特許第6493675号(P6493675)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6493675
(24)【登録日】2019年3月15日
(45)【発行日】2019年4月3日
(54)【発明の名称】照明器具
(51)【国際特許分類】
   F21S 8/02 20060101AFI20190325BHJP
   F21Y 101/00 20160101ALN20190325BHJP
【FI】
   F21S8/02 420
   F21Y101:00
【請求項の数】3
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2015-91949(P2015-91949)
(22)【出願日】2015年4月28日
(65)【公開番号】特開2016-207625(P2016-207625A)
(43)【公開日】2016年12月8日
【審査請求日】2017年9月21日
(73)【特許権者】
【識別番号】000003757
【氏名又は名称】東芝ライテック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100062764
【弁理士】
【氏名又は名称】樺澤 襄
(74)【代理人】
【識別番号】100092565
【弁理士】
【氏名又は名称】樺澤 聡
(74)【代理人】
【識別番号】100112449
【弁理士】
【氏名又は名称】山田 哲也
(72)【発明者】
【氏名】一条 祐輔
【審査官】 野木 新治
(56)【参考文献】
【文献】 特開2005−346953(JP,A)
【文献】 特開2010−073490(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F21S 8/02
F21V 23/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
下端周辺部にフランジ部を有する筒状の器具本体と;
前記器具本体の外側面で前記器具本体の中心に対して対称位置に配設される一対の取付ばねと;
前記器具本体の上端側の外径よりも大きくかつ前記フランジ部の外径よりも小さい円形に形成され前記器具本体の上部に配設される天板部、およびこの天板部から前記器具本体の前記フランジ部よりも側方に突出して端子台取付領域を形成する突出部を有し、前記天板部と前記突出部は一体に形成され、前記突出部は前記天板部の外周から接線方向に延びる延長部を有し、この延長部から前記突出部が所定の突出方向に突出し、前記突出部の突出方向に交差する幅は前記天板部の最大よりも狭く、前記突出部の突出方向は前記器具本体の周方向における一対の前記取付ばねの配設方向を0°とすると0°よりも大きくかつ90°よりも小さい範囲内にある天板と;
を具備することを特徴とする照明器具。
【請求項2】
下端周辺部にフランジ部を有する筒状の器具本体と;
前記器具本体の外側面で前記器具本体の中心に対して対称位置に配設される一対の取付ばねと;
前記器具本体の上端側の外径よりも大きくかつ前記フランジ部の外径よりも小さい円形に形成され前記器具本体の上部に配設される天板部、およびこの天板部から前記器具本体の前記フランジ部よりも側方に突出して端子台取付領域を形成する突出部を有し、前記天板部と前記突出部は一体に形成され、前記突出部は前記天板部の外周から接線方向に延びる延長部を有し、この延長部から前記突出部が所定の突出方向に突出し、前記突出部の突出方向に交差する幅は前記天板部の最大よりも狭く、前記突出部は前記器具本体の周方向における一対の前記取付ばねの配設方向を0°とすると0°よりも大きくかつ90°よりも小さい範囲内に突出されている天板と;
を具備することを特徴とする照明器具。
【請求項3】
下端周辺部にフランジ部を有する筒状の器具本体と;
前記器具本体の外側面で前記器具本体の中心に対して対称位置に配設される一対の取付ばねと;
前記器具本体の上端側の外径よりも大きくかつ前記フランジ部の外径よりも小さい円形に形成され前記器具本体の上部に配設される天板部、およびこの天板部から前記器具本体の前記フランジ部よりも側方に突出して端子台取付領域を形成する突出部を有し、前記天板部と前記突出部は一体に形成され、前記突出部は前記天板部の外周から接線方向に延びる延長部を有し、この延長部から前記突出部が所定の突出方向に突出し、前記突出部の突出方向に交差する幅は前記天板部の最大よりも狭く、前記器具本体の周方向における前記突出部の位置は一対の前記取付ばね間であって前記突出部と一方の前記取付ばねとの間の間隔が前記突出部と他方の前記取付ばねとの間の間隔よりも狭い位置にある天板と;
を具備することを特徴とする照明器具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、一対の取付ばねを備えた照明器具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、照明器具として、天井板に埋め込み設置されるダウンライトがある。この照明器具では、筒状の器具本体の側面に天井取付用の取付ばねが配設され、器具本体の上部に天板が取り付けられている。天板には、器具本体の側方に突出して端子台を取り付ける端子台取付領域を形成するための突出部が設けられている。
【0003】
この照明器具では、一対の取付ばねを用いる場合がある。この場合、一対の取付ばねは、器具本体の中心に対して対称位置に配設され、さらに、天板の突出部は、取付ばねとの干渉を避けるために、一対の取付ばねの配設方向に対して直交する方向に突出されている。
【0004】
天板の突出部が一対の取付ばねの配設方向に対して直交する方向に突出されているため、照明器具を天井板に設置する場合、天井裏には一対の取付板および天板の突出部の三方向に、天井裏の梁等の障害物ないことが必要である。
【0005】
そのため、天井裏の障害物によっては、照明器具の設置が制限されることがある。例えば、天井裏に2つの障害物が並んでいる場合、それら2つの障害物の間に照明器具を設置しようとしても、取付ばねまたは天板の突出部が障害物に干渉するため、照明器具の設置が制限される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2011−44412号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明が解決しようとする課題は、設置の制限を緩和することができる照明器具を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
実施形態の照明器具は、筒状の器具本体、一対の取付ばね、および天板を備える。器具本体は、下端周辺部にフランジ部を有する。一対の取付ばねは、器具本体の外側面で器具本体の中心に対して対称位置に配設される。天板は、記器具本体の上端側の外径よりも大きくかつフランジ部の外径よりも小さい円形に形成され器具本体の上部に配設される天板部、および天板部から器具本体のフランジ部よりも側方に突出して端子台取付領域を形成する突出部を有する。天板部と突出部は一体に形成される。突出部は天板部の外周から接線方向に延びる延長部を有し、この延長部から突出部が所定の突出方向に突出する。突出部の突出方向に交差する幅は天板部の最大よりも狭く、突出部の突出方向は器具本体の周方向における一対の取付ばねの配設方向を0°とすると0°よりも大きくかつ90°よりも小さい範囲内にある。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、照明器具の設置の制限を緩和することが期待できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】第1の実施形態を示す照明器具の平面図である。
図2】同上照明器具の上面側の斜視図である。
図3】同上照明器具の下面側の斜視図である。
図4】同上照明器具の施工方法を示す斜視図である。
図5】同上照明器具の図4に続く施工方法を示す斜視図である。
図6】同上照明器具の図5に続く施工方法を示す斜視図である。
図7】同上照明器具の施工状態の平面図である。
図8】第2の実施形態を示す照明器具の平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、一実施形態を、図1ないし図7を参照して説明する。
【0012】
図1ないし図3に示すように、照明器具10は、天井埋込形のダウンライトである。この照明器具10は、光源として着脱可能なランプ装置11を用いている。
【0013】
ランプ装置11は、フラット形であり、上部に例えばGX53形口金が設けられた筐体12、およびこの筐体12の下部に取り付けられた透光カバー13を備え、筐体12内に発光素子および電源回路が内蔵されている。電源回路は、口金を通じて供給される交流電力を所定の直流電力に変換して発光素子に供給し、発光素子を発光させる。発光素子の光は透光カバー13を透過する。
【0014】
そして、照明器具10は、器具本体20、一対の取付ばね21a,21b、天板22、ソケット23および端子台24を備えている。
【0015】
器具本体20は、上下に開口する円筒状に形成され、下端周辺部にはフランジ部27が突設されている。器具本体20の上部から下部に向かって拡径され、器具本体20の内周面に反射面28が形成されている。
【0016】
器具本体20の外側面の下側域には、器具本体20の中心に対して対称位置に取付ばね21a,21bをそれぞれ取り付ける一対の取付部29が設けられている。取付部29は、上方から差し込まれる取付ばね21a,21bの基端を保持するとともに抜け止めするように構成されている。
【0017】
器具本体20の外側面の上側域には、天板22をねじ止めするための複数のボス30が設けられとともに、器具本体20の側方に突出する天板22の領域を支える一対のリブ31が設けられている。一対のリブ31は、一対の取付部29に対して直交する位置に設けられている。器具本体20の上端で一対のリブ31間に、ソケット23と端子台24とを電気的に接続する内部配線を通すための配線溝32が形成されている。
【0018】
また、取付ばね21a,21bは、金属製の板ばねによって構成されている。取付ばね21a,21bの基端には、器具本体20の取付部29に固定される固定部34が形成されている。固定部34は、器具本体20の取付部29に上方から差し込むことによって、取付部29に保持されるとともに抜け止めされるように構成されている。取付ばね21a,21bの先端側には、固定部34から弾性によって器具本体20の側方に展開するアーム部35が形成されている。取付ばね21a,21bの先端には、略L字状の折曲された爪部36か設けられている。
【0019】
取付ばね21a,21bは、取付ばね21a,21bを弾性変形させて器具本体20の側面に沿わせた際(施工時)に、取付ばね21a,21bの先端が器具本体20の上部すなわち天板22よりも上方に突出する寸法関係にある。
【0020】
また、天板22は、金属板によって構成されている。天板22は、器具本体20の上部に配設される天板部39、およびこの天板部39から突出する突出部40を有している。
【0021】
天板部39は、器具本体20の上端の外形よりも少し大きな円形に形成され、器具本体20の各ボス30に螺着される複数のねじによって器具本体20に固定されている。
【0022】
突出部40は、天板部39から器具本体20よりも側方に突出して、端子台24を取り付ける端子台取付領域41を形成している。突出部40の突出方向に対して交差する両側には、補強のための縁部42が折曲されている。突出部40は、器具本体20のリブ31によって支えられている。
【0023】
突出部40の突出方向に交差する幅は、天板部39の最大幅すなわち最大径よりも狭い。また、突出部40は、一対の取付ばね21a,21bの配設方向に対して非対称形状であり、一対の取付ばね21a,21bの配設方向に直交する方向の中心線からずれた位置に配設されている。すなわち、器具本体20の周方向における突出部40の位置は一対の取付ばね21a,21b間であって突出部40と一方の取付ばね21aとの間の間隔または角度が突出部40と他方の取付ばね21bとの間の間隔または角度よりも狭い位置にある。
【0024】
図1に示すように、突出部40の突出方向は、器具本体20の周方向における一対の取付ばね21a,21bの配設方向を0°とすると、0°よりも大きく、かつ、一対の取付ばね21a,21bの配設方向に対して直交する90°よりも小さい範囲内にある。突出部40が0°の方向に突出されていると、突出部40に一方の取付ばね21aが干渉し、また、突出部40が90°の方向に突出されていると、一対の取付ばね21a,21bに直交する側方への突出部40の突出量が大きく、照明器具10の設置が制限されやすい。また、照明器具10の設置の制限を緩和することを考慮すると、突出部40は一方の取付ばね21aと干渉しない範囲で一方の取付ばね21aに近い方が好ましく、そのため、より好ましい範囲は0°よりも大きくかつ45°よりも小さい範囲内であり、本実施形態での角度αは30°である。
【0025】
突出部40は、天板部39の外周から接線方向に延びる延長部43を有し、この延長部43から所定の突出方向へ向けて突出されている。
【0026】
また、ソケット23は、ランプ装置11のGX53形口金を着脱可能に装着する。ソケット23は、環状のソケット本体46、およびこのソケット本体46内に配設された端子を有している。そして、ソケット23にランプ装置11を装着することにより、ソケット23の端子とランプ装置11の口金に設けられた電極ピンとが電気的に接続されるとともに、ソケット本体46でランプ装置11を機械的に保持するように構成されている。
【0027】
また、端子台24は、天板22の突出部40の下面で端子台取付領域41に取り付けられている。端子台24とソケット23との間が内部配線によって電気的に接続されている。突出部40の突出方向に対応した端子台24の外面に、電源線が挿入されて電気的に接続される電線接続部49が設けられている。
【0028】
次に、照明器具10の施工方法について図4ないし図6を参照して説明する。
【0029】
照明器具10は、図5および図6に示すように、天井板60に設けられた埋込孔61に埋め込み設置する。
【0030】
まず、天井裏に配線されている電源線を埋込孔61から天井板60の下方に引き出し、照明器具10の端子台24に接続する。
【0031】
続いて、図4に矢印で示すように、器具本体20の側方に展開している一対の取付ばね21a,21bを弾性変形させて器具本体20の側面に沿わせた状態に押え付ける。
【0032】
続いて、図5に示すように、照明器具10の天板22の突出部40およびこの天板22の突出部40に近い一方の取付ばね21aの先端を上方へ向けた姿勢として、これら突出部40および一方の取付ばね21aの先端を埋込孔61に下方から挿入する。
【0033】
他方の取付ばね21bが上昇するように器具本体20を回動させながら、天板22を徐々に埋込孔61に挿入するとともに、他方の取付ばね21bの先端を埋込孔61に下方から挿入する。
【0034】
続いて、図6に示すように、天板22の突出部40が天井板60の上方域に配置するとともに一対の取付ばね21a,21bの先端がそれぞれ埋込孔61に挿入した状態で、器具本体20への一対の取付ばね21a,21bの押え付けを解除し、一対の器具本体20を上方に押し上げる。これにより、一対の取付ばね21a,21bが器具本体20の側方に展開しようとする弾性によって、一対の取付ばね21a,21bが天井板60の埋込孔61の上縁に当接して器具本体20を上方へ引き上げ、フランジ部27が天井板60の下面に当接する。そして、一対の取付ばね21a,21bとフランジ部27との間で天井板60を挟み込んだ状態で器具本体10が天井板60に取り付けられ、照明器具10の施工が完了する。
【0035】
また、例えば、図7に示すように、天井裏に梁等の2つの障害物62が比較的近い距離で並んで配設されている場合でも、それら2つの障害物62の間に照明器具10を設置することができる。
【0036】
この場合、施工時において、図5に示したように、突出部40および一方の取付ばね21aの先端を埋込孔61に挿入する際に、器具本体20を周方向に回動させながら、突出部40および一方の取付ばね21aの先端を障害物62から避けるようにすることにより、障害物62の影響なく、照明器具10を天井板60に設置することかできる。
【0037】
このように、本実施形態の照明器具10では、突出部40の突出方向は、器具本体20の周方向における一対の取付ばね21a,21bの配設方向を0°とすると、0°よりも大きく、かつ、一対の取付ばね21a,21bの配設方向に対して直交する90°よりも小さい範囲内にあるため、または、器具本体20の周方向における突出部40の位置は一対の取付ばね21a,21b間であって突出部40と一方の取付ばね21aとの間の間隔または角度が突出部40と他方の取付ばね21bとの間の間隔または角度よりも狭い位置にあるため、照明器具10の設置の制限を緩和することができる。
【0038】
さらに、照明器具10の設置の制限をより確実に緩和することを考慮すると、突出部40は一方の取付ばね21aと干渉しない範囲で一方の取付ばね21aに近い方が好ましい。そのため、範囲は0°よりも大きくかつ45°よりも小さい範囲が好ましく、例えば30°であれば、照明器具10の設置の制限をより確実に緩和することができる。
【0039】
また、突出部40は、天板部39の外周から接線方向に延びる延長部43を有し、この延長部43から所定の突出方向へ向けて突出されているため、図3に示すように、突出部40に、器具本体20側すなわちソケット23と端子台24との内部配線の配線スペースを確保することができる。
【0040】
次に、図8に第2の実施形態を示す。なお、第1の実施形態と同じ構成については、同じ部号を用いてその構成および作用効果の説明を省略する。
【0041】
天板22の突出部40は一方の取付ばね21aと平行に突出する。
【0042】
この場合、突出部40は、器具本体20の周方向における一対の取付ばね21a,21bの配設方向を0°とすると、0°よりも大きくかつ90°よりも小さい範囲内に突出されている。
【0043】
そして、この場合にも、器具本体20の周方向における突出部40の位置は一対の取付ばね21a,21b間であって突出部40と一方の取付ばね21aとの間の間隔または角度が突出部40と他方の取付ばね21bとの間の間隔または角度よりも狭い位置にある。
【0044】
したがって、第2の実施形態の照明器具10においても、上述した第1の実施形態と同様の作用効果を奏する。
【0045】
なお、照明器具10は、ランプ装置11を着脱可能としたものに限らず、光源を器具本体20または天板22に固定したものでもよい。この場合、電源回路は天板22の突出部40に端子台24とともに取り付けてもよい。
【0046】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0047】
10 照明器具
20 器具本体
21a,21b 取付ばね
22 天板
27 フランジ部
39 天板部
40 突出部
41 端子台取付領域
43 延長部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8