特許第6493387号(P6493387)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6493387
(24)【登録日】2019年3月15日
(45)【発行日】2019年4月3日
(54)【発明の名称】シアニン系着色組成物
(51)【国際特許分類】
   C09B 23/10 20060101AFI20190325BHJP
   C09B 69/10 20060101ALI20190325BHJP
   C08F 20/34 20060101ALI20190325BHJP
   C08F 20/60 20060101ALI20190325BHJP
   C08F 20/10 20060101ALI20190325BHJP
   C08F 220/00 20060101ALI20190325BHJP
   C08F 212/06 20060101ALI20190325BHJP
   C08F 226/06 20060101ALI20190325BHJP
   C08F 222/06 20060101ALI20190325BHJP
   C08F 222/40 20060101ALI20190325BHJP
   G02B 5/20 20060101ALI20190325BHJP
【FI】
   C09B23/10CSP
   C09B69/10 B
   C08F20/34
   C08F20/60
   C08F20/10
   C08F220/00
   C08F212/06
   C08F226/06
   C08F222/06
   C08F222/40
   G02B5/20 101
【請求項の数】15
【全頁数】61
(21)【出願番号】特願2016-506554(P2016-506554)
(86)(22)【出願日】2015年3月5日
(86)【国際出願番号】JP2015056528
(87)【国際公開番号】WO2015133578
(87)【国際公開日】20150911
【審査請求日】2018年2月22日
(31)【優先権主張番号】特願2014-45375(P2014-45375)
(32)【優先日】2014年3月7日
(33)【優先権主張国】JP
(31)【優先権主張番号】特願2015-12761(P2015-12761)
(32)【優先日】2015年1月26日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000252300
【氏名又は名称】富士フイルム和光純薬株式会社
(72)【発明者】
【氏名】信太 幸彦
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 克史
(72)【発明者】
【氏名】堀江 智章
【審査官】 桜田 政美
(56)【参考文献】
【文献】 特表平02−504436(JP,A)
【文献】 特開2010−037545(JP,A)
【文献】 特開2012−083651(JP,A)
【文献】 特開2013−178478(JP,A)
【文献】 特開2000−103975(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C09B 23/10
C08F 20/10
C08F 20/34
C08F 20/60
C08F 212/06
C08F 220/00
C08F 222/06
C08F 222/40
C08F 226/06
C09B 69/10
G02B 5/20
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記一般式(1)で示される化合物。
式中、R〜Rは、それぞれ独立して、水素原子、ニトロ基、ハロゲノ基、シアノ基、アミド基、カルボキシル基、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜6のアルコキシ基、炭素数2〜4のアルキルオキシカルボニル基、炭素数2〜4のアルキルカルボニルオキシ基、又は炭素数7〜10のアリールカルボニル基を表し、
及びRは、それぞれ独立して、水素原子、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数7〜13のアリールアルキル基、或いは、フェニル基の置換基として、炭素数1〜6のアルキル基、ニトロ基、ハロゲノ基又はシアノ基を有する、炭素数7〜9のフェニルアルキル基を表し、nは0〜4の整数を表し、
は、水素原子、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数7〜13のアリールアルキル基、置換基として、炭素数1〜6のアルコキシ基、ヒドロキシル基、カルボキシル基、ハロゲノ基、シアノ基、アミド基又は炭素数2〜4のアルキルオキシカルボニル基を有する、炭素数1〜6のアルキル基、或いは、フェニル基の置換基として、炭素数1〜6のアルコキシ基、ハロゲノ基又はアミド基を有する、炭素数7〜9のフェニルアルキル基を表し、
n個のRは、それぞれ独立して、ニトロ基、ハロゲノ基、シアノ基、アミド基、カルボキシル基、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜6のアルコキシ基、炭素数2〜4のアルキルオキシカルボニル基、炭素数2〜4のアルキルカルボニルオキシ基、又は炭素数7〜10のアリールカルボニル基を表し、
12は、水素原子又はメチル基を表し、
は、−O−、−OCO−、−COO−、ビニレン基及びアリーレン基から選ばれる少なくとも1つの基を鎖中に有する炭素数1〜21のアルキレン基、−O−、−OCO−、−COO−及びアリーレン基から選ばれる少なくとも1つの基を鎖中に有し、且つ、ヒドロキシル基を置換基として有する炭素数1〜21のアルキレン基、炭素数1〜21のアルキレン基、或いは、ヒドロキシル基を置換基として有する炭素数1〜21のアルキレン基を表し、Aは−NH−または−O−を表し、
An-は、下記一般式(16)、一般式(17)又は一般式(18)で示されるアニオン:
(式中、R42〜R45は、それぞれ独立して、炭素数1〜3のハロゲン化アルキル基、ハロゲン原子又はニトロ基を表し、m〜mは、それぞれ独立して、1〜5の整数を表す。m個のR42は、同一でも異なっていてもよく、m個のR43、m個のR44及びm個のR45も、それぞれ同一でも異なっていてもよい。)
(式中、R46は、それぞれ独立して、炭素数1〜3のハロゲン化アルキル基又はハロゲン原子を表すが、4つのR46のうち少なくとも1つは、炭素数1〜3のハロゲン化アルキル基を表す。)
(式中、R47及びR48は、それぞれ独立して、炭素数1〜3のハロゲン化アルキル基又はハロゲン原子を表すが、R47とR48とで炭素数2〜3のハロゲン化アルキレン基を形成してもよい。)
を表す。
【請求項2】
An-が、一般式(16)又は一般式(18)で示されるアニオンである、請求項1記載の化合物。
【請求項3】
An-が、一般式(16)で示されるアニオンである、請求項1記載の化合物。
【請求項4】
An-が、一般式(16)で示されるアニオンであり、一般式(16)におけるR42〜R45が、ハロゲン原子である、請求項1記載の化合物。
【請求項5】
An-が、テトラキス(パーフルオロフェニル)ボレートアニオンである請求項1記載の化合物。
【請求項6】
下記一般式(1)で示される化合物由来のモノマー単位を有するポリマー。
(式中、R〜Rは、それぞれ独立して、水素原子、ニトロ基、ハロゲノ基、シアノ基、アミド基、カルボキシル基、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜6のアルコキシ基、炭素数2〜4のアルキルオキシカルボニル基、炭素数2〜4のアルキルカルボニルオキシ基、又は炭素数7〜10のアリールカルボニル基を表し、
及びRは、それぞれ独立して、水素原子、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数7〜13のアリールアルキル基、或いは、フェニル基の置換基として、炭素数1〜6のアルキル基、ニトロ基、ハロゲノ基又はシアノ基を有する、炭素数7〜9のフェニルアルキル基を表し、nは0〜4の整数を表し、
は、水素原子、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数7〜13のアリールアルキル基、置換基として、炭素数1〜6のアルコキシ基、ヒドロキシル基、カルボキシル基、ハロゲノ基、シアノ基、アミド基又は炭素数2〜4のアルキルオキシカルボニル基を有する、炭素数1〜6のアルキル基、或いは、フェニル基の置換基として、炭素数1〜6のアルコキシ基、ハロゲノ基又はアミド基を有する、炭素数7〜9のフェニルアルキル基を表し、
n個のRは、それぞれ独立して、ニトロ基、ハロゲノ基、シアノ基、アミド基、カルボキシル基、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜6のアルコキシ基、炭素数2〜4のアルキルオキシカルボニル基、炭素数2〜4のアルキルカルボニルオキシ基、又は炭素数7〜10のアリールカルボニル基を表し、
12は、水素原子又はメチル基を表し、
は、−O−、−OCO−、−COO−、ビニレン基及びアリーレン基から選ばれる少なくとも1つの基を鎖中に有する炭素数1〜21のアルキレン基、−O−、−OCO−、−COO−及びアリーレン基から選ばれる少なくとも1つの基を鎖中に有し、且つ、ヒドロキシル基を置換基として有する炭素数1〜21のアルキレン基、炭素数1〜21のアルキレン基、或いは、ヒドロキシル基を置換基として有する炭素数1〜21のアルキレン基を表し、Aは−NH−または−O−を表す。
An-は、下記一般式(16)、一般式(17)又は一般式(18)で示されるアニオン:
(式中、R42〜R45は、それぞれ独立して、炭素数1〜3のハロゲン化アルキル基、ハロゲン原子又はニトロ基を表し、m〜mは、それぞれ独立して、1〜5の整数を表す。m個のR42は、同一でも異なっていてもよく、m個のR43、m個のR44及びm個のR45も、それぞれ同一でも異なっていてもよい。)
(式中、R46は、それぞれ独立して、炭素数1〜3のハロゲン化アルキル基又はハロゲン原子を表すが、4つのR46のうち少なくとも1つは、炭素数1〜3のハロゲン化アルキル基を表す。)
(式中、R47及びR48は、それぞれ独立して、炭素数1〜3のハロゲン化アルキル基又はハロゲン原子を表すが、R47とR48とで炭素数2〜3のハロゲン化アルキレン基を形成してもよい。)
を表す。
【請求項7】
An-が、一般式(16)又は一般式(18)で示されるアニオンである、請求項6記載のポリマー。
【請求項8】
An-が、一般式(16)で示されるアニオンである、請求項6記載のポリマー。
【請求項9】
An-が、一般式(16)で示されるアニオンであり、一般式(16)におけるR42〜R45が、ハロゲン原子である、請求項6記載のポリマー。
【請求項10】
An-が、テトラキス(パーフルオロフェニル)ボレートアニオンである請求項6記載のポリマー。
【請求項11】
ポリマーがコポリマーである、請求項6記載のポリマー。
【請求項12】
コポリマーが、下記一般式(2)、一般式(3)、一般式(4)又は一般式(5)で示される化合物由来のモノマー単位1〜2種と上記一般式(1)で示される化合物由来のモノマー単位とを構成成分とするものである、請求項11記載のポリマー;
[式中、R21は、水素原子又はメチル基を表し、R22は、水素原子、炭素数1〜18のアルキル基、炭素数1〜10のヒドロキシルアルキル基、炭素数6〜10のアリール基、炭素数7〜13のアリールアルキル基、炭素数2〜9のアルコキシアルキル基、炭素数3〜9のアルコキシアルコキシアルキル基、炭素数7〜13のアリールオキシアルキル基、炭素数5〜7のモルホリノアルキル基、炭素数3〜9のトリアルキルシリル基、酸素を有する又は酸素を有さない炭素数6〜10の脂環式炭化水素基、炭素数3〜9のジアルキルアミノアルキル基、炭素数1〜18のフッ化アルキル基、又は炭素数1〜6のN−アルキレンフタルイミド基、下記一般式(2-1)で示される基
(式中、R23は、炭素数1〜3のアルキレン基を表し、R24は、ヒドロキシル基を置換基として有する又は無置換のフェニル基、或いは炭素数1〜3のアルキル基を表し、qは1〜3の整数を表す。)、
下記一般式(2-2)で示される基
(式中、R25〜R27は炭素数1〜3のアルキル基を表し、R28は炭素数1〜3のアルキレン基を表す。)、又は下記一般式(2-3)で示される基
(式中、lは、1〜6の整数を表し、R29はフェニレン基又はシクロへキシレン基を表す)を表す。]、
(式中、R21は上記と同じ。R31は、水素原子又は炭素数1〜3のアルキル基を表し、R32は、水素原子、炭素数1〜3のアルキル基、炭素数3〜9のジアルキルアミノアルキル基、又は炭素数1〜6のヒドロキシアルキル基を表す。R31とR32は、これらと隣接する窒素原子とでモルホリノ基を形成してもよい。)、
(式中、R33は、フェニル基、ピロリジノ基を表し、R21は上記と同じ。)
(式中、R35は、窒素原子又は酸素原子を表し、jは、R35が酸素原子の場合に0を表し、R35が窒素原子の場合には1を表す。R34は、水素原子、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数1〜10のヒドロキシルアルキル基、炭素数1〜10のハロゲン化アルキル基、炭素数1〜10のアルキルシクロアルキル基、炭素数6〜7のハロゲン化シクロアルキル基、炭素数6〜10のアリール基、炭素数1〜6のアルキル基を置換基として有する炭素数6〜10のアリール基、又は、炭素数6〜10のハロゲン化アリール基を表す。)。
【請求項13】
請求項1記載の化合物又は請求項6記載のポリマーを含んでなる着色組成物。
【請求項14】
請求項1記載の化合物又は請求項6記載のポリマーを含んでなるカラーフィルター用着色組成物。
【請求項15】
請求項1記載の化合物又は請求項6記載のポリマーを含んでなる着色樹脂。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シアニン系着色化合物、該化合物由来のモノマー単位を有するポリマー、および該ポリマーを含んでなる着色組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
液晶表示素子や固体撮像素子等のカラーフィルターの製造におけるカラー画素の形成方法としては、着色剤に染料を用いた染色法や染料分散法、顔料を用いた顔料分散法、電着法、印刷法等が知られている。近年、カラーフィルターの特性として、輝度とコントラストの向上が特に求められている。顔料を用いた顔料分散法によれば、染料に比べて耐熱性や耐光性が高い為、パネル製造時の加熱工程で劣化が少なく、また、長期信頼性の高いカラー画素を得ることができる。そのため、現在は顔料分散法が主流となってきている。しかしながら、顔料を用いた場合、顔料自体が比較的大きな粒子径を持つため、光の散乱によりコントラストが低下するという問題があった。顔料を微粒子化する試みもなされていたが、微粒子化にも限界があり、また、微粒子化した顔料の分散安定性の確保も課題となっていた。
【0003】
一方、このような問題を解消できる方法として、染料を用いてカラー画素を形成する方法が現在研究されている。染料を用いた場合、光散乱が抑制されるためにコントラストが向上する。しかしながら、染料は顔料と比較すると、耐熱性が低く、種類によっては昇華性を有するものもあるため、輝度の低下、退色、色相の変化などの問題があった。よって、染料を用いるためには、この問題点の解消が求められていた。
一方、カラーフィルターの黄色染料としては、シアニン系着色化合物、バルビツール酸アゾ系着色化合物(特許文献1)、アゾ系着色化合物(特許文献2)、ピリドンアゾ系化合物(特許文献3)等が通常用いられている。しかし、上記アゾ系化合物のアゾ基は、ラジカル反応を阻害することが知られている。このため、アゾ系化合物を原料としてカラーフィルターを製造する場合、重合反応が進まず充分な強度の硬化膜が得られない可能性があった。
【0004】
また、ある特定波長に吸収帯を持つ染料は有害な波長の光を遮光、もしくは透過率を低減する。したがって様々な製品に添加すればフィルターとしての役割を付与することが可能である。たとえば、目に有害な波長領域として知られているブルーライト(380〜500nmの可視光線)をカットする染料は、メガネレンズおよびそのフレームやカバーなどの周辺材料に好適に用いることができる。一例として、染料をレンズの表面に浸透、拡散して染色する方法(特許文献4)が知られている。しかし、表面加工であるため、均一な染色とはならない場合がある。また、別の方法として特定のモノマーに紫外線吸収剤を混合して重合し、400nmまでの紫外線を遮るプラスチックレンズを作成する方法がある(特許文献5)。しかし、紫外線吸収剤はモノマーと直接結合していないため、重合時にムラが生じやすい等の問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2012−208474
【特許文献2】特開2011−145540
【特許文献3】特開2013−136739
【特許文献4】特開2013−54275
【特許文献5】特開平2−93422
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は従来の着色組成物よりも耐熱性が高いシアニン系着色組成物の提供を課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、上記状況に鑑み、アゾ系化合物ではなくシアニン系化合物を着色組成物の原料として用いることを考えた。しかし、従来のシアニン系化合物では実用的な範囲の耐熱性が得られなかったため、鋭意研究した結果、特定構造のアニオンをカウンターアニオンとして有し、且つエチレン性不飽和結合を有するシアニン系化合物、或いは該化合物由来のモノマー単位を有するポリマーを染料として用いることにより、耐熱性の優れた着色組成物が得られることを見出し、本発明を完成するに至った。本発明の着色組成物は、一般的な染料と比べて極めて高い耐熱性を有していることから、射出成形温度が200℃を超える樹脂などの着色にも問題なく用いることができる。また、本発明の化合物の分子内にはエチレン性不飽和基があるため、ポリマーとして本発明の着色組成物を用いることにより、経年使用時のブリードアウトが抑制され、エタノール等の溶媒への溶出も抑制されるだけでなく、従来の染料より均一な染色も可能となる。
【0008】
即ち、本発明は、下記一般式(1)で示される化合物、下記一般式(1)で示される化合物由来のモノマー単位を有するポリマー、上記化合物又は上記ポリマーを含んでなる着色組成物、並びに、上記化合物又は上記ポリマーを含んでなるカラーフィルター用着色組成物に関する。
(式中、R〜Rは、それぞれ独立して、水素原子、ニトロ基、ハロゲノ基、シアノ基、アミド基、カルボキシル基、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜6のアルコキシ基、炭素数2〜4のアルキルオキシカルボニル基、炭素数2〜4のアルキルカルボニルオキシ基、又は炭素数7〜10のアリールカルボニル基を表し、
及びRは、それぞれ独立して、水素原子、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数7〜13のアリールアルキル基、或いは、フェニル基の置換基として、炭素数1〜6のアルキル基、ニトロ基、ハロゲノ基又はシアノ基を有する、炭素数7〜9のフェニルアルキル基を表し、
は、水素原子、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数7〜13のアリールアルキル基、置換基として、炭素数1〜6のアルコキシ基、ヒドロキシル基、カルボキシル基、ハロゲノ基、シアノ基、アミド基又は炭素数2〜4のアルキルオキシカルボニル基を有する、炭素数1〜6のアルキル基、或いは、フェニル基の置換基として、炭素数1〜6のアルコキシ基、ハロゲノ基又はアミド基を有する、炭素数7〜9のフェニルアルキル基を表し、
n個のRは、それぞれ独立して、ニトロ基、ハロゲノ基、シアノ基、アミド基、カルボキシル基、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜6のアルコキシ基、炭素数2〜4のアルキルオキシカルボニル基、炭素数2〜4のアルキルカルボニルオキシ基、又は炭素数7〜10のアリールカルボニル基を表し、
12は、水素原子又はメチル基を表し、
は、−O−、−OCO−、−COO−、ビニレン基及びアリーレン基から選ばれる少なくとも1つの基を鎖中に有する炭素数1〜21のアルキレン基、−O−、−OCO−、−COO−、ビニレン基及びアリーレン基から選ばれる少なくとも1つの基を鎖中に有し、且つ、ヒドロキシル基を置換基として有する炭素数1〜21のアルキレン基、炭素数1〜21のアルキレン基、或いは、ヒドロキシル基を置換基として有する炭素数1〜21のアルキレン基を表し、Aは−NH−または−O−を表す。
An-は、電子吸引性の置換基を有するアリール基、電子吸引性の置換基を有するスルホニル基、又はハロゲン化アルキル基を含むアニオンを表す。)
【発明の効果】
【0009】
本発明の化合物又はポリマーを着色組成物として用いると、230℃で30分間加熱した場合であっても、加熱による退色が少なく、高い耐熱効果を奏する。即ち、本発明の化合物又はポリマーは、従来の着色組成物よりも優れた耐熱効果を有し、更に、優れた耐溶剤性及び耐候性も有する。そのため、本発明の着色組成物は、種々の用途に適用することができ、液晶表示装置(LCD)や固体撮像素子(CCD、CMOS等)に用いられるカラーフィルター等の着色画素形成用途、印刷インキ、インクジェットインキ、および塗料等の用途に用いることができ、特に、液晶表示装置のカラーフィルター用として好適である。さらに、本発明の着色組成物は、従来公知の成形方法により、シート、フィルム、ボトル、カップ等に成形して着色樹脂成形物として使用することもできる。よって、メガネ、コンタクトレンズ、カラーコンタクトレンズ等の用途にも使用することができ、公知の樹脂との多層構造体とすることによっても同様の用途に使用することができる。その他にも、例えば光学フィルム、ヘアカラーリング剤、化合物や生体物質に対する標識物質、有機太陽電池の材料等の用途にも用いることが可能である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
[電子吸引性の置換基を有するアリール基、電子吸引性の置換基を有するスルホニル基、又はハロゲン化アルキル基を含むアニオン]
一般式(1)のAnで示される電子吸引性の置換基を有するアリール基、電子吸引性の置換基を有するスルホニル基又はハロゲン化アルキル基を含むアニオン(以下、これらを本発明に係るアニオンと略記する場合がある)としては、電子吸引性の置換基を有するアリール基、電子吸引性の置換基を有するスルホニル基、又はハロゲン化アルキル基を含む、例えばスルホン酸アニオン、窒素アニオン(N-)、4級ホウ素アニオン、硝酸イオン、燐酸イオン等が挙げられ、スルホン酸アニオン、窒素アニオン、4級ホウ素アニオンが好ましく、4級ホウ素アニオンがより好ましい。
【0011】
本発明に係るアニオンの電子吸引性の置換基を有するアリール基又は電子吸引性の置換基を有するスルホニル基における電子吸引性の置換基としては、例えば、炭素数1〜3のハロゲン化アルキル基、ハロゲノ基、ニトロ基等が挙げられ、中でも炭素数1〜3のハロゲン化アルキル基、ハロゲノ基が好ましく、ハロゲノ基が特に好ましい。
【0012】
上記電子吸引性の置換基としての炭素数1〜3のハロゲン化アルキル基としては、例えばクロロメチル基、トリクロロメチル基、2−クロロエチル基、2,2,2−トリクロロエチル基、2−クロロプロピル基、3−クロロプロピル基、2−クロロ−2−プロピル基等のクロロアルキル基;ブロモメチル基、トリブロモメチル基、2−ブロモエチル基、2,2,2−トリブロモエチル基、2−ブロモプロピル基、3−ブロモプロピル基、2−ブロモ−2−プロピル基等のブロモアルキル基;ヨードメチル基、トリヨードメチル基、2−ヨードエチル基、2,2,2−トリヨードエチル基、2−ヨードプロピル基、3−ヨードプロピル基、2−ヨード−2−プロピル基等のヨードアルキル基、;フルオロメチル基、トリフルオロメチル基、2−フルオロエチル基、2,2,2−トリフルオロエチル基、1,1,2,2−テトラフルオロエチル基、ペンタフルオロエチル基、3−フルオロプロピル基、3,3,3−トリフルオロプロピル基、2,2,3,3−テトラフルオロプロピル基、ヘプタフルオロプロピル基等のフルオロアルキル基が挙げられる。中でもフルオロアルキル基が好ましく、トリフルオロメチル基が特に好ましい。
【0013】
上記電子吸引性の置換基としてのハロゲノ基としては、フルオロ基、クロロ基、ブロモ基、ヨード基が挙げられるが、フルオロ基が好ましい。
【0014】
本発明に係るアニオンの電子吸引性の置換基を有するアリール基における電子吸引性の置換基は、上記具体例の中でも、電子吸引力が強いものが好ましく、トリフルオロメチル基、フルオロ基、ニトロ基が好ましく、フルオロ基、ニトロ基がより好ましい。
【0015】
本発明に係るアニオンの電子吸引性の置換基を有するスルホニル基における電子吸引性の置換基は、上記具体例の中でも、トリフルオロメチル基、ペンタフルオロエチル基、ヘプタフルオロプロピル基、フルオロ基等が好ましい。
【0016】
本発明に係るアニオンの電子吸引性の置換基を有するアリール基におけるアリール基としては、例えば、フェニル基、ナフチル基等が挙げられ、フェニル基が好ましい。
【0017】
本発明に係るアニオンにおける電子吸引性の置換基を有するアリール基の具体例としては、例えば下記一般式(11)及び(12)で表されるものが挙げられる。
【0018】
(式中、mは1〜5の整数を表し、m個のR41は、それぞれ独立して、炭素数1〜3のハロゲン化アルキル基、ハロゲン原子又はニトロ基を表し、*は、結合手を表す。)
【0019】
(式中、kは1〜7の整数を表す。R41及び*は上記と同じ。k個のR41は同一でも異なっていてもよい。)
mは、R41がハロゲン原子の場合は2〜5が好ましく、3〜5がより好ましく、5が更に好ましい。R41がニトロ基の場合は1〜3が好ましく、1がより好ましい。R41がハロゲン化アルキル基の場合は、1〜5が好ましい。
【0020】
kは、R41がハロゲン原子の場合は2〜7が好ましい。R41がニトロ基の場合は1〜3が好ましく、1がより好ましい。R41がハロゲン化アルキル基の場合は、1〜7が好ましい。
【0021】
一般式(11)及び一般式(12)におけるR41の炭素数1〜3のハロゲン化アルキル基は、上記本発明に係るアニオンにおける電子吸引性の置換基における炭素数1〜3のハロゲン化アルキル基と同じものが挙げられ、好ましいものも同じである。
【0022】
一般式(11)及び一般式(12)におけるハロゲン原子は、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等が挙げられ、中でもフッ素原子が好ましい。
【0023】
一般式(11)及び一般式(12)におけるR41の好ましい具体例は、上記の本発明に係るアニオンにおける電子吸引性の置換基の好ましいものと同じである。
【0024】
一般式(11)で示される基は、具体的には例えば、トリフルオロメチルフェニル基、ジ(トリフルオロメチル)フェニル基、トリ(トリフルオロメチル)フェニル基、モノフルオロフェニル基、ジフルオロフェニル基、トリフルオロフェニル基、パーフルオロフェニル基、モノクロロフェニル基、ジクロロフェニル基、トリクロロフェニル基、パークロロフェニル基、モノブロモフェニル基、ジブロモフェニル基、トリブロモフェニル基、パーブロモフェニル基、モノヨードフェニル基、ジヨードフェニル基、トリヨードフェニル基、パーヨードフェニル基、ニトロフェニル基、ジニトロフェニル基、トリニトロフェニル基等が挙げられ、ジフルオロフェニル基、トリフルオロフェニル基、パーフルオロフェニル基等が好ましく、パーフルオロフェニル基がより好ましい。
【0025】
一般式(12)で示される基は、具体的には例えば、トリフルオロメチルナフチル基、ジ(トリフルオロメチル)ナフチル基、トリ(トリフルオロメチル)ナフチル基、モノフルオロナフチル基、ジフルオロナフチル基、トリフルオロナフチル基、パーフルオロナフチル基、モノクロロナフチル基、ジクロロナフチル基、トリクロロナフチル基、パークロロナフチル基、モノブロモナフチル基、ジブロモナフチル基、トリブロモナフチル基、パーブロモナフチル基、モノヨードナフチル基、ジヨードナフチル基、トリヨードナフチル基、パーヨードナフチル基、ニトロナフチル基、ジニトロナフチル基、トリニトロナフチル基等が挙げられる。
【0026】
本発明に係るアニオンにおける電子吸引性の置換基を有するアリール基は、上記具体例の中でも、一般式(11)で示される基が好ましく、具体的にはトリフルオロメチルフェニル基、ニトロフェニル基、ジニトロフェニル基、トリニトロフェニル基、モノフルオロフェニル基、ジフルオロフェニル基、トリフルオロフェニル基、パーフルオロフェニル基が好ましく、ジフルオロフェニル基、トリフルオロフェニル基、ニトロフェニル基、パーフルオロフェニル基がより好ましく、ニトロフェニル基、パーフルオロフェニル基が更に好ましく、パーフルオロフェニル基が特に好ましい。
【0027】
本発明に係るアニオンにおける電子吸引性の置換基を有するスルホニル基としては、例えば−SO2−CF3、−SO2−C2F5、−SO2−C3F7、−SO2−F、−SO2−Cl、−SO2−Br、−SO2−I等が挙げられる。
【0028】
本発明に係るアニオンにおけるハロゲン化アルキル基としては、炭素数1〜3のハロゲン化アルキル基が挙げられ、例えば、トリフルオロメチル基、ペンタフルオロエチル基、ヘプタフルオロプロピル基、トリクロロメチル基、ペンタクロロエチル基、ヘプタクロロプロピル基、トリブロモメチル基、ペンタブロモエチル基、ヘプタブロモプロピル基、トリヨードメチル基、ペンタヨードエチル基、ヘプタヨードプロピル基等が挙げられ、トリフルオロメチル基、ペンタフルオロエチル基、ヘプタフルオロプロピル基等が好ましい。
【0029】
本発明に係る電子吸引性の置換基を有するアリール基、電子吸引性の置換基を有するスルホニル基又はハロゲン化アルキル基を含むアニオンとしては、具体的には例えば下記一般式(13)〜(18)で示されるものが挙げられる。
(式中、R41、mは上記と同じ。m個のR41は同一でも異なっていてもよい。)
【0030】
(式中、R41、kは上記と同じ。k個のR41は同一でも異なっていてもよい。)
【0031】
(式中、R41、kは上記と同じ。k個のR41は同一でも異なっていてもよい。)
【0032】

(式中、R42〜R45は、それぞれ独立して、炭素数1〜3のハロゲン化アルキル基、ハロゲン原子又はニトロ基を表し、m〜mは、それぞれ独立して、1〜5の整数を表す。m個のR42は、同一でも異なっていてもよく、m個のR43、m個のR44及びm個のR45も、それぞれ同一でも異なっていてもよい。)
【0033】
(式中、R46は、それぞれ独立して、炭素数1〜3のハロゲン化アルキル基又はハロゲン原子を表すが、4つのR46のうち少なくとも1つは、炭素数1〜3のハロゲン化アルキル基を表す。)
【0034】
(式中、R47及びR48は、それぞれ独立して、炭素数1〜3のハロゲン化アルキル基又はハロゲン原子を表すが、R47とR48とで炭素数2〜3のハロゲン化アルキレン基を形成してもよい。)
【0035】
一般式(13)における、R41及びmの組合せとしては、例えば下記表記載のものが挙げられる。尚、当該m個のR41はそれぞれ独立するものであるが、同じ場合が好ましい。
【0036】
【0037】
一般式(13)で示されるアニオンの好ましい具体例としては、例えば下記のものが挙げられる。
【0038】
一般式(14)及び(15)における、R41及びmの組合せとしては、例えば下記表記載のものが挙げられる。尚、当該m個のR41はそれぞれ独立するものであるが、同じ場合が好ましい。
【0039】
一般式(14)及び(15)で示されるアニオンの好ましい具体例としては、例えば下記のものが挙げられる。
【0040】
一般式(16)のR42〜R45における炭素数1〜3のハロゲン化アルキル基としては、本発明に係るアニオンにおけるハロゲン化アルキル基と同じものが挙げられ、好ましいものも同じである。
一般式(16)のR42〜R45におけるハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等が挙げられ、中でもフッ素原子が好ましい。
【0041】
一般式(16)における、R42〜R45及びm〜mの組合せとしては、例えば下記表記載のものが挙げられる。
【0042】
【0043】
一般式(16)で示されるアニオンの好ましい具体例としては、例えば、下記式が挙げられる。

【0044】
中でも、下記式が好ましい。
また、下記式が特に好ましい。
【0045】
一般式(17)のR46におけるハロゲン化アルキル基としては、本発明に係るアニオンにおけるハロゲン化アルキル基と同じものが挙げられ、好ましいものも同じである。
一般式(17)のR46におけるハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等が挙げられ、中でもフッ素原子が好ましい。
【0046】
一般式(17)で示されるアニオンの好ましい具体例としては、例えばCF3BF3-、C2F5BF3-、C3F7BF3-、(CF3)4B-、(C2F5)4B-、(C3F7)4B-等が挙げられる。
【0047】
一般式(18)のR47及びR48におけるハロゲン化アルキル基としては、本発明に係るアニオンにおけるハロゲン化アルキル基と同じものが挙げられ、好ましいものも同じである。
【0048】
一般式(18)のR47及びR48におけるハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等が挙げられ、中でもフッ素原子が好ましい。
【0049】
一般式(18)のR47とR48とで形成される炭素数2〜3のハロゲン化アルキレン基としては、例えば4フッ化エチレン基、6フッ化プロピレン基等が挙げられる。
【0050】
一般式(18)で示されるアニオンの好ましい具体例としては、下記式が挙げられる。

【0051】
本発明に係るアニオンは、一般式(16)、一般式(17)又は一般式(18)で示されるものが好ましく、一般式(16)で示されるものがより好ましい。上記具体例の中でも、下記式が特に好ましい。
【0052】
[本発明の化合物]
本発明の化合物は、一般式(1)で示される化合物である。
【0053】
一般式(1)のR〜R及びRにおける炭素数1〜6のアルキル基としては、直鎖状でも分枝状でも環状でもよく、直鎖状が好ましい。その炭素数は1〜3が好ましい。具体的には例えば、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、1−メチルプロピル基、イソブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基、ペンチル基、1−エチルプロピル基、1−メチルブチル基、シクロペンチル基、ヘキシル基、1−メチルペンチル基、1−エチルブチル基、シクロへキシル基等が挙げられ、中でもメチル基、エチル基、n-プロピル基が好ましい。
【0054】
一般式(1)のR〜R及びRにおける炭素数1〜6のアルコキシ基としては、直鎖状でも分枝状でも環状でもよく、直鎖状が好ましい。その炭素数は1〜3が好ましい。具体的には例えば、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基、t−ブトキシ基、ヘキシルオキシ基等が挙げられ、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基等が好ましい。
【0055】
一般式(1)のR〜R及びRにおける炭素数2〜4のアルキルオキシカルボニル基としては、直鎖状でも分枝状でも環状でもよく、直鎖状が好ましい。具体的には例えば、メチルオキシカルボニル基、エチルオキシカルボニル基、プロピルオキシカルボニル基等が挙げられる。
【0056】
一般式(1)のR〜R及びRにおける炭素数2〜4のアルキルカルボニルオキシ基としては、直鎖状でも分枝状でも環状でもよく、直鎖状が好ましい。具体的には例えば、メチルカルボニルオキシ基、エチルカルボニルオキシ基、プロピルカルボニルオキシ基等が挙げられる。
【0057】
一般式(1)のnは、0〜2が好ましく、0がより好ましい。
【0058】
一般式(1)のR〜R及びRにおける炭素数7〜10のアリールカルボニル基としては、例えばフェニルカルボニル基、ナフチルカルボニル基等が挙げられ、フェニルカルボニル基が好ましい。
【0059】
一般式(1)のR〜Rの好ましい具体例としては、それぞれ独立して水素原子又は炭素数1〜6のアルキル基が挙げられ、中でも水素原子が好ましく、全て水素原子が好ましい。
【0060】
一般式(1)のn個のRの好ましい具体例としては、それぞれ独立して炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜6のアルコキシ基等が挙げられ、中でも炭素数1〜6のアルコキシ基等が好ましい。
【0061】
一般式(1)のR及びRにおける炭素数1〜6のアルキル基としては、直鎖状でも分枝状でも環状でもよく、直鎖状が好ましい。その炭素数は1〜3が好ましい。具体的には例えば、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、1−メチルプロピル基、イソブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基、ペンチル基、1−エチルプロピル基、1−メチルブチル基、シクロペンチル基、ヘキシル基、1−メチルペンチル基、1−エチルブチル基、シクロへキシル基等が挙げられ、中でもメチル基、エチル基、n-プロピル基が好ましい。
【0062】
一般式(1)のR及びRにおける炭素数7〜13のアリールアルキル基としては、例えばベンジル基、フェニルエチル基、フェニルプロピル基、ナフチルメチル基、ナフチルエチル基、ナフチルプロピル基等が挙げられ、ベンジル基が好ましい。
【0063】
一般式(1)のR及びRにおけるフェニル基の置換基としての炭素数1〜6のアルキル基としては、上記一般式(1)のRにおける炭素数1〜6のアルキル基と同じものが挙げられ、好ましいものも同じである。
【0064】
一般式(1)のR及びRにおけるフェニル基の置換基としてのハロゲノ基としては、フルオロ基、クロロ基、ブロモ基、ヨード基が挙げられる。
【0065】
一般式(1)のR及びRにおける置換基を有する炭素数7〜9のフェニルアルキル基のフェニルアルキル基としては、ベンジル基、フェニルエチル基、フェニルプロピル基等が挙げられ、ベンジル基が好ましい。尚、上記7〜9の炭素数は、置換基の炭素数を含まない。本明細書では、以下同様に、置換基を有する基の炭素数は、置換基の炭素数を含まない数を表す。
【0066】
一般式(1)のR及びRにおける置換基を有する炭素数7〜9のフェニルアルキル基としては、具体的には例えばメチルベンジル基、エチルベンジル基、プロピルベンジル基、ニトロベンジル基、ジニトロベンジル基、フルオロベンジル基、クロロベンジル基、ブロモベンジル基、ヨードベンジル基、シアノベンジル基、アミドベンジル基等が挙げられる。
【0067】
一般式(1)のR及びRの好ましい具体例としては、それぞれ独立して水素原子又は炭素数1〜6のアルキル基が挙げられ、中でもメチル基、エチル基、プロピル基が好ましく、両方メチル基が特に好ましい。
【0068】
一般式(1)のRにおける炭素数1〜6のアルキル基としては、上記一般式(1)のRにおける炭素数1〜6のアルキル基と同じものが挙げられ、好ましいものも同じである。
【0069】
一般式(1)のRにおける炭素数7〜13のアリールアルキル基としては、上記一般式(1)のR及びRにおける炭素数7〜13のアリールアルキル基と同じものが挙げられ、好ましいものも同じである。
【0070】
一般式(1)のRにおける炭素数1〜6のアルキル基の置換基としての炭素数1〜6のアルコキシ基としては、一般式(1)のR〜R及びRにおける炭素数1〜6のアルコキシ基と同じものが挙げられ、好ましいものも同じである。
【0071】
一般式(1)のRにおける炭素数1〜6のアルキル基の置換基としてのハロゲノ基としては、フルオロ基、クロロ基、ブロモ基、ヨード基が挙げられる。
【0072】
一般式(1)のRにおける炭素数1〜6のアルキル基の置換基としての炭素数2〜4のアルキルオキシカルボニル基としては、直鎖状でも分枝状でも環状でもよく、直鎖状が好ましい。具体的には例えば、メチルオキシカルボニル基、エチルオキシカルボニル基、プロピルオキシカルボニル基等が挙げられる。
【0073】
一般式(1)のRにおける置換基を有する炭素数1〜6のアルキル基のアルキル基としては、上記一般式(1)のRにおける炭素数1〜6のアルキル基と同じものが挙げられ、好ましいものも同じである。
【0074】
一般式(1)のRにおける置換基を有する炭素数1〜6のアルキル基としては、具体的には例えばメトキシメチル基、エトキシメチル基、プロポキシメチル基、メトキシエチル基、エトキシエチル基、プロポキシエチル基、ヒドロキシメチル ヒドロキシエチル基、ヒドロキシプロピル基、カルボキシメチル基、カルボキシエチル基、カルボキシプロピル基、フルオロメチル基、フルオロエチル基、フルオロプロピル基、クロロメチル基、クロロエチル基、クロロプロピル基、ブロモメチル基、ブロモエチル基、ブロモプロピル基、ヨードメチル基、ヨードエチル基、ヨードプロピル基、シアノメチル基、シアノエチル基、シアノプロピル基、アミドメチル基、アミドエチル基、アミドプロピル基、メチルオキシカルボニルメチル基、メチルオキシカルボニルエチル基、エチルオキシカルボニルメチル基、エチルオキシカルボニルエチル基が挙げられる。
【0075】
一般式(1)のRにおける炭素数7〜9のフェニルアルキル基の置換基としての炭素数1〜6のアルコキシ基としては、一般式(1)のR〜R及びRにおける炭素数1〜6のアルコキシ基と同じものが挙げられ、好ましいものも同じである。
【0076】
一般式(1)のRにおける炭素数7〜9のフェニルアルキル基の置換基としてのハロゲノ基としては、フルオロ基、クロロ基、ブロモ基、ヨード基が挙げられる。
【0077】
一般式(1)のRにおける炭素数7〜9のフェニルアルキル基のフェニルアルキル基としては、ベンジル基、フェニルエチル基、フェニルプロピル基等が挙げられ、ベンジル基が好ましい。
【0078】
一般式(1)のRにおける置換基を有する炭素数7〜9のフェニルアルキル基としては、メトキシベンジル基、エトキシベンジル基、プロピルオキシベンジル基、フルオロベンジル基、クロロベンジル基、ブロモベンジル基、ヨードベンジル基、アミドベンジル基等が挙げられる。
【0079】
一般式(1)のRとしては、炭素数1〜6のアルキル基が好ましく、中でも、メチル基、エチル基、n-プロピル基が好ましい。
【0080】
一般式(1)のA中の炭素数1〜21のアルキレン鎖が鎖中に有するアリーレン基としては、フェニレン基、ナフチレン基が挙げられ、フェニレン基が好ましい。
【0081】
一般式(1)のAにおける、「−O−、−OCO−、−COO−、ビニレン基及びアリーレン基から選ばれる少なくとも1つの基をその鎖中に有する炭素数1〜21のアルキレン基」、「−O−、−OCO−、−COO−、ビニレン基及びアリーレン基から選ばれる少なくとも1つの基を鎖中に有し、且つ、ヒドロキシル基を置換基として有する炭素数1〜21のアルキレン基」、「ヒドロキシル基を置換基として有する炭素数1〜21のアルキレン基」及び「炭素数1〜21のアルキレン基」における、炭素数1〜21のアルキレン基としては、直鎖状又は分枝状であり、炭素数1〜12が好ましく、炭素数1〜6がより好ましく、炭素数1〜3が更に好ましい。具体的には例えば、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、メチルエチレン基、ブチレン基、1−メチルプロピレン基、2−メチルプロピレン基、ペンチレン基、メチルブチレン基、1,2−ジメチルプロピレン基、1−エチルプロピレン基、ヘキシレン基、メチルペンチレン基、n−へプチレン基、n−オクチレン基、n−ノニレン基、n−デシレン基、n−ウンデシレン基、n−ドデシレン基、n−トリデシレン基、n−テトラデシレン基、n−ペンタデシレン基、n−ヘキサデシレン基、n−ヘプタデシレン基、n−オクタデシレン基、n−ノナデシレン基、n−アラキレン基、n−エイコシレン基、シクロペンチレン基、シクロへキシレン基、シクロへプチレン基等が挙げられ、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基、ペンチレン基、ヘキシレン基等が好ましく、メチレン基、エチレン基、プロピレン基がより好ましく、エチレン基が特に好ましい。
【0082】
一般式(1)のAにおける「−O−、−OCO−、−COO−、ビニレン基及びアリーレン基から選ばれる少なくとも1つの基を鎖中に有する炭素数1〜21のアルキレン基」としては、例えば下記一般式(6-1)〜(6-6)で示される基等が挙げられる。
【0083】
−R51−X−R51− (6-1)
(式中、2つのR51は、それぞれ独立して、炭素数1〜10のアルキレン基を表し、Xは−O−、−OCO−、COO−、ビニレン基又はアリーレン基を表す。)
【0084】
−R51−X−R51−X−R51− (6-2)
(式中、3つのR51は、それぞれ独立して上記と同じものを表し、Xは上記と同じ。)
【0085】
−R51−(CO)p7−R51− (6-3)
(式中、2つのR51は、それぞれ独立して上記と同じものを表し、p7は、1〜9の整数を表す。)
【0086】
−R51−(CHCH(CH)O)p9−R51− (6-4)
(式中、2つのR51は、それぞれ独立して上記と同じものを表し、p9は、1〜9の整数を表す。)
【0087】
−X−R53− (6-5)
(式中、Xは−O−、−OCO−、又は−COO−基を表し、R53は、炭素数1〜10のアルキレン基を表す。)
−CH=CH−COO−R54− (6-6)
(式中、R54は、炭素数1〜10のアルキレン基を表す。)
【0088】
上記一般式(6-1)のR51における炭素数1〜10のアルキレン基としては、炭素数1〜6のものが好ましく、炭素数1〜3のものがより好ましい。具体的には、例えばメチレン基、エチレン基、プロピレン基、メチルエチレン基、ブチレン基、1−メチルプロピレン基、2−メチルプロピレン基、ペンチレン基、メチルブチレン基、1,2−ジメチルプロピレン基、1−エチルプロピレン基、ヘキシレン基、メチルペンチレン基、n−へプチレン基、n−オクチレン基、n−ノニレン基、n−デシレン基、シクロペンチレン基、シクロへキシレン基、シクロへプチレン基等が挙げられ、メチレン基、エチレン基、プロピレン基がより好ましく、エチレン基が特に好ましい。
【0089】
上記一般式(6-1)で示される基としては、具体的には例えば下記一般式が挙げられる(式中、X11は−O−、−OCO−、COO−、ビニレン基又はアリーレン基を表す)。
−CH−X11−CH
−CH−X11−C
−CH−X11−C
−CH−X11−C
−CH−X11−C10
−CH−X11−C12
−C−X11−CH
−C−X11−C
−C−X11−C
−C−X11−C
−C−X11−C10
−C−X11−C12
−C−X11−CH
−C−X11−C
−C−X11−C
−C−X11−C
−C−X11−C10
−C−X11−C12
−CH−X11−C10
−C−X11−C10
−C−X11−C10
【0090】
一般式(6-1)で示される基におけるX11としては、−OCO−、COO−等が好ましく、−OCO−がより好ましい。
【0091】
一般式(6-1)で示される基のより具体定的な好ましい具体例としては、下記式のものが挙げられる。
−CH−OCO−CH
−CH−OCO−C
−CH−OCO−C
−CH−OCO−C
−CH−OCO−C10
−CH−OCO−C12
−C−OCO−CH
−C−OCO−C
−C−OCO−C
−C−OCO−C
−C−OCO−C10
−C−OCO−C12
−C−OCO−CH
−C−OCO−C
−C−OCO−C
−C−OCO−C
−C−OCO−C10
−C−OCO−C12
−CH−OCO−C10
−C−OCO−C10
−C−OCO−C10
【0092】
一般式(6-2)で示される基の好ましい具体例としては、例えば下記一般式が挙げられる(式中、X11は、それぞれ独立して−O−、−OCO−、COO−、ビニレン基又はフェニレン基を表す。)。
−CH−X11−C−X11−CH
−CH−X11−C−X11−C
−C−X11−C−X11−CH
−C−X11−C−X11−C
−C−X11−C−X11−C
−C−X11−C−X11−C
−C−X11−C−X11−C10
−C−X11−C−X11−C12
−C−X11−C−X11−CH
−C−X11−C−X11−C
−C−X11−C−X11−C
−C−X11−C−X11−C
−C−X11−C−X11−C10
−C−X11−C−X11−C12
−C−X11−C−X11−CH
−C−X11−C−X11−C
−C−X11−C−X11−C
−C−X11−C−X11−C
−C−X11−C−X11−C10
−C−X11−C−X11−C12
−C10−X11−C−X11−CH
−C10−X11−C−X11−C
−C10−X11−C−X11−C
−C10−X11−C−X11−C
−C10−X11−C−X11−C10
−C10−X11−C−X11−C12
−C12−X11−C−X11−CH
−C12−X11−C−X11−C
−C12−X11−C−X11−C
−C12−X11−C−X11−C
−C12−X11−C−X11−C10
−C12−X11−C−X11−C12
−CH−X11−C−X11−CH
−C−X11−C−X11−C
−C−X11−C−X11−C
−C−X11−C−X11−C
−C−X11−C−X11−C10
−C−X11−C−X11−C12
−C−X11−C−X11−C
−C−X11−C−X11−C
−C−X11−C−X11−C
−C−X11−C−X11−C10
−C−X11−C−X11−C12
−C−X11−C−X11−C
−C10−X11−C−X11−C10
−C12−X11−C−X11−C12
−C−X11−CH−X11−C
−C−X11−C−X11−C
−C−X11−C10−X11−C
−C−X11−C12−X11−C
−C−X11−C10−X11−C
【0093】
一般式(6-2)で示される基におけるX11としては、−OCO−、COO−等が好ましい。
【0094】
一般式(6-2)で示される基のより具体定的な好ましい具体例としては、下記式が挙げられる。
−CH−OCO−C−COO−C
−CH−OCO−C−COO−C
−C−OCO−C−COO−CH
−C−OCO−C−COO−C
−C−OCO−C−COO−C
−C−OCO−C−COO−C
−C−OCO−C−COO−C10
−C−OCO−C−COO−C12
−C10−OCO−C−COO−CH
−C10−OCO−C−COO−C
−C10−OCO−C−COO−C
−C10−OCO−C−COO−C
−C10−OCO−C−COO−C10
−C10−OCO−C−COO−C12
−C12−OCO−C−COO−CH
−C12−OCO−C−COO−C
−C12−OCO−C−COO−C
−C12−OCO−C−COO−C
−C12−OCO−C−COO−C10
−C12−OCO−C−COO−C12
−CH−OCO−C−COO−CH
−C−OCO−C−COO−C
−C−OCO−C−COO−C
−C−OCO−C−COO−C
−C−OCO−C−COO−C10
−C−OCO−C−COO−C12
−C−OCO−C−COO−C
−C−OCO−C−COO−C
−C−OCO−C−COO−C
−C−OCO−C−COO−C10
−C−OCO−C−COO−C12
−C−OCO−C−COO−C
−C10−OCO−C−COO−C10
−C12−OCO−C−COO−C12
−C−OCO−CH−COO−C
−C−OCO−C−COO−C
−C−OCO−C10−COO−C
−C−OCO−C12−COO−C
−C−OCO−C10−COO−C
【0095】
一般式(6-3)で示される基の好ましい具体例としては、例えば下記一般式が挙げられる(式中、p7は上記と同じ。)。
−CH−(CO)p7−CH
−CH−(CO)p7−C
−CH−(CO)p7−C
−C−(CO)p7−CH
−C−(CO)p7−C
−C−(CO)p7−C
−C−(CO)p7−C
−C−(CO)p7−C10
−C−(CO)p7−C12
−C−(CO)p7−CH
−C−(CO)p7−C
−C−(CO)p7−C
−C−(CO)p7−CH
−C−(CO)p7−C
−C−(CO)p7−C
【0096】
一般式(6-4)で示される基の好ましい具体例としては、例えば下記一般式が挙げられる(式中、p9は上記と同じ。)。
−CH−(CHCH(CH)O)p9−CH
−CH−(CHCH(CH)O)p9−C
−CH−(CHCH(CH)O)p9−C
−C−(CHCH(CH)O)p9−CH
−C−(CHCH(CH)O)p9−C
−C−(CHCH(CH)O)p9−C
−C−(CHCH(CH)O)p9−C
−C−(CHCH(CH)O)p9−C10
−C−(CHCH(CH)O)p9−C12
−C−(CHCH(CH)O)p9−CH
−C−(CHCH(CH)O)p9−C
−C−(CHCH(CH)O)p9−C
−C−(CHCH(CH)O)p9−CH
−C−(CHCH(CH)O)p9−C
−C−(CHCH(CH)O)p9−C
【0097】
上記一般式(6-5)のR53における炭素数1〜10のアルキレン基の具体例及び好ましいものとしては、上記一般式(6-1)のR51と同じものが挙げられる。
【0098】
上記一般式(6-5)のXとしては、−COO−基が好ましい。
【0099】
一般式(6-5)で示される基の好ましい具体例としては、例えば下記式が挙げられる。
−COO−CH−、−COO−C−、−COO−C−、
−COO−C−、−COO−C10−、−COO−C12−、
−O−CH−、−O−C−、−O−C−、−O−C−、−O−C10−、−O−C12−、
−OCO−CH−、−OCO−C−、−OCO−C−、−OCO−C−、−OCO−C10−、−OCO−C12
中でも、下記式が好ましい。
−COO−CH−、−COO−C−、−COO−C−、−COO−C−、−COO−C10−、−COO−C12
更に、下記式がより好ましい。
−COO−CH−、−COO−C−、−COO−C
【0100】
上記一般式(6-6)のR54における炭素数1〜10のアルキレン基の具体例及び好ましいものとしては、上記一般式(6-1)のR51と同じものが挙げられる。
【0101】
一般式(6-6)で示される基の好ましい具体例としては、例えば下記式が挙げられる。
−CH=CH−COO−CH−、−CH=CH−COO−C−、
−CH=CH−COO−C−、−CH=CH−COO−C−、
−CH=CH−COO−C10−、−CH=CH−COO−C12
中でも、下記式が好ましい。
−CH=CH−COO−CH−、−CH=CH−COO−C−、
−CH=CH−COO−C
【0102】
一般式(1)のAにおける「−O−、−OCO−、−COO−、ビニレン基及びアリーレン基から選ばれる少なくとも1つの基を鎖中に有する炭素数1〜21のアルキレン基」としては、上記具体例の中でも、一般式(6-1)、(6-2) 、(6-5)、 (6-6)で示される基が好ましく、一般式(6-5)で示される基がより好ましい。
【0103】
一般式(1)のAにおける、「−O−、−OCO−、−COO−、ビニレン基及びアリーレン基から選ばれる少なくとも1つの基を鎖中に有し、且つ、ヒドロキシル基を置換基として有する炭素数1〜21のアルキレン基」としては、例えば下記一般式(7-1)又は(7-2)で示される基等が挙げられる。
【0104】
−R52−X−R52− (7-1)
(式中、2つのR52は、それぞれ独立して、ヒドロキシル基を置換基として有する若しくは無置換の炭素数1〜10のアルキレン基を表し、Xは上記と同じである。但し、2つのR52のうちの少なくとも1つは、ヒドロキシル基を置換基として有する炭素数1〜6のアルキレン基を表す。)、
【0105】
−R52−X−R52−X−R52− (7-2)
(式中、3つのR52は、それぞれ独立して、上記と同じであり、2つのXも、それぞれ独立して、上記と同じである。但し、3つのR52のうちの少なくとも1つは、ヒドロキシル基を置換基として有する炭素数1〜10のアルキレン基を表し、上記式中の炭素数の総数は21以下である。)、
【0106】
上記一般式(7-1)及び(7-2)のR52におけるヒドロキシル基を置換基として有する炭素数1〜10のアルキレン基としては、炭素数1〜6が好ましく、炭素数1〜3がより好ましく、1又は2個のヒドロキシル基を有するものが好ましい。具体的には例えば、ヒドロキシメチレン基、ヒドロキシエチレン基、ヒドロキシプロピレン基、ヒドロキシブチレン基、ヒドロキシペンチレン基、ヒドロキシへキシレン基、ヒドロキシメチルペンチレン基、ヒドロキシ−n−へプチレン基、ヒドロキシ−n−オクチレン基、ヒドロキシ−n−ノニレン基、ヒドロキシ−n−デシレン基、ヒドロキシシクロペンチレン基、ヒドロキシシクロへキシレン基、ジヒドロキシエチレン基、ジヒドロキシプロピレン基等が挙げられる。
【0107】
上記一般式(7-1)及び(7-2)のR52における無置換の炭素数1〜10のアルキレン基としては、
上記一般式(6-1)及び(6-2)のR51における炭素数1〜10のアルキレン基と同じものが挙げられ、好ましいものも同じである。
【0108】
上記一般式(7-1)及び(7-2)のXにおけるアリーレン基としては、フェニレン基、ナフチレン基が挙げられ、フェニレン基が好ましい。
【0109】
一般式(7-1)で示される基の好ましい具体例としては、例えば下記一般式が挙げられる(式中、X11は、−O−、−OCO−、COO−、ビニレン基又はフェニレン基を表す。)
−CH−X11−C(OH)−
−CH−X11−C(OH)−
−CH−X11−C(OH)−
−CH−X11−C11(OH)−
−C−X11−C(OH)−
−C−X11−C(OH)−
−C−X11−C(OH)−
−C−X11−C11(OH)−
−C−X11−C(OH)−
−C−X11−C(OH)−
−C−X11−C(OH)−
−C−X11−C11(OH)−
−C(OH)−X11−CH
−C(OH)−X11−C
−C(OH)−X11−C
−C(OH)−X11−C
−C(OH)−X11−C10
−C(OH)−X11−C12
−C(OH)−X11−C(OH)−
−C(OH)−X11−C(OH)−
−C(OH)−X11−C(OH)−
−C(OH)−X11−C11(OH)−
【0110】
一般式(7-2)で示される基の好ましい具体例としては、例えば下記一般式が挙げられる(式中、X11は、それぞれ独立して−O−、−OCO−、COO−、ビニレン基又はフェニレン基を表す。)
−CH−X11−C(OH)−X11−CH
−C−X11−C(OH)−X11−C
−C−X11−C(OH)−X11−C
−C−X11−C(OH)−X11−C
−C−X11−C(OH)−X11−C10
−C−X11−C(OH)−X11−C12
−C−X11−C(OH)−X11−C
−C−X11−C(OH)−X11−C
−C−X11−C(OH)−X11−C
−C−X11−C(OH)−X11−C10
−C−X11−C(OH)−X11−C12
−C−X11−C(OH)−X11−C
−C10−X11−C(OH)−X11−C10
−C12−X11−C(OH)−X11−C12
−C−X11−C(OH)−X11−C(OH)−
−C−X11−C(OH)−X11−C(OH)−
−C−X11−C(OH)−X11−C(OH)−
−C−X11−C(OH)−X11−C11(OH)−
−C−X11−C(OH)−X11−C(OH)−
−C−X11−C(OH)−X11−C(OH)−
−C−X11−C(OH)−X11−C(OH)−
−C10−X11−C(OH)−X11−C(OH)−
−C12−X11−C(OH)−X11−C11(OH)−
【0111】
一般式(1)のAにおける「ヒドロキシル基を置換基として有する炭素数1〜21のアルキレン基」としては、例えば下記一般式(8)で示される基等が挙げられる。
−(CH)p10−R56−(CH)p10− (8)
(式中、R56は、ヒドロキシル基を置換基として有する炭素数1〜9のアルキレン基を表し、p10は、0〜6の整数を表す。)、
【0112】
上記一般式(8)のR56におけるヒドロキシル基を置換基として有する炭素数1〜9のアルキレン基としては、炭素数1〜6のものが好ましく、炭素数1〜3のものがより好ましい。具体的には、例えばヒドロキシメチレン基、ヒドロキシエチレン基、ヒドロキシプロピレン基、ヒドロキシメチルエチレン基、ヒドロキシブチレン基、1−ヒドロキシメチルプロピレン基、2−ヒドロキシメチルプロピレン基、ヒドロキシペンチレン基、ヒドロキシメチルブチレン基、1,2−ジ−ヒドロキシメチルプロピレン基、1−ヒドロキシエチルプロピレン基、ヒドロキシヘキシレン基、ヒドロキシメチルペンチレン基、ヒドロキシ−n−へプチレン基、ヒドロキシ−n−オクチレン基、ヒドロキシ−n−ノニレン基、ヒドロキシシクロペンチレン基、ヒドロキシシクロへキシレン基、ヒドロキシシクロへプチレン基等が挙げられ、ヒドロキシメチレン基、ヒドロキシエチレン基、ヒドロキシプロピレン基がより好ましく、ヒドロキシエチレン基が特に好ましい。
【0113】
上記一般式(8)で示される基としては、具体的には例えば
−CH−C(OH)−CH−、
−C−C(OH)−C−、
−C−C(OH)−C−、
−CH−CH(OH)−C
−CH−CH(OH)−C
−CH−CH(OH)−C
−C−CH(OH)−CH
−C−CH(OH)−C
−C−CH(OH)−C
−CH−C(OH)−C
−CH−C(OH)−C
−CH−C(OH)−C
−C−C(OH)−CH
−C−C(OH)−C
−C−C(OH)−C
等が挙げられる。
【0114】
一般式(1)におけるAとしては、−O−、−OCO−、−COO−、ビニレン基及びアリーレン基から選ばれる少なくとも1つの基を鎖中に有する炭素数1〜21のアルキレン基、又は炭素数1〜21のアルキレン基が好ましく、中でも、一般式(6-1)で示される基、一般式(6-2)で示される基、一般式(6-5)で示される基、一般式(6-6)で示される基、炭素数1〜12のアルキレン基がより好ましく、一般式(6-5)で示される基、炭素数1〜6のアルキレン基が更に好ましく、一般式(6-5)で示される基が特に好ましい。また、Aは−HN−基に対してオルト位又はパラ位が好ましく、パラ位がより好ましい。
【0115】
上記Aは、−O−が好ましい。
【0116】
一般式(1)のR〜R、R、R12、n、A及びAの好ましい組合せとしては例えば下記表に記載のものが挙げられる。A欄に記載のオルト位は、−HN−基に対してオルト位にあることを意味し、その他のAは全て−HN−基に対してパラ位にあることを意味する。
【0117】

【0118】
一般式(1)のAnの具体例及び好ましいものは、上記電子吸引性の置換基を有するアリール基、電子吸引性の置換基を有するスルホニル基、又はハロゲン化アルキル基を含むアニオンで述べたとおりである。
【0119】
[本発明の化合物の製造方法]
本発明の化合物は、例えば(I)下記一般式(20)で示される化合物を、下記一般式(21)で示される化合物、一般式(22)で示される化合物、又は一般式(23)で示される化合物と反応させた後、塩交換反応を行うことにより、或いは(II)下記一般式(24)で示される化合物を、下記一般式(25)で示される化合物と反応させた後、塩交換反応を行うことにより製造される。
【0120】
(式中、R〜R、n及びAnは、上記と同じ。A11は、ヒドロキシル基を置換基として有する若しくは無置換の炭素数1〜6のアルキレン基を表す。)
【0121】
(式中、R12及びAは、上記と同じ。A12は、−O−、−OCO−、−COO−、ビニレン基及びアリーレン基から選ばれる少なくとも1つの基を鎖中に有する炭素数1〜15のアルキレン基、−O−、−OCO−、−COO−、ビニレン基及びアリーレン基から選ばれる少なくとも1つの基を鎖中に有し、且つ、ヒドロキシル基を置換基として有する炭素数1〜15のアルキレン基、炭素数1〜15のアルキレン基、或いは、ヒドロキシル基を置換基として有する炭素数1〜15のアルキレン基を表す)
【0122】
(式中、R12及びA、A12は上記と同じ。)
【0123】
【0124】
(式中、R12及びA、A12は上記と同じ。)
【0125】

(式中、R〜Rは、上記と同じ。)
【0126】
(式中、R、R12、n、A及びAは、上記と同じ。)
【0127】
上記一般式(20)におけるA11のヒドロキシル基を置換基として有する炭素数1〜6のアルキレン基としては、炭素数1〜3が好ましく、1又は2個のヒドロキシル基を有するものが好ましい。具体的には例えば、ヒドロキシメチレン基、ヒドロキシエチレン基、ヒドロキシプロピレン基、ヒドロキシブチレン基、ヒドロキシペンチレン基、ヒドロキシへキシレン基、ヒドロキシシクロペンチレン基、ヒドロキシシクロへキシレン基、ジヒドロキシエチレン基、ジヒドロキシプロピレン基等が挙げられる。
【0128】
上記一般式(20)におけるA11の無置換の炭素数1〜6のアルキレン基としては、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、メチルエチレン基、ブチレン基、1−メチルプロピレン基、2−メチルプロピレン基、ペンチレン基、メチルブチレン基、1,2−ジメチルプロピレン基、1−エチルプロピレン基、ヘキシレン基等が挙げられ、メチレン基、エチレン基、プロピレン基がより好ましく、エチレン基が特に好ましい
【0129】
上記一般式(20)におけるR〜R、An、及びA11の好ましい組合せは、本発明の化合物の項の表中で記載したR〜Rの組み合わせと、一般式(16)で示されるAn、並びに、メチレン基、エチレン基、及びプロピレン基から選ばれるA11を適宜組合せたものが挙げられる。
【0130】
上記一般式(20)で示される化合物は、市販のものであっても自体公知の方法で合成したものであってもよい。
【0131】
上記一般式(21)、(22)及び(23)におけるA12の、−O−、−OCO−、−COO−、ビニレン基及びアリーレン基から選ばれる少なくとも1つの基を鎖中に有し、且つ、ヒドロキシル基を置換基として有する炭素数1〜15のアルキレン基としては、例えば下記一般式(6-1’)〜(6-4’)で示される基等が挙げられる。
【0132】
−R51−X−R51− (6-1’)
(式中、2つのR51は、それぞれ独立して、炭素数1〜10のアルキレン基を表し、Xは上記と同じ。但し、式中の炭素数の総数は15以下である。)、
【0133】
−R51−X−R51−X−R51− (6-2’)
(式中、3つのR51は、それぞれ独立して上記と同じものを表し、Xは上記と同じ。但し、式中の炭素数の総数は15以下である。)、
【0134】
−R51−(CO)p7−R51− (6-3’)
(式中、2つのR51は、それぞれ独立して上記と同じものを表し、p7は、1〜9の整数を表す。但し、式中の炭素数の総数は15以下である。)、
【0135】
−R51−(CHCH(CH)O)p9−R51− (6-4’)
(式中、2つのR51は、それぞれ独立して上記と同じものを表し、p9は、1〜9の整数を表す。但し、式中の炭素数の総数は15以下である。)、
【0136】
上記一般式(6-1’)〜(6-4’)で示される基の好ましい具体例としては、上記一般式(6-1)〜(6-4)で示される基の好ましい具体例に準じたものが挙げられる。
【0137】
上記一般式(21)、(22)及び(23)におけるA12の、−O−、−OCO−、−COO−、ビニレン基及びアリーレン基から選ばれる少なくとも1つの基を鎖中に有する炭素数1〜15のアルキレン基としては、例えば下記一般式(7-1’)又は(7-2’)で示される基等が挙げられる。
【0138】
−R52−X−R52− (7-1’)
(式中、R52及びXは、上記と同じ。但し、式中の炭素数の総数は15以下である。)、
【0139】
−R52−X−R52−X−R52− (7-2’)
(式中、R52及びXは、上記と同じ。但し、式中の炭素数の総数は15以下である。)、
上記一般式(7-1’)又は(7-2’)で示される基の好ましい具体例としては、上記一般式(7-1)又は(7-2)で示される基の好ましい具体例に準じたものが挙げられる。
【0140】
上記一般式(21)、(22)及び(23)におけるA12の、炭素数1〜15のアルキレン基としては、直鎖状又は分枝状であり、炭素数1〜6が好ましく、炭素数1〜3がより好ましい。具体的には例えば、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、メチルエチレン基、ブチレン基、1−メチルプロピレン基、2−メチルプロピレン基、ペンチレン基、メチルブチレン基、1,2−ジメチルプロピレン基、1−エチルプロピレン基、ヘキシレン基、メチルペンチレン基、n−へプチレン基、n−オクチレン基、n−ノニレン基、n−デシレン基、n−ウンデシレン基、n−ドデシレン基、n−トリデシレン基、n−テトラデシレン基、n−ペンタデシレン基、シクロペンチレン基、シクロへキシレン基、シクロへプチレン基等が挙げられ、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基、ペンチレン基、ヘキシレン基等が好ましく、メチレン基、エチレン基、プロピレン基がより好ましく、エチレン基が特に好ましい。
【0141】
上記一般式(21)、(22)及び(23)におけるA12の、ヒドロキシル基を置換基として有する炭素数1〜15のアルキレン基としては、例えば下記一般式(8’)で示される基等が挙げられる。
【0142】
−(CH)p10−R56−(CH)p10− (8’)
(式中、R56は、ヒドロキシル基を置換基として有する炭素数1〜9のアルキレン基を表し、p10は、0〜6の整数を表す。但し、式中の炭素数の総数は15以下である。)、
【0143】
上記一般式(8’)で示される基の好ましい具体例としては、上記一般式(8)で示される基の好ましい具体例に準じたものが挙げられる。
【0144】
上記一般式(21)の好ましい具体例としては、下記一般式(21’)が挙げられる。
[式中、R12は上記と同じ。A’12は、上記一般式(6-1’)、(6-2’)又は炭素数1〜6のアルキレン基を表す。]
【0145】
A’12における炭素数1〜6のアルキレン基としては、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、メチルエチレン基、ブチレン基、1−メチルプロピレン基、2−メチルプロピレン基、ペンチレン基、メチルブチレン基、1,2−ジメチルプロピレン基、1−エチルプロピレン基、ヘキシレン基等が挙げられ、メチレン基、エチレン基、プロピレン基がより好ましく、エチレン基が特に好ましい。
【0146】
上記一般式(22)の好ましい具体例としては、下記一般式(22’)が挙げられる。
(式中、R12及びA’12は上記と同じ。)
【0147】
上記一般式(23)の好ましい具体例としては、下記一般式(23’)が挙げられる。
(式中、R12及びA’12は上記と同じ。)
【0148】
一般式(20)で示される化合物と下記一般式(21)で示される化合物で示される化合物との反応においては、溶媒中、脱水縮合剤の存在下で通常10〜50℃、好ましくは10〜30℃で、通常1〜50時間、好ましくは5〜30時間反応させればよい。
上記一般式(21)で示される化合物の使用量は、一般式(20)で示される化合物の1〜5モル倍であり、好ましくは1〜2モル倍である。
【0149】
上記溶媒としては、例えばジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、エチルメチルエーテル、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、ジメトキシエタン等のエーテル類;例えばクロロメタン、塩化メチレン、クロロホルム、四塩化炭素、ジクロロエタン、トリクロロエタン、クロロベンゼン等のハロゲン化炭化水素類;例えばn−ヘキサン、ベンゼン、トルエン、キシレン等の炭化水素類;例えばアセトニトリル等のニトリル類;例えばN,N−ジメチルホルムアミド等のアミド類等が挙げられ、中でもハロゲン化炭化水素類が好ましい。
【0150】
上記脱水縮合剤としては、例えば一般に脱水縮合剤として使用されるものであればよく、例えば五酸化二リン、無水塩化亜鉛等の無機脱水剤類;例えばジシクロヘキシルカルボジイミド、ジイソプロピルカルボジイミド、1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピルカルボジイミド)塩酸塩等のカルボジイミド類;例えばポリリン酸、無水酢酸、硫酸、カルボニルジイミダゾ−ル、p−トルエンスルホン酸等が挙げられ、カルボジイミド類が好ましい。該脱水縮合剤の使用量は、一般式(22)で示される化合物に対して、1〜10モル倍、好ましくは1〜5モル倍である。該反応においては、脱水縮合剤の効率を向上させるために、ジメチルアミノピリジン等の触媒を用いてもよい。該触媒の使用量は、一般式(22)で示される化合物に対して、0.1〜10モル倍である。
【0151】
一般式(20)で示される化合物と下記一般式(22)で示される化合物又は一般式(23)で示される化合物との反応においては、溶媒中、通常60〜90℃、好ましくは70〜90℃で、通常1〜10時間、好ましくは3〜5時間反応させればよい。該反応においては、モレキュラーシーブスの存在下で反応を行うのがより好ましい。モレキュラーシーブスを存在させることにより、副生成物である塩酸ガスを吸着することができ、反応を促進することができる。該モレキュラーシーブスの使用量は、通常一般式(20)で示される化合物の1〜5倍重量、好ましくは1〜3倍重量である。
【0152】
上記一般式(22)で示される化合物の使用量は、通常一般式(20)で示される化合物の1〜5モル倍であり、好ましくは1〜3モル倍である。
【0153】
上記溶媒としては、上記一般式(20)で示される化合物と一般式(21)で示される化合物の反応で用いられる溶媒と同じものが挙げられる。
【0154】
本発明の化合物の製造方法における塩交換反応としては、一般式(20)で示される化合物と、一般式(21)で示される化合物、一般式(22) 又は一般式(23)で示される化合物を反応させて得た化合物に、本発明に係るアニオンの塩を溶媒中で接触させることによりなされればよい。
【0155】
塩交換反応は、通常10〜50℃、好ましくは20〜30℃で0.1〜10時間、好ましくは0.1〜6時間なされる。この際に用いられる溶媒としては、上記一般式(20)で示される化合物と一般式(21)で示される化合物の反応で用いられる溶媒と同じものが挙げられる。
【0156】
本発明に係るアニオンの塩としては、該アニオンと、ナトリウムの塩、カリウムの塩、リチウムの塩等が挙げられ、カリウム又はリチウムの塩が好ましい。本発明に係るアニオンの塩の使用量は、一般式(20)で示される化合物1molに対して通常1〜2mol量、好ましくは1〜1.5mol量である。
【0157】
一般式(20)で示される化合物と一般式(21)で示される化合物を反応させる場合、具体的には例えば、先ず、一般式(20)で示される化合物と一般式(20)で示される化合物の1〜2倍モルの一般式(21)で示される化合物とを、一般式(20)で示される化合物の0.1〜1倍モルのジメチルアミノピリジン、及び、一般式(20)で示される化合物の1〜5倍モルのカルボジイミド類の存在下、クロロメタン、塩化メチレン、クロロホルム、四塩化炭素、ジクロロエタン、トリクロロエタン、クロロベンゼン等のハロゲン化炭化水素の溶媒中、10〜30℃で5〜30時間反応させる。その後、得られた反応物に、例えば上記一般式(16)で示されるホウ素のリチウム塩を、一般式(20)で示される化合物の1〜2倍モル添加し、クロロメタン、塩化メチレン、クロロホルム、四塩化炭素、ジクロロエタン、トリクロロエタン、クロロベンゼン等のハロゲン化炭化水素の溶媒中、10〜50℃で0.1〜6時間反応させることにより、本発明の化合物が得られる。
【0158】
また、本発明の化合物の製造方法は、一般式(20)で示される化合物を塩交換反応に付した後、該塩交換した一般式(20)で示される化合物と一般式(21)で示される化合物、一般式(22)で示される化合物又は一般式(23)で示される化合物とを反応させることにより製造してもよい。
この場合の塩交換反応は、一般式(20)で示される化合物に、本発明に係るアニオンの塩を溶媒中で接触させることによりなされればよい。ここで用いられる本発明に係るアニオンの塩や、溶媒、反応条件等については、上記塩交換反応と同じものが挙げられる。
また、塩交換反応後の一般式(20)で示される化合物と一般式(21) で示される化合物の反応、塩交換反応後の一般式(20)で示される化合物と一般式(22) で示される化合物の反応並びに、塩交換反応後の一般式(20)で示される化合物と一般式(23) で示される化合物の反応の反応条件やその他の条件は、上記本発明の化合物の製造方法と同じである。
【0159】
一般式(20)で示される化合物と一般式(22)で示される化合物を反応させる場合、具体的には例えば、先ず、一般式(20)で示される化合物に例えば上記一般式(16)で示されるホウ素のリチウム塩を、一般式(20)で示される化合物の1〜2倍モル添加し、クロロメタン、塩化メチレン、クロロホルム、四塩化炭素、ジクロロエタン、トリクロロエタン、クロロベンゼン等のハロゲン化炭化水素の溶媒中、10〜50℃で0.1〜6時間反応させる。その後、得られた塩交換された一般式(20)で示される化合物と、一般式(20)で示される化合物の1〜2倍モルの一般式(21)で示される化合物とを、クロロメタン、塩化メチレン、クロロホルム、四塩化炭素、ジクロロエタン、トリクロロエタン、クロロベンゼン等のハロゲン化炭化水素の溶媒中、70〜90℃で3〜5時間反応させることにより、本発明の化合物を得ることができる。
【0160】
上記一般式(24)におけるR〜Rの好ましい組合せは、本発明の化合物の項の表中で記載したR〜Rの組み合わせに準じたものが挙げられる。
【0161】
上記一般式(25)におけるR、R12、n、A及びAの好ましい組合せとしては、本発明の化合物の項の表中で記載したR、R12、n、A及びAの組合せに準じたものが挙げられる。
【0162】
上記一般式(24)の好ましい具体例としては、下記一般式(24’)が挙げられる。
(式中、R〜Rは、上記と同じ。)
【0163】
上記一般式(25)の好ましい具体例としては、下記一般式(25’)が挙げられる。
[式中、R12、n、Aは、上記と同じ。R’は、炭素数1〜6のアルコキシル基を表す。]
上記R’における炭素数1〜6のアルコキシル基としては、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、n−ブトキシ基、、n−ペンチルオキシ基、n−ヘキシルオキシ基等が挙げられ、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基が好ましく、メトキシ基がより好ましい。
【0164】
一般式(24)で示される化合物と下記一般式(25)で示される化合物で示される化合物との反応においては、溶媒中通常10〜70℃、好ましくは40〜60℃で、通常1〜20時間、好ましくは1〜10時間反応させればよい。
上記一般式(24)で示される化合物の使用量は、一般式(25)で示される化合物の1〜5モル倍であり、好ましくは1〜2モル倍である。
【0165】
上記溶媒としては、例えば酢酸、プロピオン酸、酪酸などのカルボン酸を単独で用いてもよいし、アセトニトリル等のニトリル類、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサンなどのエーテル類、トルエン、クロロメタン、塩化メチレン、クロロホルム、四塩化炭素、ジクロロエタン、トリクロロエタン、クロロベンゼン等のハロゲン化炭化水素類などの有機溶媒に酢酸、プロピオン酸、酪酸、ベンゼンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸などの有機酸、もしくは酢酸、硫酸、硝酸などの無機酸を混合してもよい。用いる酸の使用量は上記一般式(24)で示される化合物の1〜100モル倍であり、好ましくは2〜50モル倍である。具体的には、酢酸や、アセトニトリルと酢酸の混合溶媒等が挙げられ、酢酸が好ましい。
【0166】
一般式(24)で示される化合物と一般式(25)で示される化合物を反応させる場合、具体的には例えば、先ず、一般式(24)で示される化合物と一般式(24)で示される化合物の1〜2倍モルの一般式(25)で示される化合物とを、酢酸等の溶媒中、40〜60℃で1〜10時間反応させる。その後、得られた反応物に、例えば飽和食塩水を添加した後、上記一般式(16)で示されるホウ素のリチウム塩を、一般式(24)で示される化合物の1〜2倍モル添加し、クロロメタン、塩化メチレン、クロロホルム、四塩化炭素、ジクロロエタン、トリクロロエタン、クロロベンゼン等のハロゲン化炭化水素の溶媒中、10〜50℃で0.1〜6時間反応させることにより、本発明の化合物が得られる。
【0167】
[本発明のポリマー]
本発明のポリマーは、上記本発明の化合物由来のモノマー単位を有するポリマーである。
【0168】
本発明のポリマーの重量平均分子量(Mw)は、通常2,000〜100,000、好ましくは2,000〜50,000、より好ましくは、2,000〜30,000である。また、その分散度(Mw/Mn)は、通常1.00〜5.00、好ましくは1.00〜3.00である。
【0169】
本発明のポリマーは、上記一般式(1)で示される化合物由来のモノマー単位を有するものであれば、ホモポリマーであってもコポリマーであってもよいが、コポリマーが好ましい。
【0170】
該コポリマーとしては、例えば上記一般式(1)で示される化合物由来のモノマー単位と、下記一般式(2)、一般式(3)、一般式(4)又は一般式(5)で示される化合物由来のモノマー単位1〜2種とからなるものが挙げられる。
【0171】
[式中、R21は、水素原子又はメチル基を表し、R22は、水素原子、炭素数1〜18のアルキル基、炭素数1〜10のヒドロキシルアルキル基、炭素数6〜10のアリール
基、炭素数7〜13のアリールアルキル基、炭素数2〜9のアルコキシアルキル基、炭素数3〜9のアルコキシアルコキシアルキル基、炭素数7〜13のアリールオキシアルキル基、炭素数5〜7のモルホリノアルキル基、炭素数3〜9のトリアルキルシリル基、酸素原子を有する又は酸素原子を有さない炭素数6〜10の脂環式炭化水素基、炭素数3〜9のジアルキルアミノアルキル基、炭素数1〜18のフッ化アルキル基、又は炭素数1〜6のN−アルキレンフタルイミド基、下記一般式(2-1)で示される基
【0172】
(式中、R23は、炭素数1〜3のアルキレン基を表し、R24は、ヒドロキシル基を置換基として有する又は無置換のフェニル基、或いは炭素数1〜3のアルキル基を表し、qは1〜3の整数を表す。)、
下記一般式(2-2)で示される基
【0173】
(式中、R25〜R27は炭素数1〜3のアルキル基を表し、R28は炭素数1〜3のアルキレン基を表す。)、下記一般式(2-3)で示される基
【0174】
(式中、lは、1〜6の整数を表し、R29はフェニレン基又はシクロへキシレン基を表す)を表す。]、
【0175】
(式中、R30は上記と同じ。R31は、水素原子又は炭素数1〜3のアルキル基を表し、R32は、水素原子又は炭素数3〜9のジアルキルアミノアルキル基、炭素数1〜6のヒドロキシアルキル基を表す。R31とR32は、これらと隣接する窒素原子とでモルホリノ基を形成してもよい。)、
【0176】
(式中、R33は、フェニル基、ピロリジノ基を表し、R21は上記と同じ。)
【0177】
(式中、R35は、窒素原子又は酸素原子を表し、jは、 R35が酸素原子の場合に0を表し、R35が窒素原子の場合には1を表す。R34は、水素原子、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数1〜10のヒドロキシルアルキル基、炭素数1〜10のハロゲン化アルキル基、炭素数1〜10のアルキルシクロアルキル基、炭素数6〜7のハロゲン化シクロアルキル基、炭素数6〜10のアリール基、炭素数1〜6のアルキル基を置換基として有する炭素数6〜10のアリール基、又は、炭素数6〜10のハロゲン化アリール基を表す。)
【0178】
一般式(2)におけるR21は、メチル基が好ましい。
【0179】
一般式(2)のR22における炭素数1〜18のアルキル基としては、直鎖状でも分枝状でも環状でもよく、例えばメチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基、n-ペンチル基、イソペンチル基、sec-ペンチル基、tert-ペンチル基、ネオペンチル基、n-ヘキシル基、イソヘキシル基、sec-ヘキシル基、tert-ヘキシル基、3-メチルペンチル基、2-メチルペンチル基、1,2-ジメチルブチル基、n-ヘプチル基、イソヘプチル基、sec-ヘプチル基、n-オクチル基、イソオクチル基、sec-オクチル基、n-ノニル基、n-デシル基、n-ウンデシル基、n-ドデシル基、n-トリデシル基、n-テトラデシル基、n-ペンタデシル基、n-ヘキサデシル基、n-ヘプタデシル基、n-オクタデシル基、シクロプロピル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基、シクロデシル基、シクロウンデシル基、シクロドデシル基、シクロテトラデシル基、シクロオクタデシル基等が挙げられる。
【0180】
一般式(2)のR22における炭素数1〜10のヒドロキシルアルキル基としては、例えば、ヒドロキシエチル基、ヒドロキシプロピル基、ヒドロキシブチル基、ヒドロキシペンチル基、ヒドロキシヘキシル基等が挙げられる。
【0181】
一般式(2)のR22における炭素数6〜10のアリール基としては、フェニル基、ナフチル基等が挙げられる。
【0182】
一般式(2)のR22における炭素数7〜13のアリールアルキル基、ベンジル基、フェニルエチル基、フェニルプロピル基、ナフチルメチル基、ナフチルエチル基、ナフチルプロピル基等が挙げられ、ベンジル基が好ましい。
【0183】
一般式(2)のR22における炭素数2〜9のアルコキシアルキル基としては、メトキシメチル基、メトキシエチル基、メトキシプロピル基、メトキシブチル基、メトキシペンチル基、メトキシヘキシル基、メトキシヘプチル基、メトキシオクチル基、エトキシメチル基、エトキシエチル基、エトキシプロピル基、エトキシブチル基、エトキシペンチル基、エトキシヘキシル基、エトキシヘプチル基、プロポキシメチル基、プロポキシエチル基、プロポキシプロピル基、プロポキシブチル基、プロポキシペンチル基、プロポキシヘキシル基等が挙げられる。
【0184】
一般式(2)のR22における炭素数3〜9のアルコキシアルコキシアルキル基としては、メトキシメトキシメチル基、メトキシメトキシエチル基、メトキシメトキシプロピル基、エトキシメトキシメチル基、エトキシメトキシエチル基、エトキシメトキシプロピル基、プロポキシメトキシメチル基、プロポキシメトキシエチル基、プロポキシメトキシプロピル基、エトキシエトキシメチル基、エトキシエトキシエチル基、エトキシエトキシプロピル基、エトキシエトキシメチル基、エトキシエトキシエチル基、エトキシエトキシプロピル基、プロポキシエトキシメチル基、プロポキシエトキシエチル基、プロポキシエトキシプロピル基等が挙げられる。
【0185】
一般式(2)のR22における炭素数7〜13のアリールオキシアルキル基としては、フェノキシメチル基、フェノキシエチル基、フェノキシプロピル基、ナフチルオキシメチル基、ナフチルオキシエチル基、ナフチルオキシプロピル基等が挙げられる。
【0186】
一般式(2)のR22における炭素数5〜7のモルホリノアルキル基としては、例えばモルホリノメチル基、モルホリノエチル基、モルホリノプロピル基等が挙げられる。
【0187】
一般式(2)のR22における炭素数3〜9のトリアルキルシリル基としては、例えばトリメチルシリル基、トリルエチルシリル基、トリプロピルシリル基、ジメチルエチルシリル基、ジエチルメチルシリル基等が挙げられる。
【0188】
一般式(2)のR22における、酸素を有する炭素数6〜10の脂環式炭化水素基としては、ジシクロペンテニルオキシエチル基等が挙げられる。
【0189】
一般式(2)のR22における、酸素を有さない炭素数6〜10の脂環式炭化水素基としては、シクロヘキシル基、イソボルニル基、ジシクロペンタニル基等が挙げられる。
【0190】
一般式(2)のR22における炭素数3〜9のジアルキルアミノアルキル基としては、ジメチルアミノメチル基、ジメチルアミノエチル基、ジメチルアミノプロピル基、ジエチルアミノメチル基、ジエチルアミノエチル基、ジエチルアミノプロピル基、ジプロピルアミノメチル基、ジプロピルアミノエチル基、ジプロピルアミノプロピル基等が挙げられる。
【0191】
一般式(2)のR22における炭素数1〜18のフッ化アルキル基としては、2,2,2−トリフルオロエチル基、2,2,3,3−テトラフルオロプロピル基、2,2,3,3−テトラフルオロプロピル基、2,2,3,3,4,4-ヘキサフルオロプロピル基、2,2,3,3,4,4,5,5-オクタフルオロペンチル基、3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,9,9,10,10,10-ヘプタデカフルオロデシル;2-(ヘプタデカフルオロオクチル)エチル基等が挙げられる。
【0192】
一般式(2)のR22における炭素数1〜6のN−アルキレンフタルイミド基としては、2−フタルイミドエチル基、2−テトラヒドロフタルイミドエチル基等が挙げられる。
【0193】
一般式(2-1)におけるR23における炭素数1〜3のアルキレン基としては、メチレン基、エチレン基、プロピレン基等が挙げられ、エチレン基が好ましい。
【0194】
一般式(2-1)におけるR24のヒドロキシル基を置換基として有する又は無置換のフェニル基としては、ヒドロキシフェニル基、フェニル基等が挙げられる。
【0195】
一般式(2-1)におけるR24の炭素数1〜3のアルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基等が挙げられる。
【0196】
一般式(2-1)で示される基の具体例としては、2−ヒドロキシ−3−フェノキシメチル基、2−ヒドロキシ−3−フェノキシエチル基、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピル基、メチルトリメチレングリコール基、メチルトリエチレングリコール基、メチルトリプロピレングリコール基等が挙げられ、中でも2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピル基、メチルトリプロピレングリコール基、メチルトリエチレングリコール基等が好ましい。
【0197】
一般式(2-2)におけるR25〜R27における炭素数1〜3のアルキル基はとしては、メチル基、エチル基、プロピル基等が挙げられ、メチル基が好ましい。
【0198】
一般式(2-2)におけるR28における炭素数1〜3のアルキレン基はとしては、メチレン基、エチレン基、プロピレン基等が挙げられる。
【0199】
一般式(2-2)で示される基の具体例としては、トリメチルアンモニウムメチル基、トリメチルアンモニウムエチル基、トリエチルアンモニウムメチル基、トリエチルアンモニウムエチル基等が挙げられる。
【0200】
一般式(2-3)で示される基の好ましい具体例としては、例えば下記式のものが挙げられる。
【0201】
【0202】
一般式(2)の好ましい具体例としては、メタクリル酸、メタクリル酸ベンジル、ヒドロキシエチルメタクリレート、メタクリル酸メチル等が挙げられ、中でもメタクリル酸、メタクリル酸ベンジル等が好ましい。
【0203】
一般式(3)のR31における炭素数1〜3のアルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基等が挙げられる。
【0204】
一般式(3)のR32における炭素数3〜9のジアルキルアミノアルキル基としては、ジメチルアミノメチル基、ジメチルアミノエチル基、ジメチルアミノプロピル基、ジエチルアミノメチル基、ジエチルアミノエチル基、ジエチルアミノプロピル基、ジプロピルアミノメチル基、ジプロピルアミノエチル基、ジプロピルアミノプロピル基等が挙げられる。
1〜3のアルキル基としては、上記R31と同じものが挙げられる。
【0205】
一般式(3)のR32における炭素数1〜6のヒドロキシアルキル基としては、ヒドロキシメチル基、ヒドロキシエチル基、ヒドロキシプロピル基、ヒドロキシブチル基、ヒドロキシペンチル基、ヒドロキシヘキシル基等が挙げられ、ヒドロキシエチル基が好ましい。
【0206】
一般式(3)の好ましい具体例としては、(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド、ヒドロキシエチル(メタ)アクリルアミド、4−アクリロイルモルホリン等が挙げられる。
【0207】
一般式(4)の好ましい具体例としては、スチレン、α−メチルスチレン、N−ビニルピロリドン等が挙げられる。
【0208】
一般式(5)のR34における炭素数1〜20のアルキル基としては、直鎖状でも分枝状でも環状でもよく、例えばメチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基、n-ペンチル基、イソペンチル基、sec-ペンチル基、tert-ペンチル基、ネオペンチル基、n-ヘキシル基、イソヘキシル基、sec-ヘキシル基、tert-ヘキシル基、3-メチルペンチル基、2-メチルペンチル基、1,2-ジメチルブチル基、n-ヘプチル基、イソヘプチル基、sec-ヘプチル基、n-オクチル基、イソオクチル基、sec-オクチル基、n-ノニル基、n-デシル基、n-ウンデシル基、n-ドデシル基、n-トリデシル基、n-テトラデシル基、n-ペンタデシル基、n-ヘキサデシル基、n-ヘプタデシル基、n-オクタデシル基、ノナデシル基、アラキル基等が挙げられる。
【0209】
一般式(5)のR34における炭素数1〜10のヒドロキシルアルキル基としては、例えばヒドロキシメチル基、ヒドロキシエチル基、ヒドロキシプロピル基、ヒドロキシブチル基、ヒドロキシペンチル基、ヒドロキシヘキシル基、ヒドロキシヘプチル基、ヒドロキシオクチル基、ヒドロキシノニル基、ヒドロキシデシル基等が挙げられる。
【0210】
一般式(5)のR34における炭素数1〜10のハロゲン化アルキル基としては、例えばクロロメチル基、クロロエチル基、クロロn-プロピル基、クロロイソプロピル基、クロロn-ブチル基、クロロtert-ブチル基、クロロ-n-ペンチル基、クロロ-n-ヘキシル基、クロロ-n-ヘプチル基、クロロ-n-オクチル基、クロロ-n-ノニル基、クロロ-n-デシル基、フッ化メチル基、フッ化エチル基、フッ化-n-プロピル基、フッ化イソプロピル基、フッ化-n-ブチル基、フッ化-tert-ブチル基、フッ化-n-ペンチル基、フッ化-n-ヘキシル基、フッ化-n-ヘプチル基、フッ化-n-オクチル基、フッ化-n-ノニル基、フッ化-n-デシル基等が挙げられる。
【0211】
一般式(5)のR34における炭素数1〜10のアルキルシクロアルキル基としては、例えばメチルシクロヘキシル基、エチルシクロヘキシル基、プロピルシクロヘキシル基、ブチルシクロヘキシル基等が挙げられる。
【0212】
一般式(5)のR34における炭素数6〜7のハロゲン化シクロアルキル基としては、クロロシクロヘキシル基、フッ化シクロヘキシル基、ブロモシクロヘキシル基、クロロシクロヘプチル基、フッ化シクロヘプチル基、ブロモシクロヘプチル基等が挙げられる。
【0213】
一般式(5)のR34における炭素数6〜10のアリール基としては、フェニル基、ナフチル基等が挙げられる。
【0214】
一般式(5)のR34における炭素数1〜6のアルキル基を置換基として有する炭素数6〜10のアリール基としては、メチルフェニル基、エチルフェニル基、n-プロピルフェニル基、n-ブチルフェニル基、n-ペンチルフェニル基、n-ヘキシルフェニル基等が挙げられる。
【0215】
一般式(5)のR34における炭素数6〜10のハロゲン化アリール基としては、クロロフェニル基、フッ化フェニル基、クロロナフチル基、フッ化ナフチル基等が挙げられる。
【0216】
一般式(5)の好ましい具体例としては、無水マレイン酸、マレイミド、N−メチルマレイミド、N−エチルマレイミド、N−ブチルマレイミド、N−オクチルマレイミド、N−ドデシルマレイミド、N−(2−エチルヘキシル)マレイミド、N−(2−ヒドロキシエチル)マレイミド、N−(2−クロロヘキシル)マレイミド、N−シクロヘキシルマレイミド、N−(2−メチルシクロヘキシル)マレイミド、N−(2−エチルシクロヘキシル)マレイミド、N−(2−クロロシクロヘキシル)マレイミド、N−フェニルマレイミド、N−(2−メチルフェニル)マレイミド、N−(2−エチルフェニル)マレイミド、N−(2−クロロフェニル)マレイミド等が挙げられる。
【0217】
本発明のコポリマーは、具体的には、以下の如きモノマー単位の組合せが挙げられ、中でも組合せ1が好ましい。
【0218】
【0219】
上記組合せ1の中でも一般式(1)で示される化合物と一般式(2)で示される化合物2種類とからなるコポリマーが好ましい。この場合の2種類の一般式(2)で示される化合物としては、一般式(2)中のR21が水素原子又はメチル基でR22が水素原子のものと、一般式(2)中のR21が水素原子又はメチル基でR22が炭素数7〜13のアリールアルキル基のものとが挙げられる。
【0220】
一般式(1)で示される化合物由来のモノマー単位と一般式(2)、一般式(3)、一般式(4)又は一般式(5)で示される化合物由来のモノマー単位との重量比率は、用いられるモノマー単位の種類によって適宜設定されればよいが、得られるポリマーの総重量に対して一般式(1)で示される化合物由来のモノマー単位が、通常1〜90重量%、好ましくは5〜85重量%である。
【0221】
本発明のコポリマーの好ましい具体例としては、一般式(1)で示される化合物由来のモノマー単位と下記一般式(2')で示される化合物由来のモノマー単位1種又は2種とからなるポリマーが挙げられる。
【0222】
(式中、R21は上記と同じ。R'22は、水素原子、炭素数1〜18のアルキル基、炭素数1〜10のヒドロキシルアルキル基、炭素数6〜10のアリール基、炭素数7〜13のアリールアルキル基、炭素数2〜9のアルコキシアルキル基を表す。)
【0223】
上記R'22における炭素数1〜18のアルキル基、炭素数1〜10のヒドロキシルアルキル基、炭素数6〜10のアリール基、炭素数7〜13のアリールアルキル基、及び炭素数2〜9のアルコキシアルキル基の具体例は、上記R22のそれらと同じものが挙げられる。
【0224】
上記R'22は、水素原子、炭素数1〜18のアルキル基、炭素数7〜13のアリールアルキル基等が好ましく、水素原子、炭素数7〜13のアリールアルキル基が好ましい。
【0225】
上記一般式(2’)で示される化合物におけるR21とR'22の好ましい組合せは以下の通りである。
【0226】
[本発明のポリマーの製造方法]
本発明のポリマーは、例えば以下の如く製造される。即ち、本発明の化合物をモノマーとして自体公知の重合反応に付すことにより、本発明のポリマーを得ることができる。本発明のポリマーがコポリマーの場合には、重合反応の際に、上記本発明の化合物と一般式(2)、一般式(3)、一般式(4)又は一般式(5)で示される化合物の1〜2種とを、最終的に得られるポリマー中の各モノマーに由来するモノマー単位の比率が上記の如くなるように混合した後、重合させればよい。
上記重合反応としては、例えば、以下の如くなされる。即ち、一般式(1)で示される本発明の化合物を、要すれば、更に一般式(2)、一般式(3)、一般式(4)又は一般式(5)で示される化合物の1〜2種を、その総容量に対して1〜10倍容量の適当な溶媒、例えばトルエン、1,4−ジオキサン、テトラヒドロフラン、イソプロパノール、メチルエチルケトン、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート等に溶解し、溶解した化合物の全量に対して0.01〜30重量%の重合開始剤、例えばアゾイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオネート)、2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)、過酸化ベンゾイル、過酸化ラウロイル等の存在下、50〜150℃で1〜20時間反応させることにより行なわれる。反応後は高分子取得の常法に従って処理してもよい。
【0227】
[着色組成物]
本発明の着色組成物は、上記本発明の化合物又はポリマーを少なくとも1種含むものである。該着色組成物は、カラーフィルター用として好適に用いることができる。該着色組成物は、耐熱性を有する優れた着色硬化膜を形成することができる。そのため、本発明の着色組成物は、液晶表示装置(LCD)や固体撮像素子(CCD、CMOS等)に用いられるカラーフィルター等の着色画素形成用途、印刷インキ、インクジェットインキ、および塗料等の用途に用いることができ、特に、液晶表示装置のカラーフィルター用として好適である。さらに、本発明の着色組成物は、従来公知の成形方法により、シート、フィルム、ボトル、カップ等に成形して着色樹脂成形物として使用するもできる。よって、メガネ、コンタクトレンズ、カラーコンタクトレンズ等の用途にも使用することができ、公知の樹脂との多層構造体とすることによっても同様の用途に使用することができる。その他にも、例えば光学フィルム、ヘアカラーリング剤、化合物や生体物質に対する標識物質、有機太陽電池の材料等の用途にも用いることが可能である。上記本発明の着色組成物は、各用途に合わせて、上記本発明の化合物又はポリマーの他に、この分野で通常用いられる添加剤等を含んでいてもよい。
【0228】
例えば本発明の着色組成物を着色樹脂として用いる場合、本発明の着色組成物は、少なくとも上記本発明の化合物又はポリマーを1種以上含み、且つ、その他の樹脂と混合しているものが好ましく、本発明のポリマーを1種以上含み、且つ、その他の樹脂と混合しているものがより好ましい。その他の樹脂としては特に限定されないが、例えばポリオレフィン樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリカーボネート樹脂、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、アクリロニトリル樹脂、ABS樹脂等が挙げられる。より具体的には、上記一般式(2)、一般式(3)、一般式(4)又は/及び一般式(5)で示される化合物由来のホモポリマー又はコポリマーが好ましく、一般式(2)、一般式(3)、一般式(4)又は一般式(5)で示される化合物由来のホモポリマーがより好ましい。ホモポリマーとしては、一般式(2)で示される化合物由来のホモポリマーが好ましく、上記一般式(2')で示される化合物由来のホモポリマーがより好ましい。また、その他の樹脂と混合させる場合、その混合割合は、求められる着色樹脂の色に応じて適宜設定されればよい。本発明の着色組成物を着色樹脂として用いる場合、自体公知の成形方法により成形して用いてもよい。さらに、本発明の着色組成物は、上記本発明の化合物又はポリマー及び要すればその他の樹脂の他にも、本発明の目的及び効果を妨げない範囲において、滑性剤、帯電防止剤、紫外線防止剤、酸化防止剤、光安定剤、分散剤、加工安定剤、加工助剤、耐衝撃性改良剤、充填剤、補強剤、望遠剤、可塑剤、発泡剤等のこの分野で通常用いられる添加剤を含んでいてもよい。本発明の着色組成物は、着色樹脂用途として用いる場合、溶媒に接触させても染料の溶出が少なく、優れた耐候性を有するものである。
【0229】
例えば本発明の着色組成物を着色画素形成用途として用いる場合、本発明の着色組成物は、必要に応じて、顔料、重合開始剤、溶剤、バインダー樹脂、ラジカル重合性モノマー、オリゴマー、又は架橋剤を含んでいてもよいが、該着色組成物は、本発明の化合物又はポリマーを、着色組成物の重量に対して1〜50%、好ましくは5〜30%含有する。尚、ここでいう着色組成物の重量は、溶剤を除く固形成分の重量を意味し、以下本発明では同様の意味を表す。
【0230】
上記顔料としては、青色や緑色の着色パターンを作製するために用いられる顔料であればよく、例えばフタロシアニン系顔料等が挙げられる。該フタロシアニン系顔料としては、中心金属に、マグネシウム、チタン、鉄、コバルト、ニッケル、銅、亜鉛、アルミニウムを含むものが挙げられ、具体的には、C.I.ピグメントブルー15、C.I.ピグメントブルー15:1、C.I.ピグメントブルー15:2、C.I.ピグメントブルー15:3、C.I.ピグメントブルー15:4、C.I.ピグメントブルー15:5、C.I.ピグメントブルー15:6、C.I.ピグメントブルー16、C.I.ピグメントブルー17:1、C.I.ピグメントブルー75、C.I.ピグメントブルー79、C.I.ピグメントグリーン7、C.I.ピグメントグリーン36、C.I.ピグメントグリーン37、C.I.ピグメントグリーン58、クロロアルミニウムフタロシアニン、ヒドロキシアルミニウムフタロシアニン、アルミニウムフタロシアニンオキシド、亜鉛フタロシアニンが挙げられ、C.I.ピグメントブルー15、C.I.ピグメントブルー15:6、ピグメントブルー15:1、C.I.ピグメントブルー15:2、C.I.ピグメントグリーン58が好ましく、特に、C.I.ピグメントブルー15:6、C.I.ピグメントグリーン58が好ましい。
【0231】
上記顔料の含有量は、着色組成物の重量に対して10〜50重量%、好ましくは10〜30重量%である。
【0232】
本発明の着色組成物が上記顔料を含む場合、顔料分散剤を含有するのが好ましい。該顔料分散剤としては、例えば、ポリアミドアミン及びその塩、ポリカルボン酸及びその塩、高分子量不飽和酸エステル、変性ポリウレタン、変性ポリエステル、変性ポリ(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル系共重合体、ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物〕、及び、ポリオキシエチレンアルキルリン酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルアミン、アルカノールアミン等が挙げられる。顔料分散剤は、単独で使用しても、2種以上を組み合わせて使用してもよい。その含有量は、顔料の重量に対して、通常1〜80重量%であり、好ましくは10〜60重量%である。
【0233】
上記重合開始剤としては、公知の熱重合開始剤、光重合開始剤を用いることができるが、光重合開始剤が好ましい。具体的には、ジエトキシアセトフェノン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、ベンジルジメチルケタール、1−(4−イソプロピルフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン、4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル−(2−ヒドロキシ−2−プロピル)ケトン、1−ヒドロキシシクロヘキシル−フェニルケトン、2−メチル−2−モルホリノ(4−チオメチルフェニル)プロパン−1−オン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)−ブタノン等のアセトフェノン系;ベンゾイン、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル等のベンゾイン系;2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド等のアシルホスフィンオキサイド系;ベンジル、メチルフェニルグリオキシエステル系;ベンゾフェノン、ο−ベンゾイル安息香酸メチル、4−フェニルベンゾフェノン、4,4’−ジクロロベンゾフェノン、ヒドロキシベンゾフェノン、4−ベンゾイル−4’−メチル−ジフェニルサルファイド、アクリル化ベンゾフェノン、3,3’,4,4’−テトラ(t−ブチルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノン、3,3’−ジメチル−4−メトキシベンゾフェノン等のベンゾフェノン系;2−イソプロピルチオキサントン、2,4−ジメチルチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、2,4−ジクロロチオキサントン等のチオキサントン系;ミヒラーケトン、4,4’−ジエチルアミノベンゾフェノン等のアミノベンゾフェノン系;1-[4-(フェニルチオ)フェニル]-1,2-オクタンジオン2-(o-ベンゾイルオキシム)、1-[6-(2-メチルベンゾイル)-9-エチル-9H-カルバゾール-3-イル]エタノンo-アセチルオキシム等のオキシムエステル系;10−ブチル−2−クロロアクリドン、2−エチルアンスラキノン、9,10−フェナンスレンキノン、カンファーキノン等が挙げられる。
【0234】
上記重合開始剤は、単独でも2種以上を含有してもよい。その含有量は、着色組成物の重量に対して1〜50重量%、好ましくは5〜30重量%である。
【0235】
上記溶剤としては、着色組成物に含まれる成分に応じて適宜選択すればよい。具体的には、例えば、例えば、酢酸エチル、酢酸−n−ブチル、酢酸イソブチル、ギ酸アミル、酢酸イソアミル、酢酸イソブチル、プロピオン酸ブチル、酪酸イソプロピル、酪酸エチル、酪酸ブチル、乳酸メチル、乳酸エチル、オキシ酢酸メチル、オキシ酢酸エチル、オキシ酢酸ブチル、メトキシ酢酸メチル、メトキシ酢酸エチル、メトキシ酢酸ブチル、エトキシ酢酸メチル、エトキシ酢酸エチル、3−オキシプロピオン酸メチル、3−オキシプロピオン酸エチル、3−メトキシプロピオン酸メチル、3−メトキシプロピオン酸エチル、3−エトキシプロピオン酸メチル、3−エトキシプロピオン酸エチル、2−オキシプロピオン酸メチル、2−オキシプロピオン酸エチル、2−オキシプロピオン酸プロピル、2−メトキシプロピオン酸メチル、2−メトキシプロピオン酸エチル、2−メトキシプロピオン酸プロピル、2−エトキシプロピオン酸メチル、2−エトキシプロピオン酸エチル、2−オキシ−2−メチルプロピオン酸メチル、2−メトキシ−2−メチルプロピオン酸メチル、2−エトキシ−2−メチルプロピオン酸エチル、ピルビン酸メチル、ピルビン酸エチル、ピルビン酸プロピル、アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル、2−オキソブタン酸メチル、2−オキソブタン酸エチル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、テトラヒドロフラン、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、メチルセロソルブアセテート、エチルセロソルブアセテート、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノプロピルエーテルアセテート、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、2−ヘプタノン、3−ヘプタノン等が挙げられる。溶剤の量は、本発明の着色組成物の濃度が、溶剤中10重量%〜80重量%になる量である。
【0236】
上記バインダー樹脂としては、カラーフィルターの製造時に用いられるアルカリ性現像液に可溶なものであればよく、例えば、カルボキシル基又は水酸基を少なくとも1つ有するエチレン性不飽和モノマー、或いは該エチレン性不飽和モノマーと芳香族炭化水素基や脂肪族炭化水素基を有するエチレン性不飽和モノマーとの共重合体、該共重合体の側鎖もしくは末端等にエポキシ基を有したものや、アクリレートを付加させたもの等が挙げられる。これらは単独でも2種以上を組み合わせてもよい。
【0237】
上記カルボキシル基含有エチレン性不飽和モノマーの具体例としては、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、α−クロルアクリル酸、エタクリル酸、けい皮酸等の不飽和モノカルボン酸類;マレイン酸、無水マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、無水イタコン酸、シトラコン酸、無水シトラコン酸、メサコン酸等の不飽和ジカルボン酸(無水物)類;3価以上の不飽和多価カルボン酸(無水物)類、2−(メタ)アクリロイロキシエチルヘキサヒドロフタル酸、2−メタアクリロイロキシエチル2−ヒドロキシプロピルフタレート、2−アクリロイロキシエチル2−ヒドロキシエチルフタル酸等が挙げられる。
【0238】
上記バインダー樹脂の含有量は、着色組成物の重量に対して、10重量%〜50重量%、好ましくは20重量%〜50重量%である。
【0239】
上記ラジカル重合性モノマーまたはオリゴマーとしては、一例として、ポリエチレングリコールジアクリレート(エチレン基の数が2〜14のもの)、ポリエチレングリコールジメタクリレート(エチレン基の数が2〜14のもの)、トリメチロールプロパンジアクリレート、トリメチロールプロパンジメタクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、トリメチロールプロパンエトキシトリアクリレート、トリメチロールプロパンエトキシトリメタクリレート、トリメチロールプロパンプロポキシトリアクリレート、トリメチロールプロパンプロポキシトリメタクリレート、テトラメチロールメタントリアクリレート、テトラメチロールメタントリメタクリレート、テトラメチロールメタンテトラアクリレート、テトラメチロールメタンテトラメタクリレート、ポリプロピレングリコールジアクリレート(プロピレン基の数が2〜14のもの)、ポリプロピレングリコールジメタクリレート(プロピレン基の数が2〜14のもの)、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート、ジペンタエリスリトールペンタメタクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサメタクリレート、エトキシ化ペンタエリスリトールテトラアクリレート(エトキシ基が40以下のもの)、プロポキシ化ペンタエリスリトールテトラアクリレート(プロポキシ基が40以下のもの)、エトキシ化トリメチロールプロパントリアクリレート(エトキシ基が40以下のもの)、プロポキシ化トリメチロールプロパントリアクリレート(プロポキシ基が40以下のもの)、ビスフェノールAポリオキシエチレンジアクリレート、ビスフェノールAポリオキシエチレンジメタクリレート、ビスフェノールAジオキシエチレンジアクリレート、ビスフェノールAジオキシエチレンジメタクリレート、ビスフェノールAトリオキシエチレンジアクリレート、ビスフェノールAトリオキシエチレンジメタクリレート、ビスフェノールAデカオキシエチレンジアクリレート、ビスフェノールAデカオキシエチレンジメタクリレート、イソシアヌル酸エトキシ変性トリアクリレート、多価カルボン酸(無水フタル酸等)と水酸基及びエチレン性不飽和基を有する化合物(β−ヒドロキシエチルアクリレート、β−ヒドロキシエチルメタクリレート等)とのエステル化物、アクリル酸若しくはメタクリル酸のアルキルエステル(アクリル酸メチルエステル、メタクリル酸メチルエステル、アクリル酸エチルエステル、メタクリル酸エチルエステル、アクリル酸ブチルエステル、メタクリル酸ブチルエステル、アクリル酸2−エチルヘキシルエステル、メタクリル酸2−エチルヘキシルエステル等)、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、フェノキシエチルアクリレート、フェノキシエチルメタクリレート、N,N−ジメチルアクリルアミド、N,N−ジメチルアミノエチルアクリレート、N,N−ジメチルアミノエチルアクリレートのメチルクロライドによる四級塩化物、N,N−ジメチルアミノプロピルアクリルアミドのメチルクロライドによる四級塩化物、アクリロイルモルホリン、N−イソプロピルアクリルアミド、N,N−ジエチルアクリルアミドなどが挙げられる。
【0240】
上記架橋剤としては、例えば、(a)エポキシ樹脂、(b)メチロール基、アルコキシメチル基、及びアシロキシメチル基から選ばれる少なくとも1つの置換基で置換された、メラミン化合物、グアナミン化合物、グリコールウリル化合物又はウレア化合物、(c)メチロール基、アルコキシメチル基、及びアシロキシメチル基から選ばれる少なくとも1つの置換基で置換された、フェノール化合物、ナフトール化合物又はヒドロキシアントラセン化合物、が挙げられ、中でも、多官能エポキシ樹脂が好ましい。
【0241】
上記架橋剤の含有量は、着色組成物の重量に対して、10重量%〜50重量%、好ましくは20重量%〜50重量%である。
【0242】
本発明の着色組成物は、上記記載のもの以外に、重合禁止剤、界面活性剤、添加剤等を含んでいてもよく、それらは自体公知のものであれば特に限定されず、用いられる量も通常この分野で用いられる量であれば限定されない。
【0243】
本発明の着色組成物は、前述の成分を混合して調製される。
【0244】
以下に、実施例により本発明をさらに詳細に述べるが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【実施例】
【0245】
実施例1 本発明の重合性色素(染料モノマー2)の合成
(1)色素骨格の構築
攪拌装置を備えた丸底フラスコに、2-(1,3,3,-トリメチルインドリン−2-イリデン)アセトアルデヒド(化合物1)10.0g(5.0mmol、和光純薬工業(株)製)、2−(4−アミノフェニル)エタノール(化合物2)6.8g(5.0mmol、東京化成工業(株)製)、及び酢酸50mLを加え、40℃で3.5時間反応させた。更に、塩化メチレン(和光純薬工業(株)製)及び飽和食塩水を加えて有機層に目的物を抽出した後、有機層を飽和重曹水で2回洗浄し、飽和食塩水で洗浄した。その後、減圧濃縮によって溶媒を留去し、褐色固体のBasic Yellow13誘導体(化合物3)15.3g(収率86%)を得た。
【0246】
(2)重合性基の導入
攪拌装置を備えた丸底フラスコに、Basic Yellow13誘導体(化合物3)10.0g(28mmol)、NKエステルSA(2-メタクリロイルオキシエチルサクシネート、化合物4)7.8g(34mmol、新中村化学工業(株)製)、4‐ジメチルアミノピリジン1.0g(8.2mmol、和光純薬工業(株)製)、1-エチル-3-(3-ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩(WSC)9.2g(48mmol、東洋紡(株)製)、及び塩化メチレン100mL(和光純薬工業(株)製)を加え、室温で24時間反応させた。次いで、イオン交換水を加えて有機層を洗浄し、減圧濃縮によって溶媒を留去した。さらにシリカゲルカラムで精製し、減圧濃縮にて溶媒を留去し、褐色固体の染料モノマー1(化合物5)を3.0g(収率30%)得た。

【0247】
(3)塩交換反応
撹拌装置を備えた丸底フラスコ中で、染料モノマー1(化合物5)2.0g(3.5mmol)に塩化メチレン100mLを加えて溶解した。ここにテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ホウ素(IV)のリチウム塩3.8g(5.5mmol、東ソー・ファインケム(株)製)及びイオン交換水100mLを加えて溶解後、室温で30分間反応させた。得られた有機溶媒を分液し、イオン交換水で洗浄した後、減圧濃縮によって溶媒を留去し、カウンターアニオンにテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ホウ素(IV)アニオンを有する褐色固体の染料モノマー2(化合物6)2.6g(収率61%)を得た。
【0248】
実施例2 重合性色素(染料モノマー3)の合成
(1)塩交換反応
攪拌装置を備えた丸底フラスコ中、実施例1(1)と同様にして得たBasic Yellow13誘導体(化合物3)6.0g(16.8mmol)に塩化メチレン100mLを加えて溶解した。ここにテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ホウ素(IV)のリチウム塩11.5g(16.8mmol、東ソー・ファインケム(株)製)及びイオン交換水100mLを加えて溶解後、室温で30分間反応させた。得られた有機溶媒を分液し、イオン交換水で洗浄した後、減圧濃縮によって溶媒を留去し、カウンターアニオンにテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ホウ素(IV)アニオンを有するBasic Yellow13誘導体(化合物7)12.8g(収率76%)を得た。

【0249】
(2)重合性基の導入
攪拌装置を備えた丸底フラスコに、粉砕したモレキュラーシーブス3A 4.0g(和光純薬工業(株)製)、(1)で合成したテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ホウ素(IV)アニオンを有するBasic Yellow13誘導体(化合物7)2.0g(2.0mmol)、メタクリル酸クロリド0.52g(5.0mmol、和光純薬工業(株)製)、及び1,2−ジクロロエタン40mLを加え、80℃で4時間還流反応させた。室温まで冷却後、飽和重曹水を加えて中和し、水層が中性になるまでイオン交換水で洗浄した。減圧濃縮にて溶媒を留去し、褐色固体の染料モノマー3(化合物9)2.0g(収率94%)を得た。
【0250】
実施例3 重合性色素(染料モノマー4)の合成
(1)重合性基の導入
攪拌装置を備えた丸底フラスコに、4−アミノ安息香酸(化合物10)13.7g(和光純薬工業(株)製)、メタクリル酸−2−ヒドロキシエチル(化合物11)13.7g(和光純薬工業(株)製)、4‐ジメチルアミノピリジン 3.7g(和光純薬工業(株)製)及び塩化メチレン 180mL(和光純薬工業(株)製)を加えた。ここに、1‐エチル‐3‐(3‐ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩 23.0g(東洋紡(株)製)を加えて−5℃で7時間反応させた。室温まで昇温し、生じた固体をろ別後、酢酸エチル(和光純薬工業(株)製)と水を加えて抽出・洗浄し、減圧濃縮によって溶媒を留去した。得られた固体をメタノールから再結晶して白色固体のエステル体(化合物12)9.1g(収率37%)を得た。


【0251】
(2)色素骨格の構築、および塩交換反応
攪拌装置を備えた丸底フラスコ中に、2-(1,3,3,-トリメチルインドリン−2-イリデン)アセトアルデヒド(化合物1)2.0g(和光純薬工業(株)製)、(1)で合成したエステル体(化合物12)2.5g及び酢酸10mL(和光純薬工業(株)製)を加え、55℃で5時間反応させた。室温まで冷却後、塩化メチレン(和光純薬工業(株)製)及び飽和食塩水を加えて室温で1時間撹拌した。次いで、有機層を水および重曹水で洗浄した。ここにテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ホウ素(IV)のリチウム塩7.5g(東ソー・ファインケム(株)製)を加えて室温で0.5時間撹拌した。反応液を水洗後に減圧濃縮によって溶媒を留去し、濃橙色固体の染料モノマー4(化合物13)10.9g(収率98%)を得た。

【0252】
実施例4 重合性色素(染料モノマー5)の合成
(1)重合性基の導入
攪拌装置を備えた丸底フラスコ中に、4−ニトロフェニル酢酸(化合物14)7.2g(和光純薬工業(株)製)、メタクリル酸−2−ヒドロキシエチル(化合物11)5.2g(和光純薬工業(株)製)、4‐ジメチルアミノピリジン1.5g(和光純薬工業(株)製)及び塩化メチレン80mL(和光純薬工業(株)製)を加えた。ここに1‐エチル‐3‐(3‐ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩11.5g(東洋紡(株)製)を加えて室温で2時間反応させた。反応液に水を加えて抽出・洗浄し、減圧濃縮によって溶媒を留去し、黒色オイルのエステル体(化合物15)11.7g(収率100%)を得た。

【0253】
(2)還元反応
攪拌装置を備えた丸底フラスコ中に、(1)で得たエステル体(化合物15)11.7g及び酢酸90mL(和光純薬工業(株)製)を加えた後、亜鉛末14.4g(和光純薬工業(株)製)を分割投入した。室温で5時間反応させた後、不溶物をろ過し、塩化メチレン150mL(和光純薬工業(株)製)を加えて水洗した。さらに1mol/L塩酸で抽出、分液した水層に水酸化ナトリウム水溶液を加えてpHを10にした後、塩化メチレン150mLで抽出した。減圧濃縮によって溶媒を留去し、橙色液体(化合物16)5.7g(収率54%)を得た。


【0254】
(3)色素骨格の構築、および塩交換反応
攪拌装置を備えた丸底フラスコ中で、2-(1,3,3,-トリメチルインドリン−2-イリデン)アセトアルデヒド(化合物1)2.0g(和光純薬工業(株)製)、(2)で合成したアニリン誘導体(化合物16)2.6g、酢酸10mL(和光純薬工業(株)製)を加え、55℃で6時間反応させた。室温まで冷却後、塩化メチレン(和光純薬工業(株)製)、飽和食塩水を加えて室温で1時間撹拌し、有機層を水、重曹水で洗浄した。ここにテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ホウ素(IV)のリチウム塩7.5g(東ソー・ファインケム(株)製)を加えて、室温で0.5時間撹拌した。反応液を水洗後、減圧濃縮によって溶媒を留去し、濃橙色固体の染料モノマー5(化合物17)10.8g(収率96%)を得た。

【0255】
実施例5 重合性色素(染料モノマー6)の合成
(1)重合性基の導入
攪拌装置を備えた丸底フラスコ中に、3−メトキシ-4−ニトロフェニル酢酸(化合物18)2.0g(東京化成工業(株)製)、メタクリル酸−2−ヒドロキシエチル(化合物11)1.3g(和光純薬工業(株)製)、4‐ジメチルアミノピリジン0.4g(和光純薬工業(株)製)及び塩化メチレン80mL(和光純薬工業(株)製)を加えた。ここに1‐エチル‐3‐(3‐ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩2.9g(東洋紡(株)製)を加え、室温で3時間反応させた。更に、水を加えて洗浄後、減圧濃縮によって溶媒を留去し、褐色オイルのエステル体(化合物19)3.1g(収率100%)を得た。

【0256】
(2)還元反応
攪拌装置を備えた丸底フラスコ中に、(1)で得たエステル体(化合物19)3.1g及び酢酸20mL(和光純薬工業(株)製)を加えた後、亜鉛末3.3g(和光純薬工業(株)製)を分割投入した。室温で5時間反応させた後、不溶物をろ過し、塩化メチレン30mL(和光純薬工業(株)製)を加えて、水および重曹水で洗浄した。減圧濃縮によって溶媒を留去し、橙色液体(化合物20)1.9g(収率68%)を得た。
【0257】
(3)色素骨格の構築、および塩交換反応
攪拌装置を備えた丸底フラスコ中に、2-(1,3,3,-トリメチルインドリン−2-イリデン)アセトアルデヒド(化合物1)1.8g(和光純薬工業(株)製)、(2)で合成したアニリン誘導体(化合物20)2.5g及び酢酸10mL(和光純薬工業(株)製)を加え、55℃で6時間反応させた。室温まで冷却後、塩化メチレン(和光純薬工業(株)製)及び飽和食塩水を加えて、室温で1時間撹拌し、有機層を水洗し、更に重曹水で洗浄した。ここにテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ホウ素(IV)のリチウム塩6.7g(東ソー・ファインケム(株)製)を加えて、室温で0.5時間撹拌した。反応液を水洗後、減圧濃縮によって溶媒を留去し、濃橙色固体の染料モノマー6(化合物21)9.9g(収率97%)を得た。


【0258】
実施例6 重合性色素(染料モノマー7)の合成
(1)重合性基の導入
攪拌装置を備えた丸底フラスコ中に、4,5−ジメトキシ-2−ニトロ安息香酸(化合物22)2.7g(和光純薬工業(株)製)、メタクリル酸−2−ヒドロキシエチル(化合物11)1.6g(和光純薬工業(株)製)、4‐ジメチルアミノピリジン0.4g(和光純薬工業(株)製)及び塩化メチレン20mL(和光純薬工業(株)製)を加えた。ここに1‐エチル‐3‐(3‐ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩3.5g(東洋紡(株)製)を加え、室温で3時間反応させた。更に、水を加えて洗浄後、減圧濃縮によって溶媒を留去し、褐色オイルのエステル体(化合物23)3.1g(収率77%)を得た。

【0259】
(2)還元反応
攪拌装置を備えた丸底フラスコ中に、(1)で得たエステル体(化合物23)2.8g及び酢酸20mL(和光純薬工業(株)製)を加えた後、亜鉛末3.2g(和光純薬工業(株)製)を分割投入した。室温で4時間反応させた後、不溶物をろ過し、塩化メチレン70mL(和光純薬工業(株)製)を加えて、水および重曹水で洗浄した。次いで、減圧濃縮によって溶媒を留去してオイル成分を含む褐色固体を得た。これをメタノール30ml(和光純薬工業(株)製)で洗浄し、減圧乾燥して、淡褐色固体(化合物24)0.8g(収率33%)を得た。

【0260】
(3)色素骨格の構築、および塩交換反応
攪拌装置を備えた丸底フラスコ中で、2-(1,3,3,-トリメチルインドリン−2-イリデン)アセトアルデヒド(化合物1)0.4g(和光純薬工業(株)製)、(2)で合成したアニリン誘導体(化合物24)0.8g及び酢酸15mL(和光純薬工業(株)製)を加え、55℃で4時間反応させた。室温まで冷却後、塩化メチレン(和光純薬工業(株)製)及び飽和食塩水を加えて、室温で1時間撹拌し、有機層を水洗し、更に重曹水で洗浄した。ここにテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ホウ素(IV)のリチウム塩1.6g(東ソー・ファインケム(株)製)を加えて、室温で0.5時間撹拌した。反応液を水洗後、減圧濃縮によって溶媒を留去し、濃橙色固体の染料モノマー7(化合物25)2.8g(収率88%)を得た。
【0261】
実施例7 重合性色素(染料モノマー8)の合成
(1)重合性基の導入
攪拌装置を備えた丸底フラスコ中に、2−ニトロけい皮酸(化合物26)3.9g(和光純薬工業(株)製)、メタクリル酸−2−ヒドロキシエチル(化合物11)2.6g(和光純薬工業(株)製)、4‐ジメチルアミノピリジン0.7g(和光純薬工業(株)製)及び塩化メチレン40mL(和光純薬工業(株)製)を加えた。更に、ここに1‐エチル‐3‐(3‐ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩5.8g(東洋紡(株)製)を加え、室温で2時間反応させた。次いで、水を加えて洗浄後、減圧濃縮によって溶媒を留去し、黄色オイルのエステル体(化合物27)6.1g(収率100%)を得た。
【0262】
(2)還元反応
攪拌装置を備えた丸底フラスコ中に、(1)で得たエステル体(化合物27)3.1g及び酢酸21mL(和光純薬工業(株)製)を加えた後、亜鉛末3.3g(和光純薬工業(株)製)を分割投入した。室温で5時間反応後、不溶物をろ過し、塩化メチレン50mL(和光純薬工業(株)製)と水を加えて水洗した。さらに重曹水で中和後、減圧濃縮によって溶媒を留去し、褐色オイル(化合物28)2.5g(収率91%)を得た。

【0263】
(3)色素骨格の構築、および塩交換反応
攪拌装置を備えた丸底フラスコ中に、2-(1,3,3,-トリメチルインドリン−2-イリデン)アセトアルデヒド(化合物1)0.7g(和光純薬工業(株)製)、(2)で合成したアニリン誘導体(化合物28)1.0g、及び酢酸10mL(和光純薬工業(株)製)を加え、55℃で5時間反応させた。更に、塩化メチレン(和光純薬工業(株)製)及び飽和食塩水を加えて、室温で1時間撹拌後、有機層を水洗し、更に重曹水で洗浄し、テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ホウ素(IV)のリチウム塩7.5g(東ソー・ファインケム(株)製)を加えて、室温で0.5時間撹拌した。反応液を水洗後、減圧濃縮によって溶媒を留去し、濃橙色固体の染料モノマー8(化合物29)4.0g(収率97%)を得た。
【0264】
実施例8 重合性色素(染料モノマー9)の合成
(1)重合性基の導入
攪拌装置を備えた丸底フラスコ中に、4−ニトロけい皮酸(化合物30)1.9g(東京化成工業(株)製)、トルエン20ml(和光純薬工業(株)製)及びN,N−ジメチルホルムアミド1ml(和光純薬工業(株)製)を加え、60℃に加温した。ここに塩化チオニル1.3g(和光純薬工業(株)製)を注入し、70℃で2時間撹拌した。減圧濃縮によって過剰の塩化チオニルを除去して、4−ニトロけい皮酸クロライド(化合物31)のトルエン溶液を調製した。別の攪拌装置を備えた丸底フラスコに、メタクリル酸−2−ヒドロキシエチル(化合物11)1.3g(和光純薬工業(株)製)、トリエチルアミン1.0g(和光純薬工業(株)製)及びトルエン10mlを加えて水冷し、先に調製した4−ニトロけい皮酸クロライド(化合物32)のトルエン溶液を滴下後、室温で3時間反応させた。析出物のろ別した後、水洗し、減圧濃縮によって溶媒を留去し、橙色オイルの化合物322.3g(収率77%)を得た。

【0265】
(2)還元反応
攪拌装置を備えた丸底フラスコ中に、(1)で得たエステル体(化合物32)2.3g及び酢酸20mL(和光純薬工業(株)製)を加えた後、亜鉛末2.9g(和光純薬工業(株)製)を分割投入した。室温で5時間反応させた後、不溶物をろ過し、塩化メチレン50mL(和光純薬工業(株)製)と水を加えて水洗した。さらに重曹水で中和後、減圧濃縮によって溶媒を留去し、褐色オイル(化合物33)1.8g(収率86%)を得た。

【0266】
(3)色素骨格の構築、および塩交換反応
攪拌装置を備えた丸底フラスコ中に、2-(1,3,3,-トリメチルインドリン−2-イリデン)アセトアルデヒド(化合物1)1.3g(和光純薬工業(株)製)及び(2)で合成したアニリン誘導体(化合物33)1.8g、酢酸15mL(和光純薬工業(株)製)を加え、55℃で5時間反応させた。次いで、塩化メチレン(和光純薬工業(株)製)及び飽和食塩水を加えて、室温で1時間撹拌後、有機層を水洗、更に重曹水で洗浄し、テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ホウ素(IV)のリチウム塩4.8g(東ソー・ファインケム(株)製)を加えて、室温で0.5時間撹拌した。反応液を水洗後、減圧濃縮によって溶媒を留去し、濃橙色固体の染料モノマー9(化合物34)7.1g(収率98%)を得た。
【0267】
実施例9 染料ポリマー2の合成
攪拌装置、冷却管、温度計、窒素導入管を備えた200mlの丸底フラスコに、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート27.9g(和光純薬工業(株)製)を入れ、窒素気流下で内温が90℃になるまで加熱した。次いで、これを染料モノマー2(化合物6) 3.0g、ベンジルメタクリレート50.1g(和光純薬工業(株)製)、メタクリル酸6.9g(和光純薬工業(株)製)、ジメチル2,2´‐アゾビス(2−メチルプロピオネート)(和光純薬工業(株)製重合開始剤V‐601)9.6g、及びプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート27.9g(和光純薬工業(株)製)を混合した溶液を、2時間かけて滴下した。その後、得られた溶液を90℃で2時間反応させた。反応後、室温まで冷却し、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート48.6gを加えて希釈し、染料ポリマーを得た(染料モノマー2/ベンジルメタクリレート/メタクリル酸=3.0/50.1/6.9)。これを染料ポリマー2溶液とする。
【0268】
実施例10 染料ポリマー3の合成
染料モノマー2 3.0gの代わりに、実施例2で得た染料モノマー3 3.0gを用いた以外は用いた他は、実施例9と同様にして、染料ポリマーを得た(染料モノマー3/ベンジルメタクリレート/メタクリル酸=3.0/50.1/6.9)。これを染料ポリマー3溶液とする。
【0269】
比較例1 Basic Yellow13の合成
攪拌装置を備えた丸底フラスコに、2-(1,3,3,-トリメチルインドリン−2-イリデン)アセトアルデヒド(化合物1)5.0g(24.8mmol、和光純薬工業(株)製)、p−アニシジン(化合物35)3.1g(25.1mmol、東京化成工業(株)製)、及び酢酸25mL(和光純薬工業(株)製)を加え、40℃で4時間反応させた。次いで、塩化メチレン(和光純薬工業(株)製)及び飽和食塩水を加えて有機層に目的物を抽出した後、有機層を飽和重曹水で2回洗浄し、飽和食塩水で洗浄した。その後、減圧濃縮によって溶媒を留去し、褐色固体のBasic Yellow13(化合物36)7.3g(収率86%)を得た。
【0270】
実施例11 染料モノマー2の耐熱性評価(230℃、0.5時間)
実施例1で得た染料モノマー2の耐熱性を下記のように評価した。
(1)染料を含まないポリマーの合成
攪拌装置、冷却管、温度計及び窒素導入管を備えた500mLの丸底フラスコに、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート98.5gを入れ、窒素気流下で内温が90℃になるまで加熱した。次いで、これに、ベンジルメタクリレート 186.2g、メタクリル酸25.6g、ジメチル2,2´‐アゾビス(2−メチルプロピオネート)(和光純薬工業(株)製重合開始剤V‐601)33.9g、及びプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート98.5gを混合した溶液を、2時間かけて滴下した。その後、得られた溶液を90℃で2時間反応させた。次に、100℃に昇温し、1時間反応させた。反応後、室温まで冷却し、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート171.5gを加えて希釈し、淡黄色透明のポリマー溶液を得た。これをポリマーAとする。尚、ポリマーAの不揮発分濃度は35.9%であった。
【0271】
(2)染料モノマー混合溶液の調整
染料モノマー2を0.5g、ポリマーA52.9g、及びプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート3.2gを混合し、染料モノマー混合溶液Bを調製した。
【0272】
(3)耐熱性評価
染料モノマー混合溶液Bを3インチのガラスウエハー(コーニング社製イーグルXG)にスピンコートした後、90℃に加熱したホットプレート上で90秒間乾燥して膜厚1ミクロンの薄膜を得た。得られた薄膜それぞれを、分光光度計(島津製作所製分光光度計UV−2550)を用いて極大吸収波長での吸光度(λa)を測定した。その後、230℃に加熱したホットプレート上で30分間加熱した後、再度、極大吸収波長での吸光度(λb)を測定した。測定したλaとλbの値から下記式より染料残存率(%)を求めた。その結果を表1に示す。尚、メタノール溶液(MeOH)溶液中の最大吸収波長(nm)も併せて表中に示す。
染料残存率(%)=(λb/λa)×100
【0273】
実施例12〜16 染料モノマー3〜6及び9の耐熱性評価(230℃、0.5時間)
実施例11における染料モノマー2の代わりに染料モノマー3〜6及び9を用いた以外は、実施例11の方法にしたがって操作し、染料モノマー3〜6及び9それぞれの耐熱性を評価した。その結果及びメタノール溶液(MeOH)溶液中の最大吸収波長(nm)を、実施例11の結果と合わせて表1に示す。
実施例17〜18 染料モノマー7及び8の最大吸収波長
モノマー7及び8のメタノール溶液(MeOH)溶液中の最大吸収波長(nm)を表1に示す。
【0274】
実施例19 染料ポリマー2及び3の耐熱性評価(230℃、0.5時間)
実施例9で得た染料ポリマー2溶液の耐熱性を下記のようにして評価した。
即ち、得られた染料ポリマー2溶液をそれぞれ3インチのガラスウエハー(コーニング社製イーグルXG)にスピンコートした後、90℃に加熱したホットプレート上で90秒間乾燥して膜厚1ミクロンの薄膜を得た。得られた薄膜それぞれを、分光光度計(島津製作所製分光光度計UV−2550)を用いて極大吸収波長での吸光度(λa)を測定し、その後、230℃に加熱したホットプレート上で30分間加熱した後、再度、極大吸収波長での吸光度(λb)を測定した。λaとλbの値から下記式より染料残存率(%)を求めた。その結果を、実施例11〜18の結果と合わせて表1に示す。
染料残存率(%)=(λb/λa)×100
【0275】
実施例20 染料ポリマー3の耐熱性評価(230℃、0.5時間)
実施例19において染料ポリマー2溶液の代わりに染料ポリマー3溶液を用いた以外は、実施例19の方法にしたがって操作し、染料ポリマー3の耐熱性を評価した。その結果を、実施例11〜19の結果と合わせて表1に示す。
【0276】
比較例2 Basic Yellow13の耐熱性評価(230℃、0.5時間)
染料モノマー2 0.5gの代わりにBasic Yellow13 0.5gを用いた他は、実施例5と同様にして、Basic Yellow13の耐熱性を評価した。その結果及びメタノール溶液(MeOH)溶液中の最大吸収波長(nm)を、実施例11〜20の結果と合わせて表1に示す。
【0277】
【表1】
【0278】
上記の表1に示すように、公知の黄色染料であるBasicYellow13は、加熱後染料が全く残らなかったのに対し、本発明の染料モノマー及びポリマーは、高い染料残存率を示し、高い耐熱性を有することが分かった。即ち、重合性基を有し且つテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ホウ素をアニオンとして有する本発明の化合物及びその化合物由来のポリマーは、優れた耐熱性を有することが分かった。なお、染料モノマーと比較して染料ポリマーの方が高い耐熱性を示すことも分かった。
【0279】
また、表1に示すように、染料モノマー2〜9は410〜430nmの最大吸収波長を有している。そのため、これらの染料を単独、もしくは複数を組み合わせて用いた透明材料は特定の波長の光の透過を低減できる。
【0280】
実施例21 染料ポリマー4の合成
撹拌装置、冷却管、温度計、窒素導入管を備えた2000mlの丸底フラスコにプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(ダイセル(株)製)105gを入れ、窒素気流下にて、内温が95℃になるまで加熱した。次いで、染料モノマー4 15g、メタクリル酸メチル(和光純薬工業(株)製)285g、2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオン酸メチル) (商品名V−601 和光純薬工業(株)製)15gを混合し、該混合溶液を95℃にて2時間かけて丸底フラスコに滴下した。その後、得られた溶液を95℃にて2時間反応させた。反応後、室温まで冷却し、酢酸エチル1000gに溶解した。該混合溶液をn−ヘキサン4600ml中に注入して生じた沈殿物をろ取、減圧下にて乾燥し、約5重量部の染料モノマー4を含む染料ポリマー4 315gを得た。
【0281】
実施例22 染料ポリマー4を含む着色板の成形
上記で得た染料ポリマー4 0.5重量部と市販のメタクリル酸メチル樹脂(アクリペットMD001(三菱レイヨン製))99.5重量部を、同方向回転二軸押出機を用いて溶融混合し、着色した樹脂ペレットを得た。次いで、得られた樹脂ペレットを電動式射出成形機によって加工し、150mm×150mm×t2mmの着色板を作成した。
【0282】
比較例3 Basic Yellow13を含む着色板の成形
実施例22において、染料ポリマー4 0.5重量部の代わりにBasic Yellow 13を0.025重量部とメタクリル酸メチル樹脂100重量部を用いた以外は同様にして、着色板を作成した。
【0283】
実施例23 染料ポリマー4を含む着色板の耐溶出試験
実施例22で作成した着色板を40mm×30mm×t2mmの大きさに裁断した後、エタノール50部とイオン交換水50部を混合したエタノール水溶液80ml中に浸漬し、40℃の恒温槽中で200時間保管した。エタノール溶液を取り出し、分光光度計(島津製作所製製分光光度計UV−2500)を用いて、エタノール水溶液の分光スペクトルを測定した。
測定サンプルの最大吸収波長における吸光度(λa)と予め測定したグラム吸光係数(ε)を用いて、エタノール水溶液中に溶出した染料モノマー4の重量を算出し、浸漬させた樹脂着色板中に含まれる染料モノマー4の重量を基準とした時の溶出率(%)を下記式により算出した。
溶出率(%)= [(λa×0.08/ε)/(着色板に含まれる染料の重量)]×100
※着色板中に含まれる染料の重量 = 板の重さ×0.00025
【0284】
比較例4 Basic Yellow13を含む着色板の耐溶出試験
実施例23において、比較例3で作成した着色板を用いた以外は同様に操作し、Basic Yellow 13の溶出率を算出した。その結果を、実施例23の結果と合わせて表2に示す。
【0285】
【表2】
【0286】
上記表2に示すように、Basic Yellow 13からの溶出率に対して、本発明の染料ポリマー4を含む着色板からの溶出率は、顕著に低いことが分かった。即ち、本発明の染料ポリマーを用いた着色板は、耐溶出性に優れた着色材料となりうることが示された。
【0287】
実施例24 耐候性試験
実施例22で作成した着色板を65mm×65mm×t2mmに裁断し、JIS B7754:1991に規定する装置[Ci4000(アトラス社製)]を使用し、下記条件でキセノンアーク灯式による促進耐候性試験を実施した。
(1)試験条件
放射照度:50w/m(300−400nm)
フィルタガラス:内側 ボロシリケートSタイプ、外側 ソーダライム
ブラックパネル温度:63±2℃
槽内温度:38±2℃
相対湿度:50±10%RH
試験時間:50時間
(2)測色条件
測定:反射測定(8°:de)
標準光 :D65
測定孔径:φ5mm
【0288】
試験前および、50時間試験した成形版をJIS Z8730:2009のL*a*b*表色系の色差に準拠して、測色計 CC−i(スガ試験機株式会社製)で測定し、試験前後のL*値、a*値、b*値の変化量であるΔL*、Δa*、Δb*を算出し、下記式によって色差(ΔE*ab)を求めた。得られた結果を表3に示す。
色差(ΔE*ab)=[ (ΔL*)+(Δa*)+(Δb*) ] 1/2
【0289】
【表3】
【0290】
色差が3以内であれば色の変化は無いと判断することができる。よって、染料ポリマーを含む着色板はBasic Yellow 13を含む成形板と比較して優れた耐候性を有していることが分かった。