【実施例1】
【0025】
はじめに、
図1乃至
図5を参照しながら本発明の実施例1に係る混合用容器及びそれを用いてなるスプレー容器について説明する。
図1は本発明の実施例1に係る混合用容器およびそれを備えたスプレー容器の側面図である。また、
図2(a)は本発明の実施例1に係る混合用容器を分解した状態を示す側面図であり、(b)は同混合用容器内に取設される支持部の斜視図である。さらに、
図3(a)は本発明の実施例1に係る混合用容器の第1のパーツの一部を切り欠いて示す側面図であり、(b)は同第1のパーツが支持部を備えている場合の一部を切り欠いて示す側面図である。
図1,2に示すように、本発明の実施例1に係る混合用容器2Aは主に、上部に開口5cを備えかつ被混合対象物(図示せず)を収容する容器体5と、この容器体5の周側面上に設けられている収容部7と、容器体5の内側において収容部7が形成されている位置に着脱可能に取設される支持部9(
図2(b)を参照)と、容器体5内において収容部7が形成される領域に支持部9を着脱可能に保持するための保持構造8(
図2(a),(b)を参照)と、を備えてなるものである。
なお、この保持構造8は、例えば、
図2(a)に示されるような容器体5の内側面において支持部9が配設される領域に突設される突起5dと、この突起5dの外形の一部と符合する形状を有して支持部9に形成されている切欠き9b(
図2(b)を参照)とを備えていてもよい。
【0026】
さらに、上述の実施例1に係る混合用容器2Aにおける収容部7は、
図1,
図2(a)及び
図3(a)に示されるように、可撓材からなり、かつ容器体5の内側面から外側に向かって突出するとともに、この突出部の内側に容器体5の内側からPTP包装物(後段における
図4中のPTP包装物12を参照)の格納部12a(格納容器13)を個別に嵌設可能な中空部7bを備えてなるものである。
また、
図1,
図2(a)及び
図3(a)では、容器体5の周側面上に複数の収容部7を備えている場合を例に挙げて説明しているが、実施例1に係る混合用容器2Aは容器体5の周側面上に少なくとも1つの収容部7を備えていればよい。
【0027】
加えて、実施例1に係る混合用容器2Aにおける支持部9は、容器体5の内側面と協働してPTP包装物(後段における
図4中のPTP包装物12を参照)の縁部を挟持する板体9aと、この板体9aに穿設され、かつ支持部9が容器体5内に取設された際に収容部7の入口7aと連通し、かつ後段において説明するPTP包装物内の収容物を容器体5内に導出させる導出孔10と、を備えてなるものである。
なお、実施例1に係る混合用容器2Aでは、容器体5の周側面上に収容部7群が環状をなすように配されている。このため、実施例1に係る混合用容器2Aでは、環状を成す収容部7群に対応させるために板体9aを環状にした支持部9を用いている。
他方、図示しないが実施例1に係る混合用容器2Aが例えば、容器体5の周方向の一部分にのみ収容部7群を備えている場合、収容部7が形成されている領域にのみ支持部9が配されていればよい。この場合は、実施例1に係る板体9aの外形を環状にする必要はないものの、容器体5の内側面上に板体9aを常時保持しておくための別の構成が必要になる。
【0028】
さらに、実施例1に係る混合用容器2Aは、容器体5内において収容部7が形成される位置に支持部9を保持しておくための保持構造8として、例えば上述のような容器体5における突起5d(
図2(a)を参照)、及び、支持部9における切欠き9b(
図2(b)を参照)からなる嵌合構造を備えている。
そして、実施例1に係る混合用容器2Aでは、容器体5の突起5dに、支持部9の板体9aに形成されている切欠き9bを嵌合させながら容器体5内に支持部9を取設することで、
図3(b)に示すように、収容部7の入口7aと、支持部9の導出孔10とを連通させることができる。
【0029】
また、本発明の実施例1に係る容器体5、収容部7及び支持部9のそれぞれの材質としては、成形性の点から特に合成樹脂が適している。また、容器体5、収容部7及び支持部9の材質は、容器体5内に収容する被混合対象物や、後段において説明するPTP包装物内の収容物の物理的・化学的性質を考慮して適宜選定するとよい。
また、特に容器体5と収容部7はそれぞれ異なる材質により構成する必要があるため、例えば異種材一体成形品としてもよいし、それぞれを別々に成形した後に接着等により一体化してもよい。
【0030】
ここで、
図4を参照しながら本発明の実施例1に係る混合用容器2Aにおいて使用するPTP包装物(Press−Though−Pack包装物)について説明する。
図4(a)は本発明の実施例1に係る混合用容器に用いられるPTP包装物の斜視図であり、(b)は同PTP包装物の他の態様を示す斜視図である。また、
図4(c)は本発明の実施例1に係る混合用容器に用いられるPTP包装物の断面図であり、(d)は同PTP包装物の他の態様を示す断面図である。さらに、
図4(e)は本発明の実施例1に係る混合用容器に用いられるPTP包装物の使用状態を示す斜視図である。なお、
図1乃至
図3に記載されたものと同一部分については同一符号を付し、その構成についての説明は省略する。
図4(a),(c),(d)に示すようにPTP包装物12は、合成樹脂製のシート体を成型してなる中空状の格納容器13内に粉粒体状又は液状の収容物15aや、固形状の収容物15bを格納した後、その開口をフィルム14で被覆して収容物15a,15bを格納容器13内に密封してなるものである。
また、本実施の形態に係る混合用容器2Aは、容器体5内において混合対象物(収容物15a又は収容物15b)と被混合対象物とを混合するための容器であるため、被混合対象物に混合対象物(収容物15a又は収容物15b)が溶けない場合や、あるいは互いに混ざり合わないような混合対象物と被混合対象物との組み合わせには用いられない。
【0031】
このようなPTP包装物12では、個々の格納部12aを構成する格納容器13を外側から押し潰すと、格納容器13内の圧力が上昇してフィルム14が破れて、格納容器13内に収容されている収容物15a又は収容物15bが格納容器13の外に導出される。
さらに、このようなPTP包装物12は、
図4(b)に示すように、個々の格納部12aを個片化できるように、格納部12a同士の間に分割線12cを備えていてもよい。このようなPTP包装物12の個片体12dの使用方法については後段の実施例2において説明する。
そして、本発明の実施例1に係る混合用容器2Aでは、
図4(a)に示されるような帯状のPTP包装物12を、その長手方向端部同士をつなげるようにして環状にした状態で使用する(
図4(e)を参照)。
また、実施例1に係る混合用容器2Aでは、容器体5の胴部に形成されている個々の収容部7の中空部7b内に、
図4(a),(e)示すようなPTP包装物12の個々の格納部12aを収容して用いる。
【0032】
続いて、本発明の実施例1に係る混合用容器2Aにおいて、
図4に示すようなPTP包装物12から収容物15aや収容物15bを開封して容器体5内に導出させる手順について
図2乃至
図5を参照しながら詳細に説明する。
図5(a)は本発明の実施例1に係る混合用容器にPTP包装物及び支持部を配設した状態を示す部分断面図であり、(b)は本発明の実施例1に係る混合用容器においてPTP包装物から収容物が容器体内に導出される様子を示す部分断面図である。なお、
図1乃至
図4に記載されたものと同一部分については同一符号を付し、その構成についての説明は省略する。
はじめに、PTP包装物12を実施例1に係る混合用容器2Aに取り付ける手順について説明する。
まず、先の
図3に示す容器体5に設けられる収容部7の中空部7bのそれぞれに、先の
図4(a)に示すPTP包装物12における格納部12aを一つずつ嵌設する(図示せず)。なお、容器体5のそれぞれの中空部7bに対してPTP包装物12の格納部12aを嵌設した状態のPTP包装物12の外形形状は、
図4(e)に示すような環状となる。
なお、容器体5の収容部7の全てにPTP包装物12の格納部12aを嵌設する必要性は必ずしもなく、収容部7群の一部にのみPTP包装物12の格納部12aを嵌設してもよい。この場合は、収容部7群に嵌設した状態のPTP包装物12の外形形状は
図4(e)に示すような環状にはならない。
【0033】
この後、容器体5内において、収容部7に嵌め込まれたPTP包装物12のフィルム14側に、先の
図2(b)に示す支持部9を取り付ける。この時、容器体5内における突起5dと、支持部9に形成される切欠き9bとを嵌合させることで(先の
図3(b)を参照)、収容部7の入口7aと、支持部9に形成される導出孔10とが連通した状態となる。なお、容器体5へのPTP包装物12と支持部9との取付け作業を完了した状態を示したものが
図5(a)である。
図5(a)に示すように、容器体5の収容部7にPTP包装物12が取付けられ、さらに支持部9が取設された状態では、PTP包装物12における縁部12b(先の
図4(a)を参照)が容器体5の内側面と支持部9の板体9aによりしっかりと挟持されている。さらに、この場合、PTP包装物12の格納部12aが押し潰された際に破れる予定のフィルム14は、支持部9の導出孔10内に配設されている。
【0034】
そして、
図5(a)に示すように、容器体5の外側から収容部7を押し潰すような外力Pを加えると、
図5(b)に示すように収容部7内においてPTP包装物12の格納容器13が押し潰される。そして、その際の格納容器13内の圧力の上昇に伴いフィルム14が破れて、支持部9の導出孔10からPTP包装物12内の収容物15aが容器体5内に導出される。
この結果、容器体5内に収容されている被混合対象物(図示せず)とPTP包装物12内の収容物15a(又は収容物15b)とを混合することができる。
この場合、PTP包装物12の個々の格納部12a内に格納されている収容物15a(又は収容物15b)の容積又は重量は一様であるため、容器体5内に収容されている被混合対象物の容積又は重量を所望に調整することで、被混合対象物に対する収容物15a(又は収容物15b)の濃度又は含有率が所望である混合体を容易に調整することができる。
あるいは、容器体5内に収容されている被混合対象物(図示せず)の容積又は重量が一定である場合は、容器体5内において開封する格納容器13の数を変えることによっても被混合対象物に対する収容物15a(又は収容物15b)の濃度又は含有率を所望に調整することができる。
【0035】
上述のような本発明の実施例1に係る混合用容器1Aによれば、混合対象物(収容物15a又は収容物15b)と被混合対象物とを混合して所望の濃度又は含有率を有する混合体を調整する際に、収容部7を押し潰す回数を変えるだけで混合対象物(収容物15a又は収容物15b)の濃度又は含有率を変えることができる。このため、その都度異なる濃度又は含有率を有する混合体を調整する必要がある場合に、収容物15a又は収容物15bを計量する作業を行う必要がないので特に便利である。
また、本発明の実施例1に係る混合用容器1Aによれば、PTP包装物12内の収容物15a又は収容物15bが直接容器体5内に供給されるため、収容物15a(又は収容物15b)を容器体5の外で計量して容器体5内に移す場合のように、意図せず収容物15a又は収容物15bをこぼしてしまう心配がない。
このため、実施例1に係る混合用容器1Aによれば、混合対象物(収容物15a又は収容物15b)と被混合対象物とからなる混合体の調整作業を迅速かつ正確に、しかも失敗なく行うことができる。
したがって、上述のような実施例1に係る混合用容器1Aは、例えば希釈率の異なる複数種類の洗剤用液をそれぞれ異なる目的で用いる場合に、混合用容器1Aの使用のみで容易に様々な濃度の洗剤用液の調整を行うことができる。
よって、実施例1に係る混合用容器1Aによれば、上述のような洗剤等の利便性を向上させることができる。
【0036】
なお、実施例1に係る混合用容器2Aの支持部9は、先の
図2(b)に示すように、環状をなす板体9aの中空部内に補強材11を備えていてもよい(選択的構成要素)。
実施例1に係る支持部9が補強材11を備えている場合は、容器体5の外側から収容部7を押し潰した際に、板体9aが変形する、あるいは、容器体5の内側面から板体9aが外れてしまうのを好適に防止することができる。
なお、
図2(b)では、短円筒状(環状)をなす板体9aの中空部内に十字状の補強材11を備える場合を例に挙げて説明しているが、補強材11は一文字状や放射状をなしていてもよい。
また、このような補強材11は、容器体5の内側面に支持部9を着脱させる際に、持ち手としても使用することもできる。したがって、実施例1に係る支持部9が補強材11を備えている場合は、補強材11を備えていない場合に比べて支持部9の取扱いを容易にすることができる。
なお、容器体5の外側から収容部7を押し潰した際に、板体9aが変形しない程度の十分な剛性を有している場合は、補強材11を備えていなくともよい。
【0037】
また、本発明の実施例1に係る混合用容器2Aは、先の
図1に示すように、容器体5の開口5cに、必要に応じて蓋4aを介してスプレーノズル3aを備えてもよい(選択的構成要素)。
この場合、実施例1に係る混合用容器2Aをスプレー容器1Aとしても使用することができる。つまり、実施例1に係る混合用容器2Aがスプレーノズル3aを備える場合は、混合用容器2A内において調整された収容物15a又は収容物15bと被混合対象物とからなる混合体をそのままスプレーして使用することができる。
このような実施例1に係るスプレー容器1Aによれば、混合対象物(収容物15a又は収容物15b)と被混合対象物とからなる混合体の取扱いを容易にでき、しかもその利便性を向上させることができる。
【0038】
さらに、本発明の実施例1に係る混合用容器2Aの容器体5は、先の
図1,2に示すように、複数の収容部7を備えている第1のパーツ5aと、この第1のパーツ5a以外の第2のパーツ5b
1,5b
2と、これらが着脱可能に螺着されてなる連結部6a,6bとを備えていてもよい(いずれも選択的構成要素)。
なお、
図1,2では、容器体5が水平方向に3分割されている場合を例に挙げて説明しているが、第1のパーツ5aと第2のパーツ5b
2とを一体化して連結部6bを備えない構造としてもよい。
そして、上述のような実施例1に係る混合用容器2Aの容器体5では、容器体5を複数のパーツにより構成することで、帯状に配されている収容部7群の近くに、開口5cとは別の開口19を形成することができる。この場合、容器体5の開口19から個々の収容部7に対してPTP包装物12の着脱、並びに、収容部7への支持部9の着脱作業を行うことができる。
よって、実施例1に係る混合用容器2Aの容器体5が複数のパーツにより構成される場合は、開口5cの直径が容器体5の胴部の直径よりも大幅に小さくとも、収容部7へのPTP包装物12の着脱作業を容易かつスムーズに行うことができる。
【0039】
この場合はさらに、先の
図1に示すように容器体5の開口5cに直接、又は、例えば蓋4a等を介して間接的に、スプレーノズル3aを取設することが容易になる。この場合、実施例1に係る混合用容器2Aをスプレー容器1Aとしても使用できるので、実施例1に係る混合用容器2Aの汎用性及び利便性を向上させることができる。
また、
図1,2に示すように実施例1に係る混合用容器2Aやそれを用いてなるスプレー容器1Aのように、容器体5が複数のパーツからなる場合は、容器体5を構成する個々のパーツ(第1のパーツ5aや、第2のパーツ5b
1,5b
2)の内側の洗浄作業を容易かつ確実にできるという効果も有する。
この場合、容器体5の衛生状態を良好に維持することができるので、容器体5内において調整される混合体の衛生状態も良好にできる。
したがって、実施例1に係る容器体5が複数のパーツに分割可能である場合は、衛生管理が容易な混合用容器を兼ねたスプレー容器を提供することができる。
【0040】
なお、
図1乃至
図5では、容器体5の胴部の周方向に収容部7群を一列だけ設ける場合を例に挙げて説明しているが、容器体5の胴部の周方向に収容部7群を複数列設けてもよい(図示せず、選択的構成要素)。なお、この場合は、収容部7の列数に応じて支持部9に形成される導出孔10群の列数も変更する必要がある。
また、容器体5の胴部の周方向に複数列の収容部7を設ける場合は、
図4(a)に示されるような格納部12a群を1列だけ備えた帯状のPTP包装物12を複数列並べて用いてもよいし、格納部12a群を複数列備えた帯状のPTP包装物(図示せず)を別途準備して用いてもよい。
上述のような実施例1に係る混合用容器2Aによれば、容器体5内におけるPTP包装物12の交換頻度を減らすことができるというメリットを有する。
この場合、実施例1に係る混合用容器2A及びスプレー容器1Aの利便性を一層向上させることができる。
【実施例2】
【0041】
続いて、本発明の実施例2に係る混合用容器及びそれを用いてなるスプレー容器について
図6乃至
図9を参照しながら説明する。
図6は本発明の実施例2に係る混合用容器およびそれを備えたスプレー容器において容器体の一部を切り欠いて示す側面図である。また、
図7(a)は本発明の実施例2に係る混合用容器において収容部を備えた容器体と支持部とを分離した状態を示す部分斜視図であり、(b)は本発明の実施例2に係る混合用容器において収容部を備えた容器体に支持部を取設した状態を示す部分斜視図である。なお、
図1乃至
図5に記載されたものと同一部分については同一符号を付し、その構成についての説明は省略する。また、
図6では収容部にPTP包装物の個片体を備えている状態の断面図を示しているのに対して、
図7では収容部にPTP包装物を備えていない状態を示している。
先の実際例1に係る混合用容器2Aは、容器体5の胴部に帯状に複数の収容部7を備えていることから、比較的容量の大きい容器体5に適した構造であるといえる。これに対して、実施例2に係る混合用容器は、比較的容量の少ない容器体に適した構造であり、混合用容器2A自体を携行するのに適している。
【0042】
このような本発明の実施例2に係る混合用容器2Bは、
図6,7に示すように、上部に開口16aを備えかつ被混合対象物(図示せず)を収容する容器体16(実施例1に係る容器体5に相当)と、この容器体16の周側面上に一体に設けられている収容部7と、容器体16の内側において収容部7が形成されている位置に着脱可能に取設されている板体17gからなる支持部17(実施例1に係る容器体9に相当)と、を備えてなるものである。
なお、
図6,7では、容器体16の周側面上に単数の収容部7を備えている場合を例に挙げて説明しているが、後段の
図9に示すように容器体16に設ける収容部7の数は1以上の少数でもよい。
【0043】
実施例2に係る混合用容器2Bはさらに、容器体16の開口16aに取設され、かつその鉛直下方側端部18における外側面上に第1のネジ山18aを備えた蓋4bを備えている。
そして、
図6及び
図7(a)に示すように、実施例2に係る混合用容器2Bにおける容器体16はさらに、この容器体16の開口16aに形成され、かつ支持部17の鉛直上方側と嵌合する嵌合用凹部16bと、容器体16の内側面に設けられかつ支持部17の下端17cを収容保持する嵌合用受け部16dと、開口16aに隣接する容器体16の内側面に形成されている第2のネジ山16eと、を備えている。
また、
図6及び
図7(a)に示すように、実施例2に係る混合用容器2Bにおける支持部17は上述の構成に加えて、容器体16の嵌合用凹部16bに支持部17のつまみ部17a側を嵌合した際に、容器体16の開口16aに形成されている第2のネジ山16eと周方向に連続して一体のネジ山として機能する第3のネジ山17dと、支持部17の下端17c側において容器体16の嵌合用受け部16dに収容される部分に隣接して設けられ支持部17を容器体16の中心側に向かって傾動させる可撓部17fと、を備えている。
【0044】
そして、上述のような実施例2に係る混合用容器2Bでは、
図7(b)に示すように、支持部17の下端17cを容器体16の嵌合用受け部16dに嵌め込んで固定するとともに、支持部17のつまみ部17a側を容器体16の嵌合用凹部16bに嵌設し(同
図7(b)を参照)、さらに、この状態で容器体16の開口16aに蓋4bの下方側端部18(
図6を参照)を螺着することで、
図6に示すように、容器体16の内側面上の所望の位置に支持部17を保持することができる。
したがって、実施例2に係る混合用容器2Bにおいて、容器体16内の収容部7が形成される位置に支持部17を着脱可能に保持するための保持構造8は、支持部17の下端17cと容器体16の嵌合用受け部16dとからなる嵌合構造と、支持部17のつまみ部17a側と容器体16の嵌合用凹部16bとからなる嵌合構造と、第2のネジ山16e及び第3のネジ山17dからなる一連のネジ山と、蓋4b形成されている第1のネジ山18aとからなる連結部20(第2の連結部、
図6を参照)とにより構成されている。
また、
図6及び
図7(b)に示すように、実施例2に係る混合用容器2Bにおいて容器体16の内側面上に支持部17を保持した場合、先の実施例1に係る混合用容器2Aの場合と同様に、容器体16に設けられる収容部7の入口7aと、支持部17に形成されている導出孔10とが連通する。
【0045】
ここで
図8を参照しながら実施例2に係る混合用容器2BへのPTP包装物12の取付け手順について詳細に説明する。
図8(a)〜(c)はいずれも本発明の実施例2に係る混合用容器の収容部にPTP包装物を取り付ける際の手順を説明するための部分断面図である。なお、
図1乃至
図7に記載されたものと同一部分については同一符号を付し、その構成についての説明は省略する。
先の
図6,7に示すように、実施例2に係る混合用容器2Bにおいて、容器体16の胴部に設けられる収容部7が単数である場合は、先の
図4(b)に示されるPTP包装物12を個片化してなる個片体12dを用いればよい。なお、先の
図4(b)に示す個片体12dは、
図4(a)に示すPTP包装物12を個片状に切り分けたもので代用することもできる。
【0046】
そして、実施例2に係る混合用容器2Bに、先の
図4(b)に示されるPTP包装物12の個片体12dを取り付けるには、まず、PTP包装物12の個片体12dを準備するとともに、
図8(a)に示すように実施例2に係る混合用容器2Bから蓋4b(及びこの蓋4bに一体に設けられている下方側端部18)を取り外す。
次いで、支持部17の下端17cを容器体16の嵌合用受け部16dに嵌め込んだ状態のまま、支持部17のつまみ部17a側を容器体16の中心側(
図8(b)中の符号Aで示す方向)に傾動させる。この時、支持部17は、その下端17cに隣接する部位に可撓部17fを備えていることで、この可撓部17fがヒンジとして機能して支持部17が傾動する(
図8(b)を参照)。
このとき、
図8(b)に示すように収容部7の入口7aが開放された状態になるので、この入口7aにPTP包装物12の個片体12dを嵌設した後、容器体16の中心側に傾動させていた支持部17を元の位置に戻す。つまり、支持部17のつまみ部17a側を
図7(b)中の符号Bで示す方向に逆動させる。
【0047】
そしてこの一連の動作により、
図7(c)に示すように、容器体16の断面における収容部7と支持部17との間に、PTP包装物12の個片体12dが介設されるとともに、収容部7の入口7aと支持部17における導出孔10とが連通した状態になる。このとき、PTP包装物12のフィルム14が支持部17の導出孔10から裸出した状態になる。
この後、容器体16の開口16aに蓋4bの連結部18を螺着することで、
図8(c)に示すように、PTP包装物12の個片体12dが支持部17によりしっかりと固定されて、格納容器13内の収容物15a(又は収容物15b)の導出が可能になる。
【0048】
なお、上述のような実施例2に係る混合用容器2Bにおいて、PTP包装物12内の収容物15a(又は収容物15b)を容器体16内に導出させる手順は、先に
図5を参照しながら説明した実施例1に係る混合用容器2Aの場合同じであるため、ここではその詳細な説明を省略する。
【0049】
また、実施例2に係る混合用容器2Bでは、支持部17は可撓部17fを基線にしてつまみ部17a側を容器体16の中心側に傾動させることができる。このような支持部17は、支持部17全体を可撓材により構成してもよいし、支持部17の可撓部17fのみを可撓材により構成し、それ以外の部分を十分な形状保持性を有する材質により構成してもよい。
そして、特に前者の場合は、収容部7を押し潰してPTP包装物12内の収容物15a(又は収容物15b)を導出させる際に、支持部17自体が変形することがないよう十分な形状保持性を有しつつ、可撓部17fでは適度な可撓性が発揮されるよう構成する必要がある。
また、特に後者の場合は、支持部17において可撓部17fの厚みのみをそれ以外の部位よりも薄くすることで可撓部17fにおいて可撓性が発揮されるよう構成してもよい。
加えて、
図7に示すように実施例2に係る混合用容器2Bにおける支持部17は、その水平方向断面が湾曲状をなしているため(
図7を参照)、特に後者の場合は、支持部17における可撓部17fの鉛直方向の幅を大きく設定しておくことが望ましい。この場合、支持部17の水平方向断面が湾曲していても支障なく支持部17を傾動させることができる。
あるいは、支持部17が取設される領域の容器体16(容器体16において支持部17と重なりを形成する部分)を部分的に平坦状にするとともに、その部分に配設される支持部17も平坦状にしてもよい(図示せず)。ただし、この場合は、容器体16の開口16aと重なる部分については開口16aの形状に沿った形状にしておく必要がある。この場合は、支持部17における可撓部17fの鉛直方向における幅に関わらず、支持部17をスムーズに傾動させることができる。
【0050】
また、実施例2に係る混合用容器2Bの容器体16の内側面は、先の
図6乃至
図8に示すように、支持部17と接触する領域に少なくとも1本の嵌合用溝部16cを備えるとともに、支持部17はこの嵌合用溝部16cと嵌合する嵌合用突条17bを備えていてもよい(いずれも選択的構成要素)。
この場合、容器体16の嵌合用凹部16bと支持部17のつまみ部17aとからなる嵌合構造に加えて、嵌合用溝部16cと嵌合用突条17bとからなる嵌合構造を備えることになるので、容器体16の内側面上の所望位置に一層正確に支持部17を配設することができる。
また、特に支持部17全体が可撓材からなる場合は、嵌合用溝部16cと嵌合用突条17bとからなる嵌合構造をパッキンとしても機能させることができる。この場合、容器体16内に液体が収容される場合に、容器体16の開口16aに蓋4bを螺着した際に、容器体16と支持部17との接触部分から被混合対象物が漏出するのを好適に防止することができる。
この場合、被混合対象物と、PTP包装物12内の収容物15a又は収容物15bとからなる混合体を容器体16に収容したまま携行する際に、混合体を水密に収容しておくことができるので便利である。
【0051】
さらに、実施例2に係る混合用容器2Bは、先の
図6に示すように、蓋4bにスプレーノズル3bを備えていてもよい(選択的構成要素)。
この場合、実施例2に係る混合用容器2Bをスプレー容器1Bとしても使用することができるので、混合用容器2Bの利便性及び汎用性を一層向上させることができる。
【0052】
次に、
図9を参照しながら本発明の実施例2に係る混合用容器2A及びそれを用いてなるスプレー容器1Bの変形例について説明する。
図9は本発明の実施例2の変形例に係る混合用容器およびそれを備えたスプレー容器において容器体の一部を切り欠いて示す側面図である。なお、
図1乃至
図8に記載されたものと同一部分については同一符号を付し、その構成についての説明は省略する。
先の
図6乃至
図8では、容器体16の胴部に収容部7を単数備える場合を例に挙げて説明しているが、
図9に示すように、容器体16の胴部に設けられる収容部7の数を1よりも大きい少数としてもよい。また、実施例2の変形例に係る混合用容器2A´及びスプレー容器1B´では、
図4(b)に示すようなPTP包装物12の個片体12dに代えて、
図4(a)に示すような帯状のPTP包装物12を使用することもできる。
【0053】
また、先の実施例1に係る混合用容器2A及びスプレー容器1Aでは、容器体5の胴部の周方向に複数の収容部7が配設されているのに対して、
図9に示す実施例2の変形例に係る混合用容器2A´及びスプレー容器1B´では、容器体16の中心軸と平行にPTP包装物12が配設されている。
そして、
図9に示すような実施例2の変形例に係る混合用容器2A´及びスプレー容器1B´によれば、
図6乃至
図8に示す実施例2に係る混合用容器2A及びスプレー容器1Bに比べて、収容部7へのPTP包装物12の交換頻度を少なくすることができるだけでなく、混合対象物(収容物15a又は収容物15b)の濃度又は含有率が高い混合体を一度により多い量で準備することができるというメリットを有している。
【0054】
最後に、本発明の実施例1,2に係る混合用容器2A〜2B´による効果について説明する。
上述のような実施例1,2に係る混合用容器2A〜2B´によれば、PTP包装物12を使用することで、混合対象物(例えば、収容物15a又は収容物15b)と被混合対象物とを混合して所望の濃度を有する混合体を調整する際に、混合対象物の計量作業を省略することができる。よって、濃度が様々に異なる複数種類の混合体の調整作業を大幅に簡便化することができる。
また、上述のような実施例1,2に係る混合用容器2A〜2B´によれば、PTP包装物12を使用しない場合のように、容器体5又は容器体16の外で混合対象物(収容物15a)や被混合対象物(図示せず)を計量して容器体5又は容器体16に移す作業を行う必要がない。このため、混合対象物(収容物15a)と被混合対象物の混合作業中にこれらをこぼす、あるいは計量ミスが生じるなどして、混合体における混合対象物(収容物15a)の濃度又は含有率が所望の値にならないという事態を好適に回避することができる。
よって、実施例1,2に係る混合用容器2A〜2B´によれば、使用者側が特に注意を払わなくとも容易に正確な濃度又は含有率を有する混合体を簡単に調整することができ、これにより調整済の混合体の利便性を向上させることができる。
【0055】
なお、本実施例に係る混合用容器2A,2B´では、容器体5又は容器体16内に収容される被混合対象物の容積が一定である場合に、収容部7を押し潰して開封する格納部12aの数を変えるだけで、混合体における収容物15a又は収容物15bの濃度又は含有率を所望に変更することができる。
これに対して、混合用容器2Bでは、容器体16に取設されるPTP包装物12の格納部12aが単数であるため、混合体における収容物15a又は収容物15bの濃度又は含有率の濃度の調整は、専ら容器体16内に収容される被混合対象物の容積又は重量の変更により行われる。
しかしながら、実施例2に係る混合用容器2Bは、先の実施例1に係る混合用容器2Aに比べて容器体16の容積を小さく設定することができるので、携行性に優れた混合用容器を提供できるという別の効果を奏する。
【0056】
さらに、本発明の実施例1,2に係る混合用容器2A〜2B´では、容器体5又は容器体16を被混合対象物の最上位位置を外部から目視により確認できる程度の透光材により構成するとともに、被混合対象物の収容量の目安となる目盛線を容器体5又は容器体16に備えていてもよい(いずれも選択的構成要素)。
この場合、容器体5又は容器体16内に所望量の被混合対象物を収容する際に、容器体5又は容器体16の外で予め被混合対象物を計量する必要がなくなる。
よって、上述のような実施例1,2に係る混合用容器2A〜2B´によれば、目盛り線を備えていない容器体5又は容器体16を用いる場合に比べて、混合体の調整作業を一層簡便化できるという効果を有する。
【0057】
さらに、実施例1,2に係る混合用容器2A〜2B´では、容器体5又は容器体16に設けられる収容部7、及び、PTP包装物12における格納容器13を透光材により構成してもよい(いずれも選択的構成要素)。
この場合、容器体5又は容器体16の外から格納容器13内に収容物15a又は収容物15bが残存しているか否かを目視により確認することができる。
この場合、実施例1,2に係る混合用容器2A〜2B´の使用時に、未開封の格納容器13が収容されている収容部7を探す手間を省くことができるので、混合体の調整作業を一層簡便化できるという効果を有する。
【0058】
さらに、実施例1,2に係る混合用容器2A〜2B´によれば、容器体5又は容器体16に取設されているPTP包装物12を交換するだけで容器体5又は容器体16を繰り返し使用することができる。
よって、実施例1,2に係る混合用容器2A〜2B´によれば、正確な濃度又は含有率を有する混合体の調整作業を簡便にかつ経済的に行うことができるという効果も奏する。
【0059】
また、本発明の実施例1,2に係る混合用容器2A〜2B´に用いられるPTP包装物12の個々の格納部12aは、容器体5に形成されている収容部7の中空部7bとほぼ同じ形状及び大きさを有していることが望ましい。
これは、例えば収容部7の中空部7bの大きさに比べてPTP包装物12の格納部12aの大きさが過度に小さいと、収容部7を容器体5又は容器体16の外側から押しつぶした際に、その押圧力が格納容器13にしっかりと伝わらず、格納容器13を開封することができないおそれがあるためである。
【0060】
さらに、実施例1,2に係る混合用容器2A〜2B´では、収容部7の平面形状が円形である場合を例に挙げて説明しているが、収容部7の平面形状は必ずしも円形でなくともよい。この場合、収容部7の中空部7b内に収容されるPTP包装物12の格納部12aの平面形状及び大きさを収容部7の形状及び大きさに略符合させておくことが望ましい。
なお、収容部7の平面形状が鋭角部分を有している場合は、PTP包装物12の格納容器13を開封した際に、収容物15aの一部が格納容器13内に残存する恐れがあり好ましくない。
このため、収容部7の平面形状は滑らかな形状であることが望ましく、特に円形が最適である。