【実施例】
【0052】
以下、実施例により本発明を更に詳細に説明するが、本発明は、その要旨を変更しない限り以下の実施例に限定されるものではない。
【0053】
ニッケルとマグネシウムとアルミニウムとを含有する複合金属酸化物の平均粒子径は走査型電子顕微鏡(SEM)(HITACHI製 S−4800)で確認した。
【0054】
ニッケルとマグネシウムとアルミニウムとを含有する複合金属酸化物の結晶構造はX線解析装置(ブルカー・エイエックスエス製 NEW D8 ADVANCE)を用い、CuのKαの線源を用いて測定・評価した。
【0055】
シート状成形体に抄きこまれるマグネシウムとアルミニウムとを含有する複合金属酸化物に含まれるニッケル、マグネシウム及びアルミニウムの量は、ICPプラズマ発光分析装置(Thermal Fisher製 iCAP−6500DUO)を用いて測定した。
【0056】
ペーパー状触媒構造体に含まれるニッケルの量は、ペーパー状触媒を乳鉢にて粉砕し、ICPプラズマ発光分析装置(Thermal Fisher製 iCAP−6500DUO)を用いて測定した。
【0057】
ペーパー状触媒構造体に含まれるマグネシウムとアルミニウムとを含有する複合金属酸化物上に析出したニッケル微粒子の平均粒子径は走査型電子顕微鏡(SEM)(HITACHI製 S−4800)で観察して測定した。
【0058】
ペーパー状触媒構造体のBET比表面積は「モノソープMS−21(カンタクロム株式会社製)」を用いて窒素吸着によるBET法により測定した。
【0059】
以下の実施例において、使用した原料はそれぞれ次のとおりである。
1.無機繊維
・非晶質シリカ−マグネシア−カルシアを主成分とする生体溶解性繊維 IBIWOOL(登録商標)−E イビデン株式会社製
2.無機バインダ
・アルミナゾル(日産化学工業株式会社製)
・ジルコニアゾル(第一稀元素化学工業株式会社製)
3.イオン性ポリマー
いずれのポリマーも0.2wt%の水溶液に調整して用いた。
・PDADMAC(Polydiallyldimethylammonium chloride, Sigma−Aldrich,Ltd.製)
カチオン性
分子量:約3×10
5
電荷密度:5.5 meq/g
・ポリアクリルアミド(富士化水工業株式会社製)
アニオン性
分子量:約1.2×107
電荷密度:0.83〜1.36 meq/g
4.ニッケルとマグネシウムとアルミニウムとを含有する複合金属酸化物
ニッケルとマグネシウムとアルミニウムとを含有するハイドロタルサイト様の層状複水酸化物を調製し、それぞれ以下のとおりの加熱をしてニッケルとマグネシウムとアルミニウムとを含有する複合金属酸化物を得た。複合金属酸化物A及びBにおいてはX線回折によってスピネル構造が生成していることが確認された。
・ニッケルとマグネシウムとアルミニウムとを含有する複合金属酸化物A
平均粒子径:100nm
Ni含有量:21%
Mg/Al比:3
1000℃加熱処理(3時間)
・ニッケルとマグネシウムとアルミニウムとを含有する複合金属酸化物B
平均粒子径:100nm
Ni含有量:16%
Mg/Al比:2.7
1000℃加熱処理(3時間)
・ニッケルとマグネシウムとアルミニウムとを含有する複合金属酸化物C
平均粒子径:100nm
Ni含有量:16%
Mg/Al比:2.7
600℃加熱処理(3時間)
【0060】
実施例1
無機繊維としてIBIWOOL−E(5g)と600mLの水をミキサーで約3分混合した。次いで、3Lのプラスチックカップにマグネチックスターラーチップ、ニッケルとマグネシウムとアルミニウムとを含有する複合金属酸化物Aを1gと先の混合処理したIBIWOOL−Eのスラリーを投入し、全体で1.5Lの体積になるよう水を加えて約30秒撹拌した。スターラーで攪拌しながらカチオン性ポリマーであるPDADMACの水溶液(0.2wt%)を15.0g投入し、約3分間撹拌した。
【0061】
次いで、焼成後に無機バインダとして機能するアルミナゾル(固形分濃度20wt%)を2.5g加え約30秒間撹拌した。次にアニオン性ポリマーであるポリアクリルアミドポリマーの水溶液(0.2wt%)を32.5g加え約3分間撹拌した。なお、アニオン性ポリマーを投入した瞬間に、無機繊維等が凝集して玉状になる。
【0062】
次に、叩解処理したパルプ(10wt%)2.5gを解繊してスラリーに加え、約3分攪拌した。
【0063】
得られたスラリーを市販の抄紙装置(熊谷理機工業株式会社製)に注ぎ込み、直径160mmの円形のろ過用金属網(200メッシュ)に懸濁混合物を脱水により堆積させた。形成された堆積物をメッシュから剥がし取り、350kPaで3分プレスし、105℃で2時間乾燥させてシート状成形体とし、続いて、大気雰囲気中800℃で5時間の焼成をシート状多孔質成形体を得た。
【0064】
ニッケルとマグネシウムとアルミニウムとを含有する複合金属酸化物からニッケル金属微粒子を還元析出させるために、得られたシート状成形体を20Vol% H
2/N
2中、800℃において5時間還元処理を行い、厚さ約1mmのペーパー状触媒構造体を得た。
【0065】
実施例2
無機繊維としてIBIWOOL−E(5g)と600mLの水をミキサーで約3分混合した。次いで、3Lのプラスチックカップにマグネチックスターラーチップ、ニッケルとマグネシウムとアルミニウムとを含有する複合金属酸化物Aを1gと先の混合処理したIBIWOOL−Eのスラリーを投入し、全体で1.5Lの体積になるよう水を加えて約30秒撹拌した。スターラーで攪拌しながらカチオン性ポリマーであるPDADMACの水溶液(0.2wt%)を15.0g投入し、約3分間撹拌した。
【0066】
次いで、焼成後に無機バインダとして機能するジルコニアゾル(固形分濃度20wt%)を2.5g加え約30秒間撹拌した。次にアニオン性ポリマーであるポリアクリルアミドポリマーの水溶液(0.2wt%)を16.25g加え約3分間撹拌した。なお、アニオン性ポリマーを投入した瞬間に、無機繊維等が凝集して玉状になる。
【0067】
次に、叩解処理したパルプ(10wt%)2.5gを解繊してスラリーに加え、約3分攪拌した。
【0068】
得られたスラリーを市販の抄紙装置(熊谷理機工業株式会社製)に注ぎ込み、直径160mmの円形のろ過用金属網(200メッシュ)に懸濁混合物を脱水により堆積させた。形成された堆積物をメッシュから剥がし取り、350kPaで3分プレスし、105℃で2時間乾燥させてシート状成形体とし、続いて、大気雰囲気中800℃で5時間の焼成を行い、シート状多孔質成形体を得た。
【0069】
ニッケルとマグネシウムとアルミニウムとを含有する複合金属酸化物からニッケル金属微粒子を還元析出させるために、得られたシート状成形体を20Vol% H
2/N
2中、800℃において5時間還元処理を行い、厚さ約1mmのペーパー状触媒構造体を得た。
【0070】
実施例3
無機繊維としてIBIWOOL−E(5g)と600mLの水をミキサーで約3分混合した。次いで、3Lのプラスチックカップにマグネチックスターラーチップ、ニッケルとマグネシウムとアルミニウムとを含有する複合金属酸化物Bを1gと先の混合処理したIBIWOOL−Eのスラリーを投入し、全体で1.5Lの体積になるよう水を加えて約30秒撹拌した。スターラーで攪拌しながらカチオン性ポリマーであるPDADMACの水溶液(0.2wt%)を15.0g投入し、約3分間撹拌した。
【0071】
次いで、焼成後に無機バインダとして機能するアルミナゾル(固形分濃度20wt%)を2.5g加え約30秒間撹拌した。次にアニオン性ポリマーであるポリアクリルアミドポリマーの水溶液(0.2wt%)を32.5g加え約3分間撹拌した。なお、アニオン性ポリマーを投入した瞬間に、無機繊維等が凝集して玉状になる。
【0072】
次に、叩解処理したパルプ(10wt%)2.5gを解繊してスラリーに加え、約3分攪拌した。
【0073】
得られたスラリーを市販の抄紙装置(熊谷理機工業株式会社製)に注ぎ込み、直径160mmの円形のろ過用金属網(200メッシュ)に懸濁混合物を脱水により堆積させた。形成された堆積物をメッシュから剥がし取り、350kPaで3分プレスし、105℃で2時間乾燥させてシート状成形体とし、続いて、大気雰囲気中800℃で5時間の焼成を行い、シート状多孔質成形体を得た。
【0074】
ニッケルとマグネシウムとアルミニウムとを含有する複合金属酸化物からニッケル金属微粒子を還元析出させるために、得られたシート状成形体を20Vol% H
2/N
2中、800℃において5時間還元処理を行い、厚さ約1mmのペーパー状触媒構造体を得た。
【0075】
比較例1
無機繊維としてIBIWOOL−E(5g)と600mLの水をミキサーで約3分混合した。次いで、3Lのプラスチックカップにマグネチックスターラーチップ、ニッケルとマグネシウムとアルミニウムとを含有する複合金属酸化物Cを1gと先の混合処理したIBIWOOL−Eのスラリーを投入し、全体で1.5Lの体積になるよう水を加えて約30秒撹拌した。スターラーで攪拌しながらカチオン性ポリマーであるPDADMACの水溶液(0.2wt%)を15.0g投入し、約3分間撹拌した。
【0076】
次いで、焼成後に無機バインダとして機能するアルミナゾル(固形分濃度20wt%)を2.5g加え約30秒間撹拌した。次にアニオン性ポリマーであるポリアクリルアミドポリマーの水溶液(0.2wt%)を32.5g加え約3分間撹拌した。なお、アニオン性ポリマーを投入した瞬間に、無機繊維等が凝集して玉状になる。
【0077】
次に、叩解処理したパルプ(10wt%)2.5gを解繊してスラリーに加え、約3分攪拌した。
【0078】
得られたスラリーを市販の抄紙装置(熊谷理機工業株式会社製)に注ぎ込み、直径160mmの円形のろ過用金属網(200メッシュ)に懸濁混合物を脱水により堆積させた。形成された堆積物をメッシュから剥がし取り、350kPaで3分プレスし、105℃で2時間乾燥させてシート状成形体とし、続いて、大気雰囲気中800℃で5時間の焼成を行い、シート状多孔質成形体を得た。
【0079】
ニッケルとマグネシウムとアルミニウムとを含有する複合金属酸化物からニッケル金属微粒子を還元析出させるために、得られたシート状成形体を20Vol% H
2/N
2中、
800℃において5時間還元処理を行い、厚さ約1mmのペーパー状触媒構造体を得た。
【0080】
改質試験
実施例1〜3及び比較例1で作製したペーパー状触媒構造体(表1)に対し、メタンガスと水蒸気を通過させ、その触媒性能の評価を行った。
【0081】
ペーパー状触媒構造体(直径20mmの円に切断)を2枚重ね、直径20mmの円筒形の改質性評価装置(
図2)に組み込んで、GHSV 5000h
−1、S/C(Steam/Carbon)比を3に設定し、700℃の反応温度で行い、5時間後と48時間後のメタン転化率の値で性能を評価した(表2)。実施例1〜3では5時間後及び48時間後においても良好なメタン転化率が得られた。比較例1では5時間後に比べ48時間後はメタン転化率の低下が見られた。
【0082】
【表1】
【0083】
【表2】