(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6493668
(24)【登録日】2019年3月15日
(45)【発行日】2019年4月3日
(54)【発明の名称】カメラユニット
(51)【国際特許分類】
H04N 5/232 20060101AFI20190325BHJP
H04N 5/225 20060101ALI20190325BHJP
H04N 17/00 20060101ALI20190325BHJP
G03B 15/00 20060101ALI20190325BHJP
G03B 17/02 20060101ALI20190325BHJP
【FI】
H04N5/232
H04N5/225 100
H04N5/225 600
H04N17/00 200
G03B15/00 V
G03B17/02
【請求項の数】2
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2015-61026(P2015-61026)
(22)【出願日】2015年3月24日
(65)【公開番号】特開2016-181804(P2016-181804A)
(43)【公開日】2016年10月13日
【審査請求日】2017年11月30日
(73)【特許権者】
【識別番号】000006611
【氏名又は名称】株式会社富士通ゼネラル
(74)【代理人】
【識別番号】100105094
【弁理士】
【氏名又は名称】山▲崎▼ 薫
(72)【発明者】
【氏名】関野 宏
【審査官】
佐藤 直樹
(56)【参考文献】
【文献】
特開2002−262158(JP,A)
【文献】
特開2001−298652(JP,A)
【文献】
特開2010−038822(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 5/222−5/257
G03B 15/00
G03B 17/02
H04N 17/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
撮像素子と、
前記撮像素子に向き合う向き合い面を有する線材と、
前記向き合い面を照らす照射源と、
前記照射源からの光で照らされた線材の画像に基づき故障を検出する検出部と
を備えることを特徴とするカメラユニット
【請求項2】
請求項1に記載のカメラユニットにおいて、前記線材は格子状に組まれることを特徴とするカメラユニット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はカメラユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に開示されるように、車両用セキュリティシステムには監視カメラに対して故障診断機能が搭載される。故障診断機能では走行中の2つのタイミングで合計2枚の映像が撮像される。両者が一致すれば、カメラは異常なものとして診断される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−22360号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
監視カメラの映像では同期信号の異常などにより画像が歪んでしまうことがある。あるいは光軸ズレにより撮像範囲が移動してしまうことがある。これらの故障モードでは2つのタイミングで撮像される映像には差が生じ、カメラの故障が検出されることはできない。カメラは正常なものとして診断されてしまう。
【0005】
本発明のいくつかの態様によれば、確実に監視カメラの故障を検出することができるカメラユニットを提供することができる。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の態様は、撮像素子と、前記撮像素子に向き合う向き合い面を有する線材と、前記向き合い面を照らす照射源
と、前記照射源からの光で照らされた線材の画像に基づき故障を検出する検出部とを備えるカメラユニットに関する。
【0007】
被写体に比べて向き合い面の照度は低い。その結果、撮像素子で撮像が実施されても、画像に線材は映り込まない。通常どおりに画像は撮像される。向き合い面が照射源からの光で照らされると、向き合い面の照度は高められる。線材は画像に写り込む。こうして向き合い面の照度の変化に応じて撮像素子の動作は確認されることができる。照射源からの光で照らされ
て線材の画像に変化があれば、監視カメラの故障は検出されることができる。
【0008】
前記線材は格子状に組まれてもよい。こうして線材は撮像領域全体に配置されることができる。画面全体で満遍なく監視カメラの不具合は検出されることができる。
【発明の効果】
【0009】
以上のように開示の態様によれば、確実に監視カメラの故障を検出することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図2】カメラユニットの構造を概略的に示す斜視図である。
【
図3】カメラユニットの回路構成を概略的に示すブロック図である。
【
図4】第1照度および第2照度で線材の写り込みの有無を示す写真である。
【
図5】第1照度および第2照度で線材の写り込みの有無を示す写真である。
【
図6】線材の他の実施形態を概略的に示すカメラユニットの正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、添付図面を参照しつつ本発明の一実施形態を説明する。
【0012】
(1)移動体の構成
図1は移動体の一実施形態としての自動車11を示す。自動車11は車体12を備える。車体12にはドライブレコーダ13が搭載される。ドライブレコーダ13はカメラユニット14を備える。カメラユニット14は例えばフロントガラス15の内側に配置される。カメラユニット14の光軸は車体12の前方に向けられる。カメラユニット14は映像信号を出力する。映像信号で車体12の前方の様子は特定される。カメラユニット14は、後述されるように、自己診断によってカメラユニット14の故障を検出すると、故障通知信号を出力する。
【0013】
ドライブレコーダ13は記憶装置16を備える。記憶装置16はカメラユニット14に接続される。カメラユニット14から記憶装置16に映像信号が供給される。映像信号は記憶装置16に記憶される。記憶装置16には例えば不揮発性メモリやメモリカードが用いられればよい。
【0014】
ドライブレコーダ13は出力端子17を備える。出力端子17は記憶装置16に接続される。出力端子17には例えばパソコンその他の外部機器が接続されることができる。こうして外部機器には出力端子17から映像信号が供給されることができる。外部機器は映像信号に基づき映像を表示することができる。
【0015】
ドライブレコーダ13は警告灯18を備える。警告灯18には例えばLEDが用いられる。警告灯18はカメラユニット14に接続される。警告灯18にはカメラユニット14から故障通知信号が供給される。警告灯18に故障通知信号が供給されると、警告灯18は点灯する。こうしてカメラユニット14の故障はユーザに通知されることができる。
【0016】
(2)カメラユニットの構成
図2に示されるように、カメラユニット14は撮像素子21を備える。撮像素子21は例えば基板22に実装される。撮像素子21には例えばCMOSセンサやCCDといった画像センサが用いられる。撮像素子21は画素ごとに光(可視光線または不可視光線)の強度を検出する。検出された強度に応じて撮像信号は生成される。撮像信号で画像は特定される。基板22には後述される制御部がさらに実装されてもよい。
【0017】
カメラユニット14はレンズホルダ23を備える。レンズホルダ23は例えば樹脂材から形成される。レンズホルダ23は基板22上で撮像素子21を囲む。レンズホルダ23は撮像素子21の前方にレンズ24を保持する。レンズ24の前方でレンズホルダ23にはレンズ24の周囲を囲む様に配置された遮光壁25が形成される。遮光壁25は撮像素子21の前方に入射空間26を区画する。
【0018】
カメラユニット14は検体すなわち線材27を備える。線材27は例えば直径1mm程度の針金で構成される。線材27は遮光壁25の内側に配置される。レンズ24の光軸に直交する平面に沿って線材27の軸線は入射空間26を横切ればよい。
【0019】
線材27は撮像素子21に向き合う向き合い面27aを有する。向き合い面27aは、撮像素子21で検出される光に対して決められた反射率を有すればよい。設置環境では向き合い面27aで第1照度が確立される。向き合い面27aは遮光壁25に囲まれ被写体(例えば監視カメラの前方の風景)から陰になることから、向き合い面27aの第1照度は被写体の照度に比べて低い。
【0020】
カメラユニット14は照射源28を備える。照射源28には例えばLEDが用いられる。照射源28は向き合い面27aを照らす。照射源28から光が照射されると、向き合い面27aで第1照度よりも高い第2照度が確立される。向き合い面27aの照度は高められる。照射源28のオンオフに応じて向き合い面27aは第1照度と第2照度とで簡単に切り替えられることができる。
【0021】
図3に示されるように、カメラユニット14は制御部31を備える。制御部31は撮像素子21に接続される映像処理部32を有する。映像処理部32には撮像素子21から撮像信号が供給される。映像処理部32は撮像信号に基づき映像信号を生成する。映像信号で映像は特定される。
【0022】
制御部31は映像出力部33を有する。映像出力部33は映像処理部32に接続される。映像出力部33には映像処理部32から映像信号が供給される。映像出力部33は画面に合わせて映像信号を出力する。
【0023】
制御部31は検出部34を有する。検出部34は映像処理部32および照射源28に接続される。検出部34には映像処理部32から映像信号が供給される。検出部34は照射源28のオンオフを制御する。検出部34は周期的に照射源28にオン信号を供給する。照射源28はオン信号の供給を受けて光を照射する。検出部34は、照射のタイミングで撮像される画像の映像信号を映像処理部32から取得する。検出部34では照射源28のオン時に画像内で線材27の像が検出される。検出にあたって検出部34では撮像された画像と基準画像とが比較される。基準画像では画面内で線材27の像が描かれる。基準画像は例えば記憶部35から検出部34に取り込まれる。基準画像は例えば実写に基づき生成されればよい。基準画像の生成にあたって検出部34には制御部31の外部から制御信号が入力されることができる。制御信号の供給に応じて検出部34は記憶部35に基準画像を記憶することができる。
【0024】
(3)ドライブレコーダの動作
次にドライブレコーダ13の動作を簡単に説明する。自動車11のエンジンが動作すると、ドライブレコーダ13に電力が供給される。電力の供給を受けてカメラユニット14から映像信号が出力される。映像信号は記憶装置16で記憶される。こうして車体12の前方の様子は記録される。電力の供給が停止すると、映像信号の記録は終了する。記憶装置16には例えば直近5分間の映像信号が残される。出力端子17に例えばパソコンやスマートフォンが接続されると、パソコンやスマートフォンの画面に車体12の前方の様子は映し出されることができる。
【0025】
カメラユニット14では撮像素子21から撮像信号が出力される。照射源28がオフされると、向き合い面27aでは第1照度が確立される。
図4(a)に示されるように、撮像素子21で撮像が実施されても、線材27の向き合い面27aの照度は被写体より低く、かつ撮像素子21に近く、焦点が合っていないため画像に線材27は映り込まない。通常どおりに画像は撮像される。
【0026】
検出部34は周期的に(例えば10秒や1分、5分の間隔で)故障診断を実施する。故障診断にあたって検出部34は照射源28にオン信号を供給する。照射源28がオンされると、向き合い面27aの照度は第1照度から第2照度に切り替わる。向き合い面27aが第2照度で照らされると、向き合い面27aの照度は高められる。
図4(b)に示されるように、線材27は画像に写り込む。検出部34では撮像された画像と基準画像とを例えばパターンマッチング等の手法で比較する。撮像素子21が通常どおりに動作する場合には、2つの画像内で線材27の像は互いに重なりパターンマッチングの結果は一致する。撮像素子21が故障している場合は線材27の像は変形、移動、あるいは消失し、パターンマッチングの結果は一致しない。こうして向き合い面27aの照度の変化に応じて撮像素子21の動作は確認されることができる。
【0027】
図4では、撮像にあたって直径約1mmの針金がレンズ24の前方約1cmに設置され、レンズ24の前方約2mに焦点が合わせられた。その一方で、
図5では、同様に直径約1mmの針金がレンズ24の前方約1cmに設置されたものの、レンズ24の前方約5cmに焦点が合わせられた。
図5(a)に示されるように、第1照度では線材27の写り込みは回避されることが確認された。
図5(b)に示されるように、第2照度では線材27が画像に写り込むことが確認された。
【0028】
撮像素子21の出力が異常となると、検出部34で再現される画像から線材27の像は変形、移動、あるいは消失する。検出部34は線材27の画像と基準画像とを比較しその像が重ならない事を前述したパターンマッチングにより判定する。このとき、検出部34はカメラユニット14の故障を認定する。検出部34は故障通知信号を出力する。故障通知信号は警告灯18に供給される。警告灯18は点灯する。カメラユニット14の故障はユーザに通知される。こうして定期的な故障診断は実現される。
【0029】
例えば光軸がずれるといった具合に物理的にレンズ24にずれが生じると、撮像された画像内で線材27の位置はずれる。撮像画像と基準画像との間で線材27の像は重ならない。こうして検出部34はカメラユニット14の故障を認定する。検出部34は故障通知信号を出力する。撮像素子21で垂直同期や水平同期に不具合が生じると、撮像された画像内で線材27の形状は歪む。したがって、撮像画像と基準画像との間で線材27の像は重ならない。こうして検出部34はカメラユニット14の故障を認定する。
【0030】
基準画像は撮像される。例えば車体12に取り付けた際の初動時や工場出荷時に撮像は実施されればよい。撮像にあたって例えば制御部31の外部から検出部34に制御信号を入力する。検出部34は制御信号の供給に応じて照射源28にオン信号を供給し映像処理部32から映像信号を取得する。撮像された画像には線材27が写り込む。検出部34は取得した画像を記憶部35に保存する。
【0031】
図6に示されるように、線材27は格子状に組まれてもよい。こうして線材27は撮像領域全体に配置されることができる。画面全体で満遍なく撮像素子21の不具合は検出されることができる。
【0032】
(4)他の実施形態
図7は他の実施形態に係る自動車11aを示す。自動車11aには自動運転装置41が搭載される。自動運転装置41は画像認識センサ42を備える。画像認識センサ42は前述のカメラユニット14と同様に構成されればよい。画像認識センサ42は車体12の前方に固定される。画像認識センサ42は例えば車線43の認識にあたって用いられる。画像認識センサ42で撮像された画像で車線43が特定される。自動運転装置41は車線43を辿るようにステアリングを制御する。画像認識センサ42は例えばナビゲーションシステム44に故障通知信号を供給する。ナビゲーションシステム44は、故障通知信号を受信すると、ディスプレイ45の画面上に故障の通知画像を表示する。
【符号の説明】
【0033】
11 移動体(自動車)、11a 移動体(自動車)、21 撮像素子、23 レンズホルダ、25 遮光壁、26 入射空間、27 線材、27a 向き合い面、28 照射源、31 制御部、42 画像認識センサ。