(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6493887
(24)【登録日】2019年3月15日
(45)【発行日】2019年4月3日
(54)【発明の名称】流れ制御弁の構成及び改良
(51)【国際特許分類】
F16K 15/14 20060101AFI20190325BHJP
A61M 39/24 20060101ALI20190325BHJP
【FI】
F16K15/14 D
A61M39/24
【請求項の数】5
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2016-520130(P2016-520130)
(86)(22)【出願日】2013年10月18日
(65)【公表番号】特表2016-535207(P2016-535207A)
(43)【公表日】2016年11月10日
(86)【国際出願番号】BR2013000429
(87)【国際公開番号】WO2015024081
(87)【国際公開日】20150226
【審査請求日】2016年7月25日
(73)【特許権者】
【識別番号】516098476
【氏名又は名称】ザンミ インスツルメンタル エリテーデーアー
(74)【代理人】
【識別番号】100075513
【弁理士】
【氏名又は名称】後藤 政喜
(74)【代理人】
【識別番号】100120260
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 雅昭
(74)【代理人】
【識別番号】100185878
【弁理士】
【氏名又は名称】植田 晋一
(72)【発明者】
【氏名】ルイス ヘンリック バラガス フォンチカ
【審査官】
角田 貴章
(56)【参考文献】
【文献】
米国特許第03084707(US,A)
【文献】
米国特許第03508576(US,A)
【文献】
米国特許第07484526(US,B2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16K 15/00−15/20
3/00−3/36
35/00−35/16
39/00−51/02
A61M 39/24
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
外側リング(2)によって弁ケーシング(7)に固定される荷馬車の車輪形式のエラストマ材料からなる車輪型の流れ制御弁であって、
中央プラグ(3)は、中実の構成であり、
前記制御弁の双方の面である第1面(a)及び第2面(b)は、異なる構造的な構造を有し、
アーチ形状の輪郭の前記第1面(a)は、前記第2面(b)のアーチの輪郭よりも張り出しておらず、
前記第2面(b)は、前記第1面(a)よりも急峻な輪郭を有するアーチ形状であるとともに、円筒形の延長部(6)を露出させ、
前記中央プラグ(3)を前記外側リング(2)に接続するロッド(4)は、前記第1面(a)によって前記中央プラグ(3)のアーチの外周の境界において開始し、前記外側リング(2)に接触する平坦な部分まで延びる僅かな傾斜部分を有し、
前記第2面(b)がシールすることによって着座している状態において、前記第2面(b)と円筒形の前記延長部(6)との交点を前記弁の径方向において通る第1の平面と、前記外側リング(2)に接触する平坦な部分のうち前記第2面(b)に面する部分を前記径方向において通る第2の平面とは、前記制御弁の厚さ方向において異なる高さレベルである、
車輪型の流れ制御弁。
【請求項2】
前記中央プラグ(3)の双方の面である前記第1面(a)及び前記第2面(b)は、3方向又はそれ以上の流路を備える弁ケーシングであるカプセルに取り付けられると、流体の流れのシール及び通路として二者択一的に働くことができ、
前記第1面(a)のシールは、カプセルの第1内面と接触する弁座によって行われ、
前記第2面(b)のシールは、前記カプセルの前記第1内面と対向する第2内面と接触する弁座によって行われる、
請求項1に記載の車輪型の流れ制御弁。
【請求項3】
4方向弁のケーシングに取り付けられる、請求項1又は2に記載の車輪型の流れ制御弁。
【請求項4】
6方向弁のケーシングに取り付けられる、請求項1又は2に記載の車輪型の流れ制御弁。
【請求項5】
配置することによって自動的な流れ制御を行う、請求項3又は4に記載の車輪型の流れ制御弁。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、本明細書では車輪型の弁と称される、流れ制御弁の改良に言及するものであり、弁は、液体及び空気の双方の流れを制御するのに用いることができる多機能弁であり、取り付けられるケーシングに応じて異なる機能を果たすことが可能である。
【0002】
本発明による弁は、逆流防止一方向弁として機能するか、又は、自動的な流れ制御のために、医学又は産業等の、流れの制御が望ましい多くの様々な分野において適用することができる。
【背景技術】
【0003】
概して、車輪型の流れ制御弁は、先行技術文献である欧州特許第1099455号及び同第0336307号において見られるように、既知である。通常、流れ制御弁は、シリコン又は他のエラストマ材料の片からなり、外側リングによって弁ケーシングに固定される車輪で形成され、したがって、圧力に晒されると一方向にのみ自由に移動する。この可動性は通常、リムを弁の中央のプラグに接続するロッドの可撓性に起因する。組み付けられると、弁入口に圧力がない状態では、又は、意図される方向とは反対の方向に圧力が印加されると、弁は、カプセルのベース又は焦点(focus)において支持され、入口をシールし、それによって反対方向への流れを防止する。圧力が意図される流れ方向に印加されると、弁が動き、上記ロッド間の流れの通過を可能にする。したがって、弁は、一方向弁又は逆流防止弁として構成される。
【0004】
市場には、幾つかの技法、又は、例えばダックビル弁、アンブレラ型弁及び車輪型の上記弁等、逆流防止機能を行う幾つかのタイプの弁がある。しかし、これらの弁は、以下で述べるように、従来技術によってはまだ意図されていない解決策につながる構造的及び機能的な幾つかの欠点を有する。
【0005】
ダックビル弁
このタイプの弁は、医学における用途等の特定の用途に関して不所望の乱流を発生させることに加えて、それらの内側角部に老廃物が蓄積する傾向にある構造を有する。それに加えて、弁内の空気を除去することが幾分難しい。加えて、この弁は、液体通路の面積が入口コネクタの面積よりも小さいため、流れを制限する。この弁は、空気とともに使用される場合、用途に応じて、支障をきたし得る音を発生させる。
【0006】
アンブレラ弁
この弁の構造も、角部に老廃物が蓄積する傾向にあり、医学における用途の場合、特に流体が血液である場合に、同様に不所望の乱流を発生させる。この弁はまた、内部から空気を抜き出すことが難しく、また、液体通路の面積が入口コネクタの面積よりも小さいため、流れが制限される。この弁は、空気とともに使用される場合、用途に応じて不快な騒音を発生させる。
【0007】
車輪弁
先行技術文献である欧州特許第1099455号及び同第0336307号に開示されているようなこのタイプの弁も、中央プラグプランの形式によって、特に流体が血液である場合に、既に述べた不所望の乱流に加えて、内側角部において老廃物の蓄積を生じる。さらに、弁は、中央プラグプランの形式に起因して、入口における高い吸引圧力に晒される場合、変形することで流れの通過を可能にする可能性がある。さらに、弁が長期の用途において使用される場合、上記中央プラグプランの形式が、流体の漏れにつながる可能性がある変形を受ける可能性がある。最後に、弁の中央プラグプランの形式は、その動作を一方向の流れにのみ制限し、3方向弁又はより多方向の弁としてのその用途が可能ではない。
【0008】
3つ以上の経路によって1つ又は複数の流体の流れを制御する必要がある、血流力学及び患者への物質の注入におけるような、主に医学において使用される場合、現行の技術水準の流れ制御装置において観察される別の問題は、使用される構成に関するものである。概して、問題は、タップ、レコード及びマニホルドからなる流れ駆動装置に関し、これらは、所望の出口への流れの方向を得るためにガントレット(gauntlet)の取扱いを必要とする。明らかに、この取扱いは好適ではなく、患者が受けるはずであるプロセスに問題を生じさせる可能性さえある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
一方で、本発明の目的は、適切な構造的な特徴を有し、必要な可撓性の仕様を満たすとともに弁の動作に抵抗するシリコン、ゴム、可撓性PVC又は他のエラストマ材料から作られる、車輪型の流れ制御弁を提供することによって上述した問題を最小限に抑え、更には解決し、開放圧力、最大限の流れ、流れ抵抗、生体適合性、耐久性等のような特徴のより良い調整及び信頼性を可能にすることである。
【0010】
本発明の別の目的は、特有の構造的な特徴を有する車輪型の一方向流れ制御弁を提供することであり、それによって、弁は、設計のオプションとして二者択一的及び選択的に、シールとして又は流体の流れを通過させるために、弁の両面において動作することができる。
【0011】
本発明の目的である車輪型の流れ制御弁の構造的な特徴が従来技術の特徴に対して示すことができる多くの改良及び利点の中でも、注目すべきものは以下である:
−カプセルのベースとのプラグのアーチ形状のフィットによって得られる、プラグとカプセルのベースとの間のより良いシール。したがって、弁が圧力によって変形する場合であっても、逆流がなく、圧力が高いほどシールがより良好になり;
−弁の両面におけるアーチの形式に起因して、カプセルのベースの内側形式に応じて、3方向以上のシステム又は構成における場合に、選択される入口及び出口の二者択一として、弁プラグのシールによって作用するか又は流体の流れへの通路を与えることが可能である。
【0012】
本発明のまた別の目的は、現行の流れ駆動装置に取って代わる、車輪型の流れ制御弁を用いる構成を提供し、動作が完全に自動的で安全であるようにすることである。本発明による車輪型弁における上記構成は、現行の流れ駆動装置に勝る以下の利点を有する:
−必要な流れ方向におけるエラーのリスクなく、いかなるガントレット又は装置も回転させる必要のない、完全に自動的で安全な動作;
−幾つかの操作デバイスを同時に使用する必要がないため、低コストである;
−従来技術の装置に比してサイズが小さい。
【0013】
本発明を、概略的であり、その範囲の限定された形態ではない添付の図面を参照して以下で説明する。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】従来技術による、車輪型の流れ制御弁の2つの線図である。
【
図5】本発明による、流体シールによる流れ方向を有する、カプセル内に取り付けられる車輪型弁の縦断面図である。
【
図6】本発明による、流体通路を開くための流れ方向を有する、カプセル内に取り付けられる車輪型弁の縦断面図である。
【
図7】本発明による、カプセル内に取り付けられる車輪型弁の上面図である。
【
図8】本発明による、流体入口オプションに従った、プラグの面(a)又は面(b)による流れ通路及びシールの二者択一を有する車輪型弁を含む3方向カプセルの縦断面図である。
【
図9】本発明による、流体入口オプションに従った、プラグの面(a)又は面(b)による流れ通路及びシールの二者択一を有する車輪型弁を含む3方向カプセルの縦断面図である。
【
図10】本発明による、流体の入口及び出口の異なるオプションについての、4方向カプセルを用いた車輪型弁構成の縦断面図である。
【
図11】本発明による、流体の入口及び出口の異なるオプションについての、4方向カプセルを用いた車輪型弁構成の縦断面図である。
【
図12】本発明による、流体の入口及び出口の異なるオプションについての、4方向カプセルを用いた車輪型弁構成の縦断面図である。
【
図13】本発明による、流体の入口及び出口の異なるオプションについての、4方向カプセルを用いた車輪型弁構成の縦断面図である。
【
図14】本発明による、流体の入口及び出口の異なるオプションについての、6方向カプセルを用いた別のタイプの車輪型弁構成の縦断面図である。
【
図15】本発明による、流体の入口及び出口の異なるオプションについての、6方向カプセルを用いた別のタイプの車輪型弁構成の縦断面図である。
【
図16】本発明による、流体の入口及び出口の異なるオプションについての、6方向カプセルを用いた別のタイプの車輪型弁構成の縦断面図である。
【
図17】本発明による、流体の入口及び出口の異なるオプションについての、6方向カプセルを用いた別のタイプの車輪型弁構成の縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
上述した図面に示されているように、車輪型の流れ制御弁(1)は、
図5、
図6及び
図7に示されているように取り付けられる場合、及び、圧力に晒されるとき、一方向にのみ自由に動く、外側リング(2)によって弁又はカプセル(7)ケーシングに固定される荷馬車の車輪形状を有するエラストマ材料から作られるものとする。この可能性は、外側リング(2)を中央プラグ(3)に接続して等距離の開口(5)を形成するロッド(4)の可撓性に起因して達成される。上記中央プラグ(3)は、面(a)及び(b)に関して異なる構造を有し、アーチ形状の輪郭の面(a)は、同様にアーチ形状である面(b)の輪郭よりも張り出しておらず、面(b)は、円筒形の延長部(6)を露出することに加えて、面(a)よりも急峻な輪郭を有する。中央プラグ(3)の大きな構造及び張り出した輪郭に起因して、ロッド(4)は、外側リング(2)に接触する平坦な部分まで延びる面(a)によって、中央プラグのアーチ(3)の外周の境界において開始する僅かな傾斜部分を有する。
【0016】
このように構成される車輪型弁では、
図8及び
図9の例である、3方向弁としてカプセル
(20)において動作する場合、中央プラグ(3)の面(a)及び面(b)の双方は、流れの入口の選択に応じて、通過及びシール機能を与えることができる。
図9は、(A)における入口及び(B)における出口の例を示している。したがって、入口は、カプセル
(20)の焦点又はベース
(8)に通常は接触しない面(a)によるものであり、次に、同様に面(a)によるカプセル
(20)のベース
(8)との弁座の接点
によるシールにつながる。
図8に示されているように(C)における入口及び(B)における出口が選択される場合
には、
弁座がカプセル(20)のベース(9)と接触する時に、車輪弁(1)は通常、面(b)によってシールする。したがって、本発明の目的である車輪型弁が、中央プラグ(3)の双方の面(a)及び(b)によってシール及び通過を提供するように完全に適合されることが分かる。双方の面によって何がシールを画定して何がシールを画定しないかは、特定の計画において選択されるカプセルの焦点又はベースの構成に専ら依存する。それとは異なって、従来技術の車輪型弁は、中央プラグの平坦な形式に起因して、一方の面(a)又は(b)のみのシールしか可能としない。
【0017】
したがって、本発明の目的である車輪弁が中央プラグ(3)の双方の面(a)及び(b)によって行うことができるシール及び通過の特性に基づいて、種々のタイプの構成を、医療分野において一般的に必要とされるたいていの異なる流れ取扱いプロセスに合うように適用することができ、したがって、通常行われる手順を自動化する。
【0018】
本発明の目的である車輪弁のこの構造に基づいて、可能性のある構成の例は、限定はされないが、設計の必要に応じて流体の流れの入口及び出口の二者択一を提供する、4方向カプセルを画定する、
図10、
図11、
図12及び
図13に示されているようなものである。同様に、
図14、
図15、
図16及び
図17に示されている構成が可能であり、これは、プロセス流の入口及び出口の二者択一を同様に提供する6方向カプセルを含む。
【0019】
上記で例示した双方の構成において、本発明による車輪型弁の同じ構造が、流体循環のプロセスにおいて採用される入口の選択に応じて、シール又は通過を二者択一的に提供することができることが留意される。