(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記開閉機構は、前記計量カップをそれぞれ閉じるように付勢する付勢手段と、前記充填ノズルが一方の計量カップ側から前記仕切り部材を超えて他方の計量カップ側に移動されることにより前記付勢手段に抗していずれか一方の計量カップを開かせる計量カップ開放機構とを有していることを特徴とする請求項1に記載の計量分配装置。
前記計量カップにより計量・分配された粉粒体を取り出すタイミングに応じて、いずれか一方の計量カップを開かせるよう前記計量カップ開放機構を制御する制御手段を有していることを特徴とする請求項2に記載の計量分配装置。
前記各計量カップと対応して対の取り出し口を有しており、前記両計量カップから排出された粉粒体を受け取って一方の取り出し口から取り出し、また、前記各計量カップから排出された粉粒体をそれぞれ受け取って一方と他方の取り出し口から個別に取り出すことが可能な取り出し機構を備えていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の計量分配装置。
前記各計量カップは、前記粉粒体を分配する任意の容積に応じて複数の大きさで成形されており、着脱可能に取り付けられていることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の計量分配装置。
【背景技術】
【0002】
計量分配装置に関する従来の技術としては、たとえば特許文献1が知られている。特許文献1には、粉末原料が入ったホッパーの下に多列構成の落下筒を設け、この各列毎の落下筒に対して首振り回転可能に嵌め込まれた各列毎の充填筒を取り付け、この充填筒の垂直直下には、充填筒最下端を塞ぐように各列毎の中央仕切り板を配設し、この中央仕切り板を挟んで各列毎の二つの三角ポケットシャッターを付設した多列原料供給機構であって、前記充填筒が中央仕切り板の上に位置すると、充填筒からの粉末原料の投入が停止され、前記充填筒が一方の三角ポケットシャッターの方に回転すると、閉じられた一方の三角ポケットシャッター内に粉末原料が投入されて一定量に計量されると共に、他方の三角ポケットシャッターを開放して、計量済みの粉末原料が配下の包装袋内に充填され、前記充填筒が他方の三角ポケットシャッターの方に回転すると、閉じられた他方の三角ポケットシャッター内に粉末原料が投入されて一定量に計量されると共に、一方の三角ポケットシャッターを開放して、計量済みの粉末原料が配下の包装袋内に充填されることなどを特徴とする多列原料供給機構が開示されている。そして、特許文献1には、「一度に複数列のスティック包装袋を自動的にシール成形することができる多列スティックタイプ自動包装機の技術分野に属するものであって、具体的には、この自動包装機における原料計量供給機構に関するものである。」などと記載されている(0001)。すなわち、特許文献1では、粉末原料を計量し充填する対象がスティック状の包装袋であることから、かかるスティック状の包装袋に対して粉末材料を計量し充填する量は比較的少量である。
【0003】
そして、特許文献1には、落下筒と充填筒は首振り回転可能にはめ込まれていること、充填筒が垂直位置に設定された状態で、充填筒の最下端が中央仕切り板28によって塞がれた状態となって原料投入動作が停止することが記載されている(0026)。すなわち、特許文献1における多列原料供給機構は、
図8に示すように、充填筒101が搖動することにより三角ポケットシャッタ103A、103Bに粉末原料Pを振り分け供給するよう構成されており、また、中央仕切り板102が充填筒101の最下端を塞ぐことができる厚さで成形されている。
【0004】
特許文献1に開示された多列原料供給機構では、
図8を参照すると、充填筒101を側面視右方向に回転させて、一方の三角ポケットシャッター103A内にホッパー内の粉末原料Pを投入して原料計量動作を行う。このとき、一方の三角ポケットシャッター103Aは、中央仕切板102に接するように付勢されている。粉末原料Pが充填筒101の最下端の位置まで充満した状態で落下停止になる。この落下停止になった分量の粉末原料Pが原料供給機構における計量結果であり、計量された粉末原料Pは一方の三角ポケットシャッター103A内に保持されている(0034)。そして、このとき他方の三角ポケットシャッター103Bは、回転軸140を中心に回動されて開放されており、その中に計量され収容されていた粉末原料Pが排出されている。
【0005】
その後、他方の三角ポケットシャッター103Bは、中央仕切板102に接するように回転軸140を中心に回動させて閉じ、充填筒101を側面視左方向に回転させ、他方の三角ポケットシャッター103Bに粉末原料Pを投入する。このとき、充填筒101の先端が中央仕切板102を超える際に粉末原料Pが中央仕切板102によるすり切り動作を経ることとなる(0038)。そして、このとき一方の三角ポケットシャッター103Aは、軸140を中心に回動して開放され、先に一方の三角ポケットシャッター103A内に計量され収容されていた粉末原料Pが排出される。
【0006】
また、計量分配装置に関する別の従来の技術として、
図9に示すように、材料供給口201と材料排出口202とを有する外筒部材200と、分配する粉粒体Pの量に応じた容積を形成する空洞部204を有し、外筒部材200内に移動可能に挿通される計量部材203と、この計量部材203の空洞部204を外筒部材200の材料供給口201と材料排出口202とに整合させるように外筒部材200内で計量部材203を移動させる移動手段205とを備えたものが知られている(たとえば特許文献2)。
図9に示した紛体分配装置(以下、このように構成された紛体分配装置を横スライド方式という)では、材料供給口201は、外筒部材200の上部に形成されており、粉粒体Pが投入されるホッパ206と接続されている。材料排出口202は、外筒部材200の軸方向に材料供給口201と重ならない位置であって外筒部材200の下方に形成されている。このように構成された紛体分配装置では、
図9の(a)に示すように、計量部材203の空洞部204を外筒部材200の材料供給口201に整合させると、ホッパ206から材料供給口201を介して計量部材203の空洞部204に粉粒体Pを供給する。空洞部204内には所定量に粉粒体Pが充填されることとなる。そして、
図9の(b)に示すように、移動手段205により計量部材203を移動させて空洞部204を材料排出口202に整合させると、空洞部204に収容された所定量の粉粒体Pが材料排出口202から排出されることとなる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、上記従来の技術のうち、特許文献1に開示された多列原料供給機構にあっては、充填筒を回転させる(つまり、搖動させる)ものであったため、
図8に示すように、充填筒101の下端の移動軌跡が円弧を描くこととなる。そのため、
図8に実線および二点鎖線で示すように、充填筒101を搖動させたときの特に移動限(搖動移動限)では、中央仕切板102の上端の高さから充填筒101の下端が離れ、充填筒101が中央仕切板102上に位置する中央位置(
図8で充填筒101を一点鎖線で示した位置)での充填筒101の最下端と中央仕切板102との間のクリアランスC1と、移動限での充填筒101の最下端と中央仕切板102との間のクリアランスC2とに差が生じることになる。そのため、かかる充填筒101の搖動移動限で、粉末原料Pが充填筒101の下端から各三角ポケットシャッター103A、103Bに落下するのを停止させることができず、また、粉末材料Pの余剰分Paが各三角ポケットシャッター103A、103Bに残ることと
なり、粉末原料Pの計量・分配に誤差が生じるという問題があった。
【0009】
そして、特許文献1のように、粉末原料Pを充填する対象がスティック状の包装袋であり、比較的少量の粉末原料を計量・分配する場合には、この計量・分配誤差は、僅かとなる。しかしながら、例えば、500〜1500cc程度の容量の粉粒体Pを計量・分配する場合には、単に特許文献1における各三角ポケットシャッター103A、103Bを大きくすると、搖動する充填筒101の下端の円弧状の移動軌跡も大きくなり、その結果、計量・分配誤差も大きくなり、設定された量の粉粒体Pを精度よく計量・分配することができないという問題があった。
【0010】
一方、上記従来の技術のうち、
図9に示したように構成された横スライド方式の計量分配装置にあっては、外筒部材200と計量部材203との摺動面に入り込んだ粉粒体Pが外筒部材200と計量部材203を摩耗させることとなる。そして、この摩耗により外筒部材200または計量部材203の破片や摩耗粉が生じると、特に計量・分配する粉粒体Pが食品である場合に衛生上好ましくないため、外筒部材200と計量部材203の材質が制限されたり、このような横スライド方式の計量分配装置を採用することができないなどの問題があった。また、横スライド方式の計量分配装置にあっては、計量部材203を移動させる際に、特に外筒部材200の材料供給口201と計量部材203の空洞部204との間で粉粒体Pがせん断されたり、外筒部材200と計量部材203との摺動面に入り込んだ粉粒体Pが破砕されるなどして、計量・分配される粉粒体Pの品質が低下したり、粉粒体Pの粉塵が発生して周囲を汚すなどの問題があった。
【0011】
本発明は、上述した問題に鑑みてなされたものであり、簡単な構成で、粉粒体を任意の量で正確かつ確実に計量・分配することができる計量分配装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
請求項1の計量分配装置に係る発明は、上記目的を達成するため、粉粒体を所定量に計量し分配するための装置であって、粉粒体を供給する充填ノズルと、仕切り部材を挟ん
で配置され
た、それぞれが前記仕切り部材と協働して前記分配する粉粒体の量に応じた容積を形成して前記充填ノズルから供給された粉粒体を収容し、また、収容した粉粒体を排出するよう開閉する
一対の計量カップと、前記仕切り部材に対し前記計量カップを開閉させる開閉機構と、前記充填ノズルを前記計量カップ
の上
方で前記仕切り部材に向けて水平方向に
直線往復移動さ
せる充填ノズル移動機構とを備え
、前記充填ノズルは、少なくとも下端部が矩形の筒状部を有しており、前記各計量カップは、前記仕切部材と反対側の側壁と、該側壁に連続し前記仕切部材に対して閉じた状態で側縁が前記仕切部材と接する一対の側壁とを有しており、前記充填ノズル移動機構は、充填ノズルの筒状部の下端部を前記各計量カップ内のそれぞれの移動限の間で移動させるものであり、前記充填ノズルが前記充填ノズル移動機構によって前記計量カップ内の移動限の一方から他方に向かって移動するときに、前記充填ノズルの下端部が、前記仕切り部材の上端縁との間で、一方の計量カップに供給された前記粉粒体の表面を全面にわたってすり切り、前記仕切り部材を超えて、余剰分を他方の計量カップに押し落とすよう構成されていることを特徴とする。
請求項2の計量分配装置に係る発明は、上記目的を達成するため、請求項1に記載の発明において、前記開閉機構は、前記計量カップをそれぞれ閉じるように付勢する付勢手段と、前記充填ノズルが一方の計量カップ側から前記仕切り部材を超えて他方の計量カップ側に移動されることにより前記付勢手段に抗して一方の計量カップを開かせる計量カップ開放機構とを有していることを特徴とする。
請求項3の計量分配装置に係る発明は、上記目的を達成するため、請求項2に記載の発明において、前記計量カップにより計量・分配された粉粒体を取り出すタイミングに応じて、いずれか一方の計量カップを開かせるよう前記計量カップ開放機構を制御する制御手段を有していることを特徴とする。
請求項4の計量分配装置に係る発明は、上記目的を達成するため、請求項1〜3のいずれか1項に記載の発明において、前記各計量カップと対応して対の取り出し口を有しており、前記両計量カップから排出された粉粒体を受け取って一方の取り出し口から取り出し、また、前記各計量カップから排出された粉粒体をそれぞれ受け取って一方と他方の取り出し口から個別に取り出すことが可能な取り出し機構を備えていることを特徴とする。
請求項5の計量分配装置に係る発明は、上記目的を達成するため、請求項1〜4のいずれか1項に記載の発明において、前記仕切り部材の上端部は、上端面に向かって漸次厚さが薄くなるように傾斜面を成形されていることを特徴とする。
請求項6の計量分配装置に係る発明は、上記目的を達成するため、請求項1〜5のいずれか1項に記載の発明において、前記各計量カップは、前記粉粒体を分配する任意の容積に応じて複数の大きさで成形されており、着脱可能に取り付けられていることを特徴とする。
【0013】
請求項1の発明では、計量カップが仕切り部材を挟んで対で配置されている。充填ノズル移動機構は、充填ノズルを
計量カップ内のそれぞれの移動限の間で水平方向に
直線往復移動可能に支持する充填ノズル支持機構を含むことが望ましい。
充填ノズルは、少なくとも下端部が矩形の筒状部を有している。計量カップはそれぞれ、
仕切部材と反対側の側壁と、この側壁に連続し仕切部材に対して閉じた状態で側縁が仕切部材と接する一対の側壁とを有しており、開閉機構により仕切部材に対して接するように閉じると、仕切板と協働して分配する粉粒体の量に応じた容積を形成して粉粒体を収容することができ、また、仕切部材から下部が離れるように開くと、それまで収容していた所定量の粉粒体を下部から排出することができる。充填ノズル移動機構により充填ノズル
の筒状部の下端部を一方の計量カップ
の一方の移動限に向かって水平方向に直線移動させると、この一方の計量カップに充填ノズルから粉粒体を供給する。そして、一方の計量カップに供給される粉粒体が充填ノズルの下端面に達すると、充填ノズルから一方の計量カップへの粉粒体の供給が停止する。このとき、他方の計量カップは、開閉機構により仕切部材から下部が離れるように開いている。その後、充填ノズル移動機構により充填ノズル
の筒状部の下端部を一方の計量カップ
内の
移動限から他方の計量カップ
内の
移動限に向かって水平方向に移動させる。この移動を開始すると、他方の計量カップは、開閉機構により閉じられ、分配する粉粒体の量に応じた容積を形成する。そして、
充填ノズルの筒状部の下端部が矩形であるとともに、計量カップが、
仕切部材と反対側の側壁と、この側壁に連続し仕切部材に対して閉じた状態で側縁が仕切部材と接する一対の側壁とを有しているので、一方の計量カップに収容された粉粒体は、その余剰分が
計量カップ内の移動限の一方から他方に向かって移動する充填ノズルの
筒状部の下端部により
、仕切り部材の上端縁との間で全面にわたってすり切られ、
仕切り部材を超えて他方の計量カップに押し落とされる。そのため
、任意の正確な量の粉粒体が一方の計量カップに残ることとなる。さらに充填ノズルが移動されて、仕切部材を超えて他方の計量カップ上に位置すると、一方の計量カップからすり切られた余剰分の粉粒体とともに、充填ノズルから粉粒体が他方の計量カップに供給される。そして、他方の計量カップに供給される粉粒体が充填ノズルの下端面に達すると、充填ノズルから
他方の計量カップへの粉粒体の供給が停止する。また、充填ノズル移動機構により充填ノズルが
他方の計量カップの移動限の他方に近づくと、開閉機構により一方の計量カップが仕切部材から離れるようにして下部が開き、
一方の計量カップに収容された所定量の粉粒体が排出される。その後、
他方の計量カップ内の移動限の他方から充填ノズルが
一方の計量カップの移動限の一方に向かって水平移動を開始すると、一方の計量カップが開閉機構により閉じられる。そして、他方の計量カップに収容された粉粒体の余剰分は、仕切部材に向かって水平方向に移動する充填ノズル
の筒状部の下端部によりすり切られ、一方の計量カップに押し落とされる。そのため、他方の計量カップも、一方の計量カップと同様に、任意の正確な量の粉粒体が残ることとなる。そして、充填ノズル移動機構により充填ノズルが移動限
の一方に近づくと、開閉機構により他方の計量カップが開き、
他方の計量カップに収容された所定量の粉粒体が排出される。これらの動作を繰り返すことにより、両計量カップに交互に所定量の粉粒体を収容し、また、所定量収容された粉粒体を排出する。
請求項2の発明では、請求項1に記載の発明において、各計量カップは、付勢手段によりそれぞれ確実に閉じるように付勢されている。そして、充填ノズルが仕切板を超えて水平方向に移動していずれかの計量カップ上の移動限に近づくと、計量カップ開放機構は、すでに粉粒体を収容した側の計量カップを付勢手段に抗して確実に開かせ、その計量カップから粉粒体を排出させる。そのため、計量カップの開閉による粉粒体の収容と排出を正確なタイミングで行わせることができる。
請求項3の発明では、請求項2に記載の発明において、計量カップによって計量・分配された粉粒体を、適切なタイミングで計量カップを開放させてかかる計量カップから粉粒体を落下させ取り出すことができるよう、制御手段が計量カップ開放機構を制御していずれか一方の計量カップを開かせる。
請求項4の発明では、請求項1〜3のいずれか1項に記載の発明において、各計量カップから排出された粉粒体は、取り出し機構の一方の取り出し口から取り出され、また、一方と他方の取り出し口から個別に取り出される。
請求項5の発明では、請求項1〜4のいずれか1項に記載の発明において、仕切り部材の上端部が上端面に向かって漸次厚さが薄くなるように傾斜面を成形されていることにより、例えば粉粒体の個々の形状が針状である場合であっても、充填ノズルが仕切部材を超えて移動する際に、かかる充填ノズルの先端と仕切部材の上端部との間で粉粒体をせん断することを緩和しながら、粉粒体の表面をすり切るため、粉粒体の破砕を少なくする。
請求項6の発明では、請求項1〜5のいずれか1項に記載の発明において、粉粒体を分配する任意の容積に応じて、大きさの異なる複数の計量カップを用意しておき、計量・分配する粉粒体の量に応じて適切な大きさの計量カップに取り換える。なお、仕切部材と充填ノズルに対して計量カップの相対的な高さを変更することによって、計量・分配する粉粒体の量を調整することができる。そして、仕切部材と充填ノズルに対して両計量カップの相対的な高さを同時に調整することができるよう構成することができ、また、仕切部材と充填ノズルに対して各計量カップの相対的な高さをそれぞれ個別に調整することができるよう構成することができる。
【発明の効果】
【0014】
請求項1の発明によれば、
充填ノズルが充填ノズル移動機構によって計量カップ内の移動限の一方から他方に向かって移動するときに、充填ノズルの下端部が、仕切り部材の上端縁との間で、一方の計量カップに供給された前記粉粒体の表面を全面にわたってすり切り、仕切り部材を超えて、余剰分を他方の計量カップに押し落とすよう構成されているという簡単な構成により、粉粒体を任意の量で正確かつ確実に計量・分配することができる。
請求項2の発明によれば、請求項1に記載の発明において、開閉機構が付勢手段と計量カップ開放機構とを有していることにより、充填ノズルの水平方向の移動に伴って各計量カップの開閉を適切なタイミングで確実に行わせることができ、その結果、計量された粉粒体を各計量カップから適切なタイミングで確実に排出させることができる。
請求項3の発明によれば、請求項2に記載の発明において、制御手段が計量カップ開放機構を制御することにより、計量カップによって計量・分配された粉粒体を適切なタイミングで取り出すことができる。
請求項4の発明によれば、請求項1〜3のいずれか1項に記載の発明において、両計量カップから排出された粉粒体を取り出し機構の一方の取り出し口から取り出し、また、各径計量カップから排出された粉粒体を取り出し機構の一方と他方の取り出し口からそれぞれ個別に取り出すことができる。
請求項5の発明によれば、請求項1〜4のいずれか1項に記載の発明において、仕切り部材の上端部が上端面に向かって漸次厚さが薄くなるように傾斜面を成形されていることにより、例えば粉粒体の個々の形状が針状である場合であっても、充填ノズルが仕切部材を超えて移動する際に、かかる充填ノズルの先端と仕切部材の上端部との間で粉粒体をせん断することを緩和しながら、粉粒体の表面をすり切ることができる。そのため、粉粒体の破砕を少なくすることができる。
請求項6の発明では、請求項1〜5のいずれか1項に記載の発明において、粉粒体を分配する任意の容積に応じて、大きさの異なる複数の計量カップを用意しておき、適切な大きさの計量カップを着脱可能に取り付ける。そのため、計量・分配する粉粒体の量に応じて、計量カップを容易に取り換えることができ、したがって、計量・分配する粉粒体の任意の量に幅広く対応することができる。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明の計量分配装置の実施の一形態を、
図1〜
図7に基づいて詳細に説明する。以下の説明では、同じ構成要素または相当する構成要素に対して同一符号を付するものとする。
【0017】
本発明の計量分配装置は、概略、粉粒体Pを所定の量に計量し分配するためのもので、粉粒体Pを供給する充填ノズル1と、仕切り部材2を挟んで対で配置され、それぞれが仕切り部材2と協働して分配する粉粒体Pの量に応じた容積を形成して充填ノズル1から供給された粉粒体Pを収容し、また、収容した粉粒体Pを排出するよう開閉する計量カップ3A、3Bと、仕切り部材2に対し計量カップ3A、3Bを開閉させる開閉機構4と、充填ノズル1を計量カップ3A、3B上で仕切り部材2に向けて水平方向に移動させて計量カップ3A、3Bに供給された粉粒体Pの余剰分Paをすり切る充填ノズル移動機構5とを備えている。
また、この実施の形態においては、充填ノズル移動機構5が充填ノズル1を水平方向に直線移動可能に支持する充填ノズル支持機構6を含んでおり、開閉機構4は、計量カップ3A、3Bをそれぞれ閉じるように付勢する付勢手段7と、充填ノズル1が一方の計量カップ3Aまたは3B側から仕切り部材2を超えて他方の計量カップ3Bまたは3A側に移動されることにより付勢手段7に抗して一方の計量カップ3Aまたは3Bを開かせる計量カップ開放機構8とを有している。
さらに、計量カップ3A、3Bにより計量・分配された粉粒体Pを取り出すタイミングに応じて、いずれか一方の計量カップ3Aまたは3Bを開かせるよう計量カップ開放機構8を制御する制御手段を有しており、また、各計量カップ3A、3Bと対応して対の取り出し口9A、9Bを有しており、両計量カップ3A、3Bから排出された粉粒体Pを受け取って一方の取り出し口9Aまたは9Bから取り出し、また、各計量カップ3A、3Bから排出された粉粒体Pをそれぞれ受け取って一方の取り出し口9Aと他方の取り出し口9Bから個別に取り出すことが可能な取り出し機構10を備えている。
さらにまた、仕切り部材2の上端部は、上端面に向かって漸次厚さが薄くなるように傾斜面2aを成形されており、また、各計量カップ3A、3Bは、粉粒体Pを分配する任意の容積に応じて複数の大きさで成形されており、着脱可能に取り付けられている。
【0018】
図1に一部断面図で示すように、計量分配装置は、プレート状のフレーム20、21が平行に立設されている。両フレーム20、21の上方には、天板22が架設されている。天板22には、粉粒体Pを投入するためのホッパ23が設けられている。
図2および
図3に示したように、ホッパ23の下部は天板22を貫通して下方に延びている。
【0019】
充填ノズル1は、上方に漏斗部1aを有しており、下方に筒状部1bを有している。漏斗部1aは、充填ノズル1がいずれの方向に移動した位置においても、その内部に常にホッパ23の下部先端を収容し得る大きさに形成されている。
図6に一点鎖線および二点鎖線で示すように、筒状部1
bの少なくとも下端部は、矩形に形成されている。
【0020】
図1および
図3に示すように、充填ノズル支持機構6は、この実施の形態では、両フレーム20、21にそれぞれ水平方向に延びるように設けられた一対のガイドバー24と、充填ノズル1に設けられた支持板25と、支持板25に設けられガイドバー24が挿通されるスライダ26とを備えている。
充填ノズル移動機構5は、充填ノズル支持機構6の支持板25に軸32を介して一端が接続された連結ロッド27と、接続ロッド27の他端が接続されたクランクギヤ28と、クランクギヤ28を回転駆動するモータ29とを備えている。
各ガイドバー24は、直線状に成形されており、両フレーム20、21に設けられたブラケット30によりそれぞれ両端が支持されている。そして、両ガイドバー24は、互いに平行となるよう配置されている。支持板25の側縁にはプレート31が設けられており、プレート31には、連結ロッド27の一端が連結される軸32が設けられている。連結ロッド27の他端は、クランクギヤ28の側面の外周近傍に立設した軸33に回動可能に連結されている。クランクギヤ28は、フレーム20に設けられた軸34に回転可能に支持されている。クランクギヤ28の外周には歯面28aが形成されており、モータ29の回転駆動軸には、クランクギヤ28よりも小径の歯車35が接続されており、歯車35とクランクギヤ28の歯面28aとが噛合されている。モータ29を回転駆動すると、歯車35を介してクランクギヤ28が所定の減速比で回転駆動され、この回転は、連結ロッド27によって、支持板25に設けられた充填ノズル1をガイドバー24に沿って水平方向に直線往復運動させることとなる。
【0021】
さらに、充填ノズル移動機構5は、
図5に示すように、充填ノズル1の位置を検出することが可能な位置検出手段12が設けられている。位置検出手段12は、軸34に取り付けられスリットを有する回転盤36と、回転盤36のスリットの通過を検出するセンサ37とを備えている。回転盤36は、クランクギヤ28を支持している軸34の中間部に設けられており、クランクギヤ28の回転に伴って軸周りに回転する。センサ37は、回転盤36を挟むように配置されており、回転盤36が回転することによるスリットの通過を検出して、その信号を制御手段(図示は省略するが、制御の内容については後述する)に出力する。制御手段では、センサ37から出力されたスリットの通過検出信号からクランクギヤ28の回転位相を求め、連結ロッド27を介してクランクギヤ28と連結された支持板25に支持された充填ノズル1の位置を演算し、クランクギヤ28が1回転することにより両計量カップ3A、3Bで粉粒体Pを計量・分配した回数などを把握することができる。
【0022】
計量カップ3A、3Bは、
図4に示した正面視で、仕切部材2を挟んで対称の楔形状に成形されている。各計量カップ3A、3Bは、
図4および
図6に示すように、上側および仕切部材2側が四方形状に開放しており、仕切部材2と反対側の側壁3aと、閉じた状態で側縁が仕切部材2と接する一対の側壁3bとが連続するように成形されている。
仕切部材2と反対側の側壁3aは、上部が仕切部材2からほぼ同じ距離を維持する筒状で、下部が下方に向かって仕切部材2に近づくよう傾斜面を形成している。
図6に示すように、計量カップ3A、3Bの仕切部材2と反対側の側壁3aの幅(
図6においては縦方向の長さ)L3aは、充填ノズル1の移動方向に対する幅L1aよりもわずかに大きく設定されている。また、一方の計量カップ3A、3Bが閉じた状態のときにおける仕切部材2と接する側壁3bの幅(
図6においては横方向の大きさ)L3bは、充填ノズル1の
筒状部1bの下端の移動方向の幅L1b以上の大きさに設定されている。
複数用意される計量カップ3A、3Bは、少なくとも仕切部材2と反対側の側壁3aの幅L3aを充填ノズル1の移動方向に対する幅L1aに応じてそれぞれ共通に設定し、且つ、計量・分配する粉粒体Pの容積に応じて上端から下端までの高さ(深さ)に設定することが望ましい。
【0023】
仕切部材2は、板状体からなり、一方の計量カップ3Aまたは3Bを閉じたときに、計量カップ3Aまたは3Bと仕切部材2とで所定の容積の空間を形成し、この空間に粉粒体Pを収容する。充填ノズル1の下端部に対する仕切部材2の上端部のクリアランスC(
図7)は、計量・分配する粉粒体Pの最大径に応じて設定することができる。また、仕切部材2の上端は、閉じた状態の計量カップ3A(3B)の上端面よりも下方に位置するよう配設される。すなわち、閉じた状態の計量カップ3A、3Bの上部3a1内で、充填ノズル1の下端部が水平方向に移動するよう配設されている。
図2および
図4に示すように、仕切部材2と両計量カップ3A、3Bとの両側部には、プレート38が配設されている。プレート38は、計量カップ3A、3Bの開閉時の搖動をガイドし、また、充填ノズル1を水平移動させて粉粒体Pの表面をすり切るときや計量カップ3A、3Bを開いて粉粒体Pを排出するときに、周りに粉粒体Pが飛び散るのを防止するよう機能する。
図7に示すように、仕切部材2は、上端部の厚さが上方に向かって漸次薄くなるように、両面に傾斜面2aが形成されている。このように傾斜面2aが形成されていることにより、例えば粉粒体Pの個々の形状が針状など細長い場合であっても、充填ノズル1が仕切部材2を超えて移動する際に、かかる充填ノズル1の先端と仕切部材2の上端部との間で粉粒体Pをせん断することを緩和させ、粉粒体Pの表面をすり切ることができ、したがって、粉粒体Pが破砕されるのを少なくすることができる。
【0024】
各計量カップ3A、3Bは、軸40を有する搖動部材41によって軸40周りに搖動可能に支持されている。各計量カップ3A、3Bと搖動部材41との間には、それぞれ個別に計量カップ3A、3Bの高さを調整するための個別高さ調整機構42が設けられている。個別高さ調整機構42は、
図4に示したように、搖動部材41に着脱可能に取り付けられる上部が折曲しているベース部材43と、ベース部材43の折曲部に回動可能に挿通されたねじ44と、各計量カップ3A、3Bの仕切部材2とは反対側の側壁3aの背面にそれぞれ取り付けられ、ねじ44が螺合されるねじ孔を有するスライダ45とを備えている。
ベース部材43には、スライダ44の上下方向への昇降移動を案内するガイド46が設けられている。
図1に示すように、ベース部材43には、搖動部材41に取り付けるためのボルトなどの締結部材47が螺合されており、搖動部材41には、締結部材47を挿通するための取り付け孔48が形成されている。そして、取り付け孔48は、搖動部材41の側方に開放している。これにより、異なる容積の計量カップ3A、3Bに交換する際には、締結部材47を緩めて取り付け孔48の側方に開放した部分から外すようにベース部材43を横方向にずらすだけで、計量カップ3A、3Bを容易に取り外すことができ、また、取り付け孔48の側方に開放した部分から締結部材47を横方向にはめ込むようにずらして締め付けるだけで、計量カップ3A、3Bを容易にかつ確実に取り付けることができる。また、ねじ44を軸周りに回動させることにより、スライダ45がガイド46に保持された状態で昇降移動し、その結果、各計量カップ3A、3Bの充填ノズル1に対する高さをそれぞれ個別に調整することができる。
【0025】
図1に示すように、フレーム20には上下方向に延びる長孔50が形成されており、この長孔50を通って搖動部材41の軸40が反対側(
図1においては左方)に延びている。両計量カップ3A、3Bの軸40は、共通高さ調整機構51により、回動可能に支持されている。共通高さ調整機構51は、両計量カップ3A、3Bの軸40の端部を支持する昇降プレート52と、昇降プレート52に設けられた、ねじ孔を有するスライダ53と、フレーム20に回動可能に軸支された、スライダ53のねじ孔に螺合されるねじ軸54と、ねじ軸54を軸周りに回動させる駆動機構55とを有している。駆動機構55は、この実施の形態の場合、ねじ軸54の端部に設けられた従動かさ歯車56と、この従動かさ歯車56に噛合される駆動かさ歯車57と、駆動かさ歯車57の軸58の端部に設けられたハンドル59とを備えている。ハンドル59を回動させることにより、駆動かさ歯車57と噛合された従動かさ歯車56を回動させ、この回動によりねじ軸54が軸周りに回動され、ねじ軸54にねじ孔が螺合されたスライダ53を昇降移動させ、スライダ53が設けられた昇降プレート52を昇降移動させ、その結果、昇降プレート52に軸40が支持された両計量カップ3A、3Bの充填ノズル1に対する高さを同時に調整することができる。
【0026】
さらに、各計量カップ3A、3Bの軸40の端部には、
図1および
図4に示すように、それぞれ開閉レバー60の中間部が接続されている。そして、各開閉レバー60は、その一端部が充填ノズル1の支持板25の側縁に一体に設けられたプレート31に隣接するように配置されている。開閉機構4は、両計量カップ3A、3Bを交互に開閉させるもので、この実施の形態では、各開閉レバー60の他端部とフレーム20から突設された軸61とに渡架された、両計量カップ3A、3Bをそれぞれ閉じるように付勢する付勢手段として機能する引張ばね7と、充填ノズル1の支持板25のプレート31に設けられて、支持板25の移動により開閉レバー60の一端部を押圧して、引張ばね7による付勢に抗して両計量カップ3A、3Bのうちの一方を開かせるよう軸40を回動させ計量カップ開放機構として機能するカムフォロワ8とを備えている。
上述したようにモータ29の回転駆動により歯車35、クランクギヤ28、および連結ロッド27を介して充填ノズル1が設けられた支持板25を水平方向に直線往復運動させると、充填ノズル1が粉粒体Pを収容した一方の計量カップ3Aまたは3Bから他方の計量カップ3Bまたは3Aへと移動する際に、仕切部材2を完全に超えて移動限に近づいた時点で、
図3の右方に示すように、カムフォロワ8が計量カップ3A、3Bの粉粒体Pを収容している側の軸40に設けられた開閉レバー60を押圧し、引張ばね7の付勢に抗してかかる側の計量カップ3Aまたは3Bを開かせる。
【0027】
仕切部材2と両計量カップ3A、3Bとの側部に設けられたプレート38の下部には、
図2および
図3に示すように、傾斜板65が設けられている。そして、プレート38および傾斜板65の下方には、一対の取り出し口9A、9Bを備えた取り出し機構10が配設されている。取り出し機構10は、
図2および
図3における左右方向にスライド可能に支持されており、その上方内部にはスライド方向と直交する隔壁72が形成されている。隔壁72によって区分された2つの空間73、74の上縁はそれぞれ開放しており、計量カップ3A、3Bから排出されプレート38と傾斜板65によって収束するようにして落下する粉粒体Pを受け入れる受け入れ口75、76がそれぞれ構成されている。
一方の空間73の受け入れ口75は、
図2に示すように、仕切部材2を挟んで配設された両計量カップ3A、3Bから交互に排出される粉粒体Pを受け入れ得る大きさで形成されている。また、他方の空間74の受け入れ口76は、
図3に示すように、仕切部材2の一方の側の計量カップ3Bから排出される粉粒体Pのみを受け入れ得る大きさで形成されている。各空間73,74の隔壁72から下方の部分は分岐しており、それぞれ取り出し口9A、9Bに向かって傾斜するよう構成されている。さらにこの実施の形態では、袋などの容器に対して粉粒体Pを飛び散らせることなく収束させて収納するための漏斗77が各取り出し口9A、9Bに設けられている。なお、
図2では漏斗77を側面から示し、
図3では漏斗77を断面で示している。
【0028】
上述した制御手段には、充填ノズル1の移動と各計量カップ3A、3Bの開放を行うためのモータ29の回転駆動を開始させるスイッチ(図示は省略する)を含んでいる。スイッチは、手動で操作する場合、各取り出し口9A、9Bの近傍に設けることが望ましい。制御手段は、スイッチの出力信号によってモータ29の回転駆動を開始させ、また、位置検出機構12のセンサ37が出力する回転盤36のスリット検出信号によって検知される充填ノズル1の位置に基づいて、モータ29の回転駆動を停止させるよう制御する。制御手段は、モータ29の回転駆動を制御することにより、充填ノズル1の移動に伴いカムフォロワ8が開閉レバー60を押圧して計量カップ3A、3Bのうちのいずれか一方を開かせるのを、計量カップ3Aまたは3Bにより計量・分配された粉粒体Pを取り出すタイミングに応じて制御することができる。
【0029】
次に、以上のように構成された粉粒体Pの計量分配装置の作動の一実施の形態を説明する。最初に、
図2に示すように、仕切部材2を挟んで配設された両計量カップ3A、3Bから交互に排出される粉粒体Pを取り出し機構10の一方の空間73の受け入れ口75で受け入れて、一方の取り出し口9Aから計量・分配された粉粒体Pを取り出す場合を説明する。
【0030】
図2に示すように、取り出し機構10は、一方の空間73の受け入れ口75が両計量カップ3A、3Bから排出されプレート31と傾斜板65によって収束するようにして落下する粉粒体Pを受け入れることができる位置に配置されている。そして、一方の計量カップ3Aは付勢手段7によって閉じられており、かかる計量カップ3Aの上方に充填ノズル1が位置するよう制御されている。なお、他方の計量カップ3Bは、充填ノズル1が一方の計量カップ3A側の移動限にある場合は、カムフォロワ8が他方の計量カップ3Bの軸40に設けられた開閉レバー60を押圧し、付勢手段7の付勢に抗して他方の計量カップ3Bが開放した状態となっている。この状態で、ホッパ23に粉粒体Pを投入すると、粉粒体Pは、ホッパ23の下部先端から充填ノズル1の漏斗部1a、筒状部1bを経て計量カップ3A内に落下し充填される。
計量カップ3A内に粉粒体Pが満たされると、充填ノズル1から計量カップ3Aへの粉粒体Pの落下が止まることとなる。そして、モータ29の駆動により充填ノズル1が
図2および
図4の右方から左方に水平方向に直線移動されると、充填ノズル1の筒状部1bの下端部が粉粒体Pの表面の余剰分Paをすり切り、表面を均することとなる。このとき、直線状のガイドバー24に支持板25のスライダ26が挿通されているため、充填ノズル1の下端部が安定して粉粒体Pの余剰分Paに対して所定の位置を維持しながら水平方向に直線移動し、粉粒体Pの余剰分Paをすり切ることができる。
そのため、正確な量の粉粒体Pが確実に計量カップ3Aに収容されることとなる。充填ノズル1が一方の計量カップ3A側の移動限から離れることにより、他方の計量カップ3Bの軸40に連結された開閉レバー60に対するカムフォロワ8の押圧が解除され、付勢手段7の付勢により他方の計量カップ3Bが仕切部材2に接するよう搖動復帰して、その下方が閉じることとなる。
【0031】
そして、さらに充填ノズル1が
図2の右方から左方に水平方向に直線移動されて仕切部材2の上方に差し掛かるとき、粉粒体Pの個々の形状が針状である場合であっても、
図7に示したように仕切部材2の上方の傾斜面2aによって充填ノズル1の下端面および仕切部材2の上端面と平行となるように針状の粉粒体Pの姿勢を整列させることとなり、充填ノズル1と仕切部材2との間で針状の粉粒体Pがせん断され破砕されることが緩和される。また、一方の計量カップ3Aに収容された粉粒体Pの余剰分Paは、水平方向に直線移動される充填ノズル1の下端部によってすり切られ、他方の計量カップ3Bに押し落とされて、充填ノズル1から落下する粉粒体Pとともに他方の計量カップ3Bに収容される。他方の計量カップ3Bに粉粒体Pが満たされると、充填ノズル1から他方の計量カップ3Bへの粉粒体Pの落下が止まることとなる。
【0032】
ここで、制御手段は、位置検出機構12のセンサ37が出力する回転盤36のスリット検出信号によって充填ノズルの位置検知しており、充填ノズル1が仕切板2を超えて他方の計量カップ3B側に移動して移動限に近づき、支持板25と一体のプレート31に設けられたカムフォロワ8が一方の計量カップ3Aの軸40に設けられた開閉レバー60を押圧する前に、モータ29の駆動を停止させる。また、遅くともカムフォロワ8が一方の計量カップ3Aの軸40に設けられた開閉レバー60を押圧するときまでには、一方の取り出し口9Aに袋などの容器をセットする。そして、スイッチにより制御手段がモータ29の回転駆動を再開させると、さらに充填ノズル1が他方の計量カップ3B側に移動して移動限に近づき、支持板25と一体のプレート31に設けられたカムフォロワ8が一方の計量カップ3Aの軸40に設けられた開閉レバー60を押圧し、かかる一方の計量カップ3Aの下方を開放するよう搖動させる。これにより、所定の量の粉粒体Pが一方の計量カップ3Aから落下して、受け入れ口75から一方の空間73内に落下し、漏斗77を通過してセットした袋などの容器に充填される。
【0033】
続いて、他方の計量カップ3B上から再び一方の計量カップ3A上に向かって充填ノズル1を水平方向に移動すると、それまで開放していた一方の計量カップ3Aの軸40に設けられた開閉レバー60がカムフォロワ8による押圧から解放されて、付勢手段7の付勢により下部が閉じるように回動復帰し、仕切板2を超えると一方の計量カップ3Aに粉粒体Pが落下する。その後、一方の計量カップ3A側の移動限に近づき、カムフォロワ8が他方の計量カップ3Bの軸40に設けられた開閉レバー60を押圧する前に、制御手段は、モータ29の駆動を停止させる。また、遅くともカムフォロワ8が他方の計量カップ3Bの軸40に設けられた開閉レバー60を押圧するときまでには、一方の取り出し口9Aに袋などの容器をセットする。そして、スイッチにより制御手段がモータ29の回転駆動を再開させると、さらに充填ノズル1が一方の計量カップ3A側の移動限に近づき、支持板25と一体のプレート31に設けられたカムフォロワ8が他方の計量カップ3Bの軸40に設けられた開閉レバー60を押圧し、かかる他方の計量カップ3Bの下方を開放するよう搖動させる。これにより、所定の量の粉粒体Pが他方の計量カップ3Bから落下して、受け入れ口75から一方の空間73内に落下し、漏斗77を通過して一方の取り出し口9Aから取り出され、セットした袋などの容器に充填される。
【0034】
次に、
図3に示すように、仕切部材2を挟んで配設された各計量カップ3A、3Bから排出される粉粒体Pを、取り出し機構10の隔壁72によって区分された空間73,74のそれぞれの受け入れ口75、76で受け入れて、各取り出し口9A、9Bからそれぞれ粉粒体Pを取り出す場合を説明する。なお、以下では、上述した場合と同様のまたは相当する内容については同じ符号を付して説明を省略し、異なる内容のみを説明する。また、
図2が正面から見た図であるのに対して、
図3は背面から見た図である。
【0035】
各計量カップ3A、3Bに収容された粉粒体Pをそれぞれ取り出し口9A、9Bから取り出すに際しては、最初に、取り出し機構10の隔壁72が仕切部材2の直下に位置するよう取り出し機構10をスライドさせる。これにより、一方の計量カップ3Aから排出された粉粒体Pは、取り出し機構10の一方の空間73に落下し、他方の計量カップ3Bから排出された粉粒体Pは、取り出し機構10の他方の空間74に落下して、それぞれの取り出し口9A、9Bから個別に取り出すことができる。
そのため、取り出し口9A、9Bに容器を手作業でセットするために時間がかかる場合であっても、各取り出し口9A、9Bに容器をセットしてから確実に粉粒体Pをそれぞれ取り出して容器に収容することができ、また、単一の取り出し口9Aから粉粒体Pを取り出すのと比較して効率よく計量・分配された粉粒体Pを容器に収容することができる。さらにまた、計量カップ3Aと3Bを異なる大きさのものにして、異なる量の粉粒体Pを並行して計量・分配し、各取り出し口9A、9Bからそれぞれ異なる量の粉粒体Pを取り出すよう構成することもできる。
【0036】
なお、両計量カップ3A、3Bにより計量・分配する粉粒体Pの量が設定値に対して同様に誤差を生じる場合には、共通高さ調整機構51のハンドル59を回転させ、互いに噛合されたかさ歯車56、57を介してねじ軸54を軸周りに回動させ、スライダ53が設けられた昇降プレート52を昇降移動させて、両計量カップ3A、3Bを支持している軸40を昇降移動させる。これにより、充填ノズル1の下端面に対する両計量カップ3A、3Bの相対的な位置が同時に変化することとなり、その結果、充填ノズル1の下端部によって両計量カップ3A、3Bに収容された粉粒体Pの余剰分Paをすり切る高さが変化し、両計量カップ3A、3Bにより計量・分配する粉粒体Pの量を同様に調整して、設定値に一致させることができる。
【0037】
また、各計量カップ3A、3Bにより計量・分配する粉粒体Pの量がそれぞれ設定値に対して誤差を生じる場合には、誤差が生じる側の個別高さ調整機構42のねじ44を軸周りに回動させ、搖動部材41のガイド46に保持されたスライダ45を昇降移動させ、計量カップ3A、3Bを個別に昇降移動させる。これにより、誤差が生じる側の計量カップ3A、3Bの、充填ノズル1の下端面に対する相対的な位置が単独で変化することとなり、その結果、かかる計量カップ3A、3Bに収容された粉粒体Pの余剰分Paを充填ノズル1の下端部がすり切る高さを単独で変化させて、計量・分配する粉粒体Pの量を調整し、誤差を解消させて設定値に一致させることができる。
【0038】
また、粉粒体Pをそれまでとは異なる量で計量・分配する場合には、それまで取り付けられていた計量カップ3A、3Bを取り外し、異なる大きさの計量カップ3A、3Bを取り付ける。この際には、取り付け孔48が一方の側縁に開放しているため、締結部材47を緩めて計量カップ3A、3Bを横方向にずらすことによって締結部材47を取り付け孔48から抜くことができることから、容易に短時間でそれまで用いていた計量カップ3A、3Bを取り外すことができ、また、新たに取り付ける計量カップ3A、3Bの取り付け孔48の側縁に開放した部分を締結部材47と整合させて、横方向にずらすよう移動させて取り付け孔48内に締結部材47を位置させ、締結部材47を締め付けることによって、新たに使用する計量カップ3A、3Bを容易に短時間で確実に正しい位置へ取り付けることができる。
【0039】
本発明は上述した実施の形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々の設計変更ができる。