(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述した遊技機用演出装置では、回動ユニットにより可動役物を一方向に移動させるだけである。近年、可動役物が大型化されたり多数配置されたりするのが一般的となっており、可動役物を一方向に移動させるだけでは、他の部材との干渉を回避しつつ可動役物を移動させるのが困難な場合や、退避時に可動役物を限られたスペースに収容するのが困難な場合が生じる。
【0005】
本発明の遊技機用演出装置は、他の部材との干渉を回避しながら演出部材を第1位置と第2位置との間で移動可能とすることを主目的とする。または、本発明の遊技機用演出装置は、退避時に可動役物を限られたスペースに収容可能とすることを主目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の遊技機用演出装置は、上述の主目的を達成するために以下の手段を採った。
【0007】
本発明の遊技機用演出装置は、
遊技機に用いられる遊技機用演出装置であって、
演出部材と、
前記演出部材を第1位置から第2位置へ移動させる移動部材と、
前記移動部材に駆動力を付与する駆動手段と、
前記移動部材に設けられる係合部と、
前記係合部と係合する被係合部を有し、前記係合部を前記被係合部に沿って移動可能にガイドするガイド部材と、
を備え、
前記移動部材は、前記駆動手段からの駆動力により前記係合部が前記被係合部に沿って移動することで、前記第1位置から前記第2位置へ到達するまでに前記演出部材を異なる2以上の方向に移動可能である、
ことを要旨とする。
【0008】
この本発明の遊技機用演出装置では、演出部材と、演出部材を第1位置から第2位置へ移動させる移動部材と、移動部材に駆動力を付与する駆動手段と、移動部材に設けられる係合部と、係合部と係合する被係合部を有し係合部を被係合部に沿って移動可能にガイドするガイド部材と、を備えるものである。そして、移動部材は、駆動手段からの駆動力により係合部が被係合部に沿って移動することで、第1位置から第2位置へ到達するまでに演出部材を異なる2以上の方向に移動可能である。このように、演出部材を異なる2以上の方向に移動可能とすることで、他の部材との干渉を回避しながら演出部材を第1位置から第2位置へ移動させることが可能となる。また、待避時に演出部材を収容に適した姿勢に変化させることで、演出部材を限られたスペースに適切に収容することが可能となる。
【0009】
こうした本発明の遊技機用演出装置において、前記被係合部は、第1方向に延びる第1被係合部と、該第1被係合部の端部から前記第1方向とは異なる第2方向に延びる第2被係合部と、を有し、前記ガイド部材は、前記係合部が前記第1被係合部および前記第2被係合部に沿って移動可能にガイドするものとしてもよい。こうすれば、第1被係合部および第2被係合部に沿って係合部を移動させることで演出部材の移動方向を容易に変化させることができる。
【0010】
また、本発明の遊技機用演出装置において、前記移動部材は、所定の回動軸に軸支され、前記演出部材に連結されると共に前記係合部が設けられたリンク部材であり、前記リンク部材は、前記駆動手段からの駆動力と前記ガイド部材によるガイドとにより前記回動軸を中心に回動すると共に前記回動軸の軸方向に沿って移動可能であるものとすることもできる。こうすれば、回動軸を中心としたリンク部材の回動方向および回動軸の軸方向の2方向に演出部材を移動させることができる。
【0011】
この態様の本発明の遊技機用演出装置において、前記被係合部は、前記回動軸を中心とする周方向および該回動軸の軸方向に対して傾斜する傾斜方向に延び、前記リンク部材は、前記係合部が前記被係合部の傾斜に沿って移動することで、前記回動軸を中心に回動しながら該回動軸の軸方向に沿って移動可能であるものとしてもよい。こうすれば、簡易な機構によりリンク部材を回動軸を中心に回動しながら軸方向に沿って移動させることができる。
【0012】
さらにこの態様の本発明の遊技機用演出装置において、前記被係合部は、前記周方向に延びる第1被係合部と、前記第1被係合部の端部から前記傾斜方向に延びる第2被係合部と、を有し、前記リンク部材は、前記係合部が前記第1被係合部に沿って移動することで、前記回動軸の軸方向に移動不能な状態で前記回動軸を中心に回動し、前記係合部が前記第2被係合部に沿って移動することで、前記回動軸を中心に回動しながら該回動軸の軸方向に沿って移動可能であるものとしてもい。
【0013】
また、本発明の遊技機用演出装置において、前記演出部材に連結された第2リンク部材と、前記回動軸に回動不能に取り付けられたサンギヤと、前記リンク部材に回動可能に設けられ前記サンギヤに噛合するピニオンギヤとを含む遊星ギヤと、前記ピニオンギヤの回動に伴って回動する回動部材と、を備え、前記第2リンク部材は、前記回動部材の回動軸に対して偏心した位置に回動可能に連結されるものとしてもよい。こうすれば、リンク部材によって演出部材を移動させつつ演出部材の姿勢を第2リンク部材によって保持することができる。
【発明を実施するための形態】
【0015】
次に、図面を参照しながら、本発明を実施するための形態について説明する。
【0016】
図1は遊技機1の構成の概略を示す構成図であり、
図2はキャラクター役物21が演出位置に移動しているときの遊技機用演出装置20の外観を示す外観図であり、
図3はキャラクター役物21が退避位置に移動しているときの遊技機用演出装置20の外観を示す外観図であり、
図4は演出位置に移動しているときと退避位置に移動しているときのキャラクター役物21の側面図である。
【0017】
遊技機1は、遊技球を用いて遊技を行なうパチンコ機として構成され、
図1に示すように、略長方形状の本体2と、本体2の前面中央に設けられ遊技球が流下可能な遊技領域を有する遊技盤3と、遊技盤3の上方に設けられ種々の効果音や報知音を出力するスピーカ4と、遊技盤3の下方に設けられ遊技球を貯留する上受け皿5および下受け皿6と、上受け皿5に貯留されている遊技球を遊技盤3へ発射するための発射ハンドル7と、上受け皿5の中央に設けられ遊技者による操作が可能な演出ボタン18と、を備える。
【0018】
遊技盤3は、遊技領域の右下部に配置された図柄表示装置11と、遊技領域の中央に配置され各種演出画像を表示する画像表示装置としての液晶表示装置12と、液晶表示装置12の下方に配置され遊技球が入球可能な第1始動口(固定始動口)13と、第1始動口13の下方に開閉可能に配置され遊技球が入球可能な第2始動口(可変始動口)14と、液晶表示装置12の右下に開閉可能に配置され遊技球が入球可能な大入賞口15と、遊技領域の下方まで流下した遊技球を回収するためのアウト口16と、液晶表示装置12を囲むように配置されたセンター役物17と、通常はセンター役物17の裏側に退避(
図3参照)しており所定の演出実行タイミングでセンター役物17の裏側から液晶表示装置12の前方にキャラクター役物21を出現(
図2参照)させて演出(キャラクター演出)を行なう遊技機用演出装置20と、が設けられている。
【0019】
遊技機1では、第1始動口13や第2始動口14へ遊技球が入球されたことに基づいて図柄表示装置11にて特別図柄の変動表示を行ない、変動表示時間が終了すると、変動表示中の特別図柄を停止表示する。このとき、特別図柄が所定の大当り図柄で停止表示されると、大入賞口15を開放する大当り遊技を実行する。また、遊技機1では、特別図柄の変動表示中に、液晶表示装置12にて演出図柄を変動表示させる図柄変動演出が行われる。図柄変動演出では、演出図柄の変動表示を伴ってリーチ演出や予告演出、ボタン演出などが行なわれ、これらの演出によって特別図柄が大当り図柄で停止表示される可能性を遊技者に示唆する。遊技機用演出装置20は、例えば、上述したリーチ演出や予告演出、ボタン演出を伴ってキャラクター演出を実行し、キャラクター演出にてキャラクター役物21を液晶表示装置12の前方へ出現させることで、大当りの可能性が高いことを遊技者に示唆する。
【0020】
遊技機用演出装置20は、
図2,3に示すように、顔部22、右胸部23、左胸部24および拳部25を含むキャラクター役物21と、顔部22を駆動する顔部駆動装置30と、左胸部23および右胸部24を駆動する胸部駆動装置60と、拳部25を駆動する拳部駆動装置50と、液晶表示装置12の表示画面が配置される中央部が開口されると共に周縁部に顔部駆動装置30と胸部駆動装置60と拳部駆動装置50とが固定された矩形フレーム29と、を備える。
【0021】
顔部22、右胸部23、左胸部24および拳部25は、何れもアクリルやポリカーボネートなどの透明性の高い材料(透明樹脂)を用いて所定の厚さ(例えば約2mm)に形成されている。顔部22、右胸部23、左胸部24および拳部25は、これらが組み合わされて所定のキャラクター(例えばアニメーションのキャラクター)を模した1つのキャラクター役物を構成する。顔部22、右胸部23、左胸部24および拳部25は、
図4(a)に示すように、前(手前)側から後(奥)側へ向かって、拳部25、顔部22、左胸部24(右胸部23)の順に配置される。なお、キャラクター役物21は、顔部22、右胸部23、左胸部24および拳部25のそれぞれが表面に起伏を有するように立体形状に成形されていてもよい。
【0022】
遊技機用演出装置20は、顔部駆動装置30と胸部駆動装置60と拳部駆動装置50を駆動して顔部22、右胸部23、左胸部24および拳部25をそれぞれ演出位置へ移動させることにより、これらの組み合わせからなるキャラクター役物21を液晶表示装置12の前方へ出現させる(
図2参照)。また、遊技機用演出装置20は、顔部駆動装置30と胸部駆動装置60と拳部駆動装置50を駆動して顔部22、右胸部23、左胸部24および拳部25をそれぞれ退避位置へ移動させることにより、キャラクター役物21を遊技者が視認できない位置(センター役物17の裏側)へ退避させる(
図3参照)。なお、実施例では、顔部22、右胸部23、左胸部24および拳部25を、何れも矩形フレーム29の下縁部に退避させるものとした。この際、顔部22は、左胸部24と干渉しないように、左胸部24の前(手前)側に演出位置よりも間隔を空けて収容され、拳部25は、右胸部23と干渉しないように右胸部23の前(手前)側に所定間隔を空けて、且つ、遊技者の視認可能な領域(
図3および
図4中の破線領域)内に露出しないように演出位置とは異なる姿勢(角度)で収容される。
【0023】
図5は顔部駆動装置30を分解して示す分解斜視図であり、
図6は顔部22が演出位置にあるときの顔部駆動装置30の正面図および側面図であり、
図7は顔部22が退避位置にあるときの顔部駆動装置30の正面図および側面図である。顔部駆動装置30は、図示するように、駆動モータ31と、駆動モータ31の駆動力によって、矩形フレーム29に固定された回動軸29aを中心に回動して顔部22を上下方向に移動させると共に回動軸29aの軸方向に沿って移動して顔部22を前(手前)後(奥)方向に移動させる移動アーム41と、駆動モータ31の駆動力を移動アーム41に伝達するための伝達アーム33と、移動アーム41と伝達アーム33とを連結する連結部材34と、移動アーム41の移動をガイドするガイド部材としての第1ガイド部材36および第2ガイド部材37と、を備える。
【0024】
図5に示すように、駆動モータ31の回動軸に取り付けられた駆動ギヤ31aには矩形フレーム29に設けられた回動軸29bに軸支される伝達ギヤ32が噛合しており、伝達ギヤ32には、その回転孔32aに対して偏心した位置に偏心軸32bが設けられている。伝達アーム33は、両端部に回動孔33a,33bが設けられ、基端側の回動孔33aが偏心軸32bに回動可能に取り付けられている。これにより、伝達アーム33は、駆動モータ31により伝達ギヤ32が回転駆動されることで、図中、上下方向に進退可能となっている。
【0025】
連結部材34は、第1ガイド部材36に設けられた回動軸36aに回動可能に嵌合される回動孔34aを有し、回動孔34aに対して偏心し且つ回動孔34aを挟んで互いに略反対側の位置にそれぞれ回動軸34b,34cが設けられている。連結部材34の一方側の回動軸34bには、伝達アーム33の先端側の回動孔33bが回動可能に取り付けられている。連結部材34は、伝達アーム33が上下方向に進退することで、回動軸36aを中心に回動して回動軸34cを周方向に揺動可能となっている。
【0026】
移動アーム41の基端側には、矩形フレーム29に設けられた回動軸29aに対して回動可能かつ軸方向に沿って移動可能に嵌合される回動孔41aと、連結部材34の回動軸34cに対して回動可能且つ軸方向に沿って移動可能に嵌合される回動孔41bとが設けられている。移動アーム41の先端側には、顔部22から延在される延在片46が回動可能に連結されている。移動アーム41は、連結部材34の回動軸34cが周方向に揺動することで、回動軸29aを中心に回動して、先端部に連結される顔部22を円弧状の軌跡をもって上下方向に移動させ(
図6および
図7参照)、回動軸29aの軸方向に沿って移動することで、顔部22を前後方向に移動させることができる。
【0027】
第1ガイド部材36および第2ガイド部材37は、回動軸29aを覆うように配置された中空円筒部材であり、両部材の境界部において、回動軸29aを中心とする周方向に延びる周溝38aと、周溝38aの端部から回動軸29aの軸方向および周方向に対して傾斜する方向に延びる傾斜溝38bとを含むガイド溝38が形成される。ガイド溝38(周溝38a,傾斜溝38b)には移動アーム41の回動孔41aに対して径方向に突出する係合ピン41cが係合され、周溝38aおよび傾斜溝38bによって係合ピン41cの移動を規制することで、移動アーム41の移動をガイドする。即ち、移動アーム41は、周溝38aによって係合ピン41cがガイドされることで、回動軸29aの軸方向への移動が規制されて回動軸29aを中心した回動のみが可能となり、傾斜溝38bによって係合ピン41cがガイドされることで、回動軸29aを中心として回動しながら回動軸29aの軸方向に沿った移動が可能となる。
【0028】
また、顔部駆動装置30は、移動アーム41に並列に配置される姿勢アーム45も備えている。姿勢アーム45は、移動アーム41の回動により顔部22が円弧状の軌跡をもって上下方向に移動する間、顔部22の姿勢(向き)を一定に保つものであり、基端側が遊星ギヤ43および回動部材44を介して移動アーム41に連結され、先端側が顔部22の延在片46に回動可能に連結されている。遊星ギヤ43は、回動軸29aに対して回転不能に固定されるサンギヤ43aと、サンギヤ43aに噛合し移動アーム41に回動可能に支持されるピニオンギヤ43bとを有する。回動部材44は、その回動中心にピニオンギヤ43bと噛合する図示しないギヤが設けられ、回動中心に対して偏心した位置に姿勢アーム45の基端側が回動可能に連結されている。
【0029】
なお、顔部駆動装置30は、顔部22の退避位置を初期位置として検出するために、伝達ギヤ32の回動位置を検出する回動位置検出センサ39も備えている。
【0030】
図8は顔部22の移動の様子を正面視にて示す説明図であり、
図9は顔部22の移動の様子を側面視にて示す説明図である。顔部22は、退避位置にあるときには、左胸部24と干渉しないように左胸部24の前(手前)側に比較的大きな間隔を空けて収容されている(
図4(b)参照)。駆動モータ31の駆動が開始されると、顔部22が演出位置へ向かう途中までは、移動アーム41の係合ピン41cは周溝38aに係合するため(
図8(a),(b)および
図9(a),(b)参照)、移動アーム41は、回動軸29aを中心とした回動のみが可能であり、顔部22を円弧状の軌跡をもって上方へ移動させる。なお、移動アーム41が顔部22を移動させている間、姿勢アーム45は、顔部22の姿勢を一定に保っている。その後、顔部22が左胸部24の演出位置を通過した辺りから移動アーム41の係合ピン41cが周溝38aから傾斜溝38bへ移り(
図8(c)〜(e)および
図9(c)〜(d)参照)、移動アーム41は、回動軸29aを中心に回動しながら回動軸29aの軸方向に沿って後(奥)側へ移動し、顔部22を上方へ移動させると共に図中、後(奥)側へ移動させ、顔部22を退避位置よりも左胸部24に近接させる(
図4参照)。これにより、顔部駆動装置30は、左胸部24との干渉を避けながら顔部22を退避位置から演出位置へ移動させることができる。
【0031】
胸部駆動装置60は、
図2,3に示すように、左胸部23および右胸部24を、みぞおち部付近を中心に互いに近接する方向に回動させて矩形フレーム29の開口側へ出現させ、みぞおち部付近を中心に互いに離間する方向に回動させて矩形フレーム29の周縁部へ退避するものである。なお、胸部駆動装置60の構成については本発明の要旨をなさないから、その詳細な説明を省略する。
【0032】
図10は拳部駆動装置50の正面図および裏面図であり、
図11は拳部駆動装置50を分解して示す分解斜視図であり、
図12は回動板54の裏面図である。拳部駆動装置50は、図示するように、駆動モータ51と、駆動モータ51により回転駆動される駆動ローラ(図示せず)と従動ローラ(図示せず)とに掛け渡されたベルト52と、ベルト52に取り付けられたスライダ53と、表面に拳部25が固定されると共に裏面にスライダ53に設けられた回動軸53aが回動可能に取り付けられる回動板54と、回動板54と共に拳部25を回動させる回動機構55と、を備える。この拳部駆動装置50は、駆動モータ51によりベルト52が周回するよう駆動することで、ベルト52に取り付けられたスライダ53を上下方向に移動させる。スライダ53には回動板54を介して拳部25が取り付けられているから、スライダ53を上下方向に移動させることで、拳部25を上下方向に移動させることができる。
【0033】
回動機構55は、回動板54の裏側の回動中心に設けられたピニオンギヤ54aに噛合するラックギヤ部56aが形成されたラック56と、ラック56に設けられた係合ピン56bに係合するガイド溝58が形成されたガイド部材57とを備える。ラック56は、スライダ53に対して上下方向に移動不能で且つ左右方向に移動可能にスライダ53の凹部53bに遊嵌されている。ガイド部材57は、ガイド溝58として、上下方向に対して左下から右上へ向かって傾斜する傾斜溝58aと、傾斜溝58aの上端(右上部)から上方向へ直線状に延びる直線溝58bと、傾斜溝58aの下端(左下部)から下方向へ直線状に延びる直線溝58cとを含む。ガイド部材57は、スライダ53の上下方向の移動によりラック56の係合ピン56bが傾斜溝58aに沿って移動することで、スライダ53の上下運動をラック56の左右運動に変換する。上述したように、ラック56はラックギヤ部56aが回動板54に設けられたピニオンギヤ54aに噛合しており、回動板54には拳部25が固定されているから、ラック56が左右方向へ移動することで、ラック56の左右運動が回動板54の回動運動に変換されて、拳部25を回動させることができる。なお、スライダ53には回動軸53aを円弧中心とする円弧溝53cが形成され、回動板54には円弧溝53cに係合される係合ピン54bが設けられている。これにより、回動板54は、係合ピン54bが円弧溝53cに沿ってガイドされながら回動することになる。
【0034】
なお、拳部駆動装置50は、拳部25の退避位置を初期位置として検出するために、スライダ53の上下位置を検出する上下位置検出センサ59も備えている。
【0035】
図13は拳部25の移動の様子を正面視にて示す説明図であり、
図14は拳部25の移動の様子を側面視にて示す説明図である。駆動モータ51が駆動されると、拳部25が退避位置から演出位置へ向かう途中までは、ラック56の係合ピン56bが直線溝58cに係合し(
図13(a)参照)、ラック56の左右方向への移動が規制されながらスライダ53が上方向に移動し、拳部25を回動させることなく上方向へ移動させる。次に、ラック56の係合ピン56bが傾斜溝58aに移ると(
図13(b)参照)、スライダ53の上方向への移動がラック56の右方向の移動に変換され、回動板54を介して拳部25を時計回りに回動させる。そして、ラック56の係合ピン56bが直線溝58bに移ると(
図13(c)参照)、ラック56が右端へ位置して拳部25の回動が停止され、拳部25が演出位置へ到達する。
【0036】
以上説明した実施例の遊技機用演出装置20は、キャラクター役物21の一部を構成する顔部22と、回動軸29aを中心に回動可能で且つ回動軸29aの軸方向に沿って移動可能に構成され駆動モータ31からの駆動力により顔部22を移動させる移動アーム41と、移動アーム41に設けられる係合ピン41cと係合するガイド溝38が形成された第1ガイド部材36および第2ガイド部材37とを備える。そして、ガイド溝38として、回動軸29aを中心に周方向に延びる周溝38aと、回動軸29aの軸方向および周方向に対して傾斜する方向に延びる傾斜溝38bとを形成する。これにより、周溝38aにより移動アーム41の軸方向の移動を規制しながら移動アーム41の回動を可能とし、傾斜溝38bにより移動アーム41の回動と軸方向の移動とを可能とすることができる。この結果、左胸部24との干渉を避けながら顔部22を退避位置から演出位置へ移動させることができる。しかも、遊技機用演出装置20は、先端側が顔部22(延在片46)に連結されると共に基端側が遊星ギヤ43および回動部材44を介して移動アーム41に連結される姿勢アーム45を備えるため、移動アーム41により顔部22が円弧状の軌跡をもって移動するときにも顔部22の姿勢(向き)を一定に保持することができる。
【0037】
また、実施例の遊技機用演出装置20は、キャラクター役物21の一部を構成する拳部25と、駆動モータ51により駆動されるベルト52に取り付けられたスライダ53と、表面に拳部25が固定されると共に裏面にスライダ53に設けられた回動軸53aが回動可能に取り付けられる回動板54と、回動板54と共に拳部25を回動させる回動機構55と、を備える。回動機構55は、スライダ53に対して上下方向に移動不能で且つ左右方向に移動可能なラック56と、ラック56に設けられた係合ピン56bに係合されるガイド溝58が形成されたガイド部材57とを備えて構成され、ガイド溝58として、上下方向に対して傾斜する傾斜溝58aを形成する。スライダ53の上下方向の移動によりラック56の係合ピン56bが傾斜溝58aに沿って移動することで、スライダ53の上下運動をラック56の左右運動に変換し、ラック56のラックギヤ部56aに噛合するピニオン54aを有する回動板54を回動させる。これにより、拳部25を上下方向に移動させながら回動させることができるため、拳部25を退避位置と演出位置との間でスムーズに移動させることができると共に拳部25を退避位置の限られたスペース(センター役物17の裏側)に適切に収容することができる。
【0038】
実施例の遊技機用演出装置20では、顔部駆動装置30として、顔部22の姿勢を保持する姿勢アーム45を備える構成を採用したが、姿勢アーム45を備えないものとしてもよい。この場合、遊星ギヤ43や回動部材44も省略することができる。
【0039】
実施例の遊技機用演出装置20では、顔部駆動装置30として、伝達アーム33を介して駆動モータ31からの駆動力を移動アーム41に伝達する構成を採用したが、駆動モータ31からの駆動力をギヤやベルトを用いて移動アーム41に伝達するものとしてもよい。
【0040】
実施例の遊技機用演出装置20では、顔部駆動装置30として、回動軸29aを中心に周方向に延びる周溝38aと、回動軸29aの周方向および軸方向に対して傾斜する傾斜方向に延びる傾斜溝38bとを含むガイド溝38を形成する構成を採用したが、周溝38aを含まないガイド溝38を形成するものとしてもよい。
【0041】
実施例の遊技機用演出装置20では、拳部駆動装置50として、拳部25を上下方向に移動可能で且つ回動可能な構成を採用したが、拳部25を上下方向に移動可能で且つ左右方向に移動可能な構成を採用することもできる。この場合、例えば、ラック56のラックギヤ部56aを省略してその先端部を拳部56に連結するものとすればよい。
【0042】
実施例の遊技機用演出装置20では、キャラクター役物21を顔部22、右胸部23、左胸部24および拳部25の4つの部材に分割して構成するものとしたが、2つ、3つ或いは5つ以上の部材に分割して構成するものとしてもよい。例えば、キャラクター役物を顔部と胴部の2つの部材に分割するものとしてもよい。また、キャラクター役物を単一の部材により構成するものとしても差し支えない。
【0043】
また、実施例では、本発明をパチンコ機に適用するものとしたが、これに限定されるものではなく、パチンコ機以外の遊技機、例えばスロットマシンやスロットマシンとパチンコ機との融合機、その他の遊技機に本発明を適用してもよい。
【0044】
実施例の主要な要素と課題を解決するための手段の欄に記載した発明の主要な要素との対応関係について説明する。実施例では、顔部22が「演出部材」に相当し、移動アーム41が「移動部材」に相当し、駆動モータ31や伝達ギヤ32、伝達アーム33、連結部材34などが「駆動手段」に相当し、係合ピン41cが「係合部」に相当し、ガイド溝38(周溝38a,傾斜溝38b)が「被係合部」に相当し、第1ガイド部材36および第2ガイド部材37が「ガイド部材」に相当する。また、周溝38aが「第1被係合部」に相当し、傾斜溝38bが「第2被係合部」に相当する。また、移動アーム41が「リンク部材」に相当する。また、姿勢アーム45が「第2リンク部材」に相当し、遊星ギヤ43が「遊星ギヤ」に相当し、回動部材44が「回動部材」に相当する。また、拳部25も「演出部材」に相当し、スライダ53や回動板54も「移動部材」に相当し、駆動モータ51やベルト52なども「駆動手段」に相当し、回動板54を回動させるラック56の係合ピン56bも「係合部」に相当し、ガイド溝57(傾斜溝57a、直線溝57b,57c)も「被係合部」に相当し、ガイド部材56も「ガイド部材」に相当する。
【0045】
以上、本発明の実施の形態について説明したが、本発明はこうした実施形態に何等限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において、種々なる形態で実施し得ることは勿論である。