特許第6493906号(P6493906)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6493906
(24)【登録日】2019年3月15日
(45)【発行日】2019年4月3日
(54)【発明の名称】パワーステアリング装置
(51)【国際特許分類】
   B62D 1/16 20060101AFI20190325BHJP
   B62D 5/04 20060101ALI20190325BHJP
   F16F 15/136 20060101ALI20190325BHJP
   F16D 3/68 20060101ALI20190325BHJP
【FI】
   B62D1/16
   B62D5/04
   F16F15/136 A
   F16D3/68
【請求項の数】1
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2014-187917(P2014-187917)
(22)【出願日】2014年9月16日
(65)【公開番号】特開2016-60294(P2016-60294A)
(43)【公開日】2016年4月25日
【審査請求日】2017年7月11日
(73)【特許権者】
【識別番号】000001247
【氏名又は名称】株式会社ジェイテクト
(73)【特許権者】
【識別番号】000005326
【氏名又は名称】本田技研工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100087701
【弁理士】
【氏名又は名称】稲岡 耕作
(74)【代理人】
【識別番号】100101328
【弁理士】
【氏名又は名称】川崎 実夫
(72)【発明者】
【氏名】吉田 充宏
【審査官】 飯島 尚郎
(56)【参考文献】
【文献】 特開2014−151652(JP,A)
【文献】 特開2001−199352(JP,A)
【文献】 特開2014−151704(JP,A)
【文献】 特開平08−142879(JP,A)
【文献】 特開2012−173258(JP,A)
【文献】 特開2006−199075(JP,A)
【文献】 特開2005−306122(JP,A)
【文献】 特開2006−056296(JP,A)
【文献】 国際公開第2014/129441(WO,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2002/0142850(US,A1)
【文献】 特開昭64−032966(JP,A)
【文献】 特開2005−029013(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B62D 1/16
B62D 5/04
F16D 3/68
F16F 15/136
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ステアリングホイールに連結される一端と他端とを含むステアリングシャフトと、
前記ステアリングシャフトの前記一端と前記他端との間に配置された被検出部を含み、前記ステアリングホイールの操作により入力される操舵トルクを検出するトルクセンサと、
前記ステアリングシャフトの前記他端に連結された入力シャフトを含む転舵機構と、前記トルクセンサにより検出された操舵トルクに基づきアシストトルクを発生して前記転舵機構に付与するアシスト機構と、を含む転舵・アシストユニットと、を備え、
前記ステアリングシャフトは、前記一端から前記他端まで順に連結されるコラムシャフト、並びにトルク伝達時に回転方向にガタを生じ得る回転ガタ要素としての第1自在継手、インタミーディエイトシャフトおよびトルク伝達時に回転方向にガタを生じ得る回転ガタ要素としての第2自在継手を含み、
前記コラムシャフトは、前記一端側から順に第1軸、第2軸および第3軸に分割されるとともに、前記第1軸と前記第2軸とを連結するトーションバーと、前記第2軸と前記第3軸とを弾性連結する粘弾性体を有する回転ダンパーと、を含み、
前記被検出部は、前記第1軸および前記第2軸において相対角変位を生ずる部位に配置され、前記トルクセンサは、前記第1軸と前記第2軸との相対角変位に基づいて操舵トルクを検出するパワーステアリング装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はパワーステアリング装置に関する。
【背景技術】
【0002】
転舵機構のラック軸に対して、ステアリングホイールからのマニュアル操舵力を伝達する主ピニオン軸と、電動モータからの操舵補助力を伝達する補助ピニオン軸とを係合させるパワーステアリング装置が提案されている(例えば特許文献1を参照)。
特許文献1では、車室内に配置されたステアリングホイールが、エンジンルーム内に配置された転舵機構の入力軸である前記主ピニオン軸に対して、操舵軸および自在継手を介して連結されている。
【0003】
また、ステアリングホイールの回転力を検出するトルクセンサが、前記操舵軸において車室内に配置される部分に配置されている。前記電動モータは、転舵機構に取り付けられ、トルクセンサの検出値に応じて転舵機構を動作させるように構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開昭64−32966号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1において、自在継手は、トルク伝達時に回転方向にガタを生ずるおそれがある。特に中立位置付近での運転者によるステアリング操作において、前記ガタがステアリングホイールに伝達されて、運転者が、ガタ感を感じるおそれがある。このため、操舵フィーリングが低下する。
また、ガタの影響で、トルクセンサの検出応答性が低下するので、電動モータから転舵機構に付与される操舵補助力の付与応答性が低下する。このため、操舵フィーリングが低下する。
【0006】
本発明の目的は、ガタ感が抑制され応答性に優れた操舵フィーリングを得ることのできるパワーステアリング装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記目的を達成するため、請求項1の発明は、ステアリングホイール(2)に連結される一端(3a)と他端(3b)とを含むステアリングシャフト(3)と、前記ステアリングシャフトの前記一端と前記他端との間に配置された被検出部(4a)を含み、前記ステアリングホイールの操作により入力される操舵トルクを検出するトルクセンサ(4)と、前記ステアリングシャフトの前記他端に連結された入力シャフト(6)を含む転舵機構(7)と、前記トルクセンサにより検出された操舵トルクに基づきアシストトルクを発生して前記転舵機構に付与するアシスト機構(8)と、を含む転舵・アシストユニット(5)と、を備え、前記ステアリングシャフトは、、前記一端(3a)から前記他端(3b)まで順に連結されるコラムシャフト(9)、並びにトルク伝達時に回転方向にガタを生じ得る回転ガタ要素としての第1自在継手(10)、インタミーディエイトシャフト(11)およびトルク伝達時に回転方向にガタを生じ得る回転ガタ要素としての第2自在継手(12)を含み、前記コラムシャフトは、前記一端(3a)側から順に第1軸(91)、第2軸(92)および第3軸(93)に分割されるとともに、前記第1軸(91)と前記第2軸(92)とを連結するトーションバー(94)と、前記第2軸(92)と前記第3軸(93)とを弾性連結する粘弾性体を有する回転ダンパー(95)と、を含み、前記被検出部は、前記第1軸および前記第2軸において相対角変位を生ずる部位に配置され、前記トルクセンサは、前記第1軸と前記第2軸との相対角変位に基づいて操舵トルクを検出するパワーステアリング装置(1)を提供する。
【0008】
なお、括弧内の英数字は、後述する実施形態における対応構成要素等を表すが、このことは、むろん、本発明がそれらの実施形態に限定されるべきことを意味するものではない。以下、この項において同じ。
【発明の効果】
【0010】
請求項1の発明によれば、ステアリングシャフトにおいて、被検出部と、被検出部よりも入力シャフト側に配置された回転ガタ要素との間に、回転ダンパーが配置される。したがって、回転ガタ要素である第1自在継手および第2自在継手のガタがステアリングホイールに伝達されて操舵フィーリングにガタ感が生ずることを抑制することができる。また、被検出部へのガタの伝達が抑制されることにより、トルクセンサの検出応答性が向上する。したがって、ガタ感が抑制され且つ応答性の良い操舵フィーリングを達成することができる。
【0011】
また、ガタや路面振動が、ステアリングホイールや被伝達部に伝達されることが、粘弾性体によって抑制される。これにより、操舵フィーリングをより向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の一実施形態のパワーステアリング装置の模式図である。
図2】マニュアル操舵系の模式的概略図である。
図3】回転ダンパーの分解斜視図である。
図4】回転ダンパーの断面図であり、図2のIV−IV線に沿って切断された断面図に相当する。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下では、本発明の実施形態を、添付図面を参照して詳細に説明する。
図1は本発明の一実施形態のパワーステアリング装置の概略図である。図1を参照して、パワーステアリング装置1は、ステアリングホイール2に連結される一端3aと他端3bとを含むステアリングシャフト3と、ステアリングホイール2から入力される操舵トルクを検出するトルクセンサ4と、転舵・アシストユニット5とを備えている。
【0014】
転舵・アシストユニット5は、ステアリングシャフト3の他端3bに連結される入力シャフトとしての第1ピニオンシャフト6を含む転舵機構7と、転舵機構7にアシストトルクを付与するアシスト機構8とを含む一体のアセンブリとして構成されている。
ステアリングシャフト3は、コラムシャフト9と、第1自在継手10と、インターミディエイトシャフト11と、第2自在継手12とを含む。インターミディエイトシャフト11は、第1自在継手10および第2自在継手12の何れか一方(本実施形態では第1自在継手10)に連結された筒状の外軸41と、第1自在継手10および第2自在継手12の他方(本実施形態では第2自在継手12)に連結された内軸42とを含む。
【0015】
外軸41と内軸42とは、軸方向に相対摺動可能にセレーション嵌合されている。図示していないが、外軸41の内周に設けられた雌セレーションと、内軸42の外周に設けられた雄セレーションとが嵌合している。
第1自在継手10、インターミディエイトシャフト11および第2自在継手12のそれぞれが、回転方向に僅かなガタ(遊び)を有している。第1自在継手10、インターミディエイトシャフト11および第2自在継手12は、それぞれ回転ガタ要素を構成している。
【0016】
コラムシャフト9の一端(ステアリングシャフト3の一端3aに相当)には、ステアリングホイール2が連結される。第1自在継手10は、コラムシャフト9の他端とインターミディエイトシャフト11の一端11aとを連結する。第2自在継手12は、インターミディエイトシャフト11の他端11bと転舵機構7の入力シャフトである第1ピニオンシャフト6とを連結する。
【0017】
コラムシャフト9は、車体13にブラケットを介して支持されるハウジングとしての筒状のコラムハウジング14に挿通され、コラムハウジング14によって、軸受15,16を介して回転可能に支持されている。
トルクセンサ4は、ステアリングシャフト3の一端3aと他端3bとの間(本実施形態ではコラムシャフト9の一端と他端との間)に配置された被検出部4aと、被検出部4aに対向するようにコラムハウジング14に配置された検出部4bとを含む。トルクセンサ4は、ステアリングホイール2の操作により入力される操舵トルクを検出する。
【0018】
コラムシャフト9は、ステアリングホイール2に連結される第1軸91と、第2軸92と、第2軸92と、第1自在継手10に連結された第3軸93とを備える。
また、コラムシャフト9は、第1軸91と第2軸92とを同軸上に連結するトーションバー94と、第2軸92と第3軸93とを回転方向に連結する回転ダンパー95とを備える。回転ダンパー95は、コラムハウジング14の外部に配置されている。
【0019】
第1軸91と第2軸92とは、トーションバー94の捩じれに伴って相対角変位を生ずる。被検出部4aは、第1軸91および第2軸92において相対角変位を生ずる部位に配置されている。トルクセンサ4の検出部4bは、第1軸91と第2軸92との相対角変位に基づいて、操舵トルクを検出する。
転舵機構7は、入力シャフトとしての第1ピニオンシャフト6と、転舵軸17とを備える。第1ピニオンシャフト6は、外周6aと、外周6aに設けられた第1ピニオン18とを含む。転舵軸17は、その外周17aに、第1ピニオン18に噛み合う第1ラック19と、第1ラック19から軸方向Xに離隔した第2ラック20とを有している。
【0020】
また、転舵機構7は、転舵軸17の軸方向Xの一対の端部にそれぞれ連結された一対のタイロッド21と、各タイロッド21と対応する転舵輪22とをそれぞれ連結する一対のナックル23とを備える。
運転者がステアリングホイール2を操作することで、そのマニュアル操舵力(操舵トルク)により、コラムシャフト9、第1自在継手10、インターミディエイトシャフト11、第2自在継手12、第1ピニオンシャフト6、転舵軸17、タイロッド21およびナックル23を介して転舵輪22を操舵することができる。
【0021】
すなわち、ステアリングホイール2、コラムシャフト9、第1自在継手10、インターミディエイトシャフト11、第2自在継手12、第1ピニオンシャフト6および転舵軸17によってマニュアル操舵系MSが構成されている。
アシスト機構8は、操舵補助用の電動モータ24と、電動モータ24の回転出力を減速する減速機25と、電動モータ24によって減速機25を介して駆動される第2ピニオンシャフト26とを備える。第2ピニオンシャフト26は、外周26aと、外周26aに設けられて第2ラック20と噛み合う第2ピニオン27とを備える。
【0022】
転舵・アシストユニット5は、ユニットハウジング5Hを備える。ユニットハウジング5Hは、転舵軸17が挿通されたラックハウジング28と、第1ピニオンシャフト6を支持する第1ピニオンハウジング29とを備える。また、ユニットハウジング5Hは、第2ピニオンシャフト26を支持する第2ピニオンハウジング30と、減速機25を収容した減速機ハウジング31とを備える。
【0023】
ラックハウジング28、第1ピニオンハウジング29、第2ピニオンハウジング30および減速機ハウジング31は、一体に設けられている。具体的には、別ハウジングとして形成されて、一体に固定されている。
ラックハウジング28は、車体13によって、または車体13によって支持された介在フレーム(図示せず)によってリジッドに支持されていてもよい。また、ラックハウジング28は、車体13または介在フレームによって支持された弾性部材(図示せず)を介してフローティング支持されていてもよい。
【0024】
電動モータ24は、第2ピニオンハウジング30に減速機ハウジング31を介して固定されたモータハウジング32と、モータハウジング32によって支持された出力軸33とを備えている。減速機25は、継手34を介して出力軸33にトルク伝達可能に連結されたウォームシャフト等の駆動ギヤ35と、駆動ギヤ35と噛み合い第2ピニオンシャフト26に一体回転可能に連結されたウォームホイール等の被動ギヤ36とを備えている。
【0025】
トルクセンサ4のトルク検出結果は、ECU(Electronic Control Unit :電子制御ユニット)37に与えられる。ECU37では、トルク検出結果や車速センサ(図示せず)から与えられる車速検出結果等に基づいて、内蔵の駆動回路を介して電動モータ24を駆動制御(アシスト制御)する。電動モータ24の出力回転が減速機25を介して減速されて第2ピニオンシャフト26に伝達され、第1ピニオン18および第1ラック19(ラックアンドピニオン機構に相当)によって転舵軸17の軸方向移動に変換されて、操舵が補助される。
【0026】
図2に示すように、第1自在継手10は、コラムシャフト9の第3軸93に連結された第1ヨーク10aと、インターミディエイトシャフト11の外軸41に連結された第2ヨーク10bと、第1ヨーク10aおよび第2ヨーク10bを連結する十字軸10cとを含む。
第2自在継手12は、インターミディエイトシャフト11の内軸42に連結された第1ヨーク12aと、第1ピニオンシャフト6(入力シャフト)に連結された第2ヨーク12bと、第1ヨーク12aおよび第2ヨーク12bを連結する十字軸12cとを含む。
【0027】
コラムシャフト9は、軸方向に分割された一対の軸としての第2軸92および第3軸93と、これら第2軸92および第3軸93を回転方向に弾性連結する回転ダンパー95とを含む。
図3は回転ダンパーの分解斜視図である。図2および図3に示すように、回転ダンパー95は、第2軸92の一端92aおよび第3軸93の一端93aの何れか一方に設けられた第1回転要素51と、第2軸92の一端92aおよび第3軸93の一端93aの他方に設けられた第2回転要素52とを備える。また、回転ダンパー95は、第1回転要素51および第2回転要素52の間に介在し、第1回転要素51および第2回転要素52を弾性連結する粘弾性体53を備える。
【0028】
図4図2のIVI−IV線に沿って切断された断面図である。図3および図4に示すように、第1回転要素51には、第2回転要素52が挿入された軸方向の挿入孔54が設けられている。
挿入孔54および第2回転要素52は、相似形の断面形状(例えば十字状断面形状)をなしている。すなわち、挿入孔54の内周には、放射状に延びる複数の係合凹部54aが形成されている。第2回転要素52の外周は、各係合凹部54a内にそれぞれ配置されるように放射状に突出する複数の係合凸部52aを形成している。
【0029】
本実施形態では、係合凹部54aおよび係合凸部52aが各4つ設けられる場合が示されているが、各5つ以上設けられてもよい。
各係合凹部54aは、周方向に対向する一対のトルク伝達面54b,54cを含む。各係合凸部52aは、対応する係合凹部54aの一対のトルク伝達面54b,54cにそれぞれ対向する一対のトルク伝達面52b,52cを含む。
【0030】
粘弾性体53は、ゴムまたは樹脂により形成される。粘弾性体53は、挿入孔54の内周と第2回転要素52の外周との間に介在し、周方向に連続している。粘弾性体53は、対応するトルク伝達面54b,52b間にそれぞれ介在する複数のトルク伝達部53bと、対応するトルク伝達面54c,52c間にそれぞれ介在するトルク伝達部53cとを含む。また、粘弾性体53は、トルク伝達部53bとトルク伝達部53cとを交互に接続する接続部53aを含む。
【0031】
粘弾性体53では、第2軸92および第3軸93間の相対回転方向に応じて対応する一方のトルク伝達部52b又は52cが、トルク伝達に寄与する。また、図2を参照して、粘弾性体53は、路面振動や回転ガタ要素(両自在継手10,12およびインターミディエイトシャフト11)のガタが、トルクセンサ4の被検出部4a側に伝達されることを抑制する振動伝達抑制部として機能する。
【0032】
本実施形態によれば、図1および図2に示すように、ステアリングシャフト3において、被検出部4aと、被検出部4aよりも入力シャフト(第1ピニオンシャフト6)側に配置された回転ガタ要素(第1自在継手10、インターミディエイトシャフト11および第2自在継手12)との間に、回転ダンパー95が配置される。
したがって、回転ガタ要素(第1自在継手10、インターミディエイトシャフト11および第2自在継手12)のガタがステアリングホイール2に伝達されて操舵フィーリングにガタ感が生ずることを回転ダンパー95によって抑制することができる。また、トルクセンサ4の被検出部4aへのガタの伝達が抑制されることにより、トルクセンサ4の検出応答性が向上する。その結果、ガタ感が抑制され且つ応答性の良い操舵フィーリングを達成することができる。
【0033】
特に、被検出部4aおよび回転ダンパー95が、コラムシャフト9に配置されるので、回転ガタ要素としての第1自在継手10、インターミディエイトシャフト11および第2自在継手12のガタが、ステアリングホイール2にガタ感として伝達されたり、トルクセンサ4の検出応答性を低下させたりすることを抑制することができる。したがって、操舵フィーリングを格段に向上することができる。
【0034】
図3に示すように、回転ダンパー95が、軸方向に分割された一対の軸(第2軸92および第3軸93)を弾性連結する粘弾性体53を含む。したがって、回転ガタ要素のガタや路面振動が、ステアリングホイール2や被検出部4aに伝達されることが、粘弾性体53によって抑制される。これにより、操舵フィーリングをより向上することができる。
本発明は前記実施形態に限定されるものではなく、例えば、インターミディエイトシャフトが単一の軸で構成されていてもよい。その場合のインターミディエイトシャフトは回転ガタ要素を構成しない。
【0035】
また、図示していないが、コラムシャフトに配置された回転ダンパーが、コラムハウジングの外部に配置されていてもよい。
また、参考形態として、図示していないが、回転ダンパーがインターミディエイトシャフトに配置されてもよい。その場合の回転ダンパーは、回転ガタ要素としての第2自在継手からのガタが、ステアリングホイールや被検出部へ伝達されることを抑制する。
【0036】
また、回転ダンパーとして、ラバーカップリング等の公知の弾性軸継手を用いることができる。
また、第2ピニオンシャフト26と第2ラック20とが廃止されてもよい。その場合、図示していないが、アシスト機構が、転舵軸に設けられたねじ軸と、ねじ軸にボールを介して螺合し電動モータにより回転駆動される軸方向移動不能なボールナットとを含んでいてもよい。また、アシスト機構が、マニュアル操舵力が伝達されるピニオンシャフトにアシストトルクを伝達するものであってもよい。
【0037】
その他、本発明は特許請求の範囲記載の範囲内で種々の変更を施すことができる。
【符号の説明】
【0038】
1…パワーステアリング装置、2…ステアリングホイール、3…ステアリングシャフト、3a…一端、3b…他端、4…トルクセンサ、4a…被検出部、4b…検出部、5…転舵・アシストユニット、5H…ユニットハウジング、6…第1ピニオンシャフト(入力シャフト)、6a…外周、7…転舵機構、8…アシスト機構、9…コラムシャフト、10…第1自在継手(回転ガタ要素)、11…インターミディエイトシャフト(回転ガタ要素)、12…第2自在継手(回転ガタ要素)、13…車体、14…コラムハウジング、17…転舵軸、18…第1ピニオン、19…第1ラック、20…第2ラック、24…電動モータ、25…減速機、26…第2ピニオンシャフト、26a…外周、27…第2ピニオン、28…ラックハウジング、29…第1ピニオンハウジング、30…第2ピニオンハウジング、31…減速機ハウジング、32…モータハウジング、33…出力軸、34…継手、35…駆動ギヤ、36…被動ギヤ、41…外軸、42…内軸、51…第1回転要素、52…第2回転要素、52a…係合凸部、52b,52c…トルク伝達面、53…粘弾性体、53b,53c…トルク伝達部、54…挿入孔、54a…係合凹部、54b,54c…トルク伝達面、91…第1軸、92…第2軸(一対の軸の一方)、93…第3軸(一対の軸の他方)、94…トーションバー、95…回転ダンパー
図1
図2
図3
図4