを搬送する。
【0004】
また、上述した光配向用偏光光照射装置に類似する装置としては、基板が搭載された第1及び第2のステージが、基板に対して露光光を照射する露光部を通過するように、第1及び第2のステージを搬送する露光装置が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2008−191302号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、液晶パネルの製造工程では、被照射物である配向膜に照射する偏光光の光軸の位置ずれを、±0.1°程度の許容値内に収める精度が要求される場合がある。一方、上述した光配向用偏光光照射装置では、搬送機構によって搬送されるステージの移動中に、搬送機構の搬送状態の経時変化や搬送機構の劣化等に伴ってステージに振動が生じるおそれがある。移動中のステージに振動が生じた場合、基板が照射領域を通過するときに配向膜に対する偏光光の照射状態が変動するので、配向膜の品質の低下を招いてしまう問題がある。特に、照射ユニットの照射面に直交する軸回りに対するステージの位置ずれや振動は、配向膜の品質に大きな影響を及ぼす傾向がある。
【0007】
そこで、本発明は、被照射物に対する偏光光の照射状態を適正に管理し、品質が低下した被照射物の製造を抑えることができる光配向用偏光光照射装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
実施形態に係る光配向用偏光光照射装置は、被照射物に偏光光を照射する照射面が設けられた照射ユニットと、前記被照射物が搭載されるステージと、前記ステージ上の前記被照射物が、前記照射面から照射される偏光光の照射領域を前記照射面と平行に通過するように前記ステージを搬送する搬送機構と、前記搬送機構によって搬送される前記ステージの移動中に、前記ステージまたは前記被照射物の位置を検出する位置検出手段と、前記位置検出手段が検出した検出結果に基づいて所定の制御を行う制御手段と、を具備する。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、被照射物に対する偏光光の照射状態を適正に管理し、品質が低下した被照射物の製造を抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1図1は、第1の実施形態に係る光配向用偏光光照射装置を示す斜視図である。
図2図2は、第1の実施形態に係る光配向用偏光光照射装置を示す平面図である。
図3図3は、第1の実施形態に係る光配向用偏光光照射装置を示す側面図である。
図4図4は、第1の実施形態に係る光配向用偏光光照射装置において、光センサの検出結果に基づく処理を説明するためのフローチャートである。
図5図5は、第1の実施形態に係る変形例1の光配向用偏光光照射装置を示す側面図である。
図6図6は、第1の実施形態に係る変形例2の光配向用偏光光照射装置を示す平面図である。
図7図7は、第1の実施形態に係る変形例2の光配向用偏光光照射装置を示す側面図である。
図8図8は、第1の実施形態に係る変形例3の光配向用偏光光照射装置を模式的に示す側面図である。
図9図9は、第2の実施形態に係る光配向用偏光光照射装置を示す斜視図である。
図10図10は、第2の実施形態に係る光配向用偏光光照射装置を示す平面図である。
図11図11は、第2の実施形態に係る光配向用偏光光照射装置を示す側面図である。
図12図12は、第2の実施形態に係る変形例1の光配向用偏光光照射装置を示す平面図である。
図13図13は、第2の実施形態に係る変形例1の光配向用偏光光照射装置を示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下で説明する実施形態に係る光配向用偏光光照射装置(以下、偏光光照射装置と称する)1は、照射ユニット13と、ステージ15と、搬送機構16と、位置検出手段としての光センサ18と、制御手段としての制御部19と、を備える。照射ユニット13には、照射面Bが設けられている。照射面Bは、被照射物としての基板11に偏光光を照射する照射領域Aを有する。ステージ15には、基板11が搭載される。搬送機構16は、ステージ15上の基板11が照射領域Aを照射面Bと平行に通過するようにステージ15を搬送する。光センサ18は、搬送機構16によって搬送されるステージ15の移動中に、ステージ15または基板11の位置を検出する。制御部19は、光センサ18が検出した検出結果に基づいて所定の制御を行う。
【0012】
また、以下で説明する実施形態に係る偏光光照射装置1が有する光センサ18は、照射面Bに直交する軸回りにおいて、ステージ15の搬送方向に対するステージ15または基板11の回転角を検出する。
【0013】
また、以下で説明する実施形態に係る偏光光照射装置1が有する光センサ18は、照射領域A内、照射領域Aに対してステージ15の搬送方向における一方側及び他方側の少なくとも1か所に配置されている。
【0014】
また、以下で説明する実施形態に係る偏光光照射装置1が有する光センサ18は、照射面Bに直交する方向及び照射面Bに平行な方向の少なくとも一方におけるテージ15または基板11の位置を検出するように配置されている。
【0015】
また、以下で説明する実施形態に係る偏光光照射装置1は、照射ユニット13を有する照射部12を備える。光センサ18は、照射部12に設けられている。
【0016】
また、以下で説明する実施形態に係る偏光光照射装置3は、照射ユニット13を有する照射部12を備える。搬送機構16は、第1の搬送路17aと、第2の搬送路17bと、を有する。第1の搬送路17aは、ステージ15が照射領域Aに向けて移動を開始する開始位置P1と照射部12との間に設けられている。第2の搬送路17bは、照射領域Aを通過したステージ15が停止する停止位置P2と照射部12との間に設けられている。光センサ18は、第1の搬送路17a及び第2の搬送路17bの少なくも一方に沿う位置に設けられている。
【0017】
また、以下で説明する実施形態に係る偏光光照射装置5が有する光センサ18は、ステージ15に設けられている。
【0018】
また、以下で説明する実施形態に係る偏光光照射装置5が有する光センサ18は、照射面Bに直交する方向及び照射面Bに平行な方向の少なくとも一方に対するステージ15の位置を検出するように配置されている。
【0019】
また、以下で説明する実施形態に係る偏光光照射装置5は、照射ユニット13を有する照射部12を備える。照射部12は、光センサ18によって、照射面Bに直交する方向及び照射面Bに平行な方向に対するステージ15の位置を検出するための基準面29aを有する。
【0020】
また、以下で説明する実施形態に係る偏光光照射装置5が有する照射ユニット13は、偏光素子としての偏光板13cと、保持部材13dと、を有する。偏光板13cは、偏光光を出射する。保持部材13dは、偏光板13cを保持する。保持部材13dには、光センサ18によって、照射面Bに直交する方向に対するステージ15の位置を検出するための基準面29aが設けられている。
【0021】
また、以下で説明する実施形態に係る偏光光照射装置6は、照射ユニット13を有する照射部12を備える。搬送機構16は、第1の搬送路17aと、第2の搬送路17bと、を有する。第1の搬送路17aは、ステージ15が照射領域Aに向けて移動を開始する開始位置P1と照射部12との間に設けられている。第2の搬送路17bは、照射領域Aを通過したステージ15が停止する停止位置P2と照射部12との間に設けられている。第1の搬送路17a及び第2の搬送路17bの少なくとも一方に沿う位置には、光センサ18によって照射面Bに直交する方向及び照射面Bに平行な方向に対するステージ15の位置を検出するための基準面29aが設けられている。
【0022】
(第1の実施形態)
以下、実施形態に係る偏光光照射装置について、図面を参照して説明する。本実施形態に係る偏光光照射装置は、被照射物である配向膜が形成された基板に直線偏光光等の偏光光を照射することで、光配向を行うために用いられる。本実施形態に係る偏光光照射装置は、例えば液晶パネルの配向膜や、視野角補償フィルム等の光学フィルムの配向層の製造に用いられる。
【0023】
(偏光光照射装置の構成)
図1は、第1の実施形態に係る偏光光照射装置を示す斜視図である。図2は、第1の実施形態に係る偏光光照射装置を示す平面図である。図3は、第1の実施形態に係る偏光光照射装置を示す側面図である。
【0024】
第1の実施形態の偏光光照射装置1は、図1図3に示すように、照射ユニット13を有する照射部12と、ステージ15と、搬送機構16と、位置検出手段としての複数の光センサ18と、を備える。また、偏光光照射装置1は、制御手段としての制御部19を備える。
【0025】
図2及び図3に示すように、照射部12は、照射ユニット13と、照射ユニット13を支持するフレーム14と、を有する。照射ユニット13は、図3に示すように、被照射物としての配向膜が形成された矩形状の基板11(以下、単に基板11と称する。)に、偏光光を照射する照射領域Aを有する照射面Bが向けられている。照射面Bは、図2中に示すX−Y平面と平行に配置されており、照射面Bの面積が照射領域Aに相当する。
【0026】
また、照射ユニット13は、図3に示すように、紫外線を含む光を発する管状の光源13aと、光源13aが発した光を反射する反射板13bと、を有する。また、照射ユニット13は、光源13aが発した光と、反射板13bで反射された光とが入射して偏光光を出射する偏光素子としての偏光板13cと、偏光板13cを保持する枠状の保持部材13dと、を有する。
【0027】
なお、ここでいう「照射領域A」とは、照射ユニット13の最下面の開口、すなわち、照射ユニット13において、最も被照射物に近い位置に配置された開口から偏光光が照射される範囲を指す。また、「照射面B」とは、照射ユニット13の最下面に配置された光学素子において、偏光光を出射する出射面を指す。例えば、照射ユニット13の最下面に偏光板13cが配置されている場合、偏光板13cが配置された開口から偏光光が照射される範囲が照射領域Aに相当し、偏光板13cの出射面が照射面Bに相当する。また、偏光板13cよりも被照射物側に遮光板(不図示)が配置されている場合、遮光板が配置された開口から偏光光が照射される範囲が照射領域Aに相当し、遮光板の出射面が照射面Bに相当する。更に、遮光板に保護ガラス(不図示)が配置されている場合、保護ガラスが配置された開口から偏光光が照射される範囲が照射領域Aに相当し、保護ガラスの出射面が照射面Bに相当する。
【0028】
光源13aは、例えば、紫外線透過性のガラス管内に、水銀、アルゴン、キセノンなどの希ガスが封入された高圧水銀ランプや、高圧水銀ランプに鉄やヨウ素等のメタルハライドが更に封入されたメタルハライドランプ等の管型放電ランプが用いられており、直線状の発光部を有する。光源13aは、発光部の長手方向が、照射ユニット13に対するステージ15の搬送方向と直交しており、発光部の長さが、基板11の一辺の長さよりも長くされている。光源13aは、直線状の発光部から、例えば波長が200nm程度から400nm程度までの紫外線を含む光を発することが可能とされている。光源13aが発する光は、さまざまな偏光軸成分を有する、いわゆる非偏光の光である。
【0029】
反射板13bは、光源13aに対向する面に、光源13aが発した光を反射する反射面を有しており、反射面が楕円の一部をなす形状に形成されている。これにより、反射板13bは、光源13aが発した光を集光する、いわゆる集光型の反射板として構成されている。偏光板13cは、光源13aが発し、一様にあらゆる方向に振動したさまざまな偏光軸成分を含む光から基準方向のみに振動した偏光軸の光を取り出すことが可能とされている。なお、基準方向のみに振動した偏光軸の光を、一般に直線偏光光という。また、偏光軸とは、光の電場及び磁場の振動方向である。
【0030】
照射部12のフレーム14は、図2及び図3に示すように、搬送機構16の後述するガイドレール16aを跨いで配置されている。フレーム14の内部の上方には、照射ユニット13が支持されている。
【0031】
ステージ15は、矩形状の板状に形成されており、配向膜が形成された基板11が搭載される。図2及び図3に示すように、ステージ15は、搬送機構16によってY軸方向に移動可能に支持されている。また、ステージ15の外形寸法は、後述する複数の光センサ18の検出光がそれぞれ同時に照射される大きさに設定されることが好ましいが、1つの光センサ18の構成に応じて適宜設定される。
【0032】
搬送機構16は、図2及び図3に示すように、直線状のガイドレール16aと、ガイドレール16a上に沿って移動する駆動ユニット16bと、を有する。ガイドレール16aは、ステージ15が照射部12の照射領域Aに向かって移動を開始する開始位置P1と、照射部12を通過したステージ15が停止する停止位置P2との間でステージ15が往復移動するように設けられている。ガイドレール16aによって、ステージ15をY軸方向に沿って搬送する直線状の搬送路17が構成されている。また、駆動ユニット16b上には、ステージ15が固定されている。そして、搬送機構16は、駆動ユニット16bをガイドレール16aに沿って移動させることで、ステージ15上の基板11が照射領域Aを通過するようにステージ15を照射面Bと平行に搬送する。
【0033】
搬送路17は、開始位置P1と照射部12との間の第1の搬送路17aと、照射部12と停止位置P2との間の第2の搬送路17bと、第1の搬送路17aと第2の搬送路17bとの間で照射部12内に配置された第3の搬送路17cと、を含む。
【0034】
複数の光センサ18は、搬送機構16によって搬送されるステージ15の移動中に、ステージ15の位置を検出するように配置されている。図示しないが、光センサ18は、検出光を発する発光部と、ステージ15によって反射された検出光を受光する受光部と、を有する。
【0035】
第1の実施形態において、照射部12の内部には、照射ユニット13の照射面Bと同一面上(X−Y平面上)に、3つの光センサ18が所定の間隔をあけて配置されている。3つの光センサ18は、照射部12内を通過するステージ15の搭載面に対向する位置に、検出光を下方に向けて出射する向きに配置されている。X−Y平面上に配置された3つの光センサ18のうち、Y軸方向に間隔をあけて配置された各光センサ18によって、X軸回りに対するステージ15の振動が検出される。また、X−Y平面上に配置された3つの光センサ18のうち、X軸方向に間隔をあけて配置された各光センサ18によって、Y軸回りに対するステージ15の振動が検出される。
【0036】
また、3つの光センサ18は、照射ユニット13の偏光板13cを保持する保持部材13dに固定されている。この構成によれば、光センサ18を支持する支持体を介して光センサ18を照射部12に取り付ける必要がなくなり、取付け構造の簡素化が図られる。また、光センサ18は、照射ユニット13の照射面Bを基準面としてステージ15の位置を検出することができるので、適正な検出精度を容易に確保することができる。
【0037】
また、照射部12の内部には、側面(Y−Z平面)に、2つの光センサ18が、ステージ15の搬送方向(Y軸方向)に所定の間隔をあけて配置されている。2つの光センサ18は、支持体21を介してフレーム14に固定されており、ステージ15の搬送方向に対する照射領域Aの両側に配置されている。また、2つの光センサ18は、ステージ15の側面が通過する位置に対向して、検出光をステージ15の側面に向けて出射する向きに配置されている。Y−Z平面上にY軸方向に対して間隔をあけて配置された各光センサ18によって、Z軸回りに対するステージ15の振動が検出される。
【0038】
また、X−Y平面上に配置される3つの光センサ18は、ステージ15の上方に配置する構成に限定されるものではなく、図3に示すように、ステージ15の下方に配置されてもよい。この構成の場合、3つの光センサ18は、例えば、ガイドレール16aに隣接する位置に所定の間隔をあけて、検出光を上方に向けて出射する向きに配置される。
【0039】
複数の光センサ18を用いて、ステージ15の移動中に、図1に示すX軸、Y軸及びZ軸の3軸回りに関するステージ15の位置をそれぞれ検出することで、3軸回りに対するステージ15の振動が検出される。言い換えると、複数の光センサ18を用いることで、Y軸方向に対して移動中のステージ15について、X軸回りであるヨー軸回りに対する振動、Y軸回りであるロール軸回りに対する振動、Z軸回りであるピッチ軸回りに対する振動がそれぞれ検出される。本実施形態では、X軸及びY軸の方向が、照射ユニット13の照射面Bに平行な方向に相当しており、水平方向である。また、本実施形態では、Z軸が、照射面Bに直交する軸に相当しており、鉛直方向である。
【0040】
また、3軸回りに対する各振動のうち、特に、照射ユニット13の照射面Bに直交するZ軸回りに対して発生するステージ15の位置ずれや振動が、配向膜の品質に大きな影響を及ぼす傾向がある。このため、Y−Z平面上にY軸方向に沿って配置された2つの光センサ18を用いて、少なくともZ軸回りに対するステージ15の振動において、Y軸方に対するステージ15の回転角を検出することで、品質が低下した配向膜の製造を抑えることが可能になる。
【0041】
なお、第1の実施形態では、5つの光センサ18を用いるが、光センサ18の個数を限定するものではない。光センサ18を用いた位置の検出では、移動中のステージ15の位置を同時に検出する光センサ18の個数を増やし、ステージ15の位置を同時に検出する各光センサ18間の間隔を大きくすることで検出精度を高めることが可能である。このため、光センサ18の個数や配置は、3軸方向においてステージ15の振動を検出する方向や検出精度の要求に応じて適宜設定される。
【0042】
図1に示すように、制御部19は、複数の光センサ18及び操作部20と電気的に接続されており、複数の光センサ18が検出した検出結果に基づいて操作部20を制御する。操作部20は、警告を含む各種の情報を表示する表示パネル20aを有する。
【0043】
制御部19は、複数の光センサ18によって検出されたステージ15の振動が所定の範囲内であるかを判定する。ステージ15の振動が所定の範囲内よりも大きくなった場合、制御部19は、操作部20を制御し、表示パネル20aに警告を表示させる。このとき、表示パネル20aには、例えば、ステージ15の変位量に関する検出値や、検出値を用いて算出した算出値等の情報を含めた警告が表示される。また、制御部19は、必要に応じて、警告灯を点灯したり、警報機が警告音を鳴らしたりする制御を行うことで、他の警告を発してもよい。
【0044】
また、ステージ15の振動を判定するための所定の範囲は、例えば、基板11の配向膜の品質が適正に得られる振幅の上限値及び下限値に設定することで、品質が不良の配向膜が製造される前に、適切なタイミングでメンテナンス作業を行うことが可能になる。
【0045】
なお、本実施形態では、複数の光センサ18を用いてステージ15の振動を検出するように構成されたが、ステージ15上の基板11の振動を検出するように構成されてもよい。基板11の振動を直に検出する場合は、ステージ15上に位置決めされる基板11の搭載位置のバラつきの影響を排除できるので、配向膜の位置の検出精度を更に高めることができる。
【0046】
(偏光光の照射時の動作)
図2及び図3に示すように、偏光光照射装置1では、開始位置P1においてステージ15上に基板11が搭載されて、搬送機構16によってステージ15が、開始位置P1と停止位置P2との間を往復移動する。ステージ15が開始位置P1と停止位置P2との間を往復移動するとき、ステージ15上の基板11が照射面Bと平行に搬送されて、照射領域Aを通過することで、基板11上の配向膜に対して所望の光配向が行われる。
【0047】
このように搬送機構16によって搬送されるステージ15の移動中に、ステージ15が、複数の光センサ18が検出する検出位置を通過することで、ステージ15の3軸回りに対する振動がそれぞれ検出される。図4は、第1の実施形態の偏光光照射装置1において、複数の光センサ18の検出結果に基づく処理を説明するためのフローチャートである。
【0048】
図4に示すように、複数の光センサ18は、ステージ15上の基板11が照射部12内に進入し、基板11が照射領域Aを通過するときに、X、Y、Z軸回りに対するステージ15の各振動が検出される(ステップS1)。制御部19は、複数の光センサ18が検出したX、Y、Z軸回りに対するステージ15の各振動に関して、それぞれ所定の範囲内であるか、例えば、ステージ15の変位量である振幅が所定の上限値と下限値の範囲内であるか否かを判定する(ステップS2)。また、光センサ18を用いて、Z軸回りに対するステージ15の回転角を検出する場合、制御部19は、X−Y平面上におけるY軸方向に対するステージ15の回転角が所定の範囲内であるか否かを判定する。
【0049】
そして、制御部19は、ステップS2において、X、Y、Z軸回りに対するステージ15の振幅、または上述したステージ15の回転角が所定の範囲を外れた場合(ステップS2,No)、操作部20の表示パネル20aを用いて警告を発するように制御を行う(ステップS3)。また、ステップS2において、ステージ15の振動が所定の範囲内である場合(ステップS2,Yes)、例えば、ステージ15の振幅が所定の範囲内である場合には、ステップS1に戻り、複数の光センサ8を用いてステージ15の振動の検出を続ける。
【0050】
ステップS3において制御部19が警告を発した場合、移動中のステージ15上の基板11への偏光光の照射を終了した後、使用者が操作部20を操作し、搬送機構16が停止される。また、制御部19は、警告を発すると共に、移動中のステージ15上の基板11への偏光光の照射を終了した後、搬送機構16を停止するように制御を行ってもよい。また、この場合、搬送機構16の搬送状態やステージ15の固定位置等に関するメンテナンス作業が行われ、移動中のステージ15の振幅または上述の回転角が所定の範囲内になるように調整される。
【0051】
第1の実施形態の偏光光照射装置1は、ステージ15の移動中にステージ15の位置を検出する光センサ18と、光センサ18が検出した検出結果に基づいて警告を発する制御部19及び表示パネル20aと、を有する。これにより、光センサ18によってステージ15の移動中に生じる振動を検出することが可能になり、基板11の配向膜に対する偏光光の照射状態を適正に管理し、品質が低下した配向膜の製造を抑えることができる。その結果、配向膜の製造工程における歩留りを向上することができる。
【0052】
また、偏光光照射装置1は、光センサ18が、照射面Bに直交するZ軸回りに対するステージ15の回転角を検出することで、配向膜の品質への影響が大きい位置ずれ成分に基づいて、配向膜の品質を効果的に管理することが可能になる。
【0053】
以下、第1の実施形態に係る変形例、第2の実施形態及び第2の実施形態に係る変形例の偏光光照射装置について図面を参照して説明する。なお、第1の実施形態の変形例、第2の実施形態及びその変形例において、第1の実施形態と同一の構成部材には、第1の実施形態と同一符号を付して説明を省略する。
【0054】
(第1の実施形態に係る変形例1)
図5は、第1の実施形態に係る変形例1の偏光光照射装置を示す側面図である。この変形例1は、光センサ18の配置が、第1の実施形態と異なる。
【0055】
図5に示すように、変形例1の偏光光照射装置2が有する複数の光センサ18は、照射部12の外側に配置されている。X軸及びY軸回り対するステージ15の振動を検出する各光センサ18は、ステージ15の上方に配置されており、照射ユニット13の照射面Bと同一平面上(X−Y平面上)に位置するように、照射部12のフレーム14の側面に設けられている。また、Z軸回りに対するステージ15の振動を検出する各光センサ18は、ステージ15の側面が通過する位置に対向して配置されており、照射面Bに直交するY−Z平面上にY軸方向に間隔をあけて、支持体21を介してフレーム14の側面に設けられている。
【0056】
また、ステージ15の搬送方向に対して間隔をあけて配置された各光センサ18の検出光は、ステージ15上の基板11に照射光が照射される間、ステージ15上に同時に照射されるように、ステージ15の外形寸法等が設定されている。なお、各図中に示す光センサ18の位置に、複数の光センサ18が配置されてもよく、ステージ15の大きさにかかわらずにステージ15の振動を検出することも可能である。あるいは、複数の発光部及び受光部を有する光センサ18を用いることで、1つの光センサ18が単独でステージ15の振動を検出可能に構成されてもよい。
【0057】
なお、変形例1においても、X−Y平面上に配置される複数の光センサ18は、ステージ15の下方に配置されてもよい。この場合、光センサ18は、検出光を上方に向けて出射する向きに配置される。
【0058】
以上のように構成された変形例1においても、第1の実施形態と同様に、複数の光センサ18によって3軸回りに対するステージ15の振動を検出することができるので、配向膜の品質を適正に管理し、品質が低下した配向膜の製造を抑えることができる。
【0059】
加えて、変形例1によれば、照射部12の内側に各光センサ18が配置された第1の実施形態と比べて、ステージ15の搬送方向(Y軸方向)に対する各光センサ18の間隔を広げることが可能になる。このため、変形例1は、特にZ軸回りに対するステージ15の振動の検出精度を高めることが可能になる。
【0060】
(第1の実施形態に係る変形例2)
図6は、第1の実施形態に係る変形例2の偏光光照射装置を示す平面図である。図7は、第1の実施形態に係る変形例2の偏光光照射装置を示す側面図である。この変形例2は、光センサ18の配置が、第1の実施形態及び変形例1と異なる。
【0061】
図6及び図7に示すように、変形例2の偏光光照射装置3は、光センサ18が設けられた一組のセンサ支持部23を有する。一組のセンサ支持部23は、ステージ15の搬送方向(Y軸方向)において、搬送機構16における第1の搬送路17a及び第2の搬送路17bに沿う位置に配置されている。言い換えると、変形例2における各光センサ18は、開始位置P1と照射部12との間の第1の搬送路17aに沿う位置と、照射部12と停止位置P2との間の第2の搬送路17bに沿う位置とにそれぞれ配置されている。
【0062】
一組のセンサ支持部23は、各光センサ18を支持するフレーム23aを有する。フレーム23aは、搬送路17のガイドレール16aに跨って配置されている。フレーム23aの上部には、X及びY軸回りに対するステージ15の振動を検出する光センサ18が、第1及び第2の搬送路17a,17bに沿って移動するステージ15の上方に配置されている。また、フレーム23aの側部には、Z軸回りに対するステージ15の振動を検出する光センサ18が、第1及び第2の搬送路17a,17bに沿って移動するステージ15の側面に対向して配置されている。この光センサ18は、支持体21を介してフレーム23aの側部に設けられている。
【0063】
なお、各図では、光センサ18を簡略的に示すが、例えば、1つの光センサ18が、複数の発光部及び受光部を有しており、単独でX,Y及びZ軸回りに対するステージ15の振動を検出可能に構成されている。
【0064】
以上のように構成された変形例2においても、第1の実施形態と同様に、複数の光センサ18によって3軸回りに対するステージ15の振動を検出することができるので、配向膜の品質を適正に管理し、品質が低下した配向膜の製造を抑えることができる。
【0065】
(第1の実施形態に係る変形例3)
図8は、第1の実施形態に係る変形例3の偏光光照射装置を模式的に示す側面図である。この変形例3は、光センサ18の検出結果に基づいてステージ15の位置を補正する点が、第1の実施形態と異なる。
【0066】
図8に示すように、変形例3の偏光光照射装置4は、ステージ15をX、Y及びZ軸回りに対して移動可能に支持する位置補正機構25と、各光センサ18が検出した検出結果に基づいて位置補正機構25を制御する制御手段としての制御部19と、を備える。
【0067】
変形例3における各光センサ18は、例えば、上述した第1の実施形態及びその変形例1,2と同様に配置されている。位置補正機構25は、制御部19と電気的に接続されている。制御部19は、各光センサ18の検出結果に基づいて、位置補正機構25を制御することで、位置補正機構25によって、移動中のステージ15の位置が適正な位置に補正される。制御部19は、例えば、ステージ15の移動中に光センサ18が検出したステージ15の振動に基づいて、ステージ15の振幅が所定の範囲内になるように位置補正機構25を制御する。
【0068】
また、位置補正機構25がステージ15の位置を補正するタイミングは、搬送機構16によって搬送されるステージ15の移動中に限定されず、他のタイミングで制御が行われてもよい。例えば、ステージ15上の基板11への偏光光の照射が終了し、ステージ15が開始位置P1に戻った後、先行したステージ15の移動中に光センサ18が検出した検出結果に基づいて、待機中のステージ15の位置を補正するように、制御部19が位置補正機構25の制御を行ってもよい。
【0069】
以上のように構成された変形例3によれば、光センサ18の検出結果に基づいて、位置補正機構25によってステージ15の位置を補正することで、配向膜の品質が低下することを更に抑えることが可能になる。したがって、変形例3においても、第1の実施形態と同様に、配向膜の品質を適正に管理し、品質が低下した配向膜の製造を抑えることができる。
【0070】
第1の実施形態及びその変形例1〜3では、位置検出手段として光センサ18が用いられたが、例えば、超音波位置センサ等の他の非接触式の位置センサが用いられてもよい。また、位置検出手段は、非接触式の位置センサに限定されるものではなく、例えば、ステージ15に接触する接触子を有する接触式の変位センサが用いられてもよい。また、光センサ18としては、上述した反射型センサに限定されるものではなく、透過型センサが用いられてもよい。この場合には、例えば、ステージ15に設けられた光透過部を透過した検出光を受光することでステージ15の位置を検出してもよい。
【0071】
接触式の変位センサを用いる場合には、例えば、ステージ15の搬送路に沿った位置に、移動中のステージ15に接するように複数の変位センサが配置される。また、このような変位センサを用いる場合には、所定のタイミングで変位センサをステージ15に押し付けることでステージ15の位置を検出してもよい。
【0072】
(第2の実施形態)
図9は、第2の実施形態に係る偏光光照射装置を示す斜視図である。図10は、第2の実施形態に係る偏光光照射装置を示す平面図である。図11は、第2の実施形態に係る偏光光照射装置を示す側面図である。第2の実施形態は、光センサ18がステージ15側に配置される点が、第1の実施形態及びその変形例と異なる。
【0073】
図9図11に示すように、第2の実施形態の偏光光照射装置5が有する複数の光センサ18は、ステージ15に設けられている。偏光光照射装置5は、位置検出手段として、光センサ18と、光センサ18が位置を検出するための基準面29aを有する反射板29と、を有する。光センサ18は、ステージ11の移動中に基準面29aで反射された検出光を受光することで、ステージ11の振動を検出する。
【0074】
図9以降においては、簡略的に3つの光センサ18のみを図示しており、1つの光センサ18が単独でステージ15の振動を検出可能に構成されている。また、3軸の各軸回りに対する振動(振幅)を検出するために、例えば5つの光センサ18がステージ15に設けられてもよい。ステージ15に設けられる光センサ18の位置や個数は、本実施形態に限定されず、振動を検出する方向や検出精度等に関する必要に応じて適宜設定される。
【0075】
図10及び図11に示すように、ステージ15には、開始位置P1から照射部12に向かって進行するときの前方の側面の両側に、X及びY軸回りに対するステージ15の振動を検出する各光センサ18が設けられている。これらの光センサ18は、検出光をステージ15の下方に出射する向きに設けられている。また、これらの光センサ18に対応して、照射部12の内部には、照射ユニット13の照射面Bと同一面上(X−Y平面上)に基準面29aが位置するように複数の反射板29が設けられている。
【0076】
また、ステージ15には、搬送方向に平行な側面に、Z軸回りに対するステージ15の振動を検出する光センサ18が設けられている。この光センサ18は、ステージ15上の基板11が照射領域A内を移動する間に照射部12内の側面に検出光を照射する向きに設けられている。また、この光センサ18に対応して、照射部12の内部には、側面上(Y−Z平面上)に基準面29aが位置するように反射板29が設けられている。この反射板29は、ステージ15上の基板11が照射領域A内を移動する間に光センサ18が通過する位置に基準面29aが対向するように配置されている。
【0077】
また、X及びY軸回りに対するステージ15の振動を検出する各光センサ18は、検出光をステージ15の下方に出射する向きに設けられたが、図11に示すように、検出光をステージ15の上方に出射する向きに設けられてもよい。ステージ15の下方に検出光を出射するように光センサ18が設けられる場合、ステージ15の下方に、光センサ18に対向するように反射板29が配置される。この反射板29は、照射部12の内部の下方に、ガイドレール16aに沿って設けられており、光センサ18に対向する基準面29aが、照射面Bに平行なX−Y平面上に位置するように配置される。
【0078】
また、光センサ18の個数や配置、基準面29aの個数、ステージ15の搬送方向に対する基準面29aの寸法は、光センサ18及び基準面29aによって、ステージ15上の基板11が照射領域A内を移動する間にわたってステージ15の振動を検出可能となるように設定されることが望ましい。
【0079】
以上のように構成された第2の実施形態においても、第1の実施形態及びその変形例1〜3と同様に、複数の光センサ18及び反射板29によって3軸回りに対するステージ15の振動を検出することができるので、配向膜の品質を適正に管理し、品質が低下した配向膜の製造を抑えることができる。
【0080】
(第2の実施形態に係る変形例1)
図12は、第2の実施形態に係る変形例1の偏光光照射装置を示す平面図である。図13は、第2の実施形態に係る変形例1の偏光光照射装置を示す側面図である。第2の実施形態の変形例1は、光センサ18が利用する基準面29aの配置が、第1の実施形態と異なる。
【0081】
図12及び図13に示すように、第2の実施形態の変形例1の偏光光照射装置6は、反射板29が設けられた一組の反射板支持部33を有する。一組の反射板支持部33は、ステージ15の搬送方向(Y軸方向)において、搬送機構16における第1の搬送路17a及び第2の搬送路17bに沿う位置に配置されている。言い換えると、この変形例1における各反射板29の基準面29aは、開始位置P1と照射部12との間の第1の搬送路17aに沿う位置と、照射部12と停止位置P2との間の第2の搬送路17bに沿う位置とにそれぞれ配置されている。
【0082】
一組の反射板支持部33は、各反射板29を支持するフレーム33aを有する。フレーム33aは、搬送路17のガイドレール16aに跨って配置されている。フレーム33aの上部には、X及びY軸回りに対するステージ15の振動を検出する光センサ18の検出光を、基準面29aで反射するように、反射板29が、第1及び第2の搬送路17a,17bに沿って移動するステージ15の上方に配置されている。また、フレーム33aの側部には、Z軸回りに対するステージ15の振動を検出する光センサ18の検出光を、基準面29aで反射するように、反射板29が、第1及び第2の搬送路17a,17bに沿って移動するステージ15の側面に対向して配置されている。
【0083】
以上のように構成された第2の実施形態に係る変形例1においても、第1の実施形態等と同様に、光センサ18及び反射板29によって3軸回りに対するステージ15の振動を検出することができるので、配向膜の品質を適正に管理し、品質が低下した配向膜の製造を抑えることができる。
【0084】
(第2の実施形態に係る変形例2)
位置検出手段として、上述した光センサ18及び基準面29aを有する反射板29を用いる代わりに、ステージ15に、ジャイロセンサが設けられてもよい。図示しないが、1つのジャイロセンサによって、3軸回りに対するステージ15の各振動を検出することが可能になり、位置検出手段の構成を簡素化することができる。
【0085】
また、ジャイロセンサを例えば、ステージ15の内部に組み込むことで、ジャイロセンサが照射ユニット13の照射領域Aに晒されることが避けられるので、ジャイロセンサの耐久性や検出動作の信頼性を高めることが可能になる。また、ジャイロセンサが無線通信にて制御部19に検出信号を送信するように構成されてもよく、ステージ15の位置を検出するための構成の自由度が高められる。
【0086】
以上のように構成された第2の実施形態に係る変形例2においても、第1の実施形態等と同様に、ジャイロセンサによって3軸回りに対するステージ15の振動を検出することができるので、配向膜の品質を適正に管理し、品質が低下した配向膜の製造を抑えることができる。
【0087】
また、第2の実施形態及びその変形例1,2においても、光センサ18及び反射板29の代わりに、例えば、超音波位置センサ等の他の非接触式の位置センサや、接触式の変位センサが用いられてもよい。
【0088】
また、第2の実施形態及びその変形例1,2においても、第1の実施形態に係る変形例3と同様に、位置検出手段としての光センサ18及び反射板29やジャイロセンサが検出した検出結果に基づいて、ステージ15の位置が位置補正機構25によって補正されるように構成されてもよい。
【0089】
また、上述した実施形態及び変形例では、搬送機構16が1つのステージ15を搬送するように構成されたが、照射ユニット13の照射領域Aに対して複数のステージ15を交互に搬送するように構成されてもよい。この構成の場合においても、位置検出手段によって移動中の各ステージ15の位置を検出することで、上述した実施形態及び変形例と同様の効果を得ることができる。
【0090】
また、実施形態では、照射ユニット13が偏光光を鉛直下方に照射するように配置されたが、偏光光の照射方向を限定するものではない。例えば、ステージ15の搬送方向が水平方向に対して傾斜され、ステージ15上の基板11に照射される偏光光の光軸が鉛直方向に傾斜されてもよい。
【0091】
上述した各実施形態では、1つの照射ユニット13を備えて構成されたが、この構成に限定するものではない。例えば、複数の照射ユニット13が所定の間隔をあけて設けられてもよい。この場合、照射領域Aは、複数の照射ユニット13の直下のみならず、一端に設けられた照射ユニット13の最下面の開口の一端から、他端の照射ユニット13の最下面の開口の他端までの間の領域としてもよい。
【0092】
本発明の実施形態を説明したが、実施形態は、例として提示したものであり、本発明の範囲を限定することを意図していない。実施形態は、その他の様々な形態で実施することが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。実施形態やその変形は、本発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0093】
1 光配向用偏光光照射装置
11 基板
12 照射部
13 照射ユニット
15 ステージ
16 搬送機構
17 搬送路
17a 第1の搬送路
17b 第2の搬送路
18 光センサ
19 制御部
20 操作部
20a 表示パネル
A 照射領域
B 照射面
P1 開始位置
P2 停止位置
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13