(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記一方の補強金具と前記他方の補強金具とが、前記複数列の接続端子列よりも該接続端子の列方向の外方側で、かつ、前記所定の係合深さ位置に、前記接続端子の列方向と直交する方向に互いに加圧接触する追加の嵌合保持部を有していることを特徴とする請求項2に記載の電気コネクタ。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上述のような従来の電気コネクタにおいては、ソケット側の中央のグランド接続金具とその両端接続部材とを用いる接地シールドにより得られる効果が、専らコネクタの短手方向両側のコンタクト列間のシールド効果に限定されてしまうという問題があった。
【0006】
また、中央のグランド接続金具が長手方向の両端部でそれぞれ略T字形状の両端接続部材の内端部に突当て係合により接触し、それら両端接続部材を介して回路基板側に接続される構成となっていたため、コネクタサイズが大きくなるばかりか、中央のグランド接続金具を回路基板のグランド部に安定接続させることができないという問題もあった。
【0007】
そこで、本発明は、回路基板のグランド部に端子列間のグランド接続金具を安定接続可能にするとともに、コネクタサイズを増大させることなくグランド接続金具を用いる接地シールドの効果を向上させることのできる電気コネクタを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の電気コネクタは、上記目的達成のため、対面方向に凹凸係合可能な一方および他方のコネクタハウジングに、それぞれ複数列の接続端子列が共面的に配置された一方および他方のコネクタ本体部と、前記一方および他方のコネクタ本体部のうち片方のコネクタ本体部に装着され、前記複数列の接続端子列の間で該接続端子の列方向に延在するグランド接続金具と、を備えた電気コネクタであって、少なくとも前記片方のコネクタ本体部が、対応するコネクタハウジングに沿って延在する導電性の補強金具を有しており、前記グランド接続金具が、前記片方のコネクタ本体部の前記対応するコネクタハウジングの基板対向面側に露出するグランド接続部と、前記複数列の接続端子列よりも該接続端子の列方向の両外方側で前記補強金具に接続された補強金具接続部と、を有しているものである。
【0009】
この構成により、本発明では、グランド接続金具のグランド接続部がコネクタハウジングの基板対向面側で容易にグランド接続可能になるとともに、グランド接続金具の補強金具接続部が、接続端子列よりもそれらの列方向の外方側で補強金具に接続されることで、コネクタサイズを増大させることなくグランド接続金具による接地シールド効果を高めることができる。
【0010】
本発明の電気コネクタにおいては、前記グランド接続金具の前記補強金具接続部が、前記片方のコネクタ本体部の前記対応するコネクタハウジングに沿って延在する前記補強金具に機械的および電気的に結合されている構成とすることができる。
【0011】
このようにすると、片方のコネクタ本体部の接続端子列の周囲に位置する補強金具がそのグランド接続金具を介して接地シールド化されるとともに、機械的に結合された補強金具およびグランド接続金具がコネクタ本体部に一体に保持されることになる。
【0012】
また、前記補強金具が、前記一方のコネクタハウジングに沿って延在する導電性の板材からなる一方の補強金具と、前記他方のコネクタハウジングに沿って延在する導電性の板材からなる他方の補強金具とで構成されており、前記一方の補強金具と前記他方の補強金具とが、互いに加圧接触する局部加圧接触面を有している構成とすることもできる。
【0013】
この場合、コネクタ結合時における雌雄の接続端子列同士のクリック感等の操作フィーリングが、一方および他方の補強金具同士の凹凸嵌合に要する操作力の変化によって向上するとともに、雌雄の接続端子列が安定した接続位置および接触圧で接触することで、所要のコネクタ結合状態が安定確保される。
【0014】
本発明の電気コネクタにおいては、前記補強金具が、前記一方のコネクタハウジングに沿って延在する導電性の板材からなる一方の補強金具と、前記他方のコネクタハウジングに沿って延在する導電性の板材からなる他方の補強金具とで構成されており、前記グランド接続金具が、前記一方の補強金具に接続される一方の補強金具接続部と、前記他方の補強金具に抜止め嵌合される他方の補強金具接続部とを有しているものであってもよい。
【0015】
この場合、コネクタ結合時における雌雄の接続端子列同士のクリック感等の操作フィーリングを、グランド接続金具と他方の補強金具との抜止め嵌合に要する操作力の変化によって向上させつつ、安定したコネクタ接続状態を確保できることとなる。
【0016】
本発明の電気コネクタにおいては、前記グランド接続金具の前記補強金具接続部が、前記対応するコネクタハウジングに沿って延在する前記補強金具に機械的および電気的に結合されるとともに、前記補強金具の切欠き部分に収納されていてもよい。
【0017】
そのようにすると、補強金具とグランド接続金具の補強金具接続部との接続位置の配置自由度が増すとともに、双方の配置スペースが補強金具の切欠き部分で共有される分だけ小さく抑えられることになる。
【0018】
前記グランド接続金具の前記補強金具接続部が、前記片方のコネクタ本体部の前記対応するコネクタハウジングに沿って延在する片方の補強金具に機械的および電気的に結合されるとともに、前記一方および他方のコネクタ本体部のうち他の片方のコネクタ本体部の前記対応するコネクタハウジングに沿って延在する他の片方の補強金具に対して嵌合接触する構成とすることができる。
【0019】
前記グランド接続金具の前記補強金具接続部が、前記一方および他方のコネクタハウジングの前記凹凸係合する方向における所定の係合深さ位置に、前記他の片方の補強金具に対して前記コネクタハウジングの長手方向に凹凸嵌合する抜止め保持部を有している構成とすることもできる。
【0020】
この場合、コネクタ結合時におけるクリック感等の操作フィーリングが、一方および他方の補強金具の凹凸嵌合に要する操作力の変化によって向上するとともに、雌雄の接続端子列が安定した接続位置および接触圧で接触することで、所要のコネクタ結合状態が安定確保される。
【0021】
さらに、前記一方の補強金具と前記他方の補強金具とが、前記複数列の接続端子列よりも該接続端子の列方向の外方側で、かつ、前記所定の係合深さ位置に、前記接続端子の列方向と直交する方向に互いに加圧接触する追加の嵌合保持部を有していてもよい。
【0022】
この場合、一方の補強金具と他方の補強金具の凹凸嵌合方向が雌雄の接続端子列同士の嵌合方向と同一方向で、かつ、両補強金具の凹凸嵌合部位が接続端子列よりコネクタハウジングの長手方向外方側に配置されているので、接続端子列の嵌合姿勢の安定化が可能となる。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、回路基板のグランド部に端子列間のグランド接続金具を安定接続可能にするとともに、コネクタサイズを増大させることなくグランド接続金具を用いる接地シールドの効果を向上させることのできる電気コネクタを提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明を実施するための形態について、図面を参照しつつ説明する。
【0026】
(第1実施形態)
図1ないし
図7は、本発明の第1実施形態に係る電気コネクタを示している。
【0028】
図1ないし
図3に示すように、本実施形態の電気コネクタ10は、いわゆる擬似同軸構造を有する略プレート状のものであり、対面方向に凹凸係合する一方のソケット状のコネクタ本体部20と他方のプラグ状のコネクタ本体部30とを含んで構成されている。
【0029】
一方のコネクタ本体部20は、主に上面側で凹状をなし下面側で略平坦状をなすように射出成形された合成樹脂製の一方のコネクタハウジング21と、一方のコネクタハウジング21にそれぞれ共面的(略同一面上)に配置された複数列の雌雄片方側、例えば雌側の接続端子列22a、22bと、複数列の接続端子列22a、22bの間でそれらの列方向であるY方向に延在するグランド接続金具23と、を有している。
【0030】
図1ないし
図4に示すように、一方のコネクタハウジング21は、例えば角環状の溝形状をなす凹状嵌合部21aと、凹状嵌合部21aに沿って延びる外表面21bと、回路基板P(
図2参照)に対面する基板対向面21c(
図3(b)参照)と、凹状嵌合部21aの溝形状に沿って配列された複数列の端子保持部21h、21iとを有している。
【0031】
複数列の接続端子列22a、22bは、
図1中のX方向を列幅方向として一方のコネクタハウジング21の複数の端子保持部21h、21iに嵌入されたレセプタクルコンタクトであり、それぞれコネクタハウジング21に抜け止め状態に保持されている。
【0032】
グランド接続金具23は、複数列の接続端子列22a、22bの間で一方および他方のコネクタ本体部20、30の結合・離脱方向(
図1中のZ方向)および複数列の接続端子列22a、22bの列方向(
図1中のY方向)に延在する板状の導電性部材で、接地されることでシールド材として機能し得る。
【0033】
また、グランド接続金具23は、一方のコネクタハウジング21にインサート成形されて一体化されたものであるか、あるいは、成形後の一方のコネクタハウジング21に圧入されたものである。
【0034】
なお、各列の接続端子列22a、22b中に接地シールド板が配置される場合、グランド接続金具23は、各列の接続端子列22a、22b中の接地シールド板に接続されてもよいが、グランド接続金具23に接続されることなく、各列の接続端子列22a、22b中の接地シールド板が回路基板P側のグランド部に直接接続されてもよい。
【0035】
図2および
図5に示すように、他方のコネクタ本体部30は、主に片面側で凸状をなす他方のコネクタハウジング31と、他方のコネクタハウジング31にそれぞれ共面的に配置された複数列の雌雄もう片方側、例えば雄側の接続端子列32a、32bと、を有している。
【0036】
他方のコネクタハウジング31は、例えば角環状の突条形状をなす凸状嵌合部31aと、凸状嵌合部31aに沿って延びる外表面31b(
図5(a)参照)と、凸状嵌合部31aの内方に位置する中央閉塞部31cとを有している。
【0037】
複数列の接続端子列32a、32bは、他方のコネクタハウジング31の凸状嵌合部31aに一体に装着されたプラグコンタクトであり、それぞれの外端部分が互いに平行に整列している。
【0038】
一方および他方のコネクタ本体部20、30のうち少なくとも片方のコネクタ本体部20には、本実施形態ではもう片方のコネクタ本体部30も併せて、導電性の補強金具24、34が設けられている。
【0039】
図1ないし
図4および
図6に示すように、一方のコネクタ本体部20は、対応する一方のコネクタハウジング21に外装された導電性の一方の補強金具24を有している。そして、グランド接続金具23は、一方のコネクタ本体部20の対応するコネクタハウジング21の基板対向面21c側に露出する複数の略方形凸面状のグランド接続部23a、23b(
図3(b)参照)と、雌雄片方側の接続端子列22a、22bよりもそれらの列方向(Y方向)の両外方側で補強金具24に一部嵌入状態で接続された補強金具接続部23cと、を有している(
図1には片側のみ図示している)。
【0040】
また、一方の補強金具24は、板金を所定形状にプレス加工したので、一方のコネクタハウジング21の短手方向両側の外表面21bに沿って延在する一対の長側板部24aと、一方のコネクタハウジング21の凹状嵌合部21aより外方側でコネクタハウジング21の外表面21bに沿って延在する一対の連結板部24bと、一対の連結板部24bから凹状嵌合部21aの内奥側(下向き)に突出するように曲げ加工された各一対の内外の端板部24c、24eと、両端側で一対の長側板部24aおよび一対の連結板部24bに連続するとともに中間部で曲げ加工された折曲形状を有する各一対の曲げ連結部24dとを有している。
【0041】
さらに、グランド接続金具23の一対の補強金具接続部23cは、一方の補強金具24の一対の端板部24cに対して圧入により結合されており、各端板部24cは、対応する補強金具接続部23cを収納する凹スリット状の切欠き24nと、その切欠き24nの内方に突出する一対の内突部24pとを有している。そして、これにより、一方の補強金具24は、グランド接続金具23に対して機械的および電気的に結合されており、グランド接続金具23を介して回路基板Pのグランド部に接続されることで、接地シールド化できるようになっている。
【0042】
なお、一対の端板部24cの各一対の下端部および各一対の曲げ連結部24dの下端部は、コネクタハウジング21の各列の接続端子列22a、22bの下面およびグランド接続金具23のグランド接続部23a、23bの下面に対して略同一平面上に配置されているか所定の突出高さに設定されている。
【0043】
図5に示すように、他方のコネクタ本体部30に設けられた他方の補強金具34は、他方のコネクタハウジング31の長手方向全域でその上面31dに沿って延在する上面カバー部34aと、他方のコネクタハウジング31の長手方向両端面およびその近傍の下面を覆う両端板部34bと、両端板部34bの一部に形成された段付き凹部34cと、両端板部34bから他方のコネクタハウジング31の上面側に延設された各一対の着脱操作部34dと、両端板部34bから他方のコネクタハウジング31の両側面側に延設された各一対の側板部34eとを有している。
【0044】
また、一方の補強金具24の曲げ連結部24dの一部は、補強金具24の長側板部24aの両端近傍で略U形に曲げ加工された突片状をなし、他方の補強金具34の両側板部34eに部分的に弾性的に加圧接触する各一対の局部加圧接触面24fを構成している。なお、ここでの加圧接触は、加圧状態で接触することをいい、弾性変形を伴うもののみならず塑性変形を伴うものを含む意である。また、本実施例中の補強金具24および補強金具34のように一方が弾性的に加圧接触し、他方がそれを受ける平面であるような組合せを含むものである。
【0045】
これら一対の局部加圧接触面24fとこれらに局部的に圧接する他方の補強金具34の一部は、雌雄の接続端子列22a、22bよりもその接続端子列方向の外方側で、かつ、所定の係合深さ(挿入方向の深さ)位置で、接続端子列22a、22bの列方向と直交する方向に互いに加圧接触する追加の嵌合保持部を構成している。
【0046】
また、これら追加の嵌合保持部は、雌雄の接続端子列22a、22bの嵌合に要するコネクタ結合時の操作変化を明確化するよう、雌雄の接続端子列22a、22bの嵌合開始時における一方のコネクタ本体部20に対する他方のコネクタ本体部30の姿勢を一定姿勢に規定するとともに、他方のコネクタ本体部30の挿入抵抗を増すことで、コネクタ結合時のクリック感を明確にする機能を有している。
【0047】
一方、グランド接続金具23の補強金具接続部23cが一方の補強金具24の端板部24cに対し圧入によって機械的および電気的に結合されるのとは別に、グランド接続金具23の両端部には、対応する他方の補強金具34に対して、いわゆるスナップフィットのように弾性変形および弾性回復を伴う嵌合形態で嵌合接触する一対の補強金具接続部23dが設けられている。ここでのグランド接続金具23と他方の補強金具34の間の嵌合接触は、嵌合状態での接触全般を意味するものであって、嵌合して接触していればその接触圧の大小(嵌合の強弱)を問わないものであり、一方が弾性的に加圧接触し、他方がその加圧力を平面で受けるような組合せを含み得る。
【0048】
グランド接続金具23の両端側の補強金具接続部23dは、一方および他方のコネクタハウジング21、31の凹凸係合方向における所定の係合深さ位置で、他方の補強金具34の段付き凹部34cに対してコネクタハウジング31の長手方向に凹凸をなす抜け止め嵌合をなすことで、抜止め保持部として機能し得るようになっている。
【0049】
このように、本実施形態では、グランド接続金具23の一方の補強金具接続部23cが、一方の補強金具24に電気的に接続されるとともに、グランド接続金具23の他方の補強金具接続部23cが、他方の補強金具34に対し抜止め嵌合とともに電気的に接続されるようになっており、一方および他方のコネクタ本体部20、30は、これらの結合時に両補強金具24、34をそれぞれグランド接続金具23を介して接地シールドできるように構成されている。なお、ここにいう抜止め嵌合は、抜けることを防止する嵌合状態、例えば着脱方向に対し直交する方向に凹凸を有する嵌合状態を意味し、一方が弾性的に係合し、他方がそれを平面的に受ける組合せは含まれない。
【0051】
上述のように構成された本実施形態の電気コネクタでは、グランド接続金具23のグランド接続部23a、23bが一方のコネクタハウジング21の基板対向面21c側で回路基板Pに対して容易にグランド接続可能になるとともに、グランド接続金具23の補強金具接続部23c、23dが、一方および他方のコネクタハウジング21、31の凹凸嵌合がなされる凹状嵌合部21aの内壁面側にその長手方向外方側から切欠き24nを通して露出し、補強金具24、34に対して雌雄の接続端子列22a、22bよりもそれらの列方向の外方側でかつ列幅方向に接続される。したがって、コネクタサイズを増大させることなくグランド接続金具23による接地シールド効果を高めることができることになる。
【0052】
また、本実施形態では、グランド接続金具23の補強金具接続部23cが、一方の補強金具24に機械的および電気的に結合されているので、一方のコネクタ本体部20の接続端子列22a、22bの周囲に位置する補強金具24がグランド接続金具23を介して接地シールド化されるとともに、機械的に一体的に結合された一方の補強金具24およびグランド接続金具23がコネクタ本体部20に一体に保持されることになる。
【0053】
特に、本実施形態では、グランド接続金具23の補強金具接続部23cが一方の補強金具24の切欠き部分24nに収納されつつ圧入による強嵌合状態となっているので、補強金具24とグランド接続金具23の補強金具接続部23cとの配置スペースが補強金具24の切欠き部分24nで共有される分だけ小さく抑えられることになる。また、補強金具24とグランド接続金具23との接続位置の配置自由度が増すことで、一方および他方のコネクタハウジング21、31の凹凸嵌合部位の近傍であって、雌雄の接続端子列22a、22bよりもそれらの列方向の外方側で、他方の補強金具34を一方の補強金具24に確実に嵌合接触および抜け止め結合させることができ、コネクタサイズの大型化を有効に抑制しつつ両補強金具24、34およびグランド接続金具23を電気的に有効に接続させ、グランド接続金具23を用いる接地シールドの効果を高めることができる。
【0054】
さらに、本実施形態では、コネクタハウジング21、31の補強金具24、34が、互いに加圧接触する局部加圧接触面24f等を有しているので、コネクタ結合時における雌雄の接続端子列同士のクリック感等の操作フィーリングが、一方および他方の補強金具24、34の凹凸嵌合に要する操作力の変化によって向上するとともに、雌雄の接続端子列22a、22b同士が安定した接続位置および接触圧で接触することで、所要のコネクタ結合状態が安定確保される。
【0055】
加えて、本実施形態では、グランド接続金具23が、一方の補強金具24に接続される一方の補強金具接続部23cと、他方の補強金具34に抜止め嵌合される他方の補強金具接続部23dとを有しているので、コネクタ結合時における雌雄の接続端子列22a、22b同士のクリック感等の操作フィーリングを、グランド接続金具23と他方の補強金具との抜止め嵌合に要する操作力の変化によって向上させつつ、安定したコネクタ接続状態を確保できることとなる。
【0056】
また、グランド接続金具23の補強金具接続部23dが、一方および他方のコネクタハウジング21、31の凹凸係合方向における所定の係合深さ位置に、他方の補強金具34に対してコネクタハウジング31の長手方向に凹凸嵌合する抜止め保持部を構成しているので、コネクタ結合時におけるクリック感等の操作フィーリングが、一方および他方の補強金具の凹凸嵌合に要する操作力の変化によって向上するとともに、雌雄の接続端子列が安定した接続位置および接触圧で接触することになる。
【0057】
さらに、一方の補強金具24と他方の補強金具34とが、接続端子列方向の外方側であって所定の係合深さ位置に、接続端子列方向と直交する方向に互いに加圧接触する追加の嵌合保持部として各一対の局部加圧接触面24fおよび側板部34eを有しており、一方の補強金具24と他方の補強金具34の凹凸嵌合方向が雌雄の接続端子列同士の嵌合方向と同一方向で、かつ、両補強金具24、34の凹凸嵌合部位が接続端子列よりコネクタハウジング21、31の長手方向外方側に配置されているので、接続端子列同士の嵌合姿勢の安定化が可能となる。
【0058】
このように、本実施形態においては、接続端子列22a、22bの間のグランド接続金具23をコネクタハウジング21の基板対向面21c側で回路基板Pのグランド部に対し直接的に接続可能にし、かつ、一方および他方のコネクタハウジング21、31の凹凸嵌合面付近で補強金具24、34に接続させることから、コネクタサイズを増大させることなくグランド接続金具23を用いる接地シールドの効果を向上させることができる。
【0059】
(第2実施形態)
図8は、本発明の第2実施形態に係る電気コネクタの要部縦断面形状を図示している。なお、以下に説明する各実施形態は、主要な構成が前述の第1実施形態と同一か類似するものであるので、以下の説明においては、第1実施形態と類似する構成については同一符号で示し、第1実施形態と相違する点について説明する。
【0060】
図8に示すように、本実施形態の電気コネクタ10においては、一方のコネクタ本体部20に設けられるグランド接続金具23の一対の抜止め係合用の補強金具接続部23dが、第1実施形態では凹状嵌合部21a内に突起する突状で、かつ、他方のコネクタ本体部30の両端板部34bに形成された段付き凹部34cに係合するロック爪形状をなしていたのに対して、本実施形態では、一方のコネクタ本体部20に設けられるグランド接続金具23が、第1実施形態では凹状嵌合部21aの内壁面に対して長手方向外方側に凹形状をなした一対の補強金具接続部23g(一方の補強金具接続部)を有している。
【0061】
これに対し、他方のコネクタ本体部30の両端板部34bには、凹形状をなした一対の補強金具接続部23gに対し凹凸嵌合するロック爪状の凸部34pが突設されている。
【0062】
そして、一方のコネクタ本体部20に対する他方のコネクタ本体部30の挿入時に、グランド接続金具23の一対の補強金具接続部23gに対して、他方のコネクタ本体部30の両端板部34bに突設されたロック爪状の凸部34pが所定の抜止め嵌合代で嵌合し、挿入時のクリック感に要する所定の操作抵抗と所要の抜け止め方向の抵抗が生じるようになっている。
【0063】
他の構成は、前述の第1実施形態と同様であり、本実施形態においても、前述の第1実施形態と同様な効果を得ることができる。
【0064】
(第3実施形態)
図9は、本発明の第3実施形態に係る電気コネクタの要部構成を図示している。
【0065】
図9に示すように、本実施形態の電気コネクタの一方のコネクタ本体部20においては、グランド接続金具23が、補強金具接続部23c、23dに加えて、あるいは補強金具接続部23cに代えて、一方の補強金具24の対応する連結板部24bの上面近傍に達する上方接続部23jを併有している。また、グランド接続金具23の一対の上方接続部23jを収納するように、一方の補強金具24の両端側で下向きに開く一対の端板部24cの凹状の切欠き24nが、一対の連結板部24bの上面を対向する凹状に切り欠く内奥面高さを有している。
【0066】
そして、一対の端板部24cの凹状の切欠き24n内に、グランド接続金具23の一対の上方接続部23jが収納され、両者が超音波溶接等の接続手法で機械的に結合および電気的に接続されている。他方のコネクタ本体部30については、第1実施形態と同様に構成される。
【0067】
本実施形態においても、グランド接続金具23のグランド接続部23a、23bが一方のコネクタハウジング21の基板対向面21c側で回路基板Pに対して容易にグランド接続可能であるとともに、グランド接続金具23の補強金具接続部23c、23d、23jが、一方および他方のコネクタハウジング21、31の凹凸嵌合がなされる凹状嵌合部21aの内壁面側にその長手方向外方側から露出し、雌雄の接続端子列22a、22bよりもそれらの列方向の外方側で補強金具24、34に接続される。
【0068】
しかも、本実施形態では、グランド接続金具23の一対の上方接続部23jが一方の補強金具24の両端側の端板部24cの上面側にも露出する構造であるので、超音波溶接等による双方の接続が容易かつ信頼性のものとなる。
【0069】
よって、本実施形態においても、前述の各実施形態と同様に、コネクタサイズを増大させることなくグランド接続金具23による接地シールド効果を高めることができる電気コネクタとなる。
【0070】
(第4実施形態)
図10は、本発明の第4実施形態に係る電気コネクタの要部構成を図示している。
【0071】
図10に示すように、本実施形態の電気コネクタの一方のコネクタ本体部20においては、グランド接続金具23が、前述の第1、第2実施形態と略同様に一方の補強金具24の対応する連結板部24bの下面に近接する上端部23k(一方の補強金具接続部;
図6(a)、
図8(a)参照)を有している。
【0072】
そして、補強金具接続部23cとの圧入に代えて、グランド接続金具23の一対の上端部23kを一方の補強金具24の両端側の一対の連結板部24bに機械的に結合および電気的に接続する一対の上部接合部24kが設けられている。
【0073】
各上部接合部24kは、一方の補強金具24の各連結板部24bを中央部で丸穴状に切り欠くとともに、その内周縁部分を超音波溶接等の接続手法によりグランド接続金具23の一対の上端部23kに一体に結合したものである。
【0074】
他の構成は、前述の第1実施形態と同様であり、本実施形態においても、前述の各実施形態と同様な効果を得ることができる。
【0075】
(第5実施形態)
図11は、本発明の第5実施形態に係る電気コネクタの要部構成を図示している。
【0076】
図11に示すように、本実施形態の電気コネクタの一方のコネクタ本体部20においては、グランド接続金具23が凹状の一対の補強金具接続部23gを有しているとともに、他方のコネクタ本体部30の両端板部34bに、一対の補強金具接続部23gに対し凹凸嵌合するロック爪状の一対の凸部34pが突設されている。これらロック爪状の一対の凸部34pは、接続端子列22a、22bの列幅方向におけるグランド接続金具23の板厚よりも大きい所定の係合幅を有しており、一方の補強金具24の各端板部24cには、対応する凸部34pの両側端部分を凹凸嵌合可能に収納する各一対の凹部24gが切欠き24nを挟んで対向するように形成されている。
【0077】
他の構成は、前述の第1実施形態と同様であり、本実施形態においても、前述の各実施形態と同様な効果を得ることができる。
【0078】
(第6実施形態)
図12は、本発明の第6実施形態に係る電気コネクタの要部構成を図示している。
【0079】
図12に示すように、本実施形態の電気コネクタの一方のコネクタ本体部20においては、グランド接続金具23が弾性曲げ可能な一対のフック状の上方接続部23jを有しており、それら一対の上方接続部23jは、他方のコネクタ本体部30の両端板部34bに所定の接触圧以上で圧接係合するよう他方のコネクタ本体部30の長さに近い離間距を隔てて互いに対向する一対の爪部23h(他方の補強金具接続部)と、他方のコネクタ本体部30の両端板部34bが一対の爪部23hに圧接しつつ互いに離間する方向に押し開かれるとき、その方向に撓む一対の撓み部23rとを有している。すなわち、グランド接続金具23の補強金具接続部23c(一方の補強金具接続部)が一方の補強金具24の端板部24cに対し圧入によって機械的および電気的に結合されるのとは別に、グランド接続金具23の両端部に、対応する他方のコネクタ本体部30の両端板部34bに対して弾性変形を伴う嵌合形態で着脱可能に嵌合接触および加圧接触する一対の補強金具接続部23jが設けられている。
【0080】
他の構成は、前述の第1実施形態と同様であり、本実施形態においても、前述の各実施形態と同様な効果を得ることができる。
【0081】
(第7実施形態)
図13は、本発明の第7実施形態に係る電気コネクタの要部構成を図示している。
【0082】
図13に示すように、本実施形態の電気コネクタにおいては、その一方のコネクタ本体部20のグランド接続金具23は、第1実施形態のそれと同様に構成される。それに対して、一方の補強金具24の両端側で一対の連結板部24bから凹状嵌合部21aの内奥側(下向き)に突出するように曲げ加工された一対の端板部24cのそれぞれが、弾性曲げ可能な爪形状をなしており、グランド接続金具23の補強金具接続部23cを挿入ガイドする一対のガイド部分24cg1、24cg2と、グランド接続金具23の補強金具接続部23cに対してその板厚方向の両側から圧接する一対の挟圧突起部24cp1、24cp2とを有している。なお、一対の連結板部24bから凹状嵌合部21aの内奥側(下向き)に突出するように曲げ加工された外側の端板部24eは、接続端子列22a、22bの列幅方向における内側の一対の端板部24cの幅領域の両側に広く広がっており、グランド接続金具23と一方の補強金具24の接続による所要の接地シールド機能が一方のコネクタ本体部20の両端側でも担保される。
【0083】
他の構成は、前述の第1実施形態と同様であり、本実施形態においても、前述の各実施形態と同様な効果を得ることができる。しかも、グランド接続金具23の補強金具接続部23cと一方の補強金具24の一対の端板部24cとの嵌合が有効な弾性変形を伴うものとなり、双方の電気的接続に必要な接触圧を安定確保可能となる。
【0084】
(第8実施形態)
図14は、本発明の第8実施形態に係る電気コネクタの要部構成を図示している。
【0085】
図14に示すように、本実施形態の電気コネクタにおいては、その一方のコネクタ本体部20の一方の補強金具24が、第1実施形態のそれと同様に構成される。それに対して、グランド接続金具23が、第1実施形態の板状の補強金具接続部23cに代えて、一方の補強金具24の両端側で一対の連結板部24bの下面に接触する上方接続部23jと、高さ方向の位置が相互に異なる両面側の突起部23q1、23q2とを有している。
【0086】
したがって、前述の第7実施形態と略同様に、グランド接続金具23の補強金具接続部23cと一方の補強金具24の一対の端板部24cとの嵌合が有効な弾性変形を伴うものとなり、電気的接続に必要な接触圧を安定確保可能なものとなる。
【0087】
他の構成は、前述の第1実施形態と同様であり、本実施形態においても、前述の各実施形態と同様な効果を得ることができる。
【0088】
なお、前述の各実施形態においては、接地シールド化に好適な形態として、一方および他方のコネクタ本体部20、30にそれぞれの補強金具24、34が装着され、それぞれの補強金具24、34がグランド接続金具23に接続され、かつ、両補強金具24、34同士も複数箇所で接触嵌合するものとしたが、本発明は、グランド接続金具23が回路基板Pのグランド部に接続されるとともに、補強金具24、34の少なくとも一方に接続されるものであれば適用可能である。一方および他方の補強金具24、34のいずれも単一の枠状部品でなく、複数部品で構成され得ることはいうまでもない。
【0089】
また、一方の補強金具24の下端面部の形状について詳細を言及しなかったが、一方の補強金具24の各一対の内外の端板部24c、24eは、グランド接続金具23の両端側下部の各グランド接続部23aと下端の高さが略同一位置で、回路基板P上の同一のグランド部に接続され得る形状であればよい。一方の補強金具24の各一対の曲げ連結部24dも、前述のように、それぞれの下端の高さが略同一位置で、回路基板P上の同一のグランド部に接続されるようにすることができる。
【0090】
加えて、前述の各実施形態の電気コネクタは、一方のコネクタハウジング21の長手方向に延在するグランド接続金具23のみを有するものとしたが、接続端子列22a、22bがそれぞれ複数列に縦列配置されるような場合、それらの間に一方のコネクタハウジング21の短手方向に延在するグランド接続金具が併設されてもよい。
【0091】
勿論、接続端子列22a、22bがそれぞれ複数列に平行並列に配置されるような場合、それらの間に一方のコネクタハウジング21の長手方向に平行に延在する複数のグランド接続金具が設けられてもよい。
【0092】
以上説明したように、本発明は、回路基板Pのグランド部に端子列間のグランド接続金具23を安定接続可能にするとともに、コネクタサイズを増大させることなくグランド接続金具とこれを用いて接地シールド化した補強金具を併有し、接地シールド効果を向上させることのできる電気コネクタを提供することができるものである。かかる本発明は、回路基板に実装されるソケットとそのソケットに凹凸嵌合するプラグとを有する擬似同軸構造の電気コネクタ全般に有用である。
【課題】回路基板のグランド部に端子列間のグランド接続金具を安定接続するとともに、コネクタサイズを増大させることなくグランド接続金具を用いる接地シールド効果を向上させることのできる電気コネクタを提供する。
【解決手段】雌雄一方のコネクタハウジング21に接続端子列22a、22bが共面的に配置されたコネクタ本体部20と、そこに装着され、接続端子列22a、22bの間で列方向に延在するグランド接続金具23とを備えた電気コネクタであって、少なくとも片方のコネクタ本体部20が、コネクタハウジング21に沿って延在する導電性の補強金具24を有しており、グランド接続金具23が、コネクタ本体部20の対応するコネクタハウジング21の基板対向面21c側に露出するグランド接続部23a、23bと、複数列の接続端子列22a、22bよりも列方向の両外方側で補強金具24に接続された補強金具接続部23cとを有している。