(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記化粧層及び前記接着剤における有機成分の含有率が、前記化粧層及び前記接着剤の総質量に対して60質量%以下である、請求項1〜6のいずれか1項に記載の化粧無機質繊維板。
【背景技術】
【0002】
従来、オフィスビルディング、公共施設、一般住宅等の建築物の内壁、天井等の内装材として、グラスウールやロックウール等の無機質繊維からなる無機質繊維板に、表皮材を貼着する、又は表面を塗装するなどして表面化粧を施した化粧無機質繊維板が用いられている。
【0003】
特許文献1では、無機質繊維板の少なくとも片面に、表皮材として、少なくとも一色の印刷とエンボス加工とが施された塩化ビニル系樹脂フィルムを、接着剤を介して貼着してなる化粧無機質繊維板であって、前記印刷の模様と前記エンボス加工の凹凸模様とが、同一のパターンで、かつ位置をずらして施されていることを特徴とする化粧無機質繊維板が開示されている。特許文献1は、印刷の模様とエンボス加工の凹凸模様とを、同一のパターンで、かつ位置をずらして施すことにより、意匠性に優れた化粧内装材を提供するものである。しかしながら、特許文献1では、化粧層に意匠紙及びガラス繊維紙を用いることには言及しておらず、無機質繊維板の曲げ弾性率に対する化粧無機質繊維板の曲げ弾性率の比を特定の範囲の値とすることで、天井材として施工後の化粧無機質繊維板のたわみを抑制することを検討するものではない。
【0004】
特許文献2では、無機質繊維板の表面に、ガラス繊維不織布と化粧塗材とからなる化粧層が形成された化粧無機質繊維板において、前記化粧層がpH7.5以下であることを特徴とする化粧無機質繊維板が開示されている。特許文献2は、化粧層のpHを7.5以下とすることにより、無機質繊維板内に残存した結合剤や接着剤が化粧層上で発色することによる化粧層の色相の劣化を抑制することを企図するものである。しかしながら、特許文献2では、化粧層に意匠紙を用いることには言及しておらず、無機質繊維板の曲げ弾性率に対する化粧無機質繊維板の曲げ弾性率の比を特定の範囲の値とすることで、天井材として施工後の化粧無機質繊維板のたわみを抑制することを検討するものではない。
【0005】
化粧無機質繊維板は、天井材として使用されている。しかしながら、化粧無機質繊維板は、弾性率の高い材料ではないため、天井材として施工後、化粧無機質繊維板にたわみが発生することがある。また、柔軟性の高いフィルムを表皮材とすると、クリープ強度が低いために、表皮材が伸びて弛み、無機質繊維板から剥離することがある。その結果、内装材としての平滑性及び審美性に欠けるという問題がある。
【0006】
上記のたわみを防止するために、化粧無機質繊維板の弾性率を向上させる方法があり、その手段として、無機質繊維板の密度を高くすることが考えられる。しかしながら、無機質繊維板の密度を高くすると、無機質繊維板の質量が増加し、地震等により落下した場合の安全性に問題がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の課題は、化粧層と無機質繊維板の一体性を保ったまま施工後のたわみを長期間抑制することができ、好ましくは軽量である化粧無機質繊維板内装材を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題は、化粧無機質繊維板において、意匠紙及びガラス繊維紙からなる化粧層を無機質繊維板の一面に貼着し、且つ、化粧層がない無機質繊維板の曲げ弾性率に対する化粧無機質繊維板の曲げ弾性率の比を所定の範囲に設定することにより解決できることが見出された。すなわち、本発明は下記〔1〕〜〔9〕に関するものである。
【0010】
〔1〕化粧層及び無機質繊維板からなる化粧無機質繊維板であって、
前記化粧層が、意匠用の印刷を施した意匠紙と、前記意匠紙に接着されたガラス繊維紙とからなり、
前記化粧層の前記ガラス繊維紙側の面が、接着剤を介して前記無機質繊維板の一側面に接着されており、
前記意匠紙の目付が、30〜150g/m
2であり、
前記ガラス繊維紙の目付が、20〜120g/m
2であり、
前記無機質繊維板の曲げ弾性率に対する前記化粧無機質繊維板の曲げ弾性率の比が、1.2〜4.0であることを特徴とする、化粧無機質繊維板。
【0011】
〔2〕前記無機質繊維板の曲げ弾性率に対する前記化粧無機質繊維板の曲げ弾性率の比が、1.5〜3.0である、前記〔1〕に記載の化粧無機質繊維板。
【0012】
〔3〕前記化粧層の目付が、50〜300g/m
2である、前記〔1〕又は〔2〕に記載の化粧無機質繊維板。
【0013】
〔4〕前記無機質繊維板の密度が、45〜100kg/m
3である、前記〔1〕〜〔3〕のいずれか1つに記載の化粧無機質繊維板。
【0014】
〔5〕前記化粧無機質繊維板の曲げ弾性率が、80〜200MPaであり、前記無機質繊維板の曲げ弾性率が、20〜70MPaである、前記〔1〕〜〔4〕のいずれか1つに記載の化粧無機質繊維板。
【0015】
〔6〕前記化粧層の厚さが、前記無機質繊維板の厚さの1/10以下である、前記〔1〕〜〔5〕のいずれか1つに記載の化粧無機質繊維板。
【0016】
〔7〕前記化粧層及び前記接着剤における有機成分の含有率が、前記化粧層及び前記接着剤の総質量に対して60質量%以下である、前記〔1〕〜〔6〕のいずれか1つに記載の化粧無機質繊維板。
【0017】
〔8〕前記接着剤が、シート状の接着層を形成している、前記〔1〕〜〔7〕のいずれか1つに記載の化粧無機質繊維板。
【0018】
〔9〕前記〔1〕〜〔8〕のいずれか1項に記載の化粧無機質繊維板からなる天井用内装材。
【発明の効果】
【0019】
本発明の化粧無機質繊維板は、化粧層と無機質繊維板の一体性を保ったまま、施工後にたわみが長期間抑制される。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本発明は、化粧層及び無機質繊維板からなる化粧無機質繊維板であって、
前記化粧層が、意匠用の印刷を施した意匠紙と、前記意匠紙に接着されたガラス繊維紙とからなり、
前記化粧層の前記ガラス繊維紙側の面が、接着剤を介して前記無機質繊維板の一側面に接着されており、
前記意匠紙の目付が、30〜150g/m
2であり、
前記ガラス繊維紙の目付が、20〜120g/m
2であり、
前記無機質繊維板の曲げ弾性率に対する前記化粧無機質繊維板の曲げ弾性率の比が、1.2〜4.0であることを特徴とする、化粧無機質繊維板である。
【0021】
化粧層は、意匠用の印刷を施した意匠紙と、意匠紙に接着されたガラス繊維紙とからなる。意匠紙を用いることにより、化粧層に審美性を付与するのみならず、化粧層の曲げ弾性率を容易に調節することができる。
意匠紙の材質としては、セルロース繊維、レーヨン繊維、アクリル繊維、ポリエステル繊維等の有機繊維、及びEガラス繊維等のガラス繊維、バサルト繊維、シリカ繊維等の無機繊維、及びこれらの混合物等が挙げられ、不燃性の点からは無機繊維が好ましく、後述の意匠用の印刷を施す点からは、セルロース繊維等の有機繊維が好ましい。不燃性、加飾性を満たす上では、無機繊維と有機繊維を混合した意匠紙がより好ましい。また、意匠紙に他の機能を付与する添加物、例えば調湿機能を有する珪藻土、あるいは難燃性を向上させる水酸化アルミニウム等を含有してもよい。意匠用の印刷は、公知の方法により、紙面に施すことができる。例えば、オフセット印刷法、グラビア印刷法、スクリーン印刷法等により、紙面に意匠用の印刷を施すことができる。
【0022】
意匠紙を構成する繊維の繊維径は、有機繊維であれば、10〜50μm、無機繊維であれば3〜25μmである。繊維径が上記の範囲にあれば、化粧層の弾性率を向上させ、平滑な化粧面を形成することができる。
意匠紙の厚さは、0.05〜1.0mm、好ましくは0.1〜0.5mmである。厚さが0.05mm以上であれば、意匠紙は印刷用インキの転写性に優れ、化粧材としての審美性を有することができ、1.0mm以下であれば、意匠紙は柔軟性を有し、意匠紙をガラス繊維紙の表面に沿わせることができるため、ガラス繊維紙との接着面全体で意匠紙をガラス繊維紙上に保持することができる。その結果、加熱あるいは経年使用等による意匠紙の収縮や弛み、剥離を抑えることが可能となる。
意匠紙の目付は、30〜150g/m
2、好ましくは40〜50g/m
2である。意匠紙の目付が30g/m
2以上であれば意匠紙は印刷用インキの転写性に優れ、化粧材としての審美性を有することができ、150g/m
2以下であれば意匠紙は柔軟性を有し、ガラス繊維紙の表面に沿わせることができるため、ガラス繊維紙との接着面全体で意匠紙をガラス繊維紙上に保持することができる。その結果、加熱あるいは経年使用等による意匠紙の収縮や弛み、剥離を抑えることが可能となる。
【0023】
ガラス繊維紙を構成するガラス繊維としては、化粧無機質繊維板の分野で通常用いられているものを特に制限なく用いることができる。例えば、アルカリ分の少ないEガラス繊維等が挙げられる。ガラス繊維紙は、これらのガラス繊維を抄造法によってシート状にすることにより得られる。
本発明において、ガラス繊維紙を用いることにより、化粧無機質繊維板の曲げ弾性率を容易に調整できる。また、化粧層にガラス繊維紙を含めることにより、化粧層のクリープ強度を高め、化粧無機質繊維板の施工後の化粧層の弛みや無機質繊維板からの剥離を抑制することができる。
【0024】
ガラス繊維の繊維径は、4〜18μm、好ましくは4〜13μmである。繊維径が4μm以上であれば、本発明の化粧層及び化粧無機質繊維板の曲げ弾性率を十分に大きくすることが可能となり、18μm以下であれば、化粧層の弾性率を上げすぎることがなく、化粧無機質繊維板の反りや歪を抑制することができる。
ガラス繊維紙の厚さは、0.1〜1.5mm、好ましくは0.2〜0.8mmである。厚さが0.1mm以上であれば、本発明の化粧層及び化粧無機質繊維板の曲げ弾性率を十分に大きくすることが可能となり、1.5mm以下であれば化粧層の弾性率を上げすぎることがなく、化粧無機質繊維板の反りや歪を抑制することができる。
ガラス繊維紙の目付は、20〜120g/m
2、好ましくは30〜90g/m
2である。ガラス繊維紙の目付が20g/m
2以上であれば本発明の化粧層及び化粧無機質繊維板の曲げ弾性率を十分に大きくすることが可能となり、120g/m
2以下であれば化粧層の弾性率を上げすぎることがなく、化粧無機質繊維板の反りや歪を抑制することができる。
【0025】
ガラス繊維紙は、意匠紙に接着されている。意匠紙とガラス繊維紙との接着には、特に限定はなく、アクリル系接着剤等の汎用のラミネート用接着剤等を用いることができる。
【0026】
化粧層の目付は、50〜300g/m
2、好ましくは80〜250g/m
2である。化粧層の目付が50g/m
2以上であれば本発明の化粧層及び化粧無機質繊維板の曲げ弾性率を十分に大きくすることが可能となり、300g/m
2以下であれば化粧層の弾性率を上げすぎることがなく、化粧無機質繊維板の反りや歪を抑制することができる。
化粧層の厚さは特に制限されるものではないが、後述する無機質繊維板の厚さの1/10以下であることが好ましい。化粧層の厚さが無機質繊維板の厚さの1/10以下であることにより、化粧無機質繊維板の軽量化を図ることができ、更に、有機繊維を使用した意匠紙を用いた場合であっても、燃焼時の発熱量が抑制されるため、火災時の延焼を抑制することができる。
【0027】
無機質繊維板としては、化粧無機質繊維板分野で従来用いられているものを特に制限なく用いることができる。例えば、グラスウール、ロックウール等の無機質繊維に熱硬化性バインダーを付与して板状に成形したものを用いることができる。熱硬化性バインダーとしては、アミド化反応、イミド化反応、エステル化反応、及びエステル交換反応のいずれかの反応で硬化する熱硬化性組成物、例えば、ポリカルボン酸とポリオールを含有する組成物、及び、レゾール型フェノール樹脂、アミノ樹脂、フラン樹脂等のアルデヒド縮合性樹脂等が挙げられる。
【0028】
無機質繊維板の密度は、45〜100kg/m
3、好ましくは60〜80kg/m
3である。無機質繊維板の密度が45〜100kg/m
3の範囲内であれば、無機質繊維板、更には化粧無機質繊維板の軽量化が図れ、地震等により落下した場合でも、人身に損傷を与える危険性が低くなる。
【0029】
無機質繊維板の厚さは、10〜100mmが好ましく、より好ましくは20〜50mmである。厚さが10mm未満では、内装材の剛性が不十分となり施工後のたわみや膨れが生じ、また、厚さが100mmを超えると、コストが高くなり、経済的に不利になるので好ましくない。
【0030】
化粧層は、接着剤を介して無機質繊維板の一側面に接着されている。接着剤は、熱可塑性樹脂からなる。熱可塑性樹脂としては、ポリオレフィンが好適に挙げられる。ポリオレフィンとしては、例えば、低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレンビニルアルコール共重合体、エチレン酢酸ビニル共重合体等が挙げられる。接着剤として用いられる熱可塑性樹脂の融点は、180〜250℃、好ましくは180〜220℃である。熱可塑性樹脂の融点が180℃以上であれば長期の使用においても接着力の低下による化粧層の剥離が生じず、250℃以下であれば本発明の化粧無機質繊維板を製造する際に、加熱による意匠紙の黄変を抑制することが可能になる。
【0031】
接着剤は、ゴム系、スチレン−ブタジエン系等のホットメルト接着剤であってもよい。接着剤の塗布量は、40〜60g/m
2、好ましくは50〜60g/m
2である。塗布量が40g/m
2以上であれば長期の使用においても接着力が維持されるため、化粧層が剥離することがなく、60g/m
2以下であれば、本発明の化粧無機質繊維板の難燃性、不燃性を損なうことがない。
接着剤は、熱可塑性樹脂からなる通気性を有するシート材であることが好ましい。これにより、化粧層接着の際に、化粧層と無機質繊維板の間に空気溜まりができることなく、平滑な化粧面を成形することができる。シート材の目付は、10〜60g/m
2、好ましくは30〜60g/m
2である。シート材の目付が10g/m
2以上であれば長期の使用においても接着力が維持されるため、化粧層が剥離することがなく、60g/m
2以下であれば本発明の化粧無機質繊維板の難燃性、不燃性を損なうことがない。接着剤がシート材として接着層を形成する場合には、化粧層の厚さと接着層の厚さとの合計は、無機質繊維板の厚さの1/10以下であることが好ましい。
【0032】
化粧層及び接着剤における有機成分の含有率は、化粧層及び接着剤の総質量に対して60質量%以下、好ましくは55質量%以下である。化粧層及び接着剤における有機成分の含有率が、化粧層及び接着剤の総質量に対して60質量%以下であれば、火災時の延焼を抑制することができる。
【0033】
化粧層は、無機質繊維板の成形後に、ホットメルト接着剤により無機質繊維板に接着されてもよい。あるいは、化粧層は、無機質繊維板を成形する際に、熱可塑性樹脂のシート材からなる接着層を介して無機質繊維板に接着されてもよい。
接着剤による化粧層と無機質繊維板との接着力は、0.10〜0.35kg/100mmの180°ピール強度であるであることが好ましい。ピール強度は、JIS K6854に準拠して測定することができる。
【0034】
化粧無機質繊維板の曲げ弾性率は、80〜200MPa、好ましくは80〜150MPaであり、無機質繊維板の曲げ弾性率は、20〜70MPa、好ましくは20〜60MPaである。曲げ弾性率は、JIS K7171に準拠して測定することができる。
【0035】
本発明の化粧無機質繊維板において、無機質繊維板の曲げ弾性率に対する化粧無機質繊維板の曲げ弾性率の比は、1.2〜4.0、好ましくは1.5〜3.0、更に好ましくは2.0〜3.0である。無機質繊維板の曲げ弾性率に対する化粧無機質繊維板の曲げ弾性率の比が1.2〜4.0であることにより、化粧無機質繊維板を天井用内装材として用いた場合に生じ得るたわみを長期間抑制することができる。無機質繊維板の曲げ弾性率に対する化粧無機質繊維板の曲げ弾性率の比が高すぎると、化粧層の弾性率が高く、化粧層の収縮等により化粧無機質繊維板に反りが発生する場合がある。無機質繊維板の曲げ弾性率に対する化粧無機質繊維板の曲げ弾性率の比が低すぎると、化粧層が無機質繊維板のたわみに追随し、化粧無機質繊維板は長期の使用によりたわむ場合がある。
【0036】
化粧無機質繊維板は、従来の工法により、天井材として施工される。例えば、化粧無機質繊維板は、グリッド工法(吊天井)により天井材として施工されてもよい。また、化粧無機質繊維板は、アンカーピン又は錐付きビスを用いて、天井の構造材であるチャンネル鋼、ジョイスト鋼又はエッチ鋼に留付けられてもよい。あるいは、化粧無機質繊維板は、先端ねじ込み式ピンを用いてコンクリート天井に留付けられてもよい。
【実施例】
【0037】
(実施例1)
セルロース繊維(繊維径25μm)80質量%、Eガラス繊維(繊維径7μm)20質量%からなる意匠紙(厚さ0.1mm、目付50g/m
2)(表には、オフセット印刷で白地に濃紺のスタッコ模様を施してある)と、Eガラス繊維(繊維径9μm)からなるガラス繊維紙(厚さ0.3mm、目付90g/m
2)とを、アクリル系接着剤で積層し、化粧層(厚さ0.5mm、目付160g/m
2)を得た。ポリアクリル酸と三官能ポリオールからなるエステル反応タイプの熱硬化性バインダーを用いて、グラスウール板(密度80kg/m
3、厚さ25mm)を成形した。低密度ポリエチレン樹脂からなるメッシュ状の通気性のあるシート材(目付60g/m
2)を接着層として、220℃のロールプレスで接着層を介して化粧層をグラスウール板に接着させ、化粧無機質繊維板を得た。化粧層と接着層における有機成分の含有量は54.7質量%であり、化粧層と接着層を合わせた厚みが0.8mmであった。また、化粧無機質繊維板の曲げ弾性率は、130MPaであり、化粧層がない無機質繊維板の曲げ弾性率が60MPaであり、無機質繊維板の曲げ弾性率に対する化粧無機質繊維板の曲げ弾性率の比は、2.16であり、化粧層と無機質繊維板のピール強度は、0.33kg/100mmであった。
【0038】
(比較例1)
厚さ60μmの塩化ビニル樹脂フィルムに深さ350μmのエンボス加工を施し、化粧フィルム(目付72g/m
2)を得た。ポリアクリル酸と三官能ポリオールからなるエステル反応タイプの熱硬化性バインダーを用いて、グラスウール板(密度80kg/m
3、厚さ25mm)を成形した。150℃に加温したスチレン-ブタジエン系ホットメルト接着剤を塗布量50g/m
2で化粧フィルムに塗布してグラスウール板と接着させ、化粧無機質繊維板を得た。化粧無機質繊維板の曲げ弾性率は、64MPaであり、化粧層がない無機質繊維板の曲げ弾性率が60MPaであり、無機質繊維板の曲げ弾性率に対する化粧無機質繊維板の曲げ弾性率の比は、1.06であり、化粧フィルムと無機質繊維板のピール強度は、0.28kg/100mmであった。
【0039】
(比較例2)
セルロース繊維(繊維径25μm)80質量%、Eガラス繊維(繊維径7μm)20質量%からなる意匠紙(厚さ0.3mm、目付160g/m
2)(表には、下地として全面にホワイトコーティングを塗布量70g/m
2にて施した後に、オフセット印刷で濃紺のスタッコ模様を施してある)と、Eガラス繊維(繊維径9μm)からなるガラス繊維紙(厚さ0.7mm、目付180g/m
2)とを、アクリル系接着剤で積層し、化粧層(厚さ1.1mm、目付360g/m
2)を得た。エステル反応タイプの熱硬化性バインダーを用いて、グラスウール板(密度80kg/m
3、厚さ25mm)を成形した。低密度ポリエチレン樹脂からなるメッシュ状の通気性のあるシート材(目付60g/m
2)を接着層として、220℃のロールプレスで接着層を介して化粧層をグラスウール板に接着させ、化粧無機質繊維板を得た。化粧層と接着層における有機成分の含有量は50.7質量%であり、化粧層と接着層を合わせた厚みが1.4mmであった。また、化粧無機質繊維板の曲げ弾性率は、270MPaであり、化粧層がない無機質繊維板の曲げ弾性率が60MPaであり、無機質繊維板の曲げ弾性率に対する化粧無機質繊維板の曲げ弾性率の比は、4.50であった。尚、化粧無機質繊維板成形の際に、化粧層の中心部が凸になる反りがわずかに発生した。また、化粧層と無機質繊維板のピール強度は、0.33kg/100mmであった。
【0040】
(評価)
各化粧無機質繊維板の化粧層を下に向けた状態で、両端を支えた状態で懸架し、80℃90日の条件で促進試験を行い、化粧無機質繊維板の反りや歪み、及び化粧層の剥離の状況を目視で判断した。
実施例1:化粧無機質繊維板の反りや歪み、及び化粧層の剥離は観察されなかった。
比較例1:化粧無機質繊維板の反りや歪みは観察されなかったが、化粧フィルムの弛み及び弛んだ部位での剥離を観察した。
比較例2:化粧層の剥離は観察されなかったが、成形時に生じた反りが大きくなったことを観察した。