特許第6493698号(P6493698)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6493698ピンによる係止、固定構造およびその取付方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6493698
(24)【登録日】2019年3月15日
(45)【発行日】2019年4月3日
(54)【発明の名称】ピンによる係止、固定構造およびその取付方法
(51)【国際特許分類】
   F21V 15/01 20060101AFI20190325BHJP
   F21V 17/00 20060101ALI20190325BHJP
   F21S 2/00 20160101ALI20190325BHJP
   F21Y 115/10 20160101ALN20190325BHJP
【FI】
   F21V15/01 370
   F21V17/00 155
   F21S2/00 640
   F21Y115:10
【請求項の数】9
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2016-559833(P2016-559833)
(86)(22)【出願日】2015年9月17日
(65)【公表番号】特表2017-530501(P2017-530501A)
(43)【公表日】2017年10月12日
(86)【国際出願番号】CN2015089841
(87)【国際公開番号】WO2017041319
(87)【国際公開日】20170316
【審査請求日】2016年11月30日
(31)【優先権主張番号】201510571434.1
(32)【優先日】2015年9月9日
(33)【優先権主張国】CN
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】516290472
【氏名又は名称】李峰
(74)【代理人】
【識別番号】100091683
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼川 俊雄
(72)【発明者】
【氏名】李峰
【審査官】 野木 新治
(56)【参考文献】
【文献】 特開平11−281966(JP,A)
【文献】 特開2012−003971(JP,A)
【文献】 特開2005−106858(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F21S 2/00
F21V 15/00−17/02
G02F 1/13357
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
前面カバー、後面カバーを含み、該前面カバーおよび後面カバーが矩形のプレート状であるピンによる係止、固定構造であって、前面カバーおよび後面カバーの4つの辺縁部位に、対応して相互に嵌め込まれ、接続する突起およびくぼみが設けられ、該突起の中央に孔が、前面カバーおよび後面カバーの前記4つの辺縁部位と平行に、かつ前記突起が突出する方向に対して垂直に、延伸するように設けられ、前記突起および前記くぼみをかみ合わせることで前面カバーと後面カバーを隙間なく結合し、4本の係止ピンを前記孔に挿入すると前記4本の係止ピンは前記4つの辺縁部位と平行に配置されて矩形を形成し、前面カバーおよび後面カバーを係止することを特徴とする構造。
【請求項2】
後面カバーのくぼみの幅が突起の幅より小さく、4つの角がL型のくぼみであり;前面カバーの突起の幅がくぼみの幅より小さく、4つの角がL型の突起であることを特徴とする、請求項1に記載のピンによる係止、固定構造。
【請求項3】
前面カバーおよび後面カバーを一体に結合するとき、前面カバーの突起部位の孔が後面カバーの突起部位の孔と同軸であることを特徴とする、請求項1に記載のピンによる係止、固定構造。
【請求項4】
前面カバーのL型突起部位に2つの孔を有し、2つの孔の孔路が合流しないことを特徴とする、請求項1に記載のピンによる係止、固定構造。
【請求項5】
各箇所の突起の孔は、両端がいずれも45°に面取り加工されることを特徴とする、請求項1に記載のピンによる係止、固定構造。
【請求項6】
孔と係止ピンとの間に、滑らせるシリコーンゴムを有することを特徴とする、請求項1に記載のピンによる係止、固定構造。
【請求項7】
係止ピンの直径がΦ2.5mmであり、係止ピンと孔との間がすきま嵌めであり、片側公差が0.1mmであることを特徴とする、請求項1に記載のピンによる係止、固定構造。
【請求項8】
ピンによる係止、固定構造の取付方法であって、対応して設置される前面カバーおよび後面カバーの位置を合わせて結合し、前面カバーの突起部位を後面カバーのくぼみ部位に嵌め込む;圧着すると、各辺縁の突起部位の孔は、相互にその軸方向に対して1本の直線となる;1本の係止ピンを液状シリコーンゴムに浸して、孔に挿入する;順番に4本の係止ピンを挿入する;平らに静置し、シリコーンゴムが硬化するのを待ち、
係止ピンの取付完了後、冷却してから、孔内の係止ピンの両端に再度液状シリコーンゴムを充填して密封し、自然冷却して成型することを特徴とする方法。
【請求項9】
係止ピンの直径がΦ2.5mmであり、係止ピンと孔との間がすきま嵌めであり、片側公差が0.1mmであることを特徴とする、請求項8に記載のピンによる係止、固定構造の取付方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、LED灯筐体の組立構造に関し、特に深海の高圧環境下で使用するLED照明灯の組立構造に関する。
【背景技術】
【0002】
科学技術の進歩に伴い、深海または宇宙空間は人々にとって到達できない神秘的な場所ではなくなり、潜水艦技術および宇宙技術の発展に伴い、海洋探知の深度は次第に深く、宇宙空間の探知の範囲も次第に大きくなっている。深海環境における探索の最大の問題は、深海環境の可視度が低く、レーダ探知が行き届かないため、調査、捜索、定位における障害となることであり、一般的な照明灯は深海環境下の極端な環境に明らかに適さない。宇宙空間における探索の問題は、様々な気圧環境に見舞われることである。
【0003】
LED技術は、21世紀に最も注目される光源技術として、各分野で応用されている。各種の様々な使用需要に対応する照明、指示、投影、表示に用いられる光源が採用、製造されている。
【0004】
本発明の係る組立構造は、LED照明灯の筐体に用いる固定構造である。既存の灯筐体は、組み立てる必要がある構造にタッピングを行い、ボルト、ネジおよびナットにより取付、固定を完成する。しかし、この構造は筐体に明らかなタッピング孔、およびむき出しの固定位置が残り、さらにある構造では取付位置の辺縁に、ネジ、ナットによる取付に適した比較的薄い厚さの接続台を設計する必要がある。一般の環境下における使用では、問題は大きくないが、極端な環境で使用することを考慮する場合、例えば深海内または宇宙空間での使用は、筐体の接続が簡潔であるかどうか、接続位置の局部応力が材料の降伏限度を安全に制限しているかどうか、などの問題を考慮する必要がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、以上の状況に対して、極端な環境に適用される照明灯筐体の組立構造を示している。該構造は挿入式の係止ピンを採用し、筐体を組み立て、固定する。係止は安定、確実であり、外観は簡潔なままである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の係るピンによる係止、固定構造は、前面カバー、後面カバーを含み、該前面カバーおよび後面カバーは矩形のプレート状である。前面カバーおよび後面カバーの4つの辺縁部位に、対応して相互に嵌め込まれ、接続する突起およびくぼみが設けられ、該突起部位の中央に孔が設けられ、4本の係止ピンを孔に挿入して、前面カバーおよび後面カバーを係止することを特徴とする。
【0007】
後面カバーのくぼみの幅は突起の幅より小さく、4つの角はL型のくぼみである。前面カバーの突起の幅はくぼみの幅より小さく、4つの角はL型の突起である。
【0008】
前面カバーおよび後面カバーを一体に結合するとき、前面カバーの突起部位の孔は後面カバーの突起部位の孔と同軸である。
【0009】
前面カバーのL型突起部位に2つの孔を有し、2つの孔の孔路は合流しない。
【0010】
各箇所の突起の孔は、両端がいずれも45°に面取り加工される。
【0011】
孔と係止ピンとの間に、滑らせるシリコーンゴムを有する。
【0012】
係止ピンの直径はΦ2.5mmである。係止ピンと孔との間はすきま嵌めであり、片側公差は0.1mmである。
【0013】
ピンによる係止、固定構造の取付方法であって、対応して設置される前面カバーおよび後面カバーの位置を合わせて結合し、前面カバーの突起部位を後面カバーのくぼみ部位に嵌め込む;圧着すると、各辺縁の突起部位の孔は、相互にその軸方向に対して1本の直線となる;1本の係止ピンを液状シリコーンゴムに浸し、孔に挿入する;順番に4本の係止ピンを挿入する;平らに静置し、シリコーンゴムが硬化するのを待つことを特徴とする方法。
【0014】
係止ピンの取付完了後、冷却してから、孔内の係止ピンの両端に再度液状シリコーンゴムを充填して密封し、自然冷却して成型する。
【0015】
係止ピンの直径はΦ2.5mmである。係止ピンと孔との間はすきま嵌めであり、片側公差は0.1mmである。
【0016】
本発明は、極端な環境に適用される照明灯筐体の固定構造である。該固定構造は、組み立てる必要がある前面カバー、後面カバーの接触部位に、相互に嵌め込み、接続することができる突起およびくぼみを設計し、突起部位に孔を加工することにより、係止ピンを孔に挿入して、前面カバーおよび後面カバーを係止する。このような係止方式はタッピングを必要とせず、係止部位が隠れて、外観の構造は簡潔なままである。該構造は、接続部位が受ける接線応力を低下させるのにも有利であり、固定構造の安定、確実さを保証している。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1図1は、本発明の一実施例の構造概要図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下に、本発明の図および具体的実施方式を組み合わせて、本発明についてさらに詳細に説明する。
【0019】
図1を参照されたい。図1は、本発明の係るピンによる係止、固定構造を示している。前面カバー10、後面カバー20を含み、該前面カバー10および後面カバー20は矩形のプレート状である。前面カバー10および後面カバー20の4つの辺縁部位に、対応して相互に嵌め込まれる突起およびくぼみが設けられることを特徴とする。図中の前面カバー10の突起の符号は、前面カバーの突起11および前面カバーのくぼみ12であり、後面カバーの突起の符号は、後面カバーの突起21および後面カバーのくぼみ22である。
【0020】
突起の中央に孔30が設けられ、4本の係止ピン40を孔30に挿入して、前面カバーおよび後面カバーを係止する。4本の係止ピン40は、前面カバー10および後面カバー20の4辺に対応する。前面カバー10および後面カバー20が相互に結合するとき、前面カバーの突起11を後面カバーのくぼみ22内に嵌め込み、逆も同じである。このように、前面カバーおよび後面カバーにそれぞれ属する様々な部分の突起を一つ一つかみ合わせ、一体に隙間無く結合し、組み合わせる。このように接続する突起の孔30は、完全な1つの孔路につなぐことができる。そのため、係止ピン40をこの組み合わせてなる孔路に沿って挿入し、前面カバー10および後面カバー20を係止する。
【0021】
後面カバーのくぼみの幅は突起の幅より小さく、4つの角はL型のくぼみである。前面カバーの突起の幅はくぼみの幅より小さく、4つの角はL型の突起である。
【0022】
前面カバーおよび後面カバーを一体に結合するとき、前面カバーの突起部位の孔は、後面カバーの突起部位の孔と同軸である。
【0023】
前面カバーのL型の突起部位に2つの孔を有し、2つの孔の孔路は合流しない。
【0024】
各箇所の突起の孔は、両端がいずれも45°に面取り加工される。
【0025】
孔と係止ピンとの間に、滑らせるシリコーンゴムを有する。
【0026】
係止ピンの直径はΦ2.5mmである。係止ピンと孔との間はすきま嵌めであり、片側公差は0.1mmである。
【0027】
ピンによる係止、固定構造の取付方法であって、対応して設置される前面カバーおよび後面カバーの位置を合わせて結合し、前面カバーの突起部位を後面カバーのくぼみ部位に嵌め込む;圧着すると、各辺縁の突起部位の孔は、相互にその軸方向に対して1本の直線となる;1本の係止ピンを液状シリコーンゴムに浸すが、該液状シリコーンゴムは、係止ピン40を通すとき、潤滑作用を示すことができ、係止ピン40がより容易に装入され、4本の係止ピンをすべて装入すると、該液状シリコーンゴムが自然に硬化成型するように平らに静置し、硬化後のシリコーンゴムは固定作用を示し、係止ピンが孔内で安定して係止し、ずれないように維持することを特徴とする方法。
【0028】
係止ピンの取付完了後、冷却してから、孔内の係止ピンの両端に再度液状シリコーンゴムを充填して密封し、自然冷却して成型する。端部を再度充填して密封することにより、係止ピンが孔内で安定して係止することを維持する。揺れたり緩んだりすることはない。
【0029】
係止ピンの直径はΦ2.5mmである。係止ピンと孔との間はすきま嵌めであり、片側公差は0.1mmである。
【0030】
各箇所の突起の孔は、両端がいずれも45°に面取り加工され、面取りにより、係止ピンをより容易に装入することができる。装入が完了すると、係止ピンが上下の接線応力を直接受け、破壊されるのを防止する。
【0031】
前面カバーおよび後面カバーが相互に接着する表面を、1層の接着フィルムが覆う。該接着フィルムは、一体成型技術により直接表面に成型される。該接着フィルムの厚さは0.2mmであり、接着フィルムは、前面カバーおよび後面カバーの突起およびくぼみ部分を含む、前面カバーおよび後面カバーの形状に完璧に接着される。
【0032】
前面カバーおよび後面カバーを圧着、結合するとき、相互に接着することにより、接着フィルムに圧力がかかる。接着フィルム自体が弾性を有するため、圧力を受けて、前面カバー、後面カバーに反対方向の作用力を与える。このとき、前面カバーおよび後面カバーに分類される突起およびくぼみは、相互の間で別々になる傾向を有する。これによって様々な部位に、上下に押し出す力がそれぞれ形成される。対になって存在する押し出す力は相互に相殺され、係止ピンが緩む、または圧力がかかることによる変形、さらには断裂を防止することができる。
【0033】
同時に、この上下の作用力によって、2つの突起の接触端面で係止ピンに対する上下のせん断力作用が引き起こされる。このため、係止ピンの端面を45°に面取り加工するのも、係止ピンが上下のせん断力を直接受けて破壊されるのを防止するのに有利である。
【0034】
本発明は、極端な環境に適用される照明灯筐体の固定構造である。該固定構造は、組み立てる必要がある前面カバー、後面カバーの接触部位に、相互に嵌め込み、接続することができる突起およびくぼみを設計し、突起部位に孔を加工することにより、係止ピンを孔に挿入して、前面カバーおよび後面カバーを係止する。このような係止方式はタッピングを必要とせず、係止部位が隠れて、外観の構造は簡潔なままである。該構造は、接続部位が受ける接線応力を低下させるのにも有利であり、固定構造の安定、確実さを保証している。
【0035】
以上の記載は本発明の好ましい実施例に過ぎず、本発明をどのような形式でも制限しない。本発明は好ましい実施例により上記のように開示したが、本発明を限定するものではない。当業者は本発明の技術案を逸脱しない範囲内で、上記に示した技術内容を利用して、同等に変化した同等の実施例に変更または修飾することができるが、いずれも本発明の技術案の内容を逸脱しない。本発明に基づく技術とは、以上の実施例に対して行う簡単な修正、同等の変化および修飾を指し、いずれも本発明の技術案の範囲内に属する。
【符号の説明】
【0036】
10 前面カバー
11 前面カバーの突起
12 前面カバーのくぼみ
20 後面カバー
21 後面カバーの突起
22 後面カバーのくぼみ
30 孔
40 係止ピン
図1