特許第6493679号(P6493679)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6493679
(24)【登録日】2019年3月15日
(45)【発行日】2019年4月3日
(54)【発明の名称】銅粉の回収方法
(51)【国際特許分類】
   C22B 15/00 20060101AFI20190325BHJP
   C22B 3/46 20060101ALI20190325BHJP
   C22B 7/00 20060101ALI20190325BHJP
   C02F 1/70 20060101ALI20190325BHJP
【FI】
   C22B15/00 107
   C22B3/46
   C22B7/00 G
   C02F1/70 A
【請求項の数】7
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2015-165676(P2015-165676)
(22)【出願日】2015年8月25日
(65)【公開番号】特開2017-43797(P2017-43797A)
(43)【公開日】2017年3月2日
【審査請求日】2018年4月12日
(73)【特許権者】
【識別番号】000003034
【氏名又は名称】東亞合成株式会社
(72)【発明者】
【氏名】宮田 勇悟
【審査官】 荒木 英則
(56)【参考文献】
【文献】 特開昭61−079706(JP,A)
【文献】 特開平07−138620(JP,A)
【文献】 特開平03−002302(JP,A)
【文献】 米国特許第05306328(US,A)
【文献】 特開平09−156930(JP,A)
【文献】 特開昭61−079707(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C22B 15/00
C22B 3/00− 3/46
C22B 7/00
C02F 1/00− 1/70
B22F 9/00− 9/24
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
銅イオンを含む液に、アトマイズ鉄粉を含む鉄粉を添加して銅粉を析出させた後、析出した銅粉を分離する工程を含む銅粉の回収方法において、
前記アトマイズ鉄粉を含む鉄粉の添加量が、前記銅イオンを含む液に存在する銅イオンおよび塩酸に対する理論反応量の0.4〜0.6倍であることを特徴とする銅粉の回収方法。
【請求項2】
前記鉄粉を添加して銅粉を析出させる時の液温が、50〜80℃の範囲である請求項1に記載の銅粉の回収方法。
【請求項3】
前記鉄粉の全量がアトマイズ鉄粉である請求項1または請求項2に記載の銅粉の回収方法。
【請求項4】
銅イオンを含む液に、アトマイズ鉄粉を含む鉄粉を添加して銅粉を析出させた後、析出した銅粉を分離する工程(1)と、
工程(1)で銅粉を分離した液に、さらにアトマイズ鉄粉を含む鉄粉を添加して銅粉を析出させた後、銅粉を分離する工程(2)と、
を含む銅粉の回収方法。
【請求項5】
工程(1)におけるアトマイズ鉄粉を含む鉄粉の添加量が、銅イオンを含む液に存在する銅イオンおよび塩酸に対する理論反応量の0.4〜0.6倍であり、工程(2)におけるアトマイズ鉄粉を含む鉄粉の添加量が、工程(1)で銅粉を分離する前の液に存在する銅イオンおよび塩酸に対する理論反応量の0.3〜0.4倍である請求項4に記載の銅粉の回収方法。
【請求項6】
工程(1)および工程(2)における鉄粉を添加して銅粉を析出させる時の液温が、50〜80℃の範囲であることを特徴とする請求項4または請求項5のいずれかに記載の銅粉の回収方法。
【請求項7】
前記工程(1)および工程(2)の鉄粉の全量がアトマイズ鉄粉である請求項4〜請求項6のいずれかに記載の銅粉の回収方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プリント基板等に使用される硫酸銅電解めっき向けの補給銅源である易溶性酸化銅の原料などに利用される銅粉に関し、銅イオンを含む液から不純物含有量が少ない高純度銅粉を回収する方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
プリント基板等のエッチング剤に使用された塩化第二鉄エッチング廃液には、エッチング生成物である塩化第一鉄の他に、銅イオン、ニッケルイオン、クロムイオンなどの金属イオンが存在する。このため、エッチング廃液から有価な金属である銅を回収し有効利用を図ることが行われている。
また、塩化第二鉄エッチング廃液に限らず、銅イオンを含む液から銅粉を回収・再利用する検討が行われている。
【0003】
例えば、銅、ニッケル、クロムを含む塩化第二鉄廃液に鉄を添加して、廃液中
に残る塩化第二鉄を塩化第一鉄に還元する還元工程と、前記工程で得られた液に鉄を添加して、銅を析出させて分離することが記載されている(特許文献1)。
【0004】
また、銅イオンとクロロシラン類とを含有するシラン廃液の廃液処理方法として、前記シラン廃液を加水分解して加水分解液とする工程と、前記加水分解液のpHを、該加水分解液がゲル化しない範囲に維持した状態で、無酸素雰囲気下にて該加水分解液中に鉄粉を添加することにより、該加水分解液中に含まれる銅イオンを還元して金属銅として析出させることが記載されている(特許文献2)。
【0005】
また、銅がイオン状態で含有されている被処理液に、銅金属よりもイオン化傾向が大きい鉄を析出用金属として添加し、イオン化傾向の差異により前記被処理液中に含有される銅金属を鉄金属の表面に析出させ、剥離手段によって鉄金属から銅金属を剥離して回収することが記載されている(特許文献3)。
【0006】
しかしながら、上記特許文献1〜特許文献3に記載の方法で得られる銅粉には、被処理液および添加する鉄粉に由来する不純物が含まれるため、易溶性酸化銅として使用するには、さらに、不純物を取り除くための銅粉の精製が必要である。
例えば、特許文献1において、塩化第一鉄液に鉄粉を、一次還元液中に含まれる銅の1.2〜1.7倍当量および塩酸の1倍当量を合わせた量を添加しているため、分離された銅には、銅イオンよりイオン化傾向の低いニッケルやクロムが不純物として多く含まれる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開平9−156930号公報
【特許文献2】特開2010−284579号公報
【特許文献3】特開2008−93633号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、上記の状況を鑑み、銅イオンを含む液から銅粉を回収するに際し、簡易な方法で、かつ、不純物の含有量の少ない銅粉を得る回収方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者は、上記の課題を解決するために鋭意検討した結果、銅イオンを含む液に添加する鉄粉の添加量などの条件を限定することにより、マンガン、クロム、スズ、ニッケル、鉄などの不純物の含有量が少ない銅粉が得られることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0010】
すなわち、本発明に係る第1形態は、銅イオンを含む液に、アトマイズ鉄粉を含む鉄粉を添加して銅粉を析出させた後、析出した銅粉を分離する工程を含む銅粉の回収方法において、
前記アトマイズ鉄粉を含む鉄粉の添加量が、前記銅イオンを含む液に存在する銅イオンおよび塩酸に対する理論反応量の0.4〜0.6倍であることを特徴とする銅粉の回収方法である。
【0011】
また、本発明に係る第2形態は、銅イオンを含む液に、アトマイズ鉄粉を含む鉄粉を添加して銅粉を析出させた後、析出した銅粉を分離する工程(1)と、
工程(1)で銅粉を分離した液に、さらにアトマイズ鉄粉を含む鉄粉を添加して銅粉を析出させた後、銅粉を分離する工程(2)と、を含む銅粉の回収方法である。
【0012】
さらに、上記第1形態および第2形態において、アトマイズ鉄粉を含む鉄粉を
添加して銅粉を析出させる時の液温を特定な範囲とする、また、使用する鉄粉の種類などを特定する発明である。
【発明の効果】
【0013】
本発明の銅粉の回収方法は、銅イオンを含む液から銅粉を回収・再利用する方法であり、簡易な方法で不純物の少ない銅粉を得ることができ、得られた銅粉は
硫酸銅電解めっき向け易溶性酸化銅の原料などに利用できる。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明についてさらに詳しく説明する。
本発明における銅イオンを含む液について特に限定はないが、本発明の目的から銅イオンを含む各種廃液を用いることが好ましく、具体的には、エッチングに用いられた廃液が挙げられ、銅イオンの他にニッケル、クロム等を含む塩化第二鉄廃液、およびシラン類の製造工程で排出される銅イオンとクロロシラン類を含むシラン廃液などが例示される。
【0015】
本発明における銅粉の回収方法は、鉄と銅のイオン化傾向の差の利用した方法であり、さらに、銅イオンを含む液に含まれる、不純物であるマンガン、ニッケル、スズおよびクロムなどと、銅とのイオン化傾向の差を利用して、これらの不純物金属の析出を少なくする方法である。
例えば、銅イオンを含む塩化第二鉄廃液に鉄粉を添加することにより、以下の反応式(1)および反応式(2)が進行して銅粉が析出する。
CuCl2 + Fe → Cu + FeCl2 (1)
2HCl + Fe → FeCl2 + H2 (2)
上記反応において、イオン化傾向の違いによりマンガン、ニッケル、スズおよびクロムよりも金属になりやすい銅が、マンガン、ニッケル、スズおよびクロムより優先して銅粉として析出させる条件にすることが重要である。
【0016】
本発明において、銅イオンを含む液に添加する鉄粉はアトマイズ鉄粉を含む鉄粉であり、例えば、アトマイズ鉄粉と還元鉄粉との混合鉄粉を用いることができる。
還元鉄粉とアトマイズ鉄粉の混合鉄粉を用いる場合は、混合鉄粉全体におけるアトマイズ鉄粉の割合が15質量%以上であることが好ましく、鉄粉の全量がアトマイズ鉄粉であることが特に好ましい。
アトマイズ鉄粉は、溶融した鉄に水や空気を吹き付けて粉末化した鉄粉であるため、従来技術で使用されている還元鉄粉と比較して、比表面積が小さく、そのため、還元鉄粉に比べて、上記式(1)における反応活性が低いことを本発明者は見出した。
【0017】
すなわち、還元鉄粉の代わりにアトマイズ鉄粉を含む鉄粉を用いることで、式(1)の副反応で生じるマンガン、ニッケル、スズおよびクロムなどの析出を抑えることができる。例えば、ニッケルは、銅と同様に、下記式(3)によりニッケル金属として析出するが、アトマイズ鉄粉を含む鉄粉を用いることで、還元鉄粉を使用する場合と比較して、反応の進行を抑えることができる。
NiCl2 + Fe → Ni + FeCl2 (3)
【0018】
銅イオンを含む液に対するアトマイズ鉄粉を含む鉄粉の添加量は、銅イオンを含む液に存在する銅イオンおよび塩酸に対する理論反応量の0.4〜0.6倍であり、更に好ましくは0.45〜0.55倍である。
アトマイズ鉄粉を含む鉄粉の添加量が、銅イオンおよび塩酸に対する理論反応量の0.4倍未満であると銅の析出量が少なく回収効率が悪くなり、0.6倍を越えるとマンガン、ニッケル、スズ、クロムなどの不純物金属の析出量が増加する。
【0019】
銅イオンを含む液に存在する銅イオンおよび塩酸に対する理論反応量とは、前記式(1)および式(2)に基づくもので、銅と鉄は同モルで反応して、塩酸2モルに対して鉄1モルで反応するので、例えば、銅がaモル、塩酸がbモル存在する液に対する鉄の理論反応量は、(a+b/2)モルになる。
【0020】
アトマイズ鉄粉を含む鉄粉を、銅イオンを含む液に添加して銅粉を析出させる時の液の温度は、50〜80℃であることが好ましく、更に好ましくは50〜75℃である。
銅粉を析出させる液温が50℃未満であると鉄、マンガン、クロムなどの不純物金属の析出量が増加する恐れがあり、80℃を越えると多量の水および塩酸が蒸発する恐れがあり作業性に問題がある。
【0021】
さらに、本発明の銅粉の回収方法は、次の2つの回収工程を組み合わせた方法が望ましい。
工程(1):銅イオンを含む液に、アトマイズ鉄粉を含む鉄粉を添加して銅粉を析出させた後、析出した銅粉を分離する工程
工程(2):前記工程(1)で銅粉を分離した液に、さらにアトマイズ鉄粉を含む鉄粉を添加して銅粉を析出させた後、銅粉を分離する工程
上記の2つの工程により、銅イオンを含む液から繰り返し銅粉を析出させることにより、不純分金属の含有量が少ない銅粉の収量を増加することができる。
【0022】
さらに、前記工程(1)におけるアトマイズ鉄粉を含む鉄粉の添加量が、銅イオンを含む液中の銅イオンおよび塩酸に対する理論反応量の0.4〜0.6倍であることが好ましく、前記工程(2)におけるアトマイズ鉄粉を含む鉄粉の添加量が、工程(1)で銅粉を分離する前の液に存在する銅イオンおよび塩酸に対する理論反応量の0.3〜0.4倍であることが好ましい。
工程(1)において、アトマイズ鉄粉を含む鉄粉の添加量が、0.4倍未満であると銅の析出量が少なく回収効率が悪くなり、0.6倍を越えるとニッケル、クロムなどの不純物金属の析出量が増加する恐れがある。
工程(2)において、アトマイズ鉄粉を含む鉄粉の添加量が、0.3倍未満であると銅の析出量が少なく回収効率が悪くなり、0.4倍を越えるとニッケル、クロムなどの不純物金属の析出量が増加する恐れがある。
【0023】
本発明の銅粉の回収方法は、前記のとおり、銅が銅イオンとして溶解している溶液に、アトマイズ鉄粉を含む鉄粉を添加することで、鉄と銅のイオン化傾向の違いにより銅粉が析出される原理を利用したものである。
従来の技術と比較して、鉄粉の種類を反応活性の小さいアトマイズ鉄粉を含む鉄粉にすること、さらにアトマイズ鉄粉を含む鉄粉の添加割合を限定すること、および銅粉を析出させる液温を限定することにより、エッチング廃液等の銅イオンが溶解する液から不純物金属の含有量の少ない銅粉を回収することができる。
【0024】
本発明の回収方法において、得られたスラリー状液体から、ろ過および加熱乾燥することで、不純物金属が少ない銅粉を回収することができる。ろ過および加熱乾燥については、公知の装置および条件が適用できる。
回収された銅粉に含まれる不純物金属としては、原料に相当する銅イオンを含む液に影響されるが、例えば、鉄、マンガン、ニッケル、スズ、クロムなどが挙げられ、これらの中でも、最も多い不純物金属は鉄である。
本発明の方法によれば、銅粉に含まれる鉄の含有量を5000ppm以下にすることができるので、特に精製をすることなく、易溶性酸化銅の原料として使用可能である。
【実施例】
【0025】
以下、実施例および比較例により、本発明を具体的に説明する。
<実施例1>
プリント基板のエッチングに使用した塩化第二鉄廃液(銅イオン:3.4質量%、塩酸:1.5質量%)40g(銅イオンおよび塩酸に対する理論反応量は0.0296モル)を100mLのポリテトラフルオロエチレン(PTFE)製のビーカーに入れた。
ビーカーをウォーターバスで加温しながら、ビーカー内の液をスリーワンモーター・PTFE製攪拌羽で撹拌した。
液温が75℃になった時点において、還元鉄粉(JFEスチール社製、TK−H−C)0.690gとアトマイズ鉄粉(神戸製鋼所社製、91NN)0.138gの混合鉄粉(0.0148モル)を塩化第二鉄廃液に添加した。液温を75℃に1時間保持した後、加温と撹拌を停止した。
【0026】
得られた銅粉が沈殿した液体を、PTFE製ロートと桐山ろ紙No.4(強酸用)を使用して吸引ろ過した。ロート内に蒸留水50mLを加えてスポイトで銅粉を分散させ、ろ過中にさらに蒸留水を50mL加えながら吸引ろ過を行なった。
ろ過により得られた銅粉を、PTFE製時計皿に入れて、80℃で30分間乾燥させて銅粉を0.90g得た。
得られた銅粉を硝酸・塩酸混合液に溶解し、ICP−AES装置で測定した結果、鉄の含有量は2000ppmであった。その他の金属の含有量は表1のとおりであった。
【0027】
<実施例2>
還元鉄粉0.552gとアトマイズ鉄粉0.110gの混合鉄粉(0.0118モル)を用いた以外は実施例1と同じ方法で銅粉の回収を行ない、銅粉を0.55g得た。
得られた銅粉における、鉄の含有量は3000ppmであり、その他の金属の含有量は表1のとおりであった。
【0028】
<実施例3>
還元鉄粉0.828gとアトマイズ鉄粉0.166gの混合鉄粉(0.0178モル)を用いた以外は実施例1と同じ方法で銅粉の回収を行ない、銅粉を1.12g得た。
得られた銅粉における、鉄の含有量は4500ppmであり、その他の金属の含有量は表1のとおりであった。
【0029】
<比較例1>
還元鉄粉0.414gとアトマイズ鉄粉0.083gの混合鉄粉(0.0089モル)を用いた以外は実施例1と同じ方法で銅粉の回収を行ない、銅粉を0.14g得た。
得られた銅粉における、鉄の含有量は5600ppmであり、その他の金属の含有量は表1のとおりであった。
【0030】
<比較例2>
還元鉄粉0.966gとアトマイズ鉄粉0.193gの混合鉄粉(0.0208モル)を用いた以外は実施例1と同じ方法で銅粉の回収を行ない、銅粉を1.25g得た。
得られた銅粉における、鉄の含有量は6900ppmであり、その他の金属の含有量は表1のとおりであった。
【0031】
<比較例3>
還元鉄粉1.242gとアトマイズ鉄粉0.248gの混合鉄粉(0.0266モル)を用いた以外は実施例1と同じ方法で銅粉の回収を行ない、銅粉を1.33g得た。
得られた銅粉における、鉄の含有量は41000ppmであり、その他の金属の含有量は表1のとおりであった。
【0032】
<実施例4>
鉄粉としてアトマイズ鉄粉0.828g(0.0148モル)のみを用いた以外は実施例1と同じ方法で銅粉の回収を行ない、銅粉を0.93g得た。
得られた銅粉における、鉄の含有量は5ppmであり、その他の金属の含有量は表1のとおりであった。
【0033】
<実施例5>
液温が50℃である以外は、実施例1と同じ方法で銅粉の回収を行ない、銅粉を0.88g得た。
得られた銅粉における、鉄の含有量は220ppmであり、その他の金属の含有量は表1のとおりであった。
【0034】
<実施例6>
液温が60℃である以外は、実施例1と同じ方法で銅粉の回収を行ない、銅粉を0.85g得た。
得られた銅粉における、鉄の含有量は490ppmであり、その他の金属の含有量は表1のとおりであった。
【0035】
<参考例>
実施例5で銅粉を分離した後のろ液に、アトマイズ鉄粉を0.497g(0.0089モル)を用いて、実施例1と同じ方法で銅粉の回収を行ない、銅粉を0.35g得た。
得られた銅粉における、鉄の含有量は14000ppmであり、その他の金属の含有量は表1のとおりであった。
【0036】
【表1】
【0037】
実施例1〜実施例6の条件で得られた銅粉における鉄の含有量は5000ppm以下であり、マンガン、クロム、ニッケル、スズの含有量も比較例に比べて少ないことがわかる。
【産業上の利用可能性】
【0038】
本発明の銅粉の回収方法は、簡易な方法で不純物の少ない銅粉を得ることができ、得られた銅粉は硫酸銅電解めっき向け易溶性酸化銅の原料などに利用可能である。