(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
上記仮止め部に、上記弧状縁部から弧の中心方向に向うとともに厚み方向に貫通するスリットが、周方向に所定間隔で形成されている、請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の網戸用ネット仮止め具。
上記本体の表面及び/又は裏面に、上記ネット張設溝の幅又は適用される押さえゴムに対応する上記仮止め部の範囲を示す表示が設けられている、請求項1から請求項6のいずれか1項に記載の網戸用ネット仮止め具。
上記表示は、上記本体の縁部又は上記仮止め部の縁部から、上記本体の中心部に向かって延びるとともに、上記仮止め部の周方向範囲を示す半径方向線を備えて構成されている、請求項7に記載の網戸用ネット仮止め具。
外周縁部の少なくとも一部が弧状に形成された板状の本体と、上記弧状の外周縁部に沿って設けられるとともに、厚み方向に弾性変形させることによりネットとともにネット張設溝に押し込んで、上記ネットを仮止めできる仮止め部とを備え、
上記仮止め部は、上記弧状の外周縁部に沿う厚み方向寸法が、周方向に連続的に変化するように構成されている網戸用ネット仮止め具を用いて行う網戸用ネットの仮止め方法であって、
上記仮止め部の所定部位を上記ネット張設溝に押し込んで回転させることにより、ネットの仮止め力を調節してネットを仮止めする、網戸用ネットの仮止め方法。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ネットを弛みなく張設するには、ネットに均一な張力が作用した状態で位置決めして枠体に固定する必要がある。ところが、上記洗濯挟みによっては、作業中にネットを充分な力で保持するのは困難である。一方、押さえゴムを仮止め部材として利用する場合、上記ローラを用いて、仮止め用の押さえゴムとともにネットを上記ネット張設溝に押し込んで仮止めし、その後、固定用の押さえゴムを押し込む際に、上記仮止め用のお押さえゴムを取り外す必要がある。このため、上記張設溝に押さえゴムを繰り返し着脱するのが面倒である。また、ネットの位置や張力を調節しながら作業を行うのは困難である。したがって、見栄え良くネットを張設することはできない。
【0006】
上記不都合を回避するため、大きな幅を有するクリップ状の仮止め具が提供されている。上記クリップは、ネットを枠体の縁部に弾性的に挟み込んで保持するように構成されているが、上記ネット張設溝の位置で保持するものではないため、上記押さえゴムをネット張設溝に押し込む際に、ネットに歪が生じやすい。このため、ネットの網目が枠の縁部に対して歪んだ状態で張設されることが多く、素人が見栄え良くネットを張設するのは非常に困難であった。
【0007】
また、バネの弾力で仮止めするものであるため、充分な仮止め力を確保するには大きな弾力のバネを用いる必要があり、装着する際に使用者の手指の負担も大きくなるといった問題があった。また、ネットを見栄えよく固定するには複数のクリップが必要となり、上記クリップタイプの仮止め具では、費用が大きくなるという問題もあった。
【0008】
さらに、網戸のネット張設溝の寸法や、押さえゴムの直径は、メーカによってその幅寸法が異なる。このため、いずれのメーカの枠体にも適用できるとともに、ネットを確実に固定できる仮止め具の出現が期待されていた。
【0009】
本願発明は、上記問題を解決し、網戸用ネットを枠体に確実に仮止めして、ネットの張設作業を容易に行うことが可能になるとともに、枠体のメーカや、適用される押さえゴムの寸法が異なる場合であっても共通して使用できる網戸用ネット仮止め具を提供することを課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本願発明は、網戸枠体のネット張設溝にネットを仮止めする網戸用ネット仮止め具であって、外周縁部の少なくとも一部が弧状に形成された板状の本体と、上記弧状の外周縁部に沿って設けられるとともに、厚み方向に弾性変形させることにより上記ネットとともに上記ネット張設溝に押し込んで、上記ネットを仮止めできる仮止め部とを備え、上記仮止め部は、上記弧状の外周縁部に沿う厚み方向寸法が、周方向に連続的に変化するように構成されている。
【0011】
本願発明に係るネット仮止め具は、上記仮止め部をネットとともに枠体のネット張設溝に押し込むことにより、ネットが仮止めされる。すなわち、実際にネットを枠体に固定するのと同様の形態でネットを仮止めできる。したがって、充分な仮止め力を確保することができる。また、ネットを張設したのと同様に仮止めすることができるため、仮止め具を押さえゴムに置換した場合にも、ネットに歪みが生じる等の問題が生じにくい。
【0012】
また、本願発明では、板状の本体の上記弧状の外周縁部に沿って上記仮止め部を設けているため、上記板状本体を手指で握持して、上記仮止め部を上記ネット張設溝に容易に押し込みあるいは引き抜くことができる。これにより、ネットの位置や張力を調節しながら、上記仮止め具を繰り返し着脱してネットを所定位置に仮止めし、その後に上記仮止め具を順次押さえゴムに置換して、ネットを固定することが可能となる。したがって、張設作業を容易に行うことができるとともに、ネットを見栄え良く張設することができる。
【0013】
さらに、網戸のネット張設溝の幅方向寸法はメーカによって異なり、上記ネット張設溝に対応した押さえゴムも種々の寸法のものがある。また、ネットを構成するフィラメントの材料も様々である。しかも、既設の網戸のネットを張り替える場合、ネット張設溝が歪んでいる場合も多い。本願発明に係る上記仮止め部は、上記弧状縁部に沿う厚み方向寸法が、周方向に連続的に変化するように構成されている。このため、一つの仮止め具で、種々のメーカや寸法の網戸に適用することが可能となる。しかも、上記厚み方向寸法が連続的に変化するように構成されているため、最適な仮止め力を発揮できる周方向部位を用いて網戸用ネットを仮止めすることが可能となる。また、ネット張設溝が歪んでいるような場合であっても、ネットを確実に仮止めすることが可能となる。これにより、1つのネット仮止め具を用いて、ネット張設溝の溝幅が異なる場合や、ネット張設溝が歪んだ網戸に適用することが可能となる。
【0014】
弧状の形態は特に限定されることはない。たとえば、円弧状、楕円弧状、その他種々の曲線形態の弧状を採用できる。本願発明では、仮止め部が弧状に形成されているため、本体をネット張設溝に沿って転がすようにして押し込むことができる。このため、仮止め部をネット張設溝に対して垂直方向から押し込む場合に比べて小さな力で押し込むことが可能となり、作業を容易に行うことができる。しかも、上記仮止め部を、押さえゴムを押し込む場合と同様に弾性変形させながら押し込むことができるため、ネットに与える歪も小さくなり、また、押し込み力や仮止め力を容易に調節することができる。このため、作業が容易になるばかりでなく、ネットを傷める恐れもない。
【0015】
弧状の縁部を備えていれば、種々の形態の本体を採用できる。たとえば、上記本体が円板状や楕円板状に形成されているとともに、上記仮止め部が、上記本体の外周全域に形成されたものを採用できる。また、本体の縁部全周に弧状の縁部が形成されている必要はなく、本体の一部に弧状の仮止め部を備えていればよい。たとえば、扇状の本体を採用し、弧状の縁部にのみに上記仮止め部を形成することができる。また、矩形の一辺を円弧等の曲線状に形成して、上記仮止め部を設けることもできる。さらに、本体の厚みも一定である必要はなく、中心部に向かって厚みが大きくなるように構成することができる。
【0016】
上記仮止め部は、種々の形態で厚み方向寸法を周方向に変化させることができる。たとえば、本体を円板状に形成するとともに本体の全周に仮止め部を設ける場合、180度の角度範囲に、厚みの最大値と最小値が設定されるように連続的に厚みを変化させることができる。また、本体縁部の一部に仮止め部を形成する場合、弧状の一端から他端に向かって、厚み方向法寸法が連続的に増加あるいは減少する仮止め部を形成することができる。
【0017】
上記仮止め部を、側縁部から面方向内方に向かって形成された凹部を備えて構成するのが好ましい。上記凹部設けることにより、上記仮止め部の上記ネット張設溝に押し込まれる部分の中間部に空洞が形成されることになる。このため、上記凹部を設けることにより、仮止め部の先端(縁部側)を容易に弾性圧縮変形させるとともに、曲げ変形させることが可能となる。このため、上記仮止め部の厚み方向の弾性変形量を大きく設定することが可能となる。また、仮止め部に弾性係数の大きな硬質の樹脂材料を用いた場合にも、厚み方向への変形量を充分に確保することが可能となる。また、金属製の板状材料を採用することも可能となる。しかも、上記凹部を設けることにより、ネット張設溝に押し込む際の押圧力を低減させることもできる。
【0018】
上記仮止め部の厚み方向の弾性変形量及びネットの仮止め力を確保できれば、上記凹部の形態は特に限定されることはない。たとえば、仮止め部の縁部に開口する断面矩形状や断面弧状の凹部を設けることができる。また、上記凹部の厚み方向寸法も特に限定されることはなく、上記仮止め部の厚みや上記凹部の両側の厚み寸法等に応じて、所定の弾性変形量及び仮止め力を確保できるものであればよい。また、上記仮止め部の厚みの変化に応じて凹部の断面形態を周方向に連続的に変化させることもできる。さらに、上記凹部は、仮止め部の厚み方向の弾性変形を調節するものであり、周方向に連続する溝状の凹部を設けることもできるし、穴状の凹部を所定間隔で設けることもできる。
【0019】
上記仮止め部の断面形態は特に限定されることはない。たとえば、先端に丸みを持たせた円弧形状を採用することができる。また、ネット張設溝に押し込んだ際の保持力を増加させるため、上記仮止め部の両側部に、厚み方向に膨出する膨出部を備えて構成することもできる。
【0020】
上記本体と上記仮止め部を構成する材料も特に限定されることはない。たとえば、上記本体を硬質材料で形成する一方、この本体の弧状の縁部に、弾性変形させることができる樹脂材料又はゴムから形成された仮止め部を接合して構成することができる。たとえば、上記本体と上記仮止め部とを、異なる材料を用いて2色成形することにより一体成形することもできる。上記本体を構成する上記硬質材料は、上記仮止め部をネット張設溝に押し込む際に、上記本体部分が大きく変形しない程度の剛性を付与できる材料であれば足りる。たとえば、上記硬質材料として、硬質樹脂材料や金属材料を採用できる。一方、上記仮止め部を構成する材料は、仮止め部の形態に応じて、上記ネット張設溝に押し込む際に上記弾性変形を生じさせることができるものであればよい。すなわち、採用した仮止め部の形態に応じて、ネット張設溝に手指で押し込むことにより、ネット張設溝の幅方向(仮止め部の厚み方向)に弾性圧縮変形させて、ネットを仮止めできる仮止め力(弾性保持力)を発生させる程度の変形特性を有する材料であれば足りる。
【0021】
また、上記本体と上記仮止め部との双方を、一の材料で形成することもできる。たとえば、同じ樹脂材料やゴム材料等で一体形成することができる。この場合、上記本体を、上記仮止め部に押圧力を作用させることができるだけの保形性を有する形態に形成するのが好ましい。一方、上記仮止め部を、上記押圧力によって弾性変形させられてネット張設溝に押し込むことができる程度の変形特性を備える形態に形成するのが好ましい。なお、上記本体の保形性と上記仮止め部の変形特性は、各部の形態に応じて設定することができる。特に、本願発明では、仮止め部の側縁部に上記凹部を設けることにより、上記仮止め部を容易に変形させることが可能となる。このため、本体の変形を防止しつつ、上記仮止め部に厚み方向の充分な弾性変形量を確保することが可能となる。また、同一の樹脂材料や金属材料で、上記本体及び上記仮止め部を一体的に構成することも可能となる。
【0022】
上記仮止め部を、上記弧状縁部から弧の中心方向に向うとともに厚み方向に貫通するスリットを備えて構成することができる。上記スリットを設けることにより、スリットで区画される周方向の領域を、独立して厚み方向に弾性変形させることが可能となる。これにより、上記仮止め部を、弾性係数の大きな材料で形成した場合にも、厚み方向へより容易に変形させることが可能となり、ネット張設溝に押し込む際の力を低減させることができる。また、上記本体と上記仮止め部とを一の材料から形成した場合においても、本体の変形を防止しつつ仮止め部の変形量を確保することが容易になり、材料選択の幅が広がる。たとえば、金属の板状材料から上記本体及び上記仮止め部を一体的に形成することも可能となる。
【0023】
上記本体の表面及び/又は裏面に、上記ネット張設溝の幅又は適用される押さえゴムに適応する上記仮止め部の範囲を示す表示を設けるのが好ましい。たとえば、上記表示として、上記本体の縁部又は上記仮止め部の縁部から、上記本体の中心部に向かって延びるとともに、上記仮止め部の周方向範囲を示す半径方向線を備えて構成されたものを採用できる。また、上記表示として、上記ネット張設溝の幅寸法や、適用される押さえゴムの直径を表示するのが好ましい。上記表示を設けることにより、対象となるネット張設溝に対して上記仮止め部のどの部位を用いるかを容易に判断することが可能となる。
【発明の効果】
【0024】
本願発明によって、種々の寸法のネット張設溝に、網戸ネットを見栄え良く、また、容易に張設することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
以下、本願発明の実施形態を図に基づいて具体的に説明する。
【0027】
図1に、本願発明に係るネット仮止め具1の正面図を、
図2に
図1におけるII−II線に沿う断面図を、
図3に
図1におけるIII−III線に沿う断面図を示す。
【0028】
本実施形態に係るネット仮止め具1は、板状の本体2と、この本体2の外周部に設けられる仮止め部3とを備えて構成される。
【0029】
本実施形態に係る上記本体2は、
図2に示すように、
図1における縁部の厚みが周方向にテーパ状に変化する板状に形成されている。また、これにともなって縁部の厚みも180度の角度範囲で最大厚みから最小厚みまで周方向に連続的に変化するように形成されている。
【0030】
上記本体2は、ポリスチレンやポリエチレン等の硬質樹脂材料から形成された円板状に形成されている。上記本体を形成する手法は特に限定されることはなく、射出成形等の種々の樹脂成形方法を採用できる。
【0031】
図2及び
図3に示すように、上記本体2の側縁部には、所定幅及び深さの凹溝4が形成されており、上記仮止め部3の内周凸部5が嵌め込み状に連結されている。上記凹溝4は、一定の径方向深さを備えるとともに、上記本体2の周縁部の厚みに応じて幅寸法が連続的に変化するように形成されている。
【0032】
上記仮止め部3は、アクリルゴムやシリコンゴム等の弾性変形しうる柔軟なゴム材料から形成されており、上記円板状の本体2の全周を囲む環状の形態を備える。また、上記本体の凹溝4に連結される上記内周凸部5は、上記凹溝の幅方向寸法に応じて連続的に変化するように形成されている。
【0033】
上記仮止め部3の外周側には、側縁部から面方向内方に向かって形成された凹部6が形成されている。上記凹部6の幅方向寸法(厚み方向寸法)は特に限定されることはなく、上記仮止め部3を厚みが縮小する方向に弾性変形させることができるように構成される。上記仮止め部の幅方向の弾性変形量を確保するために、少なくとも0.5mm以上の幅方向寸法を有する凹部を設けるのが好ましい。また、その深さも特に限定されることはなく、少なくとも、上記仮止め部3をネット張設溝に押し込んだ際に、所要の径方向部分を厚み方向寸法が縮小するように弾性変形させることができるように構成することができる。たとえば、仮止め部の外周縁部から5〜15mmの深さ(径方向寸法)に設定するのが望ましい。
【0034】
上記本体2と上記仮止め部3は、種々の手法を用いて連結することができる。本実施形態では、本体に凹溝4を設ける一方、仮止め部3の内周部に凸部5を設けて、これらを別途成形した後に機械的に嵌合させて連結したが、上記本体2と上記仮止め部とをインサート成形法によって、一体的に成形して連結することもできる。また、上記凹溝4や上記内周凸部5を形成することなくインサート成形したり、接着剤等を用いて接合することもできる。
【0035】
本実施形態では、
図1に示すように、上記本体2の表面及び裏面に、中心から所定角度間隔で延びる半径方向線7が描かれており、各半径方向線で囲まれる領域に、上記仮止め部3で保持できるネット張設溝の幅寸法、又は適用される押さえゴムの直径寸法が記載されている。上記表示を設けることにより、適用されるネット張設溝や押さえゴムにおいて、上記仮止め部3のいずれの部位を用いてネット仮止めできるのかを容易に判断して使用することが可能となる。
【0036】
また、
図1及び
図2に示すように、上記仮止め部3の先端側の縁部外側面に、所定幅を開けて同心円状の凹凸模様9を形成している。上記凹凸模様9を設けることにより、ネット張設溝に押し込んだ場合の保持力を増加させることが可能となり、ネット張設溝から外れにくくなる。
【0037】
図4に、上記仮止め部3を用いてネット11を、ネット張設溝13に仮止めした状態の断面を示す。
図4に示すように、上記凹部6を設けることにより、上記仮止め部3を構成するゴム材料自体を圧縮変形させるとともに、上記凹部6が閉じるように変形させることが可能となる。このため、上記仮止め部3の厚み方向の弾性変形量を大きく設定することが可能となる。また、上記凹部6の厚み方向寸法(ネット張設溝の幅方向寸法)を、仮止め部3に採用する材料に応じて設定することにより、種々の材料を採用することが可能となり、材料選択の幅が広がる。
【0038】
また、本実施形態では、上記仮止め部3は、円板状の上記本体2の外周縁部に沿う厚み方向寸法が、周方向に連続的に変化するように構成されている。このため、一つの仮止め具を用いて、異なる寸法で形成されたネット張設溝を備える網戸枠にネットを仮止めすることが可能となる。したがって、種々のメーカの網戸に適用することができるばかりでなく、歪みが生じたネット張設溝にも適用することが可能となる。
【0039】
図5に、上記仮止め具1を用いて網戸枠12にネット11を仮止めして、ネット張り作業を行っている状態を示す。
【0040】
図5に示すように、網戸のネットの張り作業は、網戸の枠体12より若干大きく裁断したネット11を上記枠体12上に載置し、上記枠体12の内縁部に設けたネット張設溝13に押さえゴム17をネット11とともに押し込むことにより行われる。上記ネット張設溝13からは、上記ネット11の余分な部分がはみ出した状態で張設されるが、このはみ出し部分は、作業終了後にナイフ等を用いて切除される。
【0041】
本実施形態に係るネット仮止め具1を用いたネット張設作業においては、まず、
図5に示すように、上記ネット11とともに上記仮止め部3を上記枠体12のネット張設溝13に、押し込むことによりネットを仮止めする。すなわち、ネットを押さえゴム17で張設したのと同一の形態で仮止めし、その後、
図5に示すように、上記仮止め具1を上記押さえゴム17で置換するようにして、上記ネット11が張設される。したがって、従来の手法のように、押さえゴム17及びネット11をネット張設溝13に押し込む際に、ネットが歪みにくくなる。
【0042】
また、上記ネット仮止め具1は、上記板状の本体2を握持してネット張設溝13に繰り返し着脱できる。しかも、本実施形態では、上記仮止め部3は、円板状本体2の周方向に厚みが連続的に変化する円弧状に構成されている。このため、仮止め部3の押し込み部位を変更することにより、押し込み力及びネット11の張力を調節しながら、ネット張設作業を行うことが可能となる。
【0043】
さらに、本実施形態では、円弧状の上記仮止め部3の厚み方向寸法が、周方向に連続的に変化するように形成されている。このため、
図6に示すように、まず、厚み方向寸法が小さい部分を押し込んだ後に、厚み方向寸法が大きい方向に回転させるようにして、次第に厚みが大きな部分を押し込むことが可能となる。このため、大きな押し込み力を作用させることなく、仮止め部3をネット張設溝13に容易に押し込むことが可能となる。また、ネット張設溝13の寸法に対応した適正な部位を用いてネット11を仮止めすることができる。
【0044】
また、本実施形態では上記凹部6を設けているため、容易に押し込むことが出来る部位を押し込んだ後に上記のように仮止め部3の幅方向寸法が大きくなる方向に回転させると、上記凹部6の両側の部位が当接させられる回転部位において、押し込み力が増加する。このため、使用者は適正な部位で仮止めできたことを容易に判断することもできる。したがって、均等な張力及び保持力を作用させて弛みなくネット11を張設することができる。また、張力を作用させた状態で押さえゴムを押し込んでもネットが歪むことはなく、素人でもネット11を見栄え良く張設することができる。
【0045】
また、本実施形態に係るネット仮止め具1は、仮止め部3の幅方向寸法が周方向に変化するように構成されているため、種々のメーカの網戸の張り替え作業を行うことが可能になる。また、ネット張設溝が歪んでいる場合にも、ネットを確実に仮止めして、張設作業を行うことができる。
【0046】
第1の実施形態では、本体2と仮止め部3とを異なる材料から形成したが、これに限定されることはない。
図7に示す第2の実施形態に係るネット仮止め1aのように、本体2aと仮止め部3aとを同一の材料から形成することもできる。たとえば、種々のエラストマー等のゴム状材料から形成することができる。
【0047】
図8及び
図9に、本願発明に係るネット仮止め具の第3の実施形態を示す。
【0048】
第3の実施形態に係るネット仮止め具101は、上記第2の実施形態と同様に、本体102と仮止め部103とを、同じ材料から一体成形したものである。本実施形態では、エラストマー等の硬質のゴム状材料を用いてネット仮止め具を一体形成している。
【0049】
本実施形態においても、第1の実施形態と同様に、本体102を円板状に形成するとともに、この本体の外周縁部に、円弧状の仮止め部103を設けている。上記仮止め部103は、第1の実施形態と同様に、厚み方向寸法が、周方向に連続的に変化するように構成されている。これにより、第1の実施形態と同様の作用効果を得ることができる。
【0050】
また、上記仮止め部103の側縁部から面方向内方に向かって形成された凹部106を設けることにより、上記仮止め部103の厚み方向への弾性変形を容易に生じさせることができる。一方、ネット仮止め具の形態によっては、本体102の剛性を確保するために、弾性係数の大きな材料を使用しなければならない場合がある。このため、上記仮止め部103が第1の実施形態に比べて硬質の材料から形成されることになる。したがって、使用の際に大きな押し込み力が必要になる恐れがある。
【0051】
本実施形態では、上記不都合を回避するため、上記仮止め部103に、上記円弧状の縁部から上記円弧の中心方向に向うとともに厚み方向に貫通するスリット120を、所定の角度間隔で設けている。上記スリット120を設けることにより、上記スリットによって区画される領域が、独立して弾性変形することが可能となる。このため、ネット張設溝に押し込まれる部分のみ弾性変形させることが可能となり、仮止め部103を小さな力でネット張設溝に押し込むことが可能となる。
【0052】
また、硬質の材料を用いた場合であっても、上記凹部106の幅方向寸法(厚み方向寸法)、及び深さを大きく設定することにより、仮止め部103を容易に変形させることが可能となる。これにより、材料選択の幅が広がるとともに、製造コストを削減することも可能となる。
【0053】
さらに、
図9に示すように、上記仮止め部103の外周側両側部に、厚み方向に膨出する膨出部121が形成されている。上記膨出部121を設けることにより、ネット張設溝に押し込んだ際の保持力を増加させることができる。上記膨出部121は、上記仮止め部の両側に連続して設けることもできるし、間欠的に設けることもできる。
【0054】
第1の実施形態から第3の実施形態では、本体を円板状に形成するとともに仮止め部を円弧状に形成したが、本体及び仮止め部の形態は、これに限定されることはない。
【0055】
図10に示す第4の実施形態に係るネット仮止め具201のように、楕円板状の仮止め具201を形成することができる。
【0056】
楕円状の仮止め具201では、仮止め部203の厚み方向の最小寸法(2.8で示される領域)と、厚み方向の最大寸法(6.8で示される領域)との間の周方向の寸法を大きく設定することが可能となる。このため、汎用される寸法のネット張設溝に嵌め込まれる部分の長さを大きく設定して、仮止め力を大きく設定することができる。
【0057】
また、上記の各実施形態では、仮止め部を、本体の全周に形成したが、これに限定されることはない。
図11に示す第5の実施形態に係る仮止め具301のように、全体を楕円板状に形成し、周縁部の一部に仮止め部303を設ける一方、仮止め部303を設けていない部位に、穴部330を設けて把手とすることができる。
【0058】
上記構成を採用することにより、上記穴部の周縁を手指で掴んで操作することが可能となり、使い勝手を大幅に向上させることが可能となる。
【0059】
図12に、本願発明の6の実施形態を示す。第6の実施形態は、第1の実施形態に係るネット仮止め具を、厚み方向で2分割した半割り部材を接合して構成したものである。
【0060】
硬質樹脂材料から形成された円板状の本体の外周縁部に、柔軟な樹脂材料から形成された仮止め部を一体成形するには、高度な金型技術及び成形技術が必要である。このため、金型費用や成形費用が増加する恐れがある。本実施形態は、上記不都合を回避できる形態のネット仮止め具を提供するものである。
【0061】
第6の実施形態では、まず、厚み方向に半割り状に形成した円板状の半割り本体402a,402bの外周縁部に、上記半割り本体と同様に半割り状に形成した半割り仮止め部403a,403bを一体形成した一対の半割り部材401a,401bを形成する。上記各半割り部材401a,401bの上記本体402a,402bと上記仮止め部403a,403bの形成方法は、第1の実施形態と同様であるので説明は省略する。
【0062】
上記半割り部材401a,401bの接合面には、位置決め用の凸部421及び凹部422が形成されており、これら凸部421と凹部422とを嵌合させることにより、上記半割り部材401a,401bを、位置決めして接合することができる。
【0063】
上記第6の実施形態に係るネット仮止め具401は、第1の実施形態に係る仮止め具と同様の形態を備えており、第1の実施形態と同様の作用及び効果を発揮できる。
【0064】
図14から
図16に本願発明の第7の実施形態を示す。この実施形態は、板金部材を用いてネット仮止め具501を構成したものである。
【0065】
図14に示すように、第7の実施形態に係るネット仮止め具501は、
図8に示す第3の実施形態と同様の正面形態を備える。すなわち、ネット張設溝に押し込む際の押圧力を低減させるため、仮止め部503に、弧状の縁部から上記円弧の中心方向に向うとともに厚み方向に貫通するスリット520を、所定の角度間隔で設けている。
【0066】
一方、
図15及び
図16に示すように、本実施形態にネット仮止め具501は、厚み方向に対象な断面形態を備える一対の板金から形成された半割り部材501a.501bを接合して構成されている。
【0067】
上記各半割り部材501a,501bは、円板状の半割り本体502a,502bと、この半割り本体の周縁部に一体形成された断面弧状の半割り仮止め部503a,503bとを備えて構成されている。上記半割り本体502a,502bと上記半割り仮止め部503a,503bとは、1枚の板金をプレス成形して一体形成されている。上記一対の半割り部材501a,501bの半割り本体同士を、スポット溶接等により接合することにより、
図16に示す断面形態を備えるネット仮止め具501を形成することができる。
【0068】
上記板金として、プレス加工ができるとともに、上述した各実施例と同様に弾性変形させることができれば、種々の金属材料を採用することができる。たとえば、種々のバネ用材料のみならず、鉄、ステンレス等の一般的な金属板を採用することもできる。
【0069】
金属材料は、樹脂材料に比べて弾性係数が大きいため、変形抵抗も大きくなる。本実施形態では、上記スリット520を設けることにより、これらスリット520によって区画される領域が、独立して弾性変形することが可能となる。このため、ネット張設溝に押し込まれる部分のみ弾性変形させることが可能となり、ネット仮止め具501の全体を金属板で形成しても、仮止め部503を小さな力でネット張設溝に押し込むことが可能となる。
【0070】
本願発明は、上述の実施形態に限定されることはない。実施形態では、樹脂材料を用いて仮止め具を形成したが、金属材料を用いて形成することもできる。
【0071】
また、実施形態では、円板状あるいは楕円板状の本体を採用したが、本体の形状はこれに限定されることはない。たとえば、矩形板の一部を弧状に切り欠き、この円弧に沿う仮止め部を設けることができる。また、円弧に沿って形成された長尺板状の本体の縁部に仮止め部を設けることもできる。