【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の目的は、独立項の特徴を有する金属切削機械及び機械加工方法によって達成される。その同様に独立して有利であり得る他の実施形態は、従属項及び以下の説明において開示される。
【0006】
機械加工エリア(12)において回転する工具ヘッド(14)、固定ワーク(16)、前記機械加工エリア(12)を包囲するとともに、前記ワーク(16)を前記機械加工エリア(12)に導入するためのフード開口(18)を有し、外部からアクセス可能な機械フード(20)、及び、流体が前記フード開口(18)を通って逃げることを防止するスクリーン(22)を有する、金属切削機械(10)であって、前記機械加工エリア(12)において前記フード開口(18)の後方に、切削屑収集器(24)が配置されることを特徴とする金属切削機械は、切削屑によるワークへの損傷のリスクを最小限に抑えることができ、切削屑の除去を単純化することができる。
【0007】
切削屑はそれによって、固定ワークが回転工具ヘッドを有する金属切削機械によって機械加工されている間に、切削屑収集器によって収集されることができる。
【0008】
このように、切削屑とワークとの密な接触を防止することができ、それによって、可能性のある損傷のリスクが最小限まで低減される。加えて、切削屑収集器への僅かな損傷を最終的には許容することができるため、1つ又は複数の切削屑の除去に関しては注意があまり必要とされない。
【0009】
好適な設計では、切削屑の除去は、手動の介入を必要とすることなく行われる。
【0010】
同様に、例えば、切削屑収集器が、摩耗に対抗するために、硬化材料からなるか、又は、硬化材料が設けられることが考えられる。
【0011】
スクリーンは通常、特に、例えば、工具、又は、ワークの機械加工プロセス中に金属切削機械を操作する怠慢な操作者の手がフード開口を通って機械加工エリアにアクセスすることを防止するか又はほとんど防止するように働く。特に、スクリーンは通常、流体、飛び散る切削屑等が機械加工エリアから逃げるリスクを最小限に抑えるようにも働く。
【0012】
好適な設計では、切削屑収集器は、切削屑が切削屑収集器によって収集されるという点で、切削屑がスクリーンとワークとの間の隙間に入り込むことも防止することができる。切削屑収集器が好適な設計を有する場合、切削屑は、適用可能な場合、この場合は隙間からそらされることさえできる。これは最終的に、切削屑が隙間に入り込むリスクが低下するため、スクリーンをワークの非常に近くに移動させることを可能にする。加えて、これは最終的に、基本的に機械加工エリア内にのみ位置し、機械フードによって保持されるべきである流体の損失も低減する。しかし、スクリーンが、スクリーンとワークとの間の隙間に切削屑が入り込むリスクに起因して、従来技術に従ってワークから比較的遠くに離間する場合、流体が逃げること、したがって、対応する流体の損失を避けることができない。
【0013】
これに関して、スクリーンとワークとの間の隙間が20mm未満、好ましくは15mm未満となる場合に有利である。適用可能な場合、隙間は、更により小さく実現してもよい。しかし、他の好適な手段、例えば特に精密な切削屑収集器、及び、ワークの周りに延びるスクリーンの軸方向に非常に深い壁が設けられる場合に、隙間はより大きく実現してもよく、流体が機械加工エリアから逃げること、及び、異物が機械加工エリアに入ることを依然として十分に防止する。しかし、適用可能な場合、必要であるとみなすことができる補足的な手段を基準に、妥協に関して、20mm又は15mm未満の隙間が特に有利である。言うまでもなく、スクリーンは、適用可能な場合、異なるワークの直径に合わせて設けるか又は使用することもでき、それによって、この場合は、隙間の幅はそれに従って変わる。
【0014】
さらに、単に理論上であるが、スクリーンを工具ヘッドから遠くに配置することが考えられるが、これは、機械フードの相当な外側寸法につながり、これはさらに、結果としてスペースが失われるだけではなく、例えば、クランプジョー又は他の保持装置を工具ヘッドの十分に近くに配置することができず、非クランプ長さが増すことで、例えば振動等の他の問題が最終的に生じる可能性があるため、かなりの取り扱いの問題も生じる。その結果、保持装置又はクランプジョーまでの機械加工エリアの軸方向範囲に関するかなりの利点を、上述した切削屑収集器によって得ることができ、これは、スクリーンとワークとの間の小さい隙間を、切削屑がこの隙間に入り込むという大きなリスクを伴うことなく可能にし、すなわち、切削屑が隙間に入り込むリスクが低下するため、スクリーンを工具ヘッドの非常に近くに移動させることができる。したがって、スクリーン又はフード開口がそれぞれ、回転工具ヘッド又は工具ホルダから、軸方向に、すなわち回転軸に沿って、僅か20cm、好ましくは僅か15cm又は僅か12cm離間する場合に有利である。
【0015】
言うまでもなく、切削屑収集器によって収集された切削屑は好ましくは、ワークを交換する前に切削屑収集器から除去され、それによって、切削屑収集器は再び、次のワークが機械加工されるときに十分な取込容量を有する。これに関して、言うまでもなく、切削屑の除去はまた、適用可能な場合、切削屑収集器が十分な容量を有するのであれば、それほど頻繁に行わなくてもよい。好適な設計では、この切削屑の除去は特に、手動の介入なく行うことができる。
【0016】
この文脈では、切削屑収集器が最初にワークから工具とともに取り外され、それによって、切削屑の後続の除去中のワークへの可能性のある損傷のリスクを更に低下させることができる場合に、特に有利である。好適な設計及びプロセス管理では、切削屑は、一方では工具又は工具ヘッドと、他方では切削屑収集器との間に保持されることができ、それによって、このステップの間に好適に位置決めされたままであり、ワークに達することができない。
【0017】
好適な設計は、丸まった切削屑が機械加工エリアを出るときにワーク上に留まらないことを確実にすることを特に可能にし、これに関しては、当然ながら故障を考慮することができない。
【0018】
機械加工プロセス中に使用される流体は通常、切削油及び水のエマルション等の切削流体からなる。言うまでもなく、適用可能な場合、特に、水又は冷却液単体又は更には切削油単体等の他の流体を使用することも可能である。適用可能な場合、使用される流体は同様に、冷却液又は冷却流体単体からなることができる。流体は、全く異なる目的で機械加工エリアに存在し、機械加工エリアの周りでほぼあちこちに飛び散る可能性もある。これに関して、言うまでもなく、使用される流体が、水、アルコール、油又は更には液体ガス等の液体のみからではなく、特に空気若しくは保護ガス等のガス、又は、ミスト若しくはガス及び液体の他の組み合わせからもなることができる。
【0019】
本発明の文脈では、外部からアクセス可能なフード開口が、機械加工エリアへの工具の導入又は挿入を可能にし、最終的には機械フードの外面に位置付けられることを強調しておくべきである。機械加工エリア内に又は工具ヘッドにおいて軸方向内方に向く潜在的な構造は、フード開口の一部を形成せず、むしろ別個の機能を有する。フード開口は、その定義に従って、機械フードの外側エンベロープに位置付けられ、一方で、フード開口から機械加工エリア内に又は工具ヘッドにおいて内方に向く壁は、ワークチャネル壁と称することができ、これらのワークチャネル壁はこの場合、フード開口から開始して工具ヘッドを向く。
【0020】
したがって、フード開口に対する跳ねの保護の位置を特に示す「フード開口の後ろ」という用語は、フード開口の、機械フードの外側の周囲を向かない側に位置付けられる位置を規定する。適用可能な場合、切削屑収集器は特に、フード開口の後ろに直接的に配置することができ、適用可能な場合、フード開口を通して機械加工エリア及び工具ヘッドの方向に内方に機械フード及びスクリーンを更に延びる。言うまでもなく、フード開口に対する切削屑収集器の正確な配置は、切削屑収集器がフード開口の後ろに位置付けられ、その切削屑収集機能を果たすことができる限り、自由裁量である。これに関して、機械加工エリア内の構成を、スクリーン上に直接的に若しくはスクリーンに一体化して、又は、フード開口から開始して工具ヘッドを基準に軸方向に延びるエンベロープ表面の径方向外方に実現することが特に可能である。
【0021】
切削屑収集器は好ましくは、ワークヘッドに向かって円錐状にテーパ状である収集面を含み、それによって、機械加工プロセス中に形成される切削屑を、円錐状の収集面に沿って容易に収集することができる。言うまでもなく、異なる実施形態では、予期される切削屑に応じて、異なる設計の切削屑収集器を設けることもできる。適用可能な場合、例えば、形成される切削屑を十分に収集し、これらの切削屑をワーク及び隙間からそれぞれ離しておくために、回転軸に対して軸方向に平行に配置されるロッド又はメッシュ構成を単に設ければ十分であり得る。同様に、特に収集面に沿って収集される切削屑が特別に案内されるべきである場合に、異なる設計を有する収集面を設けることができる。例えば、漏斗形状の収集面によって意図した除去を既に達成することができる。
【0022】
円錐形状の収集面、又は例えば、基本的に円錐形状で対応して配置されるロッドは、切削屑をそのような錐体に容易に収集することができるだけではなく、錐体に位置する対応する切削屑を錐体の先端に向かって容易に除去することもできるという利点を有する。ワークの端部が機械加工プロセス中に面取りされる場合、すなわち円錐形状が設けられる場合、収集面の円錐形状は好ましくは、ワーク上の面取りされる円錐形状に対応し、それによって、対応する工具を、収集面にわたって、収集面に損傷を与えることなく移動させることができ、可能性のある後続の工具を収集面の可能な限り近くに移動させることができる。この結果として、非クランプ長さを非常に短くすることが可能であるという選択肢が生じる。
【0023】
収集面は好ましくは、回転軸に対して回転対称に配置される。切削屑収集器がより複雑な設計を有する場合、切削屑収集器がこの回転軸を基準に対称に、例えば鏡像対称又は軸方向に対称に配置される場合に同様に有利である。これは、工具ヘッドが回転軸を中心に回転し、1つ又は複数の切削屑がしたがって、最終的に、特定の統計的確率でこの回転軸を中心に任意の回転角度で形成されることができることを考慮する。
【0024】
最終的に、切削屑収集器が工具ヘッド上に配置されて工具ヘッドとともに回転することも考えられる。しかし、これは、最終的に通常の機械加工シーケンスも大幅に損なう、工具ヘッドのかなりの構造的な変更を必要とする。これが、切削屑収集器を固定して、すなわち、工具とともに回転しないように配置するのが有利な理由である。これは当然ながら、例えば収集された切削屑の除去を単純化するか又は可能にするために、切削屑収集器が特定の方法で変位可能であり得ることを意味する。切削屑収集器がスクリーン及び/又は機械フードに配置される場合に特に有利であり、これは、切削屑収集器がこの場合に、切削屑収集器が協働するはずであるサブアセンブリにも直接的に接続されるためである。好適な設計では、特に、既に上記で述べたように、スクリーンとワークとの間の隙間に切削屑が入り込むこと、及び、ワークと、例えばフード開口の領域に位置付けられる機械フードとの間の隙間に切削屑が入り込むことも防止するべきである。
【0025】
スクリーン及び機械フードは通常、何らかのメンテナンス目的で工具ヘッドに対して変位することができるように配置され、それによって、この変位可能性はこの場合、切削屑の除去を行うべきであるときに切削屑収集器の変位可能性を実現するために使用することもでき、この切削屑の除去を、対応する変位によって単純化することができる。
【0026】
言うまでもなく、切削屑収集器は、スクリーン又は機械フード全体とワンピースで実現することができるが、これは、メンテナンス作業、及び、異なるワーク直径への適合も大幅に複雑化する。これに関して、切削屑収集器が、適用可能な場合に、スクリーンのサブアセンブリのみ、例えばスクリーンの内側リングとともに交換することができるように機械フードに取り付けられる場合に有利である。例えば、スクリーンは、特に複数の部分から構成することができ、それによって、スクリーンの1つの部分を、適用可能な場合、切削屑収集器とワンピースで実現することもできる。
【0027】
切削屑収集器は好ましくは、使い捨て可能な部品の形態で交換可能に実現される。
【0028】
適用可能な場合、切削屑収集器は特に、既に上記で述べたように、フード開口の後ろに直接的に配置することができ、適用可能な場合、フード開口を通して機械加工エリア及び工具ヘッドの方向に内方にスクリーンを更に延びる。フード開口に対する切削屑収集器の正確な配置は、切削屑収集器がフード開口の後ろに位置付けられ、その切削屑収集機能を果たすことができる限り、自由裁量である。
【0029】
これに関して、機械加工エリア内の構成を、スクリーン上に直接的に若しくはスクリーンに一体化して、又は、フード開口から開始して工具ヘッドを基準に軸方向に延びるエンベロープ表面の径方向外方に実現することが特に可能である。
【0030】
スクリーンは、流体が逃げるリスクを可能な限り効果的に最小限に抑えるために、機械的なシールを備えることができる。上述した切削屑収集器は、例えば機械フードの材料よりも通常ははるかに敏感である機械的なシールを、切削屑による損傷を受けることから保護することができる。機械的なシール、特に好ましい弾性的なシールを使用しようとする以前の試みは、依然として非常に攻撃的な切削屑が非常に短期間で機械的なシールを既に破壊したため、失敗している。好ましい弾性的なシールは、スクリーンと工具との間の隙間を迅速にシールし、フード開口を対応してシールすることを可能にし、弾性的なシールは、例えば、ワーク又はスクリーン又は機械フードをそれぞれ移動させる必要があるときに、非常に容易に開閉することができる。他方で、言うまでもなく、他のシールの選択肢、例えば非接触シール、ラビリンスシール、ベルヌーイシール又はベンチュリシールが使用される場合に、特定の状況下では機械的なシールを取り除くことが可能である。
【0031】
回転工具ヘッドを有する金属切削機械によって固定ワークを機械加工する方法が、固定ワークに、機械加工プロセス中に少なくとも1つの固定ノズルによる流体によって作用することを特徴とする場合に、切削屑によるワークへの損傷のリスクを最小限に抑えることができ、切削屑の除去を単純化することができる。
【0032】
したがって、機械加工エリアにおいて回転する工具ヘッド、固定ワーク、機械加工エリアを包囲するとともに、ワークを機械加工エリアに導入するためのフード開口を特徴とする、外部からアクセス可能な機械フード、及び、流体がフード開口を通って逃げることを防止するスクリーンを特徴とする金属切削機械が、ワークに方向付けられる流体の固定ノズルを特徴とする場合に、1つ又は複数の切削屑によるワークへの損傷のリスクを最小限に抑えることができ、1つ又は複数の切削屑の除去を単純化することができる。
【0033】
流体が回転工具ヘッドに配置されるノズルを通して供給される従来技術とは対照的に、流体はこの場合、工具ヘッドの移動シーケンスに結果として追従しない1つ又は複数の固定ノズルを通して累積的及び代替的に供給される。これは、流体が最終的には有利にはワーク全体に作用することができ、ノズルが好適に方向付けられる場合には、ワークとスクリーンとの間の隙間又は機械的なシール等のような固定サブアセンブリを恒久的に保護するように、流体がワークに基本的に作用することを確実にし、それによって、切削屑によるワーク又はシールへの損傷のリスクを最小限に抑えることができ、好適な設計では、それによって、優れた切削屑、すなわち、あまり攻撃的ではないか又はワークにしっかりとは当接しない切削屑を形成することができる。流体がその潤滑及び冷却特性によって最終的にワーク上に静止されて、したがって対応して応力を受ける位置に存在するため、切削屑の除去も単純化される。
【0034】
スクリーンが上述した機械的なシールを特徴とする場合、特に、機械加工エリアの眺めを基準にシールの前の領域において特にワークに同様に作用する余分な量の流体を許容することが可能であり、これは、流体が逃げることも、より高い流体圧力において機械的なシールによって効果的に防止することができるためである。
【0035】
機械加工プロセス中に1つ又は複数の切削屑に流体を噴霧することが特に有利であることが分かっている。この場合、それによって、切削屑が丸められるか又はあまり攻撃的ではなく実現され、あまり拘束されず及び/又は丸め効果が低下されるように、切削屑の特徴を変えることができると想定される。1つ又は複数の切削屑のみに方向付けられる流体圧力は、同様に、1つ又は複数の切削屑が、ワークから遠くに除去されるか又は工具ヘッドの方向に形成され、したがって、ワークに対して過剰に密には当接しないことにつながることができ、したがって、切削屑によるワークへの損傷のリスクが最小限に抑えられ、切削屑の除去が単純化される。ノズル、及び、特に十分に高い軸方向成分で切削屑に作用する流体の好適な設計では、切削屑を対応して好適に形成する、径方向に方向付けられるより高い力を、おそらくは、従来技術に従って工具ヘッド又は工具ホルダから開始するかなりの径方向成分を有する流体が用いられる場合よりも、それぞれの切削屑に作用する機械加工及び保持力に関連して生成することができる。
【0036】
切削屑が最終的に回転工具ヘッドによって回転して形成されることを考慮して、流体が、工具ヘッドの回転軸を囲む流体封止シースの形態で供給されるか、又は、固定ノズルを通して十分な量で流体を供給することができるように対応する回転対称性を有する場合に有利である。この流体封止シースは特に、工具ヘッドの方向にワークの表面上で伝搬し、それによって、切削屑の方向若しくは工具の方向、及び/又は、機械加工される位置の方向に意図的に案内されることができ、好適な設計における移動方向は同様に、シールするように作用し、粒子を、フード開口とワークとの間の隙間から離すように導く。言うまでもなく、対応する回転対称なノズル形状も好ましくは提供することができる。
【0037】
これに関して、使用される固定ノズルは特にリングノズルからなることができる。代替的には、固定ノズルは、複数のノズル出口を含んでもよく、それによって、流体はそれに従って固定ワーク及び切削屑において環状に噴霧される。特に、固定ノズルが、ワークの周りに延びる流体封止シースを生成することが考えられる。
【0038】
しかし、これは、それぞれの時点で最終的に機械加工されない位置においても噴霧されるため、かなりの余分な量の流体を最初に必要とする。しかし、全体から見ると、これが工具の摩耗、及び、切削屑の形成、又は、ワークに対してあまり攻撃的に当接せず、あまり拘束されない切削屑に対して有利な効果を有すると判断され、切削屑は特に、スクリーンとワークとの間の隙間に入り込む傾向も低下し、それらの丸められる効果が低下する。本発明の実施形態では従来技術におけるよりもはるかに効果的に実現することができるスクリーンによって、流体は最終的に循環することができ、損失を最小限に抑えることができるため、この不都合点は、より高いポンプ容量しか最終的に必要とされないため、容易に受け入れることができる。流体の汚染の程度は特に基本的に同一であり、それによって、可能性のあるフィルタも、対応してより高い流体のスループットに起因してより単純な設計を有することができる。
【0039】
流体は好ましくは、ワークの表面上で伝搬する流体封止シースの形態で、機械加工される位置まで供給される。これは、流体がワークに対して非常に均一に作用することにつながり、これはさらに、試験結果によると、上述した改善された切削屑特性につながる。
【0040】
上記で既に示したように、この文脈では、一方では1つの固定ノズルと他方では複数の固定ノズルとの区別はされず、これは、1つの固定ノズルが最終的に、幾つかのノズル出口も特徴としてもよく、対応する流路がこれらのノズル出口につながり、それによって、機械加工エリアにつながるとともに流体を利用可能にするときに通すことができる全ての固定開口が、回転工具に配置される可能性のある流体ノズルとは異なり、固定ノズルの固定ノズル出口の一部として画定されるためである。
【0041】
この文脈では、「固定」という用語は、単に回転工具ヘッドに対する回転に関してであり、それによって、ノズルは、例えば、回動アーム上で、又は、例えば機械フード若しくはスクリーン等のノズルを担持する構造とともに、何としてでもそれ自身の動きを行うことができることを強調しておくべきである。
【0042】
ノズル又はノズルの個々の構成要素及び関連するノズルチャネルは、特に、スクリーン上若しくはスクリーン内、又は、そのサブアセンブリ内に設けることができる。スクリーンは特に複数の部分から構成することができ、それによって、ノズルをスクリーンの部分のうちの1つに配置することができる。スクリーンが、例えば、ノズルの壁のセクション、部分的なノズル及び/又はノズルチャネルのみ等のノズルの部分のみを特徴とすることも考えられる。この設計は、変化する可能性があるワーク直径又は単にメンテナンス手順への迅速な適合を可能にする。
【0043】
好ましい実施形態では、ノズルは、スクリーンとワークとの間の隙間に開口し、それによって、流体がこの隙間に直接的に噴霧される。この結果として既に、この隙間への切削屑の可能性のある入り込みに対する非常に効果的な保護が生じ、当然ながら、この場合は不所望の量の流体が逃げることを効果的に防止するために、フード開口に向かう対応するシールを設けるべきである。これは、例えば、上述した機械的なシールによって実現することができる。例えばベルヌーイシール等の他のシール機構も当然ながら使用することができる。
【0044】
例えば、ノズルは、流体が隙間内を工具ヘッドの方向に押しやられ、その流速に起因して、フード開口を通って逃げるのではなく加工エリア内に流れるように、工具ヘッドに方向付けることができる。ノズルを工具ヘッドに方向付けることは、当然ながら、他の理由からも、例えばこの位置において切削屑に対して作用するために有利であり得る。
【0045】
好適なプロセス管理では、工具ヘッドに方向付けられてスクリーンとワークとの間の隙間に開口するノズルは、ベルヌーイ効果を生成することを可能にし、ベルヌーイ効果によって、シール効果を更に高めるために、ノズルの前の領域においてスクリーンとワークとの間の隙間で、フード開口に向かう真空が生成される。
【0046】
したがって、隙間がワークとスクリーンとの間に形成され、隙間がベルヌーイシールによってシールされる場合に有利である。このように、可能性のある流体の損失を特に単純かつ効果的に最小限に抑えることができ、一方で、ベルヌーイ効果を生成するのに用いられる流体が、切削屑を、ワーク及び隙間から離すように押しやり、それによって、切削屑によるワークへの損傷のリスクが最小限に抑えられ、切削屑の除去が単純化される。この場合、流れ自体の結果として既に、対応するシール効果を有することができる真空が生じると想定される。
【0047】
既に上記で述べたように、特にベルヌーイノズルが使用されるとき、但し、ワークの表面上を伝搬する他の流体封止シースが使用されるときにも、かなり余分な量の流体が必要とされる。具体的なプロセス管理に応じて、この余分な量の流体自体が既に、切削屑の形成に対して、特にそれらの湾曲に関して、丸められる効果に関して、及び、例えば優れた冷却に起因するそれらの拘束に関して、プラスの効果を有することが考えられる。適用可能な場合、非常に効果的な保護フィルムを、この余分な量の流体によってワークにおいてさらに実現することができる。流体が切削屑に噴霧される場合、同じことが切削屑に当てはまる。好適な設計及びプロセス管理では、丸まった切削屑をワークから機械的に確実に除去することができるか、又は、ワークへの損傷が防止されるようにワーク自体にもはや形成されないことが考えられる。
【0048】
適用可能な場合、ベルヌーイ効果を使用するベルヌーイノズルを、ベンチュリノズルの形態で実現することもでき、したがってかなりの量の周囲空気をさらに取り込む。
【0049】
流体の供給はワークに方向付けられるため、適用可能な場合、工具ヘッドとともに回転する流体供給源を取り除くことが可能であり、それによって、機械構成労力を大幅に低下させることができ、スピンドルの領域及び工具ヘッドの領域においてより少ない構造的スペースしか必要とされず、より多くの構造的スペースが、特に、工具ヘッドの領域、及び、工具ヘッドとともに回転する工具ホルダの領域において残り、その目的で潜在的に使用することができる。上述した取り除きは特に、流体を十分な量で及び回転工具ヘッドにおける十分な圧力で利用可能にしなければならない複雑な回転導出部及びシールがもはや必要とされないことを意味する。この結果として、他のかなりの構造的な利点が生じ、これは、通常は精巧な製造プロセスによって製造しなければならない精密で非常に長いボアさえも、もはや必要とされないためである。さらに、工具ヘッドに移動可能に配置される、工具ホルダ間の液体の付加的な通路及び工具ヘッドがもはや必要とされない。
【0050】
切削屑収集器は好ましくは、十分な切削屑が切削屑収集器に位置するときに、この切削屑を切削屑収集器から除去する除去装置を備える。例えば、そのような除去装置は、対応するトング又は把持部又は単純な屈曲部又はリングがそれぞれ切削屑収集器又は収集面にわたって除去し、この動きに起因して切削屑を切削屑収集器から除去するという点で、機械的に設計することができる。
【0051】
特に固定ノズルのノズル出口等の他の装置も除去装置として使用することができる。これらのノズル出口は好ましくは、除去ノズルの形態で実現され、別個の除去流路に接続され、それによって、除去プロセスを行うべきであるときに、固定ノズルの残りの部分とは別個に、又は、固定ノズルの残りのノズル出口とは別個にそれぞれ作動することができる。これに関して、言うまでもなく、具体的な要件に応じて、1つ又は複数の除去ノズルを、機械加工プロセス中に流体によってワーク及び切削屑に作用するように使用することもできる。これらの解決策は、可動部品の排除に起因して特に好ましく、この場合、言うまでもなく、例えば除去ノズルに流体が別々に供給される場合に、圧縮空気を特に使用することができる。
【0052】
切削屑収集器によって収集された切削屑は、ワークを交換する前に除去装置によって切削屑収集器から機械的に除去することができ、それによって、最終的に特に多くの機械加工サイクルにおける更に長いサイクル時間のために大きな障害となる、切削屑をワークから除去する以前の手動の労力がもはや必要とされない。言うまでもなく、対応する利点をそのような除去装置によって得ることもでき、除去装置は、本発明の残りの特徴とは独立して、ワークを交換する前に、切削屑収集器によって収集された切削屑を切削屑収集器から除去する。
【0053】
切削屑収集器によって収集された切削屑を除去するように十分なスペースを利用可能にするために、除去を行う前に、切削屑収集器が工具ヘッドから軸方向に変位して離れる場合に有利である。これは、切削屑の除去を手動の介入なく行うことができるように、例えば機械フードを移動させるように何らかの方法で設けられる対応する駆動装置又はアクチュエータによって機械的に実現することもできる。
【0054】
具体的なプロセス管理に応じて、切削屑収集器は、ワークとともに軸方向に変位することができ、これは、次のワークを供給するために、ワークも金属切削機械によって機械加工された後で取り出さなければならないためである。他方で、言うまでもなく、切削屑収集器を、ワークに続いて、また特別な状況下ではワークの前でさえも変位させることもできる。切削屑収集器及び工具ヘッドがワークに対して一緒に軸方向に変位され、それによって、ワークが機械加工エリアを出ることが特に好ましい。次に、切削屑がワーク上に戻るリスクを最小限に抑えることができるように、切削屑の除去を上述したように行うことができる。切削屑が除去されると、次のワークを供給し、例えばクランプジョーによって位置決めすることができる。適用可能な場合、切削屑収集器はこの目的で同時に又は予め工具ヘッドに再び近づく。
【0055】
完全を期すために、「固定」という用語は、本明細書では、工具ヘッドとは対照的に機械加工プロセス中に回転しないワークのみを指すことに留意されたい。しかし、特にワークの供給及び取り出し中、並びに、機械加工プロセス中に回転工具ヘッドの回転よりもかなりゆっくりと行われる他の動きは除外されない。回転工具ヘッドはまた好ましくは、ワークの交換中に、適用可能な場合は異なる回転速度で回転し続ける。
【0056】
言うまでもなく、上述した、及び、特許請求の範囲に記載される解決策の特徴は、適用可能な場合、それに従って利点を累積的に実現するために互いに組み合わせることもできる。
【0057】
本発明の他の利点、目的及び特徴は、添付の図面に示される例示的な実施形態の以下の説明において明らかにされる。