特許第6493910号(P6493910)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6493910
(24)【登録日】2019年3月15日
(45)【発行日】2019年4月3日
(54)【発明の名称】トンネル覆工用型枠装置
(51)【国際特許分類】
   E21D 11/10 20060101AFI20190325BHJP
【FI】
   E21D11/10 B
【請求項の数】5
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2015-15158(P2015-15158)
(22)【出願日】2015年1月29日
(65)【公開番号】特開2016-138427(P2016-138427A)
(43)【公開日】2016年8月4日
【審査請求日】2018年1月27日
(73)【特許権者】
【識別番号】000158725
【氏名又は名称】岐阜工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107700
【弁理士】
【氏名又は名称】守田 賢一
(72)【発明者】
【氏名】小枝 保彦
(72)【発明者】
【氏名】平野 定雄
(72)【発明者】
【氏名】高田 敏博
【審査官】 苗村 康造
(56)【参考文献】
【文献】 特開2014−202040(JP,A)
【文献】 実開平06−079834(JP,U)
【文献】 実開昭59−012738(JP,U)
【文献】 登録実用新案第3027081(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E21D 11/00〜 19/06
E04G 9/00〜 25/08
B66C 19/00〜 23/94
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
移動セントルと、当該移動セントルに支持され展開状態でその外周に覆工コンクリートが打設される型枠と、前記移動セントルに基端がこれを水平旋回可能とする垂直なピン部材と上下回転可能とする水平なピン部材とで着脱不可に連結されるとともに先端が前記型枠に着脱可能に連結されたジャッキ部材と、基端が、前記水平旋回可能とする垂直なピン部材と同軸で垂直なピン部材で前記移動セントルに連結されて、前記型枠から前記先端が分離された状態で前記ジャッキ部材の荷重を支持しつつ移動セントル側へ水平旋回可能としたジャッキ支持機構とを備えるトンネル覆工用型枠装置。
【請求項2】
前記ジャッキ支持機構を、基端が前記移動セントルに旋回可能に連結され前記ジャッキ部材に沿って延びる本体と、当該本体上に設けられて前記ジャッキ部材を吊り下げる吊下げ装置とで構成した請求項1に記載のトンネル覆工用型枠装置。
【請求項3】
前記吊下げ装置を前記本体に沿った長手方向へ配設し、吊り方向を前記本体に沿った方向から上下方向へ変換する吊り方向転換部材を設けた請求項2に記載のトンネル覆工用型枠装置。
【請求項4】
前記ジャッキ支持機構を、基端が前記移動セントルに旋回可能に連結され前記ジャッキ部材に沿って延びる本体と、当該本体に設けられて前記ジャッキ部材を載置する受け部とで構成した請求項1に記載のトンネル覆工用型枠装置。
【請求項5】
前記ジャッキ支持機構を、前記移動セントルに旋回可能に連結された吊下げ装置で構成して、当該吊下げ装置で前記ジャッキ部材を吊り下げ支持するようにした請求項1に記載のトンネル覆工用型枠装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はトンネル覆工用型枠装置に関し、特にテレスコピック型枠装置に好適に使用できるジャッキ支持構造を備えたトンネル覆工用型枠装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
トンネル覆工用に使用するテレスコピック型枠装置の一例が特許文献1に開示されている。ところで、このようなテレスコピック型枠装置のうち、以下のような工程で覆工コンクリートの打設と養生を行うものがある。すなわち、第1型枠とこれに連続させられる第2型枠を備え、アーチ状等に展開されて外周に覆工コンクリートを打設した第1型枠から移動セントルを分離して、覆工コンクリートの養生を終了した第2型枠中へ進入させ、移動セントルを第2型枠に連結し支持させる。その後、第2型枠を収縮させて覆工コンクリートを養生中の第1型枠内を通過させ、当該第1型枠に隣接する位置で再び第2型枠をアーチ状等に展開させて外周に覆工コンクリートを打設する。このように第1型枠と第2型枠を交互に使用して覆工コンクリートの養生期間を十分に保証しつつ速やかな覆工コンクリートの打設が可能である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2014−43739
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述のようなテレスコピック型枠装置で覆工コンクリートを打設する際には、覆工コンクリートの荷重に抗して型枠を確実にセントル上で支える必要があるため、適宜箇所に設置した多数のジャッキ部材でセントルと型枠を連結している。そして、移動セントルを移動させる際には型枠内を円滑に通行できるように、各ジャッキ部材は全て型枠との連結を解消して移動セントル側へ旋回収容するようにしている。しかし、型枠の拡縮移動量が大きいため長大化し重くなったジャッキを、従来は作業者が保持し旋回させているため、その作業に難渋するという問題があった。
【0005】
そこで、本発明はこのような課題を解決するもので、ジャッキ部材の収容作業を円滑かつ容易に行うことができるトンネル覆工用型枠装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本第1発明では、移動セントル(2)と、当該移動セントル(2)に支持され展開状態でその外周に覆工コンクリートが打設される型枠(1)と、前記移動セントル(2)に基端がこれを水平旋回可能とする垂直なピン部材と上下回転可能とする水平なピン部材とで着脱不可に連結されるとともに先端(32)が前記型枠(1)に着脱可能に連結されたジャッキ部材(3)と、基端が、前記水平旋回可能とする垂直なピン部材と同軸でかつ垂直なピン部材(42)で前記移動セントル(2)に連結されて、前記型枠(1)から前記先端(32)が分離された状態で前記ジャッキ部材(3)の荷重を支持しつつ移動セントル(2)側へ水平旋回可能としたジャッキ支持機構(4,5,6)とを備える。
【0007】
本第1発明によれば、ジャッキ支持機構によって、型枠から分離されたジャッキ部材の荷重を支持しつつ移動セントル側へ円滑かつ容易にジャッキ部材を旋回収容することができる。
【0008】
本第2発明では、前記ジャッキ支持機構を、基端が前記移動セントル(2)に旋回可能に連結され前記ジャッキ部材(3)に沿って延びる本体(41)と、当該本体(41)上に設けられて前記ジャッキ部材(3)を吊り下げる吊下げ装置(5)とで構成する。
【0009】
本第3発明では、前記吊下げ装置(5)を前記本体(61)に沿った長手方向へ配設し、吊り方向を前記本体(61)に沿った方向から上下方向へ変換する吊り方向転換部材(641,642)を設ける。
【0010】
本第4発明では、前記ジャッキ支持機構を、基端が前記移動セントル(2)に旋回可能に連結され前記ジャッキ部材(3)に沿って延びる本体(41)と、当該本体(41)に設けられて前記ジャッキ部材(3)を載置する受け部(413)とで構成する。
【0011】
本第5発明では、前記ジャッキ支持機構を、前記移動セントル(2)に旋回可能に連結された吊下げ装置(5)で構成して、当該吊下げ装置(5)で前記ジャッキ部材(3)を吊り下げ支持するようにする。
【0012】
上記カッコ内の符号は、後述する実施形態に記載の具体的手段との対応関係を参考的に示すものである。
【発明の効果】
【0013】
以上のように、本発明のトンネル覆工用型枠装置によれば、ジャッキ部材の収容作業を円滑かつ容易に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明の第1実施形態における、トンネル覆工用型枠装置の要部横断面図である。
図2】ジャッキ支持機構の平面図である。
図3図1のIII−III線に沿ったジャッキ支持機構の部分断面正面図である。
図4】本発明の第2実施形態における、トンネル覆工用型枠装置の要部横断面図である。
図5図4のV−V線に沿った部分断面正面図である
図6】本発明の第3実施形態における、トンネル覆工用型枠装置の要部横断面図である。
図7】ジャッキ支持機構の平面図である。
図8】ジャッキ支持機構の枠状本体の拡大側面図である。
図9】本発明の第4実施形態における、トンネル覆工用型枠装置の要部横断面図である。
図10】第1参考例における枠体天枠部の拡大正面図である。
図11図10のXI−XI線に沿った断面図である。
図12】第2参考例における移動セントルの上半の拡大正面図である。
図13】上部を下降させた状態の移動セントルの上半の拡大正面図である。
図14】第3参考例におけるインバート枠の下端部の拡大横断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
なお、以下に説明する実施形態はあくまで一例であり、本発明の要旨を逸脱しない範囲で当業者が行う種々の設計的改良も本発明の範囲に含まれる。特に、以下に説明するジャッキ部材とジャッキ支持機構は型枠装置の枠体の各部に設けられるもので、その設置位置は特に限定されるものではなく、各実施形態におけるジャッキ部材およびジャッキ支持機構の設置位置はあくまで一例である。
【0016】
(第1実施形態)
図1にはトンネル覆工用型枠装置の要部横断面を示す。すなわち、図1は全体がアーチ形状をなす公知の枠体1の一方の側部を示しており、枠体1を構成する側枠11の下方にインバート枠12が位置している。側枠11の下端とインバート枠12の上端は内外方向(図1の左右方向)へ相対回動可能にピン結合されており、付設されたジャッキ13によって回動駆動される。
【0017】
枠体1のアーチ形状内の中央位置には公知の構造を有する移動セントル2が位置しており、移動セントル2の一方の側部と側枠11の内周部との間にジャッキ部材3が配設されている。ジャッキ部材3の基端はユニバーサルジョイント部31を介して移動セントル2の側部に連結されており、一方、ジャッキ部材3の先端32は側枠11の内周部に着脱可能にピン結合されている。ジャッキ部材3はその中間外筒33(図2)を、これの径方向外方へ突出する棒状ハンドル34で正逆回転させることで、全体を伸縮させることができる。
【0018】
以上のようなジャッキ部材3に沿って、ジャッキ支持機構4が設けられている。ジャッキ支持機構4は、ジャッキ部材3の両側を平行に延びる一対の枠材411,412(図2)よりなる本体41を備えており、本体41の基端部は上方へ屈曲してその基端は、ピン部材42によってこれを軸に旋回可能に移動セントル2の側部に連結されている。本実施形態ではピン部材42は略垂直に設けられており、本体41は略水平に紙面の表側と裏側へ旋回可能となっている。
【0019】
側枠11の近くまで延びる本体41の先端部には、左右の枠材411,412から上方へ延びる支持脚部431,432(図3)を備えた門型の吊り架台43が設けられており、支持脚部431,432間に架設された吊り架台43の頂辺433には、公知のレバーホイスト5が係止されてそのチェーン51が垂下している。そしてチェーン51の下端に設けたフック511がジャッキ部材3の先端部上面に設けられた係止具331(図1)の吊り輪に係止されている。なお、係止具331はその下半筒状部331がジャッキ部材3の中間外筒33の外周に相対回動可能に嵌装されている。このようにして、ジャッキ部材3は吊り架台43の下方の、左右の枠材411,412内に略水平姿勢で保持されている(図3)。
【0020】
ジャッキ部材3を移動セントル2に収容する場合には、ジャッキ部材3の先端32を側枠11の内周部から離脱させ、レバーホイスト5でジャッキ部材3を吊った状態で、本体41を旋回させることによってジャッキ部材3を移動セントル2の側部に沿った位置まで旋回させ収容する。これにより、長大で重量のあるジャッキ部材3を、ジャッキ支持機構4で支持しつつ円滑かつ容易に移動セントル2の側部へ旋回収容することができる。なお、ジャッキ部材3の姿勢を変更したい場合には、レバーホイスト5の操作レバー52(図1)を操作してチェーン51を適宜巻き上げないし繰り出すことによって、ジャッキ部材3を基端のユニバーサルジョイント31を中心に上方ないし下方の適宜角度位置へ傾斜させることができる。
【0021】
(第2実施形態)
図4には本発明の第2実施形態を示す。基本的構造は上記第1実施形態と同様であり、同一部分は同一符号で示す。以下、第1実施形態との相違点を中心に説明する。図4において、ジャッキ支持機構4には第1実施形態の吊り架台43に代えて、図5に示すように、左右の枠材411,412の先端部の下面間に受け部としての受け板413が架設されている。本実施形態においては、レバーホイスト5は、側枠11の内面の、ジャッキ部材3の先端32が連結された部分の上方位置に設けられた取付具14に上端が係止されて下方へチェーン51が延び、チェーン51の下端がジャッキ部材3の先端部に切り離し可能に連結されている。
【0022】
ジャッキ部材3を移動セントル2に収容する場合には、ジャッキ部材3の先端32を側枠11の内周部から離脱させ、レバーホイスト5のチェーン51を繰り出してジャッキ部材3の先端32を下降させて受け板413上にジャッキ部材3を支持させる。その後、レバーホイスト5のチェーン51をジャッキ部材3から切り離し、本体41を旋回させて移動セントル2の側部に沿った位置まで旋回させ収容する。このようにして本実施形態においても、長大で重量のあるジャッキ部材3を、ジャッキ支持機構4で支持しつつ円滑かつ容易に移動セントル2の側部へ旋回収容することができる。
【0023】
(第3実施形態)
図6にはトンネル覆工用型枠装置の要部横断面を示す。すなわち、図6は全体がアーチ形状をなす公知の枠体1の図1とは反対側の他方の側部を示しており、枠体1を構成する側枠の下方にインバート枠12が位置している。側枠11の下端とインバート枠12の上端は内外方向(図6の左右方向)へ相対回動可能にピン結合されており、付設されたジャッキ13によって回動駆動される。
【0024】
枠体1のアーチ形状内の中央位置には公知の構造を有する移動セントル2が位置しており、移動セントル2の一方の側部と側枠11の内周部との間にジャッキ部材3が配設されている。ジャッキ部材3の基端はユニバーサルジョイント部31を介して移動セントル2の側部に連結されており、一方、ジャッキ部材3の先端32は側枠11の内周部に着脱可能にピン結合されている。ジャッキ部材3はその中間外筒33を、これの径方向外方へ突出する棒状ハンドル34で正逆回転させることで、全体を伸縮させることができる。
【0025】
以上のようなジャッキ部材3の上方位置にジャッキ支持機構6が設けられている。ジャッキ支持機構6は、ジャッキ部材3の上方位置で平行に延びる枠状本体61(図7)を備えており、当該本体61の基端は、ピン部材62によってこれを軸に旋回可能に移動セントル2の側部に連結されている。本実施形態ではピン部材62は略垂直に設けられており、枠状本体61は略水平に紙面の表側と裏側へ旋回可能となっている。
【0026】
ジャッキ支持機構6の枠状本体61の詳細を図8に示す。枠状本体61の先端部内には吊下げ装置たるレバーホイスト5がそのフック53を、枠状本体61に設けた係止部材611に係止させて略水平姿勢で配設してある。レバーホイスト5の操作レバー52は枠状本体61の上面に沿って位置し、当該上面に沿った方向で操作可能となっている。レバーホイスト5のチェーン51は枠状本体61内をその基端方向へ延び、先端フック511には吊りワイヤ63の一端リング状部631が係止してある。吊りワイヤ63は枠状本体61の基端部に設けた吊り方向転換部材たるプーリ641を経て先端方向へ折り返され、さらにプーリ642を経て下方へ延びて、ジャッキ部材3の先端部上面に設けられた係止具34のプーリ341を経て、他端リング状部632が係止具34の係止ピン342に係止されている。なお、係止具34はその下半筒状部343がジャッキ部材3の中間外筒33の外周に相対回動可能に嵌装されている。このようにして、ジャッキ部材3はジャッキ支持機構6によって略水平姿勢で保持されている。
【0027】
ジャッキ部材3を移動セントル2に収容する場合には、ジャッキ部材3の先端32を側枠11の内周部から離脱させ、レバーホイスト5に連結された吊りワイヤ63でジャッキ部材3を吊った状態で、枠状本体51を旋回させて移動セントル2の側部に沿った位置まで旋回させ収容する。これにより、長大で重量のあるジャッキ部材3を、ジャッキ支持機構6で支持しつつ円滑かつ容易に移動セントル2の側部へ旋回収容することができる。なお、ジャッキ部材3の姿勢を変更したい場合には、レバーホイスト5の操作レバー52を操作してチェーン51を適宜巻き上げないし繰り出すことによって、ジャッキ部材3を基端のユニバーサルジョイント31を中心に上方ないし下方の適宜角度位置へ傾斜させることができる。
【0028】
本実施形態においては、レバーホイスト5をジャッキ支持機構6の枠状本体61に沿ってその長手方向へ設けているから、レバーホイスト5およびその操作レバー52が枠状本体61から大きく突出せず、省スペース化が可能になる。特に、図6に示すようにジャッキ支持機構6の上方に近接してコンベア27が位置している場合等に有効である。
【0029】
(第4実施形態)
図9は、全体がアーチ形状をなす公知の枠体1の、一方の側部を構成する側枠11の上部を示している。枠体1のアーチ形状内の中央位置には公知の構造を有する移動セントル2が位置しており、移動セントル2の一方の側部と側枠11の内周部との間にジャッキ部材7が配設されている。ジャッキ部材7の基端はユニバーサルジョイント部75を介して移動セントル2の側部に連結されている。ジャッキ部材7の先端71は側枠11の内周部に着脱可能にピン結合されている。ジャッキ部材7は外筒72の先端開口部に設けられた径方向外方へ突出する棒状ハンドル73を正逆回転させて外筒72内からネジ棒材74を進退させることにより全体が伸縮させられる。
【0030】
本実施形態ではジャッキ支持機構は主にレバーホイスト5で構成されている。レバーホイスト5はそのフック53を移動セントル2に設けた係止具21に係止してある。係止具21は、移動セントル2の側部にピン部材22によってこれを軸に旋回可能に設けられている。本実施形態ではピン部材22は略垂直に設けられており、レバーホイスト5は略水平に紙面の表側と裏側へ旋回可能となっている。そして、レバーホイスト5から延びるチェーン51の先端フック511がジャッキ部材7の外筒72外周に設けた係止片721の吊り孔に係止されている。これにより、ジャッキ部材7は略水平姿勢で保持されている。
【0031】
ジャッキ部材7を移動セントル2に収容する場合には、ジャッキ部材7の先端71を側枠11の内周部から離脱させ、レバーホイスト5でジャッキ部材7を吊った状態で、レバーホイスト5を旋回させて移動セントル2の側部に沿った位置まで旋回させ収容する。これにより、長大で重量のあるジャッキ部材7を、レバーホイスト5を主としたジャッキ支持機構で支持しつつ円滑かつ容易に移動セントル2の側部へ旋回収容することができる。なお、ジャッキ部材7の姿勢を変更したい場合には、レバーホイスト5の操作レバー52を操作してチェーン51を適宜巻き上げないし繰り出すことによって、ジャッキ部材7を基端のユニバーサルジョイント71を中心に上方ないし下方の適宜角度位置へ傾斜させることができる。
【0032】
(第1参考例)
図10には全体がアーチ形状をなす公知の枠体1を構成する天枠15と、その下方に位置して天枠15と対向する移動セントル2の上部23を示す。図10において、上部23の上面には適宜位置に角形ブラケット231が突設されて、その上面に一対の平行板232,233が立設されている。各平行板232,233には同一位置に図11に示すように略水平方向へ延びる長孔234が形成されている。一方、天枠15からは下方へ略三角の板状ブラケット151が垂設されて、その先端には丸孔152が形成されている。丸孔152の内径と長孔234の短径は等しくしてある。
【0033】
駆動シリンダ等で上昇させた移動セントル上部23に対して天枠15を連結する際には、図10に示すように、平行板232,233の長孔234とブラケット151の丸孔152内に、当該丸孔152と同程度の外径の固定ピン153を貫通させる。これにより、天枠15は移動セントル2に対し対向間隔の誤差が修正されて確実に位置決めされる。
【0034】
(第2参考例)
図12において、移動セントル2の上部23は駆動シリンダ等によって本体部24に対して昇降できるようになっており、図12は上部23を本体部24に対して上昇させた状態を示している。上昇した上部23は、打設される覆工コンクリートの圧力に対抗するために適宜位置に設けたサポートジャッキ25で支持される。サポートジャッキ25は本体部24上に設けた柱材241上に中間サポート材242を介して設置されている。
【0035】
ここで、ジャッキ部材としての各サポートジャッキ25の上端には移動部材26が設けられており、移動部材26の一対のローラ261が、上記上部23を構成する型枠の下縁の略水平に延びるフランジ231を上下から挟持している。このような移動部材26によって、サポートジャッキ25は上記フランジ231をレール部材としてこれに沿って移動可能である。
【0036】
覆工コンクリートの養生が完了して移動セントル2の上部23を本体部24に向けて下降させる場合には、これに先立って、やや短縮したサポートジャッキ25の下方の中間サポート材242を取り去り、図13に示すように、サポートジャッキ25を移動部材26によって型枠のフランジ231に沿って柱材241上から側方へ移動させておく(図13中の白矢印)。これにより、重量のあるサポートジャッキ25を取り外す難作業を行うことなく、サポートジャッキ25を速やかに退避させた後、移動セントル2の上部23を本体部24に向けて下降させることができる。
【0037】
(第3参考例)
図14には、全体がアーチ形状をなす公知の枠体1の下端に位置するインバート枠12のさらに下端部を示す。図14において、インバート枠12の外方にコンクリート打設空間Sが形成されて、当該空間S内に覆工コンクリートが充填されている。インバート枠12の下端とトンネルの内底面Tとの間に形成された間隙S1に沿って、これを閉鎖するようにトンネル長手方向へ閉止部材たる角型の枕木81が配設してある。そして、枕木81の上面にスクリュージャッキ82の下端面が当接している。スクリュージャッキ82は外周にネジ部を形成した棒体で、インバート枠12に設けた逆L状ブラケット16の頂面に固定されたナット部材83に螺合してこれを下方へ貫通している。スクリュージャッキ82の上端面には、周面を角型に形成した回転操作部821が突出形成されている。
【0038】
このような構造により、スクリュージャッキ82でインバート枠12の自重が枕木81上に支持されると同時に、インバート枠12からの荷重を受けた枕木81によってコンクリート打設空間Sの間隙S1が確実に閉鎖される。
【符号の説明】
【0039】
1…型枠、2…移動セントル、3…ジャッキ部材、32…先端、4…ジャッキ支持機構、41…本体、413…受け板(受け部)、5…レバーホイスト(吊下げ装置)、6…ジャッキ支持機構、61…本体、641,642…プーリ(吊り方向転換部材)。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14