(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、
図18に示すように、側壁部576を有する絶縁部材575は結露によって側壁部576の上端面に水滴120が付着してしまうことがある。なお、
図18では特許文献1に記載の絶縁部材ではなく側壁部576と金属部材591との間に間隔が設けられるタイプの絶縁部材を示している。
【0006】
一般に絶縁部材575は樹脂で形成される。樹脂の表面エネルギーは水と同程度又は水よりやや小さいため、側壁部576の上端面に付着した水滴は丸まろうとする。このため、付着した水滴120の量が少なければ水滴120は金属部材591まで達し難い。水滴120が金属部材591まで達しなければ、水滴120と収容体541に付着している水滴121とが繋がってしまっても金属部材591と収容体541とが水を介して短絡する所謂液絡は生じ難い。
【0007】
これに対し、水滴120の量が多いと丸まった水滴120が大きくなって金属部材591との距離が近くなってしまう。金属の表面エネルギーは樹脂に比べて大きいので、水滴120と金属部材591との距離が近いと
図19に示すように水滴120が金属部材591に引き寄せられて金属部材591まで達してしまう。水滴120が金属部材591まで達してしまい、且つ、水滴120と収容体に付着している水滴121とが繋がってしまうと、金属部材591と収容体541とがそれらの水滴を介して液絡してしまう。このような現象は、水滴120に限らず、導電性を有する液体が側壁部576に付着した場合にも生じ得る。
【0008】
ここでは絶縁部材575と金属部材591との間に間隔が設けられる場合を例に説明したが、特許文献1に記載の絶縁ガスケットのように金属部材との間に間隔が設けられない絶縁部材の場合は上端面に付着した水滴が少量でも金属部材に達してしまうので、上述した課題がより顕著である。
【0009】
また、絶縁部材575は金属部材591との気密性を向上させるために内面にシール剤が塗布されることがある。そして、その工程において、
図20に示すようにシール剤100を塗布した絶縁部材575の内面を下向きにする場合がある。この場合、シール剤100が乾く等によって流動性を有しない状態になるのを待って絶縁部材575の内面を下向きにしていると生産性が低下してしまう。
【0010】
しかしながら、シール剤100が流動性を有しない状態になるのを待たずに絶縁部材575の内面を下向きにすると
図20に示すようにシール剤100が液ダレして絶縁部材575が置かれている作業台110まで達してしまい、表面張力によって絶縁部材575と作業台110との間から流れ出てしまう虞がある。シール剤100が流れ出てしまうと絶縁部材575の内面に塗布されているシール剤100の膜厚が不安定になってしまう。
【0011】
本明細書では、側壁部に付着した水滴等によって金属部材と収容体とが液絡してしまうことを抑制する技術を開示する。
また、本明細書では、絶縁部材にシール剤を塗布した面を下向きにする工程の生産性を、シール剤の膜厚を安定させつつ向上させる技術を開示する。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本明細書によって開示される蓄電素子は、収容体と、前記収容体に収容されている電極体と、前記収容体の外面に設けられている端子部であって、前記電極体と電気的に接続されている金属部材と、前記収容体と前記金属部材とを絶縁する絶縁部材であって前記金属部材を囲む側壁部を有する絶縁部材とを有する端子部と、を備え、前記側壁部に切り欠きが設けられている。
【0013】
また、本明細書によって開示される蓄電素子は、収容体と、前記収容体に収容されている電極体と、前記収容体の外面に設けられている端子部であって、前記電極体と電気的に接続されている金属部材と、前記収容体と前記金属部材とを絶縁する絶縁部材であって前記金属部材を囲む側壁部を有する絶縁部材とを有する端子部と、を備え、前記側壁部に突起が設けられている。
【0014】
また、本明細書によって開示される蓄電素子の製造方法は、収容体と、前記収容体に収容されている電極体と、前記収容体の外面に設けられている端子部であって、前記電極体と電気的に接続されている金属部材と、前記収容体と前記金属部材とを絶縁する絶縁部材であって前記金属部材を囲む側壁部を有する絶縁部材とを有する端子部と、を備える蓄電素子の製造方法であって、前記側壁部は内周面の縁部であって前記収容体とは逆側の縁部に切り欠きが設けられており、前記絶縁部材の内面にシール剤を塗布する塗布工程と、前記塗布工程の後、前記シール剤が流動性を有する状態で前記絶縁部材の前記内面を下向きにする工程と、を含む。
【発明の効果】
【0015】
本明細書によって開示される蓄電素子によれば、側壁部に付着した水滴等によって金属部材と収容体とが液絡してしまうことを抑制することができる。
【0016】
また、本明細書によって開示される蓄電素子の製造方法によれば、絶縁部材にシール剤を塗布した面を下向きにする工程の生産性を、シール剤の膜厚を安定させつつ向上させることができる。
【発明を実施するための形態】
【0018】
(本実施形態の概要)
初めに、本実施形態の蓄電素子、及び、蓄電素子の製造方法の概要について説明する。
本蓄電素子は、収容体と、前記収容体に収容されている電極体と、前記収容体の外面に設けられている端子部であって、前記電極体と電気的に接続されている金属部材と、前記収容体と前記金属部材とを絶縁する絶縁部材であって前記金属部材を囲む側壁部を有する絶縁部材とを有する端子部と、を備え、前記側壁部に切り欠きが設けられている。
【0019】
この蓄電素子によると、側壁部に切り欠きが設けられているので、側壁部の上端面に付着した水滴等が金属部材まで達し難くなる、あるいは側壁部の上端面に付着した水滴等が収容体に付着している水滴等と繋がり難くなる。これにより、側壁部の上端面に付着した水滴等によって金属部材と収容体とが液絡してしまうことを抑制できる。
【0020】
また、本蓄電素子は、収容体と、前記収容体に収容されている電極体と、前記収容体の外面に設けられている端子部であって、前記電極体と電気的に接続されている金属部材と、前記収容体と前記金属部材とを絶縁する絶縁部材であって前記金属部材を囲む側壁部を有する絶縁部材とを有する端子部と、を備え、前記側壁部に突起が設けられている。
【0021】
この蓄電素子によると、側壁部の外周面に突起を設けた場合には、側壁部の上端面に付着した水滴等が収容体に付着している水滴等と繋がり難くなる。これにより、側壁部の上端面に付着した水滴等によって金属部材と収容体とが液絡してしまうことを抑制できる。また、側壁部の内周面に突起を設けた場合には、絶縁部材の内面にシール剤を塗布した後、シール剤が流動性を有する状態で絶縁部材の内面を下向きにしたとき、シール剤が突起に留まるので、シール剤が流れ出てしまうことを抑制できる。これにより、絶縁部材の内面にシール剤を塗布した面を下向きにする工程の生産性を、シール剤の膜厚を安定させつつ向上させることができる。
【0022】
また、本蓄電素子の製造方法は、収容体と、前記収容体に収容されている電極体と、前記収容体の外面に設けられている端子部であって、前記電極体と電気的に接続されている金属部材と、前記収容体と前記金属部材とを絶縁する絶縁部材であって前記金属部材を囲む側壁部を有する絶縁部材とを有する端子部と、を備える蓄電素子の製造方法であって、前記側壁部は内周面の縁部であって前記収容体とは逆側の縁部に切り欠きが設けられており、前記絶縁部材の内面にシール剤を塗布する塗布工程と、前記塗布工程の後、前記シール剤が流動性を有する状態で前記絶縁部材の前記内面を下向きにする工程と、を含む。
【0023】
この蓄電素子の製造方法によると、絶縁部材の内面にシール剤を塗布した後、シール剤が流動性を有する状態で絶縁部材の内面を下向きにしたとき、表面張力によってシール剤が切り欠きに留まるので、シール剤が流れ出てしまうことを抑制できる。これにより、絶縁部材の内面にシール剤を塗布した面を下向きにする工程の生産性を、シール剤の膜厚を安定させつつ向上させることができる。
【0024】
<実施形態1>
以下、蓄電素子の一実施形態である電池10について、図面を参酌しつつ説明する。
【0025】
1.電池の構成
図1〜
図4を参照して、実施形態1に係る蓄電素子としての電池10の構成について説明する。電池10は非水電解質二次電池、より詳しくはリチウムイオン二次電池である。
【0026】
1−1.電池の外観
図1に示すように、電池10はケース30を備えている。ケース30はケース本体31と蓋部材41とを備えている。ケース30は「収容体」の一例である。
【0027】
ケース本体31はアルミニウム合金や鋼等の金属によって上方に開口する箱状に形成されている。より具体的には、ケース本体31はX方向に長辺、Z方向に短辺を持つ有底角筒体である。
【0028】
蓋部材41はアルミニウム合金や鋼等の金属部材であり、X方向に長い長方形状の板材である。蓋部材41はケース本体31の開口部の大きさに対応しており、ケース本体31の開口部に溶接されてケース本体31の開口を封止する。
【0029】
蓋部材41の外面(ケース外側の面)Vには正極端子部70Pと負極端子部70Nとが設けられている。本実施形態では
図1の右側に正極端子部70Pが配置されており、左側に負極端子部70Nが配置されている。正極端子部70P及び負極端子部70Nは端子部の一例である。
【0030】
1−2.電池の内部構造
図2に示すように、ケース本体31には正極集電体60P、負極集電体60N、電極体20、及び、絶縁カバー27が収容されている。正極集電体60P及び負極集電体60Nは蓋部材41の内面WのX方向両側に分かれて配置されている。正極集電体60P及び負極集電体60Nは細長い導電性の金属部材を曲げたものであり、電極体20を間に挟んでX方向に向かい合っている。正極集電体60P及び負極集電体60Nにはそれぞれ一対の対向壁67が形成されている。
【0031】
電極体20は絶縁カバー27で全体が覆われた状態でケース30内に収納されている。
図3を参照して、電極体20についてより具体的に説明する。電極体20は正極シート23Pと負極シート23Nとを間にセパレータ25を挟んだ状態で左右の異なる方向に位置をずらしつつ長円筒形状に巻回したものである。正極シート23Pはアルミニウム箔の表面に正極活物質を担持させたものである。負極シート23Nは銅箔の表面に負極活物質を担持させたものである。
【0032】
図2に戻る。前述した正極シート23P(
図3参照)の一方側の端部にはアルミニウム箔や銅箔が露出した正極集電箔24Pが形成されている。また、前述した負極シート23N(
図3参照)の他方側の端部には銅箔が露出した負極集電箔24Nが形成されている。
【0033】
電極体20は正極集電体60Pに設けられている一対の対向壁67によって正極集電箔24Pが挟まれるとともに、負極集電体60Nに設けられている一対の対向壁67によって負極集電箔24Nが挟まれることによって蓋部材41に固定される。
【0034】
1−3.蓋部材の構造
次に、
図4を参照して、蓋部材41の構造について説明する。蓋部材41の中央部には注液孔45と圧力開放弁49とが並んで形成されている。注液孔45はケース30に電解液を注入するために設けられており、電解液が注入された後に栓部材50によって封止される。栓部材50は金属製であり、注液孔45に嵌合挿入される軸部53と、注液孔45を塞ぐ頭部51とを有している。
【0035】
また、蓋部材41にはガスケット75の環状突部76が嵌合挿入される貫通孔42が左右両側に形成されている。
【0036】
正極端子部70Pは金属製のリベット付き端子板91、及び、ガスケット75を備えている。リベット付き端子板91は金属部材の一例である。また、ガスケット75は絶縁部材の一例である。
【0037】
リベット付き端子板91はX方向に長い金属製の平板部92と、平板部92から
図4において下に伸びるリベット部93とを有している。平板部92には電池同士を電気的に接続するバスバー(図略)が溶接される。
【0038】
ガスケット75は絶縁性を有する合成樹脂材であり、
図4において上方に開口する箱型をしている。本実施形態のガスケット75は、ポリフェニレンサルファイドによって構成されている。ガスケット75の底部にはリベット部93の軸部94が貫通する貫通孔107(
図5参照)と、その周縁部に沿って環状突部76とが形成されている。ガスケット75は環状突部76を貫通孔42に嵌合挿入させつつ蓋部材41の外面Vに配置され、蓋部材41とリベット付き端子板91とを絶縁する。ガスケット75の具体的な構成についての説明は後述する。
【0039】
樹脂プレート77は絶縁性を有する合成樹脂部材である。樹脂プレート77はX方向に長い長方形であり、蓋部材41の貫通孔42に対応して貫通孔78が形成されている。また、樹脂プレート77の下面には正極集電体60Pの第1接続部61を受け入れ可能な受入部77Aが形成されている。
【0040】
正極集電体60Pは平板状をした第1接続部61と、第1接続部61の側端部から下向きに屈曲する第2接続部65とを備えている。第2接続部65には前述した一対の対向壁67が形成されている。
【0041】
リベット付き端子板91は軸部94がガスケット75の貫通孔107(
図5参照)、蓋部材41の貫通孔42、樹脂プレート77の貫通孔78、及び、正極集電体60Pの貫通孔62を貫通している状態で軸部94が加締められる。これにより正極端子部70Pや正極集電体60Pが蓋部材41に固定される。
【0042】
負極端子部70Nはリベット付き端子板91に替えて端子板95とリベット71Nとを有している点で正極端子部70Pと異なっている。リベット71Nは両軸タイプであり、頭部72の上下両側に第1軸部73と第2軸部74とが設けられている。リベット71Nは第2軸部74が端子板95の貫通孔96を貫通している状態で第2軸部74が加締められることによって端子板95と結合される。負極端子部70Nの構成はその他の点において正極端子部70Pと実質的に同一である。端子板95及びリベット71Nは金属部材の一例である。
負極集電体60Nの構成は正極集電体60Pと実質的に同一であるので説明は省略する。
【0043】
1−4.ガスケットの構造
次に、
図5及び
図6を参照して、ガスケット75の構造についてより具体的に説明する。
図5に示すようにガスケット75は底部101を有している。底部101には前述した貫通孔107とその周縁部に沿って環状突部76とが形成されている。また、底部101の外周には環状突部76とは逆側に伸びる環状の側壁部102が設けられている。
【0044】
側壁部102の内周面103の縁部であって底部101とは逆側の縁部には切り欠き104が設けられている。切り欠き104は、内周面103に垂直な第1の面105と第1の面105に垂直な第2の面106とにより、断面が矩形となる形状に形成されている。本実施形態に係る切り欠き104の高さは約0.2mmである。
図6に示すように切り欠き104は内周面103の縁部に全周に亘って形成されている。
【0045】
2.ガスケットにシール剤を塗布する工程
次に、
図7を参照して、ガスケット75にシール剤を塗布する工程について説明する。ガスケット75はリベット付き端子板91との気密性を向上させるために、及び、蓋部材41との気密性を向上させるために、内面及び外面にシール剤100が塗布される。シール剤100はブチルゴム又はスチレンブタジエンゴム等のエラストマーを主体とした溶質をトルエン等の溶媒に溶解させることで構成されている。
図7では外面にシール剤を塗布するために、内面にシール剤100が塗布されたガスケット75を引っ繰り返して作業台110の上に置いた状態を示している。ガスケット75にシール剤を塗布する工程は以下の3つの工程を含む。
【0046】
(第1塗布工程)上に向かって開口している姿勢(
図5に示す姿勢)のガスケット75の内面に規定量のシール剤を塗布する。第1塗布工程は塗布工程の一例である。
(返し工程)第1塗布工程で塗布したシール剤100の溶媒が完全に蒸発する前にガスケット75を引っ繰り返す。すなわち、シール剤100が流動性を有する状態でガスケット75の内面を下向きにする。
(第2塗布工程)ガスケット75の外面にシール剤を塗布する。
【0047】
3.効果説明
以上説明した実施形態1に係る電池10によると、ガスケット75に切り欠き104が設けられているので、
図8に示すように側壁部102の上端面に多量の水滴120が付着しても水滴120がリベット付き端子板91まで達し難い。水滴120がリベット付き端子板91まで達しなければ、水滴120と蓋部材41に付着している水滴121とが繋がってしまってもリベット付き端子板91と蓋部材41(ケース30)との液絡は生じない。よって電池10によると、側壁部102に付着した水滴等によってリベット付き端子板91とケース30とが液絡してしまうことを抑制できる。
【0048】
また、電池10によると、
図5に示すように第2の面106が側壁部102の内周面103に対して平行であるので、例えば第2の面106が底部101から遠ざかるに連れて外に広がるテーパ面として形成されている場合に比べ、水滴120がリベット付き端子板91まで達し難くなる。
【0049】
また、実施形態1に係る電池10の製造方法によると、塗布したシール剤100の溶媒が完全に蒸発する前にガスケット75を引っ繰り返したとき、
図7に示すように、シール剤100が液ダレしても表面張力によって切り欠き104に留まる。すなわち、シール剤100が流動性を有する状態でガスケット75の内面を下向きにしてもシール剤100が作業台110まで達してしまい難い。このため、ガスケット75にシール剤100を塗布した面を下向きにする工程の生産性を、シール剤100の膜厚を安定させつつ向上させることができる。
【0050】
また、電池10によると、第1の面105が側壁部102の内周面103に対して垂直であるので、例えば第1の面105が底部101から遠ざかるに連れて外に広がるテーパ面として形成されている場合に比べ、シール剤100が作業台110まで達し難くなる。
【0051】
<実施形態2>
次に、本発明の実施形態2を
図9ないし
図10によって説明する。実施形態2に係る電池210は正極端子部270P及び負極端子部270Nの構成が実施形態1と異なる。電池210はその他の点において実施形態1に係る電池10と実質的に同一である。
【0052】
1.正極端子部及び負極端子部の外観
先ず、
図9を参照して、正極端子部270P及び負極端子部270Nの外観について説明する。正極端子部270Pと負極端子部270Nとは実質的に同一の構成であるので以降の説明では正極端子部270Pを例に説明する。
【0053】
正極端子部270Pは、貫通孔292(
図10参照)と貫通孔293(
図10参照)とを有する金属製の端子板291P、金属製のリベット271P、ガスケット275、金属製の端子ボルト281P、及び、ボルトケース285を備えている。そして、
図9に示すようにガスケット275の上端面、及び、ボルトケース285の上端面が端子板291Pによって覆われている。
【0054】
2.蓋部材の構造
次に、
図10を参照して、蓋部材241の構造について説明する。蓋部材241の外面Vには第一凹部43及び第二凹部44がX方向の両側に並んで形成されている。第一凹部43は方形であり、ガスケット275の底部が嵌合される。第一凹部43の底部にはガスケット275の環状突部276が嵌合挿入される貫通孔42が形成されている。第二凹部44も方形であり、ボルトケース285の底部が嵌合される。
【0055】
リベット271Pは両軸タイプであり、頭部272の上下両側に第1軸部273と第2軸部274とが設けられている。
【0056】
端子ボルト281Pは電気機器に接続されたハーネスに設けられた端子(図略)や、電池同士を電気的に接続するバスバー(図略)の取り付け用であり、頭部282をボルトケース285に収容しつつ、蓋部材241の外面側においてリベット271Pと並んで配置される。
【0057】
ガスケット275及びボルトケース285は上方に開口する箱形である。ガスケット275の底部にはリベット271Pの第1軸部273が貫通する貫通孔と、その周縁部に沿って環状突部276とが形成されている。ガスケット275の内周面の縁部、及び、ボルトケース285の内周面の縁部には、実施形態1に係るガスケット75と同様に切り欠きが設けられている。
【0058】
端子板291Pはリベット271Pの第2軸部274が貫通孔292を貫通した状態で加締められることによってリベット271Pと結合される。そして、リベット271Pの第1軸部273がガスケット275の貫通孔、蓋部材41の貫通孔42、樹脂プレート77の貫通孔78、及び、正極集電体60Pの貫通孔62を貫通している状態で第1軸部273が加締められることによって正極端子部270Pや正極集電体60Pが蓋部材241に固定される。
【0059】
リベット271及び端子ボルト281は金属部材の一例である。また、ガスケット275及びボルトケース285は絶縁部材の一例である。
【0060】
3.効果説明
以上説明した実施形態2に係る電池210によると、ガスケット275の上端面及びボルトケース285の上端面が端子板291によって覆われているので実施形態1と同様の切り欠きを設けても液絡を抑制する効果はないといえるが、ガスケット275やボルトケース285の内面にシール剤を塗布して引っ繰り返す工程の生産性を、シール剤100の膜厚を安定させつつ向上させることができる。
【0061】
<他の実施形態>
本明細書によって開示される技術は上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような実施形態も技術的範囲に含まれる。
【0062】
(1)上記実施形態1ではガスケット75の内周面103に垂直な第1の面105と第1の面105に垂直な第2の面106とによって切り欠き104が形成されている場合を例に説明した。しかしながら、切り欠きの形状はこれに限定されない。例えば
図11に示すガスケット375のように内周面3101に対して傾斜した面3102によって切り欠きが形成されてもよいし、
図12に示すガスケット475のように湾曲した面4102によって切り欠きが形成されてもよい。
【0063】
なお、切り欠きの形状は、側壁部102の縁部に設けられた段形状であることが好ましい。ここで「段形状」とは、
図13に示すように、内周面103の上端P1と、側壁部102の上端面102Aの内側の端P2とを結んだ直線130よりも側壁部102の内側に窪んだ部分がある形状を意味する。実施形態1では特に明記しなかったが、
図13に示す通り、実施形態1のガスケット75に設けられた切り欠き104の形状は段形状である。また、
図14に示す通り、
図12に示すガスケット475に設けられた切り欠きの形状も段形状である。
【0064】
側壁部102の内側に窪んだ部分があると、側壁部102の上端面102Aから内周面103へ水滴等が移動することや、ガスケット475の内面を下向きにしたときに内周面103から側壁部102の上端面102Aへシール剤100が移動することがより抑制される。なお、切り欠きの形状は、水滴等が移動することを抑制する観点から、
図5に示すように内周面103に垂直な第1の面105と、第1の面105に垂直な第2の面106とによって形成されていることが、さらに好ましい。
【0065】
(2)上記実施形態では側壁部102の内周面103の縁部であって底部101とは逆側の縁部に切り欠き104が設けられている場合を例に説明した。しかしながら、切り欠きの位置はこれに限定されない。例えば、
図15に示すように切り欠き104は側壁部102の外周面102Bの縁部であって底部101とは逆側の縁部に設けられてもよい。このようにすると、側壁部102の上端面102Aの面積が小さくなり、付着する水滴等が少なくなる。水滴等は少ないと丸まろうとするので、蓋部材41側に流れ落ち難くなる。このため、上端面102Aに付着した水滴等と図示しない蓋部材41に付着している水滴等とが繋がり難くなる。これにより液絡を抑制することができる。
【0066】
なお、この場合の切り欠き104の形状も段形状であることが好ましい。ここでいう「段形状」とは、
図15に示すように、外周面102Bの上端P3と、側壁部102の上端面の外側の端P4とを結んだ直線131よりも側壁部102の内側に窪んだ部分がある形状を意味する。
【0067】
(3)上記実施形態1では側壁部102の縁部に切り欠き104が設けられている場合を例に説明した。しかしながら、切り欠き104の位置はこれに限定されない。例えば、
図16に示す通り、切り欠き104は側壁部102の外周面102Bに凹部として設けられていてもよい。このようにすると、側壁部102の上端面102Aに付着した水滴等が側壁部102の外周面102B側に流れ落ちたとしても切り欠き104の上端に留まり易くなる。また、図示しない蓋部材41に付着している水滴等は切り欠き104の下端より上まで上がり難くなる。このため、上端面102Aに付着した水滴等と蓋部材41に付着している水滴等とが繋がり難くなる。これにより液絡を抑制することができる。
【0068】
(4)上記実施形態1では側壁部102に切り欠き104が設けられている場合を例に説明した。しかしながら、
図17に示す通り、側壁部102には切り欠き104に替えて、あるいは切り欠き104に加えて、突起150が設けられていてもよい。このようにすると、側壁部102の上端面102Aに付着した水滴等が側壁部102の外周面102B側に流れ落ちたとしても突起150の上端面に留まり易くなり、図示しない蓋部材41まで達し難くなる。また、蓋部材41に付着している水滴等は突起150の下端より上まで上がり難くなる。このため、上端面102Aに付着した水滴等と蓋部材41に付着している水滴等とが繋がり難くなる。これにより液絡を抑制することができる。
【0069】
また、側壁部102の内周面103に上述した突起150を設けてもよい。このようにすると、ガスケット75の内面にシール剤100を塗布した後、シール剤100が流動性を有する状態でガスケット75の内面を下向きにしたとき、シール剤100が突起150に留まるので、シール剤100が流れ出てしまうことを抑制できる。これにより、ガスケット75の内面にシール剤100を塗布した面を下向きにする工程の生産性を、シール剤100の膜厚を安定させつつ向上させることができる。
【0070】
(5)上記実施形態1では切り欠きの高さが0.2mmである場合を例に説明した。しかしながら、切り欠きの高さはこれに限られるものではない。切り欠きの高さは、上端面に付着した水滴がガスケット75まで達してしまわないよう、あるいは塗布したシール剤が切り欠きに留まるよう、実験などによって適宜に決定されることが望ましい。切り欠きの幅についても同様である。また、突起についても同様である。
【0071】
(6)上記実施形態1ではリベット付き端子板91との間に間隔が設けられるタイプのガスケット75を例に説明したが、ガスケット75はリベット付き端子板91との間に間隔が設けられないタイプのものであってもよい。
【0072】
(7)上記実施形態1では、ポリフェニレンサルファイドによって構成されるガスケット75を例に説明したが、絶縁性を有する材料であればこれに限られない。また、ガスケット75の側壁部102はフッ素樹脂を含むことが好ましく、PFA(テトラフルオロエチレンとパーフルオロアルキルビニルエーテルとの共重合体)、PTFE(ポリテトラフルオロエチレン)、又はFEP(テトラフルオロエチレンとヘキサフルオロプロピレンとの共重合体)を含むことがさらに好ましい。表面張力の低いフッ素樹脂を含むことによって、水滴等が側壁部102の表面に拡がることを抑制できる。その結果、水滴等によるリベット付き端子板91とケース30との液絡を抑制することができる。
【0073】
また、ガスケット75の側壁部102は、大気雰囲気で25℃の条件下における蒸留水との接触角が90°以上であることが好ましい。例えば、側壁部102を上述したフッ素樹脂で構成する他、側壁部102の表面にフッ素樹脂の被膜を形成する方法又は側壁部102の表面を超音波処理する方法等の撥水加工を施すことにより、蒸留水との接触角が90°以上とすることができる。側壁部102を蒸留水との接触角が90°以上とすることにより、水滴等が側壁部102の表面に拡がることを抑制できる。その結果、水滴等によるリベット付き端子板91とケース30との液絡を抑制することができる。
【0074】
(8)上記実施形態では蓄電素子としてリチウムイオン二次電池を例示したが、蓄電素子はリチウムイオン二次電池以外の電池や、電気二重層キャパシタ等のキャパシタであってもよい。