特許第6493530号(P6493530)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6493530
(24)【登録日】2019年3月15日
(45)【発行日】2019年4月3日
(54)【発明の名称】作業機
(51)【国際特許分類】
   B25F 5/02 20060101AFI20190325BHJP
【FI】
   B25F5/02
【請求項の数】1
【全頁数】18
(21)【出願番号】特願2017-526234(P2017-526234)
(86)(22)【出願日】2016年6月2日
(86)【国際出願番号】JP2016066414
(87)【国際公開番号】WO2017002518
(87)【国際公開日】20170105
【審査請求日】2017年11月14日
(31)【優先権主張番号】特願2015-131468(P2015-131468)
(32)【優先日】2015年6月30日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000005094
【氏名又は名称】工機ホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002066
【氏名又は名称】特許業務法人筒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】平野 翔太
(72)【発明者】
【氏名】塙 浩之
(72)【発明者】
【氏名】齋藤 圭太
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 直樹
【審査官】 上田 真誠
(56)【参考文献】
【文献】 実公昭42−004960(JP,Y1)
【文献】 米国特許第06725491(US,B1)
【文献】 特開2010−129188(JP,A)
【文献】 特開2013−233637(JP,A)
【文献】 国際公開第2015/025677(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B25F 5/02
B25G 3/00
B24B 23/00−23/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
モータの動力で作業工具を回転する作業機であって、
前記モータの回転力を前記作業工具に伝達する伝達機構と、
前記伝達機構を支持したケースと、
前記ケースの外面から突出して取り付けられ、かつ、作業者が掴む把持具と、
前記ケースに設けられ、かつ、前記把持具を取り付ける取付け孔と、
を有し、
前記取付け孔は、前記作業工具の回転中心である軸線に対して交差する平面視で、前記ケースを貫通し、
前記取付け孔の中心線方向の両側に第1開口部及び第2開口部が形成され、
前記把持具は、前記取付け孔に挿入される軸部を有し、
前記第1開口部から前記取付け孔に挿入された前記軸部の先端は、前記中心線方向の中心と、前記第2開口部との間に位置する、作業機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、モータの動力で作業工具を回転する作業機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、モータの動力で作業工具を回転する作業機が知られており、その作業機の例が特許文献1に記載されている。特許文献1に記載された作業機は、本体と、本体に取り付けられる把持具としてのハンドルと、を有する。本体は、モータを収容するハウジングと、ハウジングに連続するグリップと、を有する。
【0003】
また、特許文献1に記載された作業機は、ハンドルを本体に着脱するためのホルダを有する。ホルダは、切り欠き部を有するリング状であり、ハンドルは、ホルダにボルト及びナットを用いて固定される。リング状のホルダは、ハウジングの外周面に取り付けられる。ホルダに貫通穴が設けられ、ボルトの軸部は貫通穴に配置されている。ハンドルは筒形状であり、ハンドル内にナットが設けられている。特許文献1に記載された作業機は、ボルトを回転させることで、ハンドルを本体に着脱できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2012−96299号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載された作業機は、把持具を本体に取り付けるために専用のホルダを用いており、作業機が大型化する問題があった。また、ホルダを用いるため把持具の取り付けが面倒であった。
【0006】
本発明の目的は、大型化を抑制可能な作業機を提供することにある。また、把持具の取り付けが容易な作業機を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
一実施形態の作業機は、モータの動力で作業工具を回転する作業機であって、前記モータの回転力を前記作業工具に伝達する伝達機構と、前記伝達機構を支持したケースと、前記ケースの外面から突出して取り付けられ、かつ、作業者が掴む把持具と、前記ケースに設けられ、かつ、前記把持具を取り付ける取付け孔と、を有し、前記取付け孔は、前記作業工具の回転中心である軸線に対して交差する平面視で、前記ケースを貫通し、前記取付け孔の中心線方向の両側に第1開口部及び第2開口部が形成され、前記把持具は、前記取付け孔に挿入される軸部を有し、前記第1開口部から前記取付け孔に挿入された前記軸部の先端は、前記中心線方向の中心と、前記第2開口部との間に位置する。
【0008】
他の実施形態の作業機は、モータの動力で作業工具を回転する作業機であって、前記モータの動力を前記作業工具に伝達する伝達機構と、前記伝達機構を配置したケースと、前記ケースの外面から突出して取り付けられ、かつ、作業者が掴む把持具と、前記ケースに設けられ、かつ、前記把持具を取り付ける取付け孔と、前記ケースに設けられ、かつ、前記取付け孔の外に形成した取付け面と、を有し、前記取付け面は、前記取付け孔の中心線に対して傾斜し、前記把持具と前記ケースとの間に介在される中間部材が設けられ、前記取付け面は、前記中間部材に接触する。
【0009】
他の実施形態の作業機は、モータの動力で作業工具を回転する作業機であって、前記モータの動力を前記作業工具に伝達する伝達機構と、前記伝達機構を配置したケースと、前記ケースの外面から突出して取り付けられ、かつ、作業者が掴む把持具と、前記ケースに前記把持具を取り付ける取付け孔と、を有し、前記把持具は、前記取付け孔の内部から外部に亘って配置され、前記把持具と前記ケースとの間に介在された中間部材が設けられ、前記中間部材は、前記作業工具の回転中心となる軸線に対して交差する平面視で、前記把持具を前記軸線を中心として径方向に支持する。
【0010】
他の実施形態の作業機は、モータの動力で作業工具を回転する作業機であって、前記モータの動力を前記作業工具に伝達する伝達機構と、前記伝達機構を配置したケースと、前記ケースから前記作業工具の回転中心となる軸線に対して交差する方向に突出したグリップと、前記グリップに設けられ、かつ、作業者が掴む把持具と、を有し、前記モータは、電力を動力に変換する電動モータであり、前記グリップは、前記モータに電力を供給する電力供給機構を着脱可能な装着部を有し、前記把持具は、前記装着部に設けられている。
【発明の効果】
【0011】
本発明は、把持具がケースの取付け孔に配置され、把持具が本体に固定される。したがって、作業機が大型化することを抑制できる。また、把持具を容易に取り付けることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の作業機を組み立てた状態の斜視図である。
図2図1の作業機の正面図である。
図3図1の作業機の内部構造を示す側面断面図である。
図4図1の作業機のグリップを示す側面断面図である。
図5図1の作業機に把持具を取り付ける例を示す正面断面図である。
図6】把持具を分解した正面断面図である。
図7】把持具を分解した斜視図である。
図8】(A)は、作業機に取り付けたキャップの平面図、(B)は、キャップの側面図である。
図9】(A)は、キャップのプラグを取り付け孔から抜いた状態の側面図、(B)は、キャップ単体の斜視図である。
図10】(A)〜(C)は、キャップを外して把持具をフロントケースに取り付ける過程を示す正面断面図である。
図11】(A)は、図1の作業機に取り付けるマウント部材の側面図、(B)は、マウント部材の側面断面図である。
図12】把持具をフロントケースに取り付ける例を示す正面断面図である。
図13】(A)は、把持具をフロントケースに取り付ける例を示す正面断面図、(B)は、図13(A)に示すマウント部材の側面図である。
図14】(A)は、把持具を装着部に取り付ける例を示す側面図、(B)は、把持具を取り付け可能な装着部の側面図である。
図15】(A),(B)は、図14(A)のE−E線における断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明に係る作業機の実施形態を図面を参照して詳細に説明する。
【0014】
図1図3に示す作業機10は、本体11と、本体11内に設けられた電動モータ12と、本体11の外に配置され、かつ、電動モータ12のトルクが伝達されるチャック13と、を備えている。作業工具としてのドライバビットまたはドリルビットは、チャック13へ着脱可能である。本体11は、ハウジング14と、ハウジング14に連続するグリップ15と、を備えている。グリップ15は、作業者が作業機10を把持するために設けられている。グリップ15におけるハウジング14とは反対の端部に装着部16が設けられ、電池パック17を装着部16に取り付けまたは取り外し可能である。
【0015】
電池パック17は、電池セルを収容したケースである。電池セルは、リチウムイオン電池、ニッケル水素電池、リチウムイオンポリマー電池、ニッケルカドミウム電池等を用いることができる。図4のように、装着部16内に制御部18が設けられており、制御部18は、電池パック17から電動モータ12に印加する電圧、電流の大きさ等を制御する。この制御により、電動モータ12の回転軸20の回転方向、回転数、トルクが制御される。
【0016】
電動モータ12は、電力を動力に変換する動力装置である。電動モータ12は、図3のように、ハウジング14に固定されたステータ19と、ハウジング14内に回転可能に設けられたロータ21と、を有する。ステータ19は、電圧が印加されるコイルを有し、ロータ21は永久磁石を有する。ロータ21は回転軸20に固定されており、回転軸20を回転可能に支持する2個の軸受22,23がハウジング14内に設けられている。回転軸20の回転中心は軸線A1である。
【0017】
ハウジング14内にリヤケース24が設けられ、ハウジング14の外に露出したフロントケース25が設けられている。リヤケース24は、軸線A1に沿った方向で電動モータ12とフロントケース25との間に配置されている。ハウジング14内に隔壁26が設けられており、隔壁26は、軸線A1に沿った方向で、電動モータ12とリヤケース24との間に配置されている。隔壁26は、軸受23を支持している。
【0018】
フロントケース25及びリヤケース24は、ハウジング14に対して回転しない。フロントケース25は、ねじ部材74を用いてハウジング14に固定されている。フロントケース25及びリヤケース24は共に筒形状である。リヤケース24及びフロントケース25は、金属、例えばアルミニウム製であり、リヤケース24及びフロントケース25のそれぞれの剛性は、ハウジング14の剛性よりも高い。フロントケース25内及びリヤケース24内に亘って、変速装置27が配置されている。なお、リヤケース24及びフロントケース25は、剛性を確保できるのであればハウジング14と同じ樹脂で形成してもよい。
【0019】
変速装置27は、第1遊星歯車機構28、第2遊星歯車機構29及び第3遊星歯車機構30を有する。第1遊星歯車機構28及び第2遊星歯車機構29は、リヤケース24内に配置されている。第3遊星歯車機構30は、フロントケース25内に配置されている。第1遊星歯車機構28、第2遊星歯車機構29及び第3遊星歯車機構30は、入力要素、反力要素及び出力要素を、それぞれ備えている。回転軸20は、第1遊星歯車機構28の入力要素に連結されている。第3遊星歯車機構30の出力要素は、スピンドル31に連結されており、スピンドル31にチャック13が取り付けられている。
【0020】
フロントケース25内に、スピンドル31を回転可能に支持する軸受78が、2個設けられている。つまり、本体11は、フロントケース25及び軸受78を介してスピンドル31及びチャック13を支持する。変速装置27は、電動モータ12の回転力をスピンドル31へ伝達する伝達機構であり、変速装置27は、回転軸20の回転数と、スピンドル31の回転数との比を変更する。
【0021】
電動モータ12から第1遊星歯車機構28へ伝達された動力は、第2遊星歯車機構29及び第3遊星歯車機構30を経由して、スピンドル31に伝達される。第2遊星歯車機構29から第3遊星歯車機構30を経てスピンドル31へ伝達される場合、第3遊星歯車機構30の反力要素、例えば、リングギヤが、その反力トルクを受け持つ。
【0022】
フロントケース25は、第1筒部32及び第2筒部33を有する。図7のように、第1筒部32の外周面から突出したボス部75が複数設けられ、複数のボス部75に孔76がそれぞれ設けられている。ねじ部材74は複数の孔76にそれぞれ挿入されている。第1筒部32の外径は、第2筒部33の外径よりも大きい。第3遊星歯車機構30は、第1筒部32内に配置され、スピンドル31は第1筒部32内から第2筒部33内に亘って配置されている。フロントケース25にクラッチダイヤル34が取り付けられている。クラッチダイヤル34は、フロントケース25に対して回動可能である。
【0023】
第3遊星歯車機構30の反力要素は、フロントケース25に対して回転可能に設けられており、反力要素をフロントケース25に固定することもできる。つまり、フロントケース25は、電動モータ12からスピンドル31に至る動力伝達経路で、最も下流に位置する第3遊星歯車機構30を支持している。クラッチダイヤル34を操作すると、第3遊星歯車機構30の反力要素の回転速度が調節され、スピンドル31から出力されるトルクを調節できる。
【0024】
次に、作業機10の使用例を説明する。電動モータ12の回転軸20の回転方向を、正回転と逆回転とに切り替える切り替えスイッチが、本体11に設けられている。切り替えスイッチは作業者により操作され、切り替えスイッチの操作信号は制御部18へ入力される。制御部18は、電動モータ12のコイルに供給する電流の向きを変更して、回転軸20の回転方向を切り替える。
【0025】
さらに、グリップ15にトリガ35が設けられており、トリガスイッチ77が、グリップ15内に設けられている。トリガスイッチ77は、直線A3方向でハウジング14と装着部16との間に配置されている。作業者がトリガ35を操作すると、トリガスイッチ77がオンまたはオフされ、トリガスイッチ77から出力された信号は、制御部18へ入力される。制御部18は、電動モータ12のステータ19に電流を供給する経路を、接続または遮断する制御信号を出力する。
【0026】
電動モータ12を駆動して、作業工具を回転させる作業中、ハウジング14に対して軸線A1を中心とするモーメントが発生する。作業機10は、図1図2図5図7に示す把持具36を有する。把持具36は、本体11が軸線A1を中心として回転する向きで振動することを抑制するために設けられている。本体11の振動は、軸線A1を中心として回動することである。把持具36は、ジョイント37及びハンドル38を有する。また、作業機10は、マウント部材39を有する。マウント部材39は、本体11に取り付けられた把持具36を支持する。ジョイント37の第1端部はフロントケース25に取り付けられ、マウント部材39はジョイント37を支え、ハンドル38はジョイント37の第2端部に取り付けられる。
【0027】
作業機10を正面視した図2において、フロントケース25の円周方向で、グリップ15が配置されている箇所とは反対の箇所に、固定部40が設けられている。固定部40が設けられている箇所は、軸線A1を隔ててグリップ15が配置されている箇所の反対側である。固定部40は、軸線A1と垂直な平面方向に貫通する取付け孔41を有する。取付け孔41は、軸線A1を中心とする径方向で第3遊星歯車機構30よりも外側に配置されている。取付け孔41の内面に雌ねじ42が形成されている。固定部40は、取付け孔41の中心線A2方向の両側に、取付け孔41につながる凹部43,44を備えている。
【0028】
また、図6及び図7のように、固定部40は、2つの凹部43,44をそれぞれ囲む接触面45を備えている。2つの接触面45は平坦であり、かつ、軸線A1を通る直線A3に対して傾斜している。直線A3は、作業機10の平面視である図2において、グリップ15の中心及び軸線A1を通る。つまり、グリップ15は、作業機10の正面視で、ハウジング14から直線A3方向に突出している。さらに、図5及び図6のように、中心線A2と直線A3との交点B1は、取付け孔41の中心線A2方向の中心である。2つの接触面45は、直線A3から離れることに伴い、中心線A2方向の間隔が狭くなる向きで傾斜している。つまり、2つの接触面45は、直線A3に対する傾斜方向が互いに逆である。
【0029】
ジョイント37は、ハンドル38とフロントケース25とを接続する軸であり、ジョイント37は金属材料、例えば、鋼材で構成されている。ジョイント37は、第1軸部46及び第2軸部47を中心線A2方向に連続して配置したものであり、第1軸部46の外径は第2軸部47の外径よりも小さい。第2軸部47の外周に環状の溝48が設けられている。第1軸部46は取付け孔41に挿入され、第1軸部46の外周面に雄ねじ49が形成されている。第1軸部46が取付け孔41へねじ込まれて、ジョイント37がフロントケース25に固定されている。ジョイント37は、取付け孔41の内部から外部に亘って配置されている。第1軸部46に雄ねじ49が形成されている中心線A2方向の範囲は、中心線A2方向における取付け孔41の長さよりも短い。
【0030】
雄ねじ49が取り付け孔41の雌ねじ42にねじ込まれた状態で、第1軸部46の一部は、取付け孔41及び凹部43の外に位置する。ジョイント37において、第1軸部46とは反対の端部に固定孔50が設けられている。固定孔50の内周面に雌ねじ51が形成されている。マウント部材39は、合成樹脂で一体成形されている。マウント部材39は、筒形状であり、第1支持孔52及び第2支持孔53を有する。第1支持孔52の内径は、第2支持孔53の内径よりも小さい。第1支持孔52の内径は、中心線A2方向で一定であり、第2支持孔53の内径は、中心線A2方向で一定である。つまり、第1支持孔52及び第2支持孔53の内面に雌ねじは設けられていない。
【0031】
第1支持孔52の内面と第2支持孔53の内面とを連続する段部54が設けられている。段部54は、中心線A2を中心として環状に形成され、かつ、中心線A2に対して垂直な平坦面である。そして、第1軸部46が第1支持孔52に配置され、第2軸部47が第2支持孔53に配置された状態で、第1軸部46の雄ねじ49が第1支持孔52の外に配置されている。
【0032】
また、マウント部材39のうち、第2支持孔53に相当する箇所を径方向に貫通する孔55が設けられ、孔55に抜け止め56が差し込まれている。抜け止め56は、中心線A2方向で溝48に配置され、抜け止め56が第2軸部47に係合することで、マウント部材39とジョイント37とが、中心線A2方向に位置決めされている。ジョイント37の雄ねじ49を固定部40の雌ねじ42にねじ込んで締め付けが完了すると、把持具36は、図5のように、フロントケース25に対して位置決め及び固定される。具体的には、第2軸部47の端面57がマウント部材39の段部54に押し付けられ、マウント部材39は、固定部40と第2軸部47との間に挟まれている。ジョイント37の先端37Aは、中心線A2方向で、凹部44と交点B1との間に位置する。すなわち、先端37Aは直線A3よりも凹部44側に位置する。
【0033】
さらに、図6及び図7のように、マウント部材39のうち、第1支持孔52の開口端を囲む接触面58が設けられている。接触面58は平坦であり、かつ、固定部40の接触面45と同じ向きに傾斜している。マウント部材39を固定部40に押し付けて位置決めすると、接触面58が接触面45に面接触した状態で、マウント部材39は、固定部40とジョイント37との間に挟まれる。
【0034】
さらに、マウント部材39の外面に突起59が設けられている。作業者がマウント部材39をフロントケース25に位置決めする場合に、中心線A2を中心とする円の円周方向におけるマウント部材39の位置を、作業者が突起59を目視して確認できる。
【0035】
ハンドル38は、合成樹脂で一体成形された本体60と、本体60に設けた環状のフランジ61と、を有する。フランジ61は、本体60の外周面から外側に向けて突出している。本体60に軸孔62が設けられ、軸孔62にボルト63の軸部64が配置されている。軸部64の外周面に雄ねじ65が形成され、軸部64の一部は本体60の外に配置されている。中心線A2はボルト63の中心線と共通であり、ボルト63の雄ねじ65は、ジョイント37の雌ねじ51にねじ込まれている。
【0036】
つまり、ボルト63を締め付けて、ハンドル38がジョイント37に固定されている。なお、固定孔50内に接着剤が充填されており、ボルト63が緩むことを防止してある。さらに、ジョイント37とハンドル38との間に、金属製のワッシャ66が介在されている。ワッシャ66は環状であり、ボルト63の軸部64はワッシャ66に通されている。
【0037】
把持具36は、軸線A1を中心としてフロントケース25が回転することを抑制するトルクを、フロントケース25に与えることができる。把持具36で発生可能なトルクは、軸線A1からハンドル38までのモーメントの腕の長さに応じた値である。把持具36で発生可能なトルクは、モーメントの腕の長さが大きい程、高トルクである。例えば、図2に示すように、軸線A1からフランジ61までの距離L1を、モーメントの腕の長さとして把握することが可能である。
【0038】
マウント部材39は、第1軸部46のうち、雌ねじ49が設けられていない箇所と、第2軸部47の一部とを、径方向に支持している。つまり、マウント部材39は、ジョイント37を中心線A2方向で支持する範囲を、見かけ上、増加している。このため、ジョイント37が、第1軸部46と第2軸部47との境界位置で、径方向に弾性変形することを抑制できる。
【0039】
また、把持具36は、作業者がハンドル38を掴んでハンドル38及びジョイント37を一体回転すると、雄ねじ49を締め付けたり緩めたりすることができる。つまり、把持具36は、フロントケース25に対して着脱可能である。したがって、作業者は片手でハンドル38を回転して、把持具36をフロントケース25に取り付ける作業、及びフロントケース25から取り外す作業を行うことができ、作業機10の取り扱い性、及び操作性が向上する。さらに、フロントケース25とジョイント37とを、ねじ機構で固定するため、部品点数を低減できる。
【0040】
さらに、マウント部材39は、フロントケース25の外周面に部分的に配置されており、フロントケース25の外周面を円周方向に取り囲む必要が無い。したがって、作業機10が、軸線A1を中心とする径方向で大型化することを抑制できる。また、リング状のホルダを用いて把持具を本体に取り付ける従来の作業機の構成に対して、本実施形態の作業機10は、軸線A1の方向で大型化することも抑制できる。
【0041】
さらに、把持具36を取り付けるフロントケース25は、第3遊星歯車機構30を収容するために設けられている要素である。つまり、把持具36を本体11に固定する要素を、専用で設けずに済む。したがって、作業機10の部品点数の低減と、作業機10の軽量化と、作業機10の製造コスト低減と、を実現できる。
【0042】
また、把持具36は、雄ねじ49を緩めてジョイント37をフロントケース25から取り外した状態で、抜け止め56を孔55から抜き出す、マウント部材39とジョイント37とを分解することができる。したがって、中心線A2方向における長さの異なるジョイント37を複数種類用意しておき、チャック13で発生するトルクに応じて、使用するジョイント37の長さを変更することができる。さらに、マウント部材39に傷が付いた場合に、マウント部材39を単独で交換でき、フロントケース25、ジョイント37を交換せずに済む。
【0043】
また、取付け孔41は固定部40を中心線A2方向に貫通しており、取付け孔41の両側に凹部43,44が設けられている。このため、図2における作業機10の正面視で、把持具36を、フロントケース25の右側に取り付けることができる他、図2における作業機10の正面視で、把持具36を、フロントケース25の左側に取り付けることも可能である。なお、把持具36を、フロントケース25の左側に取り付ける場合、第1軸部46を凹部44から取付け孔41へ挿入すればよい。
【0044】
また、把持具36を作業機10の正面視で右側または左側のいずれに取り付ける場合も、取付け孔41は共通である。このため、把持具36を作業機10の正面視で右側に取り付ける場合と、左側に取り付ける場合とで、別々に取り付け孔を設けずに済む。したがって、中心線A2方向における取付け孔41の長さをなるべく短くすることができる。
【0045】
また、取付け孔41は固定部40を中心線A2方向に貫通している。このため、フロントケース25の加工工程において、フロントケース25を一方向からドリルで切削加工すれば取付け孔41を形成できる。したがって、フロントケース25の加工工数を低減できて生産性が向上し、作業機10の原価を低減できる。さらに、取付け孔41は固定部40を中心線A2方向に貫通しているため、フロントケース25を構成する金属材料を低減でき、作業機10をなるべく軽量に、または、なるべく小型にすることができる。
【0046】
さらに、ジョイント37とフロントケース25との固定強度を決定する要因の1つは、中心線A2方向でジョイント37と固定部40との接続長さである。そして、取付け孔41は固定部40を貫通しているため、中心線A2方向でジョイント37と固定部40との接続長さをなるべく大きくできる。例えば、ジョイント37を、取付け孔41の第1開口部から中心線A2方向に移動して取り付けた際に、ジョイント37の先端37Aが、取付け孔41の左右方向の中心と、凹部44との間に位置するように、ジョイント37と固定部40との接続長さを設定することができる。ここで、第1開口部は凹部43であり、第2開口部は凹部44である。また、取付け孔41の左右方向の中心は、直線A3と中心線A2との交点B1である。したがって、ジョイント37とフロントケース25との固定強度を高めることができる。
【0047】
さらに、固定部40に設けた2つの接触面45は、軸線A1から離れることに伴い、中心線A2方向の間隔が狭くなる向きで、直線A3に対して傾斜している。したがって、直線A3方向における固定部40の高さをなるべく低くすることができ、固定部40が物体に接触することを抑制できる。
【0048】
また、固定部40における接触面45の傾斜部分を凹部43,44の内面に形成することを想定した場合、直線A3方向において、フロントケース25の第1筒部32の内周から外周までの肉厚が小さくなる。このため、第1筒部32に負荷がかかると、第1筒部32が破損し易い構成となってしまう。これに対して、本実施形態のフロントケース25は、凹部43,44の外に、接触面45を傾斜させて設けている。つまり、第1筒部32に肉厚が大きい部分を残すことで、第1筒部32に負荷がかかっても、第1筒部が破損し難い構成としている。また、固定部40に接触面45を設けることで、作業中に接触面45が壁等に当たっても傷付け難い構成とすることができる。
【0049】
また、ジョイント37は、マウント部材39を介してフロントケース25に固定されている。このため、マウント部材39は、ジョイント37が中心線A2に対して交差する方向の荷重を受ける役割を果たす。したがって、ジョイント37が、固定部40を支点として揺動することを抑制できる。さらに、ジョイント37を固定部40に固定すると、固定部40の接触面45と、マウント部材39の接触面58とが面接触した状態となる。つまり、固定部40とマウント部材39との接触面積をなるべく広くでき、マウント部材39がジョイント37を支持する機能が向上する。
【0050】
さらに、フロントケース25とジョイント37との間にマウント部材39を介在させて、ジョイント37をフロントケース25に固定する。このため、マウント部材39の形状及び構造を、フロントケース25に形状及び構造に合わせればよい。つまり、ジョイント37は、フロントケース25の形状及び構造に関わりなく、フロントケース25に固定できる。
【0051】
また、作業機10は、図8図10に示すキャップ67を備えていてもよい。キャップ67は、取付け孔41を塞ぐシール要素である。キャップ67は、合成ゴムで一体成形されており、キャップ67は、図9のように、2つの掴み部68と、2つの掴み部68を接続した接続部69と、2つの掴み部68にそれぞれ設けたプラグ70と、接続部69に設けた基部71と、を有する。接続部69は弾性変形可能である。フロントケース25の固定部40に係止溝72が設けられ、基部71は係止溝72に配置されている。基部71は、フロントケース25の固定部40と、ハウジング14との間に挟まれており、キャップ67がフロントケース25に取り付けられている。プラグ70に、図10(B)のように差し込み穴73が設けられている。
【0052】
把持具36がフロントケース25へ取り付けられていない場合、作業者は、掴み部68を指で掴んで接続部69を弾性変形させ、プラグ70を凹部43,44から取付け孔41へ差し込むことができる。キャップ67は、図10(A)のように取付け孔41を塞ぎ、異物が取り付け孔41へ進入することを防止する。言い換えれば、キャップ67は雌ねじ42を保護する。異物は、切粉、粉塵を含む。
【0053】
把持具36をフロントケース25に取り付ける場合は、作業者が掴み部68を指で掴んでプラグ70を図10(B)のように取り付け孔41から抜き出す。次いで、ジョイント37の雄ねじ49を取付け孔41の雌ねじ42にねじ込み、図10(C)のように、把持具36をフロントケース25に固定する。そして、作業者は、掴み部68を指で押さえ、プラグ70の穴73へマウント部材39の突起59を嵌め込む。作業機10の使用中にフロントケース25が振動しても、突起59が穴73へ嵌め込まれているため、掴み部68は接続部69を支点として振動することを防止できる。したがって、作業者は、キャップ67の存在を気にすることなく、作業に集中できる。また、振動によって掴み部68が接続部69から切れてしてしまうことを防止できる。
【0054】
また、基部71が、フロントケース25とハウジング14とにより挟まれて、キャップ67がフロントケース25に固定されている。したがって、プラグ70が取り付け孔41から抜かれている状態で、キャップ67がフロントケース25から脱落することは無く、紛失することもない。
【0055】
なお、ハウジング14は、直線A3に沿って第1構成片と第2構成片とに2分割する構成でもよい。そして、第1構成片及び第2構成片のそれぞれに、係止溝72を設け、基部71を第1構成片及び第2構成片により挟む構成としてもよい。このように、ハウジング14を2分割した構成でも、キャップ67の紛失を防止することができる。
【0056】
さらに、図10(A)のように、プラグ70が取り付け孔41へ差し込まれている状態では、キャップ67は、直線A3方向で固定部40の上端と軸線A1との間に配置されている。つまり、キャップ67は、固定部40の上端から突出していない。このため、キャップ67が、作業場において周囲の物体に接触したり、引っ掛かったり、擦れたりすることを抑制でき、キャップ67のめくれ、脱落を抑止できる。
【0057】
なお、掴み部68は2つ設けられ、各掴み部68にそれぞれプラグ70が設けられているが、図10では、便宜上、1つの掴み部68及びプラグ70のみ示す。さらに、キャップ67を固定する構造は、キャップ67をフロントケース25とハウジング14とで挟む構造の他、キャップ67を接着剤または圧着により固定する構造を含む。
【0058】
次に、作業機10の重心について説明する。図3に作業機10の側面視で、重心W1は、トリガスイッチ77の配置領域内にある。つまり、重心W1は、直線A3方向で、ハウジング14と装着部16との間に位置する。重心W1は、装着部16に電池パック17を取り付けた状態の重心である。さらに、マウント部材39単体の重心の位置は、図11に示されている。マウント部材39単体の重心W2は、軸線A1と、第1支持孔52及び第2支持孔53の中心線A2との間に位置する。言い換えると、中心線A2は、突起59と重心W2との間に位置し、重心W2は中心線A2よりも下方に位置する。
【0059】
このため、マウント部材39を取り付けた把持具36をフロントケース25に取り付ける場合、突起59が中心線A2よりも上に位置する。言い換えると、ジョイント37を、第1支持孔52及び第2支持孔53に挿入して、ジョイント37をマウント部材39に取り付けるだけで、ジョイント37に対するマウント部材39の取り付け状態は、図10(B)のように、自重で自動的に突起59が中心線A2の上方に位置する状態となる。したがって、把持具36をフロントケース25に固定する作業を容易に行うことができる。
【0060】
図12は、把持具36をフロントケース25に固定する例を示す。取付け孔41の内面に雌ねじ42は設けられていない。ジョイント37の第1軸部46を取り付け孔41に挿入した状態で、第1軸部46に設けた雄ねじ49は、取付け孔41の外に配置されている。マウント部材39の他にマウント部材79が設けられている。マウント部材79は、支持孔80を有し、支持孔80に第1軸部46が配置されている。マウント部材79は、合成樹脂で一体成形されている。そして、第1軸部46において、雄ねじ49が形成された箇所は、支持孔80の外に配置されている。
【0061】
そして、雄ねじ49にナット81が取り付けられており、ナット81が締め付けられて、把持具36は、フロントケース25に固定されている。固定部40は、中心線A2方向でマウント部材39とマウント部材79との間に挟まれている。つまり、第2軸部47とナット81は、マウント部材39,79及び固定部40に中心線A2方向の圧縮荷重を加えている。マウント部材79は接触面82を有し、接触面82と接触面45とが接触している。つまり、ナット81が締め付けられた状態で、接触面82は接触面45に押し付けられている。接触面82は、接触面58と同様に傾斜している。
【0062】
図13は、把持具36をフロントケース25に取り付ける例を示す。図13に示すジョイント37は、第1軸部46に雄ねじ49は設けられていない。第1軸部46の外周面に環状の溝83が設けられており、第1軸部46が取付け孔41へ挿入された状態で、第1軸部46のうち、溝83が形成された箇所は、取付け孔41の外に位置する。
【0063】
また、第1軸部46に取り付けられるマウント部材84が設けられている。マウント部材84は、中心線A2に対して交差する平面視でC形状である。つまり、マウント部材84は切り欠き86を有する。さらに、マウント部材84の内周面に突部85が設けられている。突部85は、マウント部材84の内周面から、径方向で内側に向けて突出している。マウント部材84は、取付け孔41の外に配置されている。マウント部材84は、接触面87を有する。接触面87は、接触面58と同様に構成されている。
【0064】
マウント部材84は合成樹脂で一体成形されており、マウント部材84を第1軸部46に押し付けると、切り欠き86が拡大して、マウント部材84が第1軸部46に取り付けられる。マウント部材84を第1軸部46に取り付けると、突部85が溝83に位置する。つまり、突部85と第1軸部46との係合力で、ジョイント37とマウント部材84とが、中心線A2方向に位置決め及び固定される。また、マウント部材84が第1軸部46に取り付けられた状態で、マウント部材84の接触面87は接触面45に押し付けられる。つまり、固定部40は、マウント部材39とマウント部材84との間に挟まれ、把持具36がフロントケース25に固定される。
【0065】
さらに、切り欠き86の広さは、第1軸部46の外径未満である。したがって、マウント部材84を弾性変形させない限り、マウント部材84が第1軸部46から外れることはない。さらに、マウント部材84を第1軸部46に対して径方向に移動させ、マウント部材84を弾性変形することで、マウント部材84を第1軸部46に対して着脱できる。つまり、マウント部材84を第1軸部46に対して1動作で着脱でき、把持具36をフロントケース25に着脱する作業が容易となる。
【0066】
図12及び図13に示す把持具36の取り付け例において、把持具36がフロントケース25に取り付けられていない状態で、図8図11で説明したキャップ67で取付け孔41を塞ぐことも可能である。また、図12及び図13においても、取付け孔41は固定部40を貫通しており、マウント部材39を介して把持具36を取り付ける構成のため、図1図7で説明した効果を得ることができる。
【0067】
図14(A)は、把持具36を装着部16に取り付けた例である。なお、把持具36を装着部16に取り付ける例は、図2に二点鎖線で示されている。図14(B)のように、装着部16に固定部88が設けられている。固定部88にナット89が固定され、ナット89の取付け孔90の内面に雌ねじ91が設けられている。固定部88は、取付け孔90の両側に配置した開口部92,93を有する。把持具36は、図15(A),(B)に示すマウント部材94を介して、固定部88に取り付けられる。マウント部材94は、図5及び図6に示すマウント部材39と同様に構成されている。図15に示すマウント部材94は、接触面58を備えていない。
【0068】
図14の把持具36を装着部16に取り付ける場合、図15(A)のようにナット89と把持具36とを同心状に位置させ、第1軸部46を開口部92を介して取付け孔90に挿入し、ハンドル38を回転させる。すると、第1軸部46の雄ねじ49がナット89の雌ねじ91にねじ込まれる。そして、図15(B)のように、マウント部材94が第2軸部47と固定部88との間に挟み付けられると、ジョイント37の締め付けが完了し、把持具36が装着部16に固定される。
【0069】
把持具36が装着部16に固定された場合、ジョイント37の中心線A4は、中心線A2と平行である。図2において、中心線A4と直線A3とは交点B2で交わる。また、把持具36が装着部16に固定された場合、軸線A1からフランジ61までの距離L1は、把持具36がフロントケース25に固定された場合、軸線A1からフランジ61までの距離L1と同じである。また、軸線A1から交点B2までの距離は、軸線A1から交点B1までの距離よりも長い。つまり、本体11が軸線A1の周りで振動する場合、交点B2で発生する振動量は、交点B1で発生する振動量よりも大きい。したがって、把持具36を装着部16に取り付けることで、本体11の振動を有効に抑制できる。本体11の振動は、本体11の回動として把握でき、本体11の振動力は、本体11の回動量として把握できる。
【0070】
また、把持具36を装着部16に取り付けた場合に、直線A3からハンドル38の先端までの距離L2は、把持具36をフロントケース25に取り付けた場合に、直線A3からハンドル38の先端までの距離L3よりも短い。したがって、把持具36を装着部16に取り付けると、ハンドル38が物体に接触することを回避できる。
【0071】
なお、図15は、第1軸部46を開口部92へ挿入して、把持具36を装着部16に固定する例を示している。これに対して、図14の作業機10は、図15に示す第1軸部46を開口部93へ挿入して、把持具36を装着部16に固定することも可能である。さらに、なお、作業機10は、装着部16に取付け孔91が設けられ、かつ、フロントケース25に取付け孔41が設けられていてもよい。把持具36は、フロントケース25または装着部16のいずれか一方に取り付ける。つまり、把持具36が、装着部16及びフロントケース25の両方に取り付けられることは無い。なお、図12または図13に示すフロントケース25に把持具36が取り付けられていない状態で、取付け孔41をキャップ67で塞ぐことも可能である。さらに、図15の固定部88に把持具36が取り付けられていない状態で、取付け孔91をシール部材で塞ぐことも可能である。
【0072】
各実施形態で説明した構成と、本発明の構成との対応関係は、以下の通りである。電動モータ12が、本発明のモータに相当し、作業機10が、本発明の作業機に相当し、変速装置27が、本発明の伝達機構に相当し、フロントケース25が、本発明のケースに相当する。把持具36が、本発明の把持具に相当し、取付け孔41が、本発明の取付け孔に相当し、凹部43,44、開口部92,93が、本発明の第1開口部及び第2開口部に相当し、ジョイント37が、本発明の軸部に相当し、接触面45が、本発明の取付け面に相当する。
【0073】
また、ジョイント37の先端37Aが、本発明における「軸部の先端」に相当し、交点B1が、本発明における「中心線方向の中心」に相当し、接触面45が、本発明の接触面に相当し、マウント部材39,79が、本発明の中間部材に相当する。第1支持孔52及び第2支持孔53が、本発明の支持孔に相当し、雄ねじ49及び雌ねじ42が、本発明のねじ機構に相当し、抜け止め56が、本発明の抜け止めに相当する。
【0074】
グリップ15が、本発明のグリップに相当し、直線A3方向が、本発明の「軸線に対して交差する方向」に相当し、電池パック17が、本発明の電力供給機構に相当する。キャップ67が、本発明のシール部材に相当し、ハウジング14が、本発明のハウジングに相当し、基部71が、本発明の基部に相当し、接続部69が、本発明の接続部に相当し、プラグ70が、本発明のプラグに相当し、突起59が、本発明の支持部に相当し、重心W2が、本発明における「中間部材の重心」に相当する。
【0075】
本発明の作業機は、上記実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能である。例えば、本発明の作業機は、作業工具を回転させてねじ部材またはボルトを締め付けたり緩めたりするドライバ、作業工具で相手部材を切削加工、または穴あけ加工するドリルを含む。また、実施形態で説明した作業機は、作業工具に回転力を与える第1構造の作業機である。本発明の作業機は、第2構造の作業機、第3構造の作業機を含む。第1構造の作業機は、作業工具に回転力及び回転方向の打撃力を与えることができる。第3構造の作業機は、作業工具に回転力及び軸線方向の打撃力を与えることができる。
【0076】
本発明の伝達機構は、モータの回転力を作業工具に伝達する機構であり、伝達機構は、歯車伝達機構、巻き掛け伝達機構、摩擦伝動機構を含む。本発明のモータは、電動モータ、油圧モータ、空気圧モータ、エンジンを含む。電動モータに電力を供給する電源は、直流電源及び交流電源を含む。グリップに着脱される電力供給機構は、直流電源としての電池パックと、交流電源に接続されるアダプタと、を含む。本発明の作業機は、グリップに取り付けられた電力ケーブルが、作業機とは別体で設けられた直流電源、または交流電源に接続される構造を含む。つまり、本発明の電力供給機構は、電源自体と、電源の電力を電動モータに供給する経路と、を含む。
【0077】
作業機の実施形態において、ジョイントとハンドルとの接続構造は、ジョイントに設けた雄ねじを、ハンドルに設けた雌ねじにねじ込む構造を含む。また、実施形態で説明した作業機10は、図2に示すように、直線A3と中心線A2との間に形成される小さい方の角度が90度の例である。本発明の作業機は、直線A3と中心線A2との間に形成される小さい方の角度が、90度とは異なる構造を含む。例えば、図2のような作業機の正面視で、直線A3と中心線A2とが重なる構造も含む。この構造の作業機は、グリップに取り付けられた電力ケーブルを交流電源に接続する構造とする。
【0078】
さらに、本発明の作業機は、図2のような作業機の正面視で、直線A3と中心線A2との間に形成される角度が180度となる構造も含む。本発明において、作業工具の回転中心である軸線に対して交差する平面視は、軸線に対して垂直な平面視と、軸線に対して垂直でない平面視と、を含む。さらに、本発明の作業機は、中間部材を用いずに、把持具をケースに取り付ける構造を含む。また、実施の形態で説明した把持具と中間部材とを一体化した把持具を設けてもよい。
【符号の説明】
【0079】
25…フロントケース、36…把持具、41…取付け孔、A1…軸線
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15