(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、図面を参照しつつ、実施の形態について例示をする。なお、各図面中、同様の構成要素には同一の符号を付して詳細な説明は適宜省略する。
【0008】
(第1の実施形態)
図1は、第1の実施形態に係る発光装置10を例示するための模式断面図である。
図1に示すように、発光装置10には、基板11、照明光源16、放熱板12、口金18、収納ケース20、筺体14、カバー22、配線32、電源部13、導電部15、および誘電部30が設けられている。
図1に例示をした発光装置10は、いわゆるLED電球である。ただし、本発明の実施形態に係る発光装置は、LED電球に限定されるわけではない。
【0009】
基板11は、板状を呈する基体11aと、基体の表面に設けられた配線パターン11b1、11b2を有する。
基体11aの材料や構造には特に限定はない。例えば、基体11aは、絶縁性材料から形成することができる。例えば、基体11aは、酸化アルミニウムや窒化アルミニウムなどの無機材料(セラミックス)、紙フェノールやガラスエポキシなどの有機材料などから形成することができる。
なお、照明光源16の発熱量が多い場合には、放熱の観点から熱伝導率の高い材料を用いて基体11aを形成することが好ましい。熱伝導率の高い材料としては、例えば、酸化アルミニウムや窒化アルミニウムなどのセラミックス、高熱伝導性樹脂などを例示することができる。
また、基体11aは、単層であってもよいし、多層であってもよい。
配線パターン11b1、11b2は、例えば、銀や銅などの導電性材料から形成されている。配線パターン11b1、11b2は、配線32を介して電源部13の電源回路部28bと電気的に接続されている。
ここで、本明細書において、「電気的に接続」とは、直接接続する場合の他に、他の導電性の部材を介して接続する場合も含むものとする。
【0010】
照明光源16は、例えば、発光ダイオード、有機発光ダイオード、レーザダイオードなどとすることができる。
照明光源16の光の出射面である上面は、発光装置10の正面側に向けられており、照明光源16は、主に、発光装置10の正面側に向けて光を出射する。
照明光源16は、基板11の上に複数設けられている。
なお、照明光源16の数、大きさ、配置などは、例示をしたものに限定されるわけではなく、発光装置10の大きさや用途などに応じて適宜変更することができる。
照明光源16は、配線パターン11b1、11b2と電気的に接続されている。
この場合、複数の照明光源16が直列接続されていてもよいし、並列接続されていてもよいし、直列接続と並列接続とを組み合わせて接続されていてもよい。
【0011】
照明光源16は、例えば、COB(Chip on Board)方式を用いて、配線パターン11b1、11b2の上に実装することができる。照明光源16は、例えば、ワイヤーボンディング法を用いて、配線を介して配線パターン11b1、11b2と電気的に接続することもできる。なお、照明光源16は、例えば、PLCC(Plastic Leaded Chip Carrier)型のように外囲器に収納された状態で配線パターン11b1、11b2と電気的に接続することもできる。
なお、
図1に例示をしたものは、COB方式を用いて、複数の照明光源16が基板11上に実装された場合である。
照明光源16を配線パターン11b1、11b2に電気的に接続することで、電源部13の電源回路部28bと照明光源16とが電気的に接続される。
【0012】
また、基板11上には、枠部24および封止部26を設けることができる。
枠部24は、枠状を呈し、複数の照明光源16を囲んでいる。枠部24は、リフレクタの機能を併せ持つものとすることもできる。枠部24は、例えば、PBT(polybutylene terephthalate)やPC(polycarbonate)などの樹脂から形成することができる。
なお、枠部24の形状、大きさ、材料などは例示をしたものに限定されるわけではなく、適宜変更することができる。
封止部26は、枠部24の内側に設けられている。封止部26は、複数の照明光源16を覆っている。封止部26は、例えば、枠部24の内側に樹脂を充填することで形成することができる。封止部26は、例えば、シリコーン樹脂などの透光性を有する樹脂から形成することができる。
【0013】
また、封止部26には、蛍光体を含めることができる。蛍光体は、例えば、YAG系蛍光体(イットリウム・アルミニウム・ガーネット系蛍光体)とすることができる。
例えば、照明光源16が青色発光ダイオード、蛍光体がYAG系蛍光体である場合には、照明光源16から出射した青色の光によりYAG系蛍光体が励起され、YAG系蛍光体から黄色の蛍光が放射される。そして、青色の光と黄色の光が混ざり合うことで、白色の光が発光装置10から出射される。なお、蛍光体の種類や照明光源16の種類は例示をしたものに限定されるわけではなく、発光装置10の用途などに応じて所望の発光色が得られるように適宜変更することができる。
【0014】
放熱板12は、板状を呈し、基板11と筺体14との間に設けられている。
放熱板12は、筺体14の基板11が設けられる側の端部に取り付けられている。
放熱板12は、基板11と対向する第1面12aと、第1面12aと反対側の第2面12bと、を有する。放熱板12は、第2面12bで筺体14の一端を塞ぐように、筺体14に取り付けられる。放熱板12の第2面12bは、例えば、筺体14に接する。これにより、放熱板12は筺体14と電気的及び熱的に接続される。従って、放熱板12の電位は、筺体14の電位と実質的に同じになる。
ここで、本明細書において、「熱的に接続」とは、直接接する場合の他に、放熱シートや放熱グリスなどの他の熱伝導性の部材を介して接する場合も含むものとする。
【0015】
放熱板12は、導電性と熱伝導性とを有するものとすることができる。
熱伝導性を有する放熱板12とすれば、照明光源16において発生した熱を筺体14側に放出しやすくなる。
導電性を有する放熱板12とすれば、導電性を有する配線パターン11b1、11b2と、絶縁性を有する基体11aと、導電性を有する放熱板12とで、浮遊容量を有する擬似的なコンデンサを構成することができる。
導電性と熱伝導性とを有する放熱板12は、例えば、アルミニウムや鉄などの金属材料から形成することができる。
【0016】
口金18は、収納ケース20の放熱板12が設けられる側とは反対側の端部に設けられている。
図1に例示をした口金18は、ねじ山を有する筒状のシェル部18aと、アイレット部18cと、シェル部18aとアイレット部18cとの間に設けられた絶縁部18bを有する。シェル部18a及びアイレット部18cは、導電性を有し、電源回路部28bの入力端子40a、40bと電気的に接続される(
図2を参照)。これにより、口金18を介して入力された入力電力が、電源回路部28bに供給される。絶縁部18bは、絶縁性を有し、シェル部18aとアイレット部18cとを電気的に絶縁する。
口金18は、例えば、白熱電球が装着されるソケットに取付可能な形状を有するものとすることができる。口金18は、例えば、JIS規格に定められているE26形やE17形などと同様の形状を有するものとすることができる。ただし、口金18は、例示をした形状に限定されるわけではなく適宜変更することができる。
【0017】
なお、発光装置10は、LED電球のため口金18を有しているが、発光装置が電球型でない場合(例えばLEDモジュール)には、例えば、配線を介して外部からの入力電力を電源回路部28bに供給してもよい。すなわち、発光装置を外部の電源に電気的に接続するための接続部は、例えば、口金でもよいし、配線でもよい。
【0018】
収納ケース20は、電源部13を収納する。
収納ケース20の内部には、一対の保持部20aが設けられている。一対の保持部20aは、互いに対向するようにして設けられている。保持部20aには、回路基板28aの周縁が差し込まれる溝部20a1が設けられている。そのため、一対の溝部20a1が、互いに対向するようにして設けられている。一対の溝部20a1に回路基板28aの周縁部分を差し込むことで、収納ケース20の内部に回路基板28aが保持される(
図4を参照)。
収納ケース20は、筒状を呈し、筺体14の内部に設けられている。
収納ケース20は、例えば、口金18側から放熱板12側に向かうに従い断面寸法が漸増する形状を有したものとすることができる。また、収納ケース20の軸方向の長さは、筺体14の軸方向の長さよりも長い。そのため、収納ケース20の口金18側の端部は、筺体14の口金18側の端部から露出する。
後述するように、筺体14は導電性を有する。そのため、口金18や回路基板28aなどと、筺体14との間の短絡を防止するために、収納ケース20は、絶縁性を有したものとされている。収納ケース20は、例えば、絶縁性を有するPBTなどの樹脂や、絶縁性を有するセラミックスなどの無機材料から形成したり、絶縁性を有する樹脂や無機材料などを被覆して形成したりすることができる。
【0019】
筺体14は、電源部13が設けられた収納ケース20を収納する。
筺体14は、筒状を呈し、内部に収納ケース20を収納する。筺体14は、例えば、口金18側から放熱板12側に向かうに従い断面寸法が漸増する形状を有したものとすることができる。
筺体14は、導電性と熱伝導性とを有するものとすることができる。
熱伝導性を有する筺体14とすれば、照明光源16において発生した熱を外部に放出しやすくなる。
導電性を有する筺体14とすれば、導電部15と、誘電部30と、導電性を有する筺体14とで、後述する浮遊容量Cs1を有する擬似的なコンデンサを構成することができる。
導電性と熱伝導性とを有する筺体14は、例えば、アルミニウムや鉄などの金属材料から形成することができる。
筺体14の外側面には、外方に向けて突出する複数の凸部が設けられている。複数の凸部は、例えば、筺体14の中心軸から放射状に設けることができる。複数の凸部は、放熱フィンとして機能する。
このように、筺体14は、例えば、基板11や、電源部13が設けられた収納ケース20を保持する。また、筺体14と放熱板12により、照明光源16において発生した熱を外部に放出する。
【0020】
カバー22は、筺体14の基板11が設けられる側の端部に取り付けられている。カバー22は、複数の照明光源16を覆っている。カバー22は、例えば、ドーム状を呈するものとすることができる。カバー22は、光透過性を有する。カバー22は、例えば、光拡散性をさらに有していてもよい。カバー22は、例えば、ガラスや樹脂などから形成することができる。カバー22は、例えば、いわゆるグローブとすることができる。
【0021】
配線32は、放熱板12に設けられた貫通孔12dを通り、収納ケース20の内部空間(筺体14の内部空間)からカバー22の内部空間に延びている。配線32の一端は、一対のコネクタ33a、33bを介して基板11の配線パターン11b1、11b2と電気的に接続されている。配線32の他端は、一対のコネクタ34a、34bを介して電源部13の電源回路部28bと電気的に接続されている。コネクタ34bは、電源回路部28bの出力端子42a、42bと電気的に接続されている(
図2を参照)。これにより、配線32は、配線パターン11b1、11b2と電源回路部28bとを電気的に接続する。換言すれば、配線32は、基板11と電源部13とを電気的に接続する。
【0022】
電源部13は、回路基板28aと電源回路部28bを有する。
回路基板28aは、絶縁性を有する基体と、基体の上に設けられた配線パターンを有する。
回路基板28aの上には、電源回路部28bが設けられている。
電源回路部28bは、口金18から入力された入力電力を照明光源16に応じた直流の出力電力に変換する。電源回路部28bは、例えば、スイッチング電源を構成するものとすることができる。
図2は、発光装置10の電気的な構成を例示するためのブロック図である。
図2に示すように、電源回路部28bは、一対の入力端子40a、40bと、一対の出力端子42a、42bと、を有する。基体11aの実装面には、配線パターン11b1、11b2が設けられている。配線パターン11b1は、発光素子である照明光源16のアノードと電気的に接続されている。配線パターン11b2は、発光素子である照明光源16のカソードと電気的に接続されている。
【0023】
入力端子40aは、例えば、口金18のアイレット部18cと電気的に接続される。入力端子40bは、例えば、口金18のシェル部18aと電気的に接続される。これにより、各入力端子40a、40bは、口金18及びソケットなどを介して交流電源4と電気的に接続される。入力端子40a、40bには、交流電源4から供給された交流の入力電力が入力される。交流電源4は、例えば、実効値100Vの交流の商用電源である。
【0024】
出力端子42a、42bは、照明光源16と電気的に接続される。出力端子42aは、例えば、配線32及び配線パターン11b1などを介して照明光源16のアノードに接続される。出力端子42bは、例えば、配線32及び配線パターン11b2などを介して照明光源16のカソードに接続される。すなわち、出力端子42aは、高電位出力端子であり、出力端子42bは、低電位出力端子である。
【0025】
電源回路部28bは、例えば、フィルタ部44、AC−DCコンバータ46、およびDC−DCコンバータ48を有する。フィルタ部44は、入力端子40a、40bと電気的に接続されている。フィルタ部44は、例えば、インダクタ50およびコンデンサ51を有する。インダクタ50は、入力端子40aに直列に接続されている。コンデンサ51は、入力端子40a、40bに並列に接続されている。フィルタ部44は、入力端子40a、40bから入力された入力電力のノイズを抑制する。フィルタ部44は、例えば、入力電力のノーマルモードノイズを抑制する。
【0026】
AC−DCコンバータ46は、フィルタ部44に接続されている。AC−DCコンバータ46は、整流回路52および平滑コンデンサ53を有する。整流回路52は、交流の入力電力を整流し、整流電力に変換する。整流電力は、例えば、脈流電力である。整流回路52は、例えば、入力電力を全波整流する全波整流器である。整流回路52は、例えば、半波整流器などでもよい。平滑コンデンサ53は、整流回路52から出力された整流電圧を平滑化し、整流電圧を直流電力に変換する。
【0027】
DC−DCコンバータ48は、例えば、スイッチング素子60、ダイオード61、インダクタ62、およびコンデンサ63を有する。
図2に例示をしたDC−DCコンバータ48は、降圧チョッパ回路である。DC−DCコンバータ48は、スイッチング素子60のオン・オフにより、AC−DCコンバータ46から出力された直流電力を絶対値の異なる直流の出力電力に変換する。DC−DCコンバータ48は、例えば、AC−DCコンバータ46から出力された直流電力を降圧して出力電力に変換する。
【0028】
DC−DCコンバータ48は、出力端子42a、42bと電気的に接続されている。DC−DCコンバータ48は、変換した出力電力を出力端子42a、42bに出力する。これにより、出力電力が、照明光源16に供給され、照明光源16が点灯する。
【0029】
DC−DCコンバータ48の構成は、例示をしたものに限定されるわけではなく他の構成を有するものとすることもできる。例えば、DC−DCコンバータ48は、スイッチング素子60を有し、スイッチング素子60のオン・オフによって直流の出力電力を生成することができるものであればよい。また、例えば、入力電力が直流電力である場合には、DC−DCコンバータ48のみを電源回路部28bに設けてもよい。すなわち、電源回路部28bは、スイッチング素子60を有するスイッチング電源であればよい。
【0030】
ここで、発光装置10においては、電源回路部28bが雑音源となる。例えば、
図2中の矢線N1で表すように、電源回路部28bと筺体14との間の浮遊容量、筺体14と大地との間の浮遊容量、大地、大地と電源回路部28bの入力配線との間の浮遊容量などを介して流れる電流により、コモンモードノイズが発生するおそれがある。
この場合、雑音電流を発光装置10の内部で循環させることができれば、コモンモードノイズを抑制することができる。
【0031】
そこで、発光装置10においては、導電部15および誘電部30を設けて、雑音電流が発光装置10の内部を循環するようにしている。
図3は、導電部15および誘電部30を例示するための模式断面図である。
なお、
図3は、
図1におけるA部の模式拡大図である。
図1、
図3に示すように、導電部15は、筺体14と対峙して設けられている。
誘電部30は、筺体14と導電部15との間に設けられている。そのため、導電部15は、筺体14と直接接触しない。従って、導電部15の電位は、筺体14の電位及び放熱板12の電位と異なる。これにより、導電部15と、誘電部30と、筺体14とで浮遊容量Cs1を有する擬似的なコンデンサが構成される。
導電部15は、例えば、アルミニウム、銅、ニッケルなどの金属材料から形成することができる。
誘電部30は、誘電体材料から形成することができる。誘電部30は、例えば、樹脂や、セラミックスなどの無機材料などから形成することができる。
なお、
図1および
図3に例示をしたものは、導電部15および誘電部30が、それぞれ1層ずつ設けられる場合であるが、導電部15および誘電部30は複数積層することもできる。
【0032】
ここで、浮遊容量Cs1の値を安定させるためには、導電部15と筺体14との間の距離が変動しないようにすることが好ましい。
この場合、例えば、筺体14の内壁面に誘電部30を固着し、誘電部30の上に導電部15を固着することができる。誘電部30と導電部15が筺体14に固着していれば、導電部15と筺体14との間の距離が変動するのを抑制することができる。
誘電部30は、例えば、溶剤に溶かした樹脂を筺体14の内壁面に塗布し、これを乾燥することで形成することができる。誘電部30は、例えば、スパッタリング法を用いて、筺体14の内壁面にセラミックスなどの無機材料からなる膜を成膜することで形成することもできる。
導電部15は、例えば、メッキ法、あるいは、蒸着法やスパッタリング法などの物理蒸着法などを用いて形成することができる。
なお、誘電部30および導電部15の形成方法は、例示をしたものに限定されるわけではなく、固着させることができるものであればよい。
なお、膜状の導電部15を接着剤などで接着することもできる。ただし、膜状の導電部15を接着剤などで接着すれば、接着剤の塗布量などにより、導電部15と筺体14との間の距離がばらつくおそれがある。そのため、導電部15は、メッキ法や物理蒸着法などの成膜技術を用いて形成することが好ましい。
【0033】
一方、生産性の観点からは、収納ケース20の外側面に導電部15を固着し、導電部15の上に誘電部30を固着することが好ましい。
この様にすれば、導電部15および誘電部30の形成を容易とすることができる。
導電部15および誘電部30の形成方法は、筺体14の内壁面に導電部15および誘電部30を形成する場合と同様とすることができる。
導電部15および誘電部30の固着力には特に限定はなく、少なくとも、発光装置10の使用時や、発光装置10の製造時(例えば、筺体14の内部に収納ケース20を挿入する際など)に、導電部15および誘電部30が剥がれない程度であればよい。
【0034】
導電部15および誘電部30の面積には特に限定はないが、導電部15および誘電部30の面積を大きくすれば、浮遊容量Cs1の値を大きくすることができる。浮遊容量Cs1の値を大きくすることができれば、電源回路部28bからの雑音電流が筺体14から大地に漏れるのをより抑制することができる。
導電部15および誘電部30を設ける領域は、筺体14の内部に収納ケース20を挿入した際に、筺体14と収納ケース20が重なる領域とすることができる。この場合、筺体14と収納ケース20が重なる全領域に導電部15および誘電部30を設けることもできるし、所望の浮遊容量Cs1の値が得られるように一部の領域に導電部15および誘電部30を設けることもできる。
【0035】
また、導電部15および誘電部30を配線32に沿うように設けることもできる。
配線32は、雑音電流源と筺体14とが最も近接する部分となる。そのため、導電部15および誘電部30を配線32に沿うように設ければ、雑音電流が筺体14から大地に流れることを効果的に抑制することができる。
【0036】
また、導電部15および誘電部30は、例えば、筺体14の内壁面または収納ケース20の外側面に沿った環状を呈するものとすることもできるし、互いに電気的に接続されていれば複数の部分に分かれていたり、スリットなどが設けられていたりしていてもよい。
【0037】
図2に示すように、導電部15は、低電位側の出力端子42bと電気的に接続されている。そのため、導電部15の電位は、電源回路部28bの基準電位と実質的に同じになる。これにより、筺体14と電源回路部28bとの間の浮遊容量Cs1を、筺体14と大地との間の浮遊容量Cs2よりも大きくすることができる。例えば、浮遊容量Cs1を浮遊容量Cs2の10倍程度にすることができる。
【0038】
浮遊容量Cs1、Cs2は、例えば、擬似電源回路網(LISN:Line Impedance Stabilization Network)とスペクトラムアナライザとを用いることによって測定することができる。
【0039】
導電部15と出力端子42bとの接続方法には特に限定はなく、例えば、配線部材などを介して導電部15と出力端子42bとを電気的に接続することができる。
図4は、導電部15と出力端子42bとの電気的な接続構造を例示するための模式断面図である。
なお、
図4は、
図1におけるB−B線断面の模式拡大図である。
図4に示すように、導電部15は収納ケース20の外側面に固着している。また、保持部20aの溝部20a1の内部には、導電部15と電気的に接続された端子部15aが設けられている。導電部15と端子部15aとの電気的な接続方法には特に限定はない。例えば、
図4に例示をしたように、収納ケース20を貫通するプラグ15bを介して、導電部15と端子部15aとを電気的に接続することができる。なお、配線部材などを介して導電部15と端子部15aとを電気的に接続することもできる。ただし、プラグ15bを介して、導電部15と端子部15aとを電気的に接続するようにすれば、生産性の向上や、配線部分の小型化などを図ることができる。
【0040】
また、溝部20a1に回路基板28aの周縁部分を差し込んだ際に、端子部15aと出力端子42bとが電気的に接続されるようになっている。そのため、溝部20a1に回路基板28aの周縁部分を差し込むことで、導電部15と出力端子42bとを電気的に接続することができる。
この様にすれば、配線作業を省くことができるので生産性の向上や、配線部分の小型化などを図ることができる。
【0041】
本実施の形態に係る発光装置10は、電源回路部28bの低電位側の出力端子42bと電気的に接続された導電部15を有しているので、筺体14と電源回路部28bとの間の浮遊容量Cs1を、筺体14と大地との間の浮遊容量Cs2よりも大きくすることができる。
そのため、電源回路部28bの雑音電流が、筺体14から大地に漏れ難くすることができる。
【0042】
例えば、
図2中の矢線N2で表すように、電源回路部28bと筺体14との間の浮遊容量Cs1、筺体14、放熱板12、放熱板12と配線パターン11b1、11b2との間の浮遊容量Cs3、配線パターン11b1、11b2、および配線32という経路により、雑音電流を発光装置10の内部で循環させることができる。そのため、コモンモードノイズを抑制することができる。
【0043】
また、この様にすれば、例えば、コモンモードチョークコイルなどを用いることなく、コモンモードノイズを抑制することができる。そのため、発光装置の小型化を図ることができる。
【0044】
(第2の実施形態)
図5は、第2の実施形態に係る発光装置100の電気的な構成を例示するためのブロック図である。
図5に示すように、発光装置100にも導電部15および誘電部30が設けられている。
ただし、発光装置100においては、放熱板12の第2面12bに誘電部30を固着し、誘電部30の上に導電部15を固着している。すなわち、導電部15および誘電部30は放熱板12に設けられている。
なお、発光装置100における導電部15および誘電部30の配置以外の構成は、前述した発光装置10の構成と実質的に同じである。そのため、導電部15および誘電部30の配置以外の構成に関する詳細な説明は省略する。
【0045】
導電部15は、誘電部30を介して放熱板12の第2面12bに設けられている。すなわち、導電部15は、放熱板12に直接接しない。従って、導電部15の電位は、筺体14の電位及び放熱板12の電位と異なる。
導電部15の厚みは、前述した発光装置10に設けられる導電部15の厚みと実質的に同じにすることができる。
誘電部30の厚みは、前述した発光装置10に設けられる誘電部30の厚みと実質的に同じにすることができる。
導電部15および誘電部30の形成方法は、前述した発光装置10に設けられる導電部15および誘電部30の形成方法と実質的に同じにすることができる。
【0046】
導電部15および誘電部30の面積には特に限定はないが、導電部15および誘電部30の面積を大きくすれば、浮遊容量Cs3の値を大きくすることができる。浮遊容量Cs3の値を大きくすることができれば、電源回路部28bからの雑音電流が筺体14から大地に漏れるのをより抑制することができる。
導電部15および誘電部30を設ける領域は、放熱板12の第2面12bの全領域とすることもできるし、所望の浮遊容量Cs3の値が得られるように一部の領域に導電部15および誘電部30を設けることもできる。
浮遊容量Cs3は、例えば、擬似電源回路網とスペクトラムアナライザとを用いることによって測定することができる。
【0047】
導電部15は、低電位側の出力端子42bと電気的に接続されている。そのため、導電部15の電位は、電源回路部28bの基準電位と実質的に同じになる。これにより、放熱板12と電源回路部28bとの間の浮遊容量を、筺体14と大地との間の浮遊容量Cs2よりも大きくすることができる。前述したように、放熱板12は、筺体14と電気的に接続されている。そのため、筺体14と電源回路部28bとの間の浮遊容量を、筺体14と大地との間の浮遊容量Cs2よりも大きくすることができる。
なお、導電部15と出力端子42bとの電気的な接続方法は、前述した発光装置10に設けられる導電部15の場合と実質的に同じにすることができる。
【0048】
本実施の形態に係る発光装置100は、電源回路部28bの低電位側の出力端子42bと電気的に接続された導電部15を有しているので、筺体14と電源回路部28bとの間の浮遊容量を、筺体14と大地との間の浮遊容量Cs2よりも大きくすることができる。 そのため、電源回路部28bの雑音電流が、筺体14から大地に漏れ難くすることができる。
【0049】
例えば、導電部15、導電部15と放熱板12との間の浮遊容量、放熱板12、放熱板12と配線パターン11b1、11b2との間の浮遊容量Cs3、配線パターン11b1、11b2、および配線32という経路により、雑音電流を発光装置10の内部で循環させることができる。そのため、コモンモードノイズを抑制することができる。
【0050】
以上に説明したように、導電部15および誘電部30は、筺体14の内壁面、収納ケース20の外側面、および放熱板12の第2面12bの少なくともいずれかに設けるようにすることができる。
この場合、導電部15および誘電部30が、筺体14の内壁面や放熱板12の第2面12bに設けられていれば、導電部15と筺体14(放熱板12)との間の距離が変動するのを抑制することができる。そのため、浮遊容量の値を安定させることができる。
一方、導電部15および誘電部30が、収納ケース20の外側面や放熱板12の第2面12bに設けられていれば、導電部15および誘電部30の形成を容易とすることができる。
また、導電部15および誘電部30が、筺体14の内壁面や収納ケース20の外側面に設けられていれば、導電部15および誘電部30の面積を大きくすることができる。そのため、浮遊容量Cs1の値を大きくすることができるので、電源回路部28bからの雑音電流が筺体14から大地に漏れるのをより抑制することができる。
【0051】
以上、本発明のいくつかの実施形態を例示したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更などを行うことができる。これら実施形態やその変形例は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。また、前述の各実施形態は、相互に組み合わせて実施することができる。