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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6493854
(24)【登録日】2019年3月15日
(45)【発行日】2019年4月3日
(54)【発明の名称】冷蔵庫
(51)【国際特許分類】
   F25D 23/02 20060101AFI20190325BHJP
【FI】
   F25D23/02 303J
【請求項の数】3
【全頁数】24
(21)【出願番号】特願2015-17364(P2015-17364)
(22)【出願日】2015年1月30日
(65)【公開番号】特開2016-142438(P2016-142438A)
(43)【公開日】2016年8月8日
【審査請求日】2017年11月7日
(73)【特許権者】
【識別番号】307036856
【氏名又は名称】アクア株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100087701
【弁理士】
【氏名又は名称】稲岡 耕作
(74)【代理人】
【識別番号】100101328
【弁理士】
【氏名又は名称】川崎 実夫
(74)【代理人】
【識別番号】100183450
【弁理士】
【氏名又は名称】田村 太知
(72)【発明者】
【氏名】岡部 裕一
【審査官】 石黒 雄一
(56)【参考文献】
【文献】 特開2007−093130(JP,A)
【文献】 特開平05−126465(JP,A)
【文献】 特開2006−177639(JP,A)
【文献】 特開平11−009370(JP,A)
【文献】 特開平05−346286(JP,A)
【文献】 特開平10−132455(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F25D 23/02
A47B 88/00−88/994
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
冷却保存される物品を収納する収納室が形成され、所定方向に奥行きを有する本体と、
前記本体において前記所定方向における一方側の側面部に位置して前記収納室を前記一方側から閉じる閉位置と、前記閉位置から前記一方側へ引き出されて前記収納室を開く開位置との間で前記所定方向に移動可能な扉と、
前記扉に対して前記一方側とは反対側に配置され、前記扉とともに前記所定方向に移動する移動部材と、
前記収納室において前記所定方向に対する直交方向から前記移動部材に対向する内側面部に設けられ、前記所定方向における前記移動部材の移動をガイドするガイド部材とを含み、
前記扉が前記開位置にあるときの前記直交方向における前記ガイド部材と前記移動部材との隙間は、前記扉が前記閉位置にあるときの前記直交方向における前記ガイド部材と前記移動部材との隙間よりも狭く、
前記移動部材は、前記直交方向に延びる軸まわりに回転する扉側ローラを含み、
前記ガイド部材は、前記所定方向に延びて前記扉側ローラを収納する本体側ガイド溝を含み、
前記扉が前記開位置にあるときの前記直交方向における前記本体側ガイド溝の溝底と前記扉側ローラとの隙間は、前記扉が前記閉位置にあるときの前記直交方向における前記溝底と前記扉側ローラとの隙間よりも狭く、
前記扉が前記開位置にあるときの前記溝底において前記直交方向から前記扉側ローラに対向する部分と、前記溝底において当該部分に前記所定方向から連続する部分とは、前記所定方向に沿って平坦であることを特徴とする冷蔵庫。
【請求項2】
前記ガイド部材は、前記直交方向に延びる軸まわりに回転する本体側ローラを含み、
前記移動部材は、前記所定方向に延びて前記本体側ローラの外周面に接触するレール部と、前記所定方向に延びて前記直交方向から前記本体側ローラに対向するフランジ部とを含み、
前記扉が前記開位置にあるときの前記直交方向における前記フランジ部と前記本体側ローラとの隙間は、前記扉が前記閉位置にあるときの前記直交方向における前記フランジ部と前記本体側ローラとの隙間よりも狭く、
前記扉が前記開位置にあるときの前記フランジ部において前記直交方向から前記本体側ローラに対向する部分と、前記フランジ部において当該部分に前記所定方向から連続する部分とは、前記所定方向に沿って平坦であることを特徴とする請求項1記載の冷蔵庫。
【請求項3】
前記扉は、前記扉における前記一方側の表面部を構成する第1扉部材と、前記第1扉部材に対して前記反対側から取り付けられる第2扉部材と、前記第1扉部材と前記第2扉部材との間に配置される断熱部材とを含み、
前記移動部材は、前記第1扉部材に固定されることを特徴とする請求項1または2記載の冷蔵庫。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、冷蔵庫に関する。
【背景技術】
【0002】
下記特許文献1に開示された冷蔵庫は、本体としての断熱箱体を備え、断熱箱体の内部には、食品などを貯蔵する貯蔵室が形成される。貯蔵室の内部は、冷蔵室や冷凍室や野菜室などの複数の収納室に区分される。断熱箱体の前面には、各収納室に対応した開口部が設けられ、各開口部には、断熱扉が開閉自在に設けられる。冷蔵室の断熱扉が回動自在であるのに対し、冷凍室や野菜室の断熱扉は、食品などを収納する収納容器を伴って、冷蔵庫の前方に引出自在である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2013−204891号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の冷蔵庫では、冷凍室や野菜室の断熱扉が引き出されたときに、この断熱扉のがたつきを低減できると好ましい。
【0005】
この発明は、かかる背景のもとでなされたもので、引き出されたときの扉のがたつきを低減できる冷蔵庫を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、冷却保存される物品を収納する収納室が形成され、所定方向に奥行きを有する本体と、前記本体において前記所定方向における一方側の側面部に位置して前記収納室を前記一方側から閉じる閉位置と、前記閉位置から前記一方側へ引き出されて前記収納室を開く開位置との間で前記所定方向に移動可能な扉と、前記扉に対して前記一方側とは反対側に配置され、前記扉とともに前記所定方向に移動する移動部材と、前記収納室において前記所定方向に対する直交方向から前記移動部材に対向する内側面部に設けられ、前記所定方向における前記移動部材の移動をガイドするガイド部材とを含み、前記扉が前記開位置にあるときの前記直交方向における前記ガイド部材と前記移動部材との隙間は、前記扉が前記閉位置にあるときの前記直交方向における前記ガイド部材と前記移動部材との隙間よりも狭いことを特徴とする冷蔵庫である。
【0007】
また、本発明は、前記移動部材は、前記直交方向に延びる軸まわりに回転する扉側ローラを含み、前記ガイド部材は、前記所定方向に延びて前記扉側ローラを収納する本体側ガイド溝を含み、前記扉が前記開位置にあるときの前記直交方向における前記本体側ガイド溝の溝底と前記扉側ローラとの隙間は、前記扉が前記閉位置にあるときの前記直交方向における前記溝底と前記扉側ローラとの隙間よりも狭いことを特徴とする。
【0008】
また、本発明は、前記ガイド部材は、前記直交方向に延びる軸まわりに回転する本体側ローラを含み、前記移動部材は、前記所定方向に延びて前記本体側ローラの外周面に接触するレール部と、前記所定方向に延びて前記直交方向から前記本体側ローラに対向するフランジ部とを含み、前記扉が前記開位置にあるときの前記直交方向における前記フランジ部と前記本体側ローラとの隙間は、前記扉が前記閉位置にあるときの前記直交方向における前記フランジ部と前記本体側ローラとの隙間よりも狭いことを特徴とする。
【0009】
また、本発明は、前記扉は、前記扉における前記一方側の表面部を構成する第1扉部材と、前記第1扉部材に対して前記反対側から取り付けられる第2扉部材と、前記第1扉部材と前記第2扉部材との間に配置される断熱部材とを含み、前記移動部材は、前記第1扉部材に固定されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、所定方向に奥行きを有する本体の収納室を開閉する扉は、本体において所定方向における一方側の側面部に位置して収納室を一方側から閉じる閉位置と、閉位置から一方側へ引き出されて収納室を開く開位置との間で所定方向に移動可能である。扉に対して一方側とは反対側に配置された移動部材は、扉とともに所定方向に移動する。収納室において所定方向に対する直交方向から移動部材に対向する内側面部には、所定方向における移動部材の移動をガイドするガイド部材が設けられる。
扉が開位置にあるときの直交方向におけるガイド部材と移動部材との隙間は、扉が閉位置にあるときの直交方向におけるガイド部材と移動部材との隙間よりも狭い。そのため、扉が開位置まで引き出されたときには、直交方向における移動部材の遊びを小さく抑えることができるので、直交方向における扉のがたつきを低減できる。
【0011】
また、本発明によれば、移動部材が扉側ローラを含み、ガイド部材が本体側ガイド溝を含む構成では、所定方向における扉側ローラの移動が、扉側ローラを収納する本体側ガイド溝によってガイドされる。そして、扉が開位置にあるときの直交方向における本体側ガイド溝の溝底と扉側ローラとの隙間は、扉が閉位置にあるときの直交方向における溝底と扉側ローラとの隙間よりも狭い。そのため、扉が開位置まで引き出されたときには、直交方向における扉側ローラの遊びを小さく抑えることができるので、直交方向における扉のがたつきを低減できる。
【0012】
また、本発明によれば、ガイド部材が本体側ローラを含み、移動部材がレール部とフランジ部とを含む構成では、所定方向におけるレール部およびフランジ部の移動が、レール部に接触するとともに直交方向からフランジ部に対向する本体側ローラによってガイドされる。そして、扉が開位置にあるときの直交方向におけるフランジ部と本体側ローラとの隙間は、扉が閉位置にあるときの直交方向におけるフランジ部と本体側ローラとの隙間よりも狭い。そのため、扉が開位置まで引き出されたときには、扉側のフランジ部の直交方向における遊びを小さく抑えることができるので、直交方向における扉のがたつきを低減できる。
【0013】
また、本発明によれば、扉は、扉における一方側の表面部を構成する第1扉部材と、第1扉部材に対して一方側とは反対側から取り付けられる第2扉部材とを含み、移動部材は、第1扉部材に対して固定される。
これに反して移動部材が第2扉部材に固定される場合には、第1扉部材と第2扉部材との間に断熱部材を配置して扉を組み立てる際に、第1扉部材と第2扉部材との相対位置がずれると、本体側のガイド部材に位置決めされる移動部材と第1扉部材との相対位置もずれてしまう。すると、閉位置のときの扉において目立つ位置に配置される第1扉部材が、本体における本来の適正位置からずれて配置されるので、たとえば、閉位置における扉の見栄えが悪くなる。
しかし、本発明のように移動部材が第1扉部材に固定される場合には、扉を組み立てたときに移動部材と第1扉部材との相対位置がずれないので、組立後の扉が閉位置にあるときにおいて、第1扉部材は、本体における本来の適正位置に配置される。よって、扉の見栄えが悪くなることを防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1図1は、この発明の一実施形態に係る冷蔵庫の正面図である。
図2図2は、扉を省略した状態における冷蔵庫の本体を前方から見た斜視図である。
図3図3は、冷蔵庫を後方から見た斜視図である。
図4図4は、冷蔵庫の模式的な縦断面右側面図である。
図5図5は、冷蔵庫の写実的な縦断面右側面図である。
図6図6は、冷蔵庫の電気的構成を示すブロック図である。
図7図7は、扉を含む引出しユニットの斜視図である。
図8図8は、引出しユニットの分解斜視図である。
図9図9は、引出しユニットの縦断面左側面図である。
図10図10は、庫内スイッチの一部として引出しユニットに取り付けられる被検知部の組み立て手順を示す斜視図である。
図11図11は、冷蔵庫の本体における仕切部材の右側面図である。
図12図12は、図11のXII−XII矢視断面図である。
図13図13は、扉が閉位置にある状態での変温室における冷蔵庫の平断面図である。
図14図14は、図13のXIV−XIV矢視断面図である。
図15図15は、扉が開位置にある状態での変温室における冷蔵庫の平断面図である。
図16図16は、図15のXVI−XVI矢視断面図である。
図17図17は、引出しユニットの後部の斜視図である。
図18図18は、引出しユニットの平面図である。
図19図19は、扉が閉位置にある状態での変温室における冷蔵庫の平断面図である。
図20図20は、図19のXX−XX矢視断面図である。
図21図21は、扉が開位置にある状態での変温室における冷蔵庫の平断面図である。
図22図22は、図21のXXII−XXII矢視断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下には、図面を参照して、この発明の実施形態について具体的に説明する。
図1は、この発明の一実施形態に係る冷蔵庫1の正面図である。
【0016】
まず、図1における左右方向X、前後方向Yおよび上下方向Zを基準として冷蔵庫1の概要について説明する。左右方向Xのうち、左方を左方X1と称し、右方を右方X2と称する。前後方向Yは、図1の紙面に直交する所定方向であり、前後方向Yのうち、紙面手前側の前方を前方Y1と称し、紙面奥側の後方を後方Y2と称する。上下方向Zのうち、上方を上方Z1と称し、下方を下方Z2と称する。前方Y1は、前述した所定方向における一方側であり、後方Y2は、この一方側とは反対側である。左右方向Xは、前述した所定方向に対する直交方向である。左右方向Xおよび前後方向Yは、上下方向Zに対して交差する交差方向であり、水平方向Hに含まれる。
【0017】
冷蔵庫1は、本体2と扉3とを含む。図2は、扉3を省略した状態における本体2を前方Y1から見た斜視図である。図2を参照して、本体2は、上下方向Zに長手のボックス状に形成され、前後方向Yに奥行きを有する。本体2内には、冷却保存される食品などの物品を収納する直方体状の収納室4が複数形成される。これらの収納室4は、本体2の内部空間の略上半分を占める冷蔵室4Aと、冷蔵室4Aの下方Z2で左右方向Xに並ぶ製氷室4Bおよび変温室4Cと、製氷室4Bおよび変温室4Cの下方Z2に位置する第1冷凍室4Dと、第1冷凍室4Dの下方Z2に位置する第2冷凍室4Eとに区別される。
【0018】
冷蔵室4Aには、冷蔵保存される物品が収納される。冷蔵室4A内には、水平方向Hに沿う板状に形成された棚5が配置される。棚5は、たとえば3つ存在し、上下方向Zに間隔を隔てて配置される。これらの棚5によって、冷蔵室4Aは、上下方向Zに並ぶ複数の領域に仕切られる。たとえば上方Z1から2番目の棚5は、前方Y1に配置される前棚5Aと、後方Y2に配置される後棚5Bとに分割される。前棚5Aは、左右方向Xに長手の長方形状のガラス板によって構成され、その前後の2辺だけは樹脂などで被覆されるが、残りの左右の2辺ではガラスの地肌を露出させることによって、見栄えの向上が図られる。一方、後棚5Bは、4辺の全てが樹脂などで被覆された左右方向Xに長手の長方形状のガラス板である。前棚5Aを折り畳んで後方Y2へ移動させることによって、前棚5Aを後棚5Bの下方Y2に収納することができる。冷蔵室4Aの下部において最下位の棚5よりも下方Z2には、野菜などが収納されるボックス状の野菜収納庫6が設けられる。
【0019】
製氷室4Bは、変温室4Cよりも左方X1に配置される。製氷室4B内では、氷が作られたり、保存されたりする。氷用の水を製氷室4Bに供給する給水タンク7が、たとえば、野菜収納庫6における左方X1の下端部に配置される。変温室4Cは、その室温を任意に変更することによって、冷蔵室や冷凍室のバックアップとして用いることができる。また、変温室4Cでは、冷蔵温度と冷凍温度との間の任意の温度で物品を冷却保存できる。第1冷凍室4Dおよび第2冷凍室4Eには、冷凍保存される物品が収納される。
【0020】
本体2における前方Y1の側面部2Aには、収納室4と同数の開口部8が形成される。各開口部8は、対応する収納室4に前方Y1から連通し、対応する収納室4を側面部2Aから前方Y1へ露出させる。
【0021】
扉3は、側面部2Aにおいて、収納室4毎に設けられる。冷蔵室4A用の扉3は、観音開きできるように左右に一対設けられ、製氷室4B、変温室4C、第1冷凍室4Dおよび第2冷凍室4Eについては、扉3が1つずつ設けられ、いずれの扉3も前方Y1へ引き出し可能である(図1参照)。これらの扉3は、対応する収納室4を前方Y1から開閉する。
【0022】
冷蔵庫1を後方Y2から見た図3を参照して、本体2における後方Y2の外側面部2Bは、上下方向Zに延びる。外側面部2Bの上端部において左右方向Xにおける略中央の領域には、基板ボックス10が設けられる。基板ボックス10は、左右方向Xに長手で前後方向Yに扁平なボックス状に形成される。基板ボックス10には、本体2内の電気部品(後述する)に対して電気的に接続される制御部11が収納される。制御部11は、CPUやROMやRAMなどが実装された基板である。
【0023】
図4および図5は、いずれも冷蔵庫1のA−A矢視断面の右側面図であるが、図4は、模式的な図であり、図5は、写実的な図である。図4を参照して、本体2は、その外殻を構成する外箱12と、外箱12内に収納される複数の内箱13と、外箱12と内箱13との間に配置される断熱部材14とを含む。
【0024】
外箱12は、金属製であり、上下方向Zに長手のボックス状に形成され、その前面の全域は、外箱12の内部空間を前方Y1に露出させる開口部12Aである。
【0025】
内箱13は、樹脂製のボックス状に形成され、その前面の全域は、内箱13の内部空間を前方Y1に露出させる開口部13Aである。内箱13は、全部で2つ存在し、これらの内箱13は、外箱12の内部空間の略上半分に位置する冷蔵内箱15と、外箱12の内部空間の略下半分に位置する冷凍内箱16とに区別される。冷蔵内箱15内には、冷蔵室4Aが形成される。冷蔵内箱15の開口部13Aは、冷蔵室4Aの開口部8である。冷凍内箱16には、製氷室4B、変温室4C、第1冷凍室4Dおよび第2冷凍室4Eが形成される。冷凍内箱16の開口部13Aは、製氷室4B、変温室4C、第1冷凍室4Dおよび第2冷凍室4Eのそれぞれの開口部8に区切られる。
【0026】
冷凍内箱16内には、上下方向Zに薄く水平方向Hに沿う板状の仕切部材17と、左右方向Xに薄く前後上下に延びる板状の仕切部材18とが設けられる。仕切部材17および18のそれぞれの外殻の大部分は、樹脂製である。仕切部材17は、冷凍内箱16の左右方向Xにおける両側壁の間に架設された状態で、製氷室4Bおよび変温室4Cと第1冷凍室4Dとの間に配置される。これにより、仕切部材17は、上下方向Zに隣り合う製氷室4Bと第1冷凍室4Dとの間を仕切り、かつ、上下方向Zに隣り合う変温室4Cと第1冷凍室4Dとの間を仕切る(図2参照)。仕切部材18は、仕切部材17の左右方向Xにおける略中央部と冷凍内箱16の上壁16Aとの間に架設された状態で、製氷室4Bと変温室4Cとの間に配置される。これにより、仕切部材18は、左右方向Xに隣り合う製氷室4Bと変温室4Cとの間を仕切る(図2参照)。また、冷凍内箱16内には、第1冷凍室4Dと第2冷凍室4Eとの間を仕切る仕切部材19が設けられてもよい。ただし、第1冷凍室4Dと第2冷凍室4Eとの間は仕切部材19によって完全に遮断された訳ではなく、第1冷凍室4Dと第2冷凍室4Eとは互いに連通した状態にある。
【0027】
冷蔵内箱15および冷凍内箱16は、外箱12内で上下方向Zに隣り合って配置される。冷蔵内箱15の下壁15Aは、冷凍内箱16の上壁16Aに対して隙間を隔てて上方Z1に配置される。下壁15Aおよび上壁16Aの互いの前端部の間には、左右方向Xに延びる板状の連結部20が架設される。これにより、冷蔵内箱15と冷凍内箱16とは、互いに連結された状態にある。
【0028】
断熱部材14は、たとえばウレタンで構成される。本体2の製造の際、発泡性ウレタンが、外箱12と内箱13との隙間や、冷蔵内箱15と冷凍内箱16との隙間に注入された後に発泡し、これらの隙間に充填されて断熱部材14となる。断熱部材14により、外箱12と内箱13との間が断熱され、冷蔵内箱15と冷凍内箱16との間が断熱される。また、断熱部材14は、仕切部材17および18のそれぞれが本体2に組み込まれる前の部品の状態のときに、それぞれの内部空間に予め配置される。これにより、製氷室4Bおよび変温室4Cのそれぞれと第1冷凍室4Dとの間が仕切部材17によって断熱され、製氷室4Bと変温室4Cとの間が仕切部材18によって断熱される。なお、仕切部材17および18のそれぞれにおける断熱部材14として、発泡性ウレタンではなく、発泡スチロールの成形品を用いることができる。また、断熱部材14の断面を示すハッチング(図5参照)は、説明の便宜上、図4では省略される。
【0029】
冷蔵庫1は、イソブタンなどの冷媒を用いた蒸気圧縮式の冷凍回路によって、各収納室4内の物品を冷却するための冷気を発生させる。冷蔵庫1は、この冷凍回路を構成する圧縮器25、流路26、冷却器27、凝縮器29および乾燥器30などを含む。
【0030】
圧縮器25には、冷媒を圧縮する部品として公知のものが用いられる。圧縮器25は、本体2の後方Y2の下端部に配置される。流路26は、たとえば金属製のパイプによって構成され、圧縮器25から冷媒を取り出した後に再び圧縮器25に戻す循環流路である。流路26は、図4において点線で示すように本体2および仕切部材17を巡るように配置される。具体的に、流路26は、本体2の断熱部材14の全域や仕切部材17にわたって張り巡らされる。流路26内における冷媒の流れる方向は、点線矢印で示される。
【0031】
冷却器27は、エバポレータとも呼ばれ、冷却器27には、冷媒を蒸発させる部品として公知のものが用いられる。冷却器27は、冷蔵内箱15と冷凍内箱16とで1つずつ設けられる。冷蔵内箱15の冷却器27を、以下では第1冷却器27Aと呼び、冷凍内箱16の冷却器27を、以下では第2冷却器27Bと呼ぶことにする。第1冷却器27Aおよび第2冷却器27Bは、流路26の途中に設けられる。第1冷却器27Aは、たとえばボックス状の第1冷却室31に収容され、第2冷却器27Bは、たとえばボックス状の第2冷却室32に収容される。第1冷却室31は、冷蔵内箱15内に配置される。第1冷却室31には、出口31Aおよび入口31Bが形成され、出口31Aには、回転駆動されるファン33が設けられる。第2冷却室32は、冷凍内箱16内に配置される。第2冷却室32には、出口32Aおよび入口32Bが形成され、出口32Aには、回転駆動されるファン34が設けられる。
【0032】
凝縮器29は、冷媒を凝縮する部品であって、流路26において圧縮器25と冷却器27と間に設けられる。乾燥器30は、冷媒を乾燥させる部品であって、流路26において凝縮器29と冷却器27との間に設けられる。乾燥器30と冷却器27との間における流路26の一部は、キャピラリチューブとして構成される。
【0033】
冷媒は、圧縮器25によって圧縮されることで、高温高圧のガス冷媒に変化し、その後、凝縮器29を通過する際に放熱しながら液化する。液化した冷媒は、乾燥器30を通過してからキャピラリチューブを通過する際に減圧され、その後、第1冷却器27Aや第2冷却器27Bにおいて蒸発する。ちなみに、流路26には、第1冷却器27Aを経由せずに第2冷却器27Bにショートカットさせる分岐路26Aが設けられる。そのため、キャピラリチューブで減圧された冷媒の一部は、点線矢印A1で示すように、分岐路26Aを通って第2冷却器27Bに直接向かう。
【0034】
第1冷却器27Aにおいて冷媒が蒸発する際に、第1冷却室31内における第1冷却器27Aの周囲の空気が冷却されて冷気となる。第1冷却室31内の冷気は、回転するファン33によって出口31Aから第1冷却室31の外に押し出され、実線矢印で示すように、冷蔵内箱15の冷蔵室4A内を流れた後に入口31Bから第1冷却室31内に戻り、第1冷却器27Aによって再び冷却される。冷気は、ファン33の回転中は常に冷蔵室4Aと第1冷却室31との間で循環し、冷蔵室4A内の物品を冷却する。
【0035】
第2冷却器27Bにおいて冷媒が蒸発する際に、第2冷却室32内における第2冷却器27Bの周囲の空気が冷却されて冷気となる。第2冷却室32内の冷気は、回転するファン34によって出口32Aから第2冷却室32の外に押し出され、1点鎖線の矢印で示すように、冷凍内箱16の第1冷凍室4D内および第2冷凍室4E内を流れた後に入口32Bから第2冷却室32内に戻り、第2冷却器27Bによって再び冷却される。冷気は、ファン34の回転中は常に第1冷凍室4Dおよび第2冷凍室4Eと第2冷却室32との間で循環し、第1冷凍室4Dおよび第2冷凍室4E内の物品を冷却する。冷凍内箱16内における冷気の流量は、冷蔵内箱15内における冷気の流量よりも多くなるように設定されるので、冷凍内箱16内の物品は冷凍保存される。
【0036】
製氷室4B(図2参照)と第1冷凍室4Dとは常に連通した状態にあるので、第1冷凍室4D内の冷気は、ファン34の回転中は常に製氷室4B内にも流れ込む。これにより、製氷室4Bにおける氷の生成や保存が実現される。
【0037】
一方、変温室4Cと第1冷凍室4Dとは、仕切部材17の後端部を上下方向Zに貫通した貫通穴17Aを介して連通した状態にあるが、貫通穴17Aは、ダンパと呼ばれる回動可能な板状の開閉部材35によって開閉される。そのため、実線で示すように開閉部材35が水平方向Hに沿った姿勢で貫通穴17Aを閉じた状態では、変温室4Cと第1冷凍室4Dとの間が遮断されるので、第1冷凍室4D内の冷気が変温室4C内に流れ込むことはない。一方、点線で示すように開閉部材35が上方Z1へ回動して貫通穴17Aを開いた状態では、変温室4Cと第1冷凍室4Dとの間が連通するので、第1冷凍室4D内の冷気は、2点鎖線の矢印で示すように、貫通穴17Aを通過して変温室4C内に流れ込み、変温室4C内の物品を冷却する。開閉部材35の開閉時間を変化させて貫通穴17Aの開き具合を調整すると、貫通穴17Aから変温室4Cへ向かう冷気の流量が調整される。これにより、変温室4Cの室温を任意に設定できる。
【0038】
以上のように第1冷却器27Aや第2冷却器27Bにおいて蒸発した冷媒は、流路26を引き続き流れて圧縮器25に戻り、圧縮器25によって再び圧縮される。つまり、冷媒は、流路26内を流れることによって圧縮器25と冷却器27との間で循環しながら、圧縮、放熱、減圧および蒸発を繰り返す。
【0039】
第2冷却室32の第2冷却器27Bは、冷凍用の冷気を生成することから、第2冷凍器28の表面には霜が発生し得る。そこで、第2冷却室32には、除霜ヒータ36が設けられる。除霜ヒータ36が通電されて発熱することによって、第2冷却器27Bの表面の霜が溶けて水となって流れ落ちる。たとえば、本体2の下端部には、上方Z1へ開放された蒸発皿37が設けられる。第2冷却器27Bの表面から流れ落ちた水は、第2冷却室32から下方Z2へ延びて蒸発皿37につながった水路38(図5参照)を通って、蒸発皿37に溜まる。蒸発皿37に溜まった水は、圧縮器25によって高温となった冷媒や流路26の熱によって蒸発する。なお、除霜ヒータ36と同様の機能を有する除霜ヒータ(図示せず)が第1冷却室31にも設けられる。
【0040】
冷蔵庫1の電気的構成を示すブロック図である図6を参照して、冷蔵庫1は、前述した電気部品として、前述した圧縮器25および除霜ヒータ36の他に、ファン駆動モータ41と、ダンパ切換モータ42と、温度センサ43とを含む。ファン駆動モータ41は、ファン33および34のそれぞれに設けられ、対応するファンを回転駆動させる。ダンパ切換モータ42は、開閉部材35を開閉させる。温度センサ43は、各収納室4に設けられ、対応する収納室4の室温を検知する。制御部11は、これらの電気部品に電気的に接続され、圧縮器25、除霜ヒータ36、ファン駆動モータ41およびダンパ切換モータ42の動作を制御したり、温度センサ43の検知結果の入力を受け付けたりする。
【0041】
以上が冷蔵庫1の概要であり、以下では、製氷室4B、変温室4C、第1冷凍室4Dおよび第2冷凍室4Eに設けられる引き出し式の扉3に関する構成について詳しく説明する。なお、以下では、引き出し式の扉3に関する構成の説明に関し、一例として変温室4Cに着目するが、この構成は、製氷室4B、第1冷凍室4Dおよび第2冷凍室4Eのいずれにも適用可能である。
【0042】
引き出し式の扉3は、本体2の前方Y1の側面部2Aに位置して変温室4Cを前方Y1から閉じる閉位置(図4参照)と、閉位置から前方Y1へ引き出されて変温室4Cを前方Y1へ開く開位置(後述する図15参照)との間で前後方向Yに移動可能である。
【0043】
図7を参照して、扉3自体は、前後方向Yに薄く上下左右に延びる板状である。扉3には、その後方Y2に配置されて、扉3とともに前後方向Yに移動する移動部材51が連結される。扉3が移動する際、移動部材51は、本体2側のガイド部材75および85(後述する図13参照)にガイドされる。扉3および移動部材51は、一体となって、引出しユニット52を構成する。なお、引出しユニット52は、移動部材51に対して上方Z1から取り付けられるボックス状の収納容器100(図5参照)も含む。扉3が開位置にあるとき、収納容器100は、変温室4Cの開口部8から前方Y1に引き出された状態にあり、収納容器100の上側面部の出入口(図示せず)を介して、物品が、上方Z1から収納容器100内に出し入れされる。
【0044】
引出しユニット52の分解斜視図である図8を参照して、扉3は、その本体部分として扉3における前方Y1の表面部を構成する第1扉部材53と、第1扉部材53に対して後方Y2から取り付けられる第2扉部材54と、連結部材55と、飾り板63とを含む。
【0045】
第1扉部材53は、樹脂製であり、前後方向Yに扁平なボックス状に形成される。第1扉部材53における後側面部の全域は、第1扉部材53の内部空間を後方Y2へ露出させる開口部53Aである(後述する図9参照)。第1扉部材53の前側面部の上部において左右方向Xにおける全域には、第1扉部材53の上端部を前後方向Yにおいて一段薄くする段部53Bが設けられる。段部53Bには、下方Z2へ窪みつつ左右方向Xに延びる溝53Cが形成される。溝53Cに指先をかけて前方Y1へ引くことによって、開位置の扉3を前方Y1へ引き出すことができる。
【0046】
第1扉部材53の前側面部において段部53Bよりも下方Z2の領域における略中央部には、後方Y2へ凹む凹部53Dが設けられる。凹部53Dの底53Eは、前後方向Yに薄く上下左右に平坦な板状であり、開口部53Aから後方Y2へ露出される(図9参照)。底53Eにおける左右両側の領域のそれぞれには、底53Eを前後方向Yに貫通する貫通穴53Gと、前方Y1へ突出する位置決め突起53Hとが形成される。
【0047】
第2扉部材54は、樹脂製であり、後方Y2から見て第1扉部材53の開口部53Aとほぼ一致する形状を有し、前後方向Yに薄い板状に形成される。第2扉部材54において
前後方向Yから見て第1扉部材53の貫通穴53Gと重なる位置には、第2扉部材54を前後方向Yに貫通する貫通穴54Aが1つずつ形成される。
【0048】
連結部材55は、金属製の略矩形の板状に形成される。連結部材55には、ねじ穴55Aと位置決め穴55Bとが形成される。飾り板63は、たとえばガラス製であり、第1扉部材53の前側面部において段部53Bよりも下方Z2の領域を前方Y1から覆う略矩形の板状に形成される。この実施形態では、飾り板63は、第1扉部材53の一部とみなされ、第1扉部材53とともに、扉3における前方Y1の表面部を構成する。
【0049】
移動部材51は、前後方向Yに平行に延びる一対のレール部材56と、左右方向Xに延びて一対のレール部材56の後端部間に架設される架設部材57と、それぞれのレール部材56に1つずつ設けられる扉側ローラ58とを含む。前述した収納容器100(図5参照)は、一対のレール部材56の間に配置され、これらのレール部材56に上方Z1から係合することによって、移動部材51に取り付けられる。
【0050】
レール部材56は、金属製である。それぞれのレール部材56は、左右方向Xに薄く前後方向Yに細長い本体部56Aと、本体部56Aの前端部から相手のレール部材56へ向けて略直角に折り曲げられた連結部56Bとを含む。前後方向Yにおける本体部56Aの長さは、前後方向Yにおける変温室4Cの奥行きとほぼ同じである。
【0051】
本体部56Aの下端部には、左右方向Xにおける外側へ張り出したレール部56Cが一体的に設けられる。レール部56Cは、上下方向Zに薄く前後方向Yに細長い帯状となって、水平方向Hにほぼ平坦となるように前後方向Yに延びる。レール部56Cは、前後方向Yにおいて本体部56Aよりも少し短い。本体部56Aにおけるレール部56Cの後方Y2には、上方Z1へ円弧状に湾曲した湾曲部56Dが一体的に設けられる。レール部56Cにおいて左右方向Xにおける外側端部には、前後方向Yにおける全域にわたって下方Z2へ略直角に折り曲げられたフランジ部56Eが一体的に設けられる。フランジ部56Eは、左右方向Xに薄い帯状となって、前後方向Yに細長く延びる。
【0052】
連結部56Bは、連結部材55とほぼ同じ大きさを有し、前後方向Yに薄い板状に形成される。連結部56Bには、連結部56Bを前後方向Yに貫通する貫通穴56Fが、連結部材55のねじ穴55Aと少なくとも同数形成される。
【0053】
架設部材57は、金属製であり、それぞれのレール部材56の後端部に対してねじ59によって固定される。
【0054】
扉側ローラ58は、樹脂製であり、左右方向Xに延びる軸線を有する円筒状に形成される。それぞれのレール部材56の後端部には、左右方向Xにおける外側へ向けて左右方向Xに延びる軸62が設けられ、扉側ローラ58は、軸62に連結され、軸62まわりに回転可能である。扉側ローラ58と軸62とは一体形成されてもよい。扉側ローラ58は、それぞれのレール部材56の左右方向Xにおける外側面部において、湾曲部56Dよりも後方Y2に1つずつ配置される。
【0055】
次に、引出しユニット52の組み立てについて説明する。まず、図8に示すように、飾り板63と、2つの連結部材55と、第1扉部材53と、第2扉部材54とを、前方Y1からこの順番に並べる。次いで、凹部53Dにおける左右両側の領域のそれぞれに、連結部材55を1つずつ前方Y1から嵌め込む。それぞれの連結部材55は、その位置決め穴55Bに底53Eの位置決め突起53Hが挿入されることによって凹部53D内で位置決めされ、底53Eと一体化される。そして、飾り板63が、凹部53Dを前方Y1から塞ぐように第1扉部材53に取り付けられて、第1扉部材53と一体化される。第2扉部材54は、第1扉部材53に取り付けられ、第1扉部材53の開口部53Aを後方Y2から塞ぐ(図9参照)。また、第2扉部材54が開口部53Aを塞ぐのに先立って、第1扉部材53と第2扉部材54との隙間や凹部53Dには、発泡性ウレタンが注入される。
【0056】
第1扉部材53と第2扉部材54との隙間や凹部53Dに注入された発泡性ウレタンが発泡し、この隙間や凹部53Dに充填されて断熱部材61となる(図9参照)。これにより、扉3が完成する。
【0057】
次に、完成した扉3の第2扉部材54の後方Y2に、移動部材51を配置する。すると、第2扉部材54において貫通穴54Aが形成された部分が、第1扉部材53における凹部53Dの底53Eと、移動部材51における一対のレール部材56の連結部56Bとの間に配置される。このとき、前後方向Yから見て、連結部材55のねじ穴55Aと、底53Eの貫通穴53Gと、第2扉部材54の貫通穴54Aと、連結部56Bの貫通穴56Fとが1つずつ重なった状態になる。次いで、重なった状態にある貫通穴56F、貫通穴54Aおよび貫通穴53Gに対して、この順番でねじ60を後方Y2から挿通する。ねじ60は、少なくとも貫通穴54Aに対しては、遊びを持って挿通される。そして、これらの貫通穴に挿通されたねじ60が連結部材55のねじ穴55Aに組み付けられる。
【0058】
引出しユニット52の縦断面左側面図である図9を参照して、ねじ60がねじ穴55Aに組み付けられた状態では、移動部材51の連結部56Bが、連結部材55と一体化された第1扉部材53の底53Eに対してねじ60を介して固定される。ねじ60は、その頭部60Aを連結部56Bに後方Y2から係合させた状態で、連結部材55を後方Y2へ引き寄せる。これにより、第1扉部材53および第2扉部材54は、連結部材55と連結部56Bとによって前後方向Yから強固に挟まれた状態にある。
【0059】
連結部材55のねじ穴55Aに対するねじ60の組み付けが完了すると、引出しユニット52の組み立てが完成する。引出しユニット52では、第1扉部材53と第2扉部材54との間が、第1扉部材53と第2扉部材54との間に配置された断熱部材61によって断熱される。
【0060】
本実施形態では、移動部材51が第1扉部材53に固定される。これに反して移動部材51が第2扉部材54だけに固定される場合には、扉3の組み立てに際して第1扉部材53と第2扉部材54との間に断熱部材61を配置するために発泡性ウレタンを発泡させたときに、第1扉部材53と第2扉部材54との相対位置がずれる虞がある。第1扉部材53と第2扉部材54との相対位置がずれると、本体2側のガイド部材75や85(図13参照)に位置決めされる移動部材51と第1扉部材53との相対位置もずれてしまう。すると、閉位置のときの扉3において目立つ位置に配置される第1扉部材53が、本体2における本来の適正位置から上下左右にずれて配置されるので、たとえば、閉位置における扉3の見栄えが悪くなる。
【0061】
しかし、本実施形態のように移動部材51が第1扉部材53に固定される場合には、引出しユニット52を組み立てたときに移動部材51と第1扉部材53との相対位置がずれない。そのため、組立後の扉3が閉位置にあるときにおいて、第1扉部材53は、本体2における本来の適正位置に配置される。つまり、第1扉部材53と本体2との取付誤差が解消される。よって、扉3の見栄えが悪くなることを防止できる。
【0062】
また、冷蔵庫1は、引き出し式の扉3の開閉を検知するための庫内スイッチ(図示せず)を含む。庫内スイッチとして、磁石を用いた近接スイッチが用いられ、収納室4毎に設けられる。変温室4Cの庫内スイッチは、本体2において変温室4Cを区画する部分に設けられた検知部(図示せず)と、引出しユニット52のレール部材56の後端部に設けられた被検知部65とを含む(図7参照)。被検知部65には、磁石が設けられる。
【0063】
扉3が閉位置にあるとき、被検知部65は、検知部と前後方向Yにおいて同じ位置にあり、左右方向Xにおいて検知部と対向するので、検知部は、被検知部65の磁石の磁気を検知し、庫内スイッチはONとなる。一方、扉3が閉位置にないとき、被検知部65は、検知部から前方Y1にずれて検知部と対向しなくなる。これにより、検知部は、被検知部65の磁石の磁気を検知しないので、庫内スイッチはOFFとなる。庫内スイッチがONおよびOFFのいずれの状態にあるかは、制御部11(図6参照)に入力される。扉3が閉位置にきて庫内スイッチがONになると、制御部11は、ファン駆動モータ41の動作を開始してファン34を回転させたり、冷蔵庫1内の照明(図示せず)を消灯したりする。扉3が閉位置から前方Y1に引き出されて庫内スイッチがOFFになると、制御部11は、ファン駆動モータ41を停止させてファン34の回転を停止させたり、冷蔵庫1内の照明を点灯したりする。
【0064】
被検知部65の組み立て手順を示す斜視図である図10を参照して、被検知部65は、樹脂製で小片状に形成されたケース部66と、略直方体形状の磁石67(図10(b)参照)とを含む。図10(a)を参照して、ケース部66は、上下方向Zに延びる縦部分68と、縦部分68の下端から水平方向Hに張り出した板状の横部分69とを一体的に含む。
【0065】
縦部分68の上端部には、水平方向Hに窪む凹部68Aが形成される(図10(b)参照)。縦部分68の上端部には、蓋部70が一体的に設けられる。縦部分68の上端部と蓋部70との連結部分はヒンジ状に構成されるので、蓋部70は、この連結部分を中心に回動することによって開閉される。
【0066】
横部分69には、横部分69を上下方向Zに貫通する長穴69Aが形成される。長穴69Aは、縦部分68から離れる方向において長手である。長穴69Aの長手方向における横部分69の端部には、略矩形板状の固定部71が一体的に設けられる。横部分69と固定部71との連結部分はヒンジ状に構成されるので、固定部71は、この連結部分を中心として回動可能である。固定部71には、固定部71の板厚方向に沿って固定部71から突出した円柱状の突出部71Aが一体的に設けられる。固定部71には、固定部71を板厚方向に沿って貫通して突出部71A内まで延びるねじ穴71Bと、ねじ穴71Bに隣接した位置に設けられて突出部71Aとは逆の方向へ突出した凸部71Cとが形成される(図10(b)参照)。
【0067】
被検知部65を組み立てる際、まず、図10(a)および(b)に示すように、蓋部70を開いて凹部68Aを露出させるとともに、固定部71を、横部分69と略直交して下方Z2を向くように配置する。次いで、図10(b)を参照して、磁石67を凹部68Aに収納し、その後、太線矢印で示すように蓋部70を閉じて凹部68Aを蓋部70によって塞ぐ。このとき、縦部分68における凹部68Aの周囲に設けられた爪68Bが、蓋部70の遊端側の穴70Aに嵌まることによって、蓋部70が閉じた状態が維持される。
【0068】
引出しユニット52のレール部材56において被検知部65が取り付けられる後端部には、上下方向Zに薄く水平方向Hに延びる板状の取付部56Gが設けられる(図7参照)。磁石67を収納した凹部68Aが蓋部70によって閉じられた状態で、横部分69を取付部56Gに上方Z1から載せる。取付部56Gにおいて横部分69の長穴69Aに下方Z2から重なる位置には、貫通穴(図示せず)が形成される。横部分69が取付部56Gに載った状態で、固定部71を横部分69へ向けて上方Z1に回動させると、図10(c)に示すように、取付部56Gが横部分69と固定部71とによって上下方向Zから挟まれる。
【0069】
この状態では、固定部71の凸部71Cが、取付部56Gの前述した貫通穴(図示せず)を通って横部分69の長穴69Aに下方Z2から嵌め込まれるので、被検知部65が取付部56Gに対して仮組みされる。また、固定部71のねじ穴71B(図10(b)参照)が、凸部71Cの隣の位置で、取付部56Gの貫通穴(図示せず)を介して長穴69Aから上方Z1に露出される。ねじ72を上方Z1から長穴69Aおよび取付部56Gの貫通穴(図示せず)に通してねじ穴71Bに組み付けると、図10(d)に示すように、被検知部65の組み立てが完了するとともに、被検知部65が取付部56Gに固定される。
【0070】
このように、凹部68Aにおいて磁石67を収納する被検知部65は、回動可能な蓋部70および固定部71が一体的に設けられた1つの部品として構成される。この構成であれば、蓋部70を回動させて凹部68Aを塞ぎ、固定部71を回動させた後に固定部71にねじ72を組み付けるという少ない工程によって、被検知部65を完成させつつ引出しユニット52に組み付けることができる。そのため、被検知部65に関する作業性の向上を図れる。
【0071】
図11は、冷蔵庫1の本体2における仕切部材18の右側面図である。図11を参照して、仕切部材18の右側面部18Aは、変温室4Cにおける左方X1の内側面部である。
右側面部18Aの下端部には、ガイド部材75が設けられる。ガイド部材75は、右側面部18Aの下端部において変温室4Cの開口部8に隣接した前端部に1つ配置された本体側ローラ76と、変温室4C内で右方X2へはみ出しつつ前後方向Yに沿って本体側ローラ76から後方Y2へ延びるレール部77とを含む。ガイド部材75は、扉3を開位置と閉位置との間で移動させる際の前後方向Yにおける移動部材51の移動を、本体側ローラ76およびレール部77によってガイドする。
【0072】
本体側ローラ76は、樹脂製であり、左右方向Xに延びる軸線を有する円筒状に形成される。右側面部18Aの下端部の前端部には、右方Y2に延びる軸78(後述する図12参照)が設けられ、本体側ローラ76は、軸78の右端部に連結され、軸78まわりに回転可能である。本体側ローラ76と軸78とは一体形成されてもよい。本体側ローラ76の位置は固定された状態にある。
【0073】
レール部77は、仕切部材18の右側面部18Aと同様に樹脂製であり、仕切部材18の後端部の手前まで延びる。レール部77の右側面部には、左方X1へ窪みつつ前後方向Yに沿って直線状に延びる本体側ガイド溝79が設けられる。本体側ガイド溝79は、レール部77において前後方向Yにおけるほぼ全域にわたって設けられる。
【0074】
レール部77は、本体側ガイド溝79を上方Z1から区画する上レール部77Aと、本体側ガイド溝79を下方Z2から区画する下レール部77Bとを含む。上レール部77Aと下レール部77Bとは、扉側ローラ58(図7参照)の外径に相当する上下方向Zの隙間を隔てて平行に延びる。上レール部77Aの右端部には、前後方向Yにおける全域にわたって下方Z2へ張り出したフランジ部77Cが一体的に設けられる。
【0075】
本体側ガイド溝79の溝底79Aは、レール部77において上レール部77Aの左端部と下レール部77Bの左端部との間に架設された部分であって、上下方向Zに沿いつつ、前後方向Yへ帯状に細長く延びる。
【0076】
図11のXII−XII矢視断面図である図12を参照して、左右方向Xにおける溝底79Aの位置は、前後方向Yにおける全域にわたって一定ではない。詳しくは、本体側ガイド溝79の深さDは、本体側ガイド溝79の後端部79Bよりも前端部79Cにおいて小さい。つまり、溝底79Aでは、前端部79Cが、後端部79Bよりも右方X2にずれて配置される。深さDは、後端部79Bから前端部79Cへ向けて徐々に小さくなってもよいし、段階的に小さくなってもよい。図12の溝底79Aでは、後端部79Bおよび前端部79Cのそれぞれは前後方向Yに沿って平坦であるが、後端部79Bと前端部79Cとをつなぐ部分が、前方Y1へ向かうにつれて右方X2にずれるように前後方向Yに対して傾斜する。
【0077】
なお、図12では、溝底79Aの前端部79Cから前方Y1に連続しつつ前端部79Cから左方X1へ一段ずれた部分80が図示されるが、この部分80は、溝底79Aの一部ではない。また、本体側ガイド溝79は、前方Y1に開放され、その前端部79Cは、本体側ローラ76を後方Y2から臨む(図11も参照)。
【0078】
図13は、扉3が閉位置にある状態での変温室4Cにおける冷蔵庫1の平断面図である。図13を参照して、扉3が閉位置にある状態では、扉3とともに引出しユニット52を構成する移動部材51が変温室4C内に収納される。このとき、仕切部材18において変温室4Cを左方X1から区画する右側面部18Aは、移動部材51に左方X1から対向した状態にある。一方、本体2の冷凍内箱16の右壁16Bの左側面部16Cの一部は、変温室4Cにおける右方X2の内側面部であって、移動部材51に右方X2から対向した状態にある。
【0079】
左側面部16Cの下端部には、仕切部材18のガイド部材75と同様の構成を有するガイド部材85が設けられる。ガイド部材85は、ガイド部材75と前後方向Yおよび上下方向Zにおいてほぼ同じ位置に配置され、ガイド部材75に対して右方X2から対向する。ガイド部材85は、左側面部16Cの下端部において変温室4Cの開口部8に隣接した前端部に1つ配置された本体側ローラ86と、変温室4C内で左方X1へはみ出しつつ前後方向Yに沿って本体側ローラ86から後方Y2へ延びるレール部87とを含む。ガイド部材85は、前後方向Yにおける移動部材51の移動を、本体側ローラ86およびレール部87によってガイドする。
【0080】
本体側ローラ86は、樹脂製であり、左右方向Xに延びる軸線を有する円筒状に形成される。左側面部16Cの下端部の前端部には、左方X1に延びる軸88が設けられ、本体側ローラ86は、軸88の左端部に連結され、軸88まわりに回転可能である。本体側ローラ86と軸88とは一体形成されてもよい。本体側ローラ86の位置は固定された状態にある。本体側ローラ86は、前後方向Yおよび上下方向Zにおいて本体側ローラ76と同じ位置にあり、右方X2から本体側ローラ76に対向した状態にある。
【0081】
レール部87は、冷凍内箱16の右壁16Bの左側面部16Cと同様に樹脂製である。レール部87は、右壁16Bと一体形成されてもよいし、右壁16Bとは別部品として構成され、右壁16Bに装着されてもよい。レール部87は、左側面部16Cの後端部の手前まで延びる。レール部87の左側面部には、右方X2へ窪みつつ前後方向Yに沿って直線状に延びる本体側ガイド溝89が設けられる。レール部87は、本体側ガイド溝89を上方Z1から区画する上レール部87Aと、本体側ガイド溝89を下方Z2から区画する下レール部87Bとを含む(後述する図14も参照)。上レール部87Aと下レール部87Bとは、扉側ローラ58(図7参照)の外径に相当する上下方向Zの隙間を隔てて平行に延びる。上レール部87Aの左端部には、前後方向Yにおける全域にわたって下方Z2へ張り出したフランジ部87Cが一体的に設けられる(図14参照)。
【0082】
本体側ガイド溝89は、レール部87において前後方向Yにおけるほぼ全域にわたって設けられる。本体側ガイド溝89は、本体側ガイド溝79と上下方向Zにおいて同じ位置にあり、本体側ガイド溝79に対して右方X2から対向する。本体側ガイド溝89の溝底89Aは、レール部87において上レール部87Aの右端部と下レール部87Bの右端部と間に架設された部分であって、上下方向Zに沿いつつ、前後方向Yへ帯状に細長く延びる。本体側ガイド溝89の深さEは、前後方向Yにおける全域にわたって一定であり、本体側ガイド溝89の溝底89Aの左右方向Xにおける位置は、後端部89Bから前端部89Cまでの前後方向Yにおける全域にわたって一定である。本体側ガイド溝89は、前方Y1に開放され、その前端部89Cは、本体側ローラ86を後方Y2から臨む。
【0083】
引出しユニット52の移動部材51では、左方X1のレール部材56のレール部56Cの一部が、仕切部材18の右側面部18Aの本体側ローラ76の外周面76Aに上方Z1から載って接触した状態にある(後述する図20参照)。このレール部56Cにおいて本体側ローラ76に載った部分よりも後方Y1の部分では、少なくとも一部が、右側面部18Aのレール部77における本体側ガイド溝79内に位置する。
【0084】
移動部材51では、右方X2のレール部材56のレール部56Cの一部が、冷凍内箱16の右壁16Bの左側面部16Cの本体側ローラ86の外周面86Aに上方Z1から載って接触した状態にある(図20参照)。このレール部56Cにおいて本体側ローラ86に載った部分よりも後方Y1の部分では、少なくとも一部が、左側面部16Cのレール部87における本体側ガイド溝89内に位置する。
【0085】
移動部材51では、左方X1の扉側ローラ58が、本体側ガイド溝79に収納された状態にある。この扉側ローラ58は、下レール部77B上で転動しながら本体側ガイド溝79内で前後方向Yに移動可能である。つまり、左方X1の扉側ローラ58の前後方向Yにおける移動が、この扉側ローラ58を収納する本体側ガイド溝79によってガイドされる。そして、レール部77のフランジ部77Cが扉側ローラ58に右方X2から対向することにより、扉側ローラ58が本体側ガイド溝79から右方X2へ外れることが防止される(後述する図14参照)。
【0086】
移動部材51では、右方X2の扉側ローラ58が、本体側ガイド溝89に収納された状態にある。この扉側ローラ58は、下レール部87B上で転動しながら本体側ガイド溝89内で前後方向Yに移動可能である。つまり、右方X2の扉側ローラ58の前後方向Yにおける移動が、この扉側ローラ58を収納する本体側ガイド溝89によってガイドされる。レール部87のフランジ部87Cが扉側ローラ58に左方X1から対向することにより、扉側ローラ58が本体側ガイド溝89から左方X1へ外れることが防止される(図14参照)。
【0087】
図13に示すように扉3が閉位置にあるときには、左方X1の扉側ローラ58は、本体側ガイド溝79の溝底79Aの後端部79Bと前後方向Yにおいて同じ位置にあり、右方X2の扉側ローラ58は、本体側ガイド溝89の溝底89Aの後端部89Bと前後方向Yにおいて同じ位置にある。図13のXIV−XIV矢視断面図である図14を参照して、左方X1の扉側ローラ58は、本体側ガイド溝79の溝底79Aの後端部79Bに対して、左右方向Xの隙間P1を隔てて右方X2から対向する。右方X2の扉側ローラ58は、本体側ガイド溝89の溝底89Aの後端部89Bに対して、左右方向Xの隙間Q1を隔てて左方X1から対向する。たとえば、隙間P1は、隙間Q1よりも左右方向Xにおいて若干大きく設定される。
【0088】
閉位置の扉3を、図15に示すように前方Y1の開位置まで引き出すと、移動部材51も前方Y1へ引き出される。扉3が開位置にあるときには、左方X1の扉側ローラ58は、本体側ガイド溝79の溝底79Aの前端部79Cと前後方向Yにおいて同じ位置にあり、右方X2の扉側ローラ58は、本体側ガイド溝89の溝底89Aの前端部89Cと前後方向Yにおいて同じ位置にある。図15のXVI−XVI矢視断面図である図16を参照して、左方X1の扉側ローラ58は、本体側ガイド溝79の溝底79Aの前端部79Cに対して、隙間P2を隔てて右方X2から対向する。右方X2の扉側ローラ58は、本体側ガイド溝89の溝底89Aの前端部89Cに対して、隙間Q2を隔てて左方X1から対向する。
【0089】
前述したように、本体側ガイド溝79の深さDは、本体側ガイド溝79の後端部79Bよりも前端部79Cにおいて小さい(図12参照)。そのため、扉3が開位置にあるときの本体側ガイド溝79の溝底79Aの前端部79Cと扉側ローラ58との左右方向Xにおける隙間P2は、扉3が閉位置にあるときの溝底79Aの後端部79Bと扉側ローラ58との左右方向Xにおける隙間P1(図14参照)よりも狭い。隙間P2は、存在しないとみなしてもよいほどに、その左右方向Xの寸法は、限りなく零に近い微小な値であってもよいし、零であってもよい。
【0090】
一方、本体側ガイド溝89の深さEは、前後方向Yにおける全域にわたって一定である(図13参照)。そのため、扉3が閉位置から開位置までのいずれの位置にあるときにおいても、本体側ガイド溝89の溝底89Aと扉側ローラ58との左右方向Xの隙間は一定である。よって、扉3が開位置にあるときの溝底89Aの前端部89Cと扉側ローラ58との左右方向Xにおける隙間Q2と、扉3が閉位置にあるときの溝底89Aの後端部89Bと扉側ローラ58との左右方向Xにおける隙間Q1(図14参照)とは同じである。
【0091】
前述したように、本体側ガイド溝79の深さDが本体側ガイド溝79の後端部79Bよりも前端部79Cにおいて小さく、本体側ガイド溝89の深さEは、前後方向Yにおける全域にわたって一定である。そのため、本体側ガイド溝79の溝底79Aと本体側ガイド溝89の溝底89Aとの左右方向Xにおける間隔Fは、後方Y2から前方Y1へ向かって小さくなる。たとえば、間隔Fは、全体として、0mmより大きく2mm以下の範囲で小さくなる。
【0092】
以上の構成により、扉3が開位置まで引き出されたときには、少なくとも左方X1の扉側ローラ58が本体側ガイド溝79の溝底79Aに右方X2から接触する。これにより、左右方向Xにおける扉側ローラ58の遊びを小さく抑えることができるので、左右方向Xにおける扉3のがたつきを低減できる。
【0093】
なお、前述したように本体側ガイド溝79と扉側ローラ58との関係において隙間P2を隙間P1よりも狭くする構成に加えて、本体側ガイド溝89と扉側ローラ58との関係において隙間Q2を隙間Q1よりも狭くしてもよい。これにより、左右両方の扉側ローラ58の遊びを小さく抑えることができるので、左右方向Xにおける扉3のがたつきを一層低減できる。
【0094】
図17は、引出しユニット52の後部の斜視図であって、移動部材51の左右のレール部材56の一部が断面で示される。図17を参照して、左右のレール部材56において、互いのフランジ部56Eの左右方向Xにおける間隔を、間隔Gと呼ぶことにする。引出しユニット52の平面図である図18を参照して、それぞれのフランジ部56Eの左右方向Xにおける位置は、前後方向Yにおける全域にわたって一定ではない。具体的には、左方X1のフランジ部56Eでは、後端部56Hが前端部56Iよりも右方X2にずれて配置され、右方X2のフランジ部56Eでは、後端部56Hが前端部56Iよりも左方X1にずれて配置される。そのため、間隔Gは、フランジ部56Eの前端部56Iよりも後端部56Hにおいて小さい。
【0095】
間隔Gは、前端部56Iから後端部56Hへ向けて徐々に小さくなってもよいし、段階的に小さくなってもよい。間隔Gは、全体として、たとえば、0mmより大きく4mm以下の範囲で小さくなる。図18では、それぞれのフランジ部56Eにおいて、後端部56Hおよび前端部56Iのそれぞれは前後方向Yに沿って平坦であるが、後端部56Hと前端部56Iとをつなぐ部分が、前後方向Yに対して傾斜する。
【0096】
図19は、扉3が閉位置にある状態での変温室4Cにおける冷蔵庫1の平断面図である。図19を参照して、左方X1のレール部材56のフランジ部56Eが常に本体側ローラ76に対して左方X1から対向する。そのため、本体側ローラ76に載った左方X1のレール部56Cが本体側ローラ76から右方X2へ外れることが防止される。また、前後方向Yにおけるレール部56Cおよびフランジ部56Eの移動は、レール部56Cに接触するとともに左右方向Xからフランジ部56Eに対向する本体側ローラ76によってガイドされる。ガイドの際、本体側ローラ76は転動する。
【0097】
また、右方X2のレール部材56のフランジ部56Eが常に本体側ローラ86に対して右方X2から対向する。そのため、本体側ローラ86に載った右方X2のレール部56Cが本体側ローラ86から左方X1へ外れることが防止される。また、前後方向Yにおけるレール部56Cおよびフランジ部56Eの移動は、レール部56Cに接触するとともに左右方向Xからフランジ部56Eに対向する本体側ローラ86によってガイドされる。ガイドの際、本体側ローラ86は転動する。
【0098】
扉3が閉位置にあるときには、左方X1の本体側ローラ76は、左方X1のフランジ部56Eの前端部56Iと前後方向Yにおいて同じ位置にあり、右方X2の本体側ローラ86は、右方X2のフランジ部56Eの前端部56Iと前後方向Yにおいて同じ位置にある。図19のXX−XX矢視断面図である図20を参照して、左方X1の本体側ローラ76は、左方X1のフランジ部56Eの前端部56Iに対して、左右方向Xにおける隙間R1を隔てて左方X1から対向する。右方X2の本体側ローラ86は、右方X2のフランジ部56Eの前端部56Iに対して、左右方向Xにおける隙間S1を隔てて左方X1から対向する。隙間R1は、左右方向Xにおいて、隙間S1とほぼ同じ大きさである。
【0099】
閉位置の扉3を、図21に示すように前方Y1の開位置まで引き出すと、移動部材51も前方Y1へ引き出される。扉3が開位置にあるときには、左方X1の本体側ローラ76は、左方X1のフランジ部56Eの後端部56Hと前後方向Yにおいて同じ位置にあり、右方X2の本体側ローラ86は、右方X2のフランジ部56Eの後端部56Hと前後方向Yにおいて同じ位置にある。図21のXXII−XXII矢視断面図である図22を参照して、左方X1の本体側ローラ76は、左方X1のフランジ部56Eの後端部56Hに対して、隙間R2を隔てて右方X2から対向する。右方X2の本体側ローラ86は、右方X2のフランジ部56Eの後端部56Hに対して、隙間S2を隔てて左方X1から対向する。隙間R2は、左右方向Xにおいて、隙間S2とほぼ同じ大きさである。
【0100】
前述したように、左右のレール部材56のフランジ部56Eの左右方向Xにおける間隔Gは、フランジ部56Eの前端部56Iよりも後端部56Hにおいて小さい(図17および図18参照)。そのため、扉3が開位置にあるときの左方X1のフランジ部56Eの後端部56Hと本体側ローラ76との左右方向Xにおける隙間R2は、扉3が閉位置にあるときの左方X1のフランジ部56Eの前端部56Iと本体側ローラ76との左右方向Xにおける隙間R1(図20参照)よりも狭い。同様に、扉3が開位置にあるときの右方X2のフランジ部56Eの後端部56Hと本体側ローラ86との左右方向Xにおける隙間S2は、扉3が閉位置にあるときの右方X2のフランジ部56Eの前端部56Iと本体側ローラ86との左右方向Xにおける隙間S1(図20参照)よりも狭い。隙間R2およびS2は、存在しないとみなしてもよいほどに、それぞれの左右方向Xの寸法は、限りなく零に近い微小な値であってもよいし、零であってもよい。
【0101】
そのため、扉3が開位置まで引き出されたときには、左方X1のフランジ部56Eが本体側ローラ76に左方X1から接触し、右方X2のフランジ部56Eが本体側ローラ86に右方X2から接触する。これにより、扉3側のフランジ部56Eの左右方向Xにおける遊びを小さく抑えることができるので、左右方向Xにおける扉3のがたつきを低減できる。
【0102】
なお、間隔Gがフランジ部56Eの前端部56Iよりも後端部56Hにおいて小さくなるのであれば、左右のフランジ部56Eのいずれか一方の左右方向Xにおける位置は、前後方向Yにおける全域にわたって一定であってもよい。
【0103】
この発明は、以上に説明した実施形態に限定されるものではなく、請求項記載の範囲内において種々の変更が可能である。
【0104】
たとえば、本体側ガイド溝79の溝底79Aと本体側ガイド溝89の溝底89Aとの左右方向Xにおける間隔F(図16参照)を後方Y2から前方Y1へ向かって小さくする構成を「第1構成」と言う。また、左右のレール部材56のフランジ部56Eの左右方向Xにおける間隔G(図17参照)をフランジ部56Eの前端部56Iよりも後端部56Hにおいて小さくする構成を「第2構成」と言う。前述した実施形態では、第1構成と第2構成とが組み合わされて適用されたが、第1構成および第2構成の一方だけを適用してもよい。
【符号の説明】
【0105】
1 冷蔵庫
2 本体
2A 側面部
3 扉
4 収納室
16C 左側面部
18A 右側面部
51 移動部材
53 第1扉部材
54 第2扉部材
56C レール部
56E フランジ部
58 扉側ローラ
61 断熱部材
62 軸
75 ガイド部材
76 本体側ローラ
76A 外周面
78 軸
79 本体側ガイド溝
79A 溝底
85 ガイド部材
86 本体側ローラ
86A 外周面
88 軸
89 本体側ガイド溝
89A 溝底
P1 隙間
P2 隙間
R1 隙間
R2 隙間
S1 隙間
S2 隙間
X 左右方向
Y 前後方向
Y1 前方
Y2 後方
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22