【実施例1】
【0018】
図面によれば、
図1〜
図7において、本発明の好適な実施例1に係る排尿用具1は、主として女性用のものであり、女性の外陰部を覆う部分に開口部2aを設けたところの伸縮性のある繊維材料(例えば木綿)を用いて縫製したパンツ状の着衣体2と、同じく伸縮性を有し前記着衣体2と同じ材料で縫製され、一端部側を開口部2aの後部側に縫い付けてなるバンド部材3と、このバンド部材3に設けられた装着孔3aに装着手段4を介して取り付けられる集尿袋5と、着衣体2を身体に装着した際に、一方の太腿部(好ましくは左側)を挿入させる部分の前側に縫い付け、或は一体編み込みなどの手段で設けられたところの集尿袋5を収容させる収容袋部2bとから成る。
【0019】
バンド部材3は、実施例では、その後端部側を開口部2aの後部側に縫い付けてあるが、着衣体2と一体に縫製されても良い。このバンド部材3の前側(自由端側)は開閉可能に構成されている。また、バンド部材3にはこの自由端側の内側に面ファスナー(登録商標以下同じ)6が縫い付けられており、この面ファスナー6を着衣体2側に同じく縫い付けてある面ファスナー(登録商標以下同じ)7と係着する構成である。しかしながら、この面ファスナー6と7から成る係着手段8は、ホックその他の係着手段で構成しても良い。尚、このバンド部材3は、その後部側も着衣体2に系着手段を用いて着脱自在となるように構成しても良い。バンド部材3の装着孔3aに続いてその内側には帯状の嵌合凸部3bが設けられている。
【0020】
集尿袋5は、例えばポリエチレンフィルム製の可撓性の袋であり、その本体部5aの両端に口径の大きな入口部5bと小口径の出口部5cがあり、出口部5cは絞られて折り畳めるように細長くなっている。その長さは5〜7cm程度であり、その口径は2cm乃至3cmである。また、その内部には、入口部5bの部分に熱圧着或は超音波溶着されて一体化されたところの漏斗状を呈した筒状の逆止弁部材9が設けられている。尚、集尿袋5はこれを透明にすると、排尿された尿の色を確認するのに便利である。また、尿量を記録するためには、目盛りを本体部5aの外側に設けることが望ましい。
【0021】
集尿袋5をバンド部材3へ装着させる装着手段4は、それぞれ中央部に膣部と尿道口を含む外陰部の周りを囲む形と大きさの取付孔10a、11aを有する略楕円形状を呈した一対の孔開き平板リング状の装着部材10、11と、この装着部材10、11に身体Aの側から接し、外陰部の周りを囲む形と大きさの同じく略楕円形状を呈した導尿孔12aを有するパッド部材12と、集尿袋5の出口部5cに取り付けられるクリップ部材13とで構成され、集尿袋5の入口部5bを装着部材10、11の間に挟んで、例えばボンドのような接着剤で接着してある。
【0022】
装着部材10、11は、可撓性を有する厚紙製あるいは合成樹脂製のもので、例えば縦方向に折り曲げて装着孔3aへ出し入れさせることのできるものである。パッド部材12は、例えば不織布12d、12eの間に、例えば梅の種を焼いて粉状にしたものを紙に漉き込んでクレープ紙とした消臭紙乃至脱臭紙12fを挟んで、プレスで打ち抜いたもので、さらに導尿孔12aの部分を絞り込むことにより、ガイド部12bが形成されると共に、前記バンド部材3の嵌合凸部3bと嵌合する帯状の嵌合凹部12cが設けられている。また、パッド部材12全体にはやや大きなエンボス加工が施されている。クリップ部材13は、成形加工して作った可撓性を有する例えばポリプロピレンなどの合成樹脂製のもので、内側に複数の凸凹部を一列にして設けた係止部13aを有する巻き付け部13bと、この巻き付け部13bの一端側に折り曲げ自在に連結されたフック部13cから成り、このフック部13cの自由端側に設けた係止孔部13dへ、フック部13cに設けた係止片13eを係止させる構成である、さらに、フック部13cには係止部13aを収容させる収容凹部13fが設けられている。尚、この構成は、実施例に限定されない。
【0023】
次に、本発明に係る排尿用具1の使用方法について説明する。本発明に係る排尿用具1は、1枚のバンド部材3付きの着衣体2、複数の集尿袋5、同じく複数枚のパッド部材12、1個のクリップ部材13が、セットで販売される関係上、まず、バンド部材3に集尿袋5を装着しない状態で、着衣体2を丁度パンツをはく要領で女性の身体Aの腰部に着用するのが自然である。この場合、バンド部材3はその先端側に設けた面ファスナー7を着衣体2の本体側に設けた面ファスナー6に係着させた状態でも、係着させてない状態でも構わない。次いで、面ファスナー6と7が係着状態であるときには、
図8の(1)に示したように、この係着状態を解離させ、バンド部材3を降ろしてその装着孔3aの内側から、その出口部5cを予めクリップ部材13で閉じたで集尿袋5を、その出口部5c側(クリップ部材13側)を先にして挿入させ、
図8の(2)に示したように、出口部5cを引っ張って装着部材10、11が装着孔3aに係止されるまで引き出してやる。尚、集尿袋5の出口部5cをクリップ部材13でクリップして閉じる方法は、まず、クリップ部材13の巻き付け部13bとフック部13cを開き、出口部5cの側を巻き付け部13bにその本体部5aに至るまで巻き付けて行き、巻き付け終わったところで、フック部13cを折り曲げてその係止孔部13dを巻き付け部13bの係止片13eへ係止させるものである。このようにすると、集尿袋5の出口部分は、係止部13aによって緩むことなくクリップされ、使用中に出口部5cから尿が漏れ出てきてしまう心配がない。
【0024】
次いで、
図8の(3)に示したように、パッド部材12のガイド部12bを集尿袋5の入口部5b側に挿入させて、バンド部材3を途中まで引き上げ、さらに、パッド部材12の嵌合凹部12cにバンド部材3の嵌合凸部3bを嵌め合わせた後、バンド部材3をさらに引き上げてパッド部材12の導尿孔12aが、外陰部aの周りを囲み、パッド部材12で全体を覆うようにして押し付けた状態にして、
図8の(4)に示したように、バンド部材3の面ファスナー7と着衣体2の側の面ファスナー6とを係着させるものである。尚、装着部材10、11のバンド部材3に設けた装着孔3aに対する取り付けは、当該装着部材10、11を撓ませて、装着孔3aの前側から挿入させ、当該装着部材10、11を装着孔3aへ係合させるようにしても良い。
【0025】
そして、
図8の(5)と
図9に示したように、集尿袋5を収容袋部2b内に収容させて排尿用具1の身体Aに対する装着が完了する。この状態で、女性が立った状態で排尿すると、尿はパッド部材12の導尿孔12aとガイド部12bを介して集尿袋5内に集められることになる。その際に尿道口(図示せず)から洩れた尿は、パッド部材12を構成する不織布12d、12eに吸収される。また、パッド部材12には、
図7の(c)に示したように、消臭紙乃至脱臭紙12fを用いられているために、パッド部材12に尿が浸み込んでも外部へ匂いが漏れるのを可及的に防止することができるものである。
【0026】
また、本発明に係る排尿用具1は、女性が寝た状態、あるいはベッドや車いすに座った状態でも使用すすることができ、座った状態で使用する場合には、尿意のある人の場合には、使用時に若干腰を浮かすことにより、よりスムーズに使用することが可能になる。また、尿意があり夜間頻尿の人の場合には、ベッドから起き上がって、少し腰を浮かすか、ベッドから足を下ろして少し腰を上げることにより、スムーズに排尿ができ、簡易トイレを用いる煩雑さを解消でき、或はトイレへ移動中に転倒する事故を未然に防止することができるものである。
【0027】
パッド部材12は、尿量にもよるが、1回使用するごとに交換することが望ましい。また、着衣体2は、バンド部材3と共に繰り返し洗濯をして用いることができる。
【0028】
使用後に、集尿袋5をバンド部材3から取り外す場合には、
図10の(1)に示したように、バンド部材3の先端側を片手で持ち、これを前側に引っ張ることで面ファスナー6と7の係着状態が解離されるので、そのまま
図10の(2)に示したように、前側へ少し降ろし、もう一方の手で、
図10の(3)に示したように、パッド部材12を取り外し、次いで、
図10の(4)に示したように、装着部材10、11を折り曲げて装着孔3aから前側へ抜き取ると、集尿袋5はバンド部材3から取り外されるので、これを装着部材10、11を持ったままで、
図10の(5)に示したように、収容袋部2bから取り出す。次いで、集尿袋5の出口部5cに取り付けてあるクリップ部材13を取り外し、出口部5cから溜まっている尿を便器へ排出させるものである。この際に、集尿袋5には逆止弁部材9が取り付けられているので、
図11に示したように、尿の逆流を防止でき、衛生的に尿の処理を行うことができる。この逆止弁部材9は、排尿用具1を身体に着用中に排尿がなされても、尿の逆流を防止し、着衣体2やバンド部材3、さらには図示してないズボンやスカート、さらにはパジャマなどの衣服を汚す虞がないものである。
【実施例2】
【0029】
図12は、男性用に用いて好適な排尿用具を示す。この実施例2に係る男性用の排尿用具15は、実施例1の排尿用具1とほとんど同じ構成であり、異なるのはバンド部材に設ける装着孔の位置と大きさである。それ以外の構成は同じで良い。したがって、指示記号の同じものは同じ部材を表しているので、説明を省略する。即ち、男性と女性では、排尿器の構成と位置が異なることから、バンド部材16の装着孔16aの形状が円形状であり、その大きさも陰茎の膨張時のサイズより若干大き目であれば良く、さらにその位置も女性用のものに比べて身体の前側に位置している。
【0030】
この男性用の排尿用具15の身体Bへの装着方法は、
図12に示したように、上述したように女性が装着する場合と大きな違いはなく、男性が着用時に陰茎部bをパッド部材12の導尿孔12aから集尿袋5の中へ挿入させる点に注意すれば良いことになる。パッド部材12は、この場合でも装着時の陰部や陰茎部bへの当たりを柔らかくし、使用中、或は着用中における陰茎部bの尿による濡れや汗や蒸気を吸収し、かつ消臭乃至脱臭させることができるものである。
【0031】
本発明に係る排尿用具1や15を着用後、通常の排尿が可能である場合には、バンド部材3や16の面ファスナー7と着衣体2の面ファスナー6の係着状態を解離させ、集尿袋5を収容袋部2bから抜き取り、バンド部材3や16と共に後方へ移動させることによって、着衣体2を取り外さなくとも、開口部2aから排尿が可能である。通常の排尿をした後は、上述したようにして、バンド部材3と16へ集尿袋5を装着するものである。また、着衣体2は実施例ではパンツ形状であるが、これをT字帯や褌に変えても良い。
【0032】
本発明に係る排尿用具を用いる対象と成る人は、女性、男性、太った人、痩せた人など様々である。この点を考慮して、着衣体は大、中、小の3種類を用意するものであるが、男性と女性では尿道口の位置が異なることから、バンド部材に工夫を凝らし、バンド部材をその両端部で面ファスナーにより、着衣体の開口部を覆うように構成することは推奨できよう。この方法は、女性や男性の場合で体格に差があることから、大、中、小のサイズでは補えない部分があるので、推奨できるものということができる。