(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記噴霧ノズルにおける液体の流路の途中に、液体の圧力が所定圧力以上になると前記流路を開き、所定圧力未満になると前記流路を閉じる逆止弁を設けることを特徴とする請求項1に記載のミスト噴霧システム。
前記液体の供給源である液体供給源と前記タンクとを液体供給配管を介して接続するとともに、前記液体供給配管の途中に開閉弁を設け、前記液面高さ検知手段によって検知される液体の液面高さが、前記下限位置よりも相対的に高い下方位置を下回ると、前記開閉弁を開いて前記液体供給源からの液体を前記液体供給配管を介して前記タンクへと供給し、前記液面高さ検知手段によって検知される液体の液面高さが、前記供給される液体により増加して予め定められた上限位置よりも相対的に低い上方位置に達すると、前記開閉弁を閉じるようにし、単位時間あたりに前記開閉弁を通過する前記液体の流量が、単位時間あたりに前記噴霧ノズルから噴霧される前記液体の噴霧流量よりも多く、かつ該噴霧流量に近い流量となるように、前記開閉弁の最大Cv値を設定することを特徴とする請求項1または2に記載のミスト噴霧システム。
前記ポンプから液体を前記噴霧ノズルへと圧送する際の前記ポンプの単位時間あたりの吐出流量が、単位時間あたりに前記噴霧ノズルから噴霧される液体の噴霧流量として予め求められている要求噴霧流量と略同じとなるように、前記ポンプの単位時間あたりの吐出流量を設定することを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載のミスト噴霧システム。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1,2に係るミスト噴霧システムにおいて、水を取り込まない状態でポンプを作動させる空運転は、ポンプの故障や破損を招くことになる。そこで、特許文献3に係る技術を適用して、タンク内の水の液面高さが下限位置を下回ると、タンクに水を補給するようにすればよいことになるが、補給が間に合わないこともあるので、タンク内の水の液面高さが下限位置を下回ると、ポンプの作動を停止して液体噴霧を停止させるようにすることにより、ポンプが空運転になることを確実に防ぐことができるものと考えられる。
【0005】
上記のように、液面高さが予め定められた下限位置を下回ると液体噴霧を停止させるようにしたポンプ保護機能は、ポンプの保護の観点からは優れた機能であると言える。
【0006】
ところで、上記のようなポンプ保護機能を備えたミスト噴霧システムを例えば船内の一区画を冷却するために船舶に適用した場合、船舶が揺れた際にタンク内の水の液面高さが外力の影響で変化することになり、実際には液面高さが下限位置を上回る十分な液量の水がタンク内に貯留されているにもかかわらず、液面高さが下限位置をしばしば下回ることがあり、ポンプ保護機能が必要以上に働いてしまうことになる。このため、従来のポンプ保護機能を備えたミスト噴霧システムは、液面高さが外力の影響で変化することがある場合に、安定的に水噴霧することができず、十分な冷却性能を発揮することができないことがあるという問題点がある。
【0007】
本発明は、前述のような問題点に鑑みてなされたもので、液面高さが予め定められた下限位置を下回ると液体噴霧を停止させる機能を一時的な液面高さの変化では働かせないようにすることができ、これによって液面高さが外力の影響で変化することがあっても安定的に液体噴霧することができるミスト噴霧システムを提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記目的を達成するために、本発明によるミスト噴霧システムは、
タンク内の液体をポンプの作動によって噴霧ノズルへと圧送して該噴霧ノズルからミスト状にして噴霧するようにしたミスト噴霧システムにおいて、
前記タンク内の液体の液面高さを検知する液面高さ検知手段と、
前記液面高さ検知手段によって検知される液面高さが予め定められた下限位置を下回ったときから計時を開始しその下限位置を下回った状態の経過時間を計時する計時手段と、
前記ポンプの作動を制御するポンプ制御手段とを備え、
前記ポンプ制御手段は、前記計時手段によって計時される前記経過時間が、所定時間に達するまでは前記ポンプの作動を継続し、所定時間に達すると、前記ポンプの作動を停止させることを特徴とするものである(第1発明)。
【0009】
第1発明において、前記噴霧ノズルにおける液体の流路の途中に、液体の圧力が所定圧力以上になると前記流路を開き、所定圧力未満になると前記流路を閉じる逆止弁を設けるのが好ましい(第2発明)。
【0010】
第1発明または第2発明において、前記液体の供給源である液体供給源と前記タンクとを液体供給配管を介して接続するとともに、前記液体供給配管の途中に開閉弁を設け、前記液面高さ検知手段によって検知される液体の液面高さが、前記下限位置よりも相対的に高い下方位置を下回ると、前記開閉弁を開いて前記液体供給源からの液体を前記液体供給配管を介して前記タンクへと供給し、前記液面高さ検知手段によって検知される液体の液面高さが、前記供給される液体により増加して予め定められた上限位置よりも相対的に低い上方位置に達すると、前記開閉弁を閉じるようにし、単位時間あたりに前記開閉弁を通過する前記液体の流量が、単位時間あたりに前記噴霧ノズルから噴霧される前記液体の噴霧流量よりも多く、かつ該噴霧流量に近い流量となるように、前記開閉弁の最大Cv値を設定するのが好ましい(第3発明)。
【0011】
第1発明〜第3発明において、前記ポンプから液体を前記噴霧ノズルへと圧送する際の前記ポンプの単位時間あたりの吐出流量が、単位時間あたりに前記噴霧ノズルから噴霧される液体の噴霧流量として予め求められている要求噴霧流量と略同じとなるように、前記ポンプの単位時間あたりの吐出流量を設定するのが好ましい(第4発明)。
【発明の効果】
【0012】
本発明のミスト噴霧システムによれば、タンク内の液体の液面高さが予め定められた下限位置を下回ったときからその下限位置を下回った状態の経過時間が所定時間に達するまではポンプの作動が継続される一方で、所定時間に達するとポンプの作動が停止されるので、液面高さが予め定められた下限位置を下回ると液体噴霧を停止させる機能を一時的な液面高さの変化では働かせないようにすることができる。したがって、液面高さが外力の影響で変化することがあっても安定的に液体噴霧することができる。
【0013】
また、第2発明の構成を採用することにより、噴霧ノズルの流路を流れる液体の圧力が所定圧力未満の低圧力時に、噴霧ノズルの流路が逆止弁によって閉じられるので、低圧力時の液垂れを防止することができる。
【0014】
また、第3発明の構成を採用することにより、タンク内の液体の液面高さが、下方位置と上方位置との間で変化することになり、タンク内の液体の液面高さの下限位置および上限位置のそれぞれに対して余裕を持たせた液面高さ変動域でタンク内の液体の液面高さが推移することになるので、タンク内に液体を過不足なく安定的に貯留することができる。さらに、単位時間あたりに開閉弁を通過する液体の流量と、単位時間あたりに噴霧ノズルから噴霧される液体の噴霧流量との差分が、タンク内に貯留される液体の単位時間あたりの増加量となり、前者の流量が後者の流量に近い流量とされることで該増加量が小さく抑えられるので、タンク内の液体の液面高さが、下方位置を下回り、これに伴い開閉弁が開かれてから、タンク内の液体の液面高さが、上方位置に達し、これに伴って開閉弁が閉じられるまでの時間を可及的に長くすることができ、これによってミスト噴霧システムの稼働中における開閉弁の開閉回数を低減することができ、開閉弁の長寿命化を図ることができる。
【0015】
また、第4発明の構成を採用することにより、ポンプから液体を噴霧ノズルへと圧送する際のポンプの単位時間あたりの吐出流量と、単位時間あたりに噴霧ノズルから噴霧される液体の噴霧流量として予め求められている要求噴霧流量とが略同じとなるので、液体のタンクへの戻り流量を減らすことができ、タンク内の温度上昇を抑制することができる。
【発明を実施するための形態】
【0017】
次に、本発明によるミスト噴霧システムの具体的な実施の形態について、図面を参照しつつ説明する。なお、以下に述べる実施の形態は、例えば生体運搬用の船舶の船内における生体(例えば、牛等)を収容するための一区画を水のミストの蒸散による潜熱で冷却するようにしたミスト噴霧システムに本発明が適用された例であるが、勿論これに限定されるものではなく、水以外の液体をミスト状にして噴霧するミスト噴霧システムや、揺れることがある構造物に搭載されるミスト噴霧システムに対しても適用可能である。
【0018】
<ミスト噴霧システムの概略構成の説明>
図1に示されるミスト噴霧システム1は、水を貯留するためのタンク2と、電動モータ3によって駆動される定流量型のポンプ4と、生体を収容するために船内に設けられた一区画5の天井近傍に配設される複数の噴霧ノズル6と、一区画5の近傍または内部に設置される第1の制御盤7と、船舶の操舵室8内に設置される第2の制御盤9とを備えている。
【0019】
タンク2の一方側面における上部に設けられた給水口2aは、水供給配管11を介して船内の飲料水供給ライン(水供給源)12と接続されている。タンク2の他方側面における下部に設けられた排水口2bは、水吸込配管13を介してポンプ4の吸込口4aと接続されている。ポンプ4の吐出口4bは、水送出配管14を介して複数の噴霧ノズル6と接続されている。水送出配管14とタンク2とは、戻り配管15によって接続され、戻り配管15には、安全弁としても機能する圧力調整弁16が介設されている。
【0020】
このミスト噴霧システム1においては、飲料水供給ライン12からの水が水供給配管11を介してタンク2内に供給されて貯留される。タンク2内に貯留された水は、電動モータ3によって駆動されるポンプ4の作動によって水吸込配管13を介してポンプ4に吸い込まれる。吸い込まれた水は、ポンプ4から水送出配管14を介して複数の噴霧ノズル6へと圧送され、それら噴霧ノズル6から水がミスト状に噴霧されて一区画5内に蒸散される。そして、蒸散された水のミストの潜熱で周囲の気温を降下させて一区画5の空間が冷却される。
【0021】
<レベルスイッチの説明>
タンク2には、電極式のレベルスイッチ20が取り付けられている。レベルスイッチ20は、タンク2内の水の液面高さを検知する液面高さ検知手段として機能するものであって、図示されない電極保持部等を具備してタンク2の天板上に固定される本体部20aと、本体部20aからタンク2内に垂設されるアース電極(図示省略)および長さの異なる複数の検知電極21,22,23,24とを備えて構成されている。このレベルスイッチ20においては、アース電極と複数の検知電極21〜24との間に交流電圧を印加して、アース電極と各検知電極21〜24との間が水を介して接触していない状態ではアース電極と各検知電極21〜24間に電流が流れず、アース電極と各検知電極21〜24との間が水を介して接触するとアース電極と各検知電極21〜24間に電流が流れ、この電流の流れる/流れない、に基づいてタンク2内の水の液面高さを検知することができるようになっている。
【0022】
このレベルスイッチ20は、複数の検知電極21〜24として、下限位置検知電極21、下方位置検知電極22、上方位置検知電極23および上限位置検知電極24を備えている。
【0023】
下限位置検知電極21は、タンク2内の水の液面高さが、予め定められた下限位置を下回ったか否かを検知するためのもので、その下端が下限位置に位置するようにその長さ寸法が設定されている。また、下方位置検知電極22は、タンク3内の水の液面高さが、先に述べた下限位置よりも相対的に所定高さ分だけ高い下方位置を下回ったか否かを検知するためのものであって、その下端が下方位置に位置するようにその長さ寸法が設定されている。また、上限位置検知電極24は、タンク2内の水の液面高さが、予め定められた上限位置に達したか否かを検知するためのもので、その下端が上限位置に位置するようにその長さ寸法が設定されている。また、上方位置検知電極23は、タンク2内の水の液面高さが、先に述べた上限位置よりも相対的に所定高さ分だけ低い上方位置に達したか否かを検知するためのものであって、その下端が上方位置に位置するようにその長さ寸法が設定されている。
【0024】
<開閉弁の説明>
水供給配管11の途中には、電磁弁25が介設されている。電磁弁25は、ソレノイドの磁力を用いてプランジャを動かすことで弁を開閉する構造のもので、水供給配管11の流路を開閉するための開閉弁として機能する。なお、電磁弁25は、通電(励磁)時に弁が開き、被通電(消磁)時に弁が閉じる。
【0025】
電磁弁25においては、単位時間(例えば1分間)あたりに当該電磁弁25を通過する水の流量が、単位時間(例えば1分間)あたりに複数の噴霧ノズル6から噴霧される水の噴霧流量よりも多く、かつ該噴霧流量に近い流量となるように、当該電磁弁25の最大Cv値が設定されている。ここで、Cv値とは、電磁弁25の容量を示す数値であり、弁の開度を一定にし、その前後差圧を1psiに保ち、60°Fの水が1分間に流れる量をUSガロンで表した値のことであり、下記の式で表される。
Cv=Q×√(G/Δp)
Q:流量(gal/min)
G:比重(水の場合=1)
Δp:差圧(lbf/in
2)
【0026】
<噴霧ノズルの説明>
図2に示されるように、噴霧ノズル6は、水送出配管14(
図1参照)の要所に設けられたノズル取付部26に螺着されるノズル本体30を備えている。ノズル本体30の基端側には、水送出配管14を介して圧送された水が導入される導入口31が形成されている。ノズル本体30の先端側には、噴射方向に向けて末広がり形状の噴射口32が形成されている。
【0027】
ノズル本体30において、導入口31と噴射口32との間には、導入口31から導入された水が噴射口32へと流れるように流路33が形成されている。また、ノズル本体30には、流路33の途中で噴射口32寄りに位置するように収容部34が形成され、収容部34と噴射口32との間には、オリフィス35が形成されている。
【0028】
収容部34には、流路33の上流側から下流側に向う方向に順に逆止弁36および駒37がそれぞれ配設されている。逆止弁36は、収容部34の上流側端部に形成された弁座38に当接自在なボール39と、ボール39を弁座38に押し付ける方向に付勢する圧縮コイルばね40とにより構成されている。駒37には、先端側に向って先細るようなテーパ面37aが形成され、該テーパ面37aには、螺旋状溝42が形成されている。収容部34の内周壁には、駒37のテーパ面37aに対応するようにテーパ面34aが形成され、圧縮コイルばね40の弾性反発力によって、駒37のテーパ面37aが収容部34のテーパ面34aに押し付けられている。なお、駒37と収容部34の下流側端部に形成された漏斗状部41との間には微小な隙間が設けられている。
【0029】
噴霧ノズル6においては、導入口31を通してノズル本体30の内部に圧送された水の圧力が所定圧力以上になると、圧縮コイルばね40の付勢力に抗してボール39が押進され、弁座38からボール39が離れて流路33が開かれる。これにより、ノズル本体30の内部に圧送された水は、ボール39と弁座38との間の隙間から収容部34の内部に入り、駒37の螺旋状溝42、漏斗状部41およびオリフィス35を通って噴射口32から噴出され、ミスト状に噴霧される。また、噴霧ノズル6においては、導入口31を通してノズル本体30の内部に圧送された水の圧力が所定圧力未満になると、圧縮コイルばね40の付勢力によってボール39が弁座38に押し付けられ、弁座38とボール39とが密着して流路33が閉じられるので、低圧力時の液垂れを防止することができる。
【0030】
<制御盤の説明>
図1に示されるように、第1の制御盤7は、電動モータ3、レベルスイッチ20および電磁弁25と電気的に接続されている。また、第2の制御盤9は、ミスト噴霧システム1を操舵室8から遠隔操作するためのものであって、第1の制御盤7と電気的に接続されている。第1の制御盤7と第2の制御盤9とは、基本的に同じ構造のものであるので、以下においては、第1の制御盤7を中心に説明することとする。
【0031】
第1の制御盤7は、CPU、RAM、ROM、インタフェース回路等を有するコンピュータを主体に、タイマー45や警報器46等が付加されて構成され、レベルスイッチ20等からの信号に基づき所定プログラムに従って所定の演算処理を行い、演算結果に基づく所定の制御信号を電動モータ3や電磁弁25等へと送信する。なお、第1の制御盤7が、本発明における「ポンプ制御手段」に相当し、第1の制御盤7に内蔵されたタイマー45が本発明における「計時手段」に相当する。
【0032】
<動作説明>
以上に述べたように構成されるミスト噴霧システム1において、第1の制御盤7のROMには、
図3のフローチャートに示されるアルゴリズムに従って作成された所定プログラムが格納されており、所定プログラムをCPUが読み込んで実行することにより、所定の動作が行われる。このミスト噴霧システム1の動作について、主として、
図3のフローチャートを用い、適宜に
図4のタイミングチャート参照しつつ以下に説明する。なお、
図3のフローチャートにおいて、記号「S」は、ステップを表す(
図5においても同様)。また、
図3のフローチャートにおいて、判断や処理の主体は第1の制御盤7である。
【0033】
<ステップS1>
まず、電磁弁25が通電状態であるか非通電状態であるかに基づいて、電磁弁25が開かれているか閉じられているかを判断する。電磁弁25が通電状態にあることで電磁弁25が開かれていると判断した場合(S1においてYes)、ステップS2へと進む。
【0034】
<ステップS2>
レベルスイッチ20におけるアース電極と上方位置検知電極23との間に電流が流れているか否かに基づいて、タンク2内の水の液面高さが上方位置に達したか否かを判断する。アース電極と上方位置検知電極23との間に電流が流れていないことでタンク2内の水の液面高さが上方位置に達していないと判断した場合(S2においてNo)、ステップS3へと進む。
【0035】
<ステップS3>
レベルスイッチ20におけるアース電極と下限位置検知電極21との間に電流が流れているか否かに基づいて、タンク2内の水の液面高さが下限位置を下回ったか否かを判断する。アース電極と下限位置検知電極21との間に電流が流れている状態から流れない状態に切り換わったことでタンク2内の水の液面高さが下限位置を下回ったと判断した場合(S3においてYes)、ステップS4へと進む。一方、アース電極と下限位置検知電極21との間に電流が流れている状態のままであることから下限位置を下回っていないと判断した場合(S3においてNo)、ステップS2に戻り、ステップS2〜ステップS3の判断・処理を繰り返し実行する。
【0036】
<ステップS4〜S7>
タイマー45を作動させて計時を開始し(
図4中時刻t
8)、下限位置を下回った状態の経過時間を計時する(S4)。タイマー45によって計時される経過時間が、所定時間(例えば5秒)に達すると(S5においてYes)、警報器46を作動させてタンク2内の水の液面高さが下限位置を下回ったことを伝える警報(下限アラーム)を発するとともに、電動モータ3への電力供給を遮断(ポンプ停止信号)する(S6〜S7,
図4中時刻t
9)。なお、タイマー45によって計時される経過時間が、所定時間(例えば5秒)に達する前までは(S5においてNo)、ステップS5からステップS3に戻り、ステップS3〜ステップS5の判断・処理を繰り返し実行する。
【0037】
一方、ステップS1において、電磁弁25が非通電状態にあることで電磁弁25が閉じられていると判断した場合(S1においてNo)、ステップS8へと進む。
【0038】
<ステップS8〜S10>
レベルスイッチ20におけるアース電極と下方位置検知電極22との間に電流が流れているか否かに基づいて、タンク2内の水の液面高さが下方位置を下回ったか否かを判断する(S8)。アース電極と下方位置検知電極22との間に電流が流れている状態から流れない状態に切り換わったことでタンク2内の水の液面高さが下方位置を下回ったと判断した場合(S8においてYes,
図4中時刻t
2)、電磁弁25を通電状態(電磁弁開信号)として電磁弁25を開き(S9)、その後、ステップS2へと進み、レベルスイッチ20におけるアース電極と上方位置検知電極23との間に電流が流れることでタンク2内の水の液面高さが上方位置に達したと判断した場合(S2においてYes)、電磁弁25を非通電状態(電磁弁閉信号)として電磁弁25を閉じ(S10,
図4中時刻t
3)、その後、ステップS8へと進む。ステップS8において、アース電極と下方位置検知電極23との間に電流が流れていることでタンク2内の水の液面高さ下方位置を下回っていないと判断した場合(S8においてNo)、ステップS11へと進む。
【0039】
<ステップS11>
ところで、ステップS10において、電磁弁閉信号により電磁弁25が閉じられていれば、タンク2内の水はポンプ4が作動している時間に比例して減少するはずであるが、万一、電磁弁25の故障により、閉じられているはずの電磁弁25が開かれている場合、タンク2に水が過剰に貯められてしまう恐れがある。そこで、ステップS11において、アース電極と上限位置検知電極24との間に電流が流れているか否かに基づいて、タンク2内の水の液面高さが上限位置に達したか否かを判断する。アース電極と上限位置検知電極24との間に電流が流れていない状態から流れた状態に切り換わったことでタンク2内の水の液面高さが上限位置に達したと判断した場合(S11においてYes)、ステップS12へと進む。一方、アース電極と上限位置検知電極24との間に電流が流れていない状態のままであることから上限位置に達していないと判断した場合(S11においてNo)、ステップS8に戻り、ステップS8とステップS11との判断・処理を繰り返し実行する。
【0040】
<ステップS12〜S14>
タイマー45を作動させて計時を開始し(
図4中時刻t
4)、上限位置に達した状態の経過時間を計時する(S12)。タイマー45によって計時される経過時間が、所定時間に達すると(S13においてYes)、警報器46を作動させてタンク2内の水の液面高さが上限位置に達したことを伝える警報(上限アラーム)を発する(S14,
図4中時刻t
5)。なお、タイマー45によって計時される経過時間が、所定時間に達する前までは、ステップS13からステップS11に戻り、ステップS11〜ステップS13の判断・処理を繰り返し実行する。
【0041】
<作用効果の説明>
図3のフローチャートに示されるように、本実施形態のミスト噴霧システム1においては、タンク2内の水の液面高さが予め定められた下限位置を下回ったときにタイマー45を作動させて計時を開始し、下限位置を下回った状態の経過時間を計時するようにされている(S4)。そして、タイマー45によって計時される経過時間が、所定時間(例えば5秒)に達するまではポンプ4の作動が継続される(S5においてNo)。一方、タイマー45によって計時される経過時間が、所定時間(例えば5秒)に達すると(S5においてYes)、電動モータ3への電力供給を遮断(ポンプ停止信号)してポンプ4の作動を停止させるようにされている(S7)。こうして、タンク2内の水の液面高さが予め定められた下限位置を下回るとポンプ4の作動を停止して水噴霧を停止させる機能を、一時的な液面高さの変化では働かせないようにすることができる。したがって、船舶が揺れた際にタンク2内の水の液面高さが外力の影響で変化することがあっても、安定的に水噴霧することができる。
【0042】
また、タイマー45によって計時される経過時間が、所定時間(例えば5秒)に達するまでは警報器46の作動が停止された状態のままとされる(S5においてNo,S13においてNo)。一方、タイマー45によって計時される経過時間が、所定時間(例えば5秒)に達すると(S5においてYes、S13においてYes)、警報器46を作動させてタンク2内の水の液面高さが下限位置を下回ったことを伝える警報(下限アラーム)、または上限位置に達したことを伝える警報(上限アラーム)を発するようにされている(S6,S14)。こうして、タンク2内の水の液面高さが予め定められた下限位置を下回る、または上限位置に達すると、警報(下限アラーム、上限アラーム)を発して注意喚起させる機能を、一時的な液面高さの変化では働かせないようにすることができる。したがって、船舶が揺れた際にタンク2内の水の液面高さが外力の影響で変化することがあっても、誤警報が出るのを防ぐことができる。
【0043】
また、タンク2内の水の液面高さが、下方位置を下回ると、電磁弁25を開いて飲料水供給ラインからの水を水供給配管11を介してタンク2へと供給し(S8,S9)、タンク2内の水の液面高さが、供給される水により増加して予め定められた上限位置よりも相対的に低い上方位置に達すると、電磁弁25を閉じるようにされている。(S2,S10)。こうして、タンク2内の水の液面高さの下限位置および上限位置のそれぞれに対して余裕を持たせた液面高さ変動域でタンク2内の水の液面高さを推移させることができ、タンク2内に水を過不足なく安定的に貯留することができる。
【0044】
ここで、単位時間あたりに電磁弁25を通過する水の流量と、単位時間あたりに複数の噴霧ノズル6から噴霧される液体の噴霧流量との差分が、タンク2内に貯留される水の単位時間あたりの増加量となるが、本実施形態のミスト噴霧システム1においては、単位時間あたりに電磁弁25を通過する水の流量が、単位時間あたりに複数の噴霧ノズル6から噴霧される水の噴霧流量よりも多く、かつ該噴霧流量に近い流量となるように、電磁弁25の最大Cv値が設定されているので、タンク2内に貯留される水の単位時間あたりの増加量が小さく抑えられる。これにより、タンク2内の水の液面高さが、下方位置を下回り、これに伴い電磁弁25が開かれてから、タンク2内の水の液面高さが、上方位置に達し、これに伴って電磁弁25が閉じられるまでの時間を可及的に長くすることができ、これによってミスト噴霧システム1の稼働中における電磁弁25の開閉回数を低減することができ、電磁弁25の長寿命化を図ることができる。
【0045】
ところで、ポンプ4から水を複数の噴霧ノズル6へと圧送する際のポンプ4の単位時間あたりの吐出流量が、単位時間あたりに複数噴霧ノズル6から噴霧される水の噴霧流量として予め求められている要求噴霧流量よりも多い場合、ポンプ4は余分に水を吐出することになり、ポンプ4が電動モータ3によって必要以上に駆動され、ポンプ4から戻り配管15を介してタンク2へと戻ってくる水の流量が増え、圧力調整弁16が必要以上に働くことになる。ポンプ4から戻り配管15を介してタンク2へと戻される余分な水は、戻ってくる際に、ポンプ4や電動モータ3、圧力調整弁16等で発生した摩擦熱等を吸収するため、タンク2へと還流される水の量が増えると、タンク2内の水の温度が上昇し、冷却性能が低くなることになる。
【0046】
そこで、上記のような冷却性能の低下を防ぐために、本実施形態のミスト噴霧システム1においては、ポンプ4から水を複数の噴霧ノズル6へと圧送する際のポンプ4の単位時間あたりの吐出流量が、単位時間あたりに複数の噴霧ノズル6から噴霧される水の噴霧流量として予め求められている要求噴霧流量と略同じとなるように、ポンプ4の単位時間あたりの吐出流量が設定される、あるいは要求噴霧流量と略同じ吐出流量のポンプが選定される。これにより、ポンプ4から戻り配管15を介してタンク2へと戻ってくる水の流量を減らすことができ、タンク2内の温度上昇を抑制することができる。
【0047】
以上、本発明のミスト噴霧システムについて、一実施形態に基づいて説明したが、本発明は上記実施形態に記載した構成に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲において適宜その構成を変更することができるものである。
【0048】
例えば、上記の実施形態においては、複数の検知電極21〜24として、下限位置検知電極21、下方位置検知電極22、上方位置検知電極23および上限位置検知電極24を備えた構成のレベルスイッチ20を用いた態様例を示したが、下方位置検知電極22および上方位置検知電極23を備えておらず、下限位置検知電極21および上限位置検知電極24のみを備えた構成のレベルスイッチを用いる態様例もある。この場合、第1の制御盤7のROMに格納される所定プログラムは、
図5のフローチャートに示されるアルゴリズムに基づくものとなり、ステップS2においては、アース電極と上限位置検知電極24との間に電流が流れているか否かに基づいて、タンク2内の水の液面高さが上限位置に達したか否かを判断し、ステップS8において、アース電極と下限位置検知電極21との間に電流が流れているか否かに基づいて、タンク2内の水の液面高さが下限位置を下回ったか否かを判断することになり、それ以外については、
図3のフローチャートに示される処理内容と同様の処理内容となる。
【0049】
図5のフローチャートに示される処理内容に従って所定の動作が行われるミスト噴霧システムにおいては、タンク2内の水の液面高さが下限位置を下回ると、電磁弁25を開いて飲料水供給ライン12からの水を水供給配管11を介してタンク2へと供給し(S8,S9)、タンク2内の水の液面高さが、供給される水により増加して上限位置に達すると、電磁弁25を閉じることになり(S2,S10)、タンク2内の水の液面高さが上限位置と下限位置との間で推移することになる。したがって、タンク2内の水の液面高さの下限位置および上限位置のそれぞれに対して余裕を持たせた液面高さ変動域でタンク2内の水の液面高さを推移させてタンク2内に水を過不足なく安定的に貯留することができるという作用効果は得られないが、それ以外については、
図3のフローチャートに示される処理内容に従って所定の動作が行われる上記実施形態のミスト噴霧システム1と基本的に同じ作用効果を得ることができる。
【0050】
また、上記の実施形態では、液面高さ検知手段として電極式のレベルスイッチ20を用いた例を示したが、液体(水)の量を連続値で出力する形式の液面計を採用してもよい。かかる形式の液面計としては、例えば、液面に浮く「浮き」の原理を利用したフロート式のものや、超音波の反射の原理を利用した超音波式、液体が持つ誘電率の原理を利用した静電容量式、液体の圧力(水圧)の原理を利用した圧力式のものが挙げられる。
【課題】液面高さが予め定められた下限位置を下回ると液体噴霧を停止させる機能を一時的な液面高さの変化では働かせないようにすることができ、これによって液面高さが外力の影響で変化することがあっても安定的に液体噴霧することができるミスト噴霧システムを提供する。
【解決手段】タンク2内の水をポンプ4の作動によって噴霧ノズル6へと圧送してミスト状にして噴霧するようにしたミスト噴霧システム1において、タンク2内の水の液面高さを検知するレベルスイッチ20と、レベルスイッチ20によって検知される液面高さが下限位置を下回った状態の経過時間を計時するタイマー45と、ポンプ4の作動を制御する第1の制御盤7とを備え、第1の制御盤7は、タイマー45によって計時される前記経過時間が、所定時間に達するまではポンプ4の作動を継続し、所定時間に達すると、ポンプ4の作動を停止させるものとする。