特許第6493890号(P6493890)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6493890リジン特異的なデメチラーゼ−1の阻害剤
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6493890
(24)【登録日】2019年3月15日
(45)【発行日】2019年4月3日
(54)【発明の名称】リジン特異的なデメチラーゼ−1の阻害剤
(51)【国際特許分類】
   C07D 239/42 20060101AFI20190325BHJP
   C07D 401/04 20060101ALI20190325BHJP
   C07D 401/12 20060101ALI20190325BHJP
   C07D 401/14 20060101ALI20190325BHJP
   C07D 403/04 20060101ALI20190325BHJP
   C07D 403/12 20060101ALI20190325BHJP
   C07D 403/14 20060101ALI20190325BHJP
   C07D 405/14 20060101ALI20190325BHJP
   C07D 471/10 20060101ALI20190325BHJP
   A61K 31/506 20060101ALI20190325BHJP
   A61K 31/551 20060101ALI20190325BHJP
   A61P 35/00 20060101ALI20190325BHJP
   A61P 35/02 20060101ALI20190325BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20190325BHJP
【FI】
   C07D239/42 ZCSP
   C07D401/04
   C07D401/12
   C07D401/14
   C07D403/04
   C07D403/12
   C07D403/14
   C07D405/14
   C07D471/10 101
   A61K31/506
   A61K31/551
   A61P35/00
   A61P35/02
   A61P43/00 111
【請求項の数】29
【全頁数】141
(21)【出願番号】特願2016-565219(P2016-565219)
(86)(22)【出願日】2015年4月30日
(65)【公表番号】特表2017-514830(P2017-514830A)
(43)【公表日】2017年6月8日
(86)【国際出願番号】US2015028635
(87)【国際公開番号】WO2015168466
(87)【国際公開日】20151105
【審査請求日】2018年4月16日
(31)【優先権主張番号】61/987,354
(32)【優先日】2014年5月1日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】516114754
【氏名又は名称】セルジーン クオンティセル リサーチ,インク.
(74)【代理人】
【識別番号】100082072
【弁理士】
【氏名又は名称】清原 義博
(72)【発明者】
【氏名】チェン,ヤング,ケイ.
(72)【発明者】
【氏名】カノウニ,トウフィケ
(72)【発明者】
【氏名】カルドー,ステフィン,ダブリュー.
(72)【発明者】
【氏名】スタッフォード,ジェフリー,アラン
(72)【発明者】
【氏名】ヴィール,ジェイムス,マービン
【審査官】 阿久津 江梨子
(56)【参考文献】
【文献】 特表2003−527303(JP,A)
【文献】 特表2011−529468(JP,A)
【文献】 特表2005−500294(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07D 239/42
A61K 31/506
A61K 31/551
A61P 35/00
A61P 35/02
A61P 43/00
C07D 401/04
C07D 401/12
C07D 401/14
C07D 403/04
C07D 403/12
C07D 403/14
C07D 405/14
C07D 471/10
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I)の構造を有する化合物またはその薬学的に許容可能な塩であって、
【化1】
式中、
WはNまたはC−Fであり、
はハロゲン、−CN、随意に置換されたアルキル、随意に置換されたアルキニル、随意に置換されたカルボシクリルアルキニル、随意に置換されたアリール、または随意に置換されたヘテロアリールであり、
は随意に置換されたアルキル、随意に置換されたシクロアルキル、または随意に置換されたシクロアルキルアルキルであり、
Zは、アルキル、カルボシクリル、C結合ヘテロシクリル、N結合ヘテロシクリル、ヘテロシクリルアルキル、ヘテロシクリルアルケニル、−O−ヘテロシクリル、−N(R)−ヘテロシクリル、−O−ヘテロシクリルアルキル、−N(R)−ヘテロシクリルアルキル、−N(R)(C−Cアルキレン)−NR、−O(C−Cアルキレン)−NRから選択される随意に置換された基であり、および、
Rは水素またはC−Cアルキルである、化合物またはその薬学的に許容可能な塩。
【請求項2】
WはC−Fである、請求項1に記載の化合物またはその薬学的に許容可能な塩。
【請求項3】
Xはハロゲンである、請求項1または2に記載の化合物またはその薬学的に許容可能な塩。
【請求項4】
Xは随意に置換されたアルキンである、請求項1または2に記載の化合物またはその薬学的に許容可能な塩。
【請求項5】
Xは随意に置換されたカルボシクリルアルキニルである、請求項1または2に記載の化合物またはその薬学的に許容可能な塩。
【請求項6】
Xは随意に置換されたアリールまたは随意に置換されたヘテロアリールである、請求項1または2に記載の化合物またはその薬学的に許容可能な塩。
【請求項7】
Xは随意に置換されたアリールである、請求項1または2に記載の化合物またはその薬学的に許容可能な塩。
【請求項8】
随意に置換されたアリールは随意に置換されたフェニルである、請求項に記載の化合物またはその薬学的に許容可能な塩。
【請求項9】
Xは随意に置換されたヘテロアリールである、請求項1または2に記載の化合物またはその薬学的に許容可能な塩。
【請求項10】
随意に置換されたヘテロアリールは、随意に置換されたピリジニル、随意に置換されたピラゾリル、または随意に置換されたインダゾリルから選択される、請求項に記載の化合物またはその薬学的に許容可能な塩。
【請求項11】
Zは随意に置換された−O−ヘテロシクリルアルキルである、請求項1乃至10のいずれか1つに記載の化合物またはその薬学的に許容可能な塩。
【請求項12】
Zは随意に置換された−N(H)−ヘテロシクリルアルキル−である、請求項1乃至10のいずれか1つに記載の化合物またはその薬学的に許容可能な塩。
【請求項13】
Zは随意に置換された−N(Me)−ヘテロシクリルアルキル−である、請求項1乃至10のいずれか1つに記載の化合物またはその薬学的に許容可能な塩。
【請求項14】
ヘテロシクリルアルキル基は式−R−ヘテロシクリルを有し、Rは随意に置換されたC−Cアルキレン鎖である、請求項11乃至13のいずれか1つに記載の化合物またはその薬学的に許容可能な塩。
【請求項15】
ヘテロシクリルアルキル基は式−R−ヘテロシクリルを有し、Rは随意に置換されたCアルキレン鎖である、請求項11乃至13のいずれか1つに記載の化合物またはその薬学的に許容可能な塩。
【請求項16】
ヘテロシクリルアルキル基は式−R−ヘテロシクリルを有し、ヘテロシクリルは随意に置換された窒素含有4−、5−、6−、または7−員のヘテロシクリルである、請求項11乃至13のいずれか1つに記載の化合物またはその薬学的に許容可能な塩。
【請求項17】
Zは随意に置換されたN結合ヘテロシクリルである、請求項1乃至10のいずれか1つに記載の化合物またはその薬学的に許容可能な塩。
【請求項18】
随意に置換されたN結合ヘテロシクリルは、4−、5−、6−、または7−員のN結合ヘテロシクリルである、請求項17に記載の化合物またはその薬学的に許容可能な塩。
【請求項19】
随意に置換されたN結合ヘテロシクリルは、6員のN結合ヘテロシクリルである、請求項17に記載の化合物またはその薬学的に許容可能な塩。
【請求項20】
随意に置換されたN結合ヘテロシクリルは、随意に置換されたピペリジンである、請求項17に記載の化合物またはその薬学的に許容可能な塩。
【請求項21】
随意に置換されたピペリジンは、4−アミノピペリジンである、請求項20に記載の化合物またはその薬学的に許容可能な塩。
【請求項22】
Yは随意に置換されたシクロアルキルである、請求項1乃至21のいずれか1つに記載の化合物またはその薬学的に許容可能な塩。
【請求項23】
Yは随意に置換されたアルキルである、請求項1乃至21のいずれか1つに記載の化合物またはその薬学的に許容可能な塩。
【請求項24】
随意に置換されたアルキルは随意に置換されたC−Cアルキルである、請求項23に記載の化合物またはその薬学的に許容可能な塩。
【請求項25】
随意に置換されたアルキルは随意に置換されたCアルキルである、請求項23に記載の化合物またはその薬学的に許容可能な塩。
【請求項26】
随意に置換されたアルキルはメチル基である、請求項23に記載の化合物またはその薬学的に許容可能な塩。
【請求項27】
請求項1に記載の式(I)の化合物またはその薬学的に許容可能な塩、および薬学的に許容可能な賦形剤を含む、医薬組成物。
【請求項28】
リジンに特異的なデメチラーゼ1酵素を請求項1に記載の式(I)の化合物に晒すことにより、リジンに特異的なデメチラーゼ1活性を阻害する、細胞中の遺伝子転写を調節するための製剤の製造における式(I)の化合物の使用。
【請求項29】
患者の癌を処置するための製剤の製造における請求項1に記載の式(I)の化合物またはその薬学的に許容可能な塩の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(相互参照)
本出願は、2014年5月1日に出願された米国仮出願第61/987,354号の利益を主張するものであり、該文献の内容は参照により本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0002】
癌および腫瘍疾患の有効な処置が当該技術分野で必要とされている。
【発明の概要】
【0003】
本明細書では、置換された複素環誘導体化合物と当該化合物を含む医薬組成物が提供される。主題の化合物と組成物はリジン特異的なデメチラーゼ−1(LSD−1)の阻害に役立つ。さらに、主題の化合物と組成物は、急性骨髄性白血病(AML)、急性リンパ芽球性白血病(ALL)、小細胞肺癌(SCLC)、非小細胞肺癌(NSCLC)、神経芽腫、小さな丸くて青い細胞腫瘍、神経膠芽腫、前立腺癌、乳癌、膀胱癌、肺癌、および/または黒色腫および同種のものなどの癌の処置に役立つ。本明細書に記載される置換された複素環誘導体化合物は、ピリミジノンなどの中央の複素環系に基づく。上記のピリミジノン環系がアリール、ヘテロアリール、または複素環の基などの4−シアノフェニル基でさらに置換される。
【0004】
1つの実施形態は、式(I)の構造を有する化合物、またはその薬学的に許容可能な塩を提供し、
【0005】
【化1】
式中、
WはN、C−H、またはC−Fであり、
Xは、水素、ハロゲン、−CN、随意に置換されたアルキル、随意に置換されたアルキニル、随意に置換されたカルボシクリルアルキニル、随意に置換されたアリール、または随意に置換されたヘテロアリールであり、
Yは、水素、随意に置換されたアルキル、随意に置換されたシクロアルキル、または随意に置換されたシクロアルキルアルキルであり、
Zは、アルキル、カルボシクリル、C結合ヘテロシクリル、N結合ヘテロシクリル、ヘテロシクリルアルキル、ヘテロシクリルアルケニル、−O−ヘテロシクリル、−N(R)−ヘテロシクリル、−O−ヘテロシクリルアルキル、−N(R)−ヘテロシクリルアルキル、−N(R)(C−Cアルキレン)−NR、−O(C−Cアルキレン)−NRから選択される随意に置換された基であり、および、
Rは水素またはC−Cアルキルである。
【0006】
1つの実施形態は、式(Ia)の構造を有する化合物、またはその薬学的に許容可能な塩を提供し、
【0007】
【化2】
式中、
WはN、C−H、またはC−Fであり、
Xは、水素、ハロゲン、−CN、随意に置換されたアルキニル、随意に置換されたカルボシクリルアルキニル、随意に置換されたアリール、または随意に置換されたヘテロアリールであり、
Yは、水素、随意に置換されたアルキル、随意に置換されたシクロアルキル、または随意に置換されたシクロアルキルアルキルであり、および、
Zは、N結合ヘテロシクリル、−O−ヘテロシクリルアルキル、−N(H)−ヘテロシクリル、−N(Me)−ヘテロシクリル、−N(H)−ヘテロシクリルアルキル、または−N(Me)−ヘテロシクリルアルキルから選択される随意に置換された基である。
【0008】
1つの実施形態は、式(Ib)の構造を有する化合物、またはその薬学的に許容可能な塩を提供し、
【0009】
【化3】
式中、
WはN、C−H、またはC−Fであり、
Xは、水素、ハロゲン、随意に置換されたアルキニル、随意に置換されたカルボシクリルアルキニル、随意に置換されたアリール、または随意に置換されたヘテロアリールであり、
Yは水素、随意に置換されたアルキル、または随意に置換されたシクロアルキルであり、および、
Zは、N−ヘテロシクリル、−O−ヘテロシクリルアルキル、−N(H)−ヘテロシクリルアルキル、または−N(Me)−ヘテロシクリルアルキルから選択される随意に置換された基である。
【0010】
1つの実施形態は、式(I)の化合物またはその薬学的に許容可能な塩、および薬学的に許容可能な賦形剤を含む医薬組成物を提供する。1つの実施形態は、式(Ia)の化合物またはその薬学的に許容可能な塩、および薬学的に許容可能な賦形剤を含む医薬組成物を提供する。1つの実施形態は、式(Ib)の化合物またはその薬学的に許容可能な塩、および薬学的に許容可能な賦形剤を含む医薬組成物を提供する。
【0011】
1つの実施形態は、リジンに特異的なデメチラーゼ1酵素を式(I)の化合物に晒すことにより、リジンに特異的なデメチラーゼ1活性を阻害する工程を含む、細胞中の遺伝子転写を調節する方法を提供する。1つの実施形態は、リジンに特異的なデメチラーゼ1酵素を式(Ia)の化合物に晒すことにより、リジンに特異的なデメチラーゼ1活性を阻害する工程を含む、細胞中の遺伝子転写を調節する方法を提供する。1つの実施形態は、リジンに特異的なデメチラーゼ1酵素を式(Ib)の化合物に晒すことにより、リジンに特異的なデメチラーゼ1活性を阻害する工程を含む、細胞中の遺伝子転写を調節する方法を提供する。
【0012】
1つの実施形態は、式(I)の化合物またはその薬学的に許容可能な塩を患者に投与する工程を含む、患者の癌を処置する方法を提供する。1つの実施形態は、式(Ia)の化合物またはその薬学的に許容可能な塩を患者に投与する工程を含む、患者の癌を処置する方法を提供する。1つの実施形態は、式(Ib)の化合物またはその薬学的に許容可能な塩を患者に投与する工程を含む、患者の癌を処置する方法を提供する。
【0013】
<参照による組み込み>
本明細書で記載される公開公報、特許、および特許出願はすべて、本明細書に特定される特定の目的を参照することにより本明細書に組み込まれる。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本明細書や添付の請求項で使用されるように、文脈で特段明示されていない限り、単数形「1つ(an)」、「および(and)」、「その(the)」は複数の指示物を含んでいる。ゆえに、例えば、「薬剤」への言及は複数のこうした薬剤を含み、「細胞」への言及は1以上の細胞(または複数の細胞)、および当業者に既知の同等物などへの言及を含む。範囲が、分子量などの物理的特性、または化学式などの化学的特性のために本明細書で使用されると、範囲およびその中の具体的な実施形態のすべての組み合わせおよびサブの組み合わせが包含されるように意図される。用語「約(about)」とは、数または数の範囲を指すとき、参照される数または数の範囲が、実験のばらつきの範囲内(または統計学的な実験誤差内)の近似値であり、したがって、数または数の範囲が、例によっては、記載される数または数の範囲の1%乃至15%で変動することを意味する。用語「含むこと(comprising)」(および、関連する用語「含む(compriseまたはcomprises)」または「有する(having)」または「含んでいる(including)」)は、他の特定の実施形態ではそれを除外することを意図しておらず、例えば、本明細書に記載される任意の物質の組成物、組成物、方法、またはプロセスなどの実施形態が、記載される特徴から「なる」または「実質的になる」。
【0015】
(定義)
本明細書と請求項で使用されるように、以下の用語は、それとは反対に指定されない限り、以下に示す意味を有する。
【0016】
「アミノ」は−NHラジカルを指す。
【0017】
「シアノ」は−CNラジカルを指す。
【0018】
「ニトロ」は−NOラジカルを指す。
【0019】
「オキサ」は−O−ラジカルを指す。
【0020】
「オキソ」は=Oラジカルを指す。
【0021】
「チオキソ」は=Sラジカルを指す。
【0022】
「イミノ」は=N−Hラジカルを指す。
【0023】
「オキシモ(Oximo)」は=N−OHラジカルを指す。
【0024】
「ヒドラジノ(Hydrazino)」は=N−NHラジカルを指す。
【0025】
「アルキル」は、炭素と水素の原子のみからなり、不飽和を含まず、1〜15の炭素原子(例えばC1−C15アルキル)を有する、直鎖または分枝鎖の炭化水素鎖ラジカルを指す。特定の実施形態において、アルキルは1〜13の炭素原子(例えばC1−C13アルキル)を含む。特定の実施形態において、アルキルは1〜8の炭素原子(例えばC−Cアルキル)を含む。他の実施形態において、アルキルは1〜5の炭素原子(例えばC−Cアルキル)を含む。他の実施形態において、アルキルは1〜4の炭素原子(例えばC−Cアルキル)を含む。他の実施形態において、アルキルは1〜3の炭素原子(例えばC−Cアルキル)を含む。他の実施形態において、アルキルは1〜2の炭素原子(例えばC−Cアルキル)を含む。他の実施形態において、アルキルは1つの炭素原子(例えばCアルキル)を含む。他の実施形態において、アルキルは5〜15の炭素原子(例えばC−C15アルキル)を含む。他の実施形態では、アルキルは5〜8つの炭素原子(例えばC−Cアルキル)を含む。他の実施形態において、アルキルは2〜5の炭素原子(例えばC−Cアルキル)を含む。他の実施形態において、アルキルは3〜5の炭素原子(例えばC−Cアルキル)を含む。他の実施形態では、アルキル基は、メチル、エチル、1−プロピル(n−プロピル)、1−メチルエチル(iso−プロピル)、1−ブチル(n−ブチル)、1−メチルプロピル(sec−ブチル)、2−メチルプロピル(iso−ブチル)、1,1−ジメチルエチル(tert−ブチル)、1−ペンチル(n−ペンチル)から選択される。アルキルは、単結合によって分子の残りに付けられる。本明細書において別段の定めの無い限り、アルキル基は以下の置換基の1つ以上で随意に置換される:ハロ、シアノ、ニトロ、オキソ、チオキソ、イミノ、オキシモ、トリメチルシラニル、−OR、−SR、−OC(O)−R、−N(R、−C(O)R、−C(O)OR、−C(O)N(R、−N(R)C(O)OR、−OC(O)−N(R、−N(R)C(O)R、−N(R)S(O)(tは1または2である)、−S(O)OR(tは1または2である)、−S(O)(tは1または2である)、および−S(O)N(R(tは1または2である);ここで、各Rは独立して水素、アルキル(随意にハロゲン、ヒドロキシ、メトキシ、またはトリフルオロメチルで置換される)、フルオロアルキル、カルボシクリル(随意にハロゲン、ヒドロキシ、メトキシ、またはトリフルオロメチルで置換される)、カルボシクリルアルキル(随意にハロゲン、ヒドロキシ、メトキシ、またはトリフルオロメチルで置換される)、アリール(随意にハロゲン、ヒドロキシ、メトキシ、またはトリフルオロメチルで置換される)、アラルキル(随意にハロゲン、ヒドロキシ、メトキシ、またはトリフルオロメチルで置換される)、ヘテロシクリル(随意にハロゲン、ヒドロキシ、メトキシ、またはトリフルオロメチルで置換される)、ヘテロシクリルアルキル(随意にハロゲン、ヒドロキシ、メトキシ、またはトリフルオロメチルで置換される)、ヘテロアリール(随意にハロゲン、ヒドロキシ、メトキシ、またはトリフルオロメチルで置換される)、またはヘテロアリールアルキル(随意にハロゲン、ヒドロキシ、メトキシ、またはトリフルオロメチルで置換される)である。
【0026】
「アルコキシ」は、式−Oアルキルの酸素原子によって結合したラジカルを指し、アルキルは上に定義されるようなアルキル鎖である。
【0027】
「アルケニル」は、炭素原子と水素原子のみからなり、少なくとも1つの炭素炭素二重結合を含み、かつ2〜12の炭素原子を有する、直鎖または分枝鎖の炭化水素鎖ラジカル基を指す。特定の実施形態において、アルケニルは、2〜8の炭素原子を含む。他の実施形態において、アルケニルは、2〜4の炭素原子を含む。アルケニルは単結合によって分子の残りに付けられ、例えば、エテニル(つまり、ビニル)、プロプ−1−エニル(つまり、アリル)、ブト(but)−1−エニル、ペンタ−1−エニル、ペンタ−1,4−ジエニルなどである。本明細書において別段の定めのない限り、アルケニル基は、以下の置換基の1つ以上によって随意に置換される:ハロ、シアノ、ニトロ、オキソ、チオキソ、イミノ、オキシモ、トリメチルシラニル、−OR、−SR、−OC(O)−R、−N(R、−C(O)R、−C(O)OR、−C(O)N(R、−N(R)C(O)OR、−OC(O)−N(R、−N(R)C(O)R、−N(R)S(O)(tは1または2である)、−S(O)OR(tは1または2である)、−S(O)(tは1または2である)、および−S(O)N(R(tは1または2である);ここで、各Rは独立して水素、アルキル(随意にハロゲン、ヒドロキシ、メトキシ、またはトリフルオロメチルで置換される)、フルオロアルキル、カルボシクリル(随意にハロゲン、ヒドロキシ、メトキシ、またはトリフルオロメチルで置換される)、カルボシクリルアルキル(随意にハロゲン、ヒドロキシ、メトキシ、またはトリフルオロメチルで置換される)、アリール(随意にハロゲン、ヒドロキシ、メトキシ、またはトリフルオロメチルで置換される)、アラルキル(随意にハロゲン、ヒドロキシ、メトキシ、またはトリフルオロメチルで置換される)、ヘテロシクリル(随意にハロゲン、ヒドロキシ、メトキシ、またはトリフルオロメチルで置換される)、ヘテロシクリルアルキル(随意にハロゲン、ヒドロキシ、メトキシ、またはトリフルオロメチルで置換される)、ヘテロアリール(随意にハロゲン、ヒドロキシ、メトキシ、またはトリフルオロメチルで置換される)、またはヘテロアリールアルキル(随意にハロゲン、ヒドロキシ、メトキシ、またはトリフルオロメチルで置換される)である。
【0028】
「アルキニル」は、炭素原子と水素原子のみからなり、2〜12の炭素原子を有し、少なくとも1つの炭素炭素三重結合を含む、直鎖または分枝鎖の炭化水素鎖ラジカル基を指す。特定の実施形態において、アルキニルは2〜8の炭素原子を含む。他の実施形態では、アルキニルは2〜6つの炭素原子を含む。他の実施形態では、アルキニルは2〜4つの炭素原子を含む。アルキニルは単結合によって分子の残りに付けられ、例えば、エチニル、プロピニル、ブチニル、ペンチニル、ヘキシニルなどである。本明細書において別段の定めのない限り、アルキニル基は、以下の置換基の1つ以上によって随意に置換される:ハロ、シアノ、ニトロ、オキソ、チオキソ、イミノ、オキシモ、トリメチルシラニル、−OR、−SR、−OC(O)−R、−N(R −C(O)R、−C(O)OR、−C(O)N(R、−N(R)C(O)OR、−OC(O)−N(R、−N(R)C(O)R、−N(R)S(O)(tは1または2である)、−S(O)OR(tは1または2である)、−S(O)(tは1または2である)、および−S(O)N(R(tは1または2である);ここで、各Rは独立して水素、アルキル(随意にハロゲン、ヒドロキシ、メトキシ、またはトリフルオロメチルで置換される)、フルオロアルキル、カルボシクリル(随意にハロゲン、ヒドロキシ、メトキシ、またはトリフルオロメチルで置換される)、カルボシクリルアルキル(随意にハロゲン、ヒドロキシ、メトキシ、またはトリフルオロメチルで置換される)、アリール(随意にハロゲン、ヒドロキシ、メトキシ、またはトリフルオロメチルで置換される)、アラルキル(随意にハロゲン、ヒドロキシ、メトキシ、またはトリフルオロメチルで置換される)、ヘテロシクリル(随意にハロゲン、ヒドロキシ、メトキシ、またはトリフルオロメチルで置換される)、ヘテロシクリルアルキル(随意にハロゲン、ヒドロキシ、メトキシ、またはトリフルオロメチルで置換される)、ヘテロアリール(随意にハロゲン、ヒドロキシ、メトキシ、またはトリフルオロメチルで置換される)、またはヘテロアリールアルキル(随意にハロゲン、ヒドロキシ、メトキシ、またはトリフルオロメチルで置換される)である。
【0029】
「アルキレン」または「アルキレン鎖」とは、炭素と水素のみからなり、不飽和を含まず、および、1〜12の炭素原子を有する、分子の残りをラジカル基に結合する直鎖または分枝鎖の二価炭化水素鎖を指し、例えば、メチレン、エチレン、プロピレン、n−ブチレンなどである。アルキレン鎖は、単結合を介して分子の残りに、および単結合を介してラジカル基に付けられる。分子の残りおよびラジカル基へのアルキレン鎖の付着点は、アルキレン鎖内の1つの炭素、またはアルキレン鎖内の任意の2つの炭素を介する。特定の実施形態において、アルキレンは1〜8つの炭素原子(例えばC−Cアルキレン)を含む。他の実施形態において、アルキレンは1〜5の炭素原子(例えばC−Cアルキレン)を含む。他の実施形態において、アルキレンは1〜4の炭素原子(例えばC−Cアルキレン)を含む。他の実施形態において、アルキレンは1〜3の炭素原子(例えばC−Cアルキレン)を含む。他の実施形態において、アルキレンは1〜2の炭素原子(例えばC−Cアルキレン)を含む。他の実施形態では、アルキレンは1つの炭素原子(例えばCアルキレン)を含む。他の実施形態では、アルキレンは5〜8の炭素原子(例えばC−Cアルキレン)を含む。他の実施形態において、アルキレンは2〜5の炭素原子(例えばC−Cアルキレン)を含む。他の実施形態において、アルキレンは3〜5の炭素原子(例えばC−Cアルキレン)を含む。本明細書において別段の定めのない限り、アルキレン鎖は、以下の置換基によって随意に置換される:ハロ、シアノ、ニトロ、オキソ、チオキソ、イミノ、オキシモ、トリメチルシラニル、−OR、−SR、−OC(O)−R、−N(R、−C(O)R、−C(O)OR、−C(O)N(R、−N(R)C(O)OR、−OC(O)−N(R、−N(R)C(O)R、−N(R)S(O)(tは1または2である)、−S(O)OR(tは1または2である)、−S(O)(tは1または2である)、および−S(O)N(R(tは1または2である);ここで、各Rは独立して水素、アルキル(随意にハロゲン、ヒドロキシ、メトキシ、またはトリフルオロメチルで置換される)、フルオロアルキル、カルボシクリル(随意にハロゲン、ヒドロキシ、メトキシ、またはトリフルオロメチルで置換される)、カルボシクリルアルキル(随意にハロゲン、ヒドロキシ、メトキシ、またはトリフルオロメチルで置換される)、アリール(随意にハロゲン、ヒドロキシ、メトキシ、またはトリフルオロメチルで置換される)、アラルキル(随意にハロゲン、ヒドロキシ、メトキシ、またはトリフルオロメチルで置換される)、ヘテロシクリル(随意にハロゲン、ヒドロキシ、メトキシ、またはトリフルオロメチルで置換される)、ヘテロシクリルアルキル(随意にハロゲン、ヒドロキシ、メトキシ、またはトリフルオロメチルで置換される)、ヘテロアリール(随意にハロゲン、ヒドロキシ、メトキシ、またはトリフルオロメチルで置換される)、またはヘテロアリールアルキル(随意にハロゲン、ヒドロキシ、メトキシ、またはトリフルオロメチルで置換される)である。
【0030】
「アルキニレン」または「アルキニレン鎖」とは、炭素と水素のみからなり、少なくとも1つの炭素炭素三重結合を含み、および2〜12の炭素原子を有する、分子の残りをラジカル基に結合する、直線または分枝鎖の二価の炭化水素鎖を指す。アルキニレン鎖は、単結合により分子の残りに付けられ、単結合によりラジカル基に付けられる。特定の実施形態では、アルキニレンは2〜8の炭素原子(例えばC−Cアルキニレン)を含む。他の実施形態では、アルキニレンは2〜5の炭素原子(例えばC−Cアルキニレン)を含む。他の実施形態では、アルキニレンは2〜4の炭素原子(例えばC−Cアルキニレン)を含む。他の実施形態では、アルキニレンは2〜3の炭素原子(例えばC−Cアルキニレン)を含む。他の実施形態では、アルキニレンは2つの炭素原子(例えばCアルキレン)を含む。他の実施形態では、アルキニレンは5〜8の炭素原子(例えばC−Cアルキニレン)を含む。他の実施形態では、アルキニレンは3〜5つの炭素原子(例えばC−Cアルキニレン)を含む。本明細書において別段の定めのない限り、アルキニレン鎖は、以下の置換基の1つ以上によって随意に置換される:ハロ、シアノ、ニトロ、オキソ、チオキソ、イミノ、オキシモ、トリメチルシラニル、−OR、−SR、−OC(O)−R、−N(R −C(O)R、−C(O)OR、−C(O)N(R、−N(R)C(O)OR、−OC(O)−N(R、−N(R)C(O)R、−N(R)S(O)(tは1または2である)、−S(O)OR(tは1または2である)、−S(O)(tは1または2である)、および−S(O)N(R(tは1または2である);ここで、各Rは独立して水素、アルキル(随意にハロゲン、ヒドロキシ、メトキシ、またはトリフルオロメチルで置換される)、フルオロアルキル、カルボシクリル(随意にハロゲン、ヒドロキシ、メトキシ、またはトリフルオロメチルで置換される)、カルボシクリルアルキル(随意にハロゲン、ヒドロキシ、メトキシ、またはトリフルオロメチルで置換される)、アリール(随意にハロゲン、ヒドロキシ、メトキシ、またはトリフルオロメチルで置換される)、アラルキル(随意にハロゲン、ヒドロキシ、メトキシ、またはトリフルオロメチルで置換される)、ヘテロシクリル(随意にハロゲン、ヒドロキシ、メトキシ、またはトリフルオロメチルで置換される)、ヘテロシクリルアルキル(随意にハロゲン、ヒドロキシ、メトキシ、またはトリフルオロメチルで置換される)、ヘテロアリール(随意にハロゲン、ヒドロキシ、メトキシ、またはトリフルオロメチルで置換される)、またはヘテロアリールアルキル(随意にハロゲン、ヒドロキシ、メトキシ、またはトリフルオロメチルで置換される)である。
【0031】
「アリール」は、環状の炭素原子から水素原子を取り除くことにより、芳香族単環式または多環式の炭化水素環系に由来するラジカルを指す。芳香族単環式または多環式の炭化水素環系は5から18の炭素原子からの水素と炭素のみを含み、ここで、環系中の環の少なくとも1つは完全に不飽和であり、つまり、Hiickel理論に従った環状の非局在化(4n+2)π−電子系を含んでいる。アリール基が得られる環系は、限定されないが、ベンゼン、フルオレン、インダン、インデン、テトラリン、およびナフタレンなどの基を含む。本明細書において別段の定めのない限り、用語「アリール」または接頭辞「ar−」(「アラルキル」のように)は、以下から独立して選択された1つ以上の置換基によって随意に置換されるアリールラジカルを含むことを意味している:アルキル、アルケニル、アルキニル、ハロ、フルオロアルキル、シアノ、ニトロ、随意に置換されたアリール、随意に置換されたアラルキル、随意に置換されたアラルケニル、随意に置換されたアラルキニル、随意に置換されたカルボシクリル、随意に置換されたカルボシクリルアルキル、随意に置換されたヘテロシクリル、随意に置換されたヘテロシクリルアルキル、随意に置換されたヘテロアリール、随意に置換されたヘテロアリールアルキル、−R−OR、−R−OC(O)−R、−R−OC(O)−OR、−R−OC(O)−N(R、−R−N(R、−R−C(O)R、−R−C(O)OR、−R−C(O)N(R、−R−O−R−C(O)N(R、−R−N(R)C(O)OR、−R−N(R)C(O)R、−R−N(R)S(O)(tは1または2である)、−R−S(O)(tは1または2である)、−R−S(O)OR(tは1または2である)、および−R−S(O)N(R(tは1または2である);ここで、各Rは独立して、水素、アルキル(ハロゲン、ヒドロキシ、メトキシ、またはトリフルオロメチルで随意に置換される)、フルオロアルキル、シクロアルキル(ハロゲン、ヒドロキシ、メトキシ、またはトリフルオロメチルで随意に置換される)、シクロアルキルアルキル(ハロゲン、ヒドロキシ、メトキシ、またはトリフルオロメチルで随意に置換される)、アリール(ハロゲン、ヒドロキシ、メトキシ、またはトリフルオロメチルで置換される)、アラルキル(ハロゲン、ヒドロキシ、メトキシ、またはトリフルオロメチルで随意に置換される)、ヘテロシクリル(ハロゲン、ヒドロキシ、メトキシ、またはトリフルオロメチルで随意に置換される)、ヘテロシクリルアルキル(ハロゲン、ヒドロキシ、メトキシ、またはトリフルオロメチルで随意に置換される)、ヘテロアリール(ハロゲン、ヒドロキシ、メトキシ、またはトリフルオロメチルで随意に置換される)、ヘテロアリールアルキル(ハロゲン、ヒドロキシ、メトキシ、またはトリフルオロメチルで随意に置換される)であり、各Rは独立して、直接結合または直鎖または分枝鎖のアルキレンまたはアルケニレン鎖であり、Rは直鎖または分枝鎖のアルキレンまたはアルケニレン鎖であり、別段の定めのない限り、上記の置換基の各々は非置換型である。
【0032】
「アラルキル」は式−R−アリールのラジカルを指し、Rは例えば、メチレン、エチレンなど上に定義されるようなアルキレン鎖である。アラルキルラジカルのアルキレン鎖部分は、アルキレン鎖について上に記載されるように随意に置換される。アラルキルラジカルのアリール部分は、アリール基について上に記載されるように随意に置換される。
【0033】
「アラルケニル」は式−R−アリールのラジカルを指し、Rは上に定義されるようなアルケニレン鎖である。アラルケニルラジカルのアリール基部分は、アリール基について上に記載されるように随意に置換される。アラルケニルラジカルのアルケニレン鎖部分は、アルケニレン基について上に定義されるように随意に置換される。
【0034】
「アラルキニル」は式−R−アリールのラジカルを指し、Rは上に定義されるようなアルキニレン鎖である。アラルキニルラジカルのアリール部分は、アリール基について上記に記載されるように、随意に置換される。アラルキニルラジカルのアルキニレン鎖部分は、アルキニレン鎖について上記に定義されるように、随意に置換される。
【0035】
「アラルコキシ」は式−O−R−アリールの酸素原子を介して結合したラジカルを指し、Rは例えばメチレン、エチレンなど上に定義されるようなアルキレン鎖である。アラルキルラジカルのアルキレン鎖部分は、アルキレン鎖について上に記載されるように随意に置換される。アラルキルラジカルのアリール部分は、アリール基について上に記載されるように随意に置換される。
【0036】
「カルボシクリル」とは、炭素と水素の原子のみからなり、縮合した環系または架橋した環系を含み、および、3〜15の炭素原子を有する、安定した非芳香族単環式または多環式の炭化水素ラジカルを指す。特定の実施形態において、カルボシクリルは3〜10の炭素原子を含む。他の実施形態において、カルボシクリルは5〜7の炭素原子を含む。カルボシクリルは、単結合により分子の残りに付けられる。カルボシクリルは飽和している(つまり、単一のC−C結合のみを含む)か、または不飽和(つまり、1つ以上の二重結合または三重結合を含む)である。完全に飽和したカルボシクリルラジカルは「シクロアルキル」とも呼ばれる。単環式シクロアルキルの例は、例えば、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、およびシクロオクチルを含む。不飽和カルボシクリルは「シクロアルケニル」とも呼ばれる。単環式のシクロアルケニルの例は、例えば、シクロペンテニル、シクロヘキセニル、シクロヘプテニル、およびシクロオクテニルを含む。多環式のカルボシクリルラジカルは、例えば、アダマンチル、ノルボルニル(つまりビシクロ[2.2.1]ヘプタニル)、 ノルボルネニル(norbornenyl)、デカリニル(decalinyl)、7,7−ジメチル−ビシクロ[2.2.1]ヘプタニルなどを含む。本明細書で別段の定めのない限り、用語「カルボシクリル」は、以下から独立して選択される1つ以上の置換基によって随意に置換されるカルボシクリルラジカルを含むことを意味している:アルキル、アルケニル、アルキニル、ハロ、フルオロアルキル、オキソ、チオキソ、シアノ、ニトロ、随意に置換されたアリール、随意に置換されたアラルキル、随意に置換されたアラルケニル、随意に置換されたアラルキニル、随意に置換されたカルボシクリル、随意に置換されたカルボシクリルアルキル、随意に置換されたヘテロシクリル、随意に置換されたヘテロシクリルアルキル、随意に置換されたヘテロアリール、随意に置換されたヘテロアリールアルキル、−R−OR、−R−OC(O)−R、−R−OC(O)−OR、−R−OC(O)−N(R、−R−N(R、−R−C(O)R、−R−C(O)OR、−R−C(O)N(R、−R−O−R−C(O)N(R、−R−N(R)C(O)OR、−R−N(R)C(O)R、−R−N(R)S(O)(tは1または2である)、−R−S(O)(tは1または2である)、−R−S(O)OR(tは1または2である)、および−R−S(O)N(R(tは1または2である);ここで、各Rは独立して、水素、アルキル(ハロゲン、ヒドロキシ、メトキシ、またはトリフルオロメチルで随意に置換される)、フルオロアルキル、シクロアルキル(ハロゲン、ヒドロキシ、メトキシ、またはトリフルオロメチルで随意に置換される)、シクロアルキルアルキル(ハロゲン、ヒドロキシ、メトキシ、またはトリフルオロメチルで随意に置換される)、アリール(ハロゲン、ヒドロキシ、メトキシ、またはトリフルオロメチルで置換される)、アラルキル(ハロゲン、ヒドロキシ、メトキシ、またはトリフルオロメチルで随意に置換される)、ヘテロシクリル(ハロゲン、ヒドロキシ、メトキシ、またはトリフルオロメチルで随意に置換される)、ヘテロシクリルアルキル(ハロゲン、ヒドロキシ、メトキシ、またはトリフルオロメチルで随意に置換される)、ヘテロアリール(ハロゲン、ヒドロキシ、メトキシ、またはトリフルオロメチルで随意に置換される)、ヘテロアリールアルキル(ハロゲン、ヒドロキシ、メトキシ、またはトリフルオロメチルで随意に置換される)であり、各Rは独立して、直接結合または直鎖または分枝鎖のアルキレンまたはアルケニレン鎖であり、Rは直鎖または分枝鎖のアルキレンまたはアルケニレン鎖であり、別段の定めのない限り、上記の置換基の各々は非置換型である。
【0037】
「カルボシクリルアルキル」は、式−R−カルボシクリルのラジカルを指し、Rは上に定義されるようなアルキレン鎖である。アルキレン鎖およびカルボシクリルラジカルは、上に定義されるように随意に置換される。
【0038】
「カルボシクリルアルキニル」は、式−R−カルボシクリルのラジカルを指し、Rは上に定義されるようなアルキニレン鎖である。アルキニレン鎖とカルボシクリルラジカルは上に定義されるように随意に置換される。
【0039】
「カルボシクリルアルコキシ」は、式−O−R−カルボシクリルの酸素原子により結合されたラジカルを指し、Rは上に定義されるようなアルキレン鎖である。アルキレン鎖およびカルボシクリルラジカルは、上に定義されるように随意に置換される。
【0040】
本明細書で使用されるように、「カルボン酸生物学的等価体」は、カルボン酸部分として同様の物理的、生物的、および/または化学的な性質を示す、官能基または部分を指す。カルボン酸生物学的等価体の例としては、限定されないが、以下が挙げられる。
【0041】
【化4】
【0042】
「ハロ」または「ハロゲン」はブロモ、クロロ、フルオロ、またはヨードの置換基を指す。
【0043】
「フルオロアルキル」は上に定義されるようなアルキルラジカルを指し、上に定義されるような1つ以上のフルオロラジカル、例えば、トリフルオロメチル、ジフルオロメチル、フルオロメチル、2,2,2−トリフルオロエチル、1−フルオロメチル−2−フルオロエチルなどによって置換される。いくつかの実施形態では、フルオロアルキルラジカルのアルキル部分はアルキル基について上に定義されるように随意に置換される。
【0044】
「ヘテロシクリル」は、窒素、酸素、および硫黄から選択される2〜12の炭素原子と1〜6つのヘテロ原子を含む、安定した3乃至18員の非芳香族環ラジカルを指す。本明細書で別段の定めのない限り、ヘテロシクリルラジカルは、単環式、二環式、三環式、または四環式の環系であり、それは縮合した環系または架橋した環系を随意に含む。ヘテロシクリルラジカル中のヘテロ原子は随意に酸化される。1つ以上の窒素原子は、存在する場合、随意に四級化される。ヘテロシクリルラジカルは、部分的または完全に飽和される。ヘテロシクリルは環の任意の原子によって分子の残りに付けられる。こうしたヘテロシクリルラジカルの例としては、限定されないが、ジオキソラニル、チエニル[1,3]ジチアニル、デカヒドロイソキノリル、イミダゾリニル、イミダゾリジニル、イソチアゾリジニル、イソキサゾリジニル、モルホリニル、オクタヒドロインドリル、オクタヒドロイソインドリル、2−オキソピペラジニル、2−オキソピペリジニル、2−オキソピロリジニル、オキサゾリジニル、ピペリジニル、ピペラジニル、4−ピペリドニル、ピロリジニル、ピラゾリジニル、キヌクリジニル、チアゾリジニル、テトラヒドロフラニル、トリチアニル、テトラヒドロピラニル、チオモルホリニル、チアモルホリニル、1−オキソ−チオモルホリニル、および1,1−ジオキソ−チオモルホリニル。本明細書で別段の定めのない限り、用語「ヘテロシクリル」は、以下から選択される1つ以上の置換基によって随意に置換されるヘテロシクリルラジカルを含むことを意味している:アルキル、アルケニル、アルキニル、ハロ、フルオロアルキル、オキソ、チオキソ、シアノ、ニトロ、随意に置換されたアリール、随意に置換されたアラルキル、随意に置換されたアラルケニル、随意に置換されたアラルキニル、随意に置換されたカルボシクリル、随意に置換されたカルボシクリルアルキル、随意に置換されたヘテロシクリル、随意に置換されたヘテロシクリルアルキル、随意に置換されたヘテロアリール、随意に置換されたヘテロアリールアルキル、−R−OR、−R−OC(O)−R、−R−OC(O)−OR、−R−OC(O)−N(R、−R−N(R、−R−C(O)R、−R−C(O)OR、−R−C(O)N(R、−R−O−R−C(O)N(R、−R−N(R)C(O)OR、−R−N(R)C(O)R、−R−N(R)S(O)(tは1または2である)、−R−S(O)(tは1または2である)、−R−S(O)OR(tは1または2である)、および−R−S(O)N(R(tは1または2である);ここで、各Rは独立して、水素、アルキル(ハロゲン、ヒドロキシ、メトキシ、またはトリフルオロメチルで随意に置換される)、フルオロアルキル、シクロアルキル(ハロゲン、ヒドロキシ、メトキシ、またはトリフルオロメチルで随意に置換される)、シクロアルキルアルキル(ハロゲン、ヒドロキシ、メトキシ、またはトリフルオロメチルで随意に置換される)、アリール(ハロゲン、ヒドロキシ、メトキシ、またはトリフルオロメチルで置換される)、アラルキル(ハロゲン、ヒドロキシ、メトキシ、またはトリフルオロメチルで随意に置換される)、ヘテロシクリル(ハロゲン、ヒドロキシ、メトキシ、またはトリフルオロメチルで随意に置換される)、ヘテロシクリルアルキル(ハロゲン、ヒドロキシ、メトキシ、またはトリフルオロメチルで随意に置換される)、ヘテロアリール(ハロゲン、ヒドロキシ、メトキシ、またはトリフルオロメチルで随意に置換される)、ヘテロアリールアルキル(ハロゲン、ヒドロキシ、メトキシ、またはトリフルオロメチルで随意に置換される)であり、各Rは独立して、直接結合または直鎖または分枝鎖のアルキレンまたはアルケニレン鎖であり、Rは直鎖または分枝鎖のアルキレンまたはアルケニレン鎖であり、別段の定めのない限り、上記の置換基の各々は非置換型である。
【0045】
「N−ヘテロシクリル」または「N結合ヘテロシクリル」は、少なくとも1つの窒素を含むうえで定義されるようなヘテロシクリルラジカルを指し、ヘテロシクリルラジカルの分子の残りとの付着点はヘテロシクリルラジカル中の窒素原子を介する。N−ヘテロシクリルラジカルは、ヘテロシクリルラジカルについて上に記載されるように随意に置換される。こうしたN−ヘテロシクリルラジカルの例としては、限定されないが、1−モルホリニル、1−ピペリジニル、1−ピペラジニル、1−ピロリジニル、ピラゾリジニル、イミダゾリニル、およびイミダゾリジニルが挙げられる。
【0046】
「C−ヘテロシクリル」または「C結合ヘテロシクリル」は、少なくとも1つのヘテロ原子を含む上に定義されるようなヘテロシクリルラジカルを指し、ヘテロシクリルラジカルと分子の残りとの付着点はヘテロシクリルラジカル中の炭素原子を介する。C−ヘテロシクリルラジカルは、ヘテロシクリルラジカルについて上に記載されるように随意に置換される。こうしたC−ヘテロシクリルラジカルの例としては、限定されないが、2−モルホリニル、2−、または3−、または4−ピペリジニル、2−ピペラジニル、2−または3−ピロリジニルなどが挙げられる。
【0047】
「ヘテロシクリルアルキル」は、式−R−ヘテロシクリルのラジカルを指し、Rは上に定義されるようなアルキレン鎖である。ヘテロシクリルは、窒素含有ヘテロシクリルである場合、窒素原子でアルキルラジカルに随意に付けられる。ヘテロシクリルアルキルラジカルのアルキレン鎖は、アルキレン鎖について上に定義されるように随意に置換される。ヘテロシクリルアルキルラジカルのヘテロシクリル部分は、ヘテロシクリル基について上に定義されるように随意に置換される。
【0048】
「ヘテロシクリルアルコキシ」は、式−O−R−ヘテロシクリルの酸素原子によって結合したラジカルを指し、Rは上に定義されるようなアルキレン鎖である。ヘテロシクリルは、窒素含有ヘテロシクリルである場合、窒素原子でアルキルラジカルに随意に付けられる。ヘテロシクリルアルコキシラジカルのアルキレン鎖は、アルキレン鎖について上に定義されるように随意に置換される。ヘテロシクリルアルコキシラジカルのヘテロシクリル部分は、ヘテロシクリル基について上に定義されるように随意に置換される。
【0049】
「ヘテロアリール」は、窒素、酸素、および硫黄から選択される2〜17の炭素原子と1〜6のヘテロ原子を含む、3乃至18員の芳香族環ラジカルに由来するラジカルを指す。本明細書で使用されるように、ヘテロアリールラジカルは、単環式、二環式、三環式、または四環式の環系であり、環系中の環の少なくとも1つは完全に不飽和であり、つまり、Hiickel理論に従った環状の非局在化(4n+2)π−電子系を含んでいる。ヘテロアリールは、縮合または架橋した環系を含む。ヘテロアリールラジカルにおけるヘテロ原子は、随意に酸化される。1つ以上の窒素原子は、存在する場合、随意に四級化される。ヘテロアリールは、環の任意の原子を介して分子の残りに付けられる。ヘテロアリールの例としては、限定されないが、アゼピニル、アクリジニル、ベンズイミダゾリル、ベンズインドリル、1,3−ベンゾジオキソリル(benzodioxolyl)、ベンゾフラニル、ベンゾオキサゾリル、ベンゾ[d]チアゾリル、ベンゾチアジアゾリル、ベンゾ[b][1,4]ジオキセピニル(dioxepinyl)、ベンゾ[b][1,4]オキサジニル、1,4−ベンゾジオキサニル、ベンゾナフトフラニル、ベンゾオキサゾリル、ベンゾジオキソリル(benzodioxolyl)、ベンゾジオキシニル(benzodioxinyl)、ベンゾピラニル、ベンゾピラノニル(benzopyranonyl)、ベンゾフラニル、ベンゾフラノニル(benzoフラノニル)、ベンゾチエニル(ベンゾチオフェニル)、ベンゾチエノ[3,2−d]ピリミジニル、ベンゾトリアゾリル、ベンゾ[4,6]イミダゾ[1,2−a]ピリジニル、カルバゾリル、シンノリニル、シクロペンタ[d]ピリミジニル、6,7−ジヒドロ−5H−シクロペンタ[4,5]チエノ[2,3−d]ピリミジニル、5,6−ジヒドロベンゾ[h]キナゾリニル、5,6−ジヒドロベンゾ[h]シンノリニル、6,7−ジヒドロ−5H−ベンゾ[6,7]シクロヘプタ[1,2−c]ピリダジニル、ジベンゾフラニル、ジベンゾチオフェニル、フラニル、フラノニル、フロ[3,2−c]ピリジニル、5,6,7,8,9,10−ヘキサヒドロシクロオクタ[d]ピリミジニル、5,6,7,8,9,10−ヘキサヒドロシクロオクタ[d]ピリダジニル、5,6,7,8,9,10−ヘキサヒドロシクロオクタ[d]ピリジニル、イソチアゾリル、イミダゾリル、インダゾリル、インドリル、インダゾリル、イソインドリル、インドリニル、イソインドリニル、イソキノリル、インドリジニル、イソキサゾリル、5,8−メタノ−5,6,7,8−テトラヒドロキナゾリニル、ナフチリジニル、1,6−ナフチリジノニル、オキサジアゾリル、2−オキソアゼピニル、オキサゾリル、オキシラニル、5,6,6a,7,8,9,10,10a−オクタヒドロベンゾ[h]キナゾリニル、1−フェニル−1H−ピロリル、フェナジニル、フェノチアジニル、フェノキサジニル、フタラジニル、プテリジニル、プリニル、ピロリル、ピラゾリル、ピラゾロ[3,4−d]ピリミジニル、ピリジニル、ピリド[3および2 d]ピリミジニル、ピリド[3,4−d]ピリミジニル、ピラジニル、ピリミジニル、ピリダジニル、ピロリル、キナゾリニル、キノキサリニル、キノリニル、イソキノリニル、テトラヒドロキノリニル、5,6,7,8−テトラヒドロキナゾリニル、5,6,7,8−テトラヒドロベンゾ[4,5]チエノ[2,3−d]ピリミジニル、6,7,8,9−テトラヒドロ−5H−シクロヘプタ[4,5]チエノ[2,3−d]ピリミジニル、5,6,7,8−テトラヒドロピリド[4,5−c]ピリダジニル、チアゾリル、チアジアゾリル、トリアゾリル、テトラゾリル、トリアジニル、チエノ[2,3−d]ピリミジニル、チエノ[3,2−d]ピリミジニル、チエノ[2,3−d]ピリジニル、およびチオフェニル(すなわち、チエニル)が挙げられる。本明細書で別段の定めのない限り、用語「ヘテロアリール」は、以下から選択される、上に定義されるような1つ以上の置換基によって随意に置換されるヘテロアリールラジカルを含むことを意味している:アルキル、アルケニル、アルキニル、ハロ、フルオロアルキル、ハロアルケニル、ハロアルキニル、オキソ、チオキソ、シアノ、ニトロ、随意に置換されたアリール、随意に置換されたアラルキル、随意に置換されたアラルケニル、随意に置換されたアラルキニル、随意に置換されたカルボシクリル、随意に置換されたカルボシクリルアルキル、随意に置換されたヘテロシクリル、随意に置換されたヘテロシクリルアルキル、随意に置換されたヘテロアリール、随意に置換されたヘテロアリールアルキル、−R−OR、−R−OC(O)−R、−R−OC(O)−OR、−R−OC(O)−N(R、−R−N(R、−R−C(O)R、−R−C(O)OR、−R−C(O)N(R、−R−O−R−C(O)N(R、−R−N(R)C(O)OR、−R−N(R)C(O)R、−R−N(R)S(O)(tは1または2である)、−R−S(O)(tは1または2である)、−R−S(O)OR(tは1または2である)、および−R−S(O)N(R(tは1または2である);ここで、各Rは独立して、水素、アルキル(ハロゲン、ヒドロキシ、メトキシ、またはトリフルオロメチルで随意に置換される)、フルオロアルキル、シクロアルキル(ハロゲン、ヒドロキシ、メトキシ、またはトリフルオロメチルで随意に置換される)、シクロアルキルアルキル(ハロゲン、ヒドロキシ、メトキシ、またはトリフルオロメチルで随意に置換される)、アリール(ハロゲン、ヒドロキシ、メトキシ、またはトリフルオロメチルで置換される)、アラルキル(ハロゲン、ヒドロキシ、メトキシ、またはトリフルオロメチルで随意に置換される)、ヘテロシクリル(ハロゲン、ヒドロキシ、メトキシ、またはトリフルオロメチルで随意に置換される)、ヘテロシクリルアルキル(ハロゲン、ヒドロキシ、メトキシ、またはトリフルオロメチルで随意に置換される)、ヘテロアリール(ハロゲン、ヒドロキシ、メトキシ、またはトリフルオロメチルで随意に置換される)、ヘテロアリールアルキル(ハロゲン、ヒドロキシ、メトキシ、またはトリフルオロメチルで随意に置換される)であり、各Rは独立して、直接結合または直鎖または分枝鎖のアルキレンまたはアルケニレン鎖であり、Rは直鎖または分枝鎖のアルキレンまたはアルケニレン鎖であり、別段の定めのない限り、上記の置換基の各々は非置換型である。
【0050】
「N−ヘテロアリール」とは、少なくとも1つの窒素を含む上に定義されるようなヘテロアリールラジカルを指し、ヘテロアリールラジカルの分子の残りとの付着点はヘテロアリールラジカル中の窒素原子を介する。N−ヘテロアリールラジカルは、ヘテロアリールラジカルについて上に記載されるように随意に置換される。
【0051】
「C−ヘテロアリール」とは上に定義されるようなヘテロアリールラジカルを指し、ヘテロアリールラジカルの分子の残りとの付着点はヘテロアリールラジカル中の炭素原子を介する。C−ヘテロアリールラジカルは、ヘテロアリールラジカルについて上に記載されるように随意に置換される。
【0052】
「ヘテロアリールアルキル」とは、式−R−ヘテロアリールのラジカルを指し、Rは上に定義されるようなアルキレン鎖である。ヘテロアリールは、窒素含有ヘテロアリールである場合、窒素原子でアルキルラジカルに随意に付けられる。ヘテロアリールアルキルラジカルのアルキレン鎖は、アルキレン鎖について上に定義されるように随意に置換される。ヘテロアリールアルキルラジカルのヘテロアリール部分は、ヘテロアリール基について上に定義されるように随意に置換される。
【0053】
「ヘテロアリールアルコキシ」とは、式−O−R−ヘテロアリールの酸素原子によって結合したラジカルを指し、Rは上に定義されるようなアルキレン鎖である。ヘテロアリールは、窒素含有ヘテロアリールである場合、窒素原子でアルキルラジカルに随意に付けられる。ヘテロアリールアルコキシラジカルのアルキレン鎖は、アルキレン鎖について上に定義されるように随意に置換される。ヘテロアリールアルコキシラジカルのヘテロアリール部分は、ヘテロアリール基について上に定義されるように随意に置換される。
【0054】
本明細書に記載される化合物は、いくつかの実施形態において、1つ以上の不斉中心を含み、ゆえに、エナンチオマー、ジアステレオマー、および絶対立体化学の点から(R)−または(S)−として定義される他の立体異性形態を生じさせる。別段の定めがない限り、本明細書に開示される化合物のすべての立体異性形態が本開示によって企図されている。本明細書に記載される化合物はアルケン二重結合を含み、かつ、別段の定めのない限り、本開示はEとZの幾何異性体(例えば、cisまたはtrans)の両方を含んでいる。同様に、すべてのあり得る異性体、同じくそれらのラセミ体および光学的に純粋な形態、並びにすべての互変異性体も含まれている。用語「幾何異性体」はアルケン二重結合のEまたはZの幾何異性体(例えば、シス(cis)またはトランス(trans))を指す。「位置異性体」との用語は、ベンゼン環のまわりのオルト−、メタ−、およびパラ−異性体などの、中心環のまわりの構造異性体を指す。
【0055】
「互変異性体」は、分子の1つの原子から同じ分子の別の原子までのプロトン移動が可能な分子を指す。本明細書で提示される化合物は、特定の実施形態では互変異性体として存在する。互変異性化が可能な状況では、互変異性体の化学平衡が存在する。互変異性体の正確な割合は、物理的状態、温度、溶媒、およびpHを含む、様々な因子に依存する。互変異性平衡のいくつかの例は、次のものを含む:
【0056】
【化5】
【0057】
「薬学的に許容可能な塩」とは酸付加塩と塩基付加塩の両方を含んでいる。本明細書に記載される置換された複素環誘導体化合物のいずれか1つの薬学的に許容可能な塩は、あらゆる薬学的に適切な塩形態を包含することを意図している。本明細書に記載される化合物の好ましい薬学的に許容可能な塩は、薬学的に許容可能な酸付加塩および薬学的に許容可能な塩基付加塩である。
【0058】
「薬学的に許容可能な酸付加塩」とは、遊離塩基の生物学的効果と特性を保持する塩を指し、遊離塩基は生物学的にまたはそれ以外でも望ましくないものではなく、塩酸、臭化水素酸、硫酸、硝酸、リン酸、ヨウ化水素酸、フッ化水素酸、亜リン酸などの無機酸が作られる。同様に、脂肪族のモノカルボン酸およびジカルボン酸、フェニル置換のアルカン酸、ヒドロキシアルカン酸、アルカン二酸(alkanedioic acids)、芳香族酸、脂肪族酸および芳香族スルホン酸などの有機酸により形成される塩も含まれ、例えば、酢酸、トリフルオロ酢酸、プロピオン酸、グリコール酸、ピルビン酸、シュウ酸、マレイン酸、マロン酸、コハク酸、フマル酸、酒石酸、クエン酸、安息香酸、桂皮酸、マンデル酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、サリチル酸などを含む。したがって、典型的な塩は、硫酸塩、ピロ硫酸塩、重硫酸塩、亜硫酸塩、重亜硫酸塩、硝酸塩、リン酸塩、リン酸一水素、リン酸二水素、メタリン酸塩、ピロリン酸塩、塩化物、臭化物、ヨウ化物、酢酸塩、トリフルオロ酢酸塩、プロピオン酸塩、カプリル酸塩、イソ酪酸塩、シュウ酸塩、マロン酸塩、琥珀酸塩スベリン酸塩、セバシン酸塩、フマル酸塩、マレイン酸塩、マンデル酸塩、安息香酸塩、クロロ安息香酸塩、安息香酸メチル、ジニトロ安息香酸塩(dinitrobenzoates)、フタル酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、トルエンスルホン酸塩、酢酸フェニル、クエン酸塩、乳酸塩、リンゴ酸塩、酒石酸塩、メタンスルホン酸塩などを含む。同様に、アルギニン酸塩(arginates)、グルコン酸塩、およびガラクトウロン酸塩の塩も企図される(例えば、Berge S.M. et al.,“Pharmaceutical Salts,”Journal of Pharmaceutical Science, 66 : 1 − 19 ( 1997)を参照)。塩基性化合物の酸付加塩は、実施形態によっては、当業者が熟知している方法と技術に従って塩を生成するために、十分な量の所望の酸に遊離塩基形態を接触させることにより調製される。
【0059】
「薬学的に許容可能な塩基付加塩」は、生物学的またはそれ以外の方法でも望ましくないものではない遊離酸の生物学的効果と特性を保持する塩を指す。これらの塩は、無機塩基または有機塩基を遊離酸に加えることによって調製される。薬学的に許容可能な塩基付加塩は、実施形態によっては、アルカリ、アルカリ土類金属、または有機アミンのような金属またはアミンで作られる。無機塩基に由来する塩は、限定されないが、ナトリウム、カリウム、リチウム、アンモニウム、カルシウム、マグネシウム、鉄、亜鉛、銅、マンガン、アルミニウムの塩などを含む。有機塩基に由来する塩としては、限定されないが、一級、二級、および三級のアミン、自然発生の置換されたアミン、環状アミンを含む置換されたアミン、および、塩基性イオン交換樹脂、例えば、イソプロピルアミン、トリメチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、トリプロピルアミン、エタノールアミン、ジエタノールアミン、2−ジメチルアミノエタノール、2−ジエチルアミノエタノール、ジシクロヘキシルアミン、リジン、アルギニン、ヒスチジン、カフェイン、プロカイン、N,N−ジベンジルエチレンジアミン、クロロプロカイン、ヒドラバミン、コリン、ベタイン、エチレンジアミン、エチレンジアニリン、N−メチルグルカミン、グルコサミン、メチルグルカミン、テオブロミン、プリン、ピペラジン、ピペリジン、N−エチルピペリジン、ポリアミン樹脂などの塩が挙げられる。上記のBergeらの文献を参照。
【0060】
本明細書で使用されるように、「処置」または「処置すること」または「緩和すること」または「寛解させること」は交換可能に使用される。こうした用語は、限定されないが、治療の有用性および/または予防的な利益を含む、有益な結果または望ましい結果を得るための手法を指す。「治療効果」は、処置されている基礎疾患の根絶または寛解を意味する。同様に、治療効果は、患者がまだ基礎疾患に罹っているにもかかわらず患者で改善が観察されるように、基礎疾患に関連する生理的な症状の1つ以上の根絶または寛解により達成される。予防的な効果については、たとえ特定の疾患の診断がなされていなくても、組成物は、実施形態によっては、この疾患にかかる危険に瀕している患者、または疾患の生理的な症状の1つ以上を報告する患者に投与される。
【0061】
「プロドラッグ」とは、実施形態によっては、生理学的条件下で、または、生物学的に活性な化合物への加溶媒分解によって変換される化合物を指し示すことを意味している。ゆえに、用語「プロドラッグ」は、薬学的に許容可能な生物活性化合物の前駆物質を指す。プロドラッグは、被験体に投与されるとき、一般に不活性であるが、例えば、加水分解によってインビボで活性化合物に変換される。プロドラッグ化合物は哺乳動物の生命体における溶解度、組織適合性、または遅延放出性という利点をしばしば与えるものである(例えば、Bundgard, H., Design of Prodrugs (1985), pp. 7−9, 21−24 (Elsevier, Amsterdamを参照)。
【0062】
プロドラッグの議論は、Higuchi, T., t al,“Pro−drugs as Novel Delivery Systems,”A.C.S. Symposium Series, Vol.14,及び Bioreversible Carriers in Drug Design, ed. Edward B. Roche, American Pharmaceutical Association and Pergamon Press, 1987で与えられている。
【0063】
用語「プロドラッグ」は、こうしたプロドラッグが哺乳動物の被験体に投与されるときに、活性化合物をインビボで放出する、任意の共有結合した担体を含むことも意味している。本明細書に記載されるような活性化合物のプロドラッグは、日常的な操作またはインビボで官能基の修飾が切断されて親の活性化合物になるような方法で、活性化合物中に存在する官能基を修飾することにより調製される。プロドラッグは化合物を含み、ヒドロキシ、アミノ、またはメルカプトの基は、活性化合物のプロドラッグが哺乳動物の被験体に投与されると、切断されて、それぞれ遊離ヒドロキシ、遊離アミノ、または遊離メルカプトの基を形成する任意の基に結合される。プロドラッグの例は、限定されないが、活性化合物におけるアルコールまたはアミン官能基の酢酸塩、ギ酸塩、および安息香酸塩の誘導体などを含む。
【0064】
置換された複素環誘導体化合物
本明細書に記載される置換された複素環誘導体化合物は、リジン特異的なデメチラーゼ−1阻害剤である。これらの化合物、およびこれらの化合物を含む組成物は、癌および腫瘍疾患の処置に有用である。
【0065】
1つの実施形態は、式(I)の構造を有する化合物またはその薬学的に許容可能な塩を提供し、
【0066】
【化6】
式中、
WはN、C−H、またはC−Fであり、
Xは、水素、ハロゲン、−CN、随意に置換されたアルキル、随意に置換されたアルキニル、随意に置換されたカルボシクリルアルキニル、随意に置換されたアリール、または随意に置換されたヘテロアリールであり、
Yは、水素、随意に置換されたアルキル、随意に置換されたシクロアルキル、または随意に置換されたシクロアルキルアルキルであり、
Zは、アルキル、カルボシクリル、C結合ヘテロシクリル、N結合ヘテロシクリル、ヘテロシクリルアルキル、ヘテロシクリルアルケニル、−O−ヘテロシクリル、−N(R)−ヘテロシクリル、−O−ヘテロシクリルアルキル、−N(R)−ヘテロシクリルアルキル、−N(R)(C−Cアルキレン)−NR、−O(C−Cアルキレン)−NRから選択される随意に置換された基であり、および
Rは水素またはC−Cアルキルである。
【0067】
1つの実施形態は、式(Ia)の構造を有する式(I)の化合物またはその薬学的に許容可能な塩を提供し、
【0068】
【化7】
式中、
WはN、C−H、またはC−Fであり、
Xは、水素、ハロゲン、−CN、随意に置換されたアルキニル、随意に置換されたカルボシクリルアルキニル、随意に置換されたアリール、または随意に置換されたヘテロアリールであり、
Yは、水素、随意に置換されたアルキル、随意に置換されたシクロアルキル、または随意に置換されたシクロアルキルアルキルであり、および、
Zは、N結合ヘテロシクリル、−O−ヘテロシクリルアルキル、−N(H)−ヘテロシクリル、−N(Me)−ヘテロシクリル、−N(H)−ヘテロシクリルアルキル、または−N(Me)−ヘテロシクリルアルキルから選択される随意に置換された基である。
【0069】
1つの実施形態は、式(Ib)の構造を有する式(I)または(Ia)の化合物、あるいはその薬学的に許容可能な塩を提供し、
【0070】
【化8】
式中、
WはN、C−H、またはC−Fであり、
Xは、水素、ハロゲン、随意に置換されたアルキニル、随意に置換されたカルボシクリルアルキニル、随意に置換されたアリール、または随意に置換されたヘテロアリールであり、
Yは水素、随意に置換されたアルキル、または随意に置換されたシクロアルキルであり、および、
Zは、N−ヘテロシクリル、−O−ヘテロシクリルアルキル、−N(H)−ヘテロシクリルアルキル、または−N(Me)−ヘテロシクリルアルキルから選択される随意に置換された基である。
【0071】
別の実施形態は、式(Ib)の化合物またはその薬学的に許容可能な塩を提供し、WはC−Hである。別の実施形態は、式(Ib)の化合物またはその薬学的に許容可能な塩を提供し、WはC−Fである。別の実施形態は、式(Ib)の化合物またはその薬学的に許容可能な塩を提供し、WはNである。
【0072】
別の実施形態は、式(Ib)の化合物またはその薬学的に許容可能な塩を提供し、Xは水素である。別の実施形態は、式(Ib)の化合物またはその薬学的に許容可能な塩を提供し、Xはハロゲンである。別の実施形態は、式(Ib)の化合物またはその薬学的に許容可能な塩を提供し、Xは随意に置換されたアルキニルである。別の実施形態は、式(Ib)の化合物またはその薬学的に許容可能な塩を提供し、Xは随意に置換されたカルボシクリルアルキニルである。
【0073】
別の実施形態は、式(Ib)の化合物またはその薬学的に許容可能な塩を提供し、Xは随意に置換されたアリールまたは随意に置換されたヘテロアリールである。別の実施形態は、式(Ib)の化合物またはその薬学的に許容可能な塩を提供し、Xは随意に置換されたアリールである。別の実施形態は、式(Ib)の化合物またはその薬学的に許容可能な塩を提供し、Xは随意に置換されたフェニルである。別の実施形態は、式(Ib)の化合物またはその薬学的に許容可能な塩を提供し、Xは随意に置換されたヘテロアリールである。別の実施形態は、式(Ib)の化合物またはその薬学的に許容可能な塩を提供し、Xは、随意に置換されたピリジニル、随意に置換されたピラゾリル、または随意に置換されたインダゾリルから選択される。
【0074】
別の実施形態は、式(Ib)の化合物またはその薬学的に許容可能な塩を提供し、Yは水素である。別の実施形態は、式(Ib)の化合物またはその薬学的に許容可能な塩を提供し、Yは随意に置換されたシクロアルキルである。別の実施形態は、式(Ib)の化合物またはその薬学的に許容可能な塩を提供し、Yは随意に置換されたアルキルである。別の実施形態は、式(Ib)の化合物またはその薬学的に許容可能な塩を提供し、Yは随意に置換されたC−Cアルキルである。別の実施形態は、式(Ib)の化合物またはその薬学的に許容可能な塩を提供し、Yは随意に置換されたCアルキルである。別の実施形態は、式(Ib)の化合物またはその薬学的に許容可能な塩を提供し、Yはメチル基である。
【0075】
別の実施形態は、式(Ib)の化合物またはその薬学的に許容可能な塩を提供し、Zは随意に置換された−O−ヘテロシクリルアルキルである。別の実施形態は、式(Ib)の化合物またはその薬学的に許容可能な塩を提供し、Zは随意に置換された−N(H)−ヘテロシクリルアルキル−である。別の実施形態は、式(Ib)の化合物またはその薬学的に許容可能な塩を提供し、Zは随意に置換された−N(Me)−ヘテロシクリルアルキル−である。
【0076】
別の実施形態は、式(Ib)の化合物またはその薬学的に許容可能な塩を提供し、Zは随意に置換された−O−ヘテロシクリルアルキルであり、ヘテロシクリルアルキル基は式−R−ヘテロシクリルを有し、Rは随意に置換されたC−Cアルキレン鎖である。別の実施形態は、式(Ib)の化合物またはその薬学的に許容可能な塩を提供し、Zは随意に置換された−O−ヘテロシクリルアルキルであり、ヘテロシクリルアルキル基は式−R−ヘテロシクリルを有し、Rは随意に置換されたCアルキレン鎖である。
【0077】
別の実施形態は、式(Ib)の化合物またはその薬学的に許容可能な塩を提供し、Zは随意に置換された−O−ヘテロシクリルアルキルであり、ヘテロシクリルアルキル基は式−R−ヘテロシクリルを有し、ヘテロシクリルは随意に置換された窒素含有4−、5−、6−、または7−員のヘテロシクリルである。
【0078】
別の実施形態は、式(Ib)の化合物またはその薬学的に許容可能な塩を提供し、Zは随意に置換された−N(H)−ヘテロシクリルアルキルであり、ヘテロシクリルアルキル基は式−R−ヘテロシクリルを有し、Rは随意に置換されたC−Cアルキレン鎖である。別の実施形態は、式(Ib)の化合物またはその薬学的に許容可能な塩を提供し、Zは随意に置換された−N(H)−ヘテロシクリルアルキルであり、ヘテロシクリルアルキル基は式−R−ヘテロシクリルを有し、Rは随意に置換されたCアルキレン鎖である。
【0079】
別の実施形態は、式(Ib)の化合物またはその薬学的に許容可能な塩を提供し、Zは随意に置換された−N(H)−ヘテロシクリルアルキルであり、ヘテロシクリルアルキル基は式−R−ヘテロシクリルを有し、ヘテロシクリルは随意に置換された窒素含有4−、5−、6−、または7−員のヘテロシクリルである。
【0080】
別の実施形態は、式(Ib)の化合物またはその薬学的に許容可能な塩を提供し、Zは随意に置換された−N(Me)−ヘテロシクリルアルキルであり、ヘテロシクリルアルキル基は式−R−ヘテロシクリルを有し、Rは随意に置換されたC−Cアルキレン鎖である。別の実施形態は、式(Ib)の化合物またはその薬学的に許容可能な塩を提供し、Zは随意に置換された−N(Me)−ヘテロシクリルアルキルであり、ヘテロシクリルアルキル基は式−R−ヘテロシクリルを有し、Rは随意に置換されたCアルキレン鎖である。
【0081】
別の実施形態は、式(Ib)の化合物またはその薬学的に許容可能な塩を提供し、Zは随意に置換された−N(Me)−ヘテロシクリルアルキルであり、ヘテロシクリルアルキル基は式−R−ヘテロシクリルを有し、ヘテロシクリルは随意に置換された窒素含有4−、5−、6−、または7−員のヘテロシクリルである。
【0082】
別の実施形態は、式(Ib)の化合物またはその薬学的に許容可能な塩を提供し、Zは随意に置換されたN−ヘテロシクリルである。別の実施形態は、式(Ib)の化合物またはその薬学的に許容可能な塩を提供し、Zは、4−、5−、6−または7−員のN−ヘテロシクリルである。別の実施形態は、式(Ib)の化合物またはその薬学的に許容可能な塩を提供し、Zは6−員のN−ヘテロシクリルである。別の実施形態は、式(Ib)の化合物またはその薬学的に許容可能な塩を提供し、Zは随意に置換されたピペリジンである。別の実施形態は、式(Ib)の化合物またはその薬学的に許容可能な塩を提供し、Zは随意に置換された4−アミノピペリジンである。
【0083】
いくつかの実施形態では、式(I)、(Ia)、または(Ib)に記載される置換された複素環誘導体化合物は表1で提供される構造を有する。
【0084】
【表1-1】
【0085】
【表1-2】
【0086】
【表1-3】
【0087】
【表1-4】
【0088】
【表1-5】
【0089】
【表1-6】
【0090】
【表1-7】
【0091】
【表1-8】
【0092】
【表1-9】
【0093】
【表1-10】
【0094】
【表1-11】
【0095】
【表1-12】
【0096】
【表1-13】
【0097】
【表1-14】
【0098】
【表1-15】
【0099】
【表1-16】
【0100】
【表1-17】
【0101】
【表1-18】
【0102】
【表1-19】
【0103】
【表1-20】
【0104】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載される置換された複素環誘導体化合物は、表2で示される構造を有する。
【0105】
【表2-1】
【0106】
【表2-2】
【0107】
【表2-3】
【0108】
【表2-4】
【0109】
【表2-5】
【0110】
【表2-6】
【0111】
【表2-7】
【0112】
【表2-8】
【0113】
【表2-9】
【0114】
【表2-10】
【0115】
【表2-11】
【0116】
【表2-12】
【0117】
【表2-13】
【0118】
【表2-14】
【0119】
【表2-15】
【0120】
置換された複素環誘導体化合物の調製
【0121】
本明細書に記載される反応に用いられる化合物は、市販の化学薬品、および/または化学薬品に関する文献に記載される化合物から開始し、当業者に公知である有機合成技術に従って製造される。「市販の化学薬品」は、Acros Organics(Pittsburgh,PA),Aldrich Chemical(Milwaukee,WI,Sigma Chemical and Fluka),Apin Chemicals Ltd.(Milton Park,UK),Avocado Research(LancasH1re,U.K.),BDH1nc.(Toronto,Canada),Bionet(Cornwall,U.K.),Chemservice Inc.(West Chester,PA),Crescent Chemical Co.(Hauppauge,NY),Eastman Organic Chemicals,Eastman Kodak Company(Rochester,NY),Fisher Scientific Co.(Pottsburgh,PA),Fisons Chemicals(LeicestersH1re,UK),Frontier Scientific(Logan,UT),ICN Biomedicals, Inc.(Costa Mesa,CA),Key Organics(Cornwall,U.K.),Lancaster Synthesis(Windham,NH),Maybridge Chemical Co. Ltd.(Cornwall,U.K.),Parish Chemical Co.(Orem,UT),Pfaltz & Bauer, Inc.(Waterbury,CN),Polyorganix(Houston,TX),Pierce Chemical Co.(Rockford,IL),Riedel de Haen AG(Hanover,Germany)Spectrum Quality Product, Inc.(New Brunswick, NJ),TCI America(Portland,OR),Trans World Chemicals,Inc.(Rockville,MD),およびWako Chemicals USA,Inc.(Richmond,VA)を含む標準の商業的な供給源から得られる。
【0122】
本明細書に記載される化合物の調製に有用な反応物の合成を詳述する、または調製について記載する記事への参照を提供する適切な参考文献、および論文は、例えば、“Synthetic Organic Chemistry”, John Wiley & Sons, Inc., New York; S. R. Sandler et al, “Organic Functional Group Preparations,” 2nd Ed., Academic Press, New York, 1983; H. O. House, “Modern Synthetic Reactions”, 2nd Ed., W. A. Benjamin, Inc. Menlo Park, Calif. 1972; T. L. Gilchrist, “Heterocyclic Chemistry”, 2nd Ed., John Wiley & Sons, New York, 1992; J. March, “Advanced Organic Chemistry: Reactions, Mechanisms and Structure”, 4th Ed., Wiley−lnterscience, New York, 1992を含む。本明細書に記載される化合物の調製に有用な反応物の合成を詳述する、または調製について記載する記事への参照を提供する追加の適切な参考文献、および論文は、例えば、Fuhrhop, J. and Penzlin G. “Organic Synthesis: Concepts, Methods, Starting Materials”, Second, Revised and Enlarged Edition (1994) John Wiley & Sons ISBN: 3−527−29074−5; Hoffman, R.V. “Organic Chemistry, An Intermediate Text” (1996) Oxford University Press, ISBN 0−19−509618−5; Larock, R. C. “Comprehensive Organic Transformations: A Guide to Functional Group Preparations” 2nd Edition (1999) Wiley− VCH1SBN: 0−471−19031−4; March, J. “Advanced Organic Chemistry: Reactions, Mechanisms, and Structure” 4th Edition (1992) John Wiley & Sons, ISBN: 0−471−60180−2; Otera, J. (editor) “Modern Carbonyl Chemistry” (2000) Wiley− VCH1SBN: 3−527−29871−1 ; Patai, S. “Patai’s 1992 Guide to the Chemistry of Functional Groups” (1992) Interscience ISBN: 0−471−93022−9; Solomons, T. W. G. “Organic Chemistry” 7th Edition (2000) John Wiley & Sons, ISBN: 0−471 −19095−0; Stowell, J.C., “Intermediate Organic Chemistry” 2nd Edition (1993) Wiley−Interscience, ISBN: 0−471−57456−2; “Industrial Organic Chemicals: Starting Materials and Intermediates: An Ullmann’s Encyclopedia” (1999) John Wiley & Sons, ISBN: 3−527−29645−X, in 8 volumes; “Organic Reactions” (1942−2000) John Wiley & Sons, in over 55 volumes; and “Chemistry of Functional Groups” John Wiley & Sons, in 73 volumesを含む。
【0123】
特異的、および類似の反応物は、ほとんどの公立図書館、および大学図書館だけでなく、オンラインデータベースで利用可能であるアメリカ化学会のChemical Abstract Serviceによって調製された公知の化学の文献を通じて随意に同定される(より詳細については、ワシントンD.Cのアメリカ化学会と連絡をとること)。公知であるがカタログにおいて市販で入手可能でない化学薬品は、随意にカスタム化学合成業者によって調整され、標準の化学薬品卸売業者(例えば、上にリストされたもの)の多くは、カスタム合成サービスを提供する。本明細書に記載の置換された複素環誘導体化合物の薬学的な塩の調製、および選択のための参考文献は、P. H. Stahl & C. G. Wermuth “Handbook of Pharmaceutical Salts”, Verlag Helvetica CH1mica Acta, Zurich, 2002である。
【0124】
置換された複素環誘導体化合物は、以下の模式図1に示される一般的な合成ルートによって調製される。
【0125】
【化9】
【0126】
模式図1に関して、化合物Aは選択的に加水分解され、化合物Bを得る。化合物Cは、様々なハロゲン化アルキルR−Xを備えた化合物BのN−アルキル化から得られる。選択的な三塩化物の化合物Cの置換は、様々なアミンHN(R)(R’)を用いて基本的な条件下で実施され、化合物Dが形成される。化合物Eは、パラジウムを介したクロスカップリングの条件で、ボロン酸、例えばR−B(OH)、またはボロン酸エステルを用いて、化合物Dから調製される。化合物Fは、パラジウムを介したクロスカップリングの条件で、ボロン酸、例えばR−B(OH)、またはボロン酸エステルを用いて、化合物Eから調製される。
【0127】
置換された複素環誘導体化合物の薬品の組成
ある一定の実施形態では、本明細書に記載されるような置換された複素環誘導体化合物は純粋な化学薬品として投与される。他の実施形態では、本明細書に記載された置換された複素環誘導体化合物は、例えば、Remington: The Science and Practice of Pharmacy (Gennaro, 21st Ed. Mack Pub. Co., Easton, PA (2005))に記載されているような、選ばれた投与経路、および標準の薬務に基づいて選択された、薬学的に適切または許容可能である担体(本明細書で薬学的に適切な(または許容可能である)賦形剤、生理学的に適切な(または許容可能である賦形剤)、または生理学的に適切な(または許容可能である)担体とも呼ばれる)と組み合わされる。
【0128】
少なくとも1つの置換された複素環誘導体化合物、またはその立体異性体、薬学的に許容可能な塩、水和物、溶媒和物またはN−オキシドを、1つ以上の薬学的に許容可能な担体と共に含む薬学的組成物が、本明細書において提供される。担体が組成物の他の成分と互換性をもち、組成物の受容者(すなわち対象)に有害でないならば、担体(または賦形剤)は許容可能である、または適切である。
【0129】
ひとつの実施形態は、式(1)の化合物、またはその薬学的に許容可能な塩、および薬学的に許容可能な賦形剤を含む医薬組成物を提供する。ひとつの実施形態は、式(1a)の化合物、またはその薬学的に許容可能な塩、および薬学的に許容可能な賦形剤を含む医薬組成物を提供する。ひとつの実施形態は、式(1b)の化合物、またはその薬学的に許容可能な塩、および薬学的に許容可能な賦形剤を含む医薬組成物を提供する。
【0130】
ある実施形態では、式(1)に記載されるような置換された複素環誘導体化合物は、例えば合成方法の工程の1つ以上で生成される、反応しない中間物または合成副産物などの他の有機的な小分子を、約5%未満、約1%未満、または約0.1%未満しか含んでいないという点で、実質的に純粋である。
【0131】
適切な経口剤形は、例えば錠剤、ピル、小袋あるいは、硬質または軟質ゼラチン、メチルセルロース、あるいは消化器官内で容易に溶ける別の適切な物質のカプセル剤を含む。いくつかの実施形態では、例えば、製薬グレードのマンニトール、ラクトース、デンプン、ステアリン酸マグネシウム、サッカリンナトリウム、滑石、セルロース、グルコース、スクロース、炭酸マグネシウムなどを含む、適切な無毒の固形担体が使用される。(例えばRemington: The Science and Practice of Pharmacy (Gennaro, 21st Ed. Mack Pub. Co., Easton, PA (2005)を参照)
【0132】
本明細書に記載された少なくとも1つの置換された複素環誘導体化合物を含む組成物の投与量は、患者の(例えば、ヒト)状態、すなわち、その疾患の段階、全体的な健康状態、年齢、および他の因子によって異なる。
【0133】
医薬組成物は、処置される(あるいは予防される)疾患に対し適切な方法で投与される。適切な投与量、および投与の適切な継続期間、および頻度は、患者の状態、患者の疾患の種類、および重症度、有効成分の特定の形態、および投与の方法のような因子によって判断する。一般的に、適切な投与量と処置レジメンは、処置、および/または予防的な利点(例えばより頻繁な、完成または部分的な緩解、あるいはより長い無病、および/または全生存期間、あるいは症状の重症度の減少のような、改善された臨床上の結果)を与えるための適切な量で医薬組成物を提供する。最適な投与量は、通常実験モデル、および/または治験を使用して決定される。最適な投与量は、患者の体質量、体重または血液量に依存する。
【0134】
経口投与量は、典型的には1日当たり約1.0mgから約1000mgまで、1から4回の間で変動する。
【0135】
置換された複素環誘導体化合物の使用
後成学は、根本的なDNA塩基配列以外のメカニズムによって引き起こされた遺伝子発現の遺伝性の変化に関する研究である。後成的な制御に役割を果たす分子のメカニズムは、DNAメチル化、および染色質/ヒストンの修飾を含む。
【0136】
真核生物のゲノムは細胞の核内で高度に組織化される。細胞の核の中へヒトゲノムの30億のヌクレオチドを一括するためにすさまじい圧縮が必要とされる。染色質は染色体を構成するDNA、およびタンパク質の複合体である。ヒストンはDNAが巻き付くスプールとして作用する、染色質の主要なタンパク質成分である。染色質構造の変化は、ヒストンタンパク質の共有結合修飾、および非ヒストンの結合タンパク質によって影響される。様々な部位でヒストンを修飾するいくつかの種類の酵素が公知である。
【0137】
コアヒストン(H2A、H2B、H3、およびH4)、およびリンカーヒストン(H1とH5)の2つの群へ組織された合計6種類のヒストン(H1、H2A、H2B、H3、H4、およびH5)が存在する。染色質の基本単位はヌクレオソームであり、コアヒストンH2A、H2B、H3、およびH4のそれぞれ2つの複製から成るコアヒストン八量体の周りに巻き付くDNAの約147の塩基対から成る。
【0138】
その後、基本のヌクレオソームの単位はさらに、ヌクレオソームの凝集、およびフォールディングによって組織化、および凝縮され、高度に凝縮したクロマチン構造が形成される。様々な異なる凝縮の状態が可能であり、染色質構造の緊張度は細胞周期の間に変動し、細胞分裂の工程の間が最も密集している。
【0139】
染色質構造は遺伝子転写を制御する際に重大な役割を果たし、高度に凝縮した染色質からは効率的に発生し得ない。染色質構造は、ヒストンタンパク質、特にヒストンH3、およびH4、および最も一般的にコアヌクレオソーム構造を越えて伸びるヒストン尾部内の、一連の翻訳後修飾によって制御される。これらの修飾は、アセチル化、メチル化、リン酸化、リボシル化、SUMO化、ユビキチン化、シトルリン化、脱イミノ化、およびビオチン標識である。ヒストンH2A、およびH3の核もまた修飾可能である。ヒストン修飾は、遺伝子調節、DNA修復、および染色体凝縮など多様な生物学的プロセスに不可欠である。
【0140】
ヒストンメチル化は最も重要な染色質マークの1つである;これらは転写の調節、DNA損傷応答、ヘテロ染色質形成、および維持、ならびにX染色体不活性化において重要な役割を果たす。最近の発見はさらに、ヒストンメチル化は、スプライシング制御因子の補充に影響を及ぼすことにより、pre−mRNAのスプライシング結果に影響を与えることを明らかにした。ヒストンメチル化はリジンのモノメチル化、ジメチル化、およびトリメチル化ならびにアルギニンのモノメチル化、対称性のジメチル化、および非対称性のジメチル化を含む。これらの修飾はメチル化の部位、および程度によって、活性化または阻害のマークになり得る。
【0141】
ヒストンデメチラーゼ
「デメチラーゼ」または「タンパク質デメチラーゼ」は、本明細書で言及されるように、ポリペプチドから少なくとも1つのメチル基を取り除く酵素を表す。デメチラーゼはJmjCドメインを含み、メチル−リジンまたはメチル−アルギニンデメチラーゼになり得る。いくつかのデメチラーゼはヒストン上で作用し、例えばヒストンH3またはH4デメチラーゼとして、ヒストン上で機能する。例えば、H3デメチラーゼは、H3K4、H3K9、H3K27、H3K36、および/またはH3K79の1つ以上を脱メチル化し得る。あるいは、H4デメチラーゼはヒストンH4K20を脱メチル化し得る。モノメチル化、ジメチル化、またはトリメチル化された基質のいずれかを脱メチル化出来るデメチラーゼが公知である。さらに、ヒストンデメチラーゼはメチル化されたコアヒストン基質、モノヌクレオソーム基質、ジヌクレオソーム基質、および/またはオリゴヌクレオソーム基質、ペプチド基質、および/または染色質(例えば細胞に基づいたアッセイ中)上で機能することが可能である。
【0142】
発見された第1のリジンデメチラーゼは、フラビンを補助因子として使用し、モノメチル化とジメチル化の両方のH3K4またはH3K9を脱メチル化する、リジン特異的デメチラーゼ1(LSD1/KDM1)であった。ヒストンデメチラーゼを含んでいる第2のクラスのJumonji C(JmjC)ドメインが予測され、ホルムアルデヒド放出アッセイによってH3K36デメチラーゼが発見された時に確認され、JmjCドメインを含むヒストンデメチラーゼ1と命名された(JHDM1/KDM2A)。
【0143】
より多くのJmjCドメインを含むタンパク質が続いて同定され、それらは7つのサブファミリーへ、系統的にクラスター化することが可能である:JHDM1、JHDM2、JHDM3、JMJD2、JARID、PHF2/PHF8、UTX/UTY、およびJmjCドメインのみ。
【0144】
LSD−1
リジン特異的デメチラーゼ1(LSD1)は、K4でモノメチル化かつ、ジメチル化されたヒストンH3を特異的に脱メチル化し、同様にK9でジメチル化されたヒストンH3を脱メチル化する、ヒストンリジンデメチラーゼである。LSD1の主な標的はモノメチル化、およびジメチル化されたヒストンリジン、具体的にはH3K4、およびH3K9であるように見えるが、文献には、LSD1がp53、E2F1、Dnmtl、およびSTAT3のような非ヒストンタンパク質のメチル化されたリジンを脱メチル化することが可能であるという証拠がある。
【0145】
LSD1は、ポリアミンオキシダーゼ、およびモノアミンオキシダーゼと相当な程度の構造的類似性、およびアミノ酸の同一性/相同性を有し、それらのオキシダーゼは全て(例えば、MAO−A、MAO−B、およびLSD1)は、窒素−水素結合、および/または窒素−炭素結合の酸化を触媒とする、フラビン依存性のアミンオキシダーゼである。LSD1はさらにN末端SWRIMドメインを含む。代替スプライシングによって製造されたLSD1の2つの転写変異体が存在する。
【0146】
いくつかの実施形態では、本明細書において開示される化合物は、本明細書において開示されるような置換された複素環化合物に生体サンプルと接触することにより、生体サンプル中のLSD1活性を阻害させることが可能である。いくつかの実施形態では、本明細書において開示されるような置換された複素環化合物は、生体サンプル中のヒストン4リジン3メチル化のレベルを調整することが可能である。いくつかの実施形態では、本明細書において開示されるような置換された複素環化合物は、生体サンプル中のヒストン−3リジン−9メチル化のレベルを調整することが可能である。
【0147】
本明細書において開示される置換された複素環化合物は、重要なMAO−AまたはMAO−Bを阻害する活性を欠く。いくつかの実施形態では、本明細書において開示されるような置換された複素環化合物は、MAO−A、および/またはMAO−Bを阻害する活性よりも大きな程度まで、LSD1を阻害する活性を阻害する。
【0148】
ひとつの実施形態は、リジン特異的デメチラーゼ1酵素を式(1)の化合物に晒す事によって、リジン特異的デメチラーゼ1活性を阻害する工程を含む、細胞中の遺伝子転写を制御する方法を提供する。ひとつの実施形態は、リジン特異的デメチラーゼ1酵素を式(1a)の化合物に晒す事によって、リジン特異的デメチラーゼ1活性を阻害する工程を含む、細胞中の遺伝子転写を制御する方法を提供する。ひとつの実施形態は、リジン特異的デメチラーゼ1酵素を式(1b)の化合物に晒す事によって、リジン特異的デメチラーゼ1活性を阻害する工程を含む、細胞中の遺伝子転写を制御する方法を提供する。
【0149】
処置方法
全般的にまたは1つ以上の特定の標的遺伝子に対して細胞内または被験体内の脱メチル化を調整する方法が、本明細書において開示される。脱メチル化は、限定されないが、分化、増殖、アポトーシス、腫瘍形成、白血病誘発または他の腫瘍化転換の事象、脱毛、または性分化を含む、様々な細胞の機能を制御するために調整される。
【0150】
ひとつの実施形態は、処置を必要とする患者に式(1)の化合物、またはその薬学的に許容可能な塩を投与する工程を含む、患者の癌を処置する方法を提供する。ひとつの実施形態は、処置を必要とする患者に式(1a)の化合物、またはその薬学的に許容可能な塩を投与する工程を含む、患者の癌を処置する方法を提供する。ひとつの実施形態は、処置を必要とする患者に式(1b)の化合物、またはその薬学的に許容可能な塩を投与する工程を含む、患者の癌を処置する方法を提供する。
【0151】
さらなる実施形態では、被験体の癌を処置する方法が提供され、癌は前立腺癌、乳癌、膀胱癌、肺癌または黒色腫から選択される。さらなる実施形態では、被験体の癌を処置する方法が提供され、癌は急性骨髄白血病(AML)、急性リンパ芽球性白血病(ALL)、小細胞肺癌(SCLC)、非小細胞肺癌(NSCLC)、神経芽細胞腫、小円形青色細胞腫瘍または膠芽腫から選択される。
【0152】
他の実施形態、および用途は、本開示を考慮して、当業者にとって自明である。以下の実施例は単に様々な実施形態の例証となるものとして提供され、いかなる方法でも本発明を制限するようには解釈されないものとする。
【実施例】
【0153】
1.化学合成
他に特に明記のない限り、商用サプライヤーから受け取った試薬および溶媒を使用した。無水溶媒および炉乾燥したガラス製品を、湿気及び/又は酸素に敏感な合成変換に使用した。収率を最適化しなかった。反応時間は、おおよそであり、最適化されなかった。他に特に明記のない限り、カラムクロマトグラフイーおよび薄層クロマトグラフィー(TLC)を、シリカゲル上で実行した。スペクトルはppm(δ)で与えられ、結合定数(J)はヘルツ(Hertz)で報告されている。プロトンスペクトルについては、溶媒ピークを、基準ピークとして使用した。
【0154】
調製物1A:2,5,6−トリクロロピリミジン−4−オール
【0155】
【化10】
【0156】
THF(50mL)中の2,4,5,6−テトラクロロピリミジン(5g、22.9mmol)の溶液に、1NのNaOH(31mL、31.2mmol)を滴下で加え、混合物を、室温で一晩撹拌した。溶液を、1NのHClで酸性化し、DCM(3x)で抽出した。有機物を、組み合わせ、乾燥し、真空内で濃縮した。固形物を、室温で30分間EtO中でスラリー状にし、ろ過し、EtOで洗浄し、乾燥して、3.0gの表題化合物(66%)を得た。[M+H]Calc’d for CHClO、201;
Found、201。
【0157】
調製物1B:2,5,6−トリクロロ−3−メチル−3−ヒドロピリミジン−4−オン
【0158】
【化11】
【0159】
0℃でのTHF(50mL)中の2,5,6−トリクロロピリミジン−4−オール(1g、5.0mmol)およびKCO(759mg、5.5mmol)の混合物に、滴下でヨードメタン(714mg、5.0mmol)を加え、反応物を、一晩室温で撹拌した。反応混合物を、酢酸エチル(EA)で希釈した。有機相を、ブラインで洗浄し、乾燥し、真空内で濃縮した。残留物を、シリカゲルクロマトグラフィー(10:1、PE:EA)によって精製して、760mg(71%)の表題化合物を得た。H NMR(400MHz、CDCl):δ3.74(s、3H)。[M+H]Calc’d for CClO、213。
【0160】
調製物1C:N−[1−(5,6−ジクロロ−3−メチル−4−オキソ(3−ヒドロピリミジン−2−イル))(4−ピペリジル)](tert−ブトキシ)カルボキサミド
【0161】
【化12】
【0162】
DMF(10mL)中の2,5,6−トリクロロ−3−メチル−3−ヒドロピリミジン−4−オン(426mg、2.0mmol)、DIEA(536mg、4.0mmol)およびtert−ブチルピペリジン−4−イルカルバマート(400mg、2mmol)の溶液を、1時間120℃で加熱した。溶媒を真空内で除去し、残留物を、シリカゲルクロマトグラフィー(1:1、PE:EA)によって精製して、550mg(73%)の表題化合物を得た。H NMR(400MHz、CDCl):δ1.45(s、9H)、1.50−1.58(m、2H)、2.06−2.10(m、2H)、2.98−3.05(m、2H)、3.48(s、3H)、3.53−3.56(m、2H)、3.70(s、1H)、4.52(s、1H)。[M+H]Calc’d for C1522Cl、213;Found、213。
【0163】
調製物1D:tert−ブチル1−(5−クロロ−4−(4−シアノフェニル)−1−メチル−6−オキソ−1,6−ジヒドロピリミジン−2−イル)ピペリジン−4−イルカルバマート
【0164】
【化13】
【0165】
DMF(10mL)中のN−[1−(5,6−ジクロロ−3−メチル−4−オキソ(3−ヒドロピリミジン−2−イル))(4−ピペリジル)](tert−ブトキシ)カルボキサミド(500mg、1.3mmol)、4−シアノフェニルボロン酸(195mg、1.3mmol)、[1,1’−ビス(ジ−tert−ブチルホスフィノ)フェロセン]ジクロロパラジウム(II)(81mg、0.13 mmol)およびKCO(359mg、2.6mmol)の混合物を、窒素で洗い流し、2時間85℃で撹拌した。水を加え、混合物を、EA(3x)で抽出した。有機物を、組み合わせ、水で洗浄し、ブラインで洗浄し、乾燥して、真空内で濃縮した。残留物を、シリカクロマトグラフィー(1:1、EA:PE)によって精製して、250mg(40%)の表題化合物を得た。H NMR(400MHz、CDCl):δ1.45(s、9H)、1.54−1.61(m、2H)、2.05−2.10(m、2H)、2.99−3.05(m、2H)、3.48−3.56(s、5H)、3.70(s、1H)、4.56(s、1H)、7.73(d、J=8.0Hz、2H)、7.93(d、J=8.0Hz、2H)。[M+H]Calc’d for C2226ClN、444;Found、444。
【0166】
調製物1E:tert−ブチル1−(4−(4−シアノフェニル)−1−メチル−6−オキソ−5−p−トリル−1,6−ジヒドロピリミジン−2−イル)ピペリジン−4−イルカルバマート
【0167】
【化14】
【0168】
DMF(10mL)中のtert−ブチル1−(5−クロロ−4−(4−シアノフェニル)−1−メチル−6−オキソ−1,6−ジヒドロピリミジン−2−イル)ピペリジン−4−イルカルバマート、p−トリルボロン酸(123mg、0.90mmol)、[1,1’−ビス(ジ−tert−ブチルホスフィノ)フェロセン]ジクロロパラジウム(II)(28mg、0.045mol)およびKCO(124mg、0.90mmol)の混合物を、窒素で洗い流し、2時間85℃で撹拌した。水を加え、混合物を、EA(3x)で抽出した。有機物を、組み合わせ、水で洗浄し、ブラインで洗浄し、乾燥して、真空内で濃縮した。残留物を、シリカクロマトグラフィー(1:1、EA:PE)によって精製して、50mg(22%)の表題化合物を得た。[M+H]Calc’d for C2933、500;Found、500。
【0169】
実施例1:4−(2−(4−アミノピペリジン−1−イル)−1−メチル−6−オキソ−5−p−トリル−1,6−ジヒドロピリミジン−4−イル)ベンゾニトリル、HCl塩
【0170】
【化15】
【0171】
EA(10mL)中のtert−ブチル1−(4−(4−シアノフェニル)−1−メチル−6−オキソ−5−p−トリル−1,6−ジヒドロピリミジン−2−イル)ピペリジン−4−イルカルバマート(50mg、0.1mmol)の溶液に、EA(5mL)中の4NのHCl溶液を加え、混合物を、2時間室温で撹拌した。溶媒を、真空内で濃縮し、残留物を、分取HPLCによって精製し、塩酸塩として20mg(46%)の表題化合物を得た。H NMR(400MHz、CDCl):δ1.74−1.79(m、2H)、2.00−2.04(m、2H)、2.21(s、3H)、2.96−3.03(m、2H)、3.29−3.03(m、1H)、3.48(s、3H)、3.71−3.74(m、2H)、6.89(d、J=8.0Hz、2H)、6.99(d、J=、2H(8.0Hz)、7.38(d、J=8.0Hz、2H)、7.44(d、J=8.4Hz、2H)。[M+H]Calc’d for C2425O、400;Found、400。
【0172】
実施例2:4−[2−(4−アミノ−ピペリジン−1−イル)−5−(4−メトキシ−フェニル)−1−メチル−6−オキソ−1,6−ジヒドロ−ピリミジン−4−イル]−ベンゾニトリル
【0173】
【化16】
【0174】
表題化合物を、実施例1の調製のための基本手順に従って、5%の全収率中の塩酸塩として調製した。H NMR(400MHz、CDOD):δ1.74−1.78(m、2H)、2.00−2.03(m、2H)、2.98−3.02(m、2H)、3.26−3.00(m、1H)、3.48(s、3H)、3.69(s、3H)、3.70−3.73(m、2H)、6.72(d、J=8.8Hz、2H)、6.93(d、J=8.4Hz 2H)7.39(d、J=8.0Hz、2H)、7.46(d、J=8.0Hz、2H)。[M+H]Calc’d for C2425、416;Found、416。
【0175】
実施例3:4−[2−(4−アミノ−ピペリジン−1−イル)−5−(6−メトキシ−ピリジン−3−イル)−1−メチル−6−オキソ−1,6−ジヒドロ−ピリミジン−4−イル]−ベンゾニトリル
【0176】
【化17】
【0177】
表題化合物を、実施例1の調製のための基本手順に従って、11%の全収率中の塩酸塩として調製した。H NMR(400MHz、CDOD):δ1.87−1.95(m、2H)、2.14−2.17(m、2H)、3.15−3.24(m、2H)、3.43−3.48(m、1H)、3.62(s、3H)、3.93−3.98(m、2H)、4.23(s、3H)、7.46(d、J=9.2Hz、1H)、7.63(d、J=8.0Hz、2H)、7.71(d、J=8.4Hz、2H)、8.12 (dd、J=8.8、1.6Hz、1H)、8.28 (d、J=2.0Hz、1H)。[M+H]Calc’d for C2324、417;Found、417。
【0178】
実施例4:4−[2−(4−アミノ−ピペリジン−1−イル)−1−メチル−5−(6−メチル−ピリジン−3−イル)−6−オキソ−1,6−ジヒドロ−ピリミジン−4−イル]−ベンゾニトリル
【0179】
【化18】
【0180】
表題化合物を、実施例1の調製のための基本手順に従って、4%の全収率中の塩酸塩として調製した。H NMR(400MHz、CDOD):δ1.79−1.80(m、2H)、2.03−2.05(m、2H)、2.66(s、3H)、3.04−3.09(m、2H)、3.30−3.34(m、1H)、3.50(s、3H)、3.83−3.88(m、2H)、7.48(d、J=8.4Hz、2H)、7.58(d、J=8.4Hz、2H)、7.64(d、J=8.4Hz、2H)、8.00(dd、J=8.4、2.0Hz、1H)、8.54(d、J=8.0Hz、1H)。[M+H]Calc’d for C2324O、401;Found、401。
【0181】
実施例5:4−[2−(4−アミノ−ピペリジン−1−イル)−5−(4−メトキシ−フェニル)−1−メチル−6−オキソ−1,6−ジヒドロ−ピリミジン−4−イル]−ベンゾニトリル
【0182】
【化19】
【0183】
表題化合物を、実施例1の調製のための基本手順に従って、7%の全収率中の塩酸塩として調製した。H NMR(400MHz、CDOD):δ1.89−1.95(m、2H)、2.15−2.18(m、2H)、3.14−3.18(m、2H)、3.44−3.46(m、1H)、3.60(s、3H)、3.88−3.90(m、5H)、6.79(d、J=8.4Hz、1H)、6.96−7.02(m、2H)、7.54(d、J=8.0Hz、2H)、7.64(d、J=8.0Hz、2H)。[M+H]Calc’d for C2424FN、434;Found、434。
【0184】
実施例6:4−[2−(4−アミノ−ピペリジン−1−イル)−5−(4−メトキシ−フェニル)−1−メチル−6−オキソ−1,6−ジヒドロ−ピリミジン−4−イル]−2−フルオロ−ベンゾニトリル
【0185】
【化20】
【0186】
表題化合物を、実施例1の調製のための基本手順に従って、5%の全収率中の塩酸塩として調製した。H NMR(400MHz、CDOD):δ1.83−1.89(m、2H)、2.10−2.13(m、2H)、3.05−3.11(m、2H)、3.35−3.38(m、1H)、3.55(s、3H)、3.76(s、3H)、3.77−3.82(m、2H)、6.84(d、J=8.8Hz、2H)、7.04(d、J=8.8Hz、2H)、7.21(d、J=8.0Hz、1H)、7.35 (d、J=8.0Hz、1H)、7.53−7.56 (m、1H)。[M+H]Calc’d for C2424FN、434;Found、434。
【0187】
調製物7A:tert−ブチル1−(5−クロロ−4−(3−フルオロ−4−シアノフェニル)−1−メチル−6−オキソ−1,6−ジヒドロピリミジン−2−イル)ピペリジン−4−イルカルバマート
【0188】
【化21】
【0189】
ACN(4L)中のN−[1−(5,6−ジクロロ−3−メチル−4−オキソ(3−ヒドロピリミジン−2−イル))(4−ピペリジル)](tert−ブトキシ)カルボキサミド(150g、0.40mol)、3−フルオロ−4−シアノフェニルボロン酸(65.8g、0.40mol)、Pd(PhP)(9.3g、8mmol)および0.4NのNaCO(2L、0.80mol)の混合物を、窒素で洗い流し、2時間85℃で撹拌した。水を加え、混合物を、EA(3x)で抽出した。有機物を、組み合わせ、水で洗浄し、ブラインで洗浄し、乾燥して、真空内で濃縮した。残留物を、シリカクロマトグラフィー(1:1、EA:PE)によって精製して、95g(57%)の表題化合物を得た。H NMR(400MHz、CDCl):δ1.45(s、9H)、1.54−1.61(m、2H)、2.05−2.13(m、2H)、2.99−3.08(m、2H)、3.53−3.58(s、5H)、3.70(s、1H)、4.54(d、J=6.0Hz、1H)、7.68−7.80(m、3H)。
【0190】
調製物7B:tert−ブチルN−[1−[4−(4−シアノ−3−フルオロフェニル)−5−(3−フルオロ−4−メトキシフェニル)−1−メチル−6−オキソピリミジン−2−イル]ピペリジン−4−イル]カルバマート
【0191】
【化22】
【0192】
ジオキサン:HO(3:1、15mL)中の(tert−ブトキシ)−N−{1−[5−クロロ−6−(4−シアノ−3−フルオロフェニル)−3−メチル−4−オキソ(3−ヒドロピリミジン−2−イル)](4−ピペリジル)}カルボキサミド(1g、2.169mmol)、3−フルオロ−4−メトキシベンゼンボロン酸(740mg、4.338mmol)、Pd(dppf)Cl(480mg、0.651mmol)およびNaCO(690mg、 6.51mmol)の混合物を、窒素で洗い流し、キャップをして、マイクロウェーブ中で2時間145℃で撹拌した。反応混合物を濃縮し、残留物を、FC(1:1、EA:PE)によって精製して、800mg(71%)の表題化合物を得た。[M+H]Calc’d for C2931、552;Found、552。H NMR(400MHz、CDCl):δppm 1.46(s、9H)、1.60(d、J=10.11Hz、2H)、2.11(d、J=11.62Hz、2H)、3.06(t、J=12.00Hz、2H)、3.54(s、3H)、3.60(d、J=13.64Hz、2H)、3.72(br.s.、1H)、3.88(s、3H)、4.52(br.s.、1H)、6.79−6.89(m、2H)、6.97(d、J=12.38Hz、1H)、7.13(d、J=8.34Hz、1H)、7.31(d、J=9.85Hz、1H)、7.42(br.s.、1H)。
【0193】
実施例7:4−[2−(4−アミノ−ピペリジン−1−イル)−5−(3−フルオロ−4−メトキシ−フェニル)−1−メチル−6−オキソ−1,6−ジヒドロ−ピリミジン−4−イル]−2−フルオロ−ベンゾニトリル
【0194】
【化23】
【0195】
EA(20mL)中のtert−ブチルN−[1−[4−(4−シアノ−3−フルオロフェニル)−5−(3−フルオロ−4−メトキシフェニル)−1−メチル−6−オキソピリミジン−2−イル]ピペリジン−4−イル]カルバマート(5.2g、9.44mmol)の溶液に、EA(30mL)中の1NのHClを加えた。混合物を2時間室温で撹拌した。溶媒を、真空内で濃縮し、HCl塩(4.05g、88%)として表題生成物を得た。H NMR(400MHz、CDOD):δ1.77−1.79(m、2H)、2.02−2.04(m、2H)、2.99−3.04(m、2H)、3.26−3.00(m、1H)、3.38(s、3H)、3.73(s、3H)、3.73−3.75(m、2H)、6.67−6.68(m、1H)、6.84−6.95(m、2H)、7.12−7.14(m、1H)、7.24−7.36(m、1H)、7.46−7.50(m、1H)。[M+H]Calc’d for C2423、452;Found、452。
【0196】
実施例8:4−[2−(4−アミノ−ピペリジン−1−イル)−5−(6−メトキシ−ピリジン−3−イル)−1−メチル−6−オキソ−1,6−ジヒドロ−ピリミジン−4−イル]−2−フルオロ−ベンゾニトリル
【0197】
【化24】
【0198】
表題化合物を、実施例1の調製のための基本手順に従って、6%の全収率中の塩酸塩として調製した。H NMR(400MHz、CDOD):δ1.79−1.83(m、2H)、2.02−2.06(m、2H)、3.04−3.11(m、2H)、3.21−3.22(m、1H)、3.49(s、3H)、3.81−3.85(m、2H)、4.12(s、3H)、7.22−7.24(m、1H)、7.38(d、J=9.2Hz、1H)、7.49(d、J=9.2Hz、1H)、7.57−7.61(m、1H)、8.04−8.07 (m、1H)、8.21 (s、1H)。[M+H]Calc’d for C2323FN、43;Found、435。
【0199】
実施例9:4−[2−(4−アミノ−ピペリジン−1−イル)−5−(6−メトキシ−ピリジン−3−イル)−1−メチル−6−オキソ−1,6−ジヒドロ−ピリミジン−4−イル]−2−フルオロ−ベンゾニトリル
【0200】
【化25】
【0201】
表題化合物を、実施例1の調製のための基本手順に従って、8%の全収率中の塩酸塩として調製した。H NMR(400MHz、CDOD):δ1.92−1.96(m、2H)、2.16−2.19(m、2H)、2.80(s、3H)、3.19−3.25(m、2H)、3.45−3.49(m、1H)、3.62(s、3H)、3.96−3.99(m、2H)、7.34(d、J=8.0Hz、1H)、7.60(d、J=7.2Hz、1H)、7.71(t、J=7.6Hz、1H)、7.80 (d、J=8.4Hz、1H)、8.18 (d、J=8.4Hz、1H)、8.71(s、1H)。[M+H]Calc’d for C2323FNO、419;Found、419。
【0202】
実施例10:4−[2−(4−アミノ−ピペリジン−1−イル)−5−(6−エチル−ピリジン−3−イル)−1−メチル−6−オキソ−1,6−ジヒドロ−ピリミジン−4−イル]−ベンゾニトリル
【0203】
【化26】
【0204】
表題化合物を、実施例1の調製のための手順に従って、7%の全収率中の塩酸塩として調製した。H NMR(400MHz、CDOD):δ1.30(t、J=4.0Hz、3H)、1.83−1.88(m、2H)、2.06−2.09(m、2H)、2.96−2.99(m、2H)、3.09−3.16(m、2H)、3.26−3.31(m、1H)、3.51(s、3H)、3.86−3.89(m、2H)、7.35(d、J=8.0Hz、2H)、7.61(d、J=8.0Hz、2H)、7.71 (d、J=8.4Hz、1H)、8.08 (d、J=8.4Hz、1H)、8.57(s、1H)。[M+H]Calc’d for C2426O、415;Found、415。
【0205】
実施例11:2−フルオロ−4−[5−(4−メトキシ−フェニル)−1−メチル−2−(4−メチルアミノ−ピペリジン−1−イル)−6−オキソ−1,6−ジヒドロ−ピリミジン−4−イル]−ベンゾニトリル
【0206】
【化27】
【0207】
表題化合物を、実施例1の調製のための基本手順に従って、7%の全収率中の塩酸塩として調製した。H NMR(400MHz、CDOD):δ1.80−1.90(m、2H)、2.19−2.23(m、2H)、2.75(s、3H)、3.06−3.12(m、2H)、3.32−3.36(m、1H)、3.56(s、3H)、3.76(s、3H)、3.84−3.87(m、2H)、6.84(d、J=8.4Hz、2H)、7.04(d、J=8.4Hz、2H)、7.22(d、J=8.0Hz、1H)、7.36(d、J=10.8Hz、1H)、8.54−7.58(m、1H)。[M+H]Calc’d for C2526FN、448;Found、448。
【0208】
実施例12:2−フルオロ−4−[5−(3−フルオロ−4−メトキシ−フェニル)−1−メチル−2−(4−メチルアミノ−ピペリジン−1−イル)−6−オキソ−1,6−ジヒドロ−ピリミジン−4−イル]−ベンゾニトリル
【0209】
【化28】
【0210】
表題化合物を、実施例1の調製のための基本手順に従って、7%の全収率中の塩酸塩として調製した。H NMR(400MHz、CDOD):δ1.78−1.88(m、2H)、2.17−2.20(m、2H)、2.73(s、3H)、3.05−3.11(m、2H)、3.30−3.35(m、1H)、3.54(s、3H)、3.82(s、3H)、3.83−3.86(m、2H)、6.76(d、J=8.4Hz、1H)、6.93−6.99(m、2H)、7.20(d、J=8.4Hz、1H)、7.38 (d、J=10.4Hz、1H)、8.55−7.589(m、1H);[M+H]Calc’d for C2525、466;Found、466。
【0211】
調製物13A:2,6−ジクロロ−3−エチル−3H−ピリミジン−4−オン
【0212】
【化29】
【0213】
DMF(10mL)中の2,6−ジクロロ−ピリミジン−4−オール(1.0g、6.1mmol)およびKCO(1.1g、7.9mmol)の溶液を、15分間室温で撹拌した。反応混合物を、0℃に冷却し、ヨードエタン(1.1mL、6.7mmol)を滴下で加えた。室温で一晩撹拌した後に、反応混合物を、EAで希釈し、ブラインで洗浄し、乾燥して(NaSO)、真空内で濃縮した。残留物を、シリカクロマトグラフィー(10:1、EA:PE)によって精製して、330mg(28%)の表題化合物を得た。H NMR(400MHz、CDCl):δ1.37(t、J=7.6Hz、3H)、4.76 (q、J=6.8Hz、2H)、6.67 (s、1H)。[M+H]Calc’d for CClO、193、195、197;Found、193、195、197。
【0214】
調製物13B:[1−(4−クロロ−1−エチル−6−オキソ−1,6−ジヒドロ−ピリミジン−2−イル)−ピペリジン−4−イル]−カルバミン酸tert−ブチルエステル
【0215】
【化30】
【0216】
DMF(10mL)中の2,6−ジクロロ−3−エチル−3H−ピリミジン−4−オン(320mg、1.64mmol)、DIEA(423mg、3.28mmol)および(tert−ブトキシ)−N−(4−ピペリジル)カルボキサミド(328mg、1.64mmol)の溶液を、1時間120℃に加熱した。溶媒を、真空内で濃縮し、残留物を、シリカクロマトグラフィー(1:5、EA:PE)によって精製し、黄色固形物として210mg(36%)の表題化合物を得た。H NMR(400MHz、CDCl):δ1.25−1.32(m 2H)、1.35(t、J=7.2Hz、3H)、1.96−2.02(m、2H)、2.98−3.06(m、2H)、3.70(br、1H)、4.30(q、J=5.2Hz、2H)、4.44(br、1H)、4.57−4.61(m、2H)、5.95(s、1H)。[M+H]Calc’d for C1625ClN、357、359;Found、357、359。
【0217】
調製物13C:{1−[4−(4−シアノ−3−フルオロ−フェニル)−1−エチル−6−オキソ−1,6−ジヒドロ−ピリミジン−2−イル]−ピペリジン−4−イル}−カルバミン酸tert−ブチルエステル
【0218】
【化31】
【0219】
CHCN(10mL)中の[1−(4−クロロ−1−エチル−6−オキソ−1,6−ジヒドロ−ピリミジン−2−イル)−ピペリジン−4−イル]−カルバミン酸tert−ブチルエステル(210mg、0.59mmol)、3−フルオロ−4−シアノフェニルボロン酸(126mg、0.77mmol)、Pd(PPh)4(14mg、0.012mmol)および0.4MのNaCO(4.5mL、1.77mmol)の混合物を、N雰囲気下で一晩90℃で撹拌した。有機物を、真空内で濃縮し、水溶液(aqueous)を、DCM(2x)で抽出した。組み合わせた有機物を、ブラインで洗浄し、乾燥し(NaSO)、濃縮した。残留物を、シリカクロマトグラフィー(1:2、EA:PE)によって精製し、黄色固形物として185mg(64%)の表題化合物を得た。[M+H]Calc’d for C2328FN、442;Found、442。
【0220】
実施例13:4−[2−(4−アミノ−ピペリジン−1−イル)−1−エチル−6−オキソ−1,6−ジヒドロ−ピリミジン−4−イル]−2−フルオロ−ベンゾニトリル
【0221】
【化32】
【0222】
EA(5mL)中の{1−[4−(4−シアノ−3−フルオロ−フェニル)−1−エチル−6−オキソ−1,6−ジヒドロ−ピリミジン−2−イル]−ピペリジン−4−イル}−カルバミン酸tert−ブチルエステル(180mg、0.41mmol)の混合物に、EA(3mL)中のHClの4Mの溶液を加えた。反応混合物を30分間撹拌した。溶媒を、真空内で蒸発させ、黄色固形物(HCl塩)として150mgの表題化合物(97%)を得た。H NMR(400MHz、CDOD):δ1.28(t、J=7.2Hz、1H)、1.48−1.52(m、2H)、1.99−2.02(m、2H)、2.94−3.01(m、2H)、3.33−3.38(m、1H)、6.81(q、J=6.8Hz、2H)、4.85−4.88(m、2H)、6.95(s、1H)、7.73(t、J=8.0Hz、1H)、7.90−7.95(m、2H)。[M+H]Calc’d for C1820FNO、342;Found、342。
【0223】
調製物14A:{1−[4−(4−シアノ−3−フルオロ−フェニル)−5−シクロペンチルエチニル−1−メチル−6−オキソ−1,6−ジヒドロ−ピリミジン−2−イル]−ピペリジン−4−イル}−カルバミン酸tert−ブチルエステル
【0224】
【化33】
【0225】
ACN(15mL)中のtert−ブチル1−(5−クロロ−4−(3−フルオロ−4−シアノフェニル)−1−メチル−6−オキソ−1,6−ジヒドロピリミジン−2−イル)ピペリジン−4−イルカルバマート(200mg、0.43mmol)、エチニル−シクロペンタン(82mg、0.87mmol)、Pd(MeCN)Cl(4.5mg、0.017mmol)、X−Phos(10mg、0.022mmol)およびKCO(120mg、0.87mmol)の混合物を、封管中で95℃で一晩撹拌した。反応混合物を、室温に冷却し、溶媒を、真空内で濃縮した。残留物を、シリカクロマトグラフィー(1:2、EA:PE)によって精製して、100mg(45%)の表題化合物を得た。[M+H]Calc’d for C2934FN、519;Found、519。
【0226】
実施例14:4−[2−(4−アミノ−ピペリジン−1−イル)−5−シクロペンチルエチニル−1−メチル−6−オキソ−1,6−ジヒドロ−ピリミジン−4−イル]−2−フルオロ−ベンゾニトリル
【0227】
【化34】
【0228】
表題化合物を、実施例1の調製のための基本手順に従って、70%の全収率中の塩酸塩として調製した。H NMR(400MHz、CDCl):δ1.50−1.74(m, 8H)、1.94−1.99(m、4H)、2.88−3.01(m、4H)、3.51(s、3H)、3.60(d、J = 13.2 Hz、2H)、7.63−7.67(m、1H)、8.07−8.11(m、2H)。[M+H]Calc’d for C2426FNO、419;Found、419。
【0229】
調製物15A:(2,4,5−トリクロロ−6−オキソ−6H−ピリミジン−1−イル)−酢酸メチルエステル
【0230】
【化35】
【0231】
DMF(150mL)中の2,5,6−トリクロロ−3H−ピリミジン−4−オン(20.0g、0.1mol)の溶液に、0℃でNaH(鉱油中に60%、6.0g、0.12mol)を小分けにして加え、混合物を30分間撹拌した。その後、ブロモ酢酸メチルエステル(18.3g、0.12mol)を加え、反応混合物を、一晩室温で撹拌した。溶液を、水(800mL)で希釈し、EA(200mL、×3)で抽出した。組み合わせた有機物を、水(800mL、3x)で洗浄し、ブライン(500mL)で洗浄し、乾燥して(NaSO)、濃縮した。残留物を、シリカクロマトグラフィー(1:50、EA:PE)によって精製し、6.0gの表題生成物(22%)を得た。H NMR(400MHz、CDCl):δ3.80(s、3H)、5.04(s、2H)。[M+H]Calc’d for CCl、271;Found、271。
【0232】
調製物15B:[2−(4−tert−ブトキシカルボニルアミノ−ピペリジン−1−イル)−4,5−ジクロロ−6−オキソ−6H−ピリミジン−1−イル]−酢酸メチルエステル
【0233】
【化36】
【0234】
DMF(50mL)中の(2,4,5−トリクロロ−6−オキソ−6H−ピリミジン−1−イル)−酢酸メチルエステル(6.0g、22.4mmol)およびピペリジン−4−イルカルバミン酸tert−ブチルエステル(4.9g、24.4mmol)の溶液に、室温でDIPEA(5.7g、44.3mmol)を滴下で加え、混合物を一晩撹拌した。反応混合物を、水(500mL)で希釈し、固形物を、ろ過によって収集した。その後、固形物を、DCM(100mL)中に溶解し、水(100mL、3x)で洗浄し、ブライン(100mL)で洗浄し、乾燥して(NaSO)、濃縮した。残留物を、シリカクロマトグラフィー(1:2から1:1、DCM:PE)によって精製して、6.3gの表題生成物(64%)を得た。H NMR(400MHz、CDCl):δ1.22−1.34(m、2H)、1.45(s、9H)、1.97−2.03(m、2H)、2.96−3.09(m、2H)、3.68−3.69(m、1H)、3.75(s、3H)、4.42−4.44(m、3H)、4.84(s、2H)。[M+H]Calc’d for C1724Cl、435;Found、435。
【0235】
調製物15C:[2−(4−tert−ブトキシカルボニルアミノ−ピペリジン−1−イル)−5−クロロ−4−(4−シアノ−3−フルオロ−フェニル)−6−オキソ−6H−ピリミジン−1−イル]−酢酸メチルエステル
【0236】
【化37】
【0237】
DMF:HO(50mL:10mL)中の[2−(4−tert−ブトキシカルボニルアミノ−ピペリジン−1−イル)−4,5−ジクロロ−6−オキソ−6H−ピリミジン−1−イル]−酢酸メチルエステル(5.76g、13.2mmol)、4−シアノ−3−フルオロベンゼンボロン酸(2.24g、16.1mmol)、Pd(PPh(306mmol、0.26mmol)およびNaCO(2.8g、26.5mmol)の混合物を、窒素雰囲気下で一晩65℃で撹拌した。反応混合物を濃縮し、残留物を、シリカクロマトグラフィー(1:20から1:0、EA:PE)によって精製して、2.4gの表題生成物(43%)を得た。H NMR(400MHz、CDCl):δ1.27−1.37(m、2H)、1.45(s、9H)、1.99−2.02(m、2H)、2.99−3.06(m、2H)、3.68−3.76(m、1H)、3.78(s、3H)、4.42−4.52(m、3H)、4.90(s、2H)、7.63−7.66(m、1H)、7.67−7.71(m、2H)。[M+H]Calc’d for C2427ClFN、520;Found、520。
【0238】
調製物15D:[2−(4−tert−ブトキシカルボニルアミノ−ピペリジン−1−イル)−4−(4−シアノ−3−フルオロ−フェニル)−5−(4−メトキシ−フェニル)−6−オキソ−6H−ピリミジン−1−イル]−酢酸メチルエステル
【0239】
【化38】
【0240】
DMF(50mL)中の[2−(4−tert−ブトキシカルボニルアミノ−ピペリジン−1−イル)−5−クロロ−4−(4−シアノ−3−フルオロ−フェニル)−6−オキソ−6H−ピリミジン−1−イル]−酢酸メチルエステル(2.2g、4.2mmol)、p−メトキシボロン酸(1.9g、12.7mmol)、Pd−118(274mg、0.42mmol)およびKCO(1.2g、8.4mmol)の溶液を、窒素雰囲気下で6時間145℃で撹拌した。反応混合物を、水で希釈し、EA(3x)で抽出した。組み合わせた有機物を、水で洗浄し、ブラインで洗浄し、乾燥して(NaSO)、濃縮した。残留物を、分取HPLCによって精製して、600mgの表題生成物(24%)を得た。[M+H]Calc’d for C3134FN、592;Found、592。
【0241】
調製物15E:4−[2−(4−アミノ−ピペリジン−1−イル)−1−シクロプロピルメチル−6−オキソ−1,6−ジヒドロ−ピリミジン−4−イル]−2−フルオロ−ベンゾニトリル
【0242】
【化39】
【0243】
MeOH(10mL)中の[2−(4−tert−ブトキシカルボニルアミノ−ピペリジン−1−イル)−4−(4−シアノ−3−フルオロ−フェニル)−5−(4−メトキシ−フェニル)−6−オキソ−6H−ピリミジン−1−イル]−酢酸メチルエステル(600mg、1.02mmol)の溶液に、2NのNaOH溶液(5mL)を加えた。反応の完了後、溶液を、1NのHClで酸性化し、EA(3x)で抽出した。組み合わせた有機物を、ブラインで洗浄し、乾燥して(NaSO)、濃縮した。残留物を、分取HPLCによって精製し、黄色固形物(41%)として240mgの表題生成物を得た。[M+H]Calc’d for C3032FN、578;Found、578。
【0244】
実施例15:[2−(4−アミノ−ピペリジン−1−イル)−4−(4−シアノ−3−フルオロ−フェニル)−5−(4−メトキシ−フェニル)−6−オキソ−6H−ピリミジン−1−イル]−酢酸
【0245】
【化40】
【0246】
EA(10mL)中の[2−(4−tert−ブトキシカルボニルアミノ−ピペリジン−1−イル)−4−(4−シアノ−3−フルオロ−フェニル)−5−(4−メトキシ−フェニル)−6−オキソ−6H−ピリミジン−1−イル]−酢酸(100mg、0.15mmol)の溶液に、EA(5mL)中の5NのHCl溶液を加えた。反応混合物を、2時間室温で撹拌し、溶媒を、真空内で濃縮した。残留物を、分取HPLCによって精製し、HCl塩(32%)として25mgの表題生成物を得た。H NMR(400MHz、CDOD):δ1.53−1.56(m、2H)、2.00−2.03(m、2H)、3.00−3.07(m、2H)、3.35−3.39(m、1H)、3.67(s、3H)、4.70(s、2H)、4.76−4.77(m、2H)、6.74(d、J=8.4Hz、2H)、6.96(d、J=8.8Hz、2H)、7.17(d、J=8.4Hz、1H)、7.26 (d、J=10.0Hz、1H)、7.50(dd、J=7.2、8.0Hz、1H)。[M+H]Calc’d for C2524FN、478;Found、478。
【0247】
調製物16A:{1−[1−カルバモイルメチル−4−(4−シアノ−3−フルオロ−フェニル)−5−(4−メトキシ−フェニル)−6−オキソ−1,6−ジヒドロ−ピリミジン−2−イル]−ピペリジン−4−イル}−カルバミン酸tert−ブチルエステル
【0248】
【化41】
【0249】
DMF(5mL)中の[2−(4−tert−ブトキシカルボニルアミノ−ピペリジン−1−イル)−4−(4−シアノ−3−フルオロ−フェニル)−5−(4−メトキシ−フェニル)−6−オキソ−6H−ピリミジン−1−イル]−酢酸(120mg、0.2mmol)の溶液に、NHCl(17mg、0.3mmol)、HATU(95mg、0.25mmol)およびDIEA(25mg、0.4mmol)を加えた。反応の完了後、溶液を、HOで希釈し、DCMで(3x)抽出した。組み合わせた有機物を、乾燥し(NaSO)、濃縮した。残留物を、分取HPLCによって精製し、黄色固形物(43%)として50mgの表題生成物を得た。[M+H]Calc’d for C3033FN、577;Found、577。
【0250】
実施例16:2−[2−(4−アミノ−ピペリジン−1−イル)−4−(4−シアノ−3−フルオロ−フェニル)−5−(4−メトキシ−フェニル)−6−オキソ−6H−ピリミジン−1−イル]−アセトアミド
【0251】
【化42】
表題化合物を、実施例15の調製のための手順に従って、96%の全収率中の塩酸塩として調製した。H NMR(400MHz、CDOD):δ1.49−1.53(m、2H)、1.98−2.01(m、2H)、2.97−3.04(m、2H)、3.33−3.36(m、1H)、3.68(s、3H)、4.69(s、2H)、4.75−4.78(m、2H)、6.75(d、J=8.4Hz、2H)、6.99(d、J=8.8Hz、2H)、7.16(dd、J=1.2、8.0Hz、1H)、7.25(dd、J=0.8、10.4Hz、1H)、7.49(dd、J=7.2、8.0Hz、1H)。[M+H]Calc’d for C2525FN、477;Found、477。
【0252】
調製物17A:2,6−ジクロロ−3−(3−メトキシ−プロピル)−3H−ピリミジン−4−オン
【0253】
【化43】
【0254】
DMF(10mL)中の2,6−ジクロロ−3H−ピリミジン−4−オン(600mg、3.65mmol)の溶液に、KCO(1.0g、7.3mmol)を加え、混合物を、10分間室温で撹拌した。その後、1−ブロモ−3−メトキシ−プロパン(101mg、7.3mmol)を、0℃で滴下で加え、混合物を、一晩室温で撹拌した。DMFを真空内で濃縮し、残留物を、シリカクロマトグラフィーによって精製して、400mgの表題化合物(47%)を得た。[M+H]Calc’d for;Calc’d for C10Cl、237;Found、237。
【0255】
調製物17B:1−[4−クロロ−1−(3−メトキシ−プロピル)−6−オキソ−1,6−ジヒドロ−ピリミジン−2−イル]−ピペリジン−4−イル}−カルバミン酸tert−ブチルエステル
【0256】
【化44】
【0257】
DMF(20mL)中の2,6−ジクロロ−3−(3−メトキシ−プロピル)−3H−ピリミジン−4−オン(400mg、1.68mmol)、ピペリジン−4−イルカルバミン酸tert−ブチルエステル(405mg、2mmol)およびDIEA(260mg、2.0mmol)の溶液を、2時間85℃で撹拌した。溶媒を濃縮し、残留物を、シリカクロマトグラフィーによって精製して、500mgの表題化合物(75%)を得た。[M+H]Calc’d for C1829ClN、400;Found、400。
【0258】
調製物17C:1−[4−(4−シアノ−3−フルオロ−フェニル)−1−(3−メトキシ−プロピル)−6−オキソ−1,6−ジヒドロ−ピリミジン−2−イル]−ピペリジン−4−イル}−カルバミン酸tert−ブチルエステル
【0259】
【化45】
【0260】
ACN中の{1−[4−クロロ−1−(3−ヒドロキシ−プロピル)−6−オキソ−1,6−ジヒドロ−ピリミジン−2−イル]−ピペリジン−4−イル}−カルバミン酸tert−ブチルエステル(200mg、0.5mmol)、4−シアノ−3−フルオロフェニルホウ酸(107mg、0.65mmol)、Pd(PPh(12mg、0.01mmol)および0.4MのNaCO溶液(4mL)の混合物を、一晩85℃で撹拌した。反応混合物を、水で希釈し、EA(3x)で抽出した。反応混合物を、2時間室温で撹拌し、溶媒を真空内で濃縮した。残留物を、シリカクロマトグラフィーによって精製して、240mgの表題生成物(99%)を得た。[M+H]Calc’d for C2532FN、485;Found、485。
【0261】
実施例17:4−[2−(4−アミノ−ピペリジン−1−イル)−1−(3−ヒドロキシ−プロピル)−6−オキソ−1,6−ジヒドロ−ピリミジン−4−イル]−2−フルオロ−ベンゾニトリル
【0262】
【化46】
【0263】
DCM中の{1−[4−(4−シアノ−3−フルオロ−フェニル)−1−(3−メトキシ−プロピル)−6−オキソ−1,6−ジヒドロ−ピリミジン−2−イル]−ピペリジン−4−イル}−カルバミン酸tert−ブチルエステル(200mg、0.41mmol)の溶液に、−78℃で1MのBBr(4mL)を加えた。混合物を、2時間室温で撹拌し、MeOHによって0℃でクエンチした。溶液を、水性の飽和したNaHCOで洗浄した。有機質層を、乾燥し、濃縮した。残留物を、分取HPLCによって精製し、塩酸塩(23%)として35mgの表題生成物を得た。H NMR(400MHz、CDOD):1.65−1.69(m、2H)、1.97−2.19(m、4H)、3.13−3.22(m、2H)、3.48−3.55(m、1H)、3.73(t、J=8.0Hz、2H)、4.55(t、J=8.0Hz、2H)、4.94−4.95(m、2H)、6.71(s、1H)、7.88−8.05(m、3H)。[M+H]Calc’d for C1922FN、371;Found、371。
【0264】
調製物18A:{1−[5−ベンゾフラン−5−イル−4−(4−シアノ−3−フルオロ−フェニル)−1−メチル−6−オキソ−1,6ジヒドロ−ピリミジン−2−イル]−ピペリジン−4−イル}−カルバミン酸tert−ブチルエステル
【0265】
【化47】
【0266】
1,4−ジオキサン(200mL)中の{1−[5−クロロ−4−(4−シアノ−3−フルオロ−フェニル)−1−メチル−6−オキソ−1,6−ジヒドロ−ピリミジン−2−イル]−ピペリジン−4−イル}−カルバミン酸tert−ブチルエステル(200mg、0.45mmol)、ベンゾフラン−5−ボロン酸(120mg、0.68mmol)、Pd(PPh(26mg、0.05mmol)および2MのNaCO(0.9mL)の混合物を、N雰囲気下で一晩還流させた。反応混合物を、水で希釈し、EA(3x)で抽出した。組み合わせた有機物を、ブラインで洗浄し、乾燥して(NaSO)、濃縮した。残留物を、シリカクロマトグラフィーによって精製して、100mgの表題生成物(42%)を得た。[M+H]Calc’d for C3030FN、543;Found、543。
【0267】
実施例18:4−[2−(4−アミノ−ピペリジン−1−イル)−5−ベンゾフラン−5−イル−1−メチル−6−オキソ−1,6−ジヒドロ−ピリミジン−4−イル]−2−フルオロ−ベンゾニトリル
【0268】
【化48】
【0269】
EA(20mL)中の調製物18A(60mg、0.11mmol)の溶液に、EA(10mL)中の4MのHCl溶液を加えた。混合物を、2時間室温で撹拌した。溶媒を、真空内で濃縮し、塩酸塩(53%)として43mgの表題生成物を得た。H NMR(400MHz、CDOD):1.85−1.92(m、2H)、2.13−2.18(m、2H)、3.10(t、J=4.0Hz、2H)、3.31−3.33(m、1H)、3.61(s、3H)、3.87(d、J=13.2Hz、2H)、6.65−7.21(m、3H)、7.38−7.76(m、4H)、7.76(s、1H)。[M+H]Calc’d for C2522FN、443;Found、443。
【0270】
調製物19A:{1−[5−シアノ−4−(4−シアノ−3−フルオロ−フェニル)−1−メチル−6−オキソ−1,6−ジヒドロ−ピリミジン−2−イル]−ピペリジン−4−イル}−カルバミン酸tert−ブチルエステル
【0271】
【化49】
【0272】
DMF(5mL)中の{1−[5−クロロ−4−(4−シアノ−3−フルオロ−フェニル)−1−メチル−6−オキソ−1,6−ジヒドロ−ピリミジン−2−イル]−ピペリジン−4−イル}−カルバミン酸tert−ブチルエステル(460mg、1mmol)、Zn(CN)(175mg、1.5mmol)およびPd(PPh(116mg、0.0.1mmol)の混合物を、N雰囲気下で150℃で4時間撹拌した。反応混合物を、室温に冷却し、ろ過した。ろ液を、真空内で濃縮し、残留物を、分取HPLCによって精製し、黄色固形物(33%)として150mgの表題生成物を得た。[M+H]Calc’d for C2325FN、453;Found、453。
【0273】
実施例19:2−(4−アミノ−ピペリジン−1−イル)−4−(4−シアノ−3−フルオロ−フェニル)−1−メチル−6−オキソ−1,6−ジヒドロ−ピリミジン−5−カルボニトリル
【0274】
【化50】
【0275】
EA(5mL)中の{1−[5−シアノ−4−(4−シアノ−3−フルオロ−フェニル)−1−メチル−6−オキソ−1,6−ジヒドロ−ピリミジン−2−イル]−ピペリジン−4−イル}−カルバミン酸tert−ブチルエステル(150mg、0.33mmol)の溶液に、EA(5mL)中の5NのHCl溶液を加えた。反応混合物を、2時間室温で撹拌し、溶媒を、真空内で濃縮し、HCl塩(94%)として120mgの表題生成物を得た。H NMR(400MHz、CDOD):δ1.67−1.72(m、2H)、2.02−2.06(m、2H)、3.13−3.16(m、2H)、3.34−3.38(m、1H)、3.42(s、3H)、3.98−4.02(m、2H)、7.82−7.90(m、3H)。[M+H]Calc’d for C1817FNO、353;Found、353。
【0276】
実施例20:4−[2−(4−アミノピペリジン−1−イル)−5−クロロ−1−メチル−6−オキソピリミジン−4−イル]−2−フルオロベンゾニトリル
【0277】
【化51】
【0278】
EA(5mL)中の{1−[5−クロロ−4−(4−シアノ−3−フルオロ−フェニル)−1−メチル−6−オキソ−1,6−ジヒドロ−ピリミジン−2−イル]−ピペリジン−4−イル}−カルバミン酸tert−ブチルエステル(150mg、0.33mmol)の溶液に、EA(5mL)中の5NのHCl溶液を加えた。反応混合物を、2時間室温で撹拌し、溶媒を、真空内で濃縮し、HCl塩(94%)として120mgの表題生成物を得た。H NMR(400MHz、CDOD):δ1.67−1.72(m、2H)、2.02−2.06(m、2H)、3.13−3.16(m、2H)、3.34−3.38(m、1H)、3.42(s、3H)、3.98−4.02(m、2H)、7.82−7.90(m、3H)。[M+H]Calc’d for C1817FNO、353;Found、353。H NMR(400MHz、METHANOL−d):δppm 1.73 − 1.91(m、2 H)、2.18(d、J=12.13 Hz、2 H)、3.06(t、J=12.76 Hz、2 H)、3.33 − 3.40(m、1 H)、3.57(s、3 H)、3.83(d、J=13.14 Hz、2 H)、7.75 − 7.93(m、3 H)。
【0279】
【表3-1】
【0280】
【表3-2】
【0281】
【表3-3】
【0282】
【表3-4】
【0283】
【表3-5】
【0284】
【表3-6】
【0285】
【表3-7】
【0286】
【表3-8】
【0287】
【表3-9】
【0288】
【表3-10】
【0289】
【表3-11】
【0290】
【表3-12】
【0291】
【表3-13】
【0292】
【表3-14】
【0293】
【表3-15】
【0294】
【表3-16】
【0295】
【表3-17】
【0296】
【表3-18】
【0297】
【表3-19】
【0298】
【表3-20】
【0299】
【表3-21】
【0300】
【表3-22】
【0301】
【表3-23】
【0302】
【表3-24】
【0303】
【表3-25】
【0304】
【表3-26】
【0305】
【表3-27】
【0306】
【表3-28】
【0307】
【表3-29】
【0308】
【表3-30】
【0309】
調製物120A:[1−(5−クロロ−4−シアノ−1−メチル−6−オキソ−1,6−ジヒドロ−ピリミジン−2−イル)−ピペリジン−4−イル]−カルバミン酸tert−ブチルエステル
【0310】
【化52】
【0311】
DMF(20mL)中のN−[1−(5,6−ジクロロ−3−メチル−4−オキソ(3−ヒドロピリミジン−2−イル))(4−ピペリジル)](tert−ブトキシ)カルボキサミド(2.4g、6.38mmol)、Zn(CN)(388mg、3.32mmol)、及びPd(PPh(740mg、0.64mmol)の混合物を、N雰囲気の下、130℃で5時間撹拌した。反応混合物を室温に冷却し、濾過した。濾液を真空内で濃縮し、残留物を分取HPLCで精製して、200mgの表題生成物(9%)を得た。[M+H] Calc’d for C1622ClN、368;Found、368。
【0312】
調製物120B:{1−[4−シアノ−5−(3−フルオロ−4−メトキシ−フェニル)−1−メチル−6−オキソ−1,6−ジヒドロ−ピリミジン−2−イル]−ピペリジン−4−イル}−カルバミン酸tert−ブチルエステル
【0313】
【化53】
【0314】
ジオキサン(5mL)及びHO(1mL)中の、[1−(5−クロロ−4−シアノ−1−メチル−6−オキソ−1,6−ジヒドロ−ピリミジン−2−イル)−ピペリジン−4−イル]−カルバミン酸tert−ブチルエステル(200mg、0.54mmol)、3−フルオロ−4−メトキシベンゼンボロン酸(278mg、1.63mmol)、Pd(dppf)Cl(119mg、0.16mmol)、及びNaCO(173mg、1.63mmol)の混合物を、Nで脱気し、2時間マイクロウェーブの中、145℃で撹拌した。反応混合物を室温に冷却し、濾過した。濾液を真空内で濃縮し、残留物を分取HPLCで精製して、110mgの所望の生成物(45%)を得た。[M+H] Calc’d for C2328FN、458;Found、458。
【0315】
実施例120:2−(4−アミノ−ピペリジン−1−イル)−5−(3−フルオロ−4−メトキシ−フェニル)−1−メチル−6−オキソ−1,6−ジヒドロ−ピリミジン−4−カルボニトリル
【0316】
【化54】
【0317】
EA(5mL)中の{1−[4−シアノ−5−(3−フルオロ−4−メトキシ−フェニル)−1−メチル−6−オキソ−1,6−ジヒドロ−ピリミジン−2−イル]−ピペリジン−4−イル}−カルバミン酸tert−ブチルエステル(100mg、0.23mmol)の混合物を、EA(5mL)中の5N HCl溶液に加えて、室温で2時間撹拌した。溶媒を真空内で濃縮して、HCl塩(93%)として85mgの表題生成物を得た。H NMR(400MHz、CDOD):δ1.71−1.75(m、2H)、1.89−2.03(m、2H)、2.96−3.02(m、2H)、3.27−3.31(m、1H)、3.42(s、3H)、3.69−3.73(m、2H)、3.83(s、3H)、7.06(t、J=8.0Hz、1H)、7.17−2.01(m、2H)。[M+H] Calc’d for C1820FN、358;Found、358。
【0318】
調製物121A:{1−[5−シアノ−4−(4−シアノ−3−フルオロ−フェニル)−1−メチル−6−オキソ−1,6−ジヒドロ−ピリミジン−2−イル]−ピペリジン−4−イル}−カルバミン酸tert−ブチルエステル
【0319】
【化55】
【0320】
DMF(5mL)中の{1−[5−クロロ−4−(4−シアノ−3−フルオロ−フェニル)−1−メチル−6−オキソ−1,6−ジヒドロ−ピリミジン−2−イル]−ピペリジン−4−イル}−カルバミン酸tert−ブチルエステル(460mg、1mmol)、Zn(CN)(175mg、1.5mmol)、及びPd(PPh(116mg、0.0.1mmol)の混合物を、N雰囲気の下、150℃で4時間撹拌した。混合物を室温に冷却し、濾過した。濾液を真空内で濃縮し、残留物を分取HPLCで精製して、黄色固形物として150mgの表題生成物(33%)を得た。[M+H] Calc’d for C2325FN、453;Found、453。
【0321】
実施例121:2−(4−アミノ−ピペリジン−1−イル)−4−(4−シアノ−3−フルオロ−フェニル)−1−メチル−6−オキソ−1,6−ジヒドロ−ピリミジン−5−カルボニトリル
【0322】
【化56】
【0323】
EA(5mL)中の{1−[5−シアノ−4−(4−シアノ−3−フルオロ−フェニル)−1−メチル−6−オキソ−1,6−ジヒドロ−ピリミジン−2−イル]−ピペリジン−4−イル}−カルバミン酸tert−ブチルエステル(150mg、0.33mmol)の混合物を、EA(5mL)中の5N HCl溶液に加えて、混合物を室温で2時間撹拌した。溶媒を真空内で濃縮して、HCl塩として120mgの表題生成物(94%)を得た。H NMR(400MHz、CDOD):δ1.67−1.72(m、2H)、2.02−2.06(m、2H)、3.13−3.16(m、2H)、3.34−3.38(m、1H)、3.42(s、3H)、3.98−4.02(m、2H)、7.82−7.90(m、3H)。[M+H] Calc’d for C1817FNO、353;Found、353。
【0324】
調製物122A:4−シアノ−3−フルオロ−塩化ベンゾイル
【0325】
【化57】
【0326】
SOCl(20mL)中の4−シアノ−3−フルオロ−安息香酸(2.0g、12.12mmol)の混合物を2時間還流し、SOClを真空内で取り除き、4−シアノ−3−フルオロ−塩化ベンゾイル(2.2g、99%)を得た。粗製のものを更に精製することなく次の工程で使用した。
【0327】
調製物122B:3−(4−シアノ−3−フルオロ−フェニル)−2−(4−メトキシ−フェニル)−3−オキソ−プロピオン酸メチルエステル
【0328】
【化58】
【0329】
THF(20mL)中の(4−メトキシ−フェニル)−酢酸(2.18g、12.12mmol)の溶液に、−78℃でLiHMDS(18.2mL、18.18mmol)を加え、混合物を30分間撹拌した。THF中の4−シアノ−3−フルオロ−塩化ベンゾイル(2.2g、12mmol)の溶液を、−78℃で滴下で加え;そして反応混合物を室温にまで暖め、一晩撹拌した。水性NHClを加え、水性のものをEA(3X)で抽出した。合わせた有機物を真空内で濃縮し、残留物をシリカカラムクロマトグラフィー(1:5、EA:PE)により精製して、1.8gの表題化合物(45%)を得た。[M+H] Calc’d for C1814FNO、328;Found、328。
【0330】
調製物122C:{1−[−4−(4−シアノ−3−フルオロ−フェニル)−5−(4−メトキシ−フェニル)−6−オキソ−1,6−ジヒドロ−ピリミジン−2−イル]−ピペリジン−4−イル}−カルバミン酸tert−ブチルエステル
【0331】
【化59】
【0332】
トルエン(50mL)中の3−(4−シアノ−3−フルオロ−フェニル)−2−(4−メトキシ−フェニル)−3−オキソ−プロピオン酸メチルエステル(1.8g、5.5mmol)、(1−カルバムイミドイル−ピペリジン−4−イル)−カルバミン酸tert−ブチルエステル(2.6g、9.2mmol)、DIEA(2.4g、18.3mmol)の混合物を、一晩還流した。溶媒を真空内で濃縮した。残留物をMeOH中で懸濁し、固形物を濾過して、100mgの表題化合物(4%)を得た。[M+H] Calc’d for C2830FN、520;Found、520。
【0333】
実施例122:4−[2−(4−アミノ−ピペリジン−1−イル)−5−(4−メトキシ−フェニル)−6−オキソ−1,6−ジヒドロ−ピリミジン−4−イル]−2−フルオロ−ベンゾニトリル
【0334】
【化60】
【0335】
EA(10mL)中の{1−[4−(4−シアノ−3−フルオロ−フェニル)−5−(4−メトキシ−フェニル)−6−オキソ−1,6−ジヒドロ−ピリミジン−2−イル]−ピペリジン−4−イル}−カルバミン酸tert−ブチルエステル(50mg、0.096mmol)の溶液に、EA中の5M HCl溶液を加えて、混合物を室温で2時間撹拌した。溶媒を真空内で除去し、残留物を分取HPLCによって精製して、塩酸塩として18mgの表題化合物(40%)を得た。H NMR(400MHz、CDOD):δ1.81−1.87(m、2H)、2.22−2.25(m、2H)、3.34−3.38(m、2H)、3.56−3.60(m、1H)、3.78(s、3H)、4.61−4.64(m、2H)、6.86(d、J=7.2Hz、2H)、7.08(d、J=8.4Hz、2H)、7.37−7.38(m、1H)、7.51−7.53(m、1H)、7.74(s、1H)。[M+H] Calc’d for C2322FN、420;Found、420。
【0336】
<II.生物的評価>
<実施例1a:インビトロの酵素阻害アッセイ − LSD−1>
このアッセイは、試験化合物がLSD1デメチラーゼ活性を阻害する能力を判定する。E.coliを発現した完全長のヒトLSD1(Accession number O60341)をActive Motif(Cat#31334)から購入した。
【0337】
LSD1活性の酵素アッセイは、時間分解蛍光共鳴エネルギー転移(TR−FRET)の検出に基づく。LSD1に対する化合物の阻害特性を、以下の反応条件下で、384ウェルのプレートのフォーマットにおいて判定した:0.1−0.5nMのLSD1、50nMのH3K4me1−ビオチンにより標識化したペプチド(Anaspec cat # 64355)、50mMのHEPES、pH7.3、10mMのNaCl、0.005%のBrij35、0.5mMのTCEP、0.2mg/mlのBSAのアッセイバッファーにおける2μMのFAD。12.5nMと0.25nMそれぞれの終末濃度までの、LANCE検出バッファー(PerkinElmer)における1.8mMの塩酸トラニルシプロミン(2−PCPA)などのLSD1阻害剤の存在下で、検出試薬Phycolink ストレプトアビジン−アロフィコシアニン(Prozyme)とユーロピウム−抗−非修飾ヒストンH3リジン4(H3K4)抗体(PerkinElmer)を追加した後、反応生成物をTR−FRETによって定量的に判定した。
【0338】
アッセイ反応を、以下の手順に従い行った:3%のDMSOにおける、150nMのH3K4me1−ビオチンにより標識化したペプチドと、11点の連続希釈した試験化合物2μLとの2μLの混合物を、プレートの各ウェルに加え、続いて、2μlの0.3nM LSD1と6μMのFADを加えて、反応を生じさせた。その後、反応混合物を室温で1時間インキュベートし、25nMのPhycolink ストレプトアビジン−アロフィコシアニンと0.5nMのユーロピウム−抗−非修飾H3K4抗体とを含有するLANCE検出バッファーの中に6μlの1.8mM 2−PCPAを加えることにより、終わらせた。0.5のLSD1酵素がプレート中で使用される場合、酵素反応を15分以内に終わらせる。室温でのインキュベーションの1時間後、TR−FRETモード(320nmにて励起、615nm及び665nmにて発光)のEnVision Multilabel Readerにより、プレートを読み取った。各ウェルについて比率を計算し(665/615)、阻害定数(IC50)を判定するために適合させた。
【0339】
本明細書に開示される化合物がLSD1活性を阻害する能力を定量化し、それぞれのIC50値を判定した。表3は、本明細書に開示される様々な置換された複素環化合物のIC50値を提供する。
【0340】
【表4-1】
【0341】
【表4-2】
【0342】
【表4-3】
【0343】
【表4-4】
【0344】
【表4-5】
【0345】
【表4-6】
【0346】
【表4-7】
【0347】
【表4-8】
【0348】
【表4-9】
【0349】
<実施例2:インビトロの酵素阻害アッセイ − MAOの選択性>
ヒトの組み換え型モノアミンオキシダーゼタンパク質MAO−AとMAO−Bとを得る。MAOは、第一級、第二級、及び第三級アミンの酸化的脱アミノ化を触媒する。MAO酵素活性、及び/又は、対象の阻害剤によるそれらの阻害率をモニタリングするために、蛍光ベースの(阻害剤)−スクリーニングアッセイを行う。非蛍光化合物である3−(2−アミノフェニル)−3−オキソプロパンアミン(キヌラミンジヒドロブロミド、Sigma Aldrich)を、基質として選択する。キヌラミンは、両方のMAO活性について非特異的な基質である。MAO活性による酸化的脱アミノ化を受けている間、キヌラミンは、4−ヒドロキシキノリン(4−HQ)、即ち結果として生じる蛍光生成物に変換される。
【0350】
モノアミンオキシダーゼ活性を、4−ヒドロキシキノリンへのキヌラミンの変換を測定することにより推測した。100μlの最終容量で、透明な底部を備える96ウェルのブラックプレート(Corning)の中で、アッセイを行った。アッセイバッファーは、100mMのHEPES、pH7.5である。各実験を、同じ実験の中で3回繰り返して行った。
【0351】
簡潔に言えば、本明細書に開示されるような様々な濃度の化合物(例えば、阻害剤の強度に依存して0乃至50μΜ)の有無にかかわらず、MAOの固定量(MAO−Aについて0.25μg、AO−Bについて0.5μg)を、反応バッファーの中で25分間、氷の上でインキュベートした。トラニルシプロミン(Biomol International)を、阻害の対照として使用した。
【0352】
酵素を試験化合物と相互作用させた後、60乃至90μΜのキヌラミンを、MAO−BとMAO−Aのアッセイそれぞれのために各反応物に加え、この反応物を暗所の中、37℃で1時間放置した。50μlの2N NaOHを加えることで基質の酸化的脱アミノ化を止めた。4−ヒドロキシキノリンへのキヌラミンの変換を、マイクロプレートリーダ(Infinite 200,Tecan)を使用して蛍光(320nmで励起、360nmで発光)によりモニタリングする。任意の単位を使用して、試験化合物の有無にかかわらず精製された蛍光のレベルを測定した。
【0353】
最大の酸化的脱アミノ化活性を、試験化合物が無い状態でキヌラミンの脱アミノ化から形成された4−ヒドロキシキノリンの量を測定することにより得て、バックグラウンド蛍光のために補正した。各阻害剤のKi(IC50)をVmax/2で測定した。化学合成例1−94、101−106、108−117、及び120−122を上述のアッセイにおいて試験して、2マイクロモルより大きなIC50を持つことが分かった。
【0354】
<実施例3:LSD1 CD11bの細胞アッセイ>
細胞中のLSD1阻害剤の効果を分析するために、CD11bのフローサイトメトリーアッセイを行った。LSD1阻害は、フローサイトメトリーにより測定される、THP−1(AML)細胞中のCD11bの発現を誘導する。1つのウェルにつき500μLの最終容量を持つ24ウェルのプレート中に10%のウシ胎仔血清含有RPMI1640培地において、THP−1細胞を、100,000細胞/ウェルで蒔いた。LSD1試験化合物をDMSOの中で連続希釈した。希釈物を各ウェルに加えて、それに応じて0.2%のDMSOの最終濃度とした。細胞を4日間、5%のCOにおいて摂氏37度でインキュベートした。250μLの各ウェルを、96ウェルの丸底プレートにあるウェルに移した。
プレートを5分間、Beckman Coulter Alegra 6KRの遠心分離機の中、摂氏4度で、1200rpmで遠心分離した。ウェルの底に細胞を残したまま、培地を取り除いた。2%のBSA(ウシ血清アルブミン)溶液を加えた100μLの冷たいHBSS(ハンクス平衡塩類溶液)の中で細胞を洗浄して、5分間摂氏4度で、1200rpmで遠心分離した。洗浄物を除去した。APCを共役させたマウス抗CD11b抗体(BD Pharmingen Cat# 555751)の、2%のBSAを含有する1:15の希釈物を加えた100μLのHBSSの中で細胞を再懸濁し、25分間氷の上でインキュベートした。細胞を遠心分離し、2%のBSAを加えた100μlのHBSSの中で2回洗浄した。最後の回転後、2%のBSAを含有する1μg/mLのDAPI(4’,6−ジアミジノ−2−フェニルインドール)を加えた100μLのHBSSの中で、細胞を再懸濁した。その後、BD FACSAriaの機械でのフローサイトメトリーにより、細胞を分析した。CD11bの発現について細胞を分析した。各阻害剤濃度についてのCD11bを発現する細胞の割合を使用して、分析された各化合物についてIC50曲線を判定した。
【0355】
表4は、本明細書に開示される様々な置換された複素環化合物の細胞IC50値を提供する。
【0356】
【表5-1】
【0357】
【表5-2】
【0358】
【表5-3】
【0359】
【表5-4】
【0360】
【表5-5】
【0361】
【表5-6】
【0362】
【表5-7】
【0363】
【表5-8】
【0364】
<実施例4:Kasumi−1 AML細胞株増殖分析(Cell−MTSアッセイ)>
LSD−1小分子阻害剤が樹立AML癌細胞株Kasumi−1の増殖を達成する能力を評価するために、比色定量の細胞アッセイを行う。
【0365】
<アッセイのバックグラウンド>
LSD−1タンパク質は、SCLCとAMLとを含む様々な癌型の生態において重要な役割を果たすことが示された。潜在的な抗癌治療としてLSD−1の小分子阻害を実証するために、AMLの樹立癌細胞株における増殖阻害の程度を測定するアッセイを実施した。
【0366】
<アッセイの原則>
このCell−MTSアッセイは、試験化合物の有無にかかわらず新しく生成されたNADHの量を定量化する、7日間のプレートベースの比色試験である。これらのNADHレベルを、癌細胞増殖の定量化の代わりに使用する。
【0367】
<アッセイ方法>
p53変異が確認された、樹立癌細胞株Kasumi−1を、American Type Culture Collection(ATCC)から購入し、ATCCにより公表されたプロトコルに従って慣例的に継代した。慣例的なアッセイのために、これらの細胞を、96ウェル当たり20,000の細胞の密度で蒔いた。プレーティングの24時間後、細胞は、100μM乃至2.0nMの終末濃度範囲を持つ試験化合物の11点の稀釈を受けた。37℃、5%のCOで、168時間、化合物の存在下で細胞をインキュベートする。この化合物のインキュベーション期間の終わりに、80μlの培地を取り除き、20μLのCellTiter 96(登録商標) AQueous Non−Radioactive Cell Proliferation Assayの溶液(Promega)を加える。OD490が>0.6になるまで、細胞をインキュベートする。IDBS XLfitソフトウェアパッケージを使用してIC50値を計算し、これは、バックグラウンド減算したOD490値、及びDMSO対照に対する標準化を含む。
【0368】
表5は、本明細書に開示される様々な置換された複素環化合物のKasumi−1細胞IC50値を提供する。
【0369】
【表6-1】
【0370】
【表6-2】
【0371】
<実施例5:インビボのキセノグラフ研究 − MCF−7のキセノグラフ>
0.72mgの17−βエストラジオールを含む時間放出ペレット剤を、nu/nuマウスに皮下注入する。5%のCO、37℃で、10%のFBSを含むRPMIの中で、MCF−7細胞を成長させる。細胞を沈降させ、1×10細胞/mLで、50%のRPMI(無血清)及び50%のマトリゲルの中で再懸濁する。ペレット剤注入の2−3日後、MCF−7細胞を右側腹部に皮下注射し(100μL/動物)、腫瘍体積(長さ×幅/2)を隔週毎にモニタリングする。腫瘍が200mmまでの平均体積に達すると、動物を無作為化し、処置を始める。動物を4週間、ビヒクル又は化合物により毎日処置する。腫瘍体積と体重を、研究の全体にわたって隔週毎にモニタリングする。処置期間の終わりに、血漿と腫瘍のサンプルを、薬物動態学的及び薬理学的な分析それぞれのために採取する。
【0372】
<実施例6:インビボのキセノグラフ研究 − LNCaPキセノグラフ>
LSDl(shLSDl細胞)の安定したノックダウンを持つLNCaP細胞、又は対照細胞(shNTC細胞など)を、皮下注入によりヌードマウスの背中側の側腹部に接種させる(50%のRPMI 1640/BD Matrigelの100μlにおける3×10細胞など)。マウスの体重と腫瘍のサイズを、週に1回測定し、式(7i/6)(LxW)を使用して腫瘍体積を推測し、式中、L=腫瘍の長さ、W=腫瘍の幅である。2つのサンプルt検定を行い、2つの群の間の平均腫瘍容積における統計的な差異を判定する。
【0373】
ヌードマウスの背中側の側腹部への皮下注入により、未修飾のLNCaP細胞を接種させる(50%のRPMI 1640/BD Matrigelの100μlにおける3×10細胞など)。3週後、マウスに1日1回、水(対照)、パルギリン(0.53mg又は1.59mg;70%のバイオアベイラビリティを仮定して、1又は3mMの最終濃度)、又はXB154(4又は20μg;70%のバイオアベイラビリティを仮定して、1又は5μΜの最終濃度)を腹腔内注入し、又は、試験化合物で処置する(毎週5mg/kg、又は毎週10mg/kg)。処置を3週間継続し、その間にマウスの体重と腫瘍体積を上記のように測定する。
【0374】
shLSDl LNCaP細胞又は対照細胞を、上記のようにヌードマウスに注入する。3週後、3週間1日1回、腹腔内で、2.6μgのマイトマイシンC(40%のバイオアベイラビリティを仮定して、1μΜの予測された最終濃度)、オラパリブ(例えば、約0.5mg/kg乃至25mg/kg)、又はビヒクルにより、マウスを処置する。他の例において、未修飾のLNCaP細胞を上記のようにヌードマウスに注入する。
【0375】
3週後、上記のように試験化合物、又はビヒクル、加えて、MMC又はオラパリブにより、マウスを処置する。処置を3週間継続し、その間にマウスの体重と腫瘍体積を上記のように測定する。
【0376】
shLSDl細胞を注入したマウスにおいて、対照と比較した腫瘍体積の減少は、LSDl阻害がインビボで腫瘍増殖を減少させることを示している。
【0377】
同様に、LNCaP細胞を注入され、且つ本明細書に開示された化合物で処置されたマウスにおいて、対照と比較した腫瘍体積の減少は、LSDl阻害がインビボで腫瘍増殖を減少させることを示している。最終的に、本明細書に開示される化合物のみで処置したマウスと比較して、LNCaP細胞を注入され、且つ本明細書に開示される化合物に加えてオラパリブで処置したマウスの腫瘍体積の減少は、LSDlの阻害に加えてPARPの阻害がインビボで腫瘍増殖を減少させることを示している。
【0378】
採取した異種移植片組織を、LSDl阻害の証明のために検査する。これをウェスタンブロットにより評価して、shRNA細胞の場合における、2MK4と2MK9のヒストンマーク(histone marks)の全体的なレベル、FA/BRCA遺伝子の発現、FANCD2のユビキチン化、及びLSDlタンパク質レベルを検査する。これらパラメータの1以上の減少は、LSD1の有効な阻害を示している。加えて、DNAの損傷修復に対する効果を、H2AXのフォーカス(foci)のための染色により評価する。
【0379】
<III.製薬剤形の調製>
<実施例1:経口錠剤>
48重量%の式(I)の化合物、又はその薬学的に許容可能な塩、45重量%の微結晶性セルロース、5重量%の低置換ヒドロキシプロピルセルロース、及び2重量%のステアリン酸マグネシウムを混合することによって、錠剤を調製する。直接圧縮によって錠剤を調製する。圧縮錠剤の全重量を、250−500mgで維持する。