特許第6493722号(P6493722)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許64937223次元図形生成システム及び3次元図形生成方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6493722
(24)【登録日】2019年3月15日
(45)【発行日】2019年4月3日
(54)【発明の名称】3次元図形生成システム及び3次元図形生成方法
(51)【国際特許分類】
   G06F 17/50 20060101AFI20190325BHJP
【FI】
   G06F17/50 624F
   G06F17/50 680B
   G06F17/50 624B
【請求項の数】6
【全頁数】24
(21)【出願番号】特願2014-137770(P2014-137770)
(22)【出願日】2014年7月3日
(65)【公開番号】特開2016-15083(P2016-15083A)
(43)【公開日】2016年1月28日
【審査請求日】2017年5月17日
(73)【特許権者】
【識別番号】000002299
【氏名又は名称】清水建設株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【弁理士】
【氏名又は名称】松沼 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100161506
【弁理士】
【氏名又は名称】川渕 健一
(74)【代理人】
【識別番号】100161207
【弁理士】
【氏名又は名称】西澤 和純
(74)【代理人】
【識別番号】100064908
【弁理士】
【氏名又は名称】志賀 正武
(74)【代理人】
【識別番号】100108578
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 詔男
(74)【代理人】
【識別番号】100146835
【弁理士】
【氏名又は名称】佐伯 義文
(72)【発明者】
【氏名】片岡 誠
【審査官】 新井 則和
(56)【参考文献】
【文献】 特開2007−080013(JP,A)
【文献】 特開平07−234892(JP,A)
【文献】 特開2009−003846(JP,A)
【文献】 特開平11−166286(JP,A)
【文献】 高梨 昌士 外4名,殖産住宅相互(株)における注文住宅の自動製図・積算システム,FUJITSU Vol.31 No.4,日本,富士通株式会,1980年 7月10日,第31巻 第4号,pp. 33-54
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 17/50
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
建物の平面図である2次元図面から当該建物の3次元図形を生成する3次元図形生成システムであり、
少なくとも柱、梁、床スラブ、外壁パネルを含む前記建物を構成する部材の配置が記述された前記2次元図面の2次元画像を表示する画像表示部と、
2次元座標系における前記2次元図面上において選択された前記部材の前記2次元座標系における座標位置である第1座標位置を検出する部材座標位置検出部と、
前記2次元座標系における前記第1座標位置に対応する座標位置として、3次元図形が構成される3次元空間を構成する2次元座標系における第2座標位置を検出し、検出された当該第2座標位置に対し、前記建物の3次元構造の3次元座標系に、前記部材の3次元図形を配置する部材配置部と
を備え
前記部材配置部が、
前記2次元画像の前記梁が指示されると、当該梁の指示された位置に対して第1の距離内において最も近傍の柱を第1柱として選択し、かつ第1柱を中心とし前記第1の距離より長い第2の距離を半径とした円弧を所定の角度にて生成し、当該円弧内で第1柱に最も近い柱を第2柱として選択し、前記第1柱と前記第2柱との間に前記梁の3次元図形を配置する
ことを特徴とする3次元図形生成システム。
【請求項2】
前記部材に対応する配置部材の断面形状を示す部材テーブルをさらに備え、
前記部材配置部が、
前記部材の第2座標位置に対応して、前記3次元座標系に前記配置部材を配置する際、前記断面形状の面に垂直方向に配置部材を延ばし、配置に必要な前記配置部材の3次元構造を生成する
ことを特徴とする請求項1に記載の3次元図形生成システム。
【請求項3】
前記建物の2次元平面画像が紙に印刷された平面図からスキャナーにより取り込まれたことを特徴とする請求項1また請求項2に記載の3次元図形生成システム。
【請求項4】
前記部材配置部が、
前記梁の3次元図形が配置された後、前記梁を辺とする多角形の前記床スラブを配置することを特徴とする請求項1から請求項のいずれか一項に記載の3次元図形生成システム。
【請求項5】
前記建物の2次元画像の外壁と平行に引かれた外壁ラインに対し、外壁に設けられた前記柱の各々から垂線を描き、当該垂線と前記外壁ラインとの交点を外壁ライン基準点とする外壁ライン基準点生成部をさらに有し、
前記部材配置部が、
隣接する前記外壁ライン基準点を結ぶ線分、外周部に設けられた前記柱から外壁ラインに下した垂線、及び大梁あるいは小梁の芯を表す線分を辺とする多角形のバルコニー床を配置する
ことを特徴とする請求項1から請求項のいずれか一項に記載の3次元図形生成システム。
【請求項6】
建物の平面図である2次元図面から当該建物の3次元図形を生成する3次元図形生成方法であり、
画像表示部が、少なくとも柱、梁、床スラブ、外壁パネルを含む前記建物を構成する部材の配置が記述された前記建物の前記2次元図面の2次元画像を表示する画像表示過程と、
部材座標位置検出部が、2次元座標系における前記2次元図面上において選択された前記部材の前記2次元座標系における座標位置である第1座標位置を検出する部材座標位置検出過程と、
部材配置部が、前記2次元座標系における前記第1座標位置に対応する座標位置として、3次元図形が構成される3次元空間を構成する2次元座標系における第2座標位置を検出し、検出された当該第2座標位置に対し、前記建物の3次元構造の3次元座標系に、前記部材の3次元図形を配置する部材配置過程と
を含み、
前記部材配置部が、
前記2次元画像の前記梁が指示されると、当該梁の指示された位置に対して第1の距離内において最も近傍の柱を第1柱として選択し、かつ第1柱を中心とし前記第1の距離より長い第2の距離を半径とした円弧を所定の角度にて生成し、当該円弧内で第1柱に最も近い柱を第2柱として選択し、前記第1柱と前記第2柱との間に前記梁の3次元図形を配置する
ことを特徴とする3次元図形生成方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建物の2次元画像である平面図からこの建物の3次元図形を生成する3次元図形生成システム及び3次元図形生成方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
高層の建物の建設工事における工程計画において、基準階のサイクル工程は工期に大きな影響を与えるため、建設工事を開始する際に最短の工程スケジュールを作成する必要がある。ここで、基準階とは、高層の建物の各階の構造が基本的に同一であるため、建物を構成する際に同一のサイクル工程により繰り返して形成することができる構造の階を示している。
サイクル工程を最短化する調整を実施するためには、部材を所定の階に配置するための時間を正確に見積もる必要がある。部材は、少なくとも柱、梁(大梁、小梁)、床スラブ及び外壁パネルなどを含んでいる。
【0003】
また、部材を配置する時間を正確に見積もるためには、基準階へのタワークレーンなどを用いて吊り上げる揚重負荷の個数を積算する必要がある。揚重負荷とは、上述した柱、梁(大梁、小梁)、床スラブ及び外壁パネルなどにおいて、タワークレーンなどで配置場所までつり上げる必要のある重量を有する部材を示している。
この揚重部材の個数の積算は、紙の図面しか入手できない場合、通常作業者が紙に印刷された基準階の平面図において、部材の確認漏れがないように、部材の種類毎にカラーペンの色を変えながらマーキングをする。そして、作業者がマーキングした色で明確に分類された部材の個数を、部材の種別毎に積算する。
【0004】
また、コンピュータを用いた建物の基準階に配置する部材の積算は、市販の汎用CAD(Computer Aided Design)システム及び企業の内製ソフトウェアにより自動的に行われている。しかし、CADシステムにおいて、建物の3次元構造を生成する際、部材の3次元データを定義するために、平面図から読み取った部材の寸法を含めて多くの数値を、CADシステムに入力する必要がある。例えば、汎用のCADシステムに対して、部材の断面寸法、柱や梁の通り芯からの寄り、小梁の割り付け位置など、部材を所定の階に吊り上げて運ぶ揚重回数の積算には不要な数値の入力が必要である。この不要な数値を図面から読み取って、汎用CADシステムの3次元空間上において仮決めして、建物の3次元構造を生成しなければならず、部材の寸法などの数値の入力に時間がかかる。このように、施工計画を目的として部材の個数の積算を行うために、その部材の3次元データを入力することは、作業者が手と目とを用いて部材を積算する以上の手間がかかり、現実的ではない。
【0005】
一方、CADシステムで用いるCADデータとして、部材の個数を積算する設計図(平面図)の2次元画像のデータが入手できる場合、この設計図に対して忠実に建物の3次元構造を比較的容易に作成できる建物の3次元図形の生成システムもある(例えば、特許文献1参照)。
しかしながら、特許文献1においては、CADデータとして建物の設計図が得られた場合には用いることができるが、紙に印刷された平面図しか供給されなかった場合には用いることができない。この、紙に印刷された建物の平面図しか供給されなかった場合には、すでに述べたように、作業者が紙に印刷された建物の平面図から部材を読み取り、部材の種類毎の個数を積算する必要がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2005−078207号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたもので、CADシステムで用いるCADデータが得られない場合でも、建物の平面図(2次元画像)から建物の3次元図形を容易に作成することができる3次元図形生成システム及び3次元図形生成方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この発明は上述した課題を解決するためになされたもので、本発明の3次元図形生成システムは、建物の平面図である2次元図面から当該建物の3次元図形を生成する3次元図形生成システムであり、少なくとも柱、梁、床スラブ、外壁パネルを含む前記建物を構成する部材の配置が記述された前記2次元図面の2次元画像を表示する画像表示部と、2次元座標系における前記2次元図面上において選択された前記部材の前記2次元座標系における座標位置である第1座標位置を検出する部材座標位置検出部と、前記2次元座標系における前記第1座標位置に対応する座標位置として、3次元図形が構成される3次元空間を構成する2次元座標系における第2座標位置を検出し、検出された当該第2座標位置に対し、前記建物の3次元構造の3次元座標系に、前記部材の3次元図形を配置する部材配置部とを備え、前記部材配置部が、前記2次元画像の前記梁が指示されると、当該梁の指示された位置に対して第1の距離内において最も近傍の柱を第1柱として選択し、かつ第1柱を中心とし前記第1の距離より長い第2の距離を半径とした円弧を所定の角度にて生成し、当該円弧内で第1柱に最も近い柱を第2柱として選択し、前記第1柱と前記第2柱との間に前記梁の3次元図形を配置することを特徴とする。
【0009】
本発明の3次元図形生成システムは、前記部材に対応する配置部材の断面形状を示す部材テーブルをさらに備え、前記部材配置部が、前記部材の第2座標位置に対応して、前記3次元座標系に前記配置部材を配置する際、前記断面形状の面に垂直方向に配置部材を延ばし、配置に必要な前記配置部材の3次元構造を生成することを特徴とする。
【0010】
本発明の3次元図形生成システムは、前記建物の2次元平面画像が紙に印刷された平面図からスキャナーにより取り込まれたことを特徴とする。
【0012】
本発明の3次元図形生成システムは、前記部材配置部が、前記梁の3次元図形が配置された後、前記梁を辺とする多角形の前記床スラブを配置することを特徴とする。
【0013】
本発明の3次元図形生成システムは、前記建物の2次元画像の外壁と平行に引かれた外壁ラインに対し、外周部に設けられた前記柱の各々から垂線を描き、当該垂線と前記外壁ラインとの交点を外壁ライン基準点とする外壁ライン基準点生成部をさらに有し、前記部材配置部が、隣接する前記外壁ライン基準点を結ぶ線分、外周部に設けられた前記柱から外壁ラインに下した垂線、及び大梁あるいは小梁の芯を表す線分を辺とする多角形のバルコニー床を配置することを特徴とする。
【0014】
本発明の3次元図形生成方法は、建物の平面図である2次元図面から当該建物の3次元図形を生成する3次元図形生成方法であり、画像表示部が、少なくとも柱、梁、床スラブ、外壁パネルを含む前記建物を構成する部材の配置が記述された前記建物の前記2次元図面の2次元画像を表示する画像表示過程と、部材座標位置検出部が、2次元座標系における前記2次元図面上において選択された前記部材の前記2次元座標系における座標位置である第1座標位置を検出する部材座標位置検出過程と、部材配置部が、前記2次元座標系における前記第1座標位置に対応する座標位置として、3次元図形が構成される3次元空間を構成する2次元座標系における第2座標位置を検出し、検出された当該第2座標位置に対し、前記建物の3次元構造の3次元座標系に、前記部材の3次元図形を配置する部材配置過程とを含み、前記部材配置部が、前記2次元画像の前記梁が指示されると、当該梁の指示された位置に対して第1の距離内において最も近傍の柱を第1柱として選択し、かつ第1柱を中心とし前記第1の距離より長い第2の距離を半径とした円弧を所定の角度にて生成し、当該円弧内で第1柱に最も近い柱を第2柱として選択し、前記第1柱と前記第2柱との間に前記梁の3次元図形を配置することを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
この発明によれば、CADデータが得られない場合でも、建物の平面図である2次元画像における部材を指示することにより、指示された部材の位置にこの部材の3次元構造を配置するため、建物の2次元画像の平面図から建物の3次元図形を容易に作成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明の実施形態による3次元図形生成システム1の構成例を示す図である。
図2】部材表示部13が表示画面に表示する、部材情報を選択する表示画像の例を示す図である。
図3】部材データベース18に予め書き込まれて記憶されている部材テーブルの一つである柱テーブルの構成を示す図である。
図4】部材データベース18に予め書き込まれて記憶されている部材テーブルの一つである大梁テーブルの構成を示す図である。
図5】部材データベース18に予め書き込まれて記憶されている部材テーブルの一つである小梁テーブルの構成を示す図である。
図6】部材データベース18に予め書き込まれて記憶されている部材テーブルの一つである床テーブルの構成を示す図である。
図7】部材データベース18に予め書き込まれて記憶されている部材テーブルの一つである外壁テーブルの構成を示す図である。
図8】本実施形態による3次元図形生成システム1における3次元図形生成の処理の動作例を示すフローチャートである。
図9】画像処理部12が行う画像処理の動作を説明する図である。
図10】平面図における建物の最外殻(床スラブの端部)に位置する外壁ラインの生成を説明する図である。
図11】平面図における建物の柱203間に配置される大梁の配置処理を説明する図である。
図12】平面図における建物の大梁あるいは小梁と、他の大梁あるいは他の小梁との間に新たに配置される小梁の配置処理を説明する図である。
図13】建物の床に対して作業者の選択した床スラブを配置する処理を説明する図である。
図14】作業者が入力した外壁パネルの分割数に対応させて、外壁ラインに沿って外壁パネルを配置する処理を説明する図である。
図15】作業者が入力した外壁パネルの分割数に対応させて、外壁ラインに沿って外壁パネルを配置する処理を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、図面を参照して、本発明の実施形態について説明する。図1は、本発明の実施形態による3次元図形生成システム1の構成例を示す図である。図1において、3次元図形生成システム1は、入力部11、画像処理部12、部材表示部13、部材座標位置検出部14、部材配置部15、外壁ライン基準点生成部16、画像表示部17、部材データベース18及び画像処理用記憶部19を備えている。また、3次元図形生成システム1には入力装置2及びスキャナー3が接続されている。
【0018】
入力部11は、スキャナー3から供給される建物の2次元画像の読み取り画像データを読み込み、画像処理用記憶部19に書き込んで記憶させる。
画像処理部12は、画像処理用記憶部19から読み取り画像データを読み出し、画像表示部17を介して表示画面(不図示)に表示する。そして、画像処理部12は、入力装置2から供給される制御データにより、画像表示部17が表示画面に表示する読み取り画像データの画像の調整を行う。制御データは、読み取り画像データにおける建物の平面図のx軸及びy軸の各々を、画像表示部17の表示画面のX軸、Y軸それぞれに平行とする回転調整を行う情報である。また、制御データは、X軸方向とY軸方向との縮尺の比を同一とする縮尺を行う(軸方向の拡大または縮小)情報も含んでいる。
【0019】
部材表示部13は、3次元図形を生成する際に用いる部材の情報として、少なくとも柱情報、大梁情報、小梁情報、床情報及び外壁情報などの種類の部材情報を示すボタンを画像表示部17を介して表示画面に表示する。この部材情報を示すボタンは、配置を行う部材の種別を設定するために表示される。例えば、柱の3次元図形を生成する処理を開始する場合、作業者は柱情報のボタンをポインティングデバイスなどでクリックして選択する。そして、部材表示部13は、ポインティングデバイスで選択された部材に対応した部材情報の部材テーブルを、部材データベース18から読み出し、表示画面に表示する。
【0020】
また、部材表示部13は、ポインティングデバイスにより部材テーブルから選択された部材の情報(部材記号、すなわち部材識別情報)を部材配置部15に対して出力する。本実施形態における建物の3次元図形及び部材の3次元図形は、X軸、Y軸及びZ軸の各々からなる3次元座標系に構成される。この3次元座標系は、建物の高さ方向がZ軸で構成され、建物の床平面がX軸及びY軸から構成された2次元平面となっている。この床平面である2次元平面(3次元座標系における2次元平面)のX軸及びY軸の各々は、スキャナーで読み込まれた建物の2次元画像(平面図)が示される2次元座標系を構成するx軸、y軸それぞれに対応している。
【0021】
作業者が画像表示装置17の表示画面に表示された建物の平面図において、入力装置2におけるポインティングデバイスで部材の位置を指示すると、部材座標位置検出部14は、表示画面上の読み取り画像データ(2次元画像)の2次元座標系における部材の座標位置を検出する。そして、部材座標位置検出部14は、検出した部材の2次元座標系における座標位置を部材配置部15に出力する。
【0022】
部材配置部15は、部材座標位置検出部14が検出した2次元座標系における座標位置に対して、部材表示部13から供給される部材の識別情報(部材番号)の示す部材の3次元図形を配置する。ここで、部材配置部15は、読み取り画像データの2次元座標系(x軸及びy軸からなる座標系)の座標位置に対応する、表示画面の3次元座標系(X軸、Y軸及びZ軸)における2次元平面(X軸及びY軸からなる2次元座標系)の座標位置に対して上記部材の3次元図形を配置する。
すなわち、本実施形態による3次元図形生成システム1は、後述するように部材に対応する配置部材の断面形状を示す部材テーブル(部材データベース18に予め書き込まれて記憶されている)をさらに備えている。
【0023】
部材配置部15は、建物の2次元画像における部材の座標位置に対応し、建物の3次元構造の3次元座標系に部材を配置する際、断面形状の面に垂直方向に部材を延ばし、配置に必要な長さ(あるいは幅)の部材形状を生成し、上記断面形状を有した配置に必要な部材の3次元構造を生成する。
本実施形態においては、基準階の高さが予め所定の値(例えば、4m)に設定されているため、Z軸方向の高さがこの高さにより制限される。例えば、部材が柱であれば柱の長さはこの所定の値(例えば、4m)となる。
【0024】
外壁ライン基準点生成部16は、建物の3次元図形における3次元空間のx軸及びy軸からなる2次元平面に配置されたこの建物の外壁ラインに対し、建物の最外周に設けられた柱(外周柱)の各々から垂線を描く。そして、外壁ライン基準点生成部16は、外壁ライン及び外壁ラインに描いた垂線の交点を外壁ライン基準点とする。そして、外壁ライン基準点生成部16は、得られた外壁ライン基準点の座標位置を、部材配置部15に対して出力する。
【0025】
画像表示部17は、少なくとも柱、梁、床スラブ、外壁パネルを含む部材の配置が記述された建物の2次元画像、すなわち建物の読み取り画像データ(2次元画像)を下図として、表示画面に表示する。また、画像表示部17は、建物の2次元画像に基づき生成された建物の3次元図形を、表示画面に表示する。
【0026】
部材データベース18は、柱情報、大梁情報、小梁情報、床情報及び外壁情報の各々が記載された柱テーブル、大梁テーブル、小梁テーブル、床テーブル、外壁テーブルそれぞれが予め書き込まれて記憶されている。また、必要な部材が無い場合、作業者が入力装置2のキーボードなどで入力される数値を、入力部11を介して入力できるようにしても良い。
【0027】
図2は、部材表示部13が表示画面に表示する、部材情報を選択する表示画像の例を示す図である。部材の3次元図形を生成する際、いずれの部材の入力を行うかの選択を行うため、部材表示部13は、図2に示すように、部材情報として、柱情報、大梁情報、カンチレバータイプの大梁情報、小梁情報、床情報及び外壁情報の各々の文字のボタンを表示する。また、部材表示部13は、柱情報、大梁情報、カンチレバータイプの大梁情報、小梁情報、床情報及び外壁情報の各々の横に、それぞれの部材の入力が終了させるための終了のボタンを表示する。また、部材表示部13は、全ての部材の入力が終了し、基準階の3次元構造が完成した際に、建物の3次元構造の生成を終了させるための完了のボタンを表示する。
【0028】
図3は、部材データベース18に予め書き込まれて記憶されている部材テーブルの一つである柱テーブルの構成を示す図である。この図3において、柱テーブルは、柱記号(柱識別情報)に対応して、柱の断面形状(X軸及びY軸からなる平面における形状)と、柱の断面の寸法とが対応付けられて、部材データベース18に記憶されている。例えば、柱記号C1の柱は、断面形状が正方形であり、寸法は縦1000(mm)×横1000(mm)×板厚32(mm)である。ここで、柱の断面の寸法は、方形であれば縦×横×板厚、また円形であれば直径×板厚が示されている。柱の長さ(高さ方向の長さ)は、基準階の高さとなるため、特に設定されていない。また、柱テーブルには、一般的に用いられる複数の寸法の柱のデータが予め書き込まれて記憶されている。
また、部材表示部13は、図2に示す部材情報のボタン列において柱情報がポインティングデバイスにより選択されると、部材データベース18から、図3に示す柱テーブルを読み出し、表示画面に表示する。
【0029】
図4は、部材データベース18に予め書き込まれて記憶されている部材テーブルの一つである大梁テーブルの構成を示す図である。この図4において、大梁テーブルは、大梁記号(大梁識別情報)に対応して、大梁の断面形状(多くの場合、X軸及びZ軸、あるいはY軸及びZ軸からなる平面における形状)と、大梁の寸法とが対応付けられて、部材データベース18に記憶されている。例えば、大梁記号G1の大梁は、断面形状がH型であり、寸法は成(高さ)1000(mm)×幅300(mm)×ウェブの厚さ25(mm)×フランジの厚さ32(mm)である。ここで、寸法は、大梁の長軸方向に垂直な面における断面の寸法であり、例えば大梁となる鉄骨の成(高さ)、幅、ウェブの厚さ及びフランジの厚さである。長さは、配置される柱間の距離となるため、特に設定がなされていない。また、大梁テーブルには、一般的に用いられる複数の寸法の大梁のデータが予め書き込まれて記憶されている。
また、部材表示部13は、図2に示す部材情報のボタン列において大梁情報がポインティングデバイスにより選択されると、部材データベース18から、図4に示す大梁テーブルを読み出し、表示画面に表示する。
【0030】
図5は、部材データベース18に予め書き込まれて記憶されている部材テーブルの一つである小梁テーブルの構成を示す図である。この図5において、小梁テーブルは、小梁記号(小梁識別情報)に対応して、小梁の断面形状(多くの場合、X軸及びZ軸、あるいはY軸及びZ軸からなる平面における形状)と、小梁の寸法とが対応付けられて、部材データベース18に記憶されている。例えば、小梁記号B1の小梁は、断面形状がH型であり、寸法は成(高さ)400(mm)×幅300(mm)×ウェブの厚さ8(mm)×フランジの厚さ13(mm)である。ここで、寸法は、小梁の長軸方向に垂直な面における断面の寸法であり、例えば小梁となる鉄骨の成(高さ)、幅、ウェブの厚さ及びフランジの厚さである。長さは、配置される梁間の距離となるため、特に設定がなされていない。また、小梁テーブルには、一般的に用いられる複数の寸法の小梁のデータが予め書き込まれて記憶されている。
また、部材表示部13は、図2に示す部材情報のボタン列において小梁情報がポインティングデバイスにより選択されると、部材データベース18から、図5に示す小梁テーブルを読み出し、表示画面に表示する。
【0031】
図6は、部材データベース18に予め書き込まれて記憶されている部材テーブルの一つである床テーブルの構成を示す図である。この図6において、床テーブルは、床記号(床識別情報)に対応して、床スラブの種別が対応付けられて、部材データベース18に予め書き込まれて記憶されている。例えば、小梁記号S1の床スラブは、フラットデッキを用いた床である。床スラブの厚さは所定の値が設定されており、例えば200mmである。また、床テーブルには、一般的に用いられる複数の種別の床スラブのデータが予め書き込まれて記憶されている。
また、部材表示部13は、図2に示す部材情報のボタン列において床情報がポインティングデバイスにより選択されると、部材データベース18から、図6に示す床テーブルを読み出し、表示画面に表示する。
【0032】
図7は、部材データベース18に予め書き込まれて記憶されている部材テーブルの一つである外壁テーブルの構成を示す図である。この図7において、外壁記号(外壁識別情報)に対応して、外壁とする外壁パネルの種別と寸法とが対応付けられて、部材データベース18に予め書き込まれて記憶されている。例えば、外壁記号OW1の外壁パネルは、ポツ窓形式のPC(Precast Concrete)板であり、厚さが200mmである。この外壁テーブルには、寸法として外壁パネルの厚さが示されている。外壁パネルの主部によっては、外壁テーブルの寸法としてより多くの数値を示すこともある。外壁パネルの高さは、基準階の高さとなるため、特に設定はされていない。外壁パネルの幅は、外壁ライン基準点の間隔とパネルの割り付け数から決定されるので、特に設定はされていない。また外壁テーブルには、一般的に用いられる複数の種別、寸法の外壁パネルのデータが予め書きこまれて記憶されている。
また、部材表示部13は、図2に示す部材情報のボタン列において外壁情報がポインティングデバイスにより選択されると、部材データベース18から、図7に示す外壁テーブルを読み出し、表示画面に表示する。
【0033】
図1に戻り、画像処理用記憶部19は、スキャナー3から供給される読み取り画像データ及びこの読み取り画像データに基づき形成される建物の3次元構造が書き込まれて記憶されている。
【0034】
次に、図面を参照して本実施形態による3次元図形生成システム1の動作を説明する。図8は、本実施形態による3次元図形生成システム1における3次元図形生成の処理例を示すフローチャートである。
ステップS11:
作業者は、スキャナー3を用いて、紙に印刷されている建物の平面図を読み取らせる。これにより、スキャナー3は、読み取った建物の平面図を、2次元画像である読み取り画像データとして、3次元図形生成システム1に対して出力する。
入力部11は、スキャナー3から供給される読み取り画像データを、画像処理用記憶部19に対して書き込んで記憶させる。
【0035】
ステップS12:
画像処理部12は、画像処理用記憶部19から読み取り画像データを読み出す。そして、画像処理部12は、読み出した読み取り画像データを、画像表示部17を介して表示画面に表示する。
作業者は、3次元図形生成システム1の画像表示部17の表示画面に表示されている読み取り画像データを視認する。
そして、作業者は、表示された読み取り画像データにおいて、建物の平面図のx軸及びy軸が、表示画面の座標系におけるX軸及びY軸とずれていることを認識した場合、以下の作業を行う。
【0036】
すなわち、作業者は、平面図のx軸及びy軸の各々と、表示画面の座標系におけるX軸、Y軸それぞれとを平行とするため、X軸と平行としたい建物の画像における線分(x軸に平行)を選択する。そして、作業者が建物の読み取り画像の回転処理を行う指示を入力装置2から入力する。この回転処理の情報が入力部11を介して供給されると、画像処理部12は、X軸に対して、選択された線分を平行となるように、建物の読み取り画像を回転させる。これにより、平面図のx軸及びy軸の各々は、画像処理部12により表示画面の座標系におけるX軸、Y軸のそれぞれと平行に調整される。選択する線分は、例えば、平面図の通り線を用いる。この結果、3次元図形を生成する際に、表示画面において軸がずれて、部材の配置の処理がやり難くなることを抑制する。
【0037】
また、作業者は、平面図のx軸及びy軸の各々と、表示画面の座標系におけるX軸、Y軸それぞれとが平行であるが、平面図のx軸方向とy軸方向とにおける縮尺が1:1でないことを認識すると、以下の作業を行う。
すなわち、作業者は、平面図のx軸及びy軸の各々について、長さの判明している直線の端点を選択し、X軸上における端点の座標間の距離(長さ)と、Y軸上における端点の座標間の距離を入力する。そして、作業者が縮尺を合わせる処理を行う指示を入力装置2から入力する。これにより、X軸上における端点の座標間の距離及びY軸上における端点の座標間の距離が入力された距離となるように、画像処理部12によりX軸及びY軸の各々における座標の縮尺が同様となるように調整される。すなわち、縦横比を1:1として正方形が正方形として表示される状態とする。
【0038】
図9は、画像処理部12が行う画像処理の動作を説明する図である。図9(a)は、x軸とX軸とが角度θずれていることを示している。x軸とy軸とが直交しているならば、y軸とY軸とも同様に角度θずれている。また、図9(a)は、指示点Aと指示点Bとで通り線101を選択したことを示している。図9(a)において、通り線101は、x軸に対して平行であり、上述したようにX軸(線分102)に対して角度θだけ傾いている。画像処理部12が回転処理を行うことにより、この角度θを「0」とし、x軸とX軸とが平行とされ、表示画面の座標系に対して平面図の座標系が一致する。
【0039】
図9(b)は、x軸方向とy軸方向とにおける縮尺が1:1でないため、x軸方向とy軸方向との縮尺を1:1とする処理を示している。すなわち、表示画面における平面図のx軸において、座標間の距離が明確に判明しているC点及びD点を選択する。また、表示画面における平面図のy軸において、座標間の距離が明確に判明しているD点及びE点を選択する。そして、縮尺を合わせる処理を行う指示が入力されると、x軸上における端点の座標間の距離及びy軸上における端点の座標間の距離が入力された距離となるように、画像処理部12によりx軸及びy軸の各々における座標の縮尺が同様、すなわち1:1となるように調整される。
図9(c)は、x軸及びy軸の各々がX軸、Y軸それぞれと平行となり、かつx軸及びy軸の縮尺比が1:1となったことを示す図である。
【0040】
ステップS13:
次に、作業者は、画像表示部17の表示画面に表示されている建物の2次元画像において、この建物の最外殻から所定の距離を有する外壁ライン(床端部ライン)を、入力装置2におけるポインティングデバイスにより多角形(線分の集合)として描き込む。画像処理部12は、入力部11を介して入力される2次元座標系における線分の端点の座標位置を用い、画像表示部17の表示画面に対して外壁ラインを表示する。また、画像処理部12は、入力された2次元画像の座標系の座標位置に対応させ、3次元図形の座標系の座標位置に描き込んで記憶させる。この際、画像処理部12は、外壁ラインの高さを基準階の高さに設定する。
【0041】
図10は、平面図における建物の最外殻(床スラブの端部)に位置する外壁ラインの生成を説明する図である。図10において、建物の最外殻を示す線分の集合が外壁ライン201である。例えば、作業者は入力装置2におけるポインティングデバイスにより、建物の最外殻に沿って外壁ライン交点203の座標を入力する。これにより、画像処理部12は、外壁ライン交点203を結合することにより、外壁ライン201を描き、建物の最外殻を囲む多角形の外壁ライン201を生成する。また、図10において、外壁ライン基準点202は、最外周の柱203の中心である外周柱中心203Tから外壁ライン201に下ろした垂線と、外壁ライン201との交点である。
【0042】
ステップS14:
ここで、部材表示部13は、画像表示部17の表示画面に対し、入力する部材の種類を選択する図2に示す部材の選択ボタンを表示している。
そして、作業者は、画像表示部17の表示画面に表示されている部材の選択ボタンから、入力する部材の種別として柱を示す柱情報が記載された選択ボタンをクリックする(表示画面をポインティングデバイスにより押す)。
これにより、入力装置2は、部材として柱が選択されたことを示す情報を、入力部11を介して部材表示部13に出力する。
【0043】
次に、部材表示部13は、柱情報の選択ボタンが選択されたことが通知されると、部材データベース18から柱テーブルのデータを読み出す。そして、部材表示部13は、読み出した柱テーブル(図3参照)を、画像表示部17の表示画面に表示する。
画像表示部17の表示画面に柱テーブルが表示されると、作業者は、表示された柱テーブルから入力したい柱を断面形状及び寸法から選択し、例えば柱記号の表示領域をポインティングデバイスにより選択する。
表示領域が選択されることにより、部材表示部13は、いずれの柱が選択されたかを示す情報として選択された柱記号を部材配置部15に出力(通知)する。
【0044】
そして、部材配置部15は、部材表示部13から柱記号が通知されると、通知された柱記号の示す柱の断面形状及び寸法を、部材データベース18の柱テーブルから読み出す。
次に、作業者は、選択した柱を配置するため、建物の2次元画像における選択した柱に対応する柱の画像をポインティングデバイスによりクリックする。
これにより、入力装置2は、2次元画像の座標系におけるクリックされた座標位置を検出し、入力部11を介して部材配置部15に対して検出した座標位置を出力する。
【0045】
部材配置部15は、柱の2次元画像の座標位置が通知されると、この2次元画像の座標位置に対応する3次元図形の座標系座標位置に対して柱203(図10参照)の3次元図形を配置する。ここで、部材配置部15は、柱テーブルから読み出した柱の断面形状のデータを用い、高さ(長さ)が基準階の高さとして3次元図形の柱203の形状を生成する。
そして、作業者が建物の2次元画像の柱の画像をポインティングデバイスにより選択する度に、上述したように選択された2次元画像の座標系の座標位置に対応する3次元図形の座標系の座標位置に対し、柱の3次元図形が生成される。
【0046】
ステップS15:
次に、部材表示部13は、画像表示部17の表示画面に表示されている入力する部材の選択を行う選択ボタンにおいて、柱情報のボタンの横に隣接した終了のボタンが選択されたか否か、すなわち柱の入力が終了したか否かの検出を行う。
このとき、部材表示部13は、柱情報のボタンの横に隣接した終了のボタンが選択された場合、処理をステップS16へ進める。一方、部材表示部13は、柱情報のボタンの横に隣接した終了のボタンが選択されない場合、処理をステップS14へ進め、柱203の3次元図形の生成処理を継続する。
また、作業者が表示されている柱テーブルにおける他の柱記号がポインティングデバイスにより選択すると、以降に生成される柱の3次元図形は新たに選択された柱の断面形状により生成される。
【0047】
ステップS16:
次に、部材配置部15は、柱203の入力が終了すると、例えば、外壁ライン201から一定の距離(例えば、2m)以内に柱203が配置された場合、その外壁ライン201に対向して上記一定の距離内にある柱203の再配列を行う。すなわち、部材配置部15は、建物の最外殻に配置された柱203が対向する外壁ライン201に対して平行となるように、柱203各々における外周柱中心203Tの座標位置を調整する。例えば、部材配置部15は、各外壁ライン201に対向して配置された柱203から、外壁ライン201に対して引いた垂線204各々の距離を用いて最小二乗法により、外壁ラインからの基準距離を求める。
【0048】
そして、部材配置部15は、求めた基準距離となるように、各柱203を対応する垂線に沿って移動させて、柱203の再配置を行う。ここで、各外壁ライン201に対向する複数の柱203の座標位置により、配列を調整することにより、2次元画像における柱の画像を選択する際の入力誤差を低減させることができる。
これにより、最外殻(最外周)の柱203のみは、対向する外壁ライン201に対して平行に並ばせることができる。
【0049】
ステップS17:
次に、入力装置2は、部材の選択を行う選択ボタンの部材の順番から、次に配置する部材が大梁であることを示す情報を、入力部11を介して部材表示部13に出力する。
そして、部材表示部13は、大梁情報の選択ボタンが選択されたことが通知されると、部材データベース18から大梁テーブルのデータを読み出す。そして、部材表示部13は、読み出した大梁テーブル(図4参照)を、画像表示部17の表示画面に表示する。
画像表示部17の表示画面に大梁テーブルが表示されると、作業者は、表示された大梁テーブルから入力したい大梁を断面形状及び寸法から選択し、例えば大梁記号の表示領域をポインティングデバイスにより選択する。
表示領域が選択されることにより、部材表示部13は、いずれの大梁が選択されたかを示す情報として選択された大梁記号を部材配置部15に出力(通知)する。
【0050】
そして、部材配置部15は、部材表示部13から大梁記号が通知されると、通知された大梁記号の示す大梁の断面形状及び寸法を、部材データベース18の大梁テーブルから読み出す。
次に、作業者は、選択した大梁を配置するため、建物の2次元画像における選択した大梁に対応する大梁の画像をポインティングデバイスによりクリックする。
これにより、入力装置2は、2次元画像の座標系におけるクリックされた座標位置を検出し、入力部11を介して部材配置部15に対して検出した座標位置を出力する。
【0051】
部材配置部15は、2次元画像の座標位置が通知されると、この2次元画像の座標位置に対応する3次元図形の座標系における座標位置近傍(例えば、座標位置から5m以内)で最も近くにある柱203を検索する。
次に、部材配置部15は、検索された柱の中心を中心とし、所定の距離(例えば15m)を半径とし、柱203の中心とクリックされた座標位置とを結ぶ線分に対して+/−20°の角度の弧を描き、扇形の検出領域を生成する。
【0052】
部材配置部15は、生成した検出領域に含まれる柱203の中から、扇型の中心に位置する柱203に最も近い柱203を検出する。
そして、部材配置部15は、大梁テーブルから読み出した断面形状を有する大梁206の3次元図形を生成し、扇型の中心に位置する柱203と、検出した柱203との間に生成した大梁206の3次元図形を配置する。このとき、部材配置部15は、大梁206の天端(最上面)が階高(床の高さ)より、所定の数値(後に配置される床スラブの厚さ(スラブ厚さ)の分、例えば20cm)だけ低い位置に配置する。
【0053】
図11は、平面図における建物の柱203間に配置される大梁の配置処理を説明する図である。この図11において、座標位置210は、建物の2次元画像において作業者が選択した座標位置に対応する3次元図形の座標系における座標位置である。部材配置部15は、この座標位置210の半径5m(第1の距離)以内における最も近傍にある柱203Aを検出する。そして、部材配置部15は、柱203Aの中心と座標位置210とを結ぶ線215に対し、柱203Aの中心を中心とし、所定の長さ(例えば、15m、前記第1の距離より長い第2の距離)を半径とし、中心角をθ=+/−20°とする弧を描き、扇形の領域250を生成する。
部材配置部15は、生成された領域250に含まれ、柱203Aに最も近い柱203Bを検出する。そして、部材配置部15は、柱203A及び柱203Bの間に大梁206を配置する。
【0054】
ステップS18:
次に、部材表示部13は、画像表示部17の表示画面に表示されている入力する部材の選択を行う選択ボタンにおいて、大梁情報のボタンの横に隣接した終了のボタンが選択されたか否か、すなわち大梁の入力が終了したか否かの検出を行う。
このとき、部材表示部13は、大梁のボタンの横に隣接した終了のボタンが選択された場合、処理をステップS19へ進める。一方、部材表示部13は、大梁情報のボタンの横に隣接した終了のボタンが選択されない場合、処理をステップS17へ進め、大梁206の3次元図形の生成処理を継続する。
また、作業者が表示されている大梁テーブルにおける他の大梁記号がポインティングデバイスにより選択すると、以降に生成される大梁の3次元図形は新たに選択された大梁の断面形状により生成される。
【0055】
ステップS19:
次に、入力装置2は、部材の選択を行う選択ボタンの部材の順番から、次に配置する部材がカンチレバータイプの大梁であることを示す情報を、入力部11を介して部材表示部13に出力する。
そして、部材表示部13は、カンチレバータイプの大梁情報の選択ボタンが選択されたことが通知されると、部材データベース18から大梁テーブルのデータを読み出す。そして、部材表示部13は、読み出した大梁テーブル(図4参照)を、画像表示部17の表示画面に表示する。
画像表示部17の表示画面に大梁テーブルが表示されると、作業者は、表示された大梁テーブルから入力したい大梁を断面形状及び寸法から選択し、例えば大梁記号の表示領域をポインティングデバイスにより選択する。
表示領域が選択されることにより、部材表示部13は、いずれの大梁が選択されたかを示す情報として選択された大梁記号を部材配置部15に出力(通知)する。
【0056】
そして、部材配置部15は、部材表示部13から大梁記号が通知されると、通知された大梁記号の示す大梁の断面形状及び寸法を、部材データベース18の大梁テーブルから読み出す。
次に、作業者は、選択した大梁を配置するため、建物の2次元画像における選択した大梁に対応する大梁の画像をポインティングデバイスによりクリックする。このとき、この大梁を接続させる柱203から、あまり距離(例えば5m以内)が離れていない大梁上の座標位置を、ポインティングデバイスによりクリックする。
これにより、入力装置2は、2次元画像の座標系におけるクリックされた座標位置を検出し、入力部11を介して部材配置部15に対して検出した座標位置を出力する。
【0057】
部材配置部15は、2次元画像の座標位置が通知されると、この2次元画像の座標位置に対応する3次元図形の座標系における座標位置近傍(例えば、座標位置を中心とした5m以内)で最も近くにある柱203を検索する。
部材配置部15は、検索された柱203をカンチレバータイプの大梁206が配置される柱とし、大梁206の一端を検索された柱203に接続する。
次に、作業者は、いずれの柱にも接続されない大梁206の他端が終端する座標位置を、画像表示部17の表示画面上において、ポインティングデバイスによりクリックする。
これにより、入力装置2は、2次元画像の座標系におけるクリックされた座標位置を検出し、入力部11を介して部材配置部15に対して検出した座標位置を出力する。
【0058】
部材配置部15は、2次元画像の座標位置が通知されると、この2次元画像の座標位置に対応する3次元図形の座標系における座標位置を他端の終端する座標位置とする。
上述したように、部材配置部15は、カンチレバータイプの大梁206を柱203に対して配置する。すなわち、部材配置部15は、検出された1本の柱203と、クリックした座標位置との間に、大梁テーブルから読み出した断面形状により、大梁206の3次元図形を生成する。このとき、部材配置部15は、大梁206の天端(最上面)が階高(床の高さ)より、所定の数値(後に配置される床スラブの厚さ(スラブ厚さ)の分、例えば20cm)だけ低い位置に配置する。
【0059】
あるいは、柱203から建物の外部方向に伸びる大梁については、柱203と、この柱203から外壁ラインへ下した垂線によって決まる外壁ライン基準点との間に、カンチレバータイプの大梁を配置することとしても良い。他の部材に挟まれない梁や、部材探索では見つけられないような大きなスパン(間隔)で梁を配置する場合、2次元画像において、2つの座標点をクリックすることに入力することになる。
【0060】
ステップS20:
次に、部材表示部13は、画像表示部17の表示画面に表示されている入力する部材の選択を行う選択ボタンにおいて、そのボタンの横に隣接した終了のボタンが選択されたか否か、すなわちカンチレバータイプの大梁の入力が終了したか否かの検出を行う。
このとき、部材表示部13は、カンチレバータイプの大梁情報のボタンの横に隣接した終了のボタンが選択された場合、処理をステップS21へ進める。
【0061】
一方、部材表示部13は、カンチレバータイプの大梁情報のボタンの横に隣接した終了のボタンが選択されない場合、処理をステップS19へ進め、カンチレバータイプの大梁の3次元図形の生成処理を継続する。
また、表示されている大梁テーブルにおいて、作業者が他の大梁記号をポインティングデバイスにより選択すると、以降に生成される柱の3次元図形は新たに作業者が選択した断面形状の大梁により生成される。
【0062】
ステップS21:
次に、入力装置2は、部材の選択を行う選択ボタンの部材の順番から、次に配置する部材が小梁であることを示す情報を、入力部11を介して部材表示部13に出力する。
そして、部材表示部13は、小梁情報の選択ボタンが選択されたことが通知されると、部材データベース18から小梁テーブルのデータを読み出す。そして、部材表示部13は、読み出した小梁テーブル(図5参照)を、画像表示部17の表示画面に表示する。
画像表示部17の表示画面に小梁テーブルが表示されると、作業者は、表示された小梁テーブルから入力したい小梁を断面形状及び寸法から選択し、例えば小梁記号の表示領域をポインティングデバイスにより選択する。
表示領域が選択されることにより、部材表示部13は、いずれの小梁が選択されたかを示す情報として選択された小梁記号を部材配置部15に出力(通知)する。
【0063】
そして、部材配置部15は、部材表示部13から小梁記号が通知されると、通知された小梁記号の示す小梁の断面形状及び寸法を、部材データベース18の小梁テーブルから読み出す。
次に、作業者は、選択した小梁を配置するため、建物の2次元画像における選択した小梁に対応する小梁の画像をポインティングデバイスによりクリックする。このとき、この小梁を接続させる大梁、あるいはすでに配置された他の小梁から、あまり距離(例えば2m以内)が離れていない小梁上の位置を、ポインティングデバイスによりクリックする。
これにより、入力装置2は、2次元画像の座標系におけるクリックされた座標位置を検出し、入力部11を介して部材配置部15に対して検出した座標位置を出力する。
【0064】
部材配置部15は、2次元画像の座標位置が通知されると、この2次元画像の座標位置に対応する3次元図形の座標系における座標位置近傍(例えば、座標位置を中心とした距離が2m以内)で最も近くにある大梁206あるいは小梁を検索する。
部材配置部15は、検索された大梁206あるいは小梁を、新たな小梁が配置される際に、この小梁の一端が接続される相手とする。
そして、部材配置部15は、上記小梁の一端から所定の距離(例えば、8m)以内にある大梁あるいは小梁を検出し、検出された大梁あるいは小梁を、新たに配置する小梁の他端が接続される相手とする。
【0065】
部材配置部15は、新たに配置する小梁の一端が接続される大梁あるいは小梁と、新たに配置する小梁の他端が接続される大梁または小梁との間に、クリックされた座標位置を通るように、新たな小梁を配置する。このとき、クリックされた座標位置に近い方の大梁あるいは小梁に対して、新たに配置される小梁が直角に接続される。
これにより、部材配置部15は、検出された2本の大梁または小梁の間に、小梁テーブルから読み出した断面形状により、小梁の3次元図形を生成する。このとき、部材配置部15は、大梁203の場合と同様に、小梁の天端(最上面)が階高(床の高さ)より、所定の数値(後に配置される床スラブの厚さ(スラブ厚さ)の分、例えば20cm)だけ低い位置に配置する。
【0066】
図12は、平面図における建物の大梁あるいは小梁と、他の大梁あるいは他の小梁との間に新たに配置される小梁の配置処理を説明する図である。この図12において、柱203Aと柱203Bとの間には、大梁206Aが配置されている。柱203Cと柱203Dとの間には大梁206Eが配置されている。柱203Bと柱203Dとの間には、大梁206Bが配置されている。柱203Bと図示しない柱との間には、大梁206Cが配置されている。同様に、柱203Dと図示しない柱との間には、大梁206Dが配置されている。大梁206Aと大梁206Eとの間には小梁207Bが配置されている。大梁206Cと大梁206Dとの間には、小梁207Dが配置されている。また、柱203A及び柱203Cとの間には、大梁206Gが配置されている。
図12において、座標位置221、222、223の各々は、建物の2次元画像において作業者が選択した座標位置に対応する3次元図形の座標系における座標位置である。
【0067】
まず、大梁206Aと大梁206Eとの間に小梁207Aを配置する処理について説明する。
部材配置部15は、クリックされた座標位置221の一端が接続される相手として、座標位置221から2m以内の距離にある大梁206Aを検出する。
次に、部材配置部15は、座標位置221を通って大梁206Aに対して直角に一端が接続点225に接続される小梁207Aを生成する。
また、部材配置部15は、小梁207Aの他端を、接続点225から所定の距離(例えば8m)以内にある大梁206Eにおける接続点226に接続する。これにより、部材配置部15は、大梁206Aの接続点225及び大梁206Eの接続点226の間に、小梁207Aを配置する。
【0068】
次に、大梁206Bとすでに配置されている小梁207Bとの間に小梁207Cを配置する処理について説明する。
部材配置部15は、クリックされた座標位置222を通る小梁の一端が接続される相手として、座標位置222から2m以内の距離にある小梁207Bを検出する。
次に、部材配置部15は、座標位置222を通って小梁207Bに対して直角に一端が接続点227に接続される小梁207Cを生成する。
また、部材配置部15は、小梁207Cの他端を、接続点227から所定の距離(例えば8m)以内にある大梁206Bにおける接続点228に接続する。これにより、部材配置部15は、小梁207Bの接続点227及び大梁206のB接続点228の間に、小梁207Cを配置する。
【0069】
次に、大梁206Bとすでに配置されている小梁207Dとの間に小梁207Eを配置する処理について説明する。
部材配置部15は、クリックされた座標位置223を通る小梁の一端が接続される相手として、座標位置223から2m以内の距離にある小梁207Dを検出する。
次に、部材配置部15は、座標位置223を通って小梁207Dに対して直角に一端が接続点229に接続される小梁207Eを生成する。
また、部材配置部15は、小梁207Eの他端を、接続点229から所定の距離(例えば8m)以内にある大梁206Bにおける接続点230に接続する。これにより、部材配置部15は、小梁207Dの接続点229及び大梁206Bの接続点230の間に、小梁207Eを配置する。
【0070】
ステップS22:
次に、部材表示部13は、画像表示部17の表示画面に表示されている入力する部材の選択を行う選択ボタンにおいて、小梁情報のボタンの横に隣接した終了のボタンが選択されたか否か、すなわち小梁の入力が終了したか否かの検出を行う。
このとき、部材表示部13は、小梁情報のボタンの横に隣接した終了のボタンが選択された場合、処理をステップS23へ進める。一方、部材表示部13は、大梁情報のボタンの横に隣接して表示されている終了のボタンが選択されない場合、処理をステップS21へ進め、小梁(例えば、図12の小梁207Aから小梁207Eなど)の3次元図形の生成処理を継続する。
また、作業者が表示されている小梁テーブルにおける他の小梁記号がポインティングデバイスにより選択すると、以降に生成される小梁の3次元図形は新たに選択された小梁の断面形状により生成される。
【0071】
ステップS23:
次に、外壁ライン基準点生成部16は、建物の3次元図形における2次元平面(X軸及びY軸からなる2次元座標系)において、外壁ライン201から所定の一定距離(例えば、2m)以内にある柱203(例えば、図10参照)を外周柱として検出する。
そして、外壁ライン基準点生成部16は、外壁ライン201に対向する建物の最外周の辺の近傍に存在する外周柱から、この対向する外壁ライン201に対して垂線204を描く。外壁ライン基準点生成部16は、垂線204と外壁ライン201との交点を外壁ライン基準点202とする。
【0072】
このとき、外壁ライン基準点生成部16は、垂線204が対応する外壁ライン201と交わらない場合、その垂線を無視する。例えば、図10において、外壁ライン201Aの延長線201B上に対しても、外周柱203Aから垂線が描かれるが、延長線201Bが実際に線がなく、外周柱203Aからの垂線とは交わらず、外壁ライン基準点202を形成することができない。
このため、外壁ライン基準点生成部16は、一定距離以内であっても外壁ライン201と交わらない垂線204を削除(無視)する。
【0073】
ステップS24:
次に、作業者は、外壁ライン基準点202が形成されたことを画像表示部17の表示画面で確認すると、入力する部材の選択を行う選択ボタンにおいて、内床情報をポインティングデバイスによりクリックして選択する。
そして、入力装置2は、内床の部材として床スラブが選択されたことを示す情報を、入力部11を介して部材表示部13に出力する。
部材表示部13は、内床情報の選択ボタンが選択されたことが通知されると、部材データベース18から床テーブルのデータを読み出す。そして、部材表示部13は、読み出した床テーブル(図6参照)を、画像表示部17の表示画面に表示する。
【0074】
画像表示部17の表示画面に床テーブルが表示されると、作業者は、表示された床テーブルから入力したい床スラブを種別から選択し、例えば床記号の表示領域をポインティングデバイスにより選択する。
表示領域が選択されることにより、部材表示部13は、いずれの床スラブが内床として選択されたかを示す情報として選択された床記号及び配置対象が内床であることを示す情報を部材配置部15に出力(通知)する。
【0075】
部材配置部15は、選択された床スラブを大梁芯及び小梁芯で囲まれた多角形(ほとんどは四角形)の平面領域に、建物の3次元図形において配置する。このとき、部材配置部15は、床スラブの厚さ分を鉛直方向に押し出した形状として、床スラブの3次元図形を生成する。また、部材配置部15は、大梁芯及び小梁芯で囲まれた全ての多角形に対して床スラブを配置してしまう。このため、実際には床スラブが配置されない領域にも床スラブが配置されてしまう。例えば、エレベータシャフトや吹き抜けなど床スラブが配置されない領域に配置された床スラブは、作業者が手作業により床スラブを削除していく。ここで、大梁芯は、平面図における大梁の中心線である。また、小梁芯は、平面図における小梁の中心線である。
【0076】
ステップS25:
次に、作業者は、外壁ライン基準点202が形成されたことを画像表示部17の表示画面で確認すると、入力する部材の選択を行う選択ボタンにおいて、外床情報をポインティングデバイスによりクリックして選択する。
そして、入力装置2は、外床の部材として床スラブが選択されたことを示す情報を、入力部11を介して部材表示部13に出力する。
部材表示部13は、外床情報の選択ボタンが選択されたことが通知されると、部材データベース18から床テーブルのデータを読み出す。そして、部材表示部13は、読み出した床テーブル(図6参照)を、画像表示部17の表示画面に表示する。
【0077】
画像表示部17の表示画面に床テーブルが表示されると、作業者は、表示された床テーブルから入力したい床スラブを種別から選択し、例えば床記号の表示領域をポインティングデバイスにより選択する。
表示領域が選択されることにより、部材表示部13は、いずれの床スラブが外床として選択されたかを示す情報として、選択された床記号及び配置対象が外床であることを示す情報を部材配置部15に出力(通知)する。
【0078】
部材配置部15は、選択された床スラブを隣接する外壁ライン基準点202を結ぶ線分、外周柱から外壁ラインに下した垂線(線分)、及び大梁・小梁の芯を表す線分を辺とする多角形の領域1つに対して一枚ずつ配置していく。このとき、部材配置部15は、床スラブの厚さ分を、鉛直方向に押し出した形状として、床スラブの3次元図形を生成する。
また、部材配置部15は、外壁ライン基準点202を結ぶ線分、外周柱から外壁ラインに下した垂線(線分)、及び大梁・小梁の芯を表す線分を辺に囲まれた全ての多角形に対して床スラブを配置してしまう。このため、実際には床スラブが配置されない領域にも床スラブが配置されてしまう。内床の場合と同様に、床スラブが配置されない領域に配置された床スラブは、作業者が手作業により床スラブを削除していく。
【0079】
図13は、建物の床に対して作業者の選択した床スラブを配置する処理を説明する図である。図13において、外周柱203Aからの垂線204と外壁ライン201との交点が外壁ライン基準点202である。また、外壁ライン201の交差する交点が、コーナー点240である。
部材配置部15は、内床の床スラブの配置処理として、大梁206で囲まれた(すなわち、柱203を頂点とする)四角形の領域501に、床スラブを配置する。
【0080】
また、部材配置部15は、外床の床スラブ(バルコニー床)の配置処理として、外周柱203A及び外壁ライン基準点202を頂点とする四角形の領域502と、外周柱203A、外壁ライン基準点202及びコーナー点240を頂点とする多角形の領域503となどに、作業者の選択した床スラブを配置する。
ここで、部材配置部15は、床スラブが実際には配置されない領域504にも床スラブを配置する。この領域504は、エレベータシャフトあるいは吹き抜けなど、構造上において床スラブが配置されない領域である。床スラブが配置されない領域に配置された床スラブは、作業者が手作業により床スラブを削除していく。
【0081】
ステップS26:
次に、作業者は、外壁ライン基準点202が形成されたことを画像表示部17の表示画面で確認すると、入力する部材の選択を行う選択ボタンにおいて、外壁情報をポインティングデバイスによりクリックして選択する。
そして、入力装置2は、部材として外壁パネルが選択されたことを示す情報を、入力部11を介して部材表示部13に出力する。
部材表示部13は、外壁情報の選択ボタンが選択されたことが通知されると、部材データベース18から外壁テーブルのデータを読み出す。そして、部材表示部13は、読み出した外壁テーブル(図7参照)を、画像表示部17の表示画面に表示する。
【0082】
画像表示部17の表示画面に外壁テーブルが表示されると、作業者は、表示された外壁テーブルから入力したい外壁パネルを種別及び寸法から選択し、例えば外壁記号の表示領域をポインティングデバイスにより選択する。
表示領域が選択されることにより、部材表示部13は、いずれの外壁が選択されたかを示す情報として、選択された外壁記号を部材配置部15に出力(通知)する。
また、作業者は、入力装置2により、外壁パネルの分割数を入力する。この外壁パネルの分割数は、柱の周期毎、すなわち柱と柱の間に配置する外壁パネルの数を示している。
【0083】
外壁ライン201上において、選択した外壁パネルを配置する範囲を設定する。例えば、この範囲の設定は、配置したい外壁ライン基準点202の間をポインティングデバイスによりクリックして複数選択するか、あるいはドラッグして範囲を指定するかなど、どの手法により設定されても良い。
そして、部材配置部15は、外壁パネルを外壁ライン201に沿って、外壁ライン基準点202で挟まれる範囲毎に設定された分割数単位で、外壁パネルの配置を行う。ここで、部材配置部15は、検出された2本の柱203の間に、外壁テーブルから読み出した断面形状により、外壁パネルの3次元図形を生成する。
【0084】
ステップS27:
次に、部材表示部13は、画像表示部17の表示画面に表示されている入力する部材の選択を行う選択ボタンにおいて、外壁情報のボタンの横に隣接した終了のボタンが選択されたか否か、すなわち外壁パネルの入力が終了したか否かの検出を行う。
このとき、部材表示部13は、外壁情報のボタンの横に隣接した終了のボタンが選択された場合、基準階の3次元図形を生成する処理を終了する。一方、部材表示部13は、外壁情報のボタンの横に隣接した終了のボタンが選択されない場合、処理をステップS26へ進め、外壁パネルの3次元図形の生成処理を継続する。
また、作業者が表示されている外壁テーブルにおける他の外壁記号をポインティングデバイスにより選択すると、以降に配置される外壁パネルの3次元図形は新たに選択された外壁パネルの断面形状により生成される。
【0085】
図14は、作業者が入力した外壁パネルの分割数に対応させて、外壁ラインに沿って外壁パネルを配置する処理を説明する図である。この図14は、外壁パネルが壁パネル方式で配置されている構造を生成する処理を説明している。図14(a)は、建物の平面図における外壁ライン201近傍を示し、この外壁ライン201に沿って、建物の室外側に外壁パネル270が外壁ライン基準点202間においてn個に分割(図においては2個に分割)して配置されている。この外壁パネル270は、窓が設けられる構成となっている。図14(b)は、図14(a)の外壁パネル270が配置された部分の立面図、すなわち基準階部分の立面図を示している。図14(b)において、外壁パネル270には、窓271が設けられている。
【0086】
部材配置部15は、外壁ライン201の室外側において、外壁パネル270を外壁ライン201に沿って、外壁ライン基準点202で挟まれる範囲毎に設定された分割数nで配置する。このとき、部材配置部15は、壁パネル方式により外壁パネル270を、1スパン2分割として配置する場合、外壁パネル270の端部が外壁ライン基準点202(図14(a)参照)とその中点に一致するように配置する。
図14(c)は、作成された建物の3次元構造600Aを示している。柱203に対して大梁206が接続されており、建物の室外側に外壁パネル270が設けられている。図14(c)において、範囲601は、基準階の単位を示している。
【0087】
図15は、作業者が入力した外壁パネルの分割数に対応させて、外壁ラインに沿って外壁パネルを配置する処理を説明する図である。この図15は、外壁パネルが柱通し方式で配置されている構造を生成する処理を説明している。図15(a)は、建物の平面図における外壁ライン201近傍を示し、この外壁ライン201に沿って、建物の室外側に外壁パネル280がn個に分割(図においては2個に分割)して配置されている。この外壁パネル280は、外壁パネル280と隣接する他の外壁パネル280との間が窓281となる構成となっている。図15(b)は、図15(a)の外壁パネル280が配置された部分の立面図、すなわち基準階部分の立面図を示している。図15(b)において、外壁パネル280と隣接する他の外壁パネル280との間のスペースが窓281となる。
【0088】
部材配置部15は、外壁ライン201の室外側において、外壁パネル280を外壁ライン201に沿って、外壁ライン基準点202で挟まれる範囲毎に設定された分割数nで配置する。このとき、部材配置部15は、柱通し方式により外壁パネル280を、1スパン2分割で配置する場合、外壁ライン基準点202と接触する外壁パネル280のパネル芯が外壁ライン基準点202の中点に一致するように配置する。
図15(c)は、作成された建物の3次元構造600Bを示している。柱203に対して大梁206が接続されており、建物の室外側に外壁パネル280が設けられている。図15(c)において、範囲602は、基準階の単位を示している。この図15(a)の場合、窓281にはめ込む窓ガラスも、積算対象の部材となる。
また、図14及び図15に外壁入力の例を示しているが、外壁には多くの種別があり、それぞれに配置ルールが定められている。
【0089】
上述したように、本実施形態による3次元図形生成システム1は、紙からスキャナー3により読み込んだ平面図の2次元画像から、基準階の3次元図形を作成する。作業者が建物の階数を入力することにより、3次元図形生成システム1は、作成した基準階をその階数分積み重ね、建物の3次元構造を生成する。
本実施形態によれば、紙に印刷された建物の平面図しか供給されていない場合でも、この平面図から揚重負荷となる部材の数量を積算するための建物の3次元図形を容易に生成することが可能となる。
これにより、本実施形態によれば、作業者の部材を積算する工程における負担を大幅に削減でき、かつ積算結果が紙の平面図に描かれた部材に対応しているため、カウントの間違いをすることが無くなり、サイクル工程のスケジューリングを正確に行うことができる。
【0090】
また、本実施形態による3次元図形生成システム1は、サーバー、デスクトップパソコンやノートパソコンでもプログラムをインストールすることにより可能である。
しかしながら、本実施形態による3次元図形生成システム1は、タッチパネル式のパーソナルコンピュータで使用した場合、ポインティングデバイスとしてカラーペンにより、建物の2次元画像にチェックマークを入力するように、この2次元画像の座標に対応させ、部材の各々を3次元空間に配置し、建物の3次元構造を生成することができる。
【0091】
また、図1の3次元図形生成システム1の各々の機能を実現するためのプログラムをコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録して、この記録媒体に記録されたプログラムをコンピュータシステムに読み込ませ、実行することによりそれぞれの装置の動作を制御し、紙から読み取った取り込み画像データから3次元図形を生成する処理を行ってもよい。なお、ここでいう「コンピュータシステム」とは、OSや周辺機器等のハードウェアを含むものとする。
【0092】
また、「コンピュータシステム」は、WWWシステムを利用している場合であれば、ホームページ提供環境(あるいは表示環境)も含むものとする。
また、「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、CD−ROM等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置のことをいう。さらに「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、インターネット等のネットワークや電話回線等の通信回線を介してプログラムを送信する場合の通信線のように、短時間の間、動的にプログラムを保持するもの、その場合のサーバやクライアントとなるコンピュータシステム内部の揮発性メモリのように、一定時間プログラムを保持しているものも含むものとする。また上記プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであっても良く、さらに前述した機能をコンピュータシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるものであっても良い。
【0093】
以上、この発明の実施形態を図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計等も含まれる。
【符号の説明】
【0094】
1…3次元図形生成システム
2…入力装置
3…スキャナー
11…入力部
12…画像処理装置
13…部材表示部
14…部材座標位置検出部
15…部材配置部
16…外壁ライン基準点生成部
17…画像表示部
18…部材データベース
19…画像処理用記憶部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15