特許第6493656号(P6493656)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6493656
(24)【登録日】2019年3月15日
(45)【発行日】2019年4月3日
(54)【発明の名称】車両の制動装置
(51)【国際特許分類】
   B60T 8/17 20060101AFI20190325BHJP
   B60K 6/20 20071001ALI20190325BHJP
   B60W 10/08 20060101ALI20190325BHJP
   B60W 10/18 20120101ALI20190325BHJP
   B60W 20/00 20160101ALI20190325BHJP
   B60L 7/24 20060101ALI20190325BHJP
【FI】
   B60T8/17 C
   B60K6/20ZHV
   B60W10/08 900
   B60W10/18 900
   B60W20/00 900
   B60L7/24 D
【請求項の数】5
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2014-169339(P2014-169339)
(22)【出願日】2014年8月22日
(65)【公開番号】特開2016-43803(P2016-43803A)
(43)【公開日】2016年4月4日
【審査請求日】2017年7月28日
(73)【特許権者】
【識別番号】000006286
【氏名又は名称】三菱自動車工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100174366
【弁理士】
【氏名又は名称】相原 史郎
(72)【発明者】
【氏名】中曽 寛之
(72)【発明者】
【氏名】林川 一史
【審査官】 竹村 秀康
(56)【参考文献】
【文献】 特開2007−295784(JP,A)
【文献】 特開2014−097789(JP,A)
【文献】 特開2006−044654(JP,A)
【文献】 特開2009−067268(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60T 8/17
B60K 6/20
B60L 7/24
B60W 10/08
B60W 10/18
B60W 20/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ブレーキペダルの操作に応じて摩擦により車両の制動を行う摩擦制動装置と、前記車両の走行駆動用の電動機を発電機として用いて回生制動する回生制動装置と、障害物検出手段により検出された障害物検出情報に基づいて障害物との衝突を回避すべく前記摩擦制動装置を作動制御して自動制動させる衝突回避装置と、を備えた車両の制動装置であって、
前記衝突回避装置は、前記自動制動の開始前に前記回生制動が作動している場合は、前記自動制動の開始前に該回生制動の作動を終了することを特徴とする車両の制動装置。
【請求項2】
前記自動制動の開始前に前記回生制動を終了する際に、前記回生制動装置による制動力を緩やかに低下させ、該低下にあわせて摩擦制動を緩やかに上昇させ、前記自動制動は、摩擦制動によって開始されることを特徴とする請求項1に記載の車両の制動装置。
【請求項3】
前記自動制動の開始前に前記回生制動を終了する際に、前記回生制動装置による制動力の大きさに応じて、当該制動力の低下の開始時期を変更することを特徴とする請求項1または2に記載の車両の制動装置。
【請求項4】
前記回生制動装置は、前記車両の走行中に所定の制動力で回生制動するエンブレ回生と、前記回生制動装置と前記摩擦制動装置とを協調制御して制動する協調回生とが可能であることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の車両の制動装置。
【請求項5】
前記自動制動の開始前に前記回生制動を終了する際に、前記協調回生による制動力の低下開始後に前記エンブレ回生による制動力の低下が開始されることを特徴とする請求項4に記載の車両の制動装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、回生制動装置及び摩擦制動装置を備えた車両の制動装置に係り、詳しくは衝突回避装置による自動制動時における制動力の制御技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、電気自動車やハイブリッド車等のように走行駆動用の電動機を備える車両では、車両の減速時や降坂時等に電動機を発電機として用いて、減速エネルギを電気に変換し車両に搭載されるバッテリを充電する回生制動装置が備えられている。
このように回生制動装置を備えた車両では、更に、液圧ブレーキ装置のようにブレーキペダルの操作に応じて摩擦力によって制動する摩擦制動装置が備えられている。
【0003】
一方、近年では、走行する車両において障害物を検知して、障害物との衝突の危険性が生じた場合に、自動的に制動させる衝突回避装置を備えた車両が増加している。
更に、特許文献1では、衝突回避装置、回生制動装置及び摩擦制動装置を備えた車両において、衝突回避のための自動制動時に、摩擦制動装置による制動力と回生制動装置による制動力を制御する装置が提案されている。特許文献1では、障害物との距離に基づいて演算された要求制動力が所定値より小さい場合には回生制動のみ、要求制動力が所定値よりも大きい場合には回生制動と摩擦制動の両方を行うことで制動力を確保する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第3888383号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記特許文献1のように衝突回避装置、回生制動装置及び摩擦制動装置を備えた車両において、衝突回避のための自動制動中に回生制動と摩擦制動の両方が行われている場合に、例えばバッテリが満充電となると回生制動が停止する。したがって、自動制動中に制動力が変動して、車両の減速度が変動し違和感を与えるとともに、制動距離のバラツキが増加する虞がある。
【0006】
本発明は、この様な問題を解決するためになされたもので、その目的とするところは、
衝突回避装置と回生制動装置を備えた車両において、衝突回避のための自動制動中に制動力の変動を抑え、車両の減速度変動を抑制することのできる車両の制動装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の目的を達成するために、請求項1の車両の制動装置は、ブレーキペダルの操作に応じて摩擦により車両の制動を行う摩擦制動装置と、前記車両の走行駆動用の電動機を発電機として用いて回生制動する回生制動装置と、障害物検出手段により検出された障害物検出情報に基づいて障害物との衝突を回避すべく前記摩擦制動装置を作動制御して自動制動させる衝突回避装置と、を備えた車両の制動装置であって、前記衝突回避装置は、前記自動制動の開始前に前記回生制動が作動している場合は、前記自動制動の開始前に該回生制動の作動を終了することを特徴とする。
【0008】
また、請求項2の車両の制動装置は、請求項1において、前記自動制動の開始前に前記回生制動を終了する際に、前記回生制動装置による制動力を緩やかに低下させ、該低下にあわせて摩擦制動を緩やかに上昇させ、前記自動制動は、摩擦制動によって開始されることを特徴とする。
【0009】
また、請求項4の車両の制動装置は、請求項1から3のいずれか1項において、前記回生制動装置は、前記車両の走行中に所定の制動力で回生制動するエンブレ回生と、前記回生制動装置と前記機械式制動装置を協調制御して制動する協調回生とが可能であることを特徴とする。
また、請求項5の車両の制動装置は、請求項4において、前記自動制動の開始前に前記回生制動を終了する際に、前記協調回生による制動力の低下開始後に前記エンブレ回生による制動力の低下が開始されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
請求項1の発明によれば、衝突回避装置による自動制動中では、回生制動が行われず摩擦制動装置のみで車両を制動させるので、自動制動中において回生制動停止に伴う制動力の変動が防止される。これにより、自動制動中において、車両の減速度の変動を抑えることができ、違和感の発生や制動距離のバラツキを抑制することができる。
請求項2の発明によれば、自動制動の開始前に回生制動を終了する際に、前記回生制動装置による制動力を緩やかに低下させ、該低下にあわせて摩擦制動を緩やかに上昇させるので、自動制動の開始前に回生制動を終了する際においても制動力の変動を防止することができる。
【0011】
請求項3の発明によれば、自動制動の開始前に回生制動を終了する際に、回生制動装置による制動力の大きさに応じて、当該制動力の低下の開始時期を変更するので、制動力の大きさに拘わらず回生制動を自動制動の開始前に終了するように設定することができる。これにより、自動制動中において確実に制動力の変動を防止して車両の減速度の変動を抑えることができる。
【0012】
請求項4の発明によれば、回生制動としてエンブレ回生と協調回生とが可能な車両において、衝突回避装置による自動制動の開始前にエンブレ回生及び協調回生が終了し、自動制動中においてエンブレ回生及び協調回生の停止に伴う車両の減速度の変動を防止することができる。
請求項5の発明によれば、回生制動としてエンブレ回生と協調回生とが可能な車両において、衝突回避装置による自動制動の開始前に、協調回生による制動力の低下開始後にエンブレ回生による制動力の低下を開始するので、協調回生よりもエンブレ回生を後まで実行して、回生発電量の増加を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明の実施形態に係る車両の制動装置の概略構成図である。
図2】衝突回避装置による自動制動時におけるブレーキ切換制御の実行判定要領を示すフローチャートである。
図3】衝突回避装置による自動制動時における、油圧ブレーキ、回生ブレーキの制動トルクと、車両の加速度の推移の一例を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づき説明する。
図1は、本発明の実施形態に係る車両の制動装置1の概略構成図であり、以下、図面に基づいて制動装置1の構成を説明する。
本実施形態の制動装置1は、駆動輪2をモータ3(電動機)によって駆動する電気自動車やハイブリッド車、プラグインハイブリッド車等の車両に搭載される。
【0015】
モータ3は、パワープラント系コントローラ11によって駆動制御され、車両に搭載された図示しない駆動用バッテリより電力が供給されて駆動する。
図1に示すように、車両の制動装置1は、駆動輪2を含む全ての車輪に設けられた油圧ブレーキ装置4(摩擦制動装置)と、駆動輪2の回転によってモータ3を駆動し当該モータ3を発電機として用いて制動力を発生させる回生ブレーキ装置5(回生制動装置)と、を備えている。
【0016】
油圧ブレーキ装置4は、各車輪に設けられたキャリパ6を備えている。
キャリパ6は、油圧を発生させる電動アクチュエータを備え、電動サーボブレーキコントローラ10から入力した油圧発生信号に基づいて作動し、例えばブレーキパッドをディスクロータに押しつけて摩擦による車輪の制動を行う。
電動サーボブレーキコントローラ10は、入出力装置、記憶装置(ROM、RAM、不揮発性RAM等)、中央演算処理装置(CPU)及びタイマ等を含んで構成され、車両のブレーキペダルに設けられたブレーキペダルポジションセンサ7から入力したブレーキペダル開度(踏み込み量)に基づいて、車両の制動トルク(制動力)を演算し、当該制動トルクに基づいてキャリパ6に対して油圧発生指示信号を出力するとともに、パワープラント系コントローラ11に回生ブレーキトルク指示(回生制動力の指示)をする。
【0017】
回生ブレーキ装置5は、モータ3と、パワープラント系コントローラ11と、を備えている。
パワープラント系コントローラ11は、車両走行時にモータ3の出力トルクを制御する装置であるが、更に、電動サーボブレーキコントローラ10から回生ブレーキトルク指示を受けて、モータ3の回生ブレーキトルク(回生制動力)を制御する機能を有している。
【0018】
また、パワープラント系コントローラ11は、回生ブレーキ装置5による制動時(回生制動時)における実際の制動トルクである回生実行トルクを電動サーボブレーキコントローラ10に出力する。
また、車両には、衝突回避装置20が備えられている。衝突回避装置20は、障害物検知装置21(障害物検出手段)を備え、更にASCコントローラ22及び電動サーボブレーキコントローラ10を含んで構成されている。
【0019】
障害物検知装置21は、レーダ等により障害物を検知すると、障害物との衝突を回避すべく、障害物との距離及び車両の速度等から、必要な車両の減速度を演算し、ASCコントローラ22に出力する。
ASCコントローラ22は、公知の車両横滑防止装置に使用される制御装置であって、車両の横滑りを防止すべく自動的に制動する際の各車輪のブレーキ液圧を演算する機能を有している。衝突回避装置20では、このASCコントローラ22を使用して、障害物検知装置21から車両全体の減速度を入力して、車両を自動的に制動するために各車輪の自動ブレーキ液圧を演算し、電動サーボブレーキコントローラ10に出力する。
【0020】
電動サーボブレーキコントローラ10は、また、ASCコントローラ22から入力した自動ブレーキ液圧の指示信号にも応じて、キャリパ6に対して油圧ブレーキ装置4による制動トルクを得るための油圧発生指示信号を出力する。これにより、衝突回避装置20は、障害物に衝突しないように、あるいは衝突したとしても低速となるように、車両を自動制動することができる。
【0021】
また、電動サーボブレーキコントローラ10は、障害物検知装置21から障害物情報を入力する。
本実施形態の車両の制動装置1では、衝突回避装置20による自動ブレーキ(自動制動)の際の、回生ブレーキ装置5及び油圧ブレーキ装置4の制御について特徴を有している。
【0022】
図2は、衝突回避装置20による自動制動時におけるブレーキ切換制御の実行判定要領を示すフローチャートである。
本ルーチンは、電動サーボブレーキコントローラ10において実行され、車両電源オン時、あるいは車両走行中に繰り返し行われる。
始めに、ステップS10では、回生ブレーキトルクがあるか否かを判別する。詳しくは、パワープラント系コントローラ11に指示する回生ブレーキトルクがあるか(0より小さいか)否かを判別し、回生ブレーキトルクがある場合にはステップS20に進む。回生ブレーキトルクがない場合には、本ルーチンを修了する。
【0023】
ステップS20では、衝突可能性があるか否か、即ち障害物検知装置21から障害物情報が入力しているか否かを判別し、障害物情報が入力している場合にはステップS30に進む。障害物情報が入力していな場合には、本ルーチンを終了する。
ステップS30では、回生ブレーキ装置5による回生ブレーキ(回生制動)から油圧ブレーキ(油圧ブレーキ装置4による制動)への切換制御を行う。そして、本ルーチンを終了する。
【0024】
したがって、回生ブレーキトルクがあり、かつ衝突可能性がある場合に、回生ブレーキから油圧ブレーキへの切換制御が行われる。
次に、図3を用いて、回生ブレーキから油圧ブレーキへの切換制御について説明する。
図3は、衝突回避装置20による自動制動時における、油圧ブレーキトルク及び回生ブレーキトルク、及び車両の加速度の推移の一例を示すグラフである。(A)は、回生ブレーキから油圧ブレーキへの切換制御を行わない従来技術での推移を示し、(B)は回生ブレーキから油圧ブレーキへの切換制御を行なう本実施形態での推移を示す。
【0025】
本実施形態の車両は、回生ブレーキ時に、エンブレ回生と協調回生が可能となっている。エンブレ回生は、車両走行中において常に所定の低トルクで制動して、車載機器等の電力を確保するとともに、エンジン駆動車のエンジンブレーキのように下り坂等での速度上昇を抑える機能を有する。
協調回生は、回生ブレーキと油圧ブレーキとを協調制御して行い、応答性の低い回生ブレーキを油圧ブレーキによって補填して、必要な制動トルクを確保する。
【0026】
これらの回生ブレーキ時における油圧ブレーキトルクと、回生ブレーキトルクは、電動サーボブレーキコントローラ10において設定される。
図3では、軽くブレーキを踏み協調回生を行っている状態で、障害物が検知されて衝突回避装置20により強く制動が行われた状況を示している。
図3(A)に示す従来技術では、エンブレ回生による制動トルク(エンブレ回生トルク)及び協調回生による制動トルク(協調回生トルク)は、衝突回避装置20による自動制動とブレーキペダル操作による制動とで区別をつけずに制御される。エンブレ回生トルクは、走行中に常に発生させているので、従来技術では衝突回避のための油圧ブレーキ装置4による制動が開始してからも引き続き発生する。なお、エンブレ回生トルクや協調回生トルクは、バッテリが満充電になった場合に0となる。図3(A)では、エンブレ回生トルクがエンジン停止直前において0となり、協調回生トルクはエンブレ回生トルクが0となる前に0となっている。
このように、図3(A)に示す例では、自動制動中において、例えばバッテリが満充電になった場合に、協調回生トルク及びエンブレ回生トルクが0となる状態が発生する。回生制動トルクが低下したときにその分を補充するように油圧ブレーキが制御されるものの、制御遅れにより瞬間的には車両全体としての制動トルクが低下し、車両加速度が一瞬上昇する現象が発生する(図3中a、b)。
【0027】
一方、本実施形態では、図3(B)に示すように、衝突回避のための油圧ブレーキの制動が開始する前に、エンブレ回生トルク及び協調回生トルクを抑制して0とし、ブレーキトルクを全て油圧ブレーキにすり替える。エンブレ回生トルク及び協調回生トルクの抑制は、障害物検知装置からの障害物詳報を入力して、衝突回避のための油圧ブレーキの制動が開始する前に開始すればよい。
【0028】
以上のように制御することで、本実施形態では衝突回避装置20による衝突回避のための自動制動が行われる前に、エンブレ回生及び協調回生が終了し、その分の制動トルクを油圧ブレーキにより負担させる切換制御を行っておくことで、衝突回避のための自動制動中では油圧ブレーキ装置4による制動のみが行われる。したがって、自動制動中に制動トルクが瞬間的に低下することなく、車両の減速度が変動しないので、違和感の発生を防止することができるとともに、制動距離のバラツキを抑制することができる。
【0029】
また、図3(B)に示すように、エンブレ回生及び協調回生の制動トルクを油圧ブレーキ装置4による制動トルクに切換える際に、エンブレ回生及び協調回生の制動トルクを緩やかに低下させ、その分油圧ブレーキ装置4による制動トルクを徐々に増加させるように制御している。これにより、衝突回避のための制動開始前においても制動トルクの変動を抑制することができる。
【0030】
また、エンブレ回生トルク及び協調回生トルクの低下開始のタイミングについては、
そのときの回生トルクに基づいて変更すればよい。詳しくは、例えばブレーキを踏んでいて回生トルクが大きい場合には早く抑制開始を行い、回生トルクが小さい場合には遅く抑制開始を行えばよい。これにより、回生トルクの大小に拘わらず、衝突回避のための油圧ブレーキの制動開始前に回生による制動力を0にすることができ、自動制動中において確実に制動トルクの変動を防止して車両の減速度の変動を抑えることができる。
【0031】
また、本実施形態では、衝突回避のための油圧ブレーキの制動開始時点に合わせて、エンブレ回生による制動力が0になるように制御されている。また、協調回生による制動トルクの低下開始後にエンブレ回生による制動トルクの低下が開始される。したがって、衝突回避のための制動開始前においてエンブレ回生の時間を極力延ばして、回生発電量の確保に寄与することができる。
【0032】
なお、本発明は、上記実施形態に限定するものではない。例えば衝突回避のための油圧ブレーキの制動開始前に、エンブレ回生のみあるいは協調回生のみ制動トルクを0にして油圧ブレーキに切換えてもよい。
また、衝突回避のための油圧ブレーキの開始等の各種タイミングについては、障害物との距離や、障害物との距離と自車両の速度に基づいて演算される車間時間によって決定すればよく、当該自車両の速度の代わりに自車両と障害物との相対速度や相対減速度を用いて決定してもよい。
【0033】
油圧ブレーキ装置4、回生ブレーキ装置5、衝突回避装置20の詳細な構成についても上記実施形態に限定するものではない。例えば、油圧ブレーキ装置4については、作動油以外の液圧ブレーキ装置でもよいし、その他摩擦によって制動を行う装置でもよい。また、衝突回避装置20については、車両等の障害物を検知して、自動的に制動を行う装置であればよい。
【0034】
本発明は、衝突回避装置、摩擦制動装置及び回生制動装置を備えた車両に広く適用することができる。
【符号の説明】
【0035】
1 制動装置
3 モータ(電動機、回生制動装置)
4 油圧ブレーキ装置(摩擦制動装置)
5 回生ブレーキ装置(回生制動装置)
6 キャリパ(摩擦制動装置)
10 電動サーボブレーキコントローラ(衝突回避装置)
20 衝突回避装置
21 障害物検知装置(障害物検出手段、衝突回避装置)
図1
図2
図3