(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
レアアースを含有する泥の乾燥質量中のレアアースの質量の割合は、レアアースの含有率が高いことで知られる太平洋の深海底であっても、0.3質量%以下にすぎない。このため、レアアースを含有する泥から、希酸を用いてレアアースを抽出する際に、多量の酸性の泥が発生するという問題がある。
この酸性の泥の処理方法として、水酸化ナトリウム等のアルカリ剤で中和処理する方法が考えられる。しかし、中和処理後の泥をそのまま有用な用途に利用することは、この泥が大きな水分含有率を有し、扱い難いことから、困難である。
【0006】
本発明の目的は、レアアースを含有する泥から、酸を用いてレアアースを抽出した後に発生する酸性の泥を、大量にかつ有用な用途に利用可能なように処理する方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者は、上記課題を解決するために鋭意検討した結果、レアアースを含有する泥を酸で処理した後に発生する酸性の残渣及び/又は該酸性の残渣の中和物を、コンクリートまたはモルタルの原料の一部として使用して、コンクリート構造物を構築することによって、上記目的を達成することができることを見出し、本発明を完成した。
【0008】
すなわち、本発明は、以下の[1]〜[6]を提供するものである。
[1] レアアースを含有する泥を酸で処理した後に発生する酸性の残渣及び/又は該酸性の残渣の中和物を、コンクリートまたはモルタルの原料の一部として使用して、コンクリート構造物を構築するコンクリート構造物構築工程を含むことを特徴とする、レアアースを含有する泥の処理方法。
[2] 上記酸性の残渣及び/又は該酸性の残渣の中和物の少なくとも一部を、上記コンクリートまたはモルタル中のセメントの原料の一部として使用する、上記[1]に記載のレアアースを含有する泥の処理方法。
[3] 上記酸性の残渣及び/又は該酸性の残渣の中和物の少なくとも一部を、上記コンクリートまたはモルタル中の人工骨材の原料の一部として使用する、上記[1]または[2]に記載のレアアースを含有する泥の処理方法。
[4] 上記酸性の残渣及び/又は該酸性の残渣の中和物の少なくとも一部を、上記コンクリートまたはモルタル中のセメントまたは骨材の、少なくとも部分的な代替物として使用する、上記[1]〜[3]のいずれかに記載のレアアースを含有する泥の処理方法。
[5] レアアースを含有する泥を酸で処理した後に発生する酸性の残渣と、アルカリ性固化材を混合してなる固化体を用いて、地盤を造成する地盤造成工程を含み、かつ、該地盤造成工程の後に、上記コンクリート構造物構築工程のコンクリート構造物を構築する、上記[1]〜[4]のいずれかに記載のレアアースを含有する泥の処理方法。
[6] 上記コンクリート構造物構築工程および上記地盤造成工程で使用する、レアアースを含有する泥は、海底の地盤に存在する、レアアースの含有率が1,000ppm以上の泥である、上記[1]〜[5]のいずれかに記載のレアアースを含有する泥の処理方法。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、レアアースを含有する泥から、酸を用いてレアアースを抽出した後に発生する酸性の泥を、大量にかつ有用な用途に利用可能なように処理することができる。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明のレアアースを含有する泥の処理方法は、レアアースを含有する泥を酸で処理した後に発生する酸性の残渣及び/又は該酸性の残渣の中和物を、コンクリートまたはモルタルの原料の一部として使用して、コンクリート構造物を構築するコンクリート構造物構築工程を含むものである。
本発明において、酸性の残渣とは、レアアースを含有する泥を酸(例えば、希塩酸)で処理して、レアアースを液中に抽出した後に発生する酸性の残渣である。
また、酸性の残渣の中和物とは、上記酸性の残渣に、水酸化ナトリウム、生石灰、消石灰等のアルカリ性材料を加えて、pHを好ましくは6〜10の範囲内に高めて、中和したものをいう。
また、レアアースとは、周期律表の第3族のランタロイド(La(ランタン)からLu(ルテチウム))に、Sc(スカンジウム)とY(イットリウム)を加えた17元素をいう。
レアアースを含有する泥の一例として、深海底(例えば、海の深さとして、3,500〜6,000mの領域)に層状(例えば、海底から、深さが数10m程度までの地盤)に分布する、レアアースの含有率が大きい泥が挙げられる。
本発明において、レアアースを含有する泥(乾燥状態のもの)の中のレアアースの含有率(質量基準)は、資源であるレアアースを採掘する際の経済性の観点から、好ましくは1,000ppm以上、より好ましくは2,000ppm以上である。
【0011】
本発明において、「コンクリート構造物」とは、コンクリートまたはモルタルからなる建造物をいう。
本発明において、上述の酸性の残渣及び/又は該酸性の残渣の中和物は、コンクリートまたはモルタルの原料(例えば、セメント、骨材)の一部として使用される。
具体的には、酸性の残渣及び/又は該酸性の残渣の中和物を含む焼成物製造用原料を加熱してなる焼成物を、セメントクリンカや人工骨材として使用することができる。
また、酸性の残渣及び/又は酸性の残渣の中和物を、セメントや細骨材の、少なくとも部分的な代替物として、使用することができる。なお、酸性の残渣及び/又は該酸性の残渣の中和物を、セメントや細骨材の代替物として使用する場合、酸性の残渣及び/又は該酸性の残渣の中和物の配合量は、コンクリートの場合は200kg/m
3以下、モルタルの場合は400kg/m
3以下とすることが好ましい。
【0012】
酸性の残渣及び/又は該酸性の残渣の中和物(以下、「酸性の残渣等」ともいう。)の水分含有率(酸性の残渣等の固形分100質量%に対する水分の割合)は、特に限定されないが、加熱炉等の加熱手段の負荷を軽減する観点から、好ましくは200質量%以下、より好ましくは150質量%以下、特に好ましくは100質量%以下である。
酸性の残渣等の水分含有率を低減させる方法(方式)としては、泥をタンク等の容器に貯留して、泥の固形分を沈澱させ、その上澄みを回収する沈澱方式や、スクリューデカンター等の装置を用いる遠心分離方式や、フィルタープレス等の装置を用いる加圧脱水方式等が挙げられる。
中でも、低コストで簡易に脱水することができる点で、沈澱方式及び遠心分離方式が好ましく、沈澱方式が、より好ましい。
なお、脱水の程度は、沈澱方式、遠心分離方式、加圧脱水方式の順に大きくなる。
【0013】
上述した酸性の残渣を含む焼成物製造用原料は、得られる焼成物の用途に合わせて、酸性の残渣に加えて、適宜、他の原料を含んでいてもよい。
例えば、得られる焼成物をセメントクリンカの原料として使用する場合、酸性の残渣等に加えて、石灰石、生石灰、消石灰等のカルシウム含有原料(セメントクリンカ中のCaO成分を形成するための原料)や、珪石、粘土等のケイ素含有原料(セメントクリンカ中のSiO
2成分を形成するための原料)や、粘土等のアルミニウム含有原料(セメントクリンカ中のAl
2O
3成分を形成するための原料)や、鉄滓、鉄ケーキ等の鉄含有原料(セメントクリンカ中のFe
2O
3成分を形成するための原料)等を使用して、焼成物製造用原料を調製することができる。
この場合、酸性の残渣以外の原料の配合量(乾燥質量)は、酸性の残渣の利用の促進の観点から、酸性の残渣の乾燥質量100質量部に対して、好ましくは400質量部以下、より好ましくは300質量部以下、さらに好ましくは250質量部以下である。
【0014】
得られる焼成物を人工骨材として使用する場合、酸性の残渣のみを焼成物製造用原料として用いてもよいが、酸性の残渣に加えて、石灰等の他の原料を用いてもよい。
ここで、他の原料としては、例えば、カルシウム含有原料(焼成物中のCaO成分を形成するための原料)が挙げられる。カルシウム含有原料としては、例えば、生石灰、消石灰、石灰石、珊瑚、貝殻、セメント等が挙げられる。
また、他の原料として、酸性の残渣を中性または中性に近いpH領域にする観点から、水酸化ナトリウム、酸化マグネシウム等のアルカリ性材料を用いることもできる。ここで、アルカリ性材料とは、水に溶解するとpHがアルカリ性の領域となるものをいう。
これら他の原料の配合量(乾燥質量)は、酸性の残渣の利用の促進の観点から、酸性の残渣の乾燥質量100質量部に対して、好ましくは50質量部以下、より好ましくは30質量部以下、さらに好ましくは10質量部以下、さらに好ましくは5質量部以下、さらに好ましくは3質量部以下である。
【0015】
得られる焼成物を人工骨材として使用する場合、焼成物製造用原料としては、酸性の残渣のみからなるもの、または、酸性の残渣と水酸化ナトリウムとからなるもの、を用いることが好ましい。この際、水酸化ナトリウムとして、レアアースを含有する泥が採取される海域に存在する離島等の海水電気分解工場にて海水から製造されたものを使用すれば、例えば日本の本土(北海道、本州、四国、九州、沖縄本島)等の遠隔地から水酸化ナトリウムを搬入する必要がなくなり、好都合である。
【0016】
焼成物を得るための加熱手段としては、特に限定されるものではなく、連続式の手段とバッチ式の手段のいずれも用いることができる。
連続式の加熱手段としては、例えば、ロータリーキルン等が挙げられる。
バッチ式の加熱手段としては、例えば、焼却炉(ガス等を燃料として用いるもの)、電気炉、マイクロ波加熱装置等が挙げられる。
中でも、処理の効率を高める観点から、ロータリーキルンを用いることが好ましい。
加熱温度は、特に限定されないが、焼成物を人工骨材として使用する場合においては、好ましくは900〜1,500℃、より好ましくは1,000〜1,400℃、さらに好ましくは1,050〜1,300℃、特に好ましくは1,100〜1,200℃である。該温度が900℃以上であると、得られる焼成物の強度(例えば、圧壊強度)が向上する。該温度が1,500℃以下であると、加熱に用いるエネルギーを節減することができる。
焼成物をセメントクリンカとして使用する場合、加熱温度は、セメントクリンカの製造のための通常の温度に定めればよい。
【0017】
加熱して得られる焼成物を人工骨材として使用する場合、該焼成物の圧壊強度は、好ましくは1,000N以上、より好ましくは1,100N以上、さらに好ましくは1,200N以上、特に好ましくは1,300N以上である。
圧壊強度は、「JIS Z 8841−1993」(造粒物−強度試験方法)の「3.1 圧壊強度試験方法」に準拠して測定することができる。
加熱して得られる焼成物は、セメントクリンカや人工骨材(細骨材、粗骨材)の用途の他に、埋立て時のサンドコンパクション等として用いることができる。
【0018】
酸性の残渣等を含む焼成物製造用原料を焼成する際、(a)焼成物製造用原料を成形して、ペレットを得た後、該ペレットを加熱して、焼成物を得る方法、(b)焼成物製造用原料を乾燥させてなる粉末、該粉末を含むスラリー、または、該粉末を含む粘土状物を加熱して、焼成物を得る方法、等を採用することができる。
上記(a)の方法において、ペレットの大きさは、目的とする焼成物の種類(例えば、セメントクリンカ、粗骨材)に応じて、適宜、定めればよい。成形方法としては、所望の形状及び大きさを有するペレットを得ることができればよく、例えば、皿形造粒機や押出し成形機等を用いた成形方法が挙げられる。
上記(b)の方法において、目的とする焼成物の種類(例えば、セメントクリンカ、粗骨材)に応じて、適宜、焼成条件を調整することができる。
上記(a)、(b)のいずれの方法においても、目的とする焼成物の種類(例えば、セメントクリンカ、粗骨材)に応じて、分級の工程を加えることができる。分級は、例えば、篩等を用いて行うことができる。
また、焼成物は、分級の前に、必要に応じて、破砕することもできる。
破砕手段としては、例えば、ロールクラッシャ、ジョークラッシャ、コーンクラッシャ等が挙げられる。
【0019】
レアアースを含有する泥は、通常、本土から遠く離れた太平洋の深海の海底に存在するため、発生した多量の酸性の泥を本土まで運搬して処理することは、経済的ではない。このため、発生した多量の酸性の泥の処理(上述の焼成物の製造)は、本土から遠く離れた離島(レアアースを含有する泥が採取される海域の島)で行うことが好ましい。
【0020】
本発明において、得られた焼成物からなるセメントクリンカまたは人工骨材は、コンクリート構造物を構成するコンクリートまたはモルタルの原料の一部として使用することができる。
また、本発明において、酸性の残渣及び/又は該酸性の残渣の中和物は、コンクリートまたはモルタル中のセメントまたは骨材の、少なくとも部分的な代替物として使用することができる。
コンクリート構造物としては、例えば、人工島、防波堤、メガフロート、ポンツーン、海中備蓄タンク等が挙げられる。
離島は、工場等を建設するための土地を確保しづらい面があるが、人工島等のコンクリート構造物を、離島またはその周辺に構築することによって、該コンクリート構造物の上に、例えば、レアアース採鉱事業を支援するための設備を建設することができる。この設備としては、例えば、人工骨材製造工場、セメント製造工場、コンクリート二次製品工場、発電施設、空港、海水電気分解工場、ゼオライト分離脱塩工場、作業員宿舎、オフィス等が挙げられる。
コンクリート構造物を、本土から遠く離れた離島(レアアースを含有する泥が採取される海域の島)に構築することによって、本土と離島の間の資材の運搬の頻度を少なくしながら、離島またはその周辺の開発を行い、レアアース採鉱事業を支援することができる。
【0021】
本発明のレアアースを含有する泥の処理方法は、コンクリート構造物構築工程の前に、地盤造成工程を含むことができる。
地盤造成工程は、レアアースを含有する泥を酸で処理した後に発生する酸性の残渣と、アルカリ性固化材を混合してなる固化体を用いて、地盤を造成する工程である。
この場合、人工島や防波堤等のコンクリート構造物(ただし、浮防波堤、メガフロート等の海洋に浮遊するコンクリート構造物は除く。)は、酸性の残渣とアルカリ性固化材を混合してなる固化体を用いて造成された地盤の上に、構築される。このように酸性の残渣を含む固化体を地盤の材料の一部として用いることによって、酸性の残渣の利用を促進することができる。
ここで、アルカリ性固化材とは、水に溶解するとpHがアルカリ性の領域となる固化材であり、例えば、セメント、石灰または酸化マグネシウムを含むものが挙げられる。
セメント、石灰または酸化マグネシウムを含むものとしては、例えば、セメント、セメント系固化材、石灰、石灰系固化材、マグネシア系固化材等が挙げられる。
中でも、固化体を埋め立て資材として用いた場合に、強固な地盤を得る観点から、セメントが好ましい。
【0022】
セメントとしては、普通ポルトランドセメント、早強ポルトランドセメント、中庸熱ポルトランドセメント、低熱ポルトランドセメント等の各種ポルトランドセメントや、高炉セメント、フライアッシュセメント等の混合セメントや、エコセメント等が挙げられる。
また、上述した酸性の残渣の利用を促進する観点から、酸性の残渣をセメントの原料の一部として使用したセメントを用いることが好ましい。
セメント系固化材とは、セメントを主成分(通常、50質量%以上)として含み、かつ、各種の有効成分を副成分として含む固化材である。市販品としては、太平洋セメント社製の「ジオセット」(商品名)等が挙げられる。
石灰としては、生石灰、消石灰等が挙げられる。
石灰系固化材とは、石灰を主成分(通常、50質量%以上)として含み、かつ、各種の有効成分を副成分として含む固化材である。
マグネシア系固化材としては、炭酸マグネシウムまたは水酸化マグネシウムを、低温(600〜900℃)で焼成して得られる軽焼マグネシア(軽焼酸化マグネシウムともいう。)等が挙げられる。
【0023】
アルカリ性固化材の量は、酸性の残渣のpHによっても異なるが、酸性の残渣を中和して、中性または中性に近いpH領域の固化体を得る観点から、酸性の残渣1m
3に対して、好ましくは30〜400kg、より好ましくは50〜300kg、特に好ましくは100〜200kgである。
なお、固化体を用いて地盤を造成する方法としては、例えば、(1)酸性の残渣にアルカリ性固化材を添加して混合し、得られた混合物を埋め立て地等に打設して固化させる、(2)酸性の残渣を埋め立て地等に打設しておき、この打設した酸性の残渣に、アルカリ性固化材を添加して混合し、固化させる、(3)酸性の残渣にアルカリ性固化材を添加して混合し、粒状やブロック状の成形体を製造した後、該成形体を埋め立て資材等として利用する、等の実施形態を採用することができる。
【0024】
本土から遠く離れた離島(レアアースを含有する泥が採取される海域の島)の開発に際して、酸性の残渣を含む固化体を、埋め立て資材として用いて、地盤を造成した後、造成された地盤の上に、人工骨材製造用工場やセメント製造用工場を建設し、次いで、これらの工場で製造された人工骨材やセメントを原料として用いて、コンクリート二次製品製造工場等を建設し、さらに、該工場で製造されたコンクリート二次製品や、生コンクリート等を用いて、人工島、防波堤等のコンクリート構造物を構築するといった一連の方法によれば、レアアースを含有する泥から、酸を用いてレアアースを抽出した後に発生する酸性の泥を、大量にかつ有用な用途に利用するという本発明の目的を、より効果的に達成することができる。
また、構築されたコンクリート構造物(人工島等)に、風力、潮力、波力、太陽光、海洋温度差等の自然エネルギーを利用した発電設備を築き、この発電設備から供給される電気を用いて、海水を電気分解して、塩酸、水酸化ナトリウム、水素等を製造するようにすれば、これらの生成物を各種の用途に用いることができる。例えば、塩酸は、レアアースの抽出の用途に用いることができる。水酸化ナトリウムは、酸性の残渣の中和の用途に用いることができる。水素(水素ガス)は、エネルギー源として用いることができる。
【実施例】
【0025】
以下、本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。なお、以下の文中、質量は、乾燥状態における質量を表す。
[模擬試料1の製造]
試薬を用いて、表1に示す化学組成を有する模擬試料1を調合した。模擬試料1は、レアアースを含有する泥を、酸で処理した後に得た酸性の泥を脱水して得られる酸性の残渣を模したものである。
【0026】
【表1】
【0027】
[実施例1]
「模擬試料1」20gにエタノールを加えて混合した後、ハンドプレスによって成型して、φ30mm×14〜17mm(長さ)の円柱状のペレットを得た。該ペレットを乾燥させた後、電気炉を用いて加熱した。加熱温度は、1,100℃を最高温度とした。該ペレットは、800℃にて30分間仮焼した後、20分間かけて1,100℃(焼結温度)まで昇温し、30分間1,100℃に保持して、電気炉から取り出し冷却した。
焼結したペレットに対して、直径方向に圧壊するまで荷重を加え、圧壊強度を測定した。
圧壊強度の測定は、「JIS Z 8841−1993」(造粒物−強度試験方法)の「3.1 圧壊強度試験方法」に準拠した。
【0028】
[比較例1]
「模擬試料1」とエタノールの混合物に代えて、バインダーとしてαデンプンを2質量%の割合で含む石炭灰を用いた以外は実施例1と同様にして、焼結したペレットを製造し、このペレットの圧壊
強度を測定した。なお、比較例1の試料において、バインダーを用いない場合は、ペレットを成型することができなかった。
測定結果を表2に示す。
表2から、実施例1で得たペレットは、比較例1で得たペレットに比べて圧壊強度が大きく、人工骨材として使用できることがわかる。
【0029】
【表2】